(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】情報処理システム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20220614BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20220614BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20220614BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
B41J29/38 201
B41J29/38 202
B41J29/42 F
H04N1/00 C
H04N1/00 127B
G06F3/12 355
G06F3/12 387
G06F3/12 305
(21)【出願番号】P 2018070385
(22)【出願日】2018-03-30
【審査請求日】2021-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2017101450
(32)【優先日】2017-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】深澤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 里奈
(72)【発明者】
【氏名】兵 清弘
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-162292(JP,A)
【文献】特開2016-200934(JP,A)
【文献】特開2012-088838(JP,A)
【文献】特開2012-141904(JP,A)
【文献】特開2013-075365(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0245885(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 29/42
H04N 1/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが利用する端末装置と、印刷ジョブが記憶される情報処理装置と、少なくとも印刷処理を実行可能な画像処理装置と
、所定のサービスを実現する所定の処理を実行する外部サービス装置とがネットワークを介して接続される情報処理システムであって、
前記端末装置は、
印刷対象が指定された印刷開始操作を受け付ける受付部と、
前記受付部が前記印刷開始操作を受け付けると、前記印刷対象を示す印刷対象データを所定のデータ形式に変換した第1の電子データを作成する作成部と、
前記作成部が作成した前記第1の電子データを前記情報処理装置に送信する送信部と、を有し、
前記情報処理装置は、
前記第1の電子データを受信すると、
前記外部サービス装置に対して、前記第1の電子データに対する
前記所定の処理の実行を要求する要求部と、
前記要求部による要求に応じて前記外部サービス装置で前記所定の処理が実行された後の前記第1の電子データを示す第2の電子データを受信すると、該第2の電子データを印刷データに変換する変換部と、
前記変換部により変換された前記印刷データを示す情報と、該印刷データに対して印刷処理が実行される場合において変更を制限する印刷設定を示す禁則情報とが含まれる印刷ジョブを記憶する第1の記憶部と、を有し、
前記画像処理装置は、
前記印刷ジョブを前記情報処理装置から取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記印刷ジョブにより実行される印刷処理の印刷設定を変更するための画面の表示操作の入力を受け付ける受付部と、
前記受付部が前記表示操作の入力を受け付けると、前記印刷ジョブにより実行される印刷処理の印刷設定のうち、前記禁則情報が示す印刷設定のユーザによる変更を制限する表示態様で前記画面を表示する表示部と、
を有し、
前記端末装置には、所定のプリンタドライバがインストールされており、
前記送信部は、
前記作成部が作成した前記第1の電子データを、前記プリンタドライバに設定された第1のURLを送信先として、前記情報処理装置に送信し、
前記要求部は、
前記第1の電子データを受信すると、該第1の電子データの送信先の前記第1のURLから前記外部サービス装置を特定し、特定した前記外部サービス装置に対して、前記第1の電子データに対する所定の処理の実行を要求する、ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記禁則情報は、特定した前記外部サービス装置に対応する印刷設定の変更を制限する情報である、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記送信部は、
前記作成部が作成した前記第1の電子データを、前記プリンタドライバに設定された第1のURLを送信先として、IPPポートにより前記情報処理装置に送信する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記情報処理装置は、
前記外部サービス装置に対して所定の処理の実行を要求するためのWebAPIのエンドポイントを示す第2のURLが含まれる接続情報を記憶する第2の記憶部を有し、
前記要求部は、
前記第2の記憶部に記憶されている接続情報を参照して、前記第2のURLを送信先として、前記第1の電子データを前記外部サービス装置に送信することで、前記所定の処理の実行を要求する、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記作成部は、
前記受付部が前記印刷開始操作を受け付けると、前記印刷対象データを、前記外部サービス装置が前記所定の処理を実行可能なデータ形式に変換した第1の電子データを作成する、ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
ユーザが利用する端末装置と、印刷ジョブが記憶される情報処理装置と、少なくとも印刷処理を実行可能な画像処理装置と
、所定のサービスを実現する所定の処理を実行する外部サービス装置とがネットワークを介して接続される情報処理システムに用いられる情報処理方法であって、
前記端末装置は、
印刷対象が指定された印刷開始操作を受け付ける受付手順と、
前記受付手順が前記印刷開始操作を受け付けると、前記印刷対象を示す印刷対象データを所定のデータ形式に変換した第1の電子データを作成する作成手順と、
前記作成手順が作成した前記第1の電子データを前記情報処理装置に送信する送信手順と、を実行し、
前記情報処理装置は、
前記第1の電子データを受信すると、
前記外部サービス装置に対して、前記第1の電子データに対する
前記所定の処理の実行を要求する要求手順と、
前記要求手順による要求に応じて前記外部サービス装置で前記所定の処理が実行された後の前記第1の電子データを示す第2の電子データを受信すると、該第2の電子データを印刷データに変換する変換手順と、
前記変換手順により変換された前記印刷データを示す情報と、該印刷データに対して印刷処理が実行される場合において変更を制限する印刷設定を示す禁則情報とが含まれる印刷ジョブを記憶させる記憶制御手順と、を実行し、
前記画像処理装置は、
前記印刷ジョブを前記情報処理装置から取得する取得手順と、
前記取得手順が取得した前記印刷ジョブにより実行される印刷処理の印刷設定を変更するための画面の表示操作の入力を受け付ける受付手順と、
前記受付手順が前記表示操作の入力を受け付けると、前記印刷ジョブにより実行される印刷処理の印刷設定のうち、前記禁則情報が示す印刷設定のユーザによる変更を制限する表示態様で前記画面を表示する表示手順と、
を実行し、
前記端末装置には、所定のプリンタドライバがインストールされており、
前記送信手順は、
前記作成手順で作成した前記第1の電子データを、前記プリンタドライバに設定された第1のURLを送信先として、前記情報処理装置に送信し、
前記要求手順は、
前記第1の電子データを受信すると、該第1の電子データの送信先の前記第1のURLから前記外部サービス装置を特定し、特定した前記外部サービス装置に対して、前記第1の電子データに対する所定の処理の実行を要求する、ことを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クラウドコンピューティング等の技術の進歩により多種多様な外部サービスが提供されるようになった。これにより、例えば、文書データに対して所定の加工や変換等の処理を行う外部サービスと連携して、当該処理後の文書データを画像形成装置で印刷することが行われている。
【0003】
また、印刷データに対する加工処理を外部装置が行う場合に、外部装置による加工処理の遅延を回避する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、外部サービスにより加工や変換等の処理が行われた文書データは、特定の印刷設定で印刷を行うことができない場合がある。例えば、文書データの裏面に画像を付加する処理が行われた文書データでは、片面設定で印刷する必要がある。
【0005】
このため、画像形成装置と連携する外部サービスによっては、特定の印刷設定をユーザが変更できないようにすることが好ましい。
【0006】
本発明の一実施形態は、上記の点に鑑みてなされたもので、外部サービスに応じて印刷設定の変更を禁止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態は、外部サービスにより所定の処理が行われた電子データに対して印刷処理を実行するための印刷ジョブが記憶された情報処理装置とネットワークを介して接続される画像処理装置であって、前記電子データに対して前記印刷処理が実行される場合において変更を制限する印刷設定を示す禁則情報が含まれる前記印刷ジョブを前記情報処理装置から取得する取得部と、前記取得部が取得した前記印刷ジョブにより実行される印刷処理の印刷設定を変更するための画面の表示操作の入力を受け付ける受付部と、前記受付部が前記表示操作の入力を受け付けると、前記印刷ジョブにより実行される印刷処理の印刷設定のうち、前記禁則情報が示す印刷設定のユーザによる変更を制限する表示態様で前記画面を表示する表示部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
外部サービスに応じて印刷設定の変更を禁止する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第一の実施形態に係る印刷サービス提供システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図2】コンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】第一の実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】第一の実施形態に係る印刷サービス提供システムの機能構成の一例を示す図である。
【
図8】第一の実施形態に係るプリンタドライバのインストール処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図9】プリンタドライバのインストール処理における画面遷移の一例を示す図である。
【
図10】プリンタドライバのインストールパッケージの一例を説明する図である。
【
図11】第一の実施形態に係る印刷データの蓄積処理(印刷開始から文書データの送信まで)の一例を示すシーケンス図である。
【
図13】第一の実施形態に係る印刷データの蓄積処理(文書データの送信後から印刷データの保存まで)の一例を示すシーケンス図である。
【
図15】第一の実施形態に係る印刷実行処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図16】印刷実行処理における画面遷移の一例を示す図である。
【
図17】禁則設定が含まれないIPP接続情報の一例を示す図である。
【
図18】第二の実施形態に係るプリンタドライバのインストール処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図19】禁則設定が含まれないカスタマイズ設定ファイルの一例を示す図である。
【
図20】第三の実施形態に係る印刷サービス提供システムの機能構成の一例を示す図である。
【
図23】第三の実施形態に係るフック登録処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図24】第三の実施形態に係る印刷データの蓄積処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図25】第四の実施形態に係る印刷サービス提供システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図26】第四の実施形態に係る印刷サービス提供システムの機能構成の一例を示す図である。
【
図27】外部印刷システム接続情報の一例を示す図である。
【
図28】第四の実施形態に係る外部印刷システム接続情報の登録処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図30】第四の実施形態に係る印刷データの蓄積処理(印刷開始から新規ジョブ通知まで)の一例を示すシーケンス図である。
【
図31】第四の実施形態に係る印刷データの蓄積処理(新規ジョブ通知後から印刷データの保存まで)の一例を示すシーケンス図である。
【
図32】画像形成装置でスキャンジョブを実行する場合における処理の一例を示す図である。
【
図33】第五の実施形態に係る外部印刷システム接続情報の登録処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図34】第五の実施形態に係る印刷データの蓄積処理(印刷開始から新規ジョブ通知まで)の一例を示すシーケンス図である。
【
図35】第五の実施形態に係る印刷データの蓄積処理(新規ジョブ通知後から印刷データの保存まで)の一例を示すシーケンス図である。
【
図36】第五の実施形態に係る印刷実行処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
[第一の実施形態]
<全体構成>
まず、本実施形態に係る印刷サービス提供システム1の全体構成について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る印刷サービス提供システム1の全体構成の一例を示す図である。
【0012】
図1に示す印刷サービス提供システム1は、印刷サービス提供環境E1と、ユーザ環境E2と、1以上の外部サービスシステム40とを有し、例えばインターネット等の広域的なネットワークN1を介して通信可能に接続される。
【0013】
印刷サービス提供環境E1は、ネットワークN1を介して、外部サービスシステム40が提供するサービス(外部サービス)と連携した印刷サービスを提供するシステム環境である。本実施形態では、外部サービスの具体例としてクラウドサービスを採用して説明するが、これに限られない。本実施形態は、例えば、ASP(Application Service Provider)によって提供されるサービスやWebサービス等のネットワークを介して提供される各種のサービスに関して適用されても良い。
【0014】
印刷サービス提供環境E1には、一台以上の情報処理装置で実現されるクラウド印刷システム10が含まれる。クラウド印刷システム10は、ネットワークN1を介して、外部サービスと連携した印刷サービスを提供する。
【0015】
クラウド印刷システム10が提供する印刷サービスでは、印刷対象の文書データに対して、外部サービスにより所定の処理を行った上で、当該処理後の文書データを印刷データに変換して、当該クラウド印刷システム10に蓄積する。このとき、本実施形態に係るクラウド印刷システム10は、外部サービスにフックさせることで、所定の処理が行われた文書データを得ることができる。
【0016】
ここで、フックとは、クラウド印刷システム10が文書データを外部サービスシステム40に渡し、当該文書データに対して所定の処理を行ってもらった上で、当該処理後の文書データを返却してもらうことを意味する。
【0017】
そして、クラウド印刷システム10に蓄積されている印刷データを、ユーザ環境E2に設置されている画像形成装置20で印刷する。これにより、クラウド印刷システム10が提供する印刷サービスでは、外部サービスにより所定の処理が行われた文書データを、ユーザ環境E2の任意の場所に設置されている画像形成装置20で印刷することができる。
【0018】
外部サービスによる所定の処理としては、例えば、文書データに対して画像を付与する処理、文書データに対してQRコード(登録商標)等を埋め込む処理、文書データを所定のデータ形式に変換する処理等が挙げられる。また、外部サービスによる所定の処理には、例えば、印刷ジョブが投入されたことを示すログ等を収集する処理が含まれても良い。
【0019】
なお、クラウド印刷システム10の全部又は一部は、ユーザ環境E2に設置されていても良い。すなわち、クラウド印刷システム10を実現する情報処理装置の全部又は一部は、ユーザ環境E2に設置されていても良い。
【0020】
ユーザ環境E2は、例えば、画像形成装置20を使用するユーザである企業等のシステム環境である。ユーザ環境E2には、一台以上の画像形成装置20と、一台以上の端末装置30とが、例えばLAN(Local Area Network)等のネットワークN2を介して通信可能に接続されている。
【0021】
画像形成装置20は、少なくともプリント機能(印刷機能)を有する装置である。画像形成装置20は、プリント機能以外に、例えば、コピー機能やスキャン機能、ファクス(FAX)通信機能等の各種機能を有するMFP(Multifunction Peripheral)等の複合機であっても良い。
【0022】
端末装置30は、ユーザによる印刷開始操作に応じて、印刷対象の文書データをクラウド印刷システム10に送信する情報処理装置である。端末装置30としては、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)やスマートフォン、タブレット端末等を用いることができる。
【0023】
外部サービスシステム40は、ネットワークN1を介して、外部サービスを提供するコンピュータシステムである。外部サービスとしては、上述したように、例えば、文書データに対して画像を付与する処理を行うサービス、文書データに対してQRコード等を埋め込む処理を行うサービス、文書データを所定のデータ形式に変換する処理を行うサービス等が挙げられる。
【0024】
なお、
図1に示す印刷サービス提供システム1の構成は一例であって、他の構成であっても良い。例えば、端末装置30がユーザ環境E2に含まれずに、ネットワークN1に接続されていても良い。
【0025】
<ハードウェア構成>
≪クラウド印刷システム10及び端末装置30のハードウェア構成≫
次に、本実施形態に係るクラウド印刷システム10及び端末装置30のハードウェア構成について、
図2を参照しながら説明する。
図2は、コンピュータ500のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0026】
本実施形態に係るクラウド印刷システム10を実現する一台以上の情報処理装置は、
図2に示すコンピュータ500により実現される。同様に、本実施形態に係る端末装置30は、
図2に示すコンピュータ500により実現される。
【0027】
図2に示すコンピュータ500は、入力装置501と、表示装置502と、外部I/F503と、RAM(Random Access Memory)504とを有する。また、コンピュータ500は、ROM(Read Only Memory)505と、CPU(Central Processing Unit)506と、通信I/F507と、補助記憶装置508とを有する。これらの各ハードウェアは、それぞれがバスBで接続されている。
【0028】
入力装置501は、キーボードやマウス、タッチパネル等を含み、ユーザが各操作信号を入力するのに用いられる。表示装置502は、ディスプレイ等を含み、コンピュータ500による処理結果を表示する。なお、入力装置501及び表示装置502の少なくとも一方は、必要なときにバスBに接続して利用する形態であっても良い。
【0029】
通信I/F507は、コンピュータ500をネットワークN1やネットワークN2に接続するインタフェースである。コンピュータ500は、通信I/F507を介してデータ通信を行うことができる。
【0030】
外部I/F503は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、記録媒体503a等がある。コンピュータ500は、外部I/F503を介して、記録媒体503aの読み取りや書き込みを行うことができる。記録媒体503aには、フレキシブルディスク、CD、DVD、SDメモリカード、USBメモリ等がある。
【0031】
ROM505は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリである。ROM505には、コンピュータ500の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、OS(Operating System)設定、及びネットワーク設定等のプログラムやデータが格納されている。RAM504は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリである。
【0032】
CPU506は、ROM505や補助記憶装置508等の記憶装置からプログラムやデータをRAM504上に読み出し、処理を実行することで、コンピュータ500全体の制御や機能を実現する演算装置である。
【0033】
補助記憶装置508は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等であり、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。補助記憶装置508に格納されるプログラムやデータには、コンピュータ500全体を制御する基本ソフトウェアであるOS、OS上において各種機能を提供するアプリケーションソフトウェア等がある。補助記憶装置508は、格納しているプログラムやデータを所定のファイルシステムやDB(データベース)により管理している。
【0034】
本実施形態に係るクラウド印刷システム10を実現する一台以上の情報処理装置は、
図2に示すコンピュータ500のハードウェア構成を有することにより、後述するような各種処理を実現できる。同様に、本実施形態に係る端末装置30は、
図2に示すコンピュータ500のハードウェア構成を有することにより、後述するような各種処理を実現できる。
【0035】
≪画像形成装置20のハードウェア構成≫
次に、本実施形態に係る画像形成装置20のハードウェア構成について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0036】
図3に示す画像形成装置20は、コントローラ21と、操作パネル22と、外部I/F23と、通信I/F24と、プロッタ25と、スキャナ26とを有する。また、コントローラ21は、CPU31と、RAM32と、ROM33と、NVRAM34と、補助記憶装置35とを有する。
【0037】
ROM33は、各種プログラムやデータを格納している。RAM32は、プログラムやデータを一時保持する。NVRAM34は、例えば設定情報等を格納している。また、補助記憶装置35は、各種プログラムやデータを格納している。
【0038】
CPU31は、ROM33やNVRAM34、補助記憶装置35等からプログラムやデータ、設定情報等をRAM32上に読み出し、処理を実行することで、画像形成装置20全体の制御や機能を実現する。
【0039】
操作パネル22は、ユーザからの入力を受け付ける入力部と、表示を行う表示部とを備えている。外部I/F23は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、記録媒体23a等がある。画像形成装置20は、外部I/F23を介して、記録媒体23aの読み取りや書き込みを行うことができる。記録媒体23aには、例えば、ICカード、フレキシブルディスク、CD、DVD、SDメモリカード、USBメモリ等がある。
【0040】
通信I/F24は、画像形成装置20をネットワークN2に接続するインタフェースである。画像形成装置20は、通信I/F24を介してデータ通信を行うことができる。
【0041】
プロッタ25は、印刷データを被印刷媒体に印刷するための印刷装置である。なお、被印刷媒体は、紙に限られない。被印刷媒体は、例えば、OHPシートやプラスチックフィルム、銅箔等であっても良い。スキャナ26は、原稿を読み取って、画像データを作成する読取装置である。
【0042】
本実施形態に係る画像形成装置20は、
図3に示すハードウェア構成を有することにより、後述するような各種処理を実現できる。
【0043】
<機能構成>
次に、本実施形態に係る印刷サービス提供システム1の機能構成について、
図4を参照しながら説明する。
図4は、本実施形態に係る印刷サービス提供システム1の機能構成の一例を示す図である。
【0044】
図4に示す端末装置30は、Webブラウザ301と、印刷アプリケーション302と、印刷システム303と、プリンタドライバ304と、IPPポート305とを有する。これらは、CPU506により実行されるプログラム(モジュールも含む)である。
【0045】
Webブラウザ301は、外部サービスシステム40が提供するWebページ等を利用するための各種処理を行う。ユーザは、Webブラウザ301を用いて、クラウド印刷システム10が提供するプリンタドライバ304を端末装置30にインストールすることができる。
【0046】
印刷アプリケーション302は、ユーザが印刷開始操作を行うことができる各種アプリケーションプログラムである。印刷アプリケーション302は、ユーザによる印刷開始操作に応じて、例えば文書や画像等の印刷対象データを描画データに変換する。
【0047】
印刷アプリケーション302には、例えば、文書作成アプリケーションや画像編集アプリケーション等が挙げられる。印刷アプリケーション302は、Webブラウザ301であっても良い。
【0048】
印刷システム303は、端末装置30に搭載されているOSにより提供され、印刷に関する各種処理を行うプログラム群である。印刷システム303は、印刷アプリケーション302が利用可能な印刷API(Application Program Interface)を提供する。印刷アプリケーション302は、印刷システム303が提供する印刷APIを用いることで、プリンタドライバ304により、例えばPDF(Portable Document Format)形式等に変換された印刷対象の文書データを作成することができる。
【0049】
プリンタドライバ304は、印刷設定を変更するための印刷設定画面を表示するUI制御部311と、印刷アプリケーション302により作成された描画データをPDF形式等の文書データに変換する変換部312とを有する。プリンタドライバ304は、クラウド印刷システム10により提供され、端末装置30にインストールされる。
【0050】
なお、文書データは、PDF形式に限られず、後述する外部サービスシステム40のサービス処理部402が解釈可能なデータ形式であれば良い。
【0051】
IPPポート305は、IPP(Internet Printing Protocol)により、プリンタドライバ304により指定されたURL(Uniform Resource Locator)に対して文書データを送信するポートである。
【0052】
図4に示すクラウド印刷システム10は、アカウント管理部101と、ドライバ提供部102と、IPP管理部103と、ジョブ管理部104と、フック管理部105とを有する。これら各部は、クラウド印刷システム10を実現する一台以上の情報処理装置にインストールされた1以上のプログラムが、CPU506に実行させる処理により実現される。
【0053】
また、
図4に示すクラウド印刷システム10は、IPP接続情報記憶部110と、ジョブ情報記憶部120と、データ記憶部130とを有する。これら各部は、クラウド印刷システム10を実現する一台以上の情報処理装置の補助記憶装置508を用いて実現可能である。なお、これら各部の少なくとも1つが、クラウド印刷システム10とネットワークN1を介して接続される記憶装置等を用いて実現されていても良い。
【0054】
アカウント管理部101は、クラウド印刷システム10に対する認証や認可に関する処理を行う。
【0055】
ドライバ提供部102は、端末装置30にプリンタドライバ304をインストールするためのインストールパッケージを作成する。このとき、ドライバ提供部102は、IPP管理部103が作成したIPP URLを、インストールパッケージに含まれるカスタマイズ設定ファイルのポート名に反映する。これにより、当該インストールパッケージによりインストールされたプリンタドライバ304では、文書データの出力先(すなわち、IPPポート305に指定されたURL)がIPP URLとなる。
【0056】
IPP管理部103は、IPP接続情報記憶部110に記憶されているIPP接続情報111を管理する。IPP管理部103は、ドライバ提供部102からの要求に応じて、IPP接続IDを作成した上で、当該IPP接続IDが含まれるIPP接続情報111と、当該IPP接続IDが含まれるIPP URLとを作成する。また、IPP管理部103は、IPPに対応したWebAPIを提供する。
【0057】
ジョブ管理部104は、ジョブ情報記憶部120に記憶されているジョブ情報121を管理する。また、ジョブ管理部104は、IPP管理部103からの要求に応じて、印刷ジョブを示すジョブ情報121を作成して、ジョブ情報記憶部120に記憶させる。更に、ジョブ管理部104は、後述する外部サービスシステム40のサービス処理部402による処理後の文書データ(以降、「加工済み文書データ」と表す。)を、画像形成装置20が解釈可能な形式の印刷データに変換する。
【0058】
フック管理部105は、ジョブ管理部104からの要求に応じて、フックに関する処理を行う。すなわち、フック管理部105は、フック先の外部サービスを提供する外部サービスシステム40に対して、当該外部サービスシステム40が文書データを取得可能なURLを含まれるフックメッセージを送信する。そして、フック管理部105は、外部サービスシステム40により返却された加工済み文書データを取得する。
【0059】
フックとは、上述したように、クラウド印刷システム10が文書データを外部サービスシステム40に渡し、当該文書データに対して所定の処理を行ってもらった上で、処理後の文書データ(すなわち、加工済み文書データ)を返却してもらうことを意味する。
【0060】
IPP接続情報記憶部110は、IPP接続情報111を記憶する。IPP接続情報111の詳細については後述する。
【0061】
ジョブ情報記憶部120は、ジョブ情報121を記憶する。ジョブ情報121の詳細については後述する。
【0062】
データ記憶部130は、各種データを記憶する。すなわち、データ記憶部130は、端末装置30が受信した文書データと、当該文書データを外部サービスシステム40で加工した加工済み文書データと、当該加工済み文書データを変換した印刷データとを記憶する。
【0063】
図4に示す画像形成装置20は、UI制御部201と、ジョブ取得部202と、印刷制御部203とを有する。これら各部は、画像形成装置20にインストールされた1以上のプログラムが、CPU31に実行させる処理により実現される。
【0064】
UI制御部201は、各種画面を表示すると共に、ユーザによる各種入力操作を受け付ける。例えば、UI制御部201は。印刷ジョブの一覧を示す印刷ジョブリストやログイン画面等を表示する。また、例えば、UI制御部201は、ユーザによるログイン操作等を受け付ける。
【0065】
ジョブ取得部202は、UI制御部201が受け付けたログイン操作に応じて、クラウド印刷システム10からジョブ情報121を取得する。
【0066】
印刷制御部203は、クラウド印刷システム10から印刷データを受信した場合に、プロッタ25を制御して、当該印刷データを印刷する。
【0067】
図4に示す外部サービスシステム40は、Web処理部401と、サービス処理部402とを有する。Web処理部401は、例えば、端末装置30に対してWebページやWebアプリケーション等を提供するための各種処理を行う。サービス処理部402は、外部サービスシステム40が提供する外部サービスに応じて、文書データに対して所定の処理(すなわち、文書データに対して画像を付与する処理や文書データに対してQRコードを埋め込む処理等)を行う。
【0068】
次に、IPP接続情報記憶部110に記憶されるIPP接続情報111について、
図5を参照しながら説明する。
図5は、IPP接続情報111の一例を示す図である。
【0069】
図5に示すIPP接続情報111には、IPP接続ID1111と、所有者ユーザID1112と、フック設定1113と、禁則設定1114とが含まれる。
【0070】
IPP接続ID1111には、IPP接続情報111を識別するIPP接続IDが設定される。
図5に示すIPP接続情報111のIPP接続ID1111には、IPP接続ID「ipp_12345」が設定されている。
【0071】
所有者ユーザID1112には、IPP接続ID1111の所有者(すなわち、IPP接続情報111に対応するプリンタドライバ304の所有者)を識別するユーザIDが設定される。
図5に示すIPP接続情報111の所有者ユーザID1112には、ユーザID「usr_12345」が設定されている。
【0072】
フック設定1113には、フック先の外部サービスを利用するためのWebAPIのエンドポイントを示すURLが設定される。
図5に示すIPP接続情報111のフック設定1113には、文書データに対してQRコードを埋め込むためのWebAPIのエンドポイントを示すURL「https://xxxxxxx.com/print/hook/embed_qr」が設定されている。フック設定1113に設定されるURLは、当該外部サービスを提供する外部サービスシステム40により指定される。
【0073】
禁則設定1114には、フック先の外部サービスを利用した場合において変更が禁止される印刷設定項目とその設定値(固定値)とが設定される(すなわち、印刷設定に関する禁則設定が設定される。)。禁則設定1114に設定された印刷設定項目は、ユーザによる変更が禁止される。
図5に示すIPP接続情報111の禁則設定1114には、複数の印刷設定項目及びその設定値「color=monochrome,duplex=no,punch=no,staple=no」が設定されている。この場合、ユーザによる印刷設定項目「カラー/モノクロ」、「両面/片面」、「パンチ」及び「ステープル」の変更が禁止される。また、印刷設定項目「カラー/モノクロ」の設定値は「モノクロ」、印刷設定項目「両面/片面」の設定値は「片面」、印刷設定項目「パンチ」の設定値は「しない」、及び印刷設定項目「ステープル」の設定値は「しない」にそれぞれ固定される。
【0074】
ここで、IPP接続情報記憶部110に記憶されるIPP接続情報111の他の例について、
図6を参照しながら説明する。
図6は、IPP接続情報111の他の例を示す図である。
【0075】
図6に示すIPP接続情報111は、禁則設定1114の形式が
図5と異なる。
図6に示すIPP接続情報の禁則設定1114には、「copies:{hidden:false}」が設定されている。これは、印刷設定項目「部数」の設定値の変更が禁止されていないことを示している。
【0076】
一方で、
図6に示すIPP接続情報111の禁則設定1114には、「color:{value:color,hidden:true}」が設定されている。これは、印刷設定項目「カラー/モノクロ」の設定値の変更が禁止されており、その設定値は「カラー」に固定されることを示している。
【0077】
同様に、
図6に示すIPP接続情報111の禁則設定1114には、「duplex:{value:no,hidden:true}」が設定されている。これは、印刷設定項目「両面/片面」の設定値の変更が禁止されており、その設定値は「片面」に固定されることを示している。
【0078】
このように、IPP接続情報111の禁則設定11114は、様々な形式で印刷設定の禁則を設定することができる。
【0079】
次に、ジョブ情報記憶部120に記憶されるジョブ情報121について、
図7を参照しながら説明する。
図7は、ジョブ情報121の一例を示す図である。
【0080】
図7に示すジョブ情報121には、ジョブID1211と、所有者ユーザID1212と、文書データロケーション1213と、印刷データロケーション1214と、フック設定1215と、印刷設定値1216と、禁則設定1217とが含まれる。
【0081】
ジョブID1211には、印刷ジョブを識別するジョブIDが設定される。
図7に示すジョブ情報121のジョブID1211には、ジョブID「job_12345」が設定されている。
【0082】
所有者ユーザID1212には、印刷ジョブの所有者(すなわち、当該印刷ジョブを投入したユーザ)を識別するユーザIDである。
図7に示すジョブ情報121の所有者ユーザID1212には、ユーザID「usr_12345」が設定されている。
【0083】
文書データロケーション1213は、文書データ又は加工済み文書データの保存先を示す情報が設定される。データ記憶部130に文書データが保存されており、かつ、当該文書データの加工済み文書データが保存されていない場合には、文書データロケーション1213には、当該文書データの保存先を示す情報が設定される。一方で、データ記憶部130に加工済み文書データが保存されている場合には、文書データロケーション1213には、当該加工済み文書データの保存先を示す情報が設定される。
【0084】
印刷データロケーション1214には、印刷データの保存先を示す情報が設定される。データ記憶部130に印刷データが保存されていない場合には、値が設定されない(又はNULL若しくはブランクが設定される。)。
【0085】
フック設定1215には、IPP接続情報111と同様に、フック先の外部サービスを利用するためのWebAPIのエンドポイントを示すURLが設定される。
図7に示すジョブ情報121のフック設定1215には、文書データに対してQRコードを埋め込むためのWebAPIのエンドポイントを示すURL「https://xxxxxxx.com/print/hook/embed_qr」が設定されている。フック設定1215に指定されるURLは、当該外部サービスを提供する外部サービスシステム40により指定される。
【0086】
印刷設定値1216は、印刷ジョブにより印刷される印刷データの印刷設定項目及びその設定値が設定される。
図7に示すジョブ情報121の印刷設定値1216には、印刷設定項目及びその設定値「size=A4」等が設定されている。これは、印刷設定項目「原稿サイズ」の設定値が「A4」であることを示している。なお、印刷設定値1216には、禁則設定1217に設定されている印刷設定項目及びその設定値も含まれる。
【0087】
禁則設定1217は、IPP接続情報111と同様に、フック先の外部サービスを利用した場合において変更が禁止される印刷設定項目及びその設定値(固定値)が設定される。禁則設定1217に設定された印刷設定は、ユーザによる変更が禁止される。
図7に示すジョブ情報121の禁則設定1217には、複数の印刷設定項目及びその設定値「color=monochrome,duplex=no,punch=no,staple=no」が設定されている。この場合、ユーザによる印刷設定項目「カラー/モノクロ」、「両面/片面」、「パンチ」及び「ステープル」の変更が禁止される。また、印刷設定項目「カラー/モノクロ」の設定値は「モノクロ」、印刷設定項目「両面/片面」の設定値は「片面」、印刷設定項目「パンチ」の設定値は「しない」、及び印刷設定項目「ステープル」の設定値は「しない」にそれぞれ固定される。
【0088】
なお、
図7に示すジョブ情報121には、文書データ又は加工済み文書データの保存先を示す文書データロケーション1213が含まれるものとしたが、文書データの保存先と、加工済み文書データの保存先とが別々に含まれても良い。すなわち、
図7に示すジョブ情報121には、文書データの保存先を示す文書データロケーション1213と、加工済み文書データの保存先を示す加工済み文書データロケーションとが含まれていても良い。
【0089】
<処理の詳細>
次に、本実施形態に係る印刷サービス提供システム1の処理の詳細について説明する。
【0090】
≪プリンタドライバ304のインストール≫
まず、ユーザが端末装置30にプリンタドライバ304をインストールする処理について、
図8を参照しながら説明する。
図8は、本実施形態に係るプリンタドライバ304のインストール処理の一例を示すシーケンス図である。以降のステップS101~ステップS110の処理は、既知のOAuthによる認証及び認可に関する処理であるため、適宜、その説明を簡略化する。なお、ステップS101~ステップS110の処理は、OAuthに限られず、例えば、OpenID等が用いられても良い。
【0091】
まず、ユーザは、端末装置30のWebブラウザ301を用いて、認可開始操作を行う(ステップS101)。ユーザは、Webブラウザ301を用いて、例えば、外部サービスシステム40が提供するWebページにおいて、クラウド印刷システム10への認可要求を行うためのリンクを押下することで、認可開始操作を行うことができる。
【0092】
なお、ユーザは、複数の外部サービスシステム40のうち、所望の外部サービスシステム40を選択した上で、認可開始操作を行っても良い。また、1つの外部サービスシステム40が複数の外部サービスを提供している場合は、ユーザは、これら複数の外部サービスのうち、所望の外部サービスを選択した上で、認可開始操作を行っても良い。
【0093】
端末装置30のWebブラウザ301は、ユーザによる認可開始操作を受け付けると、認可開始要求を外部サービスシステム40に送信する(ステップS102)。外部サービスシステム40のWeb処理部401は、認可開始要求を受信すると、クラウド印刷システム10の認証画面へのリダイレクト要求を端末装置30に送信する(ステップS103)。
【0094】
端末装置30のWebブラウザ301は、クラウド印刷システム10の認証画面へのリダイレクト要求を受信すると、当該認証画面の表示要求をクラウド印刷システム10に送信する(ステップS104)。すなわち、Webブラウザ301は、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)リクエストをリダイレクト先URLに送信する。
【0095】
そして、クラウド印刷システム10は、認証画面の表示要求を受信すると、当該認証画面を端末装置30に返信する。これにより、端末装置30のWebブラウザ301上には、例えば
図9に示す認証画面G100が表示される。
【0096】
図9に示す認証画面G100には、ユーザID入力欄G101と、パスワード入力欄G102と、OKボタンG103とが含まれる。ユーザは、ユーザID入力欄G101及びパスワード入力欄G102にそれぞれユーザID及びパスワードを入力した上で、OKボタンG103を押下することで、認証情報の入力操作を行うことができる。認証情報とは、ユーザID及びパスワードの組のことである。
【0097】
ただし、認証情報は、これに限られない。認証情報としては、例えば、ユーザIDと、パスワードと、ユーザが所属する組織を示す組織コードとの組であっても良い。また、ユーザIDには、例えば、ユーザのメールアドレスや電話番号等が用いられても良い。
【0098】
ユーザは、端末装置30のWebブラウザ301を用いて、認証情報の入力操作を行う(ステップS105)。端末装置30のWebブラウザ301は、認証情報の入力操作を受け付けると、認証要求をクラウド印刷システム10に送信する(ステップS106)。当該認証要求には、ユーザにより入力された認証情報(すなわち、ユーザID及びパスワードの組)が含まれる。
【0099】
クラウド印刷システム10のアカウント管理部101は、認証要求を受信すると、当該認証要求に含まれる認証情報を認証する(ステップS107)。すなわち、アカウント管理部101は、当該認証情報が示すユーザID及びパスワードの組が、所定の記憶領域に記憶されているか否かを検証する。以降では、アカウント管理部101による認証が成功したものとして説明を続ける。
【0100】
クラウド印刷システム10のアカウント管理部101は、認証が成功すると、外部サービスのメニュー画面へのリダイレクト要求を端末装置30に送信する(ステップS108)。当該リダイレクト要求には、認可コードが含まれる。認可コードは、アクセストークンを得るために用いられるトークンである。
【0101】
端末装置30のWebブラウザ301は、外部サービスのメニュー画面へのリダイレクト要求を受信すると、当該メニュー画面の表示要求を外部サービスシステム40に送信する(ステップS109)。当該メニュー画面の表示要求には、認可コードが含まれる。
【0102】
外部サービスシステム40のWeb処理部401は、メニュー画面の表示要求を受信すると、アクセストークンの取得要求をクラウド印刷システム10に送信する(ステップS110)。当該アクセストークンの取得要求には、認可コードが含まれる。
【0103】
そして、クラウド印刷システム10のアカウント管理部101は、アクセストークンの取得要求に含まれる認可コードが正当である場合、アクセストークンを外部サービスシステム40に返信する。その後、外部サービスシステム40のWeb処理部401は、メニュー画面と、クラウド印刷システム10から返信されたアクセストークンとを端末装置30に返信する。これにより、端末装置30のWebブラウザ301上には、例えば
図9に示すメニュー画面G110が表示される。
【0104】
図9に示すメニュー画面G110には、プリンタドライバ304のインストール画面へのリンクG111が含まれる。なお、
図9に示すメニュー画面G110には、リンクG111以外にも、例えば、外部サービスシステム40のアカウントを設定するための画面へのリンク等が含まれる。
【0105】
ユーザは、リンクG111を押下することで、例えば
図9に示すダウンロード開始画面G120への画面遷移操作を行うことができる。これにより、端末装置30のWebブラウザ301上には、
図9に示すダウンロード開始画面G120が表示される。
【0106】
図9に示すダウンロード開始画面G120には、プリンタドライバ304のインストールを開始するためのリンクG121が含まれる。ユーザは、リンクG121を押下することで、プリンタドライバ304のダウンロード開始操作を行うことができる。
【0107】
ユーザは、端末装置30のWebブラウザ301を用いて、プリンタドライバ304のダウンロード開始操作を行う(ステップS111)。端末装置30のWebブラウザ301は、プリンタドライバ304のダウンロード開始操作を受け付けると、プリンタドライバ304のインストールパッケージの取得要求を外部サービスシステム40に送信する(ステップS112)。当該インストールパッケージの取得要求には、アクセストークンが含まれる。
【0108】
外部サービスシステム40のWeb処理部401は、当該インストールパッケージの取得要求を受信すると、プリンタアイコン名と、フック設定と、禁則設定とを当該インストールパッケージの取得要求に含めた上で、クラウド印刷システム10に送信する(ステップS113)。
【0109】
ここで、プリンタアイコン名は、端末装置30にインストールされたプリンタドライバ304のアイコンの表示名である。プリンタアイコン名には、例えば、外部サービスシステム40が提供するサービス名を表す名称が指定される。具体的には、例えば、外部サービスシステム40が提供するサービス名が「画像付加サービス」である場合、プリンタアイコン名には、「画像付加プリンタ」等が指定される。
【0110】
また、フック設定は、クラウド印刷システム10が外部サービスシステム40にフックさせるためのURL(すなわち、外部サービスシステム40が提供する外部サービスを利用するためのWebAPIのエンドポイントを示すURL)である。禁則設定は、当該外部サービスを利用した場合において変更が禁止される印刷設定である。
【0111】
クラウド印刷システム10のドライバ提供部102は、インストールパッケージの取得要求を受信すると、アクセストークンの検証要求をアカウント管理部101に送信する(ステップS114)。当該検証要求には、アクセストークンが含まれる。
【0112】
クラウド印刷システム10のアカウント管理部101は、アクセストークンの検証要求を受信すると、当該検証要求に含まれるアクセストークンの正当性を検証する(ステップS115)。そして、アクセストークンが正当なものであると検証された場合、アカウント管理部101は、当該アクセストークンに対応するユーザIDをドライバ提供部102に返信する。
【0113】
クラウド印刷システム10のドライバ提供部102は、ユーザIDが返信されると、IPP URLの取得要求をIPP管理部103に送信する(ステップS116)。当該IPP URLの取得要求には、ユーザIDと、フック設定と、禁則設定とが含まれる。
【0114】
クラウド印刷システム10のIPP管理部103は、IPP URLの取得要求を受信すると、IPP接続情報111を作成して、IPP接続情報記憶部110に保存する(ステップS117)。すなわち、IPP管理部103は、IPP接続情報111を識別するIPP接続IDを作成した上で、当該IPP接続IDと、IPP URLの取得要求に含まれるユーザIDと、フック設定と、禁則設定とが設定されたIPP接続情報111を作成する。なお、これらIPP接続ID、ユーザID、フック設定、及び禁則設定は、それぞれIPP接続ID1111、所有者ユーザID1112、フック設定1113、及び禁則設定1114に設定される。
【0115】
そして、IPP管理部103は、作成したIPP接続情報111をIPP接続情報記憶部110に保存する。
【0116】
次に、クラウド印刷システム10のIPP管理部103は、上記のステップS117で保存したIPP接続情報111のIPP接続IDを特定可能で、かつ、クラウド印刷システム10に文書データを送信するためのIPP URLを作成する(ステップS118)。IPP管理部103により作成されたIPP URLは、プリンタドライバ304が文書データをクラウド印刷システム10に送信するためのWebAPIのエンドポイントを示すURLとなる。
【0117】
そして、IPP管理部103は、作成したIPP URLをドライバ提供部102に返信する。
【0118】
例えば、上記のステップS117で保存したIPP接続情報111のIPP接続IDが「ipp_abcde」であるとする。この場合、IPP管理部103は、例えば、「https://yyyyyyy.com/ipp/links/ipp_abcde/.printer」等のように、IPP接続IDが含まれるURLをIPP URLとすれば良い。
【0119】
ただし、IPP URLは、IPP接続IDが含まれるURLに限られない。IPP URLは、IPP管理部103がIPP接続IDを特定することが可能なURLであれば良い。例えば、URLに含まれる所定の文字列からLUT(ルックアップテーブル)等によりIPP接続IDを特定することが可能であれば、このような所定の文字列が含まれるURLをIPP URLとしても良い。
【0120】
クラウド印刷システム10のドライバ提供部102は、IPP管理部103からIPP URLが返信されると、プリンタドライバ304のインストールパッケージ600を作成する(ステップS119)。
【0121】
ここで、ドライバ提供部102により作成されるインストールパッケージ600について、
図10を参照しながら説明する。
図10は、プリンタドライバ304のインストールパッケージ600の一例を説明する図である。
【0122】
図10に示すインストールパッケージ600には、インストーラ601と、プリンタドライバ構成ファイル群602と、カスタマイズ設定ファイル603とが含まれる。インストーラ601は、プリンタドライバ304のインストール処理を実行する実行ファイルである。プリンタドライバ構成ファイル群602は、プリンタドライバ304を構成するモジュールのファイル群である。カスタマイズ設定ファイル603は、プリンタドライバ304のカスタマイズ可能な設定が含まれるファイルである。
【0123】
カスタマイズ設定ファイル603には、プリンタアイコン名6031と、ポート種別6032と、ポート名6033と、禁則設定6034とが含まれる。
【0124】
プリンタアイコン名6031には、上記のステップS113で外部サービスシステム40により指定されたプリンタアイコン名が設定される。ポート種別6032には、IPPにより文書データを送信することを示すIPPが設定される。ポート名6033には、IPP管理部103から返信されたIPP URLが設定される。禁則設定6034には、上記のステップS113で外部サービスシステム40により指定された禁則設定が設定される。
【0125】
図10に示すインストールパッケージ600のインストーラ601が端末装置30で実行されることにより、プリンタドライバ構成ファイル群602が端末装置30にコピーされ、プリンタドライバ304がインストールされる。また、このとき、カスタマイズ設定ファイル603に含まれる各設定が反映されたプリンタアイコンが作成される。
【0126】
次に、クラウド印刷システム10のドライバ提供部102は、上記のステップS119で作成したインストールパッケージ600を外部サービスシステム40に送信する(ステップS120)。
【0127】
外部サービスシステム40のWeb処理部401は、クラウド印刷システム10からインストールパッケージ600を受信すると、当該インストールパッケージ600を端末装置30に送信する(ステップS121)。
【0128】
これにより、インストールパッケージ600に含まれるインストーラ601が端末装置30で実行され、プリンタドライバ304がインストールされると共に、カスタマイズ設定ファイル603に含まれる各設定が反映されたプリンタアイコンが作成される。
【0129】
≪印刷データの蓄積(印刷開始から文書データの送信まで)≫
次に、ユーザがプリンタドライバ304を用いて、印刷アプリケーション302から印刷を開始して、クラウド印刷システム10に文書データを送信するまでの処理について、
図11を参照しながら説明する。
図11は、本実施形態に係る印刷データの蓄積処理(印刷開始から文書データの送信まで)の一例を示すシーケンス図である。
【0130】
ユーザは、印刷アプリケーション302で印刷する文書等の印刷設定を変更する場合、印刷設定画面の表示操作を行う(ステップS201)。ユーザは、例えば、印刷アプリケーション302により表示される所定の画面において、プリンタドライバ304の印刷設定画面を表示するためのボタン等を押下することで、印刷設定画面の表示操作を行うことができる。
【0131】
端末装置30の印刷アプリケーション302は、印刷設定画面の表示操作を受け付けると、印刷設定画面の表示要求をプリンタドライバ304に送信する(ステップS202)。
【0132】
端末装置30のプリンタドライバ304は、印刷設定画面の表示要求を受信すると、UI制御部311により、例えば
図12に示す印刷設定画面G200を表示する(ステップS203)。
【0133】
図12に示す印刷設定画面G200には,印刷設定項目G201~G205が含まれる。
図12に示す印刷設定画面G200では、プリンタアイコンに反映された禁則設定6034に従って、印刷設定項目G201~G205のうち、ユーザが変更可能な印刷設定項目が制御される。
図12に示す印刷設定画面G200では、印刷設定項目G201はユーザが変更可能に表示されている一方で、印刷設定項目G202~G205はユーザが変更できないように表示される。
【0134】
このように、プリンタドライバ304のUI制御部311により表示される印刷設定画面では、カスタマイズ設定ファイル603の禁則設定6034に設定された印刷設定項目をユーザが変更することができないようになっている。
【0135】
これにより、外部サービスに応じた特定の印刷設定項目の値がユーザにより変更されてしまう事態を防止することができる。例えば、プリンタドライバ304のプリンタアイコンが、外部サービスAと連携した印刷サービスを行うためのプリンタアイコンである場合、外部サービスAが禁止している印刷設定値がユーザにより設定されてしまう事態を防止することができる。
【0136】
なお、
図12に示す印刷設定画面G200では、ユーザが変更することができない印刷設定項目G202~G205がグレーアウトされている例を示したが、表示態様はグレーアウトに限られない。UI制御部311は、例えば、ユーザが変更することができない印刷設定項目を非表示にしても良い。
【0137】
次に、ユーザは、印刷アプリケーション302が表示している文書等を印刷したい場合、印刷開始操作を行う(ステップS204)。ユーザは、印刷アプリケーション302により表示される所定の画面において、印刷開始ボタン等を押下することで、印刷開始操作を行うことができる。このとき、ユーザは、プリンタドライバ304のプリンタアイコン(すなわち、カスタマイズ設定ファイル603が反映されたプリンタアイコン)を選択した上で、印刷開始操作を行ったものとする。
【0138】
端末装置30の印刷アプリケーション302は、ユーザによる印刷開始操作を受け付けると、当該印刷アプリケーション302が表示している文書等を、例えばラスタ形式に変換して、描画データを作成する(ステップS205)。
【0139】
次に、端末装置30の印刷アプリケーション302は、上記のステップS205で作成された描画データと、ユーザによる印刷開始操作で指定された印刷設定値とを印刷システム303に送信する(ステップS206)。印刷アプリケーション302は、OSが提供する印刷APIを用いることで、描画データと印刷設定値とを印刷システム303に送信することができる。印刷設定値には、ユーザが変更可能な印刷設定項目(すなわち、禁則設定となっていない印刷設定項目)の設定値が含まれる。なお、印刷設定値には、禁則設定となっている印刷設定項目の固定値が含まれていても良い。
【0140】
次に、端末装置30の印刷システム303は、上記のステップS204で選択されたプリンタアイコンのプリンタドライバ304に対して、描画データを送信する(ステップS207)。
【0141】
端末装置30のプリンタドライバ304は、変換部312により、印刷システム303から受信した描画データを、例えばPDF形式等の文書データに変換する(ステップS208)。そして、プリンタドライバ304は、文書データを印刷システム303に返信する。
【0142】
端末装置30の印刷システム303は、プリンタドライバ304から文書データを受信すると、当該文書データと、印刷設定値とを、上記のステップS204で選択されたプリンタアイコンが利用するポート(すなわち、IPPポート305)に送信する(ステップS209)。
【0143】
そして、端末装置30のIPPポート305は、印刷システム303から受信した文書データと、印刷設定値とをクラウド印刷システム10に送信する(ステップS210)。このとき、IPPポート305は、カスタマイズ設定ファイル603により反映されたポート名6033(すなわち、IPP URL)宛に文書データと印刷設定値とを送信する。
【0144】
これにより、印刷対象の文書データがクラウド印刷システム10のIPP URL宛に送信される。
【0145】
≪印刷データの蓄積(文書データの送信後から印刷データの保存まで)≫
次に、IPP URL宛に送信された文書データをクラウド印刷システム10が受信して、外部サービスにフックさせた後、印刷データを保存するまでの処理について、
図13を参照しながら説明する。
図13は、本実施形態に係る印刷データの蓄積処理(文書データの送信後から印刷データの保存まで)の一例を示すシーケンス図である。
【0146】
まず、クラウド印刷システム10のIPP管理部103は、端末装置30から文書データと印刷設定値とを受信すると、当該文書データの送信先URL(すなわち、IPP URL)からIPP接続IDを特定する(ステップS301)。
【0147】
例えば、当該文書データの送信先URLが「https://yyyyyyy.com/ipp/links/ipp_abcde/.printer」であった場合、IPP管理部103は、IPP接続ID「ipp_abcde」を特定する。
【0148】
次に、クラウド印刷システム10のIPP管理部103は、上記のステップS301で特定したIPP接続IDに対応するIPP接続情報111をIPP接続情報記憶部110から取得する(ステップS302)。
【0149】
すなわち、例えば、ステップS301で特定したIPP接続IDが「ipp_abcde」である場合、IPP管理部103は、IPP接続ID1111に「ipp_abcde」が設定されているIPP接続情報111をIPP接続情報記憶部110から取得する。
【0150】
次に、クラウド印刷システム10のIPP管理部103は、ジョブ登録要求をジョブ管理部104に送信する(ステップS303)。当該ジョブ登録要求には、上記のステップS302で取得したIPP接続情報111の所有者ユーザID1112に設定されているユーザIDと、フック設定1113に設定されているフック設定と、禁則設定1114に設定されている禁則設定とが含まれる。また、当該ジョブ登録要求には、端末装置30から受信した文書データと、印刷設定値とが含まれる。
【0151】
クラウド印刷システム10のジョブ管理部104は、ジョブ登録要求を受信すると、当該ジョブ登録要求に含まれる文書データをデータ記憶部130に保存する(ステップS304)。
【0152】
次に、クラウド印刷システム10のジョブ管理部104は、ジョブ情報121を作成して、ジョブ情報記憶部120に保存する(ステップS305)。すなわち、ジョブ管理部104は、ジョブ情報121を識別するジョブIDを作成した上で、ジョブ登録要求に含まれるユーザIDと、上記のステップS304で保存された文書データの保存先と、フック設定と、印刷設定値と、禁則設定とが設定されたジョブ情報121を作成する。
【0153】
なお、これらジョブID、ユーザID、及び文書データの保存先は、それぞれジョブID1211、所有者ユーザID121、及び文書データロケーション1213に設定される。同様に、フック設定、印刷設定、及び禁則設定は、それぞれフック設定1215、印刷設定値1216、及び禁則設定1217に設定される。一方で、印刷データロケーション1214には、値が設定されない。
【0154】
そして、ジョブ管理部104は、作成したジョブ情報121をジョブ情報記憶部120に保存する。ジョブ情報121がジョブ情報記憶部120に保存されることで、当該ジョブ情報121により実行される印刷ジョブがクラウド印刷システム10に登録される。
【0155】
次に、クラウド印刷システム10のジョブ管理部104は、フック要求をフック管理部105に送信する(ステップS306)。当該フック要求には、上記のステップS305で作成したジョブ情報121が含まれる。
【0156】
クラウド印刷システム10のフック管理部105は、フック要求を受信すると、例えば
図14に示すフックメッセージ700を作成する(ステップS307)。
【0157】
図14に示すフックメッセージ700には、フックアクセストークン701と、文書データURL702と、フック完了通知URL703と、所有者ユーザID704とが含まれる。
【0158】
フックアクセストークン701には、外部サービスシステム40が文書データの取得やフック完了通知を行うために必要なフックアクセストークンが設定される。フックアクセストークンにより、所定の外部サービスシステム40以外からの不正な文書データの取得等を防止することができる。
図14に示すフックメッセージ700のフックアクセストークン701には、フックアクセストークン「a7Jgd23jmltqb3Lh」が設定されている。このようなフックアクセストークンは、フック管理部105により作成される。
【0159】
文書データURL702には、外部サービスシステム40が文書データを取得するためのURLが設定される。
図14に示すフックメッセージ700の文書データURL702には、文書データを取得するためのURL「https://yyyyyyy.com/docs/・・・」が設定されている。このようなURLは、例えば、フック要求に含まれるジョブ情報121の文書データロケーション1213に設定されている情報(文書データの保存先を示す情報)から作成される。
【0160】
例えば、当該ジョブ情報121の文書データロケーション1213に設定されている情報が文書データを識別する情報「b8ad7ece」であるとする。この場合、フック管理部105は、文書データURL702に設定されるURLを、例えば「https://yyyyyyy.com/docs/b8ad7ece」等とすれば良い。
【0161】
フック完了通知URL703には、外部サービスシステム40がフック完了通知を送信するための送信先URLが設定される。
図14に示すフックメッセージ700のフック完了通知URL703には、フック完了通知の送信先URL「https://yyyyyyy.com/jobs/・・・」が設定されている。このようなURLは、例えば、フック要求に含まれるジョブ情報121のジョブID1211に設定されているジョブIDから作成される。
【0162】
例えば、当該ジョブ情報121のジョブID1211に設定されているジョブIDが「job_12345」であるとする。この場合、フック管理部105は、フック完了通知URL703に設定されるURLを、例えば「https://yyyyyyy.com/jobs/job_12345/hook_reply」等とすれば良い。
【0163】
所有者ユーザID704には、印刷ジョブを登録したユーザを識別するユーザIDが設定される。
図17に示すフックメッセージ700の所有者ユーザID704には、ユーザID「usr_12345」が設定されている。所有者ユーザID704に設定されるユーザIDは、フック要求に含まれるジョブ情報121の所有者ユーザID1212に設定されているユーザIDとすれば良い。
【0164】
次に、クラウド印刷システム10のフック管理部105は、フック実行要求を外部サービスシステム40に送信する(ステップS308)。当該フック実行要求には、上記のステップS307で作成されたフックメッセージ700が含まれる。
【0165】
ここで、フック管理部105は、フック要求に含まれるジョブ情報121のフック設定1215に設定されているURL(すなわち、外部サービスを利用するためのWebAPIのエンドポイントを示すURL)宛にフック実行要求を送信する。
【0166】
外部サービスシステム40のサービス処理部402は、フック実行要求を受信すると、文書データの取得要求をクラウド印刷システム10に送信する(ステップS309)。このとき、サービス処理部402は、クラウド印刷システム10から受信したフック実行要求に含まれるフックメッセージ700の文書データURL702に設定されているURLを送信先として、文書データの取得要求を送信する。また、当該文書データの取得要求には、当該フックメッセージ700のフックアクセストークン701に設定されているフックアクセストークンが含まれる。
【0167】
クラウド印刷システム10のフック管理部105は、文書データの取得要求を受信すると、当該文書データの取得要求に含まれるフックアクセストークンの正当性を検証する(ステップS310)。
【0168】
次に、クラウド印刷システム10のフック管理部105は、フックトークンが正当なものであると検証された場合、当該文書データの取得要求の送信先URLが示す文書データをデータ記憶部130から取得する(ステップS311)。例えば、文書データの取得要求の送信先URLが「https://yyyyyyy.com/docs/b8ad7ece」である場合、フック管理部105は、「b8ad7ece」で識別される文書データをデータ記憶部130から取得する。
【0169】
そして、フック管理部105は、取得した文書データを外部サービスシステム40に返信する。
【0170】
外部サービスシステム40のサービス処理部402は、クラウド印刷システム10から文書データが返信されると、当該文書データに対して所定の処理を行って、当該文書データを加工する(ステップS312)。すなわち、サービス処理部402は、例えば、文書データに対してQRコードを埋め込む処理等を行って、当該文書データを加工する。これにより、加工済み文書データが作成される。
【0171】
次に、外部サービスシステム40のサービス処理部402は、フック完了通知をクラウド印刷システム10に送信する(ステップS313)。このとき、サービス処理部402は、上記のステップS308でクラウド印刷システム10から受信したフック実行要求に含まれるフックメッセージ700のフック完了通知URL703に設定されているURLを送信先として、フック完了通知を送信する。また、フック完了通知には、当該フックメッセージ700のフックアクセストークン701に設定されているフックアクセストークンと、上記のステップS312で作成された加工済み文書データとが含まれる。
【0172】
クラウド印刷システム10のフック管理部105は、フック完了通知を受信すると、当該フック完了通知に含まれるフックアクセストークンの正当性を検証する(ステップS314)。
【0173】
次に、クラウド印刷システム10のフック管理部105は、フックトークンが正当なものであると検証された場合、フック完了応答をジョブ管理部104に送信する(ステップS315)。当該フック完了応答には、上記のステップS306で受信したフック要求に含まれるジョブ情報121のジョブIDと、加工済み文書データとが含まれる。
【0174】
クラウド印刷システム10のジョブ管理部104は、フック完了応答を受信すると、当該フック完了応答に含まれる加工済み文書データをデータ記憶部130に保存する(ステップS316)。このとき、ジョブ管理部104は、ジョブ情報記憶部120に記憶されているジョブ情報121のうち、当該フック完了応答に含まれるジョブIDに対応するジョブ情報121の文書データロケーション1213を、加工済み文書データの保存先を示す情報に更新する。
【0175】
次に、クラウド印刷システム10のジョブ管理部104は、当該フック完了応答に含まれる加工済み文書データを、画像形成装置20が解釈可能な形式の印刷データに変換する(ステップS317)。
【0176】
次に、クラウド印刷システム10のジョブ管理部104は、印刷データをデータ記憶部130に保存する(ステップS318)。このとき、ジョブ管理部104は、ジョブ情報記憶部120に記憶されているジョブ情報121のうち、当該フック完了応答に含まれるジョブIDに対応するジョブ情報121の印刷データロケーション1214に、印刷データの保存先を示す情報を設定する。
【0177】
これにより、外部サービスシステム40により加工された文書データを画像形成装置20が解釈可能な形式に変換した印刷データが、クラウド印刷システム10のデータ記憶部130に蓄積される。
【0178】
≪印刷実行≫
次に、クラウド印刷システム10に蓄積されている印刷データを画像形成装置20で印刷する処理について、
図15を参照しながら説明する。
図15は、本実施形態に係る印刷実行処理の一例を示すシーケンス図である。
【0179】
まず、ユーザは、画像形成装置20の利用開始操作を行う(ステップS401)。ユーザは、例えば、画像形成装置20の電源をONすること等により利用開始操作を行うことができる。
【0180】
画像形成装置20のUI制御部201は、ユーザによる利用開始操作を受け付けると、例えば
図16に示すログイン画面G300を表示する(ステップS402)。
【0181】
図16に示すログイン画面G300には、ユーザID入力欄G301と、パスワード入力欄G302と、ログインボタンG303とが含まれる。ユーザは、ユーザID入力欄G301及びパスワード入力欄G302にそれぞれユーザID及びパスワードを入力した上で、ログインボタンG303を押下することで、認証情報の入力操作を行うことができる。
【0182】
なお、ユーザは、例えば、認証情報が記録されたICカード等を画像形成装置20の所定の箇所にかざすことで認証情報の入力操作を行っても良い。
【0183】
ユーザは、認証情報の入力操作を行う(ステップS403)。画像形成装置20のUI制御部201は、認証情報の入力操作を受け付けると、アクセストークンの取得要求をクラウド印刷システム10に送信する(ステップS404)。当該アクセストークンの取得要求には、ユーザにより入力された認証情報(すなわち、ユーザID及びパスワードの組)が含まれる。
【0184】
クラウド印刷システム10のアカウント管理部101は、アクセストークンの取得要求を受信すると、当該アクセストークンの取得要求に含まれる認証情報を認証する(ステップS405)。すなわち、アカウント管理部101は、当該認証情報が示すユーザID及びパスワードの組が、所定の記憶領域に記憶されているか否かを検証する。以降では、アカウント管理部101による認証が成功したものとして説明を続ける。
【0185】
アカウント管理部101は、認証情報の認証に成功した場合、アクセストークンを画像形成装置20に返信する。
【0186】
画像形成装置20のUI制御部201は、クラウド印刷システム10からアクセストークンが返信されると、ジョブ一覧の表示要求をジョブ取得部202に送信する(ステップS406)。当該ジョブ一覧の表示要求には、クラウド印刷システム10から返信されたアクセストークンが含まれる。
【0187】
画像形成装置20のジョブ取得部202は、ジョブ一覧の表示要求を受信すると、ジョブ情報の取得要求をクラウド印刷システム10に送信する(ステップS407)。当該ジョブ情報の取得要求には、アクセストークンが含まれる。
【0188】
クラウド印刷システム10のジョブ管理部104は、ジョブ情報の取得要求を受信すると、アクセストークンの検証要求をアカウント管理部101に送信する(ステップS408)。当該検証要求には、アクセストークンが含まれる。
【0189】
クラウド印刷システム10のアカウント管理部101は、アクセストークンの検証要求を受信すると、当該検証要求に含まれるアクセストークンの正当性を検証する(ステップS409)。そして、アクセストークンが正当なものであると検証された場合、アカウント管理部101は、当該アクセストークンに対応するユーザIDをジョブ管理部104に返信する。
【0190】
クラウド印刷システム10のジョブ管理部104は、ユーザIDが返信されると、当該ユーザIDが所有者ユーザID1212に設定されているジョブ情報121をジョブ情報記憶部120から取得する(ステップS410)。
【0191】
次に、クラウド印刷システム10のジョブ管理部104は、上記のステップS410で取得したジョブ情報121を画像形成装置20に送信する(ステップS411)。
【0192】
画像形成装置20のジョブ取得部202は、クラウド印刷システム10からジョブ情報121を受信すると、これらジョブ情報121の一覧をUI制御部201に送信する(ステップS412)。
【0193】
画像形成装置20のUI制御部201は、ジョブ情報121の一覧を受信すると、例えば
図16に示す印刷ジョブ一覧画面G310を表示する(ステップS413)。
【0194】
図16に示す印刷ジョブ一覧画面G310には、ジョブ一覧G311と、設定変更ボタンG312と、印刷ボタンG313とが含まれる。ユーザは、ジョブ一覧G311の中から所望の印刷ジョブを選択した上で、設定変更ボタンG312を押下することで、印刷設定画面の表示操作を行うことができる。また、ユーザは、ジョブ一覧G311の中から所望の印刷ジョブを選択した上で、印刷ボタンG313を押下することで、印刷実行操作を行うことができる。
【0195】
ユーザが印刷設定画面の表示操作を行った場合(ステップS414)、画像形成装置20のUI制御部201は、当該表示操作を受け付けて、例えば
図16に示す印刷設定画面G320を表示する(ステップS415)。
【0196】
図16に示す印刷設定画面G320には、ユーザが設定値を変更することが可能な印刷設定項目G321が含まれる。
図16に示す印刷設定画面G320では、「原稿サイズ」や「部数」等が変更可能な印刷設定項目G321として表示されている。一方で、
図16に示す印刷設定画面G320には、上記のジョブ一覧G311の中からユーザにより選択された印刷ジョブに対応するジョブ情報121の禁則設定1217に設定されている印刷設定項目は表示されない。
【0197】
このように、画像形成装置20のUI制御部201は、ユーザにより選択された印刷ジョブに対応するジョブ情報121の禁則設定1217に設定されている印刷設定項目を非表示にする。これにより、外部サービスに応じた特定の印刷設定のユーザによる変更を制限することができる。このため、外部サービスに応じた特定の印刷設定項目の値がユーザにより変更されてしまう事態を防止することができる。
【0198】
なお、
図16に示す印刷設定画面G320では、ユーザが変更することができない印刷設定項目が非表示となっている例を示したが、例えば、ユーザが変更することができない印刷設定項目がグレーアウトされていても良い。すなわち、ユーザが変更することができない印刷設定項目は、ユーザによる変更が禁止される表示態様となっていれば良い。
【0199】
ユーザが印刷実行操作を行った場合(ステップS416)、画像形成装置20のUI制御部201は、当該印刷実行操作を付け付けて、ジョブ実行要求をジョブ取得部202に送信する(ステップS417)。当該ジョブ実行要求には、上記のジョブ一覧G311の中からユーザにより選択された印刷ジョブに対応するジョブ情報121と、アクセストークンとが含まれる。
【0200】
画像形成装置20のジョブ取得部202は、ジョブ実行要求を受信すると、印刷データの取得要求をクラウド印刷システム10に送信する(ステップS418)。当該印刷データの取得要求には、アクセストークンと、ユーザにより選択された印刷ジョブに対応するジョブ情報121の印刷データロケーション1214に設定されている情報(印刷データロケーション)とが含まれる。
【0201】
クラウド印刷システム10のジョブ管理部104は、印刷データの取得要求を受信すると、アクセストークンの検証要求をアカウント管理部101に送信する(ステップS419)。当該検証要求には、アクセストークンが含まれる。
【0202】
クラウド印刷システム10のアカウント管理部101は、アクセストークンの検証要求を受信すると、当該検証要求に含まれるアクセストークンの正当性を検証する(ステップS420)。そして、アクセストークンが正当なものであると検証された場合、アカウント管理部101は、当該アクセストークンが正当なものであることを示す検証結果をジョブ管理部104に返信する。
【0203】
クラウド印刷システム10のジョブ管理部104は、アクセストークンが正当なものであることを示す検証結果が返信されると、印刷データロケーションで識別される印刷データをデータ記憶部130から取得する(ステップS421)。
【0204】
次に、クラウド印刷システム10のジョブ管理部104は、上記のスッテプS421で取得した印刷データを画像形成装置20に送信する(ステップS422)。
【0205】
次に、画像形成装置20のジョブ取得部202は、クラウド印刷システム10から印刷データを受信すると、印刷実行要求を印刷制御部203に送信する(ステップS423)。当該印刷実行要求には、印刷データと、ユーザにより選択された印刷ジョブに対応するジョブ情報121の印刷設定値1216に設定されている印刷設定項目及びその設定値(印刷設定値)とが含まれる。
【0206】
画像形成装置20の印刷制御部203は、印刷実行要求を受信すると、プロッタ25を制御して印刷を実行する(ステップS424)。すなわち、印刷制御部203は、印刷実行要求に含まれる印刷設定値に従って、印刷データを被印刷媒体に印刷する。これにより、印刷データが被印刷媒体に印刷され、印刷物が出力される。
【0207】
以上のように、本実施形態に係る印刷サービス提供システム1では、クラウド印刷システム10が、外部サービスを提供する外部サービスシステム40にフックさせることで、当該外部サービスに応じた処理を文書データに施すことができる。また、本実施形態に係る印刷サービス提供システム1では、外部サービスシステム40により指定された禁則設定に従って、画像形成装置20や端末装置30に表示される印刷設定画面でユーザが特定の印刷設定項目を変更できないように制御する。このため、本実施形態に係る印刷サービス提供システム1によれば、外部サービスにより設定値の変更が禁止されている印刷設定項目をユーザが誤って変更してしまうような事態を防止することができる。
【0208】
[第二の実施形態]
次に、第二の実施形態について説明する。第一の実施形態では、IPP接続情報111に禁則設定1114が含まれる場合について説明したが、必ずしも禁則設定1114が含まれていなくても良い。すなわち、
図17に示すIPP接続情報111のように、禁則設定1114が含まれていなくても良い。この場合、ユーザに対して特定の印刷設定項目の変更を禁止することはできないものの、外部サービスと連携した印刷サービスを提供することは可能である。
【0209】
そこで、第二の実施形態では、IPP接続情報111に禁則設定1114が含まれない場合(すなわち、外部サービスシステム40が禁則設定を指定しない場合)に、外部サービスと連携した印刷サービスを提供する場合について説明する。
【0210】
なお、第二の実施形態では、主に、第一の実施形態との相違点について説明し、第一の実施形態と同様の構成要素については、適宜、その説明を省略又は簡略化するものとする。
【0211】
<処理の詳細>
次に、本実施形態に係る印刷サービス提供システム1の処理の詳細について説明する。
【0212】
≪プリンタドライバ304のインストール≫
以降では、ユーザが端末装置30にプリンタドライバ304をインストールする処理について、
図18を参照しながら説明する。
図18は、本実施形態に係るプリンタドライバ304のインストール処理の一例を示すシーケンス図である。なお、
図18のステップS101~ステップS112、ステップS114~ステップS115、ステップS118、及びステップS120~ステップS121の処理は、
図8と同様であるため、その説明を省略する。
【0213】
ステップS112に続いて、外部サービスシステム40のWeb処理部401は、インストールパッケージの取得要求を受信すると、プリンタアイコン名と、フック設定とを当該インストールパッケージの取得要求に含めた上で、クラウド印刷システム10に送信する(ステップS501)。このように、本実施形態では、外部サービスシステム40は、禁則設定を指定しないものとする。
【0214】
ステップS115に続いて、クラウド印刷システム10のドライバ提供部102は、アカウント管理部101からユーザIDが返信されると、IPP URLの取得要求をIPP管理部103に送信する(ステップS502)。当該IPP URLの取得要求には、ユーザIDと、フック設定とが含まれる。
【0215】
クラウド印刷システム10のIPP管理部103は、IPP URLの取得要求を受信すると、IPP接続情報111を作成して、IPP接続情報記憶部110に保存する(ステップS503)。すなわち、IPP管理部103は、IPP接続情報111を識別するIPP接続IDを作成した上で、当該IPP接続IDと、IPP URLの取得要求に含まれるユーザIDと、フック設定とが設定されたIPP接続情報111を作成する。なお、これらIPP接続ID、ユーザID、及びフック設定は、それぞれIPP接続ID1111、所有者ユーザID1112、及びフック設定1113に設定される。
【0216】
そして、IPP管理部103は、作成したIPP接続情報111をIPP接続情報記憶部110に保存する。
【0217】
ステップS118に続いて、クラウド印刷システム10のドライバ提供部102は、IPP管理部103からIPP URLが返信されると、プリンタドライバ304のインストールパッケージ600を作成する(ステップS504)。
【0218】
ここで、ドライバ提供部102により作成されるインストールパッケージ600のカスタマイズ設定ファイル603には、
図19に示すように、禁則設定が含まれない。すなわち、本実施形態に係るカスタマイズ設定ファイル603には、プリンタアイコン名6031と、ポート種別6032と、ポート名6033とが含まれる一方で、禁則設定6034は含まれない。
【0219】
これにより、上記のステップS504で作成されたインストールパッケージ600によりプリンタドライバ304がインストールされた場合、禁則設定6034が含まれないカスタマイズ設定ファイル603が反映されたプリンタアイコンが作成される。
【0220】
このため、本実施形態では、第一の実施形態と異なり、
図11のステップS203で表示される印刷設定画面においてユーザは、印刷設定画面上で変更可能な全ての印刷設定項目の設定値を変更することができる。同様に、本実施形態では、第一の実施形態と異なり、
図15のステップS415で表示される印刷設定画面においてユーザは、印刷設定画面上で変更可能な全ての印刷設定項目の設定値を変更することができる。
【0221】
以上のように、本実施形態に係る印刷サービス提供システム1では、第一の実施形態と異なり、外部サービスにより禁則設定が指定されない場合には、ユーザは、印刷設定画面上で変更可能な全ての印刷設定項目を変更することができる。このため、本実施形態に係る印刷サービス提供システム1によれば、例えば、外部サービスにより禁則設定が指定されない場合や外部サービスに応じた禁則設定が存在しない場合等には、より簡易に外部サービスと連携した印刷サービスを提供することができる。
【0222】
[第三の実施形態]
次に、第三の実施形態について説明する。第一の実施形態では、プリンタドライバ304のプリンタアイコンに対して、禁則設定と、外部サービスへのフック設定とを設定することで、印刷設定値の変更の禁止と、外部サービスへのフックとを実現する場合について説明した。
【0223】
第三の実施形態では、プリンタドライバ304を用いずに、ユーザが参加しているグループに対して、禁則設定と、外部サービスへのフック設定とを設定して、印刷設定値の変更の禁止と、外部サービスへのフックとを実現する場合について説明する。なお、グループとは、ユーザの集合のことである。グループには、例えば、ある会社に勤務するユーザのグループ、ある会社における特定の部に属するユーザのグループ、特定の課に属するユーザのグループ等が挙げられる。
【0224】
これにより、ユーザは、プリンタドライバ304を端末装置30にインストールすることなく、ある特定のグループに属しているだけで、外部サービスと連携した印刷サービスを利用することができるようになる。
【0225】
なお、第三の実施形態では、主に、第一の実施形態との相違点について説明し、第一の実施形態と同様の構成要素については、適宜、その説明を省略又は簡略化するものとする。
【0226】
<機能構成>
まず、本実施形態に係る印刷サービス提供システム1の機能構成について、
図20を参照しながら説明する。
図20は、本実施形態に係る印刷サービス提供システム1の機能構成の一例を示す図である。
【0227】
図20に示す端末装置30は、第一の実施形態と異なり、印刷システム303と、プリンタドライバ304と、IPPポート305とを有していなくても良い。
【0228】
図20に示すクラウド印刷システム10は、第一の実施形態と異なり、変換部106と、グループ情報記憶部140と、フック情報記憶部150とを有する。また、
図20に示すクラウド印刷システム10は、ドライバ提供部102と、IPP管理部103と、IPP接続情報記憶部110とを有していなくても良い。
【0229】
変換部106は、端末装置30の印刷アプリケーション302の文書等を示す印刷対象データを、例えばPDF形式等の文書データに変換する。
【0230】
グループ情報記憶部140は、グループ情報141を記憶する。ここで、グループ情報141について、
図21を参照しながら説明する。
図21は、グループ情報141の一例を示す図である。
【0231】
図21に示すように、グループ情報記憶部140には、1以上のグループ情報141が記憶されている。また、各グループ情報141は、グループ名と、グループIDと、ユーザIDとが関連付けられている。
【0232】
例えば、グループ名「グループ1」のグループ情報141には、グループID「group_1」と、ユーザID「usr_12345,usr_67890,usr_00000」とが関連付けられている。これは、グループ名が「グループ1」であるグループのグループIDは「group_1」であることを示している。また、当該グループには、ユーザID「usr_12345」のユーザと、ユーザID「usr_67890」のユーザと、ユーザID「usr_00000」のユーザとが含まれることを示している。
【0233】
このように、グループ情報141には、グループ名と、グループを識別するグループIDと、当該グループに含まれるユーザのユーザIDとが関連付けられている。
【0234】
フック情報記憶部150は、フック情報151を記憶する。ここで、フック情報151について、
図22を参照しながら説明する。
図22は、フック情報151の一例を示す図である。
【0235】
図22に示すフック情報151には、フックID1511と、グループID1512と、フック設定1513と、禁則設定1514とが含まれる。
【0236】
フックID1511には、フック情報151を識別するフックIDが設定される。
図22に示すフック情報151のフックID1511には、フックID「hook_12345」が設定されている。
【0237】
グループID1512には、フック設定1513に設定されているフック設定を利用するグループのグループIDが設定される。
図22に示すフック情報151のグループID1512には、グループID「group_1」が設定されている。
【0238】
フック設定1513には、フック先の外部サービスを利用するためのWebAPIのエンドポイントを示すURLが設定される。
図22に示すフック情報151のフック設定1513には、文書データに対してQRコードを埋め込むためのWebAPIのエンドポイントを示すURL「https://xxxxxxx.com/print/hook/embed_qr」が設定されている。フック設定1513に設定されるURLは、当該外部サービスを提供する外部サービスシステム40により指定される。
【0239】
禁則設定1514には、フック先の外部サービスを利用した場合において変更が禁止される印刷設定項目とその設定値(固定値)とが設定される。禁則設定1514に設定された印刷設定項目は、ユーザによる変更が禁止される。
図22に示すフック情報151の禁則設定1514には、複数の印刷設定項目及びその設定値「color=monochrome,duplex=no,punch=no,staple=no」が設定されている。この場合、ユーザによる印刷設定項目「カラー/モノクロ」、「両面/片面」、「パンチ」及び「ステープル」の変更が禁止される。また、印刷設定項目「カラー/モノクロ」の設定値は「モノクロ」、印刷設定項目「両面/片面」の設定値は「片面」、印刷設定項目「パンチ」の設定値は「しない」、及び印刷設定項目「ステープル」の設定値は「しない」にそれぞれ固定される。
【0240】
<処理の詳細>
次に、本実施形態に係る印刷サービス提供システム1の処理の詳細について説明する。
【0241】
≪フック登録≫
まず、管理者権限を有するユーザがグループを作成した上で、当該グループに参加しているユーザが利用するフック設定が設定されたフック情報151を登録する処理について、
図23を参照しながら説明する。23は、本実施形態に係るフック登録処理の一例を示すシーケンス図である。なお、
図23のステップS101~ステップS110の処理は、
図8と同様であるため、その説明を省略する。
【0242】
まず、ユーザは、グループ名を指定した上で、グループの作成操作を行う(ステップS601)。ユーザは、例えば、Webブラウザ301により表示される所定の画面において、所望のグループ名を指定した上で、新規グループを作成するためのボタン等を押下することで、グループの作成操作を行うことができる。
【0243】
端末装置30のWebブラウザ301は、グループの作成操作を受け付けると、グループの作成要求を外部サービスシステム40に送信する(ステップS602)。当該グループの作成要求には、ユーザにより指定されたグループ名と、アクセストークンとが含まれる。
【0244】
外部サービスシステム40のWeb処理部401は、端末装置30から受信したグループの作成要求をクラウド印刷システム10に送信する(ステップS603)。
【0245】
クラウド印刷システム10のアカウント管理部101は、グループの作成要求を受信すると、当該作成要求に含まれるアクセストークンの正当性を検証する(ステップS604)。アクセストークンが正当なものであると検証された場合、クラウド印刷システム10のアカウント管理部101は、グループ情報141を作成して、グループ情報記憶部140に保存する(ステップS605)。このとき、アカウント管理部101は、グループIDを作成した上で、当該作成要求に含まれるグループ名と、作成したグループIDとを関連付けることで、グループ情報141を作成する。
【0246】
そして、アカウント管理部101は、作成したグループ情報141のグループIDを、外部サービスシステム40を介して、端末装置30に返信する。
【0247】
ユーザは、作成したグループに招待するユーザのユーザIDを指定した上で、ユーザ招待操作を行う(ステップS606)。ユーザは、Webブラウザ301により表示される所定の画面において、上記で作成したグループと、当該グループに招待する他のユーザのユーザIDとを指定した上で、他のユーザを招待するためのボタン等を押下することで、ユーザ招待操作を行うことができる。
【0248】
端末装置30のWebブラウザ301は、ユーザ招待操作を受け付けると、ユーザの招待要求を外部サービスシステム40に送信する(ステップS607)。当該招待要求には、グループに招待する他のユーザのユーザIDと、当該グループのグループIDと、アクセストークンとが含まれる。
【0249】
外部サービスシステム40のWeb処理部401は、端末装置30から受信したユーザの招待要求をクラウド印刷システム10に送信する(ステップS608)。
【0250】
クラウド印刷システム10のアカウント管理部101は、ユーザの招待要求を受信すると、当該招待要求に含まれるアクセストークンの正当性を検証する(ステップS609)。アクセストークンが正当なものであると検証された場合、クラウド印刷システム10のアカウント管理部101は、当該招待要求に含まれるユーザIDのユーザに対して招待メールを送信する(ステップS610)。
【0251】
招待メールを受信したユーザは、例えば、当該招待メール内のリンクを押下することで、招待を受けたグループに参加することができる。ユーザがグループに参加した場合、アカウント管理部101は、当該グループに対応するグループ情報141に対して、新たに参加したユーザのユーザIDを追加する。これにより、グループに参加しているユーザが管理される。
【0252】
ユーザは、グループに対してフックを設定するためのフック登録操作を行う(ステップS611)。ユーザは、Webブラウザ301により表示される所定の画面において、上記で作成したグループを指定した上で、フックを登録するためのボタン等を押下することで、フック登録操作を行うことができる。なお、ユーザは、例えば、外部サービスシステム40が複数の外部サービスを提供している場合等には、フックさせる外部サービスを選択した上で、フック登録操作を行っても良い。
【0253】
端末装置30のWebブラウザ301は、フック登録操作を受け付けると、フック登録要求を外部サービスシステム40に送信する(ステップS612)。当該フック登録要求には、上記で作成したグループのグループIDと、アクセストークンとが含まれる。
【0254】
外部サービスシステム40のWeb処理部401は、フック登録要求を受信すると、フック設定と、禁則設定とを当該フック登録要求に含めた上で、クラウド印刷システム10に送信する(ステップS613)。
【0255】
フック設定は、クラウド印刷システム10が外部サービスシステム40にフックさせるためのURL(すなわち、外部サービスシステム40が提供する外部サービスを利用するためのWebAPIのエンドポイントを示すURL)である。禁則設定は、当該外部サービスを利用した場合において変更が禁止される印刷設定である。
【0256】
クラウド印刷システム10のフック管理部105は、フック登録要求を受信すると、アクセストークンの検証要求をアカウント管理部101に送信する(ステップS614)。当該検証要求には、アクセストークンが含まれる。
【0257】
クラウド印刷システム10のアカウント管理部101は、アクセストークンの検証要求を受信すると、当該検証要求に含まれるアクセストークンの正当性を検証する(ステップS615)。そして、アクセストークンが正当なものであると検証された場合、アカウント管理部101は、当該アクセストークンが正当なものであることを示す検証結果をフック管理部105に返信する。
【0258】
クラウド印刷システム10のフック管理部105は、アクセストークンが正当なものであることを示す検証結果が返信されると、フック情報151を作成して、フック情報記憶部150に保存する(ステップS616)。すなわち、フック管理部105は、フック情報151を識別するフックIDを作成した上で、当該フックIDと、フック登録要求に含まれるグループIDと、フック設定と、禁則設定とが設定されたフック情報151を作成する。なお、これらフックID、グループID、フック設定、及び禁則設定は、それぞれフックID1511、グループID1512、フック設定1513、及び禁則設定1514に設定される。
【0259】
そして、フック管理部105は、作成したフック情報151をフック情報記憶部150に保存する。
【0260】
これにより、グループが作成されると共に、当該グループに参加しているユーザが利用可能なフック設定が含まれるフック情報151が登録される。
【0261】
≪印刷データの蓄積≫
次に、あるグループに参加しているユーザがWebブラウザ301又は印刷アプリケーション302から印刷を開始して、クラウド印刷システム10に印刷データを蓄積する処理について、
図24を参照しながら説明する。
図24は、本実施形態に係る印刷データの蓄積処理の一例を示すシーケンス図である。なお、以降では、一例として、ユーザがWebブラウザ301から印刷を開始する場合について説明する。また、
図24のステップS101~ステップS110の処理は、
図8と同様であるため、その説明を省略する。更に、
図24のステップS306~ステップS318の処理は、
図13と同様であるため、その説明を省略する。
【0262】
まず、ユーザは、Webブラウザ301が表示している文書やWebページ等の印刷対象データを印刷したい場合、印刷開始操作を行う(ステップS701)。ユーザは、Webブラウザ301により表示される所定の画面において、印刷開始ボタン等を押下することで、印刷開始操作を行うことができる。また、このとき、ユーザは、各印刷設定項目の設定値(印刷設定値)を指定することができる。
【0263】
端末装置30のWebブラウザ301は、ユーザによる印刷開始操作を受け付けると、ジョブ登録要求を外部サービスシステム40に送信する(ステップS702)。当該ジョブ登録要求には、印刷対象データと、印刷設定値と、アクセストークンとが含まれる。
【0264】
外部サービスシステム40のWeb処理部401は、端末装置30から受信したジョブ登録要求をクラウド印刷システム10に送信する(ステップS703)。
【0265】
クラウド印刷システム10のジョブ管理部104は、ジョブ登録要求を受信すると、アクセストークンの検証要求をアカウント管理部101に送信する(ステップS704)。当該検証要求には、アクセストークンが含まれる。
【0266】
クラウド印刷システム10のアカウント管理部101は、アクセストークンの検証要求を受信すると、当該検証要求に含まれるアクセストークンの正当性を検証する(ステップS705)。そして、アクセストークンが正当なものであると検証された場合、アカウント管理部101は、当該アクセストークンに対応するユーザIDと、当該ユーザIDのユーザが参加しているグループを示すグループIDとを返信する。
【0267】
クラウド印刷システム10のジョブ管理部104は、ユーザIDとグループIDとが返信されると、フック情報の取得要求をフック管理部105に送信する(ステップS706)。当該取得要求には、アカウント管理部101から返信されたグループIDが含まれる。
【0268】
クラウド印刷システム10のフック管理部105は、フック情報の取得要求を受信すると、フック情報記憶部150からフック情報151を取得する(ステップS707)。すなわち、フック管理部105は、フック情報記憶部150に記憶されているフック情報151のうち、当該取得要求に含まれるグループIDがフックID1511に設定されているフック情報151を取得する。
【0269】
そして、フック管理部105は、フック情報記憶部150から取得したフック情報151をジョブ管理部104に返信する。
【0270】
クラウド印刷システム10のジョブ管理部104は、フック情報151を受信すると、当該フック情報151の禁則設定1514に設定されている禁則設定を、端末装置30から受信したジョブ登録要求に含まれる印刷設定値に適用する(ステップS708)。
【0271】
すなわち、例えば、フック情報151の禁則設定1514に設定されている禁則設定が「duplex=no」であり、ジョブ登録要求に含まれる印刷設定値に「duplex=yes」が含まれていたものとする。この場合、ジョブ管理部104は、ジョブ登録要求に含まれる印刷設定値を「duplex=no」と変更する。
【0272】
このように、ジョブ管理部104は、ジョブ登録要求に含まれる印刷設定値(すなわち、ユーザにより設定された印刷設定値)が禁則設定の固定値と異なる場合には、当該印刷設定値を、禁則設定の固定値に変更する。これにより、例えば、ユーザが、禁則設定の固定値と異なる値に印刷設定値を指定したような場合であっても、当該印刷設定値を、禁則設定の固定値に変更することができるようになる。
【0273】
次に、クラウド印刷システム10のジョブ管理部104は、印刷対象データを文書データに変換するための変換要求を変換部106に送信する(ステップS709)。当該変換要求には、印刷対象データが含まれる。
【0274】
クラウド印刷システム10の変換部106は、変換要求を受信すると、当該変換要求に含まれる印刷対象データを文書データに変換する(ステップS710)。そして、変換部106は、文書データをジョブ管理部104に返信する。
【0275】
クラウド印刷システム10のジョブ管理部104は、文書データが返信されると、当該文書データをデータ記憶部130に保存する(ステップS711)。
【0276】
次に、クラウド印刷システム10のジョブ管理部104は、ジョブ情報121を作成して、ジョブ情報記憶部120に保存する(ステップS712)。すなわち、ジョブ管理部104は、ジョブ情報121を識別するジョブIDを作成した上で、ユーザIDと、上記のステップS711で保存された文書データの保存先と、フック設定と、印刷設定値と、禁則設定とが設定されたジョブ情報121を作成する。
【0277】
なお、これらジョブID、ユーザID、及び文書データの保存先は、それぞれジョブID1211、所有者ユーザID121、及び文書データロケーション1213に設定される。同様に、フック設定、印刷設定、及び禁則設定は、それぞれフック設定1215、印刷設定値1216、及び禁則設定1217に設定される。一方で、印刷データロケーション1214には、値が設定されない。
【0278】
そして、ジョブ管理部104は、作成したジョブ情報121をジョブ情報記憶部120に保存する。ジョブ情報121がジョブ情報記憶部120に保存されることで、当該ジョブ情報121により実行される印刷ジョブがクラウド印刷システム10に登録される。
【0279】
以上のように、本実施形態に係る印刷サービス提供システム1では、ユーザが参加しているグループに対してフック情報151が作成及び保存される。これにより、ユーザは、自身が参加しているグループに応じた外部サービスと連携する印刷サービスを利用することができるようになる。
【0280】
また、本実施形態に係る印刷サービス提供システム1では、ユーザが参加しているグループに対してフック情報151が作成及び保存されるため、ユーザが利用する端末装置30には、必ずしもプリンタドライバ304がインストールされている必要はない。このため、ユーザは、プリンタドライバ304がインストールされていない端末装置30を用いて、外部サービスと連携した印刷サービスを利用することができるようになる。
【0281】
[第四の実施形態]
次に、第四の実施形態について説明する。例えば、外部のサービス提供者により提供される印刷サービス(外部印刷サービス)をユーザが既に利用している場合がある。そこで、第四の実施形態では、ユーザが既に利用している外部印刷サービスとも連携した印刷サービスを提供する場合について説明する。
【0282】
なお、第四の実施形態では、主に、第一の実施形態との相違点について説明し、第一の実施形態と同様の構成要素については、適宜、その説明を省略又は簡略化するものとする。
【0283】
<全体構成>
まず、本実施形態に係る印刷サービス提供システム1の全体構成について、
図25を参照しながら説明する。
図25は、本実施形態に係る印刷サービス提供システム1の全体構成の一例を示す図である。
【0284】
図25に示す印刷サービス提供システム1は、更に、外部印刷システム50を有する。外部印刷システム50は、外部印刷サービスを提供するコンピュータシステムである。外部印刷システム50は、ネットワークN1を介して、外部印刷サービスを提供する。ユーザは、外部印刷サービスにおける印刷ジョブの出力先のプリンタを外部印刷システム50に登録することで、外部印刷サービスを利用することができる。本実施形態では、ユーザは、出力先のプリンタとしてクラウド印刷システム10を登録する(すなわち、クラウド印刷システム10を仮想的なプリンタ(仮想プリンタ)として登録する)ことで、外部印刷サービスとも連携した印刷サービスを利用することができる。以降では、外部印刷サービスにおける印刷ジョブを「外部印刷ジョブ」と表す。
【0285】
なお、外部印刷システム50は、例えば、ユーザ環境E2に設置され、ネットワークN2を介して、外部印刷サービスを提供しても良い。すなわち、外部印刷システム50は、ユーザがオンプレミス型で設置するコンピュータシステムであっても良い。
【0286】
<機能構成>
次に、本実施形態に係る印刷サービス提供システム1の機能構成について、
図26を参照しながら説明する。
図26は、本実施形態に係る印刷サービス提供システム1の機能構成の一例を示す図である。
【0287】
図26に示す端末装置30は、第一の実施形態と異なり、印刷システム303と、プリンタドライバ304と、IPPポート305とを有していなくても良い。なお、本実施形態に係る端末装置30には、例えば、外部印刷システム50により配布等され、外部印刷サービスを利用するためのプリンタドライバがインストールされていても良い。
【0288】
図26に示すクラウド印刷システム10は、第一の実施形態と異なり、外部印刷システム管理部107と、外部印刷システム接続情報記憶部160とを有する。また、
図26に示すクラウド印刷システム10は、ドライバ提供部102と、IPP管理部103と、IPP接続情報記憶部110を有していなくても良い。
【0289】
外部印刷システム管理部107は、外部印刷システム接続情報記憶部160に記憶されている外部印刷システム接続情報161を管理する。外部印刷システム管理部107は、外部サービスシステム40からの要求に応じて、外部印刷システム接続IDを作成した上で、当該外部印刷システム接続IDが含まれる外部印刷システム接続情報161を作成する。
【0290】
外部印刷システム接続情報記憶部160は、外部印刷システム接続情報161を記憶する。ここで、外部印刷システム接続情報161について、
図27を参照しながら説明する。
図27は、外部印刷システム接続情報161の一例を示す図である。
【0291】
図27を示す外部印刷システム接続情報161には、外部印刷システム接続ID1611と、所有者ユーザID1612と、フック設定1613と、禁則設定1614とが含まれる。
【0292】
外部印刷システム接続ID1611には、外部印刷システム接続情報161を識別する外部印刷システム接続IDが設定される。
図27に示す外部印刷システム接続情報161の外部印刷システム接続ID1611には、外部印刷システム接続ID「exprint_12345」が設定されている。
【0293】
所有者ユーザID1612は、外部印刷システム接続情報161の所有者(すなわち、外部印刷システム50に対して仮想プリンタを登録したユーザ)を識別するユーザIDが設定される。
【0294】
フック設定1613は、フック先の外部サービスを利用するためのWebAPIのエンドポイントを示すURLが設定される。
図27に示す外部印刷システム接続情報161のフック設定1613には、文書データに対してQRコードを埋め込むためのWebAPIのエンドポイントを示すURL「https://xxxxxxx.com/print/hook/embed_qr」が設定されている。フック設定1513に設定されるURLは、当該外部サービスを提供する外部サービスシステム40により指定される。
【0295】
禁則設定1614は、フック先の外部サービスを利用した場合において変更が禁止される印刷設定項目とその設定値(固定値)とが設定される。禁則設定1514に設定された印刷設定項目は、ユーザによる変更が禁止される。
図27に示す外部印刷システム接続情報161の禁則設定1614には、複数の印刷設定項目及びその設定値「color=monochrome,duplex=no,punch=no,staple=no」が設定されている。
【0296】
<処理の詳細>
次に、本実施形態に係る印刷サービス提供システム1の処理の詳細について説明する。
【0297】
≪外部印刷システム接続情報161の登録≫
まず、ユーザが外部印刷システム50に対して仮想プリンタを登録して、外部印刷システム接続情報161をクラウド印刷システム10に登録する処理について、
図28を参照しながら説明する。
図28は、本実施形態に係る外部印刷システム接続情報161の登録処理の一例を示すシーケンス図である。以降のステップS801~ステップS815の処理は、既知のOAuthによる認証及び認可に関する処理であるため、適宜、その説明を簡略化する。なお、ステップS801~ステップS815の処理は、OAuthに限られず、例えば、OpenID等が用いられても良い。
【0298】
まず、ユーザは、端末装置30のWebブラウザ301を用いて、認可開始操作を行う(ステップS801)。ユーザは、Webブラウザ301を用いて、例えば、外部サービスシステム40が提供するWebページにおいて、クラウド印刷システム10への認可要求を行うためのリンクを押下することで、認可開始操作を行うことができる。
【0299】
端末装置30のWebブラウザ301は、ユーザによる認可開始操作を受け付けると、認可開始要求を外部サービスシステム40に送信する(ステップS802)。外部サービスシステム40のWeb処理部401は、当該認可開始要求を受信すると、クラウド印刷システム10の認証画面へのリダイレクト要求を端末装置30に送信する(ステップS803)。
【0300】
端末装置30のWebブラウザ301は、クラウド印刷システム10の認証画面へのリダイレクト要求を受信すると、当該認証画面の表示要求をクラウド印刷システム10に送信する(ステップS804)。すなわち、Webブラウザ301は、HTTPリクエストをリダイレクト先URLに送信する。
【0301】
そして、クラウド印刷システム10は、当該認証画面の表示要求を受信すると、当該認証画面を端末装置30に返信する。これにより、端末装置30のWebブラウザ301上には、例えば
図9に示す認証画面G100が表示される。
【0302】
ユーザは、端末装置30のWebブラウザ301を用いて、クラウド印刷システム10の認証情報の入力操作を行う(ステップS805)。端末装置30のWebブラウザ301は、クラウド印刷システム10の認証情報の入力操作を受け付けると、認証要求をクラウド印刷システム10に送信する(ステップS806)。当該認証要求には、ユーザにより入力された認証情報(すなわち、クラウド印刷システム10のユーザID及びパスワードの組)が含まれる。
【0303】
クラウド印刷システム10のアカウント管理部101は、端末装置30から認証要求を受信すると、当該認証要求に含まれる認証情報を認証する(ステップS807)。以降では、アカウント管理部101による認証が成功したものとして説明を続ける。
【0304】
クラウド印刷システム10のアカウント管理部101は、認証が成功すると、外部印刷システム50の認証画面へのリダイレクト要求を端末装置30に送信する(ステップS808)。当該リダイレクト要求には、クラウド印刷システム10の認可コードが含まれる。
【0305】
端末装置30のWebブラウザ301は、外部印刷システム50の認証画面へのリダイレクト要求を受信すると、当該認証画面の表示要求を外部印刷システム50に送信する(ステップS809)。すなわち、Webブラウザ301は、HTTPリクエストをリダイレクト先URLに送信する。
【0306】
そして、外部印刷システム50は、認証画面の表示要求を受信すると、当該認証画面を端末装置30に返信する。これにより、端末装置30のWebブラウザ301上には、外部印刷システム50の認証情報を入力するための認証画面が表示される。
【0307】
ユーザは、端末装置30のWebブラウザ301を用いて、外部印刷システム50の認証情報の入力操作を行う(ステップS810)。端末装置30のWebブラウザ301は、外部印刷システム50の認証情報の入力操作を受け付けると、認証要求を外部印刷システム50に送信する(ステップS811)。当該認証要求には、ユーザにより入力された認証情報(すなわち、外部印刷システム50のユーザID及びパスワードの組等)が含まれる。
【0308】
そして、外部印刷システム50は、端末装置30から受信した認証要求に対する認証に成功すると、クラウド印刷システム10が外部印刷システム50のアクセストークンを取得するためのURLへのリダイレクト要求を端末装置30に返信する。当該リダイレクト要求には、外部印刷システム50の認可コードが含まれる。
【0309】
端末装置30のWebブラウザ301は、当該リダイレクト要求を受信すると、アクセストークンの取得指示をクラウド印刷システム10に送信する(ステップS812)。当該取得指示には、外部印刷システム50の認可コードが含まれる。
【0310】
クラウド印刷システム10のアカウント管理部101は、当該アクセストークンの指示要求を受信すると、アクセストークンの取得要求を外部印刷システム50に送信する(ステップS813)。当該取得要求には、外部印刷システム50の認可コードが含まれる。
【0311】
そして、外部印刷システム50は、アクセストークンの取得要求に含まれる認可コードが正当である場合、外部印刷システム50のアクセストークンをクラウド印刷システム10に返信する。その後、クラウド印刷システム10のアカウント管理部101は、外部印刷システム50のアクセストークンを所定の記憶領域に保存した上で、プリンタ登録画面へのリダイレクト要求を端末装置30に返信する。
【0312】
端末装置30のWebブラウザ301は、プリンタ登録画面へのリダイレクト要求を受信すると、プリンタ登録画面の表示要求を外部サービスシステム40に送信する(ステップS814)。当該表示要求には、クラウド印刷システム10の認可コードが含まれる。
【0313】
外部サービスシステム40のWeb処理部401は、プリンタ登録画面の表示要求を受信すると、アクセストークンの取得要求をクラウド印刷システム10に送信する(ステップS815)。
【0314】
そして、クラウド印刷システム10のアカウント管理部101は、アクセストークンの取得要求に含まれる認可コードが正当である場合、クラウド印刷システム10のアクセストークンを外部サービスシステム40に返信する。その後、外部サービスシステム40のWeb処理部401は、プリンタ登録画面と、クラウド印刷システム10から返信されたアクセストークンとを端末装置30に返信する。これにより、端末装置30のWebブラウザ301上には、例えば
図29に示すプリンタ登録画面G400が表示される。
【0315】
図29に示すプリンタ登録画面G400には、外部サービスと連携した印刷サービスを実現する仮想プリンタを外部印刷システム50に登録するための「ドキュメントを加工するプリンタ」登録ボタンG401が含まれる。なお、
図29に示すプリンタ登録画面G400には、外部サービスと連携しない印刷サービスを実現する仮想プリンタを外部印刷システム50に登録するための「通常のプリンタ」登録ボタンも含まれる。
【0316】
ユーザは、「ドキュメントを加工するプリンタ」登録ボタンG401を押下することで、フックを利用するプリンタの登録操作を行うことができる。
【0317】
ユーザは、端末装置30のWebブラウザ301を用いて、フックを利用するプリンタの登録操作を行う(ステップS816)。端末装置30のWebブラウザ301は、フックを利用するプリンタの登録操作を受け付けると、プリンタ登録要求を外部サービスシステム40に送信する(ステップS817)。当該プリンタ登録要求には、クラウド印刷システム10のアクセストークンが含まれる。
【0318】
外部サービスシステム40のWeb処理部401は、プリンタ登録要求を受信すると、プリンタアイコン名と、フック設定と、禁則設定とを当該プリンタ登録要求に含めた上で、クラウド印刷システム10に送信する(ステップS818)。
【0319】
クラウド印刷システム10の外部印刷システム管理部107は、プリンタ登録要求を受信すると、アクセストークンの検証要求をアカウント管理部101に送信する(ステップS819)。当該検証要求には、クラウド印刷システム10のアクセストークンが含まれる。
【0320】
クラウド印刷システム10のアカウント管理部101は、アクセストークンの検証要求を受信すると、当該検証要求に含まれるアクセストークンの正当性を検証する(ステップS820)。そして、アクセストークンが正当なものであると検証された場合、アカウント管理部101は、当該アクセストークンに対応するユーザIDを外部印刷システム管理部107に返信する。
【0321】
クラウド印刷システム10の外部印刷システム管理部107は、アクセストークンが正当なものであることを示す検証結果が返信されると、外部印刷システム接続情報161を作成して、外部印刷システム接続情報記憶部160に保存する(ステップS821)。すなわち、外部印刷システム管理部107は、外部印刷システム接続情報161を識別する外部印刷システム接続IDを作成した上で、当該外部印刷システム接続IDと、ユーザIDと、フック設定と、禁則設定とが含まれる外部印刷システム接続情報161を作成する。なお、これら外部印刷システム接続ID、ユーザID、フック設定、及び禁則設定は、それぞれ外部印刷システム接続ID1611、所有者ユーザID1612、フック設定1613、及び禁則設定1614に設定される。
【0322】
そして、外部印刷システム管理部107は、作成した外部印刷システム接続情報161を外部印刷システム接続情報記憶部160に保存する。
【0323】
次に、クラウド印刷システム10の外部印刷システム管理部107は、クラウド印刷システム接続URLを作成する(ステップS822)。クラウド印刷システム接続URLとは、上記のステップS821で保存した外部印刷システム接続情報161の外部印刷システム接続IDを特定可能で、かつ、クラウド印刷システム10に新規ジョブ通知を送信するためのURLである。また、新規ジョブ通知とは、外部印刷システム50が印刷要求を受信して、当該印刷要求に対応する外部印刷ジョブが作成されたことを示す通知である。
【0324】
例えば、上記のステップS821で保存した外部印刷システム接続情報161の外部印刷システム接続IDが「exprint_12345」であるとする。この場合、外部印刷システム管理部107は、例えば、「https://yyyyyyy.com/exprint/links/exprint_12345/.printer」等のように、外部印刷システム接続IDが含まれるURLをクラウド印刷システム接続URLとすれば良い。
【0325】
次に、クラウド印刷システム10の外部印刷システム管理部107は、プリンタ登録要求を外部印刷システム50に送信する(ステップS823)。当該プリンタ登録要求には、外部印刷システム50のアクセストークンと、クラウド印刷システム接続URLとが含まれる。これにより、クラウド印刷システム接続URLを新規ジョブ通知先としたプリンタ(すなわち、クラウド印刷システム10を新規ジョブ通知先とした仮想プリンタ)が外部印刷システム50に登録される。
【0326】
≪印刷データの蓄積(印刷開始から新規ジョブ通知まで)≫
次に、ユーザが印刷アプリケーション302から印刷を開始して、外部印刷システム50に外部印刷ジョブを作成した上で、当該外部印刷ジョブが作成されたことをクラウド印刷システム10に通知するまでの処理について、
図30を参照しながら説明する。
図30は、本実施形態に係る印刷データの蓄積処理(印刷開始から新規ジョブ通知まで)の一例を示すシーケンス図である。
【0327】
まず、ユーザは、外部印刷システム50に対して印刷要求を送信する印刷アプリケーション302において、当該印刷アプリケーション302が表示している文書等の印刷対象データを印刷するための印刷開始操作を行う(ステップS901)。このとき、ユーザは、各印刷設定項目の設定値(印刷設定値)を指定することができる。
【0328】
なお、例えば、外部印刷システム50が配布等しているプリンタドライバのプリンタアイコンを選択することで、ユーザは、任意の印刷アプリケーション302から印刷開始操作を行うことができる。
【0329】
端末装置30の印刷アプリケーション302は、ユーザによる印刷開始操作を受け付けると、印刷要求を外部印刷システム50に送信する(ステップS902)。当該印刷要求には、印刷対象データと、印刷設定値とが含まれる。
【0330】
外部印刷システム50は、端末装置30から印刷要求を受信すると、外部印刷ジョブを作成する(ステップS903)。すなわち、外部印刷システム50は、印刷対象データを文書データに変換した上で、当該文書データと、印刷設定値とが含まれる外部印刷ジョブを作成する。
【0331】
次に、外部印刷システム50は、新たな外部印刷ジョブが作成されたことを示す新規ジョブ通知をクラウド印刷システム10に送信する(ステップS904)。このとき、外部印刷システム50は、ユーザにより登録された仮想プリンタ(すなわち、クラウド印刷システム10)を示すクラウド印刷システム接続URLを送信先として新規ジョブ通知を送信する。
【0332】
これにより、ユーザは、外部印刷サービスを利用した印刷を行うことができる。このとき、クラウド印刷システム10を仮想プリンタとして外部印刷システム50に登録しておくことで、外部印刷システム50が、新規ジョブ通知をクラウド印刷システム10に送信するようにすることができる。
【0333】
≪印刷データの蓄積(新規ジョブ通知後から印刷データの保存まで)≫
次に、クラウド印刷システム10が新規ジョブ通知を受信した後、印刷データを保存するまでの処理について、
図31を参照しながら説明する。
図31は、本実施形態に係る印刷データの蓄積処理(新規ジョブ通知後から印刷データの保存まで)の一例を示すシーケンス図である。
【0334】
クラウド印刷システム10の外部印刷システム管理部107は、外部印刷システム50から新規ジョブ通知を受信すると、ジョブ取得要求を外部印刷システム50に送信する(ステップS1001)。当該ジョブ取得要求には、新規ジョブ通知により通知された外部印刷ジョブを識別する情報(例えば、ジョブID等)が含まれる。
【0335】
外部印刷システム50は、ジョブ取得要求を受信すると、当該ジョブ取得要求に係る外部印刷ジョブをクラウド印刷システム10に送信する(ステップS1002)。当該外部印刷ジョブには、文書データと、印刷設定値とが含まれる。
【0336】
クラウド印刷システム10の外部印刷システム管理部107は、外部印刷ジョブを受信すると、新規ジョブ通知の送信先URL(すなわち、クラウド印刷システム接続URL)から外部印刷システム接続情報IDを特定する(ステップS1003)。
【0337】
例えば、当該新規ジョブ通知の送信先URLが「https://yyyyyyy.com/exprint/links/exprint_12345/.printer」であったものとする。この場合、外部印刷システム管理部107は、外部印刷システム接続情報ID「exprint_12345」を特定する。
【0338】
次に、クラウド印刷システム10の外部印刷システム管理部107は、上記のステップS1003で特定した外部印刷システム接続情報IDに対応する外部印刷システム接続情報161を外部印刷システム接続情報記憶部160から取得する(ステップS1004)。
【0339】
すなわち、例えば、ステップS1003で特定した外部印刷システム接続情報IDが「exprint_12345」であるとする。この場合、外部印刷システム管理部107は、外部印刷システム接続ID1611に「exprint_12345」が設定されている外部印刷システム接続情報161を外部印刷システム接続情報記憶部160から取得する。
【0340】
次に、クラウド印刷システム10の外部印刷システム管理部107は、ジョブ登録要求をジョブ管理部104に送信する(ステップS1005)。当該ジョブ登録要求には、上記のステップS1004で取得した外部印刷システム接続情報161の所有者ユーザID1612に設定されているユーザIDと、フック設定1613に設定されているフック設定と、禁則設定1614に設定されている禁則設定とが含まれる。また、当該ジョブ登録要求には、外部印刷システム50から取得した文書データと、印刷設定値とが含まれる。
【0341】
次に、クラウド印刷システム10のジョブ管理部104は、ジョブ登録要求を受信すると、当該ジョブ登録要求に含まれる禁則設定を印刷設定値に適用する(ステップS1006)。
【0342】
すなわち、例えば、ジョブ登録要求に含まれる禁則設定が「duplex=no」であり、ジョブ登録要求に含まれる印刷設定値が「duplex=yes」であるものとする。この場合、ジョブ管理部104は、印刷設定値を「duplex=no」と変更する。
【0343】
次に、クラウド印刷システム10のジョブ管理部104は、当該ジョブ登録要求に含まれる文書データをデータ記憶部130に保存する(ステップS1007)。
【0344】
次に、クラウド印刷システム10のジョブ管理部104は、ジョブ情報121を作成して、ジョブ情報記憶部120に保存する(ステップS1008)。すなわち、ジョブ管理部104は、ジョブ情報121を識別するジョブIDを作成した上で、ジョブ登録要求に含まれるユーザIDと、上記のステップS1007で保存された文書データの保存先と、フック設定と、印刷設定値と、禁則設定とが設定されたジョブ情報121を作成する。
【0345】
そして、ジョブ管理部104は、作成したジョブ情報121をジョブ情報記憶部120に保存する。
【0346】
これにより、外部印刷システム50から取得した文書データが外部サービスシステム40により加工された上で、加工済み文書データを変換した印刷データが、クラウド印刷システム10のデータ記憶部130に蓄積される。
【0347】
以上のように、本実施形態に係る印刷サービス提供システム1では、ユーザが既に利用している外部印刷サービスと更に連携した印刷サービスを提供することができる。これにより、ユーザが既に外部印刷サービスを利用している場合であっても、引き続き当該外部印刷サービスを利用しつつ、外部サービスと連携した印刷サービスを利用することができる。
【0348】
<他の例>
ここで、MFP等の画像形成装置20ではスキャン機能も備えている場合が多い。そこで、画像形成装置20でスキャンジョブを実行する場合において、外部サービスと連携したスキャンサービスをユーザに提供する場合の例について、
図32を参照しながら説明する。
図32は、画像形成装置20でスキャンジョブを実行する場合における処理の一例を示す図である。
【0349】
図32(a)は、ユーザがスキャン設定画面を表示するまでの流れを示している。まず、ユーザは、画像形成装置20でスキャン機能の利用を開始するためのスキャン選択操作を行う(S1-1)。画像形成装置20は、ユーザによりスキャン選択操作が行われた場合、プリセット取得要求をクラウド印刷システム10に送信する(S1-2)。
【0350】
ここで、プリセットとは、外部サービスシステム40により指定されたフック設定、禁則設定、及び初期パラメータのことである。初期パラメータには、スキャンにおける読み取り解像度等の情報が含まれる。初期パラメータは、必ずしも外部サービスシステム40が指定する必要はなく、画像形成装置20に予め記憶されている初期パラメータが用いられても良い。
【0351】
クラウド印刷システム10は、プリセット取得要求に応じて、プリセット一覧を画像形成装置20に返信する(S1-3)。これにより、画像形成装置20上には、プリセットの一覧が表示される。
【0352】
ユーザは、画像形成装置20上に表示されたプリセットの一覧の中から所望のプリセットを選択する操作を行う(S1-4)。画像形成装置20は、ユーザによりプリセットが選択されると、当該プリセットに含まれる禁則設定が反映されたスキャン設定画面を表示する(S1-5)。当該スキャン設定画面では、禁則設定で設定されているスキャン設定の設定項目をユーザが変更することができないようになっている。
【0353】
これにより、スキャン設定を行う場合においても、外部サービスシステム40により指定された禁則設定に従って、ユーザが特定のスキャン設定項目を変更できないように制御することができる。このため、例えば、スキャンデータをメール送信する外部サービスがあり、当該外部サービスでは高解像度でのスキャンを禁止している場合には、ユーザが高解像度でスキャンすることを禁止することができる。
【0354】
図32(b)は、ユーザがプリセット選択及びスキャン設定を行った後に、スキャンを実行して、スキャンデータがフックされるまでの流れを示している。まず、ユーザは、画像形成装置20でスキャン実行操作を行う(S2-1)。画像形成装置20は、スキャン実行操作がなされると、クラウド印刷システム10にスキャンジョブを登録する(S2-2)。スキャンジョブには、ユーザにより選択されたプリセットに含まれるフック設定と、ユーザにより指定されたスキャン設定値とが含まれる。
【0355】
次に、画像形成装置20は、スキャンジョブをクラウド印刷システム10に登録すると、スキャンジョブを実行する(S2-3)。これにより、画像形成装置20で原稿が読み取られ、スキャンデータが作成される。
【0356】
次に、画像形成装置20は、ジョブ実行結果をクラウド印刷システム10に送信する(S2-4)。ジョブ実行結果には、スキャンデータが含まれる。
【0357】
クラウド印刷システム10は、ジョブ実行結果を受信すると、登録されたスキャンジョブに含まれるフック設定に従って、外部サービスシステム40にフックさせる(S2-5)。そして、スキャンデータが外部サービスシステム40で加工され、フック処理後のスキャンデータがクラウド印刷システム10に返信される(S2-6)。
【0358】
これにより、ユーザが画像形成装置20で原稿をスキャンすることで作成したスキャンデータに対して、外部サービスシステム40で所定の処理を行うことができるようになる。
【0359】
[第五の実施形態]
次に、第五の実施形態について説明する。外部印刷サービスによっては、仮想プリンタを登録する際に、印刷開始時(印刷アプリケーション302が表示している文書等の印刷対象データに対する印刷開始操作時)にユーザが変更可能な印刷設定を指定することができる場合がある。この場合、ユーザは、仮想プリンタの登録の際に指定された印刷設定のみを変更することができる。一方で、ユーザが画像形成装置20等を用いてクラウド印刷システム10に蓄積されているジョブ情報に基づく印刷を行う際にも印刷設定を変更することができる。
【0360】
そこで、第五の実施形態では、クラウド印刷システム10に蓄積されているジョブ情報に基づく印刷を行う際に、仮想プリンタの登録の際に指定された印刷設定を考慮して、印刷設定の変更を行う場合について説明する。
【0361】
なお、第五の実施形態では、主に、第四の実施形態との相違点について説明し、第四の実施形態と同様の構成要素については、適宜、その説明を省略又は簡略化するものとする。
【0362】
<処理の詳細>
以降では、本実施形態に係る印刷サービス提供システム1の処理の詳細について説明する。
【0363】
≪外部印刷システム接続情報161の登録≫
まず、ユーザが外部印刷システム50に対して仮想プリンタを登録して、外部印刷システム接続情報161をクラウド印刷システム10に登録する処理について、
図33を参照しながら説明する。
図33は、本実施形態に係る外部印刷システム接続情報161の登録処理の一例を示すシーケンス図である。
図33のステップS801~ステップS822の処理は、
図28と同様であるため、その説明を省略する。
【0364】
ステップS822に続いて、クラウド印刷システム10の外部印刷システム管理部107は、プリンタ登録要求を外部印刷システム50に送信する(ステップS1101)。本実施形態では、当該プリンタ登録要求には、外部印刷システム50のアクセストークンと、クラウド印刷システム接続URLと、設定可能パラメータ一覧とが含まれる。設定可能パラメータ一覧とは、印刷開始時にユーザが変更可能な印刷設定項目の一覧を示す情報である。設定可能パラメータ一覧は、外部印刷システム接続情報161に含まれる禁則設定1614から作成される。
【0365】
例えば、外部印刷サービスで設定可能な印刷設定項目が「部数」、「カラー/モノクロ」、及び「ステープル」であり、禁則設定1614に設定されている印刷設定項目及びその設定値が「staple=no」であったとする。この場合、外部印刷システム管理部107により、印刷設定項目「部数」及び「カラー/モノクロ」が指定された設定可能パラメータ一覧が作成される。このように、外部印刷システム管理部107は、例えば、外部印刷サービスで設定可能な印刷設定項目のうち、禁則設定1614に設定されていない印刷設定項目を指定した設定可能パラメータ一覧を作成する。
【0366】
これにより、クラウド印刷システム接続URLを新規ジョブ通知先とし、設定可能パラメータ一覧で指定された印刷設定項目を変更可能なプリンタ(仮想プリンタ)が外部印刷システム50に登録される。
【0367】
≪印刷データの蓄積(印刷開始から新規ジョブ通知まで)≫
次に、ユーザが印刷アプリケーション302から印刷を開始して、外部印刷システム50に外部印刷ジョブを作成した上で、当該外部印刷ジョブが作成されたことをクラウド印刷システム10に通知するまでの処理について、
図34を参照しながら説明する。
図34は、本実施形態に係る印刷データの蓄積処理(印刷開始から新規ジョブ通知まで)の一例を示すシーケンス図である。
図34のステップS902~ステップS904の処理は、
図30と同様であるため、その説明を省略する。
【0368】
まず、ユーザは、外部印刷システム50に対して印刷要求を送信する印刷アプリケーション302において、当該印刷アプリケーション302が表示している文書等の印刷対象データを印刷するための印刷開始操作を行う(ステップS1201)。このとき、ユーザは、設定可能パラメータ一覧で指定された各印刷設定項目の設定値(印刷設定値)を指定することができる。言い換えれば、ユーザは、設定可能パラメータ一覧で指定されていない印刷設定項目(すなわち、禁則設定1614に設定されている印刷設定項目)の設定値を指定(変更)することはできない。このように、ユーザは、印刷開始操作時に、設定可能パラメータ一覧で指定されている印刷設定項目の設定値を指定(変更)することができる。
【0369】
≪印刷データの蓄積(新規ジョブ通知後から印刷データの保存まで)≫
次に、クラウド印刷システム10が新規ジョブ通知を受信した後、印刷データを保存するまでの処理について、
図35を参照しながら説明する。
図35は、本実施形態に係る印刷データの蓄積処理(新規ジョブ通知後から印刷データの保存まで)の一例を示すシーケンス図である。
図35のステップS1001~ステップS1004、ステップS1007~ステップS1008、及びステップS306~ステップS318の処理は、
図31と同様であるため、その説明を省略する。
【0370】
ステップS1004に続いて、クラウド印刷システム10の外部印刷システム管理部107は、ジョブ登録要求をジョブ管理部104に送信する(ステップS1301)。当該ジョブ登録要求には、第四の実施形態と異なり、禁則設定が含まれない。
【0371】
そして、
図35に示すように、本実施形態に係る印刷データの蓄積処理(新規ジョブ通知後から印刷データの保存まで)では、第四の実施形態と異なり、ステップS1006の処理を実行しない。これは、ジョブ登録要求に含まれる印刷設定値は、設定可能パラメータ一覧で指定されている印刷設定項目に対する設定値であるため、禁則設定に反する印刷設定値は指定されないためである。
【0372】
≪印刷実行≫
次に、クラウド印刷システム10に蓄積されている印刷データを画像形成装置20で印刷する処理について、
図36を参照しながら説明する。
図36は、本実施形態に係る印刷実行処理の一例を示すシーケンス図である。
図36のステップS401~ステップS414及びステップS416~ステップS424の処理は、
図15と同様であるため、その説明を省略する。
【0373】
ステップS414に続いて、画像形成装置20のUI制御部201は、印刷設定画面の表示操作を受け付けて、設定可能パラメータ一覧の取得要求をジョブ取得部202に送信する(ステップS1401)。当該取得要求には、例えば、ユーザにより選択された印刷ジョブに対応するジョブ情報121のジョブID等が含まれる。
【0374】
画像形成装置20のジョブ取得部202は、設定可能パラメータ一覧の取得要求を受信すると、設定可能パラメータ一覧を作成する(ステップS1402)。そして、ジョブ取得部202は、作成した設定可能パラメータ一覧をUI制御部201に返信する。
【0375】
このとき、ジョブ取得部202は、ユーザにより選択された印刷ジョブに対応するジョブ情報121の禁則設定1217から設定可能パラメータ一覧を作成する。
【0376】
例えば、外部印刷サービスで設定可能な印刷設定項目が「部数」、「カラー/モノクロ」、及び「ステープル」であるものとする。また、当該ジョブ情報121の禁則設定1217には、「copies:{hidden:false}」と、「color:{value:color,hidden:true}」と、「staple:{value:no,hidden:true}」とが設定されているものとする。これは、印刷設定項目「カラー/モノクロ」及び「ステープル」は設定値の変更が禁止されていることを示している。この場合、ジョブ取得部202は、印刷設定項目「部数」が指定された設定可能パラメータ一覧を作成する。
【0377】
このように、ジョブ取得部202は、例えば、外部印刷サービスで設定可能な印刷設定項目のうち、禁則設定1217に設定されていない印刷設定項目を指定した設定可能パラメータ一覧を作成する。なお、例えば、設定値の変更により外部印刷システム50で加工済み文書データを印刷データに再変換する必要がある印刷設定項目については、設定可能パラメータ一覧に指定されないようにしても良い。設定値の変更により加工済み文書データを印刷データに再変換する必要がある印刷設定項目としては、例えば、「カラー/モノクロ」等が挙げられる。ただし、例えば、クラウド印刷システム10でも当該変換を行う機能部(例えば、変換部106)を有している場合には、設定値の変更によって加工済み文書データの再変換が必要となる印刷設定項目であっても設定可能パラメータ一覧に指定されても良い。
【0378】
画像形成装置20のUI制御部201は、ジョブ取得部202から返信された設定可能パラメータ一覧に基づいて、印刷設定画面を表示する(ステップS1403)。このとき、UI制御部201は、設定可能パラメータ一覧に指定されている印刷設定項目の設定値が変更可能な印刷設定画面を表示する。
【0379】
例えば、印刷設定項目「部数」が指定された設定可能パラメータ一覧がジョブ取得部202から返信された場合、UI制御部201は、
図37(a)に示す印刷設定画面G330を表示する。
図37(a)に示す印刷設定画面G330では、ユーザが設定値を変更することが可能な印刷設定項目G331として、印刷設定項目「部数」が表示されている。
【0380】
同様に、例えば、印刷設定項目「部数」及び「ステープル」が指定された設定可能パラメータ一覧がジョブ取得部202から返信された場合、UI制御部201は、
図37(b)に示す印刷設定画面G340を表示する。
図37(b)に示す印刷設定画面G340では、ユーザが設定値を変更することが可能な印刷設定項目G341として、印刷設定項目「部数」及び「ステープル」が表示されている。
【0381】
同様に、例えば、印刷設定項目「部数」、「カラー/モノクロ」、及び「ステープル」が指定された設定可能パラメータ一覧がジョブ取得部202から返信された場合、UI制御部201は、
図37(c)に示す印刷設定画面G350を表示する。
図37(c)に示す印刷設定画面G350では、ユーザが設定値を変更することが可能な印刷設定項目G351として、印刷設定項目「部数」、「カラー/モノクロ」、及び「ステープル」が表示されている。
【0382】
ここで、ユーザが印刷設定の変更操作を行った場合(ステップS1404)、画像形成装置20のUI制御部201は、当該変更操作を受け付けて、印刷設定の変更要求をジョブ取得部202に送信する(ステップS1405)。当該変更要求には、例えば、ユーザにより変更操作が行われた印刷設定項目と、変更後の設定値とが含まれる。
【0383】
画像形成装置20のジョブ取得部202は、印刷設定の変更要求を受信すると、ジョブ情報の更新要求をクラウド印刷システム10に送信する(ステップS1406)。当該更新要求には、例えば、ユーザにより選択されたジョブ情報121のジョブIDと、ユーザにより変更操作が行われた印刷設定項目と、変更後の設定値とが含まれる。
【0384】
クラウド印刷システム10のジョブ管理部104は、ジョブ情報の更新要求を受信すると、当該更新要求に対応するジョブ情報121の印刷設定値1216を、ユーザにより変更された設定値に更新する(ステップS1407)。そして、ジョブ管理部104は、更新後のジョブ情報121を画像形成装置20に返信する。
【0385】
このように、画像形成装置20のUI制御部201は、外部印刷サービスが設定可能な印刷設定項目のうち、ユーザにより選択された印刷ジョブに対応するジョブ情報121の禁則設定1217に設定されている印刷設定項目が表示されない印刷設定画面を表示する。これにより、外部印刷サービスで設定することができない印刷設定項目と、禁則設定1217に設定されている印刷設定項目との値がユーザにより変更されてしまう事態を防止することができる。
【0386】
なお、
図37に示す印刷設定画面G330~G350では、ユーザが変更することができない印刷設定項目が非表示となっている例を示したが、例えば、ユーザが変更することができない印刷設定項目がグレーアウトされていても良い。すなわち、ユーザが変更することができない印刷設定項目は、ユーザによる変更が禁止される表示態様となっていれば良い。
【0387】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形や変更、各実施形態の組み合わせ等が可能である。
【符号の説明】
【0388】
1 印刷サービス提供システム
10 クラウド印刷システム
20 画像形成装置
30 端末装置
40 外部サービスシステム
101 アカウント管理部
102 ドライバ提供部
103 IPP管理部
104 ジョブ管理部
105 フック管理部
110 IPP接続情報記憶部
120 ジョブ情報記憶部
130 データ記憶部
201 UI制御部
202 ジョブ取得部
203 印刷制御部
301 Webブラウザ
302 印刷アプリケーション
303 印刷システム
304 プリンタドライバ
305 IPPポート
311 UI制御部
312 変換部
401 Web処理部
402 サービス処理部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0389】