(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】吸収性物品、吸収性物品用の温感部材、及び温感部材の吸収性物品に貼付しての使用
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20220610BHJP
A61F 13/496 20060101ALI20220610BHJP
A61F 13/505 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
A61F13/15 140
A61F13/496
A61F13/505
(21)【出願番号】P 2017254710
(22)【出願日】2017-12-28
【審査請求日】2020-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【氏名又は名称】藤本 健治
(72)【発明者】
【氏名】小松 慎平
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雄二
(72)【発明者】
【氏名】林 俊久
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3213494(JP,U)
【文献】国際公開第2006/006656(WO,A1)
【文献】特開2008-104602(JP,A)
【文献】特開2008-099996(JP,A)
【文献】特開2005-046226(JP,A)
【文献】特開2002-000658(JP,A)
【文献】国際公開第2016/123241(WO,A1)
【文献】特開2017-064447(JP,A)
【文献】特表2008-513626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
A61L 15/16-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴周り方向に伸長可能な胴周り領域を有し、吸収体と、前記胴周り方向に伸長可能に前記胴周り領域に配置された、着用者に温感を付与する温感部材とを備える吸収性物品であって、
前記温感部材が、温感付与層と、液不透過性層と、それらの間に配置された、温感溶液を含有する温感溶液保持層とを備え、
前記温感溶液が、TRPチャネルを活性化する温感剤と、溶媒とを含み、
前記温感付与層が、
複数のスリット部を備えており、
前記複数のスリット部のそれぞれが、非着用時に前記温感溶液を放出させないこと且つ前記胴周り領域を前記胴周り方向に伸長させた際
に開孔して前記温感溶液を放出
させることが可能
となるように構成されている、
ことを特徴とする、前記吸収性物品。
【請求項2】
前記温感付与層が、液不透過性フィルムから構成されるとともに、前記複数の
スリット部のそれぞれが、前記胴周り方向と交差する方向に延びている、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記温感付与層が、肌側面と、前記肌側面と対向する非肌側面とを備え、前記温感部材の厚さ方向において、前記複数の
スリット部のそれぞれが、前記肌側面から、前記非肌側面まで到達しないように配置されているか、又は前記非肌側面から、前記肌側面まで到達しないように配置されている、請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記複数の
スリット部のそれぞれが、非貫通スリット部であり、前記複数の
スリット部が、前記胴周り方向に隣接する2つの
スリット部が前記胴周り方向において一部重複するように、前記胴周り方向に間欠的に配置されている、請求項3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記温感溶液保持層が、布帛から構成されるとともに、前記胴周り方向と交差する方向に延びる、複数の貫通スリット部を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記複数の貫通スリット部が、隣接する2つの貫通スリット部が前記胴周り方向において一部重複するように、前記胴周り方向に間欠的に配置されている、請求項5に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記液不透過性層が、前記胴周り方向に伸長可能な伸縮性フィルムである、請求項1~6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記温感溶液保持層の、3g/cm
2荷重時の厚さに対する、30g/cm
2の荷重時の厚さの比率である厚さ保持率が、70%以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記温感剤が、TRPV1レセプターに対するアゴニストである、請求項1~8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記溶媒が、親油性溶媒である、請求項1~9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記吸収性物品が発熱剤を含まない、請求項1~10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記吸収性物品が、ショーツ型生理用ナプキン及び使い捨ておむつからなる群から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項13】
吸収性物品に貼付して使用される、着用者に温感を付与する温感部材であって、
前記温感部材が、温感付与層と、液不透過性層と、それらの間に配置された、温感溶液を含有する温感溶液保持層と、前記液不透過性層に固定された、前記温感部材を前記吸収性物品に貼付するための粘着部とを備え、
前記温感溶液が、TRPチャネルを活性化する温感剤と、溶媒とを含み、
前記温感付与層が、
複数のスリット部を備えており、
前記複数のスリット部のそれぞれが、非着用時に前記温感溶液を放出させないこと且つ所定の方向に伸長させた際
に開孔して前記温感溶液を放出
させることが可能
となるように構成されている、
前記温感部材。
【請求項14】
前記温感部材が、胴周り方向に伸長可能な胴周り領域を有し、吸収体を備える吸収性物品の前記胴周り領域に貼付して用いられるものであり、前記所定の方向が前記胴周り方向である、請求項13に記載の温感部材。
【請求項15】
着用者に温感を付与する温感部材の、吸収性物品に貼付しての使用であって、
前記温感部材が、温感付与層と、液不透過性層と、それらの間に配置された、温感溶液を含有する温感溶液保持層と、前記液不透過性層に固定された、前記温感部材を前記吸収性物品に貼付するための粘着部とを備え、
前記温感溶液が、TRPチャネルを活性化する温感剤と、溶媒とを含み、
前記温感付与層が、
複数のスリット部を備えており、
前記複数のスリット部のそれぞれが、非着用時に前記温感溶液を放出させないこと且つ所定の方向に伸長させた際
に開孔して前記温感溶液を放出
させることが可能
となるように構成されている、
前記使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸収性物品、吸収性物品の胴周り領域に貼付して使用される、着用者に温感を付与する温感部材、及び着用者に温感を付与する温感部材の吸収性物品に貼付しての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
着用者に、温感を付与する温感物品が知られている。特に、温感を付与する温感物品では、低温やけどを防止する観点から、物理的に発熱する発熱剤を含むものよりも、着用者の肌に作用し、着用者の肌の温度を上げるように作用するものを含むことが好ましい。
【0003】
特許文献1には、快適性を向上させることを目的とした、着用者によって知覚される外部条件を作り出す必要なしに着用者に知覚を伝えることのできる剤を含む、吸収性物品、好ましくは衛生使い捨て吸収性物品が記載されている。
また、特許文献1の段落[0040]には、好ましい剤として、加温剤が挙げられ、そして当該加温剤は、物品の着用者の身体面上における温度変化を作り出す必要なしに、温度受容器(すなわち、温熱)を刺激することができることが記載されている。
【0004】
また、特許文献1の段落[0109]には、「剤、典型的には清涼剤のためのキャリアビヒクルには、ローション、クリーム、油、軟膏、粉末、エマルション、フォーム、又はゲルの形態の組成物が挙げられる。清涼剤のような剤のための典型的なキャリアビヒクルには、水溶液又はアルコール溶液、炭化水素油、脂肪酸エステル、長鎖アルコール、及びシリコン油のような油及び脂質、デンプン又はタルク等のような超微粒子状固体が挙げられる。」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の吸収性物品では、加温剤が、キャリアビヒクルとともに用いられると、吸収性物品の保管中に、加温剤及びキャリアビヒクルが、配置された場所から吸収体等に移動し、吸収体の吸収性を低下させる場合があった。
従って、本開示は、非着用時に温感溶液を移動させにくく、着用時に温感を付与しやすい吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示者らは、胴周り方向に伸長可能な胴周り領域を有し、吸収体と、上記胴周り方向に伸長可能に上記胴周り領域に配置された、着用者に温感を付与する温感部材とを備える吸収性物品であって、上記温感部材が、温感付与層と、液不透過性層と、それらの間に配置された、温感溶液を含有する温感溶液保持層とを備え、上記温感溶液が、TRPチャネルを活性化する温感剤と、溶媒とを含み、上記温感付与層が、上記胴周り領域を上記胴周り方向に伸長させた際に、上記温感溶液を放出することが可能な、複数の開孔部を備えていることを特徴とする吸収性物品を見出した。
【発明の効果】
【0008】
本開示の吸収性物品は、非着用時に温感溶液を移動させにくく、着用時に温感を付与しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に従うショーツ型生理用ナプキン1の正面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に従うショーツ型生理用ナプキン1の展開図である。
【
図6】
図6は、温感部材7を胴周り方向Waに伸長した際の、複数のスリット部107を説明するための図である。
【
図7】
図7は、ショーツ型生理用ナプキン1の着用状態を示す図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に従うショーツ型生理用ナプキン201の展開図である。
【
図9】
図9は、
図8のIX-IX端面における部分端面図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態に従う使い捨ておむつ401の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
具体的には、本開示は以下の態様に関する。
[態様1]
胴周り方向に伸長可能な胴周り領域を有し、吸収体と、上記胴周り方向に伸長可能に上記胴周り領域に配置された、着用者に温感を付与する温感部材とを備える吸収性物品であって、
上記温感部材が、温感付与層と、液不透過性層と、それらの間に配置された、温感溶液を含有する温感溶液保持層とを備え、
上記温感溶液が、TRPチャネルを活性化する温感剤と、溶媒とを含み、
上記温感付与層が、上記胴周り領域を上記胴周り方向に伸長させた際に、上記温感溶液を放出することが可能な、複数の開孔部を備えている、
ことを特徴とする、上記吸収性物品。
【0011】
上記吸収性物品では、温感溶液を保持する温感溶液保持層が、温感付与層と、液不透過性層との間に配置されているとともに、温感付与層が、吸収性物品の胴周り領域を胴周り方向に伸長させた際に、温感溶液を放出することが可能な、複数の開孔部を備えているので、吸収性物品の非着用時(着用前)には、温感部材から温感溶液を移動、揮発等させにくく、吸収性物品の着用時には、胴周り領域、ひいては温感部材が胴周り方向に伸長されると、温感付与層が、温感溶液を放出させて、着用者に温感を付与することができる。
【0012】
[態様2]
上記温感付与層が、液不透過性フィルムから構成されるとともに、上記複数の開孔部のそれぞれが、上記胴周り方向と交差する方向に延びている、態様1に記載の吸収性物品。
【0013】
上記吸収性物品は、温感付与層が液不透過性フィルムから構成されるとともに、複数の開孔部のそれぞれが、胴周り方向と交差する方向に延びているので、吸収性物品の非着用時には、温感部材から温感溶液を移動、揮発等させにくい。また、吸収性物品の着用時には、胴周り領域、ひいては温感部材を胴周り方向に延伸させると、複数の開孔部のそれぞれが、胴周り方向に拡がり、温感溶液保持層が保持する温感溶液が、拡がった複数の開孔部を通って、着用者に移動し、着用者に温感を付与することができる。
【0014】
[態様3]
上記温感付与層が、肌側面と、上記肌側面と対向する非肌側面とを備え、上記温感部材の厚さ方向において、上記複数の開孔部のそれぞれが、上記肌側面から、上記非肌側面まで到達しないように配置されているか、又は上記非肌側面から、上記肌側面まで到達しないように配置されている、態様2に記載の吸収性物品。
【0015】
上記吸収性物品では、複数の開孔部のそれぞれが、肌側面を起点として非肌側面まで到達しないように、又は非肌側面を起点として肌側面まで到達しないように配置されているので、吸収性物品の非着用時に、温感部材から温感溶液を移動、揮発等させにくい。
【0016】
[態様4]
上記複数の開孔部のそれぞれが、非貫通スリット部であり、上記複数の開孔部が、上記胴周り方向に隣接する2つの開孔部が上記胴周り方向において一部重複するように、上記胴周り方向に間欠的に配置されている、態様3に記載の吸収性物品。
【0017】
上記吸収性物品では、非貫通スリット部からなる複数の開孔部が、隣接する2つの開孔部が前胴周り方向において一部重複するように、胴周り方向に間欠的に配置されているので、吸収性物品の非着用時には、温感付与層から、温感溶液を、温感部材の外に移動、揮発等させにくい状態で保持することができるとともに、吸収性物品の着用時には、温感付与層そのものが、胴周り方向に伸長しやすくなり、ひいては温感溶液保持層が保持する温感溶液を、温感付与層の複数の開孔部を通して着用者に移動させ、着用者に温感を付与することができる。
【0018】
[態様5]
上記温感溶液保持層が、布帛から構成されるとともに、上記胴周り方向と交差する方向に延びる、複数の貫通スリット部を備える、態様1~4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0019】
上記吸収性物品では、温感溶液保持層が、布帛から構成されるとともに、胴周り方向と交差する方向に延びる、複数の貫通スリット部を備えるので、吸収性物品の着用時に、温感部材が胴周り方向に伸長された場合に、複数の貫通スリット部が変形することにより、温感溶液保持層そのものが薄くなりにくいので、温感溶液保持層に保持される温感溶液が、吸収性物品の着用初期に、着用者に過度に適用されることを抑制することができる。また、温感溶液保持層が伸張性を有しない布帛から構成される場合であっても、温感溶液保持層、ひいては温感部材が、吸収性物品の胴周り方向への伸長に追従しやすくなるため、吸収性物品の着用時に、着用者が引きつれ感を覚えにくい。
【0020】
[態様6]
上記複数の貫通スリット部が、隣接する2つの貫通スリット部が上記胴周り方向において一部重複するように、上記胴周り方向に間欠的に配置されている、態様5に記載の吸収性物品。
【0021】
上記吸収性物品では、複数の貫通スリット部が、隣接する2つの貫通スリット部が胴周り方向において一部重複するように、上記胴周り方向に間欠的に配置されているので、吸収性物品の着用時に、温感付与層が、胴周り方向に伸長しやすくなり、吸収性物品の着用時に、着用者が引きつれ感を覚えにくい。
【0022】
[態様7]
上記液不透過性層が、上記胴周り方向に伸長可能な伸縮性フィルムである、態様1~6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0023】
上記吸収性物品では、液不透過性層が、胴周り方向に伸長可能な伸縮性フィルムであるため、液不透過性層、ひいては温感部材が、吸収性物品の着用時に、吸収性物品の胴周り領域の伸長に追従しやすい。
【0024】
[態様8]
上記温感溶液保持層の、3g/cm2荷重時の厚さに対する、30g/cm2の荷重時の厚さの比率である厚さ保持率が、70%以下である、態様1~7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0025】
上記吸収性物品では、厚さ保持率が所定の範囲にあるため、温感部材に体圧等が加わった場合に、温感溶液保持層が潰れやすくなり、温感溶液保持層が保持する温感溶液を、温感付与層が備える複数の開孔部を介して、着用者の肌に移動させやすくなる。
【0026】
[態様9]
上記温感剤が、TRPV1レセプターに対するアゴニストである、態様1~8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0027】
上記吸収性物品では、温感剤がTRPV1レセプターに対するアゴニストであるため、吸収性物品の着用時に、着用者に、TRPV1レセプターの活性化温度閾値である43℃超の温度を感じさせることができる。その結果、上記吸収性物品では、着用者に、十分な温感を覚えさせることができる。
【0028】
[態様10]
上記溶媒が、親油性溶媒である、態様1~9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0029】
上記吸収性物品では、温感溶液を構成する溶媒が親油性溶媒であるため、温感部材そのものが、親油性溶媒の揮発を抑制することができるため、吸収性物品の包装、例えば、個包装を簡易にすることができる。
【0030】
[態様11]
上記吸収性物品が発熱剤を含まない、態様1~10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0031】
上記吸収性物品は、発熱剤を含まないため、吸収性物品を長時間使用する場合であっても、着用者に低温やけどを生じさせにくい。
【0032】
[態様12]
上記吸収性物品が、ショーツ型生理用ナプキン及び使い捨ておむつからなる群から選択される、態様1~11のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0033】
上記吸収性物品は、ショーツ型生理用ナプキン及び使い捨ておむつからなる群から選択されるため、吸収性能を発揮するとともに、着用者に温感を付与することができる。
【0034】
[態様13]
吸収性物品に貼付して使用される、着用者に温感を付与する温感部材であって、
上記温感部材が、温感付与層と、液不透過性層と、それらの間に配置された、温感溶液を含有する温感溶液保持層と、上記液不透過性層に固定された、上記温感部材を上記吸収性物品に貼付するための粘着部とを備え、
上記温感溶液が、TRPチャネルを活性化する温感剤と、溶媒とを含み、
上記温感付与層が、所定の方向に伸長させた際に、上記温感溶液を放出することが可能な、複数の開孔部を備える、
上記温感部材。
【0035】
上記温感部材は、吸収性物品に貼付して使用される場合に、温感溶液を保持する温感溶液保持層が、温感付与層と、液不透過性層との間に配置されているとともに、温感付与層が、所定の方向に伸長させた際に、温感溶液を放出することが可能な、複数の開孔部を備えている。従って、上記温感部材が吸収性物品に貼付して用いられた際に、吸収性物品の非着用時において、温感部材から温感溶液を移動、揮発等させにくい一方で、吸収性物品の着用時において、吸収性物品、ひいては温感部材が所定の方向に伸長されると、温感付与層が、温感溶液を放出させ、着用者に温感を付与することができる。
【0036】
[態様14]
上記温感部材が、胴周り方向に伸長可能な胴周り領域を有し、吸収体を備える吸収性物品の上記胴周り領域に貼付して用いられるものであり、上記所定の方向が上記胴周り方向である、態様13に記載の温感部材。
【0037】
上記温感部材は、当該温感部材が胴周り方向に伸長された場合に、温感付与層の複数の開孔部が温感溶液を放出可能なように、吸収性物品の胴周り領域に貼付して用いられるものである。従って、上記温感部材が吸収性物品の胴周り領域に貼付して用いられた際に、吸収性物品の非着用時において、温感部材から温感溶液を移動、揮発等させにくい一方で、吸収性物品の着用時において、吸収性物品、ひいては温感部材が、吸収性物品の胴周り方向に伸長されると、温感付与層が、温感溶液を放出させやすくなり、着用者に温感を付与させやすくなる。
【0038】
[態様15]
着用者に温感を付与する温感部材の、吸収性物品に貼付しての使用であって、
上記温感部材が、温感付与層と、液不透過性層と、それらの間に配置された、温感溶液を含有する温感溶液保持層と、上記液不透過性層に固定された、上記温感部材を上記吸収性物品に貼付するための粘着部とを備え、
上記温感溶液が、TRPチャネルを活性化する温感剤と、溶媒とを含み、
上記温感付与層が、所定の方向に伸長させた際に、上記温感溶液を放出することが可能な、複数の開孔部を備える、
上記使用。
【0039】
上記温感部材では、温感溶液を保持する温感溶液保持層が、温感付与層と、液不透過性層との間に配置されているとともに、温感付与層が、所定の方向に伸長させた際に、温感溶液を放出することが可能な、複数の開孔部を備えている。従って、上記使用では、吸収性物品に貼付して用いられた上記温感部材が、吸収性物品の非着用時において、温感部材から温感溶液を移動、揮発等させにくい一方で、吸収性物品の着用時において、吸収性物品、ひいては温感部材が所定の方向に伸長されると、温感付与層が、温感溶液を放出させ、着用者に温感を付与することができる。
【0040】
本開示の吸収性物品、吸収性物品に貼付して使用される温感部材、及び温感部材の吸収性物品に貼付しての使用について、以下、詳細に説明する。
<吸収性物品>
図1~
図7は、本開示の実施形態の1つ(以下、「第1実施形態」と称する)に従う吸収性物品としてのショーツ型生理用ナプキン1を説明するための図である。なお、以下、「第1実施形態に従う吸収性物品としてのショーツ型生理用ナプキン」を、単に『第1実施形態に従うショーツ型生理用ナプキン』と称する場合がある。
【0041】
具体的には、
図1は、第1実施形態に従うショーツ型生理用ナプキン1の正面図である。
図2は、第1実施形態に従うショーツ型生理用ナプキン1の展開図である。
図3は、温感部材7の平面図である。
図4は、温感部材7の分解斜視図である。
図5は、
図4のV-V端面における部分端面図である。
図6は、温感部材7を胴周り方向Waに伸長した際の、複数のスリット部107を説明するための図である。
図7は、ショーツ型生理用ナプキン1の着用状態を示す図である。
【0042】
第1実施形態に従うショーツ型生理用ナプキン1は、お互いに直交する丈方向Lo、胴周り方向Wa及び厚さ方向Tを有する。なお、ショーツ型生理用ナプキン1では、丈方向Loは、胴周り方向Waと直交する方向を意味する。また、ショーツ型生理用ナプキン1は、吸収体5を備えるショーツ型生理用ナプキン本体3と、ショーツ型生理用ナプキン本体3に配置された温感部材7とから構成される。温感部材7は、着用者がショーツ型生理用ナプキン1を着用した際に、着用者の下腹部に対応する位置に配置されるように、ショーツ型生理用ナプキン本体3に配置されている。
【0043】
ショーツ型生理用ナプキン本体3(ショーツ型生理用ナプキン1)は、丈方向Loに沿って、前胴周り領域WRFと、股間領域Cと、後胴周り領域WRRとに区画される。吸収体5は、ショーツ型生理用ナプキン本体3の前胴周り領域WRFと、股間領域Cと、後胴周り領域WRRとに渡って配置され、そして温感部材7は、前胴周り領域WRFに配置されている。
【0044】
ショーツ型生理用ナプキン本体3の前胴周り領域WRFは、着用者に近い側に配置された前側伸縮性不織布11及び着用者から遠い側に配置された前側不織布13(具体的には、スパンボンド不織布)から構成される前側積層シートと、胴周り領域WRに沿って配置された前側ウエストベルト部材15とを備える。上記前側積層シートは、前側伸縮性不織布11及び前側不織布13を、ホットメルト接着剤を間に挟んで積層した積層物を形成し、次いで、当該積層物をギア延伸することにより形成されている。前側ウエストベルト部材15は、前側伸縮性不織布11を内側にして折り返された前側積層シートの折返し部分に固定されている。
【0045】
ショーツ型生理用ナプキン1の後胴周り領域WRRは、着用者に近い側に配置された後側伸縮性不織布19及び着用者から遠い側に配置された後側不織布21(具体的には、スパンボンド不織布)から構成される後側積層シートと、胴周り領域WRに沿って配置された後側ウエストベルト部材23とを備える。上記後側積層シートは、後側伸縮性不織布19及び後側不織布21を、ホットメルト接着剤を間に挟んで積層した積層物を形成し、次いで、当該積層物をギア延伸することにより形成されている。後側ウエストベルト部材23は、後側伸縮性不織布19を内側にして折り返された後側積層シートの折返し部分に固定されている。なお、前側不織布13と、後側不織布21とは、一体に構成されている。
【0046】
前胴周り領域WRFと、後胴周り領域WRRとは、前胴周り領域WRFの2つの前側接合部17のそれぞれが、後胴周り領域WRRの2つの後側接合部25のそれぞれと接合されることにより、胴周り領域WRを形成し、胴周り領域WRが、胴周り方向Waに伸長可能になっている。
ショーツ型生理用ナプキン本体3の構造は、特開2016-059713号に記載のものと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0047】
温感部材7は、肌側面103と、非肌側面105とを有する温感付与層101と、温感付与層101の非肌側面105に隣接する温感溶液保持層121と、温感溶液保持層121の、温感付与層101と反対側の面に隣接し且つ着衣に当接する液不透過性層131と、液不透過性層131に固定され且つ液不透過性層131をショーツ型生理用ナプキン1に貼付している粘着部133とをその順で備える。
【0048】
温感付与層101と、液不透過性層131とは、丈方向Lo及び胴周り方向Waのサイズが略同一であり、温感溶液保持層121よりも一回り大きいサイズを有する。温感部材7は、温感付与層101及び液不透過性層131の周縁部をシールすることにより、それらの間に配置されている温感溶液保持層121が保持する温感溶液が、温感部材7から外に漏れることを抑制している。
【0049】
温感溶液保持層121は、その全体で、TRPチャネルを活性化する温感剤と、親油性溶媒とを含む温感溶液(図示せず)を保持している。
温感付与層101は、液不透過性フィルムから構成されるとともに、胴周り領域WRを胴周り方向Waに伸長させた際に、温感溶液を放出することが可能な、複数の開孔部としての、複数のスリット部107を備えている。複数のスリット部107のそれぞれは、
図5に示されるように、肌側面103に配置された開口109と、肌側面103及び非肌側面105の間に配置されたスリット底113と、開口109及びスリット底113を連結するスリット壁111とを備えている。換言すると、複数のスリット部107のそれぞれは、非貫通スリット部を構成している。そうすることにより、ショーツ型生理用ナプキン1の非着用時において、温感溶液が、温感部材7から外部、例えば、吸収体5に移動しにくくなる。
【0050】
複数のスリット部107のそれぞれにおいて、開口109は、丈方向Loに沿って配置されている。複数のスリット部107は、胴周り方向Waに離間して配置されている。また、複数のスリット部は、胴周り方向Waに隣接する2つのスリット部107が、胴周り方向Waにおいて、それらの一部が重複し且つそれらの残余の部分が重複しないように、胴周り方向Waに配置されている。
【0051】
そうすることにより、
図6に示されるように、温感部材7を胴周り方向Waに伸長させると、非貫通スリット部である複数のスリット部107のそれぞれの開口109が胴周り方向Waに伸長し、開口109の開口面積が大きくなり、そして最終的には、開口109が開裂する、換言すると、複数のスリット部107のそれぞれが、貫通スリットを構成する。
【0052】
また、温感付与層101が、上述の複数のスリット部107を備えた液不透過性フィルムから構成されているため、ショーツ型生理用ナプキン1の着用前は、温感付与層101が、温感溶液保持層121が保持する温感溶液をシールすることができるとともに、ショーツ型生理用ナプキン1が着用される際には、温感付与層101が、胴周り領域WRの伸長に追従し、温感溶液保持層121が保持する温感溶液を放出することができる。
【0053】
温感溶液保持層121は、温感付与層101側の肌側面123と、液不透過性層131側の非肌側面125とを備える。また、温感溶液保持層121は、エアレイドパルプから構成されるとともに、複数の貫通スリット部127を備えている。複数の貫通スリット部127は、肌側面123から非肌側面125まで貫通している。
【0054】
複数の貫通スリット部127のそれぞれは、丈方向Loに沿って配置されている。複数の貫通スリット部127は、胴周り方向Waに離間して配置されている。また、複数の貫通スリット部127は、胴周り方向Waに隣接する2つの貫通スリット部127が、胴周り方向Waにおいて、それらの一部が重複し且つそれらの残余の部分が重複しないように、胴周り方向Waに配置されている。
【0055】
そうすることにより、ショーツ型生理用ナプキン1を着用する際に、着用者が、ショーツ型生理用ナプキン1の胴周り領域WRを胴周り方向Waに伸長するとともに、着用者が、ショーツ型生理用ナプキン1を、胴周り領域WRが伸長された状態で着用すると、貫通スリット部127が胴周り方向Waに伸長し、温感溶液保持層121、ひいては温感部材7が、胴周り領域WRの伸長に追従することができる。
【0056】
液不透過性層131は、胴周り方向Waに伸長可能な伸縮性フィルムから構成されている。
粘着部133は、胴周り方向Waに伸長可能であり、伸縮性を有する粘着剤から構成されており、具体的には、複数の粘着部部分133pが、胴周り方向Waに離間して配置されている。
【0057】
図7に示されるように、着用者が、ショーツ型生理用ナプキン1を着用する際に、ショーツ型生理用ナプキン1の胴周り領域WRを胴周り方向Waに伸長し、次いで、ショーツ型生理用ナプキン1を、胴周り領域WRが伸長された状態で着用すると、非貫通スリット部である複数のスリット部107のそれぞれの開口109が、胴周り方向Waに拡がり、開口109が胴周り方向Waに伸長し、開口109の開口面積が大きくなり(以上、
図6を参照)、スリット部107が厚さ方向Tに開裂し、スリット底113が非肌側面105に近づき、そして最終的には、スリット底113が非肌側面105に到達し、スリット部107が貫通スリット部となる。
その結果、温感溶液保持層121が保持する温感溶液が、温感付与層101の複数のスリット部107の開口109を通って着用者に移動し、着用者に温感を付与することができる。
【0058】
使用者が、ショーツ型生理用ナプキン1を着用すると、温感部材7に含まれる温感溶液中の温感剤が、着用者の肌に接触し、温感剤が接触している、着用者の肌の接触部位のTRPチャネルを効率よく活性化し、着用者の下腹部に、体温(36℃)より高い温度である温感を効率よく付与することができる。
【0059】
着用者の下腹部に温感を付与することにより、温感剤に接していた着用者の下腹部の肌の接触部位のTRPチャネルが活性化される結果、交感神経系を介して、上記接触部位から熱が生じ、着用者の肌の接触部位の温度を上昇させることが期待され、ひいては着用者の子宮に近い部位を温め、着用者の生理痛を緩和することが期待される。
また、着用者の子宮に近い部位を温めることにより、着用者の月経前症候群(Premenstrual Syndrome)、冷え性、更年期障害等を軽減することが期待される。
【0060】
図8及び
図9は、本開示の別の実施形態(以下、「第2実施形態」と称する)に従う吸収性物品としてのショーツ型生理用ナプキン201を説明するための図である。なお、以下、「第2実施形態に従う吸収性物品としてのショーツ型生理用ナプキン」を、単に『第2実施形態に従うショーツ型生理用ナプキン』と称する場合がある。
具体的には、
図8は、第2実施形態に従うショーツ型生理用ナプキン201の展開図である。
図9は、
図8のIX-IX端面における部分端面図である。
【0061】
第2実施形態に従うショーツ型生理用ナプキン201は、お互いに直交する丈方向Lo、胴周り方向Wa及び厚さ方向(図示せず)を有する。また、ショーツ型生理用ナプキン201は、吸収体205を備えるショーツ型生理用ナプキン本体203と、ショーツ型生理用ナプキン本体203に配置された温感部材207とから構成される。温感部材207は、着用者がショーツ型生理用ナプキン201を着用した際に、着用者の下腹部に対応する位置に配置されるように、ショーツ型生理用ナプキン本体203に配置されている。
【0062】
ショーツ型生理用ナプキン本体203(ショーツ型生理用ナプキン201)は、丈方向Loに沿って、前胴周り領域WRFと、股間領域Cと、後胴周り領域WRRとに区画される。吸収体205は、ショーツ型生理用ナプキン本体3の前胴周り領域WRFと、股間領域Cと、後胴周り領域WRRとに渡って配置され、そして温感部材207は、前胴周り領域WRFに配置されている。
【0063】
ショーツ型生理用ナプキン201の前胴周り領域WRFは、着用者に近い側に配置された第1液不透過性フィルム209と、着用者から遠い側に配置された第2液不透過性フィルム211と、それらの間において、胴周り領域WRに沿って配置された前側ウエストベルト部材213とを備えている。第1液不透過性フィルム209及び第2液不透過性フィルム211は、胴周り方向Waに伸長可能な伸縮性フィルムから構成されている。
【0064】
ショーツ型生理用ナプキン201の後胴周り領域WRRは、着用者に近い側に配置された第1伸縮性不織布217と、着用者から遠い側に配置された第2伸縮性不織布219と、それらの間において、胴周り領域WRに沿って配置された後側ウエストベルト部材23とを備えている。
【0065】
前胴周り領域WRFと、後胴周り領域WRRとは、前胴周り領域WRFの2つの前側接合部215のそれぞれが、後胴周り領域WRRの2つの後側接合部223のそれぞれと接合されることにより、胴周り領域WRを形成し、胴周り領域WRが、胴周り方向Waに伸長することができる。
【0066】
温感部材207は、肌側面303及び非肌側面305を有する温感付与層301と、肌側面323及び非肌側面325を有する温感溶液保持層321と、着衣に当接する液不透過性層327とを、その順で備えている。温感付与層301と、温感溶液保持層321とは、温感付与層301の非肌側面305と、温感溶液保持層321の肌側面323とが接するように配置されている。液不透過性層327は、温感溶液保持層321の非肌側面325に接している。
【0067】
第2実施形態に従うショーツ型生理用ナプキン201では、温感付与層301が、第1液不透過性フィルム209の一部である第1液不透過性フィルム部分209pから構成されており、そして液不透過性層327が、第2液不透過性フィルム211の一部である第2液不透過性フィルム部分211pから構成されている。第1液不透過性フィルム部分209pと、第2液不透過性フィルム部分211pとは、温感付与層301を間に挟んで、それらの周縁が、伸縮可能な粘着剤から構成される粘着部329で固定されている。なお、温感付与層301は、第1液不透過性フィルム部分209p及び第2液不透過性フィルム部分211pのいずれにも固定されていない。
【0068】
第1液不透過性フィルム部分209pは、複数のスリット部307を備えている。複数のスリット部307のそれぞれは、
図9に示されるように、肌側面303に配置された開口309と、肌側面303及び非肌側面305の間に配置されたスリット底313と、開口309及びスリット底313を連結するスリット壁311とを備えている。換言すると、複数のスリット部307のそれぞれは、非貫通スリット部を構成している。そうすることにより、ショーツ型生理用ナプキン201の非着用時において、温感溶液が、温感部材207から外部、例えば、吸収体205に移動しにくくなる。また、複数のスリット部307のそれぞれは、第1実施形態における複数のスリット部107よりも深めに形成されている。複数のスリット部307のその他の部分は、第1実施形態における複数のスリット部107と同様であるため、説明を省略する。
【0069】
温感溶液保持層321は、第1実施形態に従う温感溶液保持層121と同様に、エアレイドパルプから構成されているが、スリット部を有しない。
【0070】
着用者が、ショーツ型生理用ナプキン201を着用する際に、ショーツ型生理用ナプキン201の胴周り領域WRを胴周り方向Waに伸長し、次いで、ショーツ型生理用ナプキン201を、胴周り領域WRが伸長された状態で着用すると、非貫通スリット部である複数のスリット部307のそれぞれの開口309が、胴周り方向Waに拡がり、開口309が胴周り方向Waに伸長し、開口309の開口面積が大きくなり、スリット部307が厚さ方向Tに裂けはじめ、スリット底313が非肌側面305に近づき、そして最終的には、スリット底313が非肌側面305に到達し、スリット部307が貫通スリット部となる。
【0071】
その結果、温感溶液保持層321が保持する温感溶液が、温感付与層301の複数のスリット部307の開口309を通って着用者に移動し、着用者に温感を付与することができる。
なお、温感部材207では、温感付与層301を構成する第1液不透過性フィルム部分209pが、伸縮性フィルムから構成されているが、複数のスリット部307のそれぞれを深めに形成しているため、ショーツ型生理用ナプキン201の着用時に、複数のスリット部307のそれぞれが開裂することができる。
【0072】
また、温感溶液保持層121は、エアレイドパルプから構成されているとともに、スリット部を有せず、伸縮性を有しないが、温感溶液保持層121は、第1液不透過性フィルム部分209p(温感付与層301)及び第2液不透過性フィルム部分211p(液不透過性層327)に固定されていないため、温感溶液保持層121の伸縮性が、温感部材207の伸縮性に影響を与えにくい。
【0073】
図10及び
図11は、本開示のさらに別の実施形態(以下、「第3実施形態」と称する)に従う吸収性物品としての使い捨ておむつ401を説明するための図であり、展開図である。なお、以下、「第3実施形態に従う吸収性物品としての使い捨ておむつ」を、単に『第3実施形態に従う使い捨ておむつ』と称する場合がある。
【0074】
第3実施形態に従う使い捨ておむつ401は、お互いに直交する丈方向Lo、胴周り方向Wa及び厚さ方向(図示せず)を有する。また、使い捨ておむつ401は、吸収体405を備える使い捨ておむつ本体403と、使い捨ておむつ本体403に配置された温感部材407とから構成される。温感部材407は、着用者が使い捨ておむつ401を着用した際に、着用者の下腹部に対応する位置に配置されるように、使い捨ておむつ401に配置されている。
【0075】
使い捨ておむつ本体403(使い捨ておむつ401)は、丈方向Loに沿って、前胴周り領域WRFと、股間領域Cと、後胴周り領域WRRとに区画される。吸収体405は、使い捨ておむつ本体403の股間領域Cと、後胴周り領域WRRとに渡って配置され、そして温感部材407は、前胴周り領域WRFに配置されている。
【0076】
使い捨ておむつ本体403の前胴周り領域WRFは、着用者に近い側に配置された前側伸縮性不織布411及び着用者から遠い側に配置された前側不織布413(具体的には、スパンボンド不織布)から構成される前側積層シートと、それらの間において、胴周り領域WRに沿って配置された前側ウエストベルト部材415とを備える。上記前側積層シートは、前側伸縮性不織布411及び前側不織布413を、ホットメルト接着剤を間に挟んで積層した積層物を形成し、次いで、当該積層物をギア延伸することにより形成されている。前側ウエストベルト部材415は、前側伸縮性不織布411を内側にして折り返された前側積層シートの折返し部分に固定されている。
【0077】
使い捨ておむつ401の後胴周り領域WRRは、着用者に近い側に配置された後側伸縮性不織布419及び着用者から遠い側に配置された後側不織布421(具体的には、スパンボンド不織布)から構成される後側積層シートと、それらの間において、胴周り領域WRに沿って配置された後側ウエストベルト部材423とを備える。上記後側積層シートは、後側伸縮性不織布419及び後側不織布421を、ホットメルト接着剤を間に挟んで積層した積層物を形成し、次いで、当該積層物をギア延伸することにより形成されている。後側ウエストベルト部材423は、後側伸縮性不織布419を内側にして折り返された後側積層シートの折返し部分に固定されている。なお、前側不織布413と、後側不織布421とは、一体に構成されている。
【0078】
前胴周り領域WRFと、後胴周り領域WRRとは、前胴周り領域WRFの2つの前側接合部417のそれぞれが、後胴周り領域WRRの2つの後側接合部425のそれぞれと接合されることにより、胴周り領域WRを形成し、胴周り領域WRが、胴周り方向Waに伸長可能になっている。
使い捨ておむつ本体403の構造は、公知であるため、詳細な説明は省略する。
【0079】
温感部材407は、温感付与層501と、温感付与層501の非肌側面(図示せず)に隣接する温感溶液保持層(図示せず)と、温感溶液保持層(図示せず)の、温感付与層501と反対側の面に隣接し且つ着衣に当接する液不透過性層(図示せず)と、液不透過性層(図示せず)に固定され且つ液不透過性層(図示せず)を使い捨ておむつ401に貼付している粘着部(図示せず)とをその順で備えている。温感付与層501は、複数のスリット部507を備えている。
温感部材407の構造は、第1実施形態における温感部材7と同様であるため、説明は省略する。
【0080】
着用者が、使い捨ておむつ401を着用する際に、使い捨ておむつ401の胴周り領域WRを胴周り方向Waに伸長し、次いで、使い捨ておむつ401を、胴周り領域WRが伸長された状態で着用すると、非貫通スリット部である複数のスリット部507のそれぞれの開口509が、胴周り方向Waに拡がり、開口509が胴周り方向Waに伸長し、開口509の開口面積が大きくなり、スリット部507が、使い捨ておむつ401の厚さ方向に裂けはじめ、スリット部507が貫通スリット部となる。
その結果、温感溶液保持層(図示せず)が保持する温感溶液が、温感付与層501の複数のスリット部507の開口509を通って着用者に移動し、着用者に温感を付与することができる。
【0081】
使用者が、使い捨ておむつ401を着用すると、温感部材407に含まれる温感溶液中の温感剤が、着用者の肌に接触し、温感剤が接触している、着用者の肌の接触部位のTRPチャネルを効率よく活性化し、着用者の下腹部に、体温(36℃)より高い温度である温感を効率よく付与することができる。
【0082】
着用者の下腹部に温感を付与することにより、温感溶液中の温感剤に接していた、着用者の下腹部の肌の接触部位のTRPチャネルが活性化される結果、交感神経系を介して、温感剤接触部分から熱が生じ、着用者の肌の接触部位の温度を上昇させることが期待される。
【0083】
その結果、使い捨ておむつ401の着用者が女性の場合には、(i)生理痛の要因とされるプロスタグランジンを排出させ、子宮筋等の筋肉を弛緩させ、生理痛を緩和すること、(ii)血行を促進し、リンパ液の流れを促進し、老廃物を排出させ、冷え性を改善し、脂肪を燃焼させること、(iii)免疫力を向上させること等が期待される。
使い捨ておむつ401の着用者が男性の場合には、(i)プロスタグランジンを排出させ、筋肉を弛緩させ、痛みを緩和すること、(ii)血行を促進し、リンパ液の流れを促進し、老廃物を排出させ、冷え性を改善し、脂肪を燃焼させること、(iii)免疫力を向上させること等が期待される。
【0084】
本開示に係る温感部材は、吸収性物品の胴周り領域が、胴周り方向に伸長された場合に、温感付与層の複数の開孔部が、温感溶液保持層が保持する温感溶液を放出することができるものであれば、温感部材自体が伸長性又は伸縮性を有しなくともよいが、本開示にかかる温感部材は、胴周り方向に伸長可能又は伸縮可能であることが好ましい。そうすることにより、着用者が吸収性物品を着用している際に、温感部材に由来する引きつられ感を覚えにくい。
【0085】
本開示に係る温感部材では、温感溶液は、TRPチャネルを活性化する温感剤と、溶媒とを含む。
上記温感剤としては、TRPチャネルを活性化するものであれば、特に制限されず、TRPV1レセプターに対するアゴニスト、TRPV3レセプターに対するアゴニスト等が挙げられ、TRPV1に対するアゴニストであることが好ましい。TRPV1レセプターは、活性化温度閾値が43℃超と高く、着用者に強い温感を付与することができるからである。
【0086】
上記温感剤は、着用者の安心感の観点から、植物由来の化合物であることが好ましい。上記温感剤としては、例えば、カプシコシド、カプサイシン、カプサイシノイド類(ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ノニバミド等)、カプサンチン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸β-ブトキシエチル、N-アシルワニルアミド、ノナン酸バニリルアミド、多価アルコール、唐辛子末、唐辛子チンキ、唐辛子エキス、ノナン酸バニリルエーテル、バニリルアルコールアルキルエーテル誘導体(例えば、バニリルエチルエーテル、バニリルブチルエーテル、バニリルペンチルエーテル、バニリルヘキシルエーテル)、イソバニリルアルコールアルキルエーテル、エチルバニリルアルコールアルキルエーテル、ベラトリアルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコールアルキルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、ショウガエキス、ジンジャーオイル、ジンゲロール、ジンゲロン、ヘスペリジン、及びピロリドンカルボン酸、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0087】
上記温感剤は、着用者が痛さ、痒さ等を覚えにくい観点から、カプサイシンではないことが好ましく、そしてバニリルアルコールアルキルエーテル誘導体(例えば、バニリルエチルエーテル、バニリルブチルエーテル、バニリルペンチルエーテル、バニリルヘキシルエーテルショウガエキス、ジンジャーオイル、ジンゲロール、及びジンゲロン、並びにそれらの任意の組み合わせがより好ましい。
【0088】
上記溶媒は、上記温感剤を含むことができるものであれば、特に限定されず、例えば、親油性溶媒及び親水性溶媒が挙げられる。上記溶媒は、上記温感剤を、例えば、溶解、分散等することができる。
上記親油性溶媒としては、油脂、例えば、天然油(例えば、トリグリセリド等の脂肪酸エステル、ヤシ油、アマニ油等)、炭化水素(例えば、パラフィン、例えば、流動パラフィン)等が挙げられる。
【0089】
上記親水性溶媒としては、水及びアルコールが挙げられる。上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等の低級アルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。
【0090】
上記溶媒は、揮発性を制御しやすい、特に揮発性を下げやすい観点からは、油脂(親油性溶媒)又はアルコール(親水性溶媒)であることが好ましい。また、吸収性物品の着用時に、温感部材から移動してしまった温感溶液が、吸収性物品の吸収性を阻害しにくい観点から、上記溶媒は親油性溶媒であることが好ましい。
【0091】
上記温感溶液に含まれる上記温感剤の量は、温感剤の種類によって異なるが、一般的には、上記温感溶液は、上記温感剤を、好ましくは0.0001~5.0質量%、より好ましくは0.0005~3.0質量%、さらに好ましくは0.1~1.0質量%、そしてさらにいっそう好ましくは0.3~0.7質量%含む。温感作用の観点からである。
【0092】
本開示に係る温感部材では、上記温感溶液は、上述の温感剤及び溶媒以外に、着用者への温感作用を阻害しない範囲で、下記に示されるような、少なくとも1種の他の成分とを含むことができる。
【0093】
上記少なくとも1種の他の成分としては、冷感剤、例えば、TRPチャネルを活性化するものが挙げられ、上記冷感剤としては、例えば、TRPM8レセプターに対するアゴニスト、TRPA1レセプターに対するアゴニスト等が挙げられ、TRPM8レセプターに対するアゴニストであることが好ましい。
【0094】
上記冷感剤としては、例えば、メントール(例えば、l-メントール)及びその誘導体(例えば、乳酸メンチル、メンチルグリセリルエーテル、例えば、l-メンチルグリセリルエーテル)、サリチル酸メチル、カンファー、植物(例えば、ミント、ユーカリ)由来の精油等が挙げられる。
【0095】
本願発明者は、着用者に温感を付与する場合に、温感溶液に、上述の温感剤に加え、上述の冷感剤を含ませることにより、着用者が、所望の温度を感じるまでの時間である温感感知時間に、温感溶液と接触している接触部位及びその周辺部に痒みを覚えにくいことを見出した。
【0096】
上述の場合には、温感溶液は、冷感剤を、好ましくは0.0001~5.0質量%、より好ましくは0.0005~3.0質量%、さらに好ましくは0.1~1.0質量%、そしてさらにいっそう好ましくは0.3~0.7質量%含む。着用者が温感感知時間に痒みを覚えにくく且つ過度の冷感を覚えにくくする観点からである。
【0097】
上述の場合には、上記温感溶液は、上記温感剤及び冷感剤を、好ましくは20:1~1:10、より好ましくは10:1~1:5、そしてさらに好ましくは2:1~1:1の質量比で含む。着用者が、温感感知時間に痒みを覚えにくいとともに、冷感を覚えにくく且つ温感を覚えやすい観点からである。
【0098】
上記少なくとも1種の他の成分としては、冷却剤、例えば、気化熱により周囲の温度を下げる冷却剤が挙げられ、当該冷却剤として、例えば、アルコール、例えば、メタノール及びエタノールが挙げられる。
【0099】
上記少なくとも1種の他の成分としては、例えば、シリコーンオイル、シリコーン、シリコーン系レジン等が挙げられる。
上記少なくとも1種の他の成分としては、例えば、酸化防止剤、例えば、BHT(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、没食子酸プロピル等が挙げられる。
【0100】
上記少なくとも1種の他の成分としては、例えば、ビタミン、例えば、天然ビタミン又は合成ビタミンが挙げられる。上記ビタミンとしては、例えば、水溶性ビタミン、例えば、ビタミンB群、例えば、ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンB3,ビタミンB5,ビタミンB6,ビタミンB7,ビタミンB9,ビタミンB12等、ビタミンCが挙げられる。
上記ビタミンとしては、例えば、脂溶性ビタミン、例えば、ビタミンA群、ビタミンD群、ビタミンE群、およびビタミンK群等が挙げられる。
上記ビタミンにはまた、それらの誘導体も含まれる。
【0101】
上記少なくとも1種の他の成分としては、例えば、アミノ酸、例えば、アラニン、アルギニン、リジン、ヒスチジン、プロリン、ヒドロキシプロリン等、並びにペプチドが挙げられる。
【0102】
上記少なくとも1種の他の成分としては、例えば、ゼオライト、例えば、天然ゼオライト、例えば、方沸石、菱沸石、輝沸石、ナトロライト、束沸石、及びソモソナイト、並びに、合成ゼオライトが挙げられる。
上記少なくとも1種の他の成分としては、例えば、コレステロール、ヒアルロン酸、レシチン、セラミド、プラセンタ、コラーゲン、エラスチン、スクワラン、ワセリン、トレハロース等が挙げられる。
【0103】
また、上記少なくとも1種の他の成分としては、例えば、薬剤、例えば、皮膚収斂剤、抗ニキビ剤、抗シワ剤、抗セルライト剤、美白剤、抗菌剤、抗カビ剤等が挙げられる。
上記皮膚収斂剤としては、例えば、酸化亜鉛、硫酸アルミニウム、タンニン酸等、油溶性皮膚収斂剤、例えば、油溶性ポリフェノールが挙げられる。上記油溶性ポリフェノールとしては、天然の油溶性ポリフェノール、例えば、オオバクエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、カモミラエキス、ゴボウエキス、サルビアエキス、シナノキエキス、セイヨウボダイジュエキス、シラカバエキス、スギナエキス、セージエキス、サルビアエキス、テウチグルミエキス、ハイビスカスエキス、ビワ葉エキス、ボダイジュエキス、ホップエキス、マロニエエキス、ヨクイニンエキス等が挙げられる。
【0104】
上記抗ニキビ剤としては、例えば、サリチル酸、過酸化ベンゾイル、レゾルシノール、イオウ、エリスロマイシン、亜鉛等が挙げられる。
上記抗シワ剤としては、例えば、乳酸、サリチル酸、サリチル酸誘導体、グリコール酸、フィチン酸、リポ酸、リソフォスファチド酸が挙げられる。
【0105】
上記抗セルライト剤としては、例えば、キサンチン化合物、例えば、アミノフィリン、カフェイン、テオフィリン、テオブロミン等が挙げられる。
上記美白剤としては、例えば、ナイアシンアミド、コウジ酸、アルブチン、グルコサミン及び誘導体、フィトステロール誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、並びにクワ抽出物及び胎盤抽出物が挙げられる。
【0106】
また、上記少なくとも1種の他の成分としては、例えば、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤、香料、色素、染料、顔料、植物抽出エキス等が挙げられる。上記抗炎症成分としては、例えば、天然由来の抗炎症剤、例えば、ボタン、オオゴン、オトギリソウ、カモミール、甘草、モモノハ、ヨモギ、シソエキス等、合成抗炎症剤、例えば、アラントイン、グリチルリチン酸ジカリウム等が挙げられる。
上記pH調整剤としては、肌を弱酸性に保つためのもの、例えば、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、乳酸等が挙げられる。
上記顔料としては、例えば、酸化チタンが挙げられる。
【0107】
本開示に係る温感部材、特に、上記温感溶液は、発熱剤を含まないことが好ましい。そうすることにより、着用者が、低温やけどを起こしにくくなる。また、温感部材自体が発熱しないため、温感部材が粘着剤等で吸収性物品本体に固定されている場合には、当該粘着部が軟化しにくく、吸収性物品の着用時に、温感部材が、吸収性物品本体から脱落しにくい。
【0108】
上記発熱剤としては、発熱剤自体が発熱するものであれば、特に制限されず、例えば、金属粉(例えば、鉄粉)の酸化熱、酸及びアルカリの中和熱、無機塩の水和熱等の化学エネルギーを利用するものが挙げられる。
【0109】
本開示に係る温感部材では、温感付与層は、吸収性物品の非着用時において、温感溶液保持層が保持する温感溶液を温感部材の外に漏らしにくい観点から、液不透過性フィルムから構成されることが好ましい。上記液不透過性フィルムとしては、吸収性物品の技術分野で、バックシートとして用いられているものを特に制限なく採用することができ、例えば、ポリオレフィンシート、例えば、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート等が挙げられる。
【0110】
温感溶液保持層が保持する温感溶液が、揮発性の高いもの、例えば、揮発性の高い溶媒及び/又は揮発性の高い温感剤を含む場合には、温感付与層は、気密性を有してもよい。気密性を有する温感付与層としては、気密性フィルムと、上述の液不透過性フィルムとの積層フィルムが挙げられる。上記気密性フィルムとしては、例えば、エチレンビニルアルコールコポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、例えば、塩化ビニリデンメチルアクリレートコポリマー、ポリビニルアルコール、ナイロン、例えば、ナイロン6、アルミ箔、基材フィルム(ポリエチレンテレフタレート等)上にアルミナ、シリカ等が蒸着されたものが挙げられる。
【0111】
上記温感付与層は、着用者の肌触りを向上させるため、肌側面に配置された布帛(例えば、スパンボンド又はスパンレース等の不織布)と、上述の液透過性フィルムとの積層シートであってもよい。上記布帛としては、温感溶液保持層の箇所で挙げられる布帛と同等のものが挙げられる。
【0112】
上記温感付与層は、吸収性物品の胴周り領域が胴周り方向に伸長した際に、そして温感部材が胴周り方向に伸長した際に、温感溶液を放出することが可能な、複数の開孔部を備えている。上記複数の開孔部のそれぞれは、温感部材の厚さ方向において、温感付与層の肌側面から非肌側面まで貫通していてもよい。吸収性物品の非着用時において、温感溶液保持層が保持する温感溶液を温感部材の外に漏らしにくい観点からは、上記複数の開孔部のそれぞれは、温感部材の厚さ方向において、温感付与層の肌側面から非肌側面まで貫通していないこと、すなわち、非貫通開孔部であることが好ましい。
【0113】
上記非貫通開孔部としては、温感付与層の肌側面を起点として、温感付与層の非肌側面まで到達しないように配置されているものか、又は温感付与層の非肌側面を起点として、温感付与層の肌側面まで到達しないように配置されているものが挙げられる。
【0114】
上記非貫通開孔部の深さは、吸収性物品の胴周り領域の伸長性、温感付与層の伸長性、温感付与層を構成する素材の破断性等によって変わりうるが、上記非貫通開孔部の深さは、温感付与層の厚さに対して、好ましくは90%以下、より好ましくは70%以下、そしてさらに好ましくは50%以下である。また、上記非貫通開孔部の深さは、温感付与層の厚さの、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、そしてさらに好ましくは30%以上である。そうすることにより、吸収性物品の非着用時には、温感付与層から、温感溶液を、温感部材の外に移動、揮発等させにくい状態で保持することができるとともに、吸収性物品の着用時には、温感付与層から、温感保持溶液が保持する温感剤を放出することができる。
【0115】
上記複数の開孔部のそれぞれは、温感部材の平面方向において、胴周り方向と交差する方向に延びていることが好ましく、そして胴周り方向と直交する方向、すなわち、丈方向に延びていることがより好ましい。そうすることにより、温感部材が胴周り方向に伸長した際に、複数の開孔部のそれぞれの開口の面積が大きくなり、温感溶液保持層が保持する温感溶液が、着用者に移動しやすくなる。
【0116】
上記複数の開孔部は、胴周り方向に隣接する2つの開孔部が、胴周り方向において、それらの一部が重複するが、それらの残余の部分が重複しないように、胴周り方向に間欠的に配置されていることが好ましい。そうすることにより、吸収性物品の非着用時には、温感付与部材から、温感溶液を温感部材の外に移動、揮発等させにくい状態で保持することができるとともに、吸収性物品の着用時には、温感付与層そのものが、胴周り方向への伸縮性に優れる。
【0117】
本開示に係る温感部材では、温感溶液保持層は、温感溶液を保持することができるものであれば、特に制限されないが、布帛、例えば、不織布、織布、編物から構成される。上記布帛は、製造のしやすさの観点から不織布であることが好ましい。
上記不織布としては、例えば、エアレイドパルプ、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、メルトブローン不織布、及びこれらの組み合わせ(例えば、SMS等)等が挙げられる。
【0118】
上記布帛を構成する繊維としては、例えば、天然繊維、合成繊維、及び半合成繊維が挙げられる。上記天然繊維としては、パルプ繊維及び再生セルロース繊維が挙げられる。
上記再生セルロース繊維としては、レーヨン繊維、例えば、ビスコースから得られるビスコースレーヨン、ポリノジック及びモダール、セルロースの銅アンモニア塩溶液から得られる銅アンモニアレーヨン繊維(「キュプラ」とも称される);有機化合物及び水の混合溶液である有機溶剤を用いた有機溶剤紡糸法によって得られ、セルロース誘導体を経ないリヨセル及びテンセル等が挙げられる。
上記半合成繊維としては、半合成セルロース繊維、例えば、アセテート繊維、例えば、トリアセテート繊維及びジアセテート繊維が挙げられる。
【0119】
上記合成繊維としては、例えば、熱融着性繊維、例えば、ポリオレフィン系ポリマー、例えば、ポリエチレン若しくはポリプロピレン;ポリエステル系ポリマー、例えば、テレフタレート系ポリマー、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリブチレンテレフタレート,ポリペンチレンテレフタレート;ポリアミド系ポリマー、例えば、ナイロン6若しくはナイロン6,6;アクリル系ポリマー;ポリアクリロニトリル系ポリマー;又はそれらの変性物、あるいはそれらの組み合わせ等から形成された繊維が挙げられる。
【0120】
本開示に係る温感部材では、温感溶液保持層を構成する布帛は、親水性又は親油性を有することができる。親水性を有する布帛は、布帛、又は布帛を構成する素材(繊維、繊維の原料等)を、当技術分野で公知の親水化剤で処理する(例えば、親水化剤を塗工する、親水化剤を練り込む)ことにより形成されうる。上記親水化剤としては、例えば、アルキルホスフェートエステル塩、アルキルホスフェート金属塩等が挙げられる。また、上記親水化剤としては、例えば、炭素数が10~30のアルキルホスフェートエステル塩と、炭素数が10~30のベタイン化合物、硫酸エステル塩又はスルホネート塩との混合物、アルキルホスフェートエステル塩とポリエーテル変性シリコーンとの混合物等が挙げられる。
なお、布帛の親水化度は、上記親水化剤の種類、濃度、量等により調整することができる。
【0121】
親油性を有する布帛としては、布帛そのもの、又は布帛を構成する素材(繊維、繊維の原料等)を、当技術分野で公知の親油化剤で処理する(例えば、親油化剤を塗工する、親油化剤を練り込む)ことにより形成されうる。上記親油化剤としては、脂肪酸エステル(例えば、トリグリセリド)、炭化水素(例えば、直鎖状炭化水素)が挙げられる。
なお、布帛の親油化度は、上記親油化剤の種類、濃度、量等により調整することができる。
【0122】
本開示に係る温感部材では、温感溶液保持層は、胴周り方向への伸張性を有しなくともよく、そして胴周り方向への伸長性を有していてもよい。
胴周り方向への伸長性を有しない温感溶液保持層としては、上述の布帛が挙げられる。胴周り方向への伸長性を有しない温感溶液保持層は、胴周り方向に離間した2つ以上の箇所において、温感付与層及び液不透過性層と接合されていないことが好ましい。温感付与層及び液不透過性層が胴周り方向に伸長する際に、温感溶液保持層が、温感付与層及び液不透過性層が胴周り方向に伸長することを阻害する場合があるからである。
【0123】
当該観点からは、胴周り方向への伸長性を有しない温感溶液保持層は、単一の箇所で、温感付与層及び液不透過性層の一方若しくは両方に接合されているか、又は温感付与層及び液不透過性層の両方に接合されていないことが好ましい。また、上記観点からは、胴周り方向への伸長性を有しない温感溶液保持層が、単一の箇所で、温感付与層及び液不透過性層の両方に接合されている場合には、温感付与層への接合箇所と、液不透過性層への接合箇所とが、温感部材の厚さ方向に重複していることが好ましい。
【0124】
胴周り方向への伸張性を有する温感溶液保持層としては、伸縮性布帛、例えば、伸縮性不織布が挙げられる。また、胴周り方向への伸張性を有する温感溶液保持層としては、複数の貫通スリット部を備える布帛が挙げられる。
【0125】
上記複数の貫通スリット部のそれぞれは、胴周り方向と交差する方向に延びていることが好ましく、そして胴周り方向と直交する方向、すなわち、丈方向に延びていることがより好ましい。そうすることにより、温感部材が胴周り方向に伸長した際に、複数の貫通スリット部のそれぞれの開口の面積が大きくなることにより、温感溶液保持部材が胴周り方向に伸長することができる。
【0126】
上記複数の貫通スリット部は、胴周り方向に隣接する2つの貫通スリット部が、胴周り方向において、それらの一部が重複するが、それらの残余の部分が重複しないように、胴周り方向に間欠的に配置されていることが好ましい。そうすることにより、吸収性物品の着用時に、温感溶液保持部材そのものが、胴周り方向への伸縮性に優れる。
【0127】
本開示に係る温感部材では、温感溶液保持層は、30g/cm2の荷重時の厚さが、3g/cm2荷重時の厚さの、好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下、そしてさらに好ましくは50%以下である。そうすることにより、温感部材に体圧等が加わった場合に、温感溶液保持層が潰れやすくなり、温感溶液保持層が保持する温感溶液を、温感付与層が備える複数の開孔部を介して、着用者の肌に移動させやすくなる。
【0128】
本開示に係る温感部材では、温感溶液保持層は、10g/cm2の荷重時の厚さが、3g/cm2荷重時の厚さの、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、そしてさらに好ましくは90%以上である。そうすることにより、着衣等の着圧では温感溶液保持層が過度に潰れにくくなる。
【0129】
本明細書では、30g/cm2、10g/cm2及び3g/cm2荷重時の厚さは、以下の通り測定される。
(1)温度:20±5℃及び湿度:65±5%RHの恒温恒湿室に、株式会社大栄科学精器製作所製 FS-60DSを準備し、同恒温恒湿室に、液透過性シート (以下、「サンプル」と称する)を24時間静置する。
(2)サンプルの厚さを、場所を変えて10点測定し、それらの平均値を、サンプルの厚さとして採用する。
荷重は、測定子を変更することにより調整する。荷重:3g/cm2の条件では、直径:44mmの測定子を用い、荷重:10g/cm2の条件では、直径:25mmの測定子を用い、そして荷重:30g/cm2の条件では、直径:14mmの測定子を用いる。
【0130】
上記温感溶液保持層は、好ましくは10~100g/m2、そしてより好ましくは20~50g/m2の坪量を有する。
【0131】
本開示に係る温感部材では、液不透過性層は、胴周り方向に伸長可能であり且つ温感溶液を透過しないものであれば、特に制限されず、例えば、伸縮性フィルム(例えば、ポリウレタンフィルム)、当該伸縮性フィルムと、他のフィルムとの積層シート(例えば、他のフィルムに、伸長した伸縮性フィルムを貼付した積層シート)、当該積層シートのギア延伸物等が挙げられる。
上記伸縮性フィルムとしては、例えば、3M社製のXME99107 Blue Flute Elasticが挙げられる。
【0132】
温感溶液保持層が保持する温感溶液が、揮発性の高いもの、例えば、揮発性の高い溶媒及び/又は揮発性の高い温感剤を含む場合には、液不透過性層は、気密性を有してもよい。気密性を有する液不透過性層としては、気密性フィルムと、上述の伸縮性フィルムとの積層フィルム(例えば、気密性フィルムに、伸長した伸縮性フィルムを貼付した積層シート)が挙げられる。上記気密性フィルムとしては、温感付与層の箇所で挙げられているものが挙げられる。
【0133】
本開示に係る温感部材では、液不透過性層が透湿性を有しないことが好ましい。そうすることにより、着用者の肌に存在する水分、水蒸気等が、液不透過性層を透過して温感部材の外に排出されにくくなり、着用者の肌の主に角質層が膨潤した状態を保持しやすく、温感溶液が、主に角化細胞(ケラチノサイト)に存在するTRPチャネルに到達しやすくなる。その結果、温感感知時間が短くなり、着用者が、温感感知時間に痒みを覚えにくくなる。
上記液不透過性層は、好ましくは10~50g/m2、そしてより好ましくは15~30g/m2の坪量を有する。
【0134】
本開示に係る温感部材において、温感溶液保持層、又は上述の積層シートから構成される温感付与層は、発熱性繊維、断熱性繊維及び吸湿性繊維、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される繊維(以下、単に「機能性繊維」と称する場合がある)を含むことができる。
【0135】
温感溶液保持層、又は上述の積層シートから構成される温感付与層が、上述の所定の機能性繊維を含むと、着用者の蒸散、汗等による水分により、着用者の肌の主に角質層が膨潤しやすくなり、温感溶液が、角化細胞(ケラチノサイト)に主に存在するTRPチャネルに到達しやすくなる。その結果、温感感知時間が短くなり、そして着用者が、温感感知時間に痒みを覚えにくくなる。
【0136】
上記発熱性繊維としては、(i)吸湿発熱性繊維、(ii)蓄熱繊維、(iii)遠赤外線放射繊維が挙げられる。
【0137】
上記吸湿発熱性繊維としては、例えばアクリレート系繊維、羊毛等が挙げられる。上記蓄熱繊維としては、例えば、太陽光を吸収し、熱エネルギーに変換する物質(炭化ジルコニウム等)を含む繊維、カーボンを含む繊維等が挙げられる。上記遠赤外線放射繊維としては、例えば、加熱されると、遠赤外線を放射するセラミックスを含む繊維が挙げられる。
上記断熱性繊維としては、中空繊維、羽毛等が挙げられる。
上記吸湿性繊維としては、上述の天然繊維、半合成繊維等が挙げられる。
【0138】
具体的には、本開示に係る温感部材において、温感溶液保持層、又は上述の積層シートから構成される温感付与層が吸湿発熱性繊維を含む場合には、着用者の肌からの蒸散、汗等の水分が提供されると、吸湿発熱性繊維が発熱し、着用者が汗をかきやすくなる。次いで、着用者の汗の水分により、着用者の肌の主に角質層が膨潤し、温感溶液が、角化細胞(ケラチノサイト)に主に存在するTRPチャネルに到達しやすくなる。その結果、温感感知時間が短くなり、着用者が、温感感知時間に痒みを覚えにくくなる。
【0139】
また、温感溶液保持層、又は上述の積層シートから構成される温感付与層が、蓄熱繊維又は遠赤外線放射繊維を含む場合にも、着用者が汗をかきやすくなり、着用者の汗の水分により、着用者の肌の主に角質層が膨潤し、温感溶液が、角化細胞(ケラチノサイト)に主に存在するTRPチャネルに到達しやすくなる。その結果、温感感知時間が短くなり、着用者が、温感感知時間に痒みを覚えにくくなる。
【0140】
本開示に係る温感部材において、温感溶液保持層、又は上述の積層シートから構成される温感付与層が断熱性繊維を含む場合には、着用者が汗をかきやすくなり、着用者の汗の水分により、着用者の肌の主に角質層が膨潤し、温感溶液が、角化細胞(ケラチノサイト)に主に存在するTRPチャネルに到達しやすくなる。その結果、温感感知時間が短くなり、そして着用者が、温感感知時間に痒みを覚えにくくなる。
【0141】
本開示に係る温感部材において、温感溶液保持層、又は上述の積層シートから構成される温感付与層が吸湿性繊維を含む場合には、吸湿性繊維が、着用者の蒸散、汗等の水分を保持し、着用者の肌の主に角質層を膨潤させやすくなり、温感溶液が、角化細胞(ケラチノサイト)に主に存在するTRPチャネルに到達しやすくなる。その結果、温感感知時間が短くなり、着用者が、温感感知時間に痒みを覚えにくくなる。
【0142】
本開示に係る温感部材は、温感付与層と、温感溶液保持層との間に、追加の部材、例えば、補助シート等を含むことができる。
上記補助シートの素材としては、温感溶液保持層を構成する布帛として列挙されるものが挙げられる。
【0143】
本開示に係る温感部材は、当該温感部材を吸収性物品に固定する粘着部を備えることができ、当該粘着部を形成しうる粘着剤としては、ホットメルト接着剤、例えば、例えば、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン(SEBS)、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)等のゴム系を主体とした、又は直鎖状低密度ポリエチレン等のオレフィン系を主体とした感圧型接着剤又は感熱型接着剤;水溶性高分子(例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセルロース、ゼラチン等)又は水膨潤性高分子(例えば、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸ナトリウム等)からなる感水性接着剤等が挙げられる。
【0144】
上記粘着部、及び上記粘着部を形成しうる粘着剤は、伸長性又は伸縮性を有することが好ましく、伸長性又は伸縮性を有する粘着剤としては、例えば、Fuller社製のJM-5332が挙げられる。
【0145】
また、上記粘着部は、当技術分野で通常用いられている、伸縮性を有しないホットメルト接着剤を、温感部材の液不透過性層に間欠的に、例えば、(i)ドット状の粘着部部分、(ii)丈方向に間欠的に配置されたドット状の粘着部部分、又は(iii)丈方向に延びる線状の粘着部部分を、胴周り方向に間欠的に配置したものであってもよい。
上記粘着部及び粘着剤は、温感部材を構成する資材の接合、例えば、温感付与層及び液不透過性層の接合(例えば、ラウンドシール)、温感溶液保持層の、温感付与層及び/又は液不透過性層の接合等にも用いることができる。
【0146】
本開示の吸収性物品は、使用される前に包装シートで包装されていること、例えば、個包装されていることが好ましいが、温感溶液保持層が保持する温感溶液が、温感部材の温感付与層及び液不透過性層とに保持されているため、気密性を有する包装シートで包装されなくともよい。
【0147】
上記包装シートの素材としては、例えば、ポリオレフィン系ポリマー、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。上記包装シートは、上記個包装体の気密性を高める観点から、気密層を含んでもよく、そして当該気密層の素材としては、例えば、エチレンビニルアルコールコポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、例えば、塩化ビニリデンメチルアクリレートコポリマー、ポリビニルアルコール、ナイロン、例えば、ナイロン6、アルミ箔、基材フィルム(ポリエチレンテレフタレート等)上にアルミナ、シリカ等が蒸着されたものが挙げられる。
【0148】
本開示の吸収性物品としては、胴周り領域を有し、吸収体を備えるものであれば、特に制限されず、例えば、ショーツ型生理用ナプキン、使い捨ておむつ等が挙げられる。
【0149】
<温感部材、及び温感部材の吸収性物品に貼付しての使用>
本開示はまた、吸収性物品に貼付して使用される温感部材、及び温感部材の吸収性物品に貼付しての使用に関する。
温感部材及び吸収性物品の構成については、「吸収性物品」の箇所で説明しているため、ここでの説明は省略する。
温感部材を貼付すべき吸収性物品の領域は、吸収性物品が、着用時に、非着用時と比較して伸長する領域であれば特に制限されず、吸収性物品の任意の領域に貼付されうる。
温感部材を貼付すべき吸収性物品の領域としては、胴周り方向に伸長可能な胴周り領域を有する吸収性物品の胴周り領域であることが好ましい。胴周り領域は、着用時に、非着用時と比較して伸長度が高いため、温感部材の温感付与層の複数の開孔部が、温感溶液を放出しやすくなるからである。
【符号の説明】
【0150】
<第1実施形態>
1 ショーツ型生理用ナプキン
3 ショーツ型生理用ナプキン本体
5 吸収体
7 温感部材
11 前側伸縮性不織布
13 前側不織布
15 前側ウエストベルト部材
17 前側接合部
19 後側伸縮性不織布
21 後側不織布
23 後側ウエストベルト部材
25 後側接合部
101 温感付与層
103 肌側面
105 非肌側面
107 スリット部
109 開口
111 スリット壁
113 スリット底
121 温感溶液保持層
123 肌側面
125 非肌側面
127 貫通スリット部
131 液不透過性層
133 粘着部
133p 粘着部部分
Wa 胴周り方向
Lo 丈方向
T 厚さ方向
WR 胴周り領域
WRF 前胴周り領域
WRR 後胴周り領域
C 股間領域