(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】感光性組成物、赤外光カットフィルタ、固体撮像素子
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20220610BHJP
G02B 5/22 20060101ALI20220610BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
G03F7/004 501
G02B5/22
H01L27/146 D
(21)【出願番号】P 2020530933
(86)(22)【出願日】2019-06-10
(86)【国際出願番号】 JP2019022921
(87)【国際公開番号】W WO2020017187
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2020-10-20
(31)【優先権主張番号】P 2018136948
(32)【優先日】2018-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】北島 峻輔
(72)【発明者】
【氏名】田口 貴規
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/043218(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/146091(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/012440(WO,A1)
【文献】特開2014-199925(JP,A)
【文献】国際公開第2018/131350(WO,A1)
【文献】特開2016-006476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004
G02B 5/22
H01L 27/146
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属含有タングステン酸化物粒子、重合性化合物、重合開始剤、紫外線吸収剤、および、重合禁止剤を含む、感光性組成物であって、
前記金属含有タングステン酸化物粒子の表面が金属酸化物で被覆されており、
前記重合禁止剤の含有量に対する、前記紫外線吸収剤の含有量の質量比が0.08~330である、感光性組成物。
【請求項2】
前記金属酸化物が、Si、Ti、Zr、および、Alからなる群から選択される少なくとも1種以上の元素を含む酸化物である、請求項
1に記載の感光性組成物。
【請求項3】
前記紫外線吸収剤が、熱質量測定において、150℃における質量減少率が5%以下であり、かつ、220℃における質量減少率が40%以上である紫外線吸収剤である、請求項1
または2に記載の感光性組成物。
【請求項4】
前記紫外線吸収剤が、ジベンゾイルメタン系化合物およびアミノブタジエン系化合物から選ばれる少なくとも1種である、請求項1~
3のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項5】
前記重合禁止剤を2種以上含む、請求項1~
4のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項6】
前記重合禁止剤が、ヒンダードフェノール系化合物、前記ヒンダードフェノール系化合物以外のフェノール系化合物、ベンゾキノン系化合物、および、ヒドロキノン系化合物からなる群から選択される少なくとも2種以上である、請求項
5に記載の感光性組成物。
【請求項7】
前記重合禁止剤が、前記ヒンダードフェノール系化合物、前記ベンゾキノン系化合物、および、前記ヒドロキノン系化合物からなる群から選択される1種以上の第1重合禁止剤と、前記ヒンダードフェノール系化合物以外のフェノール系化合物とを含む、請求項
6に記載の感光性組成物。
【請求項8】
前記第1重合禁止剤の合計含有量に対する、前記ヒンダードフェノール系化合物以外のフェノール系化合物の含有量の質量比が0.0009~0.17である、請求項
7に記載の感光性組成物。
【請求項9】
二重結合基を有するアルカリ可溶性バインダーをさらに含む、請求項1~
8のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか1項に記載の感光性組成物を用いて形成された赤外光カットフィルタ。
【請求項11】
請求項
10に記載の赤外光カットフィルタを含む固体撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性組成物、赤外光カットフィルタ、および、固体撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、および、カメラ機能付き携帯電話などには、カラー画像の固体撮像素子が用いられている。これら固体撮像素子は、その受光部において赤外線(赤外光)に感度を有するシリコンフォトダイオードを使用しているために、視感度補正を行うことが必要であり、赤外光カットフィルタを用いることが多い。
特許文献1においては、赤外光カットフィルタを形成するための組成物として、所定のタングステン酸化物および/または複合タングステン酸化物を含む感光性組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
感光性組成物を用いてパターンを形成する際には、パターンの断面形状の矩形性に優れることが求められる。
また、感光性組成物を用いて形成された硬化膜は、加熱処理を施した後も、透過率の変化が生じにくいことが求められている。特に、各種カラーフィルタと上記硬化膜とが隣接して配置される場合においても、加熱処理を施した後に上記透過率の変化が生じがたいことが望ましい。以下、加熱処理後に透過率が変化しづらいことを、耐熱性に優れるという。
本発明者らは、特許文献1に記載の感光性組成物を用いて上記特性を評価したところ、両者の特性をバランスよく満たすことができなかった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、断面形状の矩形性に優れるパターンを形成でき、かつ、耐熱性に優れる硬化膜を形成できる感光性組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は、感光性組成物を用いて形成される赤外光カットフィルタ、および、赤外光カットフィルタを含む固体撮像素子も提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、従来技術の問題点について鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
【0007】
(1) 金属含有タングステン酸化物粒子、重合性化合物、重合開始剤、紫外線吸収剤、および、重合禁止剤を含む、感光性組成物であって、
重合禁止剤の含有量に対する、紫外線吸収剤の含有量の質量比が0.08~330である、感光性組成物。
(2) 金属含有タングステン酸化物粒子の表面が金属酸化物で被覆されている、(1)に記載の感光性組成物。
(3) 金属酸化物が、Si、Ti、Zr、および、Alからなる群から選択される少なくとも1種以上の元素を含む酸化物である、(2)に記載の感光性組成物。
(4) 紫外線吸収剤が、熱質量測定において、150℃における質量減少率が5%以下であり、かつ、220℃における質量減少率が40%以上である紫外線吸収剤である、(1)~(3)のいずれかに記載の感光性組成物。
(5) 紫外線吸収剤が、ジベンゾイルメタン系化合物およびアミノブタジエン系化合物から選ばれる少なくとも1種である、(1)~(4)のいずれかに記載の感光性組成物。
(6) 重合禁止剤を2種以上含む、(1)~(5)のいずれかに記載の感光性組成物。
(7) 重合禁止剤が、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードフェノール系化合物以外のフェノール系化合物、ベンゾキノン系化合物、および、ヒドロキノン系化合物からなる群から選択される少なくとも2種以上である、(6)に記載の感光性組成物。
(8) 重合禁止剤が、ヒンダードフェノール系化合物、ベンゾキノン系化合物、および、ヒドロキノン系化合物からなる群から選択される1種以上の第1重合禁止剤と、ヒンダードフェノール系化合物以外のフェノール系化合物とを含む、(7)に記載の感光性組成物。
(9) 第1重合禁止剤の合計含有量に対する、ヒンダードフェノール系化合物以外のフェノール系化合物の含有量の質量比が0.0009~0.17である、(8)に記載の感光性組成物。
(10) 二重結合基を有するアルカリ可溶性バインダーをさらに含む、(1)~(9)のいずれかに記載の感光性組成物。
(11) (1)~(10)のいずれかに記載の感光性組成物を用いて形成された赤外光カットフィルタ。
(12) (11)に記載の赤外光カットフィルタを含む固体撮像素子。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、断面形状の矩形性に優れるパターンを形成でき、かつ、耐熱性に優れる硬化膜を形成できる感光性組成物を提供できる。
また、本発明によれば、感光性組成物を用いて形成される赤外光カットフィルタ、および、赤外光カットフィルタを含む固体撮像素子も提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の固体撮像素子の一実施形態の構成を示す概略断面図である。
【
図2】本発明の固体撮像素子を適用した撮像装置の機能ブロック図である。
【
図3】パターン矩形性評価を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の感光性組成物、赤外光カットフィルタ、および、固体撮像素子の好適態様について詳述する。
本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書中において、“(メタ)アクリレート”はアクリレートおよびメタクリレートを表し、“(メタ)アクリル”はアクリルおよびメタクリルを表し、“(メタ)アクリロイル”はアクリロイルおよびメタクリロイルを表す。
また、本明細書中において、“単量体”と“モノマー”とは同義である。単量体は、オリゴマーおよびポリマーと区別され、重量平均分子量が2,000以下の化合物をいう。
本明細書中において、重合性化合物とは、重合性官能基を有する化合物のことをいい、単量体であっても、ポリマーであってもよい。重合性官能基とは、重合反応に関与する基をいう。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全組成から溶剤を除いた成分の総質量をいう。本発明における固形分は、25℃における固形分である。
【0011】
まず、本発明の特徴点としては、紫外線吸収剤と重合禁止剤との質量比を調整している点が挙げられる。上記質量比を所定の範囲に調整することにより、耐熱性とパターン矩形性(形成されるパターンの矩形性)とがより優れたバランスで両立できることを見出している。
【0012】
感光性組成物は、金属含有タングステン酸化物粒子、重合性化合物、重合開始剤、紫外線吸収剤、および、重合禁止剤を含む。
以下、感光性組成物(以後、単に「組成物」とも称する)に含まれる各成分について詳述する。
【0013】
(金属含有タングステン酸化物粒子)
金属含有タングステン酸化物粒子(以後、「特定粒子」ともいう。)とは、金属原子が含まれるタングステン酸化物粒子である。
特定粒子は、結晶構造によっては赤外光(波長が約800~1200nmの光)を選択的に遮蔽するため、赤外線吸収剤としての効能を有する。よって、特定粒子を含む赤外光カットフィルタは、赤外領域における遮光性が高く、可視光領域における透光性が高い。
また、特定粒子は、画像形成に用いられる、高圧水銀灯、KrF、および、ArFなどの露光に用いられる可視域より短波の光に対しても吸収が小さい。よって、後述するように、本発明の感光性組成物は優れたパターン形成性を有し、赤外光カットフィルタの形状を微細に制御できる。
【0014】
特定粒子に含まれる金属原子の種類は特に制限されないが、赤外光の遮蔽性により優れる点で、アルカリ金属が挙げられる。
上記特定粒子は、下記一般式(組成式)(I)で表されることが好ましい。
MxWyOz・・・(I)
Mはアルカリ金属、Wはタングステン、Oは酸素を表す。
0.001≦x/y≦1.1
2.2≦z/y≦3.0
【0015】
Mのアルカリ金属は1種でも2種以上でもよい。
Mのアルカリ金属としては、RbまたはCsが好ましく、Csがより好ましい。
x/yが0.001以上であることにより、赤外光を十分に遮蔽でき、1.1以下であることにより、特定粒子中に不純物相が生成されることをより回避できる。
z/yが2.2以上であることにより、材料としての化学的安定性をより向上させることができ、3.0以下であることにより赤外光をより遮蔽できる。
【0016】
上記一般式(I)で表されるアルカリ金属を含有する特定粒子の具体例としては、Cs0.33WO3、Rb0.33WO3、K0.33WO3などが挙げられ、Cs0.33WO3またはRb0.33WO3が好ましく、Cs0.33WO3がより好ましい。
【0017】
金属含有タングステン酸化物粒子の表面は、本発明の効果がより優れる点で、金属酸化物で被覆されていることが好ましい。つまり、感光性組成物は、金属含有タングステン酸化物粒子と、金属含有タングステン酸化物粒子の表面を覆うように配置された金属酸化物とを含む被覆粒子であることが好ましい。
金属酸化物の種類は特に制限されず、Si、Ti、Zr、および、Alからなる群から選択される少なくとも1種以上の元素を含む酸化物であることが好ましい。
金属酸化物は、金属含有タングステン酸化物粒子の表面全面を覆うように配置されていてもよい、一部を覆うように配置されていてもよい。
【0018】
特定粒子の平均粒子径は特に制限されないが、800nm以下が好ましく、400nm以下がより好ましく、200nm以下がさらに好ましい。平均粒子径が上記範囲であれば、特定粒子が光散乱によって可視光を遮断しにくくなることから、可視光領域における透光性がより優れる。光散乱を回避する観点からは、平均粒子径は小さいほど好ましいが、製造時における取り扱い容易性などの理由から、特定粒子の平均粒子径は、1nm以上が好ましい。
なお、平均粒子径の測定方法としては、公知の電子顕微鏡(例えば、透過型電子顕微鏡)にて、少なくとも50個の特定粒子の粒子径(直径)を測定し、それらを算術平均した値である。なお、特定粒子が真円でない場合は、長径を粒子径として測定する。
【0019】
感光性組成物中における特定粒子の含有量は特に制限されないが、赤外光の遮蔽性がより優れる点で、感光性組成物全質量に対して、1~20質量%が好ましく、3~15質量%がより好ましい。
また、特定粒子は2種以上を使用することが可能であり、その場合、合計含有量が上記範囲であることが好ましい。
【0020】
特定粒子は市販品として入手可能であるが、アルカリ金属を含有するタングステン化合物を不活性ガス雰囲気または還元性ガス雰囲気中で熱処理する方法により得ることができる(特許4096205号参照)。
また、例えば、住友金属鉱山株式会社製のYMF-02A、YMS-01A-2、YMF-10A-1などのアルカリ金属を含有するタングステン酸化物の微粒子の分散物としても、入手可能である。
【0021】
(重合性化合物)
重合性化合物としては、重合性基(酸、ラジカル、および、熱の少なくとも1種により反応する基)を分子内に有する化合物であればいずれを用いてもよく、分子内に複数の重合性基を有する多官能重合性化合物が好ましい。
酸、ラジカル、および、熱の少なくともいずれかに反応する重合性基を有する重合性化合物としては、不飽和エステル官能基(例えば、アクリロイル基、および、メタクリロイル基)、不飽和アミド基、ビニルエーテル基、および、アリル基などのエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和基含有化合物;メチロール化合物;ビスマレイミド化合物;ベンゾシクロブテン化合物;ビスアリルナジイミド化合物;ベンゾオキサジン化合物などが挙げられる。
【0022】
重合性化合物は、モノマーであっても、ポリマーであってもよい。
重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物が好ましく、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物がより好ましい。
重合性化合物としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、および、マレイン酸など)、そのエステル類、および、そのアミド類が挙げられ、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、または、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドが好ましい。
特に、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステルは、露光部において高い疎水性を発現できるので、アルカリ現像によって所望の形状を有するパターンを形成しやすく、また、耐久性の高いパターンが得られる点で好ましい。
また、重合性化合物としては、水酸基、アミノ基、および、メルカプト基などの求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミドと、単官能若しくは多官能イソシアネート類またはエポキシ類との付加反応物が挙げられる。
さらに、重合性化合物としては、上記不飽和カルボン酸エステルまたはアミドと、単官能または多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物も挙げられる。
【0023】
不飽和カルボン酸エステルとしては、メタクリル酸エステル、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル、および、マレイン酸エステルが挙げられる。
【0024】
重合性化合物としては、イソシアネートと水酸基との付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48-41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(E)で示される水酸基を有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物が挙げられる。
CH2=C(R4)COOCH2CH(R5)OH (E)
〔ただし、R4およびR5は、各々独立に、HまたはCH3を示す。〕
【0025】
ラジカル重合性化合物中のエチレン性不飽和二重結合の数は特に制限されず、硬化感度の観点から、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましく、4個以上がさらに好ましい。上限は特に制限されないが、10個以下の場合が多い。
【0026】
また、硬化感度、および、未露光部の現像性の点からは、重合性化合物としては、EO(エチレンオキシド)変性体を含む重合性化合物が好ましい。
また、硬化感度、および、露光部強度の点からは、重合性化合物としては、ウレタン結合を含む化合物が好ましい。
さらに、パターン形成時の現像性の点からは、重合性化合物としては、酸基を有する化合物が好ましい。
【0027】
重合性化合物としては、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレートEO変性体、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートEO変性体、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートEO変性体、および、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートなどが挙げられる。
なかでも、ビスフェノールAジアクリレートEO変性体、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートEO変性体、または、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートEO変性体が好ましい。
【0028】
また、市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS-10、UAB-140(以上、山陽国策パルプ社製)、KAYARAD RP-1040、DPHA-40H、KAYARAD RP-1040、KAYARAD DPHA、KAYARAD DPCA-20(以上、日本化薬社製)、UA-306H、UA-306T、UA-306I、AH-600、T-600、AI-600、DCP-A(以上、共栄社化学株式会社製)、NKエステルA-BPE-20、A-DCP、NKエステルA-TMMT、NKエステルA-DPH-12E(以上、新中村化学工業社製)、TO-756、TO-1382、M-305、アロニックスM-510(以上、東亞合成株式会社製)、およびオグゾールEA-0300(大阪ガスケミカル社製)が挙げられる。
【0029】
感光性組成物中における重合性化合物の含有量は特に制限されないが、赤外光カットフィルタの強度がより優れる点で、感光性組成物全質量に対して、1~20質量%が好ましく、3~10質量%がより好ましい。
重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、パターン矩形性がより優れる点で、2種以上を併用するのが好ましい。
【0030】
(重合開始剤)
重合開始剤としては、光重合開始剤、および、熱重合開始剤が挙げられ、光重合開始剤が好ましい。
なお、光重合開始剤とは、光に感光して重合を開始させる能力を有する化合物であり、紫外光領域から可視光領域に対して感光性を有することが好ましい。
熱重合開始剤とは、熱によって重合を開始させる能力を有する化合物であり、150~250℃で分解する開始剤が好ましい。
【0031】
重合開始剤としては、少なくとも芳香族基を有する化合物が好ましく、例えば、アシルホスフィン化合物、アセトフェノン化合物、α-アミノケトン化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾインエーテル化合物、チオキサントン化合物、オキシム化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、トリハロメチル化合物、アゾ化合物、有機過酸化物、ジアゾニウム化合物、ヨードニウム化合物、スルホニウム化合物、アジニウム化合物、ベンゾインエーテル化合物、ケタール誘導体化合物、オニウム塩化合物、有機硼素塩化合物、および、ジスルホン化合物が挙げられる。
感度の点から、オキシム化合物、ヒドロキシアセトフェノン化合物、アミノアセトフェノン化合物、アシルホスフィン化合物、α-アミノケトン化合物、トリハロメチル化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、または、チオール化合物が好ましく、オキシム化合物がより好ましい。
ヒドロキシアセトフェノン化合物としては、IRGACURE-184、DAROCUR-1173、IRGACURE-500、IRGACURE-2959、および、IRGACURE-127(商品名:いずれもBASF社製)が挙げられる。
アミノアセトフェノン化合物としては、IRGACURE-907、IRGACURE-369、および、IRGACURE-379(商品名:いずれもBASF社製)が挙げられる。
アシルホスフィン化合物としては、IRGACURE-819、および、DAROCUR-TPO(商品名:いずれもBASF社製)が挙げられる。
オキシム化合物としては、IRGACURE OXE 01(1.2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(o-ベンゾイルオキシム)])、および、IRGACURE OXE 02(エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(o-アセチルオキシム))、IRGACUREOXE03(商品名:BASF社製)、IRGACUREOXE04(商品名:BASF社製)が挙げられる。
オキシム化合物としては、特開2012-208494号公報の段落0513(対応する米国特許出願公開第2012/235099号明細書の<0632>)以降の式(OX-1)、(OX-2)または(OX-3)で表される化合物の説明を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
【0032】
オキシム化合物としては、特開2012-113104号公報の段落0092~0096に記載されている重合開始剤が挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
また、オキシム化合物の市販品としては、TRONLY TR-PBG-304、TRONLY TR-PBG-309、および、TRONLY TR-PBG-305(常州強力電子新材料有限公司(CHANGZHOU TRONLY NEW ELECTRONIC MATERIALS CO.,LTD)製)が挙げられる。
【0033】
感光性組成物中における重合開始剤の含有量は特に制限されないが、耐乾燥性に優れる点で、感光性組成物全質量に対して、0.1~10質量%が好ましく、0.5~5.0質量%がより好ましい。
重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0034】
(重合禁止剤)
重合禁止剤としては、公知の重合禁止剤が挙げられる。重合禁止剤は、硬化層に隣接して配置されるカラーフィルタを加熱処理した際に発生するラジカルを補足する機能を有すると推測される。
例えば、フェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物、および、フェノチアジン系化合物が挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードフェノール系化合物以外のフェノール系化合物、ベンゾキノン系化合物、または、ヒドロキノン系化合物が好ましい。
なお、ヒンダードフェノール系化合物とは、フェノール性水酸基の2つのオルト位の少なくとも一方に水素原子以外の置換基を有するフェノール系化合物である。置換基としては、例えば、アルキル基(好ましくは、メチル基以外のアルキル基)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環式基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、チオアルキル基、チオフェニル基、および、ハロゲン原子が挙げられる
【0035】
ヒンダードフェノール系化合物としては、式(X)で表される化合物が好ましい。
【0036】
【0037】
式(X)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、置換基を表す。置換基の定義は、上述した通りであり、なかでも、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、または、アリール基が好ましく、炭素数4以上のアルキル基がより好ましい。
R3は、置換基を表す。置換基の定義は、上述した通りであり、なかでも、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、または、アリール基が好ましく、アルキル基が好ましい。nが2以上の場合、複数のR3は、同一であっても異なっていてもよい。
nは、0~3の整数を表す。なかでも、1が好ましい。
【0038】
ヒンダードフェノール系化合物以外のフェノール系化合物としては、式(Y)で表される化合物が好ましい。
【0039】
【0040】
式(Y)中、R4は、置換基を表す。置換基の定義は、上述した通りであり、なかでも、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、または、アルコキシ基が好ましく、アルコキシ基がより好ましい。
mは、0~3の整数を表す。なかでも、1が好ましい。
【0041】
ベンゾキノン系化合物としては、式(Z)で表される化合物が好ましい。
【0042】
【0043】
式(Z)中、R5~R8は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。置換基の定義は、上述した通りであり、なかでも、アリール基、アミノ基、置換アミノ基、または、ハロゲン原子が好ましい。
ベンゾキノン系化合物としては、例えば、オルト-ベンゾキノン、および、パラ-ベンゾキノンが挙げられる。
【0044】
ヒドロキノン系化合物としては、式(V)で表される化合物が好ましい。
【0045】
【0046】
式(V)中、R9は、置換基を表す。置換基の定義は、上述した通りであり、なかでも、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、または、アルコキシ基が好ましく、アルキル基がより好ましい。pが2以上の場合、複数のR9は、同一であっても異なっていてもよい。
pは、0~4の整数を表す。なかでも、1が好ましい。
【0047】
重合禁止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、感光性組成物は2種以上の重合禁止剤を含むことが好ましい。
また、感光性組成物が2種以上の重合禁止剤を含む場合、重合禁止剤はヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードフェノール系化合物以外のフェノール系化合物、ベンゾキノン系化合物、および、ヒドロキノン系化合物からなる群から選択される少なくとも2種以上であることが好ましい。
また、本発明の効果がより優れる点で、重合禁止剤は、ヒンダードフェノール系化合物、ベンゾキノン化合物、および、ヒドロキノン化合物からなる群から選択される1種以上の第1重合禁止剤と、ヒンダードフェノール系化合物以外のフェノール系化合物とを含むことが好ましい。
さらに、第1重合禁止剤の合計含有量に対する、ヒンダードフェノール系化合物以外のフェノール系化合物の含有量の質量比は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、0.0009~0.17であることが好ましい。
【0048】
感光性組成物中における重合禁止剤の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、感光性組成物全質量に対して、0.0001~0.30質量%が好ましく、0.002~0.20質量%がより好ましい。
【0049】
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤は、光または熱により重合性化合物の重合を開始する機能を持たない(すなわち、重合開始剤には該当しない)ものを指す。ここで、「重合性化合物の重合を開始する機能を持たない」とは、実質的には、紫外線吸収剤が、光または熱のエネルギーを受けても、重合性化合物の重合を開始するための活性種を発生しないことを意味する。
【0050】
紫外線吸収剤は、重合性化合物の重合を開始する機能を持たないのみならず、後述の増感剤の特性も持たないものが好ましい。ここで、増感剤の特性とは、自らが光を吸収して得たエネルギーを他の物質(重合開始剤など)に渡すことで、重合を開始させる特性を言う。
【0051】
紫外線吸収剤は、波長300~430nmの範囲に極大吸収波長を有することが好ましく、波長330~420nmの範囲に極大吸収波長を有することがより好ましい。
紫外線吸収剤は、(I)波長340~380nmの範囲、(II)波長380~420nmの範囲、および、(III)波長420~450nmの範囲、のいずれか少なくとも1つの範囲に、極大吸収波長を有することがさらに好ましい。
【0052】
紫外線吸収剤の熱質量測定を行った場合、150℃における質量減少率は、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、0%が挙げられる。150℃における質量減少率が上記範囲内であれば、後述する露光の際に紫外線吸収剤が分解しづらく、紫外線吸収剤としての機能を発揮しやすい。
また、紫外線吸収剤の熱質量測定を行った場合、220℃における質量減少率は、40%以上が好ましく、40%超がより好ましく、70%以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、100%が挙げられる。220℃における質量減少率が上記範囲内であれば、露光後に実施される加熱処理の際に紫外線吸収剤が分解し、紫外線吸収剤由来の着色が抑制される。
紫外線吸収剤の熱質量測定の条件は、以下の通りである。
すなわち、窒素ガスの雰囲気下において、紫外線吸収剤を昇温速度10℃/分の条件で25℃の状態から100℃まで昇温する。100℃にて30分間保持した後、紫外線吸収剤を昇温速度10℃/分の条件で220℃まで昇温し、220℃にて30分間保持する。
紫外線吸収剤を100℃で30分間保持した際における、保持開始から24~29分の紫外線吸収剤の質量の平均値を紫外線吸収剤の質量の基準値(100%)として、150℃時点および220℃で30分加熱後における紫外線吸収剤の質量を測定し、下記式に基づき質量減少率を算出する。
150℃における質量減少率(%)=100-(150℃における紫外線吸収剤の質量/紫外線吸収剤の質量の基準値)×100
220℃における質量減少率(%)=100-(220℃で30分後における紫外線吸収剤の質量/紫外線吸収剤の質量の基準値)×100
【0053】
紫外線吸収剤の種類は特に制限されないが、例えば、ジベンゾイルメタン系化合物、アミノブタジエン系化合物、サリシレート系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、置換アクリロニトリル系化合物、および、トリアジ系化合物が挙げられ、なかでも、ジベンゾイルメタン系化合物、または、アミノブタジエン系化合物が好ましい。
ジベンゾイルメタン系化合物(ジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤)としては、2-メチルジベンゾイルメタン、4-メチルジベンゾイルメタン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、4-tert-ブチルジベンゾイルメタン、2,4-ジメチルジベンゾイルメタン、2,5-ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’-ジイソプロピルジベンゾイルメタン、4,4’-ジメトキシジベンゾイルメタン、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン)、2-メチル-5-イソプロピル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、および、2,4-ジメチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンが挙げられる。
アミノブタジエン系化合物(アミノブタジエン系紫外線吸収剤)としては、式(1)で表される部分構造を有する化合物が挙げられる。式(1)中、*は結合位置を表す。
【0054】
【0055】
サリシレート系化合物(サリシレート系紫外線吸収剤)としては、フェニルサリシレート、p-オクチルフェニルサリシレート、および、p-t-ブチルフェニルサリシレートが挙げられる。
ベンゾフェノン系化合物(ベンゾフェノン系紫外線吸収剤)としては、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、および、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノンが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系化合物(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)としては、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-アミル-5’-イソブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-イソブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-イソブチル-5’-プロピルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、および、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(1,1,3,3-テトラメチル)フェニル]ベンゾトリアゾールが挙げられる。
置換アクリロニトリル系化合物(置換アクリロニトリル系紫外線吸収剤)としては、2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸エチル、および、2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシルが挙げられる。
トリアジン系化合物(トリアジン系紫外線吸収剤)としては、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンなどのモノ(ヒドロキシフェニル)トリアジン化合物;2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-プロピルオキシフェニル)-6-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-プロピルオキシフェニル)-6-(4-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-ヘキシルオキシフェニル)-6-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンなどのビス(ヒドロキシフェニル)トリアジン化合物;2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス[2-ヒドロキシ-4-(3-ブトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]-1,3,5-トリアジンなどのトリス(ヒドロキシフェニル)トリアジン化合物が挙げられる。
上記以外にも、ジエチルアミノ-フェニルスルホニル-ペンタジエノエイト系紫外線吸収剤(富士フイルムファインケミカル製、商品名:DPO)も挙げられる。
また、特開2012-32556号公報の段落0103(対応するWO2012/015076号明細書の30頁目))以降の一般式(1)~(8)のいずれかで表される化合物やその具体例(1-1)~(8-3)を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
【0056】
感光性組成物中における紫外線吸収剤の含有量は特に制限されないが、感光性組成物全質量に対して、0.01~10.0質量%が好ましく、0.05~1.50質量%がより好ましい。
紫外線吸収剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0057】
感光性組成物中において、重合禁止剤の含有量に対する、紫外線吸収剤の含有量の質量比は、0.08~330であり、本発明の効果がより優れる点で、0.1~200が好ましく、3~30がより好ましい。なお、矩形性が優れる点からは、20以上が更に好ましい。
【0058】
感光性組成物には、上述した成分以外の他の成分が含まれていてもよく、例えば、樹脂バインダー、増感剤、溶剤、界面活性剤、分散剤、架橋剤、および、硬化促進剤が挙げられる。
以下、それぞれの成分について詳述する。
【0059】
(樹脂バインダー)
樹脂バインダーとしては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、および、ポリベンゾオキサゾールが挙げられ、(メタ)アクリル系樹脂、または、ウレタン系樹脂が好ましい。
また、樹脂バインダーとしては、アルカリ可溶性バインダー(アルカリ可溶性樹脂)も好ましい。感光性組成物がアルカリ可溶性バインダーを含む場合、感光性組成物から得られる塗膜に露光を行った場合、未露光部をアルカリ現像液で容易に除去できる。
アルカリ可溶性バインダーとしては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミドまたはその前駆体、および、ポリベンゾオキサゾールまたはその前駆体が挙げられ、(メタ)アクリル系樹脂、または、ウレタン系樹脂が好ましい。
ポリイミドまたはその前駆体、および、ポリベンゾオキサゾールまたはその前駆体としては、WO2011/067998号公報の段落0012~0046の説明、および、特開2013-050593号公報の段落0020~0054に記載のポリイミド樹脂の説明を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
【0060】
アルカリ可溶性バインダーは、酸基を有することが好ましい。
酸基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、および、スルホンアミド基が挙げられ、原料入手の点から、カルボン酸基が好ましい。
酸基を有するアルカリ可溶性バインダーとしては、酸基を有する重合性化合物を用いて得られた重合体が好ましく、酸価の調節の点から、酸基を有する重合性化合物と酸基を有さない重合性化合物とを共重合することよって得られた共重合体がより好ましい。
酸基を有する重合性化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、インクロトン酸、マレイン酸、および、p-カルボキシルスチレンが挙げられ、アクリル酸、メタクリル酸、または、p-カルボキシルスチレンが好ましい。
【0061】
酸基を有さない重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル(アルキルエステル、アリールエステル、および、アラルキルエステルなど)が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルのアルキルエステル部位におけるアルキル基は、直鎖状であっても分枝鎖状であってもよく、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、炭素数1~6のアルキル基がより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルのアリールエステル部位におけるアリール基としては、炭素数6~14のアリール基が好ましく、炭素数6~10のアリール基がより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルのアラルキルエステル部位におけるアラルキル基としては、炭素数7~20のアラルキル基が好ましく、炭素数7~12のアラルキル基がより好ましい。
【0062】
アルカリ可溶性バインダー中における酸基の含有量は特に制限はないが、アルカリ現像性および得られる硬化膜の強度の点から、0.5~4.0meq/gが好ましく、0.5~3.0meq/gがより好ましい。
【0063】
アルカリ可溶性バインダーは、さらに架橋性基を有することが好ましい。これにより、特に露光部の硬化性と未露光部のアルカリ現像性の双方を向上させることができ、また、耐久性の高いパターンが得られる。
架橋性基とは、感光性組成物から得られた塗膜を露光または加熱した際に、塗膜中で起こる重合反応の過程で樹脂バインダーを架橋させる基のことである。架橋性基としては、例えば、重合性基(例えば、付加重合反応し得る官能基としてエチレン性不飽和結合基)、アミノ基、および、エポキシ基などが挙げられる。なかでも、二重結合基が好ましく、エチレン性不飽和二重結合基がより好ましい。
また、架橋性基としては、光照射によりラジカルになり得る官能基でもよく、例えば、チオール基およびハロゲン基が挙げられる。
なかでも、架橋性基としては、エチレン性不飽和二重結合基が好ましい。エチレン性不飽和二重結合基としては、スチリル基、(メタ)アクリロイル基、または、アリル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
【0064】
アルカリ可溶性バインダー中における架橋性基の含有量は特に制限はないが、0.5~3.0meq/gが好ましく、1.0~3.0meq/gがより好ましく、1.5~2.8meq/gが特に好ましい。
ここで、含有量(meq/g)は、例えば、ヨウ素価滴定により測定できる。
架橋性基を有するアルカリ可溶性バインダーは、特開2003-262958号公報に詳細に記載され、ここに記載の化合物を本発明にも使用することができる。
【0065】
アルカリ可溶性バインダーの好適態様の一つとして、下記一般式(ED)で表される化合物(以下、「エーテルダイマー」ともいう。)を含む単量体成分を重合してなる重合体(以下、「特定重合体」ともいう。)が挙げられる。特定重合体を使用すれば、赤外光カットフィルタのパターン形成性がより優れる。
【0066】
【0067】
一般式(ED)中、R1およびR2は、それぞれ、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1~25の炭化水素基を表す。
R1およびR2で表される置換基を有していてもよい炭素数1~25の炭化水素基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基;アリール基;脂環式基;アルコキシ基で置換されたアルキル基;ベンジルなどのアリール基で置換されたアルキル基;などが挙げられる。
なかでも、置換基の耐熱性が優れる点で、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、または、ベンジル基が好ましい。
【0068】
エーテルダイマーの具体例としては、特開2012-208494号公報の段落0565(対応する米国特許出願公開第2012/235099号明細書の段落0694)に記載のエーテルダイマーの具体例が挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
なかでも、ジメチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジエチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジシクロヘキシル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、または、ジベンジル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエートが好ましい。
これらエーテルダイマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。一般式(ED)で示される化合物由来の構造体は、その他の単量体を共重合させてもよい。
【0069】
特定重合体におけるエーテルダイマー由来の繰り返し単位の含有量は、アルカリ可溶性バインダー中の全繰り返し単位に対して、1~50モル%が好ましく、1~20モル%がより好ましい。
エーテルダイマーと共に、その他の単量体を共重合させてもよい。
その他の単量体としては、例えば、酸基を導入するための単量体、ラジカル重合性二重結合を導入するための単量体、エポキシ基を導入するための単量体、および、これら以外の他の共重合可能な単量体が挙げられる。
このような単量体は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0070】
酸基を導入するための単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸およびイタコン酸などのカルボキシル基を有するモノマー、N-ヒドロキシフェニルマレイミドなどのフェノール性水酸基を有するモノマー、並びに、無水マレイン酸および無水イタコン酸などのカルボン酸無水物基を有するモノマーが挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル酸が好ましい。
また、酸基を導入するための単量体は、重合後に酸基を付与しうる単量体であってもよく、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する単量体、グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基を有する単量体、および、2-イソシアナートエチル(メタ)アクリレートなどのイソシアネート基を有する単量体が挙げられる。
重合後に酸基を付与しうる単量体を用いる場合、重合後に酸基を付与する処理を行う必要がある。重合後に酸基を付与する処理としては、例えば、水酸基を有する単量体を用いる場合であれば、コハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、および、マレイン酸無水物の酸無水物を付加させる処理が挙げられる。
【0071】
一般式(ED)で表される化合物を含む単量体成分が酸基を導入するための単量体を含む場合、酸基を導入するための単量体の含有量は、単量体成分全質量に対して、5~70質量%が好ましく、10~60質量%がより好ましい。
【0072】
ラジカル重合性二重結合を導入するための単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸およびイタコン酸などのカルボキシル基を有するモノマー;無水マレイン酸および無水イタコン酸などのカルボン酸無水物基を有するモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、および、o-(またはm-、またはp-)ビニルベンジルグリシジルエーテルなどのエポキシ基を有するモノマー;が挙げられる。
ラジカル重合性二重結合を導入するための単量体を用いる場合、重合後にラジカル重合性二重結合を付与するための処理を行う必要がある。重合後にラジカル重合性二重結合を付与するための処理としては、例えば、カルボキシル基を有するモノマーを用いる場合であれば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、および、o-(またはm-、またはp-)ビニルベンジルグリシジルエーテルなどのエポキシ基とラジカル重合性二重結合とを有する化合物を付加させる処理が挙げられる。
【0073】
一般式(ED)で表される化合物を含む単量体成分がラジカル重合性二重結合を導入するための単量体を含む場合、ラジカル重合性二重結合を導入するための単量体の含有量は、単量体成分全質量に対して、5~70質量%が好ましく、10~60質量%がより好ましい。
【0074】
エポキシ基を導入するための単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、および、o-(またはm-、またはp-)ビニルベンジルグリシジルエーテルが挙げられる。
一般式(ED)で表される化合物を含む単量体成分がエポキシ基を導入するための単量体を含む場合、エポキシ基を導入するための単量体の含有量は、単量体成分全質量に対して、5~70質量%が好ましく、10~60質量%がより好ましい。
【0075】
一般式(ED)で表される化合物を含む単量体成分を重合してなる重合体が、他の共重合可能な単量体を含む場合、その含有割合は特に制限されないが、95質量%以下が好ましく、85質量%以下であるのがより好ましい。
【0076】
特定重合体の重量平均分子量は特に制限されないが、感光性組成物により形成される塗膜の耐熱性の観点から、2000~200000が好ましく、5000~100000がより好ましく、5000~20000がさらに好ましい。
また、特定重合体が酸基を有する場合には、酸価は30~500mgKOH/gが好ましく、50~400mgKOH/gがより好ましい。
【0077】
特定重合体の合成に適用される重合方法としては、従来公知の各種重合方法を採用でき、溶液重合法が好ましい。詳細には、例えば、特開2004-300204号公報に記載されるポリマー(a)の合成方法に準じて、一般式(ED)で表される化合物を含む単量体成分を重合してなる重合体を合成することができる。
【0078】
以下、特定重合体の例示化合物を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
下記に示す例示化合物の組成比はモル%である。市販品としては、例えばアクリキュアーRD-F8(アクリル系樹脂)(日本触媒社製)などが挙げられる。
【0079】
【0080】
【0081】
感光性組成物中における樹脂バインダー(特に、アルカリ可溶性バインダー)の含有量は特に制限されないが、赤外光カットフィルタの強度がより優れ、フォトリソ性および残渣の改善の点で、感光性組成物全質量に対して、5~50質量%が好ましく、10~25質量%がより好ましい。
【0082】
(溶剤)
溶剤の種類は特に制限されず、水、および、有機溶剤が挙げられる。
溶剤としては、1気圧における沸点が170~200℃の溶剤Aが挙げられる。
溶剤Aの沸点は170~200℃であり、180~193℃が好ましい。
【0083】
溶剤Aの好適態様の一つとして、溶剤A中に分子内に3つ以上の酸素原子を含むことが好ましく、酸素原子の数は3~5であることがより好ましく、3がさらに好ましい。
溶剤Aの好適態様としては、以下の式(X)または式(Y)で表される溶剤が挙げられる。
式(X) R1O-(L-O)n-R2
式(Y) R1O-(L-O)m-CO-R2
式(X)および式(Y)中、R1は、水素原子またはアルキル基を表す。アルキル基に含まれる炭素数は特に制限されないが、1~3が好ましく、1がより好ましい。
R2は、アルキル基を表す。アルキル基に含まれる炭素数は、1~3が好ましく、1がより好ましい。
Lは、アルキレン基を表す。アルキレン基に含まれる炭素数は、3~5が好ましく、3がより好ましい。
nは、2~4の整数を表す。
mは、1~2の整数を表す。
溶剤Aの具体例としては、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点188℃)、シクロヘキサノールアセテート(沸点173℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点171℃)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(沸点192℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点189℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点194℃)、プロピレングリコールジアセテート(沸点190℃)、3-メトキシブチルアセテート(沸点171℃)、プロピレングリコール-n-ブチルエーテル(沸点170℃)、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(沸点176℃)、および、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル(沸点179℃)が挙げられる。
なお、溶剤Aの好適態様の一つとして、溶剤A中において、上記式(X)または式(Y)で表される溶剤が主成分として含まれていることが好ましい。主成分とは、溶剤A全質量に対して、式(X)または式(Y)で表される溶剤の含有量が50質量%超であることを意図する。
なお、溶剤Aの他の好適態様の一つとして、溶剤A中において、上記溶剤Aの具体例として挙げた溶剤(例えば、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル)が主成分として含まれていることが好ましい。主成分とは、溶剤A全質量に対して、上記溶剤Aの具体例として挙げた溶剤の含有量が50質量%超であることを意図する。
【0084】
感光性組成物中における溶剤Aの含有量は、感光性組成物全質量に対して、0.1~20質量%が好ましく、0.3~5.0質量%がより好ましい。
【0085】
感光性組成物は、1気圧における沸点が100~130℃の溶剤B1、および、1気圧における沸点が130℃超170℃未満の溶剤B2からなる群から選択される溶剤Bを含むことが好ましい。
溶剤B1の1気圧における沸点は100~130℃であり、120~130℃が好ましい。
溶剤B2の1気圧における沸点は130℃超170℃未満であり、140~150℃が好ましい。
【0086】
溶剤B1としては、酢酸ブチル(沸点126℃)、エチレングリコールモノメチルエーテル(沸点125℃)、メチル-n-ブチルケトン(沸点127℃)、および、テトラヒドロフラン(沸点126℃)が挙げられる。
溶剤B2としては、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタート(沸点145℃)、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点145℃)、乳酸エチル(沸点155℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点162℃)、3-メトキシブタノール(沸点161℃)、および、プロピレングリコール-n-プロピルエーテル(沸点150℃)が挙げられる。
【0087】
感光性組成物中における溶剤Bの含有量は、感光性組成物全質量に対して、20~90質量%が好ましく、40~70質量%がより好ましい。
感光性組成物中における溶剤Aと溶剤Bとの質量比(溶剤Aの質量/溶剤Bの質量)は、0.005~0.500が好ましく、0.010~0.200がより好ましい。
感光性組成物に溶剤B1が含まれる場合、感光性組成物中における溶剤B1の含有量は、感光性組成物全質量に対して、0.1~10質量%が好ましく、0.5~5.0質量%がより好ましい。
感光性組成物に溶剤B2が含まれる場合、感光性組成物中における溶剤B1の含有量は、感光性組成物全質量に対して、20~80質量%が好ましく、30~70質量%がより好ましい。
溶剤Bは1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、上記溶剤B1および上記溶剤B2を併用することが好ましい。
溶剤B1および溶剤B2を併用する場合、溶剤B1と溶剤B2との質量比(溶剤B1の質量/溶剤B2の質量)は、0.005~0.500が好ましく、0.010~0.200がより好ましい。
【0088】
(界面活性剤)
感光性組成物には、塗布性をより向上させる点から、界面活性剤が含まれていてもよい。また、界面活性剤が感光性組成物に含まれることにより、パターン矩形性がより優れる。
界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、および、シリコーン系界面活性剤が挙げられ、フッ素系界面活性剤、または、シリコーン系界面活性剤が好ましい。
【0089】
フッ素系界面活性剤として、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781、同F781F(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS-382、同SC-101、同SC-103、同SC-104、同SC-105、同SC-1068、同SC-381、同SC-383、同S-393、同KH-40(以上、旭硝子(株)製)、PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(OMNOVA社製)などが挙げられる。また、特開2012-208494号公報の段落0552(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の<0678>)などに記載の界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、アセチレングリコール系界面活性剤、および、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシドが挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、特開2012-208494号公報の段落0554(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の<0680>)に記載のカチオン系界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
アニオン系界面活性剤としては、W004、W005、W017(裕商(株)製)が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、特開2012-208494号公報の段落0556(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の<0682>)などに記載のシリコーン系界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
【0090】
感光性組成物中における界面活性剤の含有量は、赤外光カットフィルタの強度がより優れる点で、感光性組成物全質量に対して、0.0001~0.1000質量%が好ましく、0.0010~0.0700質量%がより好ましい。
【0091】
(分散剤)
感光性組成物には、分散剤が含まれていてもよい。分散剤が含まれることにより、感光性組成物中での特定粒子の分散安定性が向上する。なお、分散剤は、上述したバインダーとしても機能する。
分散剤としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、および、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、および、アルカノールアミンが挙げられる。
高分子分散剤としては、直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、および、ブロック型高分子が挙げられる。
【0092】
末端変性型高分子としては、例えば、末端にリン酸基を有する高分子、末端にスルホン酸基を有する高分子、有機色素の部分骨格や複素環を有する高分子、および、片末端に水酸基またはアミノ基を有するオリゴマーまたはポリマーと酸無水物で変性して製造される高分子が挙げられる。
グラフト型高分子としては、例えば、ポリ(低級アルキレンイミン)とポリエステルの反応生成物、ポリアリルアミンとポリエステルの反応生成物、塩基性基と酸性基とを有する両性分散樹脂、有機色素の部分骨格や複素環を有するグラフト型高分子、および、マクロモノマーと酸基含有モノマーの共重合体が挙げられる。
グラフト型高分子をラジカル重合で製造する際に用いるマクロモノマーとしては、公知のマクロモノマーが挙げられ、東亞合成(株)製のマクロモノマーAA-6(末端基がメタクリロイル基であるポリメタクリル酸メチル)、AS-6(末端基がメタクリロイル基であるポリスチレン)、AN-6S(末端基がメタクリロイル基であるスチレンとアクリロニトリルの共重合体)、AB-6(末端基がメタクリロイル基であるポリアクリル酸ブチル)、ダイセル化学工業(株)製のプラクセルFM5(メタクリル酸2-ヒドロキシエチルのε-カプロラクトン5モル当量付加品)、FA10L(アクリル酸2-ヒドロキシエチルのε-カプロラクトン10モル当量付加品)、および、特開平2-272009号公報に記載のポリエステル系マクロモノマーなどが挙げられる。なかでも、柔軟性かつ親溶剤性に優れる点で、ポリエステル系マクロモノマーが好ましい。
ブロック型高分子としては、特開2003-49110号公報、特開2009-52010号公報などに記載のブロック型高分子が好ましい。
【0093】
分散剤としては、例えば、BYKChemie社製「Disperbyk-101(ポリアミドアミン燐酸塩)、107(カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「BYK-P104、P105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)、EFKA社製「EFKA4047、4050、4010(ポリウレタン系)、EFKA4330、4340(ブロック共重合体)、4400~4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)」、味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821、PB822、PB880、PB881」、共栄社化学社製「フローレンTG-710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成社製「ディスパロンKS-860、873SN、874、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA-703-50、DA-705、DA-725」、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、SN-B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL-18(高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、日本ルーブリゾール(株)製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、17000、27000(末端部に機能部を有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト型高分子)」、日光ケミカル者製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)、MYS-IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」、川研ファインケミカル(株)製 ヒノアクトT-8000Eなど、信越化学工業(株)製 オルガノシロキサンポリマーKP-341、裕商(株)製「W001:カチオン系界面活性剤」、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステルなどのノニオン系界面活性剤、「W004、W005、W017」などのアニオン系界面活性剤、森下産業(株)製「EFKA-46、EFKA-47、EFKA-47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450」、サンノプコ(株)製「ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100」などの高分子分散剤、(株)ADEKA製「アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P-123」、および、三洋化成(株)製「イオネット(商品名)S-20」などが挙げられる。
【0094】
分散剤を用いる場合には、まず、特定粒子(および必要に応じて、その他の赤外光遮蔽剤)と分散剤と、適切な溶剤により分散組成物を調製した後、組成物に配合することが分散性向上の観点から好ましい。
感光性組成物中における分散剤の含有量は、特定粒子全質量に対して、10~70質量%が好ましく、30~60質量%がより好ましい。
【0095】
(増感剤)
感光性組成物には、増感剤が含まれていてもよい。増感剤が感光性組成物に含まれることにより、パターン矩形性がより優れる。
増感剤としては、上述した光重合開始剤に対し、電子移動機構またはエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。
使用される増感剤の種類は特に制限されないが、例えば、特開2012-122045号公報の段落0202に例示される化合物が挙げられる。
感光性組成物中における増感剤の含有量は、感光性組成物中の全固形分に対して、0.01~10.0質量%が好ましく、0.10~4.0質量%がより好ましい。
【0096】
(架橋剤)
感光性組成物には、架橋剤が含まれていてもよい。感光性組成物に架橋剤が含まれることにより、赤外光カットフィルタの強度の向上が期待できる。
架橋剤は、架橋性基を2個以上で有する化合物であることが好ましい。架橋性基としては、オキセタン基、シアネート基、および、アルカリ可溶性バインダーが有していてもよい架橋性基について挙げたものと同様の基が挙げられ、エポキシ基、オキセタン基またはシアネート基が好ましい。すなわち、架橋剤としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物またはシアネート化合物が好ましい。
使用される架橋剤の種類は特に制限されないが、例えば、特開2012-122045号公報の段落0204~0209に例示される化合物が挙げられる。
【0097】
(硬化促進剤)
感光性組成物には、硬化促進剤が含まれていてもよい。
使用される硬化促進剤の種類は特に制限されないが、例えば、特開2012-122045号公報の段落0211に例示される化合物が挙げられる。
【0098】
感光性組成物は、上記各成分を混合して調製できる。
感光性組成物の用途は特に制限されないが、赤外光遮蔽層を形成するために用いることが好ましく、赤外光カットフィルタを形成するために用いることがより好ましい。つまり、感光性組成物を用いて形成される硬化膜は、赤外光遮光層に用いられることが好ましい。
本発明の感光性組成物を用いて形成された赤外光カットフィルタは、例えば、固体撮像素子の受光側における赤外光カットフィルタ、および、固体撮像素子の裏面側(受光側とは反対側)における赤外光カットフィルタに用いることもできる。
また、本発明の感光性組成物を、カラーフィルタ上または平坦化層上に直接塗布し塗膜形成して用いてもよい。
本発明の感光性組成物は、塗布可能な状態で供給できることから、固体撮像素子の所望の部材や位置に赤外光カットフィルタを容易に形成できる。
【0099】
<赤外光カットフィルタ>
次に、本発明の赤外光カットフィルタについて説明する。
本発明の赤外光カットフィルタは、上述した本発明の感光性組成物を用いて形成される。
赤外光カットフィルタの膜厚は、目的に応じて適宜選択でき、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。膜厚の下限は、遮光能を維持するため、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上がさらに好ましい。
赤外光カットフィルタの波長400~1300nmにおける最大透過率は特に制限されないが、60%以上が好ましく、65%以上がより好ましい。
また、赤外光カットフィルタの波長900~1300nmにおける最大透過率は特に制限されないが、20%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下が最も好ましい。
【0100】
赤外光カットフィルタは、赤外光を吸収またはカットする機能を有するレンズ(デジタルカメラ、携帯電話、および、車載カメラなどのカメラ用レンズ、並びに、f-θレンズおよびピックアップレンズなどの光学レンズ)、半導体受光素子用の光学フィルタ、近接照度センサ用赤外光カットフィルタ、省エネルギー用に熱線を遮断する赤外光カットフィルタまたは赤外光吸収板、太陽光の選択的な利用を目的とする農業用コーティング、赤外光の吸収熱を利用する記録媒体、電子機器用または写真用の近赤外光カットフィルタ、保護めがね、サングラス、熱線遮断フィルム、光学文字読み取り記録、機密文書複写防止用、電子写真感光体、および、レーザー溶着などに用いられる。
特に、CCD(Charge Coupled Device)カメラ用ノイズカットフィルター、または、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ用フィルタに有用である。
【0101】
赤外光カットフィルタの製造方法は特に制限されないが、本発明の感光性組成物を支持体に塗布することにより塗膜を形成する工程を経て製造できる。
また、さらに、後述するように、パターンを形成する工程を行ってもよい。
【0102】
塗膜を形成する方法としては、例えば、上記感光性組成物を、支持体に滴下法(ドロップキャスト)、スピンコーター法、スリットスピンコーター法、スリットコーター法、スクリーン印刷法、および、アプリケータ塗布法が挙げられる。
本発明の感光性組成物を塗布する支持体は、ガラスなどからなる透明基板であってもよい。また、固体撮像素子中の各基材であってもよい。また、固体撮像素子の受光側に設けられた別の基板であってもよい。また、固体撮像素子の受光側に設けられた平坦化層などの層であってもよい。
【0103】
パターン状の赤外光カットフィルタを製造する方法としては、例えば、本発明の感光性組成物を支持体上に塗布して塗膜を形成する工程と、塗膜をパターン状に露光する工程と、未露光部を現像除去してパターンを形成する工程とを含む方法が挙げられる。
なお、露光とは、各種波長の光のみならず、電子線、および、X線などの放射線照射をも包含する意味で用いられる。
露光は放射線の照射により行うことが好ましく、放射線としては、紫外光、可視光、および、電子線が挙げられ、より具体的には、KrF、ArF、g線、h線、および、i線が挙げられる。
露光方式としては、ステッパー露光、および、高圧水銀灯による露光が挙げられる。
露光量は5~3000mJ/cm2が好ましく、10~2000mJ/cm2がより好ましい。
【0104】
上記では現像処理によりパターンを形成する方法について述べたが、ドライエッチング法でパターンを形成してもよい。
赤外光カットフィルタの製造方法において、その他の工程を含んでいてもよい。その他の工程としては、例えば、支持体の表面処理工程、前加熱工程(プリベーク工程)、および、後加熱工程(ポストベーク工程)が挙げられる。
【0105】
前加熱工程における加熱温度は、80~200℃が好ましく、90~150℃がより好ましい。前加熱工程における加熱時間は、ホットプレートを用いた場合に、30~240秒間が好ましい。
【0106】
後加熱工程における加熱温度は、120℃~250℃が好ましく、160℃~220℃がより好ましい。後加熱工程における加熱時間は、ホットプレートを用いた場合に、3分~180分間が好ましい。
【0107】
<固体撮像素子>
上記赤外光カットフィルタは、固体撮像素子に好適に適用できる。
以下、本発明の固体撮像素子の一実施形態について、
図1を用いて説明する。
図1に示す固体撮像素子(赤外光センサ)100において、図番110は、固体撮像素子基板である。
固体撮像素子基板110上には、赤外光カットフィルタ111とカラーフィルタ112とが配置される。
赤外光透過フィルタ(赤外光を透過するカラーフィルタ)113と固体撮像素子基板110との間には領域114が設けられている。領域114には、赤外光透過フィルタ113を透過した波長の光が透過可能な樹脂層(例えば、透明樹脂層など)が配置されている。領域114に赤外光透過フィルタ113を形成してもよい。すなわち、固体撮像素子基板110上に、赤外光透過フィルタ113を形成してもよい。
カラーフィルタ112および赤外光透過フィルタ113の入射光hν側には、マイクロレンズ115が配置されている。マイクロレンズ115を覆うように平坦化層116が形成されている。
図1では、カラーフィルタ112の膜厚と、赤外光透過フィルタ113の膜厚が同一であるが、両者の膜厚は異なっていてもよい。
図1では、カラーフィルタ112が、赤外光カットフィルタ111よりも入射光hν側に設けられているが、赤外光カットフィルタ111と、カラーフィルタ112との順序を入れ替えて、赤外光カットフィルタ111を、カラーフィルタ112よりも入射光hν側に設けてもよい。赤外光カットフィルタ111と、カラーフィルタ112との間に他の層が形成されてもよい。
カラーフィルタ112としては、赤色の波長領域の光を透過するカラーフィルタ、緑色の波長領域の光を透過するカラーフィルタ、および、青色の波長領域の光を透過するカラーフィルタからなる群から選択される少なくとも1つが含まれることが好ましい。
なお、カラ-フィルタ112に赤外光吸収物質を含ませて、カラ-フィルタ112に赤外光カットフィルタとしての機能を持たせてもよい。
【0108】
本発明の固体撮像素子は、赤外光カットフィルタを内部に備えることからカメラモジュールの部材としての赤外光カットフィルタが不要となり、カメラモジュールの部品点数を減らすことができ、カメラモジュールの小型化を図ることができる。
【0109】
カラーフィルタ112としては、特に限定はなく、従来公知の画素形成用のカラーフィルタを用いることができ、例えば、特開2014-043556号公報の段落0214~0263の記載を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
赤外光透過フィルタ113は、光源の発光波長によりその特性は選択される。
【0110】
固体撮像素子の好適態様の一つとしては、赤色の波長領域の光を透過するカラーフィルタ(赤色カラーフィルタ)、緑色の波長領域の光を透過するカラーフィルタ(緑色カラーフィルタ)、青色の波長領域の光を透過するカラーフィルタ(青色カラーフィルタ)、および、赤外光を透過するカラーフィルタ(赤外光透過フィルタ)からなる群から選択される少なくとも一つを含むフィルタ層と、フィルタ層よりも光入射側に配置される赤外光カットフィルタとを備えることが好ましい。
例えば、赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ、青色カラーフィルタおよび赤外光透過フィルタを同一平面上に有するフィルタ層と、フィルタ層よりも光入射側に配置され、フィルタ層全面配置される赤外光カットフィルタとを備える固体撮像素子などが挙げられる。
なお、赤外光カットフィルタは、基板110よりも光入射側に配置されていればよい。
例えば、赤色カラーフィルタ上、緑色カラーフィルタ上、および、青色カラーフィルタ上に赤外光カットフィルタが配置され、赤外光透過フィルタ上に赤外光カットフィルタが配置されていてもよい。
また、上記フィルタ層と赤外光カットフィルタとの間には、平坦化層が配置されていてもよい。
【0111】
次に、本発明の固体撮像素子を適用した例として撮像装置(カメラシステム)について説明する。
図2は、撮像装置の機能ブロック図である。撮像装置は、レンズ光学系1と、固体撮像素子10と、信号処理部20と、信号切替部30と、制御部40と、信号蓄積部50と、発光制御部60と、赤外光を発光する発光素子の赤外LED(light emitting diode)70と、画像出力部80および81とを備える。なお、固体撮像素子10としては、上述した固体撮像素子100を用いることができる。また、固体撮像素子10とレンズ光学系1以外の構成は、そのすべてが、または、その一部が、同一の半導体基板に形成することもできる。撮像装置の各構成については、特開2011-233983号公報の段落0032~0036を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
撮像装置としては、モーションセンサ、近接センサ、ジェスチャーセンサなどが存在する。
【実施例】
【0112】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は、質量基準である。
【0113】
<組成物(感光性組成物)の調製>
下記表1に示す成分を同表に示す溶剤に溶解させて、感光性組成物を調製した。
【0114】
【0115】
上記表1中で使用した各種成分を以下にまとめて示す。
【0116】
(樹脂バインダー)
樹脂A:日本触媒製アクリキュアーRD-F8(二重結合基を有するアルカリ可溶性バインダーに該当する)
(重合性化合物)
DPHA:KAYARAD DPHA(日本化薬社製)
(重合開始剤)
IRGACURE 369:IRGACURE 369(BASF社製)
(増感剤)
DETX-S:Kayacure DETX-S(2,4-ジエチルチオキサントン)(荘司産業株式会社製)
(溶剤)
PGMEA:1-メトキシ-2-プロパノールアセテート
(界面活性剤)
Megafac F-781-F(DIC社製)
【0117】
(UV吸収剤(紫外線吸収剤))
【0118】
【0119】
なお、上記UV1~UV-6の熱質量測定を行った結果を以下の表2に示す。
【0120】
【0121】
(重合禁止剤)
【0122】
【0123】
(特定粒子)
特定粒子1を以下の手順に従って、製造した。
タングステン微粒子(組成:Cs0.33WO3、平均粒子径:20nm)(100質量部)、エチルシリケート(10質量部)、および、メタノール(90質量部)の混合物を0℃で10時間撹拌した後、20℃で20時間撹拌した。得られた混合物から固形分を濾取し、回収した固形分を25℃で24時間、100℃で10時間、200℃で1時間乾燥した後、粉砕して、特定粒子1(SiO2で被覆されたタングステン微粒子)を得た。
後述する表3に示すように、カップリング剤の種類を変更した以外は、上記と同様の手順に従って、特定粒子2~4を製造した。特定粒子2はTiO2で被覆されたタングステン微粒子であり、特定粒子3はAl2O3で被覆されたタングステン微粒子であり、特定粒子4はZrO2で被覆されたタングステン微粒子であった。
なお、上記被覆を行わなかったタングステン微粒子を、特定粒子5とした。
【0124】
【0125】
なお、上記組成物中には、さらに、分散剤が含まれる。分散剤は、上記特定粒子を分散させる機能を有する。
【0126】
上記で得られた組成物を用いて、以下の各種測定を実施した。結果は上記表5にまとめて示す。
【0127】
<耐熱性評価>
下記の表4に示す原料を、表4に示す割合(質量部)で混合した後、孔径0.45μmのナイロン製フィルタ(日本ポール(株)製)でろ過して、Green組成物、Red組成物、および、Blue組成物を調製した。
なお、表中の数値は、質量部を表す。
【0128】
【0129】
なお、上記顔料分散液1は、以下の成分を含む組成物である。
・C.I.ピグメントグリーン58・・・11.4質量部
・C.I.ピグメントイエロー185・・・2.3質量部
・下記構造の化合物1・・・1.4質量部
【0130】
【0131】
・分散剤1(下記構造の樹脂(酸価=49mgKOH/g、Mw=24000、主鎖に付記した数値はモル比である。))・・・7.2質量部
【0132】
【0133】
・プロピレングリコールメチルエーテルアセテート・・・81.9質量部
【0134】
顔料分散液2は、以下の成分を含む組成物である。
・C.I.ピグメントレッド254・・・11.4質量部
・C.I.ピグメントイエロー139・・・2.3質量部
・上記構造の化合物1・・・1.4質量部
・上記分散剤1・・・7.2質量部
・プロピレングリコールメチルエーテルアセテート・・・77.77質量部
【0135】
顔料分散液3は、以下の成分を含む組成物である。
・C.I.ピグメントブルー15:6・・・11.4質量部
・C.I.ピグメントバイオレッド23・・・2.3質量部
・上記構造の化合物1・・・1.4質量部
・上記分散剤1・・・7.2質量部
・プロピレングリコールメチルエーテルアセテート・・・81.9質量部
【0136】
・樹脂A:下記構造の樹脂(酸価=70mgKOH/g、Mw=11000、主鎖に付記した数値はモル比である。特開2012-173356号公報の段落0304~0307に記載の方法で合成した。)
【0137】
【0138】
・モノマーA:M-350(東亞合成社)
・光重合開始剤1:IRGACUREOXE03(BASF社)
・光重合開始剤2:IRGACUREOXE04(BASF社)
・重合禁止剤:p-メトキシフェノール
・有機溶剤:PGMEA
・エポキシ化合物:EHPE-3105(ダイセル化学工業社)
・界面活性剤:Megafac-781F(DIC社)
【0139】
製膜後の膜厚が2.7μmになるように、ガラスウェハ上に実施例1の感光性組成物をスピンコート法で塗布し、その後、ホットプレート上にて100℃で2分間加熱した。その後、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon(株)製)を用い、得られた塗膜を1000mJ/cm2で全面露光し、さらに、ホットプレート上にて220℃で5分間加熱し、硬化層を得た。
次に、製膜後の膜厚が1.5μmになるように、スピンコート法でGreen組成物を上記硬化層上に塗布し、その後、ホットプレート上にて100℃で2分間加熱した。その後、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon(株)製)を用い、得られた塗膜を1000mJ/cm2で全面露光し、さらに、ホットプレート上にて220℃で5分間加熱し、硬化層上にGreen膜を積層し、硬化層とGreen膜とを含むサンプルG1を得た。
Green組成物の代わりに、Red組成物またはBlue組成物を用いて、硬化層とRed膜とを含むサンプルR1、および、硬化層とBlue膜とを含むサンプルB1を得た。
上記で実施例1の感光性組成物の代わりに、他の実施例および比較例の感光性組成物を用いて、各種サンプルを作製した。
【0140】
得られたサンプルについて、紫外可視近赤外分光光度計U-4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、波長400~1300nmの範囲で光透過率を測定した。
次に、得られたサンプルをホットプレート上にて240℃で300秒間加熱し、加熱前後での波長400~1300nmの範囲での透過率変化(ΔT)を測定し、耐熱性の指標とした。ΔTの値が小さいほうが、耐熱性が良好であり、判断基準は以下の通りである。
なお、上記ΔTは、波長400~1300nmの範囲での最も大きな透過率変化を示す波長における透過率変化を表す。実用上、AまたはBが好ましい。
「A」:ΔT<2%
「B」:2%≦ΔT%<5%
「C」:ΔT%≧5%
なお、後述する表5中においては、Green組成物、Red組成物、および、Blue組成物を用いて形成された各サンプルの結果を示す。
【0141】
<パターン矩形性評価>
シリコン基板上に各実施例および比較例の感光性組成物をそれぞれ塗布して、100℃で2分間乾燥処理を施した後、露光装置UX3100-SR(ウシオ電機(株)製)を用い、フォトマスク(マスクパターン:50μmラインアンドスペース)を介して光照射(露光量:100-2000mJ/cm
2)を行った。パターン露光された塗布膜は、有機アルカリ性現像液CD-2000(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の60%水溶液を用いて、室温にて60秒間、パドル現像した後、さらに20秒間スピンシャワーにて純水でリンスを行った。その後、純水にて水洗を行った。その後、水滴を高圧のエアーで飛ばし、基板を自然乾燥させ、220℃で300秒間、ホットプレートでポストベーク処理し、ライン部として硬化膜(厚み:2.7μm)を形成した。得られたライン部の断面評価により矩形性を評価した。具体的には、
図3に示すように、シリコン基板200に対するライン部202のなす角θの値を求めて、以下の基準に従って、評価した。実用上、AまたはBが好ましい。
「A」:θが80~100°
「B」:θが70°以上80°未満、または、100°超110°以下
「C」:θが70°未満、または、110°超
【0142】
【0143】
上記表5に示すように、本発明の感光性組成物を用いた場合、所定の効果が得られた。
なかでも、実施例1~9に示すように、紫外線吸収剤の熱質量測定において、150℃における質量減少率が5%以下であり、かつ、220℃における質量減少率が40%以上である場合、耐熱性に優れていた。実施例2~9に示すように、紫外線吸収剤の熱質量測定において、150℃における質量減少率が5%以下であり、かつ、220℃における質量減少率が40%超である場合、耐熱性に特に優れていた。
【0144】
なお、実施例6において、バインダーとして樹脂Aを樹脂B(下記構造)に代えた以外は、同様の手順にて感光性組成物を調製して各種評価したところ、実施例6と同様の結果が得られた。
樹脂B:下記構造。(酸価=95mgKOH/g、Mw=41000、主鎖に付記した数値はモル比である。)
【0145】
【0146】
実施例6において、バインダーとして樹脂Aを、樹脂Aと樹脂C(下記構造式)との混合物(樹脂A/樹脂C=7.85/7.85)に代えた以外は、同様にして感光性組成物を調製して各種評価したところ、実施例6と同様の結果が得られた。
樹脂C:下記構造。(酸価=217mgKOH/g、Mw=11000、主鎖に付記した数値はモル比である。)
【0147】
【0148】
実施例6において、重合性化合物としてDPHAをアロニックスM-510(東亞合成社製)に代えた以外は、同様にして感光性組成物を調製して各種評価したところ、実施例6と同様の結果が得られた。
【0149】
実施例6において、重合性化合物としてDPHAをDPCA-20(日本化薬社製)に代えた以外は、同様にして感光性組成物を調製して各種評価したところ、実施例6と同様の結果が得られた。
【0150】
実施例6において、重合性化合物としてDPHAをオグゾールEA-0300(大阪ガスケミカル社製)に代えた以外は、同様にして感光性組成物を調製して各種評価したところ、実施例6と同様の結果が得られた。
【0151】
実施例6において、重合性化合物としてDPHAをDPHAとアロニックスM-510との混合物(DPHA:アロニックスM-510(質量比)=1:1)に代えた以外は、同様にして感光性組成物を調製して各種評価したところ、実施例6よりもさらにパターン短形性が優れていた。この結果より、2種以上の重合性化合物を用いることで、パターン短形性がより向上したと考えられる。
【0152】
実施例6において、開始剤としてIRGACURE369をIRGACUREOXE01(BASF社製)に代えた以外は、同様にして感光性組成物を調製して各種評価したところ、実施例6よりもさらにパターン短形性が優れていた。この結果より、オキシム化合物(オキシム系開始剤)を用いることで、パターン短形性がより向上したと考えられる。
【0153】
実施例6において、開始剤としてIRGACURE369をIRGACUREOXE03(BASF社製)に代えた以外は、同様にして感光性組成物を調製して各種評価したところ、実施例6よりもさらにパターン短形性が優れていた。この結果より、オキシム化合物(オキシム系開始剤)を用いることで、パターン短形性がより向上したと考えられる。
【0154】
実施例6において、開始剤としてIRGACURE369をIRGACUREOXE04(BASF社製)に代えた以外は、同様にして感光性組成物を調製して各種評価したところ、実施例6よりもさらにパターン短形性が優れていた。この結果より、オキシム化合物(オキシム系開始剤)を用いることで、パターン短形性がより向上したと考えられる。
【0155】
実施例6において、開始剤としてIRGACURE369をIRGACURE369とIRGACUREOXE04との混合物(IRGACURE369:IRGACUREOXE04(質量比)=0.75:0.75)に代えた以外は、同様にして感光性組成物を調製して各種評価したところ、実施例6よりもさらにパターン短形性が優れていた。この結果より、オキシム化合物(オキシム系開始剤)を用いることで、パターン短形性がより向上したと考えられる。
【0156】
実施例6において、増感剤を用いなかった以外は、同様にして感光性組成物を調製して各種評価したところ、パターン短形性がBとなった以外は同様の結果が得られた。増感剤を用いることでパターン短形性がより向上したと考えられる。
【0157】
実施例6において、界面活性剤を用いなかった以外は、同様にして感光性組成物を調製して各種評価したところ、パターン短形性がBとなった以外は同様の結果が得られた。界面活性剤を用いることでパターン短形性がより向上したと考えられる。
【0158】
実施例6において、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートの代わりに酢酸ブチルを用いた以外は、同様にして感光性組成物を調製して各種評価したところ、実施例6と同様の結果が得られた。
【0159】
実施例6において、酢酸ブチルの代わりにPGMEAを用いた以外は、同様にして感光性組成物を調製して各種評価したところ、実施例6と同様の結果が得られた。
【符号の説明】
【0160】
1:レンズ光学系、10:固体撮像素子、20:信号処理部、30:信号切替部、40:制御部、50:信号蓄積部、60:発光制御部、70:赤外LED、80、81:画像出力部、100:固体撮像素子、110:固体撮像素子基板、111:赤外光カットフィルタ、112:カラ-フィルタ、113:赤外光透過フィルタ、114:領域、115:マイクロレンズ、116:平坦化層、200:シリコン基板、202:ライン部、hν:入射光