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特許7086101付加製造装置のためのエネルギー源のアレーを有するエネルギー送達システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】付加製造装置のためのエネルギー源のアレーを有するエネルギー送達システム
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/135 20170101AFI20220610BHJP
   B29C 64/277 20170101ALI20220610BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20220610BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220610BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20220610BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220610BHJP
【FI】
B29C64/135
B29C64/277
B29C64/393
B33Y30/00
B33Y50/02
B33Y10/00
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2019556803
(86)(22)【出願日】2018-04-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 US2018027619
(87)【国際公開番号】W WO2018194935
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-04-06
(31)【優先権主張番号】62/488,408
(32)【優先日】2017-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/809,969
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/809,965
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ウン, ホウ ティ-.
(72)【発明者】
【氏名】パティバンドラ, ナグ ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ガナパティアッパン, シヴァパキア
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-159629(JP,A)
【文献】特開2012-096407(JP,A)
【文献】特開2016-055452(JP,A)
【文献】特表2015-517922(JP,A)
【文献】特表2008-531306(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0072643(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00、30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加製造装置であって、
プラットフォームと、
支持体と、
前記プラットフォームと前記支持体のうちの少なくとも1つに連結され、前記支持体が前記プラットフォームをスキャンするように第1の軸に沿って前記プラットフォームと前記支持体との間に相対運動を引き起こすように構成されたアクチュエータと、
前記プラットフォームの上で前記支持体上に支持され、供給材料の連続層を分注して研磨パッドを形成するように構成された一又は複数のプリントヘッドと、
前記プラットフォームの上で支持され、少なくとも前記第1の軸に対して垂直な第2の軸に沿って延びるアレー状に配置され、前記プラットフォームの方へ放射線を放出するように構成された、複数の個別にアドレス可能なエネルギー源と、
コントローラであって、
前記アクチュエータに、前記一又は複数のプリントヘッドと前記エネルギー源が前記プラットフォームをスキャンするように前記支持体と前記プラットフォームとの間に相対運動を引き起こさせ、
前記一又は複数のプリントヘッドに、供給材料の層を前記プラットフォーム上に分注させ、
前記プラットフォーム上の前記供給材料の層の選択領域にエネルギーを印加するように前記エネルギー源を操作する
ように構成されたコントローラと
を備え、
前記エネルギー源のアレーは、放射線を放出して前記供給材料の層の外面を硬化させる第1のエネルギー源の第1のアレーであり、
放射線を放出して前記供給材料の層の内部を硬化させる第2のエネルギー源の第2のアレーを更に備え、
前記コントローラは、前記選択領域にエネルギーを印加するように前記第1のエネルギー源を操作し、次に前記選択領域にエネルギーを印加するように前記第2のエネルギー源を操作するように構成されている、付加製造装置。
【請求項2】
前記第1のエネルギー源は、第1の波長を有する放射線を放出するように構成され、前記第2のエネルギー源は、第2の波長を有する放射線を放出するように構成され、前記第1の波長が前記第2の波長よりも短い、請求項に記載の付加製造装置。
る、付加製造装置。
【請求項3】
付加製造装置であって、
プラットフォームと、
支持体と、
前記プラットフォームと前記支持体のうちの少なくとも1つに連結され、前記支持体が前記プラットフォームをスキャンするように第1の軸に沿って前記プラットフォームと前記支持体との間に相対運動を引き起こすように構成されたアクチュエータと、
前記プラットフォームの上で前記支持体上に支持され、供給材料の連続層を分注して研磨パッドを形成するように構成された一又は複数のプリントヘッドと、
前記プラットフォームの上で支持され、少なくとも前記第1の軸に対して垂直な第2の軸に沿って延びるアレー状に配置され、前記プラットフォームの方へ放射線を放出するように構成された、複数の個別にアドレス可能なエネルギー源と、
コントローラであって、
前記アクチュエータに、前記一又は複数のプリントヘッドと前記エネルギー源が前記プラットフォームをスキャンするように前記支持体と前記プラットフォームとの間に相対運動を引き起こさせ、
前記一又は複数のプリントヘッドに、供給材料の層を前記プラットフォーム上に分注させ、
前記プラットフォーム上の前記供給材料の層の選択領域にエネルギーを印加するように前記エネルギー源を操作する
ように構成されたコントローラと
を備え、
前記コントローラは、前記エネルギー源によって放出された放射線の強度を制御するように構成され、かつ、前記エネルギー源に送られる電流を決定して、前記エネルギー源によって放出される前記放射線の強度を制御するように構成されている、付加製造装置。
【請求項4】
付加製造装置であって、
プラットフォームと、
支持体と、
前記プラットフォームと前記支持体のうちの少なくとも1つに連結され、前記支持体が前記プラットフォームをスキャンするように第1の軸に沿って前記プラットフォームと前記支持体との間に相対運動を引き起こすように構成されたアクチュエータと、
前記プラットフォームの上で前記支持体上に支持され、供給材料の連続層を分注して研磨パッドを形成するように構成された一又は複数のプリントヘッドと、
前記プラットフォームの上で支持され、少なくとも前記第1の軸に対して垂直な第2の軸に沿って延びるアレー状に配置され、前記プラットフォームの方へ放射線を放出するように構成された、複数の個別にアドレス可能なエネルギー源と、
コントローラであって、
前記アクチュエータに、前記一又は複数のプリントヘッドと前記エネルギー源が前記プラットフォームをスキャンするように前記支持体と前記プラットフォームとの間に相対運動を引き起こさせ、
前記一又は複数のプリントヘッドに、供給材料の層を前記プラットフォーム上に分注させ、
前記プラットフォーム上の前記供給材料の層の選択領域にエネルギーを印加するように前記エネルギー源を操作する
ように構成されたコントローラと
を備え、
前記コントローラは、前記エネルギー源によって放出された放射線の強度を制御するように構成されており、前記付加製造装置は、前記放射線の強度を示す信号を生成する光検出器を更に備え、前記コントローラは、前記放射線の強度が規定範囲内になるように、前記信号に基づいて前記放射線の強度を制御するように構成されている、付加製造装置。
【請求項5】
付加製造装置であって、
プラットフォームと、
支持体と、
前記プラットフォームと前記支持体のうちの少なくとも1つに連結され、前記支持体が前記プラットフォームをスキャンするように第1の軸に沿って前記プラットフォームと前記支持体との間に相対運動を引き起こすように構成されたアクチュエータと、
前記プラットフォームの上で前記支持体上に支持され、供給材料の連続層を分注して研磨パッドを形成するように構成された一又は複数のプリントヘッドと、
前記プラットフォームの上で支持され、少なくとも前記第1の軸に対して垂直な第2の軸に沿って延びるアレー状に配置され、前記プラットフォームの方へ放射線を放出するように構成された、複数の個別にアドレス可能なエネルギー源と、
コントローラであって、
前記アクチュエータに、前記一又は複数のプリントヘッドと前記エネルギー源が前記プラットフォームをスキャンするように前記支持体と前記プラットフォームとの間に相対運動を引き起こさせ、
前記一又は複数のプリントヘッドに、供給材料の層を前記プラットフォーム上に分注させ、
前記プラットフォーム上の前記供給材料の層の選択領域にエネルギーを印加するように前記エネルギー源を操作する
ように構成されたコントローラと
を備え、
前記エネルギー源は、LEDに送られた電流に依存する強度を有する放射線を放出するように構成された発光ダイオード(LED)を含む、付加製造装置。
【請求項6】
付加製造装置であって、
プラットフォームと、
支持体と、
前記プラットフォームと前記支持体のうちの少なくとも1つに連結され、前記支持体が前記プラットフォームをスキャンするように第1の軸に沿って前記プラットフォームと前記支持体との間に相対運動を引き起こすように構成されたアクチュエータと、
前記プラットフォームの上で前記支持体上に支持され、供給材料の連続層を分注して研磨パッドを形成するように構成された一又は複数のプリントヘッドと、
前記プラットフォームの上で支持され、少なくとも前記第1の軸に対して垂直な第2の軸に沿って延びるアレー状に配置され、前記プラットフォームの方へ放射線を放出するように構成された、複数の個別にアドレス可能なエネルギー源と、
コントローラであって、
前記アクチュエータに、前記一又は複数のプリントヘッドと前記エネルギー源が前記プラットフォームをスキャンするように前記支持体と前記プラットフォームとの間に相対運動を引き起こさせ、
前記一又は複数のプリントヘッドに、供給材料の層を前記プラットフォーム上に分注させ、
前記プラットフォーム上の前記供給材料の層の選択領域にエネルギーを印加するように前記エネルギー源を操作する
ように構成されたコントローラと
を備え、
前記プリントヘッドは、前記第2の軸に沿って前記支持体に対して移動可能である、付加製造装置。
【請求項7】
前記エネルギー源は各々、前記プラットフォームの上の供給材料の最上層のボクセルに対応している、請求項1または3から6の何れか一項に記載の付加製造装置。
【請求項8】
前記エネルギー源のアレーは、前記第1の軸に沿って延びている、請求項1または3から6の何れか一項に記載の付加製造装置。
【請求項9】
前記エネルギー源のアレーは、前記プラットフォームの構築エリアの全幅に沿って延びている、請求項1または3から6の何れか一項に記載の付加製造装置。
【請求項10】
前記エネルギー源は、前記プラットフォームの上で前記支持体によって支持されている、請求項1または3から6の何れか一項に記載の付加製造装置。
【請求項11】
前記コントローラは、前記支持体と前記一又は複数のプリントヘッドを前記プラットフォーム及び前記エネルギー源に対して移動させて、前記供給材料の層上に供給材料の別の層を分注し、
前記供給材料の別の層の別の選択領域にエネルギーを印加するように前記エネルギー源を操作する
ように構成されている、請求項1または3から6の何れか一項に記載の付加製造装置。
【請求項12】
前記エネルギー源は、前記支持体に対して固定されている、請求項1または3から6の何れか一項に記載の付加製造装置。
【請求項13】
付加製造装置であって、
プラットフォームと、
支持体と、
前記プラットフォームと前記支持体のうちの少なくとも1つに連結され、前記支持体が前記プラットフォームをスキャンするように第1の軸に沿って前記プラットフォームと前記支持体との間で相対運動を引き起こすように構成されたアクチュエータと、
前記プラットフォームの上で前記支持体上に支持され、供給材料の連続層を分注して研磨パッドを形成するように構成された一又は複数のプリントヘッドと、
前記プラットフォームの上で支持され、前記プラットフォームの方へ放射線を放出するように構成されたエネルギー源と、
放出された前記放射線を受ける、選択的にアドレス可能なマスクと、
コントローラであって、
前記アクチュエータに、前記一又は複数のプリントヘッドと前記エネルギー源が前記プラットフォームをスキャンするように前記支持体と前記プラットフォームとの間に相対運動を引き起こさせ、
前記一又は複数のプリントヘッドに、供給材料の層を前記プラットフォーム上に分注させ、
前記プラットフォームの方へ画像を投影して前記プラットフォーム上の前記供給材料の層の選択領域を硬化させるように前記マスクを操作する
ように構成されたコントローラと
を備える、付加製造装置。
【請求項14】
付加製造装置であって、
プラットフォームと、
第1の支持体と、
前記プラットフォームと前記第1の支持体のうちの少なくとも1つに連結され、前記第1の支持体が前記プラットフォームをスキャンするように第1の軸に沿って前記プラットフォームと前記第1の支持体との間に相対運動を引き起こすように構成された第1のアクチュエータと、
前記プラットフォームの上で前記第1の支持体上に支持され、供給材料の連続層を分注して研磨パッドを形成するように構成された一又は複数のプリントヘッドと、
第2の支持体と、
前記プラットフォームと前記第2の支持体のうちの少なくとも1つに連結され、前記第2の支持体が前記プラットフォームを前記第1の軸に対して垂直な方向にスキャンするように前記第1の軸に対してほぼ垂直な第2の軸に沿って前記プラットフォームと前記第2の支持体との間に相対運動を引き起こすように構成された第2のアクチュエータと、
前記プラットフォームの上で前記第2の支持体上に支持され、少なくとも前記第1の軸に沿って延びたアレー状に配置され、前記プラットフォームの方へ放射線を放出するように構成された複数の個別にアドレス可能なエネルギー源と、
コントローラであって、
前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータに、前記一又は複数のプリントヘッドと前記エネルギー源が前記プラットフォームをスキャンするように前記第1の支持体と前記プラットフォームとの間、及び前記第2の支持体と前記プラットフォームとの間に相対運動を引き起こさせ、
前記一又は複数のプリントヘッドに、供給材料の層を前記プラットフォーム上に分注させ、
前記プラットフォーム上の前記供給材料の層の選択領域にエネルギーを印加するようにエネルギー源を操作する
ように構成されたコントローラと
を備える、付加製造装置。
【請求項15】
前記エネルギー源は各々、前記プラットフォームの上の供給材料の最上層のボクセルに対応している、請求項14に記載の付加製造装置。
【請求項16】
前記エネルギー源のアレーは、前記第2の軸に沿って延びている、請求項14に記載の付加製造装置。
【請求項17】
前記エネルギー源のアレーは、前記プラットフォームの構築エリアの全長に沿って延びている、請求項14に記載の付加製造装置。
【請求項18】
付加製造装置であって、
プラットフォームと、
支持され、供給材料の連続層を分注して研磨パッドを形成するように構成された一又は複数のプリントヘッドと、
第1の支持体と、
前記プラットフォームと前記第1の支持体のうちの少なくとも1つに連結され、前記第1の支持体が前記プラットフォームをスキャンするように第1の軸に沿って前記プラットフォームと第1の支持体との間に相対運動を引き起こすように構成された第1のアクチュエータと、
前記プラットフォームの上で前記第1の支持体上に支持され、少なくとも前記第1の軸に対して垂直な第2の軸に沿って延びるアレー状に配置され、前記プラットフォームの方へ放射線を放出するように構成された第1の複数の個別にアドレス可能な第1のエネルギー源と、
第2の支持体と、
前記プラットフォームの上で前記第2の支持体上に支持され、前記プラットフォームの方へ放射線を放出するように構成された第2の複数の個別にアドレス可能な第2のエネルギー源と、
コントローラであって、
前記プリントヘッドに、供給材料の層を分注させ、
前記第1のアクチュエータに、前記第1のエネルギー源が前記プラットフォームをスキャンするように前記第1の支持体と前記プラットフォームとの間に相対運動を引き起こさせ、
前記プラットフォーム上の前記供給材料の層の選択領域にエネルギーを印加するように前記第1及び第2のエネルギー源を操作する
ように構成されたコントローラと
を備える、付加製造装置。
【請求項19】
第2の複数の第2のエネルギー源は、少なくとも前記第1の軸に沿って延びるアレー状に配置され、前記プラットフォームと前記第2の支持体のうちの少なくとも1つに連結され、前記第2の支持体が前記プラットフォームを前記第1の軸に対して垂直な方向にスキャンするように前記第1の軸に対してほぼ垂直な第2の軸に沿って前記プラットフォームと前記第2の支持体との間に相対運動を引き起こすように構成されている第2のアクチュエータを備える、請求項18に記載の付加製造装置。
【請求項20】
第2の複数の第2のエネルギー源は、少なくとも前記第2の軸に沿って延びるアレー状に配置され、前記プラットフォームと前記第2の支持体のうちの少なくとも1つに連結され、前記第2の支持体が前記プラットフォームを前記第1の軸に平行な方向にスキャンするように前記第1の軸に沿って前記プラットフォームと前記第2の支持体との間に相対運動を引き起こすように構成された第2のアクチュエータを備える、請求項18に記載の付加製造装置。
【請求項21】
前記第2の支持体は、前記プラットフォームに対して静止している、請求項18に記載の付加製造装置。
【請求項22】
前記第2の複数の個別にアドレス可能な第2のエネルギー源は、前記第1の軸と前記第2の軸の両方に沿って延びている二次元アレーである、請求項21に記載の付加製造装置。
【請求項23】
前記二次元アレーは、前記プラットフォームの構築エリアの全幅及び全長に沿って延びている、請求項22に記載の付加製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、付加製造装置のためのエネルギー送達システムに関連するものである。
【背景技術】
【0002】
固体自由形状製造または3D印刷としても知られる付加製造(AM)は、原材料(例:粉末、液体、懸濁液、または融解固形物)を連続的に分注(分配)して二次元の層を形成することから3次元の物体を作り上げる、製造処理を意味する。これに対し、従来の機械加工技法には、木材、プラスチック、複合物または金属の塊といった在庫材料から物体が切り出されるサブトラクティブ処理が含まれる。
【0003】
付加製造では、様々な付加処理が用いられうる。あるシステムは、エネルギー源を用いて、供給材料、例えば粉末にエネルギーを送り、供給材料を焼結又は融解させる。第1の層において選択された位置がすべて焼結又は融解され、再固化すると、完成した層の上に供給材料の新しい層を堆積させて、所望の物品が作製されるまでこの処理が層ごとに繰り返される。これらの方法の多くにおいて、エネルギー源は、エネルギービームを放出して粉末を溶かし、物品を形成するレーザである。例えば、選択的レーザ溶融法(SLM)や直接金属レーザ焼結法(DMLS)、選択的レーザ焼結法(SLS)、熱溶融積層法(FDM)といったいくつかのレーザを利用した方法では、層を作り出すために材料を融解または軟化させるが、一方で、例えば光造形法(SLA)といった別の技法を用いて、エネルギービームを使用して液体材料を硬化させる技法もある。これらの処理では、層を形成して完成物を作製する方法、及び処理での使用に適合性のある材料に違いがありうる。
【発明の概要】
【0004】
一態様において、付加製造装置は、プラットフォームと、支持体と、プラットフォームと支持体のうちの少なくとも1つに連結され、支持体がプラットフォームをスキャンするように第1の軸に沿ってプラットフォームと支持体との間に相対運動を引き起こすように構成されたアクチュエータと、プラットフォームの上で支持体上に支持され、供給材料の連続層を分注して研磨パッドを形成するように構成された一又は複数のプリントヘッドと、プラットフォームの上で支持された複数の個別にアドレス可能なエネルギー源と、コントローラとを含む。エネルギー源は、少なくとも第1の軸に対して垂直な第2の軸に沿って延びるアレー状に配置され、プラットフォームの方へ放射線を放出するように構成されている。コントローラは、アクチュエータに、一又は複数のプリントヘッドとエネルギー源がプラットフォームをスキャンするように支持体とプラットフォームとの間に相対運動を引き起こさせ、一又は複数のプリントヘッドに、供給材料の層をプラットフォーム上に分注させ、プラットフォーム上の供給材料の層の選択領域にエネルギーを印加するようにエネルギー源を操作するように構成されている。
【0005】
実行態様は、以下の特徴の一又は複数を含みうる。
【0006】
各エネルギー源は、プラットフォームの上の供給材料の最上層のそれぞれのボクセルに対応していてよい。エネルギー源のアレーは、第1の軸に沿って延びていてよい。アレーは、プラットフォームの構築エリアの全幅に沿って延びていてよい。エネルギー源のアレーは、研磨パッドの構築エリアに対応しているプラットフォームの上のエリア全体に延びていてよい。エネルギー源は、支持体によってプラットフォームの上で支持されうる。
【0007】
エネルギー源のアレーは、放射線を放出して供給材料の層の外面を硬化させる第1のエネルギー源の第1のアレーでありうる。付加製造装置は、放射線を放出して供給材料の層の内部を硬化させる第2のエネルギー源の第2のアレーを更に含み、コントローラは、選択領域にエネルギーを印加するように第1のエネルギー源を操作し、次に選択領域にエネルギーを印加するように第2のエネルギー源を操作するように構成されうる。第1のエネルギー源は、第1の波長を有する放射線を放出するように構成され、第2のエネルギー源は、第1の波長よりも短い第2の波長を有する放射線を放出するように構成されうる。
【0008】
コントローラは、エネルギー源によって放出される放射線の強度を制御するように構成されうる。コントローラは、エネルギー源に送られる電流を決定して、エネルギー源によって放出される放射線の強度を制御するように構成されうる。光検出器は、放射線の強度を示す信号を生成しうる。コントローラは、信号に基づいて放射線の強度が規定範囲内になるように放射線の強度を制御するように構成されうる。エネルギー源は、LEDに送られた電流に依存する強度を有する放射線を放出するように構成された発光ダイオード(LED)を含みうる。
【0009】
アクチュエータは、支持体に対してプラットフォームを移動させるように構成されうる。アクチュエータは、プラットフォームに対して支持体を移動させるように構成されうる。プリントヘッドは、第2の軸に沿って支持体に対して移動可能でありうる。
【0010】
コントローラは、供給材料の層上に供給材料の別の層を分注するようにプラットフォーム及びエネルギー源に対して支持体と一又は複数のプリントヘッドとを移動させ、供給材料の別の層の別の選択領域にエネルギーを印加するようにエネルギー源を操作するように構成されうる。
【0011】
コントローラは、供給材料の層が分注された後にエネルギー源を操作するように構成されうる。コントローラは、エネルギー源を同時に起動させるように構成されうる。エネルギー源は、支持体に対して固定されうる。
【0012】
別の態様では、付加製造装置は、プラットフォームと、支持体と、プラットフォームと支持体のうちの少なくとも1つに連結され、支持体がプラットフォームをスキャンするように第1の軸に沿ってプラットフォームと支持体との間で相対運動を引き起こすように構成されたアクチュエータと、プラットフォームの上で支持体上に支持され、供給材料の連続層を分注して研磨パッドを形成するように構成された一又は複数のプリントヘッドと、プラットフォームの上で支持され、プラットフォームの方へ放射線を放出するように構成されたエネルギー源と、放出された放射線を受ける、選択的にアドレス可能なマスクと、コントローラとを含みうる。コントローラは、アクチュエータに、一又は複数のプリントヘッドとエネルギー源がプラットフォームをスキャンするように支持体とプラットフォームとの間に相対運動を引き起こさせ、一又は複数のプリントヘッドに、供給材料の層をプラットフォーム上に分注させ、プラットフォームの方へ画像を投影してプラットフォーム上の供給材料の層の選択領域を硬化させるようにマスクを操作するように構成されている。
【0013】
別の態様では、付加製造装置は、プラットフォームと、第1の支持体と、プラットフォームと第1の支持体のうちの少なくとも1つに連結され、第1の支持体がプラットフォームをスキャンするように第1の軸に沿ってプラットフォームと第1の支持体との間に相対運動を引き起こすように構成された第1のアクチュエータと、プラットフォームの上で第1の支持体上に支持され、供給材料の連続層を分注して研磨パッドを形成するように構成された一又は複数のプリントヘッドと、第2の支持体と、プラットフォームと第2の支持体のうちの少なくとも1つに連結され、第2の支持体がプラットフォームを第1の軸に対して垂直な方向にスキャンするように第1の軸に対してほぼ垂直な第2の軸に沿ってプラットフォームと第2の支持体との間に相対運動を引き起こすように構成された第2のアクチュエータと、プラットフォームの上で第2の支持体上に支持された複数の個別にアドレス可能なエネルギー源と、コントローラとを含む。エネルギー源は、少なくとも第1の軸に沿って延びたアレー状に配置され、プラットフォームの方へ放射線を放出するように構成されている。コントローラは、第1のアクチュエータと第2のアクチュエータに、一又は複数のプリントヘッドとエネルギー源がプラットフォームをスキャンするように第1の支持体とプラットフォームとの間、及び第2の支持体とプラットフォームとの間に相対運動を引き起こさせ、一又は複数のプリントヘッドに、供給材料の層をプラットフォーム上に分注させ、プラットフォーム上の供給材料の層の選択領域にエネルギーを印加するようにエネルギー源を操作するように構成されている。
【0014】
実行態様は、一又は複数の以下の特徴を含みうる。
【0015】
エネルギー源は各々、プラットフォームの上の供給材料の最上層のボクセルに対応しうる。エネルギー源のアレーは、第2の軸に沿って延びていてよい。アレーは、プラットフォームの構築エリアの全長に沿って延びている。エネルギー源のアレーは、研磨パッドの構築エリアに対応しているプラットフォームの上のエリア全体に延びていてよい。第2の支持体は、第1の支持体上に装着されていてよい。第2の支持体は、第1の支持体とは別のフレームに装着されていてよい。
【0016】
エネルギー源のアレーは、放射線を放出して供給材料の層の外面を硬化させる第1のエネルギー源の第1のアレーであってよく、付加製造装置は、放射線を放出して供給材料の層の内部を硬化させる第2のエネルギー源の第2のアレーを更に含みうる。コントローラは、選択領域にエネルギーを印加するように第1のエネルギー源を操作し、次に選択領域にエネルギーを印加するように第2のエネルギー源を操作するように構成されうる。
【0017】
第1のエネルギー源は、第1の波長を有する放射線を放出するように構成されていてよく、第2のエネルギー源は、第1の波長よりも短い第2の波長を有する放射線を放出するように構成されていてよい。エネルギー源は、LEDに送られた電流に依存する強度を有する放射線を放出するように構成された発光ダイオード(LED)を含みうる。
【0018】
別の態様では、付加製造装置は、プラットフォームと、支持され、供給材料の連続層を分注して研磨パッドを形成するように構成された一又は複数のプリントヘッドと、第1の支持体と、プラットフォームと第1の支持体のうちの少なくとも1つに連結され、第1の支持体がプラットフォームをスキャンするように第1の軸に沿ってプラットフォームと第1の支持体との間に相対運動を引き起こすように構成された第1のアクチュエータと、プラットフォームの上で第1の支持体上に支持された第1の複数の個別にアドレス可能な第1のエネルギー源と、第2の支持体と、プラットフォームの上で第2の支持体上に支持され、プラットフォームの方へ放射線を放出するように構成された第2の複数の個別にアドレス可能な第2のエネルギー源と、コントローラとを含む。第1のエネルギー源は、少なくとも第1の軸に対して垂直な第2の軸に沿って延びるアレー状に配置され、プラットフォームの方へ放射線を放出するように構成されている。コントローラは、プリントヘッドに、供給材料の層を分注させ、第1のアクチュエータに、第1のエネルギー源がプラットフォームをスキャンするように第1の支持体とプラットフォームとの間に相対運動を引き起こさせ、プラットフォームの上の供給材料の層の選択領域にエネルギーを印加するように第1及び第2のエネルギー源を操作するように構成されている。
【0019】
実行態様は、一又は複数の以下の特徴を含み得る。
【0020】
第2の複数の第2のエネルギー源は、少なくとも第1の軸に沿って延びるアレー状に配置されていてよい。第2のアクチュエータは、プラットフォームと第2の支持体のうちの少なくとも1つに連結されていてよく、第2の支持体がプラットフォームを第1の軸に対して垂直な方向にスキャンするように第1の軸に対してほぼ垂直な第2の軸に沿ってプラットフォームと第2の支持体との間に相対運動を引き起こすように構成されうる。第2の支持体は、第1の支持体上に装着されうる。第2の支持体は、第1の支持体とは別のフレームに装着されうる。
【0021】
第2の複数の第2のエネルギー源は、少なくとも第2の軸に沿って延びるアレー状に配置されていてよい。第2のアクチュエータは、プラットフォームと第2の支持体のうちの少なくとも1つに連結されていてよく、第2の支持体がプラットフォームを第1の軸に平行な方向にスキャンするように第1の軸に沿ってプラットフォームと第2の支持体との間に相対運動を引き起こすように構成されうる。
【0022】
第2の支持体は、プラットフォームに対して静止している。第2の複数の個別にアドレス可能な第2のエネルギー源は、第1の軸と第2の軸の両方に沿って延びている二次元アレーであってよい。二次元アレーは、プラットフォームの構築エリアの全幅及び全長に沿って延びていてよい。
【0023】
前述のものについての利点は、以下の事項を含みうるが、それらに限定されるわけではない。エネルギーへの暴露期間は、各ボクセルで制御され、ガントリの動きからは分離されていてよい。エネルギー源はアレーを形成し、これにより、エネルギー源が分注された供給材料の大きい部分の方へ放射線を放出することが可能になり、また個別のボクセルの硬化の制御を維持しながら、分注された供給材料をより迅速に硬化させることが可能になる。
【0024】
更に、エネルギー源のアレーは、アレーと、分注された材料を支持しているプラットフォームとの間の相対運動に対して垂直な方向に延びていてよく、この場合、分注された供給材料を硬化させるのにアレーとプラットフォームとの間の垂直方向の相対運動は必要ではない。エネルギー源は、一回の通過において分注された供給材料の層を選択的に暴露することができるため、付加製造装置によって形成される物品のスループットが上がりうる。あるいは、エネルギー源のアレーが、アレーとプラットフォームとの間の相対運動に対して垂直な方向に延びていない場合、分注された供給材料の層の全幅を暴露するために必要なエネルギー源の垂直方向の運動は少なくなる。
【0025】
エネルギー源のアレーは、分注された供給材料の大きい部分の方へ放射線を放出しうるが、個別のエネルギー源は各々、単一のボクセルに正確にエネルギーを印加することができる。このため、個別のエネルギー源は各々、供給材料の少数の滴、例えば一滴、二滴、三滴、四滴の供給材料にエネルギーを印加することができる。供給材料はしたがって、より一貫的に硬化させることができ、これにより、物品の解像度が改善し、供給材料へエネルギーを大量に印加する単一のエネルギー源が原因のゆがみの可能性が低減する。更に、個別に制御可能なエネルギー源から形成されることによって、エネルギー源のアレーの各エネルギー源を個別に制御して、複雑な形状寸法の物品を形成することができる。
【0026】
本明細書に記載の主題の一又は複数の実行態様の詳細事項を、添付図面及び以下の説明に明記する。その他の潜在的な特徴、態様、及び利点も、本明細書、図面、及び特許請求の範囲から自明となろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】付加製造装置の概略斜視図である。
図2】付加製造装置の概略上面図である。
図3】付加製造装置のための制御システムの概略ブロック図を含む、付加製造装置の概略側面図である。
図4A】研磨ステーションの概略側面図である。
図4B】研磨パッドの概略側面図である。
図5】エネルギー源の第1のアレーがプラットフォームの方へ放射線を放出するように操作される付加製造装置の一実施例の概略前面図である。
図6】エネルギー源の第2のアレーがプラットフォームの方へ放射線を放出するように操作される図5の付加製造装置の概略前面図である。
図7】一又は複数の物品を形成するための処理のフロー図である。
図8】エネルギー源のアレーがプラットフォームの方へ放射線を放出するように操作される付加製造装置の別の実施例の概略前面図である。
図9】付加製造装置の別の実施例の概略上面図である。
図10】付加製造装置の別の実施例の概略上面図である。
図11】付加製造装置の別の実施例の概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
様々な図面における類似の参照番号及び記号表示は、類似した要素を示している。
【0029】
単一のエネルギー源を有するエネルギー送達システムを含む付加製造装置において、単一のエネルギー源を複数の水平方向に移動させて、分注された供給材料の異なる部分を硬化させることができる。具体的には、エネルギー源は、全構築エリアにわたって硬化を制御することができるように、供給材料が分注される構築エリアの全幅及び全長にわたって移動可能である。しかしながら、この動きにより、スループットが低下し、物品を製造する処理が遅くなる可能性がある。
【0030】
各々が分注された供給材料の異なる部分を硬化させることができる複数のエネルギー源、例えばエネルギー源のアレーにより、例えば、単一のエネルギー源のエネルギー送達システムに対して、全構築エリアにわたって供給材料を硬化させるのに要するエネルギー送達システムの運動量を減らすことによって、プラットフォーム上に分注された供給材料の迅速な選択的硬化を促進することができる。アレーは、エネルギー源とプラットフォームの相対運動がそれに沿って引き起こされる軸に対して垂直な軸に沿って延びていてよい。
【0031】
上記付加製造装置は、プラットフォーム上に供給材料を分注して、厳しい公差、例えば良好な厚さ均一性を有する例えば研磨パッド等の物品を形成することができる。
【0032】
本書に記載の付加製造装置によって形成された物品は、例えば、集積回路の基板の平坦化に使用される研磨パッドを含みうる。集積回路は、典型的には、シリコンウエハに導電層、半導電層、又は絶縁層を連続して堆積させることによって、基板上に形成される。多種多様な製造処理で、基板上の層の平坦化が必要となる。パターニングされた層のトレンチ内にビア、プラグ、及びラインを形成するために金属層を研磨するような特定の用途では、パターニングされた層の上面が露出するまで、その上層が平坦化される。フォトリソグラフィのために誘電体層が平坦化されるような、その他の用途においては、下層の上に望ましい厚さが残るまで、上層が研磨される。
【0033】
化学機械研磨(CMP)は、認知されている平坦化方法の1つである。この平坦化方法では、典型的には、基板がキャリアヘッドに装着されることが必要になる。典型的には、基板の露出面が、回転している研磨パッドに当接するように置かれる。キャリアヘッドは、基板に制御可能な荷重をかけて、基板を研磨パッドに押し付ける。研磨粒子を伴うスラリなどの研磨液が、典型的には、研磨パッドの表面に供給される。
【0034】
化学機械研磨処理の目的の1つは、研磨均一性である。基板の異なるエリアが異なる速度で研磨される場合、基板の一部のエリアでは、材料が過剰に除去される(「過剰研磨」)か、又は、材料の除去が少なすぎる(「研磨不足」)ということになりうる。研磨パッドは、平坦化に加えて、バフ仕上げなどの仕上げ工程にも使用されうる。
【0035】
ある研磨パッドは、「標準」パッドと、固定砥粒研磨パッドを含む。標準パッドは、耐久性のある粗面を有するポリウレタン製研磨層を有し、圧縮性バッキング層も含みうる。これに対し、固定砥粒研磨パッドは、収容媒体に保持された研磨粒子を有し、概して非圧縮性のバッキング層上に支持されうる。
【0036】
研磨パッドは、典型的には、ポリウレタン材料を成型、キャスティング、又は焼結することによって作製される。成型の場合、研磨パッドは、例えば射出成型によって、一度に1つずつ作製されうる。キャスティングの場合、液状前駆体がキャストされ、硬化されて固形物になり、その後この固形物が、個別のパッド片にスライスされる。これらのパッド片は次いで、最終的な厚さに機械加工されうる。溝が、研磨面に機械加工されうるか、又は、射出成形処理の一部として形成されうる。
【0037】
図1~3に示す実施例を参照すると、物品、例えば研磨パッドを形成するための付加製造装置100は、少なくとも1つのプラットフォーム102と、プラットフォーム102の上で支持されたプリントヘッドシステムとを含む。支持体122は、プリントヘッドシステム104をプラットフォーム102の上で浮遊させる。例えば、図3に示すように、プラットフォーム102の上で支持されているプリントヘッドシステム104は、プラットフォーム102の上面108上に供給材料106の連続層を分注する。製造工程中に、供給材料106の層は、図4A及び図4Bに示すように、研磨パッド110になるように形成される。
【0038】
図2に示すように、ある実行態様では、装置100は、線形アレー状に配置された複数のプラットフォーム102a~102c、例えば3つのプラットフォームを含む。しかしながら、装置100は、3つを超えるプラットフォームを含むことができ、プラットフォームを、線形アレーではなく、二次元アレー(例:長方形アレー)に配置することができる。ある実行態様では、装置100は、プリントヘッドシステム104のスキャン方向126(図3参照)、例えばX軸に複数の物品を作製するように構成されている。各プラットフォーム102a~102cは、形成される一又は複数の物品を支持することができる。装置100は、例えば、対応する物品を支持するプラットフォーム102a、102b、102cを含む。あるいは、単一のプラットフォーム102が、X軸に沿って複数の物品、例えば2つ又はそれ以上の研磨パッドを運ぶようにサイズ設定される。更に、ある実行態様では、装置100は、3つの個別のプラットフォーム102a~102cを有する代わりに、複数の物品を運ぶ単一のプラットフォームを含む。
【0039】
図2を参照すると、プリントヘッドシステム104は、全体としてプラットフォーム102の構築エリアに広がる一又は複数のプリントヘッドを含む。例えば、複数のプリントヘッドを、2つ又はそれ以上の列に配置して、千鳥状のアレーを形成することができる。この場合、プリントヘッドシステム104が装着された支持体122は、アクチュエータシステム124によってスキャン方向にのみ、すなわち、Y軸ではなくX軸に沿って水平に移動可能であってよく、これにより、プリントヘッドシステム104は、構築エリアのいかなる部分にも供給材料106を分注することができる。支持体122は例えば、支持体上、例えばプラットフォーム102の両側に配置された2つのレール125a上に浮遊しているガントリを含む。
【0040】
ある実行態様では、プリントヘッドシステム104のプリントヘッドがプラットフォーム102の全幅に沿って延びていない場合、プリントヘッドシステム104は、プラットフォーム102に対してY軸に沿って移動可能である。プリントヘッドシステム104は、支持体122に移動可能に装着することができ、これにより、プラットフォーム102の全幅にわたって供給材料を分注するようにプリントヘッドを再位置づけすることができる。プリントヘッドシステム104は、プラットフォーム102の上の所望の場所へ移動させることができる。ある実行態様では、アクチュエータシステム124の線形アクチュエータ124cは、支持体122上に位置づけされる。線形アクチュエータ124cは、支持体122に対して、またプラットフォーム102に対してY軸に沿ってプリントヘッドシステム104のアレー128aを移動させるように操作可能である。
【0041】
物品は、例えば研磨パッド110である。供給材料106の層は、例えば硬化工程を通して研磨パッド110になるように形成される。各層は、次の層が分注される前に硬化されうる。図2及び図3を参照すると、装置100は、プラットフォーム102の上で支持されているエネルギー源130aを含むエネルギー送達システムを含む。ある実行態様では、エネルギー源130aは、支持体122に固定されている。図2に示すように、エネルギー源130aは、アレー128aを形成している。エネルギー源130aは、分注された供給材料106の方へ放射線を放出して、供給材料106の選択的な部分を硬化させることにより、研磨パッド110の部分を形成するように操作される。
【0042】
アクチュエータシステム124は、例えば図2に示すX軸に沿って、支持体122とプラットフォーム102との間に相対運動を引き起こすように操作可能である。X軸に沿った移動は、プリントヘッドシステム104とエネルギー源130aのスキャン方向に対応する。支持体122とプラットフォーム102は、Y軸に沿って互いに対して不動であるように構成されうる。あるいは、アクチュエータシステム124は、Y軸に沿って支持体122とプラットフォーム102との間に相対運動を引き起こすように構成されうる。
【0043】
ある実行態様では、支持体122は、プラットフォーム102a~102cの線形アレーの方向、例えば図2に示すX軸に沿ったスキャン方向126に移動可能である。アクチュエータシステム124は、支持体122をスキャン方向126に水平に移動させるように操作可能である。例えば、支持体122は、X軸に沿って延びているレール125aに連結させることができ、アクチュエータシステム124の部品である線形アクチュエータ124aにより、レール125aに沿って支持体を作動させることができる。
【0044】
ある実行態様では、プラットフォーム102は、X軸に沿ってプラットフォームを移動させるように操作可能なコンベヤ上に位置づけされる。アクチュエータシステム124は、X軸に沿ったコンベヤの線形運動を生じさせることにより、プラットフォーム102と支持体122の相対運動を生じさせるアクチュエータを含む。X軸に沿った支持体122又はプラットフォーム102の一方向性の運動により、供給材料106が分注され硬化される速さが増加しうる。
【0045】
ある実行態様では、図3に示すように、装置100は、プラットフォーム102の高さ及び/又は供給材料106の層の上面の高さを検出する感知システム112を含む。感知システム112は、支持体122に対する供給材料106の最上層の高さを測定する一又は複数の光センサを含みうる。装置100は、種々のシステムの工程を制御するために、装置100の種々のシステムに動作可能に接続されたコントローラ116を含む。
【0046】
コントローラ116は、支持体122とプラットフォーム102との間に相対垂直運動を引き起こすようにアクチュエータシステム124を選択的に操作するように構成されている。例えば、各層が分注された後で、アクチュエータシステム124を使用して、堆積された供給材料の層の厚さと等しい高さだけプリントヘッドシステム104を持ち上げることができる。ある場合には、アクチュエータシステム124は、支持体122を垂直に移動させる第1のアクチュエータと、支持体122を水平に移動させる第2のアクチュエータとを含む。硬化及び/又は分注の間、支持体122の運動は増加しうる又は連続的でありうる。例えば、支持体122は、後続の分注工程間に、後続の硬化工程間に、あるいは両方において、プラットフォーム102に対して移動させることができる。あるいは、支持体122は、供給材料106が分注され、硬化されている間、連続的に移動させることができる。
【0047】
ある実行態様では、アクチュエータシステム118は、供給材料106の各層が分注された後で、プラットフォーム102を下げるように操作可能である。コントローラ116は、供給材料106の層の高さに等しい量だけプラットフォーム102を下げるようにアクチュエータシステム118を操作する。その結果、装置100は、層間の、供給材料106の上面とプリントヘッドシステム104との間の高さのオフセットを一定に維持することができる。
【0048】
エネルギー源130aは、プラットフォーム102の方へ放射線ビーム132aを放出して、プラットフォーム102上の分注された供給材料106を硬化させるように操作可能である。ある実行態様では、エネルギー源130aは、分注された供給材料106の最上層の供給材料の異なるボクセルの方へ各放射線ビーム132aが向けられるように、配置される。図5を参照すると、エネルギー源130aは、各エネルギー源が、形成される物品の対応するボクセルを硬化させるように、位置づけされる。形成される物品の各ボクセルは、供給材料106の一又は複数の滴133に対応しうる。エネルギー源130aの上記配置により、アレー128aとプラットフォーム102との間のY軸に沿った相対運動を必要とせずに、Y軸に沿って延びている供給材料106の複数の滴133を一度に選択的に硬化させるようにエネルギー源130aを選択的に操作することが可能になる。
【0049】
横切っているガントリの運動を用いて分注されている材料の分離及び硬化により、各層上の硬化材料の非対称形の形成を回避することができる。堆積と暴露との間の時間遅延を計って、硬化エネルギーが印加される前に滴を半球形の形態に「作り変える」ことを可能にすることができる。
【0050】
後続のエネルギー源130aの工程との間に、エネルギー源130aは、異なる組のボクセルを硬化させるために再位置づけされる。例えば、エネルギー源130aは、第1の組の滴133を硬化させるように操作することができ、次に、X軸に沿って第1の組の滴133からオフセットした第2の組のボクセルを硬化させるために再位置づけすることができる。本書に記載したように、エネルギー源130aは、プラットフォーム102に対してX軸に沿って、またある実行態様では、Y軸に沿って移動させることができる。その際、第2の組のボクセルは、代わりに、Y軸に沿って第1の組の滴133からオフセットしていてよい。
【0051】
エネルギー源130aのアレー128aは、Y軸に沿って、例えばプラットフォーム102と支持体122の相対運動の方向に対して垂直な方向に延びている。ある実行態様では、エネルギー源130aのアレー128aは、線形アレーである、例えばY軸にのみ沿って延びている。
【0052】
ある実行態様では、図2及び図5を参照すると、エネルギー源130aのアレー128aは、プラットフォーム102上の使用可能な構築エリア131の全幅にわたって延びている。支持体122は、エネルギー源130aが、プラットフォーム102の使用可能な全構築エリア131にわたって供給材料106を選択的に硬化させることができるように、X軸に沿ってスキャンされる。
【0053】
ある実行態様では、エネルギー源130aは、支持体122上に装着され、支持体122がプラットフォーム102の上の水平平面に沿って移動したときに支持体122とともに移動可能である。例えば、エネルギー源130aは、支持体122に固定することができる。それに際し、プリントヘッドシステム104とエネルギー源130aのアレー128aは、線形アクチュエータ124aが支持体122を作動させるように操作されたときに、共にプラットフォーム102に対して移動可能である。
【0054】
あるいは、ある場合には、エネルギー源130aは、支持体122とは別の支持体に装着される。例えば、エネルギー源130aは、装置100の壁に装着され、支持体122が移動しても固定されたままでありうる。エネルギー源130aがプリントヘッドシステム104を支持している支持体122上に支持されている場合、支持体122は、スキャン方向126にエネルギー源130aの運動を生じさせるようにX軸に沿って移動可能である。エネルギー源130aが別々に装着されている場合、アクチュエータシステム124は、線形アクチュエータ124aに加えて、エネルギー源130aにスキャン方向126にスキャンさせるように構成されたアクチュエータを含む。
【0055】
あるいは、エネルギー源130aのアレー128aは、プラットフォーム102の全幅の一部にわたって延びている。エネルギー源130aがプラットフォーム102の全幅に沿って延びていない場合、エネルギー源130aのアレー128aはY軸に沿って移動可能であり、これにより、エネルギー源130aを、構築エリア又はプラットフォーム102の全幅のいずれかの部分に沿って分注された供給材料を硬化させるために再位置づけすることができる。ある実行態様では、アクチュエータシステム124の線形アクチュエータ124bは、支持体122上に位置づけされる。線形アクチュエータ124bは、支持体122に対して、またプラットフォーム102に対してY軸に沿ってエネルギー源130aのアレー128aを移動させるように操作可能である。
【0056】
硬化処理中に、線形アクチュエータ124bは、エネルギー源130aによって同時に硬化させることができる供給材料106の滴133の長さと等しい距離だけ、Y軸に沿ってエネルギー源130aのアレー128aを前進させるように操作される。例えば、各エネルギー源130aが供給材料106の対応する滴133を硬化させる場合、Y軸に沿ってアレー128aを前進させる距離を画定する滴133の数は、エネルギー源130aの数とほぼ等しい。ある場合には、各エネルギー源130aは、2つ又はそれ以上の滴133を硬化させる。上記例において、後続のエネルギー源130aの放出工程との間でY軸に沿ってアレー128が前進する距離は、各エネルギー源130aによって硬化される滴133の数に、Y軸に沿って延びているエネルギー源130aの数を乗じたものと等しい。エネルギー源130aは、放射線を放出して供給材料106の第1の組の滴を硬化させ、Y軸に沿って前進して放射線を放出し、供給材料106の第2の組の滴を硬化させ、エネルギー源のアレー128aが構築エリア131の全幅にわたってスキャンするまでこれらのステップを継続する。
【0057】
ある実行態様では、エネルギー源130aのアレー128aは、プラットフォーム102の運動方向に沿って、例えばX軸に沿って延びている。各エネルギー源130aが単一の異なるボクセルに対応している場合、エネルギー源130aはしたがって、X軸に沿って延びている複数のボクセルを硬化させることができる。この結果、エネルギー源130aにプラットフォーム102の全長にわたってスキャンさせるための、X軸に沿った支持体122とプラットフォーム102との間の相対運動のインクリメント数を削減することが可能である。
【0058】
ある実行態様では、アレー128aは、X軸とY軸の両方に沿って延びている。例えば、アレー128aは、エネルギー源130aが平行な段と列に配置される長方形のアレーを形成しうる。あるいは、エネルギー源130aの隣接する列は相対的に千鳥状になっている、又はエネルギー源130aの隣接する段が相対的に千鳥状になっている。
【0059】
ある実行態様では、アレー128aは、アレー128aが物品の使用可能な全構築エリア131にわたって延びるように、X軸及びY軸に沿って延びている。プラットフォーム102と支持体122の相対運動の間、プラットフォーム102はアレー128aに対して、構築エリア131がエネルギー源130aのアレー128aの下になり、エネルギー源130aが構築エリア131の任意の部分の方へ放射線を向けることができるように、位置づけされる。エネルギー源130aが次に、構築エリア131の任意の部分に分注された供給材料106の部分を選択的に硬化させるように、選択的に操作されうる。上記例では、アレー128aは、全層において供給材料を選択的に硬化させうる。
【0060】
図2、5及び6を参照すると、ある実行態様では、エネルギー源130aのアレー128aは第1のエネルギー源130aの第1のアレー128aに対応し、装置100は更に、第2のエネルギー源130bの第2のアレー128bを含む。第2のアレー128bは、本書に記載の第1のアレー128aの配置と同様の第2のエネルギー源130bの配置を有しうる。分注工程中は、コントローラ116(図3に示す)は、図5を参照すると、プラットフォーム102上に供給材料106の滴133を分注するようにプリントヘッドシステム104を操作する。
【0061】
図5に示すように、供給材料106の滴133は各々、外面148と、内部容積150とを含む。供給材料106の滴133を分注するようにプリントヘッドシステム104を操作した後に、コントローラ116は、供給材料106の滴133の方へ放射線ビーム132aを放出して、供給材料106の滴133の外面148の硬化を開始するようにエネルギー源130aを操作する。外面148のこの硬化の開始により、滴133に対応する供給材料106の滴を安定化させ、供給材料106の動きを防止することができる。
【0062】
図6を参照すると、コントローラ116は次に、供給材料106の滴133の方へ放射線ビーム132bを放出するようにエネルギー源130bを操作する。放射線ビーム132bは、供給材料106の滴133の内部容積150を硬化させる。これに際し、第2のエネルギー源130bは、第1のエネルギー源130aが滴133の外面148を硬化させるように操作され、第2のエネルギー源130bが供給材料106の滴133の内部容積150を硬化させるように操作されるという点で第1のエネルギー源130aとは異なる。エネルギー源130bは、放射線ビーム132bを放出して供給材料106の滴133の内部容積150を硬化させることによって、供給材料106の滴の硬化処理を完了しうる。
【0063】
ある実行態様では、第1のエネルギー源130aによって放出された放射線ビーム132aが、第2のエネルギー源130bによって放出される放射線ビーム132bの波長よりも短い波長を有する。エネルギー源130a、130bは、例えば、紫外光のビームを放出する紫外(UV)光源である。紫外光は、例えば、10nm~400nm(例:10~320nm、320~400nm、320nm~360nm、340nm~380nm、380nm~400nm、350nm~370nm、約355nm、約365nm)の波長を有しうる。放射線ビーム132aの波長は、例えば、250nmと365nmの間の短いUV波長であり、放射線ビーム132bの波長は、365nmと450nmの間の長いUV波長である。放射線ビーム132aの短いUV波長の高いエネルギーにより、供給材料の滴133の外面148を迅速に硬化させて供給材料106を安定化させることが可能になる。これに対し、放射線ビーム132bの長いUV波長の低いエネルギーにより、供給材料の滴133の内部容積150をより均一に硬化させることが可能になる。
【0064】
ある実行態様では、コントローラ116は、供給材料106の滴133が放射線ビーム132a、132bの両方に同時に暴露されるように、エネルギー源130a、130bを操作する。エネルギー源130a、130bは、例えば、エネルギー源130a、130bが同時に起動されたときに、供給材料106の分注された滴133が放射線ビーム132a、132bの両方に同時に暴露されるように、支持体122上に相対的に位置づけされる。
【0065】
プリントヘッドシステム104がプラットフォーム102にわたって移動可能である場合、例えばプリントヘッドシステム104は水平に移動可能な支持体122上に装着され、エネルギー源130a、130bは両方とも、スキャン方向126にプリントヘッドシステム104の背後に位置づけされる。これに際し、製造工程中は、コントローラ116によってプリントヘッドシステム104が供給材料を分注するように操作される。コントローラ116は次に、プリントヘッドシステム104とエネルギー源130a、130bを保持している支持体122をスキャン方向126にインクリメントによってスキャンするようにアクチュエータシステム124を操作する。インクリメントは、プリントヘッドシステム104によって分注される供給材料の上にエネルギー源130a、130bを再位置づけするのに十分大きいものである。これに際し、エネルギー源130a、130bは、起動されたときに、分注された供給材料が放出された放射線ビーム132a、132bの両方に暴露されるように位置づけされる。
【0066】
ある実行態様では、放射線ビーム132a、132bに供給材料106の滴133が順次に暴露される。エネルギー源130bは、例えば、スキャン方向(すなわち、X軸)に沿ってエネルギー源130aの背後に位置づけされる。エネルギー源130a、130bは、供給材料106の滴133が一度に放射線ビーム132a、132bのうちの1つだけに暴露されるように、相対的に位置づけされうる。これに際し、エネルギー源130a、130bを同時に起動して、供給材料の異なる滴及び/又は異なるボクセルを放射線に暴露しうる。供給材料106の滴133は、ある場合には、最初に放射線ビーム132aに暴露されることにより、供給材料106の滴133が安定化され、次に放射線ビーム132bに暴露されて、内部容積150の硬化処理が完了する。
【0067】
図7に、物品、例えば研磨パッドを形成する例示の処理300を示す。例えば、コントローラ116を含む装置100は、処理300の工程を実行しうる。
【0068】
工程302において、支持体122とプラットフォーム102との間に相対運動を生じさせる。例えば、コントローラ116によってアクチュエータシステム124の一又は複数の線形アクチュエータが相対運動を生じさせるように操作されうる。相対運動は、プリントヘッドシステム104が供給材料106が分注されるターゲット位置に再位置づけされうるように制御され、またエネルギー源130aのアレー128aが供給材料106が硬化されるターゲット位置に再位置づけされうるように制御される。
【0069】
工程304において、図5も参照してみると、プラットフォーム102上に供給材料106の層140が分注される。例えば、プリントヘッドシステム104は、コントローラ116によって、供給材料106を分注するように操作されうる。プリントヘッドシステム104が構築エリア131の全幅にわたって延びておらず、支持体122に対して移動可能である場合、ある実行態様では、工程304において、プリントヘッドシステム104はY軸に沿ってスキャンし、構築エリア131の全幅に沿って供給材料106を分注する。
【0070】
工程306において、図5に示すように、供給材料106の層の一又は複数の選択領域142にエネルギーが印加される。例えば、エネルギー源130aによってエネルギーが印加されうる。コントローラ116は、各エネルギー源130aを個別にアドレス(指定)することで、選択領域142にエネルギーを印加するようにエネルギー源130aを選択的に操作することができるように構成されている。
【0071】
アレー128aが全構築エリア131、例えば構築エリア131の全幅及び全長にわたって延びている場合、工程306の後に層140の選択的な硬化が完了し、層140の上に後続の層が分注されうる。物品を形成するために必要な数の層が分注され選択的に硬化されるまで、工程304及び306が繰り返されうる。物品が製造されると、新たな物品を形成するために処理300が繰り返されうる。例えば、工程302において、新たな物品を製造するために、支持体122とプラットフォーム102との間に相対運動を生じさせて、支持体122をプラットフォーム102aに対して例えばプラットフォーム102bの別の構築エリアへ前進させる。次に、工程304及び306が(必要に応じて、繰り返し)実施され、供給材料106を分注し、選択的に硬化させて、プラットフォーム102b上に新たな物品が形成される。
【0072】
ある実行態様では、選択領域142にエネルギーを印加する前に、支持体122とプラットフォーム102との間に更なる相対運動を生じさせる。例えば、工程304において分注された供給材料の滴からオフセットされた供給材料106の一組の滴の方へ放射線を向けるようにアレー128aが位置づけされるように、プリントヘッドシステム104を、エネルギー源130aのアレー128aに対して位置づけすることができる。支持体122とプラットフォーム102との間の更なる相対運動により、アレー128aによって直前に分注された供給材料106の方へ放射線を向けることが可能になる。
【0073】
ある実行態様では、工程304においてプラットフォーム102上に全層を分注する代わりに、層140の一部が分注される。例えば、プラットフォーム102上に供給材料106のラインを分注することができ、次に、エネルギー源130aが分注された供給材料106のラインにエネルギーを印加することができる。プラットフォーム102上に供給材料106の層140を分注する工程304が実施されている間に、分注された供給材料の選択部分にエネルギーを印加する工程306が実施される。後続の分注工程との間に、プラットフォーム102と支持体122が相対的に移動して、プラットフォーム102上の新たな場所に供給材料106を分注することが可能になり、分注された供給材料106の新たな選択領域にエネルギーを印加することが可能になる。プラットフォーム102と支持体122が相対的にインクリメント的に移動することで、運動が停止したときに、供給材料106が分注され、供給材料106が硬化される。選択部分が組み合わされると、硬化された供給材料の選択領域142が形成される。
【0074】
あるいは、プラットフォーム102と支持体122を、後続の分注工程との間で相対的に移動させる代わりに、工程304及び306において供給材料106を分注し、エネルギーを印加している間に、相対的に連続的に移動させる。プラットフォーム102と支持体122とが連続的に運動して支持体122に対してプラットフォーム102を前進させている間に、供給材料106が分注され、エネルギーが印加される。
【0075】
あるいは、アレー128aは、工程304において分注される供給材料106を硬化させるために更に移動させる必要がないように位置づけすることができる。プリントヘッドシステム104をプラットフォーム102の周りで移動させて供給材料106を分注し、全層が分注された後に、エネルギー源130aで供給材料106を硬化させることができる。
【0076】
ある実行態様では、選択領域142に印加されるエネルギーは、第1のエネルギー源130aによって放出される第1の放射線ビームの形態のエネルギーと、第2のエネルギー源130bによって放出される第2の放射線ビームの形態のエネルギーとを含む。
【0077】
ある実行態様では、コントローラ116は、エネルギー源130aによって放出される放射線の強度を制御するように構成されている。エネルギー源130aの起動又は停止を選択的に制御する代わりに、コントローラ116は、放出された放射線の強度を調整することにより、供給材料106の滴133に付与されるエネルギーの量を正確に制御することができる。例えば、供給材料を硬化させるために供給材料106に付与されるエネルギーの量は、分注される供給材料106の種類に依存しうる。
【0078】
ある実行態様では、コントローラ116は、エネルギー源130a及び/又はエネルギー源130bに送られる電流の量を決定して、エネルギー源130a及び/又はエネルギー源130bによって放出される放射線の強度を制御する。電流の量は、放射線の強度に比例しうる。エネルギー源は、例えば、LEDに送られた電流に依存する強度を有する放射線を放出するように構成された発光ダイオード(LED)を含みうる。エネルギー源はまた、例えば、レーザのアレー、例えばレーザダイオードも含みうる。
【0079】
ある実行態様では、コントローラ116はフィードバック制御を使用して、放射線の強度を制御する。コントローラ116は、送られた放射線の強度を示す信号を受信して、フィードバック制御処理を実行し、強度が所望の規定範囲内になるようにする。信号は、例えば放射線ビームの経路に沿って位置づけされた光検出器によって生成される。ある場合には、各エネルギー源130aは、対応する光検出器が受け取る放射線を、各エネルギー源130aによって放出される放射線が正確に制御されうるように放出する。
【0080】
図8を参照すると、ある実行態様では、エネルギー源130a、130bを選択的に操作する代わりに、全てのエネルギー源130a、130bが放射線を放出するように操作し、選択領域142だけが硬化するように放射線の一部がブロックされる。ある場合には、バルクエネルギー源146は、プラットフォーム102の方へ向けて放射線を生じさせるように操作される。バルクエネルギー源146は、例えばランプ、又はLEDアレーを含みうる。装置100は、エネルギー源130a、130bからの放射線をブロックする、又はバルクエネルギー源146からの放射線をブロックする選択的にアドレス可能なマスク144を含む。マスク144は、選択領域142に対応する画像がマスクを通して投影されるように、選択的に制御される。コントローラ116は、放射線がマスク144の一部を通過し、放射線がマスク144の他の部分を通過するのを防止するのを可能にするような方法でマスク144を操作することにより、供給材料106の層140の選択領域142を硬化させる。バルクエネルギー源146は、放射線を放出して供給材料106の滴133の外面148を硬化させるように構成された第1のバルクエネルギー源であってよく、第2のバルクエネルギー源は、放射線を放出して供給材料106の滴133の内部容積150を硬化させるように構成されている。
【0081】
研磨パッド110は、分注され、硬化される供給材料の規定数の層から形成される。図4Bに示す研磨パッド110の一例では、研磨パッド110はマルチレイヤパッドである。研磨パッド110は、例えば研磨層156とバッキング層158とを含む。研磨層156は、例えば研磨パッド110が基板を研磨するのに使用されるときは不活性である材料で形成される。研磨層156の材料は、プラスチック、例えばポリウレタンであってよい。ある実行態様では、研磨層156は比較的強く、硬い材料である。研磨層156は、ショアDスケールの約40~80、例えば50~65の硬度を有する。
【0082】
ある実行態様では、研磨層156は均質な組成物の層である。研磨層156は、プラスチック材料、例えばポリウレタンのマトリクス159内に浮遊しているポア157を含みうる。ポア157は、マトリクス159内に浮遊している中空の微小球体によって、又はマトリクス159自体のボイドによって提供されうる。
【0083】
ある実行態様では、研磨層156は、プラスチック材料のマトリクス159内、例えばポア157内部に保持された研磨粒子を含む。研磨粒子は、マトリクス159の材料よりも硬い。研磨粒子の材料は、セリア、アルミナ、シリカ、又はこれらの組み合わせ等の金属酸化物であってよい。
【0084】
ある実行態様では、研磨層156は、80ミル以下、例えば50ミル以下、例えば25ミル以下の厚さD1を有しうる。調整処理によりカバー層がすり減りやすいため、研磨層156の厚さは、研磨パッド110に例えば1000回の研磨及び調整サイクル等の有用な寿命が付与されるように選択されうる。
【0085】
ある実行態様では、研磨層156はスラリを運ぶための溝160を含む。溝160は、例えば同心円、直線、斜交平行、螺旋等のパターンを形成する。溝がある場合、溝160間の平坦域は、例えば研磨パッド110の水平表面積全体の約25~90%になりうる。溝160は、例えば研磨パッド110の水平表面積全体の約10%~75%を占める。溝160間の平坦域は、約0.1~2.5mmの横幅を有しうる。
【0086】
ある実行態様では、例えばバッキング層158がある場合、溝160は研磨層156を完全に貫通して延在する。ある実行態様では、溝160は、研磨層156の厚さの約20~80%、例えば40%を貫通して延在する。溝160の深さは例えば、0.25~1mmである。ある場合には、例えば50ミルの厚さの研磨層156を有する研磨パッド110では、溝160は約20ミルの深さD2を有する。
【0087】
ある実行態様では、バッキング層158は、研磨層156よりも柔軟で、より圧縮性が高い。バッキング層158は、ショアAスケールで80以下の硬度、例えば約60ショアAの硬度を有する。バッキング層158は、ある場合には、研磨層156よりも厚い、又は薄い、又は同じ厚さである。
【0088】
研磨パッド110を使用して、研磨装置において一又は複数の基板を研磨することができる。好適な研磨装置の説明は、米国特許第5738574号で見ることができる。ある実行態様では、図4Aを参照すると、研磨システム200は、研磨パッド110が置かれる回転可能なプラテン204を含む。研磨工程中に、研磨液206、例えば研磨スラリが、リンスアーム208と組み合わせることができる研磨液供給ポートによって研磨パッド110の表面上に分注される。研磨液206は、ある場合には、研磨粒子、pH調節剤、又は化学活性成分を含有する。
【0089】
ある実行態様では、基板210を研磨するために、キャリアヘッド212によって基板210を研磨パッド110に当接して保持する。キャリアヘッド212は、支持構造物(例えばカルーセル)から懸架され、かつ、キャリアヘッドが軸216の周りで回転しうるようにキャリア駆動シャフト214によってキャリアヘッド回転モータに接続される。研磨液206の存在時の研磨パッド110と基板210との相対運動により、基板210が研磨される。
【0090】
コントローラ(コントローラ116など)は、デジタル電子回路において、又はコンピュータのソフトウェア、ファームウェア、若しくはハードウェアにおいて、又はそれらの組み合わせにおいて、実装されうる。コントローラは、一又は複数のコンピュータプログラム製品、すなわち、情報キャリアにおいて(例えば、非一過性のマシン可読記憶媒体又は伝播信号において)有形に具現化され、データ処理装置(例えば、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又は、複数のプロセッサ若しくはコンピュータ)によって実行されるか、又は、かかるデータ処理装置の動作を制御するための、一又は複数のコンピュータプログラムを含みうる。コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、又はコードとしても既知である)は、コンパイラ型又はインタープリタ型の言語を含む、任意の形態のプログラミング言語で書かれていてよく、かつ、任意の形態で展開されうる(スタンドアロンプログラムとして、又は、モジュール、コンポーネント、サブルーチン、若しくは、演算環境での使用に適したその他のユニットとして、展開されることを含む)。コンピュータプログラムは、1台のコンピュータで実行されるよう、又は、1つの場所の、あるいは複数の場所に分散され、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータで実行されるように展開されうる。
【0091】
この明細書で説明している処理及び論理フローは、一又は複数のプログラマブルプロセッサによって実施されてよく、このプログラマブルプロセッサは、入力データに対して動作すること、及び出力を生成することによって機能を実施するために、一又は複数のコンピュータプログラムを実行する。処理及び論理フローは、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(application specific integrated circuit:特定用途向け集積回路)といった特殊用途の論理回路によって実施されてもよく、かつ、装置が、かかる特殊用途の論理回路として実装されることも可能である。
【0092】
上述のシステムのコントローラ116及びその他の演算デバイス部分は、データオブジェクト(例えば、供給材料が各層として形成されるべきパターンを特定する、コンピュータ支援設計(CAD)対応型ファイル)を記憶するための、非一過性のコンピュータ可読媒体を含みうる。例えば、このデータオブジェクトは、STLフォーマットのファイル、3D製造フォーマット(3MF)のファイル、又は、付加製造ファイルフォーマット(AMF)のファイルであることが可能である。更に、データオブジェクトは、例えばtiff、jpeg、又はビットマップ形式の複数層を有する複数ファイル、又は1つのファイル等の他の形式であってよい。例えば、コントローラは、遠隔コンピュータからデータオブジェクトを受信することもある。例えばファームウェア又はソフトウェアによって制御されている、コントローラ116のプロセッサは、コンピュータから受信したデータオブジェクトを解釈して、各層を望ましいパターンに堆積させ、かつ/又は硬化させるよう、装置100の構成要素を制御するために必要な信号の組を生成しうる。
【0093】
いくつかの実行態様について説明してきた。それでもなお、様々な改変が行われうることが、理解されよう。
【0094】
供給材料の層の各層の厚さ、及び、ボクセルの各々のサイズは、実行態様ごとに変動しうる。一部の実行形態ではプラットフォーム102上に分注が行われる時に、各ボクセルは、例えば10μm~50μm(例:10μm~30μm、20μm~40μm、30μm~50μm、およそ20μm、およそ30μm、又はおよそ50μmなど)の幅を有しうる。各層は、所定の厚さを有しうる。この厚さは、例えば、0.10μm~125μm(例えば、0.1μm~1μm、1μm~10μm、10μm~20μm、10 μm~40μm、40μm~80μm、80μm~125μm、約15μm、約25μm、約60μm、又は約100μm)でありうる。
【0095】
ある実施例では、1、2、又は3つのプリントヘッドを含む付加製造装置100が記載されている。あるいは、装置100は、4つ又はそれ以上のプリントヘッドを含む。各プリントヘッドは、例えば、支持体122上に装着される。プリントヘッドはしたがって、プラットフォーム102全体で一単位として移動可能である。ある場合には、装置100は、スキャン方向126に沿って整列した8つ又はそれ以上のプリントヘッド、例えば8つのプリントヘッド、12のプリントヘッド等を含む。一実施例では、プリントヘッドのうちの4つが第1の供給材料、例えば供給材料Aを分注し、プリントヘッドのうちの2つが第2の供給材料、例えば供給材料Bを分注し、プリントヘッドのうちの2つが第3の供給材料、例えば供給材料Cを分注する。
【0096】
図示したエネルギー源130aの列は、エネルギー源130bの列と交互になっているが、ある実行態様では、アレー128aとアレー130aは重なり合っていない。エネルギー源130aのアレー128aは、プリントヘッドシステム104とアレー130aとの間に位置づけされる。これに際し、プリントヘッドシステム104は供給材料106を分注し、支持体122とプラットフォーム102との間に相対運動が生じ、次にエネルギー源130aは供給材料106の外面148を硬化させる。更に、支持体122とプラットフォーム102との間に相対運動が生じ、次にエネルギー源130bが供給材料106の内部容積150を硬化させる。
【0097】
図2では、Y軸に沿って延び、使用可能な構築エリアの幅に広がるエネルギー源130のアレー128を示したが、図9に示すように、エネルギー源のアレーがX軸に沿って延びている、すなわち、プラットフォーム102がそれに沿って配置されている方向に平行に延びていることも可能である。この場合、エネルギー源のアレー128は、物体が製造される使用可能な構築プラットフォーム又は領域の(X軸に沿った)長さに広がっていてよい。更に、エネルギー源130のアレー128は、支持体122上に(例えば支持体122の下に)装着された副支持体122a上に位置づけされうる。副支持体122aは、例えばアクチュエータ124cによってY軸に沿って移動することにより、Y軸の方向に沿ってエネルギー源をスキャンするように構成されうる。この場合、エネルギー源130のアレー128は、各層の堆積後に、Y軸の方向(前から後ろ、又は後ろから前)に移動して、堆積層を選択的に硬化させる。
【0098】
更に、図2では支持体122に固定され、第1のアレー128aに対して固定された位置にある(例えば支持体が移動すると第1のアレー128aと共に移動する)第2のエネルギー源130bの第2のアレー128bを示したが、これは必須ではない。例えば、図10に示すように、第1のアレー128aはY軸に沿って延び(そしてガントリによってY軸に沿って移動し)うる。第2のアレー128bは、X軸に沿って延び(そしてY軸に沿って副支持体122a上を移動し)うる。あるいは、第2のアレー128bは、ガントリ122とは別の支持体上にあってもよい。更に、第2のアレー128bは、X軸に沿って延び(そして別の支持体122によって支持体122上でY軸に沿って移動し)うる。
【0099】
図11を参照すると、更に別の代替例として、第2のアレー128bは、プラットフォームの使用可能な幅及び長さ全体に広がる二次元アレーであるが、プラットフォームに対して不動である。第2のアレー128bは、支持体122がスキャンする場所の上に位置づけされた支持体122b上に保持されうる。
【0100】
これらの様々な実行態様では、短い波長のエネルギー源は、プリントヘッドアレーとともに例えば支持体122上に載っていてよく、長い波長源は、プラットフォーム全体に広がっていてよい、あるいはY軸の方向に沿って載っていてよい。これにより、短い波長のエネルギー源がディスペンサに近接し/ディスペンサとともに駆動されることが可能になり、堆積された小滴が下位の層又はプラットフォーム上に固定され、制御された硬化形態の表面性状が得られうる。これに対し、システム内部の異なる硬化源によってバルク硬化が実施されうる。
【0101】
研磨パッドの製造に関連して装置を説明してきたが、この装置は、付加製造によるその他の物品の製造にも適合しうる。
【0102】
したがって、その他の実行態様も特許請求の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11