(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】電解銅箔の表面検査方法及び電解銅箔の製造方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/91 20060101AFI20220614BHJP
C25D 21/12 20060101ALI20220614BHJP
C25D 1/04 20060101ALN20220614BHJP
C25D 5/16 20060101ALN20220614BHJP
【FI】
G01N21/91 A
C25D21/12 C
C25D1/04 311
C25D5/16
(21)【出願番号】P 2017109526
(22)【出願日】2017-06-01
【審査請求日】2020-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】昭和電工マテリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【氏名又は名称】大谷 保
(74)【代理人】
【識別番号】100119666
【氏名又は名称】平澤 賢一
(74)【代理人】
【識別番号】100193976
【氏名又は名称】澤山 要介
(72)【発明者】
【氏名】黒川 博
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-072553(JP,A)
【文献】特表平09-512914(JP,A)
【文献】特開平08-054356(JP,A)
【文献】特開2003-004725(JP,A)
【文献】特開昭60-147640(JP,A)
【文献】特開平11-264801(JP,A)
【文献】特開2011-009267(JP,A)
【文献】特開2013-072789(JP,A)
【文献】特開2008-096252(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0052022(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粗化処理面を有する電解銅箔の表面検査方法であって、前記電解銅箔の粗化処理面上に、
25℃で液状の物質であって、親油性の液体である粗化異常部観察用物質の塗膜を形成する工程と、前記塗膜を観察して粗化異常部を検出する工程と、を有する電解銅箔の表面検査方法。
【請求項2】
前記親油性の液体が、鉱物油及び合成油からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の電解銅箔の表面検査方法。
【請求項3】
前記25℃で液状の物質であって、親油性の液体である粗化異常部観察用物質の沸点が、常圧下において、150~400℃である、請求項1又は2に記載の電解銅箔の表面検査方法。
【請求項4】
前記塗膜を形成する工程が、前記電解銅箔の粗化処理面に前記粗化異常部観察用物質を噴霧して塗膜を形成する工程である、請求項1~3のいずれか1項に記載の電解銅箔の表面検査方法。
【請求項5】
前記電解銅箔が、プリント配線板用電解銅箔である、請求項1~4のいずれか1項に記載の電解銅箔の表面検査方法。
【請求項6】
前記塗膜の観察を、光学顕微鏡を用いて行う、請求項1~5のいずれか1項に記載の電解銅箔の表面検査方法。
【請求項7】
電解銅箔の少なくとも一方の面を粗化処理する工程と、得られた粗化処理後の電解銅箔に対して、請求項1~6のいずれか1項に記載の電解銅箔の表面検査方法を実施して良否を判定する工程を含む、電解銅箔の製造方法。
【請求項8】
前記粗化処理が、前記電解銅箔の表面に銅を析出させる処理である、請求項7に記載の電解銅箔の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解銅箔の表面検査方法及び電解銅箔の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板用電解銅箔は、一般的に、一方の表面が平滑な光沢面であり、他方の表面がプリプレグ等との密着性を確保するために、粗化処理が施された粗化処理面となっている。
この粗化処理は、通常、粗化処理前の電解銅箔のマット面(凹凸が大きい面)に銅等の粒子(以下、「粗化粒子」ともいう)を電析させる処理である。粗化処理前の電解銅箔の表面において、高い凸部が存在していたり、傷等によって表面形状が通常と異なっていた場合、電析時の電流密度が局所的に高くなることから、粗化粒子が局所的に多く析出してしまうことがある。このような現象は、粗化異常又は異常突起と呼ばれ、通常、その大きさは、直径が5~100μm、高さが2~30μmの範囲で発生することが多い。粗化異常又は異常突起が発生した箇所(以下、「粗化異常部」ともいう)が存在する銅張積層板を回路加工した場合、粗化異常部がエッチングで溶解されず、回路欠陥となったり、絶縁信頼性が損なわれるといった問題が生じる。
【0003】
電解銅箔の粗化処理面の品質検査方法としては、表面粗さ測定、電子顕微鏡、実体顕微鏡、CCDカメラ等による観察などが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、表面粗さ測定、電子顕微鏡等による検査方法は、極めて小さい面積しか測定できないため、粗化異常部を検出することが困難である。
また、実体顕微鏡、CCDカメラ等による観察は、粗化処理面の色調がほぼ均一であること、粗化異常部のサイズが小さいこと等に起因して、粗化異常部の検出及び判別が困難であるという課題がある。
【0006】
本発明は、電解銅箔の粗化処理面に存在する粗化異常部を、容易かつ高精度で検出することができる電解銅箔の表面検査方法、及び該検査方法を適用した電解銅箔の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、電解銅箔の粗化処理面に塗膜を形成し、該塗膜を観察することで、容易かつ高精度で粗化異常部を検出できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の[1]~[8]に関する。
[1]粗化処理面を有する電解銅箔の表面検査方法であって、前記電解銅箔の粗化処理面上に、粗化異常部観察用物質の塗膜を形成する工程と、前記塗膜を観察して粗化異常部を検出する工程と、を有する電解銅箔の表面検査方法。
[2]前記粗化異常部観察用物質が、25℃で液状の物質である、上記[1]に記載の電解銅箔の表面検査方法。
[3]前記25℃で液状の物質が、親油性の液体である、上記[2]に記載の電解銅箔の表面検査方法。
[4]前記塗膜を形成する工程が、前記電解銅箔の粗化処理面に前記粗化異常部観察用物質を噴霧して塗膜を形成する工程である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の電解銅箔の表面検査方法。
[5]前記電解銅箔が、プリント配線板用電解銅箔である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の電解銅箔の表面検査方法。
[6]前記塗膜の観察を、光学顕微鏡を用いて行う、上記[1]~[5]のいずれかに記載の電解銅箔の表面検査方法。
[7]電解銅箔の少なくとも一方の面を粗化処理する工程と、得られた粗化処理後の電解銅箔に対して、上記[1]~[6]のいずれかに記載の電解銅箔の表面検査方法を実施して良否を判定する工程を含む、電解銅箔の製造方法。
[8]前記粗化処理が、前記電解銅箔の表面に銅を析出させる処理である、上記[7]に記載の電解銅箔の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電解銅箔の粗化処理面に存在する粗化異常部を、容易かつ高精度で検出することができる電解銅箔の表面検査方法、及び該検査方法を適用した電解銅箔の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1の検査方法で得られた、粗化処理面を有する電解銅箔の実体顕微鏡画像((a)視野1、(b)視野2)である。
【
図2】比較例1の検査方法で得られた、粗化処理面を有する電解銅箔の実体顕微鏡画像((a)視野1、(b)視野2)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について詳述するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
なお、以下の実施形態において、粗化処理前の電解銅箔を「未処理電解銅箔」と称することがあり、単に「電解銅箔」という場合は、「粗化処理後の電解銅箔」を指すものとする。
【0011】
[電解銅箔の表面検査方法]
本実施形態の電解銅箔の表面検査方法は、粗化処理面を有する電解銅箔の表面検査方法であって、前記電解銅箔の粗化処理面上に、粗化異常部観察用物質の塗膜を形成する工程(以下、「塗膜形成工程」ともいう)と、前記塗膜を観察して粗化異常部を検出する工程(以下、「観察工程」ともいう)と、を有する電解銅箔の表面検査方法である。
本実施形態の検査方法において、粗化異常部観察用物質は、粗化処理面に形成された粗化粒子間の微細な隙間に侵入し、表面張力によって粗化処理面上に塗膜が形成される。該塗膜が形成された部分は色調が殆ど一定となるが、粗化異常部では、正常な部分と比較して粗化粒子の高さが高いことに起因して塗膜が形成されなかったり、塗膜が薄くなり、色調、形状等が正常な部分とは異なって見える。このため、塗膜を形成した粗化処理面を、実体顕微鏡等で観察することで、塗膜を形成していない場合よりも、粗化異常部の検出、判別等を容易かつ高精度に行うことができる。
【0012】
<電解銅箔>
本実施形態の検査方法を適用する電解銅箔は、粗化処理面を有する電解銅箔である。
本実施形態の検査方法によると、回路欠陥等の原因となる粗化異常部を容易かつ高精度で検出できるため、本実施形態の検査方法は、特に、プリント配線板用銅張積層板等に用いられる、プリント配線板用電解銅箔に対して好適である。
電解銅箔が有する粗化処理面の表面粗さRzは、特に限定されず、例えば、0.5~20μmであってもよく、また、回路のファインピッチ化の観点からは、0.5~6μmであってもよい。電解銅箔の表面粗さRzは、JIS B0601:1982に準拠して測定することができる。
電解銅箔の厚さは、例えば、1~100μmであってもよく、電解銅箔の機械強度及びプリント配線板の薄型化の観点からは、5~50μmであってもよい。
次に、本実施形態の検査方法を、各工程順に説明する。
【0013】
<塗膜形成工程>
塗膜形成工程は、電解銅箔の粗化処理面上に、粗化異常部観察用物質の塗膜を形成する工程である。なお、塗膜形成工程の前に、必要に応じて、電解銅箔を観察し易い大きさに適宜加工しておいてもよい。
【0014】
(粗化異常部観察用物質)
粗化異常部観察用物質は、前述の通り、粗化処理面上に塗膜を形成し、粗化異常部の観察を容易にするために使用されるものであり、その目的を達成できるものであれば特に限定されない。
粗化異常部観察用物質は、通常、電解銅箔と反応性を有さず、かつ電解銅箔を溶解しないものであり、取り扱い性の観点から、25℃で液状である物質が好ましい。また、25℃で液状である物質は、表面張力が小さく、電解銅箔の粗化処理面上に塗膜を形成し易い観点から、親油性の液体であることが好ましい。
粗化異常部観察用物質の具体例としては、やし油等の植物油;パラフィン系、ナフテン系等の鉱物油;エステル化合物、ポリαオレフィン、ポリオールエステル化合物、アルキル置換ジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテル、フッ素オイル、シリコーンオイル等の合成油;水;その他の有機溶剤;無機物質などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、親油性の液体であり、電解銅箔上に塗膜を形成し易い観点から、油類(オイル)が好ましく、鉱物油及び合成油からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、鉱物油がさらに好ましい。さらに、上記の物質に対して、防錆添加剤等の特定の機能を付与した添加剤を適宜含ませたものであってもよい。
粗化異常部観察用物質として使用できる油類としては、例えば、市販品の潤滑油として入手することもできる。
【0015】
粗化異常部観察用物質の25℃における動粘度は、粗化処理面の微小な空隙等にも侵入し易くする観点、及び粗化処理面上に塗膜を保持され易くする観点から、2~70mm2/sが好ましく、5~50mm2/sがより好ましい。
粗化異常部観察用物質の沸点は、短時間に揮発することを抑制し、作業性を良好にする観点から、常圧下において、150℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましく、250℃以上がさらに好ましい。粗化異常部観察用物質の沸点の上限は特に制限はないが、例えば、500℃以下であってもよく、400℃以下であってもよい。
粗化異常部観察用物質は色調は、特に限定されないが、汎用性の観点から、透明であることが好ましい。
【0016】
(塗膜の形成)
電解銅箔の粗化処理面上に粗化異常部観察用物質の塗膜を形成する方法としては、例えば、粗化異常部観察用物質を、電解銅箔の粗化処理面上に塗工する方法、粗化異常部観察用物質を電解銅箔の粗化処理面上に噴霧する方法、電解銅箔を粗化異常部観察用物質に浸漬した後、取り出す方法などが挙げられる。これらの中でも、作業性の観点から、粗化異常部観察用物質を電解銅箔の粗化処理面上に噴霧する方法が好ましい。なお、粗化異常部観察用物質が常温で固体である場合には、粗化異常部観察用物質を加熱する方法、液状の物質と混合して溶液とする方法等によって液状にして、前記方法に適用することが好ましい。
【0017】
<観察工程>
観察工程は、塗膜形成工程で形成した塗膜を観察して粗化異常部を検出する工程である。
粗化異常部観察用物質の塗膜は、粗化異常部において、塗膜が形成されなかったり、塗膜が薄くなり、色調、形状等の外観が正常な部分とは異なって見えるため、観察によって、容易に粗化異常部を検出することができる。
塗膜の観察方法は特に限定されないが、作業性の観点から、光学顕微鏡を用いることが好ましく、実体顕微鏡を用いることがより好ましい。
粗化異常部は、前記顕微鏡等を介して目視することで検出することができるが、画像解析装置等を用いて自動カウントさせてもよい。
【0018】
塗膜観察時の圧力は、粗化異常部を検出し易い条件を適宜選択すればよいが、作業性の観点からは、常圧下で実施することが好ましい。
塗膜観察時の温度は、粗化異常部を検出し易い条件を適宜選択すればよいが、作業性の観点からは、0~100℃が好ましく、15~50℃がより好ましく、室温がさらに好ましく、常温(25℃)が特に好ましい。
なお、本明細書において、室温とは、加熱、冷却等の温度制御なしの雰囲気温度をいうものとし、一般に、15~25℃程度であるが、天候、季節等によって変わり得るため、該範囲に限定されるものではない。
【0019】
[電解銅箔の製造方法]
本実施形態の電解銅箔の製造方法は電解銅箔の少なくとも一方の面を粗化処理する工程(以下、「粗化処理工程」ともいう)と、得られた粗化処理後の電解銅箔に対して、前記本実施形態の電解銅箔の表面検査方法を実施して良否を判定する工程(以下、「検査工程」ともいう)を含む、電解銅箔の製造方法である。
【0020】
<粗化処理工程>
粗化処理工程は、電解銅箔の少なくとも一方の面を粗化処理する工程である。
本実施形態の製造方法において、粗化処理に供する未処理電解銅箔は、公知の方法によって製造することができる。その一例としては、硫酸銅水溶液等の電解液中に、SUS、チタン等の陰極回転ドラムと、該陰極回転ドラムに対して同心円状に鉛等の陽極を配置し、電解液を供給させつつ両極間に電流を流して電解液を電解させ、該陰極回転ドラムの表面に所定の厚さに銅を析出させ、この析出した銅を連続的に剥がして巻取る方法が挙げられる。この方法によると、通常は、陰極回転ドラム側の表面が光沢面となり、電解液と接していた面がマット面(凹凸面)となる。マット面の表面粗さRzは、製造容易性及びファインピッチ化の観点から、0.01~2μmであることが好ましい。
【0021】
次に、未処理電解銅箔に対して、粗化処理を行う。
粗化処理は、例えば、硫酸銅等の電解液を電解させて、未処理電解銅箔のマット面(凹凸面)側に、銅を含む粗化粒子を均一に析出させる、めっき法によって行うことができる。より具体的には、未処理電解銅箔を陰極とし、対極に不溶性陽極を配置して、例えば、液温20~40℃の硫酸銅等の銅めっき液を用い、平均陽極電流密度5A/dm2~40A/dm2の条件で電解させ、未処理電解銅箔のマット面に粗化粒子を析出させることができる。さらに、上記の操作を必要に応じて複数回実施してもよい。
前記粗化処理工程によって形成する粗化粒子は、通常は、銅を含むものであり、銅以外の元素として、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、炭素(C)、バナジウム(V)及びタングステン(W)からなる群から選ばれる1種以上の元素を含有していてもよい。
前記粗化処理工程によって形成される粗化処理面の表面粗さRz及び厚さの好ましい範囲は、[電解銅箔の表面検査方法]において説明した電解銅箔の好ましい範囲と同じである。
また、粗化処理工程後には、要求品質に応じて、防錆処理等の表面処理を適宜実施してもよい。
【0022】
<検査工程>
検査工程は、粗化処理工程で得られた粗化処理後の電解銅箔に対して、前記本実施形態の電解銅箔の表面検査方法を実施して良否を判定する工程である。良否の判定は、事前に決定した基準に基づいて実施すればよく、例えば、製造ロットごとに、所定の面積の電解銅箔を切り出し、切り出した面積内において、本実施形態の電解銅箔の表面検査方法によって粗化異常部の個数を計測し、所定の基準を満たしたものを、「良」と判定し、満たさなかったものを「否」と判定することができる。
【実施例】
【0023】
以下、実施例を示し、本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0024】
実施例1
(検査対象の準備)
検査対象の電解銅箔として、市販品である、厚さ18μmのプリント配線板用電解銅箔(表面粗さRz:7±1.5μm)と、厚さ35μmのプリント配線板用電解銅箔(表面粗さRz:8.5±1.5μm)の2種類を、各々5ロットずつ準備をした。さらに、各ロットの任意の位置から、A4サイズ(210mm×297mm)を2枚ずつ切り出して、これらを試験サンプルとした。
【0025】
(塗膜形成工程)
上記で準備した試験サンプルの粗化処理面上に、粗化異常部観察用物質として、オイル(呉工業株式会社製、商品名:CRC-556、鉱物油を主成分として含むオイル)を噴霧して、試験サンプルの粗化処理面全体が均一に濡れるように塗膜)を形成した。
【0026】
(検査工程)
上記で塗膜を形成した試験サンプルの塗膜形成面を、実体顕微鏡(倍率:15倍)を用いて観察して、粗化異常部(正常な部分と色調又は形状が異なっている箇所)の数を目視で計測した。評価結果を表1に示す。なお、表1における粗化異常部の個数は、A4サイズの試験サンプル2枚当たりに含まれる粗化異常部の個数である。
【0027】
比較例1
実施例1において、塗膜形成工程を実施しなかったことを以外は、実施例1と同様にして、検査を実施した。
【0028】
【0029】
表1より、本発明の検査方法である実施例1では、塗膜形成工程を行わずに粗化処理面を観察した比較例1では検出できなかった粗化異常部を検出されており、電解銅箔の粗化処理面に発生する粗化異常部を容易かつ高精度で検出できることが分かる。
また、
図1及び2には、実施例1及び比較例1で得られた、粗化処理面を有する電解銅箔の実体顕微鏡画像((a)視野1、(b)視野2)を各々示した。
図1から明らかなように、本実施形態の検査方法で得られた実体顕微鏡画像においては、粗化異常部が正常な部分とは大きく異なって見えるため、粗化異常部の検出を容易にできることが分かる。
【符号の説明】
【0030】
1 粗化処理面
2 粗化異常部