(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】電子機器、通知方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20220614BHJP
B41J 3/28 20060101ALI20220614BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20220614BHJP
G06F 1/26 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
B41J29/38 102
B41J3/28
B41J29/38 701
B41J29/42 E
G06F1/26
(21)【出願番号】P 2018164688
(22)【出願日】2018-09-03
【審査請求日】2021-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100110607
【氏名又は名称】間山 進也
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】武井 一史
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼根 俊章
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆一
(72)【発明者】
【氏名】中山 麻里
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 一哲
(72)【発明者】
【氏名】中田 哲美
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-085766(JP,A)
【文献】特開2009-177612(JP,A)
【文献】特開2014-098747(JP,A)
【文献】特開2006-067382(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0163230(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 3/28
B41J 29/42
G06F 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
起動完了を通知する電子機器であって、
電源供給の指示を受け付ける受付手段と、
前記指示を受けて、電源を供給する供給手段と、
電源供給を受けて、前記電子機器を起動する起動プログラムを実行する実行手段と、
前記起動プログラムの実行が終了したことを受けて、起動完了を通知する通知手段とを含み、
前記供給手段は、前記起動プログラムの実行が終了するまでの間、前記受付手段が前記指示を継続して受け付けるか否かに応じて、電源供給を継続または停止し、前記起動プログラムの実行が終了した後、電源供給を継続
し、
前記通知手段は、起動完了以外の情報も通知可能とされ、
前記供給手段は、前記通知手段が前記起動完了以外の情報を通知している間に前記指示を受けた場合、前記起動完了以外の情報の通知を停止するように要求する、電子機器。
【請求項2】
前記供給手段が供給する電源を蓄電するための蓄電手段を含み、
前記通知手段は、前記起動完了以外の情報として、前記蓄電手段への蓄電中であることを通知する、請求項
1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記通知手段は、視覚的通知手段および聴覚的通知手段の少なくとも1つを含む、請求項1
または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記視覚的通知手段は、通知する情報に応じて、色を変化させる、請求項
3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記視覚的通知手段は、発光体を含み、通知する情報に応じて、前記発光体の点灯状態を変化させる、請求項
3または
4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記聴覚的通知手段は、通知する情報に応じて、音の出力内容を変化させる、請求項
3~
5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記受付手段は、前記電子機器の電源スイッチが押下され続けることにより、前記指示を継続して受け付ける、請求項1~
6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記実行手段は、前記起動プログラムの実行が終了した場合、前記供給手段に対して電源供給を継続するように指示し、前記通知手段に対して前記起動プログラムの実行が終了したことを通知するように要求する、請求項1~
7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記実行手段は、前記起動プログラムの実行に加えて、前記電子機器の動作を終了する処理も実行可能とされ、前記電子機器の動作を終了する処理が完了した場合、前記供給手段に対して電源供給の継続を停止するように指示し、前記通知手段に対して前記電子機器の動作を終了する処理が完了したことを通知するように要求する、請求項1~
7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項10】
電子機器の起動完了を通知する方法であって、
電源供給の指示を受け付けるステップと、
前記指示を受けて、電源を供給するステップと、
電源供給を受けて、前記電子機器を起動する起動プログラムを実行するステップと、
前記起動プログラムの実行が終了したことを受けて、起動完了を通知するステップとを含み、
前記供給するステップでは、前記起動プログラムの実行が終了するまでの間、前記指示を継続して受け付けるか否かに応じて、電源供給を継続または停止し、前記起動プログラムの実行が終了した後、電源供給を継続
し、
前記方法は、
起動完了以外の情報を通知するステップと、
前記起動完了以外の情報を通知している間に前記指示を受けた場合、前記起動完了以外の情報の通知を停止するように要求するステップと
を含む、通知方法。
【請求項11】
請求項
10に記載の通知方法に含まれる各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起動完了を通知する電子機器、方法およびその通知する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の1つとして、紙搬送システムを削除し、手動で紙面上を自由に走査(フリーハンド走査)しながらインクを塗布するハンドヘルドプリンタが知られている(例えば、特許文献1参照)。ハンドヘルドプリンタは、フリーハンドで扱えるように小型化されており、機器の状態を通知する通知部が1つに集約されている。
【0003】
ハンドヘルドプリンタは、電源スイッチ(SW)や内部回路等のハードウェアで電源の供給を保持する信号(電源保持信号)の論理を固定する方式ではなく、中央処理装置(CPU)のソフトウェアが起動した後に電源保持信号を制御する方式が採用される。これは、コストを抑え、機器の物理的な構造を簡素化し、小型化するためである。
【0004】
ソフトウェアが起動した後に電源保持信号を制御する方式では、ソフトウェアが起動するまで電源保持信号を制御することができない。そこで、ユーザは、ソフトウェアが起動するまでの間、電源SWを押下し続け、電源保持信号を出力し続けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のハンドヘルドプリンタは、印刷中や印刷エラー等の動作の状況については通知するが、上記のソフトウェアが起動した後に電源保持信号を制御する方式を採用する場合の電源SWを離すタイミングについては通知しない。このため、従来のハンドヘルドプリンタでは、起動に必要な時間よりも早く電源SWを離してしまい、ユーザが意図した通りに起動できないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ユーザが意図した通りに起動することを可能にする電子機器、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、発明の一実施形態では、起動完了を通知する電子機器であって、
電源供給の指示を受け付ける受付手段と、
指示を受けて、電源を供給する供給手段と、
電源供給を受けて、電子機器を起動する起動プログラムを実行する実行手段と、
起動プログラムの実行が終了したことを受けて、起動完了を通知する通知手段と
を含み、
供給手段は、起動プログラムの実行が終了するまでの間、受付手段が指示を継続して受け付けるか否かに応じて、電源供給を継続または停止し、起動プログラムの実行が終了した後、電源供給を継続する、
電子機器が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザが意図した通りに起動することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ハンドヘルドプリンタとスマートデバイスとを含む画像形成システムの構成例を示した図。
【
図2】ハンドヘルドプリンタのハードウェア構成の一例を示した図。
【
図4】スマートデバイスのハードウェア構成の一例を示した図。
【
図5】スマートデバイスが実行する処理の流れを示したフローチャート。
【
図6】ハンドヘルドプリンタが実行する処理の流れを示したフローチャート。
【
図7】ハンドヘルドプリンタが実行する処理の流れを示したフローチャート。
【
図8】ハンドヘルドプリンタの機能構成の一例を示したブロック図。
【
図11】ハンドヘルドプリンタの起動処理の第1の例を示したシーケンス図。
【
図12】ハンドヘルドプリンタの起動処理の第2の例を示したシーケンス図。
【
図13】正常に電源ON、OFFする場合のタイミングチャート。
【
図14】正常に電源ONできなかった場合のタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、電子機器と、該電子機器と通信を行う通信端末とを含む通信システムの一例として、ハンドヘルドプリンタ10と、スマートデバイス11とを含む画像形成システムの構成例を示した図である。以下、電子機器としてハンドヘルドプリンタ10、通信端末としてスマートデバイス11をそれぞれ例に挙げて説明するが、これらに限定されるものではない。
【0011】
ハンドヘルドプリンタ10は、人が片手で持ち運びできる大きさ、重量で、ノートや定型用紙等の印刷が可能な媒体12上を自由に移動させ、媒体12に印刷することができるプリンタである。
【0012】
ハンドヘルドプリンタ10は、インク等の液滴をノズルから吐出して媒体12に印刷するインクジェット方式のプリンタとすることができる。なお、ハンドヘルドプリンタ10は、これに限られるものではなく、細いピンをインクリボンに叩き付けて印刷するドットインパクト方式等を採用することもできる。また、ハンドヘルドプリンタ10は、モノクロプリンタであってもよいし、カラープリンタであってもよい。
【0013】
ハンドヘルドプリンタ10は、印刷する対象の画像を画像データとして受信し、その画像に基づき、媒体12上にインク等を吐出して印刷を行う。印刷する対象の画像は、文字のみからなるものであってもよいし、図、絵、写真等を含むものであってもよい。ハンドヘルドプリンタ10は、画像データとともに、印刷設定情報を受信し、印刷設定情報に基づき画像を形成することができる。印刷設定情報としては、モノクロ/カラーの指定等を挙げることができる。
【0014】
ハンドヘルドプリンタ10は、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi等の無線通信により、画像データを保持するスマートデバイス11から画像データを受信する。ハンドヘルドプリンタ10は、スマートデバイス11からの画像データを、直接受信してもよいし、アクセスポイント等を介して受信してもよい。ハンドヘルドプリンタ10は、無線通信に限られるものではなく、ケーブル等で接続し、有線通信により画像データを受信してもよい。
【0015】
スマートデバイス11は、例えばスマートフォン、タブレット端末、ノートPC等とされ、ハンドヘルドプリンタ10と無線通信を行い、自身が保持する画像データをハンドヘルドプリンタ10へ送信する。また、スマートデバイス11は、サーバ等の他の機器から受信して取得した画像データを、ハンドヘルドプリンタ10へ転送することもできる。
【0016】
ユーザは、スマートデバイス11の電源を入れ、アプリケーションを起動させ、画像を表示させる。ユーザは、その画像を印刷したい場合、例えばタッチパネルに表示された印刷開始ボタンをタップすることにより印刷を指示することができる。この印刷指示を受けて、スマートデバイス11は、その画像の画像データを無線通信によりハンドヘルドプリンタ10へ送信する。
【0017】
ハンドヘルドプリンタ10は、スマートデバイス11から印刷対象の画像データを受信する。ユーザは、ハンドヘルドプリンタ10を持ち、媒体12上を自由に移動させる。この間、ハンドヘルドプリンタ10は、各ノズルの位置を算出する。実際には、ハンドヘルドプリンタ10は、各ノズルの位置を、最初に決められた初期位置を基準とした座標位置(相対位置)として算出する。
【0018】
ハンドヘルドプリンタ10は、受信した画像データの画像を構成する画像要素の座標位置から、算出したノズルの座標位置が許容誤差内にある場合に、その画像要素を印字する印字データを、記録ヘッドを制御する制御部に送る。複数のノズルを有する記録ヘッドは、制御部による制御を受けて、その座標位置のノズルからインクを吐出させ、その印字を行う。ハンドヘルドプリンタ10は、これを繰り返して媒体12に印刷を行う。
【0019】
ハンドヘルドプリンタ10は、
図1に示すように、箱状のものとされ、インクを吐出するための複数のノズルを有する。
図1では、ハンドヘルドプリンタ10を箱状のものとして示しているが、ハンドヘルドプリンタ10の形状は、箱状のものに限定されるものではない。ハンドヘルドプリンタ10は、複数のノズルを有する面を、平面状の媒体12に押し当てるようにして使用される。複数のノズルは、押し当てた際に、その先端が媒体12の表面から離間するように配置されている。なお、ノズル先端から媒体12までの距離は、ノズルからインクを吐出して適切に印字することができる距離として予め決定されている。ユーザは、媒体12にハンドヘルドプリンタ10の複数のノズルを有する面を押し当て、媒体12上を自由に移動(フリーハンド走査)することにより媒体12に印刷を行う。
【0020】
図2は、ハンドヘルドプリンタ10のハードウェア構成を示した図である。ハンドヘルドプリンタ10は、電池やバッテリ等のハンドヘルドプリンタ10で使用する電源を供給する電源20を備える。また、ハンドヘルドプリンタ10は、制御部や記録ヘッド駆動回路等の各ユニットで使用する電源に変換する電源回路21を備える。電源回路21は、バッテリの充電回路やAC電源との切り替え等を行う。ハンドヘルドプリンタ10は、スマートデバイス11から送信された画像データを受け付ける通信I/F22を備える。
【0021】
ハンドヘルドプリンタ10は、メモリ23、2以上のナビゲーションセンサ(以下、単にセンサと呼ぶ。)24、制御部25、操作ユニット(OPU)26、記録ヘッド27、記録ヘッド駆動回路28を備える。メモリ23は、起動プログラム、ハンドヘルドプリンタ10のハードウェア制御を行うファームウェア、記録ヘッド27を駆動させるための駆動波形データ、ハンドヘルドプリンタ10の初期設定を行うための初期設定データ等を格納する。また、メモリ23は、通信I/F22が受け付けた画像データの一時的な格納、ファームウェア動作時の作業領域等に使用される。
【0022】
2以上のセンサ24は、ハンドヘルドプリンタ10の位置情報、記録ヘッドの位置情報を算出するために使用される。位置情報は、二次元平面における座標情報である。初期位置の位置情報は、例えば座標(0,0)とされる。2以上のセンサ24は、初期位置を基準にして指定された縦横二方向であるX軸方向およびY軸方向への移動距離(移動量)を算出し、出力する。X軸方向およびY軸方向は、初期位置を検出する際のセンサ24の位置を基準とし、その水平方向およびその垂直方向とされる。センサ24が複数のノズルが並ぶ前後に設けられる場合、ノズルおよびセンサ24が並ぶ垂直方向がY軸方向とされ、それに垂直な水平方向がX軸方向とされる。なお、センサ24は、正確な位置座標を得るために、移動量に加えて記録ヘッド27の回転量、加速度等を検出してもよい。回転量は、例えばY軸を基準として記録ヘッド27の長手方向が傾いた角度とすることができる。したがって、回転量は、X軸を基準とした角度であってもよい。
【0023】
制御部25は、SoC(System on chip)と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)/FPGA(Field Programmable gate alley)とから構成することができる。制御部25は、ハンドヘルドプリンタ10全体の制御を行う。例えば、制御部25は、センサ24からの情報に基づき、記録ヘッド27の各ノズルの位置座標や、その位置座標に応じた画像要素の選択、印字するかどうかの判定等を行う。
【0024】
OPU26は、ハンドヘルドプリンタ10の状態を表示するLED、ユーザが印字動作を指示するためのスイッチ等から構成される。これらは一例であり、OPU26は、操作ボタンや液晶ディスプレイ(LCD)等を含んでいてもよい。また、OPU26は、タッチパネルを備えていてもよい。
【0025】
記録ヘッド27は、インクを吐出するための複数のノズルを備える。複数のノズルは、記録ヘッド27の長手方向に沿って一定間隔で一列に配列するように設けることができ、一例に限らず、二列以上であってもよい。記録ヘッド27は、電圧をかけて圧電素子(ピエゾ素子)を変形させ、インクを吐出させるピエゾ方式であってもよいし、インクに熱を加え、発生した泡によりインクを押し出し、吐出させるサーマル方式であってもよい。
【0026】
記録ヘッド駆動回路28は、印刷を行うための印字データと印字タイミングを指示する印字タイミング情報とを受け付ける。記録ヘッド駆動回路28は、印字タイミング情報で指示された印字タイミングに従い、印字データに基づき媒体12にインクの吐出を行うことができるように記録ヘッド27の駆動制御を行う。記録ヘッド駆動回路28は、その駆動制御を行うために、記録ヘッド27を駆動するための駆動波形データを生成する。
【0027】
通信I/F22が、スマートデバイス11から印刷ジョブ(画像データ)を受信すると、制御部25が、2以上のセンサ24からの入力情報を基に、記録ヘッド27上の各ノズルの位置を算出する。受信した画像データは、メモリ23に格納される。ユーザは、ハンドヘルドプリンタ10を片手で持ち、媒体12上をフリーハンド走査するが、制御部25は、その走査中、各ノズルの位置を算出し続ける。そして、制御部25は、算出した位置に応じた所定領域の画像(周辺画像)のみをメモリ23から取得する。
【0028】
制御部25は、取得した周辺画像を構成する画像要素の位置と算出した各ノズルの位置を比較し、1以上のノズルにつき許容誤差内であると判断した場合、該1以上のノズルに対する印字データを記録ヘッド駆動回路28へ送る。記録ヘッド駆動回路28は、記録ヘッド27の駆動波形データを生成し、記録ヘッド27は、その駆動波形データに従って該1以上のノズルからインクを吐出させ、印刷を行う。
【0029】
図3を参照して、制御部25の詳細な構成および機能について説明する。制御部25は、SoC30と、ASIC/FPGA40とから構成される。SoC30は、ハンドヘルドプリンタ10全体の制御を行うCPU31と、メモリ23を制御するメモリコントローラ(CTL)32と、センサ24の位置や各ノズルの位置を算出する位置算出回路33とを含む。これらは、バス34に接続され、バス34を介してデータ等のやりとりを行う。
【0030】
ASIC/FPGA40は、ナビゲーションセンサI/F41と、タイミング生成回路42と、記録ヘッド制御回路43と、イメージRAM44、DMAC(Direct Memory Access Controller)45と、回転器46と、割り込み回路47とを含む。これらは、バス48に接続され、バス48を介してデータ等のやりとりを行う。なお、バス48は、バス34とも接続され、SoC30とASIC/FPGA40はこれらバス34、48を介してデータ等のやりとりを行う。
【0031】
ナビゲーションセンサI/F41は、センサ24と通信し、センサ24からの出力値であるdX、dYを受信し、その値を内部メモリである内部レジスタに格納する。タイミング生成回路42は、センサ24が光を照射し、媒体12からの反射光をイメージデータとして取得するタイミングの情報を生成し、その情報をナビゲーションセンサI/F41に通知する。すなわち、タイミング生成回路42は、媒体12を読み取るタイミングを指示する。また、タイミング生成回路42は、記録ヘッド27を駆動するタイミングの情報を生成し、その情報を記録ヘッド制御回路43に通知する。すなわち、タイミング生成回路42は、印刷を行うために複数のノズルからインクを吐出させるタイミングを指示する。
【0032】
DMAC45は、位置算出回路33が算出した位置情報を基に、記録ヘッド27が備える各ノズルの周辺画像の画像データを、メモリ23から読み出す。イメージRAM44は、DMAC45が読み出した周辺画像の画像データを一時的に格納する。回転器46は、周辺画像を、ユーザにより指定されたヘッド位置や傾きに応じて回転させ、それを記録ヘッド制御回路43へ出力する。回転器46は、例えば位置算出回路33が位置座標を算出する際に算出した回転角度を取得し、その回転角度を用いて周辺画像を回転させることができる。
【0033】
記録ヘッド制御回路43は、上記の記録ヘッドを駆動するタイミングの情報から制御信号を生成し、回転器46から出力された周辺画像の画像データを受け付け、どのノズルからインクを吐出させるか判断する。記録ヘッド制御回路43は、判断結果およびタイミングの情報に応じて、インクを吐出させるノズルの情報、印字データを記録ヘッド駆動回路28に出力する。
【0034】
割り込み回路47は、ナビゲーションセンサI/F41がセンサ24との通信を終了した際、SoC30にその旨を通知し、また、エラー等のステータス情報を通知する。
【0035】
次に、
図4を参照して、スマートデバイス11のハードウェア構成について説明する。スマートデバイス11は、起動プログラムやファームウェアを格納するROM50と、作業領域を提供するためにRAM51とを備える。また、スマートデバイス11は、画像データや、画像データを開き、印刷指示するためのアプリケーションや、OS等を記憶するフラッシュメモリ等の読み書き可能な記憶装置52を備える。
【0036】
スマートデバイス11は、ROM50に格納された起動プログラムや記憶装置52に記憶されたアプリケーション等を実行するCPU53を備え、さらに、画像を表示する表示装置54、その画像の印刷指示を入力する入力装置55を備える。なお、表示装置、入力装置は、別個の装置として構成されたものに限らず、これらの機能を備えるタッチパネルとされていてもよい。表示装置54および入力装置55は、入出力I/F56と接続され、入出力I/F56により表示や情報の入力が制御される。
【0037】
また、スマートデバイス11は、ハンドヘルドプリンタ10と無線通信を行うために通信I/F57を備える。ROM50、RAM51、記憶装置52、CPU53、入出力I/F56、通信I/F57は、バス58に接続され、バス58を介して互いにデータ等のやりとりを行う。
【0038】
図5を参照して、スマートデバイス11が実行する処理について、
図6および
図7を参照して、ハンドヘルドプリンタ10が実行する処理について説明する。
【0039】
先に、スマートデバイス11の処理について説明する。
図5のステップ500で、ユーザがスマートデバイス11の電源スイッチを押下すると、スマートデバイス11はそれを受け付け、電池やバッテリ等から電源を供給して起動し、処理を開始する。
【0040】
ステップ501では、複数の画像データを表示し、印刷したい画像データの選択を受け付ける。そして、ステップ502で、スマートデバイス11が搭載しているアプリケーションまたはプリンタドライバにより印刷データに変換して、またはTIFF(Tag Image File Format)やJPEG(Joint Photographic Expert Group)等のデータ形式の画像データのまま、ハンドヘルドプリンタ10に送信し、印刷ジョブを実行する。印刷ジョブの実行後、ステップ503でスマートデバイス11の処理を終了する。
【0041】
ユーザは、ハンドヘルドプリンタ10を媒体12上で初期位置を決め、ハンドヘルドプリンタ10の印刷開始ボタンを押下する。その後、ユーザは、媒体12上をフリーハンド走査し、画像を形成していく。
【0042】
次に、ハンドヘルドプリンタ10の処理について説明する。
図6のステップ600で、ユーザがハンドヘルドプリンタ10の電源スイッチを押下すると、ハンドヘルドプリンタ10はそれを受け付け、電池やバッテリ等から電源を供給して起動し、処理を開始する。
【0043】
ステップ601では、SoC30が、ハンドヘルドプリンタ10の初期化を行う。初期化では、センサ24や各回路の立ち上げを行う。ステップ602では、初期化が完了するのを待ち、完了したところで、ステップ603へ進み、SoC30がLEDを点灯させる。これにより、ユーザに対して、ハンドヘルドプリンタ10が印刷可能状態であることを通知する。
【0044】
ステップ604では、SoC30が、スマートデバイス11から印刷ジョブを受け付けたかどうか確認する。すなわち、印刷データまたは画像データを受け付けたかどうかを確認する。スマートデバイス11から印刷ジョブを受け付けるまで、この処理を繰り返す。印刷ジョブを受け付けたところで、ステップ605へ進み、画像データの画像を読み込み、LEDを点滅させる。印刷ジョブとして印刷データを受け付けた場合は、レンダリング処理を行って画像を生成し、LEDを点滅させる。この点滅により、画像が入力されたことをユーザに通知する。そして、ステップ606でユーザにより印字開始ボタンが押下されるのを待つ。
【0045】
ユーザにより印字開始ボタンが押下され、ステップ607でフリーハンド走査が開始されるのを待ち、フリーハンド走査が開始されると、センサ24がハンドヘルドプリンタ10の現在位置を開始位置として検知する。ステップ608では、SoC30が、ナビゲーションセンサI/F41を介して、検知した開始位置の位置情報を取得し、ステップ609で、内部メモリに格納する。
【0046】
ステップ610では、ハンドヘルドプリンタ10が備えるタイミング生成回路42のカウンタにより時間を計測し、ステップ611で一定時間が経過するのを待つ。一定時間が経過し、現在位置を検知する時間に達した場合、ステップ612へ進み、センサ24が現在位置を検知する。検知した位置の位置情報は、開始位置の位置情報と同様、SoC30により取得され、内部メモリに格納される。
【0047】
ハンドヘルドプリンタ10のセンサ24は、ユーザが指定した初期位置を検出し、続いて自動読み取りを行い、移動量の算出を行い、一定時間間隔で算出した移動量をセンサ出力値として出力する。センサ出力値は、上記のように内部メモリに格納される。位置算出回路33は、格納されたセンサ出力値に基づき、記録ヘッド27の位置や回転角度を算出する。この位置は、二次元の位置座標として算出される。算出された記録ヘッド27の位置や回転角度は、ASIC/FPGA40に通知される。
【0048】
図7に示すステップ613では、ASIC/FPGA40が、算出された記録ヘッド27の位置座標や回転角度から各ノズルの位置座標を算出する。ステップ614では、各ノズルの位置座標を基に、周辺画像の画像データをメモリ23からイメージRAM44へ転送する。そして、回転器46が、ユーザにより指定されたヘッド位置およびヘッドの傾きに応じて、その画像データにおける画像を回転させる。
【0049】
ステップ615では、ASIC/FPGA40が、転送された画像データを使用し、周辺画像を構成する画像要素の位置と、算出された各ノズルの位置とを比較し、ステップ616で、吐出条件を満たすか否かを判断する。吐出条件を満たすか否かは、各ノズルの位置が、各画像要素の位置座標の許容誤差範囲内に入っているかどうかにより判断する。
【0050】
ステップ616で吐出条件を満たさない場合、ステップ611へ戻り、満たす場合は、ステップ617へ進む。ステップ617では、インクを吐出させるために、記録ヘッド制御回路43へ対応する画像要素の印字データを出力する。そして、ステップ618で、全データの吐出が完了または印字終了ボタンが押下されたか否かを判断する。
【0051】
全データの吐出が完了していない場合、または印字終了ボタンが押下されていない場合、ステップ611へ戻り、完了している場合、または押下された場合、ステップ619へ進む。ステップ619では、SoC30が、ユーザに対して印字完了を通知するために、LEDを点灯させ、ステップ620でハンドヘルドプリンタ10の処理を終了する。
【0052】
ユーザは、全データを吐出しなくても充分と判断した場合には、印字終了ボタンを押下し、印字を完了してもよい。また、SoC30が印刷ジョブの受け付け、記録ヘッド27の位置や回転角度の算出、LEDの点灯等を実施し、ASIC/FPGA40が各ノズルの位置座標の算出、吐出条件を満たすか否かの判断等を実施するように、それぞれの役割を切り分けているが、CPU性能やASIC/FPGAの回路規模等により、切り分けを変更してもよい。したがって、SoC30が、例えば各ノズルの位置座標の算出までを実施してもよいし、ASIC/FPGA40が、例えば記録ヘッド27の位置や回転角度の算出から実施してもよい。
【0053】
ハンドヘルドプリンタ10のハードウェア構成および全体の処理については、以上の通りであるが、以下、起動完了を通知するための機能構成および起動処理の詳細について説明する。
図8は、ハンドヘルドプリンタ10の機能構成の一例を示したブロック図である。
【0054】
ハンドヘルドプリンタ10は、受付部60と、供給部61と、実行部62と、通知部63とを少なくとも含んで構成される。これらの各機能部は、例えばメモリ23に格納されたプログラムを制御部25が実行することにより実現される。また、ハンドヘルドプリンタ10は、蓄電部64と、充電制御部65と、電源接続部66とを含むことができる。蓄電部64は、電源20により、充電制御部65や電源接続部66は、電源回路21により実現される。
【0055】
受付部60は、電源スイッチ(SW)の押下により電源供給の指示を受け付ける。電源SWは、スイッチの設置面に対して垂直に移動する押しボタン式のものであってもよいし、スイッチの設置面に対して水平に移動するスライド式のものであってもよい。また、垂直方向や水平方向に移動する方式に限定されるものではなく、斜め方向に移動する方式や一定の方向に回転させる方式等であってもよい。受付部60は、ユーザが電源SWを所定時間押下(長押し)することにより、その間、電源供給の指示を継続して受け付ける。一方、受付部60は、ユーザが所定時間の途中で電源SWの押下を停止すると、それ以降、電源供給の指示を受け付けなくなる。ここで、所定時間は、実行部62への電源供給が開始されてから起動プログラムの実行が終了するまでの時間である。
【0056】
供給部61は、受付部60が指示を受け付けたことを受けて、バッテリ等の蓄電部64から電源を供給する。充電制御部65は、電力の供給源に接続するコンセント等の電源接続部66に電源ケーブルが接続されると、蓄電部64への蓄電を開始させ、電源ケーブルに供給される電力を蓄電部64に蓄電する。また、充電制御部65は、通知部63に対し、蓄電している間、充電中であることを通知するように要求する。
【0057】
実行部62は、供給部61から電源の供給を受けて、ハンドヘルドプリンタ10を起動する起動プログラムを実行し、起動プログラムの実行が終了したところで、通知部63に対し、起動完了を通知するように要求する。
【0058】
通知部63は、視覚的な手段で通知する表示部や発光体、聴覚的な手段で通知する音出力装置等を用いて実現される。なお、通知部63は、視覚的な手段と聴覚的な手段のいずれか一方またはその両方を用い、ユーザに対して充電中であることや起動完了等を通知することができる。通知部63が通知する情報は、ここでは充電中であることや起動完了という情報として説明するが、エラー情報等、これら以外の情報であってもよい。以下、通知部63として、視覚的な手段の1つである発光体を用いるものとして説明する。
【0059】
通知部63は、例えば1つの表示部窓の下に単色発光体と多色発光体とを並べて配置したものを用い、充電中の通知要求を受けて、単色発光体を発光させ、起動完了の通知要求を受けて、多色発光体を発光させる。
【0060】
供給部61は、起動プログラムの実行が終了するまでの間、受付部60が指示を継続して受け付けるか否かに応じて、電源供給を継続または停止する。すなわち、供給部61は、受付部60が指示を継続して受け付ける場合は、電源供給を継続し、指示を受け付けなくなった場合は、指示を受け付けなくなった時点で電源供給を停止する。供給部61は、起動プログラムの実行が終了した後は、受付部60が継続して指示を受け付ける否かに関係なく、電源供給を継続する。
【0061】
通知部63は、充電中の通知と起動完了の通知とを、単色発光体と多色発光体の両方を発光させることにより行うことができるが、両方を発光させると、同じ表示部窓から外部へ向けて発光するため、色が混ざり合い、いずれか一方の通知なのか、両方の通知なのか判別しにくい。
【0062】
そこで、供給部61は、受付部60が指示を受け付けたタイミングで実行部62へ電源供給を開始し、通知部63に対し、充電中の通知を停止するように要求する。すなわち、供給部61は、発光している単色発光体に対し、消灯するように要求する。これにより、いずれの通知であるかが容易に判別することが可能となる。
【0063】
単色発光体は、充電中、例えば緑色に発光し、多色発光体は、起動完了時に、単色発光体とは異なる、例えば青色に発光する。なお、これらの色は一例であるので、他の色であってもよい。また、単色発光体が一度消灯して多色発光体が発光し、起動完了したことを検知することは可能であるため、単色発光体と多色発光体が発光する色は、同じ色であってもよい。
【0064】
図9は、通知部63の構成例を示した図である。通知部63は、ハンドヘルドプリンタ10の筐体(外装)70の一部に設けられる表示部窓71と、表示部窓71の下に並べて配置される単色発光体72および多色発光体73とを含んで構成される。
図9(a)は、表示部窓71を上から見た図で、
図9(b)は、ハンドヘルドプリンタ10を表示部窓71において切断した断面図である。
【0065】
ハンドヘルドプリンタ10の外装70は光を透過せず、表示部窓71のみが光を透過する。このため、単色発光体72および多色発光体73が発する光は、表示部窓71を通してのみ外部へ放出され、ユーザに届く。
【0066】
単色発光体72は、例えば1つのLEDを、多色発光体73は、例えば2以上のLEDを用いて構成することができる。1つのLEDで構成された単色発光体72は、赤色、緑色、青色のいずれか1色の光を発することができ、2以上のLEDで構成された多色発光体73は、赤色、緑色、青色のほか、黄色や紫色等の他の色の光を発することができる。なお、これらは一例であり、発光体としては無機EL(Electro Luminescence)等を用いてもよい。また、1または2以上のLEDにより構成される単色発光体72または多色発光体73の一方を、上記の印刷開始可能であること等を通知する際のLEDとして使用することができる。
【0067】
単色発光体72および多色発光体73は、例えばCPU、ROM、RAM等が実装される回路基板74上に実装され、回路基板74の上方へ向けて発光する。回路基板74の上部には、光を透過する表示部窓71が設けられるため、単色発光体72および多色発光体73が発した光は、表示部窓71を通して外部へ放出される。なお、単色発光体72および多色発光体73は、CPU等が実装された回路基板74上に実装されることに限られるものではなく、例えば別途設けられる小基板上に実装されていてもよい。
【0068】
供給部61、実行部62、充電制御部65は、電源供給、起動プログラムの実行、充電の制御等を行うが、その際、
図10に示すテーブルを参照して制御や通知を行うことができる。
図10は、供給部61、実行部62、充電制御部65が参照する制御情報を示したテーブルである。
【0069】
図10に示すテーブルは、充電の有無、電源ON/OFF、起動プログラムの実行が終了したかどうか(起動完了かどうか)、制御仕様の情報が含まれる。充電の有無は、「有り」、「無し」のほか、充電に異常が起きている状態、すなわち「異常」が含まれる。充電に異常が起きている状態は、充電が進まない状態や蓄電部64の温度が所定温度を超える状態等であり、それ以外は充電が正常になされている状態である。
【0070】
制御仕様は、どのように制御するかという制御内容を記述したもので、「消灯」、「緑色 点灯」、「緑色 点滅」、「ソフト制御」等が一例として挙げられる。ソフト制御は、実行部62により起動プログラムの実行が終了した後に実行されるソフトウェアによる制御である。
【0071】
具体的な制御について参照してみると、充電がされておらず、ハンドヘルドプリンタ10の電源がOFFで、起動プログラムの実行が終了していない場合、単色発光体72と多色発光体73の両方を消灯する。
【0072】
ハンドヘルドプリンタ10の電源がOFFで、起動プログラムの実行が終了していないが、充電が正常になされ、充電中である場合、単色発光体72を緑色に点灯させる。
【0073】
ハンドヘルドプリンタ10の電源がOFFで、起動プログラムの実行が終了しておらず、充電に異常が起きている場合、単色発光体72を緑色に点滅させる。
【0074】
充電の状態に関係なく、ハンドヘルドプリンタ10の電源がONにされたが、起動プログラムの実行が終了していない場合、単色発光体72と多色発光体73の両方を消灯する。
【0075】
充電の状態に関係なく、ハンドヘルドプリンタ10の電源がONにされ、起動プログラムの実行が終了した場合、ソフト制御を行い、例えば多色発光体73を青色に点灯する。
【0076】
ハンドヘルドプリンタ10の起動処理の流れについて、
図11および
図12を参照して詳細に説明する。
図11は、充電なしの時の起動処理を示したシーケンス図で、
図12は、充電中の起動処理を示したシーケンス図である。
【0077】
最初に充電なしの場合の処理について説明する。
図11を参照して、ハンドヘルドプリンタ10は、電源がONにされるまでは、受付部60は、指示を受け付けない状態(指示なし状態)で、通知部63は、消灯状態である。また、供給部61は、電源供給を停止した状態(OFF状態)で、実行部62も、停止した状態(OFF状態)である。
【0078】
ユーザ80がハンドヘルドプリンタ10の電源SWを押下し、電源をONにすることで、受付部60が電源供給の指示を受け付ける(
図11のS1)。ユーザ80が電源SWを押下し続けている間、受付部60は継続して指示を受け付ける(指示継続受付状態)。
【0079】
受付部60は、供給部61に対し、指示を受け付けたことを通知する。その通知は、電源保持信号を送出することにより行われる(
図11のS2)。
【0080】
供給部61は、電源保持信号を受け取り、ON状態になり、実行部62に対して電源供給を開始する(
図11のS3)。実行部62は、供給部61からの電源供給を受けて、ON状態になり、起動プログラムを実行し、その実行が終了したところで、起動完了となる。起動完了となったところで、実行部62は、供給部61に対して電源保持信号を送出する(
図11のS4)。
【0081】
また、実行部62は、通知部63に対し、起動完了を通知するように要求する(
図11のS5)。通知部63は、実行部62からの要求を受けて、多色発光体73を点灯させる等して、ユーザ80に対して起動完了を通知する(
図11のS6)。なお、実行部62が供給部61に対して電源保持信号を送出する処理と、実行部62が通知部63に対して指示し、通知部63がユーザ80に対して起動完了を通知する処理は、順序が入れ替わっていてもよい。ただし、電源保持信号を送出する処理は、ユーザ80が電源SWを離し、受付部60が指示を受け付けなくなる前に実行される必要がある。電源供給が停止してしまうからである。
【0082】
ユーザ80は、多色発光体73の点灯等により起動が完了したことに気付き、電源SWを離す(
図11のS7)。ユーザ80が電源SWを離し、受付部60が指示を受け付けなくなると、指示なし状態となり、受付部60は、供給部61に対して電源保持信号の送出を停止する(
図11のS8)。供給部61は、受付部60からの電源保持信号の送出停止を受けるが、実行部62から電源保持信号を受けて、実行部62への電源供給を継続する。すなわち、ON状態が維持される。これは、再び電源SWが押下される等して、ハンドヘルドプリンタ10の動作を終了する処理(シャットダウンシーケンス)が終了するまで継続される。
【0083】
次に充電ありの場合の処理について説明する。
図12を参照して、ハンドヘルドプリンタ10は、電源がONにされるまで受付部60は指示なし状態、供給部61はOFF状態、実行部62もOFF状態である。充電ありの場合、充電制御部65が電源接続部66への電源ケーブルの接続を受けて充電を開始させ、通知部63に対して充電中であることを通知するように要求する(
図12のS1)。通知部63は、単色発光体72を点灯させる等して、ユーザに充電中であることを通知する。
【0084】
ユーザ80がハンドヘルドプリンタ10の電源をONにすると、受付部60が指示を受け付ける(
図12のS2)。ユーザ80が電源スイッチを押下し続けている間、受付部60は継続して指示を受け付ける(指示継続受付状態)。
【0085】
受付部60は、供給部61に対し、指示を受け付けたことを通知する。その通知は、電源保持信号を送出することにより行われる(
図12のS3)。
【0086】
供給部61は、電源保持信号を受けて、ON状態になり、通知部63に対して単色発光体72を消灯するように要求し(
図12のS4)、ユーザへの通知を停止させる。また、供給部61は、電源保持信号を受けて、実行部62に対して電源供給を開始する(
図12のS5)。
図12のS4とS5の処理は、同時に実行されてもよいし、その開始の順序が逆であってもよい。
【0087】
実行部62は、供給部61からの電源供給を受けて、ON状態になり、起動プログラムを実行し、その実行が終了したところで、起動完了となる。起動完了となったところで、実行部62は、供給部61に対して電源保持信号を送出する(
図12のS6)。
【0088】
また、実行部62は、通知部63に対し、起動完了を通知するように要求する(
図12のS7)。通知部63は、実行部62からの要求を受けて、多色発光体73を点灯させる等して、ユーザ80に対して起動完了を通知する(
図12のS8)。この場合も、実行部62が供給部61に対して電源保持信号を送出する処理と、実行部62が通知部63に対して指示し、通知部63がユーザ80に対して起動完了を通知する処理は、順序が入れ替わっていてもよい。ただし、電源保持信号を送出する処理は、ユーザ80が電源スイッチを離し、受付部60が指示を受け付けなくなる前に実行される必要がある。電源供給が停止してしまうからである。
【0089】
ユーザ80は、多色発光体73の点灯等により起動が完了したことに気付き、電源SWを離す(
図12のS9)。ユーザ80が電源SWを離し、受付部60が指示を受け付けなくなると、指示なし状態となり、受付部60は、供給部61に対して電源保持信号の送出を停止する(
図12のS10)。供給部61は、受付部60からの電源保持信号の送出停止を受けるが、実行部62から電源保持信号を受けて、実行部62への電源供給を継続する。すなわち、ON状態が維持される。これは、再び電源SWが押下される等して、ハンドヘルドプリンタ10のシャットダウンシーケンスが終了するまで継続される。
【0090】
ハンドヘルドプリンタ10の起動時の処理は以上の通りであるが、電源保持信号の送出、入力、電源の立ち上がり、通知を指示する信号の送出のタイミングについて、
図13および
図14を参照して説明する。
図13は、正常に電源ON、OFFする場合のタイミングチャートで、
図14は、正常に電源ONできなかった場合のタイミングチャートである。
【0091】
先に
図13を参照して正常に電源ON、OFFする場合について説明する。
図13は、電源SWの押下による電源保持信号、実行部62が供給部61へ出力する電源保持信号、供給部61へ入力される電源保持信号、電源の立ち上がり、通知を要求する信号の矩形波を示している。矩形波は、電圧が高い状態を1とし、低い状態を0とする正論理の場合を示している。これに限られるものではなく、矩形波は、電圧が高い状態を0とし、低い状態を1とする負論理としてもよい。
【0092】
電源をONにする場合、ユーザは、ハンドヘルドプリンタ10の電源SWを押下する。これにより、ハンドヘルドプリンタ10では、受付部60が電源供給の指示を受け付け、供給部61に対して電源保持信号を送出する(
図13のS1)。送出された電源保持信号は、供給部61に入力される(
図13のS2)。供給部61は、実行部62への電源供給を開始する(
図13のS3)。
【0093】
実行部62への電源供給が開始されてから実行部62が起動プログラムの実行を終了するまでの間(
図13のS4)、ユーザが電源SWを押下し続けた場合、起動が完了し、実行部62が電源保持信号を出力する(
図13のS5)。また、実行部62は、通知部63に対し、起動完了を通知するように要求する信号を出力する(
図13のS6)。これにより、通知部63は、多色発光体73を発光させ、ユーザに起動完了を通知する。
【0094】
ユーザは、多色発光体73の発光を見て、起動完了に気付き、押下し続けていた電源SWを離す(
図13のS7)。ユーザが電源SWを離しても、
図13のS5で実行部62が電源保持信号を出力しているので、電源供給は継続される。
【0095】
電源をOFFにする場合は、電源をONにする場合と同様に、ユーザが電源SWを押下する。すなわち、ハンドヘルドプリンタ10が起動完了した後、電源SWを押下した場合に電源をOFFにすることができる。この電源SWの押下を受けて、受付部60が電源供給を停止する指示を受け付け、供給部61に対して電源保持信号を送出する(
図13のS8)。
【0096】
電源SWが一定時間押下されたことを実行部62が検知したことを受けて(
図13のS9)、実行部62は、シャットダウンシーケンスを実行し、シーケンスが終了した後、電源保持信号の出力を停止する(
図13のS10)。電源SWの一定時間の押下は、電源SWが誤って押下されたこと等による、ユーザの意思に寄らないシャットダウンを防止するためである。
【0097】
また、実行部62は、起動完了を通知するように要求する信号の出力も停止する(
図13のS11)。これにより、通知部63は、多色発光体73を消灯し、ユーザに対し、シャットダウン完了を通知する。
【0098】
このとき、実行部62からの電源保持信号の出力は停止されるが、ユーザの電源SWの押下に伴う受付部60からの電源保持信号の送出は継続されているため、供給部61は実行部62に対して電源供給を継続する。
【0099】
ユーザは、多色発光体73の消灯を見て、シャットダウン完了に気付き、押下し続けていた電源SWを離す。受付部60は、これを受けて電源保持信号の送出を停止する(
図13のS12)。この電源保持信号の送出を停止することにより、供給部61へ電源保持信号の入力がなくなる(
図13のS13)。これに伴い、供給部61から実行部62への電源供給が停止する(
図13のS14)。
【0100】
次に
図14を参照して正常に電源ONできなかった場合について説明する。
図14も、
図13と同様、電源SWの押下による電源保持信号、実行部62が供給部61へ出力する電源保持信号、供給部61へ入力される電源保持信号、電源の立ち上がり、通知を指示する信号の矩形波を示している。矩形波は、電圧が高い状態を1とし、低い状態を0とする正論理の場合を示している。この場合も、矩形波は、負論理としてもよい。
【0101】
電源をONにする場合、ユーザは、ハンドヘルドプリンタ10の電源SWを押下する。これにより、ハンドヘルドプリンタ10では、受付部60が電源供給の指示を受け付け、供給部61に対して電源保持信号を送出する(
図14のS1)。送出された電源保持信号は、供給部61に入力される(
図14のS2)。供給部61は、実行部62への電源供給を開始する(
図14のS3)。
【0102】
実行部62への電源供給が開始されてから実行部62が起動プログラムの実行を終了するまでの間(
図14のS4)より短い時間しかユーザが電源SWを押下しなかった場合、起動が完了する前に、受付部60からの電源保持信号の送出が停止し(
図14のS5)、供給部61への電源保持信号の入力も停止する(
図14のS6)。
【0103】
これにより、供給部61から実行部62へ電源供給ができなくなり(
図14のS7)、実行部62は、起動プログラムの実行を途中で停止する。起動が完了していないので、ハンドヘルドプリンタ10が使用可能な状態にはなっておらず、正常に電源ONできなったことになる。この場合、正常に電源ONにするために、再度電源SWを押下し、
図14のS4の期間より長い時間、電源SWを押下し続けることができる。
【0104】
ハンドヘルドプリンタ10は、CPU等の実行部が電源保持信号を出力し、電源供給を継続することで低コスト化と小型化を実現しているが、起動プログラムが終了するまでに時間がかかる。その間、ユーザが電源SWを押下し続け、電源を供給し続ける必要があるが、従来においては、電源SWをいつ離してよいかが分からなかった。
【0105】
しかしながら、本機器や本方法では、上記のように起動プログラムが終了し、起動完了を通知部63により通知することができるので、ユーザが電源SWから手を離してよいタイミングを知ることができる。
【0106】
また、充電時に使用する際、充電中の通知を一旦停止し、起動完了のみを通知することで、通知する内容の切り替えがユーザに伝わりやすくなる。視覚的な手段で通知する場合、その通知方法として、通知する情報に応じて、色を変える、あるいは点灯状態を変える等のユーザが気付きやすい方法を採用することができる。聴覚的な手段で通知する場合、その通知方法として、通知する情報に応じて、音の出力内容、例えば音の大きさ、テンポ、メロディを変える等のユーザが気付きやすい方法を採用することができる。
【0107】
これまで本発明を、電子機器、通知方法およびプログラムとして上述した実施の形態をもって説明してきた。しかしながら、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、他の実施の形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができるものである。また、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0108】
したがって、上記のプログラムが記録された記録媒体、上記のプログラムが格納され、ダウンロード要求を受けて提供するサーバ装置、通信端末と電子機器とから構成される通信システム等も提供することができるものである。
【符号の説明】
【0109】
10…ハンドヘルドプリンタ
11…スマートデバイス
12…媒体
20…電源
21…電源回路
22…通信I/F
23…メモリ
24…センサ
25…制御部
26…OPU
27…記録ヘッド
28…記録ヘッド駆動回路
30…SoC
31…CPU
32…メモリCTL
33…位置算出回路
34…バス
40…ASIC/FPGA
41…ナビゲーションセンサI/F
42…タイミング生成回路
43…記録ヘッド制御回路
44…イメージRAM
45…DMAC
46…回転器
47…割り込み回路
50…ROM
51…RAM
52…記憶装置
53…CPU
54…表示装置
55…入力装置
56…入出力I/F
57…通信I/F
58…バス
60…受付部
61…供給部
62…実行部
63…通知部
64…蓄電部
65…充電制御部
66…電源接続部
70…外装
71…表示部窓
72…単色発光体
73…多色発光体
74…回路基板
80…ユーザ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0110】