(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】電源装置、画像形成装置、電源制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20220614BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20220614BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20220614BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20220614BHJP
H02M 3/28 20060101ALI20220614BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
G03G21/00 398
B41J29/38 104
H01M10/44 P
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H02M3/28 U
H02M3/28 X
H02M3/28 V
H02J7/34 G
(21)【出願番号】P 2017218279
(22)【出願日】2017-11-13
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【氏名又は名称】鈴木 均
(72)【発明者】
【氏名】林 剛史
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-259279(JP,A)
【文献】特開2017-021112(JP,A)
【文献】特開2004-296166(JP,A)
【文献】特開2007-127843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
B41J 29/38
H01M 10/44
H01M 10/48
H02M 3/28
H02J 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源から供給される交流電力を直流電力に変換する交流直流変換手段と、
前記外部電源から供給される交流電力から変換された直流電力を充電するとともに、直流電力を放電可能な蓄電手段と、
前記外部電源から供給される入力電圧値を検出する電圧検出手段と、を備えた電源装置であって、
前記電源装置を有する対象機器が備える複数の負荷の中から、前記蓄電手段からの電力を供給する負荷を選択するように制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、
前記電圧検出手段により検出された前記入力電圧値に基づいて、前記交流直流変換手段が出力可能な最大電流値を算出する最大電流値算出手段と、
前記対象機器から取得した情報に基づいて、前記対象機器の動作モードを判定するモード判定手段と、
前記最大電流値算出手段により算出された前記最大電流値と、前記対象機器の現在の動作モードに必要とされる異なる複数の必要電流値とを、前記複数の必要電流値のうち大きい値から先に前記最大電流値と比較し、前記最大電流値が前記比較に用いた必要電流値よりも大きい場合に、前記比較に用いた必要電流値に対応した負荷を選択する負荷選択手段と、を備え、
前記負荷選択手段により選択された負荷に対して、前記蓄電手段からの電力を供給することを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記動作モードに基づいて、前記動作モードにおいて必要な前記必要電流値を演算する演算手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記負荷の雰囲気温度を検出する温度検出手段を備え、
前記演算手段は、前記温度検出手段により検出された前記雰囲気温度が所定の温度以下である場合に、前記必要電流値を増やすように補正することを特徴とする請求項
2記載の電源装置。
【請求項4】
前記演算手段は、前記負荷の利用時間が所定の時間を経過した場合に、前記必要電流値を増やすように補正することを特徴とする請求項
2記載の電源装置。
【請求項5】
前記演算手段は、前記負荷の利用時間が所定の時間を経過した場合に、前記最大電流値を減らすように補正することを特徴とする請求項
2、又は3、又は4記載の電源装置。
【請求項6】
請求項1乃至
5の何れか一項記載の電源装置と、
前記電源装置から供給される電力を消費する複数の負荷と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
外部電源から供給される交流電力を直流電力に変換する交流直流変換手段と、
前記外部電源から供給される交流電力から変換された直流電力を充電するとともに、電力を放電可能な蓄電手段と、
前記外部電源から供給される入力電圧値を検出する電圧検出手段と、を備えた電源装置による電源制御方法であって、
前記電源装置を有する対象機器が備える複数の負荷の中から、前記蓄電手段からの電力を供給する負荷を選択するように制御する制御ステップを実行し、
前記制御ステップは、
前記電圧検出手段により検出された前記入力電圧値に基づいて、前記交流直流変換手段が出力可能な最大電流値を算出する最大電流値算出ステップと、
前記対象機器から取得した情報に基づいて、前記対象機器の動作モードを判定するモード判定ステップと、
前記最大電流値算出ステップにより算出された前記最大電流値と、前記対象機器の現在の動作モードに必要とされる異なる複数の必要電流値とを、前記複数の必要電流値のうち大きい値から先に前記最大電流値と比較し、前記最大電流値が前記比較に用いた必要電流値よりも大きい場合に、前記比較に用いた必要電流値に対応した負荷を選択する負荷選択ステップと
、
前記負荷選択ステップにより選択された負荷に対して、前記蓄電手段からの電力を供給する
ステップと、を実行することを特徴とする電源制御方法。
【請求項8】
請求項
7記載の電源制御方法における各ステップを
、前記電源装置を制御するためのプロセッサに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置、画像形成装置、電源制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、外部電源の電圧変動が大きい地域では、供給元の外部電源の電力不足や、配線系統のインピーダンス変動に起因して、外部電源の電圧が機器の入力電圧仕様の範囲外まで低くなることがある。
一般に、外部電源の電圧が機器の入力電圧仕様の範囲よりも低い場合は、機器自体がその動作を停止する。
しかし、頻繁に外部電源の電圧低下が発生する地域においては、機器の入力電圧仕様の範囲外となる電圧環境下においても、機器の動作を停止させずに、継続して機器を動作させることが求められている。
そこで、機器においては、外部電源の電圧低下が発生した際には、バッテリを搭載した補助電源から電力を供給することによって、継続して機器を動作させるという技術が知られている。
特許文献1には、外部電源からの入力電圧が低下した時にも、画像形成装置の動作を保証することを目的として、外部電源が所定電圧に低下したことを検知した時点において、特定の負荷もしくはすべての負荷に対して、補助電源(蓄電手段)から電力を供給するという技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来、外部電源の電圧低下が発生した際に、補助電源(蓄電手段)から電力を機器に供給する電源装置にあっては、入力電圧が低下した時点において、補助電源から供給できる電力量を考慮せずに、補助電源から電力を供給していた。
このため、補助電源から機器に供給される消費電力が大きくなるといった問題があった。
特許文献1にあっても、補助電源を備え、外部電源からの入力電圧が低下したことを検出した際に、補助電源から特定の負荷、もしくはすべての負荷に電力を供給するという点が開示されている。しかし、補助電源から機器に供給される消費電力が大きくなるといった問題は解消できていない。
本発明の一実施形態は、上記に鑑みてなされたもので、その目的は、外部電源の電圧が機器の入力電圧仕様範囲外まで低下した場合に、蓄電手段からの電力を供給する負荷を選択することで、蓄電手段から機器に供給される消費電力を小さくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、外部電源から供給される交流電力を直流電力に変換する交流直流変換手段と、前記外部電源から供給される交流電力から変換された直流電力を充電するとともに、直流電力を放電可能な蓄電手段と、前記外部電源から供給される入力電圧値を検出する電圧検出手段と、を備えた電源装置であって、前記電源装置を有する対象機器が備える複数の負荷の中から、前記蓄電手段からの電力を供給する負荷を選択するように制御する制御手段を備え、前記制御手段は、前記電圧検出手段により検出された前記入力電圧値に基づいて、前記交流直流変換手段が出力可能な最大電流値を算出する最大電流値算出手段と、前記対象機器から取得した情報に基づいて、前記対象機器の動作モードを判定するモード判定手段と、前記最大電流値算出手段により算出された前記最大電流値と、前記対象機器の現在の動作モードに必要とされる異なる複数の必要電流値とを、前記複数の必要電流値のうち大きい値から先に前記最大電流値と比較し、前記最大電流値が前記比較に用いた必要電流値よりも大きい場合に、前記比較に用いた必要電流値に対応した負荷を選択する負荷選択手段と、を備え、前記負荷選択手段により選択された負荷に対して、前記蓄電手段からの電力を供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、外部電源の電圧が機器の入力電圧仕様範囲外まで低下した場合に、蓄電手段からの電力を供給する負荷を選択することで、蓄電手段から機器に供給される消費電力を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明が適用可能な画像形成装置の概略的な機構構成を示す断面図である。
【
図2】
図1に示す電源装置の電源供給系統の回路図を含むブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る電源装置の機能を示すブロック図である。
【
図4】外部電源の入力電圧値と低電圧電源が出力可能な最大電流値の関係を示した図である。
【
図5】従来の補助電源における低入力電圧時の消費電力の大きさを示した図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における低入力電圧時の消費電力の大きさを示した図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における低入力電圧時の消費電力の大きさを示した図である。
【
図8】(a)は本発明の一実施形態に係る電源装置の動作を示すメインルーチンのフローチャートであり、(b)は本発明の一実施形態に係る電源装置の動作を示すサブルーチンのフローチャートである。
【
図9】印刷中モード時に必要な必要電流値と、外部電源の入力電圧値に応じて補助電源から電力供給する負荷との関係を示した図である。
【
図10】(a)は本発明の一実施形態に係る電源装置の動作を示すメインルーチンのフローチャートであり、(b)は本発明の一実施形態に係る電源装置の動作(印刷中モード)を示すサブルーチンのフローチャートである。
【
図11】待機中モードに必要な必要電流値と、外部電源の入力電圧値に応じて補助電源(蓄電手段)から電力供給する負荷との関係を示した図である。
【
図12】(a)は本発明の一実施形態に係る電源装置の動作を示すメインルーチンのフローチャートであり、(b)は本発明の一実施形態に係る電源装置の動作(待機中モード)を示すサブルーチンのフローチャートである。
【
図13】雰囲気温度に応じて、機器が必要な必要電流値を補正する温度に応じた必要電流値補正処理を示すフローチャートである。
【
図14】印刷枚数に応じて、機器が必要な必要電流値を補正する印刷枚数に応じた必要電流値補正処理を示すフローチャートである。
【
図15】印刷枚数に応じて、低電圧電源が出力可能な最大電流値を補正する印刷枚数に応じた最大電流値補正処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
本発明は、外部電源の電圧が機器の入力電圧仕様範囲外まで低下した場合に、蓄電手段からの電力を供給する負荷を選択することで、蓄電手段から機器に供給される消費電力を小さくするために、以下の構成を有する。
すなわち、本発明の電源装置は、外部電源から供給される交流電力を直流電力に変換する交流直流変換手段と、外部電源から供給される交流電力から変換された直流電力を充電するとともに、直流電力を放電可能な蓄電手段と、外部電源から供給される入力電圧値を検出する電圧検出手段と、電圧検出手段により検出された入力電圧値に基づいて、対象機器が備える複数の負荷の中から蓄電手段からの電力を供給する負荷を選択する制御手段と、を備えた電源装置であって、電圧検出手段により検出された入力電圧値に基づいて、交流直流変換手段が出力可能な最大電流値を算出する最大電流値算出手段と、最大電流値算出手段により算出された最大電流値と、対象機器の現在の動作モードに必要とされる必要電流値とを比較して、蓄電手段からの電力を供給する負荷を選択する負荷選択手段と、を備えることを特徴とする。
以上の構成を備えることにより、外部電源の電圧が機器の入力電圧仕様範囲外まで低下した場合に、蓄電手段からの電力を供給する負荷を選択することで、蓄電手段から機器に供給される消費電力を小さくすることができる。
上記記載の本発明の特徴について、以下の図面を用いて詳細に解説する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
上記の本発明の特徴に関して、以下、図面を用いて詳細に説明する。
【0008】
<画像形成装置>
図1は、本発明が適用可能な画像形成装置の概略的な機構構成を示す断面図である。
図1に示す画像形成装置1は、デジタル複合機からなり、複写機能と、プリンタ機能、およびファクシミリ機能等を有している。
操作部のアプリケーション切り替えキーにより、複写機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を順次に切り替えて機能モードを選択することが可能となっており、複写機能の選択時には複写モードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
【0009】
図1を参照して、画像形成装置1での画像形成の流れの一例として複写モードについて簡単に説明する。
複写モードでは、原稿束が自動原稿送り装置(ADF)2により順に画像読み取り部3に給送され、画像読み取り部3により画像情報が読み取られる。そして、その読み取られた画像情報は、画像処理手段を介して書き込みユニット4により光情報に変換され、感光体ドラム6は、帯電器により一様に帯電された後に書き込みユニット4からの光情報により露光されて静電潜像が形成される。
この感光体ドラム6上の静電潜像は、現像部7により現像されてトナー像となる。このトナー像は、搬送ベルト8により転写紙に転写される。転写紙は、定着部9によりトナー像が定着され、排出される。
画像形成装置1には、電源装置10が設けられており、交流電源である外部電源12から供給される電力を電源装置10が直流電力に変換して、上述した各部の負荷に直流電力を供給する。
本実施形態では、画像形成装置1を対象機器として扱っているが、対象機器は画像形成装置1に代わって、パーソナルコンピュータ、プロジェクタ、電子黒板等であってもよい。
また、本実施形態では、画像形成装置1の動作モードとして、ウォームアップモード、待機中モード、印刷中モード、省エネモードなどがあることとして扱っている。なお、ウォームアップモードは、印刷が可能な状態に向けて準備している状態である。待機中モードは、ウォームアップが完了して印刷ジョブを待っている状態である。印刷中モードは、現在、印刷中である状態である。省エネモードは、必要最低限の機能のみが有効な状態である。
本実施形態では、対象機器として画像形成装置1について説明しているが、パーソナルコンピュータ、プロジェクタ、電子黒板等も対象機器として扱え、これらの対象機器では、動作モードの呼び名が異なる場合もある。
【0010】
<電源装置>
図2は、
図1に示す電源装置10の電源供給系統の回路図を含むブロック図である。
電源装置10は、低電圧電源13、制御基板14、補助電源34を備えている。
低電圧電源13は、外部電源12より直流電圧(24V、5V)を生成する。低電圧電源が生成した直流電圧は、制御基板14に供給される。また、外部電源12はハロゲンヒータ25に交流電圧を供給している。
低電圧電源13に設けられた交流直流変換部16は、ノイズフイルター17、ダイオードブリッジDB1、アルミ電解コンデンサC1、トランスT1、スイッチング動作に用いるFET20、FET20のスイッチング動作を制御するIC21、整流に用いるダイオードD1、アルミ電解コンデンサC2、電圧24Vから電圧5Vを生成するスイッチングレギュレータ24(DC/DC)により構成されている。
【0011】
交流直流変換部16は、外部電源12からの交流電圧がノイズフイルター17を通過してノイズ成分が除去され、ダイオードブリッジDB1により全波整流され、アルミ電解コンデンサC1において平滑され、整流平滑された電圧がトランスT1の1次巻線の一端に印加される。
トランスT1の1次巻線の他端にFET20のドレイン端子が接続され、FET20のソース端子がアルミ電解コンデンサC1のマイナス端子に接続される。トランスT1の3次巻線の一端にIC21の入力端子が接続され、IC21がON/OOF制御信号を生成してFET20のゲート端子に供給され、FET20がスイッチング動作を開始すると、トランスT1の2次巻線に電気エネルギが誘起して高周波電圧が発生する。ダイオードD1とアルミ電解コンデンサC2では、高周波電圧を整流平滑して24Vの直流電圧を生成する。さらに、アルミ電解コンデンサC2に接続されたスイッチングレギュレータ24が、24Vの直流電圧から5Vの直流電圧を生成している。
【0012】
ハロゲンヒータ25には、リレー35、トライアック26が直列接続され、CPU15からON制御信号がリレー35に入力されると、リレー35がON動作して外部電源12がハロゲンヒータ25へ供給される。さらに、CPU15から制御信号27がトライアック26に入力され、外部電源12からトライアック26を介してハロゲンヒータ25に交流電力が供給される。
電圧検出部28は、トランスT2、ダイオードブリッジDB2、コンデンサC3により構成される。外部電源12からの交流電圧をトランスT2において、交流電圧5V程度まで低減し、ダイオードブリッジDB2、コンデンサC3において整流して直流電圧に変換し、CPU15に設けられたA/Dポートに入力する。交流電圧の大きさにより前述のA/Dポートへの入力電圧が変わるので、外部電源12の交流電圧を検出することができる。
補助電源34は、バッテリを備え、外部電源12から供給される交流電力から変換された直流電力をバッテリに充電する。補助電源34は、DC/DCコンバータを備え、バッテリから直流電力を放電可能であり、バッテリからの直流電力をDC/DCコンバータにより24V系の電源、5V系の電源として出力する。
【0013】
制御基板14のROM33には、外部電源12から定格電圧範囲外の電圧が入力された際に、電圧検出部28によって検出された入力電圧値Vinに対応して、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxを関連付けた最大電流値パターンテーブル33bを保持している。
また、制御基板14に設けられたROM33には、補助電源34から出力される直流電力を画像形成装置1の各負荷にそれぞれ独立して供給する際の制御動作を表すプログラム33aが記憶されている。さらに、制御基板14に設けられたROM33には、補助電源34から上記各負荷に電力を供給する際の電力供給パターンテーブル33cが記憶されている。
CPU15は、外部電源12から定格電圧範囲外の低電圧が入力された際に、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxと、画像形成装置1が必要な必要電流値Ihを比較し、補助電源34(蓄電手段)から負荷11に備えたFAN(ファンモータ)39、SCAN(スキャナーモータ)36、24V系負荷37、5V系負荷38へ電力供給が必要かどうか判断する。
この際、CPU15は、補助電源34からの電力供給が必要である判断した場合、補助電源34からの直流電力に切り替えるために、SW切替制御信号32をスイッチSW1、SW2、SW3、SW4へ出力する。
【0014】
<機能ブロック図>
図3は、本発明の一実施形態に係る電源装置の機能を示すブロック図である。
交流直流変換部16は、外部電源12から供給される交流電力を直流電力に変換する。
補助電源34(蓄電手段)は、外部電源12から供給される交流電力から変換された直流電力を充電するとともに、直流電力を放電可能である。
電圧検出部28は、外部電源12から供給される入力電圧値Vinを検出する。
スイッチ部41は、交流直流変換部16及び補助電源34の一方に接続され、他方を対象機器の各負荷に接続される複数のスイッチSW1~SW4を有する。
温度検出部1bは、画像形成装置1に設けられ、負荷の雰囲気温度を検出する。
【0015】
CPU15は、ROM33からオペレーティングシステムOSを読み出してRAM15a上に展開してOSを起動し、OS管理下において、ROM33からアプリケーションソフトウエアのプログラム(処理モジュール)を読み出し、各種処理を実行することで、
図3に示す制御部40を実現する。
制御部40は、電圧検出部28により検出された入力電圧値Vinに基づいて、対象機器が備える複数の負荷の中から補助電源34(蓄電手段)からの電力を供給する負荷を選択する。
制御部40は、負荷選択部40bにより選択された負荷に対してのみ、補助電源34からの電力を供給するように、スイッチ駆動部42を駆動してスイッチ部41を切り替える。
最大電流値算出部40aは、電圧検出部28により検出された入力電圧値Vinに基づいて、交流直流変換部16が出力可能な最大電流値Imaxを算出する。
負荷選択部40bは、最大電流値算出部40aにより算出された最大電流値Imaxと、対象機器の現在の動作モードに必要とされる必要電流値Ihとを比較して、補助電源34からの電力を供給する負荷を選択する。
【0016】
演算部40cは、動作モードに基づいて、動作モードにおいて必要な必要電流値Ihを演算する。
演算部40cは、温度検出部1bにより検出された雰囲気温度が所定の温度以下である場合に、必要電流値Ihを増やすように補正する。
演算部40cは、負荷の利用時間が所定の時間を経過した場合に、必要電流値Ihを増やすように補正する。
演算部40cは、負荷の利用時間が所定の時間を経過した場合に、最大電流値Imaxを減らすように補正する。
モード判定部40dは、対象機器から取得した情報に基づいて、対象機器の動作モードを判定する。
【0017】
<外部電源12の入力電圧値と低電圧電源13が出力可能な最大電流値>
図4は、外部電源12の入力電圧値と低電圧電源13が出力可能な最大電流値の関係を示した図である。
外部電源12からの入力電圧値Vinが187Vである場合に、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxは、5.0Aである。
外部電源12からの入力電圧値Vinが170Vである場合に、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxは、4.8Aである。
外部電源12からの入力電圧値Vinが150Vである場合に、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxは、4.5Aである。
外部電源12からの入力電圧値Vinが100Vである場合に、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxは、2.0Aである。
外部電源12からの入力電圧値Vinが50Vである場合に、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxは、1.0Aである。
本実施形態では、外部電源12の入力電圧値Vinと、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxとを関連付けて、例えば表1に示すような最大電流値パターンテーブル33bがROM33記憶されている。
【0018】
【0019】
<入力電圧値Vinと1次側入力電流Inの関係>
図4に示すように、外部電源12からの入力電圧値Vinが低くなるに従って、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxが小さくなることの要因の1つは、機器の電源装置10に搭載されている部品の温度があげられる。
電源装置10の1次側入力電流Inは、以下の式で求めることができる。
1次側入力電流In=2次側電力/効率/入力電圧値Vin/力率 式(1)
上記の式(1)より、入力電圧値Vinが低くなると、1次側入力電流Inが大きくなる。
そのため、入力電圧値Vinが低くなると、機器の電源装置10の1次側に搭載されている部品の温度が高くなる。従って、入力電圧値Vinが低くなるとともに、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxは小さくなる。
【0020】
他の要因としては、入力電圧値Vinが低くなると、アルミ電解コンデンサC1に充電される電荷の容量が小さくなることがあげられる。そのため、スイッチングに用いるFET20やIC21などの1次側回路において消費することできる電荷の容量が小さくなり、2次側回路で消費することができる最大電流値Imax(低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imax)の値も小さくなる。
【0021】
<従来の補助電源の消費電力の大きさ>
図5は、従来の補助電源における低入力電圧時の消費電力の大きさを示した図である。
従来の補助電源では、低入力電圧時(入力電圧値Vin=150V、100V)に機器の電源装置から供給できる電力量を考慮せず、補助電源から電力を供給していたため、補助電源からの消費電力が大きくなっている。
例えば、
図5に示すように、動作モードがウォームアップ状態や印刷中状態では、待機中モードや省エネモードよりも、補助電源34からの消費電力が大きくなっている。
【0022】
<本実施形態の消費電力の大きさ>
図6は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1における低入力電圧時(入力電圧値Vin=150V)の消費電力の大きさを示した図である。
図6では、上述した補助電源34(蓄電手段)と低電圧電源13の消費電力を示している。
制御部40では、入力電圧値Vinの値から低電圧電源13が供給できる電流値Iを算出し、低電圧電源13が電力を供給できない一部の負荷にのみ、補助電源34から電力を供給しているため、補助電源34からの消費電力が小さくなっている。
例えば、
図6に示すように、動作モードがウォームアップ状態や印刷中状態では、補助電源34(蓄電手段)からの消費電力が小さくなっている。
【0023】
<本実施形態の消費電力の大きさ>
図7は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1における低入力電圧時(入力電圧値Vin=100V)の消費電力の大きさを示した図である。
制御部40では、入力電圧値Vinの値から低電圧電源13が供給できる電流値Iを算出し、低電圧電源13が電力を供給できない一部の負荷にのみ、補助電源34(蓄電手段)から電力を供給しているため、補助電源34からの消費電力が小さくなっている。
例えば、
図7に示すように、動作モードがウォームアップ状態や待機中モードや印刷中モードでは、
図6に示す状態よりもさらに、補助電源34からの消費電力が小さくなっている。
【0024】
<電源装置の動作>
図8(a)は、本発明の一実施形態に係る電源装置10の動作を示すメインルーチンのフローチャートであり、
図8(b)は、本発明の一実施形態に係る電源装置10の動作を示すサブルーチンのフローチャートである。
図8(a)では、外部電源12からの入力電圧値Vinに応じて、補助電源34(蓄電手段)から電力供給する負荷を選択することを特徴とする。
ステップS5では、制御部40は、電圧検出部28に外部電源12からの入力電圧値Vinを検知させ、入力電圧値Vinを取得する。
ステップS10では、制御部40は、外部電源12からの入力電圧値Vinに基づいて、低電圧電源13から出力可能な最大電流値Imaxを算出する。
ステップS13では、制御部40は、対象機器のコントローラ1aから取得した情報に基づいて、対象機器の動作モードを判定する。
ステップS15では、制御部40は、機器の動作モードに基づいて、機器が必要な必要電流値Ihを算出する。
ステップS20では、制御部40は、負荷選択処理の動作を示すサブルーチンをコールする。
さらに、制御部40は、サブルーチンからメインルーチンに復帰した後に終了する。
【0025】
次に、
図8(b)を参照して、負荷選択処理の動作を示すサブルーチンについて説明する。
ステップS50では、制御部40は、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxが、機器が必要な必要電流値Ih以上か否かを判断する。ここで、低電圧電源13から出力可能な最大電流値Imaxが、機器が必要な必要電流値Ih以上である場合にはステップS55に進む。一方、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxが、機器が必要な必要電流値Ih未満である場合にはステップS60に進む。
低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxが、機器が必要な必要電流値Ih以上である場合に、ステップS55では、制御部40は、補助電源34(蓄電手段)からの電力供給は不要のため、補助電源34からの電力供給を停止する。その後、メインルーチンに復帰する。
一方、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxが、機器が必要な必要電流値Ih未満である場合に、ステップS60では、制御部40は、補助電源34から電力供給する負荷を選択する。
ステップS65では、制御部40は、補助電源34から電力供給を開始する。その後、メインルーチンに復帰する。
【0026】
このように、外部電源12から供給される入力電圧値Vinに基づいて、交流直流変換部16が出力可能な最大電流値Imaxを算出し、最大電流値Imaxと、対象機器の現在の動作モードに必要とされる必要電流値Ihとを比較して、補助電源34からの電力を供給する負荷を選択することで、外部電源12の電圧が機器の入力電圧仕様範囲外まで低下した場合でも、補助電源34から機器に供給される消費電力を小さくすることができる。
また、スイッチ部41を切り替えることで、選択された負荷に対してのみ、補助電源34からの電力を供給することができる。
さらに、対象機器の動作モードを判定することで、現在の動作モードに応じて、補助電源34からの電力を供給する負荷を選択することで、補助電源34から機器に供給される消費電力を小さくすることができる。
また、動作モードにおいて必要な必要電流値Ihを演算することで、補助電源34からの電力を供給する負荷を選択する際の選択精度を向上することができる。
【0027】
<印刷中モード時の動作概要>
図9は、印刷中モード時に必要な必要電流値Ihと、外部電源12の入力電圧値Vinに応じて補助電源(蓄電手段)から電力供給する負荷との関係を示した図である。
外部電源12からの入力電圧値Vinが187V~170Vである場合に、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxは、必要電流値Ihとして5.0A~4.8Aであり、この場合、印刷時に必要な必要電流値Ihが必要電流値Ihとして4.8A以上あるので、補助電源34からの電力供給はなく、低電圧電源13からのみ電力を供給する。
外部電源12からの入力電圧値Vinが170V~150Vである場合に、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxは、必要電流値Ihとして4.8A~4.5Aであり、この場合、FAN39のみ補助電源34から電力供給し、他の負荷へ低電圧電源13から電力を供給する。
外部電源12からの入力電圧値Vinが150V~100Vである場合に、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxは、必要電流値Ihとして4.5A~2.0Aであり、この場合、FAN39及びSCAN36に補助電源34から電力供給し、他の負荷へ低電圧電源13から電力を供給する。
【0028】
外部電源12からの入力電圧値Vinが100V~50Vである場合に、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxは、必要電流値Ihとして2.0A~1.0Aであり、この場合、24V系負荷(モジュールMd)に補助電源34から電力供給し、5V系の負荷へ低電圧電源13から電力を供給する。
外部電源12からの入力電圧値Vinが100V~50Vである場合に、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxは、必要電流値Ihとして2.0A~1.0Aであり、この場合、24V系負荷に補助電源34から電力供給し、5V系の負荷へ低電圧電源13から電力を供給する。
外部電源12からの入力電圧値Vinが50V以下である場合に、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxは、必要電流値Ihとして1.0A以下であり、この場合、全ての負荷に補助電源34から電力供給する。
【0029】
<印刷中モードに対応した動作フロー>
図10(a)は、本発明の一実施形態に係る電源装置10の動作を示すメインルーチンのフローチャートであり、
図10(b)は、本発明の一実施形態に係る電源装置10の動作(印刷中モード)を示すサブルーチンのフローチャートである。
図10(a)は、機器が印刷中モードであるときに、外部電源12からの入力電圧値Vinに応じて、補助電源34(蓄電手段)から電力供給する負荷を選択するフローチャートである。
ステップS105では、制御部40は、電圧検出部28に外部電源12からの入力電圧値Vinを検知させ、入力電圧値Vinを取得する。
ステップS110では、制御部40は、外部電源12からの入力電圧値Vinに基づいて、最大電流値パターンテーブル33bを参照して、低電圧電源13から出力可能な最大電流値Imaxを算出する。
ステップS113では、制御部40は、対象機器のコントローラ1aから取得した情報に基づいて、対象機器の現在の動作モードを判定する。
ステップS115では、制御部40は、負荷選択処理の動作を示すサブルーチンをコールする。
さらに、制御部40は、サブルーチンからメインルーチンに復帰した後に終了する。
【0030】
次に、
図10(b)を参照して、動作モードが印刷中モードである場合の負荷選択処理の動作を示すサブルーチンについて説明する。
ステップS150では、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxが、必要電流値Ihとして4.8A以上か否かを判断する。
低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxが、必要電流値Ihとして4.8A以上である場合(S150、Yes)には、ステップS155に進み、補助電源34(蓄電手段)からの電力供給は不要のため、補助電源34からの電力供給を停止する。
一方、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxが、必要電流値Ihとして4.8A未満である場合(S150、No)には、ステップS160に進み、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxが、必要電流値Ihとして4.5A以上か否かを判断する。
低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxが、必要電流値Ihとして4.5A以上である場合(S160、Yes)には、ステップS165に進み、FAN39のみ補助電源34から電力供給を開始する。
一方、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxが、必要電流値Ihとして4.5A未満である場合(S160、No)には、ステップS170に進み、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxが、必要電流値Ihとして2.0A以上か否かを判断する。
【0031】
低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxが、必要電流値Ihとして2.0A以上である場合(S170、Yes)には、ステップS175に進み、FAN39、SCAN36に補助電源34から電力供給を開始する。
一方、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxが、必要電流値Ihとして2.0A未満である場合(S170、No)には、ステップS180に進み、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxが、必要電流値Ihとして1.0A以上か否かを判断する。
低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxが、必要電流値Ihとして1.0A以上である場合(S180、Yes)には、ステップS185に進み、24V系の負荷に補助電源34から電力供給を開始する。なお、5V系の負荷には低電圧電源13から供給する。
一方、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxが、必要電流値Ihとして1.0A未満である場合(S190、No)には、ステップS190に進み、全ての負荷に補助電源34から電力供給を開始する。
【0032】
このように、外部電源12から供給される入力電圧値Vinに基づいて、交流直流変換部16が出力可能な最大電流値Imaxを算出し、最大電流値Imaxと、対象機器の現在の印刷中モードに必要とされる必要電流値Ihとを比較して、補助電源34からの電力を供給する負荷を選択することで、外部電源12の電圧が機器の入力電圧仕様範囲外まで低下した場合でも、補助電源34から機器に供給される消費電力を小さくすることができる。
【0033】
<待機中モードでの動作概要>
図11は、待機中モードに必要な必要電流値Ihと、外部電源12の入力電圧値Vinに応じて補助電源(蓄電手段)から電力供給する負荷との関係を示した図である。
外部電源12からの入力電圧値Vinが187V~100Vである場合に、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxは、必要電流値Ihとして5.0A~2.0Aであり、この場合、待機中モードに必要な必要電流値Ihが2.0A以上あるので、補助電源34からの電力供給はなく、低電圧電源13からのみ電力を供給する。
外部電源12からの入力電圧値Vinが100V~80Vである場合に、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxは、必要電流値Ihとして2.0A~1.7Aであり、この場合、FAN39のみ補助電源34から電力供給し、他の負荷へ低電圧電源13から電力を供給する。
外部電源12からの入力電圧値Vinが80V~50Vである場合に、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxは、必要電流値Ihとして1.7A~1.0Aであり、この場合、24V系負荷に補助電源34から電力供給し、5V系の負荷へ低電圧電源13から電力を供給する。
外部電源12からの入力電圧値Vinが50V以下である場合に、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxは、必要電流値Ihとして1.0A以下であり、この場合、全ての負荷に補助電源34から電力供給する。
【0034】
<待機中モードに対応した動作フロー>
図12(a)は、本発明の一実施形態に係る電源装置10の動作を示すメインルーチンのフローチャートであり、
図12(b)は、本発明の一実施形態に係る電源装置10の動作(待機中モード)を示すサブルーチンのフローチャートである。
図12(a)は、機器が待機中モードであるとき、外部電源12からの入力電圧値Vinに応じて、補助電源34(蓄電手段)から電力供給する負荷を選択するフローチャートである。
ステップS205では、制御部40は、電圧検出部28に外部電源12からの入力電圧値Vinを検知させ、入力電圧値Vinを取得する。
ステップS210では、制御部40は、外部電源12からの入力電圧値Vinに基づいて、最大電流値パターンテーブル33bを参照して、低電圧電源13から出力可能な最大電流値Imaxを算出する。
ステップS213では、制御部40は、対象機器のコントローラ1aから取得した情報に基づいて、対象機器の動作モードを判定する。
ステップS215では、制御部40は、負荷選択処理の動作を示すサブルーチンをコールする。
さらに、制御部40は、サブルーチンからメインルーチンに復帰した後に終了する。
【0035】
次に、
図12(b)を参照して、動作モードが待機中モードである場合の負荷選択処理の動作を示すサブルーチンについて説明する。
ステップS250では、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxが、必要電流値Ihとして2.0A以上か否かを判断する。
低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxが、必要電流値Ihとして2.0A以上である場合(S250、Yes)には、ステップS255に進み、補助電源34(蓄電手段)からの電力供給は不要のため、補助電源34からの電力供給を停止する。
一方、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxが、必要電流値Ihとして2.0A未満である場合(S250、No)には、ステップS260に進み、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxが、必要電流値Ihとして1.7A以上か否を判断する。
【0036】
低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxが、必要電流値Ihとして1.7A以上である場合(S260、Yes)には、ステップS265に進み、FAN39のみ補助電源34から電力供給を開始する。
一方、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxが、必要電流値Ihとして1.7A未満である場合(S260、No)には、ステップS270では、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxが、必要電流値Ihとして1.0A以上か否かを判断する。
低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxが、必要電流値Ihとして1.0A以上である場合(S270、Yes)には、ステップS275に進み、24V系の負荷に補助電源34から電力供給を開始する。なお、5V系の負荷には低電圧電源13から電力を供給する。
一方、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxが、必要電流値Ihとして1.0A未満である場合(S270、No)には、ステップS280に進み、全ての負荷に補助電源34から電力供給を開始する。
【0037】
このように、外部電源12から供給される入力電圧値Vinに基づいて、交流直流変換部16が出力可能な最大電流値Imaxを算出し、最大電流値Imaxと、対象機器の現在の待機中モードに必要とされる必要電流値Ihとを比較して、補助電源34からの電力を供給する負荷を選択することで、外部電源12の電圧が機器の入力電圧仕様範囲外まで低下した場合でも、補助電源34から機器に供給される消費電力を小さくすることができる。
【0038】
<温度に応じた必要電流値補正処理>
図13は、雰囲気温度に応じて、機器が必要な必要電流値Ihを補正する温度に応じた必要電流値補正処理を示すフローチャートである。
一般に、低温時には、モータのトルクが重くなり、必要な負荷電流が大きくなるという事情があった。そこで、機器の筐体内に温度検出部1bを設け、当該温度検出部1bからのセンサ信号をCPU15のA/Dポートに入力しておき、以下の処理を行う。
ステップS305では、演算部40cは、温度検出部1bから取得した雰囲気温度TがT1℃より低いか否かを判断する。
雰囲気温度TがT1℃より低い場合(S305、Yes)には、ステップS310に進み、演算部40cは、機器が必要な必要電流値Ih(
図12に示すS250、S260、S270の閾値である必要電流値Ih)を増やすように補正した後、処理を終了する。
【0039】
このように、雰囲気温度Tが所定の温度T1℃以下である場合に、必要電流値Ihを増やすように補正することで、補助電源34からの電力を供給する負荷を選択する際の選択精度を向上することができる。
【0040】
<印刷枚数に応じた必要電流値補正処理>
図14は、印刷枚数に応じて、機器が必要な必要電流値Ihを補正する印刷枚数に応じた必要電流値補正処理を示すフローチャートである。
一般に、モータが経時劣化すると、必要な負荷電流が大きくなるという事情があった。そこで、機器のコントローラ1aがホストPCから受け付けた印刷ジョブに含まれる印刷枚数をCPU15に取得しておき、以下の処理を行う。
ステップS405では、演算部40cは、印刷枚数がA枚より多いか否かを判断する。
印刷枚数がA枚より多い場合(S405、Yes)には、ステップS410に進み、演算部40cは、機器が必要な必要電流値(
図12に示すS250、S260、S270の閾値である必要電流値Ih)を増やすように補正した後、処理を終了する。
【0041】
このように、負荷の利用時間を表す印刷枚数が所定の時間を表す印刷枚数A枚を経過した場合に、必要電流値Ihを増やすように補正することで、補助電源34からの電力を供給する負荷を選択する際の選択精度を向上することができる。
【0042】
<印刷枚数に応じた最大電流値補正処理>
図15は、印刷枚数に応じて、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxを補正する印刷枚数に応じた最大電流値補正処理を示すフローチャートである。
一般に、低電圧電源13に搭載されている1次側のアルミ電解コンデンサC1は、経時劣化すると、静電容量が減少し、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imaxが減少するという事情があった。そこで、機器のコントローラ1aがホストPCから受け付けた印刷ジョブに含まれる印刷枚数をCPU15に取得しておき、以下の処理を行う。
ステップS505では、演算部40cは、印刷枚数がB枚より多いか否かを判断する。
印刷枚数がB枚より多い場合(S505、Yes)には、ステップS510に進み、演算部40cは、低電圧電源13が出力可能な最大電流値Imax(
図8(a)に示すS10の最大電流値Imax)を減らすように補正した後、処理を終了する。
【0043】
このように、負荷の利用時間を表す印刷枚数が所定の時間を表す印刷枚数B枚を経過した場合に、最大電流値Imaxを減らすように補正することで、補助電源34からの電力を供給する負荷を選択する際の選択精度を向上することができる。
【0044】
<本実施形態の態様例の作用、効果のまとめ>
<第1態様>
本態様の電源装置10は、外部電源12から供給される交流電力を直流電力に変換する交流直流変換部16と、外部電源12から供給される交流電力から変換された直流電力を充電するとともに、直流電力を放電可能な補助電源34(蓄電手段)と、外部電源12から供給される入力電圧値Vinを検出する電圧検出部28と、電圧検出部28により検出された入力電圧値Vinに基づいて、対象機器が備える複数の負荷の中から補助電源34(蓄電手段)からの電力を供給する負荷を選択する制御部40と、を備えた電源装置10であって、電圧検出部28により検出された入力電圧値Vinに基づいて、交流直流変換部16が出力可能な最大電流値Imaxを算出する最大電流値算出部40aと、最大電流値算出部40aにより算出された最大電流値Imaxと、対象機器の現在の動作モードに必要とされる必要電流値Ihとを比較して、補助電源34(蓄電手段)からの電力を供給する負荷を選択する負荷選択部40bと、を備えることを特徴とする。
本態様によれば、外部電源12から供給される入力電圧値Vinに基づいて、交流直流変換部16が出力可能な最大電流値Imaxを算出し、最大電流値Imaxと、対象機器の現在の動作モードに必要とされる必要電流値Ihとを比較して、補助電源34からの電力を供給する負荷を選択することで、外部電源12の電圧が機器の入力電圧仕様範囲外まで低下した場合でも、補助電源34から機器に供給される消費電力を小さくすることができる。
【0045】
<第2態様>
本態様の電源装置10は、交流直流変換部16及び補助電源34(蓄電手段)の一方に接続され、他方を対象機器の各負荷に接続される複数のスイッチ部41を備え、
制御部40は、負荷選択部40bにより選択された負荷に対してのみ、補助電源34(蓄電手段)からの電力を供給するようにスイッチ部41を切り替えることを特徴とする。
本態様によれば、スイッチ部41を切り替えることで、選択された負荷に対してのみ、補助電源34からの電力を供給することができる。
【0046】
<第3態様>
本態様の電源装置10は、動作モードに基づいて、動作モードにおいて必要な必要電流値Ihを演算する演算部40cを備えたことを特徴とする。
本態様によれば、動作モードにおいて必要な必要電流値Ihを演算することで、補助電源34からの電力を供給する負荷を選択する際の選択精度を向上することができる。
【0047】
<第4態様>
本態様の電源装置10は、対象機器から取得した情報に基づいて、対象機器の動作モードを判定するモード判定部40dを備えたことを特徴とする。
本態様によれば、対象機器の動作モードを判定することで、現在の動作モードに応じて、補助電源34からの電力を供給する負荷を選択することで、補助電源34から機器に供給される消費電力を小さくすることができる。
【0048】
<第5態様>
本態様の電源装置10は、負荷の雰囲気温度を検出する温度検出部1bを備え、演算部40cは、温度検出部1bにより検出された雰囲気温度が所定の温度以下である場合に、必要電流値Ihを増やすように補正することを特徴とする。
本態様によれば、雰囲気温度が所定の温度以下である場合に、必要電流値Ihを増やすように補正することで、補助電源34からの電力を供給する負荷を選択する際の選択精度を向上することができる。
【0049】
<第6態様>
本態様の演算部40cは、負荷の利用時間が所定の時間を経過した場合に、必要電流値Ihを増やすように補正することを特徴とする。
本態様によれば、負荷の利用時間が所定の時間を経過した場合に、必要電流値Ihを増やすように補正することで、補助電源34からの電力を供給する負荷を選択する際の選択精度を向上することができる。
【0050】
<第7態様>
本態様の演算部40cは、負荷の利用時間が所定の時間を経過した場合に、最大電流値Imaxを減らすように補正することを特徴とする。
本態様によれば、負荷の利用時間が所定の時間を経過した場合に、最大電流値Imaxを減らすように補正することで、補助電源34からの電力を供給する負荷を選択する際の選択精度を向上することができる。
【0051】
<第8態様>
本態様の画像形成装置は、請求項1乃至7の何れか一項に記載の電源装置10と、電源装置10から供給される電力を消費する複数の負荷と、を備えたことを特徴とする。
本態様によれば、画像形成装置において、外部電源12から供給される入力電圧値Vinに基づいて、交流直流変換部16が出力可能な最大電流値Imaxを算出し、最大電流値Imaxと、対象機器の現在の動作モードに必要とされる必要電流値Ihとを比較して、補助電源34からの電力を供給する負荷を選択することで、補助電源34から機器に供給される消費電力を小さくすることができる。
【0052】
<第9態様>
本態様の電源制御方法は、外部電源12から供給される交流電力を直流電力に変換する交流直流変換部16と、外部電源12から供給される交流電力から変換された直流電力を充電するとともに、電力を放電可能な補助電源34(蓄電手段)と、外部電源12から供給される電圧を検出する電圧検出部28と、電圧検出部28により検出された入力電圧値Vinに基づいて、対象機器が備える複数の負荷の中から補助電源34(蓄電手段)からの電力を供給する負荷を選択する制御部40と、を備えた電源装置10による電源制御方法であって、電圧検出部28により検出された入力電圧値Vinに基づいて、交流直流変換部16が出力可能な最大電流値Imaxを算出する最大電流値算出ステップと、最大電流値算出部40aにより算出された前記最大電流値Imaxと、前記対象機器の現在の動作モードに必要とされる必要電流値Ihとを比較して、補助電源34(蓄電手段)からの電力を供給する負荷を選択する負荷選択ステップと、を実行することを特徴とする。
第9態様の作用、及び効果は第1態様と同様であるので、その説明を省略する。
【0053】
<第10態様>
本態様のプログラムは、請求項9記載の電源制御方法における各ステップをプロセッサに実行させることを特徴とする。
本態様によれば、各ステップをプロセッサに実行させることができる。
【符号の説明】
【0054】
1…画像形成装置、1a…コントローラ、1b…温度検出部、10…電源装置、11…負荷、12…外部電源、13…低電圧電源、14…制御基板、15…CPU、15a…RAM、16…交流直流変換部、17…ノイズフイルター、24…スイッチングレギュレータ、25…ハロゲンヒータ、26…トライアック、27…制御信号、28…電圧検出部、33…ROM、33a…プログラム、33b…最大電流値パターンテーブル、33c…電力供給パターンテーブル、34…補助電源、35…リレー、37…V系負荷、38…V系負荷、39…FAN、40…制御部、40a…最大電流値算出部、40b…負荷選択部、40c…演算部、40d…モード判定部、41…スイッチ部、42…スイッチ駆動部、SW1、SW2、SW3、SW4…スイッチ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】