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特許7089643変性共役ジエン系重合体、その製造方法及びそれを含むゴム組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-14
(45)【発行日】2022-06-22
(54)【発明の名称】変性共役ジエン系重合体、その製造方法及びそれを含むゴム組成物
(51)【国際特許分類】
   C08C 19/25 20060101AFI20220615BHJP
   C08F 36/04 20060101ALI20220615BHJP
   C08F 4/54 20060101ALI20220615BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20220615BHJP
   C08L 15/00 20060101ALI20220615BHJP
【FI】
C08C19/25
C08F36/04
C08F4/54
C08K3/013
C08L15/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021547722
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-01
(86)【国際出願番号】 KR2020013155
(87)【国際公開番号】W WO2021060942
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-08-16
(31)【優先権主張番号】10-2019-0118069
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】カン、ソク-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ペ、チュ-リャン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ソ-ウォン
(72)【発明者】
【氏名】イ、テ-チョル
【審査官】堀 洋樹
(56)【参考文献】
【文献】特許第5646947(JP,B2)
【文献】韓国公開特許第2019-44524(KR,A)
【文献】特表2019-527764(JP,A)
【文献】特開2013-60325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C 19/00-19/41
C08F 4-00-246/00
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共役ジエン系単量体由来繰り返し単位;及び
重合体の少なくとも一末端に下記化学式1で表される変性剤由来官能基を含むネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体。
【化12】

前記化学式1中、
及びRは、互いに独立して、N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む炭素数1から10の1価ヘテロ炭化水素基であるか;又は、前記R及びRは、互いに連結されてNとともに炭素数2から20のヘテロ環基を形成し、
及びRは、互いに独立して、炭素数1から10の2価炭化水素基であり、
は、炭素数1から10の1価炭化水素基であり、
からRは、互いに独立して、炭素数1から10のアルキル基又は炭素数1から10のアルコキシ基である。
【請求項2】
前記化学式1中、R及びRは、互いに独立して、N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む炭素数1から6のヘテロアルキル基であるか;又は、前記R及びRは、互いに連結されてNとともに炭素数3から10のヘテロ環基を形成し、
及びRは、互いに独立して、炭素数1から6のアルキレン基であり、
は、炭素数1から6のアルキル基であり、
からRは、互いに独立して、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基である、請求項1に記載のネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体。
【請求項3】
前記化学式1中、R及びRは、互いに独立して、Oを含む炭素数1から3のアルキル基であるか、前記R及びRは、互いに連結されてNとともに炭素数3から6のヘテロ環基を形成し、ここで前記ヘテロ環基は、Nの他にO又はSを含んでよく、
及びRは、互いに独立して、炭素数1から3のアルキレン基であり、
は、炭素数1から6のアルキル基であり、
からRは、互いに独立して、炭素数1から3のアルキル基である、請求項1または2に記載のネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体。
【請求項4】
前記化学式1で表される変性剤は、下記化学式1-1から化学式1-3で表される化合物よりなる群から選択された1つ以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載のネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体。
【化13】

【化14】

【化15】
【請求項5】
シス1,4-結合含量が96重量%以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載のネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体。
【請求項6】
変性率が20%以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載のネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体。
【請求項7】
炭化水素溶媒中、ネオジム化合物を含む触媒組成物の存在下で共役ジエン系単量体を重合して活性重合体を製造するステップ(S1);及び
前記活性重合体と、下記化学式1で表される変性剤とを反応させるステップ(S2)を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体の製造方法。
【化16】

前記化学式1中、
及びRは、互いに独立して、N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む炭素数1から10の1価ヘテロ炭化水素基であるか;又は、前記R及びRは、互いに連結されてNとともに炭素数2から20のヘテロ環基を形成し、
及びRは、互いに独立して、炭素数1から10の2価炭化水素基であり、
は、炭素数1から10の1価炭化水素基であり、
からRは、互いに独立して、炭素数1から10のアルキル基又は炭素数1から10のアルコキシ基である。
【請求項8】
前記化学式1で表される変性剤は、下記化学式1-1から化学式1-3で表される化合物よりなる群から選択された1つ以上である、請求項7に記載のネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体の製造方法。
【化17】

【化18】

【化19】
【請求項9】
前記変性剤は、前記共役ジエン系単量体100重量部を基準として、0.01重量部から1.00重量部で用いられる、請求項7または8に記載のネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体の製造方法。
【請求項10】
前記ネオジム化合物は、下記化学式2で表される化合物である、請求項7~9のいずれか一項に記載のネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体の製造方法。
【化20】

前記化学式2中、
からRは、互いに独立して、水素、又は炭素数1から12のアルキル基であり、
但し、RからRがいずれも同時に水素ではない。
【請求項11】
前記触媒組成物は、アルキル化剤、ハロゲン化物及び共役ジエン系単量体のうち少なくとも1つを含む、請求項7~10のいずれか一項に記載のネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体の製造方法。
【請求項12】
請求項1~6のいずれか一項に記載のネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体及び充填剤を含むゴム組成物。
【請求項13】
前記ネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体100重量部、及び充填剤0.1重量部から150重量部を含む、請求項12に記載のゴム組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年9月25日付韓国特許出願第10-2019-0118069号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に記載されている全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、充填剤親和性に優れたネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体、その製造方法及びそれを含むゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、自動車に対する低燃費化の要求に伴い、タイヤ用ゴム材料として、走行抵抗が少なく、耐磨耗性、引張特性に優れ、ウェットスキッド抵抗で代表される調整安定性も兼備した共役ジエン系重合体が求められている。
【0004】
タイヤの走行抵抗を減少させるためには、加硫ゴムのヒステリシス損失を小さくする方案があり、このような加硫ゴムの評価指標としては、50℃から80℃の反発弾性、tanδ、グッドリッチ発熱などが用いられる。すなわち、前記温度での反発弾性が大きいか、tanδ又はグッドリッチ発熱が小さいゴム材料が好ましい。
【0005】
ヒステリシス損失が小さいゴム材料としては、天然ゴム、ポリイソプレンゴム又はポリブタジエンゴムなどが知られているが、これらは、ウェットスキッド抵抗性が小さいという問題がある。そこで、近年は、スチレン-ブタジエンゴム(以下、SBRと記す)又はブタジエンゴム(以下、BRと記す)のような共役ジエン系(共)重合体が乳化重合や溶液重合により製造され、タイヤ用ゴムとして用いられている。
【0006】
前記BR又はSBRをタイヤ用ゴム材料として用いる場合には、タイヤの要求物性を得るために、通常、シリカやカーボンブラックなどの充填剤をともにブレンドして用いている。しかし、前記BR又はSBRと充填剤の親和性が不良なので、却って、耐磨耗性、耐クラック性又は加工性などを含めた物性が低下するという問題がある。
【0007】
そこで、SBRとシリカやカーボンブラックなどの充填剤の分散性を高めるための方法として、有機リチウムを用いたアニオン重合で得られる共役ジエン系重合体の重合活性部位を充填剤と相互作用の可能な官能基に変性する方法が提案されている。例えば、共役ジエン系重合体の重合活性末端をスズ系化合物に変性するか、アミノ基を導入する方法、又はアルコキシシラン誘導体に変性する方法などが提案されている。
【0008】
また、BRとシリカやカーボンブラックなどの充填剤の分散性を高めるための方法として、ランタン系希土類元素化合物を含む触媒組成物を用いた配位重合により得られるリビング重合体において、リビング活性末端を特定のカップリング剤や変性剤により変性する方法が開発されている。
【0009】
一方、末端が変性された重合体の場合、充填剤との親和性が改善され、配合物性、例えば、引張特性及び粘弾性特性が向上されるという長所があるが、その反面、配合加工性が大きく減少して加工性が不良であるという問題がある。
【0010】
したがって、SBR又はBRの製造時に、配合物性に優れるとともに加工性を改善させることができる方法が求められている実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】JP3175350B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前記従来の技術の問題点を解決するために案出されたものであって、充填剤親和性に優れたネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、前記ネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体の製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
併せて、本発明は、前記ネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体を含むゴム組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するために、本発明は、共役ジエン系単量体由来繰り返し単位;及び、重合体の少なくとも一末端に下記化学式1で表される変性剤由来官能基を含むネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体を提供する。
【0016】
【化1】
【0017】
前記化学式1中、
1及びR2は、互いに独立して、N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む炭素数1から10の1価ヘテロ炭化水素基であるか;又は、前記R1及びR2は、互いに連結されてNとともに炭素数2から20のヘテロ環基を形成するものであり、
3及びR4は、互いに独立して、炭素数1から10の2価炭化水素基であり、
5は、炭素数1から10の1価炭化水素基であり、
6からR8は、互いに独立して、炭素数1から10のアルキル基又は炭素数1から10のアルコキシ基である。
【0018】
また、本発明は、炭化水素溶媒中で、ネオジム化合物を含む触媒組成物の存在下で共役ジエン系単量体を重合して活性重合体を製造するステップ(S1);及び、前記活性重合体と下記化学式1で表される変性剤を反応させるステップ(S2)を含むものである、前記ネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体の製造方法を提供する。
【0019】
【化2】
【0020】
前記化学式1中、
1及びR2は、互いに独立して、N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む炭素数1から10の1価ヘテロ炭化水素基であるか;又は、前記R1及びR2は、互いに連結されてNとともに炭素数2から20のヘテロ環基を形成するものであり、
3及びR4は、互いに独立して、炭素数1から10の2価炭化水素基であり、
5は、炭素数1から10の1価炭化水素基であり、
6からR8は、互いに独立して、炭素数1から10のアルキル基又は炭素数1から10のアルコキシ基である。
【0021】
併せて、本発明は、前記ネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体及び充填剤を含むゴム組成物を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によるネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体は、少なくとも一末端に化学式1で表される変性剤由来官能基を含むことにより、充填剤との親和性に優れ、よって、ゴム組成物に適用する際にゴム組成物の配合物性を改善させることができる。
【0023】
また、本発明による前記変性共役ジエン系重合体の製造方法は、化学式1で表される変性剤と反応させるステップを含むことにより、少なくとも一末端に変性剤由来官能基を導入させて充填剤との親和性に優れたネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体を製造することができる。
【0024】
併せて、本発明によるゴム組成物は、前記変性共役ジエン系重合体を含むことにより、引張特性及び粘弾性特性に優れるとともに耐磨耗性に優れることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に対する理解を助けるために本発明をさらに詳細に説明する。
【0026】
本発明の説明及び特許請求の範囲で用いられた用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者は、自身の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に適合する意味と概念として解釈すべきである。
【0027】
本発明で用いる用語及び測定方法は、別途に定義しない限り、下記のように定義され得る。
【0028】
[用語]
本発明における用語「1価炭化水素基」は、1価のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、不飽和結合を1以上含むシクロアルキル基及びアリール基などの炭素と水素が結合された1価の原子団を意味してよく、1価炭化水素で表される置換基の最小の炭素原子数は、各置換基の種類により決定され得る。
【0029】
本発明における用語「2価炭化水素基」は、2価のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、不飽和結合を1以上含むシクロアルキレン基及びアリレン基などの炭素と水素が結合された2価の原子団を意味してよく、2価炭化水素で表される置換基の最小の炭素原子数は、各置換基の種類により決定され得る。
【0030】
本発明における用語「アルキル基(alkyl group)」は、1価の脂肪族飽和炭化水素を意味してよく、メチル、エチル、プロピル及びブチルなどの線形アルキル基;イソプロピル(isopropyl)、sec-ブチル(sec-butyl)、tert-ブチル(tert-butyl)及びネオペンチル(neo-pentyl)などの分岐状アルキル基;及び、環状の飽和炭化水素、又は不飽和結合を1個又は2個以上含む環状の不飽和炭化水素を全て含む意味であってよい。
【0031】
本発明における用語「アルキレン基(alkylene group)」は、メチレン、エチレン、プロピレン及びブチレンなどのような2価の脂肪族飽和炭化水素を意味し得る。
【0032】
本発明における用語「1価ヘテロ炭化水素基」は、1価のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、不飽和結合を1以上含むシクロアルキル基及びアリール基などの炭素と水素が結合された1価の原子団内の炭素原子が1個以上のヘテロ原子で置換されたものであり、ここでヘテロ原子は、N、S及びOから選択された1個以上であってよい。
【0033】
本発明における用語「ヘテロアルキル基(heteroalkyl group)」は、アルキル基内の炭素原子が1個以上のヘテロ原子で置換されたものであり、ここで、ヘテロ原子は、N、S及びOから選択された1個以上であってよい。
【0034】
本発明における用語「ヘテロ環基(heterocyclic group)」は、シクロアルキル基又はアリール基内の炭素原子が1個以上のヘテロ原子で置換されたものであり、例えば、ヘテロシクロアルキル基又はヘテロアリール基を全て含む意味であってよい。
【0035】
本発明における用語「由来繰り返し単位」、「由来単位」及び「由来官能基」は、ある物質から起因した成分、構造又はその物質自体を意味してよい。
【0036】
本発明における用語「変性率(%)」は、重合活性部位が存在する重合体に対して変性剤(modifier)で変性させた場合、未変性重合体に対する変性重合体の比率(ratio)を意味してよく、これは、変性重合体及び未変性重合体全体に対する百分率(%)で示され得る。
【0037】
[測定方法]
本発明における「変性率(%)」は、クロマトグラフィー測定で得られたクロマトグラムを用いて下記数式1により計算された値であって、前記クロマトグラフィー測定は、例えば、重合体をシクロヘキサン(cyclohexane)に溶解させて試料(1.0mg/mlに製造)移動相保存器に保存し、他の移動相保存器にテトラヒドロフラン(THF)を保存した。前記移動相保存器をデュアル-ヘッドポンプにそれぞれ連結し、先ず、重合体が溶解された移動相保存器の溶液を、前記ポンプとループ体積が100ulである注入器とを介し、シリカ吸着剤が充填されたカラムに注入した。このとき、ポンプの圧力は450psiであり、注入の流速は0.7ml/minであった。次いで、検出器(ELSD、Waters社製)から重合体内の未変性ブタジエン重合体単位がこれ以上検出されないことを確認し、注入開始5分を基準に、前記テトラヒドロフランをポンプを介して前記カラムに注入した。このとき、ポンプの圧力は380psiであり、注入の流速は0.7ml/minであった。検出器からテトラヒドロフランの注入によって重合体内の変性ブタジエン重合体単位がこれ以上検出されないことを確認し、第2溶媒の注入を終了した。次いで、検出されたクロマトグラムの結果から、下記数式1により変性率(%)を計算した。
【0038】
【数1】
【0039】
前記数式1中、前記未変性重合体単位のピーク面積は、前記検出器に移送された第1溶液に対するクロマトグラムのピーク面積であり、前記変性重合体単位のピーク面積は、前記検出器に移送された第2溶液に対するクロマトグラムのピーク面積である。
【0040】
本発明における「1,4-シス結合含量」及び「1,2-ビニル結合含量」は、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)で測定することができ、例えば、同一セルの二硫化炭素をブランクとして5mg/mLの濃度に調製した共役ジエン系重合体の二硫化炭素溶液のFT-IR透過率スペクトラムを測定した後、測定スペクトラムの1130cm-1付近の最大ピーク値(a、ベースライン)、トランス-1,4結合を示す967cm-1付近の最小ピーク値(b)、1,2-ビニル結合を示す911cm-1付近の最小ピーク値(c)、そして、シス-1,4結合を示す736cm-1付近の最小ピーク値(d)を用いてそれぞれの含量を求めたものである。
【0041】
[ネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体]
本発明は、充填剤親和性に優れたネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体を提供する。
【0042】
本発明の一実施形態による前記ネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体は、共役ジエン系単量体由来繰り返し単位;及び、重合体の少なくとも一末端に下記化学式1で表される変性剤由来官能基を含むことを特徴とする。
【0043】
【化3】
【0044】
前記化学式1中、
1及びR2は、互いに独立して、N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む炭素数1から10の1価ヘテロ炭化水素基であるか;又は、R1及びR2は、互いに連結されてNとともに炭素数2から20のヘテロ環基を形成するものであり、
3及びR4は、互いに独立して、炭素数1から10の2価炭化水素基であり、
5は、炭素数1から10の1価炭化水素基であり、
6からR8は、互いに独立して、炭素数1から10のアルキル基又は炭素数1から10のアルコキシ基である。
【0045】
本発明の一実施形態による前記化学式1で表される変性剤は、前記化学式1で表される化合物そのものであってよく、前記化学式1で表される化合物とともに共役ジエン系重合体を変性させることができる他の化合物を含むものであってよい。
【0046】
一例として、本発明の一実施形態による前記化学式1で表される変性剤は、分子内のエステル基を含んでいることにより重合体活性部位との反応活性が高いため、重合体活性部位と円滑に反応して重合体に前記変性剤由来官能基を容易に導入させることができ、よって、前記化学式1で表される変性剤由来官能基を含む変性共役ジエン系重合体は高変性の特性を有し得る。
【0047】
他の例として、前記化学式1で表される変性剤は、分子内のエステル基及びアミン基を含み、この際、前記エステル基が炭化水素基(R4)によりN原子に結合された構造であってよく、よって、前記変性剤由来官能基を重合体にさらに容易に導入させることができる。
【0048】
例示的に、本発明による化学式1で表される変性剤と類似の構造を有し、ただし、連結基として、炭化水素基のR4が存在せずにエステル基がN原子に直接連結されている構造、すなわち、アミド基(amide、RC(=O)NR’R’’、ここで、R、R’及びR’’は、1価の炭化水素基である)形態のエステル基を含む化合物は、前記アミド基により活性重合体と反応して前記活性重合体を変性させるようになる。しかし、アミド基の場合、エステル基に比べて活性重合体との反応性が低く、よって、重合体に前記変性剤由来官能基を容易に導入させるのに困難があり、結果として、アミド基を含む変性剤から製造された変性重合体は変性率が不良なので、充填剤親和性が目的とするほど十分でなく、結果として配合物性改善の効果が微々であるという問題がある。
【0049】
一方、本発明による前記化学式1で表される変性剤は、エステル基とN原子が炭化水素基(R4)で連結されていることにより、重合体活性部位と反応性に優れた前記エステル基とにより反応がなされ、よって、前記変性剤由来官能基を重合体に高含量で容易に導入させることができる。したがって、前記化学式1で表される変性剤由来官能基を含む変性共役ジエン系重合体は、充填剤親和性が大きく改善でき、これを含むゴム組成物の配合物性が顕著に改善されるという効果がある。また他の例として、前記化学式1で表される変性剤は、分子内の1つのエステル基を含むものであってよい。一方、前記エステル基は、活性重合体の活性部位に優れた反応性を有するものであって、前記エステル基により変性剤が活性重合体活性部位と反応して前記変性剤由来官能基を前記重合体に容易に導入させることができるが、エステル基が変性剤分子内に多くの数で含まれている場合、活性重合体と反応することができる反応サイトが多くなり反応性には有利な側面があるが、多くの活性重合体が1つの変性剤と同時に反応するようになるので、全体重合体の変性率が低く、よって、充填剤親和性の改善が十分でないため、配合物性、例えば、回転抵抗性(燃費性)の改善が微々であることがあり、巨大高分子の形成で却って加工性が低下するという問題が発生し得る。
【0050】
また、本発明の一実施形態による前記変性剤は、分子内に充填剤との親和力を高めることができる官能基、例えば、3次アミン基を含むことにより、重合体と充填剤との間の配合物性を向上させることができ、さらに、前記のとおり、3次アミン基を含むことにより、ゴム組成物内の充填剤同士の凝集を防止して充填剤の分散性を向上させることができる。例えば、充填剤として無機充填剤の一種であるシリカを用いる場合、シリカの表面に存在する水酸化基同士の水素結合により凝集が発生しやすいが、前記3次アミン基がシリカの水酸化基同士の水素結合を妨害してシリカの分散性を向上させることができる。このように、前記変性剤は、変性共役ジエン系重合体の配合物性を最大化することができる構造を有するので、ゴム組成物の耐磨耗性及び加工性などの機械的物性のバランスに優れた変性共役ジエン系重合体を効率よく製造することができる。
【0051】
また他の例として、本発明による前記変性剤は、化学式1中、R1及びR2の位置にヘテロアルキル基又はヘテロ環基が導入されていることにより、ゴム組成物内の充填剤の分散性を向上させることができる。例えば、充填剤として無機充填剤の一種であるシリカを用いる場合、シリカの表面に存在する水酸化基同士の水素結合により凝集が発生しやすいが、本発明による前記化学式1で表される変性剤は、炭化水素基より相対的に極性が高いヘテロアルキル基又はヘテロ環基が導入されているため、前記ヘテロアルキル基又はヘテロ環基により前記シリカの水酸化基と極性結合が誘導でき、よって、シリカの水酸化基同士の水素結合を妨害してシリカの分散性を向上させることができる。
【0052】
具体的には、前記化学式1中、R1及びR2は、互いに独立して、N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む炭素数1から6のヘテロアルキル基であるか、前記R1及びR2は、互いに連結されてNとともに炭素数3から10のヘテロ環基を形成するものであり、R3及びR4は、互いに独立して、炭素数1から6のアルキレン基であり、R5は、炭素数1から6のアルキル基であり、R6からR8は、互いに独立して、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基であってよく、より具体的には、前記化学式1中、R1及びR2は、互いに独立して、Oを含む炭素数1から3のアルキル基であるか、前記R1及びR2は、互いに連結されてNとともに炭素数3から6のヘテロ環基を形成するものであり、このとき、前記ヘテロ環基は、Nの他にO又はSを含んでよく、R3及びR4は、互いに独立して、炭素数1から3のアルキレン基であり、R5は、炭素数1から6のアルキル基であり、R6からR8は、互いに独立して、炭素数1から3のアルキル基であってよい。
【0053】
もし、前記化学式1中、R6からR8が互いに独立してアルキル基である場合、前記化学式1は、分子内の保護されたアミン基を含んでよく、前記保護されたアミン基は、変性剤内のエステル基と活性重合体の活性部位との反応で前記重合体内に導入され、その後、前記保護されたアミン基から保護基が除去されることにより、充填剤親和性官能基の2次アミンを形成して重合体の充填剤親和性をさらに改善させることができる。
【0054】
さらに具体的には、前記化学式1で表される変性剤は、下記化学式1-1から化学式1-3で表される化合物よりなる群から選択された1種以上のものであってよい。
【0055】
【化4】
【0056】
【化5】
【0057】
【化6】
【0058】
一方、本発明におけるネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体は、ネオジム化合物を含む触媒組成物から由来した、すなわち、触媒から活性化された有機金属部位を含む変性共役ジエン系重合体を示すものであってよく、前記変性共役ジエン系重合体は、変性ポリブタジエンのようなブタジエン単独重合体、又はブタジエン-イソプレン共重合体のような変性ブタジエン共重合体であってよい。
【0059】
具体的には、前記ネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体は、共役ジエン系単量体由来繰り返し単位を含むものであって、このとき、前記ネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体が変性ブタジエン共重合体である場合、共役ジエン系単量体由来繰り返し単位とともにそれ以外の共役ジエン系単量体由来繰り返し単位を含むものであってよい。
【0060】
より具体的には、前記ネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体は、1,3-ブタジエン単量体由来繰り返し単位80重量%から100重量%、及び選択的に1,3-ブタジエンと共重合可能なそれ以外の共役ジエン系単量体由来繰り返し単位20%重量%以下を含んでよく、前記範囲内でシス1,4-結合含量が前述した範囲内に調節されてよい。このとき、前記1,3-ブタジエン単量体は、1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、又は2-エチル-1,3-ブタジエンなどの1,3-ブタジエン又はその誘導体を含んでよく、前記1,3-ブタジエンと共重合可能なそれ以外の共役ジエン系単量体は、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ペンタジエン、3-メチル-1,3-ペンタジエン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン又は2,4-ヘキサジエンなどを含んでよく、これらのうちいずれか1つ又は2つ以上の化合物が用いられてよい。
【0061】
より具体的には、本発明におけるネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体は、1,3-ブタジエン単量体由来繰り返し単位を含むネオジム触媒化変性ブタジエン系重合体であってよい。
【0062】
本発明において、共役ジエン系重合体の活性化された有機金属部位とは、共役ジエン系重合体の末端の活性化された有機金属部位(分子鎖末端の活性化された有機金属部位)、主鎖中の活性化された有機金属部位、又は測鎖中の活性化された有機金属部位であってよく、この中でもアニオン重合又は配位アニオン重合により共役ジエン系重合体の活性化された有機金属部位を得る場合、前記活性化された有機金属部位は、末端の活性化された有機金属部位であってよい。
【0063】
また、前記ネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体は、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)で測定した共役ジエン部のシス-1,4結合の含量が96重量%以上、具体的には97重量%以上、より具体的には98重量%以上のものであってよい。よって、ゴム組成物に適用する際、ゴム組成物の耐磨耗性、耐クラック性及び耐オゾン性が向上し得る。
【0064】
また、前記ネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体は、フーリエ変換赤外分光法で測定した共役ジエン部の1,2-ビニル結合の含量が4重量%以下、具体的には3重量%以下、より具体的には2重量%以下であってよい。重合体内の1,2-ビニル結合の含量が4重量%を超過する場合、これを含むゴム組成物の耐磨耗性、耐クラック性、耐オゾン性が劣化する虞がある。
【0065】
また、本発明の前記変性共役ジエン系重合体は、先に定義した数式1から計算される変性率(%)が20%以上、具体的には20%以上60%以下であってよく、この範囲内で充填剤親和性に優れるので、ゴム組成物に適用する際に配合物性に優れ得る。
【0066】
また、本発明の一実施形態による前記変性共役ジエン系重合体は、100℃でのムーニー粘度(mooney viscosity、MV)が20以上100以下であってよく、具体的には30以上80以下、35以上75以下又は40以上70以下であってよい。本発明による前記変性共役ジエン系重合体は、前述した範囲のムーニー粘度を有することにより加工性に優れ得る。
【0067】
本発明における前記ムーニー粘度は、ムーニー粘度計、例えば、Monsanto社製のMV2000EのLarge Rotorを用いて100℃及びRotor Speed 2±0.02rpmの条件で測定した。具体的には、重合体を室温(23±5℃)で30分以上放置した後、27±3gを採取してダイキャビティの内部に満たしておき、プラテン(Platen)を作動させてトルクを印加しながらムーニー粘度を測定したものである。
【0068】
また、前記変性共役ジエン系重合体は、2.0から3.5の分子量分布(Mw/Mn)を有してよく、より具体的には、2.5から3.5、2.5から3.2又は2.6から3.0の分子量分布を有してよい。。
【0069】
本発明において、変性共役ジエン系重合体の分子量分布は、重量平均分子量(Mw)に対する数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)から計算され得る。このとき、前記数平均分子量(Mn)は、n個の重合体分子の分子量を測定し、これら分子量の総和を求め、nで除して計算した個別重合体分子量の共通平均(common average)であり、前記重量平均分子量(Mw)は、高分子組成物の分子量分布を示す。全ての分子量平均はモル当りグラム(g/mol)で表されてよい。また、前記重量平均分子量及び数平均分子量は、それぞれゲル透過型クロマトグラフィー(GPC)で分析されるポリスチレン換算分子量を意味し得る。
【0070】
本発明の一実施形態による前記変性共役ジエン系重合体は、前記分子量分布条件を満たす同時に、重量平均分子量(Mw)が3×105から1.5×106g/molであってよく、数平均分子量(Mn)が1.0×105から5.0×105g/molであってよく、この範囲内でゴム組成物に適用する際、引張特性に優れ、加工性に優れるため、ゴム組成物の作業性改善により混錬が容易なので、ゴム組成物の機械的物性及び物性バランスに優れるという効果がある。前記重量平均分子量は、一例として、5×105から1.2×106g/mol、又は5×105から8×105g/molであってよく、数平均分子量は、一例として、1.5×105から3.5×105g/mol、又は2.0×105から2.7×105g/molであってよい。
【0071】
より具体的には、本発明の一実施形態による前記変性共役ジエン系重合体は、前記分子量分布とともに重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量の条件を同時に満たす場合、ゴム組成物に適用する際、ゴム組成物に対する引張特性、粘弾性及び加工性に優れ、これらの間の物性バランスに優れるという効果がある。
【0072】
[ネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体の製造方法]
また、本発明は、前記ネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体の製造方法を提供する。
【0073】
本発明の一実施形態による前記製造方法は、炭化水素溶媒中で、ネオジム化合物を含む触媒組成物の存在下で共役ジエン系単量体を重合して活性重合体を製造するステップ(S1);及び、前記活性重合体と化学式1で表される変性剤を反応させるステップ(S2)を含むことを特徴とする。
【0074】
【化7】
【0075】
前記化学式1中、R1からR8は、先に定義したとおりである。
【0076】
前記ステップ(S1)は、触媒組成物から由来した活性化された有機金属部位を含む活性重合体を製造するためのステップであって、炭化水素溶媒中で触媒組成物の存在下で共役ジエン系単量体及び変性単量体を重合して行うことができる。
【0077】
ここで、共役ジエン系単量体は、先に定義した1,3-ブタジエン単量体及びこれと共重合可能なそれ以外の共役ジエン系単量体を含むものであってよく、例えば、1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン又は2-エチル-1,3-ブタジエンであるか、1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン又は2-エチル-1,3-ブタジエン、及び2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ペンタジエン、3-メチル-1,3-ペンタジエン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン又は2,4-ヘキサジエンであってよい。
【0078】
前記炭化水素溶媒は、特に制限されるものではないが、例えば、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、イソオクタン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン及びキシレンよりなる群から選択された1種以上のものであってよい。
【0079】
前記触媒組成物は、共役ジエン系単量体の全100gを基準にネオジム化合物が0.1mmolから0.5mmolとなるようにする量で用いるものであってよく、具体的には、前記ネオジム化合物が共役ジエン系単量体の全100gを基準に0.1mmolから0.4mmol、より具体的には0.1mmolから0.25mmolとなるようにする量で用いるものであってよい。
【0080】
また、前記ネオジム化合物は、そのカルボン酸塩(例えば、ネオジム酢酸塩、ネオジムアクリル酸塩、ネオジムメタクリル酸塩、ネオジムグルコン酸塩、ネオジムクエン酸塩、ネオジムフマル酸塩、ネオジム乳酸塩、ネオジムマレイン酸塩、ネオジムシュウ酸塩、ネオジム2-エチルヘキサノエート、ネオジムネオデカノエートなど);有機リン酸塩(例えば、ネオジムジブチルリン酸塩、ネオジムジペンチルリン酸塩、ネオジムジヘキシルリン酸塩、ネオジムジヘプチルリン酸塩、ネオジムジオクチルリン酸塩、ネオジムビス(1-メチルヘプチル)リン酸塩、ネオジムビス(2-エチルヘキシル)リン酸塩、又はネオジムジデシルリン酸塩など);有機ホスホン酸塩(例えば、ネオジムブチルホスホン酸塩、ネオジムペンチルホスホン酸塩、ネオジムヘキシルホスホン酸塩、ネオジムヘプチルホスホン酸塩、ネオジムオクチルホスホン酸塩、ネオジム(1-メチルヘプチル)ホスホン酸塩、ネオジム(2-エチルヘキシル)ホスホン酸塩、ネオジムデシルホスホン酸塩、ネオジムドデシルホスホン酸塩又はネオジムオクタデシルホスホン酸塩など);有機ホスフィン酸塩(例えば、ネオジムブチルホスフィン酸塩、ネオジムペンチルホスフィン酸塩、ネオジムヘキシルホスフィン酸塩、ネオジムヘプチルホスフィン酸塩、ネオジムオクチルホスフィン酸塩、ネオジム(1-メチルヘプチル)ホスフィン酸塩又はネオジム(2-エチルヘキシル)ホスフィン酸塩など);カルバミン酸塩(例えば、ネオジムジメチルカルバミン酸塩、ネオジムジエチルカルバミン酸塩、ネオジムジイソプロピルカルバミン酸塩、ネオジムジブチルカルバミン酸塩又はネオジムジベンジルカルバミン酸塩など);ジチオカルバミン酸塩(例えば、ネオジムジメチルジチオカルバミン酸塩、ネオジムジエチルジチオカルバミン酸塩、ネオジムジイソプロピルジチオカルバミン酸塩又はネオジムジブチルジチオカルバミン酸塩など);キサントゲン酸塩(例えば、ネオジムメチルキサントゲン酸塩、ネオジムエチルキサントゲン酸塩、ネオジムイソプロピルキサントゲン酸塩、ネオジムブチルキサントゲン酸塩、又はネオジムベンジルキサントゲン酸塩など);β-ジケトネート(例えば、ネオジムアセチルアセトネート、ネオジムトリフルオロアセチルアセトネート、ネオジムヘキサフルオロアセチルアセトネート又はネオジムベンゾイルアセトネートなど);アルコキシド又はアリルオキシド(例えば、ネオジムメトキシド、ネオジムエトキシド、ネオジムイソプロポキシド、ネオジムフェノキシド、又はネオジムノニルフェノキシドなど);ハロゲン化物又は擬ハロゲン化物(ネオジムフッ化物、ネオジム塩化物、ネオジム臭化物、ネオジムヨウ化物、ネオジムシアン化物、ネオジムシアン酸塩、ネオジムチオシアン酸塩、又はネオジムアジドなど);オキシハライド(例えば、ネオジムオキシフルオリド、ネオジムオキシクロリド、又はネオジムオキシブロミドなど);又は1以上のネオジム-炭素結合を含む有機ネオジム含有化合物(例えば、Cp3Nd、Cp2NdR、Cp2NdCl、CpNdCl2、CpNd(シクロオクタテトラエン)、(C5Me52NdR、NdR3、Nd(アリル)3、又はNd(アリル)2Clなど、前記式中、Rは、ヒドロカルビル基である)などが挙げられ、これらのうちいずれか1つ又は2つ以上の混合物を含んでよい。
【0081】
具体的には、前記ネオジム化合物は、下記化学式2で表されるネオジム化合物を含むものであってよい。
【0082】
【化8】
【0083】
前記化学式2中、RaからRcは、互いに独立して、水素、又は炭素数1から12のアルキル基であり、ただし、RaからRcがいずれも同時に水素ではない。
【0084】
より具体的には、前記ネオジム化合物は、Nd(2-エチルヘキサノエート)3、Nd(2,2-ジメチルデカノエート)3、Nd(2,2-ジエチルデカノエート)3、Nd(2,2-ジプロピルデカノエート)3、Nd(2,2-ジブチルデカノエート)3、Nd(2,2-ジヘキシルデカノエート)3、Nd(2,2-ジオクチルデカノエート)3、Nd(2-エチル-2-プロピルデカノエート)3、Nd(2-エチル-2-ブチルデカノエート)3、Nd(2-エチル-2-ヘキシルデカノエート)3、Nd(2-プロピル-2-ブチルデカノエート)3、Nd(2-プロピル-2-ヘキシルデカノエート)3、Nd(2-プロピル-2-イソプロピルデカノエート)3、Nd(2-ブチル-2-ヘキシルデカノエート)3、Nd(2-ヘキシル-2-オクチルデカノエート)3、Nd(2,2-ジエチルオクタノエート)3、Nd(2,2-ジプロピルオクタノエート)3、Nd(2,2-ジブチルオクタノエート)3、Nd(2,2-ジヘキシルオクタノエート)3、Nd(2-エチル-2-プロピルオクタノエート)3、Nd(2-エチル-2-ヘキシルオクタノエート)3、Nd(2,2-ジエチルノナノエート)3、Nd(2,2-ジプロピルノナノエート)3、Nd(2,2-ジブチルノナノエート)3、Nd(2,2-ジヘキシルノナノエート)3、Nd(2-エチル-2-プロピルノナノエート)3及びNd(2-エチル-2-ヘキシルノナノエート)3よりなる群から選択された1種以上のものであってよい。
【0085】
また、他の例として、オリゴマー化に対する懸念なく、溶媒に対する優れた溶解度、触媒活性種への転換率、及びこれによる触媒活性改善の効果の優秀さを考慮すると、前記ネオジム化合物は、より具体的には、前記化学式2中、Raが、炭素数4から12のアルキル基であり、Rb及びRcは、互いに独立して、水素、又は炭素数2から8のアルキル基であり、ただし、Rb及びRcが同時に水素ではないネオジム化合物であってよい。
【0086】
より具体的な例として、前記化学式2中、前記Raは、炭素数6から8のアルキル基であり、Rb及びRcは、それぞれ独立して、水素、又は炭素数2から6のアルキル基であってよく、このとき、前記Rb及びRcは同時に水素でなくてよく、その具体的な例としては、Nd(2,2-ジエチルデカノエート)3、Nd(2,2-ジプロピルデカノエート)3、Nd(2,2-ジブチルデカノエート)3、Nd(2,2-ジヘキシルデカノエート)3、Nd(2,2-ジオクチルデカノエート)3、Nd(2-エチル-2-プロピルデカノエート)3、Nd(2-エチル-2-ブチルデカノエート)3、Nd(2-エチル-2-ヘキシルデカノエート)3、Nd(2-プロピル-2-ブチルデカノエート)3、Nd(2-プロピル-2-ヘキシルデカノエート)3、Nd(2-プロピル-2-イソプロピルデカノエート)3、Nd(2-ブチル-2-ヘキシルデカノエート)3、Nd(2-ヘキシル-2-オクチルデカノエート)3、Nd(2-t-ブチルデカノエート)3、Nd(2,2-ジエチルオクタノエート)3、Nd(2,2-ジプロピルオクタノエート)3、Nd(2,2-ジブチルオクタノエート)3、Nd(2,2-ジヘキシルオクタノエート)3、Nd(2-エチル-2-プロピルオクタノエート)3、Nd(2-エチル-2-ヘキシルオクタノエート)3、Nd(2,2-ジエチルノナノエート)3、Nd(2,2-ジプロピルノナノエート)3、Nd(2,2-ジブチルノナノエート)3、Nd(2,2-ジヘキシルノナノエート)3、Nd(2-エチル-2-プロピルノナノエート)3及びNd(2-エチル-2-ヘキシルノナノエート)3よりなる群から選択された1種以上であってよく、この中でも、前記ネオジム系化合物は、Nd(2,2-ジエチルデカノエート)3、Nd(2,2-ジプロピルデカノエート)3、Nd(2,2-ジブチルデカノエート)3、Nd(2,2-ジヘキシルデカノエート)3、及びNd(2,2-ジオクチルデカノエート)3よりなる群から選択された1種以上であってよい。
【0087】
さらに具体的には、前記化学式2中、前記Raは、炭素数6から8のアルキル基であり、Rb及びRcは、それぞれ独立して、炭素数2から6のアルキル基であってよい。
【0088】
このように、前記化学式2で表されるネオジム化合物は、α(アルファ)位に炭素数2以上の多様な長さのアルキル基を置換基として含むカルボキシレートリガンドを含むことにより、ネオジムの中心金属の周りに立体的な変化を誘導して化合物同士の凝集現象を遮断することができ、これにより、オリゴマー化を抑制することができるという効果がある。また、このようなネオジム化合物は、溶媒に対する溶解度が高く、触媒活性種への転換が困難な中心部分に位置するネオジムの比率が減少するので、触媒活性種への転換率が高いという効果がある。
【0089】
また、本発明の一実施形態による前記ネオジム化合物の溶解度は、常温(25℃)で、非極性溶媒6g当り約4g以上であってよい。
【0090】
本発明において、ネオジム化合物の溶解度は、濁る現象なくきれいに溶解される程度を意味するものであって、このように高い溶解度を示すことによって優れた触媒活性を示すことができる。
【0091】
また、本発明の一実施形態による前記ネオジム化合物は、ルイス塩基との反応物の形態で用いられてもよい。この反応物は、ルイス塩基により、ネオジム化合物の溶媒に対する溶解性を向上させ、長期間にわたり安定した状態で保存することができるという効果がある。前記ルイス塩基は、一例として、ネオジム1モル当り30モル以下、又は1から10モルの比率で用いられてよい。前記ルイス塩基は、一例として、アセチルアセトン、テトラヒドロフラン、ピリジン、N,N-ジメチルホルムアミド、チオフェン、ジフェニルエーテル、トリエチルアミン、有機リン化合物、又は1価もしくは2価のアルコールなどであってよい。
【0092】
一方、前記触媒組成物は、ネオジム化合物とともに、アルキル化剤、ハロゲン化物及び共役ジエン系単量体のうち少なくとも1つをさらに含むものであってよい。
【0093】
すなわち、本発明の一実施形態による触媒組成物は、ネオジム化合物を含み、アルキル化剤、ハロゲン化物及び共役ジエン系単量体のうち少なくとも1つをさらに含むものであってよい。
【0094】
以下、前記(a)アルキル化剤、(b)ハロゲン化物及び(c)共役ジエン系単量体を分けて具体的に説明する。
【0095】
(a)アルキル化剤
前記アルキル化剤は、ヒドロカルビル基を他の金属に伝達することができる有機金属化合物であって、助触媒の役割を担うものであってよい。前記アルキル化剤は、通常、ジエン系重合体の製造時にアルキル化剤として用いられるものであれば特に制限なく用いることができ、例えば、有機アルミニウム化合物、有機マグネシウム化合物、又は有機リチウム化合物などのように、重合溶媒に可溶性であり、金属-炭素の結合を含有する有機金属化合物であってよい。
【0096】
具体的には、前記有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ-n-プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)、トリ-t-ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムなどのアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジ-n-プロピルアルミニウムヒドリド、ジイソプロピルアルミニウムヒドリド、ジ-n-ブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAH)、ジ-n-オクチルアルミニウムヒドリド、ジフェニルアルミニウムヒドリド、ジ-p-トリルアルミニウムヒドリド、ジベンジルアルミニウムヒドリド、フェニルエチルアルミニウムヒドリド、フェニル-n-プロピルアルミニウムヒドリド、フェニルイソプロピルアルミニウムヒドリド、フェニル-n-ブチルアルミニウムヒドリド、フェニルイソブチルアルミニウムヒドリド、フェニル-n-オクチルアルミニウムヒドリド、p-トリルエチルアルミニウムヒドリド、p-トリル-n-プロピルアルミニウムヒドリド、p-トリルイソプロピルアルミニウムヒドリド、p-トリル-n-ブチルアルミニウムヒドリド、p-トリルイソブチルアルミニウムヒドリド、p-トリル-n-オクチルアルミニウムヒドリド、ベンジルエチルアルミニウムヒドリド、ベンジル-n-プロピルアルミニウムヒドリド、ベンジルイソプロピルアルミニウムヒドリド、ベンジル-n-ブチルアルミニウムヒドリド、ベンジルイソブチルアルミニウムヒドリド、又はベンジル-n-オクチルアルミニウムヒドリドなどのジヒドロカルビルアルミニウムヒドリド;エチルアルミニウムジヒドリド、n-プロピルアルミニウムジヒドリド、イソプロピルアルミニウムジヒドリド、n-ブチルアルミニウムジヒドリド、イソブチルアルミニウムジヒドリド、又はn-オクチルアルミニウムジヒドリドなどのようなヒドロカルビルアルミニウムジヒドリドなどが挙げられる。前記有機マグネシウム化合物としては、ジエチルマグネシウム、ジ-n-プロピルマグネシウム、ジイソプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジフェニルマグネシウム、又はジベンジルマグネシウムのようなアルキルマグネシウム化合物などが挙げられ、また、前記有機リチウム化合物としては、n-ブチルリチウムなどのようなアルキルリチウム化合物などが挙げられる。
【0097】
また、前記有機アルミニウム化合物は、アルミノキサンであってよい。
【0098】
前記アルミノキサンは、トリヒドロカルビルアルミニウム系化合物に水を反応させることで製造されるものであってよく、具体的には、下記化学式3aの直鎖アルミノキサン又は下記化学式3bの環状アルミノキサンであってよい。
【0099】
【化9】
【0100】
【化10】
【0101】
前記化学式3a及び3b中、Rは、炭素原子を介してアルミニウム原子に結合する1価の有機基であって、ヒドロカルビル基であってよく、x及びyは、互いに独立して、1以上の整数、具体的には1から100、より具体的には2から50の整数であってよい。
【0102】
さらに具体的には、前記アルミノキサンは、メチルアルミノキサン(MAO)、修飾メチルアルミノキサン(MMAO)、エチルアルミノキサン、n-プロピルアルミノキサン、イソプロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、n-ペンチルアルミノキサン、ネオペンチルアルミノキサン、n-ヘキシルアルミノキサン、n-オクチルアルミノキサン、2-エチルヘキシルアルミノキサン、シクロヘキシルアルミノキサン、1-メチルシクロペンチルアルミノキサン、フェニルアルミノキサン、又は2,6-ジメチルフェニルアルミノキサンなどであってよく、これらのうちいずれか1つ又は2つ以上の混合物が用いられてよい。
【0103】
また、前記修飾メチルアルミノキサンは、メチルアルミノキサンのメチル基を修飾基(R)、具体的には、炭素数2から20の炭化水素基で置換したものであって、具体的には、下記化学式4で表される化合物であってよい。
【0104】
【化11】
【0105】
前記化学式4中、Rは、先の定義のとおりであり、m及びnは、互いに独立して、2以上の整数であってよい。また、前記化学式4中、Meは、メチル基(methyl group)を示すものである。
【0106】
具体的には、前記化学式4中、前記Rは、炭素数2から20のアルキル基、炭素数3から20のシクロアルキル基、炭素数2から20のアルケニル基、炭素数3から20のシクロアルケニル基、炭素数6から20のアリール基、炭素数7から20のアリールアルキル基、炭素数7から20のアルキルアリール基、アリル基、又は炭素数2から20のアルキニル基であってよく、より具体的には、エチル基、イソブチル基、ヘキシル基又はオクチル基などのような炭素数2から10のアルキル基であり、さらに具体的には、イソブチル基であってよい。
【0107】
より具体的には、前記修飾メチルアルミノキサンは、メチルアルミノキサンのメチル基の約50モル%から90モル%を前記炭化水素基で置換したものであってよい。修飾メチルアルミノキサン中の置換された炭化水素基の含量が前記範囲内であるとき、アルキル化を促進させて触媒活性を増加させることができる。
【0108】
このような修飾メチルアルミノキサンは、通常の方法により製造されてよく、具体的には、トリメチルアルミニウムとトリメチルアルミニウム以外のアルキルアルミニウムを用いて製造されてよい。このとき、前記アルキルアルミニウムは、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム又はトリオクチルアルミニウムなどであってよく、これらのうちいずれか1つ又は2つ以上の混合物が用いられてよい。
【0109】
また、本発明の一実施形態による前記触媒組成物は、前記アルキル化剤を前記ランタン系希土類元素含有化合物1モルに対して1から200モル比、具体的には1から100モル比、より具体的には3から20モル比で含むものであってよい。もし、200モル比を超過して前記アルキル化剤を含む場合には、重合体の製造時に触媒反応の制御が容易でなく、過量のアルキル化剤が副反応を起こす虞がある。
【0110】
(b)ハロゲン化物
前記ハロゲン化物は、特に制限するものではないが、例えば、ハロゲン単体、ハロゲン間化合物(interhalogen compound)、ハロゲン化水素、有機ハライド、非金属ハライド、金属ハライド又は有機金属ハライドなどが挙げられ、これらのうちいずれか1つ又は2つ以上の混合物が用いられてよい。この中でも、触媒活性の向上、及びこれによる反応性改善の効果の優秀さを考慮すると、前記ハロゲン化物としては、有機ハライド、金属ハライド及び有機金属ハライドよりなる群から選択されたいずれか1つ又は2つ以上の混合物が用いられてよい。
【0111】
前記ハロゲン単体としては、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素が挙げられる。
【0112】
また、前記ハロゲン間化合物としては、ヨウ素モノクロリド、ヨウ素モノブロミド、ヨウ素トリクロリド、ヨウ素ペンタフルオリド、ヨウ素モノフルオリド又はヨウ素トリフルオリドなどが挙げられる。
【0113】
また、前記ハロゲン化水素としては、フッ化水素、塩化水素、臭化水素又はヨウ化水素が挙げられる。
【0114】
また、前記有機ハライドとしては、t-ブチルクロリド(t-BuCl)、t-ブチルブロミド、アリルクロリド、アリルブロミド、ベンジルクロリド、ベンジルブロミド、クロロ-ジ-フェニルメタン、ブロモ-ジ-フェニルメタン、トリフェニルメチルクロリド、トリフェニルメチルブロミド、ベンジリデンクロリド、ベンジリデンブロミド、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン(TMSCl)、ベンゾイルクロリド、ベンゾイルブロミド、プロピオニルクロリド、プロピオニルブロミド、メチルクロロホルメート、メチルブロモホルメート、ヨードメタン、ジヨードメタン、トリヨードメタン(「ヨードホルム」とも呼ばれる)、テトラヨードメタン、1-ヨードプロパン、2-ヨードプロパン、1,3-ジヨードプロパン、t-ブチルヨージド、2,2-ジメチル-1-ヨードプロパン(「ネオペンチルヨージド」とも呼ばれる)、アリルヨージド、ヨードベンゼン、ベンジルヨージド、ジフェニルメチルヨージド、トリフェニルメチルヨージド、ベンジリデンヨージド(「ベンザルヨージド」とも呼ばれる)、トリメチルシリルヨージド、トリエチルシリルヨージド、トリフェニルシリルヨージド、ジメチルジヨードシラン、ジエチルジヨードシラン、ジフェニルジヨードシラン、メチルトリヨードシラン、エチルトリヨードシラン、フェニルトリヨードシラン、ベンゾイルヨージド、プロピオニルヨージド又はメチルヨードホルメートなどが挙げられる。
【0115】
また、前記非金属ハライドとしては、三塩化リン、三臭化リン、五塩化リン、オキシ塩化リン、オキシ臭化リン、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、四フッ化ケイ素、四塩化ケイ素(SiCl4)、四臭化ケイ素、三塩化ヒ素、三臭化ヒ素、四塩化セレン、四臭化セレン、四塩化テルル、四臭化テルル、四ヨウ化ケイ素、三ヨウ化ヒ素、四ヨウ化テルル、三ヨウ化ホウ素、三ヨウ化リン、オキシヨウ化リン又は四ヨウ化セレンなどが挙げられる。
【0116】
また、前記金属ハライドとしては、四塩化スズ、四臭化スズ、三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン、三臭化アンチモン、三フッ化アルミニウム、三塩化ガリウム、三臭化ガリウム、三フッ化ガリウム、三塩化インジウム、三臭化インジウム、三フッ化インジウム、四塩化チタン、四臭化チタン、二塩化亜鉛、二臭化亜鉛、二フッ化亜鉛、三ヨウ化アルミニウム、三ヨウ化ガリウム、三ヨウ化インジウム、四ヨウ化チタン、二ヨウ化亜鉛、四ヨウ化ゲルマニウム、四ヨウ化スズ、二ヨウ化スズ、三ヨウ化アンチモン又は二ヨウ化マグネシウムが挙げられる。
【0117】
また、前記有機金属ハライドとしては、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジメチルアルミニウムフルオリド、ジエチルアルミニウムフルオリド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、メチルアルミニウムジブロミド、エチルアルミニウムジブロミド、メチルアルミニウムジフルオリド、エチルアルミニウムジフルオリド、メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド(EASC)、イソブチルアルミニウムセスキクロリド、メチルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、n-ブチルマグネシウムクロリド、n-ブチルマグネシウムブロミド、フェニルマグネシウムクロリド、フェニルマグネシウムブロミド、ベンジルマグネシウムクロリド、トリメチルスズクロリド、トリメチルスズブロミド、トリエチルスズクロリド、トリエチルスズブロミド、ジ-t-ブチルスズジクロリド、ジ-t-ブチルスズジブロミド、ジ-n-ブチルスズジクロリド、ジ-n-ブチルスズジブロミド、トリ-n-ブチルスズクロリド、トリ-n-ブチルスズブロミド、メチルマグネシウムヨージド、ジメチルアルミニウムヨージド、ジエチルアルミニウムヨージド、ジ-n-ブチルアルミニウムヨージド、ジイソブチルアルミニウムヨージド、ジ-n-オクチルアルミニウムヨージド、メチルアルミニウムジヨージド、エチルアルミニウムジヨージド、n-ブチルアルミニウムジヨージド、イソブチルアルミニウムジヨージド、メチルアルミニウムセスキヨージド、エチルアルミニウムセスキヨージド、イソブチルアルミニウムセスキヨージド、エチルマグネシウムヨージド、n-ブチルマグネシウムヨージド、イソブチルマグネシウムヨージド、フェニルマグネシウムヨージド、ベンジルマグネシウムヨージド、トリメチルスズヨージド、トリエチルスズヨージド、トリ-n-ブチルスズヨージド、ジ-n-ブチルスズジヨージド又はジ-t-ブチルスズジヨージドなどが挙げられる。
【0118】
また、本発明の一実施形態による前記触媒組成物は、前記ハロゲン化物を前記ランタン系希土類元素含有化合物1モルに対して1モルから20モル、より具体的には1モルから5モル、より具体的には2モルから3モルで含んでよい。もし、20モル比を超過して前記ハロゲン化物を含む場合には、触媒反応の除去が容易でなく、過量のハロゲン化物が副反応を起こす虞がある。
【0119】
また、本発明の一実施形態による触媒組成物は、前記ハロゲン化物の代りに又は前記ハロゲン化物とともに、非配位性アニオン含有化合物又は非配位アニオン前駆体化合物を含んでもよい。
【0120】
具体的には、前記非配位性アニオンを含む化合物において、非配位性アニオンは、立体障害によって触媒系の活性中心と配位結合を形成しない、立体的に体積が大きいアニオンであって、テトラアリールボレートアニオン又はフッ化テトラアリールボレートアニオンなどであってよい。また、前記非配位性アニオンを含む化合物は、前記非配位性アニオンとともに、トリアリールカルボニウムカチオンのようなカルボニウムカチオン;N,N-ジアルキルアニリニウムカチオンなどのようなアンモニウムカチオン、又はホスホニウムカチオンなどの対カチオンを含むものであってよい。より具体的には、前記非配位性アニオンを含む化合物は、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート又はN,N-ジメチルアニリニウムテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレートなどであってよい。
【0121】
また、前記非配位性アニオン前駆体としては、反応条件下で非配位性アニオンが形成可能な化合物であって、トリアリールホウ素化合物(BE3、このとき、Eは、ペンタフルオロフェニル基又は3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル基などのような、強い電子吸引性のアリール基である)が挙げられる。
【0122】
(c)共役ジエン系単量体
また、前記触媒組成物は、共役ジエン系単量体をさらに含んでよく、重合反応に用いられる共役ジエン系単量体の一部を重合用触媒組成物と予め混合して前(pre)重合した予備重合(preforming)又は予備混合(premix)触媒組成物の形態で用いることにより、触媒組成物の活性を向上させることができるだけでなく、製造される活性重合体を安定化させることができる。
【0123】
本発明において、前記「予備重合(preforming)」とは、ランタン系希土類元素含有化合物、アルキル化剤、及びハロゲン化物を含む触媒組成物、すなわち、触媒系においてジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAH)などを含む場合、これとともに様々な触媒組成物活性種の生成可能性を低減するために、1,3-ブタジエンなどの共役ジエン系単量体を少量添加することとなり、1,3-ブタジエンの添加とともに触媒組成物系中で前(pre)重合がなされることを意味し得る。また、「予備混合(premix)」とは、触媒組成物系で重合がなされず、各化合物が均一に混合されている状態を意味し得る。
【0124】
このとき、前記触媒組成物の製造に用いられる共役ジエン系単量体は、前記重合反応に用いられる共役ジエン系単量体の総使用量の範囲内で一部の量が用いられるものであってよく、例えば、前記ランタン系希土類元素含有化合物1モルに対して1モルから100モル、具体的には10モルから50モル、又は20モルから50モルで用いられるものであってよい。
【0125】
本発明の一実施形態による前記触媒組成物は、有機溶媒中で、前述したランタン系希土類元素含有化合物及びアルキル化剤、ハロゲン化物及び共役ジエン系単量体のうち少なくとも1つ、具体的には、ランタン系希土類元素含有化合物、アルキル化剤、ハロゲン化物、そして選択的に共役ジエン系単量体を混合することで製造することができる。このとき、前記有機溶媒は、前記触媒組成物の構成成分との反応性を有しない非極性溶媒であってよい。具体的には、前記非極性溶媒は、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、イソペンタン、イソヘキサン、イソペンタン、イソオクタン、2,2-ジメチルブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン又はメチルシクロヘキサンなどのような、直鎖状、分岐状又は環状の炭素数5から20の脂肪族炭化水素;石油エーテル(petroleum ether)又は石油スピリット(petroleum spirits)、又はケロシン(kerosene)などのような炭素数5から20の脂肪族炭化水素の混合溶媒;又はベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンなどのような芳香族炭化水素系溶媒などであってよく、これらのうちいずれか1つ又は2つ以上の混合物が用いられてよい。より具体的には、前記非極性溶媒は、前記直鎖状、分岐状又は環状の炭素数5から20の脂肪族炭化水素又は脂肪族炭化水素の混合溶媒であってよく、さらに具体的には、n-ヘキサン、シクロヘキサン、又はこれらの混合物であってもよい。
【0126】
また、前記有機溶媒は、触媒組成物を構成する構成成分、特に、アルキル化剤の種類により適宜選択されてよい。
【0127】
具体的には、アルキル化剤としてメチルアルミノキサン(MAO)又はエチルアルミノキサンなどのアルキルアルミノキサンの場合、脂肪族炭化水素系溶媒に容易に溶解されないため、芳香族炭化水素系溶媒が適宜用いられ得る。
【0128】
また、アルキル化剤として修飾メチルアルミノキサンが用いられる場合、脂肪族炭化水素系溶媒が適宜用いられ得る。この場合、重合溶媒として主に用いられるヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒とともに単一溶媒システムの具現が可能なので、重合反応にさらに有利であり得る。さらに、脂肪族炭化水素系溶媒は、触媒活性を促進させることができ、このような触媒活性により反応性をさらに向上させることができる。
【0129】
一方、前記有機溶媒は、ネオジム化合物1モルに対して20モルから20,000モルで、より具体的には100モルから1,000モルで用いられるものであってよい。
【0130】
一方、前記ステップ1の重合は、少なくとも2器の反応器を含む重合反応器で連続式重合で行われるか、回分式反応器で行われるものであってよい。
【0131】
また、前記重合は、昇温重合、等温重合又は定温重合(断熱重合)であってよい。
【0132】
ここで、定温重合は、触媒組成物を投入した後に任意に熱を加えず、それ自体の反応熱で重合させるステップを含む重合方法を示し、前記昇温重合は、触媒組成物の投入した後に任意に熱を加えて温度を増加させる重合方法を示し、前記等温重合は、触媒組成物を投入した後に熱を加えて熱を増加させるか、熱を奪うことで反応物の温度を一定に維持する重合方法を示すものである。
【0133】
また、前記重合は、配位アニオン重合を用いて行うか、ラジカル重合により行われてよく、具体的には、バルク重合、溶液重合、懸濁重合又は乳化重合であってよく、より具体的には、溶液重合であってよい。
【0134】
前記重合は、-20℃から200℃の温度範囲で行ってよく、具体的には50℃から150℃、より具体的には10℃から120℃又は60℃から90℃の温度範囲で15分から3時間行うものであってよい。もし、前記重合時の温度が200℃を超過する場合には、重合反応を十分に制御しにくく、生成された共役ジエン系重合体のシス-1,4結合の含量が低くなる虞があり、温度が-20℃未満であれば、重合反応の速度及び効率が低下する虞がある。
【0135】
また、本発明の一実施形態による前記変性共役ジエン系重合体の製造方法は、前記活性重合体を製造した後、ポリオキシエチレングリコールホスフェートなどのような重合反応を完了させるための反応停止剤;又は、2,6-ジ-t-ブチルパラクレゾールなどのような酸化防止剤などの添加剤をさらに用いて重合を終結させるステップを含んでよい。それ以外にも、反応停止剤とともに溶液重合を容易にする添加剤、例えば、キレート剤、分散剤、pH調節剤、脱酸素剤又は酸素捕捉剤(oxygen scavenger)のような添加剤を選択的にさらに用いることができる。
【0136】
前記ステップ(S2)は、活性重合体を変性又はカップリング反応させてネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体を製造するためのステップであって、前記活性重合体と変性剤を反応させて行うことができる。
【0137】
前記変性剤は、触媒組成物内のネオジム化合物1モルに対し0.5モルから20モルで用いるものであってよい。具体的には、前記変性剤は、触媒組成物内のネオジム化合物1モルに対し1モルから10モルで用いるものであってよい。
【0138】
また、前記変性剤は、共役ジエン系単量体100重量部を基準に、0.01重量部から1.00重量部、具体的には0.01重量部から0.50重量部で用いるのであってよい。
【0139】
また、前記変性反応は、0℃から90℃で1分から5時間反応を行うものであってよい。
【0140】
前記変性反応の終了後、有機酸、有機リン酸などの重合停止剤を重合反応系に添加して重合反応を停止させ、酸化防止剤を投入することができる。
【0141】
本発明の一実施形態による前記製造方法は、ステップ(S2)の後に水蒸気の供給を介して溶剤の分圧を低めるスチームストリッピングなどの脱溶媒処理や真空乾燥処理を経て、変性共役ジエン系重合体を得ることができる。また、前記反応の結果で得られる反応生成物中には、前記変性共役ジエン重合体とともに、変性されていない活性重合体が含まれていてもよい。
【0142】
[ゴム組成物及び成型品]
さらに進んで、本発明は、前記共役ジエン系重合体を含むゴム組成物及び前記ゴム組成物から製造された成型品を提供する。
【0143】
本発明の一実施形態による前記ゴム組成物は、ネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体を0.1重量%以上100重量%以下、具体的には10重量%から100重量%、より具体的には20重量%から90重量%で含むものであってよい。もし、前記変性共役ジエン系重合体の含量が0.1重量%未満である場合、結果的に、前記ゴム組成物を用いて製造された成型品、例えば、タイヤの耐磨耗性及び耐クラック性などの改善効果が微々であり得る。
【0144】
また、前記ゴム組成物は、前記変性共役ジエン系重合体以外に必要に応じて他のゴム成分をさらに含むことができ、このとき、前記ゴム成分は、ゴム組成物の総重量に対して90重量%以下の含量で含まれてよい。具体的には、前記変性共役ジエン系共重合体100重量部に対して1重量部から900重量部で含まれるものであってよい。
【0145】
前記ゴム成分は、天然ゴム又は合成ゴムであってよく、例えば、前記ゴム成分は、シス-1,4-ポリイソプレンを含む天然ゴム(NR);前記一般的な天然ゴムを変性又は精製した、エポキシ化天然ゴム(ENR)、脱タンパク天然ゴム(DPNR)、水素化天然ゴムなどの変性天然ゴム;スチレン-ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン-プロピレン共重合体、ポリイソブチレン-コ-イソプレン、ネオプレン、ポリ(エチレン-コ-プロピレン)、ポリ(スチレン-コ-ブタジエン)、ポリ(スチレン-コ-イソプレン)、ポリ(スチレン-コ-イソプレン-コ-ブタジエン)、ポリ(イソプレン-コ-ブタジエン)、ポリ(エチレン-コ-プロピレン-コ-ジエン)、ポリスルフィドゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ハロゲン化ブチルゴムなどのような合成ゴムであってよく、これらのうちいずれか1つ又は2つ以上の混合物が用いられてよい。
【0146】
また、前記ゴム組成物は、変性共役ジエン系重合体100重量部に対して0.1重量部から150重量部の充填剤を含むものであってよく、前記充填剤は、シリカ系、カーボンブラック又はこれらの組み合わせであるものであってよい。具体的には、前記充填剤はカーボンブラックであるものであってよい。
【0147】
前記カーボンブラック系充填剤は、特に制限するものではないが、例えば、窒素吸着比表面積(N2SA、JIS K 6217-2:2001に準じて測定する)が20m2/gから250m2/gであるものであってよい。また、前記カーボンブラックは、ジブチルフタレート吸油量(DBP)が80cc/100gから200cc/100gであるものであってよい。前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積が250m2/gを超過すれば、ゴム組成物の加工性が低下する虞があり、20m2/g未満であれば、カーボンブラックによる補強性能が微々であり得る。また、前記カーボンブラックのDBP吸油量が200cc/100gを超過すれば、ゴム組成物の加工性が低下する虞があり、80cc/100g未満であれば、カーボンブラックによる補強性能が微々であり得る。
【0148】
また、前記シリカは、特に制限するものではないが、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム又はコロイドシリカなどであってよい。具体的には、前記シリカは、破壊特性の改良効果及びウェットグリップ性(wet grip)の両立効果が最も顕著な湿式シリカであってよい。また、前記シリカは、窒素吸着比表面積(nitrogen surface area per gram、N2SA)が120m2/gから180m2/gであり、CTAB( cetyl trimethyl ammonium bromide )吸着比表面積が100m2/gから200m2/gであってよい。前記シリカの窒素吸着比表面積が120m2/g未満であれば、シリカによる補強性能が低下する虞があり、180m2/gを超過すれば、ゴム組成物の加工性が低下する虞がある。また、前記シリカのCTAB吸着比表面積が100m2/g未満であれば、充填剤であるシリカによる補強性能が低下する虞があり、200m2/gを超過すれば、ゴム組成物の加工性が低下する虞がある。
【0149】
一方、前記充填剤としてシリカが用いられる場合、補強性及び低発熱性の改善のためにシランカップリング剤がともに用いられてよい。
【0150】
前記シランカップリングとしては、具体的に、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド又はジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドなどが挙げられ、これらのうちいずれか1つ又は2つ以上の混合物が用いられてよい。より具体的には、補強性の改善効果を考慮すると、前記シランカップリング剤は、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド又は3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドであってよい。
【0151】
また、本発明に係る一実施形態によるゴム組成物は、硫黄架橋性であってよく、これによって、加硫剤をさらに含んでよい。
【0152】
前記加硫剤は、具体的には硫黄粉末であってよく、ゴム成分100重量部に対して0.1重量部から10重量部で含まれてよい。前記含量の範囲で含まれるとき、加硫ゴム組成物が必要とする弾性率及び強度を確保できるとともに、低燃費性が得られる。
【0153】
また、本発明に係る一実施形態によるゴム組成物は、前記成分の他に、通常、ゴム工業界で用いられる各種添加剤、具体的には、加硫促進剤、プロセス油、可塑剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華(zinc white)、ステアリン酸、熱硬化性樹脂、又は熱可塑性樹脂などをさらに含んでよい。
【0154】
前記加硫促進剤は、特に限定されるものではなく、具体的には、M(2-メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド)などのチアゾール系化合物、もしくはDPG(ジフェニルグアニジン)などのグアニジン系化合物が用いられてよい。前記加硫促進剤は、ゴム成分100重量部に対して0.1重量部から5重量部で含まれてよい。
【0155】
また、前記プロセス油は、ゴム組成物内で軟化剤として作用するものであって、具体的には、パラフィン系、ナフテン系、又は芳香族系化合物であってよく、より具体的には、引張強度及び耐磨耗性を考慮すると芳香族系プロセス油が、ヒステリシス損失及び低温特性を考慮するとナフテン系又はパラフィン系プロセス油が用いられてよい。前記プロセス油は、ゴム成分100重量部に対して100重量部以下の含量で含まれてよく、前記含量で含まれるとき、加硫ゴムの引張強度、低発熱性(低燃費性)の低下を防止することができる。
【0156】
また、前記老化防止剤としては、具体的に、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン、又はジフェニルアミンとアセトンの高温縮合物などが挙げられる。前記老化防止剤は、ゴム成分100重量部に対して0.1重量部から6重量部で用いられてよい。
【0157】
本発明の一実施形態によるゴム組成物は、前記配合処方に応じて、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサーなどの混練機を用いて混練することで得られ、また、成形加工後の加硫工程により、低発熱性であり、かつ耐磨耗性に優れたゴム組成物が得られ得る。
【0158】
これにより、前記ゴム組成物は、タイヤトレッド、アンダトレッド、サイドウォール、カーカスコーティングゴム、ベルトコーティングゴム、ビードフィラー、チェーファー、又はビードコーティングゴムなどのタイヤの各部材や、防振ゴム、ベルトコンベア、ホースなどの各種の工業用ゴム製品の製造に有用であり得る。
【0159】
前記ゴム組成物を用いて製造された成型品は、タイヤ又はタイヤトレッドを含むものであってよい。
【0160】
[実施例]
以下、実施例及び実験例によって本発明をより詳細に説明する。しかし、下記実施例及び実験例は、本発明を例示するためのものであって、これらのみによって本発明の範囲が限定されるものではない。
【0161】
[製造例1]
(1)エチル3-((3-モルホリノプロピル)アミノ)プロパノエート(ethyl 3-((3-morpholinopropyl)amino)propanoate)の製造
エチルアクリレート10.3gが溶解されたエタノール溶液50mlを0℃に冷ました後、3-モルホリノプロピルアミン((3-morpholinopropyl)amine)15gを、温度が30℃を超えないように徐々に投入した。投入が終了した後、反応溶液を0℃で3時間撹拌し、室温(23±3℃)で24時間さらに撹拌した。反応終結後、減圧条件で揮発物質を除去することでエチル3-((3-モルホリノプロピル)アミノ)プロパノエートを製造した。
【0162】
(2)エチル3-((3-モルホリノプロピル)(トリメチルシリル)アミノ)プロパノエート(ethyl 3-((3-morpholinopropyl)(trimethylsilyl)amino)propanoate)の製造
前記で製造されたエチル3-((3-モルホリノプロピル)アミノ)プロパノエート2.5gをn-ヘキサン溶液に溶解させた後、トリエチルアミン(Et3N)28.8mlを添加して0℃に冷ました。その後、トリメチルシリルクロリド(TMSCl)溶液15.8mlを徐々に投入し、反応溶液を24時間撹拌した。反応終結後、沈澱物質はフィルターを用いて除去し、減圧条件で揮発物質を除去した後、減圧蒸溜を介してエチル3-((3-モルホリノプロピル)(トリメチルシリル)アミノ)プロパノエートを製造した。製造されたエチル3-((3-モルホリノプロピル)(トリメチルシリル)アミノ)プロパノエートは、1H NMRを介して合成されたことを確認した。
【0163】
1H NMR(500MHz,CDCl3)4.15(m,2H),3.64(m,4H),3.08(m,1H),2.83(m,1H),2.71(m,1H),2.65(m,1H),2.54(m,1H),2.41(m,6H),2.22(m,1H),1.64(m,1H),1.57(m,1H),1.21(m,2H),0.09(m,9H)。
【0164】
[製造例2]
(1)エチル3-((3-チオモルホリノプロピル)アミノ)プロパノエート(ethyl 3-((3-thiomorpholinopropyl)amino)propanoate)の製造
エチルアクリレート10.3gが溶解されているエタノール溶液50mlを0℃に冷ました後、3-チオモルホリノプロピルアミン((3-thiomorpholinopropyl)amine)16gを、温度が30℃を超えないように徐々に投入した。投入が終了した後、反応溶液を0℃で3時間撹拌し、室温(23±3℃)で24時間さらに撹拌した。反応終結後、減圧条件で揮発物質を除去することでエチル3-((3-モルホリノプロピル)アミノ)プロパノエート)を製造した。
【0165】
(2)エチル3-((3-チオモルホリノプロピル)(トリメチルシリル)アミノ)プロパノエート(ethyl 3-((3-thiomorpholinopropyl)(trimethylsilyl)amino)propanoate)の製造
前記で製造されたエチル3-((3-チオモルホリノプロピル)アミノ)プロパノエート2.6gをn-ヘキサン溶液に溶解させた後、トリエチルアミン(Et3N)28.8mlを添加して0℃に冷ました。その後、トリメチルシリルクロリド(TMSCl)溶液15.8mlを徐々に投入し、反応溶液を24時間撹拌した。反応終結後、沈澱物質はフィルターを用いて除去し、減圧条件で揮発物質を除去した後、減圧蒸溜を介してエチル3-((3-チオモルホリノプロピル)(トリメチルシリル)アミノ)プロパノエートを製造した。製造されたエチル3-((3-チオモルホリノプロピル)(トリメチルシリル)アミノ)プロパノエートは、1H NMRを介して合成されたことを確認した。
【0166】
1H NMR(500MHz,CDCl3)4.12(m,2H),3.65(m,4H),3.12(m,1H)、2.97(m,1H),2.71(m,1H),2.65(m,1H)、2.54(m,1H),2.41(m,6H),2.12(m,1H),1.81(m,1H),1.47(m,1H),1.10(m,2H),0.10(m,9H)。
【0167】
[製造例3]
(1)エチル3-((2-(ビス(2-メトキシエチル)アミノ)エチル)アミノ)プロパノエート)(ethyl 3-((2-(bis(2-methoxyethyl)amino)ethyl)amino)propanoate))の製造
エチルアクリレート14gが溶解されているエタノール溶液50mlを0℃に冷ました後、ビス(2-メトキシエチル)アミン(bis(2-methoxyethyl)amine)20gを、温度が30℃を超えないように徐々に投入した。投入が終了した後、反応溶液を0℃で3時間撹拌し、室温(23±3℃)で24時間さらに撹拌した。反応終結後、減圧条件で揮発物質を除去することでエチル3-((2-(ビス(2-メトキシエチル)アミノ)エチル)アミノ)プロパノエート)を製造した。
【0168】
(2)エチル3-((2-(ビス(2-メトキシエチル)アミノ)エチル)(トリメチルシリル)アミノ)プロパノエート(ethyl 3-((2-(bis(2-methoxyethyl)amino)ethyl)(trimethylsilyl)amino)propanoate)の製造
前記で製造されたエチル3-((2-(ビス(2-メトキシエチル)アミノ)エチル)アミノ)プロパノエート)13.6gをn-ヘキサン溶液に溶解させた後、トリエチルアミン(Et3N)48.8mlを添加して0℃に冷ました。その後、トリメチルシリルクロリド(TMSCl)溶液33.2mlを徐々に投入し、反応溶液を24時間撹拌した。反応終結後、沈澱物質はフィルターを用いて除去し、減圧条件で揮発物質を除去した後、減圧蒸溜を介してエチル3-((2-(ビス(2-メトキシエチル)アミノ)エチル)(トリメチルシリル)アミノ)プロパノエートを製造した。製造されたエチル3-((2-(ビス(2-メトキシエチル)アミノ)エチル)(トリメチルシリル)アミノ)プロパノエートは、1H NMRを介して合成されたことを確認した。
【0169】
1H NMR(500MHz,CDCl3)4.02(m,2H),3.55(m,4H),3.28(s,3H),3.22(s,3H),2.94-2.89(m,1H),2.64-2.59(m,1H),2.51(m,4H),2.38(m,1H),1.07(t,2H),0.08(s,9H)。
【0170】
[実施例1]
真空状態の反応器に、1,3-ブタジエンが溶解されているヘキサン溶液4.7kgを入れた後、反応器の内部温度を70℃に昇温した。ここに触媒組成物を添加した後、60分間重合を進めた。このとき、前記触媒組成物は、n-ヘキサン溶媒中にネオジムベルサテート(Neodymium versatate(Nd(2-エチルヘキサノエート)3)、Solvay社製)0.719mmolを添加し、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAH)及び塩化ジエチルアルミニウム(DEAC)を前記ネオジムベルサテート:DIBAH:DEAC=1:9.5:2.4のモル比となるように順次投入した後、混合して製造した。前記製造例1で製造された変性剤を1,3-ブタジエン100重量部を基準に0.2重量部で添加した後、30分間変性反応を進めた(変性剤:Nd=5:1モル比)。その後、重合停止剤としてHPSS(IC CHEMICAL社製)と酸化防止剤としてIR1520(BASF)とを単量体100重量部に対しそれぞれ0.10重量部及び0.30重量部で添加して反応を終結し、スチームストリッピングを介して溶媒を除去し、6インチのホットロール(110℃)を用いて4分間乾燥することでネオジム触媒化変性ブタジエン重合体を製造した。
【0171】
[実施例2]
実施例1において、変性剤を1,3-ブタジエン100重量部を基準に0.1重量部で添加したことを除いては、実施例1と同一の方法を介してネオジム触媒化変性ブタジエン重合体を製造した。
【0172】
[実施例3]
実施例1において、変性剤として製造例2で製造されたものを用いたことを除いては、実施例1と同一の方法を介してネオジム触媒化変性ブタジエン重合体を製造した。
【0173】
[実施例4]
実施例1において、変性剤として製造例3で製造されたものを用いたことを除いては、実施例1と同一の方法を介してネオジム触媒化変性ブタジエン重合体を製造した。
【0174】
[比較例1]
BR1250H(Nippon Zeon)のリチウム触媒化変性ブタジエン重合体を比較例物質として用いた。
【0175】
[比較例2]
実施例1において、触媒組成物としてネオジムベルサテート:DIBAH:DEAC=1:8.5:2.4のモル比となるように順次投入した後に混合して製造されたものを用い、変性剤との反応を介した変性反応を行わないことを除いては、実施例1と同一の方法を介してネオジム触媒化ブタジエン重合体を製造した。
【0176】
<実験例1>
前記実施例及び比較例の重合体に対し、下記のような方法でそれぞれの物性を測定し、その結果を下記表1に示した。
【0177】
1)微細構造の分析
Varian VNMRS 500Mhz NMRを用いて、各重合体内のシス1,4-結合及び1,2-ビニル結合含量を測定し、溶媒としては、1,1,2,2-テトラクロロエタンD2(Cambridge Isotope社製)を用いた。
【0178】
2)ムーニー粘度
各重合体に対して変性の前と後に、Monsanto社製のMV2000EでLarge Rotorを用いて100℃でRotor Speed 2±0.02rpmの条件でムーニー粘度(ML1+4、@100℃)を測定した。この際に用いられた試料は、室温(23±3℃)で30分以上放置した後、27±3gを採取してダイキャビティの内部に満たしておき、プラテン(Platen)を作動させてトルクを印加しながらムーニー粘度を測定した。また、ムーニー粘度の測定後、トルクが緩みながら現れるムーニー粘度の変化を1分間観察し、その勾配値から-S/R値(絶対値)を決定した。
【0179】
3)変性率(%)
各重合体をシクロヘキサン(cyclohexane)に溶解させて試料(1.0mg/mlに製造)移動相保存器に保存し、他の移動相保存器にテトラヒドロフラン(THF)を保存した。前記移動相保存器をデュアル-ヘッドポンプにそれぞれ連結し、先ず、重合体が溶解された移動相保存器の溶液を、前記ポンプとループ体積が100ulである注入器とを介し、シリカ吸着剤が充填されたカラムに注入した。このとき、ポンプの圧力は450psiであり、注入の流速は0.7ml/minであった。次いで、検出器(ELSD、Waters社製)から重合体内の未変性ブタジエン重合体単位がこれ以上検出されないことを確認し、注入開始5分を基準として、前記テトラヒドロフランをポンプを介して前記カラムに注入した。このとき、ポンプの圧力は380psiであり、注入の流速は0.7ml/minであった。検出器からテトラヒドロフランの注入によって重合体内の変性ブタジエン重合体単位がこれ以上検出されないことを確認し、第2溶媒の注入を終了した。次いで、検出されたクロマトグラムの結果から下記数式1により変性率(%)を計算した。
【0180】
【数2】
【0181】
前記数式1中、前記未変性重合体単位のピーク面積は、前記検出器に移送された第1溶液に対するクロマトグラムのピーク面積であり、前記変性重合体単位のピーク面積は、前記検出器に移送された第2溶液に対するクロマトグラムのピーク面積である。
【0182】
【表1】
【0183】
前記表1に示されているとおり、実施例1から実施例4は、21~23%の変性率を示し、これを介して化学式1で表される変性剤で変性され、重合体内の前記変性剤由来官能基を含んでいることを確認した。一方、比較例1の変性ブタジエン重合体は、リチウム化合物触媒組成物を用いて製造されたものであって、ネオジム化合物触媒組成物で製造された実施例1から実施例4と微細構造において完全に異なる特性を示し、これを介してシス1,4-結合が96重量%以上である特性は、ネオジム化合物触媒組成物を用いて製造された重合体でのみ発現されるものであることを確認した。
【0184】
<実験例2>
前記実施例及び比較例で製造した各重合体を用いてゴム組成物及びゴム試片を製造した後、下記のような方法で300%モジュラス、耐磨耗性及び粘弾性特性(転がり抵抗特性)をそれぞれ測定した。その結果を下記表2に示した。
【0185】
具体的には、前記ゴム組成物は、前記各重合体100重量部にカーボンブラック70重量部、プロセス油(process oil)22.5重量部、老化防止剤(TMDQ)2重量部、酸化亜鉛(ZnO)3重量部、及びステアリン酸(stearic acid)2重量部を配合することで、それぞれのゴム組成物を製造した。その後、前記各ゴム組成物に硫黄2重量部、加硫促進剤(CZ)2重量部、及び加硫促進剤(DPG)0.5重量部を添加し、50℃で1.5分間50rpmで弱く混合した後、50℃のロールを用いてシート状の加硫配合物を得た。得られた加硫配合物を160℃で25分間加硫し、ゴム試片を製造した。
【0186】
1)300%モジュラス(300% modulus,kg・f/cm2
前記各ゴム組成物を150℃でt90分加硫した後、ASTM D412に準じて加硫物の300%伸張時のモジュラス(M-300%)を測定した。
【0187】
2)粘弾性特性(Tanδ@50~70℃)
低燃費特性に最も重要なTanδ物性は、ドイツのGabo社製DMTS 500Nを用いて、周波数10Hz、Prestrain 3%、Dynamic Strain 3%で50~70℃での粘弾性係数(Tanδ)を測定し、その平均値を示した。このとき、50~70℃でのTanδ値は、転がり抵抗特性、すなわち燃費性を示すものである。
【0188】
3)耐磨耗性(DIN摩耗試験)
各ゴム試片に対し、ASTM D5963に準じてDIN摩耗試験を進め、損失重量(mg)と比較例2の測定値を基準にしてDIN loss index(損失体積指数(loss volume index):ARIA(Abration resistance index,Method A)で示した。数値が高いほど優れることを示す。
【0189】
【表2】
【0190】
前記表2において、指数化(Index)値は、比較例2の測定値を基準に下記数式2又は数式3を介して計算したものであって、耐磨耗性と粘弾性特性は数式3で、引張特性は数式2で計算した。
【0191】
[数式2]
Index=(測定値/基準値)×100
[数式3]
Index=(基準値/測定値)×100

前記表2で示しているとおり、実施例1から4は、比較例1及び2と比べて優れた粘弾性特性を示すとともに、引張特性及び耐磨耗性が顕著に改善されたことを確認することができる。
【0192】
具体的には、実施例1から4は、市販中のリチウム触媒化変性ブタジエン重合体が適用された比較例1に比べて同等に優れた粘弾性特性及び引張特性を示すとともに、耐磨耗性は127%以上に顕著に上昇した効果を示し、比較例2と比べては5%以上向上された引張特性及び耐磨耗性を示しつつ、粘弾性特性は20%以上に顕著に改善された効果を示した。
【0193】
前記結果から、本発明によるネオジム触媒化変性共役ジエン系重合体は、化学式1で表される変性剤由来官能基を含むことにより、引張特性、耐磨耗性及び粘弾性特性がバランスよく優れた特性を示すことを確認することができる。