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特許7089599触媒組成物、その製造方法、それを用いた共役ジエン系重合体の製造方法、及び前記重合体の製造方法から製造された共役ジエン系重合体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-14
(45)【発行日】2022-06-22
(54)【発明の名称】触媒組成物、その製造方法、それを用いた共役ジエン系重合体の製造方法、及び前記重合体の製造方法から製造された共役ジエン系重合体
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/52 20060101AFI20220615BHJP
   C08F 36/04 20060101ALI20220615BHJP
   C08F 4/606 20060101ALI20220615BHJP
【FI】
C08F4/52
C08F36/04
C08F4/606
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020560775
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 KR2019017737
(87)【国際公開番号】W WO2020122680
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】10-2018-0161089
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ス-ファ
(72)【発明者】
【氏名】ペ、ヒョーチン
(72)【発明者】
【氏名】オ、キョン-ファン
【審査官】宮内 弘剛
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0000755(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0075671(KR,A)
【文献】特表2018-503727(JP,A)
【文献】特表2018-505918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F4/00-4/70
C08F36/04
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネオジム化合物由来単位;
アルキル化剤由来単位;及び
共役ジエン系単量体由来単位を含む高分子を含み、
前記高分子は、3,000g/molから10,000g/molの数平均分子量を有するものである触媒組成物。
【請求項2】
前記触媒組成物は、高分子を10重量%以上60重量%未満で含む、請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項3】
前記高分子は、2.3から2.8の分子量分布を有する、請求項1または2に記載の触媒組成物。
【請求項4】
前記触媒組成物は、ネオジム化合物、アルキル化剤、共役ジエン系単量体及びハロゲン化物の塩素化反応物をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項5】
前記ネオジム化合物は、下記化学式1で表される化合物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【化5】

前記化学式1において、
aからRcは、それぞれ独立して水素、又は炭素数1から12のアルキル基であり、
但し、RaからRcが全て同時に水素ではない。
【請求項6】
前記アルキル化剤は、下記化学式2の有機アルミニウム化合物を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の触媒組成物。
[化学式2]
Al(R)z(X)3-z
前記化学式2において、
Rは、互いに独立して炭素数1から30のヒドロカルビル基;又はヒドロカルビル基構造内に窒素原子、酸素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群から選択されるヘテロ原子を少なくとも1以上含む炭素数1から30のヘテロヒドロカルビル基であり、
Xは、互いに独立して水素原子、ハロゲン基、カルボキシル基、炭素数1から20のアルコキシ基、及び炭素数6から20のアリールオキシ基からなる群から選択され、そして
zは1から3の整数である。
【請求項7】
1)炭化水素系溶媒の存在下で、ネオジム化合物、アルキル化剤、第1共役ジエン系単量体及びハロゲン化物を反応させて塩素化反応物を製造する段階と、
2)前記塩素化反応物と第2共役ジエン系単量体を反応させる段階とを含み、
前記第2共役ジエン系単量体は、ネオジム化合物内のネオジム1モルに対して200モルから900モルで用いる、請求項1に記載の触媒組成物の製造方法。
【請求項8】
前記段階2)の反応は、-20℃から40℃の温度範囲で5分から3時間行われる、請求項7に記載の触媒組成物の製造方法。
【請求項9】
前記ネオジム化合物、前記アルキル化剤、前記ハロゲン化物及び前記第1共役ジエン系単量体は、1:5から200:2から20:1から100のモル比で用いられる、請求項7または8に記載の触媒組成物の製造方法。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか一項に記載の触媒組成物の存在下で、共役ジエン系単量体を重合する段階を含み、
前記触媒組成物が、ネオジム化合物由来単位;アルキル化剤由来単位;及び共役ジエン系単量体由来単位を含み、3,000g/molから10,000g/molの数平均分子量を有する高分子を含む、共役ジエン系重合体の製造方法。
【請求項11】
前記重合時の触媒組成物は、触媒組成物内のネオジムが、前記共役ジエン系単量体1モルに対して0.03mmolから0.10mmolとなる量で含まれる、請求項10に記載の共役ジエン系重合体の製造方法。
【請求項12】
前記重合は、50℃から200℃の温度範囲で行われる、請求項10または11に記載の共役ジエン系重合体の製造方法。
【請求項13】
前記共役ジエン系重合体は、100℃での-S/R値が0.5から0.9であり、
分子量分布が1.0以上3.0未満である、請求項10~12のいずれか一項に記載の共役ジエン系重合体の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年12月13日付韓国特許出願第10-2018-0161089号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、共役ジエン系単量体の重合時に適用され、狭い分子量分布を有する共役ジエン系重合体を形成できる触媒組成物、その製造方法、それを用いた共役ジエン系重合体の製造方法、及び前記重合体の製造方法から製造された共役ジエン系重合体に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、エネルギー節約及び環境問題に対する関心が高くなるにつれ、自動車の低燃費化が要求されている。これを実現するための方法の一つとして、タイヤ形成用ゴム組成物内のシリカ又はカーボンブラック等の無機充填剤を用いてタイヤの発熱性を下げる方法が提案されたが、ゴム組成物内の前記無機充填剤の分散が容易ではないため、むしろ耐磨耗性、耐クラック性又は加工性等をはじめとするゴム組成物の物性が全体的に低下するという問題がある。
【0004】
このような問題を解決するために、ゴム組成物内のシリカ又はカーボンブラック等の無機充填剤の分散性を高めるための方法として、有機リチウムを用いた陰イオン重合で得られる共役ジエン系重合体の重合活性部位を、無機充填剤との相互作用が可能な官能基に変性する方法が開発された。具体的には、共役ジエン系重合体の重合活性末端をスズ系化合物に変性するか、アミノ基を導入する方法又はアルコキシシラン誘導体に変性する方法等が提案された。
【0005】
しかし、前述した方法で変性された共役ジエン系重合体を用いてゴム組成物を製造する時、低発熱性は確保できるものの、耐磨耗性、加工性等のゴム組成物に対する物性改善の効果は十分でなかった。
【0006】
また他の方法として、ランタン系の希土類元素化合物を含む触媒を用いた配位重合によって得られるリビング重合体において、リビング活性末端を特定のカップリング剤や変性剤によって変性し、加工性、物性を改善する方法が開発された。しかし、従来に知られていたランタン系の希土類元素化合物を含む触媒では、生成されるリビング末端の活性が弱く、末端変性率が低いため、ゴム組成物の物性改善の効果が微々である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国特許1991-0008275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来の技術の問題点を解決するために案出されたものであり、共役ジエン系単量体の重合時に適用され、狭い分子量分布を有する共役ジエン系重合体を形成できる触媒組成物を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、前記触媒組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、前記触媒組成物を用いた共役ジエン系重合体の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
さらに、本発明は、前記重合体の製造方法から製造された共役ジエン系重合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本発明は、ネオジム化合物由来単位;アルキル化剤由来単位;及び共役ジエン系単量体由来単位を含む高分子を含み、前記高分子は、3,000g/molから10,000g/molの数平均分子量を有するものである触媒組成物を提供する。
【0013】
また、本発明は、炭化水素系溶媒の存在下で、ネオジム化合物、アルキル化剤、第1共役ジエン系単量体及びハロゲン化物を反応させて塩素化反応物を製造する段階(段階1)と、前記塩素化反応物と第2共役ジエン系単量体を反応させる段階(段階2)とを含み、前記第2共役ジエン系単量体は、ネオジム化合物内のネオジム1モル対比200モルから900モルで用いるものである前記触媒組成物の製造方法を提供する。
【0014】
また、本発明は、前記触媒組成物の存在下で、共役ジエン系単量体を重合する段階を含み、前記触媒組成物がネオジム化合物由来単位;アルキル化剤由来単位;及び共役ジエン系単量体由来単位を含む3,000g/molから10,000g/molの数平均分子量を有する高分子を含むものであるネオジム触媒化共役ジエン系重合体の製造方法を提供する。
【0015】
さらに、本発明は、100℃での-S/R(stress/relaxation)値が0.6から0.9であり、分子量分布が1.0以上3.0未満の前記ネオジム触媒化共役ジエン系重合体の製造方法から製造されたネオジム触媒化共役ジエン系重合体を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明による触媒組成物は、組成物内に3,000g/molから10,000g/molの数平均分子量を有する、共役ジエン系単量体由来単位を含む高分子を含むことで、共役ジエン系単量体の重合時に適用されて通常のネオジム触媒組成物に比べて狭い分子量分布を有する共役ジエン系重合体を製造できる。
【0017】
また、本発明による触媒組成物の製造方法は、ネオジム化合物、アルキル化剤、共役ジエン系単量体及びハロゲン化物を順次に反応させてアルキル化反応及び塩素化反応が行われた予備形成(preforming)触媒組成物に共役ジエン系単量体を投入し反応させることで、数平均分子量が3,000g/molから10,000g/molの共役ジエン系単量体由来単位を含む高分子が形成された予備重合(pre-polymerization)触媒組成物を容易に製造できる。
【0018】
また、本発明によるネオジム触媒化共役ジエン系重合体の製造方法は、前記触媒組成物の存在下で共役ジエン系単量体を重合することで、低くも高くもない線形度を有しながら分子量分布が1.0以上3.0未満のネオジム触媒化共役ジエン系重合体を製造できる。
【0019】
さらに、本発明によるネオジム触媒化共役ジエン系重合体は、前記触媒組成物を用いた前記製造方法により製造されることで、-S/Rが0.6から0.9であり、且つ、1.0以上3.0未満の狭い分子量分布を有し得、このため、ゴム組成物に適用時に優れた加工性、引張強度及び粘弾性特性を発現できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に対する理解を深めるために本発明をさらに詳しく説明する。
【0021】
本発明の説明及び特許請求の範囲において用いられた用語や単語は、通常的又は辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最善の方法によって説明するために、用語の概念を適宜定義することができるという原則に即し、本発明の技術的思想に適合する意味と概念として解釈されなければならない。
【0022】
本発明で用いる用語及び測定方法は、別に定義しない限り以下のように定義されてよい。
【0023】
[用語]
本発明で用いる用語『置換』は、官能基、原子団、又は化合物の水素が特定の置換基で置換されたことを意味し、官能基、原子団、又は化合物の水素が特定の置換基で置換される場合、官能基、原子団、又は化合物内に存在する水素の個数に応じて、1個又は2個以上の複数の置換基が存在し得る。また、複数の置換基が存在する場合、それぞれの置換基は互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0024】
本発明で用いる用語『アルキル基(alkyl group)』は、1価の脂肪族飽和炭化水素を意味し、メチル、エチル、プロピル、及びブチル等の直鎖状アルキル基、及びイソプロピル(isopropyl)、sec-ブチル(sec-butyl)、tert-ブチル(tert-butyl)、及びネオペンチル(neo-pentyl)等の分岐状アルキル基の両方を含んでよい。
【0025】
本発明で用いる用語『共役ジエン系単量体』は、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-エチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、3-メチル-1,3-ペンタジエン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、又は2,4-ヘキサジエン等からなる群から選択された1種以上であってよい。
【0026】
本発明で用いる用語『第1共役ジエン系単量体』及び『第2共役ジエン系単量体』は、同一の共役ジエン系単量体を示すもので、前記『第1』及び『第2』は、共役ジエン系単量体の反応時点を区分するための表現であってよい。
【0027】
本発明で用いる用語『由来単位』は、ある物質から起因した成分、構造又はその物質自体を意味してよい。
【0028】
[測定方法]
本発明において『-S/R(Stress/Relaxation)値』は、同一量の変性(strain)に対する反応で表れるストレス(stress)の変化を示すものであって、MV2000E(Monsanto社)を用い、100℃でRotor Speed2±0.02rpm、Large Rotorで、重合体を室温(23±5℃)で30分以上放置した後、27±3gを採取してダイキャビティ内部に入れておき、プラテン(platen)を作動させてトルクを印加しつつムーニー粘度を測定し、トルクが緩みながら表れるムーニー粘度変化の傾き値を測定し、その絶対値で示したものである。
【0029】
本発明において『ムーニー粘度(mooney viscosity、MV)』は、重合体の加工性を判断する一尺度であって、ムーニー粘度が適正線に低いと流れが良いため加工性に優れたものと判断されてよく、単位は、MU(Mooney Unit)で表示され、100℃でML(1+4)値を求めたものであり、ここで、MはMooney、Lはプレートの大きさ、1はpreheating時間である1分を、4はrotorを作動してから4分後の値を読み取ったことを示すものである。
【0030】
具体的に、前記ムーニー粘度は、MV2000E(Monsanto社)を用い、100℃でRotor Speed2±0.02rpm、Large Rotorで、重合体を室温(23±5℃)で30分以上放置した後、27±3gを採取してダイキャビティ内部に入れておき、プラテン(platen)を作動させてトルクを印加しつつ測定した。
【0031】
本発明において『重量平均分子量(Mw、g/mol)』及び『数平均分子量(Mn、g/mol)』は、試料を40℃条件下でテトラヒドロフラン(THF)に30分間溶かした後、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC:gel permeation chromatography)を用いて測定し、このとき、カラムはポリマーラボラトリーズ社(Polymer Laboratories)の商品名PLgel Olexisカラム二本とPLgel mixed-Cカラム一本を組み合わせて用い、新たに交替したカラムは、全て混床(mixed bed)タイプのカラムを用い、ゲル浸透クロマトグラフィー標準物質(GPC Standard material)としてはポリスチレン(Polystyrene)を用いた。
【0032】
本発明において『分子量分布(MWD、Mw/Mn)』は、重合体の分子量分布の程度を示すものであり、重合体の重量平均分子量(Mw)対数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)から計算したものである。
【0033】
本発明は、共役ジエン系単量体の重合時に適用され、狭い分子量分布を有する共役ジエン系重合体を製造できる触媒組成物を提供する。
【0034】
本発明の一実施形態による前記触媒組成物は、ネオジム化合物由来単位;アルキル化剤由来単位;及び共役ジエン系単量体由来単位を含む高分子を含み、前記高分子は3,000g/molから10,000g/molの数平均分子量を有することを特徴とする。
【0035】
また、前記触媒組成物は、高分子を10重量%以上60重量%未満、具体的には、15重量%から55重量%で含むものであってよく、この範囲内の場合、触媒組成物の活性に悪影響を与えず、前記触媒組成物を用いる際に分子量分布が狭く調節された共役ジエン系重合体を容易に製造できる。
【0036】
通常、共役ジエン系単量体の重合時に用いられるネオジム触媒組成物としては、ネオジム化合物、アルキル化剤、共役ジエン系単量体及びハロゲン化物を順次又は同時に混合し、アルキル化及び塩素化が順次に行われた予備形成(preforming)触媒組成物が用いられている。
【0037】
しかし、本発明の触媒組成物は、後述する製造方法により製造されたものであって、前記予備形成触媒組成物にネオジム化合物対比特定比率で共役ジエン系単量体を投入して反応させ、数平均分子量が3,000g/molから10,000g/molである共役ジエン系単量体由来単位を含む高分子を形成して製造された、前記高分子を含む予備重合(pre-polymerization)触媒組成物であり、このため、前記通常の予備形成触媒組成物の存在下で製造された共役ジエン系重合体に比べて狭い分子量分布を有する共役ジエン系重合体を製造でき、結果的に前記共役ジエン系重合体は加工性に優れ得る。
【0038】
以下、本発明の一実施形態による触媒組成物をより具体的に説明する。
【0039】
本発明で前記触媒組成物は、後述する製造方法により製造されたものであって、例えば、ネオジム化合物、アルキル化剤、共役ジエン系単量体及びハロゲン化物を順次又は同時に混合し、アルキル化及び塩素化反応を順次に行って塩素化反応物を製造し、これに共役ジエン系単量体を追加反応させ、前記塩素化反応物の少なくとも一部と共役ジエン系単量体由来単位が結合された高分子を形成して製造されたものであってよく、したがって、前記触媒組成物は、ネオジム化合物、アルキル化剤、共役ジエン系単量体及びハロゲン化物の塩素化反応物と、前記塩素化反応物と共役ジエン系単量体が反応して形成されたネオジム化合物由来単位、アルキル化剤由来単位及び共役ジエン系単量体由来単位を含む高分子を含むものであってよい。
【0040】
具体的に、本発明で前記高分子は、ネオジム化合物、アルキル化剤、共役ジエン系単量体及びハロゲン化物の塩素化反応物と共役ジエン系単量体が反応して形成されたものであって、数平均分子量が3,000g/molから10,000g/molであり、2.3から2.8の分子量分布を有するものであってよい。もし、前記高分子が前記数平均分子量及び分子量分布を有する場合、これを含む触媒組成物を用いて製造された共役ジエン系重合体の分子量分布が狭く調節されてよい。
【0041】
本発明で、前記ネオジム化合物は下記化学式1で表される化合物であってよい。
【0042】
【化1】
【0043】
前記化学式1において、RaからRcは、互いに独立して水素、又は炭素数1から12のアルキル基であり、但し、RaからRcが全て同時に水素ではない。
【0044】
また他の例として、オリゴマー化に対する恐れなく重合溶媒に対する優れた溶解度、触媒活性種への転換率、及び、これによる優れた触媒活性改善効果を考慮する際、前記ネオジム化合物は、より具体的に、前記化学式1において、Raが炭素数4から12の直鎖状又は分枝状のアルキル基であり、Rb及びRcは、それぞれ独立して水素又は炭素数2から8のアルキル基であり、但し、Rb及びRcが同時に水素ではないネオジム化合物であってよい。
【0045】
より具体的な例として、前記化学式1において、前記Raは、炭素数6から8の直鎖状又は分枝状のアルキル基であり、Rb及びRcは、それぞれ独立して水素、又は炭素数2から6の直鎖状又は分枝状のアルキル基であってよく、このとき、前記Rb及びRcは、同時に水素ではなくてよく、その具体的な例としては、 Nd(2,2-ジエチルデカノエート)3、Nd(2,2-ジプロピルデカノエート)3、Nd(2,2-ジブチルデカノエート)3、Nd(2,2-ジヘキシルデカノエート)3、Nd(2,2-ジオクチルデカノエート)3、Nd(2-エチル-2-プロピルデカノエート)3、Nd(2-エチル-2-ブチルデカノエート)3、Nd(2-エチル-2-ヘキシルデカノエート)3、Nd(2-プロピル-2-ブチルデカノエート)3、Nd(2-プロピル-2-ヘキシルデカノエート)3、Nd(2-プロピル-2-イソプロピルデカノエート)3、Nd(2-ブチル-2-ヘキシルデカノエート)3、Nd(2-ヘキシル-2-オクチルデカノエート)3、Nd(2-t-ブチルデカノエート)3、Nd(2,2-ジエチルオクタノエート)3、Nd(2,2-ジプロピルオクタノエート)3、Nd(2,2-ジブチルオクタノエート)3、Nd(2,2-ジヘキシルオクタノエート)3、Nd(2-エチル-2-プロピルオクタノエート)3、Nd(2-エチル-2-ヘキシルオクタノエート)3、Nd(2,2-ジエチルノナノエート)3、Nd(2,2-ジプロピルノナノエート)3、Nd(2,2-ジブチルノナノエート)3、Nd(2,2-ジヘキシルノナノエート)3、Nd(2-エチル-2-プロピルノナノエート)3及びNd(2-エチル-2-ヘキシルノナノエート)3からなる群から選択された1種以上であってよく、この中でも前記ネオジム化合物は、Nd(2,2-ジエチルデカノエート)3、Nd(2,2-ジプロピルデカノエート)3、Nd(2,2-ジブチルデカノエート)3、Nd(2,2-ジヘキシルデカノエート)3及びNd(2,2-ジオクチルデカノエート)3からなる群から選択された1種以上であってよい。
【0046】
さらに具体的に、前記化学式1において、前記Raは、炭素数6から8の直鎖状又は分枝状のアルキル基であり、Rb及びRcは、それぞれ独立して炭素数2から6のアルキル基であってよい。
【0047】
このように、前記化学式1で表されるネオジム化合物は、α位置に炭素数2以上の多様な長さのアルキル基を置換基で含むカルボキシレートリガンドを含むことで、ネオジム中心金属周りに立体的な変化を誘導し化合物の凝集現象を遮断でき、これによって、オリゴマー化を抑制できる効果がある。また、このようなネオジム化合物は、重合溶媒に対する溶解度が高く、触媒活性種への転換に困難がある中心部分に位置するネオジムの比率が減少され、触媒活性種への転換率が高くなる効果がある。
【0048】
また他の例として、前記化学式1で表されるネオジム化合物の重量平均分子量(Mw)は、600から2000g/molであってよい。前記範囲の重量平均分子量を有する時、より安定的に優れた触媒活性を示し得る。
【0049】
また、前記ネオジム化合物の溶解度は、一例として常温(25℃)で非極性溶媒6g当たり約4g以上であってよい。本発明において、ネオジム化合物の溶解度は、濁る現象なく清く溶解される程度を意味するものであり、このように高い溶解度を示すことで、優れた触媒活性を示すことができる。
【0050】
前記ネオジム化合物は、一例でルイス塩基との反応物の形態で用いられてもよい。この反応物は、ルイス塩基によって、ネオジム化合物の溶媒に対する溶解性を向上させ、長期間安定した状態で保存できる効果がある。前記ルイス塩基は、一例でネオジム元素1モル当たり30モル以下、又は、1から10モルの比率で用いられてよい。前記ルイス塩基は、一例でアセチルアセトン、テトラヒドロフラン、ピリジン、N,N-ジメチルホルムアミド、チオフェン、ジフェニルエーテル、トリエチルアミン、有機リン化合物又は一価又は二価のアルコール等であってよい。
【0051】
また、前記アルキル化剤は、ヒドロカルビル基を他の金属に転移できる有機金属化合物であって、助触媒の役割をするものであり、共役ジエン系重合体の製造時にアルキル化剤として用いられるものであれば、特別な制限なく使用可能である。
【0052】
また、前記アルキル化剤は、非極性溶媒、具体的には、非極性炭化水素系溶媒に可溶性であり、1族、2族又は3族金属等の陽イオン性金属と炭素との結合を含む有機金属化合物又はホウ素含有化合物であってよく、具体的には、前記アルキル化剤は、有機アルミニウム化合物、有機マグネシウム化合物及び有機リチウム化合物からなる群から選択される何れか一つ以上であってよい。
【0053】
前記アルキル化剤は、下記化学式2の有機アルミニウム化合物を含むものであってよい。
【0054】
[化学式2]
Al(R)z(X)3-z
前記化学式2において、
Rは、互いに独立して炭素数1から30のヒドロカルビル基;又はヒドロカルビル基構造内に窒素原子、酸素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群から選択されるヘテロ原子を少なくとも1以上含む炭素数1から30のヘテロヒドロカルビル基であり、
Xは、互いに独立して水素原子、ハロゲン基、カルボキシル基、炭素数1から20のアルコキシ基、及び炭素数6から20のアリールオキシ基からなる群から選択され、そして
zは1から3の整数である。
【0055】
より具体的に、前記有機アルミニウム化合物は、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジ-n-プロピルアルミニウムヒドリド、ジイソプロピルアルミニウムヒドリド、ジ-n-ブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAH)、ジ-n-オクチルアルミニウムヒドリド、ジフェニルアルミニウムヒドリド、ジ-p-トリルアルミニウムヒドリド、ジベンジルアルミニウムヒドリド、フェニルエチルアルミニウムヒドリド、フェニル-n-プロピルアルミニウムヒドリド、フェニルイソプロピルアルミニウムヒドリド、フェニル-n-ブチルアルミニウムヒドリド、フェニルイソブチルアルミニウムヒドリド、フェニル-n-オクチルアルミニウムヒドリド、p-トリルエチルアルミニウムヒドリド、p-トリル-n-プロピルアルミニウムヒドリド、p-トリルイソプロピルアルミニウムヒドリド、p-トリル-n-ブチルアルミニウムヒドリド、p-トリルイソブチルアルミニウムヒドリド、p-トリル-n-オクチルアルミニウムヒドリド、ベンジルエチルアルミニウムヒドリド、ベンジル-n-プロピルアルミニウムヒドリド、ベンジルイソプロピルアルミニウムヒドリド、ベンジル-n-ブチルアルミニウムヒドリド、ベンジルイソブチルアルミニウムヒドリド又はベンジル-n-オクチルアルミニウムヒドリド等のジヒドロカルビルアルミニウムヒドリド;エチルアルミニウムジヒドリド、n-プロピルアルミニウムジヒドリド、イソプロピルアルミニウムジヒドリド、n-ブチルアルミニウムジヒドリド、イソブチルアルミニウムジヒドリド又はn-オクチルアルミニウムジヒドリド等のようなヒドロカルビルアルミニウムジヒドリド等が挙げられる。
【0056】
また、前記アルキル化剤はアルミノキサンであってよく、前記アルミノキサンは、トリヒドロカルビルアルミニウム系化合物に水を反応させることで製造されたものであってよい。具体的に、前記アルミノキサンは、下記化学式3aの線状アルミノキサン又は化学式3bの環状アルミノキサンであってよい。
【0057】
【化2】
【0058】
【化3】
【0059】
前記化学式3a及び3bにおいて、Rは、 炭素原子を介してアルミニウム原子に結合する一価の有機基であって、ヒドロカルビル基であってよく、x及びyは、互いに独立して1以上の整数、具体的には1から100、より具体的には2から50の整数であってよい。
【0060】
さらに具体的には、前記アルミノキサンは、メチルアルミノキサン(MAO)、変性メチルアルミノキサン(MMAO)、エチルアルミノキサン、n-プロピルアルミノキサン、イソプロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、n-ペンチルアルミノキサン、ネオペンチルアルミノキサン、n-ヘキシルアルミノキサン、n-オクチルアルミノキサン、2-エチルヘキシルアルミノキサン、シクロヘキシルアルミノキサン、1-メチルシクロペンチルアルミノキサン、フェニルアルミノキサン又は2,6-ジメチルフェニルアルミノキサン等であってよく、これらのうち何れか一つ又は二つ以上の混合物が用いられてよい。
【0061】
また、前記変性メチルアルミノキサンは、メチルアルミノキサンのメチル基を修飾基(R)、具体的には、炭素数2から20の炭化水素基で置換したもので、具体的には下記化学式4で表される化合物であってよい。
【0062】
【化4】
【0063】
前記化学式4において、Rは先立って定義した通りであり、m及びnは、互いに独立して2以上の整数であってよい。また、前記化学式4において、Meは、メチル基(methyl group)を示すものである。
【0064】
具体的に、前記化学式4において、前記Rは、炭素数2から20のアルキル基、炭素数3から20のシクロアルキル基、炭素数2から20のアルケニル基、炭素数3から20のシクルロアルケニル基、炭素数6から20のアリール基、炭素数7から20のアリールアルキル基、炭素数7から20のアルキルアリール基、アリール基又は炭素数2から20のアルキニル基であってよく、より具体的には、エチル基、イソブチル基、ヘキシル基又はオクチル基等のような炭素数2から10のアルキル基であり、より具体的には、イソブチル基であってよい。
【0065】
さらに具体的に、前記変性メチルアルミノキサンは、メチルアルミノキサンのメチル基の約50モル%から90モル%を前記炭化水素基で置換したものであってよい。変性メチルアルミノキサン内の置換された炭化水素基の含量が前記範囲内であるとき、アルキル化を促進させ触媒活性を増加させることができる。
【0066】
このような変性メチルアルミノキサンは、通常の方法によって製造されてよく、具体的には、トリメチルアルミニウムとトリメチルアルミニウム以外のアルキルアルミニウムを用いて製造されてよい。このとき、前記アルキルアルミニウムは、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム又はトリオクチルアルミニウム等であってよく、これらのうち何れか一つ又は二つ以上の混合物が用いられてよい。
【0067】
一方、前記アルキル化剤として有機マグネシウム化合物は、少なくとも一つのマグネシウム-炭素結合を含み、非極性溶媒、具体的に、非極性炭化水素系溶媒に溶解可能なマグネシウム化合物である。具体的に、前記有機マグネシウム化合物は、下記化学式5aの化合物であってよい:
[化学式5a]
Mg(R)2
前記化学式5aにおいて、Rは、それぞれ独立して一価の有機基であって、先立って定義したRと同一である。
【0068】
より具体的に、前記化学式5aの有機マグネシウム化合物は、ジエチルマグネシウム、ジ-n-プロピルマグネシウム、ジイソプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジフェニルマグネシウム、又はジベンジルマグネシウムのようなアルキルマグネシウム化合物等が挙げられる。
【0069】
また、前記有機マグネシウム化合物は、下記化学式5bの化合物であってよい:
[化学式5b]
RMgX
前記化学式5bにおいて、Rは、一価の有機基であって、先立って定義したRと同一であり、Xは、水素原子、ハロゲン基、カルボキシル基、アルコキシ基及びアリールオキシ基からなる群から選択されるものである。
【0070】
より具体的に、化学式5bの有機マグネシウム化合物は、メチルマグネシウム水素化物、エチルマグネシウム水素化物、ブチルマグネシウム水素化物、ヘキシルマグネシウム水素化物、フェニルマグネシウム水素化物、ベンジルマグネシウム水素化物等のヒドロカルビルマグネシウム水素化物と、メチルマグネシウム塩化物、エチルマグネシウム塩化物、ブチルマグネシウム塩化物、ヘキシルマグネシウム塩化物、フェニルマグネシウム塩化物、ベンジルマグネシウム塩化物、メチルマグネシウム臭化物、エチルマグネシウム臭化物、ブチルマグネシウム臭化物、ヘキシルマグネシウム臭化物、フェニルマグネシウム臭化物、ベンジルマグネシウム臭化物等のヒドロカルビルマグネシウムハロゲン化物と、メチルマグネシウムヘキサノエート、エチルマグネシウムヘキサノエート、ブチルマグネシウムヘキサノエート、ヘキシルマグネシウムヘキサノエート、フェニルマグネシウムヘキサノエート、ベンジルマグネシウムヘキサノエート等のヒドロカルビルマグネシウムカルボン酸塩と、メチルマグネシウムエトキシド、エチルマグネシウムエトキシド、ブチルマグネシウムエトキシド、ヘキシルマグネシウムエトキシド、フェニルマグネシウムエトキシド、ベンジルマグネシウムエトキシド等のヒドロカルビルマグネシウムアルコキシドと、又はメチルマグネシウムフェノキシド、エチルマグネシウムフェノキシド、ブチルマグネシウムフェノキシド、ヘキシルマグネシウムフェノキシド、フェニルマグネシウムフェノキシド、ベンジルマグネシウムフェノキシド等のヒドロカルビルマグネシウムアリールオキシド等であってよい。
【0071】
また、前記有機リチウム化合物としては、R-Liのアルキルリチウム(このとき、Rは、炭素数1から20のアルキル基であり、より具体的には、炭素数1から8の直鎖状アルキル基である)が用いられてよい。例えば、前記有機リチウム化合物は、メチルリチウム、エチルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム、イソブチルリチウム、ペンチルリチウム、イソペンチルリチウム等が挙げられ、これらのうち何れか一つ又は二つ以上の混合物が用いられてよい。
【0072】
一方、前記アルキル化剤の中でも、重合時に分子量調節剤としての役割もできるという点で、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAH)が好ましい。
【0073】
前記ハロゲン化物は、ハロゲン化剤として作用できるものであれば、特に制限なく使用可能であるが、例えば、ハロゲン単体、ハロゲン間化合物(interhalogen compound)、ハロゲン化水素、有機ハライド、非金属ハライド、金属ハライド又は有機金属ハライド等が挙げられ、これらのうち何れか一つ又は二つ以上の混合物が用いられてよい。この中でも、触媒活性向上及びこれによる優れた反応性改善効果を考慮する際、前記ハロゲン化合物としては、有機ハライド、金属ハライド及び有機金属ハライドからなる群から選択された何れか一つ又は二つ以上の混合物が用いられてよい。
【0074】
前記ハロゲン単体としては、フッ素、塩素、ブロム又はヨードが挙げられる。
【0075】
また、前記ハロゲン間化合物としては、ヨードモノクロリド、ヨードモノブロミド、ヨードトリクロリド、ヨードペンタフルオリド、ヨードモノフルオリド又はヨードトリフルオリド等が挙げられる。
【0076】
また、前記ハルロゲン化水素としては、フッ化水素、塩化水素、臭化水素又はヨウ化水素等が挙げられる。
【0077】
また、前記有機ハライドとしては、t-ブチルクロリド(t-BuCl)、t-ブチルブロミド、アリルクロリド、アリルブロミド、ベンジルクロリド、ベンジルブロミド、クロロ-ジ-フェニルメタン、ブロモ-ジ-フェニルメタン、トリフェニルメチルクロリド、トリフェニルメチルブロミド、ベンジリデンクロリド、ベンジリデンブロミド、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン(TMSCl)、ベンゾイルクロリド、ベンゾイルブロミド、プロピオニルクロリド、プロピオニルブロミド、メチルクロロホルメート、メチルブロモホルメート、ヨードメタン、ジヨードメタン、トリヨードメタン(「ヨードホルム」とも呼ばれる)、テトラヨードメタン、1-ヨードプロパン、2-ヨードプロパン、1,3-ジヨードプロパン、t-ブチルヨージド、2,2-ジメチル-1-ヨードプロパン(「ネオペンチルヨージド」とも呼ばれる)、アリルヨージド、ヨードベンゼン、ベンジルヨージド、ジフェニルメチルヨージド、トリフェニルメチルヨージド、ベンジリデンヨージド(「ベンザルヨージド」とも呼ばれる)、トリメチルシリルヨージド、トリエチルシリルヨージド、トリフェニルシリルヨージド、ジメチルジヨードシラン、ジエチルジヨードシラン、ジフェニルジヨードシラン、メチルトリヨードシラン、エチルトリヨードシラン、フェニルトリヨードシラン、ベンゾイルヨージド、プロピオニルヨージド又はメチルヨードホルマート等が挙げられる。
【0078】
また、前記非金属ハライドとしては、三塩化リン、三臭化リン、五塩化リン、オキシ塩化リン、オキシ臭化リン、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、四フッ化ケイ素、四塩化ケイ素(SiCl4)、四臭化ケイ素、三塩化ヒ素、三臭化ヒ素、四塩化セレン、四臭化セレン、四塩化テルル、四臭化テルル、四ヨウ化ケイ素、三ヨウ化ヒ素、四ヨウ化テルル、三ヨウ化ホウ素、三ヨウ化リン、オキシヨウ化リン又は四ヨウ化セレン等が挙げられる。
【0079】
また、前記金属ハライドとしては、四塩化スズ、四臭化スズ、三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン、三臭化アンチモン、三フッ化アルミニウム、三塩化ガリウム、三臭化ガリウム、三フッ化ガリウム、三塩化インジウム、三臭化インジウム、三フッ化インジウム、四塩化チタン、四臭化チタン、二塩化亜鉛、二臭化亜鉛、二フッ化亜鉛、三ヨウ化アルミニウム、三ヨウ化ガリウム、三ヨウ化インジウム、四ヨウ化チタン、二ヨウ化亜鉛、四ヨウ化ゲルマニウム、四ヨウ化スズ、二ヨウ化スズ、三ヨウ化アンチモン又は二ヨウ化マグネシウム等が挙げられる。
【0080】
また、前記有機金属ハライドとしては、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジメチルアルミニウムフルオリド、ジエチルアルミニウムフルオリド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、メチルアルミニウムジブロミド、エチルアルミニウムジブロミド、メチルアルミニウムジフルオリド、エチルアルミニウムジフルオリド、メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド(EASC)、イソブチルアルミニウムセスキクロリド、メチルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、n-ブチルマグネシウムクロリド、n-ブチルマグネシウムブロミド、フェニルマグネシウムクロリド、フェニルマグネシウムブロミド、ベンジルマグネシウムクロリド、トリメチルスズクロリド、トリメチルスズブロミド、トリエチルスズクロリド、トリエチルスズブロミド、ジ-t-ブチルスズジクロリド、ジ-t-ブチルスズジブロミド、ジ-n-ブチルスズジクロリド、ジ-n-ブチルスズジブロミド、トリ-n-ブチルスズクロリド、トリ-n-ブチルスズブロミド、メチルマグネシウムヨージド、ジメチルアルミニウムヨージド、ジエチルアルミニウムヨージド、ジ-n-ブチルアルミニウムヨージド、ジイソブチルアルミニウムヨージド、ジ-n-オクチルアルミニウムヨージド、メチルアルミニウムジヨージド、エチルアルミニウムジヨージド、n-ブチルアルミニウムジヨージド、イソブチルアルミニウムジヨージド、メチルアルミニウムセスキヨージド、エチルアルミニウムセスキヨージド、イソブチルアルミニウムセスキヨージド、エチルマグネシウムヨージド、n-ブチルマグネシウムヨージド、イソブチルマグネシウムヨージド、フェニルマグネシウムヨージド、ベンジルマグネシウムヨージド、トリメチルスズヨージド、トリエチルスズヨージド、トリ-n-ブチルスズヨージド、ジ-n-ブチルスズジヨージド又はジ-t-ブチルスズジヨージド等が挙げられる。
【0081】
また、本発明の一実施形態において、前記ハロゲン化合物の代わりに又は前記ハロゲン化合物とともに、非配位性陰イオン含有化合物又は非配位性陰イオン前駆体化合物を用いてよい。
【0082】
具体的に、前記非配位性陰イオン含有化合物において、非配位性陰イオンは、立体障害によって触媒系の活性中心と配位結合を形成しない、立体的に体積が大きい陰イオンであって、テトラアリールボレート陰イオン又はフッ化テトラアリールボレート陰イオン等であってよい。また、前記非配位性陰イオンを含む化合物は、前記非配位性陰イオンとともに、トリアリールカルボニウム陽イオンのようなカルボニウム陽イオン;N,N-ジアルキルアニリニウム陽イオン等のようなアンモニウム陽イオン、又はホスホニウム陽イオン等の相手陽イオンを含むものであってよい。より具体的に、前記非配位性陰イオンを含む化合物は、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、又はN,N-ジメチルアニリニウムテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート等であってよい。
【0083】
また、前記非配位性陰イオン前駆体としては、反応条件下で非配位性陰イオンが形成可能な化合物であって、トリアリールホウ素化合物(BE3、このときRは、ペンタフルオロフェニル基又は3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル基等のような強い電子吸引性のアリール基である)を挙げられる。
【0084】
一方、本発明の一実施形態による前記触媒組成物は、前述した通り、ネオジム化合物、アルキル化剤、共役ジエン系単量体及びハロゲン化物の塩素化反応物を含むものであってよく、前記塩素化反応物は、前記ネオジム化合物、アルキル化剤及び共役ジエン系単量体がアルキル化反応を行ってからハロゲン化物と共に塩素化反応が行われて形成されるものであって、このときの共役ジエン系単量体は、ネオジム化合物とアルキル化剤のアルキル化反応を促進する役割の添加剤であってよい。
【0085】
また、本発明は、前記触媒組成物の製造方法を提供する。
【0086】
本発明の一実施形態による前記触媒組成物の製造方法は、炭化水素系溶媒の存在下で、ネオジム化合物、アルキル化剤、第1共役ジエン系単量体及びハロゲン化物を反応させて塩素化反応物を製造する段階(段階1)と、前記塩素化反応物と第2共役ジエン系単量体を反応させる段階(段階2)とを含み、前記第2共役ジエン系単量体は、ネオジム化合物内のネオジム1モル対比200モルから900モルで用いることを特徴とする。
【0087】
前記段階1は、ネオジム化合物、アルキル化剤、第1共役ジエン系単量体及びハロゲン化物を反応させて塩素化反応物、すなわち、予備形成触媒組成物を製造するための段階であって、炭化水素系溶媒の存在下で、ネオジム化合物、アルキル化剤、第1共役ジエン系単量体及びハロゲン化物を反応させて行ってよい。
【0088】
前記炭化水素系溶媒は、前記触媒組成物の構成成分と反応性がない非極性溶媒であってよい。具体的に、前記炭化水素系溶媒は、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン等のような脂肪族炭化水素系溶媒と、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等のようなシクロ脂肪族炭化水素系溶媒と、又はベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等のような芳香族炭化水素系溶媒等からなる群から選択された1種以上を用いてよい。具体的な例として、前記炭化水素系溶媒は、ヘキサン等のような脂肪族炭化水素系溶媒であってよい。
【0089】
一方、前記段階1において、反応は、ネオジム化合物、アルキル化剤、第1共役ジエン系単量体及びハロゲン化物を同時に混合して行うか、ネオジム化合物、アルキル化剤及び第1共役ジエン系単量体を1次混合し、以後ハロゲン化物を投入して2次混合し行うものであってよい。
【0090】
具体的に、前記反応を同時に混合して行う場合、反応器にネオジム化合物、アルキル化剤、第1共役ジエン系単量体及びハロゲン化物を同時に投入して混合するもので、反応器内で物質間の反応性差によってアルキル化反応と塩素化反応が順次に行われるものであってよい。
【0091】
また、前記反応を1次混合及び2次混合で順次に行う場合、反応器にネオジム化合物、アルキル化剤及び第1共役ジエン系単量体を投入して1次混合しアルキル化反応を行い、以後ハロゲン化物を投入して2次混合し塩素化反応が行われるものであってよい。
【0092】
また、前記反応は、触媒活性種の生成を促進する側面で、0℃から60℃の温度条件で混合して行うものであってよい。
【0093】
一方、前記ネオジム化合物、アルキル化剤、ハロゲン化物及び第1共役ジエン系単量体は、1:5から200:2から20:1から100のモル比で用いるものであってよく、この場合、製造された触媒組成物が共役ジエン系重合体製造に用いられ、重合反応時より高い触媒活性及び重合反応性を示し得る。
【0094】
具体的に、前記アルキル化剤は、ネオジム化合物1モルに対して5モルから200モル又は5モルから20モルで用いてよく、より具体的には、5モルから10モルで用いてよい。もし、前記アルキル化剤を前記範囲から外れて用いる場合には、ネオジム化合物に対する活性化効果が微々であり、触媒反応制御が容易ではなく、過量のアルキル化剤が副反応を起こし得る。
【0095】
また、前記ハロゲン化物は、ネオジム化合物1モルに対して1モルから20モル、又は2モルから6モルで用いてよく、この場合、触媒活性種の生成が十分であるため触媒活性に優れ、触媒反応の制御が容易であり、過量のハロゲン化物による副反応問題が起こらないことがある。
【0096】
また、前記第1共役ジエン系単量体は、ネオジム化合物1モルに対して1モルから100モル、又は20モルから50モルで用いてよく、前記炭化水素系溶媒は、ネオジム化合物1モルに対して20モルから20,000モル、又は100モルから1,000モルで用いるものであってよい。
【0097】
前記段階2は、3,000g/molから10,000g/molの数平均分子量を有する、ネオジム化合物由来単位、アルキル化剤由来単位及び共役ジエン系単量体由来単位を含む高分子を含む触媒組成物を製造するための段階であり、前記塩素化反応物と第2共役ジエン系単量体を反応させて行ってよい。
【0098】
このとき、前記第2共役ジエン系単量体は、第1共役ジエン系単量体と同一のものであり、ネオジム化合物内のネオジム1モル対比200モルから900モル、具体的には、300モルから700モルで用いるものであってよい。この場合、数平均分子量が3,000g/molから10,000g/molである高分子が容易に形成され得、これを含む触媒組成物を用いて狭い分子量分布を有する共役ジエン系重合体を製造できる。
【0099】
また、前記段階2での反応は、-20℃から40℃の温度範囲で5分から3時間混合して行うものであってよく、具体的には、0℃から40℃の温度範囲で10分から1時間行うものであってよい。この場合、形成される高分子の数平均分子量が前記範囲を有しながら狭い分子量分布を有してよく、このため、これを含む触媒組成物を用いて製造された共役ジエン系重合体は、適切な線形度を有しながら狭い分子量分布を有し得る。
【0100】
また、本発明は、前記触媒組成物を用いたネオジム触媒化共役ジエン系重合体の製造方法を提供する。
【0101】
本発明の一実施形態による前記共役ジエン系重合体の製造方法は、前記触媒組成物の存在下で、共役ジエン系単量体を重合する段階(段階A)を含み、前記触媒組成物がネオジム化合物由来単位;アルキル化剤由来単位;及び共役ジエン系単量体由来単位を含む3,000g/molから10,000g/molの数平均分子量を有する高分子を含むことを特徴とする。
【0102】
前記段階Aは、共役ジエン系単量体を重合して活性重合体を含む重合体溶液を製造する重合段階であって、ネオジム触媒組成物の存在下で共役ジエン系単量体を重合して行ってよく、このとき、前記ネオジム触媒組成物は、ネオジム化合物由来単位;アルキル化剤由来単位;及び共役ジエン系単量体由来単位を含む3,000g/molから10,000g/molの数平均分子量を有する高分子を含むものであってよい。
【0103】
本発明によるネオジム触媒化共役ジエン系重合体の製造方法は、通常用いられるネオジム化合物、アルキル化剤、共役ジエン系単量体及びハロゲン化物を順次又は同時に反応器に投入して混合し、アルキル化及び塩素化が順次に行われた予備形成(preforming)触媒組成物ではない前記予備形成触媒組成物にネオジム化合物対比特定比率で共役ジエン系単量体を投入して反応させ、数平均分子量が3,000g/molから10,000g/molである高分子を形成して製造された、前記高分子を含む予備重合(pre-polymerization)触媒組成物を用いることで、前記通常の予備形成触媒組成物の存在下で製造された共役ジエン系重合体に比べて狭い分子量分布を有する共役ジエン系重合体を製造でき、結果的に本発明の製造方法により製造された共役ジエン系重合体は加工性に優れ得る。
【0104】
また、前記段階Aにおける重合は、共役ジエン系単量体を重合して活性重合体を含む重合体溶液を製造するためのもので、ラジカル重合によって行われてよく、例えば、バルク重合、溶液重合、懸濁重合又は乳化重合であってよく、具体的には、溶液重合であってよい。また他の例として、前記重合は、回分式及び連続式のうち何れの方法でも行われてよく、例えば、炭化水素系溶媒中で前記触媒組成物に共役ジエン系単量体を投入し反応させて行ってよい。
【0105】
このとき、前記炭化水素系溶媒は、触媒組成物で説明した通りであってよく、単量体の濃度3から90重量%、又は10から30重量%となる量で用いてよい。
【0106】
一方、前記重合時の触媒組成物は、共役ジエン系単量体1モル対比触媒組成物内のネオジムが0.03mmolから0.10mmolとなる量で用いるものであってよい。この場合、触媒活性が高く適正触媒濃度を有することで重合反応が容易に起こり得る。
【0107】
また、前記重合は、50℃から200℃、又は50℃から100℃の温度範囲で15分から3時間、又は30分から2時間行ってよく、この場合、反応制御が容易で重合反応速度及び効率に優れ、製造された活性重合体のシス-1,4結合含量が高い。
【0108】
また、本発明の一実施形態によれば、前記重合反応以後、若しくは反応中にポリオキシエチレングリコールホスフェート等のような重合反応を完了させるための反応停止剤;又は2,6-ジ-t-ブチルパラクレゾール等のような酸化防止剤等の添加剤がさらに用いられてよい。それ以外にも、通常溶液重合を容易にする添加剤、具体的には、キレート剤、分散剤、pH調整剤、脱酸素剤又は酸素捕捉剤(oxygen scavenger)のような添加剤が選択的にさらに用いられてもよい。
【0109】
また、前記重合反応は、前記触媒組成物及び重合体を失活させないために、一例として、重合反応系内に酸素、水、炭酸ガス等の失活作用がある化合物の混入を防止するのが好ましい。
【0110】
前記のような重合反応の結果として、前記ネオジム化合物を含む触媒組成物から活性化された有機金属部位を含む活性重合体、より具体的には、1,3-ブタジエン単量体単位を含むネオジム触媒化共役ジエン系重合体が生成され、前記製造された共役ジエン系重合体は、擬リビング特性を有し得る。
【0111】
一方、本発明の一実施形態による前記製造方法は、活性重合体に変性剤を反応させる変性反応段階をさらに含んでよい。
【0112】
ここで、前記変性反応は、溶液反応又は固相反応によって行われてよく、具体的に、溶液反応によって行われてよい。また他の例として、前記変性反応は、バッチ(batch)式反応器を用いて行われてよく、多段連続式反応器やインラインミキサー等の装置を用いて連続式で行われてもよい。
【0113】
また他の例として、前記変性反応は、通常重合反応と同一の温度及び圧力条件で行われてよく、具体的に、20℃から100℃の温度で行われてよく、この範囲内で重合体の粘度が上昇せず、重合体の活性化された末端が失活しない効果がある。
【0114】
また、前記変性剤は、活性重合体に官能基を付与するか又はカップリングによって分子量を上昇させ得る化合物が用いられてよく、例えば、アザシクロプロパン基、ケトン基、カルボキシル基、チオカルボキシル基、炭酸塩、カルボン酸無水物、カルボン酸金属塩、酸ハロゲン化物、ウレア基、チオウレア基、アミド基、チオアミド基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、ハロゲン化イソシアノ基、エポキシ基、チオエトキシ基、イミン基及びY-Z結合(ここでYは、Sn、Si、Ge又はPであり、Zは、ハロゲン原子である)のうち選択された1種以上の官能基を含み、活性プロトン及びオニウム塩を含まない化合物であってよい。
【0115】
前記変性反応の終了後、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液等を重合反応系に添加し重合反応を停止させてよい。以後、水蒸気の供給を介して溶剤の分圧を下げるスチームストリッピング等の脱溶媒処理や真空乾燥処理を経て、変性共役ジエン系重合体を収得できる。また、前記変性反応の結果で収得される反応生成物の中には、前記変性共役ジエン重合体とともに、変性されていない活性重合体が含まれてもよい。
【0116】
本発明の一実施形態による前記共役ジエン系重合体製造方法は、製造された共役ジエン系重合体に対する沈殿及び分離工程をさらに含んでよい。前記沈殿された共役ジエン系重合体に対する濾過、分離及び乾燥工程は、通常の方法により実施されてよい。
【0117】
前記の通り、本発明の一実施形態による共役ジエン系重合体製造方法による場合、狭い分子量分布をはじめとする優れた物性的特性を有する共役ジエン系重合体、具体的な例として、ネオジム触媒化ブタジエン系重合体が製造され得る。
【0118】
また、本発明は、前記製造方法で製造されたネオジム触媒化共役ジエン系重合体を提供する。
【0119】
本発明の一実施形態による前記ネオジム触媒化共役ジエン系重合体は、100℃での-S/R(stress/relaxation)値が0.5から0.9であり、分子量分布が1.0以上3.0未満であることを特徴とする。具体的に、前記重合体は、100℃での-S/R(stress/relaxation)値が0.6から0.8であり、分子量分布が2.0以上3.0未満のものであってよい。もし、前記重合体が前記範囲の-S/R値と分子量分布を有する場合、適切な線形性を有することで加工性及び配合物性がバランス良く優れるため、高い加工性を示し、同時に引張特性及び粘弾性特性に優れ得る。
【0120】
また、本発明の一実施形態による前記ネオジム触媒化共役ジエン系重合体は、前記分子量分布条件を満たすとともに、重量平均分子量(Mw)が4×105から1.0×106g/molであってよく、数平均分子量(Mn)が2.0×105から5.0×105g/molであってよく、この範囲内でゴム組成物に適用時に引張特性に優れ、加工性に優れてゴム組成物の作業性改善により混練が容易なため、ゴム組成物の機械的物性及び物性バランスに優れた効果がある。前記重量平均分子量は、一例として、4.5×105から1.0×106g/mol、又は5×105から1.0×106g/molであってよく、数平均分子量は、一例として、2.0×105から4.5×105g/mol、又は2.0×105から4.0×105g/molであってよい。
【0121】
より具体的に、本発明の一実施形態による前記共役ジエン系重合体は、前記分子量分布とともに重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の条件を同時に充足する場合、ゴム組成物に適用時のゴム組成物に対する引張特性、粘弾性及び加工性に優れ、これらの間の物性バランスに優れた効果がある。
【0122】
また、本発明の一実施形態による前記共役ジエン系重合体は、100℃で測定されたムーニー粘度が30以上70以下のものであってよく、この範囲内でより優れた加工性を示す効果がある。具体的に、前記ムーニー粘度は40から60であってよい。
【0123】
また、前記共役ジエン系重合体は、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)で測定した共役ジエン部のシス-1,4結合含量が95%以上、より具体的には97%以上のものであってよい。このため、ゴム組成物に適用時、ゴム組成物の耐磨耗性、耐亀裂性及び耐オゾン性が向上され得る。
【0124】
また、前記変性共役ジエン系重合体は、フーリエ変換赤外分光法で測定した共役ジエン部のビニル含量(ビニル-1,2-結合含量)が5%以下、より具体的には3%以下、さらに具体的には1%以下であってよい。重合体内ビニル含量が5%を超過する場合、これを含むゴム組成物の耐磨耗性、耐亀裂性及び耐オゾン性が劣化される恐れがある。
【0125】
ここで、前記フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)による重合体内のシス-1,4結合含量及びビニル含量は、同一セルの二硫化炭素をブランクにして5mg/mLの濃度で調剤した共役ジエン系重合体の二硫化炭素溶液のFT-IR透過率スペクトラムを測定した後、測定スペクトラムの1130cm-1付近の最大ピーク値(a、ベースライン)、トランス-1,4結合を示す967cm-1付近の最小ピーク値(b)、ビニル結合を示す911cm-1付近の最小ピーク値(c)、そして、シス-1,4結合を示す736cm-1付近の最小ピーク値(d)を用いて、それぞれの含量を求めたものである。
【0126】
また、本発明でネオジム触媒化共役ジエン系重合体は、ネオジム化合物を含む触媒組成物から由来した、すなわち、触媒から活性化された有機金属部位を含む共役ジエン系重合体を示すものであってよい。より具体的に、前記共役ジエン系重合体は、1,3-ブタジエン単量体由来の繰り返し単位を含むネオジム触媒化ブタジエン系重合体であってよい。
【0127】
また、本発明の一実施形態による前記共役ジエン系重合体は、ポリブタジエンのようなブタジエン単独重合体であってよく、又はブタジエン-イソプレン共重合体のようなブタジエン共重合体であってよい。
【0128】
具体的な例として、前記共役ジエン系重合体は、1,3-ブタジエン単量体由来の繰り返し単位80から100重量%、及び選択的に1,3-ブタジエンと共重合可能なその以外の共役ジエン系単量体由来の繰り返し単位20重量%以下を含んでよく、前記範囲内で重合体内の1,4-シス結合含量が低下しないという効果がある。このとき、前記1,3-ブタジエン単量体としては、1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、又は2-エチル-1,3-ブタジエン等の1,3-ブタジエン又はその誘導体が挙げられ、前記1,3-ブタジエンと共重合可能なそれ以外の共役ジエン系単量体としては、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ペンタジエン、3-メチル-1,3-ペンタジエン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン又は2,4-ヘキサジエン等が挙げられ、これらのうち何れか一つ又は二つ以上の化合物が用いられてよい。
【0129】
本発明において、共役ジエン系重合体の活性化された有機金属部位とは、共役ジエン系重合体の末端の活性化された有機金属部位(分子鎖末端の活性化された有機金属部位)、主鎖中の活性化された有機金属部位又は側鎖中の活性化された有機金属部位であってよく、この中でも陰イオン重合又は配位陰イオン重合によって共役ジエン系重合体の活性化された有機金属部位を得る場合、前記活性化された有機金属部位は、末端の活性化された有機金属部位であってよい。
【0130】
さらに、本発明は、前記ネオジム触媒化共役ジエン系重合体を含むゴム組成物、及び前記ゴム組成物から製造された成形品を提供する。
【0131】
本発明の一実施形態による前記ゴム組成物は、共役ジエン系重合体を0.1重量%以上100重量%以下、具体的には、10重量%から100重量%、より具体的には、20重量%から90重量%で含むものであってよい。もし、前記共役ジエン系重合体の含量が0.1重量%未満の場合、結果的に前記ゴム組成物を用いて製造された成形品、例えば、タイヤの耐磨耗性及び耐亀裂性等の改善効果が微々であり得る。
【0132】
また、前記ゴム組成物は、前記共役ジエン系重合体以外に必要に応じて他のゴム成分をさらに含んでよく、このとき、前記ゴム成分は、ゴム組成物全重量に対して、90重量%以下の含量で含まれてよい。具体的には、前記共役ジエン系共重合体100重量部に対して、1重量部から900重量部で含まれるものであってよい。
【0133】
前記ゴム成分は、天然ゴム又は合成ゴムであってよく、例えば、前記ゴム成分は、シス-1,4-ポリイソプレンを含む天然ゴム(NR); 前記一般的な天然ゴムを変性又は精製したエポキシ化天然ゴム(ENR)、脱タンパク天然ゴム(DPNR)、水素化天然ゴム等の変性天然ゴム;スチレン-ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン-プロピレン共重合体、ポリイソブチレン-コ-イソプレン、ネオプレン、ポリ(エチレン-コ-プロピレン)、ポリ(スチレン-コ-ブタジエン)、ポリ(スチレン-コ-イソプレン)、ポリ(スチレン-コ-イソプレン-コ-ブタジエン)、ポリ(イソプレン-コ-ブタジエン)、ポリ(エチレン-コ-プロピレン-コ-ジエン)、ポリスルフィドゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ハロゲン化ブチルゴム等のような合成ゴムであってよく、これらのうち何れか一つ又は二つ以上の混合物が用いられてよい。
【0134】
また、前記ゴム組成物は、共役ジエン系重合体100重量部に対して、0.1重量部から150重量部の充填剤を含むものであってよく、前記充填剤は、シリカ系、カーボンブラック又はこれらを組み合わせたものであってよい。具体的には、前記充填剤は、カーボンブラックであってよい。
【0135】
前記カーボンブラック系充填剤は、特に制限するものではないが、例えば、窒素吸着比表面積(N2SA、JIS K 6217-2:2001に準拠して測定する)が20m2/gから250m2/gのものであってよい。また、前記カーボンブラックは、ジブチルフタレート吸油量(DBP)が80cc/100gから200cc/100gのものであってよい。前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積が250m2/gを超過すれば、ゴム組成物の加工性が低下する恐れがあり、20m2/g未満であれば、カーボンブラックによる補強性能が微々であり得る。また、前記カーボンブラックのDBP吸油量が200cc/100gを超過すれば、ゴム組成物の加工性が低下する恐れがあり、80cc/100g未満であれば、カーボンブラックによる補強性能が微々であり得る。
【0136】
また、前記シリカは、特に制限するものではないが、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム又はコロイダルシリカ等であってよい。具体的に、前記シリカは、破壊特性の改良効果及びウェットグリップ性(wet grip)の両立効果が最も著しい湿式シリカであってよい。また、前記シリカは、窒素吸着比表面積(nitrogen surface area per gram、N2SA)が120m2/gから180m2/gであり、CTAB(cetyl trimethyl ammonium bromide)吸着比表面積が100m2/gから200m2/gであってよい。前記シリカの窒素吸着比表面積が120m2/g未満であれば、シリカによる補強性能が低下する恐れがあり、180m2/gを超過すれば、ゴム組成物の加工性が低下する恐れがある。また、前記シリカのCTAB吸着比表面積が100m2/g未満であれば、充填剤であるシリカによる補強性能が低下する恐れがあり、200m2/gを超過すれば、ゴム組成物の加工性が低下する恐れがある。
【0137】
一方、前記充填剤としてシリカが用いられる場合、補強性及び低発熱性改善のために、シランカップリング剤が共に用いられてよい。
【0138】
前記シランカップリング剤としては、具体的に、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、又はジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド等を挙げられ、これらのうち何れか一つ又は二つ以上の混合物が用いられてよい。より具体的には、補強性改善効果を考慮する際、前記シランカップリング剤は、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド又は3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドであってよい。
【0139】
また、本発明による一実施形態によるゴム組成物は、硫黄仮橋性であってよく、これにより加硫剤をさらに含んでよい。
【0140】
前記加硫剤は、具体的に硫黄粉末であってよく、ゴム成分100重量部に対して、0.1重量部から10重量部で含まれてよい。前記含量範囲で含まれる時、加硫ゴム組成物の必要な弾性率及び強度を確保でき、同時に低燃費性を得ることができる。
【0141】
また、本発明による一実施形態によるゴム組成物は、前記成分以外に、通常ゴム工業界において用いられる各種添加剤、具体的には、加硫促進剤、プロセス油、可塑剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華(zinc white)、ステアリン酸、熱硬化性樹脂、又は熱可塑性樹脂等をさらに含んでよい。
【0142】
前記加硫促進剤は、特に限定されるのではなく、具体的には、M(2-メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系化合物、あるいはDPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系化合物が用いられてよい。前記加硫促進剤は、ゴム成分100重量部に対し、0.1重量部から5重量部で含まれてよい。
【0143】
また、前記プロセス油は、ゴム組成物内で軟化剤として作用するものであって、具体的には、パラフィン系、ナフテン系、又は芳香族系化合物であってよく、より具体的には、引張強度及び耐磨耗性を考慮する際に芳香族系プロセス油が、ヒステリシス損失及び低温特性を考慮する際にナフテン系又はパラフィン系プロセス油が用いられてよい。前記プロセス油は、ゴム成分100重量部に対して、100重量部以下の含量で含まれてよく、前記含量で含まれる時、加硫ゴムの引張強度、低発熱性(低燃費性)の低下を防止できる。
【0144】
また、前記老化防止剤としては、具体的に、N-イソプロピル-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン、又はジフェニルアミンとアセトンの高温縮合物等が挙げられる。前記老化防止剤は、ゴム成分100重量部に対して、0.1重量部から6重量部で用いられてよい。
【0145】
本発明の一実施形態によるゴム組成物は、前記配合処方によってバンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサー等の混練機を用いて混練することで収得でき、また、成形加工後の加硫工程によって低発熱性、且つ、耐磨耗性に優れたゴム組成物を収得できる。
【0146】
これによって前記ゴム組成物は、タイヤトレッド、アンダートレッド、サイドウォール、カカスコーティングゴム、ベルトコーティングゴム、ビードフィラ、チェーファー、又はビードコーティングゴム等のタイヤの各部材や防振ゴム、ベルトコンベヤー、ホース等の各種工業用ゴム製品の製造に有用である。
【0147】
前記ゴム組成物を用いて製造された成形品は、タイヤ又はタイヤトレッドを含むものであってよい。
【0148】
[実施例]
以下、実施例によって本発明をより詳しく説明する。しかし、下記実施例は、本発明を例示するためのものであって、これらだけで本発明の範囲が限定されるのではない。
【0149】
[実施例1]
窒素条件下で、ヘキサン溶媒中にNdV(neodymium versatate、Nd(2-エチルヘキサノエート)3)を添加し、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAH)、塩化エチルアルミニウム(DEAC)及び1,3-ブタジエンをNdV:DIBAH:DEAC:1,3-ブタジエン=1:10:3:30のモル比となるように順次投入してから20℃で12時間混合し、塩素化反応物(予備形成触媒組成物)を製造した。これに、Nd1モル対比200モルの1,3-ブタジエン(BD)を0℃でゆっくり添加し、60分間撹拌して触媒組成物を製造した。製造された触媒組成物は、0℃で窒素条件下で24時間保管後に使用した。
【0150】
[実施例2]
実施例1において、塩素化反応物に1,3-ブタジエン(BD)を20℃でゆっくり添加し、30分間撹拌したことを除いては、実施例1と同一に行って触媒組成物を製造した。製造された触媒組成物は、0℃で窒素条件下で24時間保管後に使用した。
【0151】
[実施例3]
実施例1において、塩素化反応物に1,3-ブタジエン(BD)を40℃でゆっくり添加し、10分間撹拌したことを除いては、実施例1と同一に行って触媒組成物を製造した。製造された触媒組成物は、0℃で窒素条件下で24時間保管後に使用した。
【0152】
[実施例4]
実施例1において、塩素化反応物にNd1モル対比900モルの1,3-ブタジエン(BD)を0℃でゆっくり添加し、60分間撹拌したことを除いては、実施例1と同一に行って触媒組成物を製造した。製造された触媒組成物は、0℃で窒素条件下で24時間保管後に使用した。
【0153】
[比較例1]
窒素条件下で、ヘキサン溶媒中にNdV(neodymium versatate、Nd(2-エチルヘキサノエート)3)を添加し、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAH)、塩化エチルアルミニウム(DEAC)及び1,3-ブタジエンをNdV:DIBAH:DEAC:1,3-ブタジエン=1:9~10:2~3:30のモル比となるように順次投入してから20℃で12時間混合し、触媒組成物を製造した。製造された触媒組成物は、0℃で窒素条件下で24時間保管後に使用した。
【0154】
[比較例2]
実施例1において、塩素化反応物にNd1モル対比70モルの1,3-ブタジエン(BD)を0℃でゆっくり添加し、60分間撹拌したことを除いては、実施例1と同一に行って触媒組成物を製造した。製造された触媒組成物は、0℃で窒素条件下で24時間保管後に使用した。
【0155】
[比較例3]
実施例1において、塩素化反応物にNd1モル対比1800モルの1,3-ブタジエン(BD)を0℃でゆっくり添加し、60分間撹拌したことを除いては、実施例1と同一に行って触媒組成物を製造した。製造された触媒組成物は、0℃で窒素条件下で24時間保管後に使用した。
【0156】
<実験例1>
前記実施例1から4及び比較例1から3で製造された各触媒組成物に対して組成物内の高分子の含量及びその数平均分子量を測定した。結果を下記表1に示した。
【0157】
1)高分子の含量
各触媒組成物をイソプロピルアルコールに投入して撹拌し、沈殿物を採取してこれを乾燥オーブンで乾燥させた。乾燥して得られた固形物の重さを測定し、下記数式1を介して触媒組成物内の高分子含量を計算した。
【0158】
[数式1]
高分子含量(重量%)={固形物の重さ(g)/触媒組成物の重さ(g)}×100
2)高分子の数平均分子量及び分子量分布
各重合体を40℃条件下でテトラヒドロフラン(THF)に30分間溶かした後、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC:gel permeation chromatography)を用いて重量平均分子量及び数平均分子量を測定し、前記重量平均分子量及び数平均分子量の比で分子量分布を算出した。このとき、カラムは、ポリマーラボラトリーズ社(Polymer Laboratories)の商品名PLgel Olexisカラム二本とPLgel mixed-Cカラム一本を組み合わせて用い、新たに入れ替えたカラムは、全て混床(mixed bed)タイプのカラムを用い、ゲル浸透クロマトグラフィー標準物質(GPC Standard material)としてポリスチレン(Polystyrene)を用いた。
【0159】
【表1】
【0160】
前記表1を介して、製造例1から4の触媒組成物内の数平均分子量3,000g/molから10,000g/molの数平均分子量及び2.5から2.8の分子量分布を有する高分子が存在することを確認した。
【0161】
[実施例5]
完全に乾燥させた反応器に真空と窒素を交互に加えた後、真空状態の15L反応器に4.2kgのヘキサンと500gの1,3-ブタジエンを投入し、70℃に昇温した。ここに、前記実施例1の触媒組成物を添加した後、60分間重合を行い、活性重合体を製造した。このとき、1,3-ブタジエンのポリブタジエン高分子への転換率は100%であった。以後、重合停止剤1.0gが含まれたヘキサン溶液と酸化防止剤2.0gが含まれたヘキサン溶液を添加して反応を終了させ、ブタジエン重合体を製造した。
【0162】
[実施例6]
実施例5において、実施例1の触媒組成物の代わりに実施例2の触媒組成物を用いたことを除いては、実施例5と同一に反応させてブタジエン重合体を製造した。
【0163】
[実施例7]
実施例5において、実施例1の触媒組成物の代わりに実施例3の触媒組成物を用いたことを除いては、実施例5と同一に反応させてブタジエン重合体を製造した。
【0164】
[実施例8]
実施例5において、実施例1の触媒組成物の代わりに実施例4の触媒組成物を用いたことを除いては、実施例5と同一に反応させてブタジエン重合体を製造した。
【0165】
[比較例4]
実施例5において、実施例1の触媒組成物の代わりに比較例1の触媒組成物を用いたことを除いては、実施例5と同一に反応させてブタジエン重合体を製造した。
【0166】
[比較例5]
実施例5において、実施例1の触媒組成物の代わりに比較例2の触媒組成物を用いたことを除いては、実施例5と同一に反応させてブタジエン重合体を製造した。
【0167】
[比較例6]
実施例5において、実施例1の触媒組成物の代わりに比較例3の触媒組成物を用いたことを除いては、実施例5と同一に反応させてブタジエン重合体を製造した。
【0168】
<実験例2>
前記実施例5から8及び比較例4から6で製造された各重合体に対し、下記のような方法で微細構造分析、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(MWD)、ムーニー粘度(MV)及び-S/R値をそれぞれ測定した。結果を表2に示した。
【0169】
1)微細構造分析
フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)で共役ジエン部のシス-1,4結合含量、トランス-1,4結合含量、及びビニル-1,2結合含量を測定した。
【0170】
具体的に、同一セルの二硫化炭素をブランクにして5mg/mLの濃度で調剤した共役ジエン系重合体の二硫化炭素溶液のFT-IR透過率スペクトラムを測定した後、測定スペクトラムの1130cm-1付近の最大ピーク値(a、ベースライン)、トランス-1,4結合を示す967cm-1付近の最小ピーク値(b)、ビニル結合を示す911cm-1付近の最小ピーク値(c)、そして、シス-1,4結合を示す736cm-1付近の最小ピーク値(d)を用いて、それぞれの含量を求めた。
【0171】
2)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(MWD)
各重合体を40℃条件下でテトラヒドロフラン(THF)に30分間溶かした後、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC:gel permeation chromatography)に積載し流した。このとき、カラムはポリマーラボラトリーズ社(Polymer Laboratories)の商品名PLgel Olexisカラム二本とPLgel mixed-Cカラム一本を組み合わせて用いた。また、新たに入れ替えたカラムは、全て混床(mixed bed)タイプのカラムを用い、ゲル浸透クロマトグラフィー標準物質(GPC Standard material)としてポリスチレン(Polystyrene)を用いた。
【0172】
3)ムーニー粘度(MV、ML1+4、@100℃)(MU)及び-S/R(stress/relaxation)値
各重合体に対して、Monsanto社MV2000EのLarge Rotorを用い、100℃でRotor Speed2±0.02rpmの条件でムーニー粘度(ML1+4、@100℃)(MU)を測定した。このとき用いられた試料は、室温(23±5℃)で30分以上放置した後、27±3gを採取しダイキャビティ内部に入れておき、プラテン(Platen)を作動させてトルクを印加しつつムーニー粘度を測定した。また、トルクが緩みながら表れるムーニー粘度変化の傾き値を測定することで、-S/R値(絶対値)を得た。
【0173】
【表2】
【0174】
前記表2に示された通り、本発明の一実施形態による実施例5から8の重合体は、全て分子量分布が3.0以下で通常の予備形成触媒組成物を用いた比較例4の重合体対比約6%から13%の水準に著しく狭くなった分子量分布を示した。
【0175】
また、高分子を含む触媒組成物を用いるが、前記高分子の数平均分子量が3,000から10,000g/molを外れる比較例5及び6の場合には、分子量分布が何れも3.0を超過して広い分子量分布を示し、実施例に比べて相当広くなった分子量分布を示した。
【0176】
前記表1及び表2の結果を介して、触媒組成物内の高分子を含むとしも高分子の数平均分子量及び分子量分布が特定範囲に調節されていない場合には、製造された重合体の分子量分布を調節できないことが確認できる。