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特許7088879付加硬化型シリコーン組成物、硬化物および光半導体素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】付加硬化型シリコーン組成物、硬化物および光半導体素子
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/14 20060101AFI20220614BHJP
   C08K 5/54 20060101ALI20220614BHJP
   C08G 77/52 20060101ALI20220614BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20220614BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
C08L83/14
C08K5/54
C08G77/52
H01L23/30 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019098031
(22)【出願日】2019-05-24
(65)【公開番号】P2020193243
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】木村 真司
【審査官】小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-133073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83/00-83/16
C08K 5/54
C08G 77/52
H01L 23/29
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(a)下記式(1)で表される化合物と、(b)付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中2個有する多環式炭化水素との付加反応生成物であって、かつ、付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中に3個以上有する化合物、
【化1】
(式中、Rは独立にアルケニル基を含まない非置換または置換の炭素原子数1~12の一価炭化水素基である。)
(B)(c)下記式(2)で表される化合物と、(d)付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中2個有する多環式炭化水素との付加反応生成物であって、かつ、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に4個以上有する化合物:(A)成分中の付加反応性炭素-炭素二重結合1モルに対して(B)成分中のSiH基の数が0.5~5モルとなる量、及び
【化2】
(式中Rは独立にアルケニル基を含まない非置換または置換の炭素原子数1~12の一価炭化水素基であり、nは0~4の整数である。)
(C)白金族金属系ヒドロシリル化触媒:(A)及び(B)成分の合計質量に対して白金族金属の質量換算で1~500ppmとなる量
を含有するものであって、
前記(A)成分が下記式(3)で表される化合物と下記式(4)で表される多環式炭化水素との付加反応生成物であり、
【化3】
【化4】
(式中、R は非置換または置換の炭素原子数2~12のアルケニル基である)
前記(B)成分が下記式(4)で表される多環式炭化水素と下記式(5)で表される化合物との付加反応生成物である
【化5】
(式中、R は非置換または置換の炭素原子数2~12のアルケニル基である)
【化6】
(式中nは0~4の整数である)
ことを特徴とする付加硬化型シリコーン組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の付加硬化型シリコーン組成物の硬化物であることを特徴とするシリコーン硬化物。
【請求項3】
ガラス転移温度が100℃以上のものであることを特徴とする請求項に記載のシリコーン硬化物。
【請求項4】
請求項2または3に記載のシリコーン硬化物で封止されたものであることを特徴とする光半導体素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付加硬化型シリコーン組成物、その硬化物および光半導体素子に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(以下、「LED」という)素子の封止材料として、シリコーン樹脂を使用することが提案されている(特許文献1、2)。シリコーン樹脂は耐熱性、耐候性、耐変色性が従来のエポキシ樹脂に比較して優れているため、青色LED、白色LEDを中心に用いられている。
一方で、シリコーン樹脂はエポキシ樹脂と比較して、低硬度でガスバリア性が低いといったLED素子封止材料として不向きな特性を有する。これを解決するため、付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中に2個有する多環式炭化水素骨格含有化合物と、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に3個以上有するシリコーン系化合物とを主成分として含む硬化性組成物が提案されている(特許文献3)。また、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個有する多環式炭化水素骨格含有化合物と付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個以上有するシロキサン系化合物とを主成分として含む硬化性組成物が提案されている(特許文献4)。
【0003】
しかしながら、上記硬化性組成物の硬化物はガラス転移温度が高くないため、その温度がLEDの使用中にガラス転移温度以上になりうる。ガラス転移温度以上では、硬化物の硬度やガスバリア性が不十分となったり、線膨張係数が大きく、温度変化によって素子やワイヤーなどが損傷しやすくなったりするという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-1619号公報
【文献】特開2002-265787号公報
【文献】特開2005-133073号公報
【文献】特開2008-274185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、高硬度で透明、かつ高いガラス転移温度を有する硬化物を与える付加硬化型シリコーン組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために、本発明では、(A)(a)下記式(1)で表される化合物と、(b)付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中2個有する多環式炭化水素との付加反応生成物であって、かつ、付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中に3個以上有する化合物、
【化1】
(式中Rは独立にアルケニル基を含まない非置換または置換の炭素原子数1~12の一価炭化水素基である。)
(B)(c)下記式(2)で表される化合物と、(d)付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中2個有する多環式炭化水素との付加反応生成物であって、かつ、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に4個以上有する化合物:(A)成分中の付加反応性炭素-炭素二重結合1モルに対して(B)成分中のSiH基の数が0.5~5モルとなる量、及び
【化2】
(式中Rは独立にアルケニル基を含まない非置換または置換の炭素原子数1~12の一価炭化水素基であり、nは0~4の整数である。)
(C)白金族金属系ヒドロシリル化触媒:(A)及び(B)成分の合計質量に対して白金族金属の質量換算で1~500ppmとなる量を含有する付加硬化型シリコーン組成物を提供する。
【0007】
この付加硬化型シリコーン組成物は、高硬度で透明、かつ高いガラス転移温度を有する硬化物を与えるものである。
【0008】
前記(A)成分は下記式(3)で表される化合物と下記式(4)で表される多環式炭化水素との付加反応生成物であることが好ましい。
【化3】
【化4】
(式中、Rは非置換または置換の炭素原子数2~12のアルケニル基である)
【0009】
前記(A)成分が前記特定の付加反応生成物であると、前記付加硬化型シリコーン組成物は、安価に構成できるとともに、より高硬度で透明、かつ高いガラス転移温度を有する硬化物を与えるものとなる。
【0010】
前記(B)成分は下記式(4)で表される多環式炭化水素と下記式(5)で表される化合物との付加反応生成物であることが好ましい。
【化5】
(式中、Rは非置換または置換の炭素原子数2~12のアルケニル基である)
【化6】
(式中nは0~4の整数である)
【0011】
前記(B)成分が前記特定の付加反応生成物であると、前記付加硬化型シリコーン組成物は、安価に構成できるとともに、より高硬度で透明、かつ高いガラス転移温度を有する硬化物を与えるものとなる。
【0012】
また、本発明では、前記付加硬化型シリコーン組成物の硬化物であるシリコーン硬化物を提供する。
この硬化物は、高硬度で透明、かつ高いガラス転移温度を有するものである。
【0013】
この硬化物は、好ましくはガラス転移温度が100℃以上のものである。
前記所定以上のガラス転移温度を有する硬化物は、LED素子の封止材料として高温環境下での信頼性により優れたものである。
【0014】
更に、本発明では、上記シリコーン硬化物で封止された光半導体素子を提供する。
この光半導体素子は、高温環境下での信頼性が高いものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の付加硬化型シリコーン組成物は、高いガラス転移温度を有し、高温環境下での使用においても高硬度で透明、低線膨張係数といった物性を保つ硬化物を与える。従って、本発明の付加硬化型シリコーン樹脂組成物は、LED素子の保護・封止用材料、波長の変更・調整用材料、あるいはレンズの構成材料や、その他の光学デバイス用または光学部品用の材料として特に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上述のように、高いガラス転移温度を有し、高温環境下での使用においても高硬度、低線膨張係数といった物性を保つ硬化物を与える付加硬化型シリコーン組成物の開発が求められていた。
【0017】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、(A)付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中に3個以上有する特定の化合物、(B)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に4個以上有する特定の化合物、及び(C)白金族金属系ヒドロシリル化触媒を特定の範囲の量で含む付加硬化型シリコーン樹脂組成物であれば、上記課題を達成でき、LED用材料等として好適なものとなることを見出し、本発明を完成させた。
【0018】
即ち、本発明は、(A)(a)下記式(1)で表される化合物と、(b)付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中2個有する多環式炭化水素との付加反応生成物であって、かつ、付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中に3個以上有する化合物、
【化7】
(式中Rは独立にアルケニル基を含まない非置換または置換の炭素原子数1~12の一価炭化水素基である。)
(B)(c)下記式(2)で表される化合物と、(d)付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中2個有する多環式炭化水素との付加反応生成物であって、かつ、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に4個以上有する化合物:(A)成分中の付加反応性炭素-炭素二重結合1モルに対して(B)成分中のSiH基の数が0.5~5モルとなる量、及び
【化8】
(式中Rは独立にアルケニル基を含まない非置換または置換の炭素原子数1~12の一価炭化水素基であり、nは0~4の整数である。)
(C)白金族金属系ヒドロシリル化触媒:(A)及び(B)成分の合計質量に対して白金族金属の質量換算で1~500ppmとなる量を含有する付加硬化型シリコーン組成物である。
【0019】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<付加硬化型シリコーン組成物>
以下、各成分について詳細に説明する。
【0020】
[(A)成分]
(A)成分は、本発明の組成物の主骨格となる成分であり、下記(a)成分と(b)成分との付加反応生成物であって、かつ、付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中に3個以上有する化合物である。以下、(a)成分および(b)成分について説明する。
【0021】
<(a)成分>
(a)成分は、上記式(1)で表されるケイ素原子に結合した水素原子(以下、「SiH」ということがある)を1分子中に3個有する化合物である。前記式(1)中のRは、独立にアルケニル基を含まない非置換または置換の炭素原子数1~12の一価炭化水素基である。
【0022】
前記式(1)中、Rは例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、sec-ヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、o-、m-、p-トリル等のアリール基;ベンジル基、2-フェニルエチル基等のアラルキル基;およびこれらの基中の炭素原子に結合した1個以上の水素原子がハロゲン原子、シアノ基、エポキシ環含有基等で置換された、例えば、クロロメチル基、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基、2-シアノエチル基、3-グリシドキシプロピル基等が挙げられる。
【0023】
前記式(1)で表される化合物としては、例えば、1,3,5-トリス(ジメチルシリル)ベンゼン、1,3,5-トリス(ジエチルシリル)ベンゼン、1,3,5-トリス(メチルフェニルシリル)ベンゼン等の化合物が挙げられる。
前記の中でも、特にその全てがメチル基であるもの、すなわち下記式(3)で表される1,3,5-トリス(ジメチルシリル)ベンゼンが、工業的に製造することが容易であり、入手しやすいことから好ましい。
【0024】
【化9】
なお、この前記式(1)で表される化合物は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0025】
<(b)成分>
(b)成分は、(a)成分と付加反応し、(A)成分となる原料であって、付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中2個有する多環式炭化水素である。前記「付加反応性」とは、SiHの付加(ヒドロシリル化反応として周知)を受け得る性質を意味する。
【0026】
また、(b)成分は、(i)多環式炭化水素の多環骨格を形成している炭素原子のうち、隣接する2つの炭素原子間に付加反応性炭素-炭素二重結合が形成されているもの、(ii)多環式炭化水素の多環骨格を形成している炭素原子に結合した水素原子が、付加反応性炭素-炭素二重結合含有基によって置換されているもの、または(iii)多環式炭化水素の多環骨格を形成している炭素原子のうち、隣接する2つの炭素原子間に付加反応性炭素-炭素二重結合が形成されており、かつ、多環式炭化水素の多環骨格を形成している炭素原子に結合した水素原子が付加反応性炭素-炭素二重結合含有基によって置換されているものの何れであっても差し支えない。ここで、付加反応性炭素-炭素二重結合含有基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、ノルボルニル基等のアルケニル基、特に炭素原子数2~12のもの等が挙げられる。
【0027】
この(b)成分としては、例えば、下記式(4)
【化10】
(式中、Rは非置換または置換の炭素原子数2~12のアルケニル基である。)
で表されるアルケニルノルボルネン化合物が挙げられる。
【0028】
さらに、前記式(4)で表される化合物の具体例として、下記構造式(5’)で表される5-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、
【化11】
【0029】
下記構造式(6)で表される6-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、およびこれら両者の組み合わせである。
【化12】
以下、これら3者を区別する必要がない場合は、「ビニルノルボルネン」と総称することがある。
【0030】
なお、前記ビニルノルボルネンのビニル基の置換位置は、シス配置(エキソ形)またはトランス配置(エンド形)のいずれであってもよく、また、前記配置の相違によって、該成分の反応性等に特段の差異がないことから、これら両配置の異性体の組み合わせであっても差し支えない。
【0031】
<(A)成分の調製>
本発明の付加硬化型シリコーン組成物の(A)成分は、SiHを有する前記(a)成分の1モルに対して、付加反応性炭素-炭素二重結合を有する前記(b)成分を、好ましくは1モルを越え20モル以下、より好ましくは2モルを越え10モル以下の過剰量を、白金族金属系ヒドロシリル化反応触媒の存在下で付加反応させることにより、SiHを有しない付加反応生成物として得ることができる。
こうして得られる(A)成分は、付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中に少なくとも3個含むが、この数は好ましくは3~6個、より好ましくは3~4個である。この付加反応性炭素-炭素二重結合が1分子中に6個以下であると、本発明の付加硬化型シリコーン組成物の粘度が高くなりすぎない。
【0032】
前記白金族金属系ヒドロシリル化反応触媒としては、従来から公知のものを全て使用することができる。例えば、白金金属を担持したカーボン粉末、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応生成物、白金とジビニルテトラメチルジシロキサン等のビニルシロキサンとの錯体、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等の白金族金属系触媒が挙げられる。また、付加反応条件、溶媒の使用等については、特に限定されず通常のとおりとすればよい。
【0033】
前記のとおり、(A)成分の調製には前記(a)成分に対して過剰モル量の前記(b)成分を用いることから、前記(A)成分は、前記(b)成分の構造に由来する付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中に3個以上有するものである。
【0034】
即ち、(A)成分としては、例えば、下記式(7):
【化13】
(式中、Xは前記(b)成分の多環式炭化水素の一価の残基である)
【0035】
あるいは、下記式(8)
【化14】
(式中、Xは前記(b)成分の多環式炭化水素の一価の残基であり、X’は前記(b)成分の二価の残基である)
で表される化合物が挙げられる。
【0036】
前記式(7)または(8)中のXとしては、具体的には、例えば、下記構造式(9)
【化15】
で表される一価の残基(以下、これら6者を区別する必要がない場合は、これらを「NB基」と総称し、また、前記6者の構造を区別せずに「NB」と略記することがある。)が挙げられる。
【0037】
前記式(8)中のX’としては、具体的には、例えば、下記構造式(10)
【化16】
で表される二価の残基が挙げられる。
但し、前記構造式で表される非対称な二価の残基は、その左右方向が前記記載のとおりに限定されるものではなく、前記構造式は、実質上、個々の前記構造を紙面上で180度回転させた構造をも含めて示している。
【0038】
前記式(7)または(8)で表される(A)成分の好適な具体例を以下に示すが、これに限定されるものではない。なお、「NB」の意味するところは、前記のとおりである。
【0039】
【化17】
【0040】
【化18】
更に、本発明の(A)成分は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0041】
[(B)成分]
(B)成分は、(A)成分中の付加反応性炭素-炭素二重結合とヒドロシリル化反応により架橋する架橋剤として働く成分であり、下記(c)成分と(d)成分との付加反応生成物であって、かつ、SiHを1分子中に4個以上有する化合物である。以下、これらの(c)成分および(d)成分について説明する。
【0042】
<(c)成分>
(c)成分は、前記式(2)で表され、SiHを3個以上有する環状シロキサンである。前記式(2)中のRは独立にアルケニル基を含まない非置換または置換の炭素原子数1~12の一価炭化水素基である。
【0043】
前記式(2)中、Rは(a)成分においてアルケニル基以外のケイ素原子に結合した炭化水素基として例示したものと同種のものが挙げられる。
前記式(2)で表される化合物としては、2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2,4,6,8-テトラエチルシクロテトラシロキサン、2,4,6,8,10-ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の化合物が挙げられる。
これらの中でも、特にその全てがメチル基であるもの、すなわち下記式(5)で表される化合物が工業的に製造することが容易であり、入手しやすいことから好ましい。
【0044】
【化19】
(式中nは0~4の整数である)
なお、前記式(2)で表される化合物は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0045】
<(d)成分>
(d)成分は、(c)成分と付加反応し(B)成分となる原料であって、付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中2個有する多環式炭化水素である。
(d)成分は(b)成分と同種のものであるが、同一のものを使用しても、別のものを使用してもよい。
【0046】
<(B)成分の調製>
本発明の付加硬化型シリコーン組成物の(B)成分は、付加反応性炭素-炭素二重結合を有する前記(d)成分1モルに対して、SiHを有する前記(c)成分を、好ましくは1モルを越え3モル以下、より好ましくは1モルを越え1.5モル以下の過剰量を、白金族金属系ヒドロシリル化触媒の存在下で付加反応させることにより、付加反応性炭素-炭素二重結合を有しない付加反応生成物として得ることができる。
【0047】
こうして得られる(B)成分は、SiHを1分子中に少なくとも4個含むが、この数は好ましくは4~50個、より好ましくは10~30個である。このSiHが1分子中に4個未満であると、付加硬化型シリコーン組成物の硬化物の硬度が十分でなく、そのガラス転移温度が低くなる。また、SiHが1分子中に50個以下であると、付加硬化型シリコーン組成物の粘度が高くなりすぎない。
前記白金族金属系ヒドロシリル化触媒としては、前記「(A)成分の調製」で記載したものと同種のものが挙げられる。
【0048】
(B)成分としては、例えば、下記式(14)や(15)で表される化合物が挙げられる。
【化20】
【0049】
【化21】
(式中、mは0~5の整数であり、X’は(d)成分の2価の残基であって、(A)成分の調製で説明したX’と同様のものである)
【0050】
(B)成分は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
(B)成分の配合量は、(A)成分中の付加反応性炭素-炭素二重結合1個に対して(B)成分中のSiHの数が0.5~5個、好ましくは0.7~3個の範囲内となる量である。SiHの数が0.5個未満であると、得られる硬化物に高い強度を付与することができない。また、SiHの数が5個を超えると、得られる硬化物が硬すぎて脆くなってしまう。
【0051】
[(C)成分]
本発明の(C)成分である白金族金属系ヒドロシリル化触媒は、上記「(A)成分の調製」で記載したものと同様のものである。
本発明の付加硬化型シリコーン組成物への(C)成分の配合量は、前記(A)および(B)成分との合計質量に対して、白金族金属の質量基準で1~500ppm、好ましくは2~100ppmとなる量である。前記配合量が1ppm未満であると、硬化反応に要する時間が長くなりすぎる。また、前記配合量が500ppmを超えても、硬化反応の反応速度が大きくならず不経済であるばかりか、硬化物が着色する等の問題を生じる。
(C)成分は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0052】
[その他の成分]
本発明の付加硬化型シリコーン組成物には、目的に応じて、酸化防止剤、接着性向上剤や反応抑制剤などの成分を添加してもよい。
【0053】
酸化防止剤としては、例えばヒンダードアミンやヒンダードフェノール系化合物が挙げられ、その配合量は、前記(A)~(C)成分の合計質量に対して500~3,000ppmが好ましい。
【0054】
接着性向上剤としては、本発明の付加硬化型シリコーン組成物に自己接着性を付与する観点から、接着性を付与する官能基を含有するシラン、シロキサン等の有機ケイ素化合物、非シリコーン系有機化合物等が用いられる。
【0055】
接着性を付与する官能基の具体例としては、ケイ素原子に結合したビニル基、アリル基等のアルケニル基または水素原子;炭素原子を介してケイ素原子に結合したエポキシ基(例えば、γ-グリシドキシプロピル基、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基等)、アクリロキシ基(例えば、γ-アクリロキシプロピル基等)、またはメタクリロキシ基(例えば、γ-メタクリロキシプロピル基等);アルコキシシリル基(例えば、エステル構造、ウレタン構造、エーテル構造を1~2個含有してもよいアルキレン基を介してケイ素原子に結合したトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基等のアルコキシシリル基等)が挙げられる。
【0056】
接着性を付与する官能基を含有する有機ケイ素化合物としては、シランカップリング剤、アルコキシシリル基と有機官能性基を有するシロキサン、反応性有機基を有する有機化合物にアルコキシシリル基を導入した化合物等が例示される。
【0057】
また、非シリコーン系有機化合物としては、例えば、有機酸アリルエステル、エポキシ基開環触媒、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機アルミニウム化合物等が挙げられる。
【0058】
反応抑制剤としては、トリフェニルホスフィン等のリン含有化合物;トリブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾール等の窒素含有化合物;硫黄含有化合物;アセチレン系化合物;ハイドロパーオキシ化合物;マレイン酸誘導体;1-エチニルシクロヘキサノール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、エチニルメチルデシルカルビノール、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン等の上記(C)成分の白金族金属系ヒドロシリル化触媒に対して硬化抑制効果を持つ公知の化合物が例示される。
【0059】
反応抑制剤による硬化抑制効果の度合いは、反応抑制剤の化学構造によって異なるため、反応抑制剤の配合量は、使用する反応抑制剤ごとに最適な量に調整することが望ましい。好ましくは、(A)成分および(B)成分の合計100質量部に対して0.001~5質量部である。前記配合量が0.001質量部以上であれば、室温での付加硬化型シリコーン組成物の長期貯蔵安定性を十分に得ることができる。前記配合量が5質量部以下であれば、付加硬化型シリコーン組成物の硬化が阻害されるおそれがない。
【0060】
また、本発明の付加硬化型シリコーン組成物には、補強性を向上させるために、例えば、微粉末シリカ、結晶性シリカ、中空フィラー、シルセスキオキサン等の無機質充填剤、およびこれらの充填剤をオルガノアルコキシシラン化合物、オルガノクロロシラン化合物、オルガノシラザン化合物、低分子量シロキサン化合物等の有機ケイ素化合物により表面疎水化処理した充填剤、シリコーンゴムパウダー、シリコーンレジンパウダー等を配合してもよい。
【0061】
本発明の付加硬化型シリコーン組成物は、(A)~(C)成分および必要に応じてその他の成分を混合して調製することができるが、例えば、(A)成分および(C)成分からなるパートと、(B)成分およびその他の成分からなるパートとを個別に調製した後、それら2パートを混合して使用することもできる。また、(A)成分および(B)成分と必要に応じてその他の成分からなるパートと(C)成分を混合してもよい。
【0062】
[シリコーン硬化物]
本発明の付加硬化型シリコーン組成物は、公知の硬化条件下で公知の硬化方法により硬化させることができる。具体的には、通常、80~200℃、好ましくは100~180℃で加熱することにより、該組成物を硬化させることができる。加熱時間は0.5分~5時間程度でよいが、LED封止用等精度が要求される場合は、硬化時間を長めにすることが好ましい。
【0063】
本発明の付加硬化型シリコーン組成物を硬化させて得られるシリコーン硬化物は、透明性に優れ、高硬度で高いガラス転移温度を有するものである。例えば、本発明のシリコーン硬化物のガラス転移温度は100℃以上であって良い。したがって、本発明の付加硬化型シリコーン組成物を半導体素子、特に光学用途の半導体素子のコーティング材や封止材料、電気・電子用の保護コーティング材として使用することができる。
【0064】
[光半導体素子]
さらに、本発明は、前記シリコーン硬化物で封止された光半導体素子を提供する。
上述のように、本発明のシリコーン硬化物は、透明性に優れ、高硬度で高いガラス転移温度を有するものである。従って、このようなシリコーン硬化物で封止された光半導体素子は、信頼性の高いものとなる。
【実施例
【0065】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下において、粘度は回転粘度計を用いて測定した25℃での値である。
【0066】
[合成例1](A-1)成分の調製
撹拌装置、冷却管、滴下ロートおよび温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに、ビニルノルボルネン(商品名:V0062、東京化成社製;5-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンと6-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンとの等モル量の異性体混合物)514g(4.28モル)を加え、オイルバスを用いて85℃に加熱した。これに、5質量%の白金金属を担持したカーボン粉末0.65gを添加し、撹拌しながら1,3,5-トリス(ジメチルシリル)ベンゼン120g(0.48モル)を60分間かけて滴下した。滴下終了後、更に90℃で加熱撹拌を3時間行った後、室温まで冷却した。その後、白金金属担持カーボンをろ過により除去し、過剰のビニルノルボルネンを減圧留去して、無色透明なオイル状の反応生成物(粘度:8.9Pa・s)280gを得た。
反応生成物のH NMRを測定したところ、ケイ素原子に結合した水素原子が全て消失し、ビニルノルボルネンと1,3,5-トリス(ジメチルシリル)ベンゼンが2.9:1で反応した化合物の混合物であることが判明した。
【0067】
[合成例2](A-2)成分の調製
撹拌装置、冷却管、滴下ロートおよび温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに、ビニルノルボルネン(商品名:V0062、東京化成社製;5-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンと6-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンとの等モル量の異性体混合物)178g(1.48モル)、およびトルエン45gを加え、オイルバスを用いて85℃に加熱した。これに、5質量%の白金金属を担持したカーボン粉末0.36gを添加し、撹拌しながら1,4-ビス(ジメチルシリル)ベンゼン170g(0.88モル)を120分間かけて滴下した。滴下終了後、更に90℃で加熱撹拌を24時間行った後、室温まで冷却した。その後、白金金属担持カーボンをろ過により除去し、過剰のビニルノルボルネンを減圧留去して、無色透明なオイル状の反応生成物(粘度:13Pa・s)335gを得た。
反応生成物のH NMRを測定したところ、ケイ素原子に結合した水素原子が全て消失し、ビニルノルボルネンと1,4-ビス(ジメチルシリル)ベンゼンが1.6:1で反応した化合物の混合物であることが判明した。
【0068】
[合成例3](B-1)成分の調製
撹拌装置、冷却管、滴下ロートおよび温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに、トルエン140gおよび1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン228g(0.95モル)を加え、オイルバスを用いて90℃に加熱した。これに、5質量%の白金金属を担持したカーボン粉末0.13gを添加し、撹拌しながらビニルノルボルネン(商品名:V0062、東京化成社製;5-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンと6-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンとの等モル量の異性体混合物)90g(0.75モル)を120分間かけて滴下した。滴下終了後、更に110℃で加熱撹拌を16時間行った後、室温まで冷却した。その後、白金金属担持カーボンをろ過して除去し、トルエンを減圧留去して、無色透明なオイル状の反応生成物(粘度:7.0Pa・s)300gを得た。
反応生成物のH NMRを測定したところ、全ての付加反応性炭素-炭素二重結合が消失し、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサンとビニルノルボルネンが1.25:1で反応した化合物の混合物であることが判明した。
【0069】
[合成例4](B-2)成分の調製
撹拌装置、冷却管、滴下ロートおよび温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに、トルエン110gおよび1,3,5,7,9-ペンタメチルシクロペンタシロキサン210g(0.70モル)を加え、オイルバスを用いて90℃に加熱した。これに、5質量%の白金金属を担持したカーボン粉末0.38gを添加し、撹拌しながらビニルノルボルネン(商品名:V0062、東京化成社製;5-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンと6-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンとの等モル量の異性体混合物)60g(0.50モル)を120分間かけて滴下した。滴下終了後、更に110℃で加熱撹拌を16時間行った後、室温まで冷却した。その後、白金金属担持カーボンをろ過して除去し、トルエンを減圧留去して、無色透明なオイル状の反応生成物(粘度:1.4Pa・s)240gを得た。
反応生成物のH NMRを測定したところ、全ての付加反応性炭素-炭素二重結合が消失し、1,3,5,7,9-ペンタメチルシクロペンタシロキサンとビニルノルボルネンが1.34:1で反応した化合物の混合物であることが判明した。
【0070】
[合成例5](B-3)成分の調製
撹拌装置、冷却管、滴下ロートおよび温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに、トルエン100gおよび1,3,5,7,9-ペンタメチルシクロペンタシロキサン200g(0.67モル)を加え、オイルバスを用いて90℃に加熱した。これに、5質量%の白金金属を担持したカーボン粉末0.37gを添加し、撹拌しながらビニルノルボルネン(商品名:V0062、東京化成社製;5-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンと6-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンとの等モル量の異性体混合物)69g(0.57モル)を120分間かけて滴下した。滴下終了後、更に110℃で加熱撹拌を16時間行った後、室温まで冷却した。その後、白金金属担持カーボンをろ過して除去し、トルエンを減圧留去して、無色透明なオイル状の反応生成物(粘度:13Pa・s)250gを得た。
反応生成物のH NMRを測定したところ、全ての付加反応性炭素-炭素二重結合が消失し、1,3,5,7,9-ペンタメチルシクロペンタシロキサンとビニルノルボルネンが1.23:1で反応した化合物の混合物であることが判明した。
【0071】
[実施例1~3、比較例1~4]
表1に示す配合量で前記合成例の各成分、あるいは下記の各成分を混合し、付加硬化型シリコーン組成物を調製した。なお、表1における各成分の数値は質量部を表す。
(A)成分:
(A-1)合成例1で調製した混合物(付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中に3個以上有する化合物の混合物)
(A-2:比較成分)合成例2で調製した混合物(付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中に2個有する化合物の混合物)
【0072】
(B)成分:
(B-1)合成例3で調製した混合物(ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に6個以上有する化合物の混合物)
(B-2)合成例4で調製した混合物(ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に8個以上有する化合物の混合物)
(B-3)合成例5で調製した混合物(ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に8個以上有する化合物の混合物)
(B-4:比較成分)1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン
(B-5:比較成分)下記平均式(16)で表される直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン
【0073】
【化22】
(式中、括弧が付されたシロキサン単位の配列は、ランダム、交互、またはブロックである)
【0074】
(C)成分:
(C-1)塩化白金酸から誘導した1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサンを配位子として有する白金錯体のトルエン溶液(白金1質量%含有)
(D)成分:付加反応制御剤
(D-1)1-エチニルシクロヘキサノール
【0075】
【表1】
a)付加反応性炭素-炭素二重結合に対するSiHのモル比
【0076】
実施例1~3、比較例1~4で得られた付加硬化型シリコーン組成物について、下記の評価を行い、結果を表2に示した。
[400nm光透過率]
付加硬化型シリコーン組成物を2mm厚になるよう型に流し込み、170℃で4時間加熱硬化させた硬化物について25℃における波長400nmの直進光の光透過率を分光光度計U-3900(日立ハイテクサイエンス社製)を用いてそれぞれ測定した。
【0077】
[硬度]
付加硬化型シリコーン組成物を170℃で4時間加熱硬化させた硬化物について25℃における硬化物のショアD硬度をそれぞれ測定した。
【0078】
[ガラス転移温度および線膨張係数]
付加硬化型シリコーン組成物を170℃で4時間加熱硬化させた硬化物について、メトラー社製熱機械分析装置TMA/SDTA841eを用い、0℃から10℃/minの割合で昇温して測定した。
【0079】
【表2】
b)α1:ガラス転移温度未満の温度における線膨張係数
α2:ガラス転移温度を超える温度における線膨張係数
【0080】
表2に示すように、実施例1~3の付加硬化型シリコーン組成物から得られる硬化物は波長400nmの光透過性に優れ、高いガラス転移温度を示すことが分かる。
一方、付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中に2個有する化合物を使用し本発明の(A)成分を使用しなかった比較例1および2、本発明の(B)成分を使用しなかった比較例3および4では、硬化物のガラス転移温度が低いものとなった。また、比較例1、2および4では、硬化物の硬さが低かった。
【0081】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。