(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】撮像装置、撮像方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20220613BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
G03B5/00 J
H04N5/232 480
(21)【出願番号】P 2021070971
(22)【出願日】2021-04-20
(62)【分割の表示】P 2020540118の分割
【原出願日】2019-07-10
【審査請求日】2021-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2018161651
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗林 宏輔
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/044803(WO,A1)
【文献】特開2008-067174(JP,A)
【文献】国際公開第2014/030390(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00-5/08
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像レンズと、
前記撮像レンズを通過した光学像を撮像する撮像素子を含む
撮像装置本体と、
補正用レンズで像ぶれの補正を行う第1補正部と、
前記
撮像装置本体の内部で像ぶれの補正を行う第2補正部と、
像ぶれのぶれ量のうち、第1周波数帯域のぶれ量である第1周波部分を、前記第1補正部又は前記第2補正部のいずれか一方によって補正させ、前記第1周波数帯域よりも高周波の第2周波数帯域のぶれ量である第2周波部分を、前記第1補正部及び前記第2補正部の両方を用いて補正させる制御を行う制御部と、
を備え
、
前記第2周波部分は0.3Hz以上の周波部分である
撮像装置。
【請求項2】
前記撮像レンズのぶれ量を検出する第1検出部と、
前記
撮像装置本体のぶれ量を検出する第2検出部と、を更に備え、
前記制御部は、前記第1検出部によるぶれ量の検出性能と、前記第2検出部によるぶれ量の検出性能とが異なる場合に、前記像ぶれのぶれ量として、前記第1検出部により検出されたぶれ量及び前記第2検出部により検出されたぶれ量の少なくとも一方を用いて前記制御を行う
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1検出部によるぶれ量の検出性能が前記第2検出部によるぶれ量の検出性能よりも高い場合に前記第1周波部分を前記第1補正部によって補正させ、前記第2検出部によるぶれ量の検出性能が前記第1検出部によるぶれ量の検出性能よりも高い場合に前記第1周波部分を前記第2補正部によって補正させる制御を行う
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第2補正部の像ぶれの周波数帯域は、前記第1補正部の像ぶれの周波数帯域と異なるものであって、
前記制御部は、前記第1補正部又は前記第2補正部のうち、前記像ぶれの周波数帯域の下限値が低い補正部によって、前記第1周波部分を補正させる
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1検出部及び前記第2検出部は、フィルターを含み、
前記第1周波部分は、前記第1検出部及び前記第2検出部のうちのぶれ量の検出性能が低い方の前記フィルターよりも低周波のぶれ量である
請求項2から請求項4の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1周波部分は0.1Hz以上0.3Hz未満の周波部分である
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1補正部による補正量の最大値と前記第2補正部による補正量の最大値との比で、前記第2周波部分を前記第1補正部及び前記第2補正部の両方によって補正させる制御を行う
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
撮像レンズと、前記撮像レンズを通過した光学像を撮像する撮像素子を含む
撮像装置本体と、補正用レンズで像ぶれの補正を行う第1補正部と、前記
撮像装置本体の内部で像ぶれの補正を行う第2補正部と、を備えた撮像装置が実行する撮像方法であって、
像ぶれのぶれ量のうち、第1周波数帯域のぶれ量である第1周波部分を、前記第1補正部又は前記第2補正部のいずれか一方によって補正させ、
かつ前記第1周波数帯域よりも高周波の第2周波数帯域のぶれ量である第2周波部分を、前記第1補正部及び前記第2補正部の両方を用いて補正させ
、
前記第2周波部分は0.3Hz以上の周波部分である
撮像方法。
【請求項9】
撮像レンズと、前記撮像レンズを通過した光学像を撮像する撮像素子を含む
撮像装置本体と、補正用レンズで像ぶれの補正を行う第1補正部と、前記
撮像装置本体の内部で像ぶれの補正を行う第2補正部と、を備えた撮像装置を制御するコンピュータに、
像ぶれのぶれ量のうち、第1周波数帯域のぶれ量である第1周波部分を、前記第1補正部又は前記第2補正部のいずれか一方によって補正させ、
かつ前記第1周波数帯域よりも高周波の第2周波数帯域のぶれ量である第2周波部分を、前記第1補正部及び前記第2補正部の両方を用いて補正させる制御を行う
処理を実行させるためのプログラム
であって、
前記第2周波部分は0.3Hz以上の周波部分である
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置、撮像方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手ぶれ補正等のために、撮像レンズ及び撮像装置本体の双方にぶれ補正機能を有する撮像装置が知られている。
【0003】
この種の撮像装置に関する技術として、撮像装置本体と撮像レンズとが周波数帯域を分けずに分担してぶれの補正を行う撮像装置が開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、像ぶれのぶれ量のうち、低周波部分を撮像装置本体のぶれ補正機能によって補正し、高周波部分を撮像レンズのぶれ補正機能によって補正する撮像装置が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-91792号公報
【文献】特開2017-161891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、撮像装置本体と撮像レンズとが周波数帯域を分けずに分担してぶれ補正を行う技術では、検出したぶれのうち、補正できない部分が存在する場合がある結果、ぶれを精度よく補正できない場合があった。
【0007】
一方、撮像装置本体と撮像レンズとが異なる周波数帯域のぶれの補正を行う技術では、ぶれ量が比較的大きい場合等、ぶれを精度よく補正できない場合があった。
【0008】
本開示は、以上の事情を鑑みて成されたものであり、ぶれを精度よく補正することができる撮像装置、撮像方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の撮像装置は、撮像レンズと、撮像レンズを通過した光学像を撮像する撮像素子を含む収容体と、補正用レンズで像ぶれの補正を行う第1補正部と、収容体の内部で像ぶれの補正を行う第2補正部と、像ぶれのぶれ量のうち、第1周波数帯域のぶれ量である第1周波部分を、第1補正部又は第2補正部のいずれか一方によって補正させ、第1周波数帯域よりも高周波の第2周波数帯域のぶれ量である第2周波部分を、第1補正部及び第2補正部の両方を用いて補正させる制御を行う制御部と、を備える。
【0010】
なお、本開示の撮像装置は、撮像レンズのぶれ量を検出する第1検出部と、収容体のぶれ量を検出する第2検出部と、を更に備え、制御部が、第1検出部によるぶれ量の検出性能と、第2検出部によるぶれ量の検出性能とが異なる場合に、像ぶれのぶれ量として、第1検出部により検出されたぶれ量及び第2検出部により検出されたぶれ量の少なくとも一方を用いて上記制御を行ってもよい。
【0011】
また、本開示の撮像装置は、制御部が、第1検出部によるぶれ量の検出性能が第2検出部によるぶれ量の検出性能よりも高い場合に第1周波部分を第1補正部によって補正させ、第2検出部によるぶれ量の検出性能が第1検出部によるぶれ量の検出性能よりも高い場合に第1周波部分を第2補正部によって補正させる制御を行ってもよい。
【0012】
また、本開示の撮像装置は、第2補正部の像ぶれの周波数帯域が、第1補正部の像ぶれの周波数帯域と異なるものであって、制御部が、第1補正部又は第2補正部のうち、像ぶれの周波数帯域の下限値が低い補正部によって、第1周波部分を補正させてもよい。
【0013】
また、本開示の撮像装置は、第1検出部及び第2検出部が、フィルターを含み、第1周波部分が、第1検出部及び第2検出部のうちのぶれ量の検出性能が低い方のフィルターよりも低周波のぶれ量であってもよい。
【0014】
また、本開示の撮像装置は、制御部が、撮像レンズに設けられ、かつ第1補正部を制御する第1制御部と、収容体に設けられ、かつ第2補正部を制御する第2制御部とを含んでもよい。
【0015】
また、本開示の撮像装置は、制御部が、第1補正部による補正量の最大値と第2補正部による補正量の最大値との比で、第2周波部分を第1補正部及び第2補正部の両方によって補正させる制御を行ってもよい。
【0016】
本開示の撮像方法は、撮像レンズと、撮像レンズを通過した光学像を撮像する撮像素子を含む収容体と、補正用レンズで像ぶれの補正を行う第1補正部と、収容体の内部で像ぶれの補正を行う第2補正部と、を備えた撮像装置が実行する撮像方法であって、像ぶれのぶれ量のうち、第1周波数帯域のぶれ量である第1周波部分を、第1補正部又は第2補正部のいずれか一方によって補正させ、かつ第1周波数帯域よりも高周波の第2周波数帯域のぶれ量である第2周波部分を、第1補正部及び第2補正部の両方を用いて補正させるものである。
【0017】
また、本開示のプログラムは、撮像レンズと、撮像レンズを通過した光学像を撮像する撮像素子を含む収容体と、補正用レンズで像ぶれの補正を行う第1補正部と、収容体の内部で像ぶれの補正を行う第2補正部と、を備えた撮像装置を制御するコンピュータに、像ぶれのぶれ量のうち、第1周波数帯域のぶれ量である第1周波部分を、第1補正部又は第2補正部のいずれか一方によって補正させ、かつ第1周波数帯域よりも高周波の第2周波数帯域のぶれ量である第2周波部分を、第1補正部及び第2補正部の両方を用いて補正させる制御を行う処理を実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、ぶれを精度よく補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】OIS及びBISによって周波数帯域を分けずに分担してぶれの補正を行う場合の問題点を説明するための図である。
【
図2】OIS及びBISによって異なる周波数帯域のぶれの補正を行う処理の概念図である。
【
図3】OIS及びBISによって異なる周波数帯域のぶれの補正を行う場合の問題点を説明するための図である。
【
図4】実施形態に係る撮像装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】実施形態に係る撮像装置に含まれる撮像レンズのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】実施形態に係る第1検出部及び第2検出部の構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】実施形態に係る撮像レンズに含まれるレンズ側主制御部の二次記憶部の記憶内容の一例を示す概念図である。
【
図8】実施形態に係る撮像装置本体に含まれる本体側主制御部の二次記憶部の記憶内容の一例を示す概念図である。
【
図9】実施形態に係るぶれ補正処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】実施形態に係るぶれ補正処理を説明するための図である。
【
図11】実施形態に係るぶれ補正処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本開示の技術を実施するための形態例を詳細に説明する。なお、以下では、撮像レンズによるぶれ補正をOIS(Optical Image Stabilizer)といい、撮像装置本体によるぶれ補正をBIS(Body Image Stabilizer)という。
【0021】
まず、実施形態の詳細を説明する前に、OIS及びBISによって周波数帯域を分けずに分担してぶれの補正を行う場合の問題点と、OIS及びBISによって異なる周波数帯域のぶれの補正を行う場合の問題点を説明する。なお、ここでは、説明を分かり易くするために、BISが0.1Hz以上の周波数のぶれを補正でき、OISが0.3Hz以上の周波数のぶれを補正できる場合を例に説明する。このOIS及びBISがぶれを補正できる周波数帯域の下限値は、例えば、撮像装置本体及び撮像レンズがそれぞれ備える、ぶれを検出する検出部のぶれの検出性能に応じて定められる。
【0022】
図1に示すように、周波数を分けずに所定の分担比率(
図1の例では1:1)で分担してOIS及びBISによってぶれの補正を行う場合、0.1Hz以上0.3Hz未満の周波数帯域のぶれは、50%しか補正できない。これは、OISが0.3Hz未満の周波数のぶれを補正できないためである。なお、
図1では、0.1Hz以上0.3Hz未満の周波数帯域のぶれの補正ができない部分を破線の矩形で示している。
【0023】
一方、
図2に示すように、検出したぶれのうち、OISで0.3Hz以上の高周波部分を補正し、かつBISで0.1Hz以上0.3Hz未満の低周波部分を補正する場合を考える。この場合、
図3に示すように、ぶれ量が比較的大きい場合は、OISでのぶれの補正量の最大値及びBISでのぶれの補正量の最大値を超える部分のぶれを補正できない。なお、
図3では、この補正できない部分を破線の矩形で示している。また、
図3では、OISでのぶれの補正量の最大値とBISでのぶれの補正量の最大値とが同じ値である場合の例を示している。
【0024】
そこで、本実施形態では、像ぶれのぶれ量のうち、所定周波数未満の低周波部分をOIS又はBISで補正し、所定周波数以上の高周波部分をOIS及びBISの双方で分担して補正する。
【0025】
次に、
図4及び
図5を参照して、本実施形態に係る撮像装置10の構成を説明する。
図4に示すように、撮像装置10は、レンズ交換式のデジタルカメラであり、撮像装置本体12及び撮像レンズ14を含む。撮像レンズ14は、撮像装置本体12に対して交換可能に装着される。
【0026】
本実施形態に係る撮像装置10は、撮像系の動作モードとして、静止画撮像モードと動画撮像モードとを有する。静止画撮像モードは、被写体が撮像されて得られた静止画像を記録する動作モードであり、動画撮像モードは、被写体が撮像されて得られた動画像を記録する動作モードである。
【0027】
撮像装置10では、ユーザから撮像装置10に対して与えられた指示に応じて、静止画撮像モードと動画撮像モードとが選択的に設定される。また、静止画撮像モードでは、ユーザから撮像装置10に対して与えられた指示に応じて、マニュアルフォーカスモードとオートフォーカスモードとが選択的に設定される。なお、以下では、オートフォーカスを「AF(AutoFocus)」と表記する。
【0028】
AFモードでは、撮像装置本体12に設けられたレリーズボタン(図示省略)を半押し状態にすることにより撮像条件の調整が行われ、その後、引き続き全押し状態にすると本露光が行われる。つまり、レリーズボタンを半押し状態にすることによりAE(AutoExposure:自動露出)機能が働いて露出状態が設定された後、AF機能が働いて合焦制御が行われ、レリーズボタンを全押し状態にすると撮像が行われる。
【0029】
撮像装置本体12はマウント13を備えており、撮像レンズ14は、マウント15を備えている。撮像レンズ14は、マウント13にマウント15が結合されることにより撮像装置本体12に交換可能に装着される。撮像レンズ14は、レンズユニット18、絞り19、及び制御装置20を含む。絞り19は、レンズユニット18よりも撮像装置本体12側に設けられており、レンズユニット18を透過した被写体光の光量を調節し、被写体光を撮像装置本体12内に導く。制御装置20は、マウント13、15を介して撮像装置本体12に電気的に接続されており、撮像装置本体12からの指示に従って撮像レンズ14の全体を制御する。
【0030】
撮像装置本体12は、撮像素子22、第1ミラー24、第2ミラー26、本体側主制御部28、ミラー駆動部30、撮像素子ドライバ32、画像信号処理回路34、画像メモリ36、画像処理部38、表示制御部40、及びディスプレイ42を含む。また、撮像装置本体12は、受付I/F(InterFace)44、受付デバイス46、メディアI/F48、メモリカード50、外部I/F52、及びファインダ54を更に含む。また、撮像装置本体12は、第2駆動部33、撮像素子位置センサ35、及び第2検出部58を更に含む。撮像素子22が、撮像レンズ14を通過した光学像を撮像する撮像素子の一例である。
【0031】
本体側主制御部28は、撮像装置10を制御するコンピュータの一例であり、CPU(Central Processing Unit)60、一次記憶部62、及び二次記憶部64を備えている。CPU60は、撮像装置10の全体を制御する。一次記憶部62は、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。一次記憶部62の一例としては、RAM(Random Access Memory)が挙げられる。二次記憶部64は、各種プログラム及び各種パラメータ等を予め記憶した不揮発性のメモリである。二次記憶部64の一例としては、フラッシュメモリが挙げられる。
【0032】
CPU60、一次記憶部62、及び二次記憶部64は、バスライン56に接続されている。また、ミラー駆動部30、撮像素子ドライバ32、画像信号処理回路34、画像メモリ36、画像処理部38、表示制御部40、受付I/F44、メディアI/F48、及び外部I/F52も、バスライン56に接続されている。また、第2駆動部33、撮像素子位置センサ35、及び第2検出部58も、バスライン56に接続されている。
【0033】
第1ミラー24は、撮像素子22の受光面22Aとレンズユニット18との間に介在しており、受光面被覆位置αと受光面開放位置βとに移動可能な可動ミラーである。第1ミラー24は、ミラー駆動部30に接続されており、ミラー駆動部30は、CPU60の制御下で、第1ミラー24を駆動させ、第1ミラー24を受光面被覆位置αと受光面開放位置βとに選択的に配置する。すなわち、第1ミラー24は、受光面22Aに対して被写体光を受光させない場合にミラー駆動部30によって受光面被覆位置αに配置され、受光面22Aに対して被写体光を受光させる場合にミラー駆動部30によって受光面開放位置βに配置される。
【0034】
受光面被覆位置αでは、第1ミラー24が受光面22Aを覆い、かつ、レンズユニット18から導かれた被写体光を反射して第2ミラー26に導く。第2ミラー26は、第1ミラー24から導かれた被写体光を反射することで光学系(図示省略)を介して、ファインダ54に導く。ファインダ54は、第2ミラー26によって導かれた被写体光を透過させる。受光面開放位置βでは、第1ミラー24によって受光面22Aが覆われた状態が解除され、被写体光が第1ミラー24で反射されることなく、受光面22Aによって受光される。
【0035】
撮像素子ドライバ32は、撮像素子22に接続されており、CPU60の制御下で、撮像素子22に駆動パルスを供給する。撮像素子22の各画素は、撮像素子ドライバ32によって供給された駆動パルスに従って駆動する。なお、本実施形態では、撮像素子22として、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを用いているが、本開示の技術はこれに限定されるものではなく、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の他のイメージセンサを用いてもよい。
【0036】
画像信号処理回路34は、CPU60の制御下で、撮像素子22から1フレーム分の画像信号を画素毎に読み出す。画像信号処理回路34は、読み出した画像信号に対して、相関二重サンプリング処理、自動利得調整、及びA/D変換等の各種処理を行う。画像信号処理回路34は、画像信号に対して各種処理を行うことでデジタル化した画像信号を、CPU60から供給されるクロック信号で規定される所定のフレームレート(例えば、数十フレーム/秒)で1フレーム毎に画像メモリ36に出力する。画像メモリ36は、画像信号処理回路34から入力された画像信号を一時的に保持する。
【0037】
画像処理部38は、画像メモリ36から所定のフレームレートで1フレーム毎に画像信号を取得し、取得した画像信号に対して、ガンマ補正と、輝度及び色差変換と、圧縮処理等の各種処理を行う。また、画像処理部38は、各種処理を行って得た画像信号を所定のフレームレートで1フレーム毎に表示制御部40に出力する。更に、画像処理部38は、各種処理を行って得た画像信号を、CPU60の要求に応じて、CPU60に出力する。
【0038】
表示制御部40は、ディスプレイ42に接続されており、CPU60の制御下で、ディスプレイ42を制御する。また、表示制御部40は、画像処理部38から入力された画像信号を1フレーム毎に所定のフレームレートでディスプレイ42に出力する。ディスプレイ42は、表示制御部40から所定のフレームレートで入力された画像信号により示される画像をライブビュー画像として表示する。また、ディスプレイ42は、単一フレームで撮像されて得られた単一フレーム画像である静止画像も表示する。なお、ディスプレイ42には、ライブビュー画像の他に、メニュー画面等も表示される。
【0039】
受付デバイス46は、不図示のダイヤル、レリーズボタン、十字キー、MENUキー、及びタッチパネル等を有しており、ユーザからの各種指示を受け付ける。受付デバイス46は、受付I/F44に接続されており、受け付けた指示の内容を示す指示内容信号を受付I/F44に出力する。受付I/F44は、受付デバイス46から入力された指示内容信号をCPU60に出力する。CPU60は、受付I/F44から入力された指示内容信号に応じた処理を実行する。
【0040】
メディアI/F48は、メモリカード50に接続されており、CPU60の制御下で、メモリカード50に対する画像ファイルの記録及び読み出しを行う。メディアI/F48によってメモリカード50から読み出された画像ファイルは、CPU60の制御下で、画像処理部38によって伸長処理が施されてディスプレイ42に再生画像として表示される。
【0041】
外部I/F52は、マウント13にマウント15が接続されることで、撮像レンズ14の制御装置20と接続され、CPU60と制御装置20との間の各種情報の送受信を司る。
【0042】
第2駆動部33は、CPU60の制御下で、撮像素子22を移動させる。本実施形態では、第2駆動部33は、撮像素子22を光軸L1に垂直な面内(例えば、光軸L1をZ軸とした場合のXY平面内)で移動させる。これにより、第2駆動部33は、像ぶれの補正を行う。第2駆動部33が、撮像装置本体12で像ぶれの補正を行う第2補正部の一例である。この第2駆動部33が撮像素子22を移動させることによって行われる像ぶれの補正が、前述したBISに相当する。なお、第2駆動部33は、撮像素子22を移動可能な部材であれば特に限定されない。例えば、第2駆動部33として、磁石とホール素子とを用いた部材を適用してもよいし、ステッピングモータ及び超音波モータ等を含むアクチュエータ等を適用してもよい。
【0043】
撮像素子位置センサ35は、撮像素子22の光軸L1に垂直な面内での位置を検出する。撮像素子位置センサ35により検出された撮像素子22の位置は、第2駆動部33により撮像素子22を移動させる際に用いられる。なお、撮像素子位置センサ35は、撮像素子22の光軸L1に垂直な面内での位置を検出可能なセンサであれば特に限定されない。例えば、撮像素子位置センサ35として、磁気式のセンサを適用してもよいし、光学式のセンサを適用してもよい。
【0044】
第2検出部58は、撮像装置本体12に固定されて設けられ、撮像装置本体12のぶれ量を検出する。なお、第2検出部58の詳細な構成については後述する。
【0045】
一例として
図5に示すように、本実施形態に係るレンズユニット18は、入射レンズ70、ズームレンズ72、補正用レンズ73、及びフォーカスレンズ74を含む。入射レンズ70、ズームレンズ72、補正用レンズ73、及びフォーカスレンズ74は、光軸L1に沿って設けられており、絞り19側から光軸L1に沿ってフォーカスレンズ74、補正用レンズ73、ズームレンズ72、及び入射レンズ70の順に配置されている。
【0046】
被写体光は、入射レンズ70に入射される。入射レンズ70は、被写体光を透過させ、ズームレンズ72に導く。本実施形態に係るズームレンズ72は、光軸L1に沿って移動可能な複数のレンズを含み、ズームレンズ72の状態を調節することによって撮像レンズ14の焦点距離(以下、単に「焦点距離」という)を調節する。具体的には、ズームレンズ72は、撮像レンズ14に設けられたズームリング(図示省略)が回転されることにより各レンズが光軸L1に沿って近づいたり、遠ざかったりすることによってレンズ間の光軸L1に沿った位置関係が調節され、焦点距離が調節される。ズームレンズ72は、入射レンズ70から入射された被写体光を透過させ、補正用レンズ73に導く。
【0047】
補正用レンズ73は、光軸L1に垂直な面内(例えば、光軸L1をZ軸とした場合のXY平面内)において移動可能なレンズであり、光軸L1に垂直な面内において移動することで、像ぶれを補正する。補正用レンズ73は、ズームレンズ72から入射された被写体光を透過させ、フォーカスレンズ74に導く。
【0048】
フォーカスレンズ74は、光軸L1に沿って移動可能なレンズであり、光軸L1に沿って移動することで撮像素子22の受光面22Aに形成される被写体像のピントを変化させる。なお、以下では、単にフォーカスレンズ74の位置と記載した場合は、光軸L1に沿ったフォーカスレンズ74の位置を表すものとする。フォーカスレンズ74は、補正用レンズ73から入射された被写体光を透過させ、絞り19に導く。絞り19は、フォーカスレンズ74から入射された被写体光の光量を調整し、かつ被写体光を透過させて撮像装置本体12に導く。
【0049】
撮像レンズ14の制御装置20は、レンズ側主制御部76、第1検出部78、第1駆動部80、レンズ位置センサ82、及び外部I/F86を含む。
【0050】
レンズ側主制御部76は、CPU88、一次記憶部90、及び二次記憶部92を備えている。CPU88は、撮像レンズ14の全体を制御する。一次記憶部90は、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。一次記憶部90の一例としては、RAMが挙げられる。二次記憶部92は、各種プログラム及び各種パラメータ等を予め記憶した不揮発性のメモリである。二次記憶部92の一例としては、フラッシュメモリが挙げられる。
【0051】
CPU88、一次記憶部90、及び二次記憶部92は、バスライン94に接続されている。また、第1検出部78、第1駆動部80、レンズ位置センサ82、及び外部I/F86も、バスライン94に接続されている。
【0052】
外部I/F86は、マウント15にマウント13が接続されることで、撮像装置本体12の外部I/F52と接続され、外部I/F52と協働して、CPU88と撮像装置本体12のCPU60との間の各種情報の送受信を司る。
【0053】
第1検出部78は、撮像レンズ14に固定されて設けられ、撮像レンズ14のぶれ量を検出する。なお、第1検出部78の詳細な構成については後述する。
【0054】
第1駆動部80は、CPU88の制御下で、補正用レンズ73を移動させる。本実施形態では、第1駆動部80は、補正用レンズ73を光軸L1に垂直な面内で移動させる。これにより、第1駆動部80は、像ぶれの補正を行う。第1駆動部80が、補正用レンズ73で像ぶれの補正を行う第1補正部の一例である。この第1駆動部80が補正用レンズ73を移動させることによって行われる像ぶれの補正が、前述したOISに相当する。なお、第1駆動部80は、補正用レンズ73を移動可能な部材であれば特に限定されない。例えば、第1駆動部80として、磁石とホール素子とを用いた部材を適用してもよいし、ステッピングモータ及び超音波モータ等を含むアクチュエータ等を適用してもよい。
【0055】
レンズ位置センサ82は、補正用レンズ73の光軸L1に垂直な面内での位置を検出する。レンズ位置センサ82により検出された補正用レンズ73の位置は、第1駆動部80により補正用レンズ73を移動させる際に用いられる。なお、レンズ位置センサ82は、補正用レンズ73の光軸L1に垂直な面内での位置を検出可能なセンサであれば特に限定されない。例えば、レンズ位置センサ82として、磁気式のセンサを適用してもよいし、光学式のセンサを適用してもよい。
【0056】
次に、
図6を参照して、本実施形態に係る第1検出部78及び第2検出部58の構成を説明する。
図6に示すように、第2検出部58は、ジャイロセンサ58A、ADC(Analog to Digital Converter)58B、ハイパスフィルター(
図6では、HPF(High Pass Filter)と表記)58C、及び積分器58Dを備えている。ジャイロセンサ58Aは、撮像装置本体12の角速度[deg/sec]を検出し、検出した角速度を表すアナログ信号をADC58Bに出力する。
【0057】
ADC58Bは、ジャイロセンサ58Aから入力された角速度を表すアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換して得られた角速度を表すデジタル信号をハイパスフィルター58Cに出力する。ハイパスフィルター58Cは、ADC58Bから入力された角速度を表すデジタル信号のうち、カットオフ周波数未満の成分を遮断し、カットオフ周波数以上の成分を積分器58Dに出力する。
【0058】
積分器58Dは、ハイパスフィルター58Cから入力されたデジタル信号を積分することによって、撮像装置本体12のぶれ量[deg]を出力する。
【0059】
また、第1検出部78は、ジャイロセンサ78A、ADC78B、ハイパスフィルター78C、及び積分器78Dを備えている。ジャイロセンサ78A、ADC78B、ハイパスフィルター78C、及び積分器78Dは、それぞれジャイロセンサ58A、ADC58B、ハイパスフィルター58C、及び積分器58Dと同様の機能を有する構成部位であるため、説明を省略する。
【0060】
以上の構成により、第1検出部78は、撮像レンズ14のぶれ量を検出し、第2検出部58は、撮像装置本体12のぶれ量を検出する。
【0061】
一例として
図7に示すように、レンズ側主制御部76の二次記憶部92は、レンズ側ぶれ補正プログラム96を記憶している。CPU88は、二次記憶部92からレンズ側ぶれ補正プログラム96を読み出して一次記憶部90に展開し、展開したレンズ側ぶれ補正プログラム96に従って後述するぶれ補正処理(
図9参照)におけるCPU88による処理を実行する。換言すると、CPU88は、レンズ側ぶれ補正プログラム96を実行することで第1駆動部80を制御する第1制御部として動作する。
【0062】
また、レンズ側主制御部76の二次記憶部92は、レンズ側ぶれ補正情報97も記憶している。本実施形態に係るレンズ側ぶれ補正情報97は、第1駆動部80による像ぶれの補正の性能を表す情報として、第1駆動部80による補正量の最大値を含む。この第1駆動部80による補正量の最大値は、補正用レンズ73の移動量の最大値に対応する。
【0063】
また、レンズ側ぶれ補正情報97は、第1検出部78によるぶれ量の検出性能を表す情報として、ハイパスフィルター78Cのカットオフ周波数を含む。本実施形態では、より低周波のぶれ量を検出できる方が好ましいため、カットオフ周波数が低いほど検出性能が高いものとする。なお、ハイパスフィルター78Cのカットオフ周波数は、一般的に、ジャイロセンサ78Aのゼロ点ドリフトと相関関係にあり、ゼロ点ドリフトが大きいほどカットオフ周波数が高くなることが多い。このため、第1検出部78によるぶれ量の検出性能を表す情報として、ジャイロセンサ78Aのゼロ点ドリフトを適用してもよい。なお、ここでいうゼロ点ドリフトとは、ジャイロセンサ78Aが静止した状態でのジャイロセンサ78Aの出力の変動量を意味する。
【0064】
一方、一例として
図8に示すように、本体側主制御部28の二次記憶部64は、本体側ぶれ補正プログラム98を記憶している。CPU60は、二次記憶部64から本体側ぶれ補正プログラム98を読み出して一次記憶部62に展開し、展開した本体側ぶれ補正プログラム98に従って後述するぶれ補正処理(
図9参照)を実行する。換言すると、CPU60は、本体側ぶれ補正プログラム98を実行することで第2駆動部33を制御する第2制御部として動作する。
【0065】
また、本体側主制御部28の二次記憶部64は、本体側ぶれ補正情報99も記憶している。本実施形態に係る本体側ぶれ補正情報99は、第2駆動部33による像ぶれの補正の性能を表す情報として、第2駆動部33による補正量の最大値を含む。この第2駆動部33による補正量の最大値は、撮像素子22の移動量の最大値に対応する。
【0066】
また、本体側ぶれ補正情報99は、第2検出部58によるぶれ量の検出性能を表す情報として、ハイパスフィルター58Cのカットオフ周波数を含む。第2検出部58によるぶれ量の検出性能も、第1検出部78と同様に、ハイパスフィルター58Cのカットオフ周波数が低いほど検出性能が高いものとする。また、第1検出部78と同様に、第2検出部58によるぶれ量の検出性能を表す情報として、ジャイロセンサ58Aのゼロ点ドリフトを適用してもよい。
【0067】
次に、
図9を参照して、本実施形態に係る撮像装置10の作用を説明する。なお、
図9に示すぶれ補正処理は、例えば、撮像装置10の電源スイッチがオン状態とされた場合に実行される。なお、
図9に示すぶれ補正処理は、受付デバイス46のレリーズボタンを介してユーザからの画像の撮像指示が入力された場合に実行されてもよい。
【0068】
図9のステップS10で、CPU60は、外部I/F52を介してレンズ側ぶれ補正情報97を取得する。具体的には、CPU60は、CPU88に対し、レンズ側ぶれ補正情報97を取得する指示を出力する。CPU88は、CPU60からレンズ側ぶれ補正情報97を取得する指示が入力されると、二次記憶部92からレンズ側ぶれ補正情報97を取得する。CPU88は、取得したレンズ側ぶれ補正情報97を、外部I/F86を介してCPU60に出力する。そして、CPU60は、CPU88から入力されたレンズ側ぶれ補正情報97を取得する。
【0069】
ステップS12で、CPU60は、二次記憶部64から本体側ぶれ補正情報99を取得する。ステップS14で、CPU60は、レンズ側ぶれ補正情報97及び本体側ぶれ補正情報99を用いて、第1検出部78によるぶれ量の検出性能と第2検出部58によるぶれ量の検出性能とが等しいか否かを判定する。具体的には、CPU60は、レンズ側ぶれ補正情報97に含まれるハイパスフィルター78Cのカットオフ周波数と本体側ぶれ補正情報99に含まれるハイパスフィルター58Cのカットオフ周波数とが等しいか否かを判定する。この判定が肯定判定となった場合は、処理はステップS24に移行し、否定判定となった場合は、処理はステップS16に移行する。
【0070】
ステップS16で、CPU60は、第1駆動部80及び第2駆動部33による像ぶれの補正における分担比率であるα:(1-α)のαを、以下に示す(1)式に従って導出する。なお、(1)式におけるM1は、第1駆動部80による像ぶれの補正量の最大値を表し、M2は、第2駆動部33による像ぶれの補正量の最大値を表す。換言すると、第1駆動部80及び第2駆動部33による像ぶれの補正における分担比率は、第1駆動部80による像ぶれの補正量の最大値と第2駆動部33による像ぶれの補正量の最大値との比に相当する。
α=M1÷(M1+M2)・・・(1)
【0071】
ステップS18で、CPU60は、レンズ側ぶれ補正情報97及び本体側ぶれ補正情報99を用いて、第2検出部58によるぶれ量の検出性能が、第1検出部78によるぶれ量の検出性能よりも高いか否かを判定する。具体的には、CPU60は、本体側ぶれ補正情報99に含まれるハイパスフィルター58Cのカットオフ周波数が、レンズ側ぶれ補正情報97に含まれるハイパスフィルター78Cのカットオフ周波数よりも低いか否かを判定する。この判定が否定判定となった場合は、処理はステップS22に移行し、肯定判定となった場合は、処理はステップS20に移行する。
【0072】
ステップS20で、CPU60は、像ぶれのぶれ量のうち、所定周波数未満の低周波部分を第2駆動部33によって補正させる制御を行う。具体的には、CPU60は、第2検出部58により検出されたぶれ量を取得する。そして、CPU60は、取得したぶれ量のうち、第1検出部78及び第2検出部58のうちのぶれ量の検出性能が低い方の第1検出部78が備えるハイパスフィルター78Cのカットオフ周波数未満の低周波部分を第2駆動部33によって補正させる制御を行う。より具体的には、CPU60は、第2駆動部33を制御し、上記低周波部分を打ち消すように撮像素子22を移動させることによって、上記低周波部分を補正する。
【0073】
また、CPU60は、像ぶれのぶれ量のうち、所定周波数以上の高周波部分を第1駆動部80及び第2駆動部33によって分担させて補正させる制御を行う。具体的には、CPU60は、取得したぶれ量のうち、ハイパスフィルター78Cのカットオフ周波数以上の高周波部分を、ステップS16で導出した分担比率に従って、第1駆動部80及び第2駆動部33によって分担させて補正させる制御を行う。
【0074】
より具体的には、CPU60は、第2駆動部33を制御し、取得したぶれ量のうち、ハイパスフィルター78Cのカットオフ周波数以上の高周波部分に、ステップS16で導出した(1-α)を乗算した分のぶれを打ち消すように撮像素子22を移動させる。一方、CPU60は、CPU88に対し、像ぶれのぶれ量のうち、ハイパスフィルター78Cのカットオフ周波数以上の高周波部分に、ステップS16で導出したαを乗算した分のぶれを補正する指示を、外部I/F52を介して出力する。
【0075】
CPU88は、CPU60から、ぶれを補正する指示が入力されると、第1検出部78により検出されたぶれ量を取得する。そして、CPU88は、取得したぶれ量のうち、ハイパスフィルター78Cのカットオフ周波数以上の高周波部分に、ステップS16で導出されたαを乗算した分のぶれを第1駆動部80によって補正させる制御を行う。具体的には、CPU88は、第1駆動部80を制御し、上記高周波部分にαを乗算した分のぶれを打ち消すように補正用レンズ73を移動させることによって、ぶれを補正する。
【0076】
ステップS22で、CPU60は、像ぶれのぶれ量のうち、所定周波数未満の低周波部分を第1駆動部80によって補正させる制御を行う。具体的には、CPU60は、CPU88に対し、像ぶれのぶれ量のうち、第1検出部78及び第2検出部58のうちのぶれ量の検出性能が低い方の第2検出部58が備えるハイパスフィルター58Cのカットオフ周波数未満の低周波部分のぶれを補正する指示を、外部I/F52を介して出力する。
【0077】
CPU88は、CPU60から、ぶれを補正する指示が入力されると、第1検出部78により検出されたぶれ量を取得する。そして、CPU88は、取得したぶれ量のうち、ハイパスフィルター58Cのカットオフ周波数未満の低周波部分を第1駆動部80によって補正させる制御を行う。具体的には、CPU88は、第1駆動部80を制御し、上記低周波部分を打ち消すように補正用レンズ73を移動させることによって、上記低周波部分を補正する。
【0078】
また、CPU60は、像ぶれのぶれ量のうち、所定周波数以上の高周波部分を第1駆動部80及び第2駆動部33によって分担させて補正させる制御を行う。なお、本ステップS22における制御は、上記所定周波数が、第1検出部78及び第2検出部58のうちのぶれ量の検出性能が低い方の第2検出部58が備えるハイパスフィルター58Cのカットオフ周波数とされる以外は、ステップS20と同様であるため、説明を省略する。
【0079】
ステップS24で、CPU60は、像ぶれのぶれ量を第1駆動部80及び第2駆動部33によって分担させて補正させる制御を行う。本ステップS24での制御は、周波数帯域を分けずに第1駆動部80及び第2駆動部33によって分担させて補正させる以外は、ステップS20と同様であるため、説明を省略する。ステップS20、ステップS22、又はステップS24の処理によって像ぶれの補正が行われた後に、撮像が行われる。また、ステップS20、ステップS22、又はステップS24の処理が終了すると、処理はステップS26へ移行する。
【0080】
ステップS26で、CPU60は、予め定められた終了タイミングが到来したか否かを判定する。この判定が否定判定となった場合は、処理はステップS10に戻り、肯定判定となった場合は、本ぶれ補正処理が終了する。なお、この終了タイミングとしては、例えば、撮像装置10の電源スイッチがオフ状態とされたタイミングが挙げられる。また、この終了タイミングとしては、例えば、ユーザからの画像の撮像指示が入力された後に、上記のぶれの補正が行われ、かつ撮像が完了したタイミング等が挙げられる。
【0081】
以上説明したように、本実施形態によれば、像ぶれのぶれ量のうち、所定周波数未満の低周波部分を第1駆動部80又は第2駆動部33によって補正させ、かつ所定周波数以上の高周波部分を第1駆動部80及び第2駆動部33によって分担させて補正させている。
【0082】
具体的には、例えば、第2検出部58によるぶれ量の検出性能が第1検出部78によるぶれ量の検出性能よりも高い場合、
図10に示すように、像ぶれのぶれ量のうち、高周波部分にαを乗算した分のぶれが、第1駆動部80によって、すなわち、OISによって補正される。
【0083】
また、この場合、像ぶれのぶれ量のうち、低周波部分と、高周波部分に(1-α)を乗算した分のぶれとが、第2駆動部33によって、すなわち、BISによって補正される。
【0084】
従って、
図11に示すように、像ぶれにおける補正できない部分が低減される結果、ぶれを精度よく補正することができる。
図11では、ぶれの補正ができない部分を破線の矩形で示している。
図11の例におけるぶれの補正ができない部分は、周波数が0.1Hz以上0.3Hz未満のぶれのうち、第2駆動部33によるぶれの補正量の最大値を超える部分に相当する。
【0085】
なお、上記実施形態では、2つの制御部(上記実施形態では、本体側主制御部28及びレンズ側主制御部76)が連携して像ぶれを補正する制御を行う場合について説明したが、これに限定されない。例えば、1つの制御部が像ぶれを補正する制御を行う形態としてもよい。この場合、本体側主制御部28が第1駆動部80を直接制御する形態が例示される。
【0086】
また、上記実施形態では、
図9に示すぶれ補正処理をCPU60が実行し、CPU88は、CPU60の指示に従って像ぶれを補正する制御を行う場合について説明したが、これに限定されない。例えば、
図9に示すぶれ補正処理をCPU88が実行し、CPU60は、CPU88の指示に従って像ぶれを補正する制御を行う形態としてもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、撮像装置10全体を制御する本体側主制御部28が像ぶれを補正する制御を行う場合について説明したが、これに限定されない。例えば、本体側主制御部28とは別にぶれ補正専用の制御部を撮像装置本体12に設け、ぶれ補正専用の制御部のCPUが
図9に示すぶれ補正処理を実行する形態としてもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、像ぶれのぶれ量における低周波部分と高周波部分との境界の周波数として、第1検出部78及び第2検出部58のうちのぶれ量の検出性能が低い方が備えるハイパスフィルターのカットオフ周波数を適用した場合について説明したが、これに限定されない。例えば、像ぶれのぶれ量における低周波部分と高周波部分との境界の周波数として、固定値として予め定められた周波数(例えば、0.3Hz)を適用する形態としてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、第1駆動部80及び第2駆動部33によって分担して像ぶれの補正を行う場合の分担比率として、第1駆動部80による像ぶれの補正量の最大値と第2駆動部33による像ぶれの補正量の最大値との比を適用した場合について説明したが、これに限定されない。例えば、上記分担比率として、固定値として予め定められた比(例えば、1:1)を適用する形態としてもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、第1駆動部80が像ぶれの補正を行う際に第1検出部78により検出されたぶれ量を使用し、第2駆動部33が像ぶれの補正を行う際に第2検出部58により検出されたぶれ量を使用する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、第1駆動部80及び第2駆動部33の何れがぶれの補正を行う際でも、第1検出部78又は第2検出部58により検出されたぶれ量を使用する形態としてもよい。この場合、第1検出部78及び第2検出部58のうちのぶれ量の検出性能が高い方により検出されたぶれ量を使用する形態が例示される。
【0091】
また、上記実施形態において、例えば、第1制御部及び第2制御部といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0092】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0093】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0094】
また、上記実施形態では、本体側ぶれ補正プログラム98が二次記憶部64に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。本体側ぶれ補正プログラム98は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、本体側ぶれ補正プログラム98は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、レンズ側ぶれ補正プログラム96が二次記憶部92に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。レンズ側ぶれ補正プログラム96は、CD-ROM、DVD-ROM、及びUSBメモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、レンズ側ぶれ補正プログラム96は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0096】
10 撮像装置
12 撮像装置本体
13、15 マウント
14 撮像レンズ
18 レンズユニット
19 絞り
20 制御装置
22 撮像素子
22A 受光面
24 第1ミラー
26 第2ミラー
28 本体側主制御部
30 ミラー駆動部
32 撮像素子ドライバ
33 第2駆動部
34 画像信号処理回路
35 撮像素子位置センサ
36 画像メモリ
38 画像処理部
40 表示制御部
42 ディスプレイ
44 受付I/F
46 受付デバイス
48 メディアI/F
50 メモリカード
52、86 外部I/F
54 ファインダ
56、94 バスライン
58 第2検出部
58A、78A ジャイロセンサ
58B、78B ADC
58C、78C ハイパスフィルター
58D、78D 積分器
60、88 CPU
62、90 一次記憶部
64、92 二次記憶部
70 入射レンズ
72 ズームレンズ
73 補正用レンズ
74 フォーカスレンズ
76 レンズ側主制御部
78 第1検出部
80 第1駆動部
82 レンズ位置センサ
96 レンズ側ぶれ補正プログラム
97 レンズ側ぶれ補正情報
98 本体側ぶれ補正プログラム
99 本体側ぶれ補正情報
L1 光軸
α 受光面被覆位置
β 受光面開放位置