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特許7085969ワイヤハーネス、遮断部付きワイヤハーネス、および、HWDシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス、遮断部付きワイヤハーネス、および、HWDシステム
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/84 20060101AFI20220610BHJP
   B60S 1/02 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
H05B3/84
B60S1/02 300
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018217793
(22)【出願日】2018-11-20
(65)【公開番号】P2020087614
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100130247
【弁理士】
【氏名又は名称】江村 美彦
(74)【代理人】
【識別番号】100167863
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 恵
(72)【発明者】
【氏名】力久 弘昭
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 健太
(72)【発明者】
【氏名】宇佐見 雄大
(72)【発明者】
【氏名】遠山 陽平
(72)【発明者】
【氏名】杉村 竹三
【審査官】比嘉 貴大
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-053448(JP,A)
【文献】実開昭61-124446(JP,U)
【文献】実開昭60-145957(JP,U)
【文献】特開平4-283153(JP,A)
【文献】特表2011-510851(JP,A)
【文献】実開昭50-141242(JP,U)
【文献】特表2011-504442(JP,A)
【文献】特開平10-41065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/84
B60S 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の窓ガラスの結露または凍結を除去するHWDシステムであって、前記窓ガラスに敷設された透明導電膜の両端部付近にそれぞれ配置され、前記透明導電膜と電気的に接続される複数のコネクタを有するHWDシステムに使用されるワイヤハーネスにおいて、
バッテリから供給される電力を伝送する前段ワイヤハーネスと、
前記前段ワイヤハーネスを伝送される電力を分岐する分岐部と、
前記分岐部から供給される電力を前記透明導電膜の一方の端部に配置された複数の前記コネクタの少なくとも1つに供給する後段ワイヤハーネスと、を有し、
前記前段ワイヤハーネスは前記後段ワイヤハーネスと線径が等しい、または、前記後段ワイヤハーネスは前記前段ワイヤハーネスより線径が太い、
ことを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項2】
前記コネクタは、前記窓ガラスを車体に固定する部材であるフレームに配置されていることを特徴とする請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記コネクタは、前記フレームに配置される本体部と、前記透明導電膜に配置されて電気的に接続される接触部とを有し、
前記後段ワイヤハーネスは、前記本体部に設けられた導電性を有するバスバーに接続され、前記バスバーと前記接触部とが接続線によって接続される、
ことを特徴とする請求項2に記載のワイヤハーネス。
【請求項4】
複数の前記コネクタは、導電性を有するバスバーを有するとともに、前記透明導電膜の両端部にそれぞれ配置され、
前記後段ワイヤハーネスは、前記バスバーに接続され、前記バスバーと前記透明導電膜とが接続線によって接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項5】
前記分岐部は、複数の前記コネクタの1つであり、前記前段ワイヤハーネスと、前記後段ワイヤハーネスとを接続する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のワイヤハーネス。
【請求項6】
前記後段ワイヤハーネスは、複数の前記コネクタのそれぞれに対して接続され、
前記分岐部は、前記前段ワイヤハーネスと複数の前記コネクタのそれぞれとを接続する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のワイヤハーネス。
【請求項7】
前記前段ワイヤハーネス、前記分岐部、および、前記後段ワイヤハーネスのいずれかの箇所に配置され、前記バッテリから供給される電流が所定値以上になった場合には、電流を遮断する遮断部を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のワイヤハーネス。
【請求項8】
前記遮断部は、前記バッテリから供給される電流が所定値以上になった場合には、電流を徐々に減少させることを特徴とする請求項7に記載のワイヤハーネス。
【請求項9】
前記遮断部は、前記透明導電膜からの逆電流を遮断することを特徴とする請求項7に記載のワイヤハーネス。
【請求項10】
車両の前方を撮像するための撮像装置が前記窓ガラスに視野を車両の外側に向けて取り付けられ、
前記窓ガラスの前記撮像装置の視野の近傍には、他の前記コネクタが配置されている、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のワイヤハーネス。
【請求項11】
車両の窓ガラスの結露または凍結を除去するHWDシステムに使用される遮断部付きワイヤハーネスにおいて、
前記HWDシステムは、前記窓ガラスに敷設された透明導電膜の両端部付近にそれぞれ配置され、前記透明導電膜と電気的に接続される複数のコネクタを有し、
バッテリから供給される電力を伝送する前段ワイヤハーネスと、
前記前段ワイヤハーネスを伝送される電力を分岐する分岐部と、
前記分岐部から供給される電力を前記透明導電膜の一方の端部に配置された複数の前記コネクタの少なくとも1つに供給する後段ワイヤハーネスと、を有し、
前記前段ワイヤハーネスは前記後段ワイヤハーネスと線径が等しい、または、前記後段ワイヤハーネスは前記前段ワイヤハーネスより線径が太く、
前記遮断部は、前記前段ワイヤハーネス、前記分岐部、および、前記後段ワイヤハーネスのいずれかの箇所に配置され、前記バッテリから供給される電流が所定値以上になった場合には電流を遮断する、
ことを特徴とする遮断部付きワイヤハーネス。
【請求項12】
車両の窓ガラスの結露または凍結を除去するHWDシステムにおいて、
前記窓ガラスに敷設された透明導電膜の両端部付近にそれぞれ配置され、前記透明導電膜と電気的に接続される複数のコネクタと、
バッテリから供給される電力を伝送する前段ワイヤハーネスと、
前記前段ワイヤハーネスを伝送される電力を分岐する分岐部と、
前記分岐部から供給される電力を前記透明導電膜の一方の端部に配置された複数の前記コネクタの少なくとも1つに供給する後段ワイヤハーネスと、
前記前段ワイヤハーネス、前記分岐部、および、前記後段ワイヤハーネスのいずれかの箇所に配置され、前記バッテリから供給される電流が所定値以上になった場合には電流を遮断する遮断部と、を有し、
前記前段ワイヤハーネスは前記後段ワイヤハーネスと線径が等しい、または、前記後段ワイヤハーネスは前記前段ワイヤハーネスより線径が太い、
ことを特徴とするHWDシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネス、遮断部付きワイヤハーネス、および、HWDシステム
HWDシステム、ワイヤハーネス、および、遮断部付きワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のフロントガラスやリアガラスの結露や凍結を除去するための方法として、例えば、電熱線による加熱を用いる方法や、エアコンディショナによる送風を用いる方法がある。
【0003】
しかし、電熱線を用いる方法の場合、運転者の視野を遮ることから、フロントガラスへの使用は困難であるという問題点がある。
【0004】
そこで、近年では、ITO(Indium Tin Oxide)等による透明導電膜を用いたHWD(Heated Windscreen Defroster)が用いられる場合がある。
【0005】
特許文献1には、2枚の窓ガラスと、これら窓ガラスを互いに結合させる中間層と、窓ガラスの少なくとも一方の、中間層に面する少なくとも一面上の少なくとも1つの透明導電性コーティングと、透明導電性コーティングに接続される少なくとも2本のバスバーと、を備え、透明導電性コーティングを複数のコーティング領域に分割するn個の切り込みを有し、コーティング領域が互いに電気的に直列接続されることを特徴とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2013-531115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のような、透明導電膜を用いたHWDの場合、温度上昇ムラを防ぐために、複数のコネクタと、コネクタに接続される電線を設けて透明導電膜に電力を供給することが行われる。このような場合に、それぞれの電線に対してヒューズが接続されているとすると、車両の衝突等によって透明導電膜が損傷したときには、電熱線の場合と比較して、非常に大きな電流が流れるという問題点がある。
【0008】
また、特許文献1に開示された技術では、図21に示すように、一方の透明導電膜Aが衝突等に起因して絶縁破壊した場合、他方の透明導電膜Bが絶縁破壊することがある。より詳細には、図21(A)に示すように、透明導電膜Aと透明導電膜Bとが隣接して配置される場合、透明導電膜の横方向における電位は略同じとなっている。このような場合に、図21(B)に示すように、透明導電膜Bの星印の部分で絶縁破壊が生じると、絶縁破壊した部分の右側の領域では、透明導電膜Aと透明導電膜Bの間の電位差が大きくなることから、透明導電膜Aにも絶縁破壊が生じ、透明導電膜Bだけでなく、透明導電膜Aにも過大な電流が流れる場合があるという問題点がある。
【0009】
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであり、透明導電膜が短絡した場合であっても、過大な電流が流れることを防止するワイヤハーネス、遮断部付きワイヤハーネス、および、HWDシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、車両の窓ガラスの結露または凍結を除去するHWDシステムであって、前記窓ガラスに敷設された透明導電膜の両端部付近にそれぞれ配置され、前記透明導電膜と電気的に接続される複数のコネクタを有するHWDシステムに使用されるワイヤハーネスにおいて、バッテリから供給される電力を伝送する前段ワイヤハーネスと、前記前段ワイヤハーネスを伝送される電力を分岐する分岐部と、前記分岐部から供給される電力を前記透明導電膜の一方の端部に配置された複数の前記コネクタの少なくとも1つに供給する後段ワイヤハーネスと、を有し、前記前段ワイヤハーネスは前記後段ワイヤハーネスと線径が等しい、または、前記後段ワイヤハーネスは前記前段ワイヤハーネスより線径が太い、ことを特徴とする。
このような構成によれば、透明導電膜が短絡した場合であっても、過大な電流が流れることを防止することができる。
【0011】
また、本発明は、前記コネクタは、前記窓ガラスを車体に固定する部材であるフレームに配置されていることを特徴とする。
このような構成によれば、ワイヤハーネスを取り付ける際の応力によって、透明導電膜が損傷することを防止できる。
【0012】
また、本発明は、前記コネクタは、前記フレームに配置される本体部と、前記透明導電膜に配置されて電気的に接続される接触部とを有し、前記後段ワイヤハーネスは、前記本体部に設けられた導電性を有するバスバーに接続され、前記バスバーと前記接触部とが接続線によって接続される、ことを特徴とする。
このような構成によれば、ワイヤハーネスを取り付ける際の応力によって、透明導電膜が損傷することを防止するとともに、透明導電膜との電気的な接続を確保することができる。
【0013】
また、本発明は、複数の前記コネクタは、導電性を有するバスバーを有するとともに、前記透明導電膜の両端部にそれぞれ配置され、前記後段ワイヤハーネスは、前記バスバーに接続され、前記バスバーと前記透明導電膜とが接続線によって接続される、ことを特徴とする。
このような構成によれば、ワイヤハーネスを取り付ける際の応力によって、透明導電膜が損傷することを防止できる。
【0014】
また、本発明は、前記分岐部は、複数の前記コネクタの1つであり、前記前段ワイヤハーネスと、前記後段ワイヤハーネスとを接続する、ことを特徴とする。
このような構成によれば、透明導電膜が短絡した場合でも、透明導電膜に過大な電流が流れることを確実に防止できる。
【0015】
また、本発明は、前記後段ワイヤハーネスは、複数の前記コネクタのそれぞれに対して接続され、前記分岐部は、前記前段ワイヤハーネスと複数の前記コネクタのそれぞれとを接続する、ことを特徴とする。
このような構成によれば、透明導電膜が短絡した場合でも、透明導電膜に過大な電流が流れることを確実に防止できる。
【0016】
また、本発明は、前記前段ワイヤハーネス、前記分岐部、および、前記後段ワイヤハーネスのいずれかの箇所に配置され、前記バッテリから供給される電流が所定値以上になった場合には、電流を遮断する遮断部を有することを特徴とする。
このような構成によれば、過大な電流が通じた場合には、遮断することで負荷を保護することができる。
【0017】
また、本発明は、前記遮断部は、前記バッテリから供給される電流が所定値以上になった場合には、電流を徐々に減少させることを特徴とする。
このような構成によれば、遮断部によって電流を遮断する場合に、他の車載機器が誤動作することを防止できる。
【0018】
また、本発明は、前記遮断部は、前記透明導電膜からの逆電流を遮断することを特徴とする。
このような構成によれば、逆電流によって他の車載機器が誤動作することを防止できる。
【0019】
また、本発明は、車両の前方を撮像するための撮像装置が前記窓ガラスに視野を車両の外側に向けて取り付けられ、前記窓ガラスの前記撮像装置の視野の近傍には、他の前記コネクタが配置されている、ことを特徴とする。
このような構成によれば、撮像装置の視野内に存在する結露や凍結を除去することで、撮像装置の視野を確保することができる。
【0020】
また、本発明は、車両の窓ガラスの結露または凍結を除去するHWDシステムに使用される遮断部付きワイヤハーネスにおいて、前記HWDシステムは、前記窓ガラスに敷設された透明導電膜の両端部付近にそれぞれ配置され、前記透明導電膜と電気的に接続される複数のコネクタを有し、バッテリから供給される電力を伝送する前段ワイヤハーネスと、前記前段ワイヤハーネスを伝送される電力を分岐する分岐部と、前記分岐部から供給される電力を前記透明導電膜の一方の端部に配置された複数の前記コネクタの少なくとも1つに供給する後段ワイヤハーネスと、を有し、前記前段ワイヤハーネスは前記後段ワイヤハーネスと線径が等しい、または、前記後段ワイヤハーネスは前記前段ワイヤハーネスより線径が太く、前記遮断部は、前記前段ワイヤハーネス、前記分岐部、および、前記後段ワイヤハーネスのいずれかの箇所に配置され、前記バッテリから供給される電流が所定値以上になった場合には電流を遮断する、ことを特徴とする。
このような構成によれば、透明導電膜が短絡した場合であっても、過大な電流が流れることを防止することができる。
【0021】
また、本発明は、車両の窓ガラスの結露または凍結を除去するHWDシステムにおいて、前記窓ガラスに敷設された透明導電膜の両端部付近にそれぞれ配置され、前記透明導電膜と電気的に接続される複数のコネクタと、バッテリから供給される電力を伝送する前段ワイヤハーネスと、前記前段ワイヤハーネスを伝送される電力を分岐する分岐部と、前記分岐部から供給される電力を前記透明導電膜の一方の端部に配置された複数の前記コネクタの少なくとも1つに供給する後段ワイヤハーネスと、前記前段ワイヤハーネス、前記分岐部、および、前記後段ワイヤハーネスのいずれかの箇所に配置され、前記バッテリから供給される電流が所定値以上になった場合には電流を遮断する遮断部と、を有し、前記前段ワイヤハーネスは前記後段ワイヤハーネスと線径が等しい、または、前記後段ワイヤハーネスは前記前段ワイヤハーネスより線径が太い、ことを特徴とする。
このような構成によれば、透明導電膜が短絡した場合であっても、過大な電流が流れることを防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、透明ヒータが短絡した場合であっても、過大な電流が流れることを防止することが可能なワイヤハーネス、遮断部付きワイヤハーネス、および、HWDシステムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態に係るHWDシステムの構成例を示す図である。
図2図1に示す電気的な構成の詳細を示す図である。
図3図2に示すコネクタの詳細な構成例を示す図である。
図4】電熱線を用いた従来の構成例を示す図である。
図5】透明導電膜を用いた従来の構成例を示す図である。
図6】透明導電膜を用いた従来例の動作を示す図である。
図7】本発明の動作を説明する図である。
図8】IPD方式と単ch方式におけるコネクタ数、電線径、必要定常電流、および、総電流の関係を示す図である。
図9】透明導電膜を用いた従来例の動作を示す図であり、図9(A)は短絡時の動作を示し、図9(B)は短絡時の逆起電力を示す図である。
図10】本発明の短絡時の動作を示す図である。
図11】従来例と本発明の短絡時の動作を説明する図であり、図11(A)は短絡時の従来例の動作を示し、図11(B)は短絡時の本発明の動作を示す図である。
図12】本発明の第2実施形態の構成例を示す図である。
図13図12に示すコネクタの詳細な構成例を示す図である。
図14】本発明の第3実施形態の構成例を示す図である。
図15】本発明の変形実施形態の構成例を示す図であり、図15(A)はコネクタを直列接続する構成例であり、図15(B)はコネクタを並列接続する構成例である。
図16】本発明の変形実施形態の構成例を示す図である。
図17】従来例を示す図であり、図17(A)はヒューズを用いた構成例であり、図17(B)はIPDを用いた構成例である。
図18】本発明のコネクタの変形実施形態を示す図であり、図18(A)は接触部を透明電熱膜に接触させる構成であり、図18(B)は接続線を透明電熱膜に接触させる構成である。
図19】圧着端子を用いたワイヤハーネスの構成例を示す図である。
図20】本発明のコネクタとワイヤハーネスの接続例を示す図であり、図20(A)は最下部のコネクタに半導体ヒューズからの接続線を接続する構成例であり、図20(B)は中央のコネクタに半導体ヒューズからの接続線を接続する構成例であり、図20(C)はコネクタの接続線を接合する部分に半導体ヒューズからの接続線を接続する構成例であり、図20(D)は1つのコネクタの一部に半導体ヒューズからの接続線を接続する構成例である。
図21】従来のHWDシステムの構成および動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態について説明する。
【0025】
(A)本発明の第1実施形態の構成の説明
図1は、本発明の第1実施形態に係るHWDシステムを搭載した車両の構成例を示す図である。図1では、車両10には、バッテリ50、メカニカルリレー51、半導体ヒューズ52、ワイヤハーネス41,42、および、コネクタ31,32が搭載されている。
【0026】
ここで、バッテリ50は、例えば、鉛蓄電池、リチウム電池、ニッケルカドミウム電池等の充電可能電池によって構成され、図示しないオルタネータによって充電され、図示しない車載機器に対して電力を供給する。
【0027】
メカニカルリレー51は、例えば、電磁リレーによって構成され、所定以上の電流が流れた場合に、電流を遮断する機能を有する。
【0028】
半導体ヒューズ52は、FET(Field Effect Transistor)またはIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等によって構成され、所定以上の電流が流れた場合に、電流を遮断する機能を有する。
【0029】
ワイヤハーネス41は、半導体ヒューズ52とコネクタ31とを接続し、バッテリ50からの電力を、後述する透明導電膜20に供給する。ワイヤハーネス42は、コネクタ32と車両の車体とを接続し、バッテリ50から供給され、透明導電膜20を伝わった電力を車両の車体に流す(接地する)。ワイヤハーネス41,42の形態は問われず、例えば、平角の金属配策体、単芯電線、撚線電線、または、扁平撚線(複数の線を断面が扁平になるように撚ったもの)を用いることができる。数十A程度の電流を流す場合は、導線断面積が3sqもしくは3sqよりも大きな電線を用いればよい。なお、図1では、図の説明を簡略化するために、コネクタ31,32およびワイヤハーネス41,42が車外に配置されるように示しているが、実際には、図2に示すように、車内に配置されている。
【0030】
図2は、図1に示す、電気的な構成例を詳細に説明するための図である。図2は、図1に示す車両10の内側から透明導電膜20を見た図である。図2に示すように、フロントガラス11の周辺には、フレーム12が配置され、フロントガラス11の中央には透明導電膜20が配置されている。
【0031】
フロントガラス11は、車両の前方に配置され、運転者はこのフロントガラス11を介して前方の交通状況等を視認する。
【0032】
フレーム12は、例えば、樹脂または金属等によって構成され、その内側に対してフロントガラス11がはめ込まれ、コネクタ31,32が、例えば、ネジ等によって固定される。
【0033】
コネクタ31は、図の右下に拡大して示すように、接続線411,412、本体部311、接続線313、および、接触部314を有している。
【0034】
ここで、接続線411,412は、ワイヤハーネス41を構成し、コネクタ31同士を接続する。本体部311は、例えば、樹脂等によって構成され、固定用穴312を挿通されるネジ等によってフレーム12に固定される。本体部311は、接続線411,412と接続線313が接続され、これらを電気的に導通させる。接触部314は、導電性部材(例えば、銅等)によって構成され、透明導電膜20に電気的に接続される。接触部314は、接続線313を介して、本体部311と透明導電膜20を接続する。
【0035】
図3は、図2に示すコネクタ31の構成をより詳細に示す図である。図3に示すように、コネクタ31の本体部311は、T字形状を有している。本体部311の端部には固定用穴315が穿孔されている。また、本体部311の中心部分にはバスバー316が配置されている。バスバー316は、導電性部材(例えば、銅等)によって構成される。バスバー316には、接続線411,412と接続線313の端部が接続されている。これにより、接続線411,412と接続線313とがバスバー316を介して電気的に接続される。なお、接続線411,412は、絶縁材によって構成される被覆がはがされ、内部の導電線が露出する状態とされている。また、接続線313は、被覆を有しない導電線だけで構成されている。なお、コネクタ32もコネクタ31と同様の構成を有している。
【0036】
(B)本発明の第1実施形態の動作の説明
つぎに、本発明の第1実施形態の動作について説明する。以下では、従来技術について説明した後に本発明の第1実施形態の動作について説明する。
【0037】
図4は、従来技術の構成および動作を説明するための図である。図4では、図の下に詳細を示すように、フロントガラス11には、電熱線611,612が配置されている。また、電熱線611にはヒューズ711を介して電力が供給され、電熱線612にはヒューズ712を介して電力が供給される。このような構成において、例えば、電熱線611が、例えば、車両10の衝突等に起因して短絡したとすると、ヒューズ711に過大な電流が流れることから、ヒューズ711が切れる。一方、電熱線612については、短絡していないので、ヒューズ712は切れない。なお、電熱線611に流れる電流は、ヒューズ711が切れる電流に等しい。
【0038】
図5は、図4に示す電熱線611,612に代えて、透明導電膜20を使用した従来技術の構成および動作を示す図である。
【0039】
図5では、フロントガラス11に、透明導電膜20が配置され、その両端部にはコネクタ31,32が2つずつ配置されている。また、2つのコネクタ31は、ヒューズ711,712を介して、図示しないバッテリ50に接続される。
【0040】
図5の構成例において、車両10の衝突等に起因して、透明導電膜20が短絡したとする。この場合、透明導電膜20は、電熱線のようにコネクタ毎に独立していないことから、複数のコネクタ31に接続されているヒューズ711,712のそれぞれが切れるまで電流を流す。このため、透明導電膜20には、ヒューズ711,712に流れる電流を合計した電流が通じる。
【0041】
ここで、フロントガラス11に付着した霜を除去するために、例えば、600Wの電力が必要であるとする。この場合、12Vの電源の場合、定常電流として50Aが必要になる。図5に示すように、コネクタ31が2つの場合、許容電流値が37Aである呼び径が3sqの電線を2本利用することになる。
【0042】
ここで、図4に示す電熱線を用いる場合、過電流が流れるのは1本の電線である。そして、許容電流値の1.2倍でヒューズが切れるとすると、遮断電流値は44.4Aとなる。一方、図5に示す透明導電膜20の場合も定常電流として50Aが必要である。図4に示す電熱線を用いた場合と同様に2つのコネクタを有する場合、図4と同様に呼び径が3sqの電線が2本利用される。しかし、図5の例では、短絡が発生すると、コネクタ31を介して2本の電線に過電流が流れるので、許容電流値の1.2倍でヒューズ711,712がそれぞれ切れるとすると合計で88.8Aが透明導電膜20に流れる。仮に、4つのコネクタを用いる場合、177.6Aが流れることになる。つまり、図4図5を比較すると、図5に示す透明導電膜20を用いる場合には、図4に示す電熱線611,612に比較して、短絡時にはより多くの電流が透明導電膜20に流れる。
【0043】
ここで、衝突事故等により、前方を走行する他の車両と衝突し、フロントガラス11が破損し、破損に起因して透明導電膜20が短絡したとする。そのような場合、前方の他の車両のガソリンタンクの近傍に存在する透明導電膜20に大きな電流が流れることになる。このため、引火等を防ぐためにも、短絡時に透明導電膜20に流れる電流は小さいほど望ましく、また、遮断時間は短いほど望ましい。
【0044】
また、特許文献1に係る技術では、図21(B)に示すように、透明導電膜Bの一部が玉突き事故等で短絡した場合、並置される透明導電膜Aとの間の電位差が大きくなることから、絶縁破壊によって透明導電膜Aから透明導電膜Bに過大な電流が流れる場合がある。
【0045】
図6は、透明導電膜20を用いるとともに、4つのコネクタ31に対して、IPD(Intelligent Power Device)81~84を介して電力を供給する従来例の構成および動作を示す図である。図6に示す従来例では、接続線の1本毎にIPD81~84が接続され、過電流を検出して遮断することから、広い範囲で長い時間に亘って短絡の影響が現れる。すなわち、図6の例では、透明導電膜20の1箇所で短絡が発生すると、IPD81~84の全てが遮断されるまで、透明導電膜20の破線で示す広い範囲で、長い時間に亘って過電流が通じる。
【0046】
図7は、本発明の第1実施形態の構成および動作を説明するための図である。図7の構成例では、透明導電膜20の両端部に4つのコネクタ31およびコネクタ32がそれぞれ配置されている。4つのコネクタ31は、ワイヤハーネス41を構成する接続線によって直列に接続され、半導体ヒューズ52に接続されている。また、4つのコネクタ32は、ワイヤハーネス42を構成する接続線によって直列に接続され、車両の車体に接地されている。
【0047】
図7に示すように、本発明の第1実施形態では、複数のコネクタ31を接続線によって直列に接続し、半導体ヒューズ52に接続している。このため、図7に示すそれぞれのコネクタ31に対してIPD81~84を接続する場合に比較すると、流れる電流が1本の接続線に集約されるため、接続線の電線径は太くなる(例えば、許容電流が50Aの場合には5sqになる)が、半導体ヒューズ52の遮断電流値は、例えば、1.2倍に設定すると60Aとなる。なお、マージンを考慮して、5sqよりも太い8sqを使用した場合には66Aとなり、10sqを使用した場合には79.2Aとなる。図7の例では、透明導電膜20の1箇所で短絡が発生すると、半導体ヒューズ52が遮断するタイミングで、透明導電膜20の電力の供給が直ちに遮断される。このため、流れる電流は図6に比較すると小さくなり、また、電流が流れる時間も短くなる。
【0048】
図8は、本発明の実施形態に係る単チャンネル(ch)方式の場合と、従来技術に係るIPD方式の場合とでの過電流の値の一覧を示す図である。より詳細には、図8は、IPD方式と単ch方式で必要なコネクタ数、電線径、必要定常電流、および、総電流を示す図である。図6に示すIPD方式の場合、コネクタ数が増えるに従って総電流が増加するが、図7に示す単ch方式の場合、コネクタ数が増えても総電流は増加しない。また、単ch方式の場合、図7に示すように、4つのコネクタ31のうち、右端のコネクタ31側で短絡が発生した場合、4つのコネクタ31のうち右端のコネクタ31の近傍の抵抗値が低下することから、透明導電膜20を流れる電流は短絡が生じた部分に集中する。このため、図7に示す破線で囲んだ領域(図6よりも狭い領域)が発熱する。
【0049】
また、従来の構成では、図9(A)に示すように、一箇所で短絡が生じると、複数のIPD81~84が切れるまで過電流が流れる。ここで、複数のIPD81~84が切れるまでに時間差がある場合、コネクタ31とコネクタ32間のインダクタ成分によって逆起電力が発生する。例えば、図9(A)に示すように、過電流によってIPD81がオフの状態になると、コネクタ31とコネクタ32の間のインダクタ成分によって、図9(B)に示すように逆起電力が生じIPD82~84に対して通常とは逆方向の電流が流れる場合がある。
【0050】
一方、第1実施形態では、図10に示すように、一箇所で短絡が生じても、半導体ヒューズ52が直ちに切れるので、逆電流は流れない。
【0051】
また、大電流を遮断する場合、バッテリ50の端子電圧が変化することから、他の車載機器の動作に影響を与える場合がある。例えば、マイクロコンピュータが瞬間的に停電したり、ライトが明滅したりする場合である。このような他の車載機器への影響を低減する方法としては、例えば、透明導電膜20に流れる電流のデューティ比を徐々に減少させる方法がある。
【0052】
このような方法を実現する場合、例えば、図11(A)に示す従来例では、全てのIPD81~84が同期するようにデューティ比を調整する必要がある。しかしながら、IPD81~84は独立した構成であるので、これらを同期するための新たな構成が必要となり、製造コストが上昇してしまう。
【0053】
一方、図11(B)に示す、第1実施形態に係る構成では、単一の半導体ヒューズ52を制御するだけで済むので、コストの上昇を抑制することができる。
【0054】
以上に説明したように、従来は、複数のコネクタに接続される複数の接続線およびIPD等を経由して透明導電膜20に電流を供給していたが、第1実施形態では接続線を直列接続して集約するとともに、1つの半導体ヒューズ52によって一括して電流の遮断を行うようにした。これにより、透明導電膜20に過大な電流が流れることを防止できる。
【0055】
ところで、前述した構成を採用すると、全てのコネクタを流れる電流が集約されることから、接続線の太さが従来よりも太くなる。接続線が太くなると、接続線の剛性が高くなるため、工場における接続作業の際に、例えば、コネクタに対して大きな応力が働き、コネクタ31,32や透明導電膜20が損傷したりする場合がある。
【0056】
そこで、第1実施形態では、図3に示すように、コネクタ31の本体部311をフロントガラス11の周辺に存在するフレーム12にネジ等によって固定し、固定されたコネクタ31のバスバー316に対して接続線411,412を接続するようにした。また、本体部311とは別部材の接触部314を透明導電膜20に接続し、接触部314とバスバー316とを接続線313によって接続するようにした。これにより、接続線411,412の曲げ等による応力が透明導電膜20に印加されて透明導電膜20が損傷することを防止できる。
【0057】
なお、第1実施形態の組み立て時には、フレーム12に対して、フロントガラス11を装着する。つぎに、コネクタ31およびコネクタ32の固定用穴315に対してネジ等を挿入してフレーム12に対して固定する。つぎに、接続線313が圧着、半田付け、または、溶接された接触部314を、例えば、導電性接着剤等によって透明導電膜20に接着する。つぎに、接続線313をバスバー316に対して圧着、半田付け、または、溶接する。そして、隣接するコネクタ31,32同士を接続する接続線411,412の被覆を剥がして、内部の導電線をバスバー316に対して圧着、半田付け、または、溶接する。また、コネクタ31を接続する接続線から構成されるワイヤハーネス41については半導体ヒューズ52に接続する。コネクタ32を接続する接続線から構成されるワイヤハーネス42については車両のボディに接地する。以上の作業工程によって、図1に示すHWDシステムを得ることができる。
【0058】
以上に説明したように、本発明の第1実施形態では、透明導電膜20に接続される複数のコネクタ31,32を接続線によってそれぞれ直列接続し、半導体ヒューズ52に接続するようにしたので、透明導電膜20が短絡した場合に過大な電流が流れたり、逆起電力が生じたりすることを防止できる。また、電流を遮断する際のデューティ比制御を簡単な構成で実現することができる。
【0059】
また、第1実施形態では、コネクタ31,32を本体部311と接触部314の2つの部材によって構成し、フレーム12に固定した本体部311に接続線を接続するようにしたので、太い接続線を使用した場合でも、接続線の曲げによる応力が透明導電膜20に印加されることを防ぐことができる。
【0060】
(C)本発明の第2実施形態の構成の説明
つぎに、本発明の第2実施形態について説明する。図12は、本発明の第2実施形態の構成例を示す図である。なお、第2実施形態では、第1実施形態と比較すると、コネクタ31,32の構成が第1実施形態と異なっている。
【0061】
すなわち、第2実施形態では、コネクタ31,32は、図13に示すように、本体部311だけの構成とされ、接触部314を有しない構成とされている。また、本体部311は、フレーム12ではなく、透明導電膜20上に配置されている。このため、固定用穴315も除外されている。また、第2実施形態では、被覆が剥がされた接続線411の導電線が接続線313としてバスバー316に接続されるとともに、透明導電膜20に接続されている。さらに、被覆を剥がされた接続線412の導電線がバスバー316に接続されている。なお、他のコネクタ32およびコネクタ31についても、図13と同様の構成とされている。
【0062】
(D)本発明の第2実施形態の動作の説明
つぎに、本発明の第2実施形態の動作について説明する。なお、第2実施形態の電流を通じる動作、および、遮断する動作等は、前述した第1実施形態と同様であるので、その説明は省略し、第2実施形態の組み立て工程について説明する。
【0063】
第2実施形態の組み立て時には、まず、フレーム12に対して、フロントガラス11を装着する。つぎに、コネクタ31およびコネクタ32の本体部311を、例えば、導電性接着剤によって透明導電膜20に接着する。つぎに、接続線411の被覆を剥がし、内部の導電線である接続線313をバスバー316に対して圧着、半田付け、または、溶接するとともに、例えば、導電性接着剤によって先端部分を透明導電膜20に接着する。このとき、接続線313の先端部分を広げたり、複数に分割したりすることで電気的な接触を高めることができる。また、接続線412の被覆を剥がし、内部の導電線をバスバー316に対して圧着、半田付け、または、溶接する。このような作業を、全てのコネクタ31およびコネクタ32に対して実行する。また、コネクタ31を接続する接続線から構成されるワイヤハーネス41については半導体ヒューズ52に接続する。また、コネクタ32を接続する接続線から構成されるワイヤハーネス42については車両10の車体に接地する。以上の作業工程によって、図12に示すHWDシステムを得ることができる。
【0064】
以上に説明したように、本発明の第2実施形態では、透明導電膜20に接続される複数のコネクタ31,32を接続線によってそれぞれ直列に接続し、半導体ヒューズ52に接続するようにしたので、透明導電膜20が短絡した場合に過大な電流が流れたり、逆起電力が生じたりすることを防止できる。また、電流を遮断する際のデューティ比制御を簡単な構成で実現することができる。
【0065】
また、第2実施形態では、コネクタ31,32を透明導電膜20に配置し、コネクタ31,32の本体部311上に設けたバスバー316に対して、接続線を接続するようにしたので、太い接続線を使用した場合でも、接続線の曲げによる応力が透明導電膜20に直接に印加されることを防ぐことができる。また、第2実施形態では、第1実施形態に比較して部品点数を減らすことができるのでコストを低減することができる。
【0066】
(E)本発明の第3実施形態の構成の説明
つぎに、本発明の第3実施形態について説明する。図14は、本発明の第3実施形態の構成例を示す図である。なお、第3実施形態では、第2実施形態と比較すると、コネクタ33と撮像装置34が新たに追加されている。これら以外の構成は、図2に示す第2実施形態と同様である。
【0067】
コネクタ33は、図13と同様の構成とされ、最上部に配置されたコネクタ31と接続線43によって接続されるとともに、接続線44により撮像装置34と接続されている。撮像装置34は、例えば、車両10の前方に存在する対象物(例えば、他の車両、二輪車、歩行者等)を撮像し、画像処理制御部に供給する。画像処理制御部は、撮像装置34からの画像に基づいて対象物を検出し、自動ブレーキ処理や、自動操舵処理を実行する。なお、撮像装置34をドライブレコーダとして使用するようにしてもよい。
【0068】
(F)本発明の第3実施形態の動作の説明
つぎに、本発明の第3実施形態について説明する。なお、第3実施形態では、コネクタ33および撮像装置34が新たに追加されているので、これらの部分を中心に説明する。
【0069】
半導体ヒューズ52を介して供給された電力はワイヤハーネス41を介してコネクタ31に供給される。複数のコネクタ31から供給された電力は透明導電膜20を通じてコネクタ32に伝わり、ワイヤハーネス42を介して車両10の車体に流れる。また、最上部のコネクタ31に伝達された電力は、接続線43を介してコネクタ33に供給される。コネクタ33に供給された電力は、コネクタ33に接続されている透明導電膜20からコネクタ32に向けて流れる。これにより、撮像装置34の周辺の領域の透明導電膜20の電流密度が高くなることで、温度が他の領域の温度よりも高くなる。この結果、撮像装置34の視野に対応するフロントガラス11の結露が除去され、撮像装置34の視野が確保される。
【0070】
なお、第3実施形態の組み立て工程としては、まず、コネクタ31,32およびワイヤハーネス41,42の配線を行うとともに、コネクタ33および撮像装置34の配線を行う。より詳細には、コネクタ33を透明導電膜20に配置するとともに、撮像装置34をフロントガラス11またはフレーム12に固定する。つぎに、最上部のコネクタ31とコネクタ33とを接続線43で接続するとともに、コネクタ33と撮像装置34とを接続線44で接続する。これにより、図14に示すHWDシステムを得ることができる。
【0071】
以上に説明したように、本発明の第3実施形態では、撮像装置34の視野となる領域の周辺にコネクタ22を配置するようにしたので、当該部分の電流密度を高めることで、撮像装置34の視野に係る結露または凍結を迅速に除去することができる。
【0072】
(G)変形実施の態様
以上の実施形態は一例であって、本発明が上述したような場合のみに限定されるものでないことはいうまでもない。図15および図16は、本発明の変形施形態を示している。前述した各実施形態では、コネクタ31,32をそれぞれ3つずつ有するようにしたが、例えば、図15(A)に示すように2つずつのコネクタ31,32を有するようにしてもよい。すなわち、図15(A)では、2つのコネクタ31が透明導電膜20の一端に接続され、2つのコネクタ32が透明導電膜20の他端に接続されている。また、コネクタ31はワイヤハーネス41によって直列接続されるとともに半導体ヒューズ52に接続されている。また、コネクタ32はワイヤハーネス42によって直列接続されるとともに車両10の車体に接地に接続されている。なお、コネクタ31,32の構成は、図3および図13に示す構成のいずれでもよい。図15(A)に示す構成でも、前述した効果を得ることができる。
【0073】
図15(B)は、さらに他の実施形態を示している。図15(B)では、2つのコネクタ31およびコネクタ32が透明導電膜20に接続されている。また、半導体ヒューズ62には共締めのボルト63が設けられ、2つのコネクタ31は、個別の接続線71,72によってボルト63に接続されている。また、2つのコネクタ32は、個別の接続線81,82によって車両に接地されている。なお、コネクタ31,32の構成は、図3および図13に示す構成のいずれでもよい。図15(B)に示す構成でも、前述した効果を得ることができる。
【0074】
図16は、図15(B)の変形実施形態である。図16では、図15(B)と比較すると、2つのコネクタ31がワイヤハーネス41によって直列接続され、2つのコネクタ32がワイヤハーネス42によって直列接続されている点が異なっている。これら以外は、図15(B)と同様である。なお、コネクタ31,32の構成は、図3および図13に示す構成のいずれでもよい。図16に示す構成でも、前述した効果を得ることができる。
【0075】
図17は、図15図16と比較のために、従来技術を示している。図17(A)では、2つのコネクタ31に対して接続線71,72がそれぞれ接続されるとともに、ヒューズボックス60の2つのヒューズに対してこれらの接続線71,72がそれぞれ個別に接続されている。また、2つのコネクタ32に対して接続線81,82が接続されるとともに車両10の車体にそれぞれ接地されている。
【0076】
また、従来技術である図17(B)では、2つのコネクタ31に対して接続線71,72がそれぞれ接続されるとともに、IPDボックス61の2つのIPDに対してこれらの接続線71,72がそれぞれ個別に接続されている。また、2つのコネクタ32に対して接続線81,82が接続されるとともに車両10の車体にそれぞれ接地されている。
【0077】
これら図15図17の比較から、本実施形態では、複数のコネクタへの接続線の分岐がヒューズよりも後段でなされていることを特徴としている。すなわち、図15(A)の例では、右側のコネクタ31において分岐がなされている。また、図15(B)の例では、ボルト63において分岐がなされている。さらに、図16の例では、右側のコネクタ31において分岐がなされている。一方、図17(A)の従来例では、ヒューズよりもバッテリ50側で分岐がなされ、図17(B)の従来例では、IPDよりもバッテリ50側で分岐がなされている。
【0078】
図18は、コネクタの他の構成例を示す図である。より詳細には、図18(A)に示すコネクタ32は、本体部311、接触部317、接続線411,412を有している。ここで、本体部311は、例えば、樹脂等によって構成され、この本体部311が接着剤等によって透明導電膜20に接着されて固定される。接触部317は、導電性の金属部材等によって構成されている。接触部317には、被覆が剥がされた接続線411,412の導電部が、例えば、かしめによって接続される。また、接触部317は、導電ペーストまたは溶接によって透明導電膜20に電気的に接続される。
【0079】
図18(B)に示すコネクタ32は、本体部311、接続線313、バスバー316、接続線411を有している。ここで、本体部311は、例えば、樹脂等によって構成され、この本体部311が接着剤等によって透明導電膜20に接着されて固定される。バスバー316は、導電性の金属部材等によって構成されている。バスバー316には、被覆が剥がされた接続線411の導電部が、例えば、カシメによって接続される。また、バスバー316には、接続線313の一方の端部が、例えば、カシメによって接続される。また、接続線313の他方の端部は、透明導電膜20に電気的に接続される。
【0080】
図18(A)および図18(B)を使用することで、前述した各実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、図18(A)および図18(B)に固定用穴を設けて、フレーム12に固定するようにしてもよい。
【0081】
また、以上の各実施形態では、バスバーを用いて2つの接続線を接続するようにしたが、例えば、図19に示すような、2つの接続線を同時にかしめることで接続するようにしてもよい。図19の例では、圧着端子431が一端に取り付けられた接続線411の他端と、圧着端子432が一端に取り付けられた接続線412の他端とがダブル圧着端子433によって電気的に接続されている。このようなダブル圧着端子433を用いることで、簡単な作業によって2つの接続線411,412を接続することができる。なお、このようなダブル圧着端子を、バスバー上に設けて、接続線をかしめることで接続するようにしてもよい。また、トリプル圧着端子を本体部に設け、接続線313と接続線411,412を接続するようにしてもよい。
【0082】
図20は、コネクタと接続線との接続形態を示す図である。図20(A)は、第1実施形態と同様の接続形態を示している。この例では、3つのコネクタ31,32が接続線によって直列接続(デイジーチェーン接続)されている。また、半導体ヒューズからの接続線は、破線の丸で囲んだ部分(一番下のコネクタ31,32)で分岐している。
【0083】
図20(B)は、3つのコネクタ31,32が接続線によって直列接続(デイジーチェーン接続)されている。また、半導体ヒューズからの接続線は、中央のコネクタ31,32に接続され、破線の丸で囲んだ部分で分岐している。
【0084】
図20(C)は、3つのコネクタ31,32が3つの接続線によってそれぞれ接続されている。また、半導体ヒューズからの接続線は、これら3つの接続線の端部の接合部に接続され、破線の丸で囲んだ部分で分岐している。
【0085】
図20(D)は、1つのコネクタ31,32によって構成されている。この図の例では、コネクタ31,32の下側の端部に接続線が接続されている。なお、この図の例では、コネクタが1つであるので、他の実施形態と同様の複数のコネクタに対して分岐する部分は存在しないが、丸で囲んだ部分で、半導体ヒューズからの接続線と、コネクタ31,32と接続される。
【0086】
なお、以上の各実施形態では、1~4のコネクタ31,32を用いるようにしたが、5つ以上のコネクタを用いるようにしてもよい。
【0087】
また、以上の各実施形態では、コネクタ31とコネクタ32のそれぞれに接続される接続線の接続形態は同じになるようにしたが、コネクタ32については、グランド側であり、ヒューズは接続されないので、直列接続であっても、並列接続であってもよい。
【0088】
また、以上の各実施形態では、フロントガラス11に透明導電膜20を配置する場合を例に挙げて説明したが、例えば、リアガラスや、サイドガラスに透明導電膜を配置して、コネクタおよび接続線によって接続するようにしてもよい。
【0089】
また、以上の各実施形態では、接続線を構成する材料については、詳細な説明を行っていないが、例えば、電気導電率の高い銅を用いるようにしてもよい。例えば、複数の銅線をより合わせた接続線を用いたり、単一の導線による接続線を用いたりすることができる。なお、銅に比較して剛性が低いアルミニウムまたはアルミニウム合金の接続線を用いるようにしてもよい。アルミニウムまたはアルミニウム合金は、銅に比較して、電気伝導率が低いので、剛性が上昇しない範囲で線径を太くするようにしてもよい。
【0090】
また、図9(B)に示すように、インダクタによる逆電流が流れることを防止するために、例えば、半導体ヒューズ52に対して逆起電力が印加された場合には、半導体ヒューズ52によって接続を遮断するようにしてもよい。
【0091】
また、図14に示す第3実施形態において、コネクタ33の右側に、コネクタ31からの電流を遮断する目的で、スリット(切り込み)を入れるようにしてもよい。そのような構成によれば、コネクタ31とコネクタ32の間隔よりも、短い間隔に同じ電圧が印加されることから、撮像装置34の視野内の温度をより高くしたり、温度を迅速に高めたりすることができる。
【0092】
また、以上の各実施形態では、分岐部の前段に接続されるワイヤハーネス(請求項中の「前段ワイヤハーネス」に対応)と、分岐部の後段に接続されるワイヤハーネス(請求項中の「後段ワイヤハーネス」に対応)とは、同じ線径である場合を例に挙げて説明したが、分岐部の前段に接続されるワイヤハーネスよりも分岐部の後段に接続されるワイヤハーネスの線径が太くなるように設定してもよい。
【符号の説明】
【0093】
10 車両
11 フロントガラス
12 フレーム
20 透明導電膜
30~33 コネクタ
34 撮像装置
41~42 ワイヤハーネス
43~44 接続線
50 バッテリ
51 メカニカルリレー
52 半導体ヒューズ
60 ヒューズボックス
61 IPDボックス
62 半導体ヒューズ
63 ボルト
71~72 接続線
81~82 接続線
311 本体部
312 固定用穴
313 接続線
314 接触部
315 固定用穴
316 バスバー
317 接触部
411~412 接続線
431~432 圧着端子
433 ダブル圧着端子
611~612 電熱線
711~712 ヒューズ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21