(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】不織布用ホモポリプロピレン樹脂およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08F 110/06 20060101AFI20220614BHJP
C08F 4/6592 20060101ALI20220614BHJP
D04H 3/007 20120101ALI20220614BHJP
【FI】
C08F110/06
C08F4/6592
D04H3/007
(21)【出願番号】P 2020501829
(86)(22)【出願日】2018-11-08
(86)【国際出願番号】 KR2018013548
(87)【国際公開番号】W WO2019093789
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-01-15
(31)【優先権主張番号】10-2017-0148291
(32)【優先日】2017-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0136198
(32)【優先日】2018-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヒ-クァン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ピョン-ソク
(72)【発明者】
【氏名】ノ、キョン-ソプ
(72)【発明者】
【氏名】チョン、サン-チン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ソン-ミン
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-123322(JP,A)
【文献】特表2006-503911(JP,A)
【文献】特開2010-144180(JP,A)
【文献】特開2003-028818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 4/60- 4/70
10/00- 10/14
110/00-110/14
D04H 1/00- 18/04
D01F 1/00- 6/96
9/00- 9/04
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒活性成分として下記の化学式1で表される遷移金属化合物のみを含む単一触媒の存在下、プロピレンを重合させる段階を含む、立体規則性(tacticity)が80%~90%であり、分子量分布(MWD)2.4以下であり、溶融指数(MI)が20~30g/10minであり、溶融点(Tm)が145℃以下であり、残留応力比率が0.05%以下である、不織布用ホモポリプロピレン樹脂の製造方法。
[残留応力比は、前記ホモポリプロピレン樹脂に変形(strain)を加えて応力緩和テスト(stress relaxation test)を行って、下記の計算式1により測定した値である。
[計算式1]
残留応力比率=(RS
1/RS
0)×100
前記計算式1中、
RS
0は、235℃下で前記ホモポリプロピレン樹脂に200%の変形を加えた後、0.05秒未満のいずれか一時点(t
0)での残留応力であり、
RS
1は、235℃下で前記ホモポリプロピレン樹脂に200%の変形を加えた後、0.05秒~1.50秒の間のいずれか一時点(t
1)での残留応力である。
立体規則性は、ヘキサクロロブタジエン溶液(テトラメチルシランを基準とする)を用いてC
13-NMRスペクトルを測定し、19.5~21.9ppmに現れるピークの全面積(100%)に対する、21.0~21.9ppmに現れるピークの面積の比率(%)を立体規則性(tacticity、mol%)で求めた。]
【化14】
前記化学式1において、
Aは、炭素、ケイ素、またはゲルマニウムであり、
Mは、4族遷移金属であり;
X
1およびX
2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、ハロゲン、置換もしくは非置換のC
1-20アルキル、置換もしくは非置換のC
2-20アルケニル、置換もしくは非置換のC
6-20アリール、ニトロ、アミド、置換もしくは非置換のC
1-20アルキルアミノ、置換もしくは非置換のC
6-20アリールアミノ、置換もしくは非置換のC
1-20アルキルシリル、置換もしくは非置換のC
1-20アルコキシ、または置換もしくは非置換のC
1-20スルホネートであり;
R
1およびR
6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素、または置換もしくは非置換のC
1-20アルキルであり;
R
2とR
3、およびR
7とR
8は、それぞれ互いに連結されて置換または非置換のC
6-20脂肪族または芳香族環を形成し;
R
4、R
5、R
9、およびR
10は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換のC
1-20アルキル、置換もしくは非置換のC
2-20アルケニル、置換もしくは非置換のC
1-20アルキルシリル、置換もしくは非置換のC
1-20シリルアルキル、置換もしくは非置換のC
1-20アルコキシシリル、置換もしくは非置換のC
1-20エーテル、置換もしくは非置換のC
1-20シリルエーテル、置換もしくは非置換のC
1-20アルコキシ、置換もしくは非置換のC
6-20アリール、置換もしくは非置換のC
7-20アルキルアリール、または置換もしくは非置換のC
7-20アリールアルキルであり;
R
11およびR
12は、互いに同一であり、C
2-20アルキルである。
【請求項2】
R
2とR
3およびR
7とR
8は、それぞれ互いに連結されてC
6-20アリールを形成する、請求項1に記載の不織布用ホモポリプロピレン樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記遷移金属化合物は、下記の化学式1-1で表される、請求項1または2に記載の不織布用ホモポリプロピレン樹脂の製造方法。
【化15】
前記化学式1-1において、
A、M、X
1、X
2、R
1、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、R
11、およびR
12は、
請求項1で定義した通りである。
【請求項4】
Aは、ケイ素であり、Mは、ジルコニウムまたはハフニウムである、請求項1~3のいずれか一項に記載の不織布用ホモポリプロピレン樹脂の製造方法。
【請求項5】
X
1およびX
2は、それぞれ独立して、ハロゲンである、請求項1~4のいずれか一項に記載の不織布用ホモポリプロピレン樹脂の製造方法。
【請求項6】
R
1およびR
6は、それぞれ独立して、水素またはC
1-5直鎖アルキルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の不織布用ホモポリプロピレン樹脂の製造方法。
【請求項7】
R
4、R
5、R
9、およびR
10は、水素である、請求項1~6のいずれか一項に記載の不織布用ホモポリプロピレン樹脂の製造方法。
【請求項8】
R
11およびR
12は、同一であり、C
2-4直鎖アルキル基である、請求項1~7のいずれか一項に記載の不織布用ホモポリプロピレン樹脂の製造方法。
【請求項9】
前記遷移金属化合物は、下記の構造式のうちの1つで表されるものである、請求項1~8のいずれか一項に記載の不織布用ホモポリプロピレン樹脂の製造方法。
【化16】
【請求項10】
前記重合段階は、連続式バルク-スラリー重合工程で行われる、請求項1~9のいずれか一項に記載の不織布用ホモポリプロピレン樹脂の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2017年11月8日付の韓国特許出願第10-2017-0148291号および2018年11月7日付の韓国特許出願第10-2018-0136198号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、不織布用ホモポリプロピレン樹脂およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、不織布は、紡織、製織や編成過程を経ずに機械操作や熱接着などの機械、化学処理で繊維集合体を接着したり絡ませて作った織物、フェルト、樹脂接着させた不織布、ニードルパンチ、スパンボンド、スパンレース、エンボスフィルム、湿式不織布などがこれに属する。狭義には、ランダム(random)に重なったウェブ(web)と繊維の接点を樹脂で接着して芯地等に用いるものを意味する。接着布ともいい、ボンドファブリック(bonded fabric)ともいう。このような不織布は多様な方法で製造されるが、ニードルパンチング法、ケミカルボンディング法、サーマルボンディング法、メルトブローン法、スパンレース法、ステッチボンド法、スパンボンド法が知られている。
【0004】
一方、ポリオレフィン系樹脂を原料とするスパンボンド(spunbond)不織布は、触感、柔軟性、通気性、断熱性などに優れ、フィルタ、包装材、寝具、衣類、医療用品、衛生用品、自動車内装材、建築資材などに幅広く用いられている。特に、ポリプロピレン短繊維は、特有の低い溶融点、および優れた耐薬品性によって、カレンダーボンディング工法またはエアスルーボンディング工法によりサーマルボンド不織布に加工され、オムツ、生理用ナプキンなどの衛生用品の表面材に主に用いられている。
【0005】
日本国特開第2002-235237号では、ポリプロピレン熱融着性不織布は、不織布にソフトな触感と高い引張強度を付与するために、結晶化阻害剤としてサリチル酸金属塩をマスターバッチペレットとして投入して細繊度によりソフト性と高引張強度を追求しているが、スパンボンド不織布に関する実験により短繊維を通したサーマルボンド不織布とは製法において相違がある。スパンボンド不織布は、短繊維サーマルボンド不織布に比べて高い引張強度を示すが、ソフトな触感には劣るというのが通念である。
【0006】
また、既存のチーグラー・ナッタ触媒で製造されるホモポリプロピレン樹脂とは異なり、メタロセン触媒で製造されたホモポリプロピレン樹脂は分子量分布が狭いため、太さが細くかつ均一な繊維が製造可能であり、これにより、強度に優れた低坪量の不織布を製造するという利点がある。しかし、メタロセンホモポリプロピレン樹脂は、低いキシレン溶解度(xylene solubles)や狭い分子量分布による低分子量の含有量が少ないため、不織布の製造時、表面的に粗い感触(feel)を与えるという欠点がある。
【0007】
これにより、最近は、ポリプロピレンとポリエチレンを樹脂として用い、Bi-Co紡糸技術で繊維(fiber)の内部と外部をそれぞれ異なる樹脂で不織布を製造してソフトな触感(softness)を向上させることはできたが、この場合に、強度の低下があまりにも大きいため、高強度不織布用には適しないという欠点がある。また、ポリプロピレン樹脂に弾性ポリマー(Elastic polymer)、例えば、C3エラストマーなどの製品をブレンドして使用する試みがあったが、この場合にも、ソフトな触感(softness)は改善できるものの、高価な樹脂であるので、製造費用が高くなって経済的な問題があり、産業工程への適用が困難であるという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、立体規則性(tacticity)および分子量分布(MWD)、溶融指数(MI)、溶融点(Tm)、残留応力比率をすべて最適化すると同時に、狭い分子量分布を有することによって、モジュラス(modulus)を最適化して、不織布に用いると、既存の製品よりソフト(soft)な触感を付与するだけでなく、高い強度で容易に破れない優れた強靭性を同時に実現できる不織布用ホモポリプロピレン樹脂を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の一実施形態によれば、立体規則性(tacticity)が80%~90%であり、分子量分布(MWD)2.4以下であり、溶融指数(MI)が20~30g/10minであり、溶融点(Tm)が145℃以下であり、残留応力比率が約0.05%以下である、不織布用ホモポリプロピレン樹脂が提供される。
【0011】
前記不織布用ホモポリプロピレン樹脂は、分子量分布(MWD)が2.1~2.4であってもよく、溶融点(Tm)が133℃~143℃であってもよく、立体規則性(tacticity)が82%~87%であってもよく、溶融指数(MI)が23g/10min~26g/10minであってもよい。
【0012】
また、発明の他の実施形態によれば、触媒活性成分として下記の化学式1で表される遷移金属化合物のみを含む触媒の存在下、プロピレンを重合させる段階を含む、不織布用ホモポリプロピレン樹脂の製造方法が提供される。
【0013】
【0014】
前記化学式1において、
Aは、炭素、ケイ素、またはゲルマニウムであり、
Mは、4族遷移金属であり;
X1およびX2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、ハロゲン、置換もしくは非置換のC1-20アルキル、置換もしくは非置換のC2-20アルケニル、置換もしくは非置換のC6-20アリール、ニトロ、アミド、置換もしくは非置換のC1-20アルキルアミノ、置換もしくは非置換のC6-20アリールアミノ、置換もしくは非置換のC1-20アルキルシリル、置換もしくは非置換のC1-20アルコキシ、または置換もしくは非置換のC1-20スルホネートであり;
R1およびR6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素、または置換もしくは非置換のC1-20アルキルであり;
R2とR3、およびR7とR8は、それぞれ互いに連結されて置換もしくは非置換のC6-20脂肪族または芳香族環を形成し;
R4、R5、R9、およびR10は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換のC1-20アルキル、置換もしくは非置換のC2-20アルケニル、置換もしくは非置換のC1-20アルキルシリル、置換もしくは非置換のC1-20シリルアルキル、置換もしくは非置換のC1-20アルコキシシリル、置換もしくは非置換のC1-20エーテル、置換もしくは非置換のC1-20シリルエーテル、置換もしくは非置換のC1-20アルコキシ、置換もしくは非置換のC6-20アリール、置換もしくは非置換のC7-20アルキルアリール、または置換もしくは非置換のC7-20アリールアルキルであり;
R11およびR12は、互いに同一であり、C2-20アルキルである。
【0015】
一例として、前記遷移金属化合物に係る化学式1において、R2とR3およびR7とR8は、それぞれ互いに連結されてC6-20アリールを形成するものであってもよい。
【0016】
前記遷移金属化合物は、下記の化学式1-1で表されるものであってもよい。
【0017】
【0018】
前記化学式1-1において、
A、M、X1、X2、R1、R4、R5、R6、R9、R10、R11、およびR12は、前記化学式1で定義した通りである。
【0019】
前記遷移金属化合物に係る化学式1において、Aは、ケイ素であってもよく、Mは、ジルコニウムまたはハフニウムであってもよく、X1 およびX2は、それぞれハロゲンであってもよく、R1 およびR6は、それぞれ水素またはC1-5直鎖アルキルであってもよく、R4 、R5、R9、およびR10は、水素であってもよく、R11 およびR12は、同一であり、C2-4直鎖アルキル基であってもよい。
【0020】
前記遷移金属化合物は、下記の構造式のうちの1つで表されるものであってもよい:
【0021】
【0022】
また、前記ホモポリプロピレンは、連続式バルク-スラリー重合工程で製造されるものであってもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、特定の遷移金属化合物を含む単一触媒下で製造されるメタロセンホモポリプロピレン樹脂であって、立体規則性(tacticity)および分子量分布(MWD)、溶融指数(MI)、溶融点(Tm)、残留応力比率をすべて最適化すると同時に、狭い分子量分布を有することによって、モジュラス(modulus)を最適化して、既存の製品よりソフト(soft)な触感を付与するだけでなく、高い強度で容易に破れない優れた強靭性を有する不織布を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、発明の具体的な実施形態による不織布用ホモポリプロピレン樹脂およびその製造方法について説明する。
【0025】
それに先立ち、本明細書に使用される専門用語は単に特定の実施形態を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。そして、ここで使用される単数形態は、文章がこれと明確に反対の意味を示さない限り、複数形態も含む。また、本明細書で使用される「包含」または「含有」の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素または成分を具体化し、他の特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素または成分の付加を除外させるわけではない。
【0026】
本発明において、第1、第2などの用語は多様な構成要素を説明するのに使用され、前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0027】
また、本明細書で使用される用語は、単に例示的な実施例を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上、明らかに異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」、「備える」または「有する」などの用語は、実施された特徴、数字、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないことが理解されなければならない。
【0028】
本発明は、多様な変更が加えられて様々な形態を有し得ることから、特定の実施例を例示し、下記に詳しく説明する。しかし、これは、本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物乃至代替物を含むことが理解されなければならない。
【0029】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0030】
発明の一実施形態によれば、立体規則性(tacticity)が80%~90%であり、分子量分布(MWD)2.4以下であり、溶融指数(MI)が20g/10min~30g/10minであり、溶融点(Tm)が145℃以下であり、残留応力比率が0.05%以下である、不織布用ホモポリプロピレン樹脂が提供される。
【0031】
本発明者らは、不織布用に使用されるポリプロピレン樹脂に関する研究過程で、従来知られたメタロセンホモポリプロピレン樹脂は、低いキシレン溶解度(xylene solubles)や狭い分子量分布による低分子量の含有量が少ないため、不織布の製造時、表面的に粗い触感(feel)を与えるという欠点があることを確認した。
【0032】
そこで、本発明者らは、前記の問題点を改善するための研究を重ねる過程で、メタロセンホモポリプロピレン樹脂の立体規則性(tacticity)を80%~90%に最適化し、溶融指数(MI)を20~30g/10minに最適化し、溶融点(Tm)を145℃以下に最適化すると同時に、残留応力比率および分子量分布もそれぞれ0.05%以下および2.4以下にすべて最適化することでモジュラス(modulus)を最適化して、既存の製品よりソフト(soft)な触感を示しながらも、優れた強靭性を有する不織布を製造できることを確認した。
【0033】
特に、既存の方式で立体規則性(tacticity)を低下させることでソフトな不織布を製造すれば、ソフトな特性は実現できるものの、不織布の強度が低下して破れやすいという欠点があるが、これは、樹脂の分子量分布が広くて加工過程で十分な延伸をしにくいからである。これにより、本発明では、チーグラー・ナッタ触媒ではない、特定のメタロセン触媒を活性成分として含む単一触媒を用いた重合工程により得られたホモポリプロピレン樹脂を含むことによって、立体規則性(tacticity)を低下させると同時に、約2.4以下の低い分子量分布を実現することによって、ソフトな触感とともに高い強度を同時に実現することができる。本発明では、トレードオフ(trade-off)の関係にある物性であるソフトな感触性(softness)と高い強度を単一触媒で反応器内の製造工程(reactor-made)により製造したホモポリプロピレン樹脂を含んで実現することができる。
【0034】
本発明によるホモポリプロピレン樹脂は、不織布を製造するための用途に用いることができ、メタロセンホモポリプロピレン樹脂の立体規則性(tacticity)が約80%~約90%になることを特徴とする。
【0035】
前記ホモポリプロピレン樹脂の立体規則性(tacticity)は、核磁気共鳴(NMR、nuclear magnetic resonance)分析により測定することができ、このような立体規則性は約80%~約90%、あるいは約80%~約87%、あるいは約82%~約87%になる。ここで、立体規則性(tacticity)は、核磁気共鳴機器(NMR、nuclear magnetic resonance)を用いて測定した値であってもよい。立体規則性の測定方法は、後述する試験例でより具体化される。前記樹脂の立体規則性(tacticity)は、不織布の製造時、優れた強靭性を確保する側面から約80%以上にならなければならず、ソフトな触感を有する不織布を実現可能にする側面から約90%以下にならなければならない。
【0036】
本発明のホモポリプロピレン樹脂は、上述のように最適化された立体規則性(tacticity)の範囲とともに、約2.4以下の狭い分子量分布(MWD)を有することを特徴とする。
【0037】
前記ホモポリプロピレン樹脂の分子量分布は約2.4以下、あるいは約2.0~約2.4、あるいは約2.05~約2.4、あるいは約2.1~約2.4であってもよい。ここで、前記ホモポリプロピレン樹脂は、不織布の製造時、優れた強靭性を確保する側面から約2.4以下の狭い分子量分布(MWD)を有するものでなければならない。
【0038】
本発明において、分子量分布は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いてホモポリプロピレン樹脂の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)をそれぞれ測定し、分子量分布として数平均分子量に対する重量平均分子量の比(Mw/Mn)を計算した。具体的には、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)装置としてはWaters PL-GPC220機器を用い、Polymer Laboratories PLgel MIX-B 300mmの長さのカラムを用いて測定することができる。この時、測定温度は160℃であり、1,2,4-トリクロロベンゼンを溶媒として用い、流速は1mL/minとする。また、ホモポリプロピレン樹脂のサンプルはそれぞれ10mg/10mLの濃度に調製した後、200μLの量で供給する。ポリスチレン標準試験片を用いて形成された検定曲線を利用してMwおよびMnの値を誘導することができる。この時、ポリスチレン標準試験片としては、重量平均分子量は2000g/mol、10000g/mol、30000g/mol、70000g/mol、200000g/mol、700000g/mol、2000000g/mol、4000000g/mol、10000000g/molの9種を使用することができる。
【0039】
また、本発明のホモポリプロピレン樹脂は、上述のように最適化された立体規則性(tacticity)の範囲および狭い分子量分布とともに、溶融指数(MI)および溶融点(Tm)をそれぞれ20~30g/10minおよび145℃以下に最適化することを特徴とする。
【0040】
前記ホモポリプロピレン樹脂の溶融指数(MI、melt index)は、米国材料試験学会(ASTM、American society for testing and materials)規格ASTM D 1238により、230℃で2.16kgの荷重下で測定した時、約20~約30g/10min、あるいは約20~約26g/10min、あるいは約23~約26g/10minになる。ここで、前記溶融指数(MI、melt index)は、紡糸性と不織布の強度を同時に優れた程度に確保する側面から上述した範囲を維持しなければならない。特に、樹脂を用いた不織布を加工するに際して、溶融指数(MI)が約20g/10min未満であれば、加工圧力が上昇して加工性が低下する問題がある。さらに、前記溶融指数(MI、melt index)が約30g/10minを超えると、加工時の圧力は確保できるものの、製品の強度が所望の高強度を実現できない問題がある。
【0041】
また、前記ホモポリプロピレン樹脂の溶融点(Tm)は、約145℃以下または約130℃~約145℃、あるいは約144℃以下または約132℃~約144℃、あるいは約143℃以下または約133℃~約143℃になる。特に、不織布用繊維に加工時、ソフトな触感を確保し、加工温度の上昇による樹脂の分解(degradation)を防止する側面から、前記ホモポリプロピレン樹脂の溶融点(Tm)は145℃以下にならなければならない。さらに、前記ホモポリプロピレン樹脂の溶融点(Tm)が145℃を超える場合、紡糸性に問題を起こして繊維の断糸を発生させて不良率が増加しうる。ただし、前記ホモポリプロピレン樹脂の溶融点(Tm)が130℃以下に下がると、樹脂を生産する上で困難があったり、生産性が低下することがある。
【0042】
一方、本発明において、ホモポリプロピレン樹脂の溶融点は、前記ホモポリプロピレン樹脂の温度を220℃まで増加させた後、5分間その温度で維持し、その後、20℃まで下げた後、再び温度を増加させて、DSC(Differential Scanning Calorimeter、TA社製造)曲線の頂点を溶融点として測定することができる。この時、温度の上昇と下降の速度はそれぞれ10℃/minであり、溶融点は2番目に温度が上昇する区間で測定した結果である。
【0043】
これとともに、前記ホモポリプロピレン樹脂は、上述のような立体規則性(tacticity)と分子量分布、溶融指数、溶融点(Tm)などとともに、約0.05%の狭い残留応力比率を有することを特徴とする。前記残留応力比率は約0.05%以下または約0.005%~0.05%、あるいは約0.04%以下または約0.006%~0.04%、あるいは約0.03%以下または約 0.006%~0.03%であってもよい。
【0044】
特に、前記残留応力比率は、不織布の製造工程と類似の環境下でレオロジー的物性テストを通して繊維加工性を確認できるもので、前記ホモポリプロピレン樹脂に大きな変形(strain)を加えて応力緩和テスト(stress relaxation test)を行って、下記の計算式1により測定した値となる。
【0045】
[計算式1]
残留応力比率=(RS1/RS0)×100
前記計算式1中、RS0は、235℃下で前記ホモポリプロピレン樹脂に200%の変形を加えた後、0.05秒未満のいずれか一時点(t0)での残留応力であり、RS1は、235℃下で前記ホモポリプロピレン樹脂に200%の変形を加えた後、0.05秒~1.50秒の間のいずれか一時点(t1)での残留応力である。
【0046】
つまり、発明の一例によれば、前記計算式1による残留応力の比率が0.05%を超える場合、当該ポリプロピレン樹脂を原料とするメルトブローイングを行う時、断糸の可能性が高すぎて、不織布の製造時、不良率が増加する問題が発生しうる。残留応力比率は0.05%以下、または0.04%以下、または0.03%以下を維持してこそ、不織布を加工する上で繊維の断糸を最小化することができる。特に、残留応力が高ければ、溶融状態で繊維が紡糸され、クーリング(cooling)により半溶融状態で延伸をするが、この時、残留応力が高ければ、収縮しようとする性質が大きくなることによって、繊維の断糸が発生する可能性が高まる。
【0047】
前記計算式1中、RS0は、235℃下でホモポリプロピレン樹脂に200%の変形を加えた直後、例えば、0.05秒未満のいずれか一時点(t0)での残留応力を示す。そして、前記計算式1中、RS1は、前記RS0と同一の条件下、前記t0後、約1.5秒以内[例えば、0.05秒~2.00秒の間のいずれか一時点(t1)]での残留応力を示す。
【0048】
具体的には、前記計算式1中、前記t0は0.01秒、あるいは0.015秒、あるいは0.02秒、あるいは0.025秒、あるいは0.03秒、あるいは0.035秒、あるいは0.04秒、あるいは0.045秒から選択される。そして、前記計算式1中、t1は0.05秒、あるいは0.10秒、あるいは0.20秒、あるいは0.30秒、あるいは0.40秒、あるいは0.50秒、あるいは0.60秒、あるいは0.70秒、あるいは0.80秒、あるいは0.90秒、あるいは1.00秒、あるいは1.10秒、あるいは1.20秒、あるいは1.30秒、あるいは1.40秒、あるいは1.50秒、あるいは1.60秒、あるいは1.70秒、あるいは1.80秒、あるいは1.90秒、あるいは2.00秒から選択される。
【0049】
好ましくは、残留応力の測定時、有効なデータを容易に確保するために、前記計算式1中、t0は0.02秒であり、t1は1.00秒であるのが有利であり得る。
【0050】
そして、前記ホモポリプロピレン樹脂の残留応力比率は、不織布の製造時、メルトブローイングを行うための工程条件と類似の環境(例えば、235℃)下で測定される。前記235℃の温度は、ホモポリプロピレン樹脂を完全に溶かしてメルトブローイングを行うのに適した温度に相当する。
【0051】
本発明のホモポリプロピレン樹脂における残留応力比率を、上述のような最適範囲に維持し、優れた繊維加工性を確保できるように、分子量分布(MWD)も、上述のように上昇せず低い範囲を維持することが好ましい。
【0052】
このように、発明の一実施形態による前記ホモポリプロピレン樹脂は、立体規則性(tacticity)および分子量分布(MWD)、溶融指数(MI)、溶融点(Tm)、残留応力比率をすべて最適化すると同時に、狭い分子量分布の特性を有し、不織布に用いると、既存の製品よりソフト(soft)な触感を付与するだけでなく、高い強度で容易に破れない優れた強靭性を同時に実現することができる。
【0053】
上記のような物性および構成的特徴を有する発明の一実施形態による不織布用ホモポリプロピレン樹脂は、触媒活性成分として下記の化学式1で表される遷移金属化合物のみを含む単一触媒の存在下、プロピレンを重合させる段階を含む製造方法により製造できる。これにより、発明の他の実施形態によれば、上述のような不織布用ホモポリプロピレン樹脂を製造する方法が提供される。
【0054】
【0055】
前記化学式1において、
Aは、炭素(C)、ケイ素(Si)、またはゲルマニウム(Ge)であり、
Mは、4族遷移金属であり;
X1およびX2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、ハロゲン、置換もしくは非置換のC1-20アルキル、置換もしくは非置換のC2-20アルケニル、置換もしくは非置換のC6-20アリール、ニトロ、アミド、置換もしくは非置換のC1-20アルキルアミノ、置換もしくは非置換のC6-20アリールアミノ、置換もしくは非置換のC1-20アルキルシリル、置換もしくは非置換のC1-20アルコキシ、または置換もしくは非置換のC1-20スルホネートであり;
R1およびR6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素、または置換もしくは非置換のC1-20アルキルであり;
R2とR3、およびR7とR8は、それぞれ互いに連結されて置換もしくは非置換のC6-20脂肪族または芳香族環を形成し;
R4、R5、R9、およびR10は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換もしくは非置換のC1-20アルキル、置換もしくは非置換のC2-20アルケニル、置換もしくは非置換のC1-20アルキルシリル、置換もしくは非置換のC1-20シリルアルキル、置換もしくは非置換のC1-20アルコキシシリル、置換もしくは非置換のC1-20エーテル、置換もしくは非置換のC1-20シリルエーテル、置換もしくは非置換のC1-20アルコキシ、置換もしくは非置換のC6-20アリール、置換もしくは非置換のC7-20アルキルアリール、または置換もしくは非置換のC7-20アリールアルキルであり;
R11およびR12は、互いに同一であり、C2-20アルキルである。
【0056】
本明細書において、特別な制限がない限り、次の用語は下記のように定義される。
【0057】
ハロゲン(halogen)は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、またはヨウ素(I)であってもよい。
【0058】
C1-20アルキル、つまり、炭素数1~20のアルキル基は、直鎖、分枝鎖もしくは環状アルキル基であってもよい。具体的には、炭素数1~20のアルキル基は、炭素数1~20の直鎖アルキル基;炭素数1~10の直鎖アルキル基;炭素数1~5の直鎖アルキル基;炭素数3~20の分枝鎖もしくは環状アルキル基;炭素数3~15の分枝鎖もしくは環状アルキル基;または炭素数3~10の分枝鎖もしくは環状アルキル基であってもよい。より具体的には、炭素数1~20のアルキル基は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、neo-ペンチル基、またはシクロヘキシル基などであってもよい。
【0059】
C1-20アルコキシ、つまり、炭素数1~20のアルコキシ基は、酸素と結合した炭素数1~20の直鎖状もしくは分枝状アルキル基(-OR)を意味する。具体的には、前記アルキル基は、炭素数1~20、より具体的には、炭素数1~6のアルコキシ基を含む。前記アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、またはt-ブトキシ基などが挙げられる。
【0060】
C2-20アルコキシアルキル、つまり、炭素数2~20のアルコキシアルキル基は、前述のようなアルコキシ基が直鎖もしくは分枝状アルキル基の炭素に水素の代わりに置換された官能基を意味する。具体的には、前記アルコキシアルキル基は、炭素数2~20、より具体的には、炭素数2~12のアルコキシアルキル基を含む。前記アルコキシアルキル基の具体例としては、メトキシメチル基、tert-ブトキシメチル基、tert-ブトキシヘキシル基、1-エトキシエチル基、1-メチル-1-メトキシエチル基などが挙げられる。
【0061】
C2-20アルケニル、つまり、炭素数2~20のアルケニル基は、直鎖、分枝鎖もしくは環状アルケニル基であってもよい。具体的には、炭素数2~20のアルケニル基は、炭素数2~20の直鎖アルケニル基、炭素数2~10の直鎖アルケニル基、炭素数2~5の直鎖アルケニル基、炭素数3~20の分枝鎖アルケニル基、炭素数3~15の分枝鎖アルケニル基、炭素数3~10の分枝鎖アルケニル基、炭素数5~20の環状アルケニル基、または炭素数5~10の環状アルケニル基であってもよい。より具体的には、炭素数2~20のアルケニル基は、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、またはシクロヘキセニル基などであってもよい。
【0062】
C3-20シクロアルキル、つまり、炭素数3~20のシクロアルキル基は、炭素数3~20の環状飽和炭化水素基を意味する。具体的には、前記シクロアルキル基は、炭素数3~6のシクロアルキル基を含む。前記シクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、またはシクロヘキシル基などが挙げられる。
【0063】
C6-20アリール、つまり、炭素数6~20のアリールは、モノサイクリック、ビサイクリック、またはトリサイクリック芳香族炭化水素を意味することができる。具体的には、炭素数6~20のアリールは、フェニル基、ナフチル基、またはアントラセニル基などであってもよい。
【0064】
C7-20アルキルアリール、つまり、炭素数7~30のアルキルアリールは、アリールの1以上の水素がアルキルによって置換された置換基を意味することができる。具体的には、炭素数7~20のアルキルアリールは、メチルフェニル、エチルフェニル、n-プロピルフェニル、iso-プロピルフェニル、n-ブチルフェニル、iso-ブチルフェニル、tert-ブチルフェニル、またはシクロヘキシルフェニルなどであってもよい。
【0065】
C7-20アリールアルキル、つまり、炭素数7~20のアリールアルキルは、アルキルの1以上の水素がアリールによって置換された置換基を意味することができる。具体的には、炭素数7~20のアリールアルキルは、ベンジル基、フェニルプロピル、またはフェニルヘキシルなどであってもよい。
【0066】
C6-20アリールオキシ、つまり、炭素数6~20のアリールオキシ基は、酸素と結合したアリール基(-OAr)を意味し、この時、前記アリール基は、先に定義した通りである。具体的には、前記アリールオキシ基は、炭素数6~20、より具体的には、炭素数6~12のアリールオキシ基を含む。前記アリールオキシ基の具体例としては、フェノキシなどが挙げられる。
【0067】
シリル基は、シラン(silane)から誘導された-SiH3ラジカルを意味し、前記シリル基内の水素原子のうちの少なくとも1つがアルキル基、アルコキシ、ハロゲン基などの多様な有機基で置換されてもよい。この時、前記アルキル基、アルコキシ、ハロゲン基は、先に定義した通りである。
【0068】
ニトロ基(nitro group)は、1つの窒素原子と2つの酸素原子が結合した-NO2ラジカルを意味する。
【0069】
C1-20スルホネート、つまり、炭素数1~20のスルホネート基(sulfonate group)は、スルホン酸基(-SO3H)中の水素がアルキル基で置換された官能基を意味し、この時、アルキル基は、先に定義した通りである。具体的には、前記スルホネート基は、-SO3R(この時、Rは、炭素数1~20の直鎖もしくは分枝状のアルキル基である)であってもよい。
【0070】
アミド基(amido group)は、カルボニル基(C=O)に結合したアミノ基を意味する。
【0071】
C1-20アルキルアミノ、つまり、炭素数1~20のアルキルアミノ基は、アミノ基(-NH2)における少なくとも1つの水素がアルキル基で置換された官能基を意味し、この時、アルキル基は、先に定義した通りである。具体的には、前記アルキルアミノ基は、-NR2(この時、Rは、それぞれ水素原子であるか、炭素数1~20の直鎖もしくは分枝状のアルキル基であってもよいし、ただし、2つのRともが水素原子ではない)であってもよい。
【0072】
C6-20アリールアミノ、つまり、炭素数6~20のアリールアミノ基は、アミノ基(-NH2)における少なくとも1つの水素がアリール基で置換された官能基を意味し、この時、アリール基は、先に定義した通りである。
【0073】
C6-20脂肪族または芳香族環、つまり、炭素数6~20の脂肪族または芳香族環は、シクロアルキル基またはアリール基を意味し、この時、シクロアルキル基およびアリール基は、先に定義した通りである。
【0074】
C1-20シリルアルキル、つまり、炭素数1~20のシリルアルキル基は、アルキル基における少なくとも1つの水素がシリル基で置換された官能基を意味し、この時、アルキル基およびシリル基は、先に定義した通りである。
【0075】
C1-20エーテル、つまり、炭素数1~20のエーテルは、-O-ラジカルを含むヒドロカルビル基を意味し、エーテル基内の水素原子のうちの少なくとも1つがシリル基などの多様な有機基で置換されてもよい。この時、前記シリル基は、先に定義した通りである。
【0076】
アルキリデン基(alkylidene group)とは、アルキル基の同一の炭素原子から2つの水素原子が除去された2価の脂肪族炭化水素基を意味する。具体的には、前記アルキリデン基は、炭素数1~20、より具体的には、炭素数1~12のアルキリデン基を含む。前記アルキリデン基の具体例としては、プロパン-2イリデン基(propane-2-ylidene group)などが挙げられる。
【0077】
アリーリデン基(arylidene group)とは、アリール基の同一の炭素原子から2つの水素原子が除去された2価の芳香族炭化水素基を意味する。具体的には、前記アリーリデン基は、炭素数6~20、より具体的には、炭素数6~12のアリーリデン基を含む。前記アリーリデン基の具体例としては、フェニリデンなどが挙げられる。
【0078】
ヒドロカルビル基(hydrocarbyl group)は、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基など、その構造に関係なく、炭素および水素のみからなる炭素数1~60の1価の炭化水素基を意味する。
【0079】
また、本明細書において、特に定義されない限り、「これらの組み合わせ」とは、2以上の官能基が単結合、二重結合(エチレン基)、三重結合(アセチレン基)、または炭素数1~20のアルキレン基(例えば、メチレン基(-CH2-)またはエチレン基(-CH2CH2-)など)のような連結基によって結合しているか、または2以上の官能基が縮合、連結されているものを意味する。
【0080】
特に、本発明では、ソフトでかつ強度に優れた不織布用ホモポリプロピレン樹脂を製造するために、分子量分布が広くて射出などの加工性に適した用途に使用する混成触媒ではない、前記化学式1の遷移金属化合物を単一成分として含む単一触媒を用いることを特徴とする。
【0081】
また、既存の工程では、特性の異なる2種の樹脂を混合して不織布を製造する場合もあるが、本発明では、反応器内の製造工程(reactor-made)で製造した1種の樹脂でソフトと強度を同時に満たす差別性がある。
【0082】
前記ホモポリプロピレンは、前記化学式1で表される遷移金属化合物を含む触媒とプロピレンを接触させる重合工程により製造できる。
【0083】
また、本発明の一実施例によれば、前記プロピレンの単一重合は、水素気体下で行われる。この時、前記水素気体は、プロピレンの全体重量に対して、約2000ppm以下、あるいは約10ppm~約2000ppm、あるいは約50ppm~約1500ppmとなるように投入される。前記水素気体の使用量を調節して、十分な触媒活性を示しながらも製造されるホモポリプロピレン樹脂の分子量分布および流動性を所望の範囲内に調節することができ、これにより、用途に応じて適切な物性を有するプロピレン-ブテン共重合体を製造することができる。
【0084】
前記ホモポリプロピレン樹脂を製造する上で触媒として用いられる遷移金属化合物としては、前記化学式1で表される遷移金属化合物を1種以上使用することができる。
【0085】
前記化学式1において、R2とR3およびR7とR8は、それぞれ互いに連結されてC6-20アリールを形成するものであってもよい。
【0086】
前記化学式1において、Aは、ケイ素(Si)であってもよい。
【0087】
前記化学式1において、Mは、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であってもよい。
【0088】
前記化学式1において、X1およびX2は、それぞれハロゲンであってもよい。具体的には、X1およびX2は、それぞれクロロであってもよい。
【0089】
前記化学式1において、R1およびR6は、それぞれ水素またはC1-5直鎖アルキルであってもよく、または水素またはメチルであってもよい。
【0090】
前記化学式1において、R4、R5、R9、およびR10は、水素であってもよい。
【0091】
前記化学式1において、R11およびR12は、同一であり、C2-4直鎖アルキル基であってもよい。
【0092】
前記化学式1において、R12は、エチルまたは6-(t-ブトキシ)-ヘキシルであってもよい。
【0093】
一例として、前記遷移金属化合物としては、前記化学式1のAは、ケイ素であり;Mは、ZrまたはHfであり;X1およびX2は、それぞれハロゲンであり;R1およびR6は、それぞれ水素またはメチルであり;R2とR3およびR7とR8は、それぞれ互いに連結されてC6-20アリールを形成し;R4、R5、R9、およびR10は、水素であり;R11およびR12は、同一であり、C2-4直鎖アルキル基である遷移金属化合物が使用できる。
【0094】
また、具体的な一実施形態として、前記遷移金属化合物は、下記の化学式1-1で表されるものであってもよい。
【0095】
【0096】
前記化学式1-1において、
A、M、X1、X2、R1、R4、R5、R6、R9、R10、R11、およびR12は、前記化学式1で定義した通りである。
【0097】
このような構造の遷移金属化合物は、適切な立体障害を起こして上述した効果をより効果的に担保することができる。
【0098】
ここで、ケイ素ブリッジの置換基であるR11およびR12は、溶解度を増大させて担持効率性を改善する側面から溶解度を増大させて、担持効率性を改善する側面で互いに同一であり、C2-10アルキル基であってもよく、より具体的には、C2-4直鎖アルキル基、さらにより具体的には、それぞれエチルであってもよい。このようなブリッジの置換基としてメチル基を含む場合、担持触媒の調製時、溶解度が良くなくて担持反応性が低下する問題が現れる。
【0099】
また、前記触媒の中心金属としてはZrおよびHfが好ましいが、Zrは、活性を高める特徴があり、Hfは、生成される樹脂の溶融点(Tm)を約2~3℃程度高める特性があって、適切な用途に合わせて適用することができる。
【0100】
好ましくは、前記遷移金属化合物は、下記の構造式のうちの1つで表されるものであってもよい。
【0101】
【0102】
前記化学式1で表される遷移金属化合物は、公知の反応を応用して合成され、より詳しい合成方法は、後述する製造例1~2を参照することができる。
【0103】
一方、前記化学式1の構造を有する遷移金属化合物を含む触媒は、高い活性と工程安定性を向上させる側面から多様な助触媒を追加的に含んでもよい。このような助触媒化合物としては、下記の化学式2または化学式3で表される化合物のうちの1種以上を含むことができる。
【0104】
【0105】
前記化学式2において、
R7、R8およびR9は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1~20のヒドロカルビル基、およびハロゲンで置換された炭素数1~20のヒドロカルビル基のうちのいずれか1つであり、
mは、2以上の整数であり、
【0106】
【0107】
前記化学式3において、
Lは、中性または陽イオン性ルイス塩基であり、
Wは、13族元素であり、Jは、それぞれ独立して、炭素数1~20のヒドロカルビル基;炭素数1~20のヒドロカルビルオキシ基;およびこれら置換基の1以上の水素原子がハロゲン、炭素数1~20のヒドロカルビルオキシ基、および炭素数1~20のヒドロカルビル(オキシ)シリル基のうちの1以上の置換基で置換された置換基のうちのいずれか1つである。
【0108】
例えば、本発明において、助触媒としては、前記化学式2または化学式3で表される多様な助触媒がすべて使用できる。一例として、前記化学式2の助触媒としては、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、tert-ブチルアルミノキサン、またはこれらの混合物などが使用できる。また、前記化学式3の助触媒としては、トリメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムn-ブチルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムベンジルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(4-(t-ブチルジメチルシリル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(4-(トリイソプロピルシリル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムペンタフルオロフェノキシトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチル-2,4,6-トリメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、ヘキサデシルジメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N-メチル-N-ドデシルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルジ(ドデシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、またはこれらの混合物が使用できる。
【0109】
前記助触媒の使用含有量は、目的の触媒とホモポリプロピレン樹脂の物性や効果に応じて適切に調節可能である。
【0110】
また、前記化学式1の構造を有する遷移金属化合物を含む触媒は、前記化学式1の遷移金属化合物、および場合によって、前記化学式2または化学式3の助触媒が担体に担持された担持触媒形態で使用することができる。
【0111】
前記担体としては、表面にヒドロキシ基またはシロキサン基を含有する担体を使用することができる。具体的には、前記担体としては、高温で乾燥して表面に水分を除去することによって、反応性が高いヒドロキシ基またはシロキサン基を含有する担体を使用することができる。より具体的には、前記担体としては、シリカ、アルミナ、マグネシア、またはこれらの混合物などを使用することができる。前記担体は、高温で乾燥したものであってもよく、これらは、通常、Na2O、K2CO3、BaSO4、およびMg(NO3)2などの酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩成分を含むことができる。
【0112】
前記担持触媒は、担体に、前記化学式2の助触媒、前記化学式1の遷移金属化合物、および前記化学式3の助触媒が順次に担持されて形成されたものであってもよい。このような担持順序により決定された構造の担持触媒は、ホモポリプロピレン樹脂の製造工程で高い活性とともに優れた工程安定性を実現することができる。
【0113】
より具体的には、前記担持触媒は、触媒活性成分としては、前記化学式1で表される遷移金属化合物のみを含む単一担持触媒になってもよい。
【0114】
前記ホモポリプロピレン樹脂は、連続重合工程で製造され、例えば、連続式溶液重合工程、連続式バルク重合工程、連続式懸濁重合工程、連続式スラリー重合工程、または連続式乳化重合工程など、オレフィン単量体の重合反応として知られた多様な重合工程を採用することができる。ただし、上述のような均一な分子量分布を得て、不織布繊維用に適したホモポリプロピレン樹脂を製造するためには、連続式バルク-スラリー重合工程が好ましい。
【0115】
具体的には、前記重合反応は、約40~110℃、または約50~100℃、または約60~90℃の温度下で行われる。また、前記重合工程の圧力は、ポリプロピレン樹脂の製造分野で知られた範囲内で行うことができ、例えば、約1~100kgf/cm2の圧力下で行われる。一例として、実際の反応器の大きさに応じて異なるが、プロピレンの投入量は、時間あたり、約10kg~約80kg、または約20kg~約65kg、または約30kg~約50kgにして、連続重合工程を行うことができる。
【0116】
また、前記重合反応において、前記触媒は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカン、トルエン、ベンゼン、ジクロロメタン、クロロベンゼンなどのような溶媒に溶解または希釈した状態で用いられる。この時、前記溶媒を少量のアルキルアルミニウムなどで処理することによって、触媒に悪影響を及ぼしうる少量の水または空気などを予め除去することができる。一例として、前記触媒は、オイル、グリースに混ぜたマッド触媒形態で使用することができ、オイル、グリースなどを含む総重量基準で、前記触媒の含有量は約10%~約25%、または約12%~約20%、または約14%~約18%であってもよい。
【0117】
上記のように、発明の他の実施形態によるホモポリプロピレン樹脂の製造方法は、触媒活性成分として下記の化学式1で表される遷移金属化合物のみを含む単一触媒を用いることによって、製造されるホモポリプロピレン樹脂は、立体規則性(tacticity)および分子量分布(MWD)、溶融指数(MI)、溶融点(Tm)、残留応力比率をすべて最適化すると同時に、狭い分子量分布の特性を有し、不織布に用いると、既存の製品よりソフト(soft)な触感を付与するだけでなく、高い強度で容易に破れない優れた強靭性を同時に実現することができる。
【0118】
これにより、本発明のさらに他の実施形態によれば、上述したホモポリプロピレン樹脂を含む不織布用樹脂組成物、およびこれを用いて製造した不織布製品を提供する。
【0119】
具体的には、前記不織布用樹脂組成物は、上述のようなホモポリプロピレン樹脂とともにエキソリットOP950などのマスターバッチ用添加剤を含むことができ、前記ホモポリプロピレン樹脂にマスターバッチ用添加剤を混合して押出する段階を含む製造方法により製造できる。
【0120】
また、前記樹脂組成物製造のための押出工程は、通常の方法により行われる。一例として、25mmツイン-スクリュー押出機などのような押出機を用いて、約150℃~約250℃、約100rpm~約1000rpmの条件で行われる。
【0121】
前記樹脂組成物は、上述したホモポリプロピレン樹脂を含むことによって、立体規則性(tacticity)および分子量分布(MWD)、溶融指数(MI)、溶融点(Tm)、残留応力比率をすべて最適化し、同時に狭い分子量分布を有することによって、不織布の製造時、トレードオフ(trade-off)の関係にある物性であるソフトな感触性(softness)と高い強度を同時に実現できる不織布用樹脂組成物として有用であり得る。
【0122】
一方、本発明は、前記樹脂組成物を用いて製造した不織布を提供すれば、前記不織布は、メルトブローイング工程で製造されたスパンボンド不織布であってもよい。
【0123】
具体的には、前記不織布は、ブラベンダー円錘状ツインスクリュー押出機を用いて、溶融した樹脂組成物をメルトポンプ(65rpm)に供給した後に、土出口が具備されたメルトブローイングダイに供給する工程で極細繊維ウェブに押出して製造することができる。この時、溶融温度は235℃、スクリュー速度は120rpmにし、ダイは235℃で維持し、1次空気温度および圧力はそれぞれ300℃および60kPa(8.7psi)にし、重合体の処理速度は5.44kg/hr、収集器/ダイの距離は15.2cmにして、メルトブローイング工程を行うことができる。
【0124】
以下、本発明の理解のために好ましい実施例を提示する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施例によって限定されるものではない。
【0125】
<触媒の製造>
製造例1:遷移金属化合物および担持触媒の製造
【0126】
【0127】
段階1)(ジエチルシラン-ジイル)-ビス(2-メチル-4,5-ベンゾインデニル)シランの製造
2-メチル-4,5-ベンゾインデン(20.0g)をトルエン/THF=10/1溶液(220mL)に溶解させた後、n-ブチルリチウム溶液(2.5M、ヘキサン溶媒、46mL)を0℃でゆっくり滴加した後、常温で1日間撹拌した。その後、-78℃で、前記混合溶液にジエチルジクロロシラン(8.6g)をゆっくり滴加し、約10分間撹拌した後、常温で1日間撹拌した。その後、水を加えて有機層を分離した後、溶媒を減圧蒸留して、(ジエチルシラン-ジイル)-ビス(2-メチル-4,5-ベンゾインデニル)シランを得た。
【0128】
段階2)[(ジエチルシラン-ジイル)-ビス(2-メチル-4,5-ベンゾインデニル)]ハフニウムジクロライドの製造
前記段階1で製造した(ジエチルシラン-ジイル)-ビス(2-メチル-4,5-ベンゾインデニル)シランをトルエン/THF=5/1溶液(120mL)に溶解させた後、n-ブチルリチウム溶液(2.5M、ヘキサン溶媒、46mL)を-78℃でゆっくり滴加した後、常温で1日間撹拌した。反応液にハフニウムクロライド(17.6g)をトルエン(20mL)で希釈させた後、-78℃でゆっくり滴加し、常温で1日間撹拌した。反応液の溶媒を減圧除去した後、ジクロロメタンを入れてろ過した後、ろ液を減圧蒸留して除去した。トルエンとヘキサンを用いて再結晶をして、高純度のrac-[(ジエチルシラン-ジイル)-ビス(2-メチル-4,5-ベンゾインデニル)]ハフニウムジクロライド(11.9g、30%、rac:meso=20:1)を得た。
【0129】
段階3)担持された触媒の製造
3Lの反応器にシリカ100gと10wt%のメチルアルミノキサン(670g)を入れて、90℃で24時間反応させた。沈殿後、上層部は除去し、トルエンで2回にわたって洗浄した。前記段階2で製造したアンサ-メタロセン化合物rac-[(ジエチルシラン-ジイル)-ビス(2-メチル-4,5-ベンゾインデニル)]ハフニウムジクロライド(5g)をトルエンで希釈させて反応器に添加した後、70℃で5時間反応させた。反応終了後に沈殿が終わると、上層部溶液は除去し、残りの反応生成物をトルエンで洗浄した後、ヘキサンで再び洗浄し、真空乾燥して、固体粒子形態のシリカ担持メタロセン触媒150gを得た。
【0130】
製造例2:遷移金属化合物および担持触媒の製造
【0131】
【0132】
段階1)(ジエチルシラン-ジイル)-ビス(2-メチル-4,5-ベンゾインデニル)シランの製造
2-メチル-4,5-ベンゾインデン(20.0g)をトルエン/THF=10/1溶液(220mL)に溶解させた後、n-ブチルリチウム溶液(2.5M、ヘキサン溶媒、46mL)を0℃でゆっくり滴加した後、常温で1日間撹拌した。その後、-78℃で、前記混合溶液にジエチルジクロロシラン(8.6g)をゆっくり滴加し、約10分間撹拌した後、常温で1日間撹拌した。その後、水を加えて有機層を分離した後、溶媒を減圧蒸留して、(ジエチルシラン-ジイル)-ビス(2-メチル-4,5-ベンゾインデニル)シランを得た。
【0133】
段階2)[(ジエチルシラン-ジイル)-ビス(2-メチル-4,5-ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロライドの製造
前記段階1で製造した(ジエチルシラン-ジイル)-ビス(2-メチル-4,5-ベンゾインデニル)シランをトルエン/THF=5/1溶液(120mL)に溶解させた後、n-ブチルリチウム溶液(2.5M、ヘキサン溶媒、46mL)を-78℃でゆっくり滴加した後、常温で1日間撹拌した。反応液にジルコニウムクロライド(12.8g)をトルエン(20mL)で希釈させた後、-78℃でゆっくり滴加し、常温で1日間撹拌した。反応液の溶媒を減圧除去した後、ジクロロメタンを入れてろ過した後、ろ液を減圧蒸留して除去した。トルエンとヘキサンを用いて再結晶をして、高純度のrac-[(ジエチルシラン-ジイル)-ビス(2-メチル-4,5-ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロライド(10.0g、29%、rac:meso=22:1)を得た。
【0134】
段階3)担持された触媒の製造
3Lの反応器にシリカ100gと10wt%のメチルアルミノキサン(670g)を入れて、90℃で24時間反応させた。沈殿後、上層部は除去し、トルエンで2回にわたって洗浄した。前記段階2で製造したアンサ-メタロセン化合物rac-[(ジエチルシラン-ジイル)-ビス(2-メチル-4,5-ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロライド(4.4g)をトルエンで希釈させて反応器に添加した後、70℃で5時間反応させた。反応終了後に沈殿が終わると、上層部溶液は除去し、残りの反応生成物をトルエンで洗浄した後、ヘキサンで再び洗浄し、真空乾燥して、固体粒子形態のシリカ担持メタロセン触媒150gを得た。
【0135】
比較製造例1:遷移金属化合物および担持触媒の製造
下記の化学式Aで表される遷移金属化合物、[(6-t-ブトキシヘキシルメチルシラン-ジイル)-ビス(2-メチル-4-タート-ブチルフェニルインデニル)]ジルコニウムジクロライドを用いて、前記製造例2の段階3)と同様の方法により固体粒子形態のシリカ担持メタロセン触媒を製造した。
【0136】
【0137】
前記化学式Aにおいて、tBuは、tert-ブチル(tertiary butyl)を示す。
【0138】
比較製造例2:遷移金属化合物および担持触媒の製造
下記の化学式Bで表される遷移金属化合物、[(6-t-ブトキシヘキシル)(メチル)-シラン-ジイル)-ビス(2-メチル-4,5-ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロライドを用いて、前記製造例2の段階3)と同様の方法により担持触媒を製造した。
【0139】
【0140】
比較製造例3:混成担持触媒の製造
遷移金属化合物として、比較製造例2の段階1)および2)により製造された[(6-t-ブトキシヘキシル)(メチル)-シラン-ジイル)-ビス(2-メチル-4,5-ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロライドと、比較製造例1の化学式Aで表される[(6-t-ブトキシヘキシルメチルシラン-ジイル)-ビス(2-メチル-4-タート-ブチルフェニルインデニル)]ジルコニウムジクロライドを用いて、混成担持触媒を製造した。
【0141】
シリカ3gをシュレンクフラスコに予め称量した後、メチルアルミノキサン(MAO)13mmolを入れて、95℃で24時間反応させた。沈殿後、上層部を除去し、トルエンで1回洗浄した。前記比較製造例2で製造した遷移金属化合物、[(6-t-ブトキシヘキシル)(メチル)-シラン-ジイル)-ビス(2-メチル-4,5-ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロライド、60μmolをトルエンに溶かした後、75℃で5時間反応させた。反応終了後に沈殿が終わると、上層部溶液は除去し、残りの反応生成物をトルエンで1回洗浄した。次に、前記比較製造例1で製造した遷移金属化合物、[(6-t-ブトキシヘキシルメチルシラン-ジイル)-ビス(2-メチル-4-タート-ブチルフェニルインデニル)]ジルコニウムジクロライド、20μmolをトルエンに溶かした後、75℃で2時間追加的に反応させた。
【0142】
反応終了後に沈殿が終わると、上層部溶液は除去し、残りの反応生成物をトルエンで洗浄した後、ヘキサンで再び洗浄し、真空乾燥して、固体粒子形態のシリカ担持メタロセン触媒4.6gを得た。
【0143】
比較製造例4:遷移金属化合物および担持触媒の製造
下記の化学式Cで表される遷移金属化合物、[(ジメチルシラン-ジイル)-ビス(2-メチル-4,5-ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロライドを用いて、前記製造例2の段階3)と同様の方法により担持触媒を製造した。
【0144】
【0145】
<プロピレン重合体の製造>
実施例1および2:プロピレンの連続式バルク-スラリーホモ重合
製造例1および2によるシリカ担持メタロセン触媒の存在下、連続的な2基のループ反応器を用いてプロピレンのバルク-スラリー重合を進行させた。
【0146】
この時、トリエチルアルミニウム(TEAL)および水素気体はそれぞれポンプを用いて投入し、トリエチルアルミニウム(TEAL)および水素気体の含有量は連続式で投入されるプロピレン含有量を基準として下記表1に示すような量で投入した。また、バルク-スラリー重合のために、製造例1および2により製造した担持触媒を16wt%でオイル、グリースに混ぜたマッド触媒形態で使用した。反応器の温度は約70℃、時間あたりの生産量は約40kgで運転をした。
【0147】
実施例1および2の重合工程に対する具体的な反応条件は下記表1に示す通りであり、このような重合工程により実施例1のホモポリプロピレン(ホモmPP)樹脂を得た。
【0148】
比較例1:プロピレンの連続式バルク-スラリーホモ重合
製造例1の担持触媒の代わりに比較製造例1で製造したメタロセン単一担持触媒を用い、水素投入量を350ppmと異なって適用したことを除けば、実施例1と同様の方法で重合工程を行って、比較例1のホモポリプロピレン樹脂を得た。
【0149】
比較例2:チーグラー・ナッタ触媒で製造したホモポリプロピレン樹脂
チーグラー・ナッタ触媒を用いて製造したホモポリプロピレン樹脂(Z/NホモPP、製造会社:LG化学株式会社、H7700)を準備した。
【0150】
比較例3:プロピレンの連続式バルク-スラリーホモ重合
製造例1の担持触媒の代わりに比較製造例2で製造した混成担持触媒を用いたことを除けば、実施例1と同様の方法で重合工程を行って、比較例3のホモポリプロピレン樹脂を得た。
【0151】
比較例4:プロピレンの連続式バルク-スラリーホモ重合
製造例1の担持触媒の代わりに比較製造例3で製造したメタロセン単一担持触媒を用いたことを除けば、実施例1と同様の方法で重合工程を行って、比較例4のホモポリプロピレン樹脂を得た。
【0152】
【0153】
前記表1中、「ホモmPP」は、ホモポリプロピレン樹脂を称するものであり、「Z/NホモPP」は、チーグラー・ナッタ触媒を用いて製造したホモポリプロピレン樹脂(商業用製品)を称するものである。また、前記表1中、触媒活性は、単位時間(h)を基準として使用された担持触媒の質量(g)あたりに生成された重合体の重量(kg PP)の比で計算した。特に、比較例4の場合に、触媒重合活性が8kg/g・catと顕著に低下するため、商業的に適用が難しかったり、工程不良(trouble)が発生する問題が発生しうる。
【0154】
比較例5:プロピレンのバッチタイプホモ重合
下記表2に示すような条件下、バッチタイプのホモ重合工程を行って、比較例5~7のホモポリプロピレン樹脂を得た。
【0155】
まず、2Lのステンレス反応器を65℃で真空乾燥した後に冷却し、室温でトリエチルアルミニウム3mLを入れて、770gのプロピレンを投入した。これを10分間撹拌した後、比較製造例2で製造した担持触媒45mgを20mLのヘキサンに分散させてスラリー形態に製造し、窒素圧力を用いて反応器に投入した。この時、前記触媒とともに約100ppmの水素気体を投入した。この後、反応器の温度を70℃まで徐々に昇温した後、1時間重合した。反応終了後、未反応のプロピレンはベントした。
【0156】
比較例6:プロピレンのバッチタイプホモ重合
下記表2に示すように、重合温度を50℃に異ならせたことを除けば、比較例5と同様の方法で重合工程を行って、比較例6のホモポリプロピレン樹脂を得た。
【0157】
比較例7:プロピレンのバッチタイプランダム重合
下記表2に示すように、770gのプロピレンとともに20gのエチレンを投入してランダム重合を行ったことを除けば、比較例5と同様の方法で重合工程を行って、比較例7のポリプロピレンホモ/ランダムブレンド樹脂を得た。
【0158】
比較例8:プロピレンのバッチタイプホモ重合
下記表2に示すように、水素気体の投入量を約350ppmに異ならせたことを除けば、比較例5と同様の方法で重合工程を行って、比較例8のホモポリプロピレン樹脂を得た。
【0159】
【0160】
前記表2中、「ホモmPP」は、ホモポリプロピレン樹脂を称するものであり、「ランダムmPP」は、プロピレンとエチレンがランダム共重合されたポリプロピレンホモ/ランダムブレンド樹脂を称するものである。
【0161】
<プロピレン重合体とこれから製造された不織布に対する物性評価>
試験例1:プロピレン重合体の物性評価
前記実施例と比較例によるプロピレン重合体に対して、以下の方法で物性評価を行い、その結果を下記表3に示した。
【0162】
(1)溶融指数(melt index、MI)
米国材料試験学会規格ASTM D 1238により、230℃で2.16kgの荷重で測定し、10分間溶融して出た重合体の重量(g)で表した。
【0163】
(2)Tacticity(mol%)
核磁気共鳴(NMR、nuclear magnetic resonance)分析により、重合体の立体規則性(tacticity、mol%)を測定した。
【0164】
具体的には、ヘキサクロロブタジエン溶液(テトラメチルシランを基準とする)を用いてNMRスペクトルを測定し、19.5~21.9ppmに現れるピークの全面積(100%)に対する、21.0~21.9ppmに現れるピークの面積の比率(%)を立体規則性(tacticity、mol%)で求めた。
【0165】
(3)溶融点(Tm)
示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter、DSC、装置名:DSC2920、製造会社:TA instrument)を用いて、プロピレン重合体の融点、溶融点(Tm)を測定した。具体的には、重合体を温度220℃まで加熱した後、5分間その温度で維持し、その後、20℃まで下げ、再び温度を増加させてDSC(Differential Scanning Calorimeter、TA社製造)曲線の頂点を溶融点とした。この時、温度の上昇と下降の速度は10℃/minであり、溶融点は2番目に温度が上昇する区間で測定した結果を用いた。
【0166】
(4)分子量分布(MWD、polydispersity index):ゲル透過クロマトグラフィー(GPC、gel permeation chromatography、Water社製造)を用いて、重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、重量平均分子量を数平均分子量で割って分子量分布(MWD)を計算した。
【0167】
具体的には、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)装置としてはWaters PL-GPC220機器を用い、Polymer Laboratories PLgel MIX-B 300mmの長さのカラムを用いた。この時、測定温度は160℃であり、1,2,4-トリクロロベンゼン(1,2,4-Trichlorobenzene)を溶媒として用い、流速は1mL/minにした。実施例および比較例による重合体のサンプルは、それぞれGPC分析機器(PL-GP220)を用いて、BHT0.0125%含まれているトリクロロベンゼン(1,2,4-Trichlorobenzene)で160℃、10時間溶かして前処理し、10mg/10mLの濃度に調製した後、200μLの量で供給した。ポリスチレン標準試験片を用いて形成された検定曲線を用いてMwおよびMnの値を誘導した。ポリスチレン標準試験片の重量平均分子量は2000g/mol、10000g/mol、30000g/mol、70000g/mol、200000g/mol、700000g/mol、2000000g/mol、4000000g/mol、10000000g/molの9種を用いた。
【0168】
(5)残留応力比率の測定
前記実施例と比較例によるプロピレン重合体に対して、それぞれ試料を取って、235℃下で200%の変形(strain)を加えた後、10分間残留応力の変化を測定した。
【0169】
前記残留応力の測定にはTA Instruments社のDiscovery Hybrid Rheometer(DHR)を用い、直径25mmの上下部plateの間に試料を十分にローディングして235℃下で溶かした後、gapを1mmに固定して測定した。
【0170】
測定された残留応力のデータに基づいて、下記の計算式2により残留応力の比率(RS%)を算測し、下記表3に示した:
[計算式2]
残留応力比率(Y)=(RS1/RS0)×100
前記計算式2中、RS0は、235℃下で前記ポリプロピレン樹脂試料に200%の変形を加えた後、0.02秒(t0)での残留応力であり、RS1は、235℃下で前記ポリプロピレン樹脂試料に200%の変形を加えた後、1.00秒(t1)での残留応力である。
【0171】
【0172】
前記表3に示されるように、実施例1および2のホモポリプロピレン樹脂は、溶融指数(MI)23~26g/10min、立体規則性(tacticity)85%~87%に最適化されると同時に、2.4以下の狭い分子量分布(MWD)と141℃以下の低い溶融点(Tm)、0.03%以下の低い残留応力比率を有することが分かる。これに対し、比較例1~8の場合に、立体規則性(tacticity)または分子量分布(MWD)、溶融指数(MI)、溶融点(Tm)、残留応力比率を同時に最適範囲に満たしていないことが分かる。特に、比較例4の場合、触媒の低い活性によって溶融指数が(MI)が高くなり、分子量分布が2.6に増加し、残留応力比率も増加して0.07%と高くなることが分かる。
【0173】
試験例2
前記実施例と比較例によるプロピレン重合体を原料として用いて、メルトブローイング工程を行って、スパンボンド不織布を製造した。
【0174】
具体的には、25mmツイン-スクリュー押出機を用いて、実施例1~2および比較例1~8によるプロピレン重合体とエキソリット(商標)OP950添加剤(2.5重量%)のマスターバッチを製造した後、これをペレット化した。次に、31mmブラベンダー円錘状ツインスクリュー押出機を用いて、溶融したマスターバッチ樹脂組成物をメルトポンプ(65rpm)に供給した後に、土出口(10個/cm、土出口/cm)および381μmの土出口の直径を有する25cm幅のメルトブローイングダイに供給した点を除けば、文献[Report No.4364 of the Naval Research Laboratories,published May25,1954 entitled“Manufacture of Superfine Organic Fibers”by Wente,Van.A.Boone,C.D.,and Fluharty,E.L.]に記載されたものと類似の工程によりマスターバッチペレットを極細繊維ウェブに押出した。
【0175】
溶融温度は235℃であり、スクリュー速度は120rpmであり、ダイは235℃で維持され、1次空気温度および圧力はそれぞれ300℃および60kPa(8.7psi)であり、重合体の処理速度は5.44kg/hrであり、収集器/ダイの距離は15.2cmであった。
【0176】
前記実施例と比較例によるポリプロピレン樹脂を用いて製造したスパンボンド不織布に対して、以下の方法で物性評価を行い、その結果を下記表4に示した。
【0177】
(1)不織布の重量
試験例2により極細繊維ウェブに押出して製造した不織布の重量を測定して、単位面積あたりの不織布の重量を算測した。
【0178】
(2)不織布の加工性
試験例2により不織布の製造時、繊維の断糸発生の有無によって不織布の加工性を評価し、繊維の断糸発生が10%以下の場合には「良好」と表示し、繊維の断糸発生が10%を超える場合には「不良」と表示した。
【0179】
(3)不織布の強度
米国材料試験学会ASTM D 5035:2011(2015)方法により、5cm幅のCut strip法によって不織布の強度を測定した。
【0180】
(4)不織布の摩擦係数
摩擦係数測定機(製造会社:Thwing-Albert社、製品名:FP-2260)を用いて、不織布の摩擦係数を測定した。
【0181】
(5)不織布の感触性
10名によるブラインドパネル評価を通して不織布の感触性を測定し、不織布の感触に対して柔らかいという評価が7名以上の場合に良好と判断して「◎」と表示し、4~6名の場合には普通と判断して「△」と表示し、3名以下の場合には不良と判断して「×」と表示した。
【0182】
【0183】
前記表4に示すように、本発明の一実施形態により、立体規則性(tacticity)と分子量分布(MWD)、溶融指数(MI)、溶融点(Tm)、残留応力比率をすべて最適化した実施例1~2のホモポリプロピレン樹脂は、これを原料とするメルトブローイング工程で断糸が発生せず工程の連続的な実行が可能でありながらも、モジュラス(modulus)を減少させて、既存の製品よりソフト(soft)な不織布を製造できることが分かる。
【0184】
これに対し、立体規則性(tacticity)または分子量分布(MWD)、溶融指数(MI)、溶融点(Tm)、残留応力比率などがこのような最適範囲を外れる比較例1~8のポリプロピレン樹脂は、これを原料とするメルトブローイング工程で断糸が発生して工程の連続的な実行が不可能であり、広い分子量分布によって強度が低下するという欠点が現れたり、高い立体規則性(tacticity)によって製造された不織布の摩擦係数や感触性が低下する問題があることが確認された。
【0185】
特に、比較例1は、溶融点が高くなり、製造された不織布の摩擦係数や感触性が低下する問題があることが確認された。比較例2および3は、3以上の広い分子量分布によって、不織布の製造時、加工性が低下し、不織布の全体的な均一性(部分的に粗かったり、密に集中した部分が存在)が低下して、強度、摩擦係数、感触性が低下することを確認した。比較例4の場合には、溶融指数(MI)が高い樹脂であるため、不織布の生産が不可能(未製造)である限界があり、不織布の物性を測定できない問題が発生した。
【0186】
また、比較例5は、広い分子量分布(>2.4)によって加工性が不良で、不織布の全体的な均一性(部分的に粗かったり、密に集中した部分が存在)が低下して、強度、摩擦係数、感触性が低下することが分かる。比較例6は、同一の触媒といっても、樹脂の製造条件が50℃で一般に商業的または実験室で使用可能な温度範囲(70℃)より低く、立体規則性(tacticity)が高まって、製造された不織布の摩擦係数や感触性が低下する問題があることが確認された。比較例7は、樹脂の種類がホモではないランダム樹脂であって、特に強度物性が急激に低下することが確認された。さらに、比較例8の場合には、水素投入量が高くて溶融指数(MI)が50g/10minの高い流動性を有する樹脂であるため、強度だけでなく、不織布の加工において断糸(breakage)の問題点があるため、正常な不織布を製造できないことを確認した。