(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-14
(45)【発行日】2022-06-22
(54)【発明の名称】配線基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/11 20060101AFI20220615BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20220615BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20220615BHJP
H05K 3/40 20060101ALI20220615BHJP
【FI】
H05K1/11 H
H05K3/46 N
H05K3/46 Q
H05K3/00 X
H05K3/40 E
(21)【出願番号】P 2018191375
(22)【出願日】2018-10-10
【審査請求日】2021-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】雪入 裕司
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-127439(JP,A)
【文献】特開2013-197201(JP,A)
【文献】特開2014-175485(JP,A)
【文献】特許第5561279(JP,B2)
【文献】特開2011-228676(JP,A)
【文献】特開2015-150885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/11
H05K 3/46
H05K 3/00
H05K 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スルーホールが形成されたコア基板と、
前記スルーホールの壁面上に設けられた導電層と、
樹脂を含有し、前記スルーホールの前記導電層の内側の部分を充填する充填材と、
を有し、
前記充填材は、
前記導電層に接触する緩衝部と、
前記スルーホール内で前記緩衝部の内側に設けられた主部と、
を有し、
前記主部は、前記緩衝部よりも高い割合で無機フィラーを含有することを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記緩衝部は無機フィラーを含有しないことを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記緩衝部及び前記主部は同種の樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記樹脂はエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項3に記載の配線基板。
【請求項5】
コア基板にスルーホールを形成する工程と、
前記スルーホールの壁面上に導電層を形成する工程と、
樹脂を含有する充填材で、前記スルーホールの前記導電層の内側の部分を充填する工程と、
を有し、
前記充填材を形成する工程は、
前記導電層に接触する緩衝部を形成する工程と、
前記スルーホール内で前記緩衝部の内側に主部を形成する工程と、
を有し、
前記主部は、前記緩衝部よりも高い割合で無機フィラーを含有することを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記緩衝部を形成する工程は、
前記緩衝部の原料で前記スルーホールを充填する工程と、
前記緩衝部の原料に孔を形成する工程と、
を有することを特徴とする請求項5に記載の配線基板の製造方法。
【請求項7】
前記緩衝部を浸漬法により形成することを特徴とする請求項5に記載の配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配線基板に含まれるコア基板にスルーホール(貫通孔)が形成される。スルーホールの壁面上にめっき層が形成され、その内側は樹脂及び無機フィラーを含有する充填材により充填される。コア基板の上下両面に配線層が設けられており、上記の壁面上のめっき層により、これら配線層の間の導通が可能となる。また、スルーホールの内側が充填材で充填されることにより、コア基板のスルーホールの上方及び下方にも配線層を形成することが可能となり、配線パターンの引き回しの自由度の向上及び配線密度の向上が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-275959号公報
【文献】特開2006-216714号公報
【文献】特開2003-133672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スルーホール内のめっき層とコア基板上の配線層との間で抵抗が上昇したり、断線が生じたりすることがある。抵抗の上昇及び断線は接続信頼性の低下につながる。
【0005】
本発明は、接続信頼性を向上することができる配線基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
配線基板の一態様は、スルーホールが形成されたコア基板と、前記スルーホールの壁面上に設けられた導電層と、樹脂を含有し、前記スルーホールの前記導電層の内側の部分を充填する充填材と、を有する。前記充填材は、前記導電層に接触する緩衝部と、前記スルーホール内で前記緩衝部の内側に設けられた主部と、を有する。前記主部は、前記緩衝部よりも高い割合で無機フィラーを含有する。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、接続信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る配線基板の構造を示す断面図である。
【
図2】導電層、充填材及び第1の配線層を示す断面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その1)である。
【
図4】第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その2)である。
【
図5】第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その3)である。
【
図6】第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その4)である。
【
図7】第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その5)である。
【
図8】第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その6)である。
【
図9】第2の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その1)である。
【
図10】第2の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図(その2)である。
【
図11】
第3の実施形態に係る半導体パッケージを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明者は、従来の配線基板において接続信頼性の低下が生じる原因を究明すべく鋭意検討を行った。この結果、充填材に含まれる無機フィラーがスルーホール内のめっき層に直接接触して、充填材とめっき層との間に剥離が生じやすい箇所が存在することが明らかになった。充填材に含まれる樹脂は、スルーホール内のめっき層に対して接着性を有しているのに対し、無機フィラーは実質的に接着性を有していない。このため、無機フィラーがスルーホール内のめっき層に直接接触していると、充填材とめっき層との間に剥離が生じやすくなるのである。また、このような剥離が生じると、めっき層が充填材の熱変形を拘束できなくなることがあることが明らかになった。熱変形により充填材が膨張すると、充填材はスルーホール内からコア基板の上下方向に向けて突出しようとする。このため、コア基板の、充填材の上下方向に位置する配線層に、充填材から押し上げられる方向の応力が作用する。そして、このような応力により、スルーホール内のめっき層とコア基板上の配線層との間に剥離が発生し、スルーホール内のめっき層とコア基板上の配線層との間で電気抵抗が上昇したり、断線が生じたりする。
【0010】
そこで、本発明者は、充填材とめっき層との間の剥がれを抑制すべく更に鋭意検討を行い、以下のような実施形態に想到した。以下、実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0011】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について説明する。第1の実施形態は配線基板に関する。
【0012】
[配線基板の構造]
先ず、配線基板の構造について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る配線基板の構造を示す断面図である。
【0013】
図1に示すように、第1の実施形態に係る配線基板100は、支持体としてコア配線基板101を含む。コア配線基板101はガラスエポキシ樹脂や、ビスマレイミドトリアジン樹脂等の絶縁材料から形成されるコア基板102を含む。コア基板102の両面に銅等からなる第1の配線層104が形成されている。コア基板102には厚さ方向に貫通するスルーホール103が形成されており、スルーホール103の壁面上に導電層103Aが設けられている。スルーホール103の導電層103Aの内側の部分を充填する充填材103Bが設けられている。充填材103Bは樹脂を含有する。コア基板102の両側の第1の配線層104は導電層103Aを介して相互に接続される。後述するように、導電層103A及び第1の配線層104は同一の膜を共有する。
【0014】
コア基板102の両側に第1の絶縁層105が形成されている。第1の絶縁層105には、第1の配線層104の接続部に到達するビアホール106が形成されており、第1の絶縁層105上に、ビアホール106内のビア導体を介して第1の配線層104に接続される第2の配線層107が形成されている。更に、コア基板102の両側において、第1の絶縁層105上に第2の絶縁層108が形成されている。第2の絶縁層108には、第2の配線層107の接続部に到達するビアホール109が形成されており、第2の絶縁層108上に、ビアホール109内のビア導体を介して第2の配線層107に接続される第3の配線層110が形成されている。
【0015】
コア基板102の両側において、第2の絶縁層108上にソルダレジスト層120が形成されている。コア基板102の半導体チップと接続される側のソルダレジスト層120に第3の配線層110の接続部に達するビアホール121が形成されている。コア基板102の反対側のソルダレジスト層120には第3の配線層110の接続部に達する開口部125が形成されている。
【0016】
コア基板102の半導体チップと接続される側において、第3の配線層110の接続部上に、ビアホール121を通じてソルダレジスト層120の上方まで突出する接続端子124が形成されている。接続端子124はポスト122及びその上のバンプ123を含む。
【0017】
バンプ123の融点はポスト122の融点よりも低く、例えば、ポスト122は銅(Cu)若しくはニッケル(Ni)又はこれらの両方を含み、バンプ123は錫(Sn)又ははんだを含む。例えば、ポスト122は電解めっき法により形成された銅めっき膜を有し、その上にニッケルめっき膜が形成されていてもよい。はんだとしては、錫銀(SnAg)系合金、錫亜鉛(SnZn)系合金及び錫銅(SnCu)系合金等の無鉛はんだ、並びに鉛錫(PbSn)系合金の有鉛はんだが例示される。
【0018】
ここで、スルーホール103、導電層103A、充填材103B及び第1の配線層104の詳細について説明する。
図2は、導電層103A、充填材103B及び第1の配線層104を示す断面図である。
【0019】
図2に示すように、コア基板102の両面に銅箔等の導電膜104Aが形成されており、コア基板102及び導電膜104Aにスルーホール103が形成されている。導電膜104Aの表面上及びスルーホール103の壁面上に無電解銅めっき膜201が形成され、無電解銅めっき膜201上に電解銅めっき膜202が形成されている。電解銅めっき膜202は、コア基板102の厚さ方向に垂直な面202A及びコア基板102の厚さ方向に平行な面202Bを有する。電解銅めっき膜202の面202B上に第1の充填材203が平面視で環状に形成されている。つまり、第1の充填材203の内側には、コア基板102の厚さ方向に延びる孔204が存在する。そして、孔204内に第2の充填材205が設けられている。また、電解銅めっき膜202の面202Aの上、第1の充填材203の表面(端面)の上、及び第2の充填材205の表面の上に、無電解銅めっき膜206が形成されている。更に、無電解銅めっき膜206の表面の上に、電解銅めっき膜207が形成されている。導電膜104Aは、例えば、コア基板102の表面に積層された銅箔である。
【0020】
導電層103Aには、無電解銅めっき膜201及び電解銅めっき膜202のうちコア基板102の両面の間の部分が含まれる。充填材103Bには、第1の充填材203及び第2の充填材205が含まれる。第1の配線層104には、無電解銅めっき膜201及び電解銅めっき膜202のうちコア基板102の両面から外側の部分、導電膜104A、無電解銅めっき膜206並びに電解銅めっき膜207が含まれる。第1の充填材203は緩衝部の一例であり、第2の充填材205は主部の一例である。
【0021】
例えば、スルーホール103の直径は200μm~500μmである。また、孔204の直径はスルーホール103の直径より小さく、例えば、100μm~400μmである。
【0022】
第1の充填材203及び第2の充填材205は樹脂を含有する。第2の充填材205は更に無機フィラーを含有する。第1の充填材203は無機フィラーを含有しないか、第2の充填材205よりも低い割合で無機フィラーを含有する。
【0023】
例えば、第2の充填材205は、(i)液状エポキシ樹脂、(ii)エポキシモノマー、(iii)硬化剤及び(iv)無機フィラーを含有する。
【0024】
例えば、(i)液状エポキシ樹脂としては、常温で流動性をもつエポキシ樹脂を用いることができる。例えば、室温での粘度が20000mPa・s以下、特に10000mPa・s以下のエポキシ樹脂が好ましい。(i)液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びビスフェノールF型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0025】
例えば、(ii)エポキシモノマーとしては、モノエポキシモノマー、ジエポキシモノマー及びトリエポキシモノマー等のポリエポキシモノマー等が挙げられる。(ii)エポキシモノマーは、第2の充填材205のマトリックス樹脂の構成成分であり、希釈剤として第2の充填材205の粘度を調整することができる。
【0026】
例えば、(iii)硬化剤としては、アミン系硬化剤が挙げられる。アミン系硬化剤としては、脂肪族(ポリ)アミン等が挙げられる。脂肪族(ポリ)アミンとしては、例えば、鎖状脂肪族ポリアミン、環状脂肪族アミン及び脂肪族アミン等が挙げられる。(iii)硬化剤は、エポキシ基の重合触媒又は架橋剤として機能する。
【0027】
例えば、(iv)無機フィラーは、第2の充填材205の熱膨張を抑制する機能を有する。例えば、粒径が50μm以下、特に0.01μm~25μmの無機フィラーが好ましい。(iv)無機フィラーの材料としては、例えば、硫酸バリウム、シリカ(コロイダルシリカを含む。)、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、珪酸ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、ガラスビーズ、クレー、銅粉及び長石粉等が挙げられる。これらが2種以上用いられてもよい。
【0028】
例えば、第1の充填材203は、(i)液状エポキシ樹脂、(ii)エポキシモノマー及び(iii)硬化剤を含有し、(iv)無機フィラーを含有しない。
【0029】
第1の実施形態では、第1の充填材203は無機フィラーを含有しないか、第2の充填材205よりも低い割合で無機フィラーを含有する。従って、第1の充填材203は第2の充填材205よりも強固に電解銅めっき膜202に密着することができる。また、第2の充填材205に含まれる無機フィラーは第1の充填材203に接触するものの、電解銅めっき膜202には接触しにくい。このため、充填材103Bと導電層103Aとの間に優れた密着性を得ることができ、接続信頼性を向上することができる。
【0030】
更に、第2の充填材205に高い割合で無機フィラーが含まれていても、優れた接続信頼性が得られるため、充填材103Bの硬化収縮を抑制することができ、充填材103Bの熱膨張係数をコア基板102の熱膨張係数と同程度に調整することができる。従って、配線基板100に良好な安定性を確保することができる。
【0031】
なお、第1の充填材203中の無機フィラーの割合は低いほど好ましく、第1の充填材203が無機フィラーを含まないことが特に好ましい。より優れた電解銅めっき膜202との密着性を得るためである。
【0032】
[配線基板の製造方法]
次に、配線基板の製造方法について説明する。
図3~
図8は、第1の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図である。
図3~
図6には、主に、導電層103A、充填材103B及び第1の配線層104の形成に関する工程を示す。
図7~
図8には、主に、絶縁層、配線層及びソルダレジスト層を形成する工程を示す。
【0033】
先ず、
図3(a)に示すように、コア基板102及び導電膜104Aを備えたコア配線基板101を準備する。例えば、導電膜104Aは銅箔である。コア配線基板101としては、配線基板100が複数個取れる大判の基板が使用される。つまり、コア配線基板101は、配線基板100に対応する構造体が形成される複数の領域を有している。
【0034】
次いで、
図3(b)に示すように、コア配線基板101に厚さ方向に貫通するスルーホール103を形成する。例えば、スルーホール103はドリルやレーザを用いた加工等により形成することができる。例えば、スルーホール103の直径は200μm~500μmとする。
【0035】
その後、導電膜104Aの表面及びスルーホール103の壁面のデスミア処理を行い、
図3(c)に示すように、導電膜104Aの表面上及びスルーホール103の壁面上に無電解銅めっき膜201を形成する。
【0036】
続いて、
図4(a)に示すように、無電解銅めっき膜201をめっき給電経路に利用する電解めっき法により、無電解銅めっき膜201上に電解銅めっき膜202を形成する。
【0037】
次いで、
図4(b)に示すように、スルーホール103内に第1の充填材203を充填する。例えば、第1の充填材203はスクリーン印刷法により充填することができる。第1の充填材203はスルーホール103内で電解銅めっき膜202上に設けられる。
【0038】
その後、第1の充填材203を硬化させ、
図4(c)に示すように、第1の充填材203のうち電解銅めっき膜202の表面から突出している部分を除去して、電解銅めっき膜202の表面と第1の充填材203の表面とを面一にする。第1の充填材203がエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含む場合、加熱処理により第1の充填材203を硬化させることができる。例えば、第1の充填材203の突出している部分は、バフ研磨又はロール研磨により除去することができる。
【0039】
続いて、
図5(a)に示すように、第1の充填材203に厚さ方向に貫通する孔204を形成する。孔204の直径はスルーホール103の直径より小さい。例えば、孔204はドリルやレーザを用いた加工等により形成することができる。例えば、孔204の直径は100μm~400μmとする。
【0040】
次いで、孔204の壁面のデスミア処理を行い、
図5(b)に示すように、孔204内に第2の充填材205を充填する。例えば、第2の充填材205はスクリーン印刷法により充填することができる。第2の充填材205はスルーホール103内で第1の充填材203上に形成される。なお、孔204の壁面のデスミア処理は必要に応じて行えばよい。
【0041】
その後、第2の充填材205を硬化させ、
図5(c)に示すように、第2の充填材205のうち電解銅めっき膜202の表面から突出している部分を除去して、電解銅めっき膜202の表面と第2の充填材205の表面とを面一にする。第2の充填材205がエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含む場合、加熱処理により第2の充填材205を硬化させることができる。例えば、第2の充填材205の突出している部分は、バフ研磨又はロール研磨により除去することができる。
【0042】
続いて、電解銅めっき膜202の表面、第1の充填材203の表面(端面)、及び第2の充填材205の表面のデスミア処理を行う。そして、
図6(a)に示すように、電解銅めっき膜202の表面上、第1の充填材203の表面(端面)上、及び第2の充填材205の表面上に無電解銅めっき膜206を形成する。
【0043】
次いで、
図6(b)に示すように、無電解銅めっき膜206をめっき給電経路に利用する電解めっき法により、無電解銅めっき膜206上に電解銅めっき膜207を形成する。
【0044】
その後、
図6(c)に示すように、電解銅めっき膜207、無電解銅めっき膜206、電解銅めっき膜202、無電解銅めっき膜201及び導電膜104Aを加工する。例えば、電解銅めっき膜207、無電解銅めっき膜206、電解銅めっき膜202、無電解銅めっき膜201及び導電膜104Aの加工は、フォトリソグラフィ及びエッチングにより行うことができる。このようにして、導電層103A、充填材103B及び第1の配線層104が形成される。
【0045】
上記のように、導電層103Aには、無電解銅めっき膜201及び電解銅めっき膜202のうちコア基板102の両面の間の部分が含まれる。充填材103Bには、第1の充填材203及び第2の充填材205が含まれる。第1の配線層104には、導電膜104A、無電解銅めっき膜201及び電解銅めっき膜202のうちコア基板102の両面から外側の部分、無電解銅めっき膜206並びに電解銅めっき膜207が含まれる。
【0046】
導電層103A、充填材103B及び第1の配線層104の形成後、
図7(a)に示すように、コア基板102の両側に未硬化の樹脂フィルムを貼付し、加熱処理して硬化させることにより、第1の絶縁層105を形成する。第1の絶縁層105は、エポキシ樹脂又はポリイミド樹脂等の絶縁樹脂から形成される。液状樹脂を塗布することにより、第1の絶縁層105を形成してもよい。その後、コア基板102の両側の第1の絶縁層105をレーザで加工することにより、第1の配線層104の接続部に到達するビアホール106を第1の絶縁層105に形成する。
【0047】
続いて、
図7(b)に示すように、コア基板102の両側において、ビアホール106内のビア導体を介して第1の配線層104に接続される第2の配線層107を第1の絶縁層105上に形成する。
【0048】
第2の配線層107はセミアディティブ法によって形成することができる。ここで、第2の配線層107の形成方法について詳しく説明する。先ず、第1の絶縁層105上及びビアホール106の内面に無電解めっき法又はスパッタ法により、銅等からなるシード層(不図示)を形成する。次いで、シード層上に、第2の配線層107を形成する部分に開口部が設けられためっきレジスト層(不図示)を形成する。続いて、シード層をめっき給電経路に利用する電解めっき法により、めっきレジスト層の開口部に銅等からなる金属めっき層を形成する。その後、めっきレジスト層を除去する。次いで、金属めっき層をマスクにしてシード層をウェットエッチングにより除去する。このようにして、シード層及び金属めっき層を含む第2の配線層107を形成することができる。
【0049】
第2の配線層107の形成後、
図7(c)に示すように、コア基板102の両側において、第1の絶縁層105上に、第2の配線層107の接続部上にビアホール109が設けられた第2の絶縁層108を形成する。第2の絶縁層108は、第1の絶縁層105と同様の方法で形成することができる。
【0050】
更に、同じく
図7(c)に示すように、コア基板102の両側において、ビアホール109内のビア導体を介して第2の配線層107に接続される第3の配線層110を第2の絶縁層108上に形成する。第3の配線層110は、第2の配線層107と同様の方法で形成することができる。
【0051】
次いで、
図8(a)に示すように、コア基板102の両側において、第2の絶縁層108上にソルダレジスト層120を形成する。その後、コア基板102の半導体チップと接続される側のソルダレジスト層120に第3の配線層110の接続部に達するビアホール121を形成する。また、コア基板102の反対側のソルダレジスト層120に第3の配線層110の接続部に達する開口部125を形成する。
【0052】
ソルダレジスト層120は、感光性のエポキシ樹脂又はアクリル樹脂等の絶縁樹脂から形成される。樹脂フィルムの貼り付け又は液状樹脂の塗布により、ソルダレジスト層120を形成してもよい。ビアホール121及び開口部125は、露光及び現像により形成することができる。ソルダレジスト層120に非感光性のエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂等の絶縁樹脂を用いてもよい。この場合、ビアホール121及び開口部125は、レーザ加工又はブラスト処理により形成することができる。
【0053】
続いて、
図8(b)に示すように、コア基板102の半導体チップと接続される側において、第3の配線層110の接続部上に、ビアホール121を通じてソルダレジスト層120の上方まで突出する接続端子124を形成する。接続端子124はポスト122及びバンプ123を含む。
【0054】
次いで、
図8(b)に示す構造体を切断線CLに沿ってスライサー等により切断する。これにより、配線基板100に対応する構造体が個片化され、大判のコア配線基板101から第1の実施形態に係る配線基板100が複数得られる。このようにして、
図1に示す第1の実施形態に係る配線基板100を製造することができる。
【0055】
このような方法によれば、導電層103Aとの密着性が優れた充填材103Bを備えた配線基板100を製造することができる。
【0056】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、製造方法の点で第1の実施形態と相違する。
図9~
図10は、第2の実施形態に係る配線基板の製造方法を示す断面図である。
【0057】
第2の実施形態では、まず、第1の実施形態と同様にして、電解銅めっき膜202の形成までの工程を実行する(
図4(a)参照)。次いで、
図9(a)に示すように、浸漬処理(ディップ処理)により電解銅めっき膜202の表面上に第1の充填材203を形成し、仮硬化させる。第1の充填材203としては、第1の実施形態で用いるものよりも低粘度の樹脂を含有するものを用いる。第1の実施形態では、一時的に第1の充填材203によってスルーホール103が充填されるが(
図4(b)~(c)参照)、第2の実施形態では、空間が残存し、孔204がスルーホール103内に形成される。
【0058】
その後、孔204の壁面のデスミア処理を行い、
図9(b)に示すように、孔204内に第2の充填材205を充填する。例えば、第2の充填材205はスクリーン印刷法により充填することができる。第2の充填材205はスルーホール103内で第1の充填材203上に形成される。なお、孔204の壁面のデスミア処理は必要に応じて行えばよい。
【0059】
続いて、第2の充填材205を硬化させ、
図9(c)に示すように、第2の充填材205のうち電解銅めっき膜202の表面から突出している部分、及び第1の充填材203のうち厚さ方向で電解銅めっき膜202上の部分を除去する。このようにして、電解銅めっき膜202の表面と、第1の充填材203の表面(端面)と、第2の充填材205の表面とを面一にする。第2の充填材205がエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含む場合、加熱処理により第2の充填材205を硬化させることができる。例えば、第2の充填材205の突出している部分及び第1の充填材203のうち厚さ方向で電解銅めっき膜202上の部分は、バフ研磨又はロール研磨により除去することができる。
【0060】
次いで、電解銅めっき膜202の表面、第1の充填材203の表面(端面)、及び第2の充填材205の表面のデスミア処理を行い、
図10(a)に示すように、電解銅めっき膜202の表面上、第1の充填材203の表面(端面)上、及び第2の充填材205の表面上に無電解銅めっき膜206を形成する。
【0061】
その後、
図10(b)に示すように、無電解銅めっき膜206をめっき給電経路に利用する電解めっき法により、無電解銅めっき膜206上に電解銅めっき膜207を形成する。
【0062】
続いて、
図10(c)に示すように、電解銅めっき膜207、無電解銅めっき膜206、電解銅めっき膜202、無電解銅めっき膜201及び導電膜104Aを加工する。例えば、電解銅めっき膜207、無電解銅めっき膜206、電解銅めっき膜202、無電解銅めっき膜201及び導電膜104Aの加工は、フォトリソグラフィ及びエッチングにより行うことができる。このようにして、導電層103A、充填材103B及び第1の配線層104が形成される。
【0063】
更に、第1の実施形態と同様にして、第1の絶縁層105の形成以降の工程を実行することにより、配線基板100を完成させる(
図8(b))。
【0064】
このような方法によっても、導電層103Aとの密着性が優れた充填材103Bを備えた配線基板100を製造することができる。
【0066】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は半導体パッケージに関する。
図11は、第3の実施形態に係る半導体パッケージ500を示す断面図である。
【0067】
図11に示すように、第3の実施形態に係る半導体パッケージ500は、第1の実施形
態に係る配線基板100、半導体チップ300、バンプ312、アンダーフィル樹脂33
0及び外部接続端子331を有する。
【0068】
半導体チップ300は、バンプ312を介して接続端子124に接続される接続端子311を含む。接続端子311は、例えば電極パッドである。バンプ312には、例えば、はんだボールが用いられる。はんだボールの材料としては、バンプ123と同様に、錫銀(SnAg)系合金、錫亜鉛(SnZn)系合金及び錫銅(SnCu)系合金等の無鉛はんだ、並びに鉛錫(PbSn)系合金の有鉛はんだが例示される。半導体チップ300と配線基板100のソルダレジスト層120との間に、エポキシ樹脂等のアンダーフィル樹脂330が充填されている。
【0069】
配線基板100の半導体チップ300とは反対側の面において、第3の配線層110上に外部接続端子331が設けられている。外部接続端子331には、例えば、バンプ312と同様のはんだボールが用いられる。
【0070】
このような半導体パッケージ500を製造するには、個片化後の配線基板100を準備し、バンプ312を用いて、半導体チップ300を配線基板100にフリップチップ実装する。半導体チップ300の実装後、半導体チップ300とソルダレジスト層120との間にアンダーフィル樹脂330を充填する。また、外部接続端子331を第3の配線層110上に形成する。
【0071】
このようにして、半導体パッケージ500を製造することができる。
【0072】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0073】
100 配線基板
101 コア配線基板
102 コア基板
103 スルーホール
103A 導電層
103B 充填材
104 第1の配線層
104A 導電膜
201 無電解銅めっき膜
202 電解銅めっき膜
203 第1の充填材
204 孔
205 第2の充填材
206 無電解銅めっき膜
207 電解銅めっき膜
300 半導体チップ
330 アンダーフィル樹脂
500 半導体パッケージ