(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】仕切り部材及び組電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6555 20140101AFI20220614BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20220614BHJP
H01M 10/651 20140101ALI20220614BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20220614BHJP
H01M 10/647 20140101ALN20220614BHJP
【FI】
H01M10/6555
H01M10/613
H01M10/651
H01M10/625
H01M10/647
(21)【出願番号】P 2019556762
(86)(22)【出願日】2018-11-30
(86)【国際出願番号】 JP2018044273
(87)【国際公開番号】W WO2019107562
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-09-17
(31)【優先権主張番号】P 2017231280
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本多 立彦
(72)【発明者】
【氏名】丸 直人
(72)【発明者】
【氏名】川井 友博
(72)【発明者】
【氏名】曽我 巌
【審査官】坂本 聡生
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/032697(WO,A1)
【文献】特開2012-48905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/52-10/667
H01M50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向と前記厚み方向に直交する面方向とを有し、該厚み方向において組電池を構成する単電池間、又は組電池を構成する単電池と単電池以外の部材とを仕切る仕切り部材であって、
液体を保持可能な内包体と、
該内包体及び液体を収容する外装体とを含み、
外装体と内包体を厚み方向から平面視した場合における内包体の面積S1と外装体と内包体との隙間の面積S2とが下記式1の関係を満たし、かつ
液体の体積V1と内包体の体積V2が下記式2の関係を満たす仕切り部材。
式1: S1/(S1+S2)≦0.99
式2: 0.02≦V1/V2≦1.90
【請求項2】
前記S1と前記S2が下記式3の関係を満たす、請求項1に記載の仕切り部材。
式3: 0.10≦S1/(S1+S2)≦0.99
【請求項3】
前記内包体に保持された前記液体が、外圧が高くなった際に前記外装体及び前記内包体の変形に応じて前記外装体と前記内包体との隙間に移動する、請求項1又は2に記載の仕切り部材。
【請求項4】
前記外装体と前記内包体との隙間に移動した前記液体が、外圧が低くなった際に外装体及び内包体の変形に応じて内包体の内部に移動する、請求項3に記載の仕切り部材。
【請求項5】
前記内包体が前記外装体の内部空間において固定されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の仕切り部材。
【請求項6】
前記外装体の内部空間の気圧が前記外装体外部の気圧より低い、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の仕切り部材。
【請求項7】
前記内包体が多孔質体を含む材料で形成されている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の仕切り部材。
【請求項8】
前記多孔質体が繊維質及び粒子の少なくとも一方を含む、請求項7に記載の仕切り部材。
【請求項9】
前記外装体が、金属箔と樹脂のラミネート体である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の仕切り部材。
【請求項10】
前記金属箔が、アルミニウム箔、銅箔、錫箔、ニッケル箔、ステンレス箔、鉛箔、錫鉛合金箔、青銅箔、銀箔、イリジウム箔及び燐青銅から選ばれる少なくとも1つである、請求項9に記載の仕切り部材。
【請求項11】
前記樹脂が、熱可塑性樹脂である、請求項9又は10に記載の仕切り部材。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の仕切り部材を備える組電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕切り部材及び組電池に関する。
【0002】
近年、車両等の電源としての使用が急増している二次電池について、車両等の限られた空間に搭載する際の自由度を向上させる目的や、一度の充電に対して走行可能な航続距離を伸ばす等の目的から、二次電池の高エネルギー密度化の検討が進められている。一方、二次電池の安全性はエネルギー密度とは相反する傾向にあり、高エネルギー密度を有する二次電池となるほど安全性は低下する傾向にある。例えば、航続距離が数百kmに及ぶような電気自動車に搭載される二次電池では、過充電や内部短絡等により二次電池が損傷した場合の電池表面温度が数百℃を超え、1000℃近くに及ぶ場合もある。
【0003】
車両等の電源に使用される二次電池は一般に複数の単電池から成る組電池として用いられるため、組電池を構成する単電池の一つが損傷して上記のような温度域に到達した場合、その発熱により隣接する単電池が損傷を受け、連鎖的に組電池全体に損傷が拡がるおそれがある。このような単電池間の損傷の連鎖を防ぐため、単電池と単電池の間に仕切り部材を設け、損傷した単電池を冷却する技術が種々提案されている。
【0004】
例えば、シート状の袋の中に水等の冷却剤を入れた構成の仕切り部材を単電池と単電池の間に設置するモジュールがある(例えば、特許文献1)。このモジュールによれば、隣接する単電池からの発熱を効率よく近隣の単電池に移動させるほか、隣接する単電池が損傷し、電池表面が高温に至った場合には、開封部から袋中の水が放出され、損傷した電池を冷却することができる。また、シート状の袋の中に水等の冷却剤を含浸させた多孔質体を入れた構成の仕切り部材がある(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5352681号公報
【文献】特開2013-131428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者等がこれらの従来の技術を詳細に検討した結果、以下のような課題があることが分かった。即ち、組電池中の単電池は、組電池製造時に拘束圧がかかる。また、単電池は、充電される際に単電池内の電極が膨張するため、その筐体も膨張し、隣接する部材を圧迫する。更に、単電池は繰り返しの使用により、単電池内の電解液からのガスが発生して膨張することによっても圧力がかかる。これらの理由から単電池の間に設置される仕切り部材には、耐圧性が要求される。しかしながら、特許文献1、2に開示されている仕切り部材については、耐圧性に関する検討は十分になされていない。
【0007】
以上の問題点を鑑み、本発明の課題は、耐圧性及び熱伝導特性に優れた仕切り部材及び組電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等が前記課題を解決するために鋭意検討した結果、液体を保持可能な内包体と、該内包体及び液体を収容する外装体とを含む仕切り部材において、外装体と内包体の大きさの関係及び内包体と液体の体積の関係を適切に設定することにより上記課題を解決し得ることを見出し、本発明に到達した。即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
【0009】
[1]厚み方向と前記厚み方向に直交する面方向とを有し、該厚み方向において組電池を構成する単電池間、又は組電池を構成する単電池と単電池以外の部材とを仕切る仕切り部材であって、液体を保持可能な内包体と、該内包体及び液体を収容する外装体とを含み、外装体と内包体を厚み方向から平面視した場合における内包体の面積S1と外装体と内包体との隙間の面積S2とが下記式1の関係を満たし、かつ液体の体積V1と内包体の体積V2が下記式2の関係を満たす仕切り部材。
式1: S1/(S1+S2)≦0.99
式2: 0.02≦V1/V2≦1.90
【0010】
[2]前記S1と前記S2が下記式3の関係を満たす、[1]に記載の仕切り部材。
式3: 0.10≦S1/(S1+S2)≦0.99
【0011】
[3]前記内包体に保持された前記液体が、前記外圧が高くなった際に前記外装体及び前記内包体の変形に応じて前記外装体と前記内包体との隙間に移動する、[1]又は[2]に記載の仕切り部材。
[4]前記外装体と前記内包体との隙間に移動した前記液体が、外圧が低くなった際に外装体及び内包体の変形に応じて内包体の内部に移動する、[3]に記載の仕切り部材。
【0012】
[5]前記内包体が前記外装体の内部空間において固定されている、[1]乃至[4]のいずれか一つに記載の仕切り部材。
【0013】
[6]前記外装体の内部空間の気圧が前記外装体外部の気圧より低い、[1]乃至[5]のいずれか一つに記載の仕切り部材。
【0014】
[7]前記内包体が多孔質体を含む材料で形成されている、[1]乃至[6]のいずれか一つに記載の仕切り部材。
[8]前記多孔質体が繊維質及び粒子の少なくとも一方を含む、[7]に記載の仕切り部材。
【0015】
[9]前記外装体が、金属箔と樹脂のラミネート体である、[1]乃至[8]のいずれか一つに記載の仕切り部材。
[10]前記金属箔が、アルミニウム箔、銅箔、錫箔、ニッケル箔、ステンレス箔、鉛箔、錫鉛合金箔、青銅箔、銀箔、イリジウム箔及び燐青銅から選ばれる少なくとも1つである、[9]に記載の仕切り部材。
[11]前記樹脂が、熱可塑性樹脂である、[9]又は[10]に記載の仕切り部材。
【0016】
[12][1]乃至[11]のいずれか一つに記載の仕切り部材を備える組電池。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、耐圧性及び熱伝導特性に優れた仕切り部材及び組電池が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】
図1Aは、実施形態に係る仕切り部材の第1の構成例を示す正面図である。
【
図1B】
図1Bは、
図1Aに示した仕切り部材をA-A線で切断した場合の端面を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る仕切り部材の第2の構成例を示す正面図である。
【
図3A】
図3Aは、組電池を構成する単電池の一例を示す平面図である。
【
図3B】
図3Bは、組電池を構成する単電池の一例を示す正面図である。
【
図3C】
図3Cは、組電池を構成する単電池の一例を示す側面図である。
【
図4】
図4は、複数の単電池を用いて形成された組電池を、単電池の端子を通る高さ方向の面で切断した場合の端面を示す図である。
【
図5】
図5は、比較例に係る仕切り部材の構成例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明を詳細に説明する。以下に記載する説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に限定されない。
【0020】
本発明に係る仕切り部材は、厚み方向と前記厚み方向に直交する面方向とを有し、厚み方向において組電池を構成する単電池間、又は組電池を構成する単電池と単電池以外の部材とを仕切る仕切り部材であって、液体を保持可能な内包体と、該内包体及び液体を収容する外装体とを含み、外装体と内包体を厚み方向から平面視した場合における内包体の面積S1と外装体と内包体との隙間の面積S2とが下記式1の関係を満たし、かつ液体の体積V1と内包体の体積V2が下記式2の関係を満たすことを特徴とする。また、本発明の組電池は本発明の仕切り部材を備えるものである。
式1: S1/(S1+S2)≦0.99
式2: 0.02≦V1/V2≦1.90
【0021】
なお、内包体及び液体が外装体により収容されて形成される内部空間において、内包体と周縁部の密閉された部分との間に隙間が形成される。即ち、外装体と内包体を厚み方向から平面視した場合において、以下の関係が成り立つ。
[隙間の面積(S2)]
=[内部空間の面積]-[内包体の面積(S1)]
=〔[外装体の面積]-[外装体周縁部の面積]〕-[内包体の面積(S1)]
【0022】
ここで、前記特許文献2には、上述したように、シート状の袋の中に水等の冷却剤を含浸させた多孔質体を入れた構成の仕切り部材が開示されている。この仕切り部材の場合、水等の液体を冷却剤として用いるために多量に用いていること、即ちV1/V2の値が大きいことから、耐圧性が不十分であることがわかった。これに対して本発明の仕切り部材は式1を満足しながらも、更に式2を満足するように設計することで耐圧性を向上させたものである。
【0023】
組電池における単電池以外の部材は、例えば、底面及び四方の側面を有し、組電池を構成する単電池及び仕切り部材を収容する筐体である。隙間は、内部空間のうち内包体と密着された部分との間にできた部分であって、外装体と内包体とが接していない部分、即ち平面視において外装体と重なっていない部分である。隙間は、内包体に保持された液体の退避空間となる。周縁部の密閉された部分とは、溶着又は接着部分、及び外装体を二つ折りにした場合の折り返し部分を含む。
【0024】
本発明に係る仕切り部材では、外装体は、仕切り部材に対する外圧に応じて変形する。仕切り部材に対する外圧は、例えば、組電池の製造工程における拘束圧、仕切り部材によって仕切られる単電池の充電に伴う膨張により単電池から受ける圧力、電池の繰り返し使用による電池内の電解液からのガス発生による電池の膨張により単電池から受ける圧力等である。例えば、外装体は、対向する単電池の膨張又は拘束圧により、厚さ方向に縮む。外装体の内部空間に収容される内包体は、外装体の変形に応じて変形し、圧縮される。内包体が圧縮されると、内包体に保持された液体は、内包体から滲出し、隙間に保持される。即ち、内包体が保持する液体を面方向に移動させ、内包体が収縮することによって、仕切り部材に対する外圧は吸収される。また、外装体の密閉状態が維持されることから、密閉状態が解除されることによる熱伝達媒体としての液体の喪失又は減少を回避することができる。
【0025】
また、面積S1は、外装体と内包体を平面視したときの内部空間のうち、内包体と外装体とが重なる領域(内包体が存在する領域)の面積である。また、面積S2は、外装体と内包体を平面視したときの内部空間のうち、内包体と外装体とが重ならない領域(内包体が存在しない領域)の面積であるものとすることができる。
【0026】
また、内包体に保持された液体は、外圧が高くなった際に外装体及び内包体の変形に応じて前記隙間へ移動するものであってもよい。このような仕切り部材であれば、内包体から滲出した液体は隙間に保持され、単電池の膨張又は拘束圧により、単電池又は単電池以外の部材から受ける圧力は吸収される。
【0027】
また、外装体内部の隙間に移動した前記液体は、外圧が低くなった際に外装体及び内包体の変形に応じて内包体の内部に移動するものであってもよい。このような仕切り部材であれば、仕切り部材に対する外圧が低くなり、内包体への圧力が解除されると、変形していた外装体の形状は、元の状態に復帰する。また収縮していた内包体は、元の形状に復帰することで、外装体内部の隙間に滲出していた液体を吸収する。したがって、外圧が低くなった際、仕切り部材は、元の状態に復帰することができる。
【0028】
また、前記面積S1と前記面積S2が下記式3の関係を満たすものであることが好ましい。
式3: 0.10≦S1/(S1+S2)≦0.99
【0029】
また、前記内包体は、前記内部空間において固定されているものであってもよい。このようにすることで、単電池又は単電池以外の部材から圧力を受けた場合に、内包体は、内部空間において移動することなく固定されているため、効率よく液体を隙間に移動させ、圧力を吸収することができる。
【0030】
また、前記内部空間の気圧は前記仕切り部材周辺の気圧より低いものであってもよい。このようにすることで、内包体は、内部空間と仕切り部材周辺との気圧差により、外装体から圧力を受け、内包体が固定されるため、効率よく液体を隙間に移動させることができる。
【0031】
<仕切り部材>
図1Aは、実施形態に係る仕切り部材の第1の構成例を示す正面図である。
図1Bは、
図1Aに示した仕切り部材をA-A線で切断した場合の端面を示す図である。仕切り部材1の外形形状は、一例として、厚みを有する平板状、或いはシート状に形成される。
【0032】
図1A及び
図1Bに示す例では、仕切り部材1は、高さ、幅、厚みを有する平板状に形成され、厚み方向Dと面方向Pとを有する。面方向Pは厚み方向Dに直交する方向である。厚み方向Dと直交する限りにおいて、面方向Pは仕切り部材1の高さ方向H、幅方向W、及び斜め方向を含む。
【0033】
仕切り部材1は、その厚み方向Dにおいて、組電池を構成する単電池間、又は組電池を構成する単電池と単電池以外の部材とを仕切るために使用される。
【0034】
〔液体〕
仕切り部材1において、外装体の内部空間に収容される内包体110に保持させる液体は、単電池の膨張により、内包体110が収縮した場合に、内包体110から滲出可能な水等の流体である。また、単電池が収縮して内包体110が元の状態に復帰した場合には、内包体110から滲出した液体は、内包体110の内部に移動可能である。液体は、熱伝導性を有し、単電池からの発熱を、効率よく近隣の単電池に移動させることができるものであればよい。また、液体としては常圧における沸点が80℃以上250℃以下の液体が好ましく、常圧における沸点が100℃以上150℃以下の液体が更に好ましい。
【0035】
液体は、水の他、例えば、水、アルコール類、エステル類、エーテル類、ケトン類、炭化水素類、フッ素系化合物及びシリコーン系オイルからなる群から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。これらは1種のみでも、2種以上の混合物として用いることもできる。
【0036】
液体に用いることのできるアルコール類としては、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等の3~8個の炭素原子を含むアルコールや、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコール等の二価以上のアルコール等が挙げられる。これらは1種のみでも、2種以上の混合物として用いることもできる。
【0037】
液体に用いることのできるエステル類としては、アルキル脂肪族カルボン酸エステル、アルキル炭酸ジエステル、アルキルシュウ酸ジエステル及びエチレングリコールの脂肪酸エステルなどが挙げられる。アルキル脂肪族カルボン酸エステルとしては、ギ酸メチル、ギ酸n-ブチル、ギ酸イソブチルなどの低級アルキルギ酸エステル;酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチルなどの低級アルキル酢酸エステル及びプロピオン酸エチル、プロピオン酸n-プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸n-ブチル、プロピオン酸イソブチルなどの低級アルキルプロピオン酸エステルなどの低級アルキル脂肪族カルボン酸エステルなどが挙げられる。アルキル炭酸ジエステルとしては、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジブチル、炭酸メチルエチルなどの低級アルキル炭酸ジエステルなどが挙げられる。アルキルシュウ酸ジエステルとしては、シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチルなどの低級アルキルシュウ酸ジエステルなどが挙げられる。エチレングリコール酢酸エステルとしては、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどが挙げられる。エチレングリコールの脂肪酸エステルとしては、エチレングリコール酢酸エステル等が挙げられる。これらは1種のみでも、2種以上の混合物として用いることもできる。
【0038】
液体に用いることのできるエーテル類としては、n-ブチルエーテル、n-プロピルエーテル、イソアミルエーテル等が挙げられる。これらは1種のみでも、2種以上の混合物として用いることもできる。
【0039】
液体に用いることのできるケトン類としては、エチルメチルケトン、ジエチルケトン等が挙げられる。これらは1種のみでも、2種以上の混合物として用いることもできる。
【0040】
液体に用いることのできる炭化水素類としては、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらは1種のみでも、2種以上の混合物として用いることもできる。
【0041】
液体に用いることのできるフッ素系化合物としては、冷媒の1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン(HFC-c447ef)、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-トリデカフルオロオクタン(HFC-76-13sf)等が挙げられる。これらは1種のみでも、2種以上の混合物として用いることもできる。
【0042】
液体に用いることのできるシリコーン系オイルとしては、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状メチルシロキサン、及びシリコーンポリエーテルコポリマー等の変性シリコーンオイル等が挙げられる。これらは1種のみでも、2種以上の混合物として用いることもできる。
【0043】
また、液体は、不凍剤、防腐剤、pH調整剤を含んでいてもよい。これらは1種のみでも、2種以上の混合物として用いることもできる。液体は、不凍性を付与する物質(不凍剤)、防腐剤、pH調整剤などの添加物を含んでもよい。液体に含めるものはこれに限られず、必要に応じて追加することができる。
【0044】
〔内包体〕
内包体110は、上述の液体を保持するが可能なものであり、通常、弾性を有する。弾性を有する内包体110は、単電池の膨張により、外装体120が厚み方向Dに縮んだ場合、外装体120の変形に応じて収縮又は変形する。内包体110が収縮すると、内包体110が保持する液体は、内包体110からしみ出して、外装体120の内部空間に形成される隙間に移動する。
図1Aに示す例では、内包体110は、平板状又はシート状に形成される。内包体110は、平板状又はシート状の外装体120に収容され、外装体120の周縁部において密封されている。
【0045】
内包体110は、例えば、多孔質体を含む材料で形成される。多孔質体は、繊維質及び粒子の少なくとも一方を含むことが好ましい。繊維質を含む多孔質体は、例えば、紙、コットンシート、ポリイミド繊維、アラミド繊維、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)繊維、ガラス繊維、ロックウール、セラミック繊維及び生体溶解性無機繊維からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。また、粒子を含む多孔質体は、例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子、ケイ酸カルシウム、粘土鉱物、バーミキュライト、マイカ、セメント、パーライト、フュームドシリカ及びエアロゲルからなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。ケイ酸カルシウムの種類の中では、ゾノトライト、トバモライト、ワラストナイト、ジャイロライトが好ましく、特に好ましいのはジャイロライトである。粘土鉱物は主としてケイ酸マグネシウム、モンモリナイト、カオリナイトである。
【0046】
また、内包体110の全体が多孔質体で形成されていてもよい。以下の説明では、内包体110が多孔質体で形成されている場合について例示する。
【0047】
液体は、内包体110を形成する多孔質体が有する空洞にて保持される。例えば、液体を内包体110に注入したり、内包体110を液体に浸漬したりすることで、内包体110は、液体を含浸させて保持することができる。
【0048】
〔外装体〕
外装体120は、密閉される周縁部120aを有し、密閉によって形成される内部空間に液体を保持した内包体110を収容する。外装体120は、可撓性を有し単電池の膨張に応じて変形可能である。また、外装体120は、単電池が収縮した場合には、元の状態に復帰可能である。外装体120としては、例えば、樹脂シート、樹脂フィルムなどを適用できる。例えば、二枚、又は二つ折りの樹脂シート若しくは樹脂フィルムで内包体110を挟み込み、二枚の樹脂シート又は樹脂フィルムが接する外装体120の周縁部を熱融着や接着することで、液体を含侵させた内包体110を密封する。
【0049】
外装体120の周縁部の少なくとも一部には、外装体120の内部空間において内包体110の位置ずれを防止するため、内包体110を固定する固定部120cが設けられる。例えば、外装体120の内部空間の空気が少なく、内気圧が外気圧よりも低い場合には、外装体120は、内包体110を挟持することにより内包体110の移動を防止するこができる。
【0050】
図1Aの例では、内包する内包体110の四隅と重なる位置に固定部120cが設けられる。固定部120cは、内包体110を挟み込んだ状態で加熱融着又は接着される。固定部120cが設けられる位置は、
図1Aの例に限られず、内包体110の四隅のうち対角線上にある二隅であってもよく、内包体110の各辺の中央部に設けられてもよい。
【0051】
外装体120としては、例えば、樹脂や金属製のものを使用することができる。金属箔と樹脂を積層したラミネートしたものが、耐熱性及び強度が高いため好ましい。金属箔と樹脂のラミネート体としては、樹脂層、金属層、樹脂シーラント層を含む3層以上のラミネート体が好ましい。
【0052】
金属としては、例えば、アルミニウム箔、銅箔、錫箔、ニッケル箔、ステンレス箔、鉛箔、錫鉛合金箔、青銅箔、イリジウム箔、燐青銅箔等が挙げられる。特に、アルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔が好ましく、さらに好ましくはアルミニウム箔である。
【0053】
樹脂として、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の少なくとも一方を用いることができるが、特に熱可塑性樹脂が好ましい。樹脂としては例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン、アクリル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニルスルフィド、ポリカーボネート、アラミド等が挙げられる。特に、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレートから選ばれる少なくとも1つが好ましい。
【0054】
外装体120の厚みは特に限定されないが、例えば5μm~200μmである。上記の積層体の場合、金属箔を3μm~50μm、樹脂層を2μm~150μmとできる。これにより、金属箔の耐熱性及び低水蒸気透過性を発揮させるとともに、樹脂により密封性を向上させることができる。
【0055】
また、外装体120は、二つの外装体の周縁部を熱融着や接着等により環状に接合することによって、液体及び内包体110が外装体120内に密封(封止)される。或いは、1つの外装体を折り曲げて周縁部を熱融着や接着等により接合し、液体及び内包体110を密封(封止)してもよい。外装体120は、可撓性(弾性)を有するのが好ましいが、可撓性を有しない場合もあり得る。
【0056】
〔外装体の内部空間〕
外装体120の密閉によって形成される内部空間において、内包体と周縁部の密閉された部分との間に、隙間120bが形成される。隙間120bは、外装体120の内部空間において、複数形成されてもよく、単一であってもよい。隙間120bを形成する外装体120同士は、外装体120の内気圧よりも外気圧が高い場合には、接着されない状態で重なった状態であってもよい。但し、外装体120の剛性、或いは内部空間中の気体により離れていてもよい。外装体120の内気圧は、外気圧よりも低いことが好ましい。
【0057】
隙間120bは、単電池の膨張による圧力で変形する内包体から滲出した液体の退避場所として機能すれば良い。組電池中の単電池が充電等の際に膨張し、隣接する仕切り部材1を圧迫した場合、単電池からの圧力によって内包体110から滲出した液体は、内包体110が存在しない隙間120bに移動する。このため、仕切り部材1が隣接する単電池からの圧力を受けた場合に、内包体が保持する液体が隙間120bに移動することで、外装体120に対する液体からの圧力は低減される。したがって、外装体120の破裂等による密封状態の解除を回避することができる。外装体120の内部空間に隙間120bを設けることで、仕切り部材1は、組電池中の単電池の膨張による圧力を吸収し、仕切り部材1の耐圧性が向上する。
【0058】
外装体120の内部空間を仕切り部材1の厚み方向Dから平面視した場合における内包体の110の面積S1と隙間120bの面積S2とが上述の式1の関係を満たすとともに、液体の体積V1と内包体110の体積V2とが上述の式2の関係を満たす。面積(S1+S2)は、仕切り部材1の厚み方向Dから平面視したときの内部空間の面積である。ただし、外装体120の周縁部の一部に固定部120cが形成される場合には、上記内部空間の面積は、仕切り部材1を厚み方向Dから平面視したときの固定部120cの面積を含まないものとする。
【0059】
外装体120の内部空間を仕切り部材1の厚み方向Dから平面視した場合における内包体の110の面積S1は、以下、内包体110が存在する領域の面積S1ともいう。内包体110が存在する領域の面積S1は、
図1Aにおいて、内包体110を示す部分の面積である。また、外装体120の内部空間を仕切り部材1の厚み方向Dから平面視した場合における隙間120bの面積S2は、以下、内包体110が存在しない領域の面積S1ともいう。内包体110が存在しない領域の面積S1は、
図1Aにおいて、隙間120bを示す部分の面積を合算したものである。外装体120の内部空間を仕切り部材1の厚み方向Dから平面視した場合における内部空間の面積(S1+S2)は、単に、内部空間の領域の面積(S1+S2)ともいう。
【0060】
内包体110が存在する領域の面積S1は、内部空間の領域の面積(S1+S2)よりも小さければよい。したがって、内包体110が存在する領域の面積S1は、
図3に示すように、
図1Aに示す例よりも小さくすることができる。
図2の例では、
図1Aの例と比較して隙間120bが大きいため、仕切り部材1を厚みが同じである場合には、
図2に示す仕切り部材1のほうが、より多くの液体を隙間120bに滲出させることができ、仕切り部材1の耐圧性は向上する。
【0061】
S1/(S1+S2)は上述した式1の関係を満たすものであるが、その取り得る値の範囲は、耐圧性の観点から、好ましくは0.10以上であり、より好ましくは0.20以上であり、更に好ましくは0.40以上であり、特に好ましいのは0.60以上である。また、S1/(S1+S2)は、耐圧性の観点から、好ましくは0.95以下であり、より好ましくは0.90以下である。内包体110が存在する面積S1を大きくすることで、仕切り部材1の良好な熱伝導性が得られる。
【0062】
上述の式1の関係を満たすとともに、耐熱性と熱伝導特性を良好なものとするために液体の体積V1と内包体110の体積V2とが、上述の式2の関係を満たす。V1/V2は、熱伝導特性の観点から、好ましくは0.05以上であり、より好ましくは0.10以上である。また、V1/V2は、耐圧性及び熱伝特性の観点から、好ましくは1.70以下であり、より好ましくは1.40以下であり、更に好ましくは1.10以下であり、特に好ましいのは0.80以下である。内包体110の体積V2は、内包体110の外周面を形成する各面で囲まれる空間の体積として算出することができる。例えば、内包体110が、略直方体の形状である場合には、縦、横、高さを計測して体積V2を算出すればよい。内包体110の外周面のサイズを計測して体積V2を算出することが困難な場合には、内包体110を形成する多孔質体が有する空洞に樹脂を注入して得られたものの体積を体積V2として求めることができる。
【0063】
<組電池>
次に、仕切り部材1が適用される組電池について説明する。組電池は、例えば、電気自動車(EV、Electric Vehicle)、ハイブリッド電気自動車(HEV、Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV、Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、電動重機、電動バイク、電動アシスト自転車、船舶、航空機、電車、無停電電源装置(UPS、Uninterruptible Power Supply)、家庭用蓄電システム、風力/太陽光/潮力/地熱等の再生可能エネルギーを利用した電力系統安定化用蓄電池システム等に搭載される電池パックに適用される。但し、組電池は、上述のEV等以外の機器に電力を供給する電力源としても使用し得る。
【0064】
〔単電池〕
図3Aは組電池を構成する単電池の一例を示す平面図であり、
図3Bは単電池の一例を示す正面図であり、
図3Cは、単電池の一例を示す側面図である。
【0065】
単電池200は、縦(厚み)、横(幅)、高さを有する直方体状を有し、その上面に端子210、端子220が設けられている。単電池200は、例えば、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解質を備えるリチウムイオン二次電池である。リチウムイオン二次電池以外に、リチウムイオン全固体電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、鉛蓄電池等の二次電池を適用し得る。
【0066】
〔組電池〕
図4は、複数の単電池を用いて形成された組電池を、単電池の端子を通る高さ方向Hの面で切断した場合の端面を示す図である。組電池100は、底面及び四方の側面を有する筐体300に、複数の単電池200を収容している。各単電池200間には上述した仕切り部材1が配置され、隣接する単電池200間は、仕切り部材1の厚み方向Dにおいて仕切られている。隣り合う単電池200の正極端子(例えば端子210)と負極端子(例えば端子220)とがバスバー(図示なし)によって電気的に直列に接続されることにより、組電池100は、所定の電力を出力する。
図4に示されるように、組電池100は、筐体300の底面と各単電池200との間に、仕切り部材1と同様の構成を有する仕切り部材1Aを配置するものであってもよい。
【実施例】
【0067】
次に実施例により本発明の具体的態様を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0068】
(実施例1)
外装体120として、縦12cm、横18cmの長方形に裁断されたアルミラミネートフィルム(樹脂層としてポリエチレンテレフタレート(外側)、ポリエチレン(内側)を含むもの;厚さ0.15cm)を2枚重ね合わせ、三辺を幅1cmで加熱融着(温度150℃、3秒)させた。外装体120の融着されていない部位より、内包体110として、縦8cm、横14cmの長方形に裁断した多孔質シート(バーミキュライトシート;厚さ0.2cm)を収納し、液体として水を9g(cm3)注入した後、融着されていない部位を幅1cmで加熱融着させることにより封止し、余分な外周を裁断することで縦11cm、横17cm、厚み2.1mmの仕切り部材1を作製した。当該仕切り部材1における外装体120の内部空間の領域の面積は135cm2、内包体が存在する領域の面積S1は112cm2、内包体が存在しない領域の面積S2は23cm2である。なお、各実施例及び各比較例において、上記の各領域の面積は、仕切り部材1を厚み方向Dから平面視したときの面積である。また、縦とは、高さ方向Hの長さであり、横とは、幅方向Wの長さである。
【0069】
仕切り部材1の上に金属プレート(縦15cm、横10cm、厚さ1cm;SUS430製;ミスミ社)を載せ、ハイプレッシャージャッキ(型番J-15;アズワン社)を用いて荷重をかけていき、仕切り部材1が破裂した時の荷重を当該仕切り部材1における内部空間の領域の面積で除算することにより、仕切り部材1の破裂圧を算出した。なお、内部空間において、固定部120cが形成されている場合には、内部空間の領域の面積から、仕切り部材1を厚み方向Dから平面視したときの固定部120cの面積を減算して、破裂圧を算出した。
【0070】
次に、ヒーター、真鍮板、仕切り部材1、真鍮板、金属プレート(SUS製、3.9kg)の順番で挟んで各部材を密着させた。この状態でヒーターを温度80℃まで加熱し、ヒーターの温度が80℃に到達後、30分加熱を継続した。加熱終了後、金属プレート側の真鍮板の温度は73.1℃であり、実施例1の仕切り部材の熱伝導特性は良好であった。
【0071】
(実施例2~6)
内包体110のサイズ(縦、横、厚さ)、液体量(内包体110に保持される液体の体積)、及び外装体120の内部空間の領域のサイズ(縦、横)を表1に示した値に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により、仕切り部材2~6を作製した。
【0072】
仕切り部材2~6についても仕切り部材1と同様の方法で破裂圧及び熱伝導特性を測定した。
【0073】
(比較例1~4)
内包体110のサイズ(縦、横、厚さ)、液体量(内包体110に保持される液体の体積)、及び外装体120の内部空間の領域のサイズ(縦、横)を表1に示した値に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により、仕切り部材11~14を作製した。
【0074】
比較例1、2において作成した仕切り部材11、12は、
図5に示される仕切り部材1Bのように、内包体110Bのサイズが、仕切り部材1Bの周縁部120Ba以外の領域サイズと略等しく、内包体110Bが存在しない領域がない比較例である。
【0075】
仕切り部材11~14についても仕切り部材1と同様の方法で破裂圧及び熱伝導特性を測定した。
【0076】
表1は、各実施例及び各比較例における、内包体110のサイズ(縦、横、厚さ)、液体量、及び外装体120の内部空間の領域のサイズ(縦、横)を示す。また、各実施例及び各比較例において算出された破裂圧及び熱伝導特性に関する結果を示す。熱伝導特性に関する結果には、熱伝導特性が良好であった場合には“○”、良好でなかった場合には“×”で示した。なお、熱伝導特性は、ヒーターによる加熱終了後、金属プレート側の真鍮板の温度が、70℃以上であった場合に良好であるものとした。
【0077】
【0078】
表1に示すとおり、面積S1と面積S2が前記式1(S1/(S1+S2)≦0.99)の関係を満たし、体積V1と体積V2が前記式2(0.02≦V1/V2≦1.90)の関係を満たす場合に、良好な耐圧性を満たす仕切り部材を得ることができることが示されている。また、上記式1及び上記式2の関係を満たす各実施例に係る仕切り部材は、良好な熱伝導性を有することが示されている。
【0079】
比較例1の仕切り部材(仕切り部材#11とする)は、固定部以外の領域サイズが実施例1の仕切り部材(仕切り部材#1とする) と同じで、隙間120bがない仕切り部材である。仕切り部材#11の破裂圧は、仕切り部材#1の破裂圧5.8MPaよりも小さく、3MPaよりも低かった。即ち、隙間120bがない場合には、良好な耐圧性が得られないことが示された。
【0080】
比較例2の仕切り部材(仕切り部材#12とする)は、比較例1と同様に、固定部以外の領域サイズが実施例1の仕切り部材#1と同じで隙間120bがない仕切り部材である。さらに、仕切り部材#11は、仕切り部材#1よりも厚みが薄い。仕切り部材#12の破裂圧は、仕切り部材#1の破裂圧5.8MPaよりも小さく、3MPaよりも低かった。即ち、隙間120bがない場合には、良好な耐圧性が得られないことが示された。
【0081】
比較例3の仕切り部材(仕切り部材#13とする)は、実施例1の仕切り部材#1よりも、内包水の量(液体量V1)が過度に少ない仕切り部材である。仕切り部材#13の破裂圧は、仕切り部材#1の破裂圧5.8MPaよりも大きく、10.9MPaを超えた。しかしながら、良好な熱伝導特性が得られなかった。
【0082】
比較例4の仕切り部材(仕切り部材#14とする)は、実施例1の仕切り部材#1よりも、内包水の量(液体量V1)が過度に多い仕切り部材である。仕切り部材#14の破裂圧は、仕切り部材#1の破裂圧5.8MPaよりも小さく、3MPaよりも低かった。即ち、V1/V2が式2で表される領域よりも大きい場合には良好な耐圧性が得られないことが示された。
【0083】
実施例2の仕切り部材(仕切り部材#2とする)は、実施例1の仕切り部材#1よりも、内包体110のサイズが小さい仕切り部材である。また、実施例3の仕切り部材(仕切り部材#3とする)は、実施例2の仕切り部材#2よりも、さらに内包体110のサイズが小さい仕切り部材である。仕切り部材#2及び仕切り部材#3の破裂圧は、仕切り部材#1の破裂圧5.8MPaよりも大きく、それぞれ7.3MPa及び10.9MPaであった。即ち、本発明に該当する仕切り部材の場合、内包体110のサイズが小さくなるほど、内包体110から隙間120bに滲出可能な内包水の量が増加し、耐圧性が向上することが示された。
【0084】
実施例4の仕切り部材(仕切り部材#4とする)は、実施例1の仕切り部材#1よりも、内包体110の厚さが薄く、内包水の量(液体量V1)が少ない仕切り部材である。仕切り部材#4の破裂圧は、仕切り部材#1の破裂圧5.8MPaよりも小さく、3.6MPaであった。一方、実施例5の仕切り部材(仕切り部材#5とする)は、実施例1の仕切り部材#1よりも、内包体110の厚さが厚い仕切り部材である。仕切り部材#5の破裂圧は、仕切り部材#1の破裂圧5.8MPaよりも大きく、10.2MPaであった。即ち、本発明に該当する仕切り部材の場合、内包体110の厚さが厚くなるほど、耐圧性が向上することが示された。
【0085】
実施例6の仕切り部材(仕切り部材#6とする)は、実施例5の仕切り部材#5よりも、内包体110及び外装体120のサイズが大きい仕切り部材である。仕切り部材#6の破裂圧は、仕切り部材#5の破裂圧10.2MPaよりも大きく、10.5MPaを超えた。即ち、本発明に該当する仕切り部材の場合、内包体110及び外装体120のサイズを大きくすると、内包水の量が相対的に少なくなり、内包水の量が少なくなるほど耐圧性が向上することが示された。
【符号の説明】
【0086】
1 仕切り部材
100 組電池
110 内包体
120 外装体
120a 周縁部
120b 隙間
120c 固定部
200 単電池
300 筐体