(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド、液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20220614BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
B41J2/14 501
B41J2/14 605
B41J2/01 301
B41J2/01 401
(21)【出願番号】P 2018068383
(22)【出願日】2018-03-30
【審査請求日】2020-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】荒木 理美
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-096771(JP,A)
【文献】特開2004-090504(JP,A)
【文献】特開2003-118109(JP,A)
【文献】特開2009-066944(JP,A)
【文献】特開2001-063016(JP,A)
【文献】特開2017-170628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数色の液体を吐出するノズルが主走査方向に平行に並び、
同じ色の液体を吐出する複数のノズルは、副走査方向に略V字形状に並び、
主走査方向の位置を同じくして副走査方向で隣り合う2つの前記ノズルは異なる色の液体を吐出し、
前記ノズルから液体を吐出するときには前記主走査方向に平行に並ぶ前記ノズルの一端から順に吐出される
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
複数色の液体を吐出するノズルが主走査方向に並んで配置され、
同じ色の液体を吐出する複数のノズルは、前記主走査方向に対し、副走査方向に右下がりで斜め並ぶノズルの列と、副走査方向に左下がりで斜め並ぶノズルの列と、を構成するように配置され、
主走査方向の位置を同じくして副走査方向で隣り合う2つの前記ノズルは異なる色の液体を吐出し、
前記右下がりで並ぶノズルと前記左下がりで並ぶノズルとは、前記副走査方向の位置がずれて配置されている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記ノズルに対応する液体を供給する複数の共通流路支流と、
前記複数の共通
流路支流に通じる共通流路本流と、を有し、
前記複数色の各色に対応する前記共通流路支流が副走査方向に交互に配置されている
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
主走査方向に往復移動可能なキャリッジと、
前記キャリッジに搭載された請求項1ないし
3のいずれかに記載の液体吐出ヘッドと、を備え、
前記キャリッジを双方向に移動させて前記液体吐出ヘッドから液体を吐出させるとき、前記液体吐出ヘッドの前記主走査方向に並ぶ前記複数のノズルの移動方向先端側の前記ノズルから前記液体を吐出させる
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出ヘッド、液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出する液体吐出ヘッドを主走査方向に往復走査させて双方向で印刷を行う場合、往路と復路で、液体の着弾順(吐出順)が逆順になることによって色差(双方向色差)が生じる。
【0003】
従来、例えば、1色当たり2列のノズル列を有し、主走査方向に対して色順が左右対称になるように配置することで、往路と復路で同じ着弾順になるようにした抑制することが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、液体吐出ヘッドとしては、複数のノズルを二次元でマトリクス配置したものがあり、このようなマトリクス配置の液体吐出ヘッドを使用して、1色当たりのノズル列数を増加すると、ヘッド全体が大型化するという課題がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、簡単なヘッド構成で双方向色差を目立たなくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の請求項1に係る液体吐出ヘッドは、
複数色の液体を吐出するノズルが主走査方向に平行に並び、
同じ色の液体を吐出する複数のノズルは、副走査方向に略V字形状に並び、
主走査方向の位置を同じくして副走査方向で隣り合う2つの前記ノズルは異なる色の液体を吐出し、
前記ノズルから液体を吐出するときには前記主走査方向に平行に並ぶ前記ノズルの一端から順に吐出される
構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡単なヘッド構成で双方向色差を目立たなくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に液体吐出ヘッドのノズル配置と共通流路を説明する平面説明図である。
【
図2】同じくノズル配置を説明する平面説明図である。
【
図3】双方向印刷におけるヘッドのノズル配置と着弾ドットの色順との関係の説明に供する説明図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る液体吐出ヘッドのノズル配置を説明する平面説明図である。
【
図5】同じく各色の着弾順を説明する説明図である。
【
図6】本発明に係る液体を吐出する装置としての印刷装置の一例の要部平面説明図である。
【
図8】同印刷装置の制御部のブロック説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態について
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は同実施形態に係る液体吐出ヘッドのノズル配置と共通流路を説明する平面説明図、
図2は同じくノズル配置を説明する平面説明図である。
【0011】
液体吐出ヘッド1は、液体を吐出するノズル11(11A、11B)と、ノズル11に通じる圧力室(個別液室)21と、圧力室21に通じる個別供給流路22とを備えている。
【0012】
そして、個別供給流路22に供給口23を介して通じる複数の共通流路支流51(51A、51B)と、複数の共通流路支流51(51A、51B)が通じる共通流路本流61(61A、61B)とを備えている。
【0013】
共通流路本流61Aと共通流路本流61Bとは、主走査方向(第1の方向)の両側に配置されている。共通流路支流51Aと共通流路支流51Bとは、主走査方向と直交する副走査方向(第2の方向)に交互に配置されている。また、共通流路支流51Aと共通流路支流51Bとは、平面視で、略V字形状をなしている。
【0014】
ここで、共通流路本流61Aと共通流路本流61Bとは異なる色の液体を供給する。これにより、例えば、共通流路支流51Aを通じてノズル11Aから第1の色の液体(本実施形態では、マゼンタMの液体とする。)を吐出することが可能となる。共通流路支流51Bを通じてノズル11Bから第2の色の液体(本実施形態では、シアンCの液体とする。)を吐出することが可能となる。
【0015】
そして、この液体吐出ヘッド1においては、複数色の液体、例えば、上記のとおりマゼンタ(M)の液体を吐出するノズル11A(
図2ではA1などの黒四角で示すノズル)と、シアン(C)の液体を吐出するノズル11B(
図2ではB1などの白四角で示すノズル)が主走査方向(第1方向)に平行に並んで配置されている。
【0016】
また、ノズル11Aとノズル11Bは、主走査方向と直交する副走査方向(第2方向)にも並んで配置されている。
【0017】
ここで、同じ色の液体を吐出可能な複数のノズル11Aは、副走査方向に略V字形状で配置されている。同様に、同じ色の液体を吐出可能な複数のノズル11Bも、副走査方向に略V字形状で配置されている。
【0018】
つまり、同じ色の液体を吐出可能な複数のノズル11Aは、主走査方向に対し、副走査方向(第2方向)に右下がりに斜めに並ぶノズル列11ALと、副走査方向に左下がりに斜めに並ぶノズル列11ARとを構成するように配置されている。
【0019】
同様に、同じ色の液体を吐出可能な複数のノズル11Bは、主走査方向に対し、副走査方向に右下がりに斜め並ぶノズル列11BLと、副走査方向に左下がりに斜め並ぶノズル列11BRとを構成するように配置されている。
【0020】
このように、同じ色の液体を吐出する複数のノズルは、主走査方向に対して左右対称の直線上に並んでいる。また、同じ色の液体を吐出する複数のノズルは、主走査方向及び副走査方向に対して斜めの直線上に並んでいる。これにより、同じ色の液体を吐出する複数のノズル略V字形状に並ぶ。
【0021】
そして、右下がりで斜めにノズル11Aが並ぶノズル列11ALと、左下がりで斜めにノズル11Aが並ぶノズル列11ARとは、副走査方向でノズル11Aの位置がずれて配置されている。
【0022】
同様に、右下がりで斜めにノズル11Bが並ぶノズル列BLと左下がりで斜めにノズル11Bが並ぶノズル列11BRとは、副走査方向でノズル11Bの位置がずれて配置されている。
【0023】
また、副走査方向で一番上のドットから1番目のドット、2番目のドット、というように定義するとき、奇数番目のドットを形成するノズル11は左側領域(ノズル列AL、BL)に配置され、偶数番目のドットを形成するノズルは右側領域(ノズル列AR、BR)に配置されている。
【0024】
また、本実施形態では、副走査方向にV字形状に並ぶノズルの最大数(この例では、ノズル11A(A1~A8の8個)を副走査方向における1単位NBとするとき、副走査方向にn単位(n=整数、この例では、n=3)繰り返し配置されている。
【0025】
次に、この液体吐出ヘッドによる双方向印刷を行った場合の色差について
図3も参照して説明する。
図3は同説明に供するヘッドのノズル配置と着弾ドットの色順との関係の説明に供する説明図である。
【0026】
液体吐出ヘッド1を双方向に移動させて印刷を行う場合、主走査方向に並ぶノズル11の一端から順に液体を吐出させる。
【0027】
したがって、往路で印刷するときには、副走査方向における1ドット目は、ノズル11B(B1)、ノズル11A(A1)の順に着弾するので、着弾順はC→Mとなる。2ドット目は、ノズル11A(A2)、ノズル11B(B2)の順に着弾するので、着弾順はM→Cとなる。3ドット目は、ノズル11B(B3)、ノズル11A(A3)の順に着弾するので、着弾順はC→Mとなる。4ドット目は、ノズル11A(A4)、ノズル11B(B4)の順に着弾するので、着弾順はM→Cとなる。以下、5ドット目以降も同様である。
【0028】
このように、往路印刷を行うとき、副走査方向では、C→M,M→Cの着弾順で着弾するドットが1ドット毎に繰り返され、ドット間隔を所定ピッチ以下にすることで色味の違いを視認できなくなる。
【0029】
また、復路で印刷するときには、副走査方向における1ドット目は、ノズル11A(A1)、ノズル11B(B1)の順に着弾するので、着弾順はM→Cとなる。2ドット目は、ノズル11B(B2)、ノズル11A(A2)の順に着弾するので、着弾順はC→Mとなる。3ドット目は、ノズル11A(A3)、ノズル11B(B3)の順に着弾するので、着弾順はM→Cとなる。4ドット目は、ノズル11B(B4)、ノズル11A(A4)の順に着弾するので、着弾順はC→Mとなる。以下、5ドット目以降も同様である。
【0030】
このように、復路印刷を行うときも、副走査方向では、M→C,C→Mの着弾順で着弾するドットが1ドット毎に繰り返され、ドット間隔を所定ピッチ以下にすることで色味の違いを視認できなくなる。
【0031】
これにより、往路と復路の着弾順の違いによる色差が生じていても視認できなくなる。そして、同じ色の液体を吐出するノズルを副走査方向に略V字状になるように配置することで、1ドット毎に着弾順を入れ替えることができる配置となり、ヘッド構成が簡単で、ノズルの駆動制御も容易になる。
【0032】
次に、本発明の第2実施形態について
図4及び
図5を参照して説明する。
図4は同実施形態に係る液体吐出ヘッドのノズル配置を説明する平面説明図、
図5は各色の着弾順を説明する説明図である。
【0033】
本実施形態では、複数色の液体、例えば、マゼンタ(M)の液体を吐出するノズル11A(
図4ではA1などの黒四角で示すノズル)と、イエロー(Y)の液体を吐出するノズル11C(
図4ではC1などの網点四角で示すノズル)と、シアン(C)の液体を吐出するノズル11B(
図4ではB1などの白四角で示すノズル)が主走査方向(第1方向)に平行に並んで配置されている。
【0034】
また、ノズル11A、ノズル11B及びノズル11Cは、主走査方向と直交する副走査方向(第2方向)にも並んで配置されている。
【0035】
ここで、同じ色の液体を吐出可能な複数のノズル11Aは、副走査方向に略V字形状で配置されている。同様に、同じ色の液体を吐出可能な複数のノズル11Bも、副走査方向に略V字形状で配置されている。同様に、同じ色の液体を吐出可能な複数のノズル11Cも、副走査方向に略V字形状で配置されている。
【0036】
つまり、同じ色の液体を吐出可能な複数のノズル11Aは、主走査方向に対し、副走査方向(第2方向)に右下がりに斜めに並ぶノズル列と、副走査方向に左下がりに斜めに並ぶノズル列とを構成するように配置されている。
【0037】
同様に、同じ色の液体を吐出可能な複数のノズル11Bは、主走査方向に対し、副走査方向に右下がりに斜め並ぶノズル列と、副走査方向に左下がりに斜め並ぶノズル列とを構成するように配置されている。
【0038】
同様に、同じ色の液体を吐出可能な複数のノズル11Cは、主走査方向に対し、副走査方向に右下がりに斜め並ぶノズル列と、副走査方向に左下がりに斜め並ぶノズル列とを構成するように配置されている。
【0039】
そして、右下がりで斜めにノズル11Aが並ぶノズル列と、左下がりで斜めにノズル11Aが並ぶノズル列とは、副走査方向でノズル11Aの位置がずれて配置されている。
【0040】
同様に、右下がりで斜めにノズル11Bが並ぶノズル列と左下がりで斜めにノズル11Bが並ぶノズル列とは、副走査方向でノズル11Bの位置がずれて配置されている。
【0041】
同様に、右下がりで斜めにノズル11Cが並ぶノズル列と左下がりで斜めにノズル11Cが並ぶノズル列とは、副走査方向でノズル11Cの位置がずれて配置されている。
【0042】
本実施形態の液体吐出ヘッド1を双方向に移動させて印刷を行う場合、主走査方向に並ぶノズル11の一端から順に液体を吐出させる。
【0043】
したがって、
図5に示すように、シアンCとマゼンタMでブルーBのドットを形成するとき、往路印刷においては、1ドット目から12ドット目まで、4ドット目と5ドット目が同じ着弾順になる以外、C→Mの順で着弾するドットと、M→Cの順で着弾するドットが交互に現れる。
【0044】
同様に、復路印刷においては、1ドット目から12ドット目まで、4ドット目と5ドット目が同じ着弾順になる以外、M→Cの順で着弾するドットと、C→Mの順で着弾するドットが交互に現れる。
【0045】
他のレッドR、グリーンGのドットを形成するときも、同様に、
図5に示すように、往路、復路の4ドット目と5ドット目、8ドット目と9ドット目が同じ着弾順になる以外、着弾順が逆のドットが交互に現れる。
【0046】
したがって、前述したように、ドット間隔を所定ピッチ以下にすることで色味の違いを視認できないので、往路と復路の着弾順の違いによる色差が生じていても、視認できなくなる。そして、同じ色の液体を吐出するノズルを副走査方向に略V字状になるように配置することで、略1ドット毎に着弾順を入れ替えることができる配置となり、ヘッド構成が簡単で、ノズルの駆動制御も容易になる。
【0047】
次に、本発明に係る液体を吐出する装置としての印刷装置の一例について
図6及び
図7を参照して説明する。
図6は同装置の要部平面説明図、
図7は同装置の要部側面説明図である。
【0048】
この印刷装置500は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
【0049】
キャリッジ403には、本発明に係る液体吐出ヘッド1及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。
【0050】
この印刷装置500は、シート材410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
【0051】
搬送ベルト412はシート材410を吸着して液体吐出ヘッド1に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
【0052】
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
【0053】
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド1の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
【0054】
維持回復機構420は、例えばヘッド1のノズル面をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
【0055】
主走査移動機構493、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
【0056】
このように構成した印刷装置500においては、シート材410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によってシート材410が副走査方向に搬送される。
【0057】
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じてヘッド1を駆動することにより、停止しているシート材410に液体を吐出して画像を形成する。
【0058】
次に、この印刷装置500の制御部の概要について
図5を参照して説明する。
図5は同制御部のブロック説明図である。
【0059】
制御部500は、装置全体の制御を司るCPU501、CPU501が実行するプログラムを含む各種プログラムなどの固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503で構成される主制御部500Aを備えている。
【0060】
制御部500は、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504を備えている。制御部500は、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505を備えている。
【0061】
制御部500は、液体吐出ヘッド1を駆動制御するためのデータ転送手段を含むヘッド駆動制御部508と、液体吐出ヘッド1を駆動するための駆動IC(ここでは「ヘッドドライバ」という。)509を備えている。
【0062】
制御部500は、キャリッジ403を移動走査する主走査モータ405、搬送ベルト412を周回移動させる副走査モータ416、維持回復機構420のキャップ421やワイパ部材423の移動、キャップ421に接続される吸引手段の駆動などを行なう維持回復モータ556を駆動するためのモータ駆動部510を備えている。
【0063】
制御部500は、ヘッドタンク441に所要の色の液体を送液する送液ポンプ454を駆動する供給系駆動部512を備えている。
【0064】
制御部500は、I/O部513を有している。I/O部513は、様々のセンサ情報を処理することができ、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得する。そして、装置の制御に必要な情報を抽出し、ヘッド駆動制御部508やモータ駆動部510の制御などに使用する。センサ群515は、シート材410の位置を検出するための光学センサやカバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどが含まれる。
【0065】
制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
【0066】
ここで、制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、画像読み取り装置などのホスト600側のプリンタドライバ601からの所要の情報を、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
【0067】
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。なお、画像を出力するためドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行なうことも、制御部500で行なうこともできる。
【0068】
ヘッド駆動制御部508は、画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号などをヘッドドライバ509に転送する。また、ヘッド駆動制御部508は、ROM502に格納保持している複数種類の駆動波形データを選択して駆動波形データとしてヘッドドライバ509に対して出力する。
【0069】
ヘッドドライバ509は、ヘッド駆動制御部508からシリアルに転送される液体吐出ヘッド1の1行分に相当する画像データと、ヘッド駆動制御部508から転送される駆動波形データなどに基づいて、液体吐出ヘッド1の圧力発生手段(例えば圧電素子)毎に吐出駆動波形を生成して出力することで、液体吐出ヘッド1を駆動する。
【0070】
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0071】
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0072】
「液体吐出ユニット」は、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体が含まれる。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構、液体循環装置の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
【0073】
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
【0074】
例えば、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
【0075】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
【0076】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
【0077】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
【0078】
また、液体吐出ユニットとして、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。このチューブを介して、液体貯留源の液体が液体吐出ヘッドに供給される。
【0079】
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
【0080】
なお、ここでは、「液体吐出ユニット」について、液体吐出ヘッドとの組み合わせで説明しているが、「液体吐出ユニット」には上述した液体吐出ヘッドを含むヘッドモジュールやヘッドユニットと上述したような機能部品、機構が一体化したものも含まれる。
【0081】
「液体を吐出する装置」には、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、ヘッドモジュール、ヘッドユニットなどを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を 気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0082】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0083】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0084】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0085】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0086】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0087】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0088】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0089】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0090】
1 液体吐出ヘッド
11、11A~11C ノズル
21 圧力室
22 供給流路
23 供給口
51A、51B 共通流路支流
61A、61B 共通流路本流
403 キャリッジ
440 液体吐出ユニット
500 印刷装置(液体を吐出する装置)