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特許7089690画像形成装置、及び画像形成装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】画像形成装置、及び画像形成装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20220616BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20220616BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
G03G21/00 370
G03G21/00 512
G03G15/16
G03G21/00 318
G03G15/01 Y
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018050709
(22)【出願日】2018-03-19
(65)【公開番号】P2019164197
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】金谷 秀彰
(72)【発明者】
【氏名】高橋 朋子
(72)【発明者】
【氏名】田中 加余子
(72)【発明者】
【氏名】浦山 太一
(72)【発明者】
【氏名】間瀬 隆介
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-171429(JP,A)
【文献】特開2015-105966(JP,A)
【文献】特開平10-063148(JP,A)
【文献】特開2006-154579(JP,A)
【文献】特開2010-224375(JP,A)
【文献】特開2016-020970(JP,A)
【文献】特開2016-035533(JP,A)
【文献】特開2015-212770(JP,A)
【文献】特開2018-120183(JP,A)
【文献】特開2019-159056(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0098420(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/16
G03G 15/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイズが互いに異なる複数の記録媒体のサイズに基づいて予め設定された主走査方向の複数の領域に、入力された画像を区分けし、前記入力された画像を数値処理して区分けされた領域毎の画像面積率を算出する画像面積率算出手段と、
トナー像を担持する像担持体とを備え、
前記像担持体の表面に強制的にトナーを入力させる画像形成装置において、
前記像担持体の表面の主走査方向の全域について、前記像担持体の表面を検知可能なラインセンサを備え、
前記画像面積率算出手段は、プロセスコントロール間に入力した領域毎の画像の画素数を累積した値を、プロセスコントロール間に走行した前記像担持体の走行距離と該当する領域の主走査方向の幅との積で割ることで領域毎の画像面積率を算出し、
前記領域にそれぞれ対応する前記像担持体の表面の主走査方向の領域のうち、前記ラインセンサで検知する前記像担持体の表面の主走査方向の領域を、前記画像面積率算出手段の算出結果に基づいて決め、
前記画像面積率算出手段の算出結果に基づいて決めた前記像担持体の表面の主走査方向の領域を前記ラインセンサで検知し、前記ラインセンサで検知したセンサ出力値と、初期のセンサ出力値との比がフィルミング除去を実施するかどうかの閾値を越えているか否かを判定し、閾値を超えている場合は、前記像担持体の表面に強制的にトナーを入力することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記像担持体は、中間転写体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、
カラー色のトナー像を作像する複数のカラー用作像ユニットと、ブラック色のトナー像を作像するブラック用作像ユニットとを備え、
前記像担持体に入力するトナーの色を、ブラック色とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、
カラー色のトナー像を作像する複数のカラー用作像ユニットと、ブラック色のトナー像を作像するブラック用作像ユニットとを備え、
前記像担持体に入力するトナーの色を、前記画像面積率算出手段の算出結果が最も低い色にすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一に記載の画像形成装置において、
前記入力するトナーの量を、前記ラインセンサのセンサ出力値に応じて変化させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一に記載の画像形成装置において、
前記ラインセンサで、前記画像面積率算出手段の算出結果に基づいて決めた前記像担持体の表面の主走査方向の領域を検知するタイミングはプロセスコントロールのタイミングであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
サイズが互いに異なる複数の記録媒体のサイズに基づいて予め設定された主走査方向の複数の領域に、入力された画像を区分けし、前記入力された画像を数値処理して区分けされた領域毎の画像面積率を算出する画像面積率算出手段と、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体の表面の主走査方向の全域について、前記像担持体の表面を検知可能なラインセンサとを備え、
前記像担持体の表面に強制的にトナーを入力させる画像形成装置の制御方法において、
前記画像面積率算出手段は、プロセスコントロール間に入力した領域毎の画像の画素数を累積した値を、プロセスコントロール間に走行した前記像担持体の走行距離と該当する領域の主走査方向の幅との積で割ることで領域毎の画像面積率を算出し、
前記領域にそれぞれ対応する前記像担持体の表面の主走査方向の領域のうち、前記ラインセンサで検知する前記像担持体の表面の主走査方向の領域を、前記画像面積率算出手段の算出結果に基づいて決め、
前記画像面積率算出手段の算出結果に基づいて決めた前記像担持体の表面の主走査方向の領域を前記ラインセンサで検知し、前記ラインセンサで検知したセンサ出力値と、初期のセンサ出力値との比がフィルミング除去を実施するかどうかの閾値を越えているか否かを判定し、閾値を超えている場合は、前記像担持体の表面に強制的にトナーを入力することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、及び画像形成装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、入力された画像を数値処理し、予め設定される主走査方向の領域毎の画像面積率を算出する画像面積率算出手段と、トナー像を担持する中間転写体や感光体等の像担持体とを備え、像担持体の表面に強制的にトナーを入力させる画像形成装置が知られている。
例えば、特許文献1には、次のような画像形成装置(複写機)が記載されている。
【0003】
画像面積率検知手段により検知された画像面積検知結果に基づいて、領域(ブロック)毎に、像担持体(感光体)の表面に所定量のトナーを強制的に入力する(付着させる)ように制御するものである。
このように構成することで、像担持体の表面に付着したトナー、紙粉、微量添加物、帯電生成物等の異物の効果的な除去を簡単な構成で安価に実現するとともに、像担持体の高寿命化が可能な画像形成装置を提供できるとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の画像形成装置では、像担持体の表面に強制的にトナーを入力してフィルミングを除去するフィルミング除去が、フィルミング兆候のある適切なタイミングで、適切な領域に対して行われているとは限らず、無駄なトナーの消費が行われてしまっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、サイズが互いに異なる複数の記録媒体のサイズに基づいて予め設定された主走査方向の複数の領域に、入力された画像を区分けし、前記入力された画像を数値処理して区分けされた領域毎の画像面積率を算出する画像面積率算出手段と、トナー像を担持する像担持体とを備え、前記像担持体の表面に強制的にトナーを入力させる画像形成装置において、前記像担持体の表面の主走査方向の全域について、前記像担持体の表面を検知可能なラインセンサを備え、前記画像面積率算出手段は、プロセスコントロール間に入力した領域毎の画像の画素数を累積した値を、プロセスコントロール間に走行した前記像担持体の走行距離と該当する領域の主走査方向の幅との積で割ることで領域毎の画像面積率を算出し、前記領域にそれぞれ対応する前記像担持体の表面の主走査方向の領域のうち、前記ラインセンサで検知する前記像担持体の表面の主走査方向の領域を、前記画像面積率算出手段の算出結果に基づいて決め、前記画像面積率算出手段の算出結果に基づいて決めた前記像担持体の表面の主走査方向の領域を前記ラインセンサで検知し、前記ラインセンサで検知したセンサ出力値と、初期のセンサ出力値との比がフィルミング除去を実施するかどうかの閾値を越えているか否かを判定し、閾値を超えている場合は、前記像担持体の表面に強制的にトナーを入力することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、フィルミング兆候のある適切なタイミングで、像担持体の適切な領域に対してフィルミング除去を行い、無駄なトナーの消費を抑制できる画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係るプリンタの概略構成図。
図2】プリンタに備えるY用の作像ユニットの構成説明図。
図3】中間転写ベルトの表面を検知するラインセンサを設けた中間転写ユニットの説明図。
図4】ラインセンサの説明図。
図5】フィルミング除去に関わる制御部のブロック図。
図6】ラインセンサで検知する、中間転写ベルトの領域設定例の説明図。
図7】ベルトフィルミング除去モードの実施判断、及び実行頻度の例。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用した像担持体(中間転写ベルト206)のフィルミング除去を行う画像形成装置として、電子写真方式で中間転写方式を採用したプリンタ(以下、単にプリンタ100という)の一実施形態について、図を用いて説明する。
【0009】
まず、本実施形態に係るプリンタ100の基本的な構成について説明する。
図1は、本実施形態に係るプリンタ100の概略構成図、図2は、プリンタ100に備えるY用の作像ユニット1Yの構成説明図である。
図1に示すプリンタ100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、C、M、Kと記す。)のトナー像を生成するための4つの作像ユニット1Y,1C,1M,1Kを備えている。
これらは、画像を形成する画像形成物質として、互いに異なる色のY,C,M,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。
【0010】
Yトナー像を生成するための作像ユニット1Yを例にすると、図2に示すように、作像ユニット1Yは、感光体ユニット2Yと現像ユニット7Yとを有している。これら感光体ユニット2Y、現像ユニット7Yは、作像ユニット1Yとして一体的にプリンタ100本体に対して着脱可能に構成されている。プリンタ100本体から取り外した状態では、現像ユニット7Yを感光体ユニット2Yに対して着脱することができる。
【0011】
感光体ユニット2Yは、ドラム状の感光体3Y、ドラムクリーニング装置4Y、除電装置、帯電装置6Yなどを有している。
帯電装置6Yは、図中時計回り方向に回転駆動される感光体3Yの表面を一様帯電させる。帯電装置6Yとして、帯電電源601(図5参照)によって帯電バイアスが印加されながら、図中反時計回りに回転駆動される帯電ローラ6aYを感光体3Yに接触又は接近させることで、感光体3Yを一様帯電する方式のものが用いられている。
ここで、帯電ローラ6aYの代わりに、帯電ブラシを接触又は接近させるものを用いてもよい。また、スコロトロンチャージャーやコロトロンチャージャーのように、チャージャー方式によって感光体3Yを一様帯電させるものを用いても良い。
【0012】
帯電ローラ6aYの表面がトナーによって汚れると、その汚れの箇所における帯電能力が低下して、感光体3Yを狙いの電位に帯電させることが困難になる。そこで、帯電ローラ6aYには、その表面に付着したトナーを除去するためのクリーニングローラ6bYを当接させている。
帯電装置6Yによって一様帯電された感光体3Yの表面は、後述する光書込ユニット20から発せられるレーザ光Lによって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。
【0013】
現像手段としての現像ユニット7Yは、第一搬送スクリュウ8Yが配設された第一剤収容部9Yを有している。また、透磁率センサからなるトナー濃度センサ10Y、第二搬送スクリュウ11Y、現像ロール12Y、ドクターブレード13Yなどが配設された第二剤収容部14Yも有している。これら2つの剤収容部内には、磁性キャリアとマイナス帯電性のYトナーとからなるY色のトナー含むY現像剤が収容されている。第一搬送スクリュウ8Yは、駆動手段によって回転駆動されることで、第一剤収容部9Y内のY現像剤を図の紙面に直交する方向における手前側から奥側へと搬送する。そして、第一剤収容部9Yと第二剤収容部14Yとの間の仕切壁に設けられた連通口を経て、第二剤収容部14Y内に進入する。
【0014】
第二剤収容部14Y内の第二搬送スクリュウ11Yは、駆動手段によって回転駆動されることで、Y現像剤を図中奥側から手前側へと搬送する。搬送途中のY現像剤は、第二剤収容部14Yの底部に固定されたトナー濃度センサ10Yによってそのトナー濃度が検知される。このようにしてY現像剤を搬送する第二搬送スクリュウ11Yの図中上方には、現像ロール12Yが第二搬送スクリュウ11Yと平行な姿勢で配設されている。
【0015】
現像ロール12Yは、図中反時計回り方向に回転駆動される非磁性パイプからなる現像スリーブ15Yにマグネットローラ16Yを内包している。第二搬送スクリュウ11Yによって搬送されるY現像剤の一部は、マグネットローラ16Yの発する磁力によって現像スリーブ15Y表面に汲み上げられる。そして、現像部材である現像スリーブ15Yと所定の間隙を保持するように配設されたドクターブレード13Yによってその層厚が規制された後、感光体3Yと対向する現像領域まで搬送され、感光体3Y上のY用の静電潜像にYトナーを付着させる。この付着により、感光体3Y上にYトナー像が形成される。
【0016】
現像によってYトナーを消費したY現像剤は、現像ロール12Yの現像スリーブ15Yの回転に伴って第二搬送スクリュウ11Y上に戻される。そして、図中手前端まで搬送されると、連通口を経て第一剤収容部9Y内に戻る。
【0017】
また、図1に示すように、作像ユニット1Y,1C,1M,1Kの図1図中下方には、光書込ユニット20が配置されている。潜像形成手段としての光書込ユニット20は、入力された画像情報に基づいてレーザ光Lを、各作像ユニット1Y,1C,1M,1Kの感光体3Y,3C,3M,3Kに照射する。これにより、感光体3Y,3C,3M,3K上にY,C,M,K用の静電潜像が形成される。
ここで、光書込ユニット20は、光源から発したレーザ光Lを、モータによって回転駆動されるポリゴンミラー21によって偏向させながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体3Y,3C,3M,3Kに照射するものである。
但し、本実施形態のプリンタ100は、上述したような光書込ユニット20の構成に限定されるものではなく、例えば、LEDアレイによる光走査を行うものを採用することもできる。
【0018】
光書込ユニット20の下方には、第一給送カセット31、第二給送カセット32が鉛直方向に重なるように配置されている。これら給送カセット内には、それぞれ、記録媒体としてのシートSが複数枚重ねられたシート束の状態で収容されており、一番上のシートSには、第一給送ローラ31a、及び第二給送ローラ32aがそれぞれ当接している。
第一給送ローラ31aが、図中反時計回りに回転駆動されると、第一給送カセット31内の一番上のシートSが、第一給送カセット31の図中右側方で鉛直方向に延在するように設けられた給送路33に向けて送り込まれる。また、第二給送ローラ32aが図中反時計回りに回転駆動されると、第二給送カセット32内の一番上のシートSが、給送路33に向けて送り込まれる。
【0019】
給送路33内には、複数の搬送ローラ対34が配設されており、給送路33に送り込まれたシートSは、これら搬送ローラ対34のローラ間に挟み込まれながら、給送路33内を図中下方から上方に向けて搬送される。
給送路33の末端には、レジストローラ対35が配設されている。レジストローラ対35は、搬送ローラ対34から送られてくるシートSをローラ間に挟み込むとすぐに、両ローラの回転を一旦停止させる。そして、シートSを適切なタイミングで後述する二次転写ニップ部へ向けて送り出す。
【0020】
各作像ユニット1Y,1C,1M,1Kの図中上方には、中間転写ベルト41を張架しながら図中反時計回りに無端移動させる中間転写ユニット200が設けられている。
転写手段としての中間転写ユニット200は、中間転写ベルト41の他、ベルトクリーニングユニット210、第一ブラケット243、第二ブラケット244などを備えている。
また、4つの一次転写ローラ245Y,245C,245M,245K、駆動ローラ201、クリーニングバックアップローラ202、テンションローラ203、及び補助ローラ205等も備えている。
中間転写ベルト206は、これら8つのローラに張架されながら、駆動ローラ201による回転駆動で図中反時計回りに無端移動する。
4つの一次転写ローラ245Y,245C,245M,245Kは、このように無端移動される中間転写ベルト206を、感光体3Y,3C,3M,3Kとの間に挟み込んでそれぞれ一次転写ニップ部を形成している。
【0021】
そして、中間転写ベルト206の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えば、プラス)の転写バイアスを印加する。
中間転写ベルト206は、その無端移動に伴ってY,C,M,K各色用の一次転写ニップ部を順次通過していく過程で、その表面に感光体3Y,3C,3M,3K上のYトナー像,Cトナー像,Mトナー像,Kトナー像が重ね合わせられるように一次転写される。これにより、中間転写ベルト206上に四色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0022】
二次転写バックアップローラとしても機能する駆動ローラ201は、中間転写ベルト206のループ外側に配置された二次転写ローラ208との間に中間転写ベルト206を挟み込んで二次転写ニップ部を形成している。
レジストローラ対35が、ローラ間に挟み込んだシートSを、中間転写ベルト206上の4色トナー像に同期させるタイミングで、二次転写ニップ部に向けて送り出す。中間転写ベルト206上の4色トナー像は、二次転写バイアスが印加される二次転写ローラ208と駆動ローラ201との間に形成される二次転写電界や、ニップ圧の影響により、二次転写ニップ部内でシートSに一括して二次転写される。そして、シートSの白色と相まって、フルカラーのトナー像となる。
【0023】
二次転写ニップ部を通過してもシートSに転写されずに中間転写ベルト206に残った転写残トナーは、ベルトクリーニングユニット210によってクリーニングされる。
ここで、ベルトクリーニングユニット210は、クリーニングブレード210aを中間転写ベルト41の表面に当接させ、これによって中間転写ベルト206上の転写残トナーを掻き取って除去するものである。
二次転写ニップ部の図中上方には、定着装置60が配設されている。この定着装置60は、ロゲンランプなどの発熱源を内包する加圧加熱ローラ61と、定着ベルトユニット62を備えている。
【0024】
定着ベルトユニット62は、定着部材としの定着ベルト64、ハロゲンランプなどの発熱源63aを内包する定着ローラ63、テンションローラ65、駆動ローラ66などを有している。そして、無端状の定着ベルト64を定着ローラ63、テンションローラ65、及び駆動ローラ66によって張架しながら、図中反時計回り方向に無端移動させる。
この無端移動の過程で、定着ベルト64は定着ローラ63によって裏面側から加熱される。このようにして加熱された定着ベルト64の定着ローラ63掛け回し箇所には、図中時計回り方向に回転駆動される加圧加熱ローラ61が表面側から当接している。
これにより、加圧加熱ローラ61と定着ベルト64とが当接する定着ニップ部が形成されている。
【0025】
二次転写ニップ部を通過したシートPは、中間転写ベルト206から分離した後、定着装置60内に送られる。そして、定着装置60内の定着ニップ部に挟まれながら図中下側から上側に向けて搬送される過程で、定着ベルト64及び加圧加熱ローラ61によって加熱され、押圧されて、フルカラートナー像が定着される。このようにして定着処理が施されたシートSは、排紙ローラ対67のローラ間を経た後、機外へと排出される。プリンタ本体の上面には、スタック部68が形成されており、排紙ローラ対67によって機外に排出されたシートSは、このスタック部68に順次スタックされる。
【0026】
上述した本実施形態のプリンタ100のような、電子写真方式の画像形成装置に用いられる画像濃度調整や色ずれ補正制御では、感光体上や中間転写ベルト上に作成された検知用のトナーパターンの濃度や位置を光学センサで読み取って補正している。
しかしながら、経時で中間転写ベルト上にトナーや紙等の添加物が薄い膜状に堆積するフィルミングが発生すると、ベルトの光沢度が低下し、センサの出力が上昇する。すなわち、フィルミングによって反射光量が低下するため、所定の受光量が得られるようにするためには、LED等の発光素子に流す電流値(順電流If)を上げなければならない。
この発光素子に流す電流値がセンサの出力値となる。
【0027】
そして、センサの出力値が上限を超えると、濃度調整や色ずれ補正ができなくなるという問題があった。これは、発光量を強くしたにもかかわらず、十分な受光光量が得られないからである。
また、フィルミング状態のムラにより、センサの出力が安定せず正しく調整(補正)できないという問題があった。
これらの問題は、特に、画像面積率や1回当りの出力枚数が低く、あるいはフルカラー率が高い使われ方をすると発生し易い。
印刷される画像の面積率が高い場合には、トナーの入力量が多いため、中間転写ベルト上にフィルミングが生じていた場合にはこれが除去され、自動的に中間転写ベルトの光沢度の低下が防止されたり、低下した光沢度が上がったりすることが知られている。
【0028】
クリーニングブレードの偏摩耗を防いで、クリーニング不良を防止することを目的として、画像出力枚数に応じて、クリーニングブレードへのトナーの供給を強制的に実行する制御方式も知られている。この制御方式では、クリーニングブレード部位へのトナーの供給により、中間転写ベルト上にフィルミングが生じていた場合には結果的にこれを除去することとなる。
しかしながら、フィルミングの発生は画像形成装置の使われ方に因るところがあるため、経時で中間転写ベルト上にフィルミングが生じて光沢度が低下してきても、それを適切なタイミングで除去する手段はなかった。
【0029】
上述したように、クリーニング性の向上や、ブレードめくれ防止を目的としてトナーを入力する制御は従来からあるが、目的が異なり、フィルミング発生の有無に関係なく実行されるため、フィルミングの除去が適切なタイミングで行われるとは限らない。
また、中間転写ベルト上の主走査方向の全域の異常を検知できる光学センサ(ラインセンサ)を設けて、中間転写ベルト上のフィルミングの有無を検知する方法もあるが、検知データが膨大となってしまい保存するためのメモリが大量に必要となってしまう問題がある。
そして、特許文献1に記載の構成を、中間転写ベルト上のフィルミング除去に適用したとしても、次のような問題がある。
中間転写ベルトの表面に強制的にトナーを入力してフィルミングを除去するフィルミング除去が、フィルミング兆候のある適切なタイミングで、適切な領域に対して行われているとは限らず、無駄なトナーの消費が行われてしまうという問題である。
【0030】
上述したように、電子写真方式の画像形成装置では画像濃度調整や色ずれ補正制御のため、中間転写ベルト上に作成された検知用のトナーパターンの濃度や位置を光学センサで読み取って補正している。
本実施形態のプリンタ100は、経時で中間転写ベルト上にフィルミングが発生し、中間転写ベルトの光沢度が低下してしまい、濃度等を検知する光学センサの出力が上昇してしまう従来の問題を解決するものである。
また、中間転写ベルトの表面に強制的にトナーを入力してフィルミングを除去するフィルミング除去が、フィルミング兆候のある適切なタイミングで、適切な領域に対して行われているとは限らず、無駄なトナーの消費が行われてしまう従来の問題を解決するものである。
また、中間転写ベルト上の主走査方向の全域の異常を検知できる光学センサを設けて、中間転写ベルト上のフィルミングの有無を検知した場合、検知データが膨大になってしまうという従来の問題を解決するものである。
以下、本実施形態のプリンタ100の特徴的な構成について説明する。
【0031】
図3は、中間転写ベルト206の表面を検知するラインセンサ610を設けた中間転写ユニット200の説明図、図4は、ラインセンサ610の説明図、図5は、フィルミング除去に関わる制御部500のブロック図である。図6は、ラインセンサ610で検知する、中間転写ベルト206の領域設定例の説明図、図7は、ベルトフィルミング除去モードの実施判断、及び実行頻度の例を示している。
図3に示すように、本実施形態のプリンタ100では、中間転写ベルト206上のフィルミング(異常)を検知する光学センサーユニット600(図5参照)としてラインセンサ610を設けた中間転写ユニット200を使用する。
【0032】
中間転写ベルト206の周方向における全域のうち、駆動ローラ201とクリーニングバックアップローラ202に巻き掛けられた上部張架面の上方には、光学検出手段としてのラインセンサ610が中間転写ベルト206の表面206aと対向配置されている。
ラインセンサ610は、主走査方向H(ベルト幅方向)に延びていて、光源と集光レンズと受光素子とが、主走査方向Hに複数直線状に配置されたアレイ構造のラインセンサ610である。
また、図3図中の符号Vは、主走査方向Hと直交する副走査方向Vを示している。
また、図3図中、斜線部分は、中間転写ベルト206の表面206aにおける画像形成領域を示し、そのうち206bは地肌部を示す。
【0033】
ラインセンサ610の構成は、例えば図4に示すように、主走査方向Hに配置され、白色の光を照射する発光素子としてLEDからなる1つの光源611と、と集光レンズ613と、受光素子612とを1つのセルとしてケーシング614で支持するものである。
ここで、受光素子612は、赤、緑、青色の反射光を受光する3つの受光素子612R、612G、612Bから構成されている。
また、本実施形態においては、ラインセンサ610には、カラーセンサの1つである密着イメージセンサ(CIS)を用いている。但し、ラインセンサ610としては、CISではなく、CCDイメージセンサを用いても良い。また、光源としては、白色の光源(LED)の1色ではなく、3色(赤、緑、青色)の光源を用いても良い。
【0034】
CISからなるラインセンサ610は、主走査方向Hに直線状に並んだ単位セル毎に増
幅器を有し、受光素子612で光変換された電気信号の読み出しによる電気ノイズの発生
が抑えられている。この電気信号は、図1や、後述する図5に示す制御部500に入力される。
【0035】
また、図3に示すように、中間転写ユニット200は、駆動ローラ201を回転駆動して中間転写ベルト206を無端移動するための駆動源としてのベルト駆動モータ211を備えている。
また、駆動ローラ201の一方の端部近傍には、中間転写ベルト206やトナー像の副走査方向Vの位置を検出する位置情報検出手段としての位置情報検出センサ213が配置されている。この位置情報検出センサ213は、駆動ローラ201の一端部に設けられた複数のスリットを有する被検知部材212のスリット部分の通過、非通過を検出することで、中間転写ベルト206やトナー像の副走査方向Vの位置を検出する。
【0036】
そして、本実施形態のプリンタ100では、主走査方向Hのどこにフィルミングが発生しているかをラインセンサ610により検知し、中間転写ベルト206のフィルミングを除去するベルトフィルミング除去モードを実行する。
本実施形態のプリンタ100では、図5に示すように、まず入力された画像を数値処理し、予め設定された主走査方向Hのブロック毎の画像面積率を算出する画像面積率算出手段としての画像面積率算出回路510を設けている。
この画像面積率算出回路510で算出した領域毎の画像面積率Xにより、ラインセンサ610による検知を行う領域を決める。
例えば、画像面積率が5[%]を下回った場合には、フィルミングが発生する可能性があると判断してそのブロックについてラインセンサ610による検知を実施する。
上述した5[%]という閾値は、中間転写ベルト206の材質やトナー種類によって変わる設計値であるため、プリンタ100の機器構成に応じて任意に設定する値である。
【0037】
一般的に、画像は記録媒体である転写紙等のシートSの外側に描かれることはないため、画像面積率XはシートSのサイズの境界で大幅に変わる。このため上述した主走査方向Hの領域の分け方は均一ではなく、例えば、図6のように使用頻度の多い紙サイズで分ける。
本実施形態のプリンタ100では、図5に示すように、はがきサイズの内側、はがきサイズの端部からA4サイズの内側、A4サイズの端部からA3サイズの内側としている。
このように分けることで、主走査方向Hの領域は、図中左側からR1、R2、R3、R4R5の5つの領域に分けられることとなる。
ここで、現在でも、一部の業種で利用頻度が高いA5サイズやA5サイズを追加して、例えば、はがきサイズの内側、はがきサイズの端部からB5サイズの内側、B5サイズの端部からA4サイズの内側、A4サイズの端部からA3サイズの内側等に変更しても良い。
【0038】
すなわち、プリンタ100の予め設定される主走査方向Hの領域は、画像形成を行うシートSのサイズに応じて設定されている。
このように構成することで、画像形成を行うシートSのサイズの境界で画像面積率が大きく変動する可能性が高いので、画像面積率によるフィルミング発生予測の精度が向上する。
【0039】
ここで、図5を用いて制御部500のフィルミング除去(ベルトフィルミング除去モード)に関わる制御ブロックの例について簡単に説明しておく。
図5に示すように、制御部500自体には、ROM501やRAM502のメモリを有しており、ROM501等に記憶したプログラムを用いてRAM502に一時的に保存したデータ等の処理を行ってプリンタ100の各部を制御する。
また、プリンタポート521、スキャナーポート522、及びLANポート523等から入力された画像(画像情報)を画像処理回路520で処理して制御部500との間で通信を行ったり、光書込ユニット20に処理したデータを受け渡したりする。
画像面積率算出回路510は、制御部を介して画像処理回路520で処理した画像データから領域毎の画素数を累積し、光学センサーユニット600として用いるラインセンサ610で検知を行うときの領域を決定するための領域毎の画像面積率を算出する。
【0040】
光学センサーユニット600は、中間転写ベルト206の主走査方向Hの全域を検知可能なセンサを備えるものであり、本実施形態では、ラインセンサ610を用いており、制御部500との間で通信を行い、制御部500の要求に応じて検知した出力値を送信する。ここで、ラインセンサ610による決定された領域のフィルミングの検知は、中間転写ベルト206にトナー像が担持されていない非担持状態で行われる。また、本実施形態では、光学センサーユニット600は、ラインセンサ610を用いているが、このような構成に限定されるものではなく、他の方式のセンサを用いても良い。
【0041】
そして、フィルミングを除去する必要があると制御部500で判断した場合には、Kプロセスモータ301、カラープロセスモータ302、ベルト駆動モータ211、現像電源701、帯電電源601、及び光書込ユニット20を制御して中間転写ベルト206の表面にトナーを入力するベルトフィルミング除去モードを実行する。
ここで、ベルトフィルミング除去モードで中間転写ベルト206の表面に入力するトナーの量は、ラインセンサ610の検知結果に応じて変更するように構成している。
つまり、入力するトナーの量を、ラインセンサ610の出力値、つまり、フィルミングの程度に応じて変化させている。
このように構成することで、フィルミングの程度が悪いときに大きく改善することができる。
【0042】
また、本実施形態のプリンタ100では、画像面積率Xの算出はプロセスコントロールを実施するタイミングで算出している。
この場合には、プロセスコントロールを実施するたびに画像面積率Xはリセットしプロコン間の画像面積率Xを算出する。
ここで、領域毎の画像面積率Xは、プロセスコントロール間に入力した領域毎の画像の画素数を累積した値を、プロセスコントロール間に走行した中間転写ベルト206の走行距離と該当する領域の主走査方向Hの幅(w1,w2,w3)との積でわることで算出できる。つまり、各領域R1,R2,R3,R4,R5の画像面積率X1,X2,X3,X4,X5を算出できる。
このように算出することで、光学センサを設けて、中間転写ベルト206上のフィルミングの有無を検知した場合に、検知データが膨大となってしまい保存するためのメモリが大量に必要となってしまう問題を解決できる。
【0043】
また、プロセスコントロールを実施するたびに画像面積率Xはリセットしプロコン間の画像面積率Xを算出している。つまり、中間転写ベルト206の表面にトナーを入力して解消すべきフィルミングが発生しているか否かの判断を行うために、ラインセンサ610で中間転写ベルト206の表面を検知するタイミングは、プロセスコントロールのタイミングである。
このように構成することで、次のような効果を奏することができる。
プロセスコントロールと同じタイミングで、トナーを入力して解消すべきフィルミングが発生しているか否かの判断を行うための、ラインセンサ610による中間転写ベルト206の表面の検知を行うことができる。したがって、画像形成中(印刷中)の待ち時間を低減することができる。
【0044】
次に、領域毎の画像面積率Xの算出結果より、ラインセンサ610による検知を行うとなった場合の制御例について説明する。
ラインセンサ610を用いた正常な状態か、フィルミングが発生した異常な状態かの判断は、ラインセンサ610の出力値の変動で決定する。
このとき(現在の)センサ出力値(If)と、ROM501やRAM502等のメモリに記憶させている初期のセンサ出力値(If0)との比がフィルミング除去を実施するかどうかの閾値を越えているか否かを判定している。閾値を超えている場合には、トナーを入力してフィルミングを除去するベルトフィルミング除去モードを実行する。
【0045】
ここで、設定する閾値の例を、図7を用いて説明しておく。
図7に示す例では、実施する閾値Aに加えてフィルミングの状態によりフィルミング除去モードの実施間隔(実行枚数B)を変更している。フィルミングの状態が悪いほど除去モードを多く実施する。
【0046】
具体的には、センサ出力値の比がIf/If0<1.5のときの閾値をA1=1.5とした場合、閾値をA1が1.5未満であればベルトフィルミング除去(フィルミング除去)は実行しない。
センサ出力値の比が1.5≦If/If0<2のときの閾値をA2=2とした場合、閾値をA2が1.5以上2未満であればベルトフィルミング除去を実行し、その実行間隔(実行枚数B)を100枚とする。
センサ出力値の比が2≦If/If0のときの閾値をA3=3とした場合の内、センサ出力値の比が2≦If/If0<3、つまりA3が2以上3未満であればベルトフィルミング除去を実行し、その実行間隔(実行枚数B)を50枚とする。一方、センサ出力値の比がIf/If0>3、つまりA3が3を超えるときにはベルトフィルミング除去を実行し、その実行間隔(実行枚数B)を10枚とする。
【0047】
ここで、上述した説明では、プロセスコントロールと同時に画像面積率の算出及びフィルミングの検知を行っているが、画像面積率Xの算出及びラインセンサ610によるフィルミングの検知はそれぞれ単独で行うことも可能である。
また、上述したベルトフィルミング除去モードは、具体的には中間転写ベルト206へトナーを入力している。
【0048】
近年のプリンタではモノクロ印刷のファーストプリント時間を短縮、ユニット寿命を延ばす、最も消費されるKトナーの消費量低減する目的からKが最下流に配置されることが多い。
そこで、フィルミング除去モードでもトナー消費量を低減するためKトナーを選ぶことができる。つまり、カラー色のトナー像を作像する複数の作像ユニット1Y,1C,1Mと、ブラック色のトナー像を作像する作像ユニット1Kとを備えるプリンタ100では、中間転写ベルト206に入力するトナーの色を、ブラック色とすることができる。
このように構成することで、カラー対応のプリンタ100では、ブラック色のトナー像を形成する作像ユニット1Kが最下流に設けられることが多く、逆転写によるロスが少ないので、トナー消費量を抑えることができる。
また、カラー対応のプリンタ100では、ブラック用の作像ユニット1Kを単独で動作させることが可能なように構成されていることが多いので、カラー色のトナー像を形成するカラー用の作像ユニット1Y,1C,1Mの寿命への影響を小さくできる。
【0049】
一方で、フィルミングが悪化するような低画像条件では現像ユニット7内のトナーが消費されずに攪拌され続けるため、トナーが劣化していることも多い。トナーが劣化すると出力した画像がボソついてしまう。
このためフィルミング除去モードで使用するトナーには上述した画像面積率が最も低いトナーを選択することで劣化したトナーを吐き出し画像品質を向上させることもできる。
すなわち、カラー色のトナー像を作像する作像ユニット1Y,1C,1Mと、ブラック色のトナー像を作像する作像ユニット1Kとを備えるプリンタ100では、中間転写ベルト206に入力するトナーの色を、画像面積率算出回路510の算出結果が最も低い色にすることもできる。
このように構成することで、使用頻度が少ない作像ユニットに収容された劣化トナーを吐き出すことで画像品質を向上させることができる。
【0050】
以上、本実施形態について、図面を参照しながら説明してきたが、具体的な構成は、上述した本実施形態のプリンタ100の構成に限られるものではなく、要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等を行っても良い。
例えば、画像形成装置としては、プリンタ100に限定されるものではなく、複写機や複合機等にも適用可能である。
また、カラー対応のプリンタ100に限定されるものではなく、複数色や単色に対応した画像形成装置にも適用可能である。但し、単色の画像形成装置のように、作像ユニットを1つしか備えていない画像形成装置では、フィルミング除去に使用するトナーの色は1つに限定される。
また、主走査方向の全域を検知する光学センサーユニット600としては、ラインセンサ610に限定されるものではなく、例えば、光学センサを複数配置した複数配置センサや、主走査方向の全域に移動可能な移動センサにも変更可能である。
【0051】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
プリンタポート521などから入力された画像などの入力された画像を数値処理し、R1~R5などの予め設定される主走査方向Hなどの主走査方向の領域毎の画像面積率X1~X5などの画像面積率を算出する画像面積率算出回路510などの画像面積率算出手段と、トナー像を担持する中間転写ベルト206などの像担持体とを備え、前記像担持体の表面に強制的にトナーを入力させるプリンタ100などの画像形成装置において、前記像担持体の表面の主走査方向の全域を検知可能なラインセンサ610などの像担持体表面検知手段を備え、前記画像面積率算出手段の算出結果に基づいて前記像担持体表面検知手段で検知する前記像担持体の表面の領域を決め、前記像担持体表面検知手段の検知結果に基づいて、前記像担持体の表面に強制的にトナーを入力することを特徴とする。
【0052】
これによれば、次のような効果を奏することができる。
従来の画像形成装置では、画像面積率検知手段により検知した主走査方向の領域毎の画像面積率に基づいて、領域毎に、像担持体の表面に所定量のトナーを強制的に入力するように制御している。このため、フィルミング除去が、フィルミング兆候のある適切なタイミングで、適切な領域に対して行われているとは限らず、無駄なトナーの消費が行われてしまっていた。
【0053】
一方、本態様では、画像面積率算出手段の算出結果に基づいて像担持体表面検知手段で検知する像担持体の表面の領域を決めるので、フィルミング兆候のある適切な領域を像担持体表面検知手段で検知することができる。
加えて、像担持体表面検知手段で検知したフィルミング兆候のある領域の検知結果に基づいて、像担持体の表面の適切な領域に対して強制的にトナーを入力できるので、フィルミング兆候のある適切なタイミングでフィルミング除去を行うことができる。
したがって、従来の画像形成装置に比べて、無駄なトナーの消費を抑制できる。
よって、フィルミング兆候のある適切なタイミングで、像担持体の適切な領域に対してフィルミング除去を行い、無駄なトナーの消費を抑制できる画像形成装置を提供できる。
【0054】
(態様B)
(態様A)において前記像担持体は、中間転写体であることを特徴とする。
これによれば、中間転写体のフィルミングを、適切なタイミングで検知して、適切な領域で除去することができ、無駄なトナーの消費を抑制できる。
【0055】
(態様C)
(態様A)又は(態様B)において、前記予め設定される主走査方向の領域は、画像形成を行うシートSなどの記録媒体のサイズに応じて設定されていることを特徴とする。
これによれば、画像形成を行う記録媒体のサイズの境界で画像面積率が大きく変動する可能性が高いので、画像面積率によるフィルミング発生予測の精度が向上する。
【0056】
(態様D)
(態様A)乃至(態様C)のいずれかにおいて、カラー色のトナー像を作像する作像ユニット1Y,1C,1Mなどの複数のカラー用作像ユニットと、ブラック色のトナー像を作像する作像ユニット1Kなどのブラック用作像ユニットとを備え、前記像担持体に入力するトナーの色を、ブラック色とすることを特徴とする。
これによれば、カラー対応の画像形成装置では、ブラック色のトナー像を形成するブラック用の作像ユニットが最下流に設けられることが多く、逆転写によるロスが少ないので、トナー消費量を抑えることができる。
また、カラー対応の画像形成装置では、ブラック用の作像ユニットを単独で動作させることが可能なように構成されていることが多いので、カラー色のトナー像を形成するカラー用の作像ユニットの寿命への影響を小さくできる。
【0057】
(態様E)
(態様A)乃至(態様C)のいずれかにおいて、カラー色のトナー像を作像する作像ユニット1Y,1C,1Mなどの複数のカラー用作像ユニットと、ブラック色のトナー像を作像する作像ユニット1Kなどのブラック用作像ユニットとを備え、前記像担持体に入力するトナーの色を、前記画像面積率算出手段の算出結果が最も低い色にすることを特徴とする。
これによれば、使用頻度が少ない作像ユニットに収容された劣化トナーを吐き出すことで画像品質を向上させることができる。
【0058】
(態様F)
(態様A)乃至(態様E)のいずれかにおいて、前記入力するトナーの量を、前記像担持体表面検知手段の検知結果に応じて変化させることを特徴とする。
これによれば、像担持体表面検知手段の検知結果、つまり、フィルミングの程度に応じてトナー量を変化させることで、フィルミングの程度が悪いときに大きく改善することができる。
【0059】
(態様G)
(態様A)乃至(態様F)のいずれかにおいて、前記像担持体の表面にトナーを入力して解消すべきフィルミングが発生しているか否かの判断を行うために、前記像担持体表面検知手段で前記像担持体の表面を検知するタイミングは、プロセスコントロールのタイミングであることを特徴とする。
これによれば、次のような効果を奏することができる。
プロセスコントロールと同じタイミングで、トナーを入力して解消すべきフィルミングが発生しているか否かの判断を行うための、像担持体表面検知手段による像担持体の表面の検知を行うことができ、画像形成中(印刷中)の待ち時間を低減することができる。
【0060】
(態様H)
プリンタポート521などから入力された画像などの入力された画像信号を数値処理し、R1~R5などの予め設定される主走査方向Hなどの主走査方向の領域毎の画像面積率X1~X5などの画像面積率を算出する画像面積率算出回路510などの画像面積率算出手段と、トナー像を担持する中間転写ベルト206などの像担持体とを備え、前記像担持体の表面に強制的にトナーを入力させる画像形成装置の制御方法において、当該画像形成装置の制御方法として、(態様A)乃至(態様F)のいずれかのプリンタ100などの画像形成装置と同じ制御方法を採用することを特徴とする。
これによれば、(態様A)乃至(態様G)のいずれかの画像形成装置と同様な効果を奏することができる画像形成装置の制御方法を提供できる。
【符号の説明】
【0061】
1 作像ユニット
3 感光体
7 現像ユニット
20 光書込ユニット
41 中間転写ベルト
100 プリンタ
200 中間転写ユニット
206 中間転写ベルト
500 制御部
510 画像面積率算出回路
520 画像処理回路
521 プリンタポート
600 光学センサーユニット
610 ラインセンサ
S シート
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【文献】特開2006-126753号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7