(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】ファラデーケージを用いたプラズマエッチング方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/18 20060101AFI20220613BHJP
【FI】
G02B5/18
(21)【出願番号】P 2020550093
(86)(22)【出願日】2019-06-18
(86)【国際出願番号】 KR2019007321
(87)【国際公開番号】W WO2020004854
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】10-2018-0075361
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ソ・ヒ・カン
(72)【発明者】
【氏名】ソン・ホ・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】グン・シク・ジョ
(72)【発明者】
【氏名】チュン・ワン・キム
【審査官】池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0035539(US,A1)
【文献】特開2010-141338(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0368093(US,A1)
【文献】特開2014-093226(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0031171(US,A1)
【文献】特開2015-019065(JP,A)
【文献】特開2014-058151(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0138047(US,A1)
【文献】米国特許第9659797(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0367687(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0379851(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107810073(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0037597(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0156489(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/18
H01L 21/302
H01J 37/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッシュ部が上面に備えられたファラデーケージ内に、
開口を有するマスクが一面上に備えられたエッチング用基材を備えるステップと、
前記メッシュ部の少なくとも一部をシャッタで遮蔽した後、前記エッチング用基材上にプラズマエッチングを行うステップと、
前記ファラデーケージの外側部から中央部
に向かう方向に
、前記シャッタで遮蔽される前記エッチング用基材の領域が次第に大きくなるように、かつ前記シャッタの移動速度を次第に減少させるように、前記シャッタを移動させ
ながら、プラズマエッチングを行って前記エッチング用基材上に
前記開口に対応するパターン部を形成するステップと、を含
む、ファラデーケージを用いたプラズマエッチング方法。
【請求項2】
前記シャッタの移動速度は、1mm/min以上500mm/min以下である、請求項
1に記載のファラデーケージを用いたプラズマエッチング方法。
【請求項3】
前記エッチング用基材と前記メッシュ部との隔離距離は、1mm以上35mm以下である、請求項1
または2に記載のファラデーケージを用いたプラズマエッチング方法。
【請求項4】
前記プラズマエッチングは、プラズマエッチング装置のICPパワーを0.1kW以上4kW以下、RFパワーを10W以上200W以下に調節することを含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載のファラデーケージを用いたプラズマエッチング方法。
【請求項5】
前記プラズマエッチングは、作動圧力を0.133Pa(1mTorr)以上4.00Pa(30mTorr)以下に調節することを含む、請求項1~
4のいずれか一項に記載のファラデーケージを用いたプラズマエッチング方法。
【請求項6】
前記プラズマエッチングは、反応性ガスおよび酸素ガスを含む混合ガスを10sccm以上200sccm以下でプラズマエッチング装置に供給することを含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載のファラデーケージを用いたプラズマエッチング方法。
【請求項7】
前記混合ガスの総流量に対して、前記酸素ガスの流量の含有量は、1%以上20%以下である、請求項
6に記載のファラデーケージを用いたプラズマエッチング方法。
【請求項8】
前記メッシュ部は、0.5Ω/□以上の面抵抗を有する、請求項1~
7のいずれか一項に記載のファラデーケージを用いたプラズマエッチング方法。
【請求項9】
前記メッシュ部は、金属メッシュ上にフッ化炭素ラジカルが吸着されたものである、請求項1~
8のいずれか一項に記載のファラデーケージを用いたプラズマエッチング方法。
【請求項10】
前記エッチング用基材の一面上に、アルミニウムおよびクロムのうちの少なくとも1つを含み、開口を有する金属マスクが備えられる、請求項1~
9のいずれか一項に記載のファラデーケージを用いたプラズマエッチング方法。
【請求項11】
前記エッチング用基材は、前記ファラデーケージの底面に傾斜して備えられる、請求項1~
10のいずれか一項に記載のファラデーケージを用いたプラズマエッチング方法。
【請求項12】
前記パターン部が備えられた前記エッチング用基材は、回折格子導光板用モールド基材である、請求項1~
11のいずれか一項に記載のファラデーケージを用いたプラズマエッチング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、2018年6月29日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2018-0075361号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本発明に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ファラデーケージを用いたプラズマエッチング方法に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、拡張現実(AR:Augmented Reality)、複合現実(MR:Mixed Reality)、または仮想現実(VR:Virtual Reality)を実現するディスプレイユニットへの関心が高まるにつれ、これを実現するディスプレイユニットに関する研究が活発に行われる傾向にある。拡張現実、複合現実、または仮想現実を実現するディスプレイユニットは、光の波動的性質に基づく回折現象を利用する回折格子導光板を備えている。回折格子導光板は入射する光を内部反射または内部全反射させて、回折格子導光板に入射した光を一地点にガイドできる回折格子パターンを含んでいる。
【0004】
上記のような回折格子導光板を製造するために多様な方法が利用されており、一般的にモールドを用いたインプリンティング方法により回折格子導光板を製造している。この時、エッチング用基材上にプラズマエッチングを行って回折格子パターンを形成して、回折格子導光板用モールドを製造することができる。ただし、プラズマエッチングを行って回折格子導光板用モールドを製造する過程で、エッチング用基材のパターン部区間に針状構造物(grass)が発生して、目的のパターンを精密に形成しにくい問題がある。
【0005】
そこで、プラズマエッチング工程で針状構造物の発生を抑制して、より精密なパターンを形成できる技術が必要なのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、針状構造物の形成を効果的に抑制できるファラデーケージを用いたプラズマエッチング方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施態様は、メッシュ部が上面に備えられたファラデーケージ内に、エッチング用基材を備えるステップと、前記メッシュ部の少なくとも一部をシャッタで遮蔽した後、前記エッチング用基材上にプラズマエッチングを行うステップと、前記ファラデーケージの外側部から中央部方向に沿って前記シャッタを移動させ、プラズマエッチングを行って前記エッチング用基材上にパターン部を形成するステップと、を含み、前記エッチング用基材の一側から他側方向に、前記パターン部の深さは漸進的に変化するファラデーケージを用いたプラズマエッチング方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施態様に係るファラデーケージを用いたプラズマエッチング方法は、針状構造物の形成が抑制され、深さ勾配を有するパターン部をエッチング用基材上に容易に形成することができる。
【0009】
本発明の効果は前述した効果に限定されるものではなく、言及されていない効果は本願明細書および添付した図面から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】ファラデーケージのメッシュ部からエッチング用基材までの距離に応じたエッチング率を測定した結果を示すものである。
【
図2】本発明の一実施態様に係るファラデーケージを用いたプラズマエッチング方法を概略的に示す図である。
【
図3】本発明の一実施態様に係るファラデーケージを用いたプラズマ傾斜エッチング方法を概略的に示す図である。
【
図4A】本発明の実施例1のファラデーケージを用いたプラズマエッチング方法におけるシャッタの初期位置を示す図である。
【
図4B】比較例1のファラデーケージを用いたプラズマエッチング方法におけるシャッタの初期位置を示す図である。
【
図5A】本発明の実施例1で製造されたパターン部が備えられた石英基材の一側からの距離に応じたパターン部の深さを示すグラフである。
【
図5B】比較例1で製造されたパターン部が備えられた石英基材の一側からの距離に応じたパターン部の深さを示すグラフである。
【
図6A】本発明の実施例1で製造されたパターン部が備えられた石英基材の断面を撮影したSEM写真である。
【
図6B】比較例1で製造されたパターン部が備えられた石英基材の断面を撮影したSEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0012】
本願明細書全体において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているとする時、これは、ある部材が他の部材に接している場合のみならず、2つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0013】
本願明細書全体において、使用される程度の用語「~(する)ステップ」または「~のステップ」は、「~のためのステップ」を意味しない。
【0014】
本発明におけるファラデーケージは、導体からなる密閉空間を意味し、プラズマ内にファラデーケージを設けると、ケージの外表面にシース(sheath)が形成されて内部は電場が一定の状態に維持される。この時、ファラデーケージの上面をメッシュ部で形成すれば、シースがメッシュ部の表面に沿って形成される。そのため、ファラデーケージを用いたプラズマエッチングを行う場合、メッシュ部の表面に水平に形成されたシースと垂直な方向に加速されたイオンは、ファラデーケージの内部に入射した後、入射する時の方向性を維持しながら基材まで到達して基材をエッチングする。さらに、本発明におけるファラデーケージ内部のモールド用基材の表面は、メッシュ面に対して水平または傾斜した状態で固定可能であり、イオンはメッシュ面に垂直な方向に入射するので、モールド用基材の表面に対して垂直または傾斜した方向へのエッチングが可能である。ファラデーケージは、上面が導電性を有するメッシュ部から構成された導電体ケージであってもよい。上記プラズマエッチングのエッチング方向は、上記ファラデーケージのメッシュ部の表面に垂直な方向であってもよい。
【0015】
ファラデーケージを用いたプラズマエッチングの場合、メッシュ部を通過したイオンは、基材に向けて移動する間、ファラデーケージの内部に存在する中性粒子と衝突して運動エネルギーを失い、これによって、イオンの密度はメッシュ部の距離に反比例する傾向を有する。すなわち、イオンが入射するメッシュ部に近いほど高いエッチング速度を示し、メッシュ部と遠くなるほど低いエッチング速度を示す。
【0016】
本発明者らは、前述した特性を有するファラデーケージを用いたプラズマエッチング方法を研究し、プラズマエッチング過程で針状構造物の発生を効果的に抑制できる方法を具体的に研究して、下記のような発明を開発するに至った。
【0017】
以下、本明細書についてさらに詳細に説明する。
【0018】
本発明の一実施態様は、メッシュ部が上面に備えられたファラデーケージ内に、エッチング用基材を備えるステップと、上記メッシュ部の少なくとも一部をシャッタで遮蔽した後、上記エッチング用基材上にプラズマエッチングを行うステップと、上記ファラデーケージの外側部から中央部方向に沿って上記シャッタを移動させ、プラズマエッチングを行って上記エッチング用基材上にパターン部を形成するステップと、を含み、上記エッチング用基材の一側から他側方向に、上記パターン部の深さは漸進的に変化するファラデーケージを用いたプラズマエッチング方法を提供する。
【0019】
本発明の一実施態様に係るファラデーケージを用いたプラズマエッチング方法は、針状構造物の形成が抑制され、深さ勾配を有するパターン部をエッチング用基材上に容易に形成することができる。
【0020】
本発明の一実施態様によれば、上記エッチング用基材は、石英基板またはシリコンウエハであってもよい。プラズマエッチング、具体的には、誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング装置(ICP-RIE)を用いたエッチング工程時、自己マスキング現象(self-masking mechanism)によってエッチング領域内に低い反射率を有する針状構造物(Grass)が形成される問題が発生しうる。ただし、本発明の一実施態様によれば、上記エッチング用基材として石英基板またはシリコンウエハを用いることにより、エッチング用基材の一面上にパターン部をエッチングする工程時に針状構造物が発生することを効果的に抑制することができる。
【0021】
本発明の一実施態様によれば、上記エッチング用基材の一面上に、アルミニウムおよびクロムのうちの少なくとも1つを含み、開口を有する金属マスクが備えられる。具体的には、上記金属マスクは、アルミニウムからなるものであってもよい。金属マスクが一面上に備えられたエッチング用基材を上記ファラデーケージ内に位置させることができる。上記金属マスクの開口によって露出した上記エッチング用基材の領域上にプラズマエッチングを行って、上記エッチング用基材上にパターン部を形成することができる。
【0022】
また、上記金属マスクに備えられた開口は、2以上であってもよい。すなわち、2以上の開口が形成された金属マスクを用いて、上記エッチング用基材上に2種類のパターン部を形成することができる。
【0023】
本発明の一実施態様によれば、メッシュ部が上面に備えられたファラデーケージを用いて、上記エッチング用基材の一面をプラズマエッチングすることにより、エッチング用基材の一面上にパターン部を形成することができる。上記メッシュ部は、プラズマエッチング時、プラズマとの接触面で自由電子を引き寄せてシースを形成させることができる。また、上記メッシュ部は、導電性を有することができ、これによって正電荷を有するイオンを引き寄せて加速させることができる。さらに、上記メッシュ部は、上記ファラデーケージの一面に平坦に備えられ、屈曲部がある場合、屈曲部でのエッチング速度が局所的に異なり得る。
【0024】
本発明の一実施態様によれば、上記メッシュ部は、0.5Ω/□以上の面抵抗を有することができる。具体的には、上記メッシュ部の面抵抗は、0.5Ω/□以上100Ω/□以下であってもよい。既存のファラデーケージを用いて上記エッチング用基材をプラズマエッチングする場合、ファラデーケージの位置ごとに高エッチング領域と低エッチング領域が不規則に混在して、プラズマエッチングの精度が低下する問題があった。これに対し、本発明の一実施態様によれば、上記メッシュ部の面抵抗を前述した範囲に調節することにより、プラズマエッチング時、ファラデーケージ内に高エッチング領域と低エッチング領域を一定に形成することができる。すなわち、上記エッチング用基材上にパターン部を精密にエッチングすることができる。また、上記メッシュ部の面抵抗が前述した範囲内の場合、ファラデーケージの作製費用を節減しながらも、エッチング効率を向上させることができる。
【0025】
本発明の一実施態様によれば、上記メッシュ部は、金属メッシュ上にフッ化炭素ラジカルが吸着されたものであってもよい。具体的には、上記フッ化炭素ラジカルは、-CF、-CF2、-CF3、または-C2Fx(xは1~5の整数)であってもよい。より具体的には、上記ファラデーケージの上記メッシュ部は、プラズマエッチング時、Fラジカルによるエッチングおよび表面重合によってフッ化炭素ラジカルがメッシュ部に吸着される。さらに、上記メッシュ部は金属のような導電性を有する物質上に上記フッ化炭素ラジカルが吸着されることにより、上記メッシュ部は前述した範囲の面抵抗を保有することができる。
【0026】
本発明の一実施態様によれば、上記メッシュ部は、ステンレス材質のメッシュを用いることができる。具体的には、SUS304材質の#200(ピッチ125μm、ワイヤ直径50μm、開口率36%)商用メッシュを用いることができる。ただし、メッシュ部の材質を限定するものではなく、上記メッシュ部は、Al、Cu、W、Ni、Fe、およびこれらの少なくとも2種を含む合金を材料とするものであってもよい。さらに、上記メッシュの空隙率および格子の大きさは、エッチングの用途に応じて自由に調節可能である。
【0027】
本発明の一実施態様によれば、上記エッチング用基材と上記メッシュ部との隔離距離は、1mm以上35mm以下であってもよい。具体的には、上記エッチング用基材と上記メッシュ部との隔離距離は、3mm以上32mm以下、6mm以上30mm以下、8.5mm以上25mm以下、10mm以上15mm以下、8mm以上12mm以下、または12.5mm以上20mm以下であってもよい。
【0028】
本発明者らは、ファラデーケージ内に40゜の傾斜面を有する支持台を設け、上記支持台上にエッチング用基材を備えた後、ICP-RIE(Oxford社のplasmaLab system100)を用いてプラズマエッチングを行った。この時、反応性ガスとして、O
2およびC
4F
8を2:48の比率で混合して50sccmの流速で供給した。また、エッチング条件として、RFパワー150W、ICPパワー2kW、作動圧力7~10mTorrにして3分間エッチングした。これによって、ファラデーケージのメッシュ部からの距離に応じたエッチング率を測定し、その結果は
図1の通りである。
【0029】
図1は、ファラデーケージのメッシュ部からエッチング用基材までの距離に応じたエッチング率を測定した結果を示すものである。
図1の結果によれば、エッチング用基材とメッシュ部とが離隔した距離が35mmを超える場合には、エッチング速度の著しい低下を確認できるため、エッチング効率を考慮してエッチング用基材とメッシュ部とが離隔した距離を35mm以下に調節することができる。また、メッシュ部とエッチング用基材との距離が約1mm未満の場合には、メッシュ部のメッシュ格子模様がエッチング用マスクのような作用をしてエッチング領域に残ってしまう問題が発生することを発見した。したがって、上記エッチング用基材は、上記メッシュ部と少なくとも1mmの隔離距離を維持することが必要であり得る。
【0030】
図2は、本発明の一実施態様に係るファラデーケージを用いたプラズマエッチング方法を概略的に示す図である。具体的には、
図2は、上面にメッシュ部110が備えられたファラデーケージ100内に支持台300を備え、支持台300上にエッチング用基材200を位置させ、メッシュ部110の少なくとも一部をシャッタ120で遮蔽し、エッチング用基材200上にプラズマエッチングを行うことを示すものである。また、
図2は、ファラデーケージ100の外側部から中央部方向(点線の矢印方向)に沿ってシャッタ120を移動させ、エッチング用基材200上にプラズマエッチングを行って深さ勾配を有するパターン部を形成することを示すものである。
【0031】
本発明の一実施態様によれば、上記ファラデーケージを用いたプラズマエッチング方法は、メッシュ部をシャッタで遮蔽せず、上記エッチング用基材上にプラズマエッチングを行うステップをさらに含んでもよい。例えば、上記エッチング用基材を上記ファラデーケージに備え、メッシュ部をシャッタで遮蔽せずにプラズマエッチングを行って上記エッチング用基材をエッチングすることができる。この後、上記メッシュ部の少なくとも一部をシャッタで遮蔽し、上記エッチング用基材をプラズマエッチングし、上記ファラデーケージの外側部から中央部方向に沿って上記シャッタを移動させ、上記エッチング用基材をプラズマエッチングすることができる。
【0032】
本発明の一実施態様によれば、上記メッシュ部の少なくとも一部をシャッタで遮蔽した後、上記エッチング用基材上にプラズマエッチングを行うことができる。この時、上記ファラデーケージの外側部に隣接したメッシュ部上に上記シャッタを備えることができる。
図2を参照すれば、ファラデーケージ100の外側部に隣接したメッシュ部110上にシャッタ120を備えて、メッシュ部110の少なくとも一部を遮蔽し、エッチング用基材200上にプラズマエッチングを行うことができる。この時、ファラデーケージ100の外側部に隣接したエッチング用基材200の一側部分が遮蔽されるように、上記シャッタ120の位置を設定することができる。
【0033】
また、上記メッシュ部の少なくとも一部をシャッタで遮蔽するものの、上記エッチング用基材は遮蔽されないように、上記シャッタの位置を設定することができる。例えば、上記ファラデーケージの外側部に隣接したメッシュ部上に上記シャッタを具備させるものの、上記ファラデーケージの外側部に隣接した上記エッチング用基材の一側は遮蔽されないように上記シャッタを位置させることができる。
【0034】
本発明の一実施態様によれば、上記ファラデーケージのメッシュ部の一部をシャッタを用いて遮蔽することにより、シャッタで遮蔽された領域に隣接したエッチング領域で、メッシュ部からエッチング用基材までの距離の増加に応じたエッチング率の変化幅を大きく調節することができる。すなわち、メッシュ部の一部をシャッタで遮蔽してエッチング率の変化幅を大きく調節することにより、深さ勾配を有するパターン部をエッチング用基材の一面上に容易に形成することができる。
【0035】
本発明の一実施態様によれば、上記ファラデーケージの外側部から中央部方向に沿って上記シャッタを移動させ、プラズマエッチングを行って上記エッチング用基材上にパターン部を形成することができる。すなわち、上記ファラデーケージの外側部近傍に位置したシャッタを上記ファラデーケージの中央部近傍に移動させることができる。
図2を参照すれば、メッシュ部110上に備えられたシャッタ120をファラデーケージ100の外側部から中央部方向(点線の矢印方向)に沿って移動させ、エッチング用基材200の一面をプラズマエッチングすることができる。これによって、一側から他側方向に、深さが漸進的に変化するパターン部が備えられたエッチング用基材を容易に形成することができる。具体的には、
図2を参照すれば、ファラデーケージ100の外側部に隣接したエッチング用基材200の一側から、ファラデーケージ100の中央部に隣接したエッチング用基材200の他側方向に、エッチング用基材200に備えられたパターン部Pの深さは漸進的に増加できる。
【0036】
また、上記ファラデーケージの外側部から中央部方向に沿って上記シャッタを移動させ、プラズマエッチングを行うことにより、プラズマエッチング過程で針状構造物が発生することを著しく抑制することができる。具体的には、上記ファラデーケージの外側部から中央部方向に沿って上記シャッタを移動させ、プラズマエッチングを行う場合、パターン部の深さが低い、すなわちエッチング深さを低く形成しようとする領域を先行してエッチングし、シャッタで先に遮蔽することができる。この後、シャッタが移動し、パターン部の深さが高い、すなわちエッチング深さを深く形成しようとする領域を後行して遮蔽することができる。これによって、プラズマエッチングの初期過程で発生する針状構造物の形成を効果的に抑制することができる。
【0037】
本発明の一実施態様によれば、上記パターン部を形成するステップは、上記ファラデーケージの外側部から中央部方向に沿って上記シャッタを移動させて、上記シャッタが上記エッチング用基材の一側から他側方向に上記エッチング用基材の一面を順次に遮蔽して、上記エッチング用基材の一側から他側方向に深さが漸進的に変化するパターン部を上記エッチング用基材の一面上に形成することを含むことができる。
【0038】
本発明の一実施態様によれば、上記ファラデーケージの外側部から中央部方向に沿って、上記シャッタの移動する速度が変化できる。具体的には、上記シャッタは、上記ファラデーケージの外側部から中央部方向に沿って、上記メッシュ部上で移動することができ、次第にシャッタの移動速度が減少できる。例えば、上記メッシュ部上で上記シャッタは1.9mmの間隔でファラデーケージの外側部から中央部方向に移動することができ、移動回数の増加に伴ってシャッタの移動速度が減少できる。上記シャッタの移動速度を次第に減少させることにより、プラズマエッチング過程で発生する針状構造物の量を低減することができ、上記エッチング用基材上により明確に深さ勾配を有するパターン部を形成することができる。
【0039】
また、上記シャッタは、上記ファラデーケージの外側部から中央部方向に沿って、上記メッシュ部上で移動することができ、次第にシャッタの移動速度が増加することもできる。
【0040】
本発明の一実施態様によれば、上記シャッタの移動速度は、1mm/min以上500mm/min以下であってもよい。具体的には、上記シャッタは、1mm/min以上500mm/min以下のいずれか1つの速度で移動することができる。また、上記シャッタは、1mm/min以上500mm/min以下のいずれか1つの速度で移動することができ、上記ファラデーケージの外側部から中央部方向に沿って、上記シャッタの移動する速度が変化できる。例えば、上記エッチング用基材の長手方向に沿って、上記エッチング用基材上に仮想の領域を設定することができ、上記シャッタが移動し遮蔽する上記仮想の領域に沿って、上記シャッタの移動速度は変化できる。
【0041】
本発明の一実施態様によれば、上記シャッタの移動速度を前述した範囲に調節することにより、プラズマエッチング過程で発生する針状構造物の形成をより抑制することができ、深さ勾配を有するパターン部を上記エッチング用基材上により容易に形成することができる。
【0042】
本発明の一実施態様によれば、上記エッチング用基材は、上記ファラデーケージの底面に傾斜して備えられる。上記エッチング用基材を上記ファラデーケージの底面に傾斜して備えることにより、上記エッチング用基材上に深さ勾配を有する傾斜パターン部を形成することができる。
【0043】
図3は、本発明の一実施態様に係るファラデーケージを用いたプラズマ傾斜エッチング方法を概略的に示す図である。
図3は、上面にメッシュ部110が備えられたファラデーケージ100内に傾斜面を有する支持台300を備え、支持台300上にエッチング用基材200を位置させ、メッシュ部110の少なくとも一部をシャッタ120で遮蔽し、エッチング用基材200上にプラズマ傾斜エッチングを行うことを示すものである。また、
図3は、ファラデーケージ100の外側部から中央部方向(点線の矢印方向)に沿ってシャッタ120を移動させ、エッチング用基材200上にプラズマ傾斜エッチングを行って深さ勾配を有する傾斜パターン部Pを形成することを示すものである。
【0044】
本発明の一実施態様によれば、上記ファラデーケージの底面に対する上記支持台の傾斜角は、0゜以上60゜以下、または35゜以上45゜以下であってもよい。上記支持台の傾斜角を調節することにより、上記パターン部の傾斜角を調節することができる。
【0045】
上記支持台の傾斜角を前述した範囲に調節することにより、上記パターン部の平均傾斜角を0゜~55゜、または30゜~40゜に調節することができる。例えば、上記支持台の傾斜角を35゜に調節する場合、上記パターン部の最小傾斜角は27゜、最大傾斜角は36゜、平均傾斜角は33゜に調節可能である。また、上記支持台の傾斜角を40゜に調節する場合、上記パターン部の最小傾斜角は32゜、最大傾斜角は40゜、平均傾斜角は36゜に調節可能である。
【0046】
本発明の一実施態様によれば、上記プラズマエッチングは、プラズマエッチング装置のICPパワーを0.1kW以上4kW以下、RFパワーを10W以上200W以下に調節することを含むことができる。具体的には、上記プラズマエッチング装置のICPパワーを0.2kW以上3.8kW以下、0.5kW以上3.5kW以下、0.75kW以上3.0kW以下、1.0kW以上2.5kW以下、または1.5kW以上2.0kW以下に調節することができる。また、プラズマエッチング装置のRFパワーを10W以上200W以下、20W以上180W以下、50W以上150W以下、または70W以上120W以下に調節することができる。
【0047】
上記プラズマエッチング装置のICPパワーおよびRFパワーを前述した範囲に調節することにより、エッチング用基材のプラズマエッチング過程で針状構造物の発生を抑制することができ、発生する針状構造物の大きさを減少させることができる。
【0048】
本発明の一実施態様によれば、上記プラズマエッチングは、作動圧力を1mTorr以上30mTorr以下に調節することを含むことができる。具体的には、作動圧力を2mTorr以上28mTorr以下、5mTorr以上28mTorr以下、7mTorr以上25mTorr以下、10mTorr以上20mTorr以下、または12mTorr以上18mTorr以下に調節することができる。
【0049】
本発明の一実施態様によれば、上記プラズマエッチングは、反応性ガスおよび酸素ガスを含む混合ガスを10sccm以上200sccm以下でプラズマエッチング装置に供給することを含むことができる。具体的には、上記プラズマエッチング過程で、プラズマエッチング装置に上記混合ガスを20sccm以上180sccm以下、40sccm以上150sccm以下、60sccm以上130sccm以下で供給することができ、より具体的には、15sccm以上75sccm以下、25sccm以上70sccm以下、30sccm以上70sccm以下、40sccm以上60sccm以下、または45sccm以上55sccm以下で供給することができる。
【0050】
上記反応性ガスおよび酸素ガスを含む混合ガスの供給流量を前述した範囲に調節することにより、エッチング用基材をパターニングする過程で針状構造物の発生をより抑制することができる。
【0051】
本発明の一実施態様によれば、上記反応性ガスは、プラズマエッチング時に用いる一般的な反応性ガスを使用することができる。例えば、上記反応性ガスとして、SF6、CHF3、C4F8、CF4、およびCl2などのガスを用いることができる。
【0052】
本発明の一実施態様によれば、上記プラズマエッチングは、上記混合ガスの総流量に対して、酸素ガス流量の含有量が1%以上20%以下である混合ガスをプラズマエッチング装置に供給することができる。具体的には、上記混合ガスの総流量中の酸素ガス流量の含有量は、1%以上15%以下、1%以上10%以下、または1%以上5%以下であってもよい。上記混合ガス流量中の酸素ガス流量の含有量が前述した範囲内の場合、プラズマエッチング過程で上記エッチング用基材上に発生する針状構造物の量を効果的に減少させることができる。
【0053】
本発明の一実施態様によれば、上記エッチング用基材のパターン部の底面は、針状構造物の深さが50nm以下に制御されたものであってもよい。また、上記エッチング用基材のパターン部の底面は、針状構造物の直径が50nm以下に制御されたものであってもよい。
【0054】
一般的なファラデーケージを用いたプラズマエッチング時、エッチング用基材のパターン部には、50nm超過の深さおよび50nm超過の直径を有する針状構造物が形成されてパターニングの精度が低下することがある。これに対し、本明細書の一実施態様に係るエッチング方法は、上記ファラデーケージの外側部から中央部方向に沿って上記シャッタを移動させ、プラズマエッチングを行うことにより、プラズマエッチング時に発生する針状構造物の形成を防止したり、または発生する針状構造物の高さおよび直径を上記範囲内に抑制できるという利点がある。さらに、上記シャッタの移動速度、プラズマエッチング装置のICPパワーおよびRFパワー、プラズマエッチング装置に供給される混合ガスの流量、作動圧力などを調節して、上記針状構造物の形成をより効果的に抑制したり、針状構造物の高さおよび直径をより減少させることができる。
【0055】
本発明の一実施態様によれば、上記パターン部が備えられた上記エッチング用基材は、回折格子導光板用モールド基材であってもよい。具体的には、上記エッチング用基材上に形成されたパターン部は、回折格子導光板用モールドのパターンであってもよい。
【0056】
本発明の一実施態様は、上記ファラデーケージを用いたプラズマエッチング方法を利用してパターン部が形成された回折格子導光板用モールドを用意するステップと、上記回折格子導光板用モールドのパターン部が形成された一面上に樹脂組成物を塗布するステップと、上記樹脂組成物を硬化させるステップと、を含む回折格子導光板の製造方法を提供する。
【0057】
本発明の一実施態様によれば、上記樹脂組成物は、当業界で一般的に用いられる樹脂組成物であれば制限なく使用可能である。さらに、上記樹脂組成物を塗布するステップは、スピンコーティング、ディップコーティング、ドロップキャスティングなど当業界で一般的に用いられるコーティング方法を利用して行われる。また、上記樹脂組成物を硬化させる方法は、当業界で一般的に用いられる硬化方法を制限なく使用可能である。一例として、光硬化性樹脂組成物を用いる場合には、光硬化方法を利用することができ、熱硬化性樹脂組成物を用いる場合には、熱硬化方法を利用することができる。
【0058】
本発明の一実施態様によれば、上記回折格子導光板は、直接回折格子導光板として使用できる。また、上記回折格子導光板を中間モールドとして用いて、これを複製する方法で最終生産品を製造することもできる。具体的には、上記製造された回折格子導光板を中間モールドとしてさらに回折格子導光板を製造する場合、中間モールドとして用いられた回折格子導光板の格子パターンの傾きが反転したものを得ることができる。さらに、格子パターンの傾きが反転した回折格子導光板を中間モールドとして用いて回折格子導光板用モールドを製造した後、回折格子導光板を製造する場合、最初の回折格子導光板と同じ方向の格子パターンを実現することができる。
【実施例】
【0059】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明に係る実施例は種々の異なる形態に変形可能であり、本発明の範囲が以下に述べる実施例に限定されると解釈されない。本明細書の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0060】
[実施例1]
メッシュ部の面抵抗が0.5605Ω/□であり、底面がステンレス(SUS304)プレートであるファラデーケージを用意した。そして、誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング装置(ICP-RIE)(Oxford社のplasmaLab system100)内に上記ファラデーケージを備えた。
【0061】
厚さ2mmの石英基材上にAlを蒸着して50nmの厚さのAl層を形成した。この後、Al層上にフォトレジストをスピンコーティングした後、400nmのピッチを有するフォトマスクを用いてUV硬化でフォトレジストを現像した後、Al層を選択的にエッチングして、400nmのピッチ、200nmの幅を有するパターンを有するAl金属マスクを石英基材上に形成して、エッチング用基材を用意した。
【0062】
この後、高さが30mmであり、Al材質の支持台を上記ファラデーケージに具備させ、支持台上に石英基材を位置させた。この時、石英基材の一面とメッシュ部との最小隔離距離は約5mmであった。
【0063】
図4Aは、本発明の実施例1のファラデーケージを用いたプラズマエッチング方法におけるシャッタの初期位置を示す図である。
図4Aのように、ファラデーケージ100の外側部に隣接したメッシュ部110上にシャッタ120を備えて、メッシュ部110の一部を遮蔽した。この時、シャッタ120がエッチング用基材200を遮蔽しないように設定した。
【0064】
そして、ICP-RIE(Oxford社のplasmaLab system100)を用いてプラズマエッチングを行い、反応性ガスとして、O2およびC4F8を2:48の比率で混合して50sccmの流速で供給した。また、エッチング条件として、RFパワー150W、ICPパワー2kW、作動圧力7mTorrに設定した。
【0065】
この後、ファラデーケージの外側部から中央部方向(
図4Aの点線の矢印方向)に沿ってシャッタを1.9mmの間隔で移動させ、移動回数に応じたシャッタの移動速度を下記表1に示した。
【0066】
【0067】
[比較例1]
上記実施例1と同一のファラデーケージおよびエッチング用基材を用意した。
【0068】
図4Bは、比較例1のファラデーケージを用いたプラズマエッチング方法におけるシャッタの初期位置を示す図である。
図4Bのように、ファラデーケージ100の中央部側のメッシュ部110上にシャッタ120を備えて、メッシュ部110の一部を遮蔽した。この時、シャッタ120がエッチング用基材200を遮蔽するようにシャッタの位置を設定した。
【0069】
そして、ICP-RIE(Oxford社のplasmaLab system100)を用いてプラズマエッチングを行い、反応性ガスとして、O2およびC4F8を2:48の比率で混合して50sccmの流速で供給した。また、エッチング条件として、RFパワー150W、ICPパワー2kW、作動圧力7mTorrに設定した。
【0070】
この後、ファラデーケージの中央部から外側部方向(
図4Bの点線の矢印方向)に沿ってシャッタを1.9mmの間隔で移動させ、移動回数に応じたシャッタの移動速度を下記表2に示した。
【0071】
【0072】
図5Aは、本発明の実施例1で製造されたパターン部が備えられた石英基材の一側からの距離に応じたパターン部の深さを示すグラフであり、
図5Bは、比較例1で製造されたパターン部が備えられた石英基材の一側からの距離に応じたパターン部の深さを示すグラフである。
図5Aおよび
図5Bに示す石英基材の一側は、
図4Aおよび
図4Bにおける、ファラデーケージの外側部に隣接した石英基材の一側を意味する。
【0073】
図5Aを参照すれば、石英基材の一側から他側方向に、石英基材上に形成されたパターン部の深さが漸進的に増加することを確認した。これに対し、
図5Bを参照すれば、石英基材の一側から他側方向に、石英基材上に形成されたパターン部の深さが漸進的に減少することを確認した。すなわち、本発明の実施例1および比較例1で製造された石英基材のパターン部は、深さ勾配を有することを確認した。ただし、実施例1と比較例1で製造された石英基材のパターン部の深さ勾配の方向は相反することが分かる。
【0074】
図6Aは、本発明の実施例1で製造されたパターン部が備えられた石英基材の断面を撮影したSEM写真であり、
図6Bは、比較例1で製造されたパターン部が備えられた石英基材の断面を撮影したSEM写真である。
【0075】
図6Aを参照すれば、ファラデーケージの外側部から中央部方向に沿ってシャッタを移動させ、プラズマエッチングを行った実施例1の場合、石英基材のパターン部近傍に針状構造物の形成が抑制されたことを確認した。これに対し、
図6Bを参照すれば、ファラデーケージの中央部から外側部方向に沿ってシャッタを移動させ、プラズマエッチングを行った比較例1の場合、石英基材のパターン部近傍にやや多量の針状構造物が形成されたことを確認した。
【0076】
したがって、本発明の一実施態様に係るファラデーケージを用いたプラズマエッチング方法は、深さ勾配を有するパターン部をエッチング用基材上に容易に形成することができ、同時に針状構造物が発生することを効果的に抑制することができることが分かる。
【符号の説明】
【0077】
100:ファラデーケージ
110:メッシュ部
120:シャッタ
200:エッチング用基材
300:支持台