IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中国科学院上海硅酸塩研究所の特許一覧

特許7085652熱分析装置用の炉体及びそれを備えた熱分析装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-08
(45)【発行日】2022-06-16
(54)【発明の名称】熱分析装置用の炉体及びそれを備えた熱分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 25/00 20060101AFI20220609BHJP
【FI】
G01N25/00 K
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020571465
(86)(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 CN2019107495
(87)【国際公開番号】W WO2020088151
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2020-12-21
(31)【優先権主張番号】201811267620.6
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811267618.9
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510087966
【氏名又は名称】中国科学院上海硅酸塩研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】楊 莉萍
(72)【発明者】
【氏名】汪 文兵
(72)【発明者】
【氏名】陶 冶
(72)【発明者】
【氏名】李 会東
(72)【発明者】
【氏名】鐘 秋
(72)【発明者】
【氏名】徐 子君
(72)【発明者】
【氏名】▲ロゥオ▼ 彩云
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105588854(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101113965(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101963588(CN,A)
【文献】米国特許第05842788(US,A)
【文献】特許第5942889(JP,B2)
【文献】特開平07-270299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 25/00,25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の炉体本体と、前記炉体本体の下方に位置する加熱システムと、炉体本体の下方に位置する冷却システムと、を含み、
前記炉体本体は、断面形状がダンベル状であり、内部において対称な2つの試料チャンバーが設けられ、中央部位においてチャンバー内気体が流れる通気通路である孔が設けられており、
前記加熱システムは、2つ以上の熱伝導柱と、前記熱伝導柱の外面に巻き付けられる2組以上のヒーターとを含み、
前記冷却システムは、中空であり且つ一端が冷熱伝達面として封止され、他端が開放されている冷熱伝導部材と、中空であり且つ隙間をあけて前記冷熱伝導部材の内部に入れ子式に内蔵されている冷媒ノズルと、前記冷熱伝導部材の開放されている端側に位置する冷媒入口管及び冷媒出口管と、前記冷熱伝導部材の開放されている端及び前記冷媒ノズルにおける前記冷熱伝達面から遠い端とそれぞれシール接続されるトランジション継手と、を含み、
複数の前記熱伝導柱は、前記炉体本体の対称な2つの試料チャンバーの下方に軸対称に配置されており、
前記ヒーターは、対称になるように前記熱伝導柱上に巻き付けられる加熱線を含み、
前記冷媒ノズルの内壁と前記トランジション継手とは、冷媒内腔を形成しており、
前記冷媒ノズルの外壁と前記冷熱伝導部材の内壁とは、冷媒外腔を形成しており、
前記冷媒入口管と前記冷媒内腔とは連通されており、前記冷媒出口管と前記冷媒外腔とは連通されており、
前記熱伝導柱は下方において前記冷却システムに接続されており、前記熱伝導柱の下面は冷熱伝導面となっている、ことを特徴とする熱分析装置用の炉体。
【請求項2】
前記加熱線はバイファイラ巻きである、請求項1に記載の熱分析装置用の炉体。
【請求項3】
前記炉体の部材または材料はいずれも非磁性材料を採用している、請求項1に記載の熱分析装置用の炉体。
【請求項4】
前記熱伝導柱と前記炉体本体とは、別体に設けられ、収縮ディスク、ネジ若しくは溶接方式によって接続され、または一体化加工により一体的になっている請求項1に記載の熱分析装置用の炉体。
【請求項5】
前記炉体本体と前記熱伝導柱の材料はいずれも熱伝導率の高い材料である、請求項1に記載の熱分析装置用の炉体。
【請求項6】
前記ヒーターは抵抗加熱線であり、絶縁処理した後に前記熱伝導柱上に巻き付けられる、請求項1に記載の熱分析装置用の炉体。
【請求項7】
前記絶縁処理は、単孔セラミック短柱、鎧装または絶縁被覆である、請求項6に記載の熱分析装置用の炉体。
【請求項8】
前記冷熱伝導部材は多孔ループを含む、請求項1に記載の熱分析装置用の炉体。
【請求項9】
前記冷媒ノズルは、前記冷熱伝達面に近い端に細孔が設けられている、請求項1に記載の熱分析装置用の炉体。
【請求項10】
前記トランジション継手には、第1切欠と第2切欠が形成されており、前記第1切欠は、前記冷媒内腔と前記冷媒入口管とを連通する通路として利用されており,前記第2切欠は、前記冷媒外腔と前記冷媒出口管とを連通する通路として利用されている、請求項1に記載の熱分析装置用の炉体。
【請求項11】
前記冷媒入口管は、前記冷媒内腔の延在方向に前記トランジション継手を介して前記冷媒内腔にシール接続されて連通されており、前記冷媒出口管は、前記冷媒外腔の延在方向に前記トランジション継手を介して前記冷媒外腔にシール接続されて連通されている、請求項1に記載の熱分析装置用の炉体。
【請求項12】
前記冷媒入口管と、前記冷媒ノズルと、前記冷熱伝導部材と、前記トランジション継手と、前記冷媒出口管とを別体で加工してから、前記冷却システムを組み立てる、請求項1に記載の熱分析装置用の炉体。
【請求項13】
前記冷媒入口管と、前記冷媒ノズルと、前記冷熱伝導部材と、前記トランジション継手と、前記冷媒出口管とは一体化成形されている、請求項1に記載の熱分析装置用の炉体。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1つに記載の炉体を備える、熱分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱分析装置用の炉体及それを備えた熱分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、熱分析技術は、プログラムされた温度制御を行いながら、物質に対し温度による物理的性質の変化を測定し、ある特定の温度において物質に生じる熱学、力学、音響学、光学、電気学、磁気学などの物理的パラメータの変化を研究するために使われる重要な分析・試験方法である。さらに、技術的手法によっては対応する熱分析装置が異なるが、通常、熱分析装置には、温度コントローラ、炉体、物理検出手段、雰囲気コントローラ、及びデータ処理システムが含まれている。その中で、炉体は熱分析装置のコア部品として、試料のために、計測に必要である温度が均一化された環境の提供をサポートしている。
【0003】
具体的には、示差走査熱量測定法(Differential Scanning Calorimetry、DSC)、示差熱分析(Differential Thermal Analysis、略称:DTA)、熱重量分析計(Thermo Gravimetric Analyzer、略称:TGA)、及び動的熱機械分析(Dynamic Thermomechanical Analysis、略称:DMA)などに分けられる。
【0004】
示差走査熱量測定法に必要な示差走査熱量測定計(以下、単にDSCと称する場合もある)は、上記した熱分析装置の一種であって、最も広く利用されている熱分析装置の一種であり、試料に対しプログラムされた温度制御を行いながら、試料と参照物とに対し、温度または時間による熱流差の変化を観察する試験機器である。また、磁場環境は、材料の相形成及び性能に影響を与えることもできることから、材料の新現象とメカニズム研究に大きな科学的価値がある。
【0005】
しかしながら、商品化された熱流束型示差走査熱量測定計の昇降温速度は、ほとんど100 K/minの範囲内にあり、しかも機器の全温度領域範囲内において常時実現されることができない。また、磁場環境に適用される示差走査熱量測定計に関する研究はほとんど初期段階である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記問題に対して、本発明の目的は、高速昇降温を実現できる熱分析装置用の炉体及びそれを備えた熱分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る熱分析装置用の炉体は、中空の炉体本体と、前記炉体本体の下方に位置する加熱システムと、炉体本体の下方に位置する冷却システムと、を含み、
前記炉体本体は、断面形状がダンベル状であり、内部において対称な2つの試料チャンバーが設けられ、中央部位においてチャンバー内気体が流れる通気通路である孔が設けられており、
前記加熱システムは、2つ以上の熱伝導柱と、前記熱伝導柱の外面に巻き付けられる2組以上のヒーターとを含み、
前記冷却システムは、中空であり且つ一端が冷熱伝達面として封止され、他端が開放されている冷熱伝導部材と、中空であり且つ隙間をあけて前記冷熱伝導部材の内部に入れ子式に内蔵されている冷媒ノズルと、前記冷熱伝導部材の開放されている端側に位置する冷媒入口管及び冷媒出口管と、前記冷熱伝導部材の開放されている端及び前記冷媒ノズルにおける前記冷熱伝達面から遠い端とそれぞれシール接続されるトランジション継手と、を含み、
複数の前記熱伝導柱は、前記炉体本体の対称な2つの試料チャンバーの下方に軸対称に配置されており、
前記ヒーターは、対称になるように前記熱伝導柱上に巻き付けられる加熱線を含み、
前記冷媒ノズルの内壁と前記トランジション継手とは、冷媒内腔を形成しており、
前記冷媒ノズルの外壁と前記冷熱伝導部材の内壁とは、冷媒外腔を形成しており、
前記冷媒入口管と前記冷媒内腔とは連通されており、前記冷媒出口管と前記冷媒外腔とは連通されている。
【0008】
本発明によれば、本発明は先行技術に比べると、以下の技術的効果を奏する。
1、本発明の炉体本体はダンベル状を採用しているため、従来の円形を採用するものに比べて体積が小さくなり、炉体がコンパクトな構造を有し、比熱を効果的に低減し、また試料が均一に包まれ熱を対称的に受けることができる。
2、本発明の加熱システムは複数の熱伝導柱を利用して熱を伝えるため、従来の単一円柱を利用するものに比べて伝熱面積を効果的に増加させ、熱が炉心に近づけることにより、熱損失を低減し、昇温速度を向上させる。
3、本発明の加熱システムにおける熱伝導柱及びヒーターの数はいずれも2以上であるため、伝熱面積を増加させるとともに、高出力の加熱を実現し、より均一に加熱することができる。
4、本発明の冷却システムは巧みな二重構造を採用し、従来の冷却システムに比べて冷熱伝達経路が短くなり、冷熱伝達效率が高くなり、冷却效果を大幅に向上させることができる。
5、本発明の加熱システム及び冷却システムは、いずれも炉体本体の直下に垂直に配置されており、コンパクトな構造を有し、炉体の体積が小さくなり、このように磁石の狭い隙間孔中に容易に取り付けることができ、磁場環境下での測定を実現するためのハードウェア要件を提供することができる。
【0009】
本発明において、前記加熱線はバイファイラ巻きであってもよい。これにより、ヒーターは対応する熱伝導柱にバイファイラ巻きで巻き付けられる。具体的には、1つの加熱線を2つに折ってバイファイラ巻きで前記熱伝導柱上に同期して巻き付け、即ち加熱電流が一方から流入し、隣接する他方から流出する。これにより、抗加熱線自体によってもたらされる磁気効果を排除し、加熱線と外部の磁場環境との干渉を低減できる。
【0010】
本発明において、前記炉体の部材または材料はいずれも非磁性材料を採用してもよい。これにより、磁場環境下での測定に適用でき、装置の材料によってもたらされる磁気干渉を排除し、測定精度を向上させる。
【0011】
本発明において、前記熱伝導柱は下方において冷却システムに接続されており、前記熱伝導柱の下面は冷熱伝導面となってもよい。これにより、炉体は低温測定を実現できる。
【0012】
本発明において、前記熱伝導柱と前記炉体本体とは、別体に設けられ、収縮ディスク、ネジ若しくは溶接方式によって接続され、または一体化加工により一体的になってもよい。
【0013】
本発明において、前記炉体本体と前記熱伝導柱の材料はいずれも熱伝導率の高い材料であってもよい。これにより、炉体は均一な温度を迅速に実現させ、試料の測定のために安定で温度均一な環境を提供できる。
【0014】
本発明において、前記ヒーターは抵抗加熱線であり、絶縁処理した後に前記熱伝導柱上に巻き付けられてもよい。これにより、ヒーターの抵抗は昇温過程において比較的安定し、温度制御を安定させやすくなる。
【0015】
本発明において、所述抵抗加熱線の材両者はニッケルクロム合金線であってもよい。これにより、ヒーターは磁性がないため、磁場環境での計測に対する影響を排除でき、さらにヒーターは高温で酸化しにくく、ヒーターの寿命を延長できる。
【0016】
本発明において、前記絶縁処理は、単孔セラミック短柱、鎧装または絶縁被覆であってもよい。これにより、ヒーターに絶縁を確実に行うことが実現される。
【0017】
本発明において、前記冷熱伝導部材は多孔ループを含んでもよい。これにより、冷熱伝導部材の内壁に沿って流れ落ちる冷却媒体を二次気化させることができ、冷却媒体をより十分に気化させ、冷熱量をより効率的に冷熱伝導部材20に伝えることができる。
【0018】
本発明において、前記冷媒ノズルは、前記冷熱伝達面に近い端に細孔が設けられてもよい。これにより、少量の冷媒は冷媒内腔の側壁面から噴出されて気化して、冷却システムにおける冷熱伝達面よりも下方の部材環境を予め冷却でき、更なる保温効果があり、冷熱量を冷熱伝達面方向にさらに十分に伝えることができる。
【0019】
本発明において、前記トランジション継手には、第1切欠と第2切欠が形成されており、前記第1切欠は、前記冷媒内腔と前記冷媒入口管とを連通する通路として利用されており,前記第2切欠は、前記冷媒外腔と前記冷媒出口管とを連通する通路として利用されてもよい。これにより、本発明のトランジション継手は、巧みな構造で二重構造の通路の流れを構成し、コンパクトな構造を有し且つ寸法が部分的に減少される。
【0020】
本発明において、前記冷媒入口管は、前記冷媒内腔の延在方向に前記トランジション継手を介して前記冷媒内腔にシール接続されて連通されており、前記冷媒出口管は、前記冷媒外腔の延在方向に前記トランジション継手を介して前記冷媒外腔にシール接続されて連通されてもよい。これにより、本発明の冷媒入口管及び冷媒出口管は、内外2つのキャビティの延在方向に配置されているため、当該配置方法は従来の冷却部品を備えるものに比べて、コンパクトな構造が実現され、全体的に寸法が縮小され、適用性が向上するという利点がある。
【0021】
本発明において、前記冷媒入口管と、前記冷媒ノズルと、前記冷熱伝導部材と、前記トランジション継手と、前記冷媒出口管とを別体で加工してから、前記冷却システムを組み立ててもよい。これにより、製造コストを削減できるだけでなく、取外し及びメインテナンスを容易に行うことができ、一部交換に有利であり、人力や物資を節約することができる。
【0022】
本発明において、前記冷媒入口管と、前記冷媒ノズルと、前記冷熱伝導部材と、前記トランジション継手と、前記冷媒出口管とは一体化成形されてもよい。これにより、部材間の組立誤差を大幅に低減し、シール性を最大限確保できる。
【0023】
本発明において、前記一体化成形は3Dプリンタであってもよい。
【0024】
もう1つの発明は上記炉体を備える熱分析装置をさらに提供している。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る熱分析装置用の炉体は高速昇降温を実現できるだけでなく、磁場のある環境でもない環境でも測定を正確に実行できる。下記の実施形態に基いて、図面を参照しながら、本発明の上述内容及びその目的、特徴、利点をより良く説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明に係る熱分析装置用の炉体の斜視図である。
図2図2は、図1に示す炉体の正面図である。
図3図3は、図1に示す炉体の側面図である。
図4図4は、図1に示す炉体の平面図である。
図5図5は、A-A矢視断面図である。
図6図6は、図1に示す炉体における冷却システムの断面図である。
図7図7は、本発明に係る炉体が適用された示差走査熱量測定計の部分断面図である。
図8図8は、本発明の炉体を搭載した示差走査熱量測定計の構造全体の概略図である。
図9図9は、本発明に係る炉体が適用された示差走査熱量測定計について実験により検証した昇降温曲線図である。
図10図10は、本発明に係る炉体を超伝導磁石(Superconducting magnet)中に配置して計測を行うことを示す概略図である。
図11A図11Aは、本発明に係る炉体が適用された示差走査熱量測定計について実験により検証した昇降温曲線図のオリジナル実験データを示す表である。
図11B図11Bは、本発明に係る炉体が適用された示差走査熱量測定計について実験により検証した昇降温曲線図のオリジナル実験データを示す表である。
図11C図11Cは、本発明に係る炉体が適用された示差走査熱量測定計について実験により検証した昇降温曲線図のオリジナル実験データを示す表である。
図11D図11Dは、本発明に係る炉体が適用された示差走査熱量測定計について実験により検証した昇降温曲線図のオリジナル実験データを示す表である。
図11E図11Eは、本発明に係る炉体が適用された示差走査熱量測定計について実験により検証した昇降温曲線図のオリジナル実験データを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を、添付図面及び下記の実施形態を結びつけてさらに説明する。添付図面及び下記の実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。各図において同一又は対応する符号を付した要素は、同一の部品であることを示し、重複する説明は省略する。
【0028】
ここで熱分析装置用の炉体を開示している。図1は本発明に係る炉体の斜視図である。図2図1に示す炉体の正面図である。図3図1に示す炉体の側面図である。図4図1に示す炉体の平面図である。図5はA-A矢視断面図である。図6図1に示す炉体における冷却システムの断面図である。
【0029】
図1乃至図6に示すように、本発明に係る熱分析装置用の炉体は、中空の炉体本体100と、炉体本体100の下方に位置する加熱システム90と、炉体本体100の下方に位置する冷却システム80と、を含む。さらに、炉体本体100は、断面形状がダンベル状であり、内部に対称な2つの試料チャンバー、即ち右チャンバー5と左チャンバー6とが設けられている。形状はこれに限らず、対称な構造であればよい。
【0030】
具体的に、右・左チャンバー5,6内には、それぞれ熱流センサ9が左右対称に配置されており、次に、それぞれの熱流センサ9の上面に左坩堝15と右坩堝16が対称に配置され、左坩堝15及び右坩堝16が左チャンバー6及び右チャンバー5の内部に位置している。さらに、炉体本体100の中心部、即ち右・左チャンバー5,6の間の部位には、チャンバー内気体が流れるための孔7が設けられている。後述する図7に示すガス管13は当該孔7に接続しており、且つ図3に示す温度制御センサ10は炉体本体100の底部に埋め込まれている。ガス管13は、加熱システム90の領域及び冷却システム80の領域を通過し、ガスに対する予熱機能または予冷機能を備え、温度制御センサ10は、炉体本体の底部に埋め込まれ、試料チャンバーの温度を正確に反映できる。
【0031】
本実施形態では、加熱システム90は、それぞれ対称になるように炉体本体100の下方に設けられている右熱伝導柱1と、左熱伝導柱2との2本の滑走路形の熱伝導柱からなる。加熱システム90と炉体本体100とは、別体に設けられ、収縮ディスク (shrink disk)、ネジまたは溶接によって接続されてもよく、一体化加工により一体的に製造されてもよい。また、熱伝導柱の側面が熱伝導面となっており、熱伝導柱の横断面が伝熱面積となっている。また、加熱システム90の下端面は冷熱伝導面8となり、冷却システムの上端面、即ち冷熱伝達面11と密接している。加熱システム90の熱伝導柱及び炉体本体100の材料は、熱伝導率の高い材料であり、例えば銀であってよいが、これに限られず、熱伝導率が100 W/m・K以上であればよい。熱伝導率の高い材料として、銀、銅、アルミニウムなどが挙げられるが、炉体本体と熱伝導柱とは必ずしも同一の材料を用いる必要はない。なお、加熱システム90の熱伝導柱の数および形状はこれに限られず、例えば2つ以上であってもよく、対称的かつ均一に熱を伝達できる構造に形成すればよい。
【0032】
本実施形態では、上記の構造に対応して、加熱システム90のヒーターは左ヒーター3と右ヒーター4との2組のヒーターからなるが、これに限られず、ヒーターの数が熱伝導柱の数以下であればよい。また、それぞれのヒーターはバイファイラ巻きの抵抗加熱線からなり、絶縁処理後、熱伝導柱に対称的に巻き付けられる。具体的に、ヒーターを構成する抵抗加熱線をセラミック短柱に通すことで絶縁を実現し、絶縁を行った抵抗加熱線がそれぞれ対応する右熱伝導柱1及び左熱伝導柱2にバイファイラ巻きで巻き付けられることによって、加熱システム90のヒーターが構成される。本実施形態では、ヒーターに用いられる抵抗加熱線は、非磁性のニッケルクロム合金線であるが、これに限定されない。具体的に、利用される非磁性のニッケルクロム合金線は、磁性がないため、磁場環境での計測に対する影響を排除でき、また、高温下で酸化しにくく、ヒーターの寿命を延長する。ただし、磁場環境への適用を考慮しない場合は、鉄・クロム・アルミ合金(FeCrAl合金)など他の材料を選択することができる。
【0033】
なお、加熱システム90のヒーターは2組に限定されず、均一加熱が可能であれば、数が特に限定されず、各組のヒーターを直列または並列に接続することができる。さらに、ヒーターの数と熱伝導柱の数は必ずしも一対一対応ではなく、ヒーターの数はせいぜい熱伝導柱の数でる。なお、ヒーターの加熱線の本数は特に限定されないが、バイファイラ巻きの方は最適であって、当該加熱線から発生する磁場を相殺するためである。
【0034】
また、上記の絶縁処理は、単孔セラミック短柱、鎧装または絶縁被覆などを行ってもよい。絶縁処理は、好ましくは単孔セラミック短柱を使用し、即ち加熱線の外周にいくつかのセラミック短柱を外嵌することで、ヒーターと熱伝導柱との間の電気的分離を実現する。これにより、ヒーターに対し絶縁を確実に実現し、また、ヒーターの熱膨張及び冷収縮による幾何学的寸法変化に起因する影響がセラミック短柱間の微小隙間によって解決される。セラミック柱は熱伝導率が高いので、加熱線の熱を熱伝導柱に素早く伝えることができる。また、セラミック短柱間の隙間によって、熱伝導柱との熱交換を対流方式で強化することができる。ただし、単孔セラミック短柱以外に、鎧装または絶縁被覆により絶縁を実現することができる。
【0035】
本実施形態では、冷却システム80は二重構造であり、冷媒入口管17、冷媒ノズル19、冷熱伝導部材20、トランジション継手23及び冷媒出口管18などにより構成されている。図6の矢印に示すように、冷却媒体は、冷媒入口管17から冷媒内腔81内に流れ込んで、冷媒ノズル19により冷熱伝導部材20の内面に噴射されて気化し、気化した冷却媒体が冷媒外腔82に流れ込んだ後、冷媒出口管18により排出される。
【0036】
本実施形態では、冷熱伝導部材20は中空の長尺筒状部材であり、一端が封止され、他端が開放されており、且つ封止された端部が冷熱伝達面11となっており、開放された端部が受口22となっている。具体的に、冷熱伝導部材20は当該薄肉の冷熱伝達面11を介して冷却媒体の冷熱量を炉体に伝わり、これによって内部の冷熱伝達経路が従来の冷却部品と比べて大きく短縮され、冷熱量を熱分析装置の炉体に素早く伝えることができる。又、冷熱伝達面11は、製造コストの低い平滑面に形成されてもよく、熱交換面積の大きい凹凸面に形成されてもよい。又、冷熱伝導部材20は多孔ループ21を更に含んでもよく、そうすると、冷熱伝導部材20の内壁に沿って流れ落ちる冷却媒体を二次気化させることができ、冷却媒体をより十分に気化させ、冷熱量をより効率的に冷熱伝導部材20に伝えることができる。又、本発明では、冷却媒体は、機械式冷却用冷却作業物質であってもよく、液体窒素や液体ヘリウムなどであってもよい。
【0037】
トランジション継手23には、冷媒ノズル19に対応する寸法を有する係止口24と、冷熱伝導部材20に対応する寸法を有し且つ係止口24の下方に位置する差口25と、連通路として互いに独立している第1切欠28,第2切欠29と、第1切欠28,第2切欠29にそれぞれ接続される第1接続口26,第2接続口27と、が形成されている。冷熱伝導部材20の受口22と、トランジション継手23の差口25とはネジシールや溶接などによってシール接続されているが、これに限定されない。本実施形態では、第1切欠28は貫通穴構造であり、冷媒内腔81と冷媒入口管17を連通する通路として利用されており、その一端が冷媒内腔81に通じ、他端が第1接続口26と連通されている。第2切欠29は止まり穴構造であり、止まり穴の底部の側面には冷媒外腔82と連通されている切欠29aが切欠かれており、第2切欠29の他端が第2接続口27と連通され、冷媒外腔82と冷媒出口管18を連通する通路として利用されている。これにより、トランジション継手23によって、巧みな構造で二重構造の通路の流れを構成し、コンパクトな構造を有し、寸法が部分的に減少される。
【0038】
冷媒ノズル19は、冷熱伝導部材20よりも直径が小さい中空の長尺筒状部材であり、隙間をあけて冷熱伝導部材20の内部に入れ子式に内蔵されている。冷媒ノズル19は、冷却媒体を噴射するための細孔が冷熱伝達面11に近い端に設けられている。具体的には、当該一端の上端面及び上端面に近い側壁面にそれぞれ細孔が設けられている。本発明では、需要に応じて、上端面に比較的多数の細孔を設けることが必要である可能性があるが、側壁面に少量の細孔だけを設ければよい。冷媒ノズル19の他端(即ち、細孔から遠い端)は、ランジション継手23的係止口24に溶接やネジ接続などによってシール接続されているが、これに限定されない。
【0039】
又、図6に示すように、冷媒ノズル19の内壁とトランジション継手23とは冷媒内腔81を形成しており、冷媒ノズル19の外壁と冷熱伝導部材20の内壁とは冷媒外腔82を形成している。トランジション継手23の第1接続口26は冷媒入口管17と接続されるポートであり、シール接続を行い、例えば、ネジ接続や溶接などが挙げられるが、これに限定されない。トランジション継手23の第2接続口27は冷媒出口管18と接続されるポートであり、シール接続を行い、例えば、ネジ接続や溶接などが挙げられるが、これに限定されない。具体的には、冷媒入口管17がトランジション継手23上の第1切欠28及び第1接続口26を介して冷媒内腔81と連通され、冷媒出口管18がトランジション継手23上の第2切欠29及び第2接続口27を介して冷媒外腔82と連通されることによって、内外二重の構造が形成されており、従来の構造に比べて冷却効果を大幅に向上できる。
【0040】
又、冷媒入口管17及び冷媒出口管18は、同じ端部に位置し且つ内外二重構造のキャビティの延在方向(即ち、本実施形態では鉛直方向)においてそれぞれトランジション継手23を介して冷媒内腔81及び冷媒外腔82と連通されている。冷媒入口管17及び冷媒出口管18は、冷却システムの下部に略垂直に配置されている。これにより、冷媒入口管17及び冷媒出口管18は、鉛直に配置され且つ略並列に構成されているため、当該配置方法は従来の冷却部品に比べて、コンパクトな構造が実現され、寸法が全体的に縮小され、適用性が向上するという利点がある。
【0041】
なお、本発明では、冷媒入口管17、冷媒ノズル19、冷熱伝導部材20、トランジション継手23及び冷媒出口管18を別体で加工してから、冷却システム80を組み立てることができる。こうすることで、製造コストを削減できるだけでなく、取外し及びメインテナンスを容易に行うことができ、一部交換に有利であり、人力や物資を節約することができる。一方、冷媒入口管17、冷媒ノズル19、冷熱伝導部材20、トランジション継手23及び冷媒出口管18を、3Dプリンタなどで一体的に成形することができる。こうすることで、部材間の組立誤差を大幅に低減し、シール性を最大限確保できる。
【0042】
以上により、本実施形態の冷却システムでは、冷熱伝導部材の封止された端の表面が冷熱伝達面となり、当該薄肉のフラットを介して冷熱量を炉体に伝えるため、冷熱伝達経路が短くなり、従来の冷却部品に比べて、冷熱量を熱分析装置の炉体に素早く伝えることができる。又、冷媒入口管がトランジション継手を介して冷媒内腔と連通され、冷媒出口管がトランジション継手を介して冷媒外腔と連通されることによって、内外二重構造が形成されている。内層構造では、冷媒ノズルの上端面に設けられた多数の細孔により、冷媒が内層を通って外層に入る瞬間に十分に気化して、気化潜熱を放出することができる。冷媒が気化したガスは外層構造を通って排出される。外層構造は冷熱伝達面の下方に配置され且つ一定の保温効果があり、冷熱量を冷熱伝達面方向へ十分に伝え、冷熱量を熱分析装置の炉体に十分に伝えることができる。
【0043】
なお、本発明では、各部材はいずれも非磁性材料からなる。これにより、磁場環境下での測定に適用できる。
【0044】
図7は、本発明に係る炉体が適用された示差走査熱量測定計の部分断面図である。図8は、本発明の炉体を搭載した示差走査熱量測定計の構造全体の概略図である。図面に示すように、保温層12は、炉体本体100、加熱システム90及び冷却システム80の外周に位置し、換言すれば、一定の間隔をあけて上述の各要素を取り囲んでいる。炉蓋14は、炉体本体100の上面を覆っている。冷却システム80は、液体窒素を冷媒とする冷却部品、または機械式冷却用部品であってよい。また、加熱システム90における熱伝導柱の下面は、冷却システム80の上端面に接続されており、その接続方法はネジ接続であってもよく、溶接であってもよく、特に限定されず、接触面同士が密着してシール性が確保されればよい。
【0045】
保温層12の構造として、内層がステンレス製の断熱スクリーンを採用し、外層がエアロゲルなど熱伝導率の低い断熱材を採用しており、こうして高温領域の熱放射部分と低温領域の熱伝導部分を効果的に遮断する。炉蓋14は、炉体本体100に対してシール及び保温効果を実現する。
【0046】
又、図3に示すように、温度制御センサ10は、炉体本体100の下部において穴に埋め込むように取り付けられ、高温接着剤で固定されてもよく、炉体の温度を測定するために用いられる。図7に示すように、熱流センサ9は炉体本体100のチャンバー内に取り付けられている。熱流センサ9はその中央に1つの貫通穴が設けられ、ボルトによって炉体本体100と接続され、左坩堝15と右坩堝16との熱流差信号を計測するために用いられ、また、ボルトの中心にはガス通路として1つの貫通穴が別途設けられている。ガス管13は、上端面に設けられた雌ネジによって熱流センサ9の接続ボルトと接続され、左チャンバー6及び右チャンバー5に対して掃気を供給するために利用されている。上記部品はいずれも本分野の周知構造であって、発明を限定するものではなく、必要に応じて柔軟に変更することができる。
【0047】
図8に示すように、示差走査熱量測定計の構造全体が概略的に示されている。具体的に操作する際、左坩堝15内に検体試料を入れ、右坩堝16は参照物として空いたままである。その後、CPU50は検体試料に必要なプログラム制御温度に基づいて指令を送り、温度制御システム51は指令を受けた後、加熱電源52及び冷媒53を制御して炉体本体100に対する昇温または降温試験を行う。その同時に、CPU50は検体試料に必要な掃気量に基づいて、一定の流量で炉体本体100のチャンバーを掃気するようにガス通路制御手段55を制御する。この過程において、炉温56は、即ち温度制御センサ10により測定された炉体本体100の実温度であり、温度制御システムは、炉温56の値と目標温度値をリアルタイムに比較し、PID温度制御アルゴリズムを用いて炉体本体100の炉温56を高精度に制御することによって、試料の測定のために高精度で温度均一な環境を提供し、熱流センサ9により測定された熱流差信号57が計測手段54により採取されて出力され、このようにして検体試料に対する測定タスクを完了した。
【0048】
本発明に係る炉体によれば、ダンベル状の炉体本体100を採用したため、従来の円形のものに比べて、体積が小さくなり、比熱を効果的に低減し、試料は均一に包まれ熱を対称受けることができる。又、加熱システム90は少なくとも2つの熱伝導柱を利用して熱を伝えるため、従来の単一円柱に比べて伝熱面積を効果的に増加させ、熱が炉心に近づけることにより、熱損失を低減し、昇温速度を向上させる。更に、ヒーターの数が少なくとも2つであるため、伝熱面積を増加させるとともに、高出力の加熱を実現し、また、均一に加熱することができる。又、冷却システム80は二重構造を採用しているため、気化が十分であり且つ冷熱伝達経路が短くなる。又、多孔ループによる二次気化及び保冷作用により、冷媒の冷熱量が炉体本体の方向へより十分に伝達でき、冷熱伝達效率を大幅に向上させる。なお、本発明では、全ての部品材料は非磁性材料を採用しているため、磁場環境下での測定に適用できる。更に、加熱システム90のヒーターは、対応する熱伝導柱にバイファイラ巻きで巻き付けられるため、抵抗加熱線自体によってもたらされる磁気効果を更に排除し、加熱線と外部の磁場環境との干渉を低減できる。
(実施例)
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。
【0049】
なお、以下の実施例は、本発明をさらに説明するためのものであり、本発明の特許範囲を限定すると見なされるべきではない。当業者が本発明の上記内容によって行う非本質的な改良及び調整は、共に本発明の特許範囲に属する。下記例の具体的なプロセス変量も適合範囲内の一例にすぎず、即ち、当業者が本明細書の説明により適合範囲内で選ぶことができ、下記例の具体的な数値に限定されない。
【0050】
本発明に係る炉体を示差走査熱量測定計に適用した後、電源、冷媒及びガスを入れ、制御システムに接続し、その後当該炉体に対して昇降温実験を行って炉体の昇降温性能を測る。具体的に、本実施例では、電力(electric power)を一定(892.5W)に設定し室温から973 Kまで加熱した後、加熱を停止し、液体窒素を入れて88Kまで冷却して得られた実験データの曲線図であり、液体窒素缶の出口圧力が0.16 MPa程度であり、炉体は窒素雰囲気を使用し、流量が約50ml/minである。図9は、本発明に係る炉体が適用された示差走査熱量測定計について実験により検証した昇降温曲線図である。図11A乃至図11Eは、本発明に係る炉体が適用された示差走査熱量測定計について実験により検証した昇降温曲線図のオリジナル実験データを示す表である。図9及び図11A-図11Eを参照してから分かるように、炉体は87.98Kから1001Kまでの温度範囲を実現でき、そのうち最大昇温速度は8.333K/s(約500K/min)であり、最大降温速度は-6.283K/s(約-377K/min)であり、973K以下の場合4K/s(約240K/min)の昇温速度が達成され、614K以下の場合-4K/s(約-240K/min)の降温速度が達成され、300K以下の場合-1.945K/s(約-116K/min)の降温速度が達成され、低温領域では、112K以下の場合-0.894K/s(約-53K/min)の降温速度が達成される。
【0051】
更に言えば、本発明の炉体を超伝導磁石の隙間に取り付けることができる。図10は、本発明に係る炉体を超伝導磁石中に配置して計測を行うことを示す概略図である。図10に示すように、本発明の炉体を示差走査熱量測定計に適用した後、超伝導磁石の測定孔に配置して測定を実行する。超伝導磁石30の測定孔の孔径が比較的小さいため、示差走査熱量測定計の全体寸法の小型化が要求され、また超伝導磁石を保護するために、示差走査熱量測定計の外周に図面に示す水冷ケーシング32などの水冷ケーシング部品を追加する必要があり、こうすると設備の占める体積を更に減少する必要がある。本発明の炉体31は、コンパクトな構造を有し小型であるので、上記適用要求を満たしている。実験により検証した結果、5Tの磁場下での測定の条件を満し、DSC信号の再現性が良好である。
【0052】
上記した実施形態は本発明の目的、技術方案及び有益な効果を更に詳しく説明した。上記は本発明の一形態に過ぎず、本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明の基本的な特徴を逸脱しない範囲で、本発明は様々な形態で具現化される。従って、本発明の実施形態は説明するためのものであって、制限のためのものではない。本発明の範囲は明細書ではなく、請求項に限定されており、請求項に限定された範囲、またはその限定された範囲の等価範囲内に収まる全ての変更は、特許請求の範囲に含まれる。従って、本発明の精神及び原則の範囲内での全ての修正、取替え、改良などは、本発明の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
100 炉体本体
90 加熱システム
80 冷却システム
81 冷媒内腔
82 冷媒外腔
1 右熱伝導柱
2 左熱伝導柱
3 左ヒーター
4 右ヒーター
5 右チャンバー
6 左チャンバー
7 孔
8 冷熱伝導面
9 熱流センサ
10 温度制御センサ
11 冷熱伝達面
12 保温層
13 ガス管
14 炉蓋
15 左坩堝
16 右坩堝
17 冷媒入口管
18 冷媒出口管
19 冷媒ノズル
20 冷熱伝導部材
21 多孔ループ
22 受口
23 トランジション継手
24 係止口
25 差口
26 第1接続口
27 第2接続口
28 第1切欠
29 第2切欠
29a 切欠
30 超伝導磁石
31 炉体
32 水冷ケーシング
50 CPU
51 温度制御システム
52 加熱電源
53 冷媒
54 計測手段
55 ガス通路制御手段
56 炉温
57 熱流差信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E