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特許7087744診断システム、画像形成装置、診断方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】診断システム、画像形成装置、診断方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20220614BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220614BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20220614BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20220614BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20220614BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
H04N1/00 002A
G03G21/00 510
G03G15/00 303
G03G15/01 Y
B41J29/38
B41J29/393 105
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018130039
(22)【出願日】2018-07-09
(65)【公開番号】P2020010197
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100110607
【弁理士】
【氏名又は名称】間山 進也
(72)【発明者】
【氏名】井上 美佳
(72)【発明者】
【氏名】大内 敏
【審査官】西谷 憲人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-025646(JP,A)
【文献】特開2015-220505(JP,A)
【文献】特開2017-227784(JP,A)
【文献】特開2003-091217(JP,A)
【文献】特開2014-238495(JP,A)
【文献】特開2009-285997(JP,A)
【文献】特開2017-222130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G03G 21/00
G03G 15/00
G03G 15/01
B41J 29/38
B41J 29/393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の異常を診断する診断システムであって、
階調補正を行う際に用いられる第1の画像と、前記画像形成装置の異常を診断する際に用いられる第2の画像とを出力する出力手段と、
出力された前記第1の画像と前記第2の画像とを読み取る読取手段と、
前記第1の画像の読取結果に基づき、階調補正を行う補正手段と、
前記第2の画像の読取結果に基づき、前記画像形成装置の異常を診断する診断手段と、
診断と階調補正を並行して、または診断後に診断結果に応じて階調補正を実行させるように前記診断手段と前記補正手段の動作を制御する制御手段と
を含み、
前記出力手段は、前記第1の画像と前記第2の画像を1の媒体上に印刷し、前記読取手段は、前記1の媒体上に印刷された前記第1の画像と前記第2の画像を読み取る、診断システム。
【請求項2】
前記画像形成装置から該画像形成装置の状態を表す状態情報を取得する取得手段を含み、
前記制御手段は、取得された前記状態情報に基づき、前記診断を実行するか否かを判断する、請求項1に記載の診断システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記診断を実行しないと判断した場合、前記補正手段のみを動作させる、請求項2に記載の診断システム。
【請求項4】
前記診断結果を通知する通知手段を含み、
前記通知手段は、前記診断結果が、異常があることを示す場合、異常の原因とともに対処方法を通知する、請求項1~のいずれか1項に記載の診断システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記診断手段を先に動作させ、前記診断手段の診断結果に応じて階調補正を実行するか否かを判断する、請求項1~のいずれか1項に記載の診断システム。
【請求項6】
異常画像の種類の選択を受け付ける、または前記画像形成装置の状態を表す状態情報に基づき、異常画像の種類を選択する選択手段を含み、
前記出力手段は、選択を受け付けた、または選択された前記異常画像の種類に基づき、複数種類の画像の中から1の画像を前記第2の画像として出力する、請求項1~のいずれか1項に記載の診断システム。
【請求項7】
前記複数種類の画像には、1色の画像領域のみからなる画像、2色以上の画像領域からなる画像、色を付さない領域を含む画像を含み、
前記選択手段により前記色を付さない領域を含む画像に対応する種類が選択された場合、前記診断手段は、異常箇所を強調する処理を施し、前記異常箇所が強調された画像を診断結果として出力する、請求項に記載の診断システム。
【請求項8】
前記診断手段は、複数色の階調パターンにより構成される前記第1の画像を前記第2の画像とともに用いて、異常画像として色ずれを検知する、請求項1~のいずれか1項に記載の診断システム。
【請求項9】
前記制御手段は、前記診断手段の診断結果に応じて、前記出力手段に対し、前記第2の画像のみを出力させ、または通知手段に対し、該第2の画像のみを出力させるように通知させ、前記診断手段に対し、前記読取手段により読み取られた前記第2の画像に基づき診断を実行させる、請求項1~のいずれか1項に記載の診断システム。
【請求項10】
請求項1~のいずれか1項に記載の診断システムを備え、画像形成を行う画像形成装置。
【請求項11】
画像形成装置の異常を診断する方法であって、
階調補正を行う際に用いられる第1の画像と、前記画像形成装置の異常を診断する際に用いられる第2の画像とを出力するステップと、
出力された前記第1の画像と前記第2の画像とを読み取るステップと、
前記第1の画像の読取結果に基づき、階調補正を行うステップと、
前記第2の画像の読取結果に基づき、前記画像形成装置の異常を診断するステップと、
前記診断するステップと前記階調補正を行うステップを並行して、または前記診断するステップの後に診断結果に応じて前記階調補正を行うステップを実行するように制御するステップとを含み、
前記出力するステップでは、前記第1の画像と前記第2の画像を1の媒体上に印刷し、前記読み取るステップでは、前記1の媒体上に印刷された前記第1の画像と前記第2の画像を読み取る、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法に含まれる各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の異常を診断する診断システム、画像形成装置、診断方法およびその診断をコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタやMFP(Multi Function Peripheral)等の画像形成装置において、診断用のチャートを印刷し、それをスキャナユニットで読み取り、得られた画像データから異常の有無を判断し、異常がある場合に異常箇所を診断し、対処方法を提示する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
それとは別に、管理用のチャートや階調パターン画像を出力し、測色や濃度検知を行い、キャリブレーションテーブルの値の調整や階調補正情報の変更を行う技術が知られている(例えば、特許文献2、3参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の異常の診断と階調補正は、診断や補正にそれぞれ必要とされるチャートを出力する必要があるため、個々に実施しなければならない。
【0005】
しかしながら、個々に実施すると、異常があるチャートで階調補正を行うことがあり、この場合、異常がないチャートで階調補正を行う場合と比較して、補正精度が低下するという問題があった。また、このような階調補正を行った後に、異常の診断を行うと、階調補正前に診断を行う場合と比較して、診断の精度も低下するという問題もあった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、画像形成装置の異常の診断および階調もしくは濃度の補正の精度を向上させることができるシステム、装置、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、発明の一実施形態では、画像形成装置の異常を診断する診断システムであって、
階調補正を行う際に用いられる第1の画像と、画像形成装置の異常を診断する際に用いられる第2の画像とを出力する出力手段と、
出力された第1の画像と第2の画像とを読み取る読取手段と、
第1の画像の読取結果に基づき、階調補正を行う補正手段と、
第2の画像の読取結果に基づき、画像形成装置の異常を診断する診断手段と、
診断と階調補正を並行して、または診断後に診断結果に応じて階調補正を実行させるように診断手段と補正手段の動作を制御する制御手段と
を含む、診断システムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像形成装置の異常の診断および階調補正の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】画像形成装置の異常を診断する診断システムの構成例を示した図。
図2】診断システムを構成する画像形成装置と情報処理装置のハードウェア構成を示した図。
図3】診断システムの機能ブロック図。
図4】第1の画像と第2の画像とを同時に出力するための画像レイアウトの第1の例を示した図。
図5】第1の画像と第2の画像とを同時に出力するための画像レイアウトの第2の例を示した図。
図6】第1の画像と第2の画像とを同時に出力するための画像レイアウトの第3の例を示した図。
図7】第1の画像と第2の画像とを出力し、異常の診断と階調補正とを並行して実施する処理の流れを示したフローチャート。
図8】第1の画像と第2の画像とを出力し、異常の診断と階調補正とを連続して実施する処理の流れを示したフローチャート。
図9】異常の診断が必要であるかどうかを判断する処理の流れを示したフローチャート。
図10】異常を診断する処理の流れを示したフローチャート。
図11】モノクロプロッタ機で濃度補正と異常の診断とを連続して実施する処理の流れを示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、画像形成装置の異常を診断する診断システムの構成例を示した図である。画像形成装置としては、画像を形成し、形成した画像を出力するFAX装置、コピー機、MFP等が挙げられる。MFPは、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、FAX機能を搭載した複合機である。
【0011】
診断システムは、図1に示すように、例えば2台の画像形成装置10、11と、2台のPC12、13と、1台のサーバ14とから構成される。しかしながら、診断システムを構成する画像形成装置は、図1に示すように2台に限られるものではなく、1台であってもよいし、3台以上であってもよい。図1では、2台のPC12、13と、1台のサーバ14とを、情報処理装置として用いているが、情報処理装置の機能を画像形成装置に搭載し、診断システムは、画像形成装置のみで構成されたものであってもよい。また、情報処理装置は、2台のPCと1台のサーバとから構成されるものに限らず、1台のPCのみ、1台のサーバのみ、2台のPCのみ、3台以上のPC、2台以上のサーバ等から構成されていてもよい。
【0012】
診断システムは、画像形成装置や情報処理装置等の各機器により構成されるものに限らず、画像形成装置内の一部のユニット等や情報処理装置内の一部のデバイス等により構成されてもよい。
【0013】
画像形成装置10、11は、PC12、13やサーバ14とインターネット等のネットワーク15を介して互いに接続される。ネットワーク15は、有線ネットワーク、無線ネットワークのいずれであってもよく、また、LAN(Local Area Network)16等の他のネットワークと接続されていてもよい。
【0014】
画像形成装置10、11は、スキャンした画像データや画像形成装置の状態を表す状態情報(コンディションデータ)を保持し、PC12、13からの要求に応じて送信する。コンディションデータは、例えば動作の履歴情報(ログ)、画像の色味の補正情報、出力枚数、部品の情報、消耗品の情報等である。部品の情報は、感光体ドラム等の部品の前回交換した時期を示す情報等で、消耗品の情報は、トナーを収容するカートリッジのトナー残量の情報等である。
【0015】
PC12、13は、画像形成装置10、11に対し、画像データのスキャン指示やコンディションデータの取得要求を送信する。また、PC12、13は、画像形成装置10、11から画像データを受信し、受信した画像データに基づき、診断対象の画像形成装置10、11の異常の検知・診断を行う。
【0016】
サーバ14は、ネットワーク15内のPC12、13とデータ通信を行い、他のネットワーク16上の機器とデータ通信を行う。
【0017】
画像形成装置10、11の異常を診断する際、PC12、13は、画像形成装置10、11に対し、診断用の画像(パターン)を印刷するように指示する。画像形成装置10、11は、この指示を受けて、自身が保持する診断用パターンを印刷出力する。
【0018】
PC12、13は、画像形成装置10、11に対し、出力された印刷物をスキャンするように指示する。画像形成装置10、11は、操作部の画面に、印刷物をスキャンすることを促すメッセージ等を表示する。画面を見たユーザは、印刷物を原稿台または自動原稿搬送装置(ADF)にセットし、スキャンを開始させる。スキャン後、画像形成装置10、11は、読み取った診断用パターンをPC12、13に送信する。
【0019】
PC12、13は、画像形成装置10、11から診断用パターンを受信し、その診断用パターンに基づき、画像形成装置10、11の異常の有無を判断し、異常がある場合、異常の原因の診断を行い、診断結果を、PC12、13が備える表示装置の画面に表示する。また、PC12、13は、診断結果を画像形成装置10、11に送信する。このとき、PC12、13は、必要に応じて対処方法も表示し、また、画像形成装置10、11にも送信する。さらに、PC12、13は、必要に応じて診断結果をメール等によりサービスマンに通知する。
【0020】
画像形成装置10、11では、操作部等の画面に診断結果を表示する。診断結果に対処方法が含まれる場合は、対処方法も表示し、ユーザやサービスマンに処置を促す。
【0021】
PC12、13は、画像形成装置10、11に対し、異常の診断のほか、画像の色味の補正を実行させるため、上記の診断用パターンとともに、または診断用パターンに続いて階調補正用のパターンを印刷するように指示する。画像形成装置10、11は、この指示を受けて、自身が保持する階調補正用パターンも印刷出力する。このため、画像形成装置10、11は、印刷物のスキャンにおいて、診断用パターンのほか、階調補正用パターンも読み取り、階調補正用パターンもPC12、13へ送信する。
【0022】
PC12、13では、受信した階調補正パターンに基づき、階調補正を実行する。階調補正は、異常の診断と並行して、または異常の診断後に診断結果に応じて実行される。
【0023】
図2を参照して、画像形成装置と、情報処理装置のハードウェア構成について説明する。画像形成装置は、ハードウェアとして、操作部20と、スキャナ部21と、画像形成部22と、印刷部23と、FAX I/F24と、制御部25と、通信I/F26とを含んで構成される。
【0024】
操作部20は、ユーザが入力し、ユーザに対して情報を表示するユーザI/Fで、例えばタッチパネル型のスマートUI(User Interface)とされる。操作部20は、印刷、スキャナ、FAX、コピー等の機能の選択や機能の実行の指示を受け付け、動作状況や実行結果等を表示する。
【0025】
スキャナ部21は、光源、レンズ、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)センサ等の撮像素子等から構成され、任意の画像を読み取り、画像データとして制御部25へ出力する。
【0026】
画像形成部22は、画像処理ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等から構成され、スキャナ部21からの画像データや、PC12、13等から送信された印刷ジョブデータや、ユーザにより選択された、画像形成装置の内部で保持するパターン画像等を基に、出力する画像を生成する。
【0027】
印刷部23は、露光ユニット、感光体ドラム、現像ユニット、帯電ユニット、転写ユニット、定着ユニット、給紙ユニット、排紙ユニット等から構成され、印刷ジョブデータに応じた印刷物を出力する。ここでは、電子写真方式の印刷装置の構成例を示したが、これに限られるものではなく、インクジェット方式の印刷装置の構成等であってもよい。
【0028】
FAX I/F24は、FAXモデム等により構成され、外部回線と画像形成装置本体のFAX機能とのやりとりを行う。通信I/F26は、ネットワーク15と接続し、ネットワーク15を介して情報処理装置との通信を可能にする。
【0029】
制御部25は、コントローラとされ、CPU27と、メモリ28とを含んで構成される。メモリ28は、ROM、RAM、HD(Hard Disk)等の揮発性、不揮発性の記憶装置を両方含み、画像形成装置の印刷枚数や部品の情報等を記憶する。また、メモリ28は、各機能を実現するためのアプリケーションやOS(Operating System)等の各種のプログラムも記憶する。CPU27は、メモリ28に記憶されたプログラムを実行し、各機能を実現し、画像形成装置を制御する。
【0030】
情報処理装置は、ハードウェアとして、通信I/F30と、CPU31と、クロック装置32と、入力装置33と、主記憶装置34と、出力装置35と、補助記憶装置36とを含んで構成される。
【0031】
通信I/F30は、ネットワーク15と接続し、ネットワーク15を介して画像形成装置との通信を可能にする。CPU31は、演算を行う演算装置37と、命令を解読して演算装置37へ送り、情報処理装置内の各装置の動作のタイミングを制御する制御装置38とを含む。
【0032】
クロック装置32は、クロックを発生し、発生したクロックを制御装置38に提供する。入力装置33は、キーボード、マウス、タッチパネル、CCDカメラ、マイク等から構成され、ユーザが各種の情報を入力する際に使用される。出力装置35は、表示装置や音声出力装置等とされ、CPU31が演算した演算結果等を出力する。
【0033】
主記憶装置34は、RAM等とされ、入力プログラムやデータを格納・保持し、制御装置38の指示に従い、保持しているデータをCPU31が備えるレジスタに読み出す。ここでは、主記憶装置34は、機器の異常の診断を行うプログラムや画像形成装置から受信した画像データ等を保持する。補助記憶装置36は、HD等とされ、機器の異常の診断を行うプログラムやOS、各種のデータ等を記憶する。また、補助記憶装置36は、主記憶装置34の記憶容量を補助する。
【0034】
図3は、画像形成装置が備えるスキャナ部21、印刷部23、制御部25、情報処理装置が備えるCPU31、主記憶装置34、補助記憶装置36等により実現される診断システムの機能構成を示したブロック図である。診断システムは、画像形成装置の異常を診断するとともに、階調補正を行うシステムである。
【0035】
診断システムは、異常の診断と階調補正を行うために、機能部として、出力部40と、読取部41と、補正部42と、診断部43と、制御部44と、通知部45とを含んで構成される。
【0036】
出力部40は、階調補正を行う際に用いられる第1の画像、例えば自動階調補正(ACC)パターンを出力する。また、出力部40は、機器の異常を診断する際に用いられる第2の画像、例えば診断用パターンを出力する。出力部40は、ACCパターンと診断用パターンを、例えば1枚の紙に印刷して出力する。なお、出力部40は、ACCパターンと診断用パターンを同一紙面上に印刷することに限られるものではなく、別紙面上に印刷し、連続出力してもよい。このように同一紙面上に印刷して出力、または別紙面上でも連続して出力することで、異常の診断と階調補正をまとめて処理することができる。また、いずれか一方が必要で、他方は不要である場合、通常通り、1つの印刷動作で、別々に印刷して出力することも可能である。これにより、不要なトナーの消費を防ぐことができる。
【0037】
ここで、図4図6を参照して、1枚の紙にACCパターンと診断用パターンを印刷する場合の各パターンのレイアウトについて説明する。
【0038】
異常の検知や、異常の検知と診断の両方を実施する場合の診断用パターンは、ハーフトーン画像(2by2)、ディザ処理やPWM等の濃淡を調節できる画像のいずれも選択できるものとされる。診断用パターンは、ユーザが選択してもよいし、異常の種類(ポチ、スジ、汚れ、ムラ等)に応じてその異常を検知しやすいパターンが予め紐付けられ、ユーザが種類を選択することによりパターンを自動選択するように構成されていてもよい。また、その種類は、コンディションデータに応じて自動で選択され、選択された種類からパターンを自動選択する構成であってもよい。
【0039】
診断用パターンは、ACCパターンと一緒にスキャンされ、異常を検知するために使用される。異常が検知された場合は、検知結果(ポチ、スジ、汚れ、ムラ等)と、必要に応じて原因診断を実施し、その診断結果と対処方法とが画面に表示され、また、内容によってメール等によりサービスマンに通知される。
【0040】
ACCパターン50は、図4に示すように、画像形成装置がもつ色材(トナー)の色としてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色からなり、各色につき、濃淡が連続的に変化する階調パターンとすることができる。この例では、4色の階調パターンを3組配列している。また、ACCパターン50は、診断用パターンとともに1枚の紙に印刷するため、紙面の向かって左側の領域51に配置されている。
【0041】
ACCパターン50の向かって右側の領域52には、診断用パターン53が配置される。診断用パターン53は、YMCKの4色の画像領域(矩形画像)からなる画像とされ、矩形画像が主走査方向および副走査方向に万遍なく配置されたものとされている。図4に示す例では、各色の矩形画像が、主走査方向および副走査方向の各行および各列に1つずつ配置され、同じ色の矩形画像が同じ行や列に存在しないように配置されている。なお、1枚の紙には、そのほか、見出しや読み取りの際のチャートの置き方の説明文の領域54が設けられる。
【0042】
診断用パターン53は、図4に示すような4色の矩形画像が配置されたものに限らず、図5に示すように、地汚れ検知用に色を付さない領域、ここでは白地領域(白地)55を追加したものであってもよい。図5に示す例では、白地55が追加されたため、図4に示す4列4行の配置から5列5行の配置とされ、各矩形画像の面積が小さくなっている。図5に示す例でも、各色の矩形画像および白地55が、5行5列の各行および各列に1つずつ配置され、同じ色の矩形画像および白地55が同じ行や列に存在しないように配置されている。
【0043】
地汚れを検知したい場合は、事前にトリガとなる専用パッチを出す等のアクションを挟み、診断結果の画像は、異常箇所が目立つように、ガンマにより強調する処理を施し、画面表示や送信を行うことができる。ガンマは、画像の明暗を調整するために設定される値である。
【0044】
診断用パターン53は、図4および図5に示すように、1枚の紙面上にACCパターン50とともに印刷される場合、限られた領域に印刷されることになるが、このような限られた領域では、検知しきれない異常もある。例えば、ポチ(点)に周期性があるのか、不規則であるのか等である。これらは原因が異なるため、周期性があるかどうかは、全面に診断用パターンを大きく印刷しないと検知することが難しい。このような異常を検知するために、診断専用のチャートを印刷したり、それを促す画面表示を出したり、診断のみを実施する処理に移動的に移行したりすることができる。
【0045】
これまでは4色の全てを見て異常を検知・診断するための診断用パターン53について説明したが、いずれか1つの色のみを見れば異常を検知・診断できる場合、図6に示すように、例えば1色のKのみのパターンを大きく1つ印刷するものであってもよい。いずれか1つの色のみを見れば異常を検知・診断できる場合の一例として、異常の周期があるかどうかを確認したい場合が挙げられる。
【0046】
診断用パターン53としては、複数種類のパターンが用意され、各パターンが検知しやすい異常の種類と紐付けられることで、ユーザが検知したい種類の異常に適したパターンを使用し、診断を行うことができる。
【0047】
ところで、ACCは、カラー印刷可能な印刷装置(カラープロッタ機)にのみ搭載され、モノクロプロッタ機にはない。モノクロプロッタ機では、階調表現を濃度調整により行い、その濃度調整をプロセスコントロール(プロコン)により実施している。したがって、モノクロプロッタ機でカラープロッタ機と同様のことを行うためには、プロコン実行時に併せて診断用のK版の全面チャートを出力し、それを読み取って異常の検知・診断を行うという構成が望ましい。
【0048】
以上のように、ACCパターン50と診断用パターン53をレイアウトし、1枚の紙に印刷し、出力することができるが、ユーザが印刷物を原稿台等にセットする際、どの面を原稿台等に向けてセットすればよいか等を説明する文字が領域54に印字される。ちなみに、既存のACCパターンには、このような文字が印字される。
【0049】
そこで、この印字を利用し、文字を黒一色ではなく、4色で印刷し、色ずれ等も一緒に検知することができる。色ずれを検知した場合、地汚れを検知したときと同様に、診断結果と対処方法を画面に表示し、内容によってメール等でサービスマンに通知することができる。
【0050】
再び図3を参照して、読取部41は、出力部40により出力されたACCパターンと診断用パターンとを読み取る。読取部41は、ACCパターンと診断用パターンが1枚の紙に印刷された場合、ACCパターンと診断用パターンの両方を含む画像データを出力する。
【0051】
補正部42は、読取部41から出力された画像データにおけるACCパターンを使用し、階調補正を行う。階調補正では、出力されたACCパターンを、見本の階調パターンと比較し、濃度や明るさを調整する。
【0052】
診断部43は、読取部41から出力された画像データにおける診断用パターンを使用し、画像の異常の有無を判断し、異常がある場合、異常箇所の特徴量を算出し、異常の原因を診断し、診断結果として原因と、対処が必要な場合に対処方法とを出力する。
【0053】
制御部44は、階調補正と診断を並行して、または診断後に診断結果に応じて階調補正を実行させるように補正部42と診断部43の動作を制御する。制御部44は、診断を実行するか否かを判断し、実行しない場合、階調補正のみを実行させ、実行させる場合に、上記の補正部42と診断部43の動作を制御する。
【0054】
また、制御部44は、診断部43の診断結果に応じて、出力部40に対し、診断用パターンのみを出力させ、または通知部45に対し、診断用パターンのみを出力するように通知させることができる。そして、制御部44は、診断部43に対し、出力され、読み取られた診断用パターンに基づき、診断を実行させることができる。
【0055】
通知部45は、診断部43が出力した診断結果を、画像形成装置の操作部20へ送信し、診断結果を表示させる。通知部45は、メール等によりサービスマンに診断結果を通知することができる。通知部45は、診断部43から診断結果とともに対処方法も出力されている場合は、診断結果とともに対処方法も送信する。通知部45は、ユーザやサービスマンが表示された対処方法に従って対処した後、ACCの実行を促すメッセージ等を送信し、表示させることができる。
【0056】
図7は、診断システムにより実行される処理の第1の例を示したフローチャートである。ステップ700から処理を開始し、ステップ701では、制御部44が、診断が必要かどうかを判断し、ステップ702で、判断結果から診断を実行するかどうかを確認する。
【0057】
診断を実行しないと判断した場合、ACCのみを実行すべく、ステップ703へ進み、出力部40が、ACCパターンを印刷して出力し、読取部41が、ACCパターンが印刷された印刷物を読み取る。そして、補正部42が、読み取ったACCパターンを使用し、階調補正を行う。階調補正が終了したところで、ステップ712へ進み、処理を終了する。
【0058】
一方、診断を実行すると判断した場合、ステップ704で診断モードを起動し、ステップ705で、出力部40が、ACCパターンと診断用パターンとを印刷して出力し、読取部41が、ACCパターンと診断用パターンが印刷された印刷物を読み取る。そして、制御部44が、補正部42と診断部43の両方に対して処理を指示する。制御部44は、ユーザによる画像形成装置の操作部に表示された開始ボタンの押下等を受けて、上記の処理を指示することができる。
【0059】
補正部42は、制御部44からの指示を受けて、ステップ706で、読み取ったACCパターンを使用し、階調補正を行う。診断部43も、制御部44からの指示を受けて、ステップ707で、読み取った診断用パターンを使用し、画像の異常の有無を判断する。異常がある場合、診断部43は、異常箇所の特徴量を算出し、異常の原因を診断し、または今後異常となりそうな予兆が出ている箇所があった場合、その原因の診断も行う。診断部43は、診断結果を出力し、異常がある場合、対応方法も出力する。補正部42と診断部43は、各々の処理を同時に実行する。
【0060】
ステップ708では、制御部44が、診断部43から出力された診断結果を参照し、異常があるかどうかを確認する。異常がある場合、ステップ709へ進み、制御部44が通知部45に対して指示し、通知部45が、異常の原因や対処方法を送信し、PCの出力装置や画像形成装置の操作部の画面に表示する。また、通知部45は、異常の原因や対処方法を、サービスマンに対してメール等により通知する。
【0061】
ステップ710では、ユーザやサービスマンが、表示または通知された対処方法に従って異常の原因を取り除くべく、設定値の変更、部品の交換や清掃を行う等して、異常画像に対処する。対処後、ステップ711で、通知部45が、階調補正の実行を促すメッセージ等を送信し、画面にそのメッセージを表示する。表示後、ステップ712で処理を終了する。
【0062】
ユーザは、再びステップ700から処理を開始させ、ステップ703で、階調補正を実行させることができる。対処後の処理であるので、異常がなければ、ステップ702で診断を実行しないと判断され、ステップ703の処理が実行される。これにより、その後の画像出力では、適切な色味で画像を出力することができる。
【0063】
図7に示す処理の例では、異常の診断と階調補正とを並行して行っているが、異常の診断を行い、診断結果に応じて階調補正を行うようにしてもよい。これにより、異常の診断で、異常がないことが確認されたことを受けて、階調補正を行うことができる。一方、異常があることが確認された場合、階調補正を実行しないようにすることができる。これにより、異常がある場合の対処する前の無駄な階調補正を防止することができる。
【0064】
図8は、診断システムにより実行される処理の第2の例を示したフローチャートである。ステップ800から処理を開始するが、ステップ805までは、図7に示したステップ700~ステップ705までの処理と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0065】
ステップ806では、制御部44が、診断部43に対して処理を指示する。診断部43は、その指示を受けて、読み取った診断用パターンを使用し、画像の異常の有無を判断する。異常がある場合、診断部43は、異常箇所の特徴量を算出し、異常の原因を診断し、または今後異常となりそうな予兆が出ている箇所があった場合、その原因の診断も行う。診断部43は、診断結果を出力し、異常がある場合、対応方法も出力する。
【0066】
制御部44は、ステップ807で診断結果を参照し、異常があるかどうかを確認する。異常がない場合、ステップ803へ進み、出力部40に対して指示し、出力部40が、ACCパターンを印刷して出力し、読取部41が、ACCパターンが印刷された印刷物を読み取る。そして、補正部42が、読み取ったACCパターンを使用し、階調補正を行う。階調補正が終了したところで、ステップ812へ進み、処理を終了する。
【0067】
異常がある場合、制御部44が通知部45に対して指示し、通知部45が、ステップ808で、階調補正を実行しない旨を通知し、それと並行して、ステップ809で、診断部43から出力された診断結果の異常の原因や対処方法を表示やメールする等して通知する。
【0068】
ステップ810では、ユーザやサービスマンが、表示や通知された対処方法に従って異常の原因を取り除くべく、設定値の変更、部品の交換や清掃を行う等して、異常画像に対処する。対処後、ステップ811で、通知部45が、階調補正の実行を促すメッセージ等を送信し、画面にそのメッセージを表示する。表示後、ステップ812で処理を終了する。これにより、異常がある場合の適切ではない画像によるACCの実行を回避することができる。
【0069】
次に、図7および図8のステップ701およびステップ801で行う診断を実行するかどうかの判断について、図9を参照して詳細に説明する。
【0070】
ステップ901では、診断を実行するかどうかの判断を自動で行うか、手動で行うかを判断する。自動で行うか、手動で行うかは、設定値がいずれに設定されているかを確認することにより判断することができる。ユーザが、画像形成装置の操作部またはPCにおいていずれかを選択することにより設定することができる。
【0071】
手動に設定されている場合、ステップ902へ進み、診断の実行の指示を通知し、ステップ903で、画像の異常の種類を選択する。異常の種類の選択は、ユーザから選択を受け付けてもよいし、自動で選択してもよい。診断システムは、この選択を行うために、機能部として選択部を備えることができる。選択したところで、ステップ907へ進み、この判断を終了する。
【0072】
異常画像の種類は、階調パターンと診断用パターンの形式を取りやすい種類とされる。この種類については後述する。また、診断用パターンの形式をデフォルトでもっておき、選択しないという項目が選択された場合、そのデフォルトが選択されるようになっていてもよい。
【0073】
ステップ901で自動に設定されている場合、ステップ904へ進み、画像形成装置本体に保持されている画像形成装置の印刷枚数、部品の情報、消耗品の情報等を示すコンディションデータを取得し、解析する。診断システムは、コンディションデータを取得するために、機能部として取得部を備えることができる。また、解析を行うために解析部を備えていてもよい。
【0074】
印刷枚数は、ある一定の枚数を超えると、画質が劣化するので、当該一定の枚数を超えているかどうかを確認し、確認結果から、診断を行ったほうがよいかどうかを判断することができる。
【0075】
部品の情報は、前回の交換時期等の情報を含み、ある一定の期間が経過していると、画像に異常が出やすくなるため、前回の交換時期から一定の期間が経過しているかどうかを確認し、確認結果から、診断を行ったほうがよいかどうか判断することができる。
【0076】
消耗品の情報は、トナーカートリッジのトナー残量等の情報を含み、トナー残量が少ないと、所望の濃度の色が出せなくなるので、トナー残量が一定量未満になっているかどうかを確認し、確認結果から、診断を行ったほうがよいかどうか判断することができる。
【0077】
以上のことから、ステップ905では、コンディションデータの各項目につき、各項目に対して設定された閾値と比較し、診断が必要かどうかを判断する。閾値は、予め試験等を行い、適切な値を設定することができる。
【0078】
診断が必要と判断された場合、ステップ902へ進み、診断の実行の指示を通知し、ステップ903で、異常画像の種類を選択する。一方、不要と判断された場合、ステップ906へ進み、診断が不要である旨のメッセージを送信し、操作部20等の画面に表示させる。メール等によりユーザに通知してもよい。そして、ステップ907で、この判断を終了する。
【0079】
自動に設定されている場合、コンディションデータを取得し、データの中身を確認することから、データから得られる画像形成装置の状態に応じて、どのような異常が出やすいかを予測する処理を導入し、その異常を検知しやすいパターン画像を推奨する設定とすることができる。具体的には、帯電ローラがしばらく交換しておらず、劣化してスジ帯が出やすくなると予測できる場合、このスジ帯を取りやすい画像を推奨設定とすることができる。この場合の帯電ローラといった原因部品と、スジ帯といった異常の現象とは、予め紐付けて診断システムが保持することができる。
【0080】
このような推奨設定は、ユーザに対して推奨する画像を表示させ、それを選択するように促してもよいし、ユーザに選択を促すのではなく、それを自動で選択するものであってもよい。
【0081】
コンディションデータの各項目につき、診断が必要かどうかを判断するので、対処方法の選択が容易になり、より適切に対処することができる。
【0082】
図10を参照して、図7のステップ707および図8のステップ806で実施される異常画像の検知・診断処理について詳細に説明する。ステップ1000から処理を開始し、ステップ1001で、診断モードにて、読み取った画像の中の診断用パターンに異常画像があるかどうかを検知する処理の実行を開始する。この処理では、ステップ1002において、異常画像の検知とともに特徴量の算出を行う。
【0083】
特徴量としては、次のものが挙げられる。
(1)形状(スジ帯か、斑点か、不定か等)
(2)大きさ(縦横方向の幅や斑点の直径等)
(3)濃度(濃いか薄いか、画素値)
(4)周期性(有り/なし)、周期性がある場合のピッチ
(5)色版(異常が出ている版)
【0084】
これらの特徴量は、異常画像を特徴付ける定性的および定量的な項目で、異常画像の原因特定の1つの情報になるものである。
【0085】
算出された特徴量に基づき、診断を行うが、このとき、診断用パターンからでは検知できない異常があることも考えられる。例えば、似たような特徴量をもつポチがいくつか検知できた際に、周期性があるのか、不規則であるのかは、原因部品にも寄るが、診断用画像をある程度大きく形成できないと、検知することが難しい場合がある。このため、ステップ1003で、ACCパターンと診断用パターンを読み取った画像データからは診断が困難であるかどうかを判断する。
【0086】
診断が困難でないと判断される場合、ステップ1004へ進み、ACCパターンと診断用パターンを読み取った画像データを使用し、異常の検知・診断を行う。診断が終了し、診断結果を出力した後、ステップ1010で、この処理を終了する。
【0087】
診断が困難と判断される場合、すなわち異常の原因を特定できない場合、本来の診断のみを行うように、ステップ1005で、改めてシステムを起動し、ステップ1006で、診断用パターンのみを全面に印刷し、その印刷物を読み取る。そして、ステップ1007で、読み取った診断用パターンを使用し、異常の検知を行う。ステップ1008で、異常箇所の特徴量を算出する。ステップ1009で、算出された特徴量に基づき、異常の原因の診断を行う。診断が終了し、診断結果を出力した後、ステップ1010で、この処理を終了する。
【0088】
図7および図8では、ACCの機能を搭載したカラープロッタ機において異常の診断と階調補正を行う例を示した。ACCを搭載しないモノクロプロッタ機では、プロコンによりトナーの濃度補正を行うことから、濃度補正と異常の診断を行う例について、図11を参照して説明する。
【0089】
モノクロプロッタ機も、カラープロッタ機と同様、ステップ1100から処理を開始し、ステップ1101で、制御部44が、診断が必要かどうかを判断し、ステップ1102で、判断結果から診断を実行するかを確認する。
【0090】
診断を実行しないと判断した場合、濃度補正のみを実行すべく、ステップ1103へ進み、プロコンを実行し、濃度補正を行う。濃度補正が終了したところで、ステップ1111へ進み、処理を終了する。
【0091】
一方、診断を実行すると判断した場合、ステップ1104で診断モードを起動し、ステップ1105で、プロコンを実行し、濃度補正を行い、続いて、ステップ1106で、出力部40が、診断用パターンを出力し、読取部41が、診断用パターンが印刷された印刷物を読み取る。そして、制御部44が、診断部43に対して処理を指示する。ステップ1107で、診断部43が、その指示を受けて、読み取った診断用パターンを使用し、画像の異常の有無を判断し、異常がある場合、異常箇所の特徴量を算出し、異常の原因を診断し、診断結果を出力する。また、診断部43は、異常がある場合、対応方法も出力する。
【0092】
ステップ1108では、制御部44が、診断部43から出力された診断結果を参照し、異常があるかどうかを確認する。異常がある場合、ステップ1109へ進み、制御部44が、通知部45に対して指示し、通知部45が、異常の原因や対処方法を送信し、PCの出力装置や画像形成装置の操作部の画面に表示させる。また、通知部45は、異常の原因や対処方法を、サービスマンに対してメール等により通知する。
【0093】
ステップ1110では、ユーザやサービスマンが、表示または通知された対処方法に従って異常の原因を取り除くべく、設定値の変更、部品の交換や清掃を行う等して、異常画像に対処する。対処後、ステップ1111で処理を終了する。
【0094】
ステップ1108で異常がなかった場合、ステップ1111へ進み、処理を終了する。ACCの機能を搭載しないモノクロプロッタ機でも、プロコンと併せて実行することで比較的適切な濃度で異常の診断が可能となる。
【0095】
以上のようにして、異常の診断と階調補正を並行して行うように制御することで、異常がない場合は、並行して階調補正を実施しているので、処理時間を短縮することができ、異常がある場合でも、処置を行い、再度階調補正を行うことで、階調補正の精度を向上させることができる。
【0096】
また、診断後に診断結果に応じて階調補正を行うように制御することで、異常がない場合は、続けて階調補正を実施し、異常がある場合、処置を行った後に、階調補正を実施することができるので、階調補正の精度を向上させることができる。
【0097】
いずれの場合も、階調補正と同時またはその前に診断を行うので、異常があるチャートで階調補正を行った後に診断することがなくなり、診断の精度も向上させることができる。
【0098】
これまで本発明を、診断システム、画像形成装置、診断方法およびプログラムとして上述した実施の形態をもって説明してきた。しかしながら、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、他の実施の形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができるものである。また、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0099】
したがって、上記のプログラムが記録された記録媒体、上記のプログラムが格納され、ダウンロード要求を受けて提供するサーバ装置等を提供することができるものである。
【符号の説明】
【0100】
10、11…画像形成装置
12、13…PC
14…サーバ
15、16…ネットワーク
20…操作部
21…スキャナ部
22…画像形成部
23…印刷部
24…FAX I/F
25…制御部
26…通信I/F
27…CPU
28…メモリ
30…通信I/F
31…CPU
32…クロック装置
33…入力装置
34…主記憶装置
35…出力装置
36…補助記憶装置
37…演算装置
38…制御装置
40…出力部
41…読取部
42…補正部
43…診断部
44…制御部
45…通知部
50…ACCパターン
51、52、54…領域
53…診断用パターン
55…白地
【先行技術文献】
【特許文献】
【0101】
【文献】特開2015-220505号公報
【文献】特開2017-055282号公報
【文献】特開2017-219758号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11