(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-06
(45)【発行日】2022-06-14
(54)【発明の名称】回転コネクタ装置および回転コネクタ装置の組立方法
(51)【国際特許分類】
H02G 11/02 20060101AFI20220607BHJP
H01R 35/04 20060101ALI20220607BHJP
B62D 1/04 20060101ALI20220607BHJP
B60R 16/027 20060101ALI20220607BHJP
【FI】
H02G11/02
H01R35/04 S
B62D1/04
B60R16/027 S
(21)【出願番号】P 2018069551
(22)【出願日】2018-03-30
【審査請求日】2020-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142871
【氏名又は名称】和田 哲昌
(74)【代理人】
【識別番号】100094743
【氏名又は名称】森 昌康
(72)【発明者】
【氏名】北尾 啓
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 良征
(72)【発明者】
【氏名】藤本 一輝
(72)【発明者】
【氏名】南部 真吾
【審査官】須藤 竜也
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-502549(JP,A)
【文献】特開2012-209254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 11/02
H01R 35/04
B62D 1/04
B60R 16/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定体と、
前記固定体との間に空間を構成するように前記固定体に対して回転軸周りに回転可能に前記固定体に組付けられた回転体と、
前記空間の外において前記回転体に配置された第1接続導体と、
一端が前記第1接続導体に電気的に接続され且つ他端が前記固定体に接続され、前記空間に配置された導電ケーブルと、
前記回転体とは別体であり、且つ前記空間の外において前記回転体に配置された第1取付部と、
一端が前記第1取付部に取り付けられ且つ他端が前記固定体に接続され、前記空間に配置された可撓性部材と、
前記第1取付部と前記第1接続導体とを支持し、前記回転体とは別体であり、且つ前記空間の外において前記回転体に配置される第1支持体と、
前記空間の外において前記回転体に配置され、前記第1接続導体と電気的に接続された第1端子を有する第1コネクタと、を備え、
前記導電ケーブルは前記第1接続導体を介して伝送経路を構成し、前記可撓性部材は伝送経路を構成せず、
前記第1支持体は、前記第1端子を支持し、
前記第1支持体は、対向する第1面および第2面を有し、
前記第1接続導体は、前記第1面に配置され、
前記第1取付部は、前記第2面に配置される、
回転コネクタ装置。
【請求項2】
前記第1取付部は、前記第1支持体に前記可撓性部材を接続する接続部を有する
請求項1に記載の回転コネクタ装置。
【請求項3】
前記接続部は、前記可撓性部材の孔に挿通されかつ前記第1支持体に接続される第1加締め部を有する
請求項2に記載の回転コネクタ装置。
【請求項4】
固定体と、
前記固定体との間に空間を構成するように前記固定体に対して回転軸周りに回転可能に前記固定体に組付けられた回転体と、
前記空間の外において前記回転体に配置された第1接続導体と、
一端が前記第1接続導体に電気的に接続され且つ他端が前記固定体に接続され、前記空間に配置された導電ケーブルと、
前記回転体とは別体であり、且つ前記空間の外において前記回転体に配置された第1取付部と、
一端が前記第1取付部に取り付けられ且つ他端が前記固定体に接続され、前記空間に配置された可撓性部材と、
前記可撓性部材の前記一端を前記導電ケーブルに取り付ける第1ケーブル取付部と、を備え、
前記可撓性部材の前記一端は、前記第1ケーブル取付部と前記導電ケーブルとを介して前記第1取付部に取り付けられ、
前記導電ケーブルは前記第1接続導体を介して伝送経路を構成し、前記可撓性部材は伝送経路を構成しない、
回転コネクタ装置。
【請求項5】
前記導電ケーブルは、導線と、熱可塑性樹脂を含み且つ前記導線を被覆する被覆材と、を有し、
前記第1ケーブル取付部は、前記被覆材が前記可撓性部材に溶着した溶着部を有する
請求項4に記載の回転コネクタ装置。
【請求項6】
前記第1ケーブル取付部は、
前記可撓性部材および前記導電ケーブルの一方に設けられた挿通孔と、
前記可撓性部材および前記導電ケーブルの他方に設けられ且つ前記挿通孔に挿通される挿通片と、を有する
請求項4または5に記載の回転コネクタ装置。
【請求項7】
前記空間の外において前記固定体に配置され且つ前記導電ケーブルの前記他端が電気的に接続される第2接続導体と、
前記固定体とは別体であり、前記空間の外において前記固定体に配置され、且つ前記可撓性部材の前記他端が取り付けられる第2取付部と、
をさらに備える請求項1~6のいずれかに記載の回転コネクタ装置。
【請求項8】
前記第2取付部と前記第2接続導体とを有し、前記固定体とは別体であり、且つ前記空間の外において前記固定体に配置される第2支持体
をさらに備える請求項7に記載の回転コネクタ装置。
【請求項9】
前記空間の外において前記固定体に配置され、前記第2接続導体と電気的に接続された第2端子を有する第2コネクタをさらに備え、
前記第2支持体は、前記第2端子を支持する
請求項8に記載の回転コネクタ装置。
【請求項10】
前記第2取付部は、前記可撓性部材の孔に挿通されかつ前記第2支持体に接続される第2加締め部を有する
請求項8または9に記載の回転コネクタ装置。
【請求項11】
固定体と、
前記固定体との間に空間を構成するように前記固定体に対して回転軸周りに回転可能に前記固定体に組付けられた回転体と、
前記空間の外において前記回転体に配置された第1接続導体と、
一端が前記第1接続導体に電気的に接続され且つ他端が前記固定体に接続され、前記空間に配置された導電ケーブルと、
前記回転体とは別体であり、且つ前記空間の外において前記回転体に配置された第1取付部と、
一端が前記第1取付部に取り付けられ且つ他端が前記固定体に接続され、前記空間に配置された可撓性部材と、
前記空間の外において前記固定体に配置され且つ前記導電ケーブルの前記他端が電気的に接続される第2接続導体と、
前記固定体とは別体であり、前記空間の外において前記固定体に配置され、且つ前記可撓性部材の前記他端が取り付けられる第2取付部と、
前記可撓性部材の前記他端を前記導電ケーブルに取り付ける第2ケーブル取付部と、を備え、
前記可撓性部材の前記他端は、前記第2ケーブル取付部と前記導電ケーブルとを介して前記第2取付部に取り付けられ、
前記導電ケーブルは前記第1接続導体を介して伝送経路を構成し、前記可撓性部材は伝送経路を構成しない、
回転コネクタ装置。
【請求項12】
前記可撓性部材は、導線を有する
請求項1~11のいずれかに記載の回転コネクタ装置。
【請求項13】
前記可撓性部材は、導線を有さない
請求項1~
11のいずれかに記載の回転コネクタ装置。
【請求項14】
前記第1接続導体は、部分的に前記空間に配置される
請求項1~13のいずれかに記載の回転コネクタ装置。
【請求項15】
固定体と前記固定体に対して回転軸周りに回転可能に前記固定体に組付けられる回転体との間の空間の外において、前記回転体に配置される第1接続導体に、導電ケーブルの一端を電気的に接続し、
前記第1接続導体を介した伝送経路を構成するように、前記導電ケーブルの他端を前記固定体に接続し、
前記回転体とは別体であり且つ前記空間の外において前記回転体に配置される第1取付部に、可撓性部材の一端を接続し、
前記可撓性部材が伝送経路を構成しないように、前記可撓性部材の他端を前記固定体に接続し、
前記導電ケーブルと、前記可撓性部材とを前記空間に配置し、
前記第1接続導体と電気的に接続された第1端子を有する第1コネクタを前記空間の外において前記回転体に配置し、
前記第1取付部と前記第1接続導体と前記第1端子を支持し前記回転体とは別体である第1支持体を、前記空間の外において前記回転体に配置し、
前記第1支持体は、対向する第1面および第2面を有し、
前記第1接続導体は、前記第1面に配置され、
前記第1取付部は、前記第2面に配置される、
回転コネクタ装置の組立方法。
【請求項16】
固定体と前記固定体に対して回転軸周りに回転可能に前記固定体に組付けられる回転体との間の空間の外において、前記回転体に配置される第1接続導体に、導電ケーブルの一端を電気的に接続し、
前記第1接続導体を介した伝送経路を構成するように、前記導電ケーブルの他端を前記固定体に接続し、
前記回転体とは別体であり且つ前記空間の外において前記回転体に配置される第1取付部に、可撓性部材の一端を接続し、
前記可撓性部材が伝送経路を構成しないように、前記可撓性部材の他端を前記固定体に接続し、
前記導電ケーブルと前記可撓性部材とを前記空間に配置し、
前記可撓性部材の前記一端は、第1ケーブル取付部を介して前記導電ケーブルに取り付けられ、
前記可撓性部材の前記一端は、前記第1ケーブル取付部と前記導電ケーブルとを介して前記第1取付部に取り付けられる、
回転コネクタ装置の組立方法。
【請求項17】
固定体と前記固定体に対して回転軸周りに回転可能に前記固定体に組付けられる回転体との間の空間の外において、前記回転体に配置される第1接続導体に、導電ケーブルの一端を電気的に接続し、
前記第1接続導体を介した伝送経路を構成するように、前記導電ケーブルの他端を前記固定体に接続し、
前記回転体とは別体であり且つ前記空間の外において前記回転体に配置される第1取付部に、可撓性部材の一端を接続し、
前記可撓性部材が伝送経路を構成しないように、前記可撓性部材の他端を前記固定体に接続し、
前記導電ケーブルと、前記可撓性部材とを前記空間に配置し、
前記空間の外において前記固定体に配置される第2接続導体に、前記導電ケーブルの前記他端を電気的に接続し、
前記固定体とは別体であり且つ前記空間の外において前記固定体に配置される第2取付部に、前記可撓性部材の前記他端を接続し、
前記可撓性部材の前記他端は、第2ケーブル取付部を介して前記導電ケーブルに取り付けられ、
前記可撓性部材の前記他端は、前記第2ケーブル取付部と前記導電ケーブルとを介して、前記第2取付部に取り付けられる、
回転コネクタ装置の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に開示される技術は、回転コネクタ装置および回転コネクタ装置の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固定体と、固定体に対して回転可能に固定体に組付けられた回転体と、固定体側コネクタと、回転体側コネクタと、を備える回転コネクタ装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に開示された回転コネクタ装置は、固定体と回転体との間の収納空間に収納されるケーブルとダミーケーブルとをさらに備えている。
【0003】
特許文献1に開示された回転コネクタ装置では、ダミーケーブルの一端は、収納空間において回転体に接続され、ダミーケーブルの他端は、収納空間において固定体に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された回転コネクタ装置では、ダミーケーブルの取り付けのための構造が収納空間において回転体および固定体に必要であるので、回転体及び固定体の間の空間を規定する構造は複雑化している。
【0006】
また、特許文献1に開示された構造において、収納空間におけるダミーケーブルの取り付けを確認するためには、収納空間を覗き見る開口または窓が回転体及び固定体に必要となる。従って、収納空間を規定する構造は、さらに複雑化する。
【0007】
また、収納空間においてダミーケーブルを回転体および固定体に取り付ける作業は、回転コネクタ装置を組み立てる作業者にとって煩わしい。また、回転体及び固定体に設けられた開口または窓を介して収納空間におけるダミーケーブルの取り付けを確認する作業も、作業者にとって煩わしい。
【0008】
そこで、本願に開示される技術の課題は、回転コネクタ装置における回転体及び固定体の間の空間を規定する構造の複雑化を抑えること、または、回転コネクタ装置の組立作業を簡単にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の第1の特徴に係る回転コネクタ装置は、固定体と、回転体と、第1接続導体と、導電ケーブルと、第1取付部と、可撓性部材と、を備える。回転体は、前記固定体との間に空間を構成するように前記固定体に対して回転軸周りに回転可能に前記固定体に組付けられる。第1接続導体は、前記空間の外において前記回転体に配置される。導電ケーブルは、一端が前記第1接続導体に電気的に接続され且つ他端が前記固定体に接続される。導電ケーブルは、前記空間に配置される。第1取付部は、前記回転体とは別体であり且つ前記空間の外において前記回転体に配置される。可撓性部材は、一端が前記第1取付部に取り付けられ且つ他端が前記固定体に接続される。可撓性部材は、前記空間に配置される。前記導電ケーブルは前記第1接続導体を介して伝送経路を構成し、前記可撓性部材は伝送経路を構成しない。
【0010】
可撓性部材は、例えば、回転体の回転バランスをとるためのダミーケーブルとして用いられる。可撓性部材は、導線を有してもよいし、導線を有さなくてもよい。
【0011】
この構成では、可撓性部材の一端を取り付けるための構造は、固定体および回転体の間の空間における回転体に、必要とならない。従って、固定体および回転体の間の空間を規定するための構造の複雑化は抑えられる。また、可撓性部材の取り付けを確認するための開口または窓も回転体には不要である。さらに、回転体と別体である第1取付部に可撓性部材の一端が取り付けられるので、回転体に衝撃が加わっても、可撓性部材は外れにくい。
【0012】
また、回転コネクタ装置は、前記第1取付部と前記第1接続導体とを支持し、前記回転体とは別体であり、且つ前記空間の外において前記回転体に配置される第1支持体をさらに備えてもよい。この構成では、第1取付部と第1接続導体をまとめて回転体に着脱できる。
【0013】
また、回転コネクタ装置は、前記空間の外において前記回転体に配置され、前記第1接続導体と電気的に接続された第1端子を有する第1コネクタをさらに備え、前記第1支持体は、前記第1端子を支持してもよい。
【0014】
この構成では、第1取付部および第1接続導体に加えて、第1コネクタの第1端子もまとめて回転体に着脱できる。
【0015】
また、回転コネクタ装置では、前記第1支持体は、対向する第1面および第2面を有し、前記第1接続導体は、前記第1面に配置され、前記第1取付部は、前記第2面に配置されてもよい。すなわち、可撓性部材と導電ケーブルは、第1支持体を介して互いに離れて配置される。これにより、可撓性部材と導電ケーブルの干渉は抑えられる。
【0016】
また、回転コネクタ装置では、前記第1支持体は、対向する第1面および第2面を有し、前記第1接続導体は、前記第1面に配置され、前記第1取付部は、前記第1面に配置されてもよい。この構成は、導電ケーブルと可撓性部材を重ねて配置できるので、導電ケーブルと可撓性部材とをまとめて引き回しやすくする。
【0017】
また、回転コネクタ装置では、前記第1取付部は、前記第1支持体に前記可撓性部材を接続する接続部を有してもよい。
【0018】
また、回転コネクタ装置では、前記接続部は、前記可撓性部材の孔に挿通されかつ前記第1支持体に接続される第1加締め部を有してもよい。
【0019】
また、回転コネクタ装置では、前記可撓性部材の前記一端を前記導電ケーブルに取り付ける第1ケーブル取付部をさらに備え、前記可撓性部材の前記一端は、前記第1ケーブル取付部と前記導電ケーブルとを介して前記第1取付部に取り付けられてもよい。
【0020】
また、回転コネクタ装置では、前記導電ケーブルは、導線と、熱可塑性樹脂を含み且つ前記導線を被覆する被覆材と、を有し、前記第1ケーブル取付部は、前記被覆材が前記可撓性部材に溶着した溶着部を有してもよい。
【0021】
この構成は、導電ケーブルの構成を第1ケーブル取付部として利用する。従って、この構成は、第1ケーブル取付部のためだけの構成を省略することができる。また、溶着は、可撓性部材を導電ケーブルに引っかける場合に比べて、より確実に可撓性部材を導電ケーブルに取り付けることができる。
【0022】
また、回転コネクタ装置では、前記第1ケーブル取付部は、前記可撓性部材および前記導電ケーブルの一方に設けられた挿通孔と、前記可撓性部材および前記導電ケーブルの他方に設けられ且つ前記挿通孔に挿通される挿通片と、を有してもよい。
【0023】
また、回転コネクタ装置は、前記空間の外において前記固定体に配置され且つ前記導電ケーブルの前記他端が電気的に接続される第2接続導体と、前記固定体とは別体であり、前記空間の外において前記固定体に配置され、且つ前記可撓性部材の前記他端が取り付けられる第2取付部と、をさらに備えてもよい。
【0024】
この構成によれば、可撓性部材の他端を取り付けるための構造は、固定体および回転体の間の空間における固定体に、必要とならない。また、可撓性部材の取り付けを確認するための開口または窓も固定体には不要である。さらに、固定体に衝撃が加わったとしても、可撓性部材の他端は、固定体から外れにくい。
【0025】
また、回転コネクタ装置は、前記第2取付部と前記第2接続導体とを有し、前記固定体とは別体であり、且つ前記空間の外において前記固定体に配置される第2支持体をさらに備えてもよい。この構成によれば、第2接続導体と第2取付部とをまとめて固定体に着脱できる。
【0026】
また、回転コネクタ装置は、前記空間の外において前記固定体に配置され、前記第2接続導体と電気的に接続された第2端子を有する第2コネクタをさらに備え、前記第2支持体は、前記第2端子を支持してもよい。
【0027】
この構成では、第2取付部および第2接続導体に加えて、第2コネクタの第2端子もまとめて固定体に着脱できる。
【0028】
また、回転コネクタ装置では、前記第2取付部は、前記可撓性部材の孔に挿通されかつ前記第2支持体に接続される第2加締め部を有してもよい。
【0029】
また、回転コネクタ装置では、前記可撓性部材の前記他端を前記導電ケーブルに取り付ける第2ケーブル取付部をさらに備え、前記可撓性部材の前記他端は、前記第2ケーブル取付部と前記導電ケーブルとを介して前記第2取付部に取り付けられてもよい。
【0030】
また、回転コネクタ装置では、前記第1接続導体は、部分的に前記空間に配置されてもよい。
【0031】
また、本願の第2特徴に係る回転コネクタ装置の組立方法は、固定体と前記固定体に対して回転軸周りに回転可能に前記固定体に組付けられる回転体との間の空間の外において、前記回転体に配置される第1接続導体に、導電ケーブルの一端を電気的に接続し、前記第1接続導体を介した伝送経路を構成するように、前記導電ケーブルの他端を前記固定体に接続し、前記回転体とは別体であり且つ前記空間の外において前記回転体に配置される第1取付部に、可撓性部材の一端を接続し、前記可撓性部材が伝送経路を構成しないように、前記可撓性部材の他端を前記固定体に接続し、前記導電ケーブルと、前記可撓性部材とを前記空間に配置することを含む。
【0032】
この方法は、予め第1取付部に可撓性部材の一端を取り付ければよいので、固定体および回転体の間の空間において可撓性部材の一端を回転体に取り付ける必要がない。従って、この方法は、可撓性部材の一端を簡単に回転体に取り付けることができ、回転コネクタ装置の組立を簡単にできる。また、この方法は、回転体に開口または窓を設ける必要もないし、開口または窓を介して可撓性部材の一端の取り付けを確認する必要もない。
【発明の効果】
【0033】
本願に開示される技術であれば、回転コネクタ装置における回転体及び固定体の間の空間を規定する構造の複雑化を抑える、または、回転コネクタ装置の組立を簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、実施形態に係る回転コネクタ装置の斜視図である。
【
図3】
図3は、回転体から固定体を取り外した分解斜視図である。
【
図4】
図4は、ケーブルの配置を説明するための、固定体の上面図である。
【
図5】
図5は、第1接続導体の取り付けを説明するための、回転体の斜視図である。
【
図6】
図6は、第2接続導体の取り付けを説明するための、固定体の斜視図である。
【
図8】
図8は、導電ケーブルと第1接続導体との接続を説明するための、第1支持体の第1面を示す図である。
【
図9】
図9は、導電ケーブルと第1接続導体との接続を説明するための、第1支持体の第1面を示す図である。
【
図10】
図10は、導電ケーブルと第2接続導体との接続を説明するための、第2支持体の斜視図である。
【
図11】
図11は、可撓性部材の第1取付部への取り付けを説明するための、第1支持体の第2面を示す図である。
【
図12】
図12は、可撓性部材の第1取付部への取り付けを説明するための、第1支持体の第5面を示す図である。
【
図13】
図13は、可撓性部材の第2取付部への取り付けを説明するための、第2支持体の第2面を示す図である。
【
図14】
図14は、第1取付部の変形例1に係る第1取付部を説明するための、第1支持体の第5面を示す図である。
【
図15】
図15は、変形例1に対応した第1支持体の第1面を示す図である。
【
図16】
図16は、第1取付部の変形例2に係る第1取付部を説明するための、第1支持体の第5面を示す図である。
【
図17】
図17は、可撓性部材と導電ケーブルの接着を説明するための、第1支持体の第5面を示す図である。
【
図18】
図18は、可撓性部材の第2取付部への取り付けを説明するための、第2支持体の第5面を示す図である。
【
図19】
図19は、可撓性部材と導電ケーブルの接続を説明するための、導電ケーブルの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。図中において同じ符号は、対応するまたは同一の構成を示している。
【0036】
<回転コネクタ装置の概要>
図1は、実施形態に係る回転コネクタ装置100の斜視図である。
図2は、回転コネクタ装置100の上面100uを示す図である。
図3は、回転体20から固定体10を取り外した分解斜視図である。
【0037】
図1~
図3に示すように、回転コネクタ装置100は、固定体10と回転体20とを備えている。回転体20は、固定体10に対して回転軸AX周りに回転可能に、固定体10に組付けられている。回転体20が固定体10に組付けられた状態において、固定体10と回転体20との間には、空間Sが規定される。
【0038】
図4は、導電ケーブル30の配置を説明するための、固定体10の上面10uを示す図である。
図4に示すように、導電ケーブル30は、空間Sに配置される。導電ケーブル30は、固定体10と回転体20との間に接続される。導電ケーブル30は、固定体10と回転体20との間で伝送経路を構成する。
【0039】
回転コネクタ装置100は、例えば、本体と、本体に対して回転可能な操舵部とを備えた移動体(例えば自動車)に用いられる。具体的には、固定体10は、移動体の本体に取り付けられる。回転体20は、操舵部に取り付けられる。導電ケーブル30の一端30a(
図8を参照)は、操舵部に設けられた電気機器(例えばスイッチ)に電気的に接続される。導電ケーブル30の他端30b(
図13を参照)は、移動体の本体に設けられた電気機器に電気的に接続される。これにより、回転コネクタ装置100は、移動体の本体に設けられた電気機器と操舵部に設けられた電気機器との間で電力または電気的信号を送受信する。ただし、回転コネクタ装置100は、移動体以外にも用いられてもよい。
【0040】
<固定体の構成>
図3および
図4に示すように、固定体10は、第1固定体部12と第2固定体部14とを備えている。第2固定体部14は、第1固定体部12の上に配置された状態で、第1固定体部12と結合している。第1固定体部12は、固定体10の底部10bを構成する。第2固定体部14は、固定体10の側壁10lを構成する。
【0041】
図4に示すように、第1固定体部12は、回転軸AXに沿う第1方向に回転コネクタ装置100を見たときに、リング形状を有する。第1固定体部12は、回転軸AXが第1固定体部12の中心を通過するように配置される。第2固定体部14は、第2固定体部14の中空部14aが第1方向に延伸する筒形状を有している。第2固定体部14は、第1方向において第1固定体部12の外周12aから上方に延伸している。
【0042】
<回転体の構成>
図3に示すように、回転体20は、リング部200と、内周筒部202と、を備えている。リング部200は、回転コネクタ装置100を第1方向に見たときに、リング形状を有する。リング部200は、回転軸AXがリング部200の中心を通過するように配置される。内周筒部202は、内周筒部202の中空部202aが第1方向に延伸するように配置される。内周筒部202は、リング部200の内周200aから第1方向に沿って下方に延びている。内周筒部202は、回転軸AXの径方向において、筒形状の第2固定体部14の内側に配置される。これにより、導電ケーブル30が配置される空間Sは、第1固定体部12、第2固定体部14、リング部200、および内周筒部202によって規定されている。換言すれば、導電ケーブル30が配置される空間Sは、第2固定体部14の中空部14aから内周筒部202の中空部202aを除いた空間に等しい。
【0043】
内周筒部202は、組付部材90(
図1を参照)に係合している。組付部材90は、第1方向において固定体10の下方に配置されかつ回転軸AX周りに回転可能である。回転体20は、回転体20と組付部材90とが第1方向において固定体10を挟むように、固定体10に組付けられている。ただし、組付部材90は、省略されてもよい。
【0044】
本実施形態では、内周筒部202が回転体20に設けられている。しかし、空間Sを規定するために、内周筒部202は、固定体10に設けられてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、回転コネクタ装置100は、中空部202aを有する形状であったが、回転コネクタ装置100は、中空部202aを有さなくてもよい。
【0046】
<コネクタの構成>
図1に示すように、回転コネクタ装置100は、第1コネクタ40と第2コネクタ45とを備える。第1コネクタ40は、回転体20に接続されている。本実施形態では、第1コネクタ40は、回転体20の上方に配置されているが、第1コネクタ40は、回転軸AXの径方向において、リング部200の外側に配置されてもよい。
【0047】
第1コネクタ40は、複数の第1端子400と、第1カバー402とを有している。複数の第1端子400は、外部ケーブルの複数の端子にそれぞれ電気的に接続される。第1カバー402は、リング部200に接続されている。第1カバー402は、上方が開放するように、複数の第1端子400を覆う。第1カバー402は、内部に第1空間S1を規定する。
【0048】
第2コネクタ45は、固定体10に接続されている。本実施形態では、第2コネクタ45は、回転軸AXの径方向において固定体10の外側に配置されているが、第2コネクタ45は、第1方向において固定体10の下方に配置されてもよい。
【0049】
第2コネクタ45は、複数の第2端子450と、第2カバー452とを有している。複数の第2端子450は、外部ケーブルの複数の端子にそれぞれ電気的に接続される。第2カバー452は、第1固定体部12および第2固定体部14に接続されている。第2カバー452は、第1方向に直交する方向において複数の第2端子450が回転コネクタ装置100の外部に露出するように、複数の第2端子450を覆う。第2カバー452は、内部に第2空間S2を規定する。
【0050】
<接続導体の構成>
回転コネクタ装置100は、第1コネクタ40と導電ケーブル30を電気的に接続するために、複数の第1接続導体50を備えている。回転コネクタ装置100は、第2コネクタ45と導電ケーブル30を電気的に接続するために、複数の第2接続導体55を備えている。
【0051】
図5は、複数の第1接続導体50の取り付けを説明するための、回転体20の斜視図である。
図6は、複数の第2接続導体55の取り付けを説明するための、固定体10の斜視図である。ただし、
図6において、第2固定体部14の図示は省略されている。
【0052】
回転コネクタ装置100は、複数の第1接続導体50を支持する第1支持体60と、複数の第2接続導体55を支持する第2支持体65と、を備えている。第1支持体60および第2支持体65は、絶縁材料を有する。第1支持体60および第2支持体65は、例えば、樹脂を有する。
【0053】
第1支持体60は、着脱自在に回転体20に取り付けられる。より具体的には、
図5に示すように、第1支持体60は、係合部600を備えている。回転体20に接続された第1カバー402は、第1カバー402の第1空間S1において被係合部404を備えている。例えば、第1方向に沿って上方へ係合部600を被係合部404に差し込むことで、係合部600と被係合部404は、互いに係合する。これにより、複数の接続導体50は、第1空間S1に位置する。第1方向に沿って、下方へ係合部600を被係合部404から離すことで、係合部600と被係合部404の係合は、解除される。
【0054】
第2支持体65は、着脱自在に固定体10に取り付けられる。より具体的には、
図6に示すように、第2支持体65は、係合部650を備えている。固定体10に接続された第2カバー452は、第2カバー452の第2空間S2において被係合部454を備えている。例えば、第1方向に沿って下方へ係合部650を被係合部454に差し込むことで、係合部650と被係合部454は、互いに係合する。これにより、複数の第2接続導体55は、第2空間S2に位置する。第1方向に沿って、上方へ係合部650を被係合部454から離すことで、係合部650と被係合部454の係合は、解除される。
【0055】
次に、
図7は、第1支持体60の斜視図である。
図7に示すように、第1支持体60は、厚み方向の長さが幅方向の長さおよび奥行方向の長さよりも小さい。ただし、厚み方向、幅方向、および奥行方向はそれぞれ互いに直交する。第1支持体60は、厚み方向において互いに対向する第1面60aと第2面60bを有する。複数の第1接続導体50は、第1面60aに配置されている。複数の第1接続導体50は、第1面60aにおいて、第1支持体60の幅方向において並んでおり、第1支持体60の奥行方向に延伸している。
【0056】
第1支持体60は、奥行方向において互いに対向する第3面60cと第4面60dとを有する。第1支持体60は、第1コネクタ40の複数の第1端子400を支持する。複数の第1端子400は、第1支持体60の奥行方向に沿って第3面60cから突出している。複数の第1端子400は、第1支持体60の幅方向において並んでいる。第1支持体60は、幅方向において互いに対向する第5面60eと第6面60fとを有する。
【0057】
図8は、導電ケーブル30と複数の第1接続導体50との接続を説明するための、第1支持体60の第1面60aを示す図である。
図8に示すように、導電ケーブル30は、1方向(以下、延びる方向と称す)に長い形状である。本実施形態では、導電ケーブル30は、厚み方向の長さが幅方向の長さよりも小さい形状である。しかし、導電ケーブル30の形状は、
図8に示す形状に限らない。
【0058】
導電ケーブル30は、平坦な面30cが第1支持体60の第1面60aと平行となり且つ導電ケーブル30の延びる方向が第1支持体60の奥行方向に一致した状態で、複数の第1接続導体50に電気的に接続される。より具体的には、導電ケーブル30は、複数の導線32と、被覆材34と、を備えている。被覆材34は、熱可塑性樹脂を含み且つ複数の導線32を被覆する。被覆材34は、絶縁性を有する。複数の導線32は、導電ケーブル30が延びる方向において、延びている。複数の導線32は、導電ケーブル30の幅方向において並んでいる。導電ケーブル30の一端30aでは、複数の導線32は、被覆材34から露出している。露出した複数の導線32と複数の第1接続導体50とはそれぞれ接続されている。例えば、
図9に示すように、カバー64は、導電ケーブル30の厚み方向において複数の導線32を複数の第1接続導体50にそれぞれ押圧する。しかし、複数の導線32と複数の第1接続導体50は、それぞれ溶接で接続されてもよいし、導電性の接着剤で接続されてもよい。
【0059】
図10に示すように、第2支持体65は、厚み方向の長さが幅方向の長さおよび奥行方向の長さよりも小さい。ただし、厚み方向、幅方向、および奥行方向はそれぞれ互いに直交する。第2支持体65は、厚み方向において互いに対向する第1面65aと第2面65bを有する。複数の第2接続導体55は、第1面65aに配置されている。複数の第2接続導体55は、第1面65aにおいて、第2支持体65の幅方向において並んでおり、それぞれ第2支持体65の奥行方向に延伸している。
【0060】
第2支持体65は、奥行方向において互いに対向する第3面65cと第4面65dとを有する。第2支持体65は、第2コネクタ45の複数の第2端子450を支持する。複数の第2端子450は、第2支持体65の奥行方向に沿って第3面65cから突出している。複数の第2端子450は、第2支持体65の幅方向において並んでいる。第2支持体65は、幅方向において互いに対向する第5面65eと第6面65fとを有する。
【0061】
導電ケーブル30の他端30bでは、被覆材34から露出した複数の導線32は、複数の第2接続導体55にそれぞれ接続される。複数の導線32と複数の第2接続導体55は、カバーによる押圧でそれぞれ接続されてもよいし、溶接でそれぞれ接続されてもよし、導電性接着剤でそれぞれ接続されてもよい。
【0062】
複数の第1端子400と複数の第2端子450とは、複数の第1接続導体50、複数の導線32、および複数の第2接続導体55を介して、それぞれ電気的に接続される。すなわち、複数の第1端子400、複数の第1接続導体50、複数の導線32、複数の第2接続導体55、および複数の第2端子450は、それぞれ伝送経路を構成する。ただし、回転コネクタ装置100は、1個だけの第1端子400、1個だけの第2端子450、1本だけの導線32、1個だけの第1接続導体50、および1個だけの第2接続導体55を備えてもよい。
【0063】
なお、導電ケーブル30は、第2固定体部14に設けられた孔およびリング部200に設けられた孔を通過している。これにより、導電ケーブル30の一端30aは第1空間S1に位置し、導電ケーブル30の他端30bは第2空間S2に位置する。
【0064】
<可撓性部材の構成>
回転コネクタ装置100は、空間Sに配置される可撓性部材80を備える。可撓性部材80は、例えば、回転体20の回転バランスをとるために設けられる。可撓性部材80は、例えば、ダミーケーブルとして用いられる。可撓性部材80は、一端80a(
図11を参照)が回転体20に接続され、他端80b(
図13を参照)が固定体10に接続される。可撓性部材80は、回転体20と固定体10との間で伝送経路を構成しない。
【0065】
図4に示すように、可撓性部材80は、空間Sにおいて、筒形状の第2固定体部14の内周面および内周筒部202の外周面に沿って巻回される。可撓性部材80は、巻回方向が途中で反転している。
【0066】
可撓性部材80は、第2固定体部14に設けられた孔およびリング部200に設けられた孔を通過している。これにより、可撓性部材80の一端80aは第1空間S1に位置し、可撓性部材80の他端80bは第2空間S2に位置する。
【0067】
可撓性部材80は、1方向(以下、延びる方向と称す)に長い形状を有する。可撓性部材80は、例えば、導電ケーブル30と同様の薄型である。可撓性部材80は、導線を有してもよいし、導線を有さなくてもよい。また、可撓性部材80は、導電ケーブル30と同じ構成であってもよい。
【0068】
本実施形態では、回転コネクタ装置100は、1個の可撓性部材80を備えたが、2個以上の可撓性部材80を備えてもよい。例えば、可撓性部材80の数は、可撓性部材80の数と導電ケーブル30の本数との和が偶数となるように、規定されてもよい。
【0069】
<第1取付部の構成>
回転コネクタ装置100は、可撓性部材80を回転体20に取り付けるための第1取付部70を備えている。第1取付部70は、第1空間S1において着脱自在に回転体20に取り付けられる。より具体的には、第1取付部70は、回転体20に着脱自在である第1支持体60に配置される。
【0070】
図11は、可撓性部材80の第1取付部70への取り付けを説明するための、第1支持体60の第2面60bを示す図である。
図12は、可撓性部材80の第1取付部70への取り付けを説明するための、第1支持体60の第5面60eを示す図である。
図11に示すように、第1取付部70は、可撓性部材80を第1支持体60に接続する接続部7Aを有している。接続部7Aは、複数の第1加締め部700を有する。複数の第1加締め部700は、第2面60bに配置されている。複数の第1加締め部700は、第1支持体60の厚み方向において、第2面60bから突出している。本実施形態では、複数の第1加締め部700は、第1支持体60と一体に形成されている。しかし、第1加締め部700は、第1支持体60とは別に設けられてもよい。
【0071】
図11に示すように、可撓性部材80の一端80aでは、可撓性部材80を厚み方向に貫通する複数の貫通孔82が設けられている。複数の第1加締め部700は、複数の貫通孔82にそれぞれ挿通される。複数の第1加締め部700の複数の頭部702は、尖った形状を有している。複数の頭部702は、複数の第1加締め部700が複数の貫通孔82にそれぞれ挿通された状態で、複数の第1加締め部700が突出する方向において押しつぶされる。
図12に示すように、押しつぶされた複数の頭部702aは、複数の第1加締め部700が突出する方向に直交する方向において、広がる。押しつぶされた複数の頭部702aの複数の径は、複数の貫通孔82の複数の径よりもそれぞれ大きくなる。これにより、可撓性部材80の一端80aは、第1支持体60に配置された複数の第1加締め部700に取り付けられる。
【0072】
回転コネクタ装置100を組み立てる場合、可撓性部材80の一端80aを第1取付部70に予め取り付けた状態で、可撓性部材80は、空間Sに配置される。
【0073】
本実施形態では、2個の第1加締め部700と2個の貫通孔82が設けられたが、1個の第1加締め部700と1個の貫通孔82が設けられてもよいし、3個以上の第1加締め部700と3個以上の貫通孔82が設けられてもよい。
【0074】
<第2取付部の構成>
図13は、可撓性部材80の第2取付部75への取り付けを説明するための、第2支持体65の第2面65bを示す図である。
図13に示すように、第2取付部75は、可撓性部材80を第2支持体65に接続する接続部7Bを備えている。可撓性部材80の他端80bは、接続部7Bに取り付けられる。接続部7Bは、固定体10に着脱自在な第2支持体65に配置される。より具体的には、接続部7Bは、複数の第2加締め部750を有する。複数の第2加締め部750は、第2支持体65の第2面65bに配置される。複数の第2加締め部750は、第2支持体65の厚み方向において、第2面65bから突出している。
【0075】
複数の第2加締め部750は、可撓性部材80の他端80bに設けられた複数の貫通孔84に挿通される。複数の第2加締め部750の頭部752は、複数の第2加締め部750が複数の貫通孔84にそれぞれ挿通された状態で、押しつぶされる。これにより、可撓性部材80の他端80bは、第2支持体65に配置された複数の第2加締め部750に取り付けられる。
【0076】
本実施形態では、2個の第2加締め部750と2個の貫通孔84が設けられたが、1個の第2加締め部750と1個の貫通孔84が設けられてもよいし、3個以上の第2加締め部750と3個以上の貫通孔84が設けられてもよい。
【0077】
<変形例1>
次に、
図14は、第1取付部70の変形例1に係る第1取付部70Aを説明するための、第1支持体60Aの第5面60eを示す図である。
図15は、第1支持体60Aの第1面60aを示す図である。
【0078】
上述の例では、第1取付部70は、第1支持体60の第2面60bに配置された。変形例1に係る第1取付部70Aは、第1支持体60Aの第1面60aに配置される。
図14に示すように、導電ケーブル30の一端30aは、可撓性部材80の一端80aと第1面60aとの間に配置される。第1取付部70Aは、複数の第1加締め部700Aを備える。複数の第1加締め部700Aは、可撓性部材80の一端80aの複数の貫通孔82と、導電ケーブル30の一端30aの保護部材36に設けられた複数の貫通孔38と、にそれぞれ挿通される。ただし、保護部材36は、被覆材34から露出した複数の導線32の複数の先端32eを保護するものである。保護部材36は、例えば、被覆材34と同じ材料を有する。
【0079】
第1支持体60Aは、複数の第1接続導体50と複数の第1端子400との間の導体パターン400pが異なる点において、第1支持体60と相違する。
図15に示すように、導体パターン400pは、複数の第1加締め部700Aを迂回するように引き回されている。これにより、第1支持体60Aの形状を大きくすることなく、複数の第1加締め部700Aを設けることができる。
【0080】
<変形例2>
図16は、第1取付部70の変形例2に係る第1取付部70Bを説明するための、第1支持体60の第5面60eを示す図である。
【0081】
上述の例では、複数の第1加締め部700(または複数の第1加締め部700A)を介して第1支持体60に直接的に可撓性部材80が取り付けられた。しかし、可撓性部材80は、第1支持体60に間接的に取り付けられてもよい。例えば、
図16に示すように、回転コネクタ装置100は、第1ケーブル取付部710を備える。可撓性部材80の一端80aは、第1ケーブル取付部710および導電ケーブル30を介して、第1取付部70Bに取り付けられる。ただし、第1取付部70Bは、導電ケーブル30と第1支持体60との接続部に対応する。
【0082】
より具体的には、第1ケーブル取付部710は、導電ケーブル30の被覆材34が可撓性部材80に溶着された溶着部712を有する。溶着部712は、例えば重ねた導電ケーブル30と可撓性部材80とを加熱することで、形成される。溶着部712は、第1空間S1に設けられてもよいし、空間Sに配置されてもよい。すなわち、第1ケーブル取付部710は、第1空間S1に設けられてもよいし、空間Sに配置されてもよい。
【0083】
また、
図16に示す例では、第1支持体60の厚み方向に沿って第1支持体60、導電ケーブル30、および可撓性部材80がこの順に並んでいたが、第1支持体60の厚み方向に沿って第1支持体60、可撓性部材80、および導電ケーブル30がこの順に並んでもよい。
【0084】
また、
図17に示すように、第1ケーブル取付部710は、接着部714を備えてもよい。接着部714は、第1支持体60の厚み方向において、導電ケーブル30と可撓性部材80の一端80aとの間に配置される。より具体的には、複数の接着部714は、導電ケーブル30が延びる方向において、間隙を介して並んでいる。これにより、導電ケーブル30および可撓性部材80の可撓性が接着によって損なわれにくくなる。
【0085】
また、
図18に示すように、可撓性部材80の他端80bにおいても、可撓性部材80は、第2ケーブル取付部720および導電ケーブル30を介して、第2取付部75Bに取り付けられてもよい。ただし、第2取付部75Bは、導電ケーブル30と第2支持体65との接続部に対応する。
【0086】
図16~
図18に示す複数の例では、可撓性部材80と導電ケーブル30は、溶着または接着によって接続されていたが、可撓性部材80と導電ケーブル30は、溶着および接着以外の手段で接続されてもよい。
【0087】
例えば、
図19に示すように、導電ケーブル30Aは、導電ケーブル30Aの厚み方向に被覆材34を貫通する挿通孔340、挿通孔342、挿通孔344、および挿通孔346を備えている。挿通孔340、挿通孔342、挿通孔344、および挿通孔346は、導電ケーブル30Aが延びる方向の長さが導電ケーブル30Aの幅方向の長さよりも、大きい。挿通孔340および挿通孔344は、導電ケーブル30Aの幅方向において対向する。挿通孔342および挿通孔346は、導電ケーブル30Aの幅方向において対向する。
【0088】
可撓性部材80Aは、挿通片380、挿通片382、挿通片384、および挿通片386を備えている。挿通片380および挿通片382は、可撓性部材80Aの幅方向に沿った一方向において、可撓性部材80Aが延びる方向に延伸する本体部388から延伸する。挿通片384および挿通片386は、可撓性部材80Aの幅方向に沿った他方向において、可撓性部材80Aが延びる方向に延伸する本体部388から延伸する。ただし、可撓性部材80Aの幅方向に沿った他方向は、可撓性部材80Aの幅方向に沿った一方向と反対である。
【0089】
挿通片380および挿通片382は、可撓性部材80Aの幅方向に沿った一方向に、挿通孔340および挿通孔342に挿通される。挿通片384および挿通片386は、可撓性部材80Aの幅方向に沿った他方向に、挿通孔344および挿通孔346に挿通される。第1ケーブル取付部710の変形例に係る第1ケーブル取付部710Aは、挿通孔340、挿通孔342、挿通孔344、挿通孔346、挿通片380、挿通片382、挿通片384、および挿通片386で構成される。第1ケーブル取付部710Aにより、導電ケーブル30が延びる方向および導電ケーブル30の幅方向において、可撓性部材80Aは、導電ケーブル30Aから外れにくい。
【0090】
ただし、複数の挿通片の数および配置並びに複数の挿通孔の数および配置は、
図19に示す例に限らない。挿通片は1個でもよく、挿通孔も1個でもよい。
【0091】
また、可撓性部材80Aが挿通孔を有し、導電ケーブル30Aが挿通片を有してもよい。
【0092】
<実施形態および変形例の特徴>
以下に、回転コネクタ装置100の構成と回転コネクタ装置100の特徴をまとめる。
【0093】
回転コネクタ装置100は、固定体10と、回転体20と、第1接続導体50と、導電ケーブル30と、第1取付部70と、可撓性部材80とを備える。回転体20は、固定体10との間に空間Sを構成するように固定体10に対して回転軸AX周りに回転可能に固定体10に組付けられる。第1接続導体50は、空間Sの外において回転体20に配置される。導電ケーブル30は、一端30aが第1接続導体50に電気的に接続され且つ他端30bが固定体10に接続される。導電ケーブル30は、空間Sに配置される。第1取付部70は、回転体20とは別体であり、空間Sの外において回転体20に配置される。可撓性部材80は、一端80aが第1取付部70に取り付けられ且つ他端80bが固定体10に接続される。可撓性部材80は、空間Sに配置される。導電ケーブル30は第1接続導体50を介して伝送経路を構成する。可撓性部材80は伝送経路を構成しない。
【0094】
この構成では、可撓性部材80の一端80aを取り付けるための構造は、固定体10および回転体20の間の空間Sにおける回転体20に、必要とならない。従って、固定体10および回転体20の間の空間Sを規定するための構造の複雑化は抑えられる。また、可撓性部材80の一端80aの取り付けを確認するための開口または窓は回転体20に不要である。さらに、回転体20と別体である第1取付部70に可撓性部材80の一端80aが取り付けられるので、回転体20に衝撃が加わっても、可撓性部材80は外れにくい。
【0095】
なお、可撓性部材80の一端80aの取り付けを確認するための開口または窓が不要であるので、開口または窓を介して異物(例えば流体)が空間Sに侵入することがない。
【0096】
また、回転コネクタ装置100は、第1取付部70と第1接続導体50とを有し、回転体20とは別体であり、且つ空間Sの外において回転体20に配置される第1支持体60を備える。この構成では、第1取付部70と第1接続導体50をまとめて回転体20に着脱できる。
【0097】
また、回転コネクタ装置100は、空間Sの外において回転体20に配置され、第1接続導体50と電気的に接続された第1端子400を有する第1コネクタ40をさらに備える。第1支持体60は、第1端子400を支持する。
【0098】
この構成では、第1取付部70および第1接続導体50に加えて、第1コネクタ40の第1端子400もまとめて回転体20に着脱できる。
【0099】
また、第1支持体60は、対向する第1面60aおよび第2面60bを有し、第1接続導体50は、第1面60aに配置され、第1取付部70は、第2面60bに配置される。すなわち、可撓性部材80の一端80aと導電ケーブル30の一端30aは、第1支持体60を介して互いに離れて配置される。これにより、可撓性部材80と導電ケーブル30の干渉は抑えられる。
【0100】
また、第1支持体60は、対向する第1面60aおよび第2面60bを有し、第1接続導体50は、第1面60aに配置され、第1取付部70Aは、第1面60aに配置される。この構成は、導電ケーブル30の一端30aと可撓性部材80の一端80aを重ねて配置できるので、導電ケーブル30と可撓性部材80とをまとめて引き回しやすくする。
【0101】
また、第1取付部70は、可撓性部材80を第1支持体60に接続する接続部7Aを有する。
【0102】
また、接続部7Aは、可撓性部材80の孔82に挿通されかつ第1支持体60に接続される第1加締め部700または第1加締め部700Aを有する。
【0103】
また、回転コネクタ装置100は、可撓性部材80の一端80aを導電ケーブル30に取り付ける第1ケーブル取付部710をさらに備え、可撓性部材80の一端80aは、第1ケーブル取付部710と導電ケーブル30とを介して第1取付部70Bおよび第1取付部70Cに取り付けられる。
【0104】
また、導電ケーブル30は、導線32と、熱可塑性樹脂を含み且つ導線32を被覆する被覆材34と、を有し、第1ケーブル取付部710は、被覆材34が可撓性部材80に溶着した溶着部712を有してもよい。
【0105】
この構成は、導電ケーブル30の構成を第1ケーブル取付部710として利用する。従って、この構成は、第1ケーブル取付部710のためだけの構成を省略することができる。また、溶着は、可撓性部材80を導電ケーブル30に引っかける場合に比べて、より確実に可撓性部材80を導電ケーブル30に取り付けることができる。
【0106】
また、第1ケーブル取付部710は、可撓性部材80および導電ケーブル30の一方に設けられた挿通孔340~346のいずれかと、可撓性部材80および導電ケーブル30の他方に設けられ且つ挿通孔340~346のいずれかに挿通される挿通片380~386のいずれかと、を有してもよい。
【0107】
また、回転コネクタ装置100は、空間Sの外において固定体10に配置され且つ導電ケーブル30の他端80bが電気的に接続される第2接続導体55と、固定体10とは別体であり且つ空間Sの外において固定体10に配置され且つ可撓性部材80の他端80bが取り付けられる第2取付部75と、をさらに備えてもよい。
【0108】
この構成によれば、可撓性部材80の他端80bを取り付けるための構造は、固定体10および回転体20の間の空間Sにおける固定体10に、必要とならない。また、可撓性部材80の他端80bの取り付けを確認するための開口または窓は固定体10に不要である。さらに、固定体10に衝撃が加わったとしても、可撓性部材80の他端80bは、固定体10から外れにくい。
【0109】
また、回転コネクタ装置100は、第2取付部75と第2接続導体55とを有し、固定体10とは別体であり、且つ空間Sの外において固定体10に配置される第2支持体65をさらに備えてもよい。この構成によれば、第2接続導体55と第2取付部75とをまとめて固定体10に着脱できる。
【0110】
また、回転コネクタ装置100は、空間Sの外において固定体10に配置され、第2接続導体55と電気的に接続された第2端子450を有する第2コネクタ45をさらに備え、第2支持体65は、第2端子450を支持する。
【0111】
この構成では、第2取付部75および第2接続導体55に加えて、第2コネクタ45の第2端子450もまとめて固定体10に着脱できる。
【0112】
また、第2取付部75は、可撓性部材80の孔84に挿通されかつ第2支持体65に接続される第2加締め部750を有する。
【0113】
また、回転コネクタ装置100は、可撓性部材80の他端80bを導電ケーブル30に取り付ける第2ケーブル取付部720をさらに備える。可撓性部材80の他端80bは、第2ケーブル取付部720と導電ケーブル30とを介して第2取付部75に取り付けられる。
【0114】
また、回転コネクタ装置100の組立方法は、固定体10と固定体10に対して回転軸AX周りに回転可能に固定体10に組付けられた回転体20との間の空間Sの外において、回転体20に配置された第1接続導体50に、導電ケーブル30の一端30aを電気的に接続し、第1接続導体50を介した伝送経路を構成するように、導電ケーブル30の他端30bを固定体10に接続し、空間Sの外において回転体20に配置された第1取付部70に、可撓性部材80の一端80aを接続し、可撓性部材80が伝送経路を構成しないように、可撓性部材80の他端80bを固定体10に接続し、導電ケーブル30と、可撓性部材80とを空間Sに配置することを含む。
【0115】
この方法は、予め第1取付部70に可撓性部材80の一端80aを取り付ければよいので、固定体10および回転体20の間の空間Sにおいて可撓性部材80の一端80aを回転体20に取り付ける必要がない。従って、この方法は、可撓性部材80の一端80aを簡単に回転体20に取り付けることができ、回転コネクタ装置100の組立を簡単にできる。また、この方法は、回転体20に開口または窓を設ける必要もないし、開口または窓を介して可撓性部材80の一端80aの取り付けを確認する必要もない。
【0116】
なお、上述の例では、回転コネクタ装置100は、第1取付部70と第1接続導体50を支持する第1支持体60を備えていたが、第1支持体60は省略されてもよい。例えば、第1取付部70は、第1空間S1において着脱自在に(別体として)回転体20に配置され、第1接続導体50は、第1空間S1において回転体20に固定されてもよい。同様に、第2取付部75は、第2空間S2において、着脱自在に固定体10に(別体として)配置され、第2接続導体55は、第2空間S2において固定体10に固定されてもよい。
【0117】
また、第1コネクタ40および第2コネクタ45は省略されてもよい。すなわち、第1端子400、第1カバー402、第2端子450、および第2カバー452は省略されてもよい。
【0118】
また、上述の例では、第1加締め部700は、第1支持体60の第1面60aまたは第2面60bに配置されたが、他の面に配置されてもよい。同様に、第2加締め部750は、第2支持体65の第1面65aおよび第2面65b以外の面に配置されてもよい。さらに、第1取付部70および第2取付部75は、加締め構造以外の構造を備えてもよい。例えば、第1取付部70および第2取付部75は、接着構造、溶着構造、又は引っかけ構造を備えてもよい。ただし、加締め構造は、他の構造に比べて、簡易な工程でより確実に可撓性部材80を取り付けることができる。
【0119】
また、上述の例では、第2取付部75は省略されてもよい。すなわち、可撓性部材80の他端80bは、空間Sにおいて固定体10に取り付けられてもよい。
【0120】
また、第1接続導体50は、部分的に空間Sに配置されてもよい。すなわち、第1接続導体50は、第1空間S1から空間Sに亘って配置されてもよい。第2接続導体55は、部分的に空間Sに配置されてもよい。すなわち、第2接続導体55は、第2空間S2から空間Sに亘って配置されてもよい。さらに、第1支持体60および第2支持体65も、部分的に空間Sに配置されてもよい。
【0121】
なお、本願においては、「備えている」およびその派生語は、構成要素の存在を説明する非制限用語であり、記載されていない他の構成要素の存在を排除しない。これは、「有している」、「含んでいる」およびそれらの派生語にも適用される。
【0122】
本願において、「第1」や「第2」などの序数は、単に構成を識別するための用語であって、他の意味(例えば特定の順序など)は有していない。例えば、「第1要素」があるからといって「第2要素」が存在していることを暗に意味しているわけではなく、また「第2要素」があるからといって「第1要素」が存在していることを暗に意味しているわけではない。
【0123】
また、本開示における「平行」「直交」および「一致」の表現は、厳密に解釈されるべきではなく、「実質的な平行」「実質的な直交」および「実質的な一致」の意味をそれぞれ含む。また、その他の配置に関する表現も、厳密に解釈されるものではない。
【0124】
上記の開示内容から考えて、本発明の種々の変更や修正が可能であることは明らかである。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、本願の具体的な開示内容とは別の方法で本発明が実施されてもよい。
【符号の説明】
【0125】
100 :回転コネクタ装置
10 :固定体
20 :回転体
30 :導電ケーブル
40 :第1コネクタ
45 :第2コネクタ
50 :第1接続導体
55 :第2接続導体
60 :第1支持体
65 :第2支持体
70 :第1取付部
75 :第2取付部
80 :可撓性部材