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特許7089632移動するプロセスキットの浸食測定及び位置較正のための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-14
(45)【発行日】2022-06-22
(54)【発明の名称】移動するプロセスキットの浸食測定及び位置較正のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/68 20060101AFI20220615BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20220615BHJP
   G01B 7/14 20060101ALI20220615BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALN20220615BHJP
【FI】
H01L21/68 F
H01L21/68 N
G01B7/14
H01L21/302 101M
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021503145
(86)(22)【出願日】2019-08-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 US2019047983
(87)【国際公開番号】W WO2020051001
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-03-12
(31)【優先権主張番号】16/545,827
(32)【優先日】2019-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/726,892
(32)【優先日】2018-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ポッター, チャールズ ジー.
(72)【発明者】
【氏名】モー, イーライ
(72)【発明者】
【氏名】ロペス カルバハル, セルジョ
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-228754(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0032987(US,A1)
【文献】特開2002-176030(JP,A)
【文献】特開2004-71755(JP,A)
【文献】特表2013-516752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/68
H01L 21/683
G01B 7/14
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理チャンバを較正する方法であって、
前記処理チャンバ内の支持面であって、Z方向に変位可能なプロセスキットが周囲に配置された支持面上に、センサウエハを配置すること、
前記センサウエハの端面にあるセンサを用いて、前記センサウエハと前記プロセスキットとの間の第1の間隙距離を測定すること、
前記プロセスキットを前記Z方向に変位させること、及び
前記センサウエハと前記プロセスキットとの間の更なる間隙距離を測定することを含む、方法。
【請求項2】
前記更なる間隙距離を前記第1の間隙距離と比較することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の間隙距離が前記更なる間隙距離と等しいときに、前記センサウエハを前記支持面から取り外すことを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記間隙距離の連続した測定値が互いに等しくなるまで、前記プロセスキットを前記Z方向に変位させる動作及び更なる間隙距離を測定する動作、を繰り返すことを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記センサが容量センサである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記容量センサは、自己参照容量センサである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記容量センサは、第1のパッドと第2のパッドとを備え、前記第1のパッドに供給される電流が、前記第2のパッドに供給される電流の出力位相から180度の出力位相を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記容量センサは、前記センサウエハの上面の上方に延在する、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
プロセスキットの浸食を測定するための方法であって、
センサウエハを処理ツール内の支持面上に配置すること、
前記センサウエハのセンサを使用して、前記支持面を取り囲むプロセスキットの上面を、センサウエハの上面と整列させること、
前記センサウエハを前記支持面から取り外すこと、
前記処理ツール内で1以上のデバイス基板を処理すること、
センサウエハを前記支持面上に配置すること、
前記センサウエハの端面にあるセンサを用いて、前記センサウエハと前記プロセスキットとの間の間隙距離を測定すること、
前記プロセスキットをZ方向に変位させること、及び
前記センサウエハと前記プロセスキットとの間の2回目の前記間隙距離を測定すること、並びに
連続した間隙距離の測定値が互いに等しくなるまで、前記プロセスキットを変位させる動作及び前記間隙距離を測定する動作を繰り返すことを含む、方法。
【請求項10】
前記プロセスキットの前記Z方向における総変位量を計算することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記プロセスキットの前記Z方向における総変位量及び処理されたデバイス基板の個数から、浸食速度を計算することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記浸食速度をデータベース内に記憶させることを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記センサが容量センサである、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記容量センサは、自己参照容量センサである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記容量センサは、第1のパッドと第2のパッドとを備え、前記第1のパッドに供給される電流が、前記第2のパッドに供給される電流の出力位相から180度の出力位相を有する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年9月4日に出願された米国仮特許出願第62/726,892号の利益を主張する、2019年8月20日に出願された米国非仮特許出願第16/545,827号の優先権を主張し、それらの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
実施形態は、半導体製造の分野に関し、特に、移動するプロセスキットの位置及び侵食を測定するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体ウエハのような基板の処理では、基板が、処理チャンバ内の支持面(例えば、静電チャック(ESC))上に配置される。典型的には、基板処理中に所望の処理特性を提供するために、支持面の周りにプロセスキットが配置される。例えば、ウエハの全体にわたってより均一なプロセスを提供するために、プロセスキットを使用して、プラズマチャンバ内にプラズマを形作るのを支援することができる。したがって、所望の処理結果を達成するために、しばしば、処理される基板の上面に対するプロセスキットの上面の位置を制御する必要がある。
【0004】
プロセスキットを設置した後に、エッチング速度試験や粒子試験のような様々な試験を実施して、プロセスキットが処理される基板に対して適切に配置されていることを確認してもよい。しかし、このような試験は費用がかかり、完了するのに何時間もかかることがある。更に、プロセスキットは、基板の処理中に浸食され得る。したがって、プロセスキットは、基板表面とプロセスキットの上面との間の関係性を再設定するために調整される必要があり得る。現在、浸食速度は適切に定義されておらず、処理されている基板上に観察可能な欠陥が見つかるまで調整を行うことができない。
【発明の概要】
【0005】
本明細書で開示される実施形態は、処理チャンバを較正する方法を含む。一実施形態では、該方法が、センサウエハを処理チャンバ内の支持面上に配置することを含み、Z方向に変位可能なプロセスキットが、支持面の周囲に配置される。一実施形態では、該方法が、センサウエハの端面にあるセンサで、センサウエハとプロセスキットとの間の第1の間隙距離を測定することを更に含む。一実施形態では、該方法が、プロセスキットをZ方向に変位させることを更に含む。一実施形態では、該方法が、センサウエハとプロセスキットとの間の更なる間隙距離を測定することを更に含む。
【0006】
本明細書で開示される実施形態は、プロセスキットの浸食を測定するための方法を含む。一実施形態では、該方法が、プロセスツール内の支持面上にセンサウエハを配置することを含む。一実施形態では、該方法が、センサウエハのセンサを使用して、支持面を取り囲むプロセスキットの上面をセンサウエハの上面に整列させることを更に含む。一実施形態では、該方法が、支持面からセンサウエハを取り外すことを更に含む。一実施形態では、該方法が、処理ツール内で1以上のデバイス基板を処理することを更に含む。一実施形態では、該方法が、支持面上にセンサウエハを配置することを更に含む。一実施形態では、該方法が、センサウエハの端面にあるセンサを用いて、センサウエハと処理キットとの間の間隙距離を測定することを更に含む。一実施形態では、該方法が、プロセスキットをZ方向に変位させることを更に含む。一実施形態では、該方法が、センサウエハとプロセスキットとの間の2回目の間隙距離を測定することを更に含む。一実施形態では、該方法が、連続する間隙距離測定値が互いに等しくなるまで、プロセスキットを変位させる動作及び間隙距離を測定する動作を繰り返すことを更に含む。
【0007】
本明細書で開示される実施形態は、センサウエハを含む。一実施形態では、センサウエハが、第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを有する基板を備え、第1の表面と第2の表面とは、端面によって接続されている。一実施形態では、センサウエハが、基板の周囲に複数のセンサを更に備え、センサのそれぞれは、外向きの位置センサである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】一実施形態による、縁部センサを有するセンサウエハの平面図である。
図1B】一実施形態による、縁部センサを有するセンサウエハの斜視図である。
図2A】一実施形態による、縁部センサを有するセンサウエハの部分断面図である。
図2B】一実施形態による、縁部センサ及び電界ガード(electric field guard)を有するセンサウエハの部分断面図である。
図2C】一実施形態による、縁部センサ及び上面凹部を有するセンサウエハの部分断面図である。
図2D】一実施形態による、センサウエハの上面の上に形成された縁部センサを有するセンサウエハの部分断面図である。
図3A】一実施形態による、センサウエハと完全に後退したプロセスキットとの間の間隙距離を測定するセンサウエハ及びプロセスキットの断面図である。
図3B】一実施形態による、プロセスキットがリフトピンによって第1の距離だけ垂直方向に変位された後の、図3Aのセンサウエハ及びプロセスキットの断面図である。
図3C】一実施形態による、プロセスキットの上面とセンサウエハの上面とが実質的に同一平面上にあるように、プロセスキットが第2の距離だけ垂直方向に変位された後の、図3Bのセンサウエハ及びプロセスキットの断面図である。
図4】一実施形態による、プロセスキットの垂直変位量に対する測定された間隙距離を図示するグラフである。
図5】一実施形態による、センサウエハの上面の上方に縁部センサを有するセンサウエハ、及びセンサウエハの上方に隆起するプロセスキットの断面図である。
図6】一実施形態による、センサウエハに対してプロセスキットを配置するためのプロセスのプロセスフロー図である。
図7】一実施形態による、所与の処理動作に対するプロセスキットの浸食速度を特定するためのプロセスのプロセスフロー図である。
図8図8は、一実施形態による、プロセスキットに対するセンサウエハの関係を測定することを含むプロセスと併せて使用され得る例示的なコンピュータシステムのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
様々な実施形態による、縁部センサを有するセンサウエハを含むシステム、及び、そのようなセンサウエハを使用して、センサウエハに対するプロセスキットの位置を測定するための方法が説明される。以下の説明では、実施形態の網羅的な理解を提供するために多数の具体的な詳細事項が明記される。実施形態は、これらの具体的な詳細がなくとも実践可能であることが、当業者には明らかになろう。他の事例では、実施形態が不必要に不明瞭にならないように、周知の態様については詳細に説明していない。更に、添付の図に示す様々な実施形態は、例示的な表現であり、必ずしも縮尺どおりには描かれていないことを理解されたい。
【0010】
上述のように、プロセスキットが基板に対して適切に配置されていることを確認するために、複数の基板が処理ツール内で処理されて、エッチング速度をモニタし、及び/又は粒子試験を実行する。多くの基板が処理された後にのみ、プロセスキットが適切に位置合わせされて、所望の処理結果を提供することが確認され得る。このプロセスでは、処理ツールのための休止時間(down time)が何時間もかかり、高価である。
【0011】
したがって、本明細書で開示される実施形態は、プロセスキットを直接的に測定することができるセンサウエハを含む。一実施形態では、センサウエハを使用して、プロセスキットの上面がセンサウエハの上面と実質的に同一平面上にあることを確認することができる。センサウエハは、チャンバ内で処理されるウエハと実質的に同じ形状因子(form factor)を有し得るので、センサウエハに対するプロセスキットの測定は、プロセスキットに対する製造ウエハの位置に十分に近い近似を提供する。したがって、プロセスキットが製造ウエハに対して必要とされる許容範囲内に配置されていることを確認するために、単一の試験手順が、処理ツールのポンプダウン後に実施されてよい。したがって、処理ツールを較正するための時間が短縮され、処理ツールのスループット能力が向上し得る。
【0012】
本プロセスキットを半導体デバイスの製造に使用すると、処理環境がプロセスキットの浸食をもたらし得、プロセスキットとデバイスウエハとの間の所望の関係がドリフトし得る。したがって、実施形態は、プロセスキットの浸食速度を検出するために使用され得るセンサウエハも含む。センサウエハを使用して浸食速度が特定された後に、プロセスキットは、引き続いて、処理ツールを再較正する必要なしに、予測される浸食を考慮するように調整されてよい。したがって、処理ツールのスループット能力が向上し得る。
【0013】
次に図1Aを参照すると、一実施形態による、複数の縁部センサ領域135~135を有するセンサウエハ110の平面図が示されている。一実施形態では、縁部センサ領域135が、センサウエハ110の周囲に分散される。各センサ領域135は、1以上の外向きセンサを備える。一実施形態では、センサ領域135内のセンサを使用して、センサウエハ110の縁部とセンサウエハ110を取り囲むプロセスキット(図示せず)との間の間隙を測定することができる。縁部センサ領域135内の1以上のセンサは、容量センサであってよい。特定の実施形態では、縁部センサ領域135が、自己参照容量センサ(self-referencing capacitive sensor)を備えてよい。
【0014】
図示されている実施形態では、3つの縁部センサ領域135が示されている。しかし、以下でより詳細に説明されることとなるように、1以上の縁部センサ領域135を使用して、プロセスキットの上面がセンサウエハ110の上面と実質的に同一平面上にある時を特定してもよいことが理解されるべきである。
【0015】
一実施形態では、縁部センサ領域135のそれぞれが、トレース137を用いてセンサウエハ110の計算モジュール138と通信可能に結合されてよい。一実施形態では、計算モジュール138が、電源132(例えばバッテリ)、プロセッサ/メモリ134(例えば、縁部センサ領域135を用いて行われる測定を実施及び/又は記憶するための回路、メモリなど)、並びに無線通信モジュール133(例えば、Bluetooth、WiFiなど)のうちの1以上を備えてよい。一実施形態では、計算モジュール138が、センサウエハ110内に嵌め込まれてよい。加えて、計算モジュール138は、センサウエハ110の中央に示されているが、センサウエハ110内の任意の好都合な箇所に位置付けられてもよいことが理解されるべきである。
【0016】
次に図1Bを参照すると、一実施形態による、例示的な縁部センサ領域135の詳細を強調したセンサウエハ110の斜視図が示されている。一実施形態では、センサウエハ110が、第1の表面111(例えば上面)、第2の表面113(例えば下面)、及び第1の表面111を第2の表面112に接続する端面112を含んでよい。一実施形態では、縁部センサ領域135が、端面112に沿って形成されてよい。
【0017】
特定の一実施形態では、縁部センサ領域135が、プローブ141を備えてよい。プローブ141(すなわち、各縁部センサ領域内のプローブ)は、自己参照容量プローブ(self-referencing capacitive probe)であってよい。すなわち、第1の縁部センサ領域135内の第1のプローブ141に供給される電流の出力位相は、隣の第2の縁部センサ領域135内の第2のプローブ141に供給される電流の出力位相から180度オフセットされてよい。したがって、端面112からプロセスキット(図示せず)の表面までの距離の測定を、プロセスキットが接地されることを必要とせずに行える。図示されている一実施形態では、縁部センサ領域135が、単一のプローブを有するように示されている。しかし、幾つかの実施形態では、各縁部センサ領域135が、2つ以上のプローブ141を備えてよい。本明細書では、特に自己参照容量センサに言及するが、本明細書で開示される実施形態は、任意の適切なセンサ技術(例えば、レーザーセンサ、光センサなど)を含むことが理解されるべきである。
【0018】
次に図2A図2Dを参照すると、様々な実施形態による、センサウエハ210の例示的な部分断面図が示されている。図2Aでは、部分断面図が、端面212と実質的に同一平面上にあるセンサ領域235を描いている。一実施形態では、センサ領域235が、端面212から電界249を放出し、その結果、センサは、端面212とプロセスキットの表面との間の間隙を測定し得る。
【0019】
次に図2Bを参照すると、一実施形態による、電界ガード247を有するセンサウエハ210の部分断面図が示されている。一実施形態では、電界ガード247が、センサウエハ210の下面213と縁部センサ領域235との間に形成された導電層であってもよい。縁部センサ領域235の電界249は、電界ガード247によって修正されてもよい。特に、電界ガード247は、縁部センサ領域235の電界249を修正して、電界249が、端面212からプロセスキットに向けて側方に延びるようにしてもよい。したがって、電界ガード247は、縁部センサ領域235内のセンサが、誤った読み取り値を提供し得るセンサウエハ210の下方の物体を検出するのを防止する。
【0020】
次に図2Cを参照すると、一実施形態による、上面凹部248を有するセンサウエハ210の部分断面図が示されている。一実施形態では、上面凹部248を、センサ領域235に直接的に隣接した第1の表面211の中に形成することができる。上面凹部248は、センサ領域235のセンサが、上面211を検知し、誤った読み取り値を提供するのを防止するように作製されてよい。一実施形態では、上面凹部248が、距離Rだけ後方に延在してもよい。例えば、距離Rは、縁部検知領域235の最大検知距離と近似的に等しくてもよい。一実施形態では、距離Rが、2.0mm以下、又は1.0mm以下であってもよい。
【0021】
次に、図2Dを参照すると、一実施形態による、センサウエハ210の第1の表面211の上に形成されたセンサ領域235を有するセンサウエハ210の部分断面図が示されている。センサウエハ210の上方にセンサ領域235を配置することは、プロセスキットの上面をデバイスウエハの上面の上方に配置する必要がある場合に有益であり得る。一実施形態では、センサ領域235が、センサウエハ210の形状因子を大きく変更しない厚さTを有してもよい。例えば、厚さTは、5mm未満、2mm未満、1mm未満、又は0.5mm未満であってもよい。したがって、センサウエハ210は、依然として、処理ツール内の任意のロードロックを通過することができる。
【0022】
次に図3A~3Cを参照すると、一連の断面図は、プロセスキット360の上面361が、センサウエハ310の第1の(すなわち上)面311と実質的に同一平面上にあるように、処理ツールを較正するためのプロセスを描いている。
【0023】
次に図3Aを参照すると、一実施形態による、支持面322によって支持されているセンサウエハ310の一部分の断面図が示されている。一実施形態では、センサウエハ310が、1以上の縁部センサ領域335を有する任意のセンサウエハであってよい。例えば、図1A図1Dに関して上述したセンサウエハの何れも、様々な実施形態に従って使用することができる。図3Aで示されている特定の一実施形態では、センサウエハ310が、縁部センサ領域335及び電界カード347を含むが、実施形態は、そのような構成に限定されるものではない。一実施形態では、センサウエハ310が、処理ツール内で処理されるウエハの形状因子と実質的に同様な形状因子を有してよい。例えば、センサウエハ310は、300mmの直径と、1mm未満の厚さとを有してよい。一実施形態では、支持面322が、センサウエハ310を支持及び固定するための静電チャック(ESC)又は任意の他の適切な表面であってもよい。
【0024】
一実施形態では、支持面322が、プロセスキット360が載置されるプロセスキット支持体350によって取り囲まれていてもよい。支持面322は、プロセスキット支持体350内の開口部353の中に定められる複数のリフトピン352を備えていてもよい。一実施形態では、リフトピン352が、プロセスキット360の下にあってよい。リフトピン352がアクチュエータ(図示せず)によって伸長すると、プロセスキットがZ方向に変位する。
【0025】
図3Aでは、リフトピン352が、プロセスキットが完全にプロセスキット支持面350上に載置されるように完全に後退している。そのような実施形態では、プロセスキット360の上面361が、センサウエハ310の上面311の下にあってもよい。したがって、縁部センサ領域335がプロセスキット360に向けて外向きに検知すると、縁部センサ領域は、プロセスキット360の上面361の第1の点371を検出する。一実施形態では、第1の点371が、プロセスキット360の内面362から第1の距離V1であってもよい。
【0026】
次に、図3Bを参照すると、一実施形態による、リフトピンが伸長し、プロセスキット360がZ方向に距離D1だけ上昇した後の部分断面図が示されている。図示されているように、縁部センサ領域335は、ここで、プロセスキット360の上面361の第2の点372を検知する。一実施形態では、第2の点372が、プロセスキット360の内端から第2の距離V2であってもよい。当業者には理解されるように、Z方向の距離D1であるプロセスキット360の変位は、第2の距離V2が、図3Aで示されている第1の距離V1よりも小さくなることをもたらす。すなわち、第2の点372は、第1の点371よりもプロセスキット360の内面362に近い。
【0027】
次に図3Cを参照すると、一実施形態による、プロセスキットがZ方向に第2の距離D2だけ変位した後の部分断面図が示されている。図示されているように、変位D2は、プロセスキット360の上面361がセンサウエハの上面311と実質的に同一平面上にあることをもたらす。この時点で、縁部センサ領域335は、センサウエハ310の端面312とプロセスキット360の端面362との間の真の間隙Gを測定し始める。ここで、縁部センサ領域335の視界は、プロセスキット360によって完全に遮断されることとなったため、縁部センサ領域335からの後続の読み取り値は、プロセスキットが更にZ方向に変位する際に、実質的に均一になるだろう。
【0028】
例えば、図4は、プロセスキットのZ方向変位量に対する間隙計測値のグラフを示している。図示されているように、プロセスキット360がD0にあるとき(すなわち、図3Aで示されているように、プロセスキット360がプロセスキット支持面350上に載っているとき)、測定された間隙は、真の間隙Gに第1の間隔V1を加えたものと等しい。プロセスキット360が距離D1だけ変位するとき(すなわち、図3Bで示されているように)、測定された間隙は、真の間隙Gに第2の距離V2を加えたものと等しい。プロセスキット360が距離D2だけ変位するとき(すなわち、図3Cで示されているように)、測定された間隙は真の間隙Gと等しい。プロセスキット360の内面362が実質的に垂直であり、縁部センサはプロセスキットがZ方向に更に進むにつれて変化しない表面を「見る」ので、その後の測定値(例えば、Dn)では真の間隙Gのままである。本明細書で使用される際に、センサは、表面を文字通り「見る」わけではないだろうことが理解されるべきである。例えば、本明細書で説明されるような容量センサでは、センサの導電性パッドの電圧測定値が、「見える」表面とセンサとの間の距離に相関され得る。連続する間隙測定が同じ値を返すと(すなわち、プロセスキット変位に対する間隙測定距離のラインの傾斜がゼロである場合)、反復される測定値の第1の事例の変位(D)は、センサウエハ310の上面がプロセスキット360の上面361と実質的に同一平面上にある変位であると推測することができる。
【0029】
プロセスキットの上面がデバイスウエハの上面より上にある必要があるときに、縁部センサ領域は、センサウエハの第1の(すなわち上)面より上に配置されてもよい。そのような実施形態は、図5で示されている。図示されているように、センサ領域535は、センサウエハ510の第1の表面511の上方に配置されている。したがって、プロセスキット560が、プロセスキット560の上面561がセンサウエハの上面511より上方にあることをもたらす距離Dだけ変位されるまで、センサ領域535は、プロセスキット560の内面562を「見る」ことがない。
【0030】
次に図6を参照すると、一実施形態による、プロセスキットの上面をセンサウエハの上面に整列させるためのプロセス680のプロセスフロー図が示されている。
【0031】
一実施形態では、プロセス680が、変位可能なプロセスキットが支持面を取り囲んだ状態で、センサウエハを支持面上に配置することを含む動作681で開始し得る。一実施形態では、センサウエハが、1以上の縁部センサ領域を含む本明細書で説明されるものなのどの任意のセンサウエハであってよい。一実施形態では、センサウエハが、処理ツール内で処理されるウエハと実質的に同じ形状因子を有してよい。そのようにして、センサウエハは、ウエハ操作ロボットを用いて支持面(例えば、静電チャック)上に配置されてもよい。一実施形態では、プロセスキットが、プロセスキット支持面上に載置されてよい。プロセスキット支持面は、プロセスキットをZ方向に変位させるための複数のリフトピンを備えてよい。
【0032】
一実施形態では、プロセス680が、センサウエハの縁部センサを用いて、センサウエハとプロセスキットとの間の第1の間隙距離を取得することを含む動作682で継続してよい。一実施形態では、縁部センサが自己参照容量センサであってもよい。一実施形態では、プロセスキットの上面が、センサウエハの上面より下であってもよい。そのようにして、第1の間隙距離は、プロセスキットの内端を検知する代わりに、プロセスキットの上面に沿った第1の点を検知することによって作られてもよい。
【0033】
一実施形態では、プロセス680が、プロセスキットをZ方向に変位させることを含む動作683で継続してよい。一実施形態では、プロセスキットが、プロセスキット支持面内のリフトピンを用いて、Z方向に変位されてもよい。
【0034】
一実施形態では、プロセス680が、縁部センサを用いて、センサウエハとプロセスキットとの間の更なる間隙距離を取得することを含む動作684で継続してよい。
【0035】
一実施形態では、プロセス680が、最後の2つの測定された間隙距離を比較することを含む動作685で継続してよい。最後の2つの測定された間隙距離が異なっている一実施形態では、プロセス680が、動作683~685を繰り返してよい。例えば、プロセス680は、プロセスキットをZ方向に変位させ、更なる間隙距離を取得し、最後の2つの測定された間隙距離を比較する(例えば、第3の間隙距離を第2の間隙距離と比較する、第4の間隙距離を第3の間隙距離と比較するなど)動作を繰り返してよい。最後の2つの測定された間隙距離が同じである一実施形態では、プロセスキットの上面が、今やセンサウエハの上面と実質的に同一平面上にあるため、プロセス680は終了してよい。
【0036】
次に図7を参照すると、一実施形態による、プロセスキットの浸食量を特定するためのプロセス780のプロセスフロー図が示されている。
【0037】
一実施形態では、プロセス780が、支持面上にセンサウエハを配置し、センサウエハの縁部センサを使用して、プロセスキットの上面をセンサウエハの上面に整列させることを含む動作781で開始する。プロセスキットの上面をセンサウエハの上面と整列させるためのプロセスは、図6に関連して上述されたプロセス680と実質的に同様であってよい。
【0038】
一実施形態では、プロセス780が、支持面からセンサウエハを取り外すことを含む動作782で継続してよい。一実施形態では、センサウエハが、ウエハ操作ロボットなどで取り外されてもよい。
【0039】
一実施形態では、プロセス780が、支持面上の複数のウエハを処理することを含む動作783で継続してよい。一実施形態では、複数のウエハを処理することが、任意の半導体製造プロセスを含んでよい。例えば、プロセスは、エッチングプロセスを含んでよい。一実施形態では、プロセスが、プロセスキットの浸食をもたらし得る。一実施形態では、複数のウエハが、数十のウエハ、数百のウエハ、又は数千のウエハを含み得る。
【0040】
一実施形態では、プロセス780が、支持面上にセンサウエハを配置することを含む動作784で継続してよい。一実施形態では、センサウエハが、動作781で使用されたのと同じセンサウエハであってもよい。しかし、幾つかの実施形態では、別のセンサウエハを使用することもできることを理解されたい。
【0041】
一実施形態では、プロセス780が、センサウエハの縁部センサを用いて、センサウエハとプロセスキットとの間の第1の間隙距離を取得することを含む動作785で継続してよい。一実施形態では、浸食が、プロセスキットの上面がセンサウエハの上面より下になることをもたらし得る。したがって、第1の間隙距離は、プロセスキットの内面の代わりに、プロセスキットの上面を検知し得る。
【0042】
一実施形態では、プロセス780が、プロセスキットをZ方向に変位させることを含む動作786で継続してよい。一実施形態では、プロセスキットが、プロセスキット支持面内のリフトピンを用いて変位されてよい。
【0043】
一実施形態では、プロセス780が、縁部センサを用いて、センサウエハとプロセスキットとの間の更なる間隙距離を取得することを含む動作787で継続してよい。
【0044】
一実施形態では、プロセス780が、最後の2つの測定された間隙距離を比較することを含む動作788で継続してよい。最後の2つの測定された間隙距離が異なっている一実施形態では、プロセス780が、動作786~788を繰り返してよい。例えば、プロセス780は、プロセスキットをZ方向に変位させ、更なる間隙距離を取得し、最後の2つの測定された間隙距離を比較する(例えば、第3の間隙距離を第2の間隙距離と比較する、第4の間隙距離を第3の間隙距離と比較するなど)動作を繰り返してよい。
【0045】
最後の2つの測定された間隙距離が同じである一実施形態では、プロセス780が、浸食速度を計算することを含む動作789で継続してよい。一実施形態では、浸食速度が、Z方向におけるプロセスキットの総変位量を特定し、動作783で処理された複数のウエハ内のウエハの数で割ることによって計算されてもよい。そのようにして、浸食速度は、処理されるウエハの個数当たりの浸食距離で表すことができる。更なる実施形態では、浸食速度が、プロセスキットの全変位量を特定し、複数のウエハを処理するのに要した時間で割ることによって計算されてもよい。そのような一実施形態では、浸食速度が、処理の分当たりの浸食速度として表されてもよい。
【0046】
一実施形態では、浸食速度が、将来の使用のためにデータベースに記憶されてもよい。例えば、浸食速度が記憶され、後続の処理は、予期される浸食を考慮するために、プロセスキットを自動的に変位させることができる。したがって、センサウエハによる更なる測定が不要であり、処理ツールのスループット能力が増大し得る。
【0047】
次に図8を参照すると、一実施形態による、処理ツールの例示的なコンピュータシステム860のブロック図が示されている。一実施形態では、コンピュータシステム860を使用して、プロセス680及び780などの1以上のプロセスを実施することができる。一実施形態では、コンピュータシステム860が、処理ツールに結合され、処理ツール内の処理を制御する。コンピュータシステム860は、ローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)、イントラネット、エクストラネット、又はインターネットにおいて、他のマシンに接続され(例えばネットワーク化され)得る。コンピュータシステム860は、クライアント‐サーバネットワーク環境内でサーバ又はクライアントマシンの役割で、或いは、ピアツーピア(又は分散)ネットワーク環境内でピアマシンとして動作してよい。コンピュータシステム860は、パーソナルコンピュータ(PC:personal computer)、タブレットPC、セットトップボックス(STB:set-top box)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA:Personal Digital Assistant)、携帯電話、ウェブアプライアンス、サーバ、ネットワークルータ、スイッチ若しくはブリッジ、又は、そのマシンによって行われる動作を特定する(連続した又は別様な)指示命令のセットを実行可能な任意のマシンであり得る。更に、コンピュータシステム860として単一のマシンのみを示しているが、用語「マシン」は、本明細書に記載の方法のうちの任意の1以上を実施するために、指示命令のセット(又は複数のセット)を個々に、又は連携的に実行するマシン(例えば、コンピュータ)の任意の集合体を含むとも解釈すべきである。
【0048】
コンピュータシステム860は、指示命令が記憶された非一過性のマシン可読媒体を有するコンピュータプログラム製品、又はソフトウェア822を含んでいてよく、これらの指示命令は、実施形態による処理を実施するコンピュータシステム860(又は他の電子デバイス)をプログラムするために使用され得る。マシン可読媒体は、マシン(例えば、コンピュータ)によって可読な形態で情報を保存又は伝送するための任意の機構を含む。例えば、マシン読取可能(例えばコンピュータ読取可能)な媒体は、マシン(例えばコンピュータ)読取可能な記憶媒体(例えば、読み出し専用メモリ(ROM:read only memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイスなど)、マシン(例えばコンピュータ)読取可能な伝送媒体(電気的形態、光学的形態、音響的形態、又はその他の形態による伝播信号(例えば赤外線信号、デジタル信号など))などを含む。
【0049】
一実施形態では、コンピュータシステム860は、システムプロセッサ802、メインメモリ804(例えば、リードオンリーメモリ)、フラッシュメモリ、同期DRAM(SDRAM)又はRambus DRAM(RDRAM)などのダイナミックランダムアクセスメモリ)、スタティックメモリ806(例えば、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)など)、およびバス830を介して互いに通信するセカンダリメモリ818(例えば、データストレージデバイス)を含む。
【0050】
システムプロセッサ802は、マイクロシステムプロセッサ、中央処理ユニットなどの1以上の汎用処理デバイスを表す。より詳細には、システムプロセッサは、複合指示命令セット演算(CISC:complex instruction set computing)マイクロシステムプロセッサ、縮小命令セット演算(RISC:reduced instruction set computing)マイクロシステムプロセッサ、超長命令語(VLIW:very long instruction word)マイクロシステムプロセッサ、他の指示命令セットを実行するシステムプロセッサ、又は、指示命令セットの組み合わせを実行するシステムプロセッサであり得る。システムプロセッサ802は、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)、デジタル信号システムプロセッサ(DSP:digital signal system processor)、ネットワークシステムプロセッサといった、1以上の特殊用途処理デバイスでもあり得る。システムプロセッサ802は、本明細書に記載の動作を実行するための処理論理826を実施するように構成されている。
【0051】
コンピュータシステム860は、他のデバイス又はマシンと通信するためのシステムネットワークインターフェースデバイス808を更に含み得る。コンピュータシステム860は、ビデオディスプレイユニット810(例えば、液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)、発光ダイオードディスプレイ(LED:light emitting diode)、又は陰極線管(CRT:cathode ray tube))、英数字入力デバイス812(例えば、キーボード)、カーソル制御デバイス814(マウスなど)、及び信号生成デバイス816(例えば、スピーカ)も含み得る。
【0052】
二次メモリ818は、本明細書に記載の方法又は機能のうちの任意の1以上のものを具現化する、1以上の指示命令セット(例えば、ソフトウェア822)が記憶されている、マシンアクセス可能記憶媒体831(又は、より具体的には、コンピュータ可読記憶媒体)を含んでよい。このソフトウェア822は、コンピュータシステム860によって実行されている間、完全に又は少なくとも部分的に、メインメモリ804及び/又はシステムプロセッサ802の中にも常駐していてよく、メインメモリ804及びシステムプロセッサ802は、マシン可読記憶媒体も構成し得る。このソフトウェア822は更に、システムネットワークインターフェースデバイス808を介してネットワーク861を経由して送信又は受信され得る。
【0053】
例示の実施形態において、マシンアクセス可能記憶媒体831を単一の媒体として示したが、「マシン可読記憶媒体」という語は、1以上の支持命令セットを記憶する単一の媒体又は複数の媒体(例えば集中データベース若しくは分散データベース、並びに/又は関連キャッシュ及びサーバ)を含むと理解すべきである。用語「マシン可読記憶媒体」はまた、マシンによって実施される指示命令のセットを記憶すること又は符号化することが可能であり、且つ、方法のうちの任意の1以上をマシンに実施させる任意の媒体を含むとも解釈すべきである。従って、「マシン可読記憶媒体」という用語は、固体メモリ、光媒体、及び磁気媒体を含むがそれらに限定されないと解釈すべきである。
【0054】
前述の明細書では、特定の例示的な実施形態が説明された。以下の特許請求の範囲から逸脱しない限り、例示の実施形態に様々な修正を加えることができることが明らかになろう。従って、本明細書及び図面を限定的と捉えるのではなく、例として見なすべきである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8