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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵装置の保護システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220614BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20220614BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02H7/18
H01M10/48 P
H01M10/48 301
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020218635
(22)【出願日】2020-12-28
(65)【公開番号】P2021129494
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2020-12-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0015621
(32)【優先日】2020-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100159042
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 徹二
(72)【発明者】
【氏名】鄭 載 衡
(72)【発明者】
【氏名】金 石 基
(72)【発明者】
【氏名】洪 童 基
【審査官】原 嘉彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-073011(JP,A)
【文献】特表2016-506710(JP,A)
【文献】国際公開第2019/193636(WO,A1)
【文献】中国特許第103337869(CN,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42-10/48
H02H 7/00
7/10-7/20
H02J 3/00-7/12
7/34-7/36
H02M 3/00-3/44
7/42-7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー貯蔵装置の保護システムにおいて、
バッテリーセルの内部状態または外部状態が異常である場合、保護信号を伝送するBMS(Battery Monitoring System);
前記BMSにハードワイヤーで連結されて前記保護信号を受信するPCS(Power Conversion System);および
前記BMSと前記PCSの間に汎用通信線で連結されて前記BMSから前記保護信号を受信した後に前記PCSに前記保護信号を伝送するEMS(Energy Management System)を含み、
前記ハードワイヤーによる通信は、ハードウェアだけで具現され、前記汎用通信線よりも遅延時間が小さく、前記PCSは前記ハードワイヤーまたは前記汎用通信線から前記保護信号を受信する場合、前記エネルギー貯蔵装置をシャットダウンさせる、エネルギー貯蔵装置の保護システム。
【請求項2】
前記BMSには前記バッテリーセルの内部の異常状態をセンシングする内部センサ部がさらに連結された、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置の保護システム。
【請求項3】
前記内部センサ部は
前記バッテリーセルの電圧をセンシングする電圧センサ;
前記バッテリーセルの電流をセンシングする電流センサ;または
前記バッテリーセルの温度をセンシングする温度センサを含む、請求項2に記載のエネルギー貯蔵装置の保護システム。
【請求項4】
前記BMSは前記内部センサ部を利用してセンシングした電圧、電流または温度が基準範囲を逸脱する場合、前記ハードワイヤーを通じて前記保護信号を前記PCSに伝送し、前記汎用通信線および前記EMSを通じて前記保護信号を前記PCSに伝送する、請求項2に記載のエネルギー貯蔵装置の保護システム。
【請求項5】
前記BMSには前記バッテリーセルの外部の異常状態をセンシングする外部センサ部がさらに連結され、前記外部センサ部は前記BMSに第2ハードワイヤーを通じて連結された、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置の保護システム。
【請求項6】
前記外部センサ部は
前記バッテリーセルと前記PCSを連結する電力線に流入したサージ電圧をセンシングするサージ電圧センサ;
前記電力線の地絡電圧をセンシングする地絡電圧センサ;または
前記電力線に設置されたスイッチの接点の状態をセンシングするスイッチ接点センサを含む、請求項5に記載のエネルギー貯蔵装置の保護システム。
【請求項7】
前記BMSは前記外部センサ部を利用してセンシングしたサージ電圧、地絡電圧またはスイッチの接点の状態が基準範囲を逸脱する場合、前記ハードワイヤーを利用して前記保護信号を前記PCSに伝送し、前記汎用通信線および前記EMSを通じて前記保護信号を前記PCSに伝送する、請求項5に記載のエネルギー貯蔵装置の保護システム。
【請求項8】
前記バッテリーセルの外部の異常状態をセンシングする外部センサ部をさらに含み、前記外部センサ部は前記PCSに第2ハードワイヤーを通じて連結された、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置の保護システム。
【請求項9】
前記外部センサ部は
前記バッテリーセルと前記PCSを連結する電力線に流入したサージ電圧をセンシングするサージ電圧センサ;
前記電力線の地絡電圧をセンシングする地絡電圧センサ;または
前記電力線に設置されたスイッチの接点の状態をセンシングするスイッチ接点センサを含む、請求項8に記載のエネルギー貯蔵装置の保護システム。
【請求項10】
前記PCSは前記外部センサ部を利用してセンシングしたサージ電圧、地絡電圧またはスイッチの接点の状態が基準範囲を逸脱する場合、前記エネルギー貯蔵装置をシャットダウンさせる、請求項8に記載のエネルギー貯蔵装置の保護システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例はエネルギー貯蔵装置の保護システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にエネルギー貯蔵装置(ESS:Energy Storage System)は、新再生エネルギー市場である太陽光、風力などで生産されたエネルギーを貯蔵装置(例えば、バッテリー)に貯蔵してから必要な時間帯に電気を供給して電力の使用効率を向上させる装置を意味する。
【0003】
このようなエネルギー貯蔵装置は、大きくはバッテリー、PCS(Power Conversion System、AC-DC変換機能および配電機能を遂行する)およびEMS(Energy Management System、全体のESSシステムを運営し主管する)等を含む。ここで、バッテリーはBMS(Battery Management System)によって電圧、電流、温度などがモニタリングおよび管理され、またBMSはEMSと汎用の通信ライン(例えば、TCP/IP、RS485、CANなど)を通じて一定の周期で必要な情報をやり取りする。
【0004】
一例として、バッテリーに異常状況(例えば、電圧、電流または温度が基準範囲を逸脱した場合)が発生した時、BMSは汎用通信ラインを通じてEMSに異常(危険)状況であることを伝送し、これを認知したEMSは再び通信ラインを通じてPCSにシステムシャットダウン命令を伝送する。異常(危険)状況が通信ラインを通じて伝達されたPCSは電源システムをシャットダウンすることによって、ESSを保護する。
【0005】
しかし、このような保護動作は一定の周期を有する通信ラインを通じて具現されることによって、異常状況の発生時から電源システムのシャットダウンまで少なくとも2秒以上の時間がかかり、ゴールデンタイムを逃がしてバッテリーの火災にまで繋がり得るという問題点があった。さらに、各装置間の通信ラインに障害が発生した場合、異常(危険)状況の認知にさらに多くの時間が要され得る。さらに、バッテリーの外部から発生した危険状況(例えば、外部の高いサージ電圧、地絡電圧、スイッチの接点の故障等)に対する保護が適切になされていない。
【0006】
このような発明の背景となる技術に開示された前述した情報は本発明の背景に対する理解度を向上させるためのものに過ぎず、したがって従来技術を構成しない情報を含んでもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施例はバッテリーの内部および/または外部での異常(危険)状況を速かに認知して、少なくとも2個以上の経路で周辺装置(例えば、PCS)に異常状況に対応するシステム保護信号を迅速かつ安全に伝達してシステムを保護できる、エネルギー貯蔵装置の保護システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施例に係るエネルギー貯蔵装置の保護システムは、バッテリーセルの内部状態または外部状態が異常である場合、保護信号を伝送するBMS(Battery Monitoring System);前記BMSにハードワイヤーで連結されて前記保護信号を受信するPCS(Power Conversion System);および前記BMSと前記PCSの間に汎用通信線で連結されて前記BMSから前記保護信号を受信した後に前記PCSに前記保護信号を伝送するEMS(Energy Management System)を含み、前記PCSは前記ハードワイヤーまたは前記汎用通信線から前記保護信号を受信する場合、前記エネルギー貯蔵装置をシャットダウンさせる。
【0009】
前記BMSには前記バッテリーセルの内部の異常状態をセンシングする内部センサ部がさらに連結され得る。
【0010】
前記内部センサ部は、前記バッテリーセルの電圧をセンシングする電圧センサ;前記バッテリーセルの電流をセンシングする電流センサ;または前記バッテリーセルの温度をセンシングする温度センサを含むことができる。
【0011】
前記BMSは、前記内部センサ部を利用してセンシングした電圧、電流または温度が基準範囲を逸脱する場合、前記ハードワイヤーを通じて前記保護信号を前記PCSに伝送し、前記汎用通信線および前記EMSを通じて前記保護信号を前記PCSに伝送することができる。
【0012】
前記BMSには前記バッテリーセルの外部の異常状態をセンシングする外部センサ部がさらに連結され、前記外部センサ部は前記BMSに第2ハードワイヤーを通じて連結され得る。前記外部センサ部は、前記バッテリーセルと前記PCSを連結する電力線に流入したサージ電圧をセンシングするサージ電圧センサ;前記電力線の地絡電圧をセンシングする地絡電圧センサ;または前記電力線に設置されたスイッチの接点の状態をセンシングするスイッチ接点センサを含むことができる。
【0013】
前記BMSは、前記外部センサ部を利用してセンシングしたサージ電圧、地絡電圧またはスイッチの接点の状態が基準範囲を逸脱する場合、前記ハードワイヤーを利用して前記保護信号を前記PCSに伝送し、前記汎用通信線および前記EMSを通じて前記保護信号を前記PCSに伝送することができる。
【0014】
前記バッテリーセルの外部の異常状態をセンシングする外部センサ部をさらに含み、前記外部センサ部は前記PCSに第2ハードワイヤーを通じて連結され得る。前記外部センサ部は、前記バッテリーセルと前記PCSを連結する電力線に流入したサージ電圧をセンシングするサージ電圧センサ;前記電力線の地絡電圧をセンシングする地絡電圧センサ;または前記電力線に設置されたスイッチの接点の状態をセンシングするスイッチ接点センサを含むことができる。
【0015】
前記PCSは、前記外部センサ部を利用してセンシングしたサージ電圧、地絡電圧またはスイッチの接点の状態が基準範囲を逸脱する場合、前記エネルギー貯蔵装置をシャットダウンさせることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施例は、バッテリーの内部および/または外部での異常(危険)状況を速かに認知して、少なくとも2個以上の経路で周辺装置(例えば、PCS)に異常状況に対応するシステム保護信号を迅速かつ安全に伝達してシステムを保護できる、エネルギー貯蔵装置の保護システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例に係るエネルギー貯蔵装置の保護システムの構成を図示したブロック図である。
図2】本発明の実施例に係るエネルギー貯蔵装置の保護システムの構成を図示したブロック図である。
図3】本発明の実施例に係るエネルギー貯蔵装置の保護システムのうち、PCSの構成を図示したブロック図である。
図4】本発明の他の実施例に係るエネルギー貯蔵装置の保護システムの構成を図示したブロック図である。
図5a】本発明の実施例に係るエネルギー貯蔵装置の保護システムのうち、バッテリーの構成を図示したブロック図である。
図5b】本発明の実施例に係るエネルギー貯蔵装置の保護システムのうち、バッテリーの構成を図示したブロック図である。
図6】本発明の実施例に係るエネルギー貯蔵装置の保護システムの動作順序を図示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明することにする。
【0019】
本発明の実施例は、当該技術分野で通常の知識を有する者に本発明をさらに完全に説明するために提供されるものであり、下記の実施例は多様な異なる形態で変形され得、本発明の範囲は下記の実施例に限定されるものではない。かえって、これらの実施例は本開示をさらに忠実かつ完全なものとし、当業者に本発明の思想を完全に伝達するために提供されるものである。
【0020】
また、以下の図面において各層の厚さや大きさは説明の便宜および明確性のために誇張されたものであって、図面上で同じ符号は同じ要素を指し示す。本明細書で使われた通り、用語「および/または」は該当列挙された項目のうちいずれか一つおよび一つ以上のすべての組み合わせを含む。また、本明細書で「連結される」という意味はA部材とB部材が直接連結される場合だけでなく、A部材とB部材の間にC部材が介在されてA部材とB部材が間接連結される場合も意味する。
【0021】
本明細書で使われた用語は特定の実施例を説明するために使われ、本発明を制限するためのものではない。本明細書で使われた通り、単数の形態は文脈上異なる場合を明確に指摘する場合でなければ、複数の形態を含むことができる。また、本明細書で使われる場合、「含む(comprise、include)」および/または「含む(comprising、including)」は言及した形状、数字、段階、動作、部材、要素および/またはこれらのグループの存在を特定するものであり、一つ以上の他の形状、数字、動作、部材、要素および/またはグループの存在または付加を排除するものではない。
【0022】
本明細書で第1、第2等の用語が多様な部材、部品、領域、層および/または部分を説明するために使われるが、これらの部材、部品、領域、層および/または部分はこれらの用語によって限定されてはならないことは自明である。これらの用語は一つの部材、部品、領域、層または部分を他の領域、層または部分と区別するためにのみ使われる。したがって、以下で詳述する第1部材、部品、領域、層または部分は、本発明の教示から逸脱することなく第2部材、部品、領域、層または部分を指し示すことができる。
【0023】
また、本発明に係るBMS、PCS、EMS、制御部(コントローラ)および/または他の関連機器または部品は、任意の適切なハードウェア、ファームウェア(例えば、特定用途向け半導体)、ソフトウェア、またはソフトウェア、ファームウェアおよびハードウェアの適切な組み合わせを利用して具現され得る。例えば、本発明に係るBMS、PCS、EMS、制御部(コントローラ)および/または他の関連機器または部品の多様な構成要素は、一つの集積回路チップ上に、または別個の集積回路チップ上に形成され得る。また、BMS、PCS、EMS、制御部(コントローラ)の多様な構成要素は、フレキシブル印刷回路フィルム上に具現され得、テープキャリアパッケージ、印刷回路基板、またはBMS、PCS、EMS、制御部(コントローラ)と同一のサブストレート上に形成され得る。また、BMS、PCS、EMS、制御部(コントローラ)の多様な構成要素は、一つ以上のコンピューティング装置において、一つ以上のプロセッサで実行されるプロセスまたはスレッド(thread)であり得、これは以下で言及される多様な機能を遂行するためにコンピュータプログラム命令を実行し、他の構成要素と相互に作用することができる。コンピュータプログラム命令は、例えば、ランダムアクセスメモリのような標準メモリデバイスを利用したコンピューティング装置で実行され得るメモリに保存される。コンピュータプログラム命令はさらに、例えば、CD-ROM、フラッシュドライブなどのような他の非一過性のコンピュータ読み取り可能媒体(non-transitory computer readable media)に保存され得る。また、本発明に関連した当業者は多様なコンピューティング装置の機能が相互間に結合されたり、一つのコンピューティング装置に統合されたり、または特定のコンピューティング装置の機能が、本発明の例示的な実施例を逸脱することなく、一つ以上の他のコンピューティング装置に分散され得るということを認識すべきである。
【0024】
図1は本発明の実施例に係るエネルギー貯蔵装置の保護システム100の構成を図示したブロック図であり、図2は本発明の実施例に係るエネルギー貯蔵装置の保護システム100の構成を図示したブロック図である。
【0025】
図1および図2に図示された通り、本発明の実施例に係るエネルギー貯蔵装置の保護システム100は、BMS110(Battery Monitoring System)と、BMS110に第1ハードワイヤー141で連結されたPCS120(Power Conversion System)と、BMS110およびPCS120に汎用通信線143、144で連結されたEMS130(Energy Management System)を含むことができる。
【0026】
BMS110はバッテリーセルの内部状態および/または外部状態をセンシングし、センシングの結果、バッテリーセルの内部状態および/または外部状態が異常である場合、システム保護信号を生成してPCS120および/またはEMS130にそれぞれ伝送することができる。一部の例において、BMS110はシステム保護信号を第1ハードワイヤー141を通じてハードワイヤー方式でPCS120に直接リアルタイムに直ちに伝送することができる。一部の例において、BMS110はシステム保護信号を汎用通信線(すなわち、第1汎用通信線143)を通じて汎用通信方式(例えば、TCP/IP、RS485、またはCANなど)でEMS130にあらかじめ定められたクロック周期に同期化させて伝送することができる。
【0027】
PCS120はBMS110に第1ハードワイヤー141で連結され、またEMS130に汎用通信線(すなわち、第2汎用通信線144)で連結され、両側からシステム保護信号をそれぞれ受信することができる。一部の例において、PCS120は第1ハードワイヤー141を通じてハードワイヤー方式でBMS110からシステム保護信号を受信することができる。一部の例において、PCS120は汎用通信線(すなわち、第2汎用通信線144)を通じて汎用通信方式(例えば、TCP/IP、RS485、またはCANなど)でEMS130からクロック周期に同期化されたシステム保護信号を受信することができる。
【0028】
ここで、ハードワイヤー方式とは、装置間に、2つの状態(例えば、ハイレバル信号またはローレベル信号、他の例として、直流24Vまたは0V)の電気的信号を利用して情報をやり取りする方式であって、これは遅延時間が非常に小さく、ソフトウェアなしにハードウェアだけで具現され得る。また、汎用通信方式とは、装置間にあらかじめ設定されたクロック周期に合わせて情報をやり取りする方式であって、これは遅延時間が相対的に長く(場合により2秒以上かかる)、送受信情報をエンコーディングおよびデコーディングするためのソフトウェアも必要である。
【0029】
また、PCS120はバッテリーセルに直流電力線145で連結されて直流電源が供給され、直流電源を交流電源に変換して交流電力線146を通じてグリッド150に供給することができる。
【0030】
EMS130は汎用第1汎用通信線143を通じてBMS110に連結され、また、汎用第2汎用通信線144を通じてPCS120に連結され得る。したがって、EMS130は汎用第1汎用通信線143を通じてBMS110からシステム保護信号を受信し、次いで汎用第2汎用通信線144を通じてPCS120にシステム保護信号を伝達(伝送)することができる。
【0031】
このようにして、本発明の実施例において、PCS120はハードワイヤーおよび汎用通信線のうち少なくともいずれか一つからシステム保護信号を受信すると、エネルギー貯蔵装置を直ちにシャットダウンさせることができる。
【0032】
したがって、本発明の実施例において、BMS110がバッテリーセルの内部および/または外部での異常(危険)状態を感知した場合、汎用通信線だけでなくハードワイヤーを通じて速かにPCS120に異常状態に対応するシステム保護信号を伝送することによって、PCS120がエネルギー貯蔵装置を直ちにシャットダウンすることができる。
【0033】
一方、BMS110には内部センサ部111および/または外部センサ部115がさらに連結され得る。内部センサ部111はバッテリーセルの内部の異常状態をセンシングしてその結果をBMS110に伝送することができる。外部センサ部115はバッテリーセルの外部の異常状態をセンシングしてその結果をBMS110に伝送することができる。
【0034】
一部の例において、内部センサ部111は電圧センサ112、電流センサ113および/または温度センサ114を含むことができる。電圧センサ112はバッテリーセルの電圧をセンシングしてその結果をBMS110に伝送することができる。電流センサ113はバッテリーセルの電流をセンシングしてその結果をBMS110に伝送することができる。温度センサ114はバッテリーセルの温度をセンシングしてその結果をBMS110に伝送することができる。
【0035】
このようにして、BMS110は内部センサ部111を利用してセンシングした電圧、電流および/または温度があらかじめ設定された基準範囲を逸脱する場合、一次的にハードワイヤーを通じてシステム保護信号をPCS120に伝送し、引き続きまたは同時に二次的に汎用通信線(すなわち、第1汎用通信線143)を通じてシステム保護信号をEMS130に伝送することができる。もちろん、EMS130は第2汎用通信線144を通じてシステム保護信号をPCS120に伝達(伝送)することができる。
【0036】
ここで、基準範囲は基準電圧範囲、基準電流範囲および/または基準温度範囲を含むことができ、前述した電圧センサ112、電流センサ113および/または温度センサ114を通じてセンシングした電圧、電流および/または温度がこのような基準範囲を逸脱する場合、BMS110はシステム保護信号をハードワイヤーを通じてPCS120に伝送し、また汎用通信線(すなわち、第1汎用通信線143)を通じてEMS130に伝送することができる。ここで、EMS130は第2汎用通信線144を通じてシステム保護信号をPCS120に伝送することができる。
【0037】
一部の例において、外部センサ部115はBMS110に第2ハードワイヤー142を通じて連結され得る。一例として、外部センサ部115がバッテリーセルの外部の状態をセンシングしてその結果を第2ハードワイヤー142を通じてハードワイヤー方式でBMS110に伝送することができる。
【0038】
一部の例において、外部センサ部115はサージ電圧センサ116、地絡電圧センサ117および/またはスイッチ接点センサ118を含むことができる。サージ電圧センサ116は、バッテリーセルとPCS120を連結する直流電力線145および/または交流電力線146に流入したサージ電圧をセンシングし、地絡電圧センサ117は直流電力線145および/または交流電力線146に流入した地絡電圧をセンシングし、そして/またはスイッチ接点センサ118は直流電力線145および/または交流電力線146に設置されたスイッチの接点の状態をセンシングし、このようにセンシングされた情報が第2ハードワイヤー142を通じてBMS110に伝送され得る。
【0039】
BMS110は、外部センサ部115を通じてセンシングしたサージ電圧、地絡電圧および/またはスイッチの接点の状態があらかじめ設定された基準範囲を逸脱する場合、第1ハードワイヤー141を通じてシステム保護信号をPCS120に伝送し、また第1汎用通信線143を通じてシステム保護信号をEMS130に伝送することができる。もちろん、EMS130は第2汎用通信線144を通じてシステム保護信号をPCS120に伝達(伝送)することができる。
【0040】
したがって、PCS120はハードワイヤーおよび/または汎用通信線(すなわち、第2汎用通信線144)からシステム保護信号を受信する場合、エネルギー貯蔵装置を直ちにシャットダウンさせることができる。
【0041】
このようにして、本発明の実施例はバッテリーの内部状態だけでなく、バッテリーの外部状態が異常である場合にもこれを速かに認知して、少なくとも2個以上の経路でPCS120に異常(危険)状況を迅速かつ安全に伝達してバッテリーを保護できるエネルギー貯蔵装置の保護システム100を提供することができる。
【0042】
ここで、サージ電圧および/または地絡電圧があらかじめ設定された基準範囲を逸脱するとは、サージ電圧および/または地絡電圧がシステムで管理可能な正常範囲を逸脱して管理不可能な異常範囲にあることを意味し得る。換言すると、サージ電圧があらかじめ設定された基準範囲を逸脱するとはサージ電圧がシステムで管理できないサージ電圧範囲にあることを意味し得、そして/または地絡電圧があらかじめ設定された基準範囲を逸脱するとは地絡電圧がシステムで管理できない地絡電圧範囲にあることを意味し得る。したがって、前記サージ電圧および/または前記地絡電圧があらかじめ設定された基準範囲を逸脱するという意味は、基準電圧の意味によって異なって解釈され得る。
【0043】
図3は、本発明の実施例に係るエネルギー貯蔵装置の保護システム100のうちPCS120の構成を図示したブロック図である。
【0044】
図3に図示された通り、PCS120は汎用通信線を通じてシステム保護信号(例えば、クロック信号に同期化されて暗号化されたデジタル信号)を受信するために、通信ポート121およびデコーディング部122を含むことができる。一部の例において、通信ポート121がシステム保護信号を受信し、デコーディング部122がシステム保護信号をデコーディングする。また、制御部123はデコーディング部122からデコーディングされた情報に基づいてシステムシャットダウン部124にシステムシャットダウン信号を出力することができる。
【0045】
また、PCS120はハードワイヤーを通じて受信されたシステム保護信号(例えば、ハイレバル電圧信号またはローレベル電圧信号)の電圧レベルを判断するための電圧判断部125を含むことができる。一部の例において、電圧判断部125はハイレバル電圧からローレベル電圧に切り替えられる場合、直ちにシステムシャットダウン部124にシャットダウン信号を出力することができ、その反対も可能である。
【0046】
このようにして、汎用通信線を通じてのシステム保護信号に基づいたシステムシャットダウン部124の動作時間よりハードワイヤーを通じてのシステム保護信号に基づいたシステムシャットダウン部124の動作時間が相対的に短い。したがって、本発明の実施例に係るエネルギー貯蔵装置の保護システム100は、システム保護信号をハードワイヤー方式で伝送することによって、エネルギー貯蔵装置を速かにシャットダウンさせることができる。
【0047】
図4は、本発明の他の実施例に係るエネルギー貯蔵装置の保護システム200の構成を図示したブロック図である。
【0048】
図4に図示された通り、本発明の他の実施例に係るエネルギー貯蔵装置の保護システム200のうち外部センサ部115は、第2ハードワイヤー242を通じてPCS120に直接連結されてもよい。これに伴い、外部センサ部115は、直流電力線145および/または交流電力線146のサージ電圧、地絡電圧および/またはスイッチの接点の状態の情報を、直接第2ハードワイヤー242を通じてPCS120に伝送することができる。したがって、PCS120は、外部センサ部115を利用してセンシングしたサージ電圧、地絡電圧および/またはスイッチの接点の状態があらかじめ設定された基準範囲を逸脱する場合、エネルギー貯蔵装置を速かにシャットダウンさせることができる。ここで、このような実施例は図2に図示された実施例と結合されて構成/動作してもよい。
【0049】
図5aおよび図5bは、本発明の実施例に係るエネルギー貯蔵装置の保護システム100のうちバッテリー101の構成を図示したブロック図である。ここで、図5aはバッテリー101の電気的ブロックダイヤグラムを図示したものであり、図5bはバッテリー101の通信ブロックダイヤグラムを図示したものである。このようなブロックダイヤグラムは、バッテリーコネクションパネル106とPCS120との間の電気的連結構成およびシステムBMS110とPCS120またはEMS130との間の通信連結構成を説明するための一例に過ぎず、このような電気的/通信構成に本発明は限定されない。
【0050】
一部の例において、バッテリー101は直列および/または並列で連結された多数のラック102を含むことができ、それぞれのラック102は直列および/または並列で連結された多数のバッテリーセル103を含むことができる。それぞれのラック102はフューズ104およびスイッチ105を通じてバッテリーコネクションパネル106に連結され得、バッテリーコネクションパネル106はPCS120に直流電力線145を通じて電気的に連結され得る。ここで、バッテリーコネクションパネル106はディスコネクトスイッチ107(アイソレーションスイッチ)を含むことができる。場合により、ディスコネクトスイッチ107の接点の状態は前述したスイッチ接点センサ118によりセンシングされ得る。
【0051】
一部の例において、バッテリー103は汎用通信線(例えば、CAN)を通じて直列および/または並列で連結された多数のラックBMS109を含むことができる。また、ラックBMS109は汎用通信線(例えば、CAN)を通じてシステムBMS110に連結され得る。さらに、システムBMS110は汎用通信線(例えば、TCP/IPまたはRS485)を通じてPCS120および/またはEMS130に通信可能に連結され得る。ここで、システムBMS110が前述したシステム保護信号をハードワイヤーおよび/または汎用通信線を通じてPCS120に直接または間接的に伝送することができる。ここで、一つのラック102は多数のバッテリーセル101をモジュール単位で管理する多数のモジュールBMS108を含むことができ、多数のモジュールBMS108がラックBMS109により管理され得、多数のラックBMS109がシステムBMS110により管理され得る。
【0052】
図6は、本発明の実施例に係るエネルギー貯蔵装置の保護システム100の動作順序を図示したフローチャートである。
【0053】
図6に図示された通り、本発明の実施例に係るエネルギー貯蔵装置の保護システム100の動作は、バッテリーの内部状態センシング段階S1、バッテリーの内部状態が危険状態であるかを判断する段階S2、バッテリーの外部状態センシング段階S3、バッテリーの外部状態が危険状態であるかを判断する段階S4、第1ハードワイヤー141を通じての保護信号伝送段階S5およびシステムシャットダウン段階S6を含むことができる。
【0054】
バッテリーの内部状態センシング段階S1で、BMS110が内部センサ部111を利用してバッテリー(セル)の電圧、電流および/または温度のうち少なくとも一つをセンシングする。一部の例において、BMS110は電圧センサ112を利用してバッテリーセルの電圧をセンシングし、電流センサ113を利用してバッテリーセルの電流をセンシングし、そして/または温度センサ114を利用してバッテリーセルの温度をセンシングする。
【0055】
バッテリーの内部状態が危険状態であるかを判断する段階S2で、BMS110は内部センサ部111を利用してセンシングした電圧、電流および/または温度のうち少なくとも一つがあらかじめ設定された基準範囲を逸脱するかを判断することができる。一部の例において、BMS110は電圧センサ112を利用してセンシングした電圧があらかじめ設定された基準電圧範囲を逸脱したり、電流センサ113を利用してセンシングした電流があらかじめ設定された基準電流範囲を逸脱したり、そして/または温度センサ114を利用してセンシングした電流があらかじめ設定された基準温度範囲を逸脱する場合、バッテリーセルの内部状態が危険であると判断することができる。
【0056】
バッテリーの外部状態センシング段階S3で、BMS110が外部センサ部115を利用してバッテリー(セル)とPCS120を連結する直流電力線145および/または交流電力線146に流入したサージ電圧、直流電力線145および/または交流電力線146に流入した地絡電圧および/または直流電力線145および/または交流電力線146に設置されたスイッチの接点の状態をセンシングする。一部の例において、BMS110はサージ電圧センサ116を利用して直流電力線145および/または交流電力線146のサージ電圧をセンシングし、地絡電圧センサ117を利用して直流電力線145および/または交流電力線146の地絡電圧をセンシングし、そして/またはスイッチ接点センサ118を利用して直流電力線145および/または交流電力線146に設置されたスイッチの接点の状態をセンシングする。ここで、外部センサ部115を利用してセンシングされたセンシング値は第2ハードワイヤー142を通じてBMS110に伝送され得る。
【0057】
バッテリーの外部状態が危険状態であるかを判断する段階S4で、BMS110は外部センサ部115および第2ハードワイヤー142を利用して獲得したサージ電圧、地絡電圧および/またはスイッチの接点の状態のうち少なくとも一つがあらかじめ設定された基準範囲を逸脱するかを判断することができる。一部の例において、BMS110はサージ電圧センサ116を利用してセンシングしたサージ電圧があらかじめ設定された基準サージ電圧範囲を逸脱したり、地絡電圧センサ117を利用してセンシングした地絡電圧があらかじめ設定された基準地絡電圧範囲を逸脱したり、そして/またはスイッチ接点センサを利用してセンシングしたスイッチの接点の状態があらかじめ設定された基準ますます状態範囲を逸脱する場合、バッテリーセルの外部状態が危険であると判断することができる。
【0058】
第1ハードワイヤー141を通じての保護信号伝送段階S5で、BMS110は第1ハードワイヤー141を利用してPCS120に直接システム保護信号を伝送することができる。また、BMS110は汎用第1汎用通信線143を通じてEMS130にもシステム保護信号を伝送することができる。これに伴い、EMS130は汎用第2汎用通信線144を通じてPCS120にシステム保護信号を伝達(伝送)することができる。一部の例において、BMS110は内部センサ部111を通じてセンシングした電圧、電流および/または温度が基準範囲を逸脱したり、そして/または外部センサ部115を通じてセンシングしたサージ電圧、地絡電圧および/またはスイッチの接点の状態が基準範囲を逸脱したりする場合、第1ハードワイヤー141および汎用通信線143、144通じて順次または同時にシステム保護信号をPCS120に伝送することができる。
【0059】
システムシャットダウン段階S6で、PCS120は、前述した通り、第1ハードワイヤー141および/または汎用通信線のうち少なくともいずれか一つからシステム保護信号を受信する場合、エネルギー貯蔵装置を直ちにシャットダウンさせることによって、エネルギー貯蔵装置が危険な状態に進入しないようにする。
【0060】
一方、前述した通り、外部センサ部115が第2ハードワイヤー242を通じてPCS120に直接連結される場合、バッテリーの外部状態が危険な状態にある場合、PCS120はBMS110を通じずにそのまま外部センサ部115からシステム保護信号を受信してエネルギー貯蔵装置をシャットダウンさせてもよい。
【0061】
このようにして、本発明の実施例に係るエネルギー貯蔵装置の保護システム100は、バッテリーの内部で異常(危険)状況が発生したり、そして/またはバッテリーの外部で異常(危険)状況が発生したりする場合、ハードワイヤー方式で直ちにPCS120にシステム保護信号を伝送し、同時に汎用通信線を通じてEMS130にシステム保護信号を伝送することができる。これに伴い、PCS120は互いに異なる2つの経路を通じて速やかにエネルギー貯蔵装置の異常(危険)状況をセンシングすることによって、エネルギー貯蔵装置を保護することができる。
【0062】
以上で説明したものは本発明に係るエネルギー貯蔵装置の保護システムを実施するための一つの実施例に過ぎず、本発明は前記の実施例に限定されず、以下の特許請求の範囲で請求する通り、本発明の要旨を逸脱することなく当該発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば誰でも多様な変更実施が可能な範囲まで本発明の技術的精神があると言える。
【符号の説明】
【0063】
100;エネルギー貯蔵装置の保護システム
101;バッテリー
102;ラック
103;バッテリーセル
104;フューズ
105;スイッチ
106;バッテリーコネクションパネル
107;ディスコネクトスイッチ
108;モジュールBMS
109;ラックBMS
110;BMS(Battery Monitoring System)
111;内部センサ部
112;電圧センサ
113;電流センサ
114;温度センサ
115;外部センサ部
116;サージ電圧センサ
117;地絡電圧センサ
118;スイッチ接点センサ
120;PCS(Power Conversion System)
121;通信ポート
122;デコーディング部
123;制御部
124;システムシャットダウン部
125;電圧判断部
130;EMS(Energy Management System)
141;第1ハードワイヤー
142;第2ハードワイヤー
143;第1汎用通信線
144;第2汎用通信線
145;直流電力線
146;交流電力線
150;グリッド
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6