(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】ノイズ・フィルタ及びノイズ・フィルタの利用方法
(51)【国際特許分類】
H03H 7/01 20060101AFI20220607BHJP
G01R 13/20 20060101ALI20220607BHJP
H03H 11/04 20060101ALI20220607BHJP
H04B 3/06 20060101ALI20220607BHJP
【FI】
H03H7/01 E
G01R13/20 K
H03H11/04 P
H04B3/06 A
(21)【出願番号】P 2017209719
(22)【出願日】2017-10-30
【審査請求日】2020-10-16
(32)【優先日】2016-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョーン・ジェイ・ピカード
(72)【発明者】
【氏名】ピルーズ・ホジャブリ
【審査官】橋本 和志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-045546(JP,A)
【文献】特開2013-114242(JP,A)
【文献】特開平05-264598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 7/01
G01R 13/20
H03H 11/04
H04B 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログ信号を受ける入力ポートと、
該入力ポートに結合され、上記アナログ信号の高周波数成分を有する高周波数帯域と、上記アナログ信号の低周波数成分を有する低周波数帯域とを含む複数の周波数帯域に上記アナログ信号を分離するマルチプレクサと、
該マルチプレクサに結合され、上記
アナログ信号における
信号損失を緩和するように、上記高周波数帯域に比較して上記低周波数帯域を調整して減衰できる低帯域可変減衰回路と
を具えるノイズ・フィルタ。
【請求項2】
試験測定装置でサンプリングするために、複数の上記周波数帯域を単一の試験信号に再合成する合成部を更に具える請求項1のノイズ・フィルタ。
【請求項3】
コントローラを更に具え、
該コントローラが、上記アナログ信号に基づく上記試験信号の複数のサンプリング結果を受けて、上記試験信号から生成されるデジタル信号の信号対ノイズ比を向上させる上記低帯域可変減衰回路の減衰量の設定を選択する請求項2のノイズ・フィルタ。
【請求項4】
複数の上記周波数帯域が中周波数帯域を含み、
上記マルチプレクサに結合され、上記高周波数帯域に比較して上記中周波数帯域を調整して減衰できる中帯域可変減衰回路を更に具える請求項1から3のノイズ・フィルタ。
【請求項5】
ノイズ・フィルタの入力ポートでアナログ信号を受ける処理と、
上記ノイズ・フィルタのマルチプレクサで高周波数帯域及び低周波数帯域を含む複数の周波数帯域に上記アナログ信号を分離する処理と、
上記アナログ信号における信号損失を緩和するように、上記ノイズ・フィルタの低帯域可変減衰回路で上記高周波数帯域に比較して上記低周波数帯域を調整可能に減衰する処理と
を具えるノイズ・フィルタの利用方法。
【請求項6】
上記高周波数帯域に比較して上記低周波数帯域を調整可能に減衰する処理が、
上記低帯域可変減衰回路の複数の設定夫々における上記アナログ信号に基づ
く試験信号の複数のサンプリング結果を受ける処理と、
上記試験信号の信号対ノイズ比が最も高くなる上記低帯域可変減衰回路の設定を選択する処理と
を有する請求項5のノイズ・フィルタの利用方法。
【請求項7】
上記試験信号の信号対ノイズ比が最も高くなる上記低帯域可変減衰回路の設定を選択する処理が、上記試験信号の上記サンプリング結果に対して、上記ノイズ・フィルタと逆の特性を有する逆ノイズ・フィルタを適用した後に行われる請求項6のノイズ・フィルタの利用方法。
【請求項8】
上記アナログ信号に基づく上記試験信号の上記サンプリング結果を得るために、減衰を補正するように上記試験信号を増幅してから上記試験信号をサンプリングする処理を更に具える請求項6又は7ノイズ・フィルタの利用方法。
【請求項9】
ノイズ・フィルタ
が有するプロセッサ
において実行されると、上記ノイズ・フィルタに、
アナログ信号を受ける処理と、
高周波数帯域及び低周波数帯域を含む複数の周波数帯域に上記アナログ信号を分離する処理と、
上記
アナログ信号における
信号損失を緩和するように、上記高周波数帯域に比較して上記低周波数帯域を調整可能に減衰する処理と
を
実行させるコンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気信号の試験測定システムに関連するシステム及び方法に関し、特に、試験測定システムにおける周波数に応じた減衰を調整することで、ノイズを低減するノイズ・フィルタ及びその利用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
試験測定システムは、例えば、被測定デバイス(DUT)からの入力信号を受けて、この信号をサンプルし、その結果を波形として表示する。入力信号は、例えば、信号接続導体、通信リンク、入力ポートなどのようなリンクを介して受けるようにできる。リンクは、リンクの物理的特性に応じて、様々な量の信号損失が生じることがある。信号損失では、媒体を通る伝搬中に、信号の強度(例えば、振幅)が徐々に失われる。リンクを介して伝搬される任意のタイプの信号について信号損失が距離に対して一定である場合、信号の利得を上げて損失を抑えるのに、増幅回路を利用しても良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許公開第2004/0128076号明細書
【文献】米国特許第7474972号明細書
【非特許文献】
【0004】
【文献】「オシロスコープ」の紹介ページ、[online]、テクトロニクス社、[2017年10月27日検索]、インターネット<URL:http://jp.tek.com/oscilloscope>
【文献】「シリアル・データ・リンク解析(SDLA)」の紹介ページ、[online]、テクトロニクス社、[2017年7月19日検索]、インターネット<URL:http://jp.tek.com/application/serial-data-link-analysis-sdla-1>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、信号損失は、信号の周波数に応じても変化することがある。例えば、高周波数信号は、低周波数信号よりもかなり多くの信号損失を被る可能性がある。そのような場合、増幅回路は、高周波数の損失を部分的に補正できるが、高周波数の信号ノイズも増加させてしまう。
【0006】
本発明の実施形態は、これら及び他の課題を解決しようとするものである。
【0007】
本発明の実施形態の態様、特徴及び効果は、添付の図面を参照した実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の多様な態様によるノイズ・フィルタを含む例示的な試験測定システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の多様な態様による合成部を利用しないノイズ・フィルタを含む例示的な試験測定システムのブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の多様な態様による低周波数帯域、中周波数帯域及び高周波数帯域を利用するノイズ・フィルタを含む例示的な試験測定システムのブロック図である。
【
図4】
図4は、本発明の多様な態様による低周波数帯域、中周波数帯域及び高周波数帯域を利用するものの、合成部は利用しないノイズ・フィルタを含む例示的な試験測定システムのブロック図である。
【
図5】
図5は、本発明の多様な態様によるオシロスコープ内にノイズ・フィルタを含む例示的な試験測定システムのブロック図である。
【
図6】
図6は、本発明の多様な態様によるオシロスコープ内にノイズ・フィルタを含む例示的な試験測定システムのブロック図である。
【
図7】
図7は、本発明の多様な態様によるノイズ・フィルタを利用するための例示的な方法のフローチャートである。
【
図8】
図8は、本発明の多様な態様による例示的な2帯域(dual band)ノイズ・フィルタの周波数応答のグラフである。
【
図9】
図9は、本発明の多様な態様による例示的な3帯域(three band)ノイズ・フィルタの周波数応答のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
信号処理においては、信号に様々な種類の損失が生じる可能性がある。こうした損失の1つは、信号に生じる減衰であり、これは周波数損失応答の観点から説明できる。この周波数損失応答は、複数の極(ポール)とゼロ点を有する伝達関数によって定義できる。理想的には、信号処理のコンポーネントは、信号処理の影響をディエンベッドするための信号に対する周波数損失応答の逆応答を与えることができる。しかし、DUTは、潜在的には無数の減衰応答(例えば、リンク損失、特定の信号規格の帯域幅制限など)で構成されると考えられる場合も有り得る。
【0010】
本発明の実施例としては、ノイズ・フィルタを利用するよう構成された試験測定システムがあり、このノイズ・フィルタは、近似の周波数損失応答を、信号の1つ以上の周波数帯域に適用して、これら1つ以上の周波数帯域(例えば、低周波数帯域)を、他の周波数帯域(例えば、高周波数帯域)で生じた減衰と同様に、効果的に減衰する。本願で用いているように、周波数帯域に関する高い及び低いという用語は、周波数帯域間の相対的な差を意味する。別の言い方をすれば、信号の高周波数帯域は信号の高周波数成分を含み、低周波数帯域は信号の低周波数成分を含む。このノイズ・フィルタは、オシロスコープ内において実現しても良いし、オシロスコープと結合された独立型(stand-alone)ユニットとして、又は、同様の試験測定装置において実現しても良い。ノイズ・フィルタは、入力信号を複数の周波数帯域(例えば、高周波数、オプションの1つ以上の中周波数、低周波数など)に分離するマルチプレクサを含む。分離されたこれら帯域の信号は、個々の帯域を独立に処理する対応するチャンネルへ夫々送られる。これらチャンネルを構成する種々のコンポーネントの1つとしては、減衰回路がある。減衰回路は、他の帯域で生じた減衰とマッチングさせることを基本として、チャンネル毎にその帯域の信号を減衰させるよう構成される。例えば、もし高周波数帯域が、例えば、DUTリンクが原因で減衰が生じたのであれば、低周波数帯域のチャンネルには、高周波数帯域で生じた減衰とマッチングする減衰を低周波数に生じさせる減衰回路を設けるようにしても良い。これによって、入力信号の全周波数レンジについて、同じように減衰させることが可能になる。本発明は、信号処理のために減衰が生じるどのような信号帯域についても、同じように適用できるものであるが、本願の説明では、簡単のために、高周波数帯域で減衰が生じるという場合を典型的な場合として、順序立てて説明していく。これに沿って、減衰回路は、高周波数帯域に比較した低周波数帯域のスケール調整を行うことで、高周波数帯域に含まれる信号の成分で生じる信号損失の影響を緩和できる。減衰回路が提供する減衰の量の制御には、コントローラを関連させることもできる。可変の減衰回路で生じる遅延を考慮できるようにするために、高周波数チャンネルに遅延回路を配置しても良い。遅延回路は、可変減衰器によって引き起こされる遅延をマッチングさせて、信号間のスキューを緩和する(例えば、異なる信号パス間の信号の速度差によって引き起こされる信号間のミスマッチを緩和する)。遅延回路は、遅延量が固定でも良いし、コントローラによって制御されて、高周波数帯域と減衰された帯域とを時間的にマッチングさせてもよい。これら周波数帯域の信号は、複数のチャンネルの個々の帯域として試験のためにオシロスコープに転送されてもよい。
【0011】
別の態様では、オシロスコープに転送される前に、結合回路によって、これら周波数帯域が再結合されてもよい。システムは、DUT/DUTリンクの周波数応答の粗近似を提供する。更に、システムは、受動的であり、減衰による補償のために、増幅中にノイズを付加する増幅回路は利用しない。このとき、システムは調整可能であり、信号減衰の補償を補助することによって、能動型の減衰補償と比較して、信号に加えられるノイズを低減できる。対応する帯域に利用される減衰は、S(Scattering)パラメータに基づいて決定されても良い。また、利用される減衰は、減衰回路の可能な設定の夫々において各帯域を個別に取得し、オシロスコープにおいて最高の信号対ノイズ比(SNR)が得られる設定を選択することによって決定しても良い。
【0012】
図1は、本発明の多様な態様によるノイズ・フィルタ120を含む例示的な試験測定システム100のブロック図である。システム100には、ノイズ・フィルタ120に結合されたDUT110があり、ノイズ・フィルタ120は、試験を行い、結果をユーザに表示するオシロスコープに信号を出力する。ノイズ・フィルタ120は、例えば受動型連続時間線形イコライザ(continuous time linear equalizer:CTLE)フィルタであっても良い。
【0013】
DUT110は、電気信号の形式で信号を伝送可能に構成された任意の信号源で良い。例えば、DUT110は、導電性媒体を通じて信号を送信するよう構成されるトランスミッタであっても良い。場合によっては、DUT110は、対応するレシーバ(図示せず)へ信号を送信するよう設計された装置であっても良い。DUT110は、いくつかの目的のために、ノイズ・フィルタ120を介してオシロスコープに結合されても良い。こうした目的としては、例えば、DUT110が、間違った信号の送信に関係していると思われる場合のように試験を目的としたり、新しく設計されたDUT110のシグナリング精度の検証を目的とする、などがある。DUT110は、DUTリンク113を介してノイズ・フィルタ120に接続される。DUTリンク113としては、DUT110からノイズ・フィルタ120に信号を伝送できる任意の導電性媒体などがある。例えば、DUTリンク113としては、導電性ワイヤ、信号プローブ、介在試験装置などを使用できる。多くの場合、DUTリンク113は、入力信号161が減衰する原因の1つとなり得る。
【0014】
減衰は、信号が媒体を通過する過程において、信号の振幅が徐々に失なわれるものであると考えられる。加えて、減衰は、信号の周波数レンジ全体に渡って均一ではない。こうしたことから、減衰は、あるレンジの周波数に対して、他の周波数レンジよりも、大きな影響があるということが有り得る。このように、減衰には、種々の周波数に応じた特有の特性があると考えられる。例えば、信号の高周波数成分(例えば、100MHzを超える周波数)は、信号の低周波数成分(例えば、100MHzより低い周波数)よりも、大きな減衰を被るということがある。入力信号161は、DUT110からの任意の電気的な試験信号であるとしても良い。入力信号161は、例えば、アナログ信号であっても良い。
【0015】
ノイズ・フィルタ120は、減衰を受けなかった信号成分を減衰することによって、こうした減衰を考慮するように構成できる。ノイズ・フィルタ120には、入力ポート121がある。入力ポート121は、入力信号を受けるよう構成される任意の電気的なコンポーネントで良く、例えば、信号プローブを受けるプラグやコネクタであっても良い。入力ポート121は、続いて、入力信号161をマルチプレクサ122へと伝送する。本願においては、マルチプレクサとは、信号を1つ以上の周波数帯域に分離できる複数帯域スプリッタのことである。
【0016】
上述のように、マルチプレクサ122は、入力ポート121に結合される。マルチプレクサ122は、周波数領域での多重化(multiplexing)を実現する受動型デバイスである。マルチプレクサ122は、入力信号161のような周波数レンジの広い1つの信号を、異なる周波数レンジ(帯域)を有する2つ以上の信号に変換できる。いくつかの例では、これら周波数レンジは、互いに排他的としても良い。なお、1つの信号を2つの周波数帯域に変換するマルチプレクサ122は、ディプレクサ(diplexer)と呼ばれることもあり、1つの信号を3つの周波数帯域信号に変換するマルチプレクサ122は、トリプレクサ(triplexer)と呼ばれることもある。例えば、マルチプレクサ122は、入力信号を、高周波数帯域及び低周波数帯域を含む複数の周波数帯域に分離するよう構成される。これら高周波数帯域及び低周波数帯域は、高周波数チャンネル131及び低周波数チャンネル132に沿って夫々送られる。この高周波数の信号帯域としては、低周波数の信号帯域とは、周波数の範囲が異なるものを利用している。マルチプレクサ122のクロスオーバ周波数は、可変として構成されても良いし、固定で実施されても良い。クロスオーバ周波数より上の周波数を有する信号帯域は、高周波数チャンネル131に送られ、クロスオーバ周波数より下の周波数を有する信号帯域は、低周波数チャンネル132に送られる。よって、高周波数帯域は、マルチプレクサ122のクロスオーバ周波数よりも上の周波数を有する波形を含む入力信号161の帯域であり、また、低周波数帯域は、マルチプレクサ122のクロスオーバ周波数よりも下の周波数を有する波形を含む入力信号161の帯域である。マルチプレクサ122は、集中定数素子、伝送ライン・スタブ、可変クロスオーバを有するイットリウム鉄ガーネット(YIG)、進行波フィルタ、又は他の回路などの様々な回路から実現できる。クロスオーバは、単に、例えば、公称値で約-6デジベル(dB)に設定しても良い。マグニチュード・レベルは、各帯域における周波数の関数としては、公称値で約0dBでフラットであっても良く、帯域の端部では、クロスオーバ周波数において、約-6dBへと減少しても良い。
【0017】
低周波数チャンネル132には、可変減衰回路125がある。低周波数チャンネル132中の可変減衰回路125は、後述する中帯域の可変減衰回路と区別するために、低帯域可変減衰回路と呼んでも良い。可変減衰回路125は、例えば、コントローラ127からの制御信号に基づいて、信号を制御可能に減衰させるよう構成される任意のコンポーネントである。低帯域可変減衰回路125は、マルチプレクサ122に結合され、(例えば、高周波数チャンネル131中の)高周波数帯域に比較して、(例えば、低周波数チャンネル132中の)低周波数帯域を調整して減衰でき(調整可能に減衰し)、DUTリンク113に関連する入力信号161の周波数で異なる減衰のアンバランスを緩和する。言い換えると、可変減衰回路125は、低周波数帯域の強度を低下させることで、DUTリンク113によって生じた高周波数帯域の強度の損失とマッチングさせる。
【0018】
高周波数チャンネル131は、高周波数帯域を伝導させる。ノイズ・フィルタ120は、DUTリンク113のコンポーネントによって生じた高周波数帯域の減衰とマッチングするように、低周波数帯域を減衰させるよう設計される。このように、高周波数帯域は、更なる減衰をさせなくても良い。こうしたことから、高周波数チャンネル131には、可変減衰回路がなくても良い。ただし、これは、特定の用途で必要な場合など、高周波数チャンネル131に減衰回路を設けるのを妨げるものではないことに注意すべきである。しかし、低帯域可変減衰回路125は、低周波数帯域にいくらかの信号遅延を生じさせる可能性がある。そこで、遅延回路123を高周波数チャンネル131に設けても良い。遅延回路123は、高周波数帯域と低周波数帯域を単一の試験信号に再合成する前に、高周波数帯域を低周波数帯域に時間的に整合(align)させるよう構成しても良い。言い換えると、遅延回路123は、可変減衰回路125の遅延をマッチングして、信号スキューを防止する(例えば、多重化された複数の帯域の互いに対応する部分が、合成部128に同時に到着する)。この遅延量は、固定でも良いし、また、遅延量を可変として、デジタル・シングナル・プロセッサ(DSP)による遅延補正(例えば、オシロスコープにおける遅延補正)の前に、可能な限り時間的にマッチングする値に校正できるようにしても良い。例えば、遅延回路は、高周波数帯域の群遅延が、低周波数帯域(場合によっては、例えば、任意の個数の中周波数帯域がある場合も)の遅延と等しくなるように、特定の長さのケーブルやストリップ・ラインを有していても良い。ただし、周波数帯域の群遅延を正確にマッチングさせることは、必ずしも必要ないことに注意されたい。例えば、システムのSパラメータを利用して補正フィルタを算出し、信号が再合成された後に、例えば、合成部128やオシロスコープにおいて、全ての帯域の周波数の位相及びマグニチュードの両方を補正しても良い。
【0019】
上述のように、ノイズ・フィルタ120には、低周波数チャンネル132及び高周波数チャンネル131に結合された合成部128があっても良い。合成部128は、複数の信号を一緒に合成し、オリジナルの入力信号161に対応する信号(ただし、高周波数に比較して低周波数が減衰されている信号)を生成する回路を有する任意の装置である。具体的には、合成部128は、複数の周波数帯域を単一の試験信号に再合成して、オシロスコープのような試験測定装置でサンプリングできるように構成される。合成部128は、高周波数帯域とマッチングするように減衰された低周波数帯を受ける。また、合成部128は、DUTリンク113によって減衰され、低周波数帯と時間的にマッチングするように遅延された高周波数帯域を受ける。これら帯域を合成することにより、入力信号161に基づく試験信号162が生成される。試験信号162は、入力信号161とほぼ同様であるが、DUTリンク113によって生じた減衰は、基本的に各帯域に分布した形となっている。次に、試験信号162をサンプリングするため、オシロスコープで必要に応じて(例えば、ノイズ・フィルタ120とDUTリンク113による減衰を補正するように)増幅される。ノイズ・フィルタ120には、出力ポート129もあり、これは、例えば、オシロスコープのような試験測定装置と結合できるように構成される。いくつの例では、可変減衰回路が、ノイズ・フィルタと試験測定装置との間のリンクも考慮するよう構成されていても良い。試験信号162は、オシロスコープや他の試験測定システムによって、サンプリング、アクイジション(波形取り込み)、ユーザへの表示等を行うために、出力ポート129を通じて送信される。
【0020】
ノイズ・フィルタ120は、コントローラ127も含んでいて良い。コントローラ127は、マルチプレクサ122、遅延回路123及び低帯域可変減衰回路125に結合されていても良い。コントロローラ127の通信ラインは、破線で描かれたものが制御コマンドの流れを示し、実線で描かれたものが、信号データの流れを示すために用いられている。コントローラは、ノイズ・フィルタ120内のコンポーネントを制御するように構成された任意のデバイスで良い。コントローラ127は、1つ以上のプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、DSPなどであっても良い。コントローラ127は、メモリ126のようなメモリからの命令を実行するように構成され、以下で詳細に説明するような方法700のような、本願で説明する任意の方法を実施できるよう構成される。コントローラ127は、外部コントローラ(例えば、オシロスコープ内のコントローラ)からコマンド(命令)を受けても良い。コントローラ127はまた、ユーザ・インタフェースを介してユーザからコマンドを受けることもできる。コントローラ127は、対応するコマンドを送信することによってノイズ・フィルタ120内のコンポーネントを制御し、本願で説明するようなノイズ・フィルタ120の機能を実現する。例えば、コントローラ127は、入力信号161の特性に基づいて、低帯域可変減衰回路125の設定を選択しても良い(例えば、オシロスコープによって入力信号の特性を求め、外部のコントローラによって命令される)。具体的な例としては、コントローラ127は、試験信号162のサンプリングに応じて(例えば、試験信号162をオシロスコープで受けて測定した結果に応じて)、低帯域可変減衰回路125の減衰を選択しても良い。このようなサンプリングは、低帯域可変減衰回路125の複数の設定で行っても良い。減衰量は、試験信号162に対して最も高い信号対ノイズ比となる低帯域可変減衰回路125の設定のときのものを選択しても良い。他の例では、信号対ノイズ比を改善する種々の制御システムの手法を利用しても良い。例えば、信号対ノイズ比が減少し始めるまで、減衰設定やクロスオーバ設定を調整し、続いて、以前の最も高い信号対ノイズ比を実現した設定に戻すように調整しても良い。
【0021】
いくつかの例では、コントローラ127は、チャンネル中のスイッチ136及び137を制御して、高周波数帯域のみを通過できるようにしたり、低周波数帯域のみを通過できるようにしても良い。コントローラ127は、高周波数帯域のみを通過させて、サンプリングできるようにしても良い。次いで、コントローラ127は、低周波数帯域のみを通過させて、低帯域可変減衰回路125の複数の設定を繰り返し適用するようにしても良い。これら複数の設定に関して、オシロスコープは、最も高い信号対ノイズ比が生じる減衰回路125の設定を示すようにしても良い。次いで、コントローラ127は、この示された減衰回路の設定を選択しても良い。また、コントローラ127は、高周波数帯域と低周波帯域との間のクロスオーバ周波数を選択するようにマルチプレクサ122を制御しても良い。更に、コントローラ127は、遅延回路123を制御して遅延を調整し、これによって、異なるチャンネル(異なる周波数帯域)間の信号スキューを除去するよう制御しても良い。また、コントローラ127は、Sパラメータ・セットを外部システムからメモリ126に転送するためのコマンドを利用しても良い。更に、コントローラ127は、現在の減衰回路の設定に関するSパラメータを、メモリ126からオシロスコープ中の外部コントローラに戻すためのコマンドを利用しても良い。
【0022】
いくつかの実施形態では、ノイズ・フィルタ120は、シリアル・データ・リンク解析(SDLA)を利用するように構成されても良い(非特許文献2参照)。SDLAは、被試験デバイスから得られた信号のより正確な表現を提供するために、試験測定装置に関連するコンポーネントの影響を試験信号162からディエンベッド(除去)する。対応するコンポーネントをディエンベッドするため、SDLAは、Sパラメータを利用して、試験信号162に対して行うべき信号修正を求める。ノイズ・フィルタ120は、Sパラメータを記憶するメモリ126を備えていてもよい。メモリ126は、コントローラ126に対する命令を記憶するための非一時的な記憶媒体としても機能できる。いくつかの例では、コントローラ127は、Sパラメータに基づいて、低帯域可変減衰回路125の減衰を選択できる。いくつかの例では、メモリ126は、入力ポート121及び出力ポート129に関するSパラメータを記憶する不揮発性メモリであってもよい。更に、減衰回路125の有り得る設定の組み合わせの夫々について、複数のSパラメータからなるセット(グループ)を利用できるようにしても良い。外部システムは、製造過程において、減衰回路125の設定ごとにSパラメータを測定し、そのSパラメータを不揮発性メモリに記憶しても良い。使用時には、外部コントローラ(例えば、オシロスコープ中のコントローラ)は、コントローラ127を介して減衰回路125を所望の又は要求された設定に設定できる。次いで、外部コントローラは、対応する設定のためにメモリ126からSパラメータを読み出すことができる。メモリ126は、モデル番号及びシリアル番号のような他の情報を有していても良い。更に、温度に関連するスケール係数のような他の校正データも、メモリ126に記憶しておいても良い。
【0023】
なお、2つの帯域を使用する場合は、低域に可変減衰回路125を利用し、3つ以上の帯域を使用する場合には、低域と中域などに可変減衰回路を利用できることに留意されたい。特定の用途に望ましい場合を除いて、高域には減衰回路を配置しなくても良い。高域に減衰回路が必要な場合では、ノイズ・フィルタ120が、高周波数帯域131において、マルチプレクサ122に結合された高帯域可変減衰回路を更に(又は、遅延回路123に代えて)有し、高周波数帯域を調整可能に減衰するようにしても良い。
【0024】
更に、本発明の別の構成では、手動で調整される減衰回路を利用することで、コントローラ127を省略してもよい。このような場合、減衰回路の各設定に関連するSパラメータはユーザによって管理される。場合によっては、減衰回路は、固定ステップ、例えば、1dBのステップを採用しても良い。この手法は、ノイズ低減システムで使用されるときに、信号対ノイズ比を最適化するという目標を達成しながら、管理可能な個数のSパラメータ・データ・セットを提供する。
【0025】
上述のように、ノイズ・フィルタ120は、周波数帯域を分離し、可変減衰回路125を使用して、低周波数帯域のレベルを、高周波数帯域のレベルに対して制御する機構を実現する。ノイズ・フィルタ120は、いくつかの実施形態では、低周波数に対して、高周波数をブーストすることによって、減衰による任意の損失を近似させるようにしても良い。これは、オシロスコープによって試験信号162を取得した後、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)において逆ノイズ・フィルタを適用するシステムと組み合わせて使用しても良い。ノイズ・フィルタ120は、DUT110からのオリジナルの入力信号161に含まれる信号ノイズに影響を与えることなく、オシロスコープのチャンネルによって付加されるノイズを低減する。これは、少なくとも部分的には、信号の全周波数に渡る均一な又はほぼ均一な減衰を実現することによって、達成される。
【0026】
図2は、オシロスコープ230に結合されたノイズ・フィルタ220を含む例示的な試験測定システム200のブロック図である。このとき、ノイズ・フィルタ220は、合成部を利用しない。ノイズ・フィルタ220は、ノイズ・フィルタ120とほぼ同様である。ノイズ・フィルタ220には、DUTからの入力信号261を受ける入力ポート221と、マルチプレクサ222と、遅延回路223と、可変減衰回路225と、コントローラ227と、メモリ226とがあり、これらは、入力信号161、入力ポート121、マルチプレクサ122、遅延回路123、可変減衰回路125、コントローラ127、メモリ126と、夫々ほぼ同様である。ノイズ・フィルタ120と異なり、ノイズ・フィルタ220には合成部がない。こうして、高周波数帯域及び低周波数帯域の両方は、別々の信号として伝送される。ノイズ・フィルタ220には、更に、複数の周波数帯域をオシロスコープ230へ出力する複数の出力ポート229がある。出力ポート229は、出力ポート129とほぼ同様であるが、出力ポート229は、合成された単一の試験信号のための単一のポートではなくて、複数ある周波数帯域の夫々のために利用される。こうして、オシロスコープ230は、高周波数帯域及び低周波数帯域の両方と、もしある場合には、これら帯域の中間にある帯域とを別々のチャンネルで受けて、オシロスコープで帯域毎に別々に処理する。
【0027】
オシロスコープ230は、1つ以上の試験信号をサンプリングし、試験や分析の目的で、試験信号に対応する波形やサンプルデータをユーザに表示するように構成された試験測定装置である。オシロスコープ230は、増幅回路、クロック・リカバリ回路、アナログ・デジタル(A/D)コンバータその他の調整回路、メモリ、プロセッサ/コントローラ、ユーザ操作装置、表示装置、データを通信するためのポート等を含んでいても良い。例えば、オシロスコープ230は、高周波数帯域及び低周波数帯域を受けて、これら帯域をそれぞれ波形に変換し、各帯域を表す波形をエンド・ユーザに表示しても良い。オシロスコープ230は、システム100で利用された場合を考えると、合成された試験信号162に対する機能と同様の機能を実行すると考えても良い。図示のように、オシロスコープ230は、例えば、オシロスコープ230内の外部コントローラを使用して、コントローラ227にコマンドを送るというように、コントローラ227にコマンドを送信して、ノイズ・フィルタ220のハードウェアを必要に応じて制御できる。
【0028】
図3は、低周波数帯域、中周波数帯域及び高周波数帯域を利用するノイズ・フィルタ320を有する例示的な試験測定システム300のブロック図である。ノイズ・フィルタ320は、ノイズ・フィルタ120とほぼ同様である。ノイズ・フィルタ320には、DUTからの入力信号361を受ける入力ポート321、マルチプレクサ322、高周波数チャンネル331中の遅延回路323、低周波数チャンネル中の低帯域可変減衰回路325、合成部328、出力ポート329、コントローラ327、メモリ326があり、これらは、入力信号161、入力ポート121、マルチプレクサ122、高周波数チャンネル131、遅延回路123、低周波数チャンネル132、可変減衰回路125、合成部128、出力ポート129、コントローラ127及びメモリ126と夫々ほぼ同様としても良い。
【0029】
ノイズ・フィルタ320には、中周波数チャンネル333中に配置された中帯域可変減衰回路324もあり、これらは、低周波数チャンネル332及び低帯域可変減衰回路325と夫々ほぼ同様としても良い。マルチプレクサ322は、可変クロスオーバ周波数が2つあるように構成される。第1クロスオーバ周波数より下の周波数帯域は、低周波数チャンネル332及び低帯域可変減衰回路325へ送られる。第1クロスオーバ周波数及び第2クロスオーバ周波数の間の周波数帯域は、中周波数チャンネル333及び中帯域可変減衰回路324へ送られる。第2クロスオーバ周波数より上の周波数帯域は、高周波数チャンネル331及び遅延回路323へ送られる。このように、ノイズ・フィルタ320は、低周波数帯域、中周波数帯域及び高周波数帯域を含む複数の周波数帯域を利用する。中帯域可変減衰回路324は、マルチプレクサ322に結合され、入力信号361中の特定周波数の信号損失を緩和するために、高周波数帯域に比較して相対的に中周波数帯域を調整して減衰(減衰量は、調整可能)するよう構成される。更に、コントローラ327が、中帯域可変減衰回路324に結合される。また、コントローラ327は、入力信号361の特性に基づいて、中帯域可変減衰回路324の減衰量を選択できても良い。こうした選択は、低帯域可変減衰回路325に関する減衰量の選択と同様なやり方で実現できる(例えば、
図1の可変減衰回路125に関して説明したように)。
【0030】
3つの周波数帯域を利用することで、ハードウェアの構成が比較的複雑になるという代償はあるものの、DUT/DUTリンクの周波数応答を、より正確に近似できる。なお、当然ながら、更なる追加の周波数チャンネルを加えても良く、この場合、マルチプレクサ322における追加のクロスオーバ周波数、追加の可変減衰回路、合成部328との追加のスイッチ及び追加の接続も設けることに注意されたい。また、いくつの例では、中帯域可変減衰回路324に加えて、又は、中帯域可変減衰回路324の代わりに、遅延回路を中周波数帯域に設けることがあることにも留意されたい。所望の構成に応じて、追加で同様に構成された中周波数帯域を更に設けることもできる。
【0031】
図4は、合成部を用いることなく、低周波数チャンネル432、中周波数チャンネル433及び高周波数チャンネル431を利用するノイズ・フィルタ420を有する例示的な試験測定システム400のブロック図である。ノイズ・フィルタ420は、ノイズ・フィルタ320とほぼ同様としても良い。ノイズ・フィルタ420には、DUTからの入力信号461を受ける入力ポート421と、マルチプレクサ422と、高周波数チャンネル431中の遅延回路423と、中周波数チャンネル433中の中帯域可変減衰回路424と、低周波数チャンネル432中の低帯域可変減衰回路425と、コントローラ427と、メモリ426とがあり、これらは、入力信号361、入力ポート321、マルチプレクサ322、高周波数チャンネル331、遅延回路323、中周波数チャンネル333、中帯域可変減衰回路324、低周波数チャンネル332、低帯域可変減衰回路325、コントローラ327及びメモリ326と夫々ほぼ同様としても良い。ノイズ・フィルタ220と同様に、ノイズ・フィルタ420には、合成部がない。よって、周波数チャンネル431、432及び433は、複数の出力ポート429に夫々直接結合され、これは、ノイズ・フィルタ220の出力ポート229とほぼ同様である。こうして、ノイズ・フィルタ420は、出力ポート429を介して、3つの周波数帯域の信号を、処理、アクイジション(波形取り込み)や表示のために、オシロスコープに直接出力する。ノイズ・フィルタ320と同様に、ノイズ・フィルタ420は、必要に応じて、追加の周波数チャンネルを加えることができ、この場合、追加の可変減衰回路が加えられ、また、マルチプレクサ422に追加のクロスオーバ周波数が加えられる。
【0032】
いくつかの例では、コントローラ427は、チャンネル中のスイッチ436、437及び438を制御して、高周波数帯域のみ、中周波数帯域のみ又は低周波数帯域のみを通過できるようにしても良いし、これら帯域のいくつかを組み合わせて通過できるようにしても良い。
【0033】
図5は、オシロスコープ530で実現されるノイズ・フィルタを含む例示的な試験測定システム500のブロック図である。システム500は、ノイズ・フィルタ120とほぼ同様であるが、オシロスコープ230内に取り込まれた形で実現される。オシロスコープ530には、DUTからの入力信号561を受ける入力ポート521と、マルチプレクサ522と、遅延回路523と、可変減衰回路525と、合成部528と、コントローラ527と、メモリ526とがあり、これらは、入力ポート121、マルチプレクサ122、遅延回路123、可変減衰回路125、合成部128、コントローラ127及びメモリ126と夫々ほぼ同様としても良い。
【0034】
図示のように、オシロスコープ530には、オプションのバイパス・チャンネル535もある。バイパス・チャンネル535は、コントローラ527で制御可能であり、入力信号561が、ユーザの入力や他の制御入力に基づいて、必要に応じて、ノイズ・フィルタ回路をバイパスするのを可能にする。バイパス・チャンネル535は、ノイズ・フィルタ回路を使ってもあまりメリットがない場合、例えば、入力信号561が損失のない(ロスレス)チャンネルから来る場合などにおいては、有益なものとなる。例えば、ロスレス信号にノイズ・フィルタを適用しても、過剰な減衰が生じるという結果となり、これは、希望したように信号対ノイズ比を向上させるというよりは、むしろ、最終的な信号対ノイズ比を低下させる可能性がある。ノイズ・フィルタが提供する効果は、入力信号561の信号スペアナ形状に依存することがある。このように、ノイズ・フィルタ回路は、効果がない場合には、バイパスしても良く、効果がある場合には、第1スイッチ550及び第2スイッチ552を切り換えてノイズ・フィルタ回路を通過するようにしても良い。
【0035】
オシロスコープ530には、アナログ・デジタル(A/D)コンバータ541と波形メモリ543もある。A/Dコンバータ531は、合成された試験信号用の信号経路に沿って配置され、合成部からの試験信号をアナログ信号から、アナログ信号のデジタル的な表現であるデジタル信号へと変換する。例えば、A/Dコンバータは、離散的な時点でアナログ信号をサンプルするサンプラを含んでいても良い。これらサンプルは、次いで、波形メモリ543に記憶される。波形メモリ543からのサンプルは、次に、表示装置(図示せず)上で、入力信号561に対応する波形を描写するのに利用できる。このように、A/Dコンバータ541は、アナログ領域のアナログ信号を、波形メモリ543に記憶するために、デジタル領域のデジタル信号に変換する。なお、オシロスコープ530は、簡単のために詳しくは説明しないが、当業者には明らかなように、ディエンベッド処理、信号調整、ユーザ操作装置などの更なるコンポーネントを有していても良いことに留意されたい。また、合成部528の出力信号を外して、所望の各周波数帯域を個別にサンプリングできるように、追加のバイパス回路を設けても良いことにも留意されたい。
【0036】
図6は、オシロスコープ630で実現され、低周波数チャンネル632、中周波数チャンネル633及び高周波数チャンネル631を利用するノイズ・フィルタを有する例示的な試験測定システム600のブロック図である。システム600は、ノイズ・フィルタ320とほぼ同様であるが、オシロスコープ230内に取り込まれた形で実現される。オシロスコープ630には、DUTからの入力信号661を受ける入力ポート621と、マルチプレクサ622と、高周波数チャンネル631中の遅延回路623と、中周波数チャンネル633中の中帯域可変減衰回路624と、低周波数チャンネル632中の低帯域可変減衰回路625と、合成部628と、コントローラ627と、メモリ626とがあり、これらは、入力信号361、入力ポート321、マルチプレクサ322、高周波数チャンネル331、遅延回路323、中周波数チャンネル333、中帯域可変減衰回路324、低周波数チャンネル332、低帯域可変減衰回路325、合成部328、コントローラ327及びメモリ326と夫々ほぼ同様としても良い。オシロスコープ630には、A/Dコンバータ641及び波形メモリ643もあり、これらは、A/Dコンバータ541及び波形メモリ543と夫々ほぼ同様としても良い。このようにして、オシロスコープ630は、入力信号661を3つの帯域に分離し、低及び中周波数帯域を減衰し、特定周波数の減衰を緩和して、これら帯域の信号を1つの試験信号に合成し、試験信号をA/Dコンバータ641でサンプルし、これらサンプルを波形メモリ643に記憶する。次いで、波形メモリ643からのサンプルは、表示装置上で入力信号661に対応する波形を描写するのに利用できる。ノイズ・フィルタ320及び420に関して上述のように、オシロスコープ630には、必要に応じて、追加の周波数チャンネルを設け、これに応じて、追加の可変減衰回路を加えて、マルチプレクサ622中に追加のクロスオーバ周波数を追加しても良い。なお、オシロスコープ630は、簡単のために詳しくは説明しないが、当業者には明らかなように、ディエンベッド処理、信号調整、ユーザ操作装置などの更なるコンポーネントを有していても良いことに留意されたい。また、合成部628の出力信号を外して、所望の各周波数帯域を個別にサンプリングできるように、追加のバイパス回路を設けても良いことにも留意され
たい。
【0037】
図7は、特定周波数の信号損失を緩和するためにノイズ・フィルタを利用する例示的な方法700のフローチャートである。方法700は、例えば、ノイズ・フィルタ120、220、320、420、外部オシロスコープ、オシロスコープ530、オシロスコープ630、又は、これらの組み合わせにおいて実施されても良い。また、方法700は、メモリに記憶され、ノイズ・フィルタやオシロスコープ中のコントローラによって実行される命令又はプログラムとして実現されても良い。
【0038】
工程701では、ノイズ・フィルタの入力ポートや、オシロスコープ中に内蔵されたノイズ・フィルタの入力ポートで入力信号を受ける。工程703では、入力信号は、例えば、マルチプレクサを用いて、複数の周波数帯域へと分離される。実施例に応じて、これら複数の周波数帯域としては、高周波数帯域と低周波数帯域に加えて、1つ以上の中周波数帯域を含むことがある。
【0039】
オプションの工程705では、低帯域可変減衰回路の複数の設定毎に試験信号のサンプリングを行い、各サンプリング処理の結果を試験測定装置に送るようにしても良い。また、同様に、中帯域可変減衰回路の複数の設定毎に試験信号のサンプリングを行い、各サンプリング処理の結果を試験測定装置に送るようにしても良い。言い換えると、高周波数帯域のサンプルについては、そのまま試験測定装置に伝送する。中周波数帯域のサンプルは、有り得る中帯域可変減衰回路の設定毎に試験測定装置に伝送する。低周波数帯域のサンプルは、有り得る低帯域可変減衰回路の設定毎に試験測定装置に伝送する。
【0040】
オプションの工程707では、試験信号について、最も高い信号対ノイズ比を生じる低帯域可変減衰回路の設定と、中帯域可変減衰回路の設定を選択するようにする。なお、オプションの工程705及び707は、いくつの実施例では、Sパラメータやユーザの直接の制御に基づいて低帯域可変減衰回路の設定を選択する処理で代替できることに留意されたい。
【0041】
工程709では、入力信号の特定周波数信号損失を緩和するように、高周波数帯域に比較して、相対的に低周波数帯域や中周波数帯域が調整可能な形で減衰される。例えば、この減衰は、低周波数チャンネルにおける低帯域可変減衰回路や、中周波数チャンネルにおける中帯域可変減衰回路によって夫々実現できる。
【0042】
工程711では、低帯域可変減衰回路や中帯域可変減衰回路の遅延に基づいて、高周波数帯域を遅延させ、これら複数の周波数帯域を時間的に整合させる(例えば、スキューを補正する)。
【0043】
図8は、例えば、ノイズ・フィルタ120、220やオシロスコープ530によって提供される2帯域ノイズ・フィルタの例示的な周波数応答のグラフ800である。グラフ800は、ギガ・ヘルツ(GHz)を単位とする水平軸で周波数を表し、デシベル(dB)を単位とする垂直軸で信号のマグニチュードを表す。グラフ800は、DUTからの入力信号810を描写している。この例では、入力信号810は、50ギガ・ビット毎秒(Gb/s)の4値パルス振幅変調(PAM4)信号である。グラフ800は、高周波数チャンネル及び低周波数チャンネルに夫々対応する高帯域801の周波数応答と、低帯域802の周波数応答も描写している。更に、グラフ800は、例示的なクロスオーバ周波数811も描いている。図示のように、低帯域802の周波数応答は、クロスオーバ周波数811より下の周波数を有する入力信号810の成分は、低帯域チャンネルを通って減衰回路へ変更なしに到達できるようにする一方で、クロスオーバ周波数811より上の周波数を有する信号成分については減衰する。また、高帯域801の周波数応答は、クロスオーバ周波数811より上の周波数を有する入力信号810の成分は、高帯域チャンネルを変更なしに通過できるようにする一方で、クロスオーバ周波数811より下の周波数を有する信号成分については大幅に減衰する。
【0044】
更に、高帯域801の周波数応答は、高周波数においてフラットである一方で、低帯域802の周波数応答は、低周波数においてフラットであることにも注意されたい。帯域幅におけるこれらフラットの帯域は、帯域に渡って応答が傾斜しているのと比較して、より大きな量のノイズ低減を与えるものとなる。オシロスコープのデジタイザ(ADC等)の出力の後に逆ノイズ・フィルタ(適用したノイズ・フィルタと逆特性のフィルタ)を利用した場合、ノイズ・フィルタの周波数応答をディエンベッドしたときに、オシロスコープで加えられる全ノイズが、より大きな総量で減少される。
【0045】
図9は、例えば、ノイズ・フィルタ320、420やオシロスコープ630で提供されるような例示的な3帯域ノイズ・フィルタの周波数応答のグラフ900である。グラフ900は、ギガ・ヘルツ(GHz)を単位とする水平軸で周波数を表し、デシベル(dB)を単位とする垂直軸で信号のマグニチュードを表す。グラフ900は、DUTからの入力信号910を描写している。この例では、入力信号910は、疑似ランダム・バイナリ・シーケンス(PRBS)信号である。また、グラフ900は、高帯域901の周波数応答、中帯域903の周波数応答及び低帯域902の周波数応答も描いており、これらは、高周波数チャンネル、中周波数チャンネル及び低周波数チャンネルに夫々対応する。グラフ800と同様に、各帯域は、対応するクロスオーバ周波数で区切られた範囲については、比較的フラットな周波数応答を維持しており、対応するクロスオーバ周波数で区切られた範囲の外については減衰する。こうしたフラットな周波数応答は、対応するオシロスコープにおいて、大幅なノイズ低減を提供する。
【0046】
本発明の実施例は、特別に作成されたハードウェア、ファームウェア、デジタル・シグナル・プロセッサ又はプログラムされた命令に従って動作するプロセッサを含む特別にプログラムされたコンピュータ上で動作できる。本願で使用される用語「コントローラ」又は「プロセッサ」は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ASIC及び専用ハードウェア・コントローラを含むことを意図している。本発明の1つ以上の態様は、1つ以上のコンピュータ(モニタリング・モジュールを含む)又はその他のデバイスによって実行される1つ以上のプログラム・モジュールなどのコンピュータ使用可能データ及びコンピュータ実行可能命令で具体化されてもよい。一般に、プログラム・モジュールには、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などが含まれる。特定のタスクを実行したり、コンピュータ又は他のデバイス内のプロセッサによって実行されたときに特定の抽象データ型を実現したりする。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光ディスク、リムーバブル記憶媒体、ソリッド・ステート・メモリ、RAMなどのコンピュータ可読媒体に記憶できる。当業者には理解されるように、プログラム・モジュールの機能性は、様々な例において所望されるように組み合わせることができる。更に、機能は、集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのようなファームウェア又はハードウェア同等物において全体的又は部分的に具体化できる。本開示の1つ以上の態様をより効果的に実施するために、特定のデータ構造を使用することができ、そのようなデータ構造は、本願に記載されたコンピュータ実行可能命令及びコンピュータ使用可能データの範囲内と考えられる。
【0047】
本願の態様は、様々な変形をしても、また、代替の形態でも動作する。説明の都合上、本願では、特定の態様を例として図示し説明してきた。しかし、本願に開示された実施例は、説明を明瞭にする目的で提示されており、明示的に限定されない限り、開示した全般的な概念の範囲を本願に記載の具体例に限定することを意図していない。このように、本願発明は、添付の図面及び特許請求の範囲に照らして、記載された態様のすべての改変、均等物及び代替物をカバーすることを意図している。
【0048】
実施形態、態様、実施例などへの明細書における言及は、記載された項目が特定の特徴、構造又は特性を有する可能性を示す。しかし、開示される各態様は、これら特定の特徴、構造又は特性を含んでいても良いし、必ずしも含んでいなくても良い。更に、このような語句は、特に明記しない限り、必ずしも同じ態様を指しているとは限らない。更に、特定の態様に関連して特定の特徴、構造又は特性が記載されている場合、そのような特徴、構造、又は特性は、そのような特徴が他の開示された態様と明示的に関連して説明されていてもいなくても、そうした他の開示された態様と関連して利用されても良い。
【0049】
開示した態様は、場合によっては、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組み合わせにおいて実現されてもよい。また、開示した態様は、1つ以上のコンピュータ可読媒体によって記憶されるか、又は、搬送される命令として実現されても良く、これら命令は、1つ以上のプロセッサによって読み取られ実行されても良い。そのような命令は、コンピュータ・プログラム・プロダクトと呼ぶことができる。本願で説明するコンピュータ可読媒体は、コンピューティング装置によってアクセス可能な任意の媒体を意味する。限定するものではないが、一例として、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含むことができる。
【0050】
コンピュータ記憶媒体とは、コンピュータが読み取り可能な情報を記憶するために使用できる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、一例としては、コンピュータ記憶媒体は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ又は他のメモリ技術、コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、デジタル・ヴァーサタイル・ディスク(DVD)又は他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置又は他の磁気記憶装置、及び任意の技術による任意の他の揮発性又は不揮発性メモリ、取り外し可能又は取り外し不能媒体がある。コンピュータ記憶媒体としては、信号そのもの及び信号の一時的な伝送形態は除外する。
【0051】
通信媒体は、コンピュータ可読情報の通信に使用できる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、通信媒体は、電気、光学、無線周波数(RF)、赤外線、音響又は他のタイプの信号の通信に適した同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、空気、又は他の任意の媒体を含むことができる。
【0052】
多様な実施例
本願に開示される発明の例示的な多様な実施例を以下に示す。本発明の実施形態としては、以下に記載される実施例の任意の1つ以上か、これらの任意の組み合わせが有り得る。
【0053】
実施例1としては、ノイズ・フィルタがあり、入力信号を受ける入力ポートと、該入力ポートに結合され、高周波数帯域及び低周波数帯域を含む複数の周波数帯域に上記入力信号を分離するマルチプレクサと、該マルチプレクサに結合され、上記高周波数帯域に比較して上記低周波数帯域を調整して減衰できる低帯域可変減衰回路とを具えている。
【0054】
実施例2としては、実施例1のノイズ・フィルタがあり、試験測定装置でサンプリングするために、複数の上記周波数帯域を単一の試験信号に再合成する合成部を更に具えている。
【0055】
実施例3としては、実施例1又は2のノイズ・フィルタがあり、上記低帯域可変減衰回路に結合されたコントローラを更に具え、該コントローラは、上記入力信号の特性に基づいて、上記低帯域可変減衰回路の減衰量を選択するよう構成される。
【0056】
実施例4としては、実施例1から3のノイズ・フィルタがあり、複数の上記周波数帯域が中周波数帯域を含み、このとき、上記ノイズ・フィルタが、上記マルチプレクサに結合され、上記高周波数帯域に比較して上記中周波数帯域を調整して減衰できる中帯域可変減衰回路を更に具えている。
【0057】
実施例5としては、実施例4のノイズ・フィルタがあり、上記コントローラは上記中帯域可変減衰回路に結合され、該コントローラは、上記入力信号の特性に基づいて、上記中帯域可変減衰回路の減衰量を選択するよう構成される。
【0058】
実施例6としては、実施例1から5のノイズ・フィルタがあり、このとき、上記コントローラは、上記低帯域可変減衰回路の複数の設定夫々における上記入力信号に基づく上記試験信号の複数のサンプリング結果を受けて、上記試験信号の信号対ノイズ比が最も高くなる上記低帯域可変減衰回路の設定で、上記低帯域可変減衰回路の減衰量を選択するよう構成される。
【0059】
実施例7としては、実施例1から6のノイズ・フィルタがあり、Sパラメータを記憶するメモリを更に具え、このとき、上記コントローラは、上記Sパラメータに基づいて、上記低帯域可変減衰回路の減衰量を選択する。
【0060】
実施例8としては、実施例2から7のノイズ・フィルタがあり、高周波数チャンネルに配置され、単一の上記試験信号に再合成する前に、上記高周波数帯域を上記低周波数帯域に時間的に整合させる遅延回路を更に具えている。
【0061】
実施例9としては、実施例1から8のノイズ・フィルタがあり、該ノイズ・フィルタが、オシロスコープ内に収容されている。
【0062】
実施例10としては、実施例1から9のノイズ・フィルタがあり、複数の上記周波数帯域をオシロスコープに出力する複数の出力ポートを更に具えている。
【0063】
実施例11としては、実施例1から10のノイズ・フィルタがあり、上記マルチプレクサに結合され、上記高周波数帯域を調整可能に減衰する高帯域可変減衰回路を更に具えている。
【0064】
実施例12としては、方法があり、ノイズ・フィルタの入力ポートで入力信号を受ける処理と、上記ノイズ・フィルタのマルチプレクサで高周波数帯域及び低周波数帯域を含む複数の周波数帯域に上記入力信号を分離する処理と、上記ノイズ・フィルタの低帯域可変減衰回路で上記高周波数帯域に比較して上記低周波数帯域を調整可能に減衰する処理とを具えている。
【0065】
実施例13としては、実施例12の方法があり、このとき、複数の上記周波数帯域が中周波数帯域を含み、更に、上記ノイズ・フィルタの中帯域可変減衰回路で上記高周波数帯域に比較して上記中周波数帯域を調整可能に減衰する処理を更に具えている。
【0066】
実施例14としては、実施例12又は13の方法があり、このとき、上記高周波数帯域に比較して上記低周波数帯域を調整可能に減衰する処理が、上記低帯域可変減衰回路の複数の設定夫々における上記入力信号に基づく上記試験信号の複数のサンプリング結果を受ける処理と、上記試験信号の信号対ノイズ比が最も高くなる上記低帯域可変減衰回路の設定を選択する処理とを有している。
【0067】
実施例15としては、実施例12から14の方法があり、このとき、上記高周波数帯域に比較して上記低周波数帯域を調整可能に減衰する処理が、Sパラメータに基づいて、上記低帯域可変減衰回路の設定を選択する処理を有している。
【0068】
実施例16としては、実施例12から15の方法があり、上記低帯域可変減衰回路の遅延に基づいて、複数の上記周波数帯域を時間的に整合させるように上記高周波数帯域を遅延させる処理を更に具えている。
【0069】
実施例17としては、ノイズ・フィルタのプロセッサで実行されたときに、上記ノイズ・フィルタに、入力ポートで入力信号を受ける処理と、マルチプレクサで高周波数帯域及び低周波数帯域を含む複数の周波数帯域に上記入力信号を分離する処理と、低帯域可変減衰回路で上記高周波数帯域に比較して上記低周波数帯域を調整可能に減衰する処理とを生じさせる命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体がある。
【0070】
実施例18としては、実施例17のコンピュータ可読記憶媒体があり、このとき、複数の上記周波数帯域が中周波数帯域を含み、このとき、上記命令は、上記ノイズ・フィルタに、中帯域可変減衰回路で上記高周波数帯域に比較して上記中周波数帯域を調整可能に減衰する処理を更に生じさせる。
【0071】
実施例19としては、実施例17又は18のコンピュータ可読記憶媒体があり、このとき、上記命令は、上記ノイズ・フィルタに、上記低帯域可変減衰回路の複数の設定夫々における上記入力信号に基づく上記試験信号の複数のサンプリング結果を受ける処理と、上記試験信号の信号対ノイズ比が最も高くなる上記低帯域可変減衰回路の設定を選択する処理とを更に生じさせる。
【0072】
実施例20としては、実施例17から19のコンピュータ可読記憶媒体があり、このとき、上記命令は、上記ノイズ・フィルタに、上記低帯域可変減衰回路の遅延に基づいて、複数の上記周波数帯域を時間的に整合させるように上記高周波数帯域を遅延回路で遅延させる処理を更に生じさせる。
【0073】
本発明に関する上述の実施例は、先に説明したか又は当業者には明らかであろう多くの利点を有する。しかしながら、開示された装置、システム又は方法の全ての形態において、これらの利点又は特徴の全てが必要なわけではない。
【0074】
加えて、本願では、特定の特徴に言及しているが、本発明は、これらの特定の特徴の全ての可能な組み合わせを含むと理解されるべきである。特定の特徴が特定の態様又は実施例という状況で開示される場合、その特徴は、可能な限り、他の態様及び実施例の状況においても使用可能である。
【0075】
また、本願において定義された2つ以上のステップ又は動作を有する方法に言及する場合、定義されたステップ又は動作は、状況がそれらの可能性を排除しない限り、任意の順序で又は同時に実行できる。
【0076】
説明の都合上、本発明の特定の実施例を図示し、説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な変更が可能なことが理解できよう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲によるものを除いて限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0077】
100 試験測定システム
110 被測定デバイス(DUT)
113 DUTリンク
120 ノイズ・フィルタ
121 入力ポート
122 マルチプレクサ
123 遅延回路
125 低帯域可変減衰回路
126 メモリ
127 コントローラ
128 合成部
129 出力ポート
131 高周波数チャンネル
132 低周波数チャンネル
136 高周波数チャンネル・スイッチ
137 低周波数チャンネル・スイッチ
161 入力信号
162 試験信号
200 試験測定システム
220 ノイズ・フィルタ
221 入力ポート
222 マルチプレクサ
223 遅延回路
225 低帯域可変減衰回路
226 メモリ
227 コントローラ
229 出力ポート
230 オシロスコープ
231 高周波数チャンネル
232 低周波数チャンネル
261 入力信号
262 試験信号
300 試験測定システム
320 ノイズ・フィルタ
321 入力ポート
322 マルチプレクサ
323 遅延回路
324 中帯域可変減衰回路
325 低帯域可変減衰回路
326 メモリ
327 コントローラ
328 合成部
329 出力ポート
331 高周波数チャンネル
332 低周波数チャンネル
333 中周波数チャンネル
361 入力信号
400 試験測定システム
420 ノイズ・フィルタ
421 入力ポート
422 マルチプレクサ
423 遅延回路
424 中帯域可変減衰回路
425 低帯域可変減衰回路
426 メモリ
427 コントローラ
429 出力ポート
431 高周波数チャンネル
432 低周波数チャンネル
433 中周波数チャンネル
436 高周波数チャンネル・スイッチ
437 低周波数チャンネル・スイッチ
438 中周波数チャンネル・スイッチ
461 入力信号
500 試験測定システム
521 入力ポート
522 マルチプレクサ
523 遅延回路
525 低帯域可変減衰回路
526 メモリ
527 コントローラ
528 合成部
531 高周波数チャンネル
532 低周波数チャンネル
535 バイパス・チャンネル
541 アナログ・デジタル・コンバータ
543 波形メモリ
550 第1バイパス・スイッチ
552 第2バイパス・スイッチ
561 入力信号
600 試験測定システム
621 入力ポート
622 マルチプレクサ
623 遅延回路
624 中帯域可変減衰回路
625 低帯域可変減衰回路
626 メモリ
627 コントローラ
628 合成部
631 高周波数チャンネル
632 低周波数チャンネル
633 中周波数チャンネル
635 バイパス・チャンネル
641 アナログ・デジタル・コンバータ
643 波形メモリ
650 第1バイパス・スイッチ
652 第2バイパス・スイッチ
661 入力信号