(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】基板ホルダ、めっき装置および基板のめっき方法
(51)【国際特許分類】
C25D 17/08 20060101AFI20220610BHJP
C25D 17/06 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
C25D17/08 J
C25D17/06 D
C25D17/06 G
C25D17/08 Q
(21)【出願番号】P 2018214402
(22)【出願日】2018-11-15
【審査請求日】2021-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100203611
【氏名又は名称】奈良 大地
(72)【発明者】
【氏名】宮本 松太郎
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-040045(JP,A)
【文献】国際公開第2014/076781(WO,A1)
【文献】特開2006-283157(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0024178(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 17/08
C25D 17/06
C25D 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一方の面を露出するための第1の開口を有する第1のフレームと、
前記基板の他方の面を露出するための第2の開口を有する第2のフレームと、
を備え、前記基板は前記第1のフレームと前記第2のフレームに挟まれる、めっきされるべき基板を保持するための基板ホルダであって、
前記第1のフレームと前記基板の間に着脱可能に配置されるダミー基板であって、前記ダミー基板は少なくとも直流電流を実質的に流さない材質から形成され、前記ダミー基板の少なくとも一部は前記基板の前記一方の面の少なくとも一部に接触し、前記ダミー基板は前記基板の前記一方の面をめっき液から
隔離する、ダミー基板
をさらに備える、基板ホルダ。
【請求項2】
前記第1のフレームおよび前記第2のフレームのそれぞれは、前記基板または前記ダミー基板に接触するインナシールを備え、
前記第1のフレームおよび前記第2のフレームの少なくとも一方は、他方のフレームに接触するアウタシールを備え、
前記ダミー基板は、
前記ダミー基板の外縁部である第1の部分と、
前記第1の部分より内側の部分である第2の部分であって、前記インナシールと接触する第2の部分と、
前記第2の部分より内側の部分である第3の部分と、
を備え、
前記第2の部分の厚さは、前記第1の部分の厚さ又は前記第3の部分の厚さより薄い、請求項1に記載の基板ホルダ。
【請求項3】
前記第2の部分の厚さが0.1mm以上2mm以下である、請求項2に記載の基板ホルダ。
【請求項4】
前記第1の部分に、前記基板を搬送するための搬送装置の爪を通過させるためのカットアウトが設けられている、請求項2または3に記載の基板ホルダ。
【請求項5】
前記第3の部分の少なくとも一部が前記第1の開口に挿入されるよう前記第3の部分が構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の基板ホルダ。
【請求項6】
前記ダミー基板の前記基板を向く面には突起部が設けられており、前記突起部が前記基板と接触する、請求項1から5のいずれか一項に記載の基板ホルダ。
【請求項7】
前記突起部は前記基板の可触領域にのみ接触するように構成されている、請求項6に記載の基板ホルダ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の基板ホルダと、
前記基板ホルダに基板を取り付けるためおよび前記基板ホルダから基板を取り外すための基板着脱装置と、
少なくとも1つのめっき槽を含む処理部と、
前記基板ホルダを搬送するためのトランスポータと、
前記基板ホルダを収容するためのストッカと、
を備える、めっき装置。
【請求項9】
前記ストッカには、前記ダミー基板を備えた前記基板ホルダと、前記ダミー基板が取り外された前記基板ホルダのそれぞれが少なくとも1つずつ収容されている、
請求項8に記載のめっき装置。
【請求項10】
前記基板ホルダは、
前記第1のフレームおよび前記第2のフレームを離間させた状態で組み合わせて保持するように、前記基板ホルダをセミロックすることが可能なクランパを備え、
前記基板ホルダの少なくとも1つはセミロックされた状態で前記ストッカに収容されている、請求項8または9に記載のめっき装置。
【請求項11】
基板ホルダを用いた基板のめっき方法であって、
前記基板ホルダは、
基板の一方の面を露出するための第1の開口を有する第1のフレームと、
前記基板の他方の面を露出するための第2の開口を有する第2のフレームと、
を備え、前記基板は前記第1のフレームと前記第2のフレームに挟まれる、基板ホルダであって、
前記基板ホルダはめっき装置のストッカに収容されており、
前記ストッカに収容されている前記基板ホルダの少なくとも1つは、前記第1のフレームと前記基板の間に配置されるダミー基板であって、前記ダミー基板は少なくとも直流電流を実質的に流さない材質から形成され、前記ダミー基板の少なくとも一部は前記基板の前記一方の面の少なくとも一部に接触し、前記ダミー基板は前記基板の前記一方の面をめっき液から
隔離する、ダミー基板を備え、
前記ストッカに収容されている前記基板ホルダの少なくとも他の1つは前記ダミー基板を備えず、
方法は、
使用する前記基板ホルダを選択するステップであって、片面めっきが施される場合は前記ダミー基板を備える前記基板ホルダが選択され、両面めっきが施される場合は前記ダミー基板を備えない前記基板ホルダが選択される、選択するステップと、
選択された前記基板ホルダに基板を取り付けるステップと、
前記基板ホルダにより保持された前記基板にめっき加工を施すステップと、
を含む、基板のめっき方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板ホルダ、めっき装置および基板のめっき方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンウエハなどの基板をめっきするためのめっき装置においては、基板を保持するための基板ホルダが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-40045号公報
【文献】特開2004-277815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
めっき加工は、基板の一方の面にのみにめっきを施す片面めっきと、基板の両方の面にめっきを施す両面めっきと、に大別され得る。近年、片面めっきと両面めっきの双方において使用可能な基板ホルダが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願は、基板の一方の面を露出するための第1の開口を有する第1のフレームと、基板の他方の面を露出するための第2の開口を有する第2のフレームと、を備え、基板は第1のフレームと第2のフレームに挟まれる、めっきされるべき基板を保持するための基板ホルダであって、第1のフレームと基板の間に着脱可能に配置されるダミー基板であって、ダミー基板は少なくとも直流電流を実質的に流さない材質から形成され、ダミー基板の少なくとも一部は基板の一方の面の少なくとも一部に接触し、ダミー基板は基板の一方の面をめっき液から防護する、ダミー基板をさらに備える、基板ホルダを一実施形態として開示する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図3】基板ホルダの基板を保持する部分の断面図である。
【
図4】セミロック機能を有するクランパのプレートの斜視図である。
【
図5】
図4のプレートの対になるフック部の斜視図である。
【
図6】
図4のプレートと
図5のフック部を備えるクランパの断面図である。
【
図8A】基板ホルダに基板を取り付ける際の押付部の動作を示す第1の図である。
【
図8B】基板ホルダに基板を取り付ける際の押付部の動作を示す第2の図である。
【
図8C】基板ホルダに基板を取り付ける際の押付部の動作を示す第3の図である。
【
図8D】基板ホルダに基板を取り付ける際の押付部の動作を示す第4の図である。
【
図8E】基板ホルダに基板を取り付ける際の押付部の動作を示す第5の図である。
【
図8F】基板ホルダに基板を取り付ける際の押付部の動作を示す第6の図である。
【
図9】ダミー基板を備えた基板ホルダの断面図である。
【
図10A】ダミー基板が用いられている場合の押付部の動作を示す第1の図である。
【
図10B】ダミー基板が用いられている場合の押付部の動作を示す第2の図である。
【
図10C】ダミー基板が用いられている場合の押付部の動作を示す第3の図である。
【
図11A】ダミー基板を基板に向かない面から見た図である。
【
図12】ダミー基板を基板に向く面から見た図である。
【
図13】ダミー基板を基板に向く面から見た図である。
【
図14】カットアウトを備えるダミー基板の図である。
【
図16】開口のないリアフレームを備える基板ホルダの断面図である。
【
図17】他の例にかかるダミー基板を備える基板ホルダ200の断面図である。
【
図18】基板搬送ロボットと、基板と、ダミー基板とを示す斜視図である。
【
図19】基板搬送ロボットのクローの斜視図である。
【
図20】アクチュエータを有する基板搬送ロボットと、延在部を有するダミー基板の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<めっき装置について>
図1は一実施形態にかかるめっき装置100の模式図である。
図1Aはめっき装置100の上面図である。
図1Bはめっき装置100の側面図である。一実施形態にかかるめっき装置100は、ロードポート110と、基板搬送ロボット120と、ドライヤ130と、基板着脱装置140と、めっき処理部150と、トランスポータ160と、ストッカ170と、を備える。さらに、めっき装置100はめっき装置100の各部を制御するための制御部180を備えてよい。なお、以下ではめっきされる基板は角形であるとして説明する。しかし、角形以外の形状の基板が使用されてもよい。
【0008】
ロードポート110はめっき装置100に基板をロードし、および、装置100から基板をアンロードするために設けられている。ロードポート110はFOUP等の機構を置くことができるように、または、FOUP等の機構との間で基板を搬送可能であるように構成されていてよい。ロードポート110によりロードされた基板は基板搬送ロボット120により基板着脱装置140へ搬送される。
【0009】
基板着脱装置140は、基板ホルダに基板を取り付けるためおよび基板ホルダから基板を取り外すための装置である。基板着脱装置140には基板および基板ホルダの双方が搬入される必要がある。そこで、基板着脱装置140は、基板搬送ロボット120およびトランスポータ160の双方がアクセス可能な位置に位置付けられる。
【0010】
めっき処理部150は基板に対してめっき加工を行うために設けられている。めっき処理部150は1つまたは複数の処理槽を備える。1つまたは複数の処理槽のうち少なくとも1つはめっき槽である。一例として、
図1の処理部150は8つの処理槽、すなわち前水洗槽151、前処理槽152、第1のリンス槽153、第1のめっき槽154、第2のリンス槽155、第2のめっき槽156、第3のリンス槽157およびブロー槽158を備える。めっき装置100は、各処理槽にて所定の処理を順番に行うことができる。
【0011】
トランスポータ160は基板着脱装置140、めっき処理部150およびストッカ170との間で基板ホルダを搬送するよう構成されている。トランスポータ160は、基板ホルダを懸架するためのトランスポータアーム161と、トランスポータアーム161を上下動させるためのアーム上下動機構162と、アーム上下動機構162を処理槽の並びに沿って水平移動させるための水平移動機構163と、を備える。トランスポータ160の構成は例示に過ぎないことに留意されたい。
【0012】
ストッカ170は基板ホルダを少なくとも1枚、好ましくは複数枚保管可能に構成されている。トランスポータ160により、基板を保持していない基板ホルダはストッカ170から基板着脱装置140へ搬送される。基板着脱装置140に搬入された基板ホルダは、基板着脱装置140に基板搬送ロボット120により搬入された基板を保持する。めっき加工が終わった場合、基板を保持している基板ホルダは基板着脱装置140に搬送される。その後、基板着脱装置140は、基板ホルダから基板を取り外す。ストッカ170には、ダミー基板900(後述)を備えた基板ホルダ200と、ダミー基板900が取り外された基板ホルダのそれぞれが少なくとも1つずつ収容されていることが好ましい。さらに、基板ホルダ200がクランパ290SL(後述)を備える場合、基板ホルダ200はセミロックされた状態でストッカ170に収容されていることが好ましい。
【0013】
さらに、めっき装置100は後述する基板ホルダ200および/またはダミー基板900を洗浄するためのホルダ・ダミー基板洗浄部190を任意で備えてよい。ホルダ・ダミー基板洗浄部190の詳細については後述される。
【0014】
<基板ホルダについて>
次に、めっき装置100において用いられる基板ホルダ(以下では符号「200」を付す)について説明する。
図2は基板ホルダ200の模式図である。
図2Aは基板ホルダ200の正面図である。
図2Bは基板ホルダ200の断面図である。
図2Cは、
図2Bで「A」と付された箇所の拡大分解図である。
【0015】
基板ホルダ200は、フレーム間に基板を挟むことによって基板を保持するための部材である。基板ホルダ200は基板を挟持するためのフロントフレーム200aおよびリアフレーム200bを備える。「フロント」と「リア」という名称は便宜的なものに過ぎず、フロントフレーム200aの位置する側とリアフレーム200bの位置する側のどちらが正面として扱われてもよいことに留意されたい。フロントフレーム200aとリアフレーム200bとは、少なくとも1つ、好ましくは複数のクランパ290(クランパ290の詳細は後述)によってクランプされる。基板(以下では符号「W」を付す)は
図2B中に想像線で示されている。
【0016】
フロントフレーム200aはホルダアーム210aを有する。ホルダアーム210aの肩部には肩部電極220が設けられてよい。
図2の例では、ホルダアーム210aの両肩に2つの肩部電極220が設けられている。肩部電極220は図示しない導電経路(配線またはバスバーなど)により後述する基板用電極320と電気的に接続されている。基板用電極320は基板Wと電気的に接続されるので、肩部電極220は基板Wと電気的に接続される。リアフレーム200bにはホルダアーム210bが設けられている。ホルダアーム210bの構成はホルダアーム210aと同等である。フロントフレーム200aは配線格納部230aを備えてよい。リアフレーム200bは配線格納部230bを備えてよい。
【0017】
フロントフレーム200aおよびリアフレーム200bのそれぞれの中央部分には、基板Wを露出するための開口260aおよび開口260bがそれぞれ形成されている。
図2の例では、開口260aおよび開口260bは角形である。開口260aおよび開口260bの形状は必要に応じて適宜変更されてよい。
【0018】
基板ホルダ200が基板Wのみを保持しているならば、基板Wの一つの面は開口260aを介して外部に露出し、基板Wの他の面は開口260bを介して外部に露出する。したがって、基板ホルダ200は両面めっきのために用いられることができる。一方で、基板ホルダ200が基板Wおよび後述するダミー基板900(
図9参照)の双方を保持してい
る場合、基板Wの面は一方のみが露出される。したがって、一実施形態にかかる基板ホルダ200は、両面めっきのみならず片面めっきのためにも用いられることができる。
【0019】
<クランパについて>
基板ホルダ200は1つまたは複数のクランパ290を備える。クランパ290は、フロントフレーム200aに取り付けられたフック部250と、リアフレーム200bに取り付けられたプレート270とを有する。代替として、フック部250がリアフレーム200bに取り付けられてよく、プレート270がフロントフレーム200aに取り付けられていてもよい。
図2の例では合計で4つのクランパ290が開口260aおよび開口260bの周囲に設けられている。
【0020】
フック部250は、フロントフレーム200aに取り付けられるフックベース251と、フック本体252と、フック本体252をフックベース251に対して枢動可能に支持するシャフト253と、を備える。フック部250は、シャフト253を中心としてフック本体252を枢動させるためのレバー254をさらに有してもよい。フック本体252はリアフレーム200bの方向に向かって延びている。シャフト253は、保持されるべき基板Wの面と平行な面内で伸びている。フック部250は、フック本体252とクロー271(後述)との間の引っ掛かりを維持するための押圧部材(図示せず)であって、シャフト253を中心としてフック本体252を
図2Bまたは
図2Cの反時計回りに付勢する押圧部座をさらに備えてよい。押圧部材はたとえばねじりバネであってよい。
【0021】
フロントフレーム200aにはポート241a(
図2C参照)が設けられている。フック部250はポート241aに取り付けられる。リアフレーム200bにはポート241b(
図2C参照)が設けられている。ポート241bの位置および個数はポート241aの位置および個数に対応する。ポート241bにはプレート270が取り付けられる。プレート270には、フック本体252が引っ掛けられるクロー271が設けられている。クロー271はフロントフレーム200aの方向に向かって延びている。
【0022】
図2に示した実施形態では、レバー254をリアフレーム200bに向かって押すことでフック本体252とクロー271の引っ掛かりが解除される。これに代え、レバー254を引っ張ることで引っ掛かりが解除されるようにレバー254等を構成してもよい。
【0023】
<基板保持部の詳細について>
次に、
図3を用いて基板ホルダ200の基板Wを保持する部分の詳細を説明する。
図3のフロントフレーム200aおよびリアフレーム200bにはそれぞれ基板用電極320が設けられている。基板用電極320のそれぞれは、基板Wのそれぞれの面に電気的に接続される。基板用電極320は肩部電極220に電気的に接続されているので、肩部電極220は基板Wのそれぞれの面に電気的に接続される。
【0024】
基板ホルダ200は、基板用電極320が存在する空間をめっき液からシールするためのアウタシール300およびインナシール310を備える。アウタシール300はフロントフレーム200aとリアフレーム200bとに接触する。アウタシール300は基板Wの外側においてフロントフレーム200aとリアフレーム200bとの間の隙間をシールするように構成されている。アウタシール300はフロントフレーム200aに設けられていてもよく、リアフレーム200bに設けられていてもよい。インナシール310はフロントフレーム200aとリアフレーム200bのそれぞれに設けられている。インナシール310は基板Wに接触する。ただし、後述するダミー基板900が基板ホルダ200に取り付けられている場合、インナシール310の一方はダミー基板900に接触する。アウタシール300およびインナシール310は基板Wの厚さ方向に弾性的に変形可能である。基板Wは、インナシール310と基板Wとの間の接触圧によってフロントフレーム
200aとリアフレーム200bとの間に保持される。
【0025】
<セミロック機能を有するクランパについて>
基板ホルダ200は「セミロック機能」を有するクランパを備え得る。セミロック機能とは、「フロントフレーム200aとリアフレーム200bとを離間させた状態でフロントフレーム200aとリアフレーム200bとを保持する機能」をいう。基本的に、セミロック機能は、基板を保持していない基板ホルダのフロントフレーム200aとリアフレーム200bを組み合わせておく機能である。セミロック状態では、フロントフレーム200aとリアフレーム200bのシール及び接点は他方に接触しない。基板ホルダ200をセミロックさせることは、部品の寿命、基板ホルダの搬送の容易さ、基板ホルダの洗浄の容易さなどの点で有利である。
【0026】
図4は、セミロック機能を有するクランパ290のプレートの斜視図である。以下では、
図4に示されるプレートを「プレート270SL」という。「SL」は「Semi-Lock」の頭文字である。
図5は、プレート270SLの対になるフック部の斜視図である。以下では、
図5に示されるフック部を「フック部250SL」という。
図6は、プレート270SLとフック部250SLとを備えるクランパ290SLの断面図である。
【0027】
プレート270SLは2つのクロー271を有する。具体的には、プレート270SLは、ロック用クロー271aとセミロック用クロー271bを有する。ロック用クロー271aは、フック本体252がロック用クロー271aに引っ掛けられた場合に基板ホルダ200が基板Wを保持することができるように構成されている。セミロック用クロー271bは、フック本体252がセミロック用クロー271bに引っ掛けられた場合のフロントフレーム200aとリアフレーム200bの間の距離が、フック本体252がロック用クロー271aに引っ掛けられた場合のフロントフレーム200aとリアフレーム200bの間の距離よりも大きくなるように構成されている。
【0028】
フック部250SLは、シャフト253の長手方向に伸長されたフック本体252を備える。フック本体252が伸長されていることに伴い、フック本体252は2本のシャフト253により支持されている。ただし、
図5ではシャフト253のひとつは他の部品に隠されており、図示されていない。シャフト253のそれぞれは同軸に配置されている。2本のシャフト253に代え、伸長された1本のシャフト253を用いることもできる。
【0029】
伸長されたフック本体252は、ロック用クロー271aおよびセミロック用クロー271bに対して選択的に引っ掛けられる。フック本体252がロック用クロー271aに引っ掛けられた場合、クランパ290はロックされる。フック本体252がセミロック用クロー271bに引っ掛けられた場合、クランパ290はセミロックされる(「基板ホルダ200がセミロックされる」ともいう)。基板ホルダ200がセミロックされている場合、アウタシール300およびインナシール310は実質的に圧縮されていない。
【0030】
なお、矛盾のない限り、以下における「クランパ290」には「クランパ290SL」が含まれてよく、「プレート270」には「プレート270SL」が含まれてよく、「フック部250」には「フック部250SL」が含まれてよい。
【0031】
<基板着脱装置について>
フロントフレーム200aとリアフレーム200bとの間に基板Wを挟み込むためには、フック本体252がクロー271(クランパ290SLが用いられている場合、ロック用クロー271a)に引っ掛けられる必要がある。フック本体252がクロー271に引っ掛けられていると、フロントフレーム200aとリアフレーム200bが互いに離れることが規制され、アウタシール300およびインナシール310は基板Wの厚さ方向に弾
性的に変形し、シール圧力が発生する。フック本体252をクロー271に引っ掛けるためには、一旦、フック本体252がクロー271より背面側(
図2Cの右方向)に位置させられる必要がある。したがって、基板ホルダ200により基板Wを保持するためには、フロントフレーム200aがリアフレーム200bに向けて押し込まれる、または、リアフレーム200bがフロントフレーム200aに向けて押し込まれる必要がある。
【0032】
前述のように、フロントフレーム200aとリアフレーム200bとの間にはアウタシール300およびインナシール310が存在する。したがって、フロントフレーム200aおよび/またはリアフレーム200bを押し込むと、アウタシール300およびインナシール310からの反力が生じる。一実施形態にかかる基板着脱装置140は、アウタシール300およびインナシール310からの反力に逆らってフロントフレーム200aおよび/またはリアフレーム200bを押し込むことが可能に構成されている。基板着脱装置140はさらに、フロントフレーム200aおよび/またはリアフレーム200bを押し込んだ状態でフック本体252をクロー271に引っ掛ける(フック本体252を枢動させる)ことが可能であるように構成されている。基板着脱装置140は、これらの動作により基板ホルダ200に基板Wを取り付けることができる。
【0033】
以下、基板着脱装置140の詳細について説明する。
図7は一実施形態にかかる基板着脱装置140の模式図である。
図7Aは基板着脱装置140の上面図である。
図7Bは基板着脱装置140の側面図である。
図7Aには基板搬送ロボット120およびトランスポータ160もあわせて図示されている。基板着脱装置140は、ホルダ受け部700と、ホルダ傾動部710と、ホルダ搬送部720と、押付部730と、を備える。トランスポータ160はホルダ受け部700にアクセス可能であるよう構成される。基板Wは、基板搬送ロボット120によって基板着脱装置140に、より具体的には押付部730にロードされる。
【0034】
ホルダ受け部700は、ホルダ受け本体701と、ホルダ受け本体701を移動させるためのホルダ受け直動機構702を備える。ホルダ受け本体701はトランスポータ160から基板ホルダ200を受け取る。その後、ホルダ受け本体701は、ホルダ受け直動機構702により、ホルダ傾動部710の近くまで移動させられる。
【0035】
ホルダ傾動部710はホルダ傾動部アーム711を備える。ホルダ傾動部アーム711はホルダ受け本体701から基板ホルダ200を受け取る。ホルダ傾動部アーム711の傾動により、基板ホルダ200は水平になるまで傾動させられる(縦向きであった基板ホルダ200が横向きにされる)。
【0036】
ホルダ搬送部720はホルダキャリア721と、ホルダキャリア721を上下動させるためのキャリア上下動機構722と、キャリア上下動機構722を押付部730に向けて移動させるための搬送部直動機構723と、を備える。ホルダキャリア721はホルダ傾動部アーム711から基板ホルダ200を受け取り、押付部730へ向けて基板ホルダ200を搬送する。
【0037】
押付部730は、基板ホルダ200が水平に置かれるステージ731と、押付ユニット732と、を備える。押付ユニット732は、後述する上部基板サポータ803を通過させるための押付ユニット開口732opを有してよい。ステージ731はホルダ搬送部720から基板ホルダ200を受け取るように構成されている。ステージ731はさらに、基板ホルダ200をホルダ搬送部720に受け渡すよう構成されている。押付ユニット732はステージ731の上方に配置されている。押付ユニット732は上下動可能に構成されている。押付ユニット732はステージ731上の基板ホルダ200を下方に向かって押し付けることができる。押付ユニット732により基板ホルダ200が押し付けられ
ることで、フック本体252をクロー271に引っ掛けることまたはフック本体252とクロー271の引っ掛かりを解除することができる位置に、フック本体252およびクロー271が位置付けられる。
【0038】
図示された基板着脱装置140の構成は例示に過ぎないことに留意されたい。たとえばトランスポータ160により基板ホルダ200を水平にすることができるのであれば、ホルダ傾動部710は不要である。たとえばトランスポータ160が基板ホルダ200を押付部730に直接搬送することができるのであれば、押付部730以外の要素は不要である。基板着脱装置140の具体的な構成は適宜決定されてよい。
図7の押付部730と異なり、地面と垂直にされた基板ホルダ200を押し付ける押付部、いわゆる縦型の押付部が用いられてもよい。
【0039】
<押付部の動作について>
図8を用いて、基板ホルダ200に基板Wを取り付ける際の押付部730の動作を説明する。
図8は押付部730の動作の基本原理を示すものにすぎず、
図8に示される要素の寸法、形状、配置等は正確なものではないことに留意されたい。
図8A~
図8Fは時系列順に記載されている。なお、基板ホルダ200から基板Wを取り外す場合、図示した順序と逆の順序の動作が実行される。
図8Aでは図示された全ての部品に符号が付されている。一方で、
図8B~
図8Fでは、その時点における主要な部品にのみ符号が付されている。また、以下では、フロントフレーム200aが下を向くように基板ホルダ200がステージ731に載せられているものとして説明する。ただし、リアフレーム200bが下を向くように基板ホルダ200がステージ731に載せられていてもよい。
【0040】
図8A~
図8Fに示されるように、押付部730は、フロントフレーム200aとリアフレーム200bとの間で基板Wを挟持するための下部基板サポータ801および上部基板サポータ803を有する。下部基板サポータ801は開口260aを通過して基板Wを支持することができる。下部基板サポータ801は下部基板サポータ上下動機構802により上下動可能に構成されている。上部基板サポータ803は押付ユニット開口732opを通過できるように構成されている。上部基板サポータ803は開口260bを通過して基板Wにアクセスすることができる。上部基板サポータ803は上部基板サポータ上下動機構804により上下動可能に構成されている。下部基板サポータ801および上部基板サポータ803により基板Wが挟まれ、支持される。
【0041】
下部基板サポータ801および上部基板サポータ803は基板Wと直接接触する。そこで、下部基板サポータ801および上部基板サポータ803は基板Wの可触領域にのみ触れるように形成される。基板Wの可触領域は予め設定された領域であり、たとえば基板Wのうち配線が形成されない領域である。なお、基板Wの可触領域は基板の面によって異なり得る。下部基板サポータ801の形状は上部基板サポータ803と同一でもよく、下部基板サポータ801の形状と上部基板サポータ803の形状とが異なってもよい。たとえば、下部基板サポータ801の形状は上方から見て十字状であってよい。たとえば、上部基板サポータ803の形状は側面から見て逆U字状(基板Wとの接触点が2点となる形状)であってよい。
【0042】
<
図8A>基板Wを保持していない基板ホルダ200がストッカ170から搬入された時点の押付部730を示す図である。基板ホルダ200の搬入を阻害しないよう、下部基板サポータ801は下げられており、押付ユニット732および上部基板サポータ803は上げられている。クランパ290としてクランパ290SLが用いられている場合、基板ホルダ200はセミロックされていることが好ましい。
【0043】
<
図8B>クランパ290のロックまたはクランパ290SLのセミロックが解除され
る。クランパ290SLのセミロックの解除は、何らかのアクチュエータ(図示せず)がレバー254を押すことによって実行されてよい。クランパ290のロックの解除は、レバー254が押される段階の前に、押付ユニット732または押付ユニット732に備えられた何らかのアクチュエータがリアフレーム200bをフロントフレーム200aに向かって押しつける段階を有してよい。ロックまたはセミロックが解除された後、押付ユニット732がリアフレーム200bを持ち上げる。押付ユニット732はリアフレーム200bを持ち上げるためのフックまたはクローなど(図示せず)を有していてよい。
図8Cの時点において下部基板サポータ801が基板Wを受け取ることができるよう、下部基板サポータ上下動機構802により下部基板サポータ801が上げられる。ただし、
図8Cの時点において基板Wがフロントフレーム200aに直接置かれる場合、下部基板サポータ801の上昇は必ずしも必要ではない。
【0044】
<
図8C>基板搬送ロボット120により下部基板サポータ801の所定位置に基板Wが置かれる。基板搬送ロボット120は、後述する
図8Dおよび
図8Eの時点において下部基板サポータ801および上部基板サポータ803と干渉しないように構成される。
図8Cの時点において、基板Wがフロントフレーム200aに直接置かれてもよい。
【0045】
<
図8D>上部基板サポータ上下動機構804により上部基板サポータ803が下げられ、基板Wが下部基板サポータ801および上部基板サポータ803により挟まれる。その後、基板搬送ロボット120は基板Wを離し、基板搬送ロボット120は押付部730の外部へ離脱する。
【0046】
<
図8E>基板Wが挟まれた状態で、下部基板サポータ上下動機構802および上部基板サポータ上下動機構804により下部基板サポータ801および上部基板サポータ803が下げられる。それと同時にまたはその後に、押付ユニット732が下げられ、フロントフレーム200aとリアフレーム200bにより基板Wが挟まれる。
図8Eの時点において、何らかのアクチュエータなどによってリアフレーム200bがフロントフレーム200aに向かって押し付けられ、さらに別の何らかのアクチュエータなどによってクランパ290がロックされる。
図8Eの時点において、フロントフレーム200aがリアフレーム200bに向かって押し付けられてもよい。
【0047】
<
図8F>押付ユニット732とリアフレーム200bとの間の係合が解除されて、押付ユニット732が上げられる。それと同時、その後またはその前に、下部基板サポータ上下動機構802により下部基板サポータ801が下げられ、上部基板サポータ上下動機構804により上部基板サポータ803が上げられる。以上の動作により基板ホルダ200に基板Wが取り付けられる。
図8Fの後、基板ホルダ200は押付部730から、ひいては基板着脱装置140からアンロードされる。
図8Fに示されるように、ダミー基板900(
図9参照)が基板ホルダ200により保持されてない場合、基板ホルダ200に保持されている基板Wの両面が露出する。したがって、ダミー基板900が保持されていない場合、基板ホルダ200は両面めっきのためのホルダとなる。基板用電極320のそれぞれから供給する電力を制御することで、基板Wのそれぞれの面のめっき条件を変更することができる。
【0048】
<ダミー基板を備える基板ホルダについて>
次に、基板ホルダ200を片面めっきのために使用する場合の構造および方法について説明する。
図9はダミー基板900を備えた基板ホルダ200の断面図である。ダミー基板900を備える点以外は、
図9の基板ホルダ200は
図3の基板ホルダ200とほぼ同等である。ダミー基板900の少なくとも一部は、基板Wのどちらかの面、たとえばフロントフレーム200aに向いている面の少なくとも一部と接触する。ダミー基板900は基板ホルダ200に着脱可能に設けられる。
【0049】
基板Wの一方の面はダミー基板900により覆われる。つまり、ダミー基板900は基板Wの一方の面をめっき液から防護する。「部材をめっき液から防護する」ことは、「部材をめっき液から遮蔽する/隔離する/隔絶する」などと言い換えられてよい。基板ホルダ200にダミー基板900を取り付けることで、基板ホルダ200を片面めっきのためのホルダとして用いることができる。好ましくは、ダミー基板900は少なくとも直流電流を実質的に通さない材質、たとえば絶縁体または誘電体から形成される。ダミー基板900が直流電流を通さない場合、ダミー基板900に触れている基板用電極320からの電力の供給は継続されていてもよいし、中止されていてもよい。ダミー基板900はたとえばポリ塩化ビニルから形成されてよい。ダミー基板900が基板用電極320からの直流電流を遮断することで、ダミー基板900自体にめっき層が形成されてしまうことおよび基板Wのめっきされるべき面に対する電気的な条件を乱すことを防止することができる。基本的に、ダミー基板900によって覆われている基板Wの一方の面はめっき液に接触しない。したがって、基板Wの当該面がめっき液により汚染されることも防ぐことができる。
【0050】
典型的なダミー基板900は、アウタシール300およびインナシール310によりシールされる領域内に位置する第1の部分901と、インナシール310と接触する第2の部分902と、開口260aを介して露出する部分である第3の部分903と、を有する。ダミー基板900のうち最も外縁部が第1の部分901であり、第1の部分901の内側に配置された部分が第2の部分902であり、第2の部分902よりさらに内側の部分が第3の部分903である。第1の部分901、第2の部分902および第3の部分903の厚さはそれぞれ異なる。ただし、部分分けされていないダミー基板900(厚さが均一なダミー基板900)であっても、基板Wの一方の面を覆うことは可能である。したがって、ダミー基板900の形状は
図9に示された形状に限定されない。
【0051】
第2の部分902の厚さは第1の部分901の厚さおよび第3の部分903の厚さより薄い。ダミー基板900をフロントフレーム200aの方向から見た場合、第2の部分902の部分に凹みが形成されるようにダミー基板900は構成される。インナシール310はこの凹み部分と接触する。インナシール310の変形量には限界があるので、第2の部分902が厚い場合、厚い基板Wを保持できなくなる可能性がある。多種多様な厚さの基板Wに対応するため、第2の部分902の厚さは薄いほうが好ましい。ひとつの例では、第2の部分902の厚さはたとえば0.1mm以上2mm以下である。他の例では、第2の部分902の厚さはたとえば0.2mm以上1mm以下である。更なる他の例では、第2の部分902の厚さは0.5mmであることが好ましい。第2の部分902の厚さを決定するに当たっては、第2の部分902の強度が考慮に入れられてもよい。
【0052】
第3の部分903は、基板Wが基板ホルダ200に保持されていない場合、特に基板ホルダ200がセミロックされている場合にダミー基板900が基板ホルダ200から脱落することを防止する。さらに、第3の部分903は、基板ホルダ200とダミー基板900の位置関係を画定する。好ましくは、平面視した際の第3の部分903の大きさは、平面視した場合の開口260aの大きさよりわずかに小さい。好ましくは、第3の部分903の厚さは、第3の部分903の少なくとも一部が開口260aの内部に挿入されるように決定される。一例として、たとえば第3の部分903と開口260aの間のギャップ長が0.5mmとなるよう第3の部分903が構成されてよい。たとえば第3の部分903の厚さは約7mmであってよい。好ましくは、第3の部分903の厚さは、第3の部分903がフロントフレーム200aから突出しないように決定される。ただし、第3の部分903の具体的な大きさおよび厚さは様々な条件により異なり得ることに留意されたい。
【0053】
なお、ダミー基板900を基板ホルダ200がセミロック状態で保持している場合には
、2つのインナシールの間の距離はダミー基板900の第2の部分902の厚さよりも大きくなっている。つまり、基板ホルダ200がセミロック状態である場合、ダミー基板900がインナシール310の双方を押圧することはない(ただし、基板ホルダ200の向きによっては、重力によってダミー基板900がインナシール310の一方を押圧することは有り得る)。また、基板ホルダ200の接点(基板用電極)は、ダミー基板900には接触しないことが望ましい。
【0054】
<ダミー基板が用いられている場合の押付部の動作について>
図10を用いて、ダミー基板900が用いられている場合の押付部730の動作を説明する。符号が示されていない部品については
図8Aを参照されたい。
図10A~
図10Cは時系列順に記載されている。
図10Aの時点においてダミー基板900は基板ホルダ200に保持されている。ダミー基板900は必要に応じて
図8A~
図8Fに類似した手法により基板ホルダ200に保持されてもよい。ダミー基板900は事前に人力または他の装置などによって基板ホルダ200に保持されてもよい。たとえば、ダミー基板900が保持された基板ホルダ200と、ダミー基板900を保持していない基板ホルダ200のそれぞれがストッカ170に収容されており、必要に応じてそれぞれの基板ホルダ200が使い分けられてもよい。具体的には、片面めっきが施される場合はダミー基板900を備える基板ホルダ200が選択され、両面めっきが施される場合はダミー基板900を備えない基板ホルダ200が選択されてよい。選択された基板ホルダ200には基板Wが取り付けられる。さらにその後、当該基板ホルダ200により保持された基板にめっき加工が施される。
【0055】
ストッカ170に収容された基板ホルダ200のうちいくつかにダミー基板900を保持させることは、ダミー基板900を収容するためのステーション、ダミー基板900のための搬送装置またはダミー基板900自体を搬送する動作が不要であるという点で利点である。ダミー基板900を保持した基板ホルダ200はステージ731に置かれている。クランパ290SLが用いられている場合、好ましくは、
図10Aの時点において基板ホルダ200はセミロックされている。
【0056】
図10Aの時点から
図10Bの時点の間に、次の動作が行われる。(1)クランパ290のロックまたはクランパ290SLのセミロックを解除する。必要があれば、押付ユニット732はリアフレーム200bをフロントフレーム200aに向かって押し付けてからセミロックを解除する。(2)押付ユニット732によりリアフレーム200bを持ち上げる。(3)下部基板サポータ801によりダミー基板900を持ち上げる。(4)基板搬送ロボット120により基板Wをダミー基板900の上部に位置させる。
【0057】
図10Bの時点から
図10Cの時点の間に、次の動作が行われる。(1)上部基板サポータ803を下げて、下部基板サポータ801および上部基板サポータ803により基板Wおよびダミー基板900を挟む。(2)基板搬送ロボット120を押付部730から離脱させる。(3)下部基板サポータ801、上部基板サポータ803および押付ユニット732を下げ、フロントフレーム200aおよびリアフレーム200bにより基板Wおよびダミー基板900の双方を挟む。(4)リアフレーム200bをフロントフレーム200aに向けて押し付ける。(5)クランパ290をロックする。(6)押付ユニット732とリアフレーム200bとの間の係合を解除し、押付ユニット732を上げる。
【0058】
図10Cの時点の後に、下部基板サポータ801が下げられ、上部基板サポータ803が上げられる。さらにその後、基板Wとダミー基板900の双方を保持した基板ホルダ200が押付部730からアンロードされる。基板Wとダミー基板900の双方を保持した基板ホルダ200から基板Wを取り外すには、上記に説明した順序と逆の順序の動作が実行される。基板Wが取り外された後、基板ホルダ200からダミー基板900が取り出さ
れてもよい。ダミー基板900を保持した基板ホルダ200がストッカ170に戻されてもよい。
【0059】
以上に説明した実施形態によれば、ダミー基板900の有無を選択することのみにより、単一の基板ホルダ200を片面めっき及び両面めっきの双方のために用いることができる。ダミー基板900の有無によって基板ホルダ200の形状は大きく変化しない。したがって、本実施形態にかかる基板ホルダ200を用いる場合であっても、押付部730をはじめとしためっき装置100の構成要素の設計を大きく変更する必要はない。
【0060】
<ホルダ・ダミー基板洗浄部について>
めっき装置100は、セミロック状態の基板ホルダ200を洗浄する基板ホルダ洗浄槽を有することが望ましい。基板ホルダ洗浄槽は内部に洗浄液(たとえば純水)を溜めることができる。基板ホルダ200の洗浄時には、セミロック状態の基板ホルダ200が洗浄液に浸漬される。基板ホルダはセミロック状態で、基板Wを保持していないので、シール(たとえばアウタシール300および/またはインナシール310)、接点(たとえば基板用電極320)などが洗浄液に接触し、洗浄される。基板ホルダ洗浄槽内の洗浄液をバブリングにより撹拌して、基板ホルダ200の洗浄効率が高められてもよい。基板ホルダ200を洗浄液に浸漬する代わりに、洗浄液を基板ホルダ200の洗浄したい箇所に向けてシャワーすることにより基板ホルダ200が洗浄されてもよい。
【0061】
理想的には、ダミー基板900の基板Wを向く面にめっき液が付着することはないように思える。しかし実際には、ダミー基板900または基板Wの取り付けまたは取り外し時の液跳ね、傷、振動、設計誤差、組立誤差、各部品の経年劣化などの種々の理由によってダミー基板900の基板Wを向く面にめっき液等の液体が付着し得る。ダミー基板900を保持したセミロック状態の基板ホルダ200が洗浄されてもよい。もしダミー基板900の基板Wを向く面にめっき液が付着した場合であっても、ダミー基板900ごと基板ホルダ200を洗浄することで、ダミー基板900をも洗浄することができる。なお、基板ホルダ200に保持されたダミー基板900のみが洗浄されてもよい。本明細書では、以上に説明したような基板ホルダ200および/またはダミー基板900を洗浄するような機構を「ホルダ・ダミー基板洗浄部190」という。洗浄された基板ホルダ200の乾燥は、洗浄液から基板ホルダ200を引き上げることにより行われてもよく、基板ホルダ200の乾燥のためのみに設けられたブロー槽により行われてもよく、ブロー槽158により行われてもよい。
【0062】
<ダミー基板の基板を向かない面について>
図10から明らかなように、ダミー基板900の基板Wに向かない面の一部は下部基板サポータ801と接触する。そこで好ましくは、ダミー基板900の基板Wに向かない面には、下部基板サポータ801の形状に対応する凹部1100が設けられている。
図11Aはダミー基板900を基板Wに向かない面から見た図である。
図11Bは
図11Aにおいて「A-A」と付された位置における断面図である。前述のとおり下部基板サポータ801はたとえば十字形状であるので、
図11では十字形状の凹部1100が設けられている。凹部1100は先細りした溝状に形成される。凹部1100の傾斜部が下部基板サポータ801をガイドすることで、下部基板サポータ801が凹部1100により受けられることが確実にされる。なお、下部基板サポータ801は上下動しかしないのに対して、ダミー基板900は開口260aと衝突しない範囲において水平移動し得る。したがって、正確には、凹部1100の案内により移動するのはダミー基板900自身である。
【0063】
凹部1100の底部におけるダミー基板900の厚さは、第2の部分902の厚さと一致していることが好ましい。凹部1100の底部におけるダミー基板900の厚さと第2の部分902の厚さとを一致させることで、ダミー基板900がインナシール310に触
れる面の高さとダミー基板900が下部基板サポータ801に触れる面の高さとを一致させることができる。
【0064】
<ダミー基板の基板に向く面について>
図9のダミー基板900は基板Wと面接触している。したがって、何らかの液体(代表的にはめっき液)がダミー基板900と基板Wとの間に入り込んでしまうと、ダミー基板900が基板Wに張り付いてしまう可能性がある。ダミー基板900が基板Wに張り付いてしまうと基板Wの取り外しが困難になり得る。ダミー基板900と基板Wとの張り付きを防止するためには、ダミー基板900と基板Wとの接触面積を極力小さくすること、および/または、基板Wを取り外す際に、ダミー基板900と基板Wとの間に気体(たとえば大気)が供給される経路を確保することが好ましい。また、基板Wのめっきされない面であっても可触領域が制限されている場合がある。そこで好ましくは、ダミー基板900の基板Wに向く面には突起部1200が設けられている。
図12は、ダミー基板900を基板Wに向く面から見た図である。基板Wはダミー基板900の全面ではなく突起部1200のみと接触する。
図12の例では突起部1200は十字状である。かつ、
図12の例ではダミー基板900のエッジ部分も突起部1200である。上記のようにダミー基板900を構成することで、ダミー基板900と基板Wとの接触面積を小さくすることおよび気体の供給経路を確保することができ、ダミー基板900が基板Wに張り付くことを防止することができる。また、突起部1200の形状を基板Wの可触領域と同様の形状とすることにより、可触領域以外の部分においてダミー基板900と基板Wが接触することを防止することができる。
【0065】
図12のダミー基板900を用いて薄い基板Wをめっきしようとすると、めっき液の水圧により基板Wが変形する場合がある。そこで、ダミー基板900の全面にわたって均一的に基板Wと接触するような突起部1200が求められ得る。
図13は、ダミー基板900を基板Wに向く面から見た図である。
図13のダミー基板900の基板Wに向く面には複数の、好ましくは100個以上の突起部1200が並べられている。また、ダミー基板900のエッジ部分も突起部1200であってよい。
図13のようにダミー基板900を構成することによっても、ダミー基板900と基板Wとの接触面積を小さくすることおよび気体の供給経路を確保することができ、ダミー基板900が基板Wに張り付くことを防止することができる。
図13の突起部1200間の距離は短いので、
図13のダミー基板900を用いた場合基板Wの水圧による変形量を低減し得る。突起部1200の具体的な個数および寸法ならびに突起部1200間の距離などは適宜決定されてよい。なお、突起部1200のそれぞれが平面上の基板Wに接触するのであるから、同一の基準面から測定した高さは、突起部1200のそれぞれについて同一である。突起部1200を
図12のように構成するか
図13のように構成するかは、めっき加工の具体的なプロセス、基板Wの大きさ、厚さおよび材質、基板Wのめっきされない面における可触領域の有無などによって決定されてよい。
【0066】
<ダミー基板のカットアウトについて>
基板Wとダミー基板900を重なった状態で保持している基板ホルダから基板を取り出すには、基板搬送ロボット120が基板Wを上から真空吸着で保持するか、基板搬送ロボット120に設けられた爪が基板Wの外周部を下から掬い上げるように基板搬送ロボット120を構成することが考えられる。後者に関して、基板Wとダミー基板900が同形状であれば、基板Wのみを下から掬い上げて上に持ち上げることは困難である。なぜならば、基板搬送ロボット120の爪がダミー基板900に干渉し得るからである。そこで、ダミー基板900の外周部にはカットアウト1400が設けられていてよい。
図14には10個のカットアウト1400を備えるダミー基板900が示されている。
図14のダミー基板900の各長辺には3個のカットアウト1400が設けられ、各短辺には2個のカットアウト1400が設けられている。なお、「カットアウト」は形状を指す用語である。
換言すれば、カットアウト1400を形成するための手法は切削加工に限られない。カットアウト1400は、インナシール310と接触する位置より外側に設けられる。ダミー基板900が第1の部分901、第2の部分902および第3の部分903に区分け(区分けについては
図9を参照)されている場合、カットアウト1400は第1の部分901に設けられる。カットアウト1400は、基板搬送ロボット120の爪を通過させる。よって、ダミー基板900が基板Wとともに掬い上げられることがなくなる。
【0067】
カットアウト1400について、
図18を用いて更に説明する。
図18は基板搬送ロボット120(正確には基板搬送ロボット120の一部であるロボットハンド)と、基板Wと、ダミー基板900とを示す斜視図である。
図18の基板Wは短辺と長辺を有する長方形状である。基板搬送ロボット120およびダミー基板900の形状は長方形状の基板Wに最適化されている。
図18の基板搬送ロボット120には、クロー1800と、基板保持部材1810と、を備える。基板保持部材1810はたとえば基板Wを吸着するためのベルヌーイチャックであってよい。基板搬送ロボット120には、基板Wの1つの短辺に沿って2つ、基板Wの1つの長辺に沿って3つのクロー1800が設けられている。
図19はクロー1800の斜視図である。クロー1800は、クロー1800を基板搬送ロボット120に取り付けるための取付部1900と、先端が鉤状に(爪状に)なったレバー1910と、ピン1920と、を備えてよい。レバー1910は枢動可能に構成されている。レバー1910の枢動は、モータなどによって電磁的に制御されてもよく、ピンとバネなどの機械部品の組み合わせによって制御されてもよい。初期状態ではレバー1910は「開いて」いる。つまり、初期状態ではレバー1910の先端が基板Wよりも外側に位置するようレバー1910は枢動させられている。レバー1910の枢動によってレバー1910の先端は基板Wの下面を支えることができる。
【0068】
カットアウト1400はクロー1800の位置および個数に対応するように、より具体的にはレバー1910の位置および個数に対応するようにダミー基板900に設けられる。ただし、ここにいう「対応する」とは必ずしも「同一である」ことを意味しない。カットアウト1400の具体的な形状はレバー1910の形状、特にレバー1910の先端の形状によって定められる。カットアウト1400があることでレバー1910の先端が基板Wにアクセスすることが可能となり、ダミー基板900が基板Wとともに掬い上げられることがなくなる。
【0069】
なお、基板搬送ロボット120のロボットハンドは、上部基板サポータ803などとの干渉を起こさないように構成されている。たとえば、基板搬送ロボット120(のロボットハンド)は、上部基板サポータ803を通過させるための溝(
図18には図示せず)などを有してよい。
【0070】
<ダミー基板を固定するための固定具について>
前述のように、ダミー基板900が用いられている場合はダミー基板900が基板Wに張り付く可能性がある。その場合、ダミー基板900に何らかの力を加えてダミー基板900を固定しなければ、ダミー基板900と基板Wとを剥離することが困難である。そこで好ましくは、基板Wを取り出す際にダミー基板900は固定具1500により固定される。
図15は固定具1500によるダミー基板900の固定を示す図である。
図15において符号が示されていない部品については
図8を参照されたい。固定具1500は、例えば真空チャックである。固定具1500の一端はダミー基板900の基板Wと接さない面を吸着してダミー基板900を固定する。固定具1500の他端は他の部品、たとえばステージ731に結合されている。固定具1500がダミー基板900を固定することによって、基板Wを取り外すことが容易になる。固定具1500は、真空チャックの他、電磁クランパまたは機械的固定具などであってよい。固定具1500は基板ホルダ200の要素であってよく、または、押付部730の要素であってよい。
【0071】
<基板搬送ロボットのアクチュエータによってダミー基板を押さえることについて>
固定具1500に代替してまたは固定具1500に追加して、基板搬送ロボット120(のアーム)がダミー基板900を押さえるためのアクチュエータ2100を有してもよい。
図20はアクチュエータ2100を有する基板搬送ロボット120と、延在部2000を有するダミー基板900の斜視図である。延在部2000の位置および個数はアクチュエータ2100の位置及び個数に対応する。ただし、ここにいう「対応する」とは必ずしも「同一である」ことを意味しない。好ましくは、延在部2000およびアクチュエータ2100は、基板Wの角部の少なくとも1つの近傍に設けられる。より好ましくは、延在部2000およびアクチュエータ2100は、基板Wの全ての角部の近傍(基板Wが矩形ならば基板Wの四隅)に設けられる。アクチュエータ2100は上下動可能である。アクチュエータ2100は空圧式の機構または電磁的に動作する機構であってよい。延在部2000は基板Wから飛び出すように構成されている。したがって、ダミー基板900の上に基板Wが置かれている場合であっても、アクチュエータ2100は延在部2000にアクセス可能である。この例では、アクチュエータ2100が延在部2000を下部に向かって押しながら基板搬送ロボット120が基板Wを持ち上げる。この動作により、ダミー基板900が基板Wに張り付いていても、基板Wを取り外すことが容易になる。なお、
図20では図示されていないが、ダミー基板900はたとえば下部基板サポータ801によって下部から支えられていることに留意されたい。
【0072】
<フレームの交換による両面めっきおよび片面めっきの選択について>
これまで説明した手法と異なり、フロントフレーム200aおよびリアフレーム200bの一方を開口のないフレームへ交換することによっても、両面めっきおよび片面めっきの双方が可能な基板ホルダを実現し得る。
図16では、
図2Bのリアフレーム200bが開口260bのないリアフレーム200b’に置き換わっている。この場合、開口260bが存しないのだから、基板Wの一方の面は露出されない。両面めっきが行われる場合、リアフレーム200b’をリアフレーム200bへと再度置き換えればよい。なお、本明細書では、リアフレーム200bの置き換えによっては基板ホルダ200の同一性は失われないものとする。また、置き換えられるフレームはフロントフレーム200a’であってもよい。
【0073】
図9に示した例では、第3の部分903によりセミロック状態におけるダミー基板900の基板ホルダ200からの落下が防止されている。しかし、ダミー基板900の形状は
図9に示した例に限られない。
図17は他の例にかかるダミー基板900を備える基板ホルダ200の断面図である。
図17のダミー基板900は断面T字形状を有する。T字の「横棒」に相当する部分、すなわちダミー基板900の面に垂直な方向に延びる突出部はアウタシール300およびインナシール310によってシールされるべき領域の内部に配置されている。突出部がシールされるべき領域の内部の何らかの部材(たとえばフック状部材)が引っ掛かることにより、セミロック状態におけるダミー基板900の落下が防止される。ただし、
図17は一つの例示に過ぎず、ダミー基板900の形状および/またはダミー基板900の落下防止方法は適宜決定されてよいことに留意されたい。
【0074】
以上、いくつかの本発明の実施形態について説明してきた。しかし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0075】
本願は、一実施形態として、基板の一方の面を露出するための第1の開口を有する第1
のフレームと、基板の他方の面を露出するための第2の開口を有する第2のフレームと、を備え、基板は第1のフレームと第2のフレームに挟まれる、めっきされるべき基板を保持するための基板ホルダであって、第1のフレームと基板の間に着脱可能に配置されるダミー基板であって、ダミー基板は少なくとも直流電流を実質的に流さない材質から形成され、ダミー基板の少なくとも一部は基板の一方の面の少なくとも一部に接触し、ダミー基板は基板の一方の面をめっき液から防護する、ダミー基板をさらに備える、基板ホルダを開示する。
【0076】
この基板ホルダは、ダミー基板の着脱により片面めっきにも両面めっきにも使用し得るという効果を一例として奏する。
【0077】
さらに本願は、一実施形態として、第1のフレームおよび第2のフレームのそれぞれは、基板またはダミー基板に接触するインナシールを備え、第1のフレームおよび第2のフレームの少なくとも一方は、他方のフレームに接触するアウタシールを備え、ダミー基板は、ダミー基板の外縁部である第1の部分と、第1の部分より内側の部分である第2の部分であって、インナシールと接触する第2の部分と、第2の部分より内側の部分である第3の部分と、を備え、第2の部分の厚さは、第1の部分の厚さ又は第3の部分の厚さより薄い、基板ホルダを開示する。ある実施形態では、第2の部分の厚さが0.1mm以上2mm以下である。
【0078】
この基板ホルダは、多種多様な厚さの基板を保持し得るという効果を一例として奏する。
【0079】
さらに本願は、一実施形態として、第1の部分に、基板を搬送するための搬送装置の爪を通過させるためのカットアウトが設けられている、基板ホルダを開示する。
【0080】
この基板ホルダは、搬送装置とダミー基板の干渉を防止できるという効果を一例として奏する。
【0081】
さらに本願は、一実施形態として、第3の部分の少なくとも一部が第1の開口に挿入されるよう第3の部分が構成される、基板ホルダを開示する。
【0082】
この基板ホルダは、基板が基板ホルダに保持されていない場合、特に基板ホルダがセミロックされている場合のダミー基板の脱落を防止し得るという効果を一例として奏する。
【0083】
さらに本願は、一実施形態として、ダミー基板の基板を向く面には突起部が設けられており、突起部が基板と接触する、基板ホルダを開示する。ある実施形態では、突起部は基板の可触領域にのみ接触するように構成されている。
【0084】
この基板ホルダは、ダミー基板が基板に張り付くことを防止し得るという効果を一例として奏する。
【0085】
さらに本願は、一実施形態として、いずれかの実施形態にかかる基板ホルダと、基板ホルダに基板を取り付けるためおよび基板ホルダから基板を取り外すための基板着脱装置と、少なくとも1つのめっき槽を含む処理部と、基板ホルダを搬送するためのトランスポータと、基板ホルダを収容するためのストッカと、を備える、めっき装置を開示する。ある実施形態では、ストッカには、ダミー基板を備えた基板ホルダと、ダミー基板が取り外された基板ホルダのそれぞれが少なくとも1つずつ収容されている。ある実施形態では、基板ホルダは、基板ホルダをセミロックすることが可能なクランパを備え、基板ホルダの少なくとも1つはセミロックされた状態でストッカに収容されている。
【0086】
このめっき装置は、使用する基板ホルダを選択することにより、片面めっきおよび両面めっきの双方が可能であるという効果を一例として奏する。
【0087】
さらに本願は、一実施形態として、基板ホルダを用いた基板のめっき方法であって、基板ホルダは、基板の一方の面を露出するための第1の開口を有する第1のフレームと、基板の他方の面を露出するための第2の開口を有する第2のフレームと、を備え、基板は第1のフレームと第2のフレームに挟まれる、基板ホルダであって、基板ホルダはめっき装置のストッカに収容されており、ストッカに収容されている基板ホルダの少なくとも1つは、第1のフレームと基板の間に配置されるダミー基板であって、ダミー基板は少なくとも直流電流を実質的に流さない材質から形成され、ダミー基板の少なくとも一部は基板の一方の面の少なくとも一部に接触し、ダミー基板は基板の一方の面をめっき液から防護する、ダミー基板を備え、ストッカに収容されている基板ホルダの少なくとも他の1つはダミー基板を備えず、方法は、使用する基板ホルダを選択するステップであって、片面めっきが施される場合はダミー基板を備える基板ホルダが選択され、両面めっきが施される場合はダミー基板を備えない基板ホルダが選択される、選択するステップと、選択された基板ホルダに基板を取り付けるステップと、基板ホルダにより保持された基板にめっき加工を施すステップと、を含む、基板のめっき方法を開示する。
【0088】
この方法は、使用する基板ホルダを選択することにより、片面めっきおよび両面めっきの双方が可能であるという効果を一例として奏する。
【符号の説明】
【0089】
100…めっき装置
110…ロードポート
120…基板搬送ロボット
130…ドライヤ
140…基板着脱装置
150…めっき処理部
151…前水洗槽
152…前処理槽
153…第1のリンス槽
154…第1のめっき槽
155…第2のリンス槽
156…第2のめっき槽
157…第3のリンス槽
158…ブロー槽
160…トランスポータ
161…トランスポータアーム
162…アーム上下動機構
163…水平移動機構
170…ストッカ
180…制御部
190…ホルダ・ダミー基板洗浄部
200…基板ホルダ
200a…フロントフレーム
200b…リアフレーム
210a、b…ホルダアーム
220…肩部電極
230a、b…配線格納部
241a、b…ポート
250、250SL…フック部
251…フックベース
252…フック本体
253…シャフト
254…レバー
260a、b…開口
270、270SL…プレート
271…クロー
271a…ロック用クロー
271b…セミロック用クロー
290、290SL…クランパ
300…アウタシール
310…インナシール
320…基板用電極
700…ホルダ受け部
701…ホルダ受け本体
702…直動機構
710…ホルダ傾動部
711…ホルダ傾動部アーム
720…ホルダ搬送部
721…ホルダキャリア
722…キャリア上下動機構
723…搬送部直動機構
730…押付部
731…ステージ
732…押付ユニット
732op…押付ユニット開口
801…下部基板サポータ
802…下部基板サポータ上下動機構
803…上部基板サポータ
804…上部基板サポータ上下動機構
900…ダミー基板
901…第1の部分
902…第2の部分
903…第3の部分
1100…凹部
1200…突起部
1400…カットアウト
1500…固定具
1800…クロー
1810…基板保持部材
1900…取付部
1910…レバー
1920…ピン
2000…延在部
W…基板