IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社荏原製作所の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】研磨装置、及び、研磨方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20220606BHJP
   B24B 53/017 20120101ALI20220606BHJP
   B24B 37/10 20120101ALI20220606BHJP
   B24B 57/02 20060101ALI20220606BHJP
【FI】
H01L21/304 622E
B24B53/017 Z
B24B37/10
B24B57/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018147915
(22)【出願日】2018-08-06
(65)【公開番号】P2020024996
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-04-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】外崎 宏
(72)【発明者】
【氏名】陳 柏翰
(72)【発明者】
【氏名】曽根 忠一
【審査官】中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/183360(WO,A1)
【文献】特開2006-147773(JP,A)
【文献】特表2017-532790(JP,A)
【文献】特開2000-218517(JP,A)
【文献】特開平10-118915(JP,A)
【文献】特開2014-124730(JP,A)
【文献】特開平10-094964(JP,A)
【文献】特開2006-088292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 53/017
B24B 37/10
B24B 57/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨液が供給される研磨面を有する研磨パッドを使用して研磨対象物の研磨を行う研磨装置であって、
回転可能に構成された研磨テーブルであって、前記研磨パッドを支持するための研磨テーブルと、
研磨対象物を保持して研磨対象物を前記研磨パッドに押し当てるための基板保持部と、
前記研磨液を前記研磨面から除去するための研磨液除去部と、
を備え、
前記研磨液除去部は、
前記研磨面に洗浄液を噴射するリンス部と、
前記洗浄液が噴射された前記研磨面上の研磨液を吸引する吸引部と、
を有し、
前記リンス部は、側壁で囲まれた洗浄空間を有し、前記側壁は、前記洗浄空間を前記研磨テーブルの径方向外側に向かって開口させる開口部を有している、研磨装置。
【請求項2】
請求項1に記載の研磨装置において、
前記リンス部及び前記吸引部は、一体のブロックとして構成されるか、又は、隣接して配置されている、研磨装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の研磨装置において、
前記研磨液除去部は、前記基板保持部の外径に沿って前記基板保持部の外側に配置されている、研磨装置。
【請求項4】
請求項3に記載の研磨装置において、
前記基板保持部を支持する支持アームを更に備え、
前記研磨液除去部は、前記支持アームに固定されている、研磨装置。
【請求項5】
請求項3に記載の研磨装置において、
前記基板保持部を昇降させる昇降軸を更に備え、
前記研磨液除去部は、前記昇降軸に固定されている、研磨装置。
【請求項6】
請求項3乃至5の何れかに記載の研磨装置において、
前記研磨液除去部は、円弧状の形状を備える、研磨装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載の研磨装置において、
前記リンス部及び/又は前記吸引部を前記研磨面に押圧する押圧機構を更に備える、研磨装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の研磨装置において、
前記研磨テーブルの回転方向において前記研磨液除去部の下流側に配置された温度調節部を更に備える、研磨装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載の研磨装置において、
前記研磨パッドに押圧された状態で前記研磨面に研磨液を供給するための供給装置を更に備える、研磨装置。
【請求項10】
研磨パッドが取り付けられた研磨テーブルを回転させるとともに前記研磨パッドに研磨対象物を押し当てて前記研磨対象物を研磨する研磨方法において、
リンス部及び吸引部を有する研磨液除去部を準備すること、
前記研磨パッドの研磨面に前記リンス部により洗浄液を噴射すること、
前記噴射された洗浄液を、前記リンス部の側壁において前記研磨テーブルの径方向外側に開口する開口部から排出すること、
前記洗浄液が噴射された前記研磨面上の研磨液を前記吸引部により吸引すること、
を含む、研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨装置、及び、研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程においては、半導体デバイス表面の平坦化技術がますます重要になっている。平坦化技術としては、化学的機械研磨(CMP(Chemical Mechanical
Polishing))が知られている。この化学的機械的研磨は、研磨装置を用いて、シリカ(SiO)やセリア(CeO)等の砥粒を含んだ研磨液(スラリー)を研磨パッドに供給しつつ半導体ウエハなどの基板を研磨パッドに摺接させて研磨を行うものである。
【0003】
CMPプロセスを行う研磨装置は、研磨パッドを支持する研磨テーブルと、基板を保持するためのトップリング又は研磨ヘッド等と称される基板保持機構と、を備えている。この研磨装置は、研磨液供給ノズルから研磨液を研磨パッドに供給し、基板を研磨パッドの表面(研磨面)に対して所定の圧力で押圧する。このとき、研磨テーブルと基板保持機構とを回転させることにより基板が研磨面に摺接し、基板の表面が平坦かつ鏡面に研磨される。
【0004】
基板の研磨レートは、基板の研磨パッドに対する研磨荷重のみならず、研磨パッドの表面温度にも依存する。これは、基板に対する研磨液の化学的作用が温度に依存するからである。また、製造する基板によっては、品質の低下を防止するために低温でCMPプロセスを実行することが望まれる。したがって、研磨装置においては、基板研磨中の研磨パッドの表面温度を最適な値に保つことが重要とされる。このため、近年、研磨パッドの表面温度を調節する温度調節機構を備える研磨装置が提案されている。
【0005】
また、CMP装置に使用される研磨液は、高価であり、使用済みの研磨液の処分にもコストを要するため、CMP装置の運転コスト及び半導体デバイスの製造コスト削減のためには、研磨液の使用量の削減が求められる。また、使用済みの研磨液及び副生成物が、基板の品質及び/又は研磨レートに与える影響を抑制ないし防止することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-150345号公報
【文献】特許第4054306号明細書
【文献】特開2008-194767号公報
【文献】米国特許公開2016/0167195号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スラリー使用量削減の一例として、研磨パッドに面する側に開口する凹部を有するハウジングを設け、凹部の周囲に研磨パッドと接触するリテーナを設けたものがある(特許文献1)。この構成では、ハウジング内に研磨液の供給経路を設けて凹部内に研磨液を供給し、リテーナと研磨パッドの狭い間隙から研磨液を送出することにより研磨液の薄層を形成している。また、他の例として、分配装置の面取りされた前縁の外側に研磨液を供給し、前縁の面取り部分において研磨液を研磨パッドに押し付けることにより、研磨パッドの溝内に研磨液を満たすとともに、分配装置の後縁により研磨液の薄層を形成するものがある(特許文献2)。これらのスラリー供給方法は、構成が比較的複雑であり、使用量削減
の効果においても十分ではなく、改善の余地がある。
【0008】
使用済みの研磨液を除去する例として、真空配管に連結された吸込口と、圧力水配管に連結された洗浄ノズルが接近して並ぶように配置した研磨装置用の洗浄装置がある(特許文献3)。また、スプレーシステムの本体の幅方向両側に流体出口を設けるとともに、両側の流体出口の間に流体入口を設け、両側の流体出口から流体入口方向に向かって研磨面上に流体を噴射するとともに、使用済み研磨液を含む流体を流体入口から回収するものがある(特許文献4)。これらの構成では、使用済み研磨液とともに、噴射した洗浄液を吸引して回収する必要があり、大きな吸引力を要する。
【0009】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、上述した課題の少なくとも一部を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面によれば、 研磨面を有する研磨パッドを使用して研磨対象物の研磨を行う研磨装置であって、 回転可能に構成された研磨テーブルであって、前記研磨パッドを支持するための研磨テーブルと、 研磨対象物を保持して研磨対象物を前記研磨パッドに押し当てるための基板保持部と、 前記研磨パッドに押圧された状態で前記研磨面に研磨液を供給するための供給装置と、 前記供給装置を前記研磨パッドに対して押圧する押圧機構と、を備え、 前記供給装置は、 前記研磨面に押圧される側壁であって、前記研磨テーブルの回転方向の上流側の第1壁と、前記研磨テーブルの回転方向の下流側の第2壁とを有する側壁と、 前記側壁に囲まれ前記研磨面に開口した保持空間であって、研磨液を保持するとともに、前記研磨面に研磨液を供給する保持空間と、を有し、 前記押圧機構は、前記第1壁及び前記第2壁への押圧力をそれぞれ調整可能である、 研磨装置が提供される。
【0011】
本発明の一側面によれば、 研磨面を有する研磨パッドを使用して研磨対象物の研磨を行う研磨装置であって、 回転可能に構成された研磨テーブルであって、前記研磨パッドを支持するための研磨テーブルと、 研磨対象物を保持して研磨対象物を前記研磨パッドに押し当てるための基板保持部と、 前記研磨液を前記研磨面から除去するための研磨液除去部と、を備え、 前記研磨液除去部は、 前記研磨面に洗浄液を噴射する洗浄部と、
前記洗浄部に隣接して配置され、前記洗浄液が噴射された前記研磨面上の研磨液を吸引する吸引部と、を有し、 前記洗浄部は、側壁で囲まれた洗浄空間を有し、前記側壁は、前記洗浄空間を前記研磨テーブルの径方向外側に向かって開口させる開口部を有している、研磨装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る研磨装置の構成概略を示す図である。
図2】研磨装置の各構成要素の配置関係を示す平面図である。
図3】研磨液除去部の一例を模式的に示す図である。
図4】制御部による温度調節部の制御を説明するための図である。
図5】温度調節部の気体噴射ノズルと研磨パッドとを模式的に示す平面図である。
図6】温度調節部の気体噴射ノズルと研磨パッドとを模式的に示す側面図である。
図7】変形例の研磨液除去部の一例を模式的に示す図である。
図8】制御部による変形例の温度調節部の制御を説明するための図である。
図9】第2実施形態に係る研磨装置の各構成要素の配置関係を示す平面図である。
図10】供給装置の概略形状を示す平面図である。
図11】供給装置の概略形状を示す断面図である。
図12】供給装置及び押圧機構を示す断面図である。
図13A】押圧機構の構成例を示す斜視図である。
図13B】押し付け姿勢調整機構の構成例を示す斜視図である。
図13C】押圧機構の構成例を示す斜視図である。
図14】使用済み研磨液の排出を説明するための図である。
図15A】新規の研磨液の利用効率を説明するための断面図である(第2実施形態)。
図15B】新規の研磨液の利用効率を説明するための平面図である(第2実施形態)。
図16A】新規の研磨液の利用効率を説明するための断面図である(比較例)。
図16B】新規の研磨液の利用効率を説明するための平面図である(比較例)。
図17】二次側にスリットを設けた供給装置の断面図である。
図18A】二次側のスリットの一例である。
図18B】二次側のスリットの一例である。
図18C】二次側のスリットの一例である。
図19A】供給装置内での研磨液の蓄積方向を説明するための図である。
図19B】供給装置内での研磨液の蓄積方向を説明するための図である。
図19C】供給装置内での研磨液の蓄積方向を説明するための図である。
図20A】供給装置の形状の一例を示す平面図である。
図20B】供給装置の形状の一例を示す平面図である。
図20C】供給装置の形状の一例を示す平面図である。
図21】第3実施形態に係る研磨装置の各構成要素の配置関係を示す平面図である。
図22】一次側にスリットを設けた供給装置の断面図である。
図23】一次側のスリットの一例である。
図24】研磨液の回収の流れを説明するための供給装置の平面図である。
図25】供給装置の形状の一例を示す平面図である。
図26】二次側にスリットを設けた供給装置の断面図である。
図27】一次側及び二次側にスリットを設けた供給装置の断面図である。
図28】第4実施形態に係る研磨装置の各構成要素の配置関係を示す平面図である。
図29】研磨液除去部の一例を示す断面図である。
図30】研磨液除去部の一例を示す断面図である。
図31】研磨液除去部の一例を示す平面図である。
図32】ノズル噴射口の構成例を模式的に示す図である。
図33】ノズル噴射口の構成例を模式的に示す図である。
図34A】研磨液除去部の構成例を示す斜視図である。
図34B】研磨液除去部の構成例を示す斜視図である。
図34C】研磨液除去部の構成例を示す斜視図である。
図35】第5実施形態に係る研磨装置の各構成要素の配置関係を示す斜視図である。
図36】洗浄液の排出を説明するための研磨液除去部の平面図である。
図37】研磨液除去部の取付構造の例を示す斜視図である。
図38】研磨液除去部の取付構造の例を示す斜視図である。
図39】第6実施形態に係る研磨装置の各構成要素の配置関係を示す平面図である。
図40】第7実施形態に係る研磨装置の各構成要素の配置関係を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面では、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る研磨装置の構成概略を示す図である。本実施形態の研磨装置10は、研磨面102を有する研磨パッド100を使用して、研磨対象物としての半導体ウエハ等の基板Wkの研磨を行うことができるように構成されている。図示するように、研磨装置10は、研磨パッド100を支持する研磨テーブル20と、基板Wkを保持して研磨パッド100に押し当てるトップリング(基板保持部)30と、を備えてい
る。さらに、研磨装置10は、研磨パッド100に研磨液(スラリー)を供給する研磨液供給ノズル(研磨液供給部)40を備えている。
【0015】
研磨テーブル20は、円盤状に形成されており、その中心軸を回転軸線として回転可能に構成される。研磨テーブル20には、貼付け等によって研磨パッド100が取り付けられる。研磨パッド100の表面は、研磨面102を形成する。研磨パッド100は、図示しないモータによって研磨テーブル20が回転することにより、研磨テーブル20と一体に回転する。
【0016】
トップリング30は、その下面において、研磨対象物としての基板Wkを真空吸着などによって保持する。トップリング30は、図示しないモータからの動力により基板Wkと共に回転可能に構成されている。トップリング30の上部は、シャフト31を介して支持アーム34に接続されている。トップリング30は、図示しないエアシリンダによって上下方向に移動可能であり、研磨テーブル20との距離を調節可能である。これにより、トップリング30は、保持した基板Wkを研磨パッド100の表面(研磨面)102に押し当てることができる。さらに、支持アーム34は、図示しないモータにより揺動可能に構成されており、トップリング30を研磨面102と平行な方向に移動させる。本実施形態では、トップリング30は、図示しない基板Wkの受取位置と、研磨パッド100の上方位置とで移動可能に構成されているとともに、研磨パッド100に対する基板Wkの押し当て位置を変更可能なように構成されている。以下、トップリング30による基板Wkの押し当て位置(保持位置)を「研磨領域」ともいう。
【0017】
研磨液供給ノズル40は、研磨テーブル20の上方に設けられており、研磨テーブル20に支持される研磨パッド100に研磨液(スラリー)を供給する。研磨液供給ノズル40はシャフト42によって支持されている。シャフト42は、図示しないモータにより揺動可能に構成されており、研磨液供給ノズル40は、研磨中に研磨液の滴下位置を変更できる。
【0018】
なお、研磨装置10は、研磨装置10の動作全般を制御する制御部70(図4参照)も備えている。制御部70は、CPU、メモリ等を備え、ソフトウェアを用いて所望の機能を実現するマイクロコンピュータとして構成されてもよいし、専用の演算処理を行うハードウェア回路として構成されてもよいし、マイクロコンピュータと、専用の演算処理を行うハードウェア回路との組み合わせで構成されてもよい。
【0019】
研磨装置10では、以下のようにして基板Wkの研磨が行われる。まず、基板Wkを下面に保持するトップリング30を回転させると共に、研磨パッド100を回転させる。この状態で、研磨液供給ノズル40から研磨パッド100の研磨面102に研磨液が供給され、トップリング30に保持された基板Wkが研磨面102に対して押し当てられる。これにより、基板Wkの表面がスラリーの存在下で研磨パッド100と接触した状態で、基板Wkと研磨パッド100とが相対移動する。こうして、基板Wkは研磨される。
【0020】
研磨装置10は、図1に示すように、研磨液除去部50と、温度調節部60と、を更に備えている。図2は、研磨装置10の各構成要素の配置関係を示す平面図である。図2に示すように、本実施形態の研磨装置10では、基板Wkの研磨が行われるときに研磨テーブル20の回転方向Rdにおいて、研磨液供給ノズル40、基板Wkの研磨領域(トップリング30による基板Wkの押し当て位置)、研磨液除去部50、および、温度調節部60が、この順に配置されている。なお、本実施形態では、研磨液除去部50と温度調節部60とが互いに隣接して設けられている。ただし、こうした例に限定されず、研磨液除去部50と温度調節部60とが離間して設けられてもよい。
【0021】
研磨液除去部50は、基板Wkの研磨領域よりも研磨テーブル20の回転方向Rdの後方(下流側)において、研磨液を研磨面102から除去するために設けられている。つまり、研磨液除去部50は、基板Wkの研磨に一度使用された研磨液を研磨面102から除去する。図2に示すように、研磨液除去部50は、研磨テーブル20の径方向に沿って延びるように配置されている。
【0022】
図3は、研磨液除去部50の一例を模式的に示す図である。なお、図3では、研磨液除去部50の長手方向(研磨テーブル20の径方向)に垂直な断面が示されている。図3に示すように、本実施形態の研磨液除去部50は、研磨面102上の研磨液SLを堰き止める堰き止め部52と、研磨液SLを吸引する吸引部56と、を有している。本実施形態では、堰き止め部52と吸引部56とは一体に構成されている。
【0023】
堰き止め部52は、研磨面102に当接して研磨液SLが研磨テーブル20の回転方向Rdに移動するのを妨げる。堰き止め部52は、研磨面102を傷つけないと共に、研磨面102との当接による堰き止め部52自体の削り屑が研磨面102に残らないように、その材質が選ばれることが好ましい。一例として、堰き止め部52は、基板Wkの外周縁を保持する図示しないリテーナリングと同じ材質であってもよく、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の合成樹脂、または、ステンレス等の金属で形成されてもよい。また、堰き止め部52の表面には、PEEK(ポリエーテルケトン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、または塩化ポリビニールなどの樹脂コーティングが施されてもよい。さらに、図3に示すように、堰き止め部52は、研磨面102との当接抵抗が小さくなるように、研磨面102に当接する箇所がR面取り(または角面取り)されてもよい。
【0024】
吸引部56は、研磨テーブル20の回転方向Rdにおいて堰き止め部52の前方(上流側)に隣接して配置されている。吸引部56は、研磨面102に向けて開口するスリット57を有しており、このスリット57は流路58を介して図示しない真空源が接続されている。本実施形態では、スリット57から図示しない真空源に向かう流路58は、研磨面102に対して90度の角度をなしている。スリット57は、研磨液除去部50の長方向において、堰き止め部52の長さより短く、且つ、基板Wkの直径よりも長く形成されることが好ましい。また、スリット57の幅Swは、研磨液SLの種類、及び、図示しない真空源の性能などに基づいて定められればよい。一例として、基板Wkの直径が300mmである場合、スリット57の長手方向の長さが300mm以上であり、幅Swが1~2mm程度であることが好ましい。
【0025】
このように、本実施形態の研磨液除去部50では、研磨テーブル20の回転方向Rdにおいて研磨液SLを吸引する吸引部56の後方に連続して、研磨液SLを堰き止める堰き止め部52が配置されている。このため、堰き止め部52によって堰き止めた研磨液SLを吸引部56によって吸引することができ、研磨液SLを研磨面102から好適に除去することができる。
【0026】
なお、研磨液除去部50は、図示しないアトマイザ又はドレッサによって研磨面102をコンディショニングするときには、研磨面102から離されることが好ましい。つまり、研磨液除去部50は、研磨液SLを除去する研磨液除去位置と、研磨面102から離れた待機位置とで移動可能に構成され、研磨面102のコンディショニングが行われるときには待機位置に位置するものとしてもよい。本実施形態の研磨装置10は、研磨液除去部50によって研磨液が研磨面102から除去された状態で、研磨面102のコンディショニングを行うことができる。このため、アトマイザ又はドレッサによって使用される液体と研磨液とが混じることを抑制することができる。したがって、基板Wkの研磨およびコンディショニングによって生じる使用済みの液体をそれぞれに回収することができ、環境保全に資することもできる。
【0027】
説明を図1及び図2に戻す。温度調節部60は、研磨テーブル20の回転方向Rdにおいて研磨液除去部50の後方に配置されている。温度調節部60は、制御部によって制御されて研磨面102の温度を調節する。図4は、制御部による温度調節部60の制御を説明するための図である。なお、図4では、研磨液除去部50の図示を省略している。図示するように、本実施形態の温度調節部60は、研磨面102に気体を吹き付けるための気体噴射ノズル(噴射器)62を有している。気体噴射ノズル62は、圧縮空気供給ライン63を介して圧縮空気源に接続されている。圧縮空気供給ライン63には、圧力制御弁64が設けられており、圧縮空気源から供給された圧縮空気が圧力制御弁64を通過することで圧力および流量が制御されるようになっている。圧力制御弁64は制御部70に接続されている。なお、圧縮空気は常温であってもよいし、所定温度に冷却または加温してもよい。
【0028】
図4に示すように、研磨パッド100の上方には、研磨パッド100の表面温度を検出する温度センサ68が設置されている。ここで、温度センサ68は、研磨テーブル20の回転方向Rdにおいて研磨液除去部50の後方に設けられ、研磨液が除去された状態の研磨面102の温度を検出することが好ましい。温度センサ68は制御部70に接続されている。制御部70は、所定温度または入力された設定温度である目標温度と、温度センサ68により検出された研磨面102の実際の温度との差に応じてPID制御により圧力制御弁64の弁開度を調整し、気体噴射ノズル62から噴射される圧縮空気の流量を制御する。これにより、気体噴射ノズル62から研磨パッド100の研磨面102に最適な流量の圧縮空気が吹き付けられ、研磨面102の温度が目標温度に維持される。
【0029】
図5および図6は、温度調節部60の気体噴射ノズル62と研磨パッド100とを模式的に示す平面図および側面図である。図5に示すように、温度調節部60は、研磨テーブル20の径方向に沿って所定間隔ごとに配置された複数の気体噴射ノズル62を備えている(図示例では8個のノズルが取り付けられている)。図5においては、研磨中に、研磨パッド100は回転中心CTの回りに時計方向Rdに回転する。ここで、パッド内側から1,2,3・・・8の昇順でノズルに番号付けを行い、例えば、3番目と6番目の2つの気体噴射ノズル62を例に挙げて説明する。すなわち、3番目と6番目の2つの気体噴射ノズル62の直下の点P1,P2を通り、CTを中心とする同心円C1,C2を描き、同心円C1,C2上の点P1,P2における接線方向を研磨パッド100の回転接線方向と定義すると、気体噴射ノズル62の気体噴射方向は、研磨パッドの回転接線方向に対してパッド中心側に所定角度(θ1)だけ傾いている。気体噴射方向とは、気体噴射ノズル口から気体が扇状に広がる角度(気体噴射角)の中心線の方向をいう。3番目と6番目のノズル以外の他のノズルも同様に研磨パッドの回転接線方向に対してパッド中心側に所定角度(θ1)だけ傾いている。そして、研磨パッドの回転接線方向に対する気体噴射ノズル62の気体噴射方向の角度(θ1)は、温度調節能力との関係で15°~35°に設定されている。なお、ここではノズルが8個ある場合を説明したが、ノズルの個数はノズル孔をプラグ等で閉止することにより調整することが可能であり、任意の数とすることができる。ノズルの個数は研磨パッド100の大きさなど応じて適宜選定される。
【0030】
また、図6に示すように、気体噴射ノズル62の気体噴射方向は、研磨パッド100の表面(研磨面)102に対して垂直ではなく、研磨テーブル20の回転方向Rd側に所定角度だけ傾いている。研磨面102に対する気体噴射ノズル62の気体噴射方向の角度、すなわち、研磨面102と気体噴射ノズル62の気体噴射方向とのなす角を気体進入角度(θ2)と定義すると、気体進入角度(θ2)は、温度調節能力との関係で30°~50°に設定されている。ここで、気体噴射方向とは、気体噴射ノズル口から気体が扇状に広がる角度(気体噴射角)の中心線の方向をいう。また、図6に示すように、気体噴射ノズル62は上下動可能に構成され、気体噴射ノズル62の研磨面102からの高さHnを調
節することが可能になっている。
【0031】
こうした温度調節部60によって、基板Wkの研磨中に研磨パッド100(研磨面102)に向けて少なくとも1つの気体噴射ノズル62から気体を噴射して研磨面102の温度を調節することができる。しかも、研磨テーブル20の回転方向Rdにおいて、温度調節部60の前方には研磨液を研磨面102から除去する研磨液除去部50が設けられている。このため、断熱層となり得る研磨液が除去された状態で温度調節部60が研磨面102の温度を調節することができ、研磨面102の温度調節の効率を向上できる。また、温度調節部60の気体噴射ノズル62から勢いよく研磨面102に気体を噴射するときにも研磨液が飛び散ることが抑制され、基板Wkのスクラッチ発生を抑制できる。さらに、本実施形態の研磨装置10では、基板Wkの研磨に一度使用された研磨液が研磨液除去部50によって除去されて研磨液供給ノズル40から新たな研磨液が研磨面102にその都度供給されるので、基板Wkの研磨に使用される研磨液の質を一定に保つことができる。
【0032】
(変形例1)
図7は、変形例の研磨液除去部の一例を模式的に示す図である。上記した実施形態では、吸引部56のスリット57及び流路58は、研磨面102に対して90度となるように設けられていた。しかし、こうした例に限定されず、図7に示すように、吸引部56のスリット57及び流路58は、研磨テーブル20の回転方向Rdとなす角度が10度以上90度未満となるように傾斜していてもよい。こうすれば、研磨テーブル20の回転に伴って研磨液SLを流路58に案内することができ、研磨液SLを好適に吸引することができる。
【0033】
また、上記した実施形態では、吸引部56の堰き止め部52が研磨面102に当接するものとした。しかし、こうした例に限定されず、堰き止め部52は、研磨液と当接すればよく、研磨面102との間に隙間を有するように設けられてもよい。この場合には、堰き止め部52と研磨面102とが当接しないので、堰き止め部52の削り屑が生じたり当接抵抗が生じたりするのを防止できる。なお、研磨装置10は、研磨面102の位置、または、研磨液除去部50と研磨面102との距離を検出するセンサを更に備えてもよい。そして、研磨装置10は、検出された位置または距離に基づいて、研磨液除去部50を研磨面102に当接させてもよいし、研磨液除去部50と研磨面102との距離を一定に保持してもよい。
【0034】
さらに、上記した実施形態では、研磨液除去部50は、堰き止め部52と吸引部56とを一体に有するものとした。しかし、こうした例に限定されず、研磨液除去部50は、堰き止め部52と吸引部56とを別々に有してもよいし、堰き止め部52と吸引部56との一方だけを有してもよい。また、研磨液除去部50は、研磨パッド100をコンディショニングするためのドレッサまたはアトマイザ等と少なくとも一部が一体に設けられてもよい。
【0035】
(変形例2)
図8は、制御部による変形例の温度調節部160の制御を説明するための図である。上記した実施形態の温度調節部60は、研磨面102に向けて気体を噴射する気体噴射ノズル(噴射器)62を有するものとした。しかし、温度調節部60は、これに代えて、または加えて、内部に流体が流れる熱交換器を有してもよい。図8に示すように、変形例の温度調節部60Aは、気体噴射ノズル62に代えて、熱交換器62Aを有している。なお、図8に示す変形例は、温度調節部60Aを除いて実施形態の研磨装置10と同一である。また、図8では、研磨液除去部50の図示を省略している。図8に示すように、熱交換器62Aは、内部に図示しない流路が形成されており、配管63Aを介して流体供給源66Aに接続されている。配管63Aには、圧力制御弁64Aが設けられており、流体供給源
66Aから供給された流体が圧力制御弁64Aを通過することで圧力および流量が制御されるようになっている。圧力制御弁64Aは制御部70に接続されている。熱交換器62Aに使用される流体としては、水などの液体を用いてもよいし、空気などの気体を用いてもよい。また、熱交換器62Aには、内部に反応ガスが流されてもよく、熱交換器62A内部に反応ガスの発熱反応を促進させる触媒が設けられてもよい。さらに、熱交換器62Aは、研磨面102に当接するように配置されてもよいし、研磨面102との間に隙間を有するように配置されてもよい。
【0036】
制御部70は、上記した実施形態と同様に、温度センサ68により検出された温度に基づいて圧力制御弁64Aの弁開度を調整し、熱交換器62Aの内部に流れる流体の流量を制御する。こうした変形例の温度調節部60Aによっても、上記した実施形態と同様に、研磨面102の温度を調節することができる。しかも、研磨テーブル20の回転方向Rdにおいて温度調節部60Aの前方に研磨液除去部50が設けられている。このため、変形例の研磨装置では、断熱層となり得る研磨液が除去された状態で温度調節部60Aによる研磨面102の温度調節を行うことができ、研磨面102の温度調節の効率を向上できる。
【0037】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態に係る研磨装置10の各構成要素の配置関係を示す平面図である。なお、以下の説明では、上記実施形態と同様の構成には同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。本実施形態では、研磨パッド100に研磨液を供給するための供給装置(スラリーパッド)200を備えている。供給装置200は、パッド又はボックスの形状を有する。供給装置200は、後述する押圧機構250によって研磨パッド100の研磨面102に対して押圧される。図9には、ドレッサ90及びアトマイザ94も図示している。ドレッサ90は、アーム93を介してシャフト92に接続されている。シャフト92は、図示しないモータにより揺動可能に構成されており、ドレッサ90を研磨パッド100上で移動させることが可能であり、研磨パッド100外の待機位置に移動させることが可能である。ドレッサ90は、図示しない昇降機構により上下動可能に構成されており、研磨パッド100に対して押圧可能に構成されている。アトマイザ94は、純水(DIW)を研磨パッド100の研磨面に供給することが可能に構成されている。なお、ドレッサ90及びアトマイザ94は、省略することができる。
【0038】
図10は、供給装置200の概略形状を示す平面図である。図11は、供給装置200の概略形状を示す断面図である。供給装置200は、平面視において細長い形状を有しており、その内部には、側壁210で囲まれた保持空間201を有している。供給装置200の長さは、概ね、トップリング30に保持された基板Wkの直径と同一に形成されている。供給装置200の側壁210は、前述した堰き止め部52と同様に、研磨面102を傷つけないと共に、研磨面102との当接による側壁210自体の削り屑が研磨面102に残らないように、堰き止め部52と同様の材質が選ばれることが好ましい。
【0039】
側壁210は、研磨テーブル20の回転方向Rdの上流側に位置する側壁211と、下流側に位置する側壁212とを有している。供給装置200の研磨パッド100の研磨面102に面する側は、開口している(開口部221)。つまり、保持空間201は、研磨面102に対して開口している。供給装置200の上部は、側壁210と一体又は別体の上板220で閉じられている。上板220が別体の場合には、上板220は、側壁210に取り付け可能なトップカバーとして構成することができる。上板220には、研磨液を導入するための1又は複数の導入部222が設けられている。導入部222を介して、研磨液供給ノズル40から研磨液(スラリー)SLfが供給装置200内の保持空間201に供給される。導入部222が複数ある場合には、研磨液供給ノズル40は、導入部222の数に応じて分岐した複数のノズル先端を備える構成とする。なお、以下の説明では、
研磨処理に使用前の研磨液をSLfと表記し、研磨処理に使用後の研磨液をSLuと表記する場合がある。
【0040】
図12は、供給装置200及び押圧機構250を示す断面図である。押圧機構250は、供給装置200の上方に配置され、シリンダ装置251と、押し付け姿勢調整機構252とを備えている。押圧機構250は、アーム253を介してシャフト254に接続されている。シャフト254は、モータ255により揺動可能に構成されており、押圧機構250がシャフト254の回転によって揺動可能である。シャフト254を別途設ける代わりに、押圧機構250は、アーム253を介して、研磨液供給ノズル40のシャフト42に接続されてもよい。供給装置200の各導入部222には、研磨液供給ノズル40の先端が接続され、研磨液供給ノズル40から研磨液SLが供給される。
【0041】
シリンダ装置251は、供給装置200の長手方向及び/又は供給装置200の幅方向(研磨テーブル回転方向Rd)に沿って、複数のシリンダ251aを備えることができる。各シリンダは、流体(気体、液体)により駆動されるロッドを有する。本実施形態では、図13Aに示すように、供給装置200の幅方向に沿って3つのシリンダ251aが並んで配置されるように、シリンダ装置251が構成されている。各シリンダ251aは、電空レギュレータ(比例制御弁)71を介して流体供給源(図示せず)に接続されている。電空レギュレータ71は、制御部70に接続されている。制御部70が電空レギュレータ71を制御することにより、図示しない流体供給源から各シリンダ251aに供給される駆動流体の圧力及び流量が制御され、各シリンダ251aの押圧力が調整される。各シリンダ251aの押圧力が調整されることによって、上流側の側壁211が研磨面102に対して押圧される押圧力が調整されるとともに、下流側の側壁212が研磨面102に対して押圧される押圧力が調整される。また、側壁211への押圧力と、側壁212への押圧力は、それぞれ個別に(同一又は異なるように)調整することができる。なお、ここでは、供給装置200の幅方向に並んだ3つのシリンダ251aが設けられた例を説明するが、幅方向に並んだ2つまたは4つ以上のシリンダ251aを設けてもよい。側壁211側を押圧するシリンダと、側壁212側を押圧するシリンダの2つのシリンダがあれば、側壁211への押圧力と、側壁212への押圧力とを個別に調整することが可能である。なお、シリンダ装置に代えて、複数の押圧手段(ソレノイド、その他モータ等の動力で駆動されるロッド)を有する他の押圧装置を採用してもよい。
【0042】
複数のシリンダ251aの押圧力を制御して上流側の側壁211への押圧力を調整することにより、使用済みの研磨液SLuが側壁211から保持空間201内へ侵入することを防止するとともに、側壁211に沿って研磨パッド100外に排出するようにすることができる(図14)。また、上流側の側壁211への押圧力を調整することにより、使用済みの研磨液SLuの少なくとも一部が、側壁211と研磨面102の隙間から保持空間201内に回収されるようにすることができる(図21図26図27)。
【0043】
また、供給装置200の長手方向に並ぶ複数のシリンダを設けてもよい。この場合、供給装置200の長手方向の各場所への押圧力が異なるように調整することができる。
【0044】
図13A及び図13Bに示すように、押し付け姿勢調整機構252は、シリンダ装置251と供給装置200との間に配置され、供給装置200の姿勢を調整する。押し付け姿勢調整機構252は、第1ブロック252aと、第1ブロック252aに固定された第2ブロック252bと、第2ブロック252bに対してシャフト252dを介して回転可能に係合された第3ブロック252cとを備える。第1ブロック252aが、シリンダ装置251の各シリンダ251aのロッドに固定され、第3ブロック252cが、供給装置200に固定されている。この構成により、供給装置200が研磨面102上に載置された際に、押し付け姿勢調整機構252の第3ブロック252cが第2ブロック252bに対
してシャフト252d周りに回転し、供給装置200が研磨面102に対して平行に設置されるようになっている。
【0045】
なお、図13Aでは、押し付け姿勢調整機構252を供給装置200のトップカバー220に固定した例を示すが、図13Cに示すようにトップカバー220を省略して、供給装置200の側壁210に押し付け姿勢調整機構252を固定してもよい。
【0046】
図14は、使用済み研磨液の排出を説明するための図である。図示するように、供給装置200は、研磨パッド100の回転方向Rdの上流側(一次側、トップリング30の下流側)の側壁211と、研磨パッド100の回転方向Rdの下流側(二次側、トップリング30の上流側)の側壁212と、を有している。上述した押圧機構250によって、一次側の側壁211が研磨パッド100の研磨面102に押し付けられる押圧力を適切に調節することにより、図14に示すように、トップリング30での研磨処理に使用済みの研磨液SLuが側壁211を介して供給装置200内の保持空間201に侵入することを防止することができるとともに、研磨テーブル20の回転による遠心力によって使用済みの研磨液SLuを研磨パッド100の外に排出することができる。なお、使用済み研磨液SLuの排出量は、供給装置200の側壁211の形状及び角度(図19AからC、図20AからC)、押圧機構250による側壁211への押圧力、及び/又は、側壁211のスリットの構成(数、配置、高さ、形状及び寸法、(スリットを設ける場合、後述))を調整することにより、調整することができる。
【0047】
また、押圧機構250によって、二次側の側壁212が研磨パッド100の研磨面102に押し付けられる押圧力を適切に調節することにより、供給装置200の保持空間201から側壁212と研磨面102の間の隙間を介して、新規の研磨液SLfをトップリング30側に供給することができ、新規の研磨液SLfの供給量を調整することができる。従って、供給装置200によれば、一次側の側壁211により、使用済みの研磨液SLuを排出するとともに、二次側の側壁212によって新規の研磨液SLfの供給量を調整することができる。この結果、トップリング30では、実質的に新規の研磨液のみを使用して基板Wkの研磨処理を実行することができ、研磨品質(研磨レート、面内均一性等)を向上させることができる。
【0048】
図15A図15Bは、第2実施形態に係る、新規の研磨液の利用効率を説明するための図である。図16A図16Bは、比較例に係る、新規の研磨液の利用効率を説明するための断面図である。図16A図16Bに示すように、本実施形態の供給装置200を使用せずに、研磨液供給ノズル40から研磨面102に研磨液を供給する場合、トップリング30に保持された基板Wkの全体に研磨液を供給するために、実際の研磨処理に使用される以上の研磨液を供給することが必要とされる。このため、研磨パッド100の回転による遠心力およびトップリング30のリテーナリングの押し付けにより、図16Bに示すように、多くの新規の研磨液SLfが研磨処理に使用されず排出される可能性がある。一方、本実施形態では、研磨パッド100の研磨面102は、供給装置200を通過する際に、保持空間201内で研磨液SLfが供給され、側壁212と研磨面102の間の隙間を通過する際に、研磨液の量が調整される。この際、押圧機構250による供給装置200(側壁212)への押圧力を調整することにより、側壁212を通過後に、研磨処理に必要な研磨液の量が残るように供給量が調整される。例えば、主に、研磨面102の溝部(パッド溝、ポーラス部)101内に研磨液が残るように研磨液の量が調整され、溝部101以外の研磨液の量を少なくすることができる。一例では、溝部101以外の研磨液は、研磨面上の薄層として供給される。これにより、図15Bに示すように、供給装置200の二次側(トップリング30側)において、研磨処理に使用されず排出される新規の研磨液の量を大幅に低減することができる。つまり、本実施形態の供給装置200によれば、供給装置200の二次側の側壁212への押圧力を適切に調整することにより、研磨
液を必要な部分に必要な量で供給することが可能となり、研磨処理に使用されず排出される新規研磨液の量を低減することができる。なお、供給装置200の長さは、任意で良い。ただし、トップリング30に保持された基板Wkの直径との相対的関係から、基板直径と概ね同一であっても良く、あるいはその半分の半径と同一であっても良い。供給装置200の長さは、基板Wk全面または所望の範囲に研摩液が望まれた量だけ供給できるように、設定すればよい。
【0049】
二次側における研磨液の出力量(側壁212と研磨面102との間から出力される研磨液の流量)は、供給装置200の側壁212の形状及び角度(側壁212の角度:図19AからC、図20AからCを参照)、押圧機構250による側壁212への押圧力、及び/又は、側壁212のスリットの構成(数、配置、高さ、形状及び寸法、(スリットを設ける場合、後述))を調整することにより、調整される。
【0050】
図17は、二次側にスリットを設けた供給装置200の断面図である。図18Aから図18Cは、二次側のスリットの一例であり、図17の矢印XVIIIの方向からみた矢視図である。供給装置200からの研磨液の供給量、各箇所への配分を制御するために、図示されているように、二次側の側壁212にスリット231を設け、保持空間201からスリット231を介して研磨液を供給するようにしてもよい。これにより、供給装置200(側壁212)からの研磨液の供給量調整の自由度を向上し得る。例えば、図18Aから図18Cに示すように、供給装置200の長手方向の中心からの研磨液の供給量を多くするようにしてもよい。この場合、長手方向の中心のスリット231は、研磨面102上の基板Wkの中心が通る軌道Ckに合わせることができる(図19C参照)。これにより、基板Wkの中心に対して、より多くの研磨液を供給することができる。基板中心に流れる研磨液の流量は、供給装置200の側壁211、212の形状及び角度(側壁212の角度:図19AからC、図20AからC)、スリットの構成(数、配置、高さ、形状及び寸法)、押圧機構250による押圧力を調整することにより、調整される。
【0051】
図18Aの例では、側壁212の長手方向の中心において下端縁に開口するスリット231を設けている。これにより、基板Wkの中心に積極的に研磨液を供給することができる。なお、図18Aの例において、他のスリットを追加してもよい。
【0052】
図18Bの例では、側壁212の長手方向の中心において下端縁より高い位置に開口するスリット231を設けている。この場合、供給装置200の保持空間201にスリット231までの高さに研磨液が蓄積された後に、研磨液がスリット231からトップリング30側に供給される。なお、図18Bの例において、他のスリットを追加してもよい。
【0053】
図18Cの例では、側壁212の長手方向において、複数のスリット231を設け、中心のスリット231の高さが最も低く、中心から離れるに従ってスリット231の高さが増加する。この場合、中心のスリット231からの研磨液の流量が最も大きく、中心から離れるに従ってスリット231からの研磨液の流量が小さくなる。各スリット231の高さを調整することにより、各スリット231からの研磨液の流量を調整することができる。
【0054】
図18Aから図18Cに例示した以外にも、二次側の側壁に任意の数、任意の配置、任意の高さ、任意の形状及び寸法でスリットを設けることができる。例えば、基板Wkの中心に限らず、プロセスに応じて、任意の位置のスリットからの流量が増大又は減少するように1又は複数のスリットを設けることができる。
【0055】
図19Aから図19Cは、供給装置200内での研磨液の蓄積方向を説明するための図である。図20Aから図20Cは、供給装置200の形状の一例を示す平面図である。
【0056】
図19A図20Aに示すように、供給装置200の二次側の側壁212の研磨パッド100の径方向外側端部が、回転方向Rdにおいて他の部分より先行するように配置された場合、供給装置200の保持空間201内の研磨液SLfは、内側から外側に向かって流れ、外側から蓄積される。また、供給装置200の一次側の側壁211の研磨パッド100の径方向外側端部が、回転方向Rdにおいて他の部分より先行するように配置され、使用済みの研磨液SLuが側壁211によって径方向外方に流れやすくすることができる。この場合、図20Aに示すように、供給装置200の保持空間201は、平面視において研磨パッド100の径方向外側が広くなるように形成することができる。
【0057】
図19B図20Bに示すように、供給装置200の二次側の側壁212の研磨パッド100の径方向内側端部が、回転方向Rdにおいて他の部分より先行するように配置された場合、供給装置200の保持空間201内の研磨液SLfは、外側から内側に向かって流れ、内側から蓄積される。一方、供給装置200の一次側の側壁211の研磨パッド100の径方向外側端部が、回転方向Rdにおいて他の部分より先行するように配置され、使用済みの研磨液SLuが側壁211によって径方向外方に流れやすくすることができる。この場合、図20Bに示すように、供給装置200の保持空間201は、平面視において研磨パッド100の径方向内側が広くなるように形成することができる。
【0058】
図19C図20Cに示すように、供給装置200の二次側の側壁212の中心が、回転方向Rdにおいて先行するように配置された場合、供給装置200の保持空間201内の研磨液は、両側から中心に向かって流れ、中心側から蓄積される。この例では、側壁212が中心付近で屈曲する形状である。一方、供給装置200の一次側の側壁211の研磨パッド100の径方向外側端部が、回転方向Rdにおいて他の部分より先行するように配置され、使用済みの研磨液SLuが側壁211によって径方向外方に流れやすくすることができる。この場合、図20Cに示すように、供給装置200の保持空間201は、平面視において中心側が広くなるように形成することができる。供給装置200の中心は、基板Wkの中心が通る軌道Ckに一致させることができる。この構成によれば、保持空間201内に研磨液を中心側から蓄積させることができ、基板の中心に対して研磨液を積極的に供給することができる。
【0059】
図19Aから図19C図20Aから図20Cに例示した以外にも、供給装置200の長手方向の任意の位置から研磨液が蓄積されるように構成することができる。例えば、最初に蓄積したい部分おいて、二次側の側壁212を他の部分より研磨パッド100の回転方向において先行するように配置し、当該部分から積極的に研磨液を供給するようにすることができる。
【0060】
上記のように、供給装置200の保持空間201内における研磨液の蓄積の方向を調整することにより、供給装置200から出力する研磨液の供給量を場所によって調整することができる。例えば、基板の中心に多くの研磨液を供給する場合には、保持空間201内で研磨液が中心側から蓄積するようにする。更に、基板中心への供給量が多くなるように、下流側の側壁212にスリットを設けてもよい(図18AからCを参照)。
【0061】
本実施形態によれば、供給装置200の一次側で使用済みの研磨液を排出し、二次側から新規の研磨液を基板に供給し、新規の研磨液のみを使用して研磨できる。これにより、研磨品質(研磨レート、面内均一性等)を向上することができる。また、研磨処理による基板の欠陥も抑制し得る。また、使用済みの研磨液を除去するための別途の構成を省略し得る。
【0062】
(第3実施形態)
図21は、第3実施形態に係る研磨装置の各構成要素の配置関係を示す平面図である。ここでは、ドレッサ及びアトマイザを省略して図示しているが、必要に応じてドレッサ及びアトマイザを設置してもよい。本実施形態では、供給装置200は、一次側にて、使用済みの研磨液(使用済み研磨液)SLuの少なくとも一部を保持空間201内に回収し、保持空間201において使用済みの研磨液SLuと新規に供給された研磨液(新規研磨液)SLfとを混合して、二次側に出力する。図21では、説明の便宜上、供給装置200から出力される研磨液が、新規研磨液SLf及び使用済み研磨液SLuのそれぞれの矢印で示されているが、実際には、新規研磨液SLf及び使用済み研磨液SLuが混合されたものが出力される。
【0063】
使用済み研磨液SLuの少なくとも一部を回収し、再利用することにより、研磨液の消費量をさらに低減することができる。また、プロセスによっては、新規研磨液SLfに使用済み研磨液SLuを混合して研磨処理に使用することにより、研磨品質(研磨レート、面内均一性等)を向上できる場合があることも分かっている。従って、本実施形態によれば、研磨液の消費量をさらに低減できるとともに、研磨品質を向上することができる。また、研磨処理による基板の欠陥も抑制し得る。
【0064】
図22は、一次側にスリットを設けた供給装置の断面図である。図23は、一次側のスリットの一例であり、図22の矢印XXIIIの方向からみた矢視図である。図24は、研磨液の回収の流れを説明するための供給装置の平面図である。図示するように、供給装置200の一次側の側壁211には、保持空間201を外部と連絡するスリット232、233が設けられている。スリット232は、使用済み研磨液を回収するためのスリットであり、研磨テーブル20の回転の力によってスリット232を介して使用済み研磨液が保持空間201内に回収される。スリット233は、保持空間201内で溢れた研磨液を一次側の側壁211側に戻すためのスリットであり、これにより、使用済みの研磨液と保持空間201内の研磨液とが良好に混合するようになる。スリット232、233の一方のみを設けてもよい。
【0065】
図23に示すように、スリット232は、側壁211の長手方向の略中心に配置され、側壁211の下端縁に開口する。複数のスリット233は、スリット232の両側に配置され、スリット232から離れるほど高さが増加する。スリット231、232は、任意の数、任意の配置、任意の高さ、任意の形状及び寸法で設けることができる。回収用のスリット232を複数設けてもよいし、排出用のスリット233を単数設けてもよい。
【0066】
研磨処理中、研磨パッド100の回転の力によって、一次側(側壁211側)の研磨液は、図23及び図24に示すように、略中心にあるスリット232に向かって集められ、スリット232を介して回収される。
【0067】
研磨処理中、保持空間201内には、新規研磨液SLfと、回収された使用済み研磨液SLuとが混合状態で存在するが、スリット233を介して混合状態の研磨液の一部が一次側に戻される。従って、供給装置200では、保持空間201内の研磨液の一部が、二次側に出力されるとともに、スリット233を介して一次側に戻され、一次側の研磨液(使用済みの研磨液、保持空間201内の研磨液)がスリット232を介して保持空間201内に回収されることが繰り返される。二次側における研磨液の出力量は、第1実施形態で述べたと同様に調整されることができる。
【0068】
図25は、供給装置200の形状の一例を示す平面図である。この例では、側壁211及び側壁212がそれぞれ中心付近で屈曲する形状である。一次側の側壁211の中心が、研磨パッド100の回転方向Rdにおいて先行する形状となっている。一次側の側壁211の形状及び角度(図25参照)、スリット231の構成(数、配置、高さ、形状及び
寸法)、押圧機構250による押圧力を調整することにより、研磨液の回収量を調整することができる。また、図25の例では、二次側の側壁212の中心が、研磨パッド100の回転方向Rdにおいて先行する形状となっている。これにより、図24に示すように、保持空間201内の研磨液は、保持空間201の長手方向の両側から中心に向かって流れ、中心側から蓄積する。従って、供給装置200の一次側において、中心から研磨液を回収し、二次側において中心からの研磨液の出力を大きくすることができる。
【0069】
なお、供給装置200の形状としては、図19AからC、図20AからCで説明した形状を採用してもよい。
【0070】
図26は、二次側にスリットを設けた供給装置200の断面図である。この例では、一次側の側壁211にスリットを設けず、二次側の側壁212において図18Aから図18Cと同様のスリット231を設ける。一次側での研磨液の回収は、押圧機構250による側壁211への押圧力を調節することにより行う。即ち、一次側の側壁212と研磨面102との間の隙間から、使用済みの研磨液を保持空間201内に回収する。一次側の側壁211の形状及び角度(図25参照)、押圧機構250による押圧力を調整することにより、研磨液の回収量を調整することができる。二次側における研磨液の出力量は、第1実施形態で述べたと同様に調整されることができる。
【0071】
図27は、一次側及び二次側にスリットを設けた供給装置の断面図である。この例では、一次側の側壁211に図23と同様のスリットを設けると共に、二次側の側壁212において図18Aから図18Cと同様のスリット231を設ける。一次側での研磨液の回収量の調整は、図26の例において述べたと同様に行うことができる。二次側における研磨液の出力量は、第1実施形態で述べたと同様に調整されることができる。
なお、一次側及び二次側の側壁211、212ともにスリットを設けない構成としてもよい。この場合、押圧機構250による側壁211への押圧力を調節することにより研磨液回収量の調整を行い、押圧機構250による側壁212への押圧力を調節することにより研磨液の供給量の調整を行う。
【0072】
(第4実施形態)
図28は、第4実施形態に係る研磨装置10の各構成要素の配置関係を示す平面図である。図29及び図30は、研磨液除去部の一例を示す断面図である。図31は、研磨液除去部の一例を示す平面図である。本実施形態では、研磨装置10は、研磨液除去部300を備えている。研磨液除去部300は、吸引部310と、洗浄部320とを備えている。吸引部310と洗浄部320とは、一体に取り付けられた構造又は1つのブロックとして構成されてもよく(図29)、別々のブロックとして間隔をあけて配置されてもよい(図30)。
【0073】
吸引部310は、図3及び図7で上述した研磨液除去部50の吸引部56と概ね同様の構成を有する。吸引部310は、図28に示すように平面視において細長いパッド状の形状を有する。吸引部310は、図29に示すように、研磨面102に開口する吸引空間312と、吸引空間312に開口するスリット313と、図示しない真空源が接続される流路314とを備えている。吸引部310の研磨面102側の端部は、研磨面102に接触するか、研磨面102上の研磨液に接触する程度に配置される。図3及び図7の例と同様に、吸引部310は、研磨面102上の研磨液を堰き止める堰き止め部52を備えてもよい。
【0074】
洗浄部320は、図31に示すように、平面視において、三方を囲む側壁(スクレーパ)325、326、327を有し、これらの側壁で囲まれて噴射空間329が設けられている。図31では、説明の便宜上、一部の構成を省略している。側壁325、326、3
27は、前述した堰き止め部52と同様に、研磨面102を傷つけないと共に、研磨面102との当接による側壁325、326、327自体の削り屑が研磨面102に残らないように、堰き止め部52と同様の材質が選ばれることが好ましい。
【0075】
図31に示すように、洗浄部320において、研磨パッド100の径方向外側には側壁が設けられておらず、開口部328が形成されている。開口部328は、噴射空間329を径方向外方に向かって開口させる。この開口部328を介して、研磨パッド100(研磨テーブル20)の回転の遠心力により、洗浄液噴射ノズル321から噴射された洗浄液(DIW、HOT DIW)、及び、使用済み洗浄液SL2が径方向外方に排出されるようになっている。なお、研磨液の排出を阻害しない範囲で、径方向外側端部の一部に側壁が存在してもよい。側壁325、326、327は、研磨面102に対して接触または微かに接触していない程度に配置される。なお、プロセスによっては、研磨パッド100の表面温度が下がると研磨レートが下がるため、洗浄液として加熱した純水(HOT DIW)を用いてもよい。また、研磨面102の温度を調整するために、前述した温度調節部60、60A、又は他の形態の温度調節部を設けてもよい。温度調節部は、研磨液除去部300の下流側でかつトップリング30の上流側に配置することができる。温度調節部は、研磨液供給部40、200の上流側又は下流側に配置することができる。
【0076】
洗浄部320は、図29に示すように、噴射空間329に向かって洗浄液を噴射するように配置された洗浄液噴射ノズル321と、洗浄液噴射ノズル321に洗浄液を供給するように連絡する流路323を有する流路ブロック322とを備えている。図示しない流体供給源から流路323を介して洗浄液(DIW)が洗浄液噴射ノズル321に供給され、噴射空間329内において洗浄液噴射ノズル321から研磨面102に向かって洗浄液が噴射される。洗浄液噴射ノズル321は、噴射角が研磨面に対して直交又は斜めになるように取り付けられている。なお、流路ブロック322は、側壁325、326、327と一体に形成されても、別体で形成されてもよい。噴射される洗浄液によって、研磨面102の溝部101内の使用済み研磨液、副生成物等が除去される。
【0077】
図31の例では、洗浄液噴射ノズル321のノズル噴射口340は、楕円又は扇形形状であり、洗浄部320の長手方向に対して所定の角度で傾いて配置されている。楕円又は扇形形状のノズル噴射口では、中心部分の噴射流量が大きく、端部部分の噴射流量が小さい。このため、隣接するノズル噴射口340の端部同士が、洗浄部320の長手方向において互いに重なるように配置され、全領域で均一な流量が得られるようになっている。また、洗浄液噴射ノズル321のノズル噴射口340は、図33に示すように、研磨面102に対して、傾斜を持って且つ研磨面102の径方向外側に向くように方向付けられてもよい。この場合、洗浄液(DIW)及び使用済み研磨液が、開口部328から外側に排出されやすい。図32の例では、洗浄液噴射ノズル321のノズル噴射口340は、楕円又は扇形形状であり、洗浄部320の長手方向に平行に配置され、各ノズル噴射口340を互い違いに並べて、隣接するノズル噴射口340の端部同士が、洗浄部320の長手方向において互いに重なるように配置されている。
【0078】
図34AからCは、研磨液除去部の構成例を示す斜視図である。図34Aは、研磨パッド100の外側からみた斜視図である。図34Bは、吸引部310のカバーを取り外した状態の斜視図である。図34Cは、研磨パッド100の中心側からみた斜視図である。図34AからCに示す構成例では、洗浄部320は、研磨テーブル20の回転方向における上流側及び下流側並びに研磨テーブル20の中心側に側壁325、326、327が配置され、側壁325、326、327に囲まれた空間の上部には流路ブロック322が配置されている。流路ブロック322の下方には、噴射空間329が形成されている。噴射空間329は、側壁325、326、327と流路ブロック322とによって囲まれている。洗浄部320の研磨テーブル20の外周側には、側壁が設けられておらず、開口部32
8が設けられている。噴射空間329は、研磨テーブル20の外周側において、開口部328より開口している。流路ブロック322には配管324が連結されており、配管324内に流路323が設けられている。流路323は、洗浄液噴射ノズル321(図29)のノズル噴射口340(図30)に接続される。
【0079】
図34AからCの例では、吸引部310は、アーム350(図28参照)に固定された吸引ブロック311を備えている。吸引ブロック311内に吸引空間312(図29図30)が形成されている。アーム350上には、配管316が配置されており、配管316の一端が、図示しない真空源に接続され、他端が、連結ブロック315を介して吸引ブロック311に接続されている。配管316、連結ブロック315及び吸引ブロック311には、流路314が延びており、流路314は、吸引空間312に開口するスリット313(図29図30)に接続されている。吸引ブロック311の上部には、連結ブロック315及び配管316を覆うようにカバー318が取り付けられている。吸引ブロック311は、前述した堰き止め部52と同様に、研磨面102を傷つけないと共に、研磨面102との当接による吸引部310自体の削り屑が研磨面102に残らないように、堰き止め部52と同様の材質が選ばれることが好ましい。
【0080】
研磨液除去部300(洗浄部320及び吸引部310)は、図28に示すように、揺動及び上下動可能なアーム350に取付けられ、研磨パッド100の研磨面102に対して押圧することができる。アーム350は、研磨テーブル20外の支柱に取り付けられている。アーム350を上下動させる昇降機構は、例えば、シリンダを使用することができる。この場合、レギュレータ(比例制御弁等)によって、シリンダに供給する駆動流体の圧力を変えることで研磨パッド100への押付圧力を制御可能に構成することができる。更に、アームに取付けられた機構の重さ(自重)をキャンセル出来るように構成することも可能であり、押付圧力を0とすることもできる。昇降機構は、シリンダに限らず、モータの動力によるもの、その他任意の機構を採用することができる。また、第2及び3実施形態における押圧機構を使用してもよい。また、洗浄部320及び吸引部310は、搖動及び上下動可能な別々のアームに取り付けられてもよい。
【0081】
このような研磨液除去部300によれば、洗浄部320の噴射空間329において洗浄液噴射ノズル321から研磨面に対して洗浄液が噴射され、研磨面上の使用済み研磨液及び副生成物を洗浄液で洗い流し、研磨テーブルの回転の遠心力により、開口部328を介して洗浄液を径方向外方に排出する。次に、吸引部310では、洗浄部320において遠心力で排出が困難な研磨面上の溝部(パッド溝、ポーラス部分)にある洗浄液を吸引により除去する。これにより、研磨面上の副生成物及び使用済み研磨液を除去でき、その後に配置してある研磨液供給機構(研磨液供給ノズル40、200)により新規の研磨液のみを研磨面上に供給することができる。この結果、基板の欠陥を防止し、研磨品質(研磨レート、面内均一性等)を向上させることができる。
【0082】
本実施形態において、図28に示すように、ドレッサ90及びアトマイザ94を設けてもよい。なお、研磨液除去部300の洗浄部320をアトマイザとして使用し、別途のアトマイザ94を省略してもよい。また、ドレッサ90及びアトマイザ94を省略してもよい。上記では、洗浄部320の径方向外側端面に側壁が設けられない場合を説明したが、径方向外側端面にも側壁を設け、噴射空間329の全周が側壁で囲まれるようにしてもよい。
【0083】
(第5実施形態)
図35は、第5実施形態に係る研磨装置の各構成要素の配置関係を示す斜視図である。図36は、洗浄液の排出を説明するための研磨液除去部の平面図である。本実施形態では、研磨液除去部300をトップリング30の外形に沿った形状に構成し、トップリング3
0の外側に配置する。本実施形態の研磨液除去部300は、洗浄部320及び吸引部310が円弧状に形成されること以外は、第4実施形態と同様である。第4実施形態と同様に、洗浄部320の径方向外側の端部には、開口部328が設けられている(図36)。従って、図36に示すように、洗浄部320の噴射空間329内に噴射された洗浄液は、円弧状の矢印で示すように、開口部328を介して研磨面102の外側に排出される。本実施形態でも、研磨テーブル20の遠心力によって洗浄液が噴射空間329内で径方向外側に導かれるが、洗浄液噴射ノズル321のノズル噴射口340は、図33に示すように、研磨面102に対して、傾斜を持って且つ研磨面102の径方向外側に向くように方向付けられてもよい。この場合、洗浄液(DIW)及び使用済み研磨液が、開口部328から外側に排出されやすい。ノズル噴射口340の平面形状は、図31及び図32と同様のものとすることができる。
【0084】
図37及び図38は、研磨液除去部の取付構造の例を示す斜視図である。図37の例では、研磨液除去部300が昇降ガイド35及びブラケット37を介して、トップリング30の支持アーム34に取り付けられている。昇降ガイド35のシャフトの一端が、研磨液除去部300の吸引部310に固定され、昇降ガイド35のシャフトの他端が、シリンダ36のロッドに連結されている。シリンダ36のロッドの伸縮によって、研磨液除去部300が研磨面102に押圧される力が調整される。なお、昇降ガイド35のシャフトの一端は、研磨液除去部300の洗浄部320に固定されてもよく、洗浄部320及び吸引部310の両方に固定されてもよい。
【0085】
図38の例では、研磨液除去部300がブラケット37aを介して、トップリング30の回転/昇降軸31aに固定されている。ブラケット37aは、洗浄部320及び/又は吸引部310に固定することができる。ブラケット37aと回転/昇降軸31aとを回転ベアリングを介して連結し、回り止め機構を設けることによって、回転/昇降軸31aの回転がブラケット37aに伝達されないようにする。この構成では、回転/昇降軸31aの昇降と同期して、ブラケット37aに固定された研磨液除去部300が昇降する。これにより、研磨液除去部300が研磨面102に押圧される。
【0086】
この実施形態によれば、第4実施形態と同様の作用効果を奏する。更に、研磨処理直後に使用ずみの研磨液及び副生成物を研磨液除去部300によって回収することができる。また、研磨液除去部300がトップリング30の外形に沿った形状であるため、研磨液除去部300の省スペース化を図ることができる。
【0087】
なお、第4実施形態と同様に、洗浄部320の径方向外側端部に開口部328を設けてもよいし、全周を側壁で囲む構成としてもよい。また、本実施形態において、図28の例と同様に、ドレッサ90及びアトマイザ94を設けてもよい。なお、研磨液除去部300の洗浄部320をアトマイザとして使用し、別途のアトマイザ94を省略してもよい。また、ドレッサ90及びアトマイザ94を省略してもよい。
【0088】
(第6実施形態)
図39は、第6実施形態に係る研磨装置の各構成要素の配置関係を示す平面図である。この例では、第2実施形態の研磨装置において、研磨液除去部300を設けたものである。研磨液除去部300は、上述した研磨液除去部50、又は第4又は第5実施形態に係る研磨液除去部300と同様の構成、他の構成であってもよい。また、第2実施形態の供給装置200に代えて、特開平11-114811号公報(米国特許第6336850号)に記載されたスラリー供給装置を、第4又は第5実施形態に係る研磨液除去部300と組み合わせてもよい。特開平11-114811号公報(米国特許第6336850号)の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書を含む全ての開示は、参照により全体として本願に組み込まれる。
【0089】
研磨液除去部300は、トップリング30の後方(下流側)かつ供給装置200(スラリ供給装置)の前方(上流側)に配置することが好ましい。この実施形態によれば、研磨液除去部300により使用済み研磨液を除去した後に、さらに、供給装置200の一次側の側壁211で使用済み研磨液を研磨パッド100外に排出するため、供給装置200の二次側から出力する研磨液に、使用済み研磨液が混入することを更に抑制することができる。
【0090】
また、本実施形態において、図28の例と同様に、ドレッサ90及びアトマイザ94を設けてもよい。なお、研磨液除去部300の洗浄部320をアトマイザとして使用し、別途のアトマイザ94を省略してもよい。また、ドレッサ90及びアトマイザ94を省略してもよい。
【0091】
また、研磨液除去部300の洗浄部を省略してもよい。この場合、研磨面上の使用済み研磨液を完全に除去せずに、吸引部310の吸引圧力、押付力を、溝部(パッド溝、ポーラス部分)にある研磨に効果がない研磨液(砥粒)のみを除去するための最適な圧力に設定することにより、研磨液の使用量を削減することができる。吸引部310で除去しない研磨液は、供給装置200の一次側で排出される。
【0092】
(第7実施形態)
図40は、第7実施形態に係る研磨装置の各構成要素の配置関係を示す平面図である。この例では、第2実施形態又は第3実施形態の研磨装置において、温度調節部400を設けたものである。温度調節部400は、上述した温度調節部60(図4等)、温度調節部60A(図8)と同様の構成であってもよいし、他の構成であってもよい。温度調節部400は、トップリング30の後方(下流側)かつ供給装置200の前方(上流側)に配置することが好ましい。また、上述同様に、温度センサ68により検出された温度に基づいて温度調節部400を制御するようにしてもよい。この実施形態によれば、研磨面102の温度調節を行うことができるので、研磨品質を向上し得る。
【0093】
また、第2実施形態の研磨装置に温度調節部400を設ける場合には、更に、上述した研磨液除去部300を設けてもよい。この場合、供給装置200、トップリング30、研磨液除去部300、温度調節部400をこの順番に配置することが好ましい。この場合、断熱層となり得る研磨液が除去された状態で温度調節部400が研磨面102の温度を調節することができ、研磨面102の温度調節の効率を向上できる。
【0094】
また、供給装置200、温度調節部400、トップリング30、研磨液除去部300、の順番で配置してもよい。この場合、研磨面の温度を研磨処理直前に研磨に最適な温度に調節することができる。
【0095】
また、本実施形態において、図28の例と同様に、ドレッサ90及びアトマイザ94を設けてもよい。なお、研磨液除去部300の洗浄部320をアトマイザとして使用し、別途のアトマイザ94を省略してもよい。また、ドレッサ90及びアトマイザ94を省略してもよい。
【0096】
上記実施形態から少なくとも以下の形態が把握できる。
第1形態によれば、 研磨面を有する研磨パッドを使用して研磨対象物の研磨を行う研磨装置であって、 回転可能に構成された研磨テーブルであって、前記研磨パッドを支持するための研磨テーブルと、 研磨対象物を保持して研磨対象物を前記研磨パッドに押し当てるための基板保持部と、 前記研磨液を前記研磨面から除去するための研磨液除去部と、を備え、 前記研磨液除去部は、 前記研磨面に洗浄液を噴射するリンス部と、前記
洗浄液が噴射された前記研磨面上の研磨液を吸引する吸引部と、を有し、 前記リンス部は、側壁で囲まれた洗浄空間を有し、前記側壁は、前記洗浄空間を前記研磨テーブルの径方向外側に向かって開口させる開口部を有している、研磨装置が提供される。
【0097】
この形態によれば、洗浄部の側壁で囲まれた洗浄空間において、使用済みの洗浄液を研磨パッド外に排出しつつ、研磨面を洗浄し、更に、吸引部において研磨面上の研磨液を吸引して除去するため、研磨面上の研磨液の除去性能を向上し得る。また、側壁で囲まれた洗浄空間において研磨面に洗浄液を噴射するので、洗浄液が飛散することを抑制することができる。また、洗浄中に、径方向外方の側壁開口部から使用済み洗浄液を排出するので、吸引部において吸引する研磨液の量を大幅に低減することができる。これにより、吸引部における吸引の負担が低減される。
【0098】
第2形態によれば、第1形態の研磨装置において、 前記リンス部及び前記吸引部は、一体のブロックとして構成されるか、又は、隣接して配置されている。 この形態によれば、研磨液除去部を省スペースに配置することができる。また、洗浄部と吸引部とが近接しているため、洗浄により研磨面の溝部(パッド溝、ポーラス等)から遊離した砥粒、副生成物等を吸引部においてより確実に吸引することができる。
【0099】
第3形態によれば、第1又は2形態の研磨装置において、 前記研磨液除去部は、前記基板保持部の外径に沿って前記基板保持部の外側に配置されている。 この形態によれば、
研磨処理直後の研磨面上の使用済み研磨液を効率よく除去することが可能である。また、研磨液除去部が基板保持部の外形に沿って設けられているので、研磨液除去部を省スペースに配置することができる。
【0100】
第4形態によれば、第3形態の研磨装置において、 前記基板保持部を支持する支持アームを更に備え、 前記研磨液除去部は、前記支持アームに固定されている。 この形態によれば、研磨液除去部の旋回機構及び/又は昇降機構を別途設ける必要がない。
【0101】
第5形態によれば、第3形態の研磨装置において、 前記基板保持部を昇降させる昇降軸を更に備え、 前記研磨液除去部は、前記昇降軸に固定されている。 この形態によれば、研磨液除去部の旋回機構及び/又は昇降機構を別途設ける必要がない。
【0102】
第6形態によれば、第3乃至5形態の何れかの研磨装置において、 前記研磨液除去部は、円弧状の形状を備える。 この形態によれば、円形の基板保持部の外形に沿って研磨液除去部を設けることができるので、研磨液除去部を省スペースに配置することができる。
【0103】
第7形態によれば、第1乃至6形態の何れかの研磨装置において、 前記洗浄部及び/又は前記吸引部を前記研磨面に押圧する押圧機構を更に備える。 この形態によれば、洗浄部において、洗浄空間内の洗浄液等が開口部以外に流出することを抑制できる。また、吸引部における洗浄液の吸引が良好にできるように、吸引部を研磨面に押圧することが可能である。
【0104】
第8形態によれば、第1乃至7形態の何れかの研磨装置において、 前記研磨テーブルの回転方向において前記研磨液除去部の下流側に配置された温度調節部を更に備える。 この形態によれば、断熱層となり得る研磨液が除去された状態で温度調節部が研磨面の温度を調節することができ、研磨面の温度調節の効率を向上できる。
【0105】
第9形態によれば、第1乃至8形態の何れかに記載の研磨装置において、 前記研磨パ
ッドに押圧された状態で前記研磨面に研磨液を供給するための供給装置を更に備える。この形態によれば、研磨液除去部により使用済み研磨液を除去した後、更に供給パッド供給装置により使用済み研磨液を排出することができるので、使用済み研磨液の除去をより完全に行うことができる。
【0106】
第10形態によれば、研磨パッドが取り付けられた研磨テーブルを回転させるとともに前記研磨パッドに研磨対象物を押し当てて前記研磨対象物を研磨する研磨方法において、
リンス部及び吸引部を有する研磨液除去部を準備すること、 前記研磨パッドの研磨面に前記リンス部により洗浄液を噴射すること、 前記噴射された洗浄液を、前記リンス部の側壁において前記研磨テーブルの径方向外側に開口する開口部から排出すること、 前記洗浄液が噴射された前記研磨面上の研磨液を前記吸引部により吸引すること、を含む、研磨方法が提供される。この形態によれば、第1形態と同様の作用効果を奏する。
【0107】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、実施形態および変形例の任意の組み合わせが可能であり、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0108】
10…研磨装置
20…研磨テーブル
30…トップリング
40…研磨液供給ノズル
50…研磨液除去部
52…堰き止め部
56…吸引部
57…スリット
58…流路
60、60A…温度調節部
62…気体噴射ノズル
62A…熱交換器
70…制御部
100…研磨パッド
102…研磨面
200…供給装置
201…保持空間
210、211、212…側壁
250…押圧機構
251…シリンダ装置
251a…シリンダ
252…押し付け姿勢調整機構
300…研磨液除去部
310…吸引部
320…洗浄部
SL…研磨液
Wk…基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図17
図18A
図18B
図18C
図19A
図19B
図19C
図20A
図20B
図20C
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34A
図34B
図34C
図35
図36
図37
図38
図39
図40