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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】中間転写ユニット及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20220616BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20220616BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20220616BHJP
   B65H 5/38 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
G03G21/16 180
G03G21/16 195
G03G15/16 103
H04N1/00 567Q
B65H5/38
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018038762
(22)【出願日】2018-03-05
(65)【公開番号】P2019152792
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 亮
(72)【発明者】
【氏名】永田 敦司
(72)【発明者】
【氏名】永田 春樹
(72)【発明者】
【氏名】本城 賢二
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-005059(JP,A)
【文献】特開2013-231854(JP,A)
【文献】特開平09-236994(JP,A)
【文献】特開2001-173305(JP,A)
【文献】特開2017-187738(JP,A)
【文献】特開2005-084446(JP,A)
【文献】特開昭62-156681(JP,A)
【文献】特開2016-218209(JP,A)
【文献】特開2007-140227(JP,A)
【文献】特開平05-092394(JP,A)
【文献】特開2018-013503(JP,A)
【文献】特開平11-084985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 15/16
G03G 15/00-15/01
B41J 29/00-29/70
B65H 5/00- 5/38
B65H 29/00-29/70
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材を搬送する搬送部材と、前記シート材の移動方向を規制して前記シート材を前記搬送部材に向けて案内するガイド部材とを有し、画像形成装置に搭載される中間転写ユニットにおいて、
前記ガイド部材は、二つのガイド板で構成されており、一方のガイド板は、二次転写ニップに向けて搬送されてくる前記シート材の下面に接触するように配設された下ガイド板であり、他方のガイド板は前記二次転写ニップに向けて搬送されてくる前記シート材の上面に接触するように配設された上ガイド板であり、
前記画像形成装置の筐体内に搭載された前記中間転写ユニットに対し、前記上ガイド板を着脱可能にし、
前記筐体内に搭載された前記中間転写ユニットに対し、前記上ガイド板の引き抜き及び押し込みが可能になる方向のスライド移動を可能にするように前記上ガイド板を保持し、前記中間転写ユニットの一部である保持部材を有し、
前記保持部材は、前記保持部材の長手方向における画像形成装置の本体背面側の端に設けられ、前記保持部材の前記本体背面側における前記中間転写ユニットに対する位置決めを行うための第一位置決め部と、前記保持部材の長手方向における画像形成装置の本体正面側の端よりも少しだけ前記本体背面側にずれた位置に設けられており、前記保持部材の前記本体正面側における前記中間転写ユニットに対する位置決めを行うための第二位置決め部と、前記保持部材の長手方向における前記本体正面側の端に設けられており、前記上ガイド板の前記本体正面側における位置決めを行うための第三位置決め部とを有することを特徴とする中間転写ユニット。
【請求項2】
請求項1の中間転写ユニットにおいて、
前記保持部材に保持される被保持部を、前記上ガイド板の前記スライド移動の方向における両端部のそれぞれに設け、前記上ガイド板が二つの前記被保持部における一方だけを前記保持部材に保持されている状態で前記スライド移動の方向に沿って前記保持部材から引き抜かれたり、前記保持部材に押し込まれたりするときにおける、前記上ガイド板の表面に沿いつつ前記スライド移動の方向と直交する方向への移動を規制する規制部材を設けたことを特徴とする中間転写ユニット。
【請求項3】
請求項2の中間転写ユニットにおいて、
前記規制部材として、前記保持部材に対して曲面を突き当てることで前記上ガイド板の前記スライド移動の方向の移動を規制するものを、前記スライド移動の方向に沿って前記上ガイド板に複数設けたことを特徴とする中間転写ユニット。
【請求項4】
請求項1、2又は3中間転写ユニットにおいて、
前記上ガイド板を保持させた前記保持部材を前記上ガイド板と一体的に前記中間転写ユニットの本体から取り外せるように、前記上ガイド板及び前記保持部材を構成したことを特徴とする中間転写ユニット。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4中間転写ユニットにおいて、
前記筐体の保守用開口を通じて、前記上ガイド板を前記中間転写ユニットに対して着脱可能にしたことを特徴とする中間転写ユニット。
【請求項6】
請求項5の中間転写ユニットにおいて、
前記保守用開口と、前記筐体内に搭載された前記中間転写ユニットとの間に、インナーカバー部材を設け、前記インナーカバー部材における前記ガイド部材との対向箇所を他の箇所から分離した小インナーカバーとして構成し、前記小インナーカバーを前記上ガイド板に固定したことを特徴とする中間転写ユニット。
【請求項7】
請求項6の中間転写ユニットにおいて、
前記小インナーカバーを固定具によって前記保持部材に固定し、且つ前記小インナーカバーを介して前記上ガイド板を前記保持部材に固定したことを特徴とする中間転写ユニット。
【請求項8】
請求項7の中間転写ユニットにおいて、
前記固定具として、作業者に把持されて回転操作される把持部と、前記小インナーカバーからの脱落を防止する脱落防止部材とを具備するネジ部材を用いたことを特徴とする中間転写ユニット。
【請求項9】
中間転写ユニットによって搬送しているシートに画像形成処理を施す画像形成装置において、
前記中間転写ユニットとして、請求項1、2、3、4、5、6、7又は8中間転写ユニットを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間転写ユニット及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シート材を搬送する搬送部材と、シート材の移動方向を規制してシート材を搬送部材に向けて案内するガイド部材とを有し、シート処理装置に搭載される搬送ユニットが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、搬送部材たる中間転写ベルトと、ガイド部材たる上ガイドシュートとを有する搬送ユニットとしてのベルトモジュールが記載されている。このベルトモジュールは、シート処理装置としての画像形成装置に搭載されるものである。画像形成装置内では、電子写真プロセスによって作像されたトナー像が、ベルトモジュールの無端状の中間転写ベルトに一次転写される。ベルトモジュールは、中間転写ベルトの無端移動により、ベルト上のトナー像を、中間転写ベルトと二次転写ローラとの当接による二次転写ニップに進入させる。この動作と並行して、画像形成装置は、シート材を二次転写ニップに送り込む。このとき、上ガイドシュートがシート材を中間転写ベルト表面の二次転写ニップ入口付近に向けて案内する。この上ガイドシュートは、ブラケットとともにベルトモジュールの側板に固定されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる構成のベルトモジュールにおいては、シート材たる用紙の紙粉を付着させてしまった上ガイドシュードの清掃作業などのために、上ガイドシュートをベルトモジュールの側板から取り外すときに手間を要するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、シート材を搬送する搬送部材と、前記シート材の移動方向を規制して前記シート材を前記搬送部材に向けて案内するガイド部材とを有し、画像形成装置に搭載される中間転写ユニットにおいて、前記ガイド部材は、二つのガイド板で構成されており、一方のガイド板は、二次転写ニップに向けて搬送されてくるシート材の下面に接触するように配設された下ガイド板であり、他方のガイド板は二次転写ニップに向けて搬送されてくるシート材の上面に接触するように配設された上ガイド板であり、前記画像形成装置の筐体内に搭載された前記中間転写ユニットに対し、前記上ガイド板を着脱可能にし、前記筐体内に搭載された前記中間転写ユニットに対し、前記上ガイド板の引き抜き及び押し込みが可能になる方向のスライド移動を可能にするように前記上ガイド板を保持し、中間転写ユニットの一部である保持部材を有し、前記保持部材は、前記保持部材の長手方向における画像形成装置の本体背面側の端に設けられ、前記保持部材の前記本体背面側における前記中間転写ユニットに対する位置決めを行うための第一位置決め部と、前記保持部材の長手方向における画像形成装置の本体正面側の端よりも少しだけ前記本体背面側にずれた位置に設けられており、前記保持部材の前記本体正面側における前記中間転写ユニットに対する位置決めを行うための第二位置決め部と、前記保持部材の長手方向における前記本体正面側の端に設けられており、前記上ガイド板の前記本体正面側における位置決めを行うための第三位置決め部とを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、上ガイド板中間転写ユニットから取り外すときの手間を軽減することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る画像形成システムを示す正面図。
図2】同画像形成システムの複写機、シート供給装置、及びADFの内部構成を正面側から示す概略構成図。
図3】同複写機における5つの作像ユニットのうち、何れか一つにおける感光体と現像装置とを示す概略構成図。
図4】同複写機の二次転写ニップ及びその周囲を示す部分側面図。
図5】同複写機及び同シート供給装置を右斜め前側から示す斜視図。
図6】同複写機の保守用開口を通じた同複写機の筐体内の眺めを示す正面図。
図7】同複写機の中転系インナーカバー部を示す正面図。
図8】同中転系インナーカバー部のうち、分割インナーとしての上ガイドインナーを示す斜視図。
図9】同複写機の中間転写ユニットにおける上ガイド板の周辺に配設される各種の機器や部材を示す正面図。
図10】同上ガイド板を右斜め前側から示す斜視図。
図11】同中間転写ユニットの一部であり、同上ガイド板を同中間転写ユニット上で保持するための保持部材を複写機本体の右斜め前のアングルから示す斜視図。
図12】同上ガイド板の複写機本体背面側の端部と、同保持部材の保持本体部とを示す部分斜視図。
図13】同上ガイド板とこれを保持する同保持部材とを示す斜視図。
図14図8に示される上ガイドインナーを、同中転系インナーカバー部から切り離して単体で示す斜視図。
図15】複写機本体に取り付けられた状態の同上ガイドインナーをその周囲とともに示す斜視図。
図16】同上ガイドインナーを取り外した状態の同上ガイド板をその周囲とともに示す斜視図。
図17】同保持部材から引き抜かれる同上ガイド板及び同上ガイドインナーの一体物を、同中転系インナーカバー部とともに示す斜視図。
図18】同中間転写ユニットの前側板、同上ガイド板、及び同保持部材を複写機本体の右斜め前から示す斜視図。
図19】保持部材225から引き抜かれる直前の同上ガイド板及び同上ガイドインナーの一体物を同中転系インナーカバー部の一部とともに示す斜視図。
図20】同上ガイド板が引き抜かれた後における同保持部材の第三位置決め部を、その周囲とともに示す斜視図。
図21】同上ガイド板及び同保持部材を複写機本体に固定されたレール規制部材とともに示す斜視図。
図22】同保持部材の長手方向の一端部と、これに保持される同上ガイド板の長手方向の一端部とを示す斜視図。
図23】同保持部材における長手方向の一端部と、同保持部材にセットされた同上ガイド板の長手方向の一端部とを示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用した画像形成システムの一実施形態について説明する。
まず、実施形態に係る画像形成システムの基本的な構成について説明する。図1は、実施形態に係る画像形成システムを示す正面図である。この画像形成システムは、シート処理装置であり且つ画像形成装置でもある複写機400を備えている。また、シート処理装置たるシート供給装置500、シート処理装置たる原稿自動搬送装置(以下、ADFという)600、タッチパネルや各種キーから構成される操作表示部700、及びシート処理装置たる後処理装置800も備えている。
【0009】
複写機400は、電子写真方式によってシート材に画像を形成するものである。この複写機400に使用されるシート材は、シート供給装置500によって複写機400に一枚ずつ供給される。
【0010】
複写機400によって形成される画像の画像情報は、複写機400に搭載された、原稿画像を読み取るスキャナー350によって取得されるか、あるいは外部のパーソナルコンピューターから複写機に送信される。
【0011】
複写機400によって画像が形成されたシート材は、複写機400から排出されて後処理装置800に受け渡される。後処理装置800は、複写機400から受け取った複数のシート材をシート束として整合させる整合処理、シート束を綴じる綴じ処理、シート束に綴じ用の穴を開けるパンチ処理などを行うものである。
【0012】
操作表示部700は、複写機400、シート供給装置500、ADF600、後処理装置800の各機器と通信するものであり、ユーザーによって入力された各種の情報を各機器に送信する。
【0013】
図2は、この画像形成システムの複写機400、シート供給装置500、及びスキャナーADFの内部構成を正面側から示す概略構成図である。
【0014】
複写機400は、特殊色(S),イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),黒(K)の各色のトナー像を作像するための5つの作像ユニット18S,18Y,18M,18C,18Kを具備する画像形成ユニット20を備えている。各符号の数字の後に付されたS,Y,M,C,Kという添字は、特殊色,イエロー,シアン,マゼンタ,黒用の部材であることを示している(以下同様)。
【0015】
複写機400内には、作像ユニット18S,18Y,18M,18C,18Kの他には、光書込ユニット21、中間転写ユニット17、二次転写装置22、レジストローラ対49、ベルト定着方式の定着装置25などが配設されている。
【0016】
光書込ユニット21は、光源、ポリゴンミラー、f-θレンズ、反射ミラーなどを有し、画像データに基づいて感光体1S,1Y,1M,1C,1Kの表面にレーザー光を照射する。
【0017】
作像ユニット18S,18Y,18M,18C,18Kは,ドラム状の感光体1S,1Y,1M,1C,1Kの他に、帯電器、現像装置、ドラムクリーニング装置、除電器などを有している。
【0018】
S,Y,M,C,K用の作像ユニット18S,18Y,18M,18C,18Kは、使用するトナーの色が異なる点の他は、互いにほぼ同様の構成になっている。以下、各色のうち、S(特殊色)用の作像ユニット18Sについて説明する。
【0019】
感光体1Sの表面は、帯電手段たる帯電器によって一様に帯電せしめられる。帯電処理が施された感光体1Sの表面には、光書込ユニット21によって変調及び偏向されたレーザー光が照射される。すると、照射部(露光部)の電位が減衰する。この減衰により、感光体1Sの表面にS用の静電潜像が形成される。形成されたS用の静電潜像は現像手段たる現像装置によって現像されてSトナー像となる。
【0020】
S用の感光体1S上に形成されたSトナー像は、中間転写ベルト110に一次転写される。一次転写後の感光体1Sの表面は、ドラムクリーニング装置によって転写残トナーがクリーニングされる。
【0021】
S用の作像ユニット18Sにおいて、ドラムクリーニング装置によってクリーニングされた感光体1Sは、除電器によって除電される。そして、帯電器によって一様帯電せしめられて、初期状態に戻る。以上のような一連のプロセスは、他の作像ユニット(18Y,18M,18C,18K)についても同様である。
【0022】
中間転写ユニット17は、中間転写ベルト110やベルトクリーニング装置90などを有している。また、駆動ローラ15、二次転写バックアップローラ16、S,Y,M,C,K用の一次転写バイアスローラ62S,62Y,62M,62C,62Kなども有している。
【0023】
無端状の中間転写ベルト110は、そのループ内側に配設された駆動ローラ15等の複数の張架ローラによってテンション張架されている。そして、ベルト駆動モータによって駆動される駆動ローラ15の回転によって図中時計回り方向に無端移動せしめられる。
【0024】
S,Y,M,C,K用の一次転写バイアスローラ62S,62Y,62M,62C,62Kは、中間転写ベルト110の内周面側に接触するように配設され、電源から出力される一次転写バイアスが印加される。また、中間転写ベルト110をその内周面側から感光体1S,1Y,1M,1C,1Kに向けて押圧する。この押圧により、中間転写ベルト110のおもて面と、S,Y,M,C,K用の感光体1S,1Y,1M,1C,1Kとが当接するS,Y,M,C,K用の一次転写ニップが形成されている。
【0025】
S,Y,M,C,K用の一次転写ニップにおいては、一次転写バイアスの影響により、感光体1S,1Y,1M,1C,1Kと、一次転写バイアスローラ62S,62Y,62M,62C,62Kとの間に一次転写電界が形成される。
【0026】
S用の感光体1S上に形成されたSトナー像は、S用の一次転写ニップにおいて、一次転写電界やニップ圧の影響によって中間転写ベルト110上に一次転写される。このSトナー像の上には、Y,M,C,K用の感光体1Y,1M,1C,1K上に形成されたYトナー像,Mトナー像,Cトナー像,Kトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト110上には多色トナー像が形成される。
【0027】
中間転写ベルト110上に重ね合わせ転写された多色トナー像は、後述の二次転写ニップでシート材Pに二次転写される。二次転写ニップ通過後の中間転写ベルト110の表面に残留する転写残トナーは、図中左側の駆動ローラ15との間にベルトを挟み込むベルトクリーニング装置90によってクリーニングされる。
【0028】
中間転写ユニット17の図中下方に配設された二次転写装置22は、二次転写ローラ23を中間転写ベルト110における二次転写バックアップローラ16に対する掛け回し箇所に当接させて二次転写ニップを形成している。二次転写バックアップローラ16には、トナーと同極性の二次転写バイアスが印加されているのに対し、二次転写ローラ23は接地されている。これにより、二次転写ニップには中間転写ベルト110上の多色トナー像をベルト側から二次転写ローラ23側に向けて静電移動させる二次転写電界が形成される。レジストローラ対49によって中間転写ベルト110上の多色トナー像に同期するように二次転写ニップに送り込まれたシート材Pには、この二次転写電界やニップ圧の影響を受けた多色トナー像が二次転写せしめられる。
【0029】
複写機400が載せられたシート供給装置500には、内部に複数のシート材Pをシート束の状態で複数枚重ねて収容する給送カセット501やシートバンク502が設けられている。給送カセット501やシートバンク502は、シート束の一番上のシート材Pに給送ローラ503を押し当てている。そして、給送ローラ503を回転させることにより、一番上のシート材Pを給送路504に向けて送り出す。
【0030】
給送カセット501やシートバンク502から送り出されたシート材Pを受け入れる給送路504は、複数の搬送ローラ対505を有している。シート供給装置500の給送路504は、複写機400の給送路41に連通している。複写機400の給送路41の末端付近には、レジストローラ対49が設けられている。シート供給装置500の給送路504から複写機の給送路41に受け渡されたシート材Pは、その先端をレジストローラ対49のローラ間に挟まれる。
【0031】
一方、中間転写ユニット17において、中間転写ベルト110上に形成された多色トナー像は、ベルトの無端移動に伴って二次転写ニップに進入する。レジストローラ対49は、ローラ間に挟み込んだシート材Pを二次転写ニップにて多色トナー像に密着させ得るタイミングで送り出す。これにより、二次転写ニップでは、中間転写ベルト110上の多色トナー像がシート材Pに密着する。そして、シート材Pの表面に二次転写されて、白色のシート材P上でフルカラー画像となる。このようにしてフルカラー画像が形成されたシート材Pは、二次転写ローラ23の回転駆動に伴って二次転写ニップを出た後、搬送ベルトを具備するシート搬送ユニットを経由して定着装置25に送られる。
【0032】
定着装置25は、定着ベルト26を2本のローラによって張架しながら無端移動せしめるベルトユニットと、このベルトユニットの一方のローラに向けて押圧される加圧ローラ27とを備えている。これら定着ベルト26と加圧ローラ27とは互いに当接して定着ニップを形成しており、シート搬送ユニットから受け取ったシート材を定着ニップに挟み込む。ベルトユニットにおいける2本のローラのうち、加圧ローラ27から押圧される方のローラは、内部に熱源を有しており、これの発熱によって定着ベルト26を加圧する。加圧された定着ベルト26は、定着ニップに挟み込まれたシート材を加熱する。この加熱やニップ圧の影響により、フルカラー画像がシート材Pに定着せしめられる。
【0033】
定着装置25内で定着処理が施されたシート材Pは、後処理装置800に向けて複写機400から排出されるか、もう一方の面にもトナー像を形成するために二次転写ニップに戻されるかする。
【0034】
原稿のコピーがとられるときには、例えばシート原稿の束がADF600の原稿台601上セットされる。但し、その原稿が本状に閉じられている片綴じ原稿である場合には、スキャナー350のコンタクトガラス351上にセットされる。このセットに先立ち、複写機400本体に対してADF600が開かれ、スキャナー350のコンタクトガラス351が露出される。この後、閉じられたADF600によって片綴じ原稿が押さえられる。
【0035】
このようにして原稿がセットされた後、操作表示部700のコピースタートスイッチが押下されると、スキャナー350による原稿読取動作がスタートする。但し、ADF600にシート原稿がセットされた場合には、この原稿読取動作に先立って、ADF600がシート原稿をコンタクトガラス351上まで自動搬送する。
【0036】
原稿読取動作では、まず、スキャナー350の第1走行体352と第2走行体353とがともに走行を開始し、第1走行体352に設けられた光源から光が発射される。そして、原稿面からの反射光が第2走行体353内に設けられたミラーによって反射せしめられ、結像レンズ354を通過した後、読取センサー355に入射される。読取センサー355は、入射光に基づいて画像情報を構築する。
【0037】
このような原稿読取動作と並行して、各作像ユニット(18S,18Y,18M,18C,18K)内の各機器や、中間転写ユニット17、二次転写装置22、定着装置25がそれぞれ駆動を開始する。そして、読取センサー355によって構築された画像情報に基づいて、光書込ユニット21が駆動制御されて、感光体1S,1Y,1M,1C,1K上に静電潜像が形成される。S,Y,M,C,K用の静電潜像は、現像によってSトナー像,Yトナー像,Mトナー図,Cトナー像,Kトナー像になった後、中間転写ベルト110上に重ね合わせ一次転写されて多色トナー像となる。
【0038】
原稿読取動作の開始とほぼ同時に、シート供給装置500内では給送動作が開始される。この給送動作では、給送ローラ503の一つが選択回転せしめられ、シートバンク502又は給送カセット501からシート材Pが送り出される。送り出されたシート材Pは、分離ローラ506で一枚ずつ分離されて給送路504に進入した後、搬送ローラ対505によって複写機400の給送路41に向けて搬送される。
【0039】
複写機400の筐体内には、複写機400内の各機器の制御を司るCPU等から構成される制御部が配設されている。操作者は、操作表示部700に対するキー入力操作により、制御部に対して命令を送ることで、シート材Pの片面だけに画像を形成するモードである片面プリントモードや、両面に画像を形成する両面プリントモードなどを指定することができる。
【0040】
図3は、5つの作像ユニットのうち、何れか一つにおける感光体1と現像装置4とを示す概略構成図である。なお、同図においては、符号の末尾に付すS,Y,M,C,Kの添字の記載を省略している。同図において、感光体1は図中矢印G方向に回転しながら、その表面を帯電装置によってマイナス極性に一様帯電せしめられる。帯電した感光体1の表面には、光書込ユニット21から照射されたレーザー光によって静電潜像が形成され、この静電潜像は現像装置4によって現像されてトナー像になる。
【0041】
現像装置4は、現像ローラ4aを有している。この現像ローラ4aは、筒状の現像スリーブと、これに連れ回らないように内包されるマグネットローラとを具備している。現像スリーブは、図中矢印I方向に回転しながら、マグネットローラの発する磁力により、トナーと磁性キャリアとを含有する現像剤を表面に担持する。そして、感光体1の表面の静電潜像に現像剤のトナーを供給して静電潜像を現像する。現像ローラ4aの側方には、現像ローラ4aに現像剤を供給しながら同図の紙面に直交する方向における奥側から手前側に向けて現像剤を搬送する現像剤搬送体としての供給スクリュー4dが現像ローラ4aに対して平行配設されている。
【0042】
現像ローラ4aにおける供給スクリュー4dとの対向部よりも表面移動方向下流側の箇所には、現像ローラ4aに供給された現像剤を現像に適した厚さに規制する現像剤規制部材としての現像ドクター4jが所定の間隙を介して対向している。また、現像ローラ4aの下方には、静電潜像を現像した後の現像剤を現像ローラ4aから回収して供給スクリュー4dと同じ方向に搬送する現像剤搬送体としての回収スクリュー4bが設けられている。供給スクリュー4dを内包する供給搬送路4eは現像ローラ4aの側方に配設されているのに対し、回収スクリュー4bを内包する回収搬送路4cは現像ローラ4aの下方に配設されている。
【0043】
現像装置4は、供給搬送路4eの下方であって且つ回収搬送路4cの側方に、攪拌搬送路4gを有している。攪拌搬送路4gは、現像剤を攪拌しながら供給スクリュー4dとは逆方向である図中手前側から奥側に向けて搬送する攪拌スクリュー4fを具備している。供給搬送路4eと攪拌搬送路4gとは第一仕切り壁4kによって仕切られている。第一仕切り壁4kにおける図中の手前側端部と奥側端部とにはそれぞれ開口部が設けられており、供給搬送路4eと攪拌搬送路4gとはそれらの開口部を通して連通している。なお、供給搬送路4eと回収搬送路4cとも第一仕切り壁4kによって仕切られているが、第一仕切り壁4kの供給搬送路4eと回収搬送路4cとを仕切る箇所には開口部が設けられていない。
【0044】
攪拌搬送路4gと回収搬送路4cとは第二仕切り壁4mによって仕切られている。第二仕切り壁4mにおける図中の手前側端部が開口部となっており、攪拌搬送路4gと回収搬送路4cとがその開口部を通して連通している。供給スクリュー4d、回収スクリュー4b及び攪拌スクリュー4fは樹脂もしくは金属のスクリューからなっている。
【0045】
現像ローラ4a上において、ステンレスからなる現像ドクター4jによって薄層化された現像剤は、現像スリーブの回転に伴って感光体1との対向部である現像領域まで搬送されて静電潜像を現像する。現像ローラ4aの現像スリーブの表面はV溝あるいはサンドブラスト処理されている。
【0046】
現像後の現像剤は回収搬送路4c内に回収され、同図の紙面に直交する方向における奥側から手前側に向けて搬送され、非画像領域に設けられた、第一仕切り壁4kの開口部を通って攪拌搬送路4gに移送される。なお、攪拌搬送路4gの現像剤搬送方向上流側における第一仕切り壁4kの開口部との付近であって且つ攪拌搬送路4gの上側には、補給口が設けられている。この補給口に投入されたプレミックス剤が攪拌搬送路4g内に補給される。プレミックス剤は、トナーと磁性キャリアとを含有しているが、そのトナー濃度は現像装置4内の現像剤のトナー濃度よりも高くなっている。
【0047】
現像装置4の側面は、アルミや銅などの熱伝導性の高い部材で構成されている。そして、現像装置4の側面には、熱伝導シート4nが貼り付けられている。この熱伝導シート4nは、高熱伝導性を有している。現像装置4の側面には、熱伝導シート4nを介して受熱部70が圧接している。アルミなどの熱伝導率の高い物質からなる受熱部70の受熱体71には、冷却液を流すための流路72が設けられており、この流路内に流される冷却液が、現像装置4から熱伝導シート4nと受熱体71とを伝わってきた熱を吸収する。そして、ポンプによってラジエータに送られてそこで放熱する。
【0048】
攪拌搬送路4gから現像剤の供給を受けた供給搬送路4eでは、供給スクリュー4dが現像剤を搬送しながら現像ローラ4aに供給する。そして、現像ローラ4aに供給されずに供給搬送路4eの搬送方向下流端まで搬送された現像剤は、第一仕切り壁4kに設けられた開口部を通って攪拌搬送路4g内に落下する。また、現像ローラ4aに供給された現像剤は、現像スリーブの回転に伴って現像領域を通過した後、スリーブ表面から離脱して回収搬送路4c内に落下する。そして、回収スクリュー4bによって搬送され、回収搬送路4cの搬送方向下流端まで搬送されると、第二仕切り壁4mに設けられた開口部を通って攪拌搬送路4g内に進入する。
【0049】
攪拌搬送路4gは、供給搬送路4eから受け取った現像剤と、回収搬送路4cから受け取った現像剤とを攪拌混合しながら、攪拌スクリュー4fによって回収搬送路4cや供給搬送路4eにおける現像剤搬送方向とは逆方向に搬送する。その過程で、必要に応じて補給用の現像剤であるプレミックス剤が補給される。攪拌搬送路4gの搬送方向下流端まで搬送された現像剤は、第一仕切り壁4kに設けられた開口部を通って供給搬送路4e内に押し上げられる。なお、攪拌搬送路4gの下方には、トナー濃度センサーが設けられている。トナー濃度センサーの出力に基づいて現像剤補給装置の駆動が制御されて現像剤収容部からのプレミックス剤の補給が行われる。
【0050】
図2において、光書込ユニット21の図中右側方には、現像剤搭載部340が設けられている。この現像剤搭載部340には、S,Y,M,C,Kのプレミックス剤を収容する剤収容器341S,341Y,341M,341C,341Kが配設されている。S用のプレミックス剤の補給は、S用の現像装置4Sのトナー濃度センサーによる検知結果に基づいて、現像剤補給装置が駆動することで、剤収容器341S内のプレミックス剤を適量だけS用の現像装置4S内にポンプ吸引によって補給する。
【0051】
図4は、二次転写ニップ及びその周囲を示す部分側面図である。同図において、二次転写ニップは、二次転写ローラ23と、中間転写ベルト110における二次転写バックアップローラ16に対する掛け回し箇所との当接によって形成されている。中間転写ベルト110は、図中矢印B方向に進んで、そのおもて面を二次転写ニップに進入させる。
【0052】
二次転写ニップの図中右側方には、二次転写ニップに向けて図中矢印A方向に沿って搬送されてくるシート材Pの移動方向を規制してシート材Pを中間転写ベルト110のおもて面におけるニップ入口付近に向けて案内する二つのガイド板が配設されている。一方のガイド板は、二次転写ニップに向けて搬送されてくるシート材Pの下面に接触するように配設された下ガイド板201である。また、他方のガイド板は、二次転写ニップに向けて搬送されてくるシート材Pの上面に接触するように配設された上ガイド板202である。
【0053】
図中矢印Aで示されるように、下ガイド板201及び上ガイド板202よりもシート搬送方向上流側では、シート材Pが二次転写ニップの斜め下方から斜め上方に向けて搬送されてくる。このように搬送されるシート材Pの先端側が二次転写ニップ内に挟み込まれると、シート材Pの後端部が図示のように上ガイド板202を蹴り上げるようにして上ガイド板202の下面に摺擦しながら進む。これにより、上ガイド板202は、紙粉等による汚れの付着が進行することから、上ガイド板202を定期的に清掃する必要があることがわかった。
【0054】
しかしながら、従来構成では、上ガイド板202を清掃するために複写機400から取り外すためには、まず、図2に示される中間転写ユニット17を複写機400の筐体内から引き出した後、中間転写ユニット17から上ガイド板202を取り外す必要があった。中間転写ユニット17を複写機400の筐体内から引き出すのに、時間や手間が必要になることから、作業者の負担が大きくなってしまうという課題があった。
【0055】
次に、実施形態に係る画像形成システムの特徴的な構成について説明する。
図5は、実施形態に係る画像形成システムの複写機400及びシート供給装置500を右斜め前側から示す斜視図である。以下、複写機400の正面に立って複写機400を眺めるアングルにおいて、複写機400の右側を右、左側を左という。また、複写機の正面側を前、背面側を後ろという。
【0056】
同図において、複写機400における筐体の一部を構成する樹脂製の外装カバーは、正面側に存在する前カバーが扉になっている。前カバーは、右カバーと左カバーとの間の中心を境にして右扉390と左扉391とに分離されている。これら扉は図示のように、観音開きの方式で開閉することが可能である。右扉390や左扉391が開かれると、複写機400の筐体の保守用開口392が筐体外部と連通する。
【0057】
図6は、保守用開口(図5の392)を通じた複写機(400)の筐体内の眺めを示す正面図である。同図においては、複写機(400)内のうち、作像ユニット18S,18Y,18M,18C,18K、及びこれよりも下方に存在する部分だけを示している。保守用開口を筐体外部と連通させると、図示のように、作像ユニット18S,18Y,18M,18C,18Kが外部に露出するが、それらよりも下側の部分はインナーカバーによって覆われている。
【0058】
インナーカバーは、作業者が不注意や誤操作によって筐体内の各種機器に無意識に触れてしまうことを防止するためのものである。給送系インナーカバー部393、排出反転系インナーカバー部394、定着系インナーカバー部395、中転系インナーカバー部396などから構成される。
【0059】
給送系インナーカバー部393は、給送路(図2の41)やこれの周辺に存在する各種機器や部材を覆うためのものである。また、排出反転系インナーカバー部394は、シート材Pを機外に排出するための排出路、両面プリントモードにおいてシート材Pを二次転写ニップに再送するための反転搬送路、及びそれらの周辺の各種機器や部材を覆うためのものである。また、定着系インナーカバー部395は、定着装置(図2の25)、及びこれの周辺の各種機器や部材を覆うためのものである。また、中転系インナーカバー部396は、中間転写ユニット(図2の17)及びこれの周辺の各種機器や部材を覆うためのものである。
【0060】
図7は、中転系インナーカバー部396を示す正面図である。中転系インナーカバー部396は、複数の分割インナーに分割されており、それら分割インナーを個々に独立させて複写機400本体から取り外すことが可能である。中間転写ユニット(17)の全体のうち、保守や点検に必要な部位を露出させ得る分割インナーだけを取り外すことで、作業の効率化を図ることが可能である。但し、中間転写ベルト(110)の交換など、中間転写ユニット(17)を筐体内から引き出す必要があるときには、全ての分割インナーを取り外す必要がある。更には、中間転写ユニット(17)を筐体内から引き出すための操作も行う必要があることから、手間を要する。
【0061】
図8は、中転系インナーカバー部396のうち、分割インナーとしての上ガイドインナー396Aを示す斜視図である。この上ガイドインナー396Aは、二次転写ニップの近傍に配設された上ガイド板(図4の202)やこれの周辺の部材を覆うためのものである。なお、同図に示される入口ガイドレール290は、インナーカバーではないが、上ガイドインナー396Aの近傍に配設されている部材であるため、一緒に示している。この入口ガイドレール290の役割については後述する。
【0062】
図9は、上ガイド板の周辺に配設される各種の機器や部材を示す正面図である。同図に示される太点線は上ガイドインナー396Aの輪郭である。上ガイドインナー396Aを取り外すと、図中の太点線で示される枠内が外部に露出するが、作業者は、その枠内に手を入れることによって、枠内に存在する各種の機器や部材だけでなく、同図に示される枠外の各種の機器や部材にも手を触れることが可能になる。上ガイドインナー396Aは、それら各種の機器や部材に作業者が誤って手を触れないようにするために必要なものである。
【0063】
図10は、上ガイド板202を右斜め前側から示す斜視図である。同図において、矢印F方向は複写機(400)の前(正面側)に向かう方向を示している。また、矢印B方向は、複写機(400)の後ろ(背面側)に向かう方向を示している。また、矢印L方向は、複写機(400)の左に向かう方向を示している。この矢印L方向は、レジストローラ対(図2の49)から二次転写ニップに向けてシート材Pが搬送される方向でもある。
【0064】
上ガイド板202は、複写機(400)の前後方向に延在する短冊状の本体部205、本体部205の矢印F方向の端から立ち上がる被位置決め部207などを有している。また、前後方向に延在する姿勢で本体部205の上面に溶接された補強板204や、本体部205の矢印L方向の端から更に矢印L方向に向けて突出するように本体部205の上面に貼り付けられた樹脂シートからなる先端部203なども有している。
【0065】
被位置決め部207は、本体部205の端部が折り曲げ加工されたものであり、上ガイド板202の矢印F方向の端側を固定したり、位置決めしたりする役割を担っている。この被位置決め部207には、複写機本体左右方向に並ぶ二つのボス穴207aが設けられている。また、雌ネジ207bや、二つの雌ネジ207cも設けられている。
【0066】
本体部205、被位置決め部207、補強板204は何れもステンレス等の金属材料からなる。
【0067】
図11は、中間転写ユニット(17)の一部であり、上ガイド板(202)を中間転写ユニット(17)上で保持するための保持部材225を複写機(400)本体の右斜め前のアングルから示す斜視図である。保持部材225は、複写機(400)の前後方向に延在する板状の保持本体部226、第一位置決め部227、第二位置決め部228、第三位置決め部229などを有している。
【0068】
軽金属からなる短冊状の保持本体部226には、強度を高めるためのエンボスリブ226aが、複写機(400)本体の前後方向に延在する姿勢で設けられている。
【0069】
第一位置決め部227は、保持部材225の長手方向における複写機背面側(図中矢印B方向側)について、中間転写ユニット(17)に対する位置決めを行うためのものである。保持本体部226の曲げ加工によって形成されている。この第一位置決め部227には、複写機(400)本体の左右方向に並ぶ二つのボス穴227aが設けられている。一方、中間転写ユニット(17)の後側板には、それら二つのボス穴227aのそれぞれが挿入される二つのボスが複写機本体の後側から前側に向けて突出するように形成されている。ボスを第一位置決め部227のボス穴227aにボスを通すことで、保持部材225の後端部の中間転写ユニットに対する位置決めとして、前後方向、左右方向、及び上下方向の位置決めが行われる。
【0070】
第二位置決め部228は、保持部材225の長手方向における複写機本体正面側(図中矢印F方向)の端よりも少しだけ複写機本体背面側にずれた位置に設けられており、保持部材225の複写機本体正面側における位置決めを行うためのものである。保持本体部226と同じ材質の軽金属からなり、保持本体部226にカシメによって固定されている。この第二位置決め部228には、複写機本体の左右方向に並ぶ二つのボス穴228aが設けられている。一方、中間転写ユニット(17)の前側板には、それら二つのボス穴228aのそれぞれが挿入される二つのボスが複写機本体の後側から前側に向けて突出するように形成されている。第一位置決め部227のボス穴227aに中間転写ユニット(17)の後側板のボスを通すときに、同時に、第二位置決め部228のボス穴228aに中間転写ユニットの前側板のボスを通す。これにより、保持部材225の複写機本体正面側における中間転写ユニットに対する位置決めとして、前後方向、左右方向、及び上下方向の位置決めが行われる。
【0071】
第二位置決め部228における二つのボス穴228aの間の箇所には、ボルト穴228bが設けられている。このボルト穴228bに対し、複写機本体の前側からボルトを差し込んだ後、そのボルトの先端部を中間転写ユニット(17)の前側板に設けられたネジ穴に螺号させることで、保持部材225を中間転写ユニットに固定することができる。
【0072】
第三位置決め部229は、保持部材225の長手方向における複写機本体正面側(図中矢印F方向)の端に設けられており、上ガイド板(202)の複写機本体正面側における位置決めを行うためのものである。保持本体部226の曲げ加工によって形成されている。この第三位置決め部229には、複写機本体の左右方向に並びつつ、背面側から正面側に向けて突出する二つのボス229aが設けられている。また、貫通穴229bも設けられている。
【0073】
図12は、上ガイド板202の複写機本体背面側の端部と、保持部材225の保持本体部226とを示す部分斜視図である。上ガイド板202の複写機本体背面側の端部上面には、複写機本体左右方向に並ぶ二つのガイドピン206が立設せしめられている。一方、保持部材225の保持本体部226の短手方向の両端部のそれぞれには、上ガイド板202のガイドピン206を引っ掛けて吊り下げるためのレール部226bが形成されている。図示のように、このレール部226bにガイドピン206の頭部が引っ掛けられることで、図13に示されるように、上ガイド板202の複写機本体背面側の端部が保持本体部226にスライド移動可能に保持される。このスライド移動の方向は、複写機本体の前後方向に沿っている。
【0074】
図14は、図8に示される上ガイドインナー396Aを、中転系インナーカバー部(図8の396)から切り離して単体で示す斜視図である。上ガイドインナー396Aには、円柱状の把持部を具備するつまみネジ396Aa、二つのボス穴396Ab、二つの雄ネジ399のそれぞれを個別に通すための二つの穴などが設けられている。
【0075】
図15は、複写機本体に取り付けられた状態の上ガイドインナー396Aをその周囲とともに示す斜視図である。上ガイドインナー396Aは、上ガイド板202の被位置決め部207に固定されている。
【0076】
図16は、上ガイドインナー396Aを取り外した状態の上ガイド板202をその周囲とともに示す斜視図である。なお、同図においては、便宜上、上ガイドインナー396Aのつまみネジ396Aaを上ガイドインナー396Aから独立させて単独で示している。しかし、つまみネジ396Aaの軸には、図示のようにEリング396Adが嵌め込まれていることから、通常は、つまみネジ396Aaが上ガイドインナー396Aから離脱することはない。
【0077】
図14に示された二つの雄ネジ399は、図16に示される上ガイド板202の被位置決め部207における二つの雌ネジ207cに螺号せしめられる。これにより、図14に示されたように、上ガイドインナー396Aが上ガイド板の被位置決め部207に固定される。
【0078】
また、図16においては、保持部材225を第三位置決め部229における二つのボス229aが、上ガイド板202の被位置決め部207における二つのボス穴207aに貫通している。この貫通により、上ガイド板202の複写機本体正面側の端部が、中間転写ユニット(17)に対して前後方向、左右方向、及び上下方向に位置決めされる。
【0079】
上ガイドインナー396Aのつまみネジ396Aaの先端部は、上ガイド板202における被位置決め部207の貫通穴(図10の207b)を貫通した後、保持部材255の第三位置決め部229の雌ネジ(図11の229b)に螺号せしめられている。これにより、上ガイドインナー396A及び上ガイド板202が保持部材225に固定されている。
【0080】
図17は、保持部材255から引き抜かれる上ガイド板202及び上ガイドインナー396Aの一体物を、中転系インナーカバー部396とともに示す斜視図である。この画像形成システムでは、図示のように、中間転写ユニット(図1の17)を複写機本体内に搭載した状態で、中間転写ユニット(図2の17)の保持部材225に保持される上ガイド板202を保持部材225から引き抜くことが可能である。そして、複写機の保守用開口(図5の292)を通じて複写機の外部に取り出すことができる。このとき、図18に示されるように上ガイド板202を単体で引き抜くのではなく、図17図19に示されるように上ガイド板202を上ガイドインナー396Aと一緒に引き抜くことになる。
【0081】
なお、上ガイド板202の引き抜き作業に先立って、上ガイドインナー396Aのつまみネジ396Aaを回してネジ止めを解くことで、保持部材225の第三位置決め部229に対する上ガイド板202及び上ガイドインナー396Aの固定を解いておく。
【0082】
かかる構成においては、上ガイド板202を複写機内から取り出すときに、それに先立って中間転写ユニット(17)を複写機本体から引き出す必要がないことから、上ガイド板202を中間転写ユニットから取り外すときの手間を軽減することができる。
【0083】
また、上ガイドインナー396Aを中転系インナーカバー部396から分離して取り外す作業と、上ガイド板202を中間転写ユニット(17)から引き抜く(取り外す)作業とを個別に行う必要がなく、同時に行うことが可能である。これにより、上ガイド板202を中間転写ユニットから取り外すときの手間を更に軽減することができる。
【0084】
図20は、上ガイド板202が引き抜かれた後における保持部材225の第三位置決め部229を、その周囲とともに示す斜視図である。保持部材225から引き抜いた上ガイド板(202)を再び保持部材225にセットする場合、基本的には、引き抜いたときとは逆の手順を踏めばよい。但し、上ガイド板202の二つのガイドピン(図12の206)を、保持部材225のレール部226bに引っ掛ける必要がある。複写機本体に固定された入口ガイドレール290は、上ガイド板(202)を保持部材225に対して押し込むときに、押し込み方向の先頭部を支えながら、上ガイド板の二つのガイドピンを保持部材225のレール部226bに向けて案内する。これにより、二つのガイドピンをレール部226bに引っ掛ける作業を容易化することができる。
【0085】
図18において、保持部材225は、ボルト230によって中間転写ユニットの前側板17Aに固定されている。このボルト230を取り外した後、保持部材225を複写機本体の背面側から正面側(同図の矢印F方向)に引っ張ると、保持部材225の第二位置決め部228における二つのボス穴(図11の228a)を前側板17Aの二つのボスから脱落させる。同時に、保持部材225の第一位置決め部における二つのボス穴(図11の227a)を、中間転写ユニットの後側板における二つのボスから脱落させる。これにより、保持部材225を中間転写ユニットから取り外すことができる。この取り外しのときに、上ガイド板202を保持部材225に固定したままにしておけば、保持部材225及び上ガイド板202を一体的に中間転写ユニットから取り外すことができる。これにより、保持部材225と上ガイド板202とを個別に取り外す場合に比べて、両者の取り外し作業を容易化することができる。
【0086】
図21は、上ガイド板202及び保持部材225を複写機本体に固定されたレール規制部材389とともに示す斜視図である。上ガイド板202を図中矢印F方向に移動させて保持部材225から引き抜くときや、図中矢印B方向に移動させて保持部材225に押し込むときには、図示のような状態になる。即ち、上ガイド板202の図中矢印B方向の端部だけをガイドピン206によって保持部材225に保持させ、上ガイド板202の図中矢印F方向の端部については保持部材225に保持させずに作業者の手によって保持する状態になる。この状態では、作業者の手の振れにより、上ガイド板202の図中矢印F方向の端部側を上ガイド板202の短手方向(図中矢印L方向や矢印R方向に沿った方向)に揺らし易い。この揺れを上ガイド板202におけるガイドピン206の箇所まで伝えると、ガイドピン206を保持部材225のレール部226bに強く突き当てて、上ガイド板202をスムーズに引き抜いたり、押し込んだりすることが困難になる。
【0087】
そこで、この画像形成システムでは、上ガイド板202の保持部材225からの引き抜きや、保持部材225への押し込みのときに、上ガイド板202の図中矢印F方向や矢印B方向への移動を規制する二種類の規制部材を設けている。一種類目の規制部材は、複写機本体に固定されたレール規制部材389である。作業者の手の振れによって上ガイド板202が図中矢印L方向に移動しようとしたときに、レール規制部材389が上ガイド板202の図中矢印L方向の端に突き当たることで、上ガイド板202の図中矢印L方向への移動を規制する。
【0088】
二種類目の規制部材は、上ガイド板202に設けられた複数の突き当てピン208である。それらの突き当てピン208は、円柱状の形状になっており、上ガイド板のおもて面から突出しつつ、図中矢印F方向や矢印B方向に並ぶように配設されている。作業者の手の振れによって上ガイド板202が図中矢印R方向に移動しようとしたときに、複数の突き当てピン208における少なくとも何れか一つの曲面が、保持部材225のレール部226bに突き当たる。この突き当たりにより、上ガイド板202の図中矢印R方向への移動を規制する。
【0089】
かかる構成では、上ガイド板202を保持部材225から引き抜くときや、保持部材225に押し込むときに、上ガイド板202の図中矢印L方向や矢印R方向への移動を規制することで、次のような効果を奏することができる。即ち、上ガイド板202のガイドピン206と保持部材225のレール部226bとの摺擦抵抗を低減して、引き抜き作業性や押し込み作業性を向上させることができるという効果である。更には、上ガイド板202の図中矢印R方向への移動については、上ガイド板202の突き当てピン208の曲面を保持部材225のレール部226bに突き当てることで、次のような効果を奏することもできる。即ち、上ガイド板202の平面を保持部材225のレール部226bに突き当てる場合に比べて、突き当てピン208とレール部226bとの摺擦抵抗を低減して、上ガイド板202の引き抜き作業性や押し込み作業性を更に向上させることができるという効果である。
【0090】
図22は、保持部材225の長手方向の一端部と、これに保持される上ガイド板202の長手方向の一端部とを示す斜視図である。同図において、保持部材225の保持本体部226における長手方向の一端部(上ガイド板202の押し込み方向の端部)の幅W2は、保持本体部226の同一端部とは異なる箇所の幅W1よりも大きくなっている。上ガイド板202を保持部材225に装着するときに、上ガイド板202を完全に押し込むと、上ガイド板202の二つのガイドピン206の間に、保持部材225の保持本体部226が隙間無くピタリと挟み込まれる。これにより、上ガイド板202の保持部材225に対する図中矢印L方向及び矢印R方向の位置決め(ひいては、中間転写ユニット17に対する矢印L方向及び矢印R方向の位置決め)がなされる。
【0091】
かかる構成では、上ガイド板202を保持部材225に完全に押し込む直前まで、上ガイド板202の二つのガイドピン206と保持本体部226のレール部226bとの摺擦抵抗を必要以上に高めることがない。そして、上ガイド板202を完全に押し込んだ時点で、上ガイド板202について前述の位置決めを行うことができる。つまり、上ガイド板202を完全に押し込む直前まで二つのガイドピン206とレール部226bとの摺擦抵抗を必要以上に高めることなく、完全に押し込んだ時点で図中矢印L方向及びR方向に位置決めすることができる。
【0092】
図23は、保持部材225における長手方向の一端部と、保持部材225にセットされた上ガイド板202の長手方向の一端部とを示す縦断面図である。同図において、保持部材225の保持本体部226の長手方向における一端部の裏面には突起226cが設けられている。上ガイド板202が保持部材225に対して完全にセットされた状態では、図示のように、保持本体部226の突起226cが、上ガイド板202の上面に突き当たる。これにより、保持部材225に対する上ガイド板202の厚み方向(鉛直方向)の位置決めがなされる。
【0093】
これまで、搬送ユニットたる中間転写ユニット17をシート処理装置であり且つ画像形成装置でもある複写機400に設けた例について説明したが、搬送ユニットを画像形成装置とは異なるシート処理装置に設けた構成にも、本発明の適用が可能である。例えば、搬送ユニットを、シート処理装置たるADF600や、シート処理装置たる後処理装置800に設けた構成にも、本発明の適用が可能である。
【0094】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[第1態様]
シート材(例えばシート材P)を搬送する搬送部材(例えば中間転写ベルト110)と、前記シート材の移動方向を規制して前記シート材を前記搬送部材に向けて案内するガイド部材(例えば上ガイド板202)とを有し、シート処理装置(例えば複写機400)に搭載される搬送ユニット(例えば中間転写ユニット17)において、前記シート処理装置の筐体(例えば複写機400の外装カバー)内に搭載された前記搬送ユニットに対し、前記ガイド部材を着脱可能にしたことを特徴とするものである。
【0095】
第1態様においては、搬送ユニットをシート処理装置の筐体内に搭載したままの状態で、搬送ユニットからのガイド部材の取り外し作業を行うことが可能である。よって、ガイド部材の取り外し作業を行うのに先立って、搬送ユニットをシート処理装置の筐体内から取り出す必要があった従来構成(特許文献1に記載のベルトモジュール)に比べて、搬送ユニットからのガイド部材を取り外すときの手間を軽減することができる。
【0096】
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記筐体内に搭載された前記搬送ユニットに対し、前記保守用開口を通じた前記ガイド部材の引き抜き及び押し込みが可能になる方向のスライド移動を可能にするように前記ガイド部材を保持する保持体(例えば保持部材225)を前記搬送ユニットに設けたことを特徴とするものである。
【0097】
第2態様においては、シート処理装置の保守用開口からシート処理装置の筐体内に差し込んだ手により、搬送ユニットの保持体に保持されるガイド部材を保持体上でスライド移動させる。これにより、ガイド部材を保持体に装着したり、保持体から取り外したりすることができる。
【0098】
[第3態様]
第3態様は、第2態様において、前記搬送ユニットの本体(前側板17Aや後側板)の位置決め部(ボス)に位置決めされる被位置決め手段(例えばボス穴227a、ボス穴228a)を前記保持体に設け、且つ前記保持体の位置決め部(例えばボス229a、突起226c)に位置決めされる被位置決め手段(例えばボス穴207a)を前記ガイド部材に設けたことを特徴とするものである。
【0099】
第3態様においては、保持体の位置決め部を介して、ガイド部材を搬送ユニットに対して位置決めすることができる。
【0100】
[第4態様]
第4態様は、第3又は第3態様において、前記保持体に保持される被保持部(例えばガイドピン206、被位置決め部207)を、前記ガイド部材の前記スライド移動の方向における両端部のそれぞれに設け、前記ガイド部材が二つの前記被保持部における一方(例えばガイドピン206)だけを前記保持体に保持されている状態で前記スライド移動の方向に沿って前記保持体から引き抜かれたり、前記保持体に押し込まれたりするときにおける、板状の前記ガイド部材の表面に沿いつつ前記スライド移動の方向と直行する方向への移動を規制する規制部材(例えば突き当てピン208)を設けたことを特徴とするものである。
【0101】
第4態様においては、ガイド部材を保持体から引き抜いたり、保持体に押し込んだりするときにおけるガイド部材の前記方向へのガタツキを抑えることができる。
【0102】
[第5態様]
第5態様は、第4態様において、前記規制部材として、前記保持体に対して曲面を突き当てることで前記ガイド部材の前記方向の移動を規制するものを、前記スライド移動の方向に沿って前記ガイド部材に複数設けたことを特徴とするものである。
【0103】
第5態様においては、規制部材として平面を保持体に突き当てるものを用いる場合に比べて、ガイド部材の保持体に対する引き抜き作業性や押し込み作業性を向上させることができる。
【0104】
[第6態様]
第6態様は、第2、第3、第4又は第5態様において、前記ガイド部材を保持させた前記保持体を前記ガイド部材と一体的に前記搬送ユニットの本体から取り外せるように、前記ガイド部材及び前記保持体を構成したことを特徴とするものである。かかる構成は、ガイド部材及び保持体の両方を搬送ユニットから取り外すときに、ガイド部材と保持体とを別々に本体から取り外す必要のある構成に比べて、取り外し作業を簡略化することができる。
【0105】
[第7態様]
第7態様は、第6態様において、前記筐体の保守用開口(例えば保守用開口392)を通じて、前記ガイド部材を前記搬送ユニットに対して着脱可能にしたことを特徴とするものである。
【0106】
第7態様においては、筐体の保守用開口を通じて筐体の内外でガイド部材の取りだし、入れ込みが可能なので、筐体を分解することなく、筐体内の搬送ユニットに対してガイド部材の取りだしや取り付けを行うことができる。
【0107】
[第8態様]
第8態様は、第2、第3、第4、第5、第6又は第7態様において、前記保守用開口と、前記筐体内に搭載された前記搬送ユニットとの間に、インナーカバー部材(例えば中転系インナーカバー部396)を設け、前記インナーカバー部材における前記ガイド部材との対向箇所を他の箇所から分離した小インナーカバー(例えば上ガイドインナー396A)として構成し、前記小インナーカバーを前記ガイド部材に固定したことを特徴とするものである。
【0108】
第8態様においては、ガイド部材の保持体に対する取り付け作業(押し込み作業)や、保持体からの取り外し作業(引き抜き作業)をするときに、インナーカバー部材をシート処理装置から取り外す作業を省略して作業性を向上させることができる。
【0109】
[第9態様]
第9態様は、第8態様において、前記小インナーカバーを固定具によって前記保持体に固定し、且つ前記小インナーカバーを介して前記ガイド部材を前記保持体に固定したことを特徴とするものである。
【0110】
第9態様においては、ガイド部材を保持体に取り付けるときに、ガイド部材を保持体に固定する作業と、小インナーカバーを保持体に固定する作業とを一つの作業で行って作業性を向上させることができる。
【0111】
[第10態様]
第10態様は、第9態様において、前記固定具として、作業者に把持されて回転操作される把持部(例えばつまみネジ396Aaのつまみ部)と、前記小インナーカバーからの脱落を防止する脱落防止部材(例えばEリング396Ad)とを具備するネジ部材(つまみネジ396Aa)を用いたことを特徴とするものである。
【0112】
第10態様においては、レンチやドライバーなどの工具を用いることなく、作業者の手だけによって固定具を操作することで、ガイド部材の保持体に対する取り外し作業性や取り付け作業性を向上させることができる。更には、小インナーカバーの固定の有無にかかわらず、固定具を脱落防止部材によって小インナーカバーに保持させておくことで、前述の取り外し作業性や取り付け作業性を更に向上させることができる。
【0113】
[第11態様]
第11態様は、搬送ユニットによって搬送しているシートに画像形成処理を施すシート処理手段としての画像形成装置(例えば複写機400)において、前記搬送ユニットとして、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9又は第10態様を用いたことを特徴とするものである。
【符号の説明】
【0114】
P:シート材
17A:前側板(本体)
110:中間転写ベルト(搬送部材)
202:上ガイド板(ガイド部材)
206:ガイドピン(被保持部)
207:被位置決め部(被保持部)
207a:ボス穴(被位置決め部)
208:突き当てピン(規制部材)
225:保持部材(保持体)
226:保持本体部
226b:レール部
226c:突起(位置決め部)
227a:ボス穴(被位置決め手段)
228a:ボス穴(被位置決め手段)
229a:ボス(位置決め部)
392:保守用開口
396:中転系インナーカバー部(インナーカバー部材)
396A:上ガイドインナー(小インナーカバー)
396Aa:つまみネジ(固定部、ネジ部材)
400:複写機(シート処理装置、画像形成装置)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0115】
【文献】特許第3944676号
図1
図2
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