(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/54 20060101AFI20220614BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20220614BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
H04N1/54
G06T1/00 510
G06F3/12 308
G06F3/12 344
G06F3/12 353
(21)【出願番号】P 2018109432
(22)【出願日】2018-06-07
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】津和野 文子
(72)【発明者】
【氏名】藤原 英晃
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 芳和
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-251695(JP,A)
【文献】特開2015-095691(JP,A)
【文献】特開2006-180376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/54
G06T 1/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる操作を受け付ける操作部と、
前記操作部により受け付けられ対象画像から任意の範囲を指定する範囲指定操作に基づいて、特定のプロセスカラーを特定の特色に置換する特色置換処理の対象となる処理範囲を設定する処理範囲設定部と、
前記処理範囲内において前記特定のプロセスカラーを含み且つ濃度値が所定の条件を満たす部分を前記特色置換処理の対象となる対象オブジェクトに設定するオブジェクト設定部と、
前記対象オブジェクト内の前記特定のプロセスカラーを前記特定の特色に置換した画像を示す特色画像データを生成するデータ生成部と、
を備え
、
前記オブジェクト設定部は、前記処理範囲内において、前記所定の条件に基づいて前記特定のプロセスカラーを含む部分の輪郭を抽出し、前記輪郭内の部分を前記対象オブジェクトに設定する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記所定の条件は、隣接する複数の画素の前記濃度値を比較して算出した前記濃度値の差が閾値以上である
ことを特徴とする請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記濃度値は、前記対象画像における濃度値、又は前記特定のプロセスカラーからなる特定色画像における濃度値である
ことを特徴とする請求項
2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記操作部は、前記対象画像における前記濃度値又は前記特定色画像における前記濃度値のどちらを使用するかを指定する条件指定操作を受け付け、
前記オブジェクト設定部は、前記条件指定操作に基づいて、前記対象画像における前記濃度値と前記閾値との比較結果に基づいて前記輪郭を抽出する第1の輪郭抽出処理、又は前記特定色画像における前記濃度値と前記閾値との比較結果に基づいて前記輪郭を抽出する第2の輪郭抽出処理を行う
ことを特徴とする請求項
3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記データ生成部は、前記輪郭の座標を示す情報に基づいて前記輪郭内の領域を白抜きにしたマスク画像を生成し、前記マスク画像を示すデータを用いて前記特色画像データを生成する
ことを特徴とする請求項
1~
4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記オブジェクト設定部は、前記処理範囲内において、前記対象画像又は前記特定のプロセスカラーからなる特定色画像を構成する画素の濃度値が閾値以上である部分を前記対象オブジェクトに設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記操作部は、前記閾値を任意に指定する閾値指定操作を受け付ける
ことを特徴とする請求項
2又は
6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記対象オブジェクトを含むプレビュー画面を表示装置に表示させる表示制御部、
を更に備えることを特徴とする請求項1~
7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
ユーザインターフェースを介して取得された情報に基づいて、対象画像に含まれる特定のプロセスカラーを特定の特色に置換した画像を示す特色画像データを生成する情報処理装置であって、
前記ユーザインターフェースは、
所定の入力デバイスを用いて、前記対象画像から任意の範囲を指定する範囲指定操作、前記特定のプロセスカラーを指定するプロセスカラー指定操作、及び前記特定の特色を指定する特色指定操作を受け付け、
前記範囲指定操作に基づいて設定され前記特定のプロセスカラーを前記特定の特色に置換する特色置換処理の対象となる処理範囲を表示装置に表示し、
前記処理範囲内において前記特定のプロセスカラーを含み且つ濃度値が所定の条件を満たす対象オブジェクトを前記表示装置に表示し、
前記対象オブジェクト内の前記特定のプロセスカラーを前記特定の特色に変換した画像を前記表示装置に表示する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
前記ユーザインターフェースは、
前記入力デバイスを用いて、更に、前記濃度値に関する閾値を指定する濃度閾値指定操作を受け付ける
ことを特徴とする請求項
9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記ユーザインターフェースは、
前記入力デバイスを用いて、更に、前記対象画像における前記濃度値又は前記特定のプロセスカラーからなる特定色画像における前記濃度値のどちらを使用するかを指定する条件指定操作を受け付ける
ことを特徴とする請求項
9又は
10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
ユーザによる操作を受け付ける工程と、
対象画像から任意の範囲を指定する範囲指定操作に基づいて、特定のプロセスカラーを特定の特色に置換する特色置換処理の対象となる処理範囲を設定する工程と、
前記処理範囲内において前記特定のプロセスカラーを含み且つ濃度値が所定の条件を満たす部分を前記特色置換処理の対象となる対象オブジェクトに設定する
オブジェクト設定工程と、
前記対象オブジェクト内の前記特定のプロセスカラーを前記特定の特色に置換した画像を示す特色画像データを生成する工程と、
を含
み、
前記オブジェクト設定工程は、前記処理範囲内において、前記所定の条件に基づいて前記特定のプロセスカラーを含む部分の輪郭を抽出し、前記輪郭内の部分を前記対象オブジェクトに設定する
情報処理方法。
【請求項13】
コンピュータに、
ユーザによる操作を受け付ける処理と、
対象画像から任意の範囲を指定する範囲指定操作に基づいて、特定のプロセスカラーを特定の特色に置換する特色置換処理の対象となる処理範囲を設定する処理と、
前記処理範囲内において前記特定のプロセスカラーを含み且つ濃度値が所定の条件を満たす部分を前記特色置換処理の対象となる対象オブジェクトに設定する
オブジェクト設定処理と、
前記対象オブジェクト内の前記特定のプロセスカラーを前記特定の特色に置換した画像を示す特色画像データを生成する処理と、
を実行させ
、
前記オブジェクト設定処理は、前記処理範囲内において、前記所定の条件に基づいて前記特定のプロセスカラーを含む部分の輪郭を抽出し、前記輪郭内の部分を前記対象オブジェクトに設定する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、透明色、金属色、蛍光色等の特色トナー(インク)を用いて画像を印刷する特色印刷が利用されている。特色印刷を利用することにより、CMYK等のプロセスカラーのみでは不可能な特殊な表現が可能となり、高品質な印刷物を生成することが可能となる。
【0003】
例えば、印刷ジョブを実行する際に、プロセスカラー(CMYK)のうちの1色又は2色を特色に置換する技術が開示されている(特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術においては、特定のプロセスカラーを特定の特色に置換する特色置換処理の効果が対象画像全体に及ぶため、対象画像内の任意の範囲のオブジェクトに対して特色置換処理を行うことができなかった。また、従来技術における特色置換処理は、対象画像の濃度を考慮せずに行われる。例えば、あるオブジェクトに置換対象となるプロセスカラーが僅かにでも含まれていれば、当該オブジェクトに対して特色置換処理が施され、置換された特色の濃度が置換元のプロセスカラーの濃度に対応して薄くなる。このような特色置換処理が行われると、比較的高価な特色トナーを使用したにもかかわらず、特色の効果がほとんど得られない結果となる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、特色印刷の利便性を向上させることを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る情報処理装置は、ユーザによる操作を受け付ける操作部と、前記操作部により受け付けられ対象画像から任意の範囲を指定する範囲指定操作に基づいて、特定のプロセスカラーを特定の特色に置換する特色置換処理の対象となる処理範囲を設定する処理範囲設定部と、前記処理範囲内において前記特定のプロセスカラーを含み且つ濃度値が所定の条件を満たす部分を前記特色置換処理の対象となる対象オブジェクトに設定するオブジェクト設定部と、前記対象オブジェクト内の前記特定のプロセスカラーを前記特定の特色に置換した画像を示す特色画像データを生成するデータ生成部と、を備え、前記オブジェクト設定部は、前記処理範囲内において、前記所定の条件に基づいて前記特定のプロセスカラーを含む部分の輪郭を抽出し、前記輪郭内の部分を前記対象オブジェクトに設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、特色印刷の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る画像処理システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る情報処理装置の機能構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る設定画面の例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る処理範囲の例を示す図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態の第1の例に係る対象オブジェクトの例を示す図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態の第1の例に係る特色置換処理の結果例を示す図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係る特色置換処理の具体的方法例を概念的に示す図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態の第2の例に係る対象オブジェクトの例を示す図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態の第2の例に係る特色置換処理の結果例を示す図である。
【
図11】
図11は、第1の実施形態の第1の例及び第2の例に係る輪郭抽出処理の例を示す図である。
【
図12】
図12は、第1の実施形態に係る特色置換処理の処理フロー例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、第1の実施形態に係る情報処理装置における全体的な処理フロー例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムの実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態によって本発明が限定されるものではなく、以下の実施形態における構成要素には当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの、及びいわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下の実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換、変更、及び組み合わせを行うことができる。
【0010】
<システム構成>
図1は、第1の実施形態に係る画像処理システム1の構成例を示す図である。本実施形態に係る画像処理システム1は、情報処理装置11、印刷装置12、及びネットワーク13を含む。
【0011】
情報処理装置11は、印刷装置12を制御するための各種情報処理を行う装置であり、例えばパーソナルコンピュータ、サーバシステム等であり得る。印刷装置12は、情報処理装置11から送信される画像データ、設定情報、コマンド等に基づいて所定の記録媒体に画像を印刷する装置であり、例えばプリンタ、MFP(Multifunction Peripheral)等であり得る。ネットワーク13は、情報処理装置11と印刷装置12との間でデータ通信を可能にする適宜なコンピュータネットワークであり、例えばIEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)、Ethernet(登録商標)、USB(Universal Serial Bus)、Wi-Fi(登録商標)等を利用して構築されるLAN(Local Area Network)や、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等を利用して構築されるインターネットを利用して構成される。
【0012】
本実施形態に係る印刷装置12は、CMYK等のプロセスカラーを用いた通常色印刷、及び透明色、金属色、蛍光色等の特色を用いた特色印刷を実行可能なものである。印刷装置12の具体的な構成は特に限定されるべきものではないが、例えば電子写真プロセス、インクジェット機構等を利用した構成であり得る。情報処理装置11は、特色印刷を実行する際に、特定のプロセスカラー(以下、対象プロセスカラーと称する)を特定の特色(以下、対象特色と称する)に置換した特色画像データを生成するための各種処理を行う。
【0013】
なお、画像処理システム1のシステム構成は上記に限られるものではない。例えば、ネットワーク13に複数の情報処理装置11又は印刷装置12が接続されてもよいし、情報処理装置11と印刷装置12とが一体的に構成されてもよい。
【0014】
<ハードウェア構成>
図2は、第1の実施形態に係る情報処理装置11のハードウェア構成例を示す図である。ここで例示する情報処理装置11は、汎用のコンピュータと同様の構成を有し、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23、VRAM(Video Random Access Memory)24、HDD(Hard Disk Drive)25、ディスプレイ26、キーボード27、及び入出力インタフェース(以下、I/Oと略記する)28を含む。
【0015】
CPU21は、ROM22等に記憶されたプログラムをRAM23上に読み出して実行することにより各種処理を実現する。VRAM24は、ディスプレイ26に画像を表示するためのデータを一時的に記憶するメモリである。HDD25は、印刷対象となるPDF(Portable Document Format)形式等の電子データ、特色置換前の画像データ、特色置換後の画像データ(特色画像データ)等の各種データを記憶する不揮発性の記憶装置である。I/O28は、ディスプレイ26、キーボード27等のユーザインターフェースの一部を構成するデバイスや、ネットワーク13と接続するための通信デバイスと接続するための接続デバイスである。
【0016】
CPU21を制御するプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。また、プログラムを、インターネット等のネットワーク13に接続された他のコンピュータ上に格納し、ネットワーク13経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、プログラムをネットワーク13経由で提供又は配布するように構成してもよい。なお、情報処理装置11のハードウェア構成は上記に限られるものではない。
【0017】
なお、情報処理装置11のハードウェア構成は上記に限られるものではない。例えば、データを記憶する手段は、ROM22、RAM23、VRAM24、及びHDD25に限られるものではなく、公知又は新規な手段を適宜利用して構築されればよい。また、ユーザインターフェースの一部を構成するデバイスは、ディスプレイ26及びキーボード27に限られるものではなく、マウス、タッチパネル、スタイラス等の公知又は新規な手段を適宜利用して構成されればよい。また、上記構成に加え、プログラムによる制御を必要としない各種ロジック回路が利用されてもよい。
【0018】
<機能構成>
図3は、第1の実施形態に係る情報処理装置11の機能構成例を示す図である。情報処理装置11は、操作部101、データ入力部102、データ記憶部103、操作制御部104、表示制御部105、及び特色置換処理部106を含む。
【0019】
操作部101は、ユーザによる操作を受け付ける。操作部101は、キーボード27、マウス、タッチパネル等の入力デバイス、ディスプレイ26等の表示装置等を利用して構成される。
【0020】
本実施形態に係る操作部101は、ファイル指定部111、プロセスカラー指定部112、特色指定部113、輪郭抽出条件指定部114、濃度閾値指定部115、及び範囲指定部116を含む。
【0021】
ファイル指定部111は、特色印刷の対象となるPDFファイル等の電子データを指定するためファイル指定操作を受け付ける。
【0022】
プロセスカラー指定部112は、特色置換処理の対象となる対象プロセスカラー(例えばCMYKの中から選択される1以上のプロセスカラー)を指定するためのプロセスカラー指定操作を受け付ける。
【0023】
特色指定部113は、対象プロセスカラーの置換先の特色である対象特色(例えば透明色、金属色、蛍光色等から選択される1以上の特色)を指定するための特色指定操作を受け付ける。
【0024】
輪郭抽出条件指定部114は、特色置換処理の対象となる対象オブジェクトの輪郭を抽出する輪郭抽出処理を実行する際の条件である輪郭抽出条件を指定するための輪郭抽出条件指定操作を受け付ける。対象オブジェクトは、対象画像に含まれる1以上のオブジェクトの中から特色置換処理の対象として設定されたオブジェクトである。対象オブジェクトの具体的な設定方法(輪郭抽出処理等)については後述する。
【0025】
濃度閾値指定部115は、対象オブジェクトを設定する際(本実施形態においては輪郭抽出処理を実行する際)に用いられる濃度閾値を指定するための濃度閾値指定操作を受け付ける。濃度閾値を用いた対象オブジェクトの具体的な設定方法等については後述する。
【0026】
範囲指定部116は、対象画像から任意の範囲を指定するための範囲指定操作を受け付ける。
【0027】
データ入力部102は、操作部101により受け付けられた操作(ファイル指定部111により指定された電子データ等)に基づいて、所定の記憶装置(HDD25等)から電子データを読み出し、読み出した電子データをデータ記憶部103に記憶させる。また、データ入力部102は、読み出した電子データをディスプレイ26等の表示装置で表示可能なデータ形式に変換し、表示制御部105に送信する。データ入力部102は、I/O28等を利用して構成される。
【0028】
データ記憶部103は、データ入力部102により読み出された電子データを記憶し、後述する特色置換処理部106からの要求に応じて電子データを出力する。また、データ記憶部103は、特色置換処理部106により生成されたデータ(特色画像データ等)を記憶する。データ記憶部103は、VRAM24等を利用して構成される。
【0029】
操作制御部104は、操作部101により受け付けられた操作をイベント情報に変換し、表示制御部105及び特色置換処理部106に送信する。イベント情報とは、ユーザが行った操作の内容を特定可能な情報であり、例えば対象プロセスカラー、対象特色、輪郭抽出条件、濃度閾値、対象画像内の範囲、実行命令等を示す情報である。操作制御部104は、CPU21等を利用して構成される。
【0030】
表示制御部105は、データ入力部102から送信された電子データ、操作制御部104から送信されたイベント情報、特色置換処理部106から送信された特色画像データ等に基づいてディスプレイ26等の表示装置を制御し、対象画像、設定画面、プレビュー画面等を表示するための処理を行う。表示制御部105は、CPU21、I/O28等を利用して構成される。
【0031】
特色置換処理部106は、対象画像に含まれる対象プロセスカラーを対象特色に置換する特色置換処理を行う。特色置換処理部106、データ記憶部103に記憶された電子データ、操作制御部104から送信されたイベント情報等に基づいて特色置換処理を行う。特色置換処理部106は、CPU21等を利用して構成される。
【0032】
本実施形態に係る特色置換処理部106は、処理範囲設定部121、オブジェクト設定部122、及びデータ生成部123を含む。
【0033】
処理範囲設定部121は、操作制御部104から受信したイベント情報(範囲指定部116により指定された範囲を示すイベント情報等)に基づいて、対象画像全体から特色置換処理の対象となる処理範囲を設定する。
【0034】
オブジェクト設定部122は、処理範囲設定部121により設定された処理範囲内において特色置換処理の対象となる対象オブジェクトを設定する。オブジェクト設定部122は、処理範囲設定部121による設定結果、操作制御部104から受信したイベント情報(対象プロセスカラー、輪郭抽出条件、濃度閾値等を示す情報)等に基づいて、処理範囲内において対象プロセスカラーを含み且つ濃度値が所定の条件を満たす部分を対象オブジェクトに設定する。本実施形態に係るオブジェクト設定部122は、対象オブジェクトの輪郭を抽出する輪郭抽出処理を利用して対象オブジェクトを設定する。対象オブジェクトの具体的な設定方法について後述する。
【0035】
データ生成部123は、オブジェクト設定部122による設定結果、操作制御部104から受信したイベント情報(対象特色等を示す情報)等に基づいて、対象オブジェクト内の対象プロセスカラーを対象特色に置換した画像を示す特色画像データを生成する。特色画像データは、データ記憶部103に記憶され、特色印刷の実行命令等に応じて印刷装置12に送信される。
【0036】
上記構成を有する情報処理装置11によれば、特色置換処理の対象となる処理範囲をユーザが任意に設定することが可能となる。また、複数のオブジェクトのうち、処理範囲内の各画素の濃度値を考慮して行われる輪郭抽出処理により輪郭が抽出されたオブジェクトを対象オブジェクトとして設定し、対象オブジェクトに対して特色置換処理を実行することが可能となる。また、輪郭抽出条件や濃度閾値をユーザが任意に設定することが可能となる。
【0037】
<ユーザインターフェース>
本実施形態に係る情報処理装置11は、ユーザによる操作を受け付けると共に、ユーザに対して各種情報を提供(出力)するユーザインターフェースを有している。ユーザインターフェースは、入力デバイス、表示装置、アプリケーションソフトウェア等の協働により構成される。入力デバイスは、例えばキーボード27、マウス、タッチパネル、スタイラス、マイク等であり得る。表示装置は、例えばディスプレイ26、プロジェクタ等であり得る。アプリケーションソフトウェアは、例えばAdobe Acrobat(登録商標)等の画像加工・編集用のソフトウェアであり得る。
【0038】
ユーザインターフェースは上記操作部101の機能を有し、情報処理装置11はユーザインターフェースを介して取得された情報に基づいて特色画像データを生成するための各種処理を実行する。例えば、ユーザインターフェースは、Adobe Acrobat等のアプリケーションソフトウェアを立ち上げた状態において、ユーザによるファイル指定操作、プロセスカラー指定操作、特色指定操作、輪郭抽出条件指定操作、濃度閾値指定操作、範囲指定操作等を受け付け、範囲指定操作に基づいて設定された処理範囲、プロセスカラー指定操作、特色指定操作、輪郭抽出条件指定操作、及び濃度閾値指定操作に基づいて設定された対象オブジェクト、対象オブジェクト内の対象プロセスカラーを対象特色に置換した画像等を表示装置に表示する。
【0039】
<対象プロセスカラー、対象特色、輪郭抽出条件、及び濃度閾値の指定>
図4は、第1の実施形態に係る設定画面41の例を示す図である。ここで例示する設定画面41は、プロセスカラー指定部112、特色指定部113、輪郭抽出条件指定部114、及び濃度閾値指定部115の機能を実現するためものである。設定画面41には、対象プロセスカラー版選択部51、対象特色版選択部52、輪郭抽出条件選択部53、及び濃度閾値入力部54が含まれている。
【0040】
対象プロセスカラー版選択部51は、複数のプロセスカラーから任意の色を選択できるように構成されている(本例ではCMYKの4色からY色が選択されている)。対象特色版選択部52は、印刷装置12に搭載されている1以上の特色トナー(インク)の中から任意の色を選択できるように構成されている(本例では透明色が選択されている)。輪郭抽出条件選択部53は、輪郭抽出処理を実行する際の条件を選択するための部分であり、本例では、対象画像を基準画像として対象オブジェクトの輪郭を抽出することを示す「対象画像で輪郭抽出」、又は対象プロセスカラーからなる対象プロセスカラー画像(特定色画像)を基準画像として対象オブジェクトの輪郭を抽出することを示す「対象プロセスカラー画像で輪郭抽出」のいずれかを選択できるように構成されている。濃度閾値入力部54は、対象オブジェクトの輪郭を抽出する際の基準となる濃度閾値として任意の値を入力できるように構成されている。
【0041】
<処理範囲の設定>
図5は、第1の実施形態に係る処理範囲66の例を示す図である。
図5において、対象画像61内に処理範囲66が設定されている状態が例示されている。処理範囲66は、例えばディスプレイ26に表示された対象画像61内の任意の範囲をユーザがマウス、スタイラス等のポインティングデバイスを用いて指定する範囲指定操作に基づいて設定される。
【0042】
本例の対象画像61には、雷を描写した第1のオブジェクト62、太陽を描写した第2のオブジェクト63、雲を描写した第3のオブジェクト64、及び空を描写した第4のオブジェクト65が含まれている。第1~第4のオブジェクト62~65はそれぞれ異なる色相を有しており、第1のオブジェクト62、第2のオブジェクト63、及び第4のオブジェクト65は対象プロセスカラーのY色を含み、第3のオブジェクト64はY色を含まないものとする。本例の処理範囲66は、第1のオブジェクト62の全体、第2のオブジェクト63の全体、第3のオブジェクト64の一部、及び第4のオブジェクト65の一部を含んでいる。
【0043】
<対象画像の濃度値を用いた輪郭抽出処理及び特色置換処理>
図6は、第1の実施形態の第1の例に係る対象オブジェクト71,72の例を示す図である。第1の例は、
図4に示す設定画面41において輪郭抽出条件として「対象画像で輪郭抽出」を選択した場合の例である。すなわち、本例においては、全プロセスカラー、すなわち置換の対象となる対象プロセスカラー(Y色)と置換の対象とならない非対象プロセスカラー(C色、M色、及びK色)とを含む対象画像61の濃度値に基づいて、対象オブジェクト71,72の輪郭74を抽出する。具体的には、対象画像61において、対象オブジェクト71,72の輪郭74であるか否かを判定する対象となる判定対象画素と、判定対象画素に隣接する画素である隣接画素との濃度値を比較し、両濃度値の差が濃度閾値以上である場合に、判定対象画素を対象オブジェクト71,72の輪郭74を構成する画素と判定する。
【0044】
本例においては、処理範囲66内に2つの対象オブジェクト71,72が存在している。第1の対象オブジェクト71は、第1のオブジェクト62の全体(雷の画像全体)に対応し、第2の対象オブジェクト72は、第2のオブジェクト63の一部(太陽の画像のうち雲に隠れた部分を除く部分)に対応している。すなわち、対象画像61において、第1のオブジェクト62を構成する画素の濃度値と第1のオブジェクト62の背景部分の画素の濃度値との差が濃度閾値(50)以上となっている。同様に、第2のオブジェクト63を構成する画素の濃度値と第2のオブジェクト63の背景部分の画素の濃度値との差が濃度閾値以上となっている。第4のオブジェクト65に対応する対象オブジェクトが存在しないのは、第4のオブジェクト65を構成する画素の濃度値と第4のオブジェクト65の背景部分の画素の濃度値との差が濃度閾値より小さいためである。このように、本例においては、対象プロセスカラーを含んでいても対象画像61における背景部分との間の濃度値の差が濃度閾値より低いオブジェクトは、対象オブジェクトとして扱われない。これにより、対象画像61における濃度値がある程度高い対象オブジェクトについて特色置換処理を施すことができる。
【0045】
図7は、第1の実施形態の第1の例に係る特色置換処理の結果例を示す図である。
図7において、対象画像61が表示されている状態A、対象画像61において対象オブジェクト71,72が設定された状態B、及び対象オブジェクト71,72の対象プロセスカラーが対象特色に置換された状態Cが例示されている。状態Cにおける第1の対象オブジェクト71及び第2の対象オブジェクト72の色相は、特色置換処理の効果により、状態Aにおける第1のオブジェクト62及び第2のオブジェクト63の色相から変化されている。
【0046】
<特色置換処理の具体例>
図8は、第1の実施形態に係る特色置換処理の具体的方法例を概念的に示す図である。輪郭抽出処理の結果として得られる情報は、輪郭74を構成する各画素の座標を示す座標一覧であるため、当該情報をそのまま用いても、輪郭74が描写された輪郭画像81を生成することができるにすぎない。そこで、本例においては、輪郭74の座標一覧(輪郭画像81)に基づいて、輪郭74内の領域を白抜きにした(輪郭内の領域を白色とし、輪郭外の領域を黒色とした)マスク画像82を生成する。マスク画像82の生成方法は特に限定されるべきものではないが、例えばOpenCV(登録商標)のライブラリ等を使用することができる。
【0047】
データ生成部123は、先ず、対象画像61から対象プロセスカラーを削除した非対象プロセスカラー版83を生成する。具体的には、対象画像61の全画素の画素値(階調値等)を、対象プロセスカラーを含まない色の値に変換する処理等を行う。その後、データ生成部123は、マスク画像82を用いて、対象オブジェクト71,72を対象特色で描画した特色オブジェクト85,86を含む対象特色版84を生成する。具体的には、対象画像61の全画素のうちマスク画像82の輪郭74内に対応する画素の画素値を対象特色に対応する値に変換する処理等を行う。その後、データ生成部123は、非対象プロセスカラー版83と対象特色版84とを対象特色版84が前面に配置されるように重ね合わせた画像を示す特色画像データを生成する。
【0048】
<対象プロセスカラー画像の濃度値を用いた輪郭抽出処理及び特色置換処理>
図9は、第1の実施形態の第2の例に係る対象オブジェクト91の例を示す図である。第2の例は、
図4に示す設定画面41において輪郭抽出条件として「対象プロセスカラー画像で輪郭抽出」を選択した場合の例である。すなわち、本例においては、対象プロセスカラー(Y色)のみからなる対象プロセスカラー画像69の濃度値に基づいて、対象オブジェクト91の輪郭74が抽出される。具体的には、上記第1の例と同様に、対象プロセスカラー画像69において判定対象画素と隣接画素との濃度値を比較し、両濃度値の差が濃度閾値以上である場合に、判定対象画素を対象オブジェクト91の輪郭74を構成する画素と判定する。ここで例示する対象プロセスカラー画像69においては、対象プロセスカラーを含む第1、第2、及び第4のオブジェクト62,63,65が対象プロセスカラーの濃淡により表現され、対象プロセスカラーを含まない第3のオブジェクト64が表示されていない(白抜きになっている)。
【0049】
本例においては、処理範囲66内に1つの対象オブジェクト91が存在している。対象オブジェクト91は、第1のオブジェクト62の全体(雷の画像全体)に対応している。すなわち、対象プロセスカラー画像69において、第1のオブジェクト62を構成する画素の濃度値と第1のオブジェクト62の背景部分の画素の濃度値との差が濃度閾値(50)以上となっている。第2のオブジェクト63及び第4のオブジェクト65に対応する対象オブジェクトが存在しないのは、対象プロセスカラー画像69においては、第2のオブジェクト63を構成する画素の濃度値と第2のオブジェクト63の背景部分の画素の濃度値との差が濃度閾値より小さいためである。同様に、第4のオブジェクト65を構成する画素の濃度値と第4のオブジェクト65の背景部分の画素の濃度値との差が濃度閾値より小さくなっている。このように、本例においては、対象プロセスカラーを含んでいても対象プロセスカラー画像69における背景部分との間の濃度値の差が濃度閾値より低いオブジェクトは、対象オブジェクトとして扱われず、対象特色への変換が行われない。これにより、対象プロセスカラー画像69における濃度値がある程度高い対象オブジェクトについて特色置換処理を施すことができる。
【0050】
図10は、第1の実施形態の第2の例に係る特色置換処理の結果例を示す図である。
図10において、対象画像61が表示されている状態D、対象プロセスカラー画像69において対象オブジェクト91が設定された状態E、及び対象オブジェクト91の対象プロセスカラー(Y色)が対象特色(透明色)に置換された状態Fが例示されている。状態Fにおける第1の対象オブジェクト71の色相は、特色置換処理の効果により、状態Dにおける第1のオブジェクト62の色相から変化されている。
【0051】
第2の例における特色置換処理も第1の例と同様に
図8に示すようなマスク画像82を用いた方法等により実行することができる。
【0052】
<輪郭抽出処理>
図11は、第1の実施形態の第1の例及び第2の例に係る輪郭抽出処理の例を示す図である。
図11には、対象画像61又は対象プロセスカラー画像69における判定対象画素95及び隣接画素96が例示されている。判定対象画素95は輪郭74を構成するか否かを判定する対象となる画素であり、隣接画素96は判定対象画素95に隣接する画素である。本実施形態に係る輪郭抽出処理においては、判定対象画素95の濃度値とその周囲に存在する各隣接画素96の濃度値とを比較し、濃度値の差が濃度閾値以上である隣接画素96が存在する場合、当該判定対象画素95は対象オブジェクト71,72,91の輪郭74を構成する輪郭画素であると判定する。このような方法により、第1の例(対象画像61の濃度値を用いた輪郭抽出処理)及び第2の例(対象プロセスカラー画像69の濃度値を用いた輪郭抽出処理)の両方において同様に輪郭74を抽出することができる。
【0053】
<輪郭抽出条件に応じた特色置換処理の流れ>
図12は、実施形態に係る特色置換処理の処理フロー例を示すフローチャートである。オブジェクト設定部122は、操作制御部104から受信したイベント情報に基づいて、対象画像61又は対象プロセスカラー画像69のどちらを基準画像として用いるか(ユーザが輪郭抽出条件として「対象画像で輪郭抽出」又は「対象プロセスカラー画像で輪郭抽出」のどちらを指定したか)を判定する(S101)。オブジェクト設定部122は、対象画像61の濃度値を用いる場合(S101:対象画像)、基準画像に対象画像61のキャプチャを設定し(S102)、対象プロセスカラー画像69の濃度値を用いる場合(S101:対象プロセスカラー画像)、基準画像に対象プロセスカラー画像のキャプチャを設定する(S103)。
【0054】
その後、オブジェクト設定部122は、基準画像における処理範囲66内で輪郭抽出処理を実行し(S104)、データ生成部123は、抽出された輪郭74の座標一覧からマスク画像82を生成する(S105)。その後、データ生成部123は、対象画像61内の対象プロセスカラーを削除した非対象プロセスカラー版83を生成し(S106)、マスク画像82を用いて対象オブジェクト71,72,91を対象特色で描画した対象特色版84を生成し(S107)、非対象プロセスカラー版83と対象特色版84とを重ね合わせた画像を示す特色画像データを生成する(S108)。
【0055】
<全体的な処理の流れ>
図13は、実施形態に係る情報処理装置11における全体的な処理フロー例を示すシーケンス図である。先ず、操作部101が特色印刷の対象となるPDFデータを指定する操作を受け付けると(ここでは電子ファイルの一例としてPDFデータを使用する例を示す)(S201)、データ入力部102は、指定されたPDFデータを所定の記憶装置(HDD25等)から読み込み、データ記憶部103に送信する(S202)。データ記憶部103は、受信したPDFデータを記憶する(S203)。また、データ入力部102は、読み込んだPDFデータを表示制御部105に送信し(S204)、表示制御部105は、受信したPDFデータをディスプレイ26等の表示装置に表示させる(S205)。その後、操作部101が、PDFデータを表示可能なアプリケーション上で特色印刷の設定を行うためのツールを選択する操作を受け付けると(S206)、表示制御部105は、選択されたツールに対応する設定画面41を表示装置に表示させる(S207)。
【0056】
操作部101が、
図4に示すような設定画面41上で対象プロセスカラー、対象特色、輪郭抽出条件、及び濃度閾値を指定する操作と、
図5に示すような対象画像61上で範囲を指定する操作とを受け付けると(S208)、操作制御部104は、範囲の指定内容を示すイベント情報を処理範囲設定部121に送信し(S209)、処理範囲設定部121は受信したイベント情報に基づいて処理範囲66を設定する(S210)。また、操作制御部104は、対象プロセスカラー、対象特色、輪郭抽出条件、及び濃度閾値の指定内容を示すイベント情報をオブジェクト設定部122に送信する(S211)。
【0057】
オブジェクト設定部122は、操作制御部104からイベント情報を受信すると、データ記憶部103から処理中のPDFデータを取得し(S212)、指定された輪郭抽出条件に基づいて、輪郭抽出処理における濃度比較の基準となる基準画像を設定する(S213)。このとき、輪郭抽出条件として「対象画像で輪郭抽出」が指定された場合には、基準画像に対象画像61のキャプチャを設定し、「対象プロセスカラー画像で輪郭抽出」が指定された場合には、基準画像に対象プロセスカラー画像69のキャプチャを設定する。
【0058】
その後、オブジェクト設定部122は、上記のように設定された基準画像における処理範囲66内において、指定された対象プロセスカラー、対象特色、及び濃度閾値に基づいて、対象オブジェクト71,72,91の輪郭74を抽出する輪郭抽出処理を行い(S214)、輪郭74の座標を示す情報である座標一覧をデータ生成部123に送信する(S215)。
【0059】
データ生成部123は、受信した座標一覧に基づいてマスク画像82を生成し(S216)、マスク画像82を用いて
図8及び
図9に示すように特色置換処理を行い(S217)、対象プロセスカラーを対象特色に置換した画像を示す特色画像データを生成して表示制御部105に送信する(S218)。表示制御部105は、受信した特色画像データに基づいて対象プロセスカラーが対象特色に置換された特色置換画像を含むプレビュー画面を表示装置に表示させる(S219)。また、データ生成部123は、生成した特色画像データをデータ記憶部103に送信し(S220)、データ記憶部103は、受信した特色画像データを記憶する(S221)。データ記憶部103に記憶された特色画像データは、特色印刷の実行命令が発行された場合等に印刷装置12に送信される。
【0060】
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置11によれば、ユーザが処理範囲66を対象画像61から任意に指定することが可能となる。また、対象オブジェクト71,72,91の設定が処理範囲66内の画素の濃度値を考慮して行われ、プロセスカラーの濃度がある程度高いオブジェクトが対象オブジェクト71,72,91に設定される。これにより、特色に置換することによる効果がほとんど得られないような低い濃度のオブジェクトを特色置換処理の対象から除外することができ、比較的高価な特色トナー(インク)の浪費を防止することが可能となる。また、対象オブジェクト71,72,91を設定する際の基準となる輪郭抽出条件(基準画像)及び濃度閾値をユーザが任意に指定することができるため、あらゆる使用状況に対応することが可能となる。これにより、特色印刷を実行する際の利便性を大きく向上させることが可能となる。
【0061】
以下に、他の実施形態について説明する。
【0062】
<第2の実施形態>
本実施形態に係るオブジェクト設定部122は、上記のような輪郭抽出処理を行わず、対象画像61の濃度値と予め設定された濃度閾値とを用いて対象オブジェクト71,72を直接特定するオブジェクト特定処理を行う。
【0063】
本実施形態に係るオブジェクト設定部122は、対象画像61を構成する各画素の濃度値と濃度閾値とを比較し、濃度閾値以上の濃度値を有する画素を、対象オブジェクト71,72を構成するオブジェクト画素と判定し、オブジェクト画素の集合体を対象オブジェクト71,72として設定する。
【0064】
このように、対象画像61の濃度値と濃度閾値とを用いて直接対象オブジェクト71,72を設定してもよい。これにより、輪郭抽出処理を行うことなく、対象画像61における濃度値がある程度高い対象オブジェクト71,72に対して特色置換処理を施すことができ、特色トナーの浪費を防止することが可能となる。
【0065】
<第3の実施形態>
本実施形態に係るオブジェクト設定部122は、対象プロセス画像69の濃度値と予め設定された濃度閾値とを用いて対象オブジェクト91を直接特定するオブジェクト特定処理を行う。
【0066】
本実施形態に係るオブジェクト設定部122は、対象プロセスカラー画像69を構成する各画素の濃度値と濃度閾値とを比較し、濃度閾値以上の濃度値を有する画素を、対象オブジェクト91を構成するオブジェクト画素と判定し、オブジェクト画素の集合体を対象オブジェクト91として設定する。
【0067】
このように、対象プロセスカラー画像69の濃度値と濃度閾値とを用いて直接対象オブジェクト91を設定してもよい。これにより、輪郭抽出処理を行うことなく、対象プロセスカラー画像69における濃度値がある程度高い対象オブジェクト91に対して特色置換処理を施すことができ、特色トナーの浪費を防止することが可能となる。
【0068】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図するものではない。この新規な実施形態はその他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更、及び組み合わせを行うことができる。この実施形態及びその変形は発明の範囲及び要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
1 画像処理システム
11 情報処理装置
12 印刷装置
13 ネットワーク
21 CPU
22 ROM
23 RAM
24 VRAM
25 HDD
26 ディスプレイ
27 キーボード
28 I/O
41 設定画面
51 対象プロセスカラー版選択部
52 対象特色版選択部
53 輪郭抽出条件選択部
54 濃度閾値入力部
61 対象画像
62 第1のオブジェクト
63 第2のオブジェクト
64 第3のオブジェクト
65 第4のオブジェクト
66 処理範囲
69 対象プロセスカラー画像
71,72,91 対象オブジェクト
74 輪郭
81 輪郭画像
82 マスク画像
83 非対象プロセスカラー版
84 対象特色版
85,86 特色オブジェクト
95 判定対象画素
96 隣接画素
101 操作部
102 データ入力部
103 データ記憶部
104 操作制御部
105 表示制御部
106 特色置換処理部
111 ファイル指定部
112 プロセスカラー指定部
113 特色指定部
114 輪郭抽出条件指定部
115 濃度閾値指定部
116 範囲指定部
121 処理範囲設定部
122 オブジェクト設定部
123 データ生成部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0070】