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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】キャップ付き容器及び容器入り飲食品
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/28 20060101AFI20220614BHJP
   B65D 43/04 20060101ALI20220614BHJP
   B65D 81/32 20060101ALI20220614BHJP
   A61J 9/00 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
B65D51/28 100
B65D43/04 100
B65D81/32 T
A61J9/00 S
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018160146
(22)【出願日】2018-08-29
(65)【公開番号】P2020033046
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006138
【氏名又は名称】株式会社明治
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】特許業務法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽生 圭吾
【審査官】蓮井 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-102595(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0336085(US,A1)
【文献】特開平8-72921(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0120761(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0127021(US,A1)
【文献】特開2005-289416(JP,A)
【文献】実公昭44-12957(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 51/28
B65D 43/04
B65D 81/32
A61J 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天蓋と、
前記天蓋の外縁に基端が接続された筒状の外壁部と、
が設けられた蓋体と、
前記蓋体に脱落自在に固定された底蓋と、
を有するキャップと、
開口に前記キャップが装着された、有底筒状の容器本体と
を備え、
前記外壁部は、
雄ねじが形成されたねじ領域と、
前記底蓋が設けられ、前記ねじ領域より先端側に配置された開口領域とを有し、
前記容器本体は、内周に、
前記容器本体の内側へ突出する突起と、
前記突起より開口側に、前記雄ねじに相補的な雌ねじと、を有する、
キャップ付き容器。
【請求項2】
前記突起は、前記容器本体の周方向に所定の間隔をあけて複数設けられている、
請求項1に記載のキャップ付き容器。
【請求項3】
前記突起は、前記容器本体の開口から底に向かって突出長さが漸増するテーパ形状であり、
前記底蓋の外周は、前記突起と相補的なテーパ形状を有する、
請求項1又は2に記載のキャップ付き容器。
【請求項4】
前記蓋体と前記底蓋で囲まれた収容部に収容された第1物質と、
前記容器本体内に収容された第2物質と
を備える請求項1~3のいずれか1項に記載のキャップ付き容器。
【請求項5】
飲食品をキャップ付き容器内に収容してなる容器入り飲食品であって、
前記キャップ付き容器が、
天蓋と、
前記天蓋の外縁に基端が接続された筒状の外壁部と、
が設けられた蓋体と、
前記蓋体に脱落自在に固定された底蓋と、
を有するキャップと、
開口に前記キャップが装着された、有底筒状の容器本体と
を備え、
前記外壁部は、
雄ねじが形成されたねじ領域と、
前記底蓋が設けられ、前記ねじ領域より先端側に配置された開口領域とを有し、
前記容器本体は、内周に、
前記容器本体の内側へ突出する突起と、
前記突起より開口側に、前記雄ねじに相補的な雌ねじと、を有する、
容器入り飲食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップ付き容器及び容器入り飲食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料が充填されたボトルの口部を塞ぐキャップとして、容器本体の口部に固定された漏斗状のパッキンと、筒体を有する蓋体と、パッキンの先端より下方に達した筒体の先端に脱落自在に設けられた押込み栓とを備えるキャップが開示されている(特許文献1、第1図)。筒体の内部には、物質が収容されている。キャップを開ける操作に伴い、押込み栓がパッキンの先端に接触して筒体から外れ、物質が筒体から容器本体内へ放出される。
【0003】
また上記特許文献1には、有蓋筒体と、有蓋筒体の天板に接着剤で固定された金属キャップと、筒体の先端に設けられた押込み栓とを有するキャップと、内側へ突出する突縁を喉部に有する容器本体とを備える容器が開示されている(特許文献1、第3図)。天板と押込み栓で囲まれた筒体の内部には、物質が収容されている。キャップを開ける操作に伴い、押込み栓が突縁に接触して筒体から外れ、物質が筒体から容器本体内へ放出される。上記第3図の例は、パッキンを省略することができる点において、上記第1図の例と異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実公昭44-12957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の第3図の例では、パッキンを省略できるが、有底蓋体を容器本体に固定するねじ部と、物質を収容する収容部とを別に設ける必要があるため、全体として構造が複雑であるという問題があった。
【0006】
本発明は、従来よりも構造を簡略化することができるキャップ付き容器及び容器入り飲食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るキャップ付き容器は、天蓋と、前記天蓋の外縁に基端が接続された筒状の外壁部と、が設けられた蓋体と、前記蓋体に脱落自在に固定された底蓋と、を有するキャップと、開口に前記キャップが装着された、有底筒状の容器本体とを備え、前記外壁部は、雄ねじが形成されたねじ領域と、前記底蓋が設けられ、前記ねじ領域より先端側に配置された開口領域とを有し、前記容器本体は、内周に、前記容器本体の内側へ突出する突起と、前記突起より開口側に、前記雄ねじに相補的な雌ねじと、を有する。
【0008】
本発明に係る容器入り飲食品は、飲食品をキャップ付き容器内に収容してなる容器入り飲食品であって、前記キャップ付き容器が、天蓋と、前記天蓋の外縁に基端が接続された筒状の外壁部と、が設けられた蓋体と、前記蓋体に脱落自在に固定された底蓋と、を有するキャップと、開口に前記キャップが装着された、有底筒状の容器本体とを備え、前記外壁部は、雄ねじが形成されたねじ領域と、前記底蓋が設けられ、前記ねじ領域より先端側に配置された開口領域とを有し、前記容器本体は、内周に、前記容器本体の内側へ突出する突起と、前記突起より開口側に、前記雄ねじに相補的な雌ねじと、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、キャップ付き容器は、物質を収容する収容部と、容器本体に固定するための雄ねじとを、外壁部に設けたので、従来よりも構造を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係るキャップ付き容器を示す断面図である。
図2】第1実施形態に係るキャップを示す断面図である。
図3】第1実施形態に係る容器本体を示す部分斜視図である。
図4】第1実施形態に係るキャップ付き容器の部分拡大端面図である。
図5】使用状態を段階的に示す断面図であり、図5Aは蓋体に物質を収容した段階、図5Bは蓋体に底蓋を装着した段階を示す図である。
図6】使用状態を段階的に示す断面図であり、図6Aは容器本体にキャップを装着している途中の段階、図6Bは容器本体にキャップを装着した後の段階、図6Cはキャップ内の物質を容器内へ移す段階を示す図である。
図7】第2実施形態に係るキャップ付き容器を示す断面図である。
図8】第2実施形態の使用状態を示す断面図である。
図9】第3実施形態に係るキャップ付き容器を示す部分断面図である。
図10】第3実施形態の使用状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係るキャップ付き容器は、天蓋と、前記天蓋の外縁に基端が接続された筒状の外壁部と、が設けられた蓋体と、前記蓋体に脱落自在に固定された底蓋と、を有するキャップと、開口に前記キャップが装着された、有底筒状の容器本体とを備え、前記外壁部は、雄ねじが形成されたねじ領域と、前記底蓋が設けられ、前記ねじ領域より先端側に配置された開口領域とを有し、前記容器本体は、内周に、前記容器本体の内側へ突出する突起と、前記突起より開口側に、前記雄ねじに相補的な雌ねじと、を有する。
【0012】
キャップは、蓋体と底蓋で囲まれた空間に物質を収容し、容器本体に装着される。キャップを開ける操作によって、底蓋が、容器本体の突起に接触し、蓋体から脱落する。底蓋が蓋体から脱落することによって、収容されていた物質が容器内へ放出される。
【0013】
上記の様に、外壁部は、物質を収容する収容部と、容器本体に固定するための雄ねじとを有する。したがってキャップ付き容器は、従来のように収容部とねじとを別構成とする必要がないので、従来よりも構造を簡略化することができる。さらにキャップ付き容器は、底蓋を脱落させる部品を省略できるので、その分、部品点数を削減することができる。
【0014】
物質は、飲食品であって、液体、固体、及び液体と固体の混合物を含む。「飲食品」とは、飲料、及び、飲料以外の食品を包含する。固体は、水などの溶媒に溶けるものと、溶けないものとを含む。固体は、粉末、錠剤、凍結乾燥によって固めたものなどを含む。物質としては、例えば、水、緑茶、コーヒー、紅茶、濃縮ミネラル、海洋深層水抽出ミネラル、健康食品、シリアル食品、粉ミルク、流動食、薬剤、濃縮果汁、乳製品、アルコール、濃縮野菜、スープ原料、ビタミン類、糖類、薬草類、発酵菌、タンパク質濃縮物、酸性原料などが挙げられる。
【0015】
本発明に係るキャップ付き容器は、例えば、物質として粉ミルクを適用した場合、外気に曝さずに水と混合でき、衛生的かつ簡便な手順でミルクを作ることができるので好ましい。また、例えば、物質として酸性乳やたんぱく質飲料などを適用した場合、飲食時に、固体を液体に加えることにより、液体中に固体が分散した状態とする用時分散方式で摂取することができ、予め混合しておいた場合のような腐敗、劣化や物性変化を格段に抑制できるので好ましい。
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
(全体構成)
図1に示すキャップ付き容器10Aは、キャップ12Aと、容器本体14とを備える。キャップ付き容器10Aは全体として筒状である。本明細書において軸方向とは、キャップ付き容器10Aの中心軸方向をいう。
【0017】
キャップ付き容器10Aは、例えば、金属缶や、合成樹脂製容器包装、合成樹脂ラミネート容器包装、又はこれらの組合せ容器包装に適用することができる。金属缶の場合は、キャップ12A及び容器本体14が金属である場合に限らず、開口部分を密閉するため、合成樹脂製のキャップ12Aを使用してもよい。金属としては、アルミニウムや鋼などを用いることができる。キャップ12Aに使用する合成樹脂は、ポリエチレン、エチレン・1-アルケン共重合樹脂又はポリエチレンテレフタレートなどを用いることができる。合成樹脂製容器包装は、単層の合成樹脂層からなる容器包装をいう。合成樹脂としては、ポリエチレン、エチレン・1-アルケン共重合樹脂又はポリエチレンテレフタレートなどを用いることができる。合成樹脂ラミネート容器包装は、合成樹脂にアルミニウム箔を貼り合わせた容器包装、これにセロファン若しくは紙を貼り合わせた容器包装、又は複数の合成樹脂層を貼り合わせた多層ラミネート容器包装をいう。合成樹脂ラミネート容器包装にあっては、内容物に直接接触する部分にポリエチレン、エチレン・1-アルケン共重合樹脂又はポリエチレンテレフタレートなどを用いることができる。
【0018】
図2に示すように、キャップ12Aは、蓋体16Aと、底蓋20とを有する。蓋体16Aは、筒状の外壁部18を有し、基端が天蓋22で塞がれている。天蓋22は円盤状の部材である。外壁部18は、基端において天蓋22の外周縁に接続されており、先端に底蓋20が脱落自在に固定されている。外壁部18は、基端から先端に向かって、把持領域24、ねじ領域25、開口領域26が順に配置されている。キャップ12Aには、天蓋22、外壁部18、底蓋20で囲まれた収容部27が形成される。収容部27内には、上記物質の中から選ばれた1種以上の物質(第1物質、本図には図示しない)が収容される。
【0019】
把持領域24は、キャップ12Aが容器本体14に装着された際に、天蓋22と共に外部に露出する部分である。把持領域24の外径は、外壁部18の中で最も大きく、本実施形態の場合、容器本体14の外径と同じである。ねじ領域25は、基端においてシール面36を介して把持領域24の先端に接続され、把持領域24より外径が小さく、全周に雄ねじ28が形成されている。シール面36は、外壁部18の半径方向に平行な面を有する。開口領域26は、基端においてねじ領域25の先端に接続され、ねじ領域25より外径が小さく、先端に底蓋20が脱落自在に固定されている。開口領域26の外周面には、全周にわたって溝37が形成されている。
【0020】
底蓋20は、円盤状の板部21と、板部21の外縁に形成されたシール部23と、シール部23の外側に配置された凸部33と、最外縁に設けられた返し部38とを有する。シール部23は、開口領域26の内径より若干大きい外径を有する筒状であり、一端が板部21に接続され、他端が環状の外周板部41の内縁に接続されている。外周板部41の外縁には軸方向に突出した凸部33が接続されている。凸部33は、シール部23と同心円状に配置された筒状であって、開口領域26の溝に嵌る突条39を有する。凸部33の外周には返し部38が一体に形成されている。返し部38は、板部21の半径方向へ突出しており、外周板部41から板部21へ向かって突出長さが漸増するテーパ形状を有する。
【0021】
容器本体14は、底部15と、底部15の外縁に一体に形成され、先端に開口を有する筒部17とを備える、有底筒状の部材である(図1)。容器本体14は、開口部分の内周面に、蓋体16Aの雄ねじ28に相補的な雌ねじ32と、雌ねじ32より底部15側に容器本体14の内側へ突出する突起30とを有する。
【0022】
突起30は、キャップ12Aが容器本体14に装着された際、返し部38より、容器本体14の開口側に配置される。突起30は、容器本体14の開口から底部15に向かって突出長さが漸増するテーパ形状を有する。突出長さは、容器本体14の内周面に垂直な方向の長さである。
【0023】
突起30は、図3に示すように、容器本体14の周方向に、所定の間隔をあけて複数個、本図の場合、4個配置される。突起30の大きさは、適宜選択することができるが、例えば、容器本体14の内径が54mmの場合、突起30の周方向長さは2mm~5mm程度であるのが好ましい。容器本体14内には、第1物質とは別の上記物質の中から選ばれた1種以上の物質(第2物質、本図には図示しない)が収容される。
【0024】
図4に示すように、底蓋20の返し部38と、容器本体14の突起30は、相補的な形状であるのが好ましい。底蓋20の外径は、容器本体14の内径より小さく、複数の突起30の先端同士をつなぐ円弧で規定される円の内径より大きい。すなわち返し部38の外縁と、突起30の先端は、容器本体14の軸方向からみて、重なるように形成されている。本明細書では、キャップ12Aが容器本体14内に進入する際に突起30と返し部38が互いに接触する面を進入面43,45、キャップ12Aが容器本体14の開口へ退避する際に突起30と返し部38が互いに接触する面を返し面47,49と呼ぶ。
【0025】
突起30の進入面43と、中心軸に平行な方向とのなす角(以下、容器側進入角度)θb1と、進入面43と返し面47とのなす角度θb3との平均値は、45度以下であるのが好ましい。突起30の返し面47と、中心軸に平行な方向とのなす角(以下、容器側進入角度)θb2は、90度以上であるのが好ましい。
【0026】
返し部38の進入面45と中心軸に平行な方向とのなす角(以下、キャップ側進入角度)θc1と、進入面45と返し面49とのなす角度θc3との平均値は、45度以下であるのが好ましい。返し部38の返し面49と、中心軸に平行な方向とのなす角(以下、キャップ側返し角度)θc2は、90度以上であるのが好ましい。
【0027】
上記のように、角度θb1、θb2、θb3、θc1、θc2、θc3を規定することによって、突起30は、開口側から底部15側へ向かうキャップ12Aに固定された底蓋20の移動をより確実に許容すると共に、底部15側から開口側へ向かうキャップ12Aに固定された底蓋20の移動をより確実に止める。
【0028】
(使用方法)
キャップ付き容器10Aに物質を入れる手順について説明する。一例として、第1物質として粉体、第2物質として液体を適用する場合について説明する。まず図5に示すように、蓋体16Aの天蓋22を下向きとし、上向きとなった開口から収容部27へ第1物質40を入れる(図5A)。次いで、外壁部18の先端が外周板部41に接触するまで、底蓋20を開口に挿入する(図5B)。底蓋20は、シール部23が開口領域26の内周面に接触することによって、蓋体16Aを閉塞する。このようにして、第1物質40が収容部27に収容されたキャップ12Aが得られる。
【0029】
天蓋22を上向きとし、雄ねじ28を雌ねじ32にねじ込むことによって、予め第2物質42を入れておいた容器本体14にキャップ12Aを装着する(図6A)。蓋体16Aは閉方向への回転によって軸方向の下向きに移動する。返し部38は、進入面45が突起30の進入面43に接触すると、返し部38及び突起30が相補的なテーパ形状であることから、突起30に対し半径方向外側(図中、実線矢印方向)へ、返し部38に対し半径方向内側(図中、破線矢印方向)へ力が生じる。突起30に対する半径方向外側の力によって、容器本体14が半径方向に広がるように弾性変形する。容器本体14を弾性変形させながら、キャップ12Aは、容器本体14内へ進入する。返し部38が突起30を通過すると、半径方向の力がなくなり、容器本体14は弾性変形して元の形状に復帰する(図6B)。容器本体14は、容器本体14の開口端がシール面36に接触するまでキャップ12Aが閉方向へ回転されることによって、密閉される。以上のようにして、第1物質40と第2物質42が分離した状態で収容されたキャップ付き容器10Aが得られる。
【0030】
次にキャップ12Aに収容された第1物質40を、容器本体14内へ移す場合の作用について説明する。蓋体16Aを開方向へ回転する。蓋体16Aは回転によって軸方向の上向きに移動する。蓋体16Aが上向きに移動することによって、返し部38の返し面49が、突起30の返し面47に接触する。キャップ側返し角度θC2、容器側返し角度θb2がそれぞれ90度以上であることから、返し部38及び突起30に対し軸方向下向きの力、及び突起30に対し半径方向内側(図中、破線矢印方向)、返し部38に対し半径方向外側(図中、実線矢印方向)への力が生じる。
【0031】
上記力は、蓋体16Aが上向きに移動し軸方向の力が大きくなるほど、大きくなる。したがって蓋体16Aが上向きに移動することによって、底蓋の上向きへの移動を遮る力が大きくなる。当該力によって、底蓋20が外壁部18の先端から脱落し、容器本体14内へ落下する(図6C)。底蓋20と共に、第1物質40が容器本体14内へ落下する。容器本体14内へ落下した第1物質40は、容器本体14に収容された第2物質42に混ざる。容器本体14内へ落下した底蓋20は、キャップ付き容器10Aが振られた場合、撹拌子として機能し、第1物質40と第2物質42をより効率的に混合する。
【0032】
なお、開方向へ一旦回転された蓋体16Aは、閉方向に再び回転され容器本体14の開口端がシール面36に接触することによって、容器本体14を密閉する。混合終了後、蓋体16Aを開けることによって、容器本体14内の飲食品をユーザーが飲むことができる。
【0033】
(作用及び効果)
キャップ付き容器10Aは、蓋体16A、底蓋20、及び容器本体14を備えることによって、第1物質40と第2物質42を分離した状態で保持し、キャップ12Aを開ける操作によって上記第1物質40と第2物質42を混合することができる。外壁部18は、キャップ12Aを容器本体14に固定する雄ねじ28と、第1物質を収容する収容部27とを有するので、従来よりも構造を簡略化することができる。またキャップ付き容器10Aは、底蓋20に接触する部品を省略できるので、従来よりも部品点数を削減することができる。
【0034】
キャップ付き容器10Aは、底蓋20に手を触れずに、かつ第1物質40を外気に曝さずに容器本体14内へ移すことができるので、より衛生的かつ簡便な手順で飲食品を得ることができる。
【0035】
キャップ付き容器10Aは、ユーザーが飲む直前に、第1物質40と第2物質42とを混合することができるので、より汎用性が高い。例えば、従来、高いたんぱく質の補給を目的とした酸性飲料を製造すると、たんぱく質が沈殿してしまい、安定した品質を得ることが困難であるという問題があった。これに対し、本実施形態のキャップ付き容器10Aは、例えば第1物質40としてたんぱく質濃縮粉末をキャップ12Aに収容し、第2物質42として酸性原料水を容器本体14に収容しておき、ユーザーが飲む直前に混合することによって、たんぱく質が沈殿する前の酸性飲料をユーザーに提供することができる。
【0036】
(変形例)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。
【0037】
上記実施形態の場合、蓋体16Aは、天蓋22で基端が閉塞されている場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、図7に示すキャップ付き容器10Bは、キャップ12Bと容器本体14とを備える。キャップ12Bの蓋体16Bは、開口46を有する天蓋44を備える。蓋体16Bは、外側キャップ48で覆われ、密閉されている。外側キャップ48と蓋体16Bは、それぞれ相補的なねじを有し、外側キャップ48を蓋体16Bにねじ込むことによって、固定することができる。
【0038】
蓋体16Bを開ける操作をすることによって、上記実施形態と同様、底蓋20を外壁部18から脱落させ、第1物質40を容器本体14内へ移すことができる。第1物質40と第2物質42を混合した後、外側キャップ48を蓋体16Bから取り外す。次いで、図8に示すように蓋体16Bの開口46に飲み口(例えば人工乳首)50を装着する。本変形例によれば、第1物質40、例えば粉ミルクを外気に曝さずに第2物質42、例えば水と混合できるので、衛生的かつ簡便な手順で飲食品としてのミルク51を作ることができる。
【0039】
なお、飲み口は、外側キャップを取り外した後、蓋体に装着する場合に限らず、蓋体と予め一体的に形成してもよい。この場合、外側キャップは、飲み口を覆うように形成される。
【0040】
上記実施形態の場合、キャップ12Aは1種類の物質(第1物質)を収容する場合について説明したが、本発明はこれに限らない。図9に示すキャップ付き容器10Cは、キャップ12Cと容器本体14とを備える。キャップ12Cの蓋体16Cは、外壁部18と、外壁部18と同心円状であって外壁部18の内側に配置された筒状の内壁部52とを有する。外壁部18と内壁部52は、天蓋22を介して一体に形成されている。内壁部52は、基端において、天蓋22の表面に接続されている。蓋体16Cは、内壁部52で囲まれた円柱状の第1収容部54と、外壁部18と内壁部52で囲まれた環状の第2収容部56とを有する。第1収容部54及び第2収容部56は、外壁部18及び内壁部52の先端に設けられた底蓋58によって密閉されている。第1収容部54には第1物質40、第2収容部56には、第1物質40及び第2物質(本図には図示しない)とは異なる、上記物質の中から選ばれた1種以上の第3物質60が収容される。
【0041】
底蓋58は、円盤状の板部21と、板部21の外縁に形成されたシール部23と、シール部23の外側に配置された凸部33と、最外縁に設けられた返し部38と、板部21の表面に設けられた筒状の内側シール部62とを有する。底蓋58は、内側シール部62を内壁部52に差し込み、外壁部18の先端が外周板部41に接触するまで、開口に挿入される。底蓋58は、シール部23が外壁部18の内周面に接触し、内側シール部62が内壁部52の内周面に接触することによって、蓋体16Cを閉塞する。
【0042】
このようにして、第1物質40及び第3物質60が収容されたキャップ12Cが得られる。蓋体16Cを開ける操作をすることによって、上記実施形態と同様、底蓋58を外壁部18及び内壁部52から脱落させ、第1物質40及び第3物質60を容器本体14内へ移すことができる(図10)。本変形例によれば、第1物質40及び第3物質60と、第2物質とを混合した飲食品を得ることができる。
【0043】
上記実施形態の場合、突起30は、4個設けた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、2個や3個でもよいし、5個以上でもよい。突起30の進入面43及び返し部38の進入面45は、平坦である場合について説明したが、本発明はこれに限らず、曲面、例えば、外側に突出した湾曲面であってもよい。
【0044】
上記実施形態の場合、キャップ12Aを容器本体14に装着する際、突起30に対し半径方向外側方向の力によって、半径方向に広がるように容器が弾性変形する場合について説明したが、本発明はこれに限らない。キャップ12Aを容器本体14に装着する際、返し部38に対する半径方向内側の力によって、返し部38が内側へ弾性変形しながら、キャップ12Aが容器本体14内へ進入するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
10A、10B、10C キャップ付き容器
12A、12B、12C キャップ
14 容器本体
18 外壁部
20 底蓋
22,44 天蓋
25 ねじ領域
26 開口領域
27 収容部
28 雄ねじ
30 突起
32 雌ねじ
40 第1物質
42 第2物質
51 ミルク(飲食品)
54 第1収容部
56 第2収容部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10