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特許7088732基板処理装置及び基板処理装置用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理装置用プログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20220614BHJP
   C23C 16/52 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
H01L21/31 C
C23C16/52
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018086889
(22)【出願日】2018-04-27
(65)【公開番号】P2019192865
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000127961
【氏名又は名称】株式会社堀場エステック
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(72)【発明者】
【氏名】林 大介
(72)【発明者】
【氏名】南 雅和
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/085704(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/026531(WO,A1)
【文献】特表2010-538498(JP,A)
【文献】特開2017-041628(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0278761(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
C23C 16/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が収容されるとともに、材料ガスが供給されるチャンバと、
前記チャンバに形成された複数の供給ポートそれぞれに接続された材料ガス供給路と、
前記各材料ガス供給路に設けられた流体制御機器と、
前記チャンバの周壁に形成された入射窓に向かって前記チャンバの周囲の複数箇所からレーザ光を射出するレーザ射出機構と、
前記複数箇所から射出されて前記チャンバ内を通過し、前記チャンバの周壁に形成された射出窓から射出する各レーザ光を検出するレーザ検出機構と、
前記レーザ検出機構により検出された前記各レーザ光の光強度信号を取得するとともに、その光強度信号に基づいて、前記チャンバ内における前記材料ガスの二次元濃度分布を算出し、当該材料ガスの二次元濃度分布に基づいて前記流体制御機器を制御する制御装置とを具備する基板処理装置。
【請求項2】
前記複数の供給ポートに対応する複数の供給領域が前記チャンバ内に設定されており、前記各供給領域に供給される前記材料ガスが、前記各供給領域に対応する前記供給ポートに接続された前記材料ガス供給路上の前記流体制御機器により制御される構成において、
前記制御装置が、前記二次元濃度分布に基づいて前記各供給領域の濃度を代表する領域代表濃度を算出し、これらの領域代表濃度を用いて前記各供給領域に対応する前記流体制御機器の目標流量をフィードバック制御する、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記チャンバが、
前記材料ガスが供給される内部空間を有したチャンバ本体と、
前記内部空間を覆うとともに、前記複数の供給ポートが形成された蓋体と、
前記蓋体の前記内部空間側に設けられ、前記複数の供給ポートを仕切る仕切部材とを有する、請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記複数の供給領域が、前記チャンバの中心部に設定された領域と、その領域を取り囲む少なくも1つの環状の領域として設定されている、請求項2又は3記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記制御装置が、前記レーザ検出機構により検出された前記各レーザ光の光強度信号を取得するとともに、その光強度信号に基づいて、前記チャンバ内における二次元温度分布を算出し、当該二次元温度分布に基づいて、前記チャンバ内を加熱する複数のヒータを制御する、請求項1乃至4のうち何れか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記複数のヒータに対応する複数の加熱領域が前記チャンバ内に設定されており、
前記制御装置が、前記二次元温度分布に基づいて前記各加熱領域の温度を代表する領域代表温度を算出し、これらの領域代表温度を用いて前記各ヒータへの供給電力をフィードバック制御する、請求項5記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記複数のヒータを仕切る断熱性仕切部材とを有する、請求項6記載の基板処理装置。
【請求項8】
基板が収容されるとともに、材料ガスが供給されるチャンバと、前記チャンバに形成された複数の供給ポートそれぞれに接続された材料ガス供給路と、前記各材料ガス供給路に設けられた流体制御機器と、前記チャンバの周壁に形成された入射窓に向かって前記チャンバの周囲の複数箇所からレーザ光を射出するレーザ射出機構と、前記複数箇所から射出されて前記チャンバ内を通過し、前記チャンバの周壁に形成された射出窓から射出する各レーザ光を検出するレーザ検出機構とを具備する基板処理装置に用いられるプログラムであって、
前記レーザ検出機構により検出された前記各レーザ光の光強度信号を取得するとともに、その光強度信号に基づいて、前記チャンバ内における前記材料ガスの二次元濃度分布を算出し、当該材料ガスの二次元濃度分布に基づいて前記流体制御機器を制御する機能をコンピュータに発揮させる基板処理装置用プログラム。
【請求項9】
前記レーザ検出機構により検出された前記各レーザ光の光強度信号を取得するとともに、その光強度信号に基づいて、前記チャンバ内における二次元温度分布を算出し、当該二次元温度分布に基づいて、前記チャンバ内を加熱する複数のヒータを制御する機能を前記コンピュータに発揮させる、請求項8記載の基板処理装置用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造プロセスに用いられる基板処理装置及び基板処理装置用プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の基板処理装置としては、特許文献1に示すように、基板を収容するチャンバに材料ガスを供給するとともに、基板をヒータによって加熱し、チャンバ内にプラズマを発生させることで、エッチングや成膜等の基板処理をするものがある。
【0003】
このような基板処理装置において、チャンバ内の基板に沿った平面内における材料ガスの濃度分布(以下、二次元濃度分布という)や、同平面内における温度分布(以下、二次元温度分布という)が不均一であると、上述した基板処理も不均一になってしまい、例えば基板の表面品質などを担保することができない。
【0004】
しかしながら、これまでの装置において、チャンバ内の二次元濃度分布や二次元温度分布を把握することはできず、基板処理の均一化を図るためには、材料ガスを複数箇所から供給するようにして、各箇所からの供給量をオペレータが経験的に調整したり、ヒータを複数箇所に設けて、各ヒータによる加熱温度をオペレータが経験的に調整したりする必要があり、多くの手間や時間がかかっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-204692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであって、オペレータの経験に頼らずとも、高速かつ高精度でチャンバ内の二次元濃度分布や二次元温度分布を均一にできるようにすることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明に係る基板処理装置は、基板が収容されるとともに、材料ガスが供給されるチャンバと、前記チャンバに形成された複数の供給ポートそれぞれに接続された材料ガス供給路と、前記各材料ガス供給路に設けられた流体制御機器と、前記チャンバの周壁に形成された入射窓に向かって前記チャンバの周囲の複数箇所からレーザ光を射出するレーザ射出機構と、前記複数箇所から射出されて前記チャンバ内を通過し、前記チャンバの周壁に形成された射出窓から射出する各レーザ光を検出するレーザ検出機構と、前記レーザ検出機構により検出された前記各レーザ光の光強度信号を取得するとともに、その光強度信号に基づいて、前記チャンバ内における前記材料ガスの二次元濃度分布を算出し、当該二次元濃度分布に基づいて前記流体制御機器を制御する制御装置とを具備することを特徴とするものである。
【0008】
このような基板処理装置であれば、制御装置が、チャンバの周囲の複数箇所から射出されてチャンバ内を通過した各レーザ光の光強度信号に基づいてチャンバ内における材料ガスの二次元濃度分布を算出し、この二次元濃度分布に基づいて流体制御機器を制御するので、オペレータの経験によらず二次元濃度分布の均一化を図れる。
【0009】
前記複数の供給ポートに対応する複数の供給領域が前記チャンバ内に設定されており、前記各供給領域に供給される前記材料ガスが、前記各供給領域に対応する前記供給ポートに接続された前記材料ガス供給路上の前記流体制御機器により制御される構成において、前記制御装置が、前記二次元濃度分布に基づいて前記各供給領域の濃度を代表する領域代表濃度を算出し、これらの領域代表濃度を用いて前記各供給領域に対応する前記流体制御機器の目標流量をフィードバック制御することが好ましい。
このような構成であれば、チャンバ内の二次元濃度分布を供給領域毎に制御することができ、制御を煩雑化させることなく、二次元濃度分布の均一化を図れる。
【0010】
前記チャンバが、前記材料ガスが供給される内部空間を有したチャンバ本体と、前記内部空間を覆うとともに、前記複数の供給ポートが形成された蓋体と、前記蓋体の前記内部空間側に設けられ、前記複数の供給ポートを仕切る仕切部材とを有することが好ましい。
このような構成であれば、1つの供給ポートから供給される材料ガスが主として1つの供給領域に供給されるように、複数の供給ポートを仕切ることで、複数の供給領域を独立して制御することができ、チャンバ内の二次元濃度分布をより速く均一化させることが可能となる。
【0011】
チャンバ内中心部と外周部とで二次元濃度分布の差が生じがちであることから、内部空間Sの中心部と外周部との濃度をそれぞれ制御できるようにするためには、前記複数の供給領域が、前記チャンバの中心部に設定された領域と、その領域を取り囲む少なくも1つの環状の領域として設定されていることが好ましい。
これならば、二次元濃度分布をより均一にしやすくなる。
【0012】
さらに、本発明に係る基板処理装置は、基板が収容されるとともに、材料ガスが供給されるチャンバと、前記チャンバ内を加熱する複数のヒータと、前記チャンバの周壁に形成された入射窓に向かって前記チャンバの周囲の複数箇所からレーザ光を射出するレーザ射出機構と、前記複数箇所から射出されて前記チャンバ内を通過し、前記チャンバの周壁に形成された射出窓から射出する各レーザ光を検出するレーザ検出機構と、前記レーザ検出機構により検出された前記各レーザ光の光強度信号を取得するとともに、その光強度信号に基づいて、前記チャンバ内における二次元温度分布を算出し、当該二次元温度分布に基づいて前記各ヒータを制御する制御装置とを具備することを特徴とするものである。
【0013】
このような基板処理装置によれば、制御装置が、チャンバの周囲の複数箇所から射出されてチャンバ内を通過した各レーザ光の光強度信号に基づいてチャンバ内における二次元温度分布を算出し、この二次元温度分布に基づいて流体制御機器を制御するので、オペレータの経験によらず二次元温度分布の均一化を図れる。
【0014】
前記複数のヒータに対応する複数の加熱領域が前記チャンバ内に設定されており、前記制御装置が、前記二次元温度分布に基づいて前記各加熱領域の温度を代表する領域代表温度を算出し、これらの領域代表温度を用いて前記各ヒータへの供給電力をフィードバック制御することが好ましい。
このような構成であれば、チャンバ内の二次元温度分布を加熱領域毎に制御することができ、制御を煩雑化させることなく、二次元温度分布の均一化を図れる。
【0015】
前記複数のヒータを仕切る断熱性仕切部材とを有することが好ましい。
このような構成であれば、1つのヒータが主として1つの加熱領域を加熱するように、複数のヒータを仕切ることで、複数の加熱領域を独立して制御することができ、チャンバ内の二次元温度分布をより速く均一化させることが可能となる。
【0016】
また、本発明に係る基板処理装置用プログラムは、基板が収容されるとともに、材料ガスが供給されるチャンバと、前記チャンバに形成された複数の供給ポートそれぞれに接続された材料ガス供給路と、前記各材料ガス供給路に設けられた流体制御機器と、前記チャンバの周壁に形成された入射窓に向かって前記チャンバの周囲の複数箇所からレーザ光を射出するレーザ射出機構と、前記複数箇所から射出されて前記チャンバ内を通過し、前記チャンバの周壁に形成された射出窓から射出する各レーザ光を検出するレーザ検出機構とを具備する基板処理装置に用いられるプログラムであって、前記レーザ検出機構により検出された前記各レーザ光の光強度信号を取得するとともに、その光強度信号に基づいて、前記チャンバ内における前記材料ガスの二次元濃度分布を算出し、当該二次元濃度分布に基づいて前記流体制御機器を制御する機能をコンピュータに発揮させることを特徴とするものである。
【0017】
さらに、本発明に係る基板処理装置用プログラムは、基板が収容されるとともに、材料ガスが供給されるチャンバと、前記チャンバ内を加熱する複数のヒータと、前記チャンバの周壁に形成された入射窓に向かって前記チャンバの周囲の複数箇所からレーザ光を射出するレーザ射出機構と、前記複数箇所から射出されて前記チャンバ内を通過し、前記チャンバの周壁に形成された射出窓から射出する各レーザ光を検出するレーザ検出機構とを具備する基板処理装置に用いられるプログラムであって、前記レーザ検出機構により検出された前記各レーザ光の光強度信号を取得するとともに、その光強度信号に基づいて、前記チャンバ内における二次元温度分布を算出し、当該二次元温度分布に基づいて前記ヒータを制御する機能をコンピュータに発揮させることを特徴とするものである。
【0018】
これらの基板処理装置用プログラムによれば、上述した基板処理装置と同様の作用効果を発揮させることできる。
【発明の効果】
【0019】
このように構成した本発明によれば、オペレータの経験に頼らずとも、高速かつ高精度でチャンバ内の二次元濃度分布や二次元温度分布を均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態の基板処理装置の構成を模式的に示す図。
図2】同実施形態のレーザ射出機構及びレーザ検出機構の構成を模式的に示す図。
図3】同実施形態のチャンバの構成を示す断面図。
図4】同実施形態のチャンバの構成を示す分解斜視図。
図5】同実施形態のチャンバに形成された光路を模式的に示す断面図。
図6】同実施形態の仕切部材及び断熱性仕切部材の構成を示す斜視図。
図7】同実施形態の制御装置の機能を示す機能ブロック図。
図8】同実施形態の制御装置の濃度制御動作を示すフローチャート。
図9】同実施形態の制御装置の温度制御動作を示すフローチャート。
図10】その他の実施形態における仕切部材の構成を模式的に示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る基板処理装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
本実施形態の基板処理装置は、半導体製造プロセスに用いられるものであり、ウエハ等の基板に対して成膜やエッチング等の基板処理をするものである。
【0023】
具体的にこの基板処理装置100は、図1に示すように、基板(不図示)を収容するチャンバ10と、チャンバ10に例えばCHなどの材料ガスを供給する材料ガス供給路L1と、チャンバ10に供給された材料ガスを排出する材料ガス排出路L2とを具備している。なお、材料ガスとしては、CHに限らず、SiFやCFなど適宜変更して構わない。
【0024】
チャンバ10は、基板を収容する内部空間Sが形成されたものであり、この内部空間Sには基板を加熱するためのヒータHが設けられている。そして、ヒータHによって基板を加熱するとともに、チャンバ10に材料ガスを供給しながら、該チャンバ10の内部空間Sにプラズマを発生させることで、上述した基板処理が行われる。
【0025】
このチャンバ10には、材料ガスが供給される複数の供給ポートP1と、内部空間Sに供給された材料ガスを排出する排出ポートP2とが形成されている。
【0026】
材料ガス供給路L1は、一端が上述した供給ポートP1に接続されるとともに、他端が材料ガスのガス源Z1に接続されている。ここでは、複数の供給ポートP1それぞれに材料ガス供給路L1が接続されており、これら複数の材料ガス供給路L1は、互いに並列に設けられている。これにより、各材料ガス供給路L1を流れる材料ガスの流量等を独立して制御することができる。
【0027】
各材料ガス供給路L1には、1又は複数の開閉弁V1と、材料ガスの流量や圧力等の物理量を制御する第1流体制御機器MFC1とが設けられている。ここでの第1流体制御機器MFC1は、材料ガス供給路L1に流れる材料ガスの流量を制御する差圧式又は熱式のマスフローコントローラであり、材料ガス供給路L1に流れる実流量を算出し、その実流量が予め入力された目標流量に近づくように、流体制御弁(不図示)を制御するものである。
【0028】
また、各材料ガス供給路L1には、材料ガスを希釈する例えば窒素ガス等の希釈ガスが流れる希釈ガス供給路L3が接続されており、これら複数の希釈ガス供給路L3は、互いに並列に設けられている。これにより、各希釈ガス供給路L3を流れる希釈ガスの流量等を独立して制御することができる。
【0029】
各希釈ガス供給路L3は、一端が材料ガス供給路L1に接続されるとともに、他端が希釈ガスのガス源Z2に接続されており、1又は複数の開閉弁V2と、希釈ガスの流量や圧力等の物理量を制御する第2流体制御機器MFC2とが設けられている。ここでの第2流体制御機器MFC2は、上述した第1流体制御機器MFC1と同様、希釈ガスの流量を制御する差圧式又は熱式のマスフローコントローラである。
【0030】
材料ガス排出路L2は、一端が上述した排出ポートP2に接続されており、他端がチャンバ10の外部に位置する例えば吸引ポンプPに接続されている。この材料ガス排出路L2には、調圧弁等の調圧手段V3や開閉弁V4が設けられている。
【0031】
そして、本実施形態の基板処理装置100は、図2に示すように、チャンバ10の周囲の複数箇所からチャンバ10内にレーザ光を射出するレーザ射出機構20と、複数箇所から射出されてチャンバ10内を通過した各レーザ光を検出するレーザ検出機構30と、レーザ検出機構30により検出された各レーザ光の光強度信号を取得して、基板処理装置100の動作を制御する制御装置40とをさらに具備している。
【0032】
まず、チャンバ10をより詳細について説明すると、本実施形態のチャンバ10は、図3図5に示すように、上述した内部空間Sを有するチャンバ本体11と、内部空間Sを上方から覆う上側蓋部材12と、上側蓋部材12の下方に設けられて多数の小孔h1が形成された多孔部材13と、多孔部材13の下方に設けられて内部空間Sを下方から覆う下側蓋部材14とを有している。
【0033】
チャンバ本体11は、図4に示すように、例えば回転体形状の内部空間Sを形成する内周面111と、レーザ光を透過させる入射窓W1及び射出窓W2が形成された外周面112とを有している。また、チャンバ本体11の底壁には、上述した排出ポートP2が1つ形成されている。なお、排出ポートP2の数や配置は適宜変更して構わない。
【0034】
本実施形態のチャンバ本体11は、外周面112が多角形状をなしており、外周面112のうちの互いに対向する一対の辺部の一方に入射窓W1が形成され、他方に射出窓W2が形成されている。ここでの外周面112は八角形であり、連続する半数(4つ)の辺部に入射窓W1が形成され、それ以外の連続する半数(4つ)の辺部に射出窓W2が形成されている。
【0035】
さらにチャンバ本体11には、図5に示すように、内周面111と外周面112とを貫通するレーザ光路Xが形成されている。ここでは、外周面112の1つの辺部に対して複数本のレーザ光路Xが形成されており、これら複数本のレーザ光路Xが対向する辺部まで延びている。つまり、外周面112の互いに対向する一対の辺部に対して複数本のレーザ光路Xが形成されており、ここでは一対の辺部に対して8本、合計32本のレーザ光路Xが形成されている。なお、一対の辺部に対する本数や合計本数は適宜変更して構わない。
【0036】
これらのレーザ光路Xは、いずれも同一平面状に形成されている。具体的には、各レーザ光路Xは、内部空間Sの中心軸Cに直交する平面に沿って、言い換えれば内部空間Sに収容された基板に沿って形成されている。
【0037】
上側蓋部材12は、図3及び図4に示すように、チャンバ10の上壁を構成しており、上述した複数の供給ポートP1が形成された例えば円形平板状のものである。複数の供給ポートP1は、例えば上面視円周上に等間隔に配置されており、ここでは4つの供給ポートP1が内部空間Sの中心軸C周りに等間隔に配置されている。なお、供給ポートP1の数や配置は適宜変更して構わない。
【0038】
多孔部材13は、図3及び図4に示すように、上側蓋部材12の下方に隙間を隔てて配置されたものである。これにより、内部空間Sは多孔部材13よりも上方の上部空間S1と、多孔部材13よりも下方の下部空間S2とに仕切られている。この多孔部材13には、厚み方向に貫通する多数の小孔h1が形成されており、供給ポートP1から上部空間S1に供給された材料ガスが、これら多数の小孔h1に分散しながら下部空間S2の全体に行き渡るようにしてある。
【0039】
下側蓋部材14は、図3及び図4に示すように、内部空間Sに供給された材料ガスを排出ポートP2に導く複数の貫通孔h2が形成されており、ここでは基板(不図示)が載置される基板保持部材としても用いられる。この下側蓋部材14は、例えば上述した供給ポートP1に対応する位置に複数の貫通孔h2が形成された例えば円形平板状のものである。また、この下側蓋部材の下面には、例えばカートリッジヒータ等のヒータHが複数設けられている。
【0040】
ここで、本実施形態のチャンバ10は、図6に示すように、上側蓋部材12の下方に設けられて複数の供給ポートP1を仕切る仕切部材15と、下側蓋部材14に設けられて複数のヒータHを仕切る断熱性仕切部材16とをさらに有している。
【0041】
仕切部材15は、上側蓋部材12と多孔部材13との間に介在して、複数の供給ポートP1を空間的に仕切るものであり、上側蓋部材12の下面と多孔部材13の上面とに当接する例えば平板状のものである。この仕切部材15は、ここでは多孔部材13の上面と一体的に形成されているが、上側蓋部材12の下面と一体的に設けられていても良いし、多孔部材13や上側蓋部材12とは別体のものであっても良い。
【0042】
この仕切部材15によって複数の供給ポートP1が空間的に仕切られることで、上部空間S1は複数の部屋aに仕切られる。ここでの仕切部材15は、上部空間S1を供給ポートP1と同数の部屋aに等分(具体的には4等分)するものであり、具体的には互いに直交するとともに上部空間S1の中心を通る一対の仕切部材15が設けられている。
かかる構成により、1つの供給ポートP1から供給された材料ガスは上部空間S1の1つの部屋aにのみ供給され、各供給ポートP1から供給された材料ガスは、上部空間S1では混ざり合うことなく下部空間S2に導かれる。
【0043】
この仕切部材15によって、チャンバ10内には、複数の供給ポートP1に対応する複数の供給領域αが設定される。より詳細に説明すると、各供給領域αは、チャンバ10の下部空間S2に設定された領域であり、仕切部材15によって仕切られた上部空間S1の各部屋aの下方にそれぞれに位置する領域である。言い換えれば、1つの供給ポートP1から供給された材料ガスが、主として1つの供給領域αに供給されるように構成されており、ここでの供給領域αは、上部空間S1と同様、下部空間S2を等分(具体的には4等分)した領域である。
【0044】
一方、断熱性仕切部材16は、下側蓋部材14に設けられて、複数のヒータHを熱的に仕切るものであり、例えば平板状やシート状のものである。ここでの断熱性仕切部材16は、下側蓋部材14の下面に設けられているが、下側蓋部材14の上面に設けられていても良い。なお、断熱性仕切部材16は、必ずしも基板保持部材たる下側蓋部材14に設けられている必要はなく、配置は適宜変更して構わない。
【0045】
この断熱性仕切部材16によって複数のヒータHが熱的に仕切られることで、下側蓋部材14は複数の区画bに仕切られる。ここでの断熱性仕切部材16は、下側蓋部材14をヒータHと同数の区画bに等分(具体的には4等分)するものであり、具体的には互いに直交するとともに下側蓋部材14の中心を通る一対の断熱性仕切部材16が設けられている。かかる構成により、1つのヒータHは主として下側蓋部材14の1つの区画bを加熱する。なお、ヒータHの数が多い場合は下側蓋部材14を例えば格子状に区画bするように多数の断熱性仕切部材16を設けても良い。
【0046】
この断熱性仕切部材16によって、チャンバ10内には、複数のヒータHに対応する複数の加熱領域βが設定される。より詳細に説明すると、各加熱領域βは、チャンバ10の下部空間S2に設定された領域であり、断熱性仕切部材16によって仕切られた下側蓋部材14の各区画bの上方に位置する領域である。言い換えれば、1つのヒータHが主として1つの加熱領域βを加熱するように構成されており、ここでの加熱領域βは、下側蓋部材14と同様、下部空間S2を等分した領域である。
【0047】
次に、レーザ射出機構20、レーザ検出機構30、及び制御装置40について説明する。
【0048】
レーザ射出機構20は、図2に示すように、チャンバ10の周壁に形成された入射窓W1に向かってチャンバ10の周囲の複数箇所からレーザ光を射出するものである。具体的にこのレーザ射出機構20は、例えば半導体レーザ等のレーザ光源21と、レーザ光源21から射出されたレーザ光を複数のファイバに分光するファイバスプリッタ22とを有し、各ファイバの射出端部23が、内部空間Sを取り囲むように配置されている。ここでは、チャンバ10の外周面112が多角形状をなしており、外周面112の複数の辺部(具体的には4つの辺部)それぞれに対して、複数のファイバが設けられている。これにより、レーザ光源21から射出されたレーザ光は、四方から内部空間Sに向かって射出される。
【0049】
レーザ検出機構30は、図2に示すように、複数箇所から射出されてチャンバ10内を通過し、チャンバ10の周壁に形成された射出窓W2から射出する各レーザ光を検出するものである。具体的にこのレーザ検出機構30は、各ファイバから射出されて内部空間Sを通過したレーザ光を検出する複数のレーザ検出器31を有しており、各レーザ検出器31は、内部空間Sを挟むようにファイバの射出端部23に対向配置されている。これらのレーザ検出器31により検出されたレーザ光の強度を示す光強度信号は、アンプA等を介して上述した制御装置40に出力される。
【0050】
然して、本実施形態の制御装置40は、物理的にはCPU、内部メモリ、入出力インターフェース、AD変換器などを備えた専用乃至汎用のコンピュータであり、前記内部メモリに格納された基板処理装置用プログラムに基づいて、CPU及びその他の構成要素が協働することによって、図7に示すように、光強度信号取得部41、二次元濃度算出部42、及び濃度制御部43などの機能を発揮するように構成されたものである。
【0051】
以下、図8に示すフローチャートを参照しながら、各部の説明を兼ねて、本実施形態の制御装置40の濃度制御動作について説明する。
【0052】
まず、材料ガスが複数の供給ポートP1からチャンバ10に供給されている状態で、レーザ射出機構20からチャンバ10の内部空間Sにレーザ光を射出し、内部空間Sを通過したレーザ光をレーザ検出機構30によって検出する(S11)。レーザ検出機構30により検出された光強度信号は、制御装置40に出力され、光強度信号取得部41により取得される(S12)。
【0053】
次いで、光強度信号取得部41により取得された光強度信号に基づき、二次元濃度算出部42が、チャンバ10内における二次元濃度分布を算出する(S13)。ここでいう二次元濃度分布とは、チャンバ10内におけるレーザ光に沿った平面内の濃度分布であり、言い換えればチャンバ10内に収容された基板に沿った濃度分布である。
【0054】
より具体的に説明すると、二次元濃度算出部42は、各レーザ検出器31により検出された光強度信号を所定の二次元濃度分布算出用アルゴリズムに基づいて演算処理することで、互いに直交する2軸で規定される領域の二次元濃度分布を算出するように構成されており、少なくとも上述した複数の供給領域αの二次元濃度分布を算出する。
【0055】
そして、二次元濃度算出部42により算出された複数の供給領域αにおける二次元濃度分布に基づいて、濃度制御部43が上述した第1流体制御機器MFC1を制御する。この濃度制御部43は、各供給領域αそれぞれにおける二次元濃度分布を用いて、各供給領域αに対応する第1流体制御機器MFC1の目標流量をフィードバック制御する。なお、ここでいう各供給領域αに対応する第1流体制御機器MFC1とは、各供給領域αに対応する供給ポートP1(すなわち、各供給領域αに主として材料ガスを供給する供給ポートP1)に接続された材料ガス供給路L1上に設けられた第1流体制御機器MFC1のことである。
【0056】
より具体的に説明すると、まず濃度制御部43は、各供給領域αの二次元濃度分布から、各供給領域αの濃度を代表する領域代表濃度Ciを算出する(S14)。領域代表濃度Ciとしては、各供給領域αの二次元濃度分布における平均濃度や最大濃度などを挙げることができる。
【0057】
次に、濃度制御部43は、それぞれの領域代表濃度Ciを平均した平均濃度Caveを算出する(S15)。そして、領域代表濃度Ciそれぞれと平均濃度Caveとを比較し、第1流体制御機器MFC1の目標流量を算出する(S16)。
【0058】
具体的には、領域代表濃度Ciが平均濃度Caveよりも大きい場合は、その領域代表濃度Ciを低くすべく、その供給領域αに対応する第1流体制御機器MFC1の目標流量を減少させる。なお、この場合に、その供給領域αに対応する第2流体制御機器MFC2の目標流量を増大させても良い。
一方、領域代表濃度Ciが平均濃度Caveよりも小さい場合は、その領域代表濃度Ciを高くすべく、その供給領域αに対応する第1流体制御機器MFC1の目標流量を増大させる。なお、この場合に、その供給領域αに対応する第2流体制御機器MFC2の目標流量を減少させても良い。
【0059】
濃度制御部43は、算出した目標流量を第1流体制御機器MFC1に出力し、その後、所定時間経過したかを判断する(S17)。そして、所定時間の経過後、再び各供給領域αの領域代表濃度Ciと、それらの平均濃度Caveとを算出し(S18)、各領域代表濃度Ciと平均濃度Caveとの差分を積算する(S19)。
【0060】
そして、この積算値Δ1と所定の第1閾値ε1とを比較して(S20)、積算値Δ1が第1閾値ε1よりも大きければ、再びS16に戻り、積算値Δ1が第1閾値ε1以下であれば、上述した濃度制御を終了する。
【0061】
本実施形態の制御装置40は、図7に示すように、二次元温度算出部44及び温度制御部45としての機能をさらに備えている。
【0062】
以下、図9に示すフローチャートを参照しながら、各部の説明を兼ねて、本実施形態の制御装置40の温度制御動作について説明する。
【0063】
まず、材料ガスが複数の供給ポートP1からチャンバ10に供給されるとともに、複数のヒータHによりチャンバ10内が加熱されている状態で、レーザ射出機構20からチャンバ10の内部空間Sにレーザ光を射出し、内部空間Sを通過したレーザ光をレーザ検出機構30によって検出する(S21)。レーザ検出機構30により検出された光強度信号は、制御装置40に出力され、光強度信号取得部41により取得される(S22)。
【0064】
次いで、光強度信号取得部41により取得された光強度信号に基づき、二次元温度算出部44が、チャンバ10内における二次元温度分布を算出する(S23)。ここでいう二次元濃度分布とは、チャンバ10内におけるレーザ光に沿った平面内の温度分布であり、言い換えればチャンバ10内に収容された基板に沿った温度分布である。
【0065】
より具体的に説明すると、二次元温度算出部44は、各レーザ検出器31により検出された光強度信号を所定の二次元温度分布算出用アルゴリズムに基づいて演算処理することで、互いに直交する2軸で規定される領域の二次元温度分布を算出するように構成されており、少なくとも上述した複数の加熱領域βの二次元温度分布を算出する。
【0066】
そして、温度制御部45が、二次元温度算出部44により算出された複数の加熱領域βにおける二次元温度分布に基づいて、複数のヒータHを制御する。この温度制御部45は、各温度領域それぞれにおける二次元温度分布を用いて、各加熱領域βに対応するヒータHへの供給電力(印加電流や印加電圧)をフィードバック制御するように構成されている。なお、ここでいう各加熱領域βに対応するヒータHとは、各加熱領域β対応する下側蓋部材14の区画bに設けられたヒータHである。
【0067】
より具体的に説明すると、まず温度制御部45は、各加熱領域βの二次元温度分布から、各加熱領域βの温度を代表する領域代表温度Tiを算出する(S24)。領域代表温度Tiとしては、各加熱領域βの二次元温度分布における平均温度や最大温度などを挙げることができる。
【0068】
次に、温度制御部45は、それぞれの領域代表温度Tiを平均した平均温度Taveを算出する(S25)。そして、領域代表温度Tiそれぞれと平均温度Taveとを比較し、ヒータHへの供給電力を算出する(S26)。
【0069】
具体的には、領域代表温度Tiが平均温度Taveよりも大きい場合は、その領域代表温度Tiを低くすべく、その加熱領域βに対応するヒータHへの供給電力を減少させる。
一方、領域代表温度Tiが平均温度Taveよりも小さい場合は、その領域代表温度Tiを高くすべく、その加熱領域βに対応するヒータHの供給電力を増大させる。
【0070】
温度制御部45は、算出した供給電力を示す指令値をヒータ制御装置HC(図1参照)に出力し、その後、所定時間経過したかを判断する(S27)。そして、所定時間の経過後、再び各供給領域αの領域代表温度Tiと、それらの平均温度Taveとを算出し(S28)、各領域代表温度Tiと平均温度Taveとの差分を積算する(S29)。
【0071】
そして、この積算値Δ2と所定の第2閾値ε2とを比較して(S30)、積算値Δ2が第2閾値ε2よりも大きければ、再びS26に戻り、積算値Δ2が第2閾値ε2以下であれば、上述した温度制御を終了する。
【0072】
このように構成された基板処理装置100によれば、制御装置40が、チャンバ10の周囲の複数箇所から射出されてチャンバ10内を通過した各レーザ光の光強度信号に基づいてチャンバ10内における材料ガスの二次元濃度分布を算出し、この二次元濃度分布に基づいて第1流体制御機器MFC1を制御するので、オペレータの経験に頼らずとも、二次元濃度分布の均一化を図れる。
【0073】
さらに、チャンバ10内に設定された複数の供給領域α毎に制御対象となる第1流体制御機器MFC1や第2流体制御機器MFC2を対応させているので、チャンバ10内の二次元濃度分布を供給領域α毎に制御することができ、制御を煩雑化させることなく、二次元濃度分布の均一化を図れる。
【0074】
加えて、1つの供給ポートP1から供給される材料ガスが主として1つの供給領域αに供給されるように、仕切部材15が複数の供給ポートP1を空間的に仕切っているので、複数の供給領域αを独立して制御することができ、チャンバ10内の二次元濃度分布をより速く均一化させることが可能となる。
【0075】
また、制御装置40が、チャンバ10の周囲の複数箇所から射出されてチャンバ10内を通過した各レーザ光の光強度信号に基づいてチャンバ10内における材料ガスの二次元温度分布を算出し、この二次温度度分布に基づいてヒータHを制御するので、オペレータの経験に頼らずとも、二次元温度分布の均一化を図れる。
【0076】
さらに、チャンバ10内に設定された複数の加熱領域β毎に制御対象となるヒータHを対応させているので、チャンバ10内の二次元温度分布を加熱領域β毎に制御することができ、制御を煩雑化させることなく、二次元温度分布の均一化を図れる。
【0077】
加えて、1つのヒータHが主として1つの加熱領域βを加熱するように、仕切部材15が複数のヒータHを熱的に仕切っているので、複数の加熱領域βを独立して制御することができ、チャンバ10内の二次元加熱分布をより速く均一化させることが可能となる。
【0078】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0079】
例えば、前記実施形態では、制御装置40が、各レーザ検出器31により検出された光強度信号に基づいて、二次元濃度分布及び二次元温度分布の両方を算出していたが、二次元濃度分布又は二次元温度分布の何れか一方を算出しても良い。つまり、制御装置40としては、必ずしも二次元濃度分布及び二次元温度分布の両方を算出する必要はないし、濃度制御部及び温度制御部45としての両方の機能を必ずしも備えている必要はなく、二次元濃度分布及び二次元温度分布の何れか一方を算出し、濃度制御部及び温度制御部45の何れか一方の機能を備えたものであっても良い。
【0080】
前記実施形態では、領域代表濃度Ciと平均濃度Caveとの差に基づいて、第1流体制御機器MFC1の目標流量をフィードバック制御していたが、領域代表濃度Ciと所定の目標濃度との差に基づいて、第1流体制御機器MFC1の目標流量をフィードバック制御しても良い。
また、温度制御についても同様に、領域代表温度Tiと所定の目標温度との差に基づいて、ヒータへの供給電力をフィードバック制御しても良い。
【0081】
さらに、前記実施形態では、チャンバ10の外周面112が多角形状であったが、チャンバ10の外周面112は、三角形状、矩形状、円形状、楕円形状など適宜変更して構わない。
【0082】
そのうえ、仕切部材15は、前記実施形態のように必ずしも上部空間S1を等分する必要はなく、例えば図10に示すように、上部空間S1を同心円状の部屋aに仕切っても良い。より具体的には、この仕切部材15は、レーザ光に沿った平面において、上部空間S1の中心部に位置する円形状の部屋aと、その円形状の部屋を取り囲む少なくも1つの環状の部屋aとに仕切っており、複数の環状の部屋aを設けている。なお、ここでは部屋aの数は供給ポートP1の数よりも少なく、各部屋aに対して複数の供給ポートP1が接続されている。
【0083】
このような仕切部材15によれば、下部空間S2には、レーザ光に沿った平面において、下部空間S1の中心部に設定された円形状の供給領域αと、その円形状の供給領域αを取り囲む少なくも1つの環状の供給領域αとであり、これらの供給領域αは、仕切部材15によって仕切られた上部空間S1の各部屋aの下方にそれぞれに位置する領域である。
上述した構成であれば、内部空間Sの中心部と外周部とで二次元濃度分布の差が生じがちであるところ、中心部に位置する円形状の供給領域αと、その供給領域αを取り囲む複数の環状の供給領域αとが設定されているので、内部空間Sの中心部と外周部との濃度をそれぞれ制御することができ、二次元濃度分布をより均一にしやすくなる。
【0084】
加えて、前記実施形態では、レーザ光路Xがいずれも同一平面状に形成されている場合について説明したが、チャンバ10内における材料ガスの二次元濃度分布や温度分布を本発明の作用効果を奏し得る程度に測定できるのであれば、必ずしも全てのレーザ光路Xが同一平面状に形成されている必要はない。
【0085】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0086】
100 ・・・基板処理装置
10 ・・・チャンバ
L1 ・・・材料ガス供給路
L2 ・・・材料ガス排出路
S ・・・内部空間
H ・・・ヒータ
P1 ・・・供給ポート
MFC1・・・第1流体制御機器
MFC2・・・第2流体制御機器
15 ・・・仕切部材
16 ・・・断熱性仕切部材
α ・・・供給領域
β ・・・加熱領域
20 ・・・レーザ射出機構
30 ・・・レーザ検出機構
40 ・・・制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10