(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】熱交換器、及び冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
F28D 1/053 20060101AFI20220613BHJP
F28F 1/02 20060101ALI20220613BHJP
F28F 1/30 20060101ALI20220613BHJP
F25B 39/00 20060101ALI20220613BHJP
F28F 13/12 20060101ALI20220613BHJP
F28F 9/24 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
F28D1/053 A
F28F1/02 B
F28F1/30 A
F25B39/00 C
F28F13/12 A
F28F9/24
(21)【出願番号】P 2021033995
(22)【出願日】2021-03-04
(62)【分割の表示】P 2019533829の分割
【原出願日】2017-08-03
【審査請求日】2021-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】小宮 佑太
(72)【発明者】
【氏名】東井上 真哉
(72)【発明者】
【氏名】前田 剛志
(72)【発明者】
【氏名】赤岩 良太
(72)【発明者】
【氏名】松井 繁佳
(72)【発明者】
【氏名】石橋 晃
(72)【発明者】
【氏名】飛原 英治
(72)【発明者】
【氏名】党 超鋲
(72)【発明者】
【氏名】李 霽陽
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第02795402(US,A)
【文献】実開昭56-112485(JP,U)
【文献】実開昭52-096445(JP,U)
【文献】特開昭57-134698(JP,A)
【文献】特開昭53-134244(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0231056(US,A1)
【文献】特開2005-140352(JP,A)
【文献】特開2012-251719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 1/053
F28F 1/02
F28F 1/30
F25B 39/00
F28F 13/12
F28F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向において互いに間隔を置いて配置されている複数の熱交換部材
を備え、
前記複数の熱交換部材は、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延びる伝熱管と、前記第2方向に沿って前記伝熱管に設けられている伝熱板とをそれぞれ有し、
前記伝熱板は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに交差する第3方向において前記伝熱管から離れるように延在する延在部を有し、
前記伝熱板は、前記伝熱管とは別部材になっており、
前記伝熱管は、扁平管であり、
前記伝熱板は、前記第3方向に沿って配置され、前記伝熱板の厚さ方向へ変形した部分のない平板である熱交換器。
【請求項2】
前記扁平管は、前記第2方向に直交する断面において長軸及び短軸を有する形状であり、
前記伝熱板は、前記扁平管の外周面のうち前記長軸の方向に沿った部分に重なる伝熱板本体部を有し、
前記延在部は、前記伝熱板本体部から出ている請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記伝熱板は、前記扁平管に接合部材を介して接合されている請求項1
又は請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記延在部には、前記延在部での熱伝導を抑制する熱抵抗部が設けられている請求項1~請求項
3のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記複数の熱交換部材が接続されているヘッダタンク
を備え、
前記複数の熱交換部材では、前記第2方向における前記伝熱管の端部が前記伝熱板から突出しており、
前記ヘッダタンク内の空間には、前記伝熱板から突出した前記伝熱管の端部が挿入されている請求項1~請求項
4のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項6】
第1の列に並べられた複数の第1の熱交換部材と、前記第1の列から前記第3方向について離れた位置にある第2の列に並べられた複数の第2の熱交換部材とを前記複数の熱交換部材として備え、
前記第3方向に沿って見たとき、前記複数の第2の熱交換部材のそれぞれは、前記複数の第1の熱交換部材の間に配置されている請求項1~請求項
5のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項7】
互いに隣り合う前記熱交換部材間に接続されている伝熱フィンを備えている請求項1~請求項
6のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記伝熱板は、前記伝熱管とは別部材になっており、
前記第3方向において前記複数の熱交換部材の風上側に配置されている渦発生器を備えている
請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項9】
請求項1~請求項
8のいずれか一項に記載の熱交換器
を備えている冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の伝熱管を有する熱交換器、及び熱交換器を有する冷凍サイクル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、伝熱管内を流れる冷媒と外気との間での熱交換効率を向上させるために、扁平形状の伝熱管の幅方向を気流の方向に沿って配置し、伝熱管の幅方向両端部から気流の方向に沿って凸部を突出させた熱交換器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に示されている従来の熱交換器では、伝熱管及び凸部が一体の単一材で構成されているので、伝熱管及び凸部を一体とした形状が複雑になり、伝熱管及び凸部の製造作業に手間がかかってしまう。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、熱交換性能の向上を図ることができるとともに、製造を容易にすることができる熱交換器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明による熱交換器は、第1方向において互いに間隔を置いて配置されている複数の熱交換部材を備え、複数の熱交換部材は、第1方向に交差する第2方向に沿って延びる伝熱管と、第2方向に沿って伝熱管に設けられている伝熱板とをそれぞれ有し、伝熱板は、第1方向及び第2方向のそれぞれに交差する第3方向において伝熱管から離れるように延在する延在部を有し、伝熱板は、伝熱管とは別部材になっており、伝熱管は、扁平管であり、伝熱板は、第3方向に沿って配置され、伝熱板の厚さ方向へ変形した部分のない平板である。
【発明の効果】
【0007】
この発明による熱交換器及び冷凍サイクル装置によれば、気流と接触する熱交換部材の伝熱面積を延在部によって拡大することができ、熱交換器の熱交換性能を向上させることができる。また、伝熱管と伝熱板とを別個に作製することができ、伝熱管及び伝熱板のそれぞれの形状を簡素化することができる。これにより、熱交換器の製造を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態1による空気調和機を示す模式的な構成図である。
【
図3】
図2の熱交換部材を切断した状態を示す斜視図である。
【
図5】
図1の熱交換器本体の下部を示す斜視図である。
【
図6】
図5の熱交換器本体の下部を示す縦断面図である。
【
図7】
図6のVII-VII線に沿った断面図である。
【
図8】
図3の熱交換部材に結露水が付着した状態を示す正面図である。
【
図9】この発明の実施の形態2による室外熱交換器の熱交換部材を切断した状態を示す斜視図である。
【
図11】この発明の実施の形態3による室外熱交換器の熱交換部材を切断した状態を示す斜視図である。
【
図13】
図12の複数の熱交換部材の間を通過する気流の流れを示す断面図である。
【
図14】この発明の実施の形態3による室外熱交換器の熱交換部材の他の例を示す断面図である。
【
図15】この発明の実施の形態4による室外熱交換器の熱交換部材を示す断面図である。
【
図16】この発明の実施の形態5による室外熱交換器の熱交換部材を切断した状態を示す斜視図である。
【
図18】この発明の実施の形態5による室外熱交換器の他の例の熱交換部材を切断した状態を示す斜視図である。
【
図20】この発明の実施の形態5による室外熱交換器の他の例の熱交換部材を切断した状態を示す斜視図である。
【
図22】この発明の実施の形態6による室外熱交換器の熱交換部材を示す断面図である。
【
図23】この発明の実施の形態7による室外熱交換器の熱交換器本体の要部を示す正面図である。
【
図24】この発明の実施の形態8による室外熱交換器を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による冷凍サイクル装置を示す模式的な構成図である。本実施の形態では、冷凍サイクル装置が空気調和機1として用いられている。空気調和機1は、圧縮機2、室外熱交換器3、膨張弁4、室内熱交換器5及び四方弁6を有している。この例では、圧縮機2、室外熱交換器3、膨張弁4及び四方弁6が室外機に設けられ、室内熱交換器5が室内機に設けられている。
【0010】
圧縮機2、室外熱交換器3、膨張弁4、室内熱交換器5及び四方弁6は、冷媒管を介して互いに接続されることにより、冷媒が循環可能な冷媒回路を構成している。空気調和機1では、圧縮機2が駆動することにより、圧縮機2、室外熱交換器3、膨張弁4及び室内熱交換器5を冷媒が相変化しながら循環する冷凍サイクルが行われる。
【0011】
室外機には、室外熱交換器3に室外の空気を強制的に通過させる室外ファン7が設けられている。室外熱交換器3は、室外ファン7の動作によって生じた室外の空気の気流と冷媒との間で熱交換を行う。室内機には、室内熱交換器5に室内の空気を強制的に通過させる室内ファン8が設けられている。室内熱交換器5は、室内ファン8の動作によって生じた室内の空気の気流と冷媒との間で熱交換を行う。
【0012】
空気調和機1の運転は、冷房運転と暖房運転との間で切り替え可能になっている。四方弁6は、空気調和機1の冷房運転及び暖房運転の切り替えに応じて冷媒流路を切り替える電磁弁である。四方弁6は、冷房運転時に、圧縮機2からの冷媒を室外熱交換器3へ導くとともに室内熱交換器5からの冷媒を圧縮機2へ導き、暖房運転時に、圧縮機2からの冷媒を室内熱交換器5へ導くとともに室外熱交換器3からの冷媒を圧縮機2へ導く。
図1では、冷房運転時の冷媒の流れの方向を破線の矢印で示し、暖房運転時の冷媒の流れの方向を実線の矢印で示している。
【0013】
空気調和機1の冷房運転時には、圧縮機2で圧縮された冷媒が室外熱交換器3へ送られる。室外熱交換器3では、冷媒が室外の空気へ熱を放出して凝縮される。この後、冷媒は、膨張弁4へ送られ、膨張弁4で減圧された後、室内熱交換器5へ送られる。この後、冷媒は、室内熱交換器5で室内の空気から熱を取り込んで蒸発した後、圧縮機2へ戻る。従って、空気調和機1の冷房運転時には、室外熱交換器3が凝縮器として機能し、室内熱交換器5が蒸発器として機能する。
【0014】
空気調和機1の暖房運転時には、圧縮機2で圧縮された冷媒が室内熱交換器5へ送られる。室内熱交換器5では、冷媒が室内の空気へ熱を放出して凝縮される。この後、冷媒は、膨張弁4へ送られ、膨張弁4で減圧された後、室外熱交換器3へ送られる。この後、冷媒は、室外熱交換器3で室外の空気から熱を取り込んで蒸発した後、圧縮機2へ戻る。従って、空気調和機1の暖房運転時には、室外熱交換器3が蒸発器として機能し、室内熱交換器5が凝縮器として機能する。
【0015】
図2は、
図1の室外熱交換器3を示す斜視図である。室外熱交換器3は、室外ファン7の動作によって生じる気流Aが通過する熱交換器本体11を有している。熱交換器本体11は、第1のヘッダタンク12と、第2のヘッダタンク13と、第1及び第2のヘッダタンク12,13間を繋ぐ複数の熱交換部材14とを有している。熱交換器本体11では、膨張弁4からの冷媒管及び四方弁6からの冷媒管のうち、一方が第1のヘッダタンク12に接続され、他方が第2のヘッダタンク13に接続されている。
【0016】
第1のヘッダタンク12及び第2のヘッダタンク13は、それぞれ水平に配置されている。また、第2のヘッダタンク13は、第1のヘッダタンク12の上方に配置されている。第1のヘッダタンク12と第2のヘッダタンク13とは、第1方向である
図2のz方向に沿って互いに平行に配置されている。
【0017】
複数の熱交換部材14は、第1のヘッダタンク12及び第2のヘッダタンク13のそれぞれの長手方向、即ち
図2のz方向へ互いに間隔を置いて配置されている。また、複数の熱交換部材14は、互いに平行に配置されている。複数の熱交換部材14の長手方向は、第1方向である
図2のz方向に交差する第2方向と一致している。この例では、第2方向が、
図2のz方向に直交する
図2のy方向となっており、第1のヘッダタンク12及び第2のヘッダタンク13のそれぞれの長手方向に対して各熱交換部材14の長手方向が直交している。また、この例では、複数の熱交換部材14の間の空間への部材の配置が禁止されている。これにより、この例では、互いに隣り合う熱交換部材14が互いに対向する面への部材の接続が回避されている。
【0018】
室外ファン7の動作によって生じる気流Aは、複数の熱交換部材14の間を通過する。この例では、第1のヘッダタンク12、第2のヘッダタンク13及び各熱交換部材14のそれぞれの長手方向に対して直交する方向、即ち
図2のx方向に沿って気流Aが複数の熱交換部材14の間を通過する。
【0019】
図3は、
図2の熱交換部材14を切断した状態を示す斜視図である。また、
図4は、
図3の熱交換部材14を示す断面図である。複数の熱交換部材14のそれぞれは、第2方向であるy方向に沿って延びる伝熱管15と、伝熱管15の長手方向、即ち第2方向に沿って伝熱管15に設けられている伝熱板16と、伝熱管15と伝熱板16との間に介在し、伝熱板16を伝熱管15に接合する接合部材17とを有している。
【0020】
伝熱管15の長手方向に直交する平面で切断したときの伝熱管15の断面の形状は、長軸及び短軸を持つ扁平形状になっている。従って、伝熱管15の断面の長軸方向を伝熱管15の幅方向とし、伝熱管15の断面の短軸方向を伝熱管15の厚さ方向とすると、伝熱管15の幅方向の寸法は伝熱管15の厚さ方向の寸法よりも大きくなっている。各伝熱管15は、複数の伝熱管15が並ぶ方向、即ちz方向に伝熱管15の厚さ方向を一致させ、気流Aの方向、即ちx方向に伝熱管15の幅方向を一致させた状態で配置されている。
【0021】
伝熱管15内には、冷媒が流れる複数の冷媒流路18が伝熱管15の長手方向に沿って設けられている。複数の冷媒流路18は、伝熱管15の幅方向へ並んでいる。熱交換部材14では、複数の熱交換部材14の間を通過する気流Aと、冷媒流路18を流れる冷媒との間で熱交換が行われる。
【0022】
伝熱管15は、熱伝導性を持つ金属材料で構成されている。伝熱管15を構成する材料としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、銅、又は銅合金が用いられている。伝熱管15は、加熱した材料をダイスの穴から押し出して伝熱管15の断面を成型する押し出し加工によって製造される。なお、ダイスの穴から材料を引き抜いて伝熱管15の断面を成型する引き抜き加工によって伝熱管15を製造してもよい。
【0023】
伝熱板16は、伝熱管15とは別部材になっている。また、伝熱板16は、第1方向であるz方向及び第2方向であるy方向のそれぞれに交差する第3方向に沿って配置されている。この例では、第3方向が、z方向及びy方向のそれぞれに直交するx方向になっており、伝熱板16が、x方向に沿って配置された平板になっている。熱交換器本体11は、気流Aの方向がx方向に一致するように配置される。伝熱板16の厚さ方向の寸法は、伝熱管15の厚さ方向の寸法よりも小さくなっている。伝熱板16は、熱伝導性を持つ金属材料で構成されている。伝熱板16を構成する材料としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、銅、又は銅合金が用いられている。
【0024】
伝熱板16は、第3方向であるx方向において伝熱管15の両側へ伝熱管15から離れるように延在する一方及び他方の延在部162,163と、一方及び他方の延在部162,163に繋がる伝熱板本体部161とを有している。伝熱板本体部161は、伝熱管15の外周面に重なっている。一方の延在部162は、伝熱管15よりも気流Aの上流側へ伝熱板本体部161から出ている。他方の延在部163は、伝熱管15よりも気流Aの下流側へ伝熱板本体部161から出ている。この例では、x方向において、上流側の延在部162の寸法が下流側の延在部163の寸法よりも大きくなっている。
【0025】
伝熱板本体部161は、伝熱管15の外周面のうち伝熱管15の幅方向に沿った部分に接合部材17を介して重なっている。上流側及び下流側のそれぞれの延在部162,163は、伝熱管15の厚さ方向、即ちz方向に沿って見たとき、伝熱管15の幅方向について伝熱管15の領域外へ出ている。
【0026】
接合部材17は、熱伝導性を持つ金属材料で構成されている。接合部材17を構成する材料としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、銅、又は銅合金が用いられている。この例では、ろう材が接合部材17として用いられている。接合部材17を構成する材料の融点は、伝熱管15及び伝熱板16のそれぞれを構成する材料の融点よりも低くなっている。
【0027】
図5は、
図1の熱交換器本体11の下部を示す斜視図である。また、
図6は
図5の熱交換器本体11の下部を示す縦断面図、
図7は
図6のVII-VII線に沿った断面図である。第1のヘッダタンク12には、第1のヘッダタンク12の上壁部を貫通する複数の挿入穴121が設けられている。第2のヘッダタンク13には、第2のヘッダタンク13の下壁部を貫通する複数の挿入穴(図示せず)が設けられている。第1及び第2のヘッダタンク12,13に設けられている複数の挿入穴121は、複数の熱交換部材14の位置に合わせて設けられている。
【0028】
各熱交換部材14では、伝熱管15の長手方向の両端部15aが伝熱板16から突出している。伝熱管15の長手方向の一端部15aは第1のヘッダタンク12の挿入穴121を通された状態で第1のヘッダタンク12内の空間に挿入され、伝熱管15の長手方向の他端部15aは第2のヘッダタンク13の挿入穴を通された状態で第2のヘッダタンク13内の空間に挿入されている。即ち、第1のヘッダタンク12内の空間には熱交換部材14のうちの伝熱管15の長手方向の一端部15aのみが挿入され、第2のヘッダタンク13内の空間には熱交換部材14のうちの伝熱管15の長手方向の他端部15aのみが挿入されている。これにより、第1のヘッダタンク12内及び第2のヘッダタンク13内のそれぞれの空間と各伝熱管15の冷媒流路18とが互いに連通されている。各伝熱管15は、例えばろう付け又は溶接によって第1及び第2のヘッダタンク12,13に接続されている。冷媒Bは、冷房運転及び暖房運転のそれぞれに応じて、第1のヘッダタンク12、冷媒流路18、第2のヘッダタンク13の順に流れたり、第2のヘッダタンク13、冷媒流路18、第1のヘッダタンク12の順に流れたりする。
【0029】
熱交換器本体11では、室外ファン7の動作によって生じる気流Aと、各伝熱管15の冷媒流路18を流れる冷媒Bとの間で熱交換が行われる。従って、熱交換器本体11の熱交換性能は、熱交換部材14に気流Aが接触する面積が大きいほど向上する。
【0030】
室外熱交換器3が凝縮器として機能するときには、気流Aの温度よりも高い温度の冷媒Bが冷媒流路18を流れる。従って、室外熱交換器3が凝縮器として機能するときには、冷媒Bから気流Aへ熱が放出される。
【0031】
室外熱交換器3が蒸発器として機能するときには、気流Aの温度よりも低い温度の冷媒Bが冷媒流路18を流れる。従って、室外熱交換器3が蒸発器として機能するときには、気流Aから冷媒Bへ熱が取り込まれる。このとき、熱交換部材14の表面に結露水が発生することがある。
【0032】
図8は、
図3の熱交換部材14に結露水が付着した状態を示す正面図である。各熱交換部材14の表面に付着した結露水10は、自重によって熱交換部材14の表面を伝わって下方へ移動する。このとき、熱交換部材14の表面に部材が接続されていないことから、結露水10の下方への移動が部材で阻害されず、結露水10が下方へ排出されやすくなる。
【0033】
熱交換器本体11は、伝熱管15、伝熱板16、第1のヘッダタンク12及び第2のヘッダタンク13を組み合わせた物を炉内で加熱することにより製造される。伝熱管15及び伝熱板16のそれぞれの表面にはろう材が予め塗布されており、伝熱管15、伝熱板16、第1のヘッダタンク12及び第2のヘッダタンク13は、炉内での加熱により融けたろう材によって互いに固定される。伝熱管15と伝熱板16との間には、ろう材が接合部材17として介在する。
【0034】
このような室外熱交換器3では、伝熱板16が、第3方向であるx方向において伝熱管15から離れるように延在する延在部162,163を有しているので、気流Aと接触する熱交換部材14の伝熱面積を延在部162,163によって拡大することができ、室外熱交換器3の熱交換性能を向上させることができる。また、伝熱板16が伝熱管15とは別部材になっているので、伝熱管15と伝熱板16とを別個に作製することができ、伝熱管15及び伝熱板16のそれぞれの形状を簡素化することができる。これにより、伝熱管15及び伝熱板16のそれぞれの製造を容易にすることができ、室外熱交換器3の製造を容易にすることができる。
【0035】
また、伝熱管15の長手方向の端部15aは、伝熱板16から突出しており、第1のヘッダタンク12内の空間及び第2のヘッダタンク13内の空間のそれぞれには、伝熱管15の長手方向の端部15aが挿入されているので、熱交換部材14が挿入される挿入穴121の形状を伝熱管15の外周面の形状に合わせて形成することができ、挿入穴121の形状が複雑になることを防止することができる。これにより、第1のヘッダタンク12及び第2のヘッダタンク13に対する熱交換部材14の接続作業を容易にすることができ、熱交換器本体11の製造をさらに容易にすることができる。
【0036】
実施の形態2.
また、実施の形態1では、断面形状が扁平形状になっている扁平管が伝熱管15として用いられているが、断面形状が円形状になっている円管を伝熱管15として用いてもよい。
【0037】
即ち、
図9は、この発明の実施の形態2による室外熱交換器3の熱交換部材14を切断した状態を示す斜視図である。また、
図10は、
図9の熱交換部材14を示す断面図である。本実施の形態では、伝熱管15の断面形状が円形状になっている。また、本実施の形態では、1本の伝熱管15内に設けられている冷媒流路18の数が1つになっている。他の構成は実施の形態1と同様である。
【0038】
このように、断面形状が円形状になっている円管を伝熱管15として用いても、実施の形態1と同様に、熱交換部材14の伝熱面積を延在部162,163によって拡大することができ、室外熱交換器3の熱交換性能を向上させることができる。また、伝熱板16が伝熱管15とは別部材になっているので、実施の形態1と同様に、伝熱管15及び伝熱板16のそれぞれの形状を簡素化することができ、室外熱交換器3の製造を容易にすることができる。
【0039】
実施の形態3.
図11は、この発明の実施の形態3による室外熱交換器3の熱交換部材14を切断した状態を示す斜視図である。また、
図12は、
図11の熱交換部材14を示す断面図である。伝熱管15の外周面は、伝熱管15の厚さ方向について互いに対向する第1の厚さ方向端面151及び第2の厚さ方向端面152と、伝熱管15の幅方向について互いに対向する上流側端面153及び下流側端面154とを有している。伝熱管15は、上流側端面153を下流側端面154よりも気流Aの上流側に向けて配置されている。
【0040】
伝熱板本体部161は、伝熱管15の第1の厚さ方向端面151に重なっている。気流Aの方向についての伝熱板本体部161の上流側の端部は、伝熱管15の外周面を覆う曲部161aになっている。従って、伝熱板本体部161の曲部161aは、伝熱管15の上流側端面153を覆っている。接合部材17は、伝熱管15の第1の厚さ方向端面151及び上流側端面153のそれぞれと伝熱板本体部161との間に介在している。伝熱板本体部161の曲部161aは、気流Aの方向に対して伝熱管15の上流側端面153よりも緩やかに傾斜している。
【0041】
伝熱管15の第2の厚さ方向端面152及び下流側端面154は、外部に露出している。伝熱板16の上流側の延在部162は、曲部161aの端部から気流Aの上流側へ延在している。また、伝熱板16の上流側の延在部162は、伝熱管15の厚さ方向について、伝熱管15の第2の厚さ方向端面152の位置に合わせて配置されている。
【0042】
図13は、
図12の複数の熱交換部材14の間を通過する気流Aの流れを示す断面図である。複数の熱交換部材14の間を通過する気流Aは、
図13の矢印で示すように、熱交換部材14の表面に沿って流れる。従って、上流側の延在部162から伝熱板本体部161に達した気流Aは、伝熱管15の上流側端面153に衝突することなく、曲部161aの表面に沿って滑らかに流れる。また、上流側の延在部162から伝熱管15の第2の厚さ方向端面152に達した気流Aは、そのまま第2の厚さ方向端面152に沿って流れる。これにより、複数の熱交換部材14の間を通過するときの気流Aの流れの抵抗が低減される。他の構成は実施の形態1と同様である。
【0043】
このような室外熱交換器3では、伝熱板16が、伝熱管15の外周面を覆う曲部161aを有し、上流側の延在部162が曲部161aの端部から延在しているので、気流Aが曲部161aに沿って滑らかに流れるようにすることができる。これにより、複数の熱交換部材14の間を通過する気流Aの流れの抵抗を低減することができる。また、伝熱管15の外周面と伝熱板本体部161との間の伝熱面積を拡大することもできる。従って、室外熱交換器3の熱交換性能をさらに向上させることができる。さらに、伝熱管15と伝熱板16とを組み合わせるときに、伝熱管15に対する伝熱板16の位置を曲部161aの位置に基づいて容易に特定することができる。これにより、室外熱交換器3の製造をさらに容易にすることができる。
【0044】
なお、上記の例では、上流側の延在部162が、伝熱管15の厚さ方向について、伝熱管15の第2の厚さ方向端面152の位置に合わせて配置されているが、伝熱管15の第2の厚さ方向端面152の位置に対して上流側の延在部162を伝熱管15の厚さ方向へずらして配置してもよい。このようにしても、気流Aが曲部161aに沿って滑らかに流れるようにすることができ、複数の熱交換部材14の間を通過する気流Aの流れの抵抗を低減することができる。
【0045】
また、上記の例では、気流Aの方向についての伝熱板本体部161の上流側の端部のみが曲部161aになっているが、
図14に示すように、気流Aの方向についての伝熱板本体部161の上流側及び下流側のそれぞれの端部を曲部161a,161bとしてもよい。この場合、伝熱板本体部161の上流側の曲部161aが伝熱管15の上流側端面153を覆い、伝熱板本体部161の下流側の曲部161bが伝熱管15の下流側端面154を覆う。また、この場合、上流側の延在部162が上流側の曲部161aの端部から延在し、下流側の延在部163が下流側の曲部161bの端部から延在する。さらに、この場合、上流側及び下流側のそれぞれの延在部162,163が、伝熱管15の厚さ方向について、伝熱管15の第2の厚さ方向端面152の位置に合わせて配置される。
【0046】
実施の形態4.
図15は、この発明の実施の形態4による室外熱交換器3の熱交換部材14を示す断面図である。気流Aの方向についての伝熱板本体部161の上流側及び下流側のそれぞれの端部は、伝熱管15の外周面を覆う曲部161a,161bになっている。伝熱板本体部161の上流側の曲部161aは伝熱管15の上流側端面153を覆っており、伝熱板本体部161の下流側の曲部161bは伝熱管15の下流側端面154を覆っている。
【0047】
伝熱管15は、伝熱板本体部161の上流側及び下流側のそれぞれの曲部161a,161bが弾性変形された状態で曲部161a,161b間に把持されている。上流側の曲部161aは伝熱管15の上流側の端部を押圧する方向へ弾性復元力を発生し、下流側の曲部161bは伝熱管15の下流側の端部を押圧する方向へ弾性復元力を発生している。これにより、伝熱板16は、伝熱板本体部161が伝熱管15の外周面に接触した状態で伝熱管15に保持されている。この例では、伝熱管15の外周面と伝熱板本体部161との間に接合部材17は介在していない。
【0048】
熱交換部材14を製造するときには、上流側及び下流側のそれぞれの曲部161a,161bが互いに離れる方向へ曲部161a,161bを弾性変形させた状態で、曲部161a,161b間に伝熱管15を挿入した後、曲部161a,161bの弾性変形を復元させる。これにより、伝熱管15が曲部161a,161b間に把持され、伝熱板16が伝熱管15に固定される。熱交換部材14は、伝熱板16が伝熱管15に固定されることにより完成する。他の構成は実施の形態1と同様である。
【0049】
このような室外熱交換器3では、伝熱板本体部161の上流側及び下流側のそれぞれの曲部161a,161bの弾性復元力によって、伝熱管15が曲部161a,161b間に保持されているので、伝熱板16を伝熱管15に接合する接合部材17を不要にすることができる。これにより、熱交換部材14の製造を容易にすることができる。
【0050】
実施の形態5.
図16は、この発明の実施の形態5による室外熱交換器3の熱交換部材14を切断した状態を示す斜視図である。また、
図17は、
図16の熱交換部材14を示す断面図である。上流側の延在部162には、延在部162での熱伝導を抑制する熱抵抗部としての複数の切り込み部21が設けられている。切り込み部21は、延在部162の厚さ方向に貫通する線状の切り目である。この例では、複数の切り込み部21が伝熱管15の長手方向に沿って延在部162に設けられている。他の構成は実施の形態1と同様である。
【0051】
ここで、室外熱交換器3が蒸発器として機能する場合、熱交換部材14に着霜が生じることがある。熱交換部材14に対する着霜量は、冷媒流路18を流れる冷媒Bの温度と気流Aの温度との差が拡大するにつれて多くなる。熱交換部材14に対する着霜量が多くなると、複数の熱交換部材14の間の空間が霜によって狭くなってしまい、気流Aが複数の熱交換部材14の間を通過しにくくなってしまう。
【0052】
本実施の形態では、複数の切り込み部21によって延在部162から伝熱管15への熱の移動が抑制される。これにより、延在部162の温度の低下が抑制され、熱交換部材14に着霜が発生しにくくなる。また、熱交換部材14に着霜が発生した場合でも、着霜量が少なくなる。
【0053】
このような室外熱交換器3では、延在部162の先端部から伝熱板本体部161に向かう方向への熱伝導を抑制する熱抵抗部としての複数の切り込み部21が上流側の延在部162に設けられているので、上流側の延在部162の温度の低下を抑制することができる。これにより、延在部162の温度と気流Aの温度との差が拡大することを抑制することができ、熱交換部材14に着霜が生じにくくすることができる。
【0054】
なお、上記の例では、複数の切り込み部21が熱抵抗部として用いられているが、これに限定されない。例えば、
図18及び
図19に示すように、複数の切り起こし部22を熱抵抗部として用いてもよい。切り起こし部22は、延在部162に形成した2本の平行な切り目の間の部分を延在部162の厚さ方向へ変形させて起こした部分である。この場合、複数の切り起こし部22は、伝熱管15の長手方向に沿って設けられる。
【0055】
また、例えば、
図20及び
図21に示すように、複数のルーバ23を熱抵抗部として用いてもよい。ルーバ23は、延在部162に形成した2本の平行な切り目の間の部分を変形させて延在部162の面に対して傾斜させた部分である。この場合、複数のルーバ23は、伝熱管15の長手方向に沿って設けられる。
【0056】
また、上記の例では、熱抵抗部としての切り込み部21、切り起こし部22又はルーバ23が実施の形態1での熱交換部材14に適用されているが、熱抵抗部としての切り込み部21、切り起こし部22又はルーバ22を実施の形態2~4での熱交換部材14に適用してもよい。
【0057】
実施の形態6.
図22は、この発明の実施の形態6による室外熱交換器3の熱交換部材14を示す断面図である。熱交換器本体11は、複数の第1の熱交換部材32及び複数の第2の熱交換部材34を複数の熱交換部材として有している。複数の第1の熱交換部材32及び複数の第2の熱交換部材34のそれぞれの構成は、実施の形態3による熱交換部材14の構成と同様である。
【0058】
複数の第1の熱交換部材32は、第1の列31に互いに間隔を置いて並べられている。第1の列では、z方向において複数の第1の熱交換部材32が並べられている。各第1の熱交換部材32は、伝熱管15の厚さ方向をz方向と一致させた状態で配置されている。
【0059】
複数の第2の熱交換部材34は、x方向について第1の列31から離れた位置にある第2の列33に互いに間隔を置いて並べられている。この例では、第2の列33が第1の列31よりも気流Aの下流側に位置している。第2の列33では、z方向において複数の第2の熱交換部材34が並べられている。各第2の熱交換部材34は、伝熱管15の厚さ方向をz方向と一致させた状態で配置されている。
【0060】
複数の第2の熱交換部材34のそれぞれは、x方向に沿って見たとき、複数の熱交換部材32の間に配置されている。即ち、x方向に沿って熱交換器本体11を見たとき、各第2の熱交換部材34が各第1の熱交換部材32に重なることが回避されている。この例では、z方向について第1の列31および第2の列33に交互に位置する千鳥状の位置に第1の熱交換部材32及び第2の熱交換部材34が配置されている。
【0061】
各第2の熱交換部材34の上流側の延在部162は、複数の第1の熱交換部材32の間の空間内に配置されている。各第1の熱交換部材32の下流側の延在部163は、複数の第2の熱交換部材34の間の空間内に配置されている。これにより、熱交換器本体11では、複数の第1の熱交換部材32及び複数の第2の熱交換部材34が並ぶ方向であるz方向に沿って見たとき、各第2の熱交換部材34の上流側の延在部162が第1の熱交換部材32の下流側の部分に重なり、各第1の熱交換部材32の下流側の延在部163が第2の熱交換部材34の上流側の部分に重なっている。他の構成は実施の形態3と同様である。
【0062】
このような室外熱交換器3では、x方向に沿って見たとき、複数の第2の熱交換部材34が複数の第1の熱交換部材32の間に配置されているので、第1の熱交換部材32を避けて、第2の列33に配置された第2の熱交換部材34の延在部162を第1の列31側へ延長させることができる。また、第2の熱交換部材34を避けて、第1の熱交換部材32の延在部163を第2の列33側へ延長させることができる。さらに、第2の熱交換部材34の第1の列31側の部分を、複数の第1の熱交換部材32の第2の列33側の部分の間に挿入することができるので、x方向についての熱交換器本体11の寸法の拡大を抑制することができる。また、伝熱板16が伝熱管15とは別部材になっていることにより伝熱板16の厚さを薄くすることができることから、第2の熱交換部材34の上流側の延在部162を複数の第1の熱交換部材32の間に挿入しても、気流Aの流路が縮小してしまうことを抑制することができる。これにより、熱交換器本体11の大型化を抑制しながら、気流Aに対する第1及び第2の熱交換部材32,34のそれぞれの伝熱面積を拡大することができ、熱交換器本体11の熱交換性能をさらに向上させることができる。
【0063】
なお、上記の例では、熱交換部材が並ぶ列の数が第1の列31及び第2の列33の2つになっているが、これに限定されず、熱交換部材が並ぶ列の数を3つ以上にしてもよい。この場合、互いに隣り合う2つの列のうち、一方の列に並ぶ複数の熱交換部材のそれぞれは、他方の列に並ぶ複数の熱交換部材の間に配置される。
【0064】
また、上記の例では、第1の熱交換部材32において、伝熱板本体部161から気流Aの上流側及び下流側へ延在部162,163がそれぞれ突出しているが、第1の熱交換部材32において、気流Aの上流側及び下流側のうち上流側にのみ延在部162が伝熱板本体部161から突出していてもよいし、気流Aの上流側及び下流側のうち下流側にのみ延在部163が伝熱板本体部161から突出していてもよい。
【0065】
また、上記の例では、第2の熱交換部材34において、伝熱板本体部161から気流Aの上流側及び下流側へ延在部162,163がそれぞれ突出しているが、第2の熱交換部材34において、気流Aの上流側及び下流側のうち上流側にのみ延在部162が伝熱板本体部161から突出していてもよいし、気流Aの上流側及び下流側のうち下流側にのみ延在部163が伝熱板本体部161から突出していてもよい。
【0066】
また、上記の例では、実施の形態3での熱交換部材14の構成が第1の熱交換部材32に適用されているが、実施の形態1、2、4又は5での熱交換部材14の構成を第1の熱交換部材32に適用してもよい。
【0067】
また、上記の例では、実施の形態3での熱交換部材14の構成が第2の熱交換部材34に適用されているが、実施の形態1、2、4又は5での熱交換部材14の構成を第2の熱交換部材34に適用してもよい。
【0068】
実施の形態7.
図23は、この発明の実施の形態7による室外熱交換器3の熱交換器本体11の要部を示す正面図である。熱交換器本体11は、複数の熱交換部材14と、互いに隣り合う2つの熱交換部材14間に接続されている伝熱フィン41とを有している。複数の熱交換部材14の配置及び構成は、実施の形態1と同様である。
【0069】
この例では、波状に形成されたコルゲートフィンが伝熱フィン41として用いられている。また、この例では、気流Aの方向、即ちx方向について熱交換部材14の下流側の部分にのみ伝熱フィン41が接続されている。伝熱フィン41を構成する材料としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、銅、又は銅合金が用いられている。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0070】
このような室外熱交換器3では、互いに隣り合う2つの熱交換部材14間に伝熱フィン41が接続されているので、気流Aに対する熱交換器本体11の伝熱面積を伝熱フィン41によってさらに拡大することができる。これにより、熱交換器本体11の熱交換性能をさらに向上することができる。
【0071】
また、伝熱フィン41は、気流Aの方向について熱交換部材14の下流側の部分にのみ接続されているので、着霜が生じやすい熱交換部材14の上流側の部分を避けて伝熱フィン41を配置することができる。これにより、着霜の発生による伝熱フィン41の伝熱性能の低下を抑制することができる。
【0072】
なお、上記の例では、気流Aの方向について熱交換部材14の一部にのみ伝熱フィン41が接続されているが、気流Aの方向について熱交換部材14の全範囲に伝熱フィン41を接続してもよい。
【0073】
また、上記の例では、実施の形態1での熱交換器本体11に伝熱フィン41が適用されているが、実施の形態2~6での熱交換器本体11に伝熱フィン41を適用してもよい。
【0074】
実施の形態8.
図24は、この発明の実施の形態8による室外熱交換器3を示す斜視図である。室外熱交換器3は、熱交換器本体11と、第3方向であるx方向において熱交換器本体11の複数の熱交換部材14の風上側、即ち複数の熱交換部材14よりも気流Aの上流側に配置されている渦発生器42とを有している。熱交換器本体11の構成は、実施の形態1と同様である。
【0075】
渦発生器42は、気流Aを渦流とする。また、渦発生器42は、第3方向であるx方向において熱交換器本体11から離して配置されている。渦発生器42と熱交換器本体11との間に存在する隙間は、可能な限り狭くされている。渦発生器42を通過した気流Aは、渦流となって複数の熱交換部材14の間を通過する。これにより、冷媒流路18を流れる冷媒Bと気流Aとの間の熱交換が、熱交換部材14の上流側の端部から熱交換部材14の下流側の端部にかけて促進される。他の構成は実施の形態1と同様である。
【0076】
このような室外熱交換器3では、渦発生器42がx方向において熱交換器本体11の風上側に配置されているので、気流Aを渦流にした状態で熱交換器本体11に供給することができる。これにより、冷媒Bと気流Aとの間の熱交換を各熱交換部材14において促進することができ、室外熱交換器3の熱交換性能をさらに向上させることができる。
【0077】
また、渦発生器42は、熱交換器本体11から離れた位置に配置されているので、熱交換部材14の熱が渦発生器42に伝わることを防止することができる。これにより、渦発生器42に着露及び着霜が発生することを防止することができ、渦発生器42において着露及び着霜が気流Aを阻害することを防止することができる。
【0078】
なお、上記の例では、渦発生器42がx方向において熱交換器本体11から離して配置されているが、熱交換器本体11の各熱交換部材14に渦発生器42を接触させてもよい。このようにしても、渦発生器42を熱交換器本体11よりも気流Aの上流側に配置することにより、気流Aを渦流にした状態で熱交換器本体11に供給することができ、熱交換器本体11での熱交換性能の向上を図ることができる。
【0079】
また、上記の例では、実施の形態1での室外熱交換器3に渦発生器42が適用されているが、実施の形態2~7での室外熱交換器3に渦発生器42を適用してもよい。
【0080】
また、実施の形態1~3、5~8では、伝熱板16を伝熱管15に接合する接合部材として接合部材17が用いられているが、これに限定されず、例えば、熱伝導性能を持つ接着剤を接合部材として用いてもよい。
【0081】
また、実施の形態1~3、5~8では、伝熱板16が接合部材17を介して伝熱管15に接合されているが、伝熱管15に伝熱板16を例えば溶着又は摩擦撹拌接合によって直接接合してもよい。
【0082】
また、実施の形態1、3~8では、断面形状が扁平形状になっている扁平管が伝熱管15として用いられているが、実施の形態2と同様に、断面形状が円形状になっている円管を伝熱管15として用いてもよい。
【0083】
また、実施の形態1~5、7及び8では、伝熱板本体部161から気流Aの上流側及び下流側へ延在部162,163がそれぞれ突出しているが、気流Aの上流側及び下流側のうち上流側にのみ延在部162が伝熱板本体部161から突出していてもよいし、気流Aの上流側及び下流側のうち下流側にのみ延在部163が伝熱板本体部161から突出していてもよい。
【0084】
また、各上記実施の形態では、室外熱交換器3にこの発明が適用されているが、室内熱交換器5にこの発明を適用してもよい。さらに、各上記実施の形態では、この発明の冷凍サイクル装置が空気調和機1として用いられているが、これに限定されず、例えば冷蔵装置、冷凍装置、給湯器等としてこの発明の冷凍サイクル装置を用いてもよい。また、各上記実施の形態では、四方弁6を有して冷房運転及び暖房運転を切り替え可能な冷凍サイクル装置にこの発明が適用されているが、四方弁6を有さない冷凍サイクル装置の熱交換器にこの発明を適用してもよい。
【0085】
また、この発明は各上記実施の形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。さらに、各上記実施の形態を組み合わせてこの発明を実施することもできる。
【符号の説明】
【0086】
1 空気調和機(冷凍サイクル装置)、3 室外熱交換器(熱交換器)、12 第1のヘッダタンク、13 第2のヘッダタンク、14 熱交換部材、15 伝熱管、16 伝熱板、17 接合部材、21 切り込み部(熱抵抗部)、22 切り起こし部(熱抵抗部)、23 ルーバ(熱抵抗部)、31 第1の列、32 第1の熱交換部材、33 第2の列、34 第2の熱交換部材、41 伝熱フィン、42 渦発生器、161a,161b 曲部、162,163 延在部。