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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】電子部品内蔵基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20220616BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20220616BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20220616BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20220616BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
H05K3/46 Q
H01L21/60 301A
H01L21/60 311S
H01L23/12 501W
H05K1/18 J
H05K1/18 L
H05K1/02 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018178529
(22)【出願日】2018-09-25
(65)【公開番号】P2020053458
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松澤 悟志
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第8981577(US,B2)
【文献】米国特許第7355274(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2009/0152740(US,A1)
【文献】米国特許第6815254(US,B2)
【文献】米国特許第7795727(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2009/0091042(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0104196(US,A1)
【文献】特開2004-172157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
H01L 21/60
H01L 23/12
H05K 1/18
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に実装用パッドを有する下基板と、
下面に接続用パッドを有する上基板と、
前記下基板と前記上基板との間に配設され、下面に第1接続パッド及び第2接続パッドを有し、前記第1接続パッドが金属ポストにより前記下基板の前記実装用パッドに接続された電子部品と、
前記電子部品の第2接続パッドに第1端部が接続され、前記上基板の接続用パッドに第2端部が接続されたボンディングワイヤと、
前記電子部品と前記下基板との間に充填され、前記金属ポストと、前記ボンディングワイヤの前記第1端部とを覆うアンダーフィル樹脂と、
を有し、
前記ボンディングワイヤのループ部は前記金属ポストの下端よりも低く位置し、
前記下基板は、前記ボンディングワイヤのループ部を収容する収容部を有すること、
を特徴とする電子部品内蔵基板。
【請求項2】
前記アンダーフィル樹脂は、前記収容部に収容された前記ボンディングワイヤの前記ループ部を覆うことを特徴とする請求項1に記載の電子部品内蔵基板。
【請求項3】
前記収容部は、前記電子部品の周縁部に沿って延びる第1の溝を有し、前記アンダーフィル樹脂は前記第1の溝に充填されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品内蔵基板。
【請求項4】
前記収容部は、前記電子部品の周縁部に沿って延びる第1の溝と、前記第1の溝から前記下基板の側面まで延びる第2の溝とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品内蔵基板。
【請求項5】
前記収容部は、前記下基板の側面まで延びるように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品内蔵基板。
【請求項6】
前記収容部は、平面視で、前記電子部品の前記第2接続パッドと重なる領域に配置されていることを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の電子部品内蔵基板。
【請求項7】
前記下基板と前記上基板との間に充填され、前記電子部品を封止する封止樹脂を有することを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の電子部品内蔵基板。
【請求項8】
前記封止樹脂と前記アンダーフィル樹脂はフィラーを含む絶縁樹脂であり、前記アンダーフィル樹脂に含まれるフィラーは、前記封止樹脂に含まれるフィラーより小さいことを特徴とする請求項7に記載の電子部品内蔵基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電子部品内蔵基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体チップ等の電子部品を有した基板の小型化や省スペース化等のため、半導体チップ等の電子部品が埋め込まれた所謂電子部品内蔵基板が提案されている。電子部品は、バンプを介して下側配線基板に接続されるとともに、はんだボールを介して上側配線基板に接続される。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-153536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、半導体素子の高集積化や高機能化に伴い、半導体素子が実装される配線基板においても配線の微細化の要求が高まっている。しかしながら、上記の電子部品内蔵基板のように接続にはんだボールを用いたものでは、電子部品内蔵基板の薄型化や、高集積化や高機能化された電子部品を搭載することは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、上面に実装用パッドを有する下基板と、下面に接続用パッドを有する上基板と、前記下基板と前記上基板との間に配設され、下面に第1接続パッド及び第2接続パッドを有し、前記第1接続パッドが金属ポストにより前記下基板の前記実装用パッドに接続された電子部品と、前記電子部品の第2接続パッドに第1端部が接続され、前記上基板の接続用パッドに第2端部が接続されたボンディングワイヤと、前記電子部品と前記下基板との間に充填され、前記金属ポストと、前記ボンディングワイヤの前記第1端部とを覆うアンダーフィル樹脂と、を有し、前記ボンディングワイヤのループ部は前記金属ポストの下端よりも低く位置し、前記下基板は、前記ボンディングワイヤのループ部を収容する収容部を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一観点によれば、薄型化を可能とした電子部品内蔵基板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態の電子部品内蔵基板の概略断面図。
図2】電子部品及び上基板を示す概略平面図。
図3】下基板を示す概略平面図。
図4】(a)(b)は電子部品内蔵基板の製造工程を示す概略断面図。
図5】(a)(b)は電子部品内蔵基板の製造工程を示す概略断面図。
図6】電子部品内蔵基板の製造工程を示す概略断面図。
図7】電子部品内蔵基板の製造工程を示す概略断面図。
図8】電子部品内蔵基板の製造工程を示す概略断面図。
図9】電子部品内蔵基板の製造工程を示す概略断面図。
図10】(a)は変更例の電子部品内蔵基板の概略断面図、(b)は下基板の概略平面図。
図11】(a)は変更例の電子部品内蔵基板の概略断面図、(b)は下基板の概略平面図。
図12】変更例の電子部品内蔵基板の概略断面図。
図13】変更例の電子部品内蔵基板の概略断面図。
図14】変更例の電子部品内蔵基板の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態を説明する。
なお、添付図面は、便宜上、構成要素を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際のものと、または別の図面中のものと異なる場合がある。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の部材のハッチングを梨地模様に代えて示し、一部の部材のハッチングを省略している。
【0009】
図1に示すように、電子部品内蔵基板1は、下基板10、上基板20、半導体素子(半導体チップ)30、ボンディングワイヤ50、アンダーフィル樹脂60、封止樹脂70を有している。
【0010】
下基板10は、上面側(図1において上側)に実装用パッドP11を有し、下面側(図1において下側)に外部接続用パッドP12を有している。実装用パッドP11は、例えば半導体素子30を実装するために用いられる。外部接続用パッドP12は、この電子部品内蔵基板1を他の基板等に実装するために用いられる。
【0011】
図1は下基板10の一例を示す。
下基板10は、絶縁層11、配線層12、絶縁層13、配線層14、ソルダーレジスト層15、配線層16、ソルダーレジスト層17を有している。
【0012】
下基板10において、絶縁層11としては、例えば、ガラスクロスにエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を含浸させた所謂ガラスエポキシ基板等を用いることができる。絶縁層11として、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の織布や不織布にエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を含浸させた基板等を用いてもよい。絶縁層11は、シリカ(二酸化ケイ素)等のフィラーを含有してもよい。なお、各図において、ガラスクロス等の図示は省略されている。
【0013】
配線層12は、絶縁層11の上面側に形成されている。配線層12の材料としては、例えば、銅(Cu)や銅合金等を用いることができる。
絶縁層13は、絶縁層11の上面側に、配線層12を覆うように形成されている。絶縁層13の材料としては、例えば、熱硬化性のエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁層13は、シリカ(二酸化ケイ素)等のフィラーを含有してもよい。
【0014】
配線層14は、絶縁層13の上面側に形成されている。配線層14は、絶縁層13を厚さ方向に貫通するビア配線と、絶縁層13の上面側に形成された配線パターンとを有している。配線層14の材料としては、例えば、銅や銅合金等を用いることができる。
【0015】
ソルダーレジスト層15は、絶縁層13の上面側に、配線層14の一部と絶縁層13を被覆するように形成されている。ソルダーレジスト層15は、配線層14の上面の一部を実装用パッドP11として露出する開口部15Xを有している。ソルダーレジスト層15の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やアクリル系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
【0016】
なお、必要に応じて、開口部15Xから露出する配線層14の表面に表面処理層を形成してもよい。表面処理層の例としては、金(Au)層、ニッケル(Ni)層/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni層/パラジウム(Pd)層/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。これらAu層、Ni層、Pd層としては、例えば、無電解めっき法により形成された金属層(無電解めっき金属層)を用いることができる。また、Au層はAu又はAu合金からなる金属層、Ni層はNi又はNi合金からなる金属層、Pd層はPd又はPd合金からなる金属層である。また、配線層14の表面に、OSP(Organic Solderability Preservative)処理などの酸化防止処理を施して表面処理層を形成するようにしてもよい。例えば、OSP処理を施した場合には、配線層14(実装用パッドP11)の表面に、アゾール化合物やイミダゾール化合物等の有機被膜による表面処理層が形成される。なお、開口部15Xから露出する配線層14(又は、配線層14の表面上に表面処理層が形成されている場合には、その表面処理層)自体を、実装用パッドP11としてもよい。
【0017】
配線層16は、絶縁層11の下面側に形成されている。配線層16は、絶縁層11を厚さ方向に貫通するビア配線と、絶縁層11の下面側に形成された配線パターンとを有している。配線層16の材料としては、例えば、銅や銅合金等を用いることができる。
【0018】
ソルダーレジスト層17は、絶縁層11の下面側に、配線層16の一部と絶縁層11を被覆するように形成されている。ソルダーレジスト層17は、配線層16の下面の一部を外部接続用パッドP12として露出する開口部17Xを有している。ソルダーレジスト層17の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やアクリル系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
【0019】
なお、必要に応じて、開口部17Xから露出する配線層16の表面に表面処理層を形成してもよい。表面処理層の例としては、Au層、Ni層/Au層、Ni層/Pd層/Au層などを挙げることができる。これらAu層、Ni層、Pd層としては、例えば、無電解めっき法により形成された金属層(無電解めっき金属層)を用いることができる。また、Au層はAu又はAu合金からなる金属層、Ni層はNi又はNi合金からなる金属層、Pd層はPd又はPd合金からなる金属層である。また、配線層16の表面に、OSP処理などの酸化防止処理を施して表面処理層を形成するようにしてもよい。例えば、OSP処理を施した場合には、配線層16(外部接続用パッドP12)の表面に、アゾール化合物やイミダゾール化合物等の有機被膜による表面処理層が形成される。なお、開口部17Xから露出する配線層16(又は、配線層16の表面上に表面処理層が形成されている場合には、その表面処理層)自体を、外部接続用パッドP12としてもよい。
【0020】
下基板10は、収容部18を有している。収容部18は、後述するボンディングワイヤの一部を収容する。収容部18は、底面18cを有し、その底面18cは、下基板10の上面となるソルダーレジスト層15の上面15aより低く位置している。本実施形態において、収容部18の底面18cは、下基板10の絶縁層13内に位置している。つまり、下基板10において、ソルダーレジスト層15は開口部15Aを有し、絶縁層13は凹部13Bを有し、絶縁層13の凹部13Bとソルダーレジスト層15の開口部15Aとにより収容部18が構成されている。図3に示すように、収容部18は、平面視矩形状の半導体素子30の周縁部に沿って枠状に形成されている。図3では平面図であるが、収容部18の底面18cについて梨地模様を付し、収容部18を判り易くしている。
【0021】
半導体素子30は、下基板10に実装されている。半導体素子30は、回路形成面を下基板10に向けてフリップチップ実装されている。詳述すると、半導体素子30は、素子本体31、第1接続パッドP31、第2接続パッドP32、金属ポスト33とを有している。図2に示すように、素子本体31は、平面形状は矩形状(例えば正方形状)である。図1において、素子本体31の下面には、複数の第1接続パッドP31及び第2接続パッドP32が形成されている。図2に示すように、素子本体31の下面31b側において、第1接続パッドP31は行列状に配列され、各第1接続パッドP31には金属ポスト33が接続されている。
【0022】
金属ポスト33は、柱状(例えば円柱状)であり、第1接続パッドP31に接続部材(例えばはんだ)により接続されている。金属ポスト33の材料としては、例えば銅又は銅合金等を用いることができる。素子本体31の下面31b側において、第2接続パッドP32は、素子本体31の周縁部に沿って配列されている。図1に示すように、下基板10の収容部18は、平面視で、半導体素子30の第2接続パッドP32と重なる領域に形成されている。第2接続パッドP32は、素子本体31に含まれる図示しない配線パターンを介して第1接続パッドP31と接続されている。なお、本実施形態において、第2接続パッドP32は、素子本体31の4つの辺のそれぞれに沿って配列されているが、少なくとも1つの辺に沿って配列されていてもよい。
【0023】
半導体素子30としては、たとえばCPU(Central Processing Unit)チップやGPU(Graphics Processing Unit)チップなどのロジックチップを用いることができる。また、半導体素子30としては、たとえばDRAM(Dynamic Random Access Memory)チップ、SRAM(Static Random Access Memory)チップやフラッシュメモリチップなどのメモリチップを用いることもできる。なお、電子部品内蔵基板1に内蔵される電子部品は半導体素子30に限定されず、半導体素子に再配線を形成した所謂CSP(chip size package)を内蔵してもよい。
【0024】
上基板20は、上面側(図1において上側)に外部接続用パッドP21を有し、下面側(図1において下側)に接続用パッドP22を有している。外部接続用パッドP21は、例えば半導体パッケージ90を実装するために用いられる。接続用パッドP22は、例えば半導体素子30と接続するために用いられる。
【0025】
上基板20は、絶縁層21、配線層22、絶縁層23、配線層24、ソルダーレジスト層25、配線層26、ソルダーレジスト層27を有している。
上基板20において、絶縁層21としては、例えば、ガラスクロスにエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を含浸させた所謂ガラスエポキシ基板等を用いることができる。絶縁層11として、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の織布や不織布にエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を含浸させた基板等を用いてもよい。なお、各図において、ガラスクロス等の図示は省略されている。
【0026】
配線層22は、絶縁層21の下面側に形成されている。配線層22の材料としては、例えば、銅や銅合金等を用いることができる。
絶縁層23は、絶縁層21の下面側に、配線層22を覆うように形成されている。絶縁層23の材料としては、例えば、熱硬化性のエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁層23は、シリカ等のフィラーを含有してもよい。
【0027】
配線層24は、絶縁層23の下面側に形成されている。配線層24は、絶縁層23を厚さ方向に貫通するビア配線と、絶縁層23の下面側に形成された配線パターンとを有している。配線層24の材料としては、例えば、銅や銅合金等を用いることができる。
【0028】
ソルダーレジスト層25は、絶縁層23の下面側に、配線層24の一部と絶縁層23を被覆するように形成されている。ソルダーレジスト層25は、配線層24の下面の一部を接続用パッドP22として露出する開口部25Xを有している。ソルダーレジスト層25の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やアクリル系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。なお、必要に応じて、開口部25Xから露出する配線層24の表面に表面処理層を形成してもよい。表面処理層としては、上述の下基板10のソルダーレジスト層15の開口部15Xから露出する配線層14の表面に形成する表面処理層と同様とすることができる。
【0029】
配線層26は、絶縁層21の上面側に形成されている。配線層26は、絶縁層21を厚さ方向に貫通するビア配線と、絶縁層21の上面側に形成された配線パターンとを有している。配線層26の材料としては、例えば、銅や銅合金等を用いることができる。
【0030】
ソルダーレジスト層27は、絶縁層21の上面側に、配線層26の一部と絶縁層21を被覆するように形成されている。ソルダーレジスト層27は、配線層26の表面の一部を外部接続用パッドP21として露出する開口部27Xを有している。ソルダーレジスト層27の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やアクリル系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。なお、必要に応じて、開口部27Xから露出する配線層26の表面に表面処理層を形成してもよい。表面処理層としては、上述の下基板10のソルダーレジスト層17の開口部17Xから露出する配線層16の表面に形成する表面処理層と同様とすることができる。
【0031】
半導体素子30は、上基板20に接着されている。詳しくは、半導体素子30の素子本体31の下面(回路形成面)31bと反対側の背面(ここでは、上面)31aは、接着剤40を介して、上基板20のソルダーレジスト層25の下面25bに接着されている。接着剤40としては、液状やシート状のエポキシ樹脂等を用いることができる。
【0032】
図1及び図2に示すように、半導体素子30の第2接続パッドP32は、ボンディングワイヤ50を介して上基板20の接続用パッドP22に接続されている。ボンディングワイヤ50の材料としては、例えば、金、銅、アルミニウム(Al)等を用いることができる。
【0033】
ボンディングワイヤ50は、半導体素子30の第2接続パッドP32に接続された第1端部51と、上基板20の接続用パッドP22に接続された第2端部52と、弧状のループ部53とを有している。ループ部53において、最も低い部分(ループ頂上部)の高さ位置は、下基板10の上面15a(ソルダーレジスト層15の上面15a)よりも低い位置となり、下基板10の収容部18の中に配設される。
【0034】
アンダーフィル樹脂60は、半導体素子30と下基板10との間に充填されている。従って、アンダーフィル樹脂60は、素子本体31の下面31b、第1接続パッドP31及び第2接続パッドP32、金属ポスト33、及びボンディングワイヤ50の第1端部51を被覆する。アンダーフィル樹脂60は、半導体素子30の各側面(素子本体31の各側面)にも延在している。そして、アンダーフィル樹脂60は、収容部18に充填され、その収容部18に収容されたボンディングワイヤ50のループ部53を被覆する。
【0035】
アンダーフィル樹脂60の材料としては、例えばエポキシ樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。また、アンダーフィル樹脂60の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂にシリカ等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。フィラーとしては、シリカ以外に、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、炭化珪素、チタン酸カルシウム、ゼオライト等の無機化合物、又は、有機化合物等を用いることができる。
【0036】
アンダーフィル樹脂60の材料としては、流動性の高い樹脂材料を用いることが好ましい。高い流動性により、アンダーフィル樹脂60を金属ポスト33の間やボンディングワイヤ50の間、収容部18内に好適に充填できる。また、高い流動性により、ボンディングワイヤ50の変形を抑制できる。
【0037】
封止樹脂70は、下基板10と上基板20との間に充填されている。この封止樹脂70は、下基板10の上面と上基板20の下面とを被覆し、半導体素子30、ボンディングワイヤ50においてアンダーフィル樹脂60から露出する部分(第2端部52)、アンダーフィル樹脂60を封止する。封止樹脂70は、半導体素子30、ボンディングワイヤ50(第2端部52)を保護する保護層として機能する。また、封止樹脂70は、電子部品内蔵基板1全体の機械的強度を高める。
【0038】
封止樹脂70の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。また、封止樹脂70の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂にシリカ等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。フィラーとしては、シリカ以外に、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、炭化珪素、チタン酸カルシウム、ゼオライト等の無機化合物、又は、有機化合物等を用いることができる。
【0039】
封止樹脂70の材料としては、アンダーフィル樹脂60よりも低い流動性の材料を用いることができる。流動性は、例えば、樹脂に添加するフィラーの大きさや量により調整することができる。本実施形態において、アンダーフィル樹脂60に含まれるフィラーの大きさは、封止樹脂70に含まれるフィラーより小さい。なお、封止樹脂70とアンダーフィル樹脂60との流動性が異なればよく、封止樹脂70とアンダーフィル樹脂60との少なくとも一方にフィラーを含まない材料を用いることもできる。
【0040】
図1に示すように、外部接続用パッドP12の下面には、外部接続端子80が形成されている。外部接続端子80は、例えばはんだバンプであり、電子部品内蔵基板1を他の基板(例えばマザーボード等の実装基板)に実装する際に使用される外部接続端子である。なお、外部接続端子として、はんだボール、リードピン、スタッドバンプ、等を用いることもできる。
【0041】
上記の電子部品内蔵基板1には、半導体パッケージ90が搭載される。半導体パッケージ90は、例えば、半導体メモリ等を含み、電子部品内蔵基板1の外部接続用パッドP21に接続される。この半導体パッケージ90は、上基板20、ボンディングワイヤ50、半導体素子30、及び金属ポスト33を介して下基板10に接続される。なお、外部接続用パッドP21は、外部接続用パッドP12と同様に、電子部品内蔵基板1と他の基板との接続に用いられてもよい。
【0042】
[作用]
次に、上記の電子部品内蔵基板1の作用を説明する。
電子部品内蔵基板1は、下基板10、上基板20、半導体素子(半導体チップ)30、ボンディングワイヤ50、アンダーフィル樹脂60を有している。半導体素子30は第2接続パッドP32と一部の第1接続パッドP31とを接続する配線パターンを有している。金属ポスト33は下基板10の実装用パッドP11に接続され、第2接続パッドP32はボンディングワイヤ50を介して上基板20の接続用パッドP22に接続されている。アンダーフィル樹脂60は、半導体素子30と下基板10との間に充填され、素子本体31の下面31b、第1接続パッドP31及び第2接続パッドP32、金属ポスト33、及びボンディングワイヤ50の第1端部51を被覆する。下基板10は、収容部18を有している。収容部18は、後述するボンディングワイヤの一部を収容する。
【0043】
電子部品内蔵基板1において、上基板20は、ボンディングワイヤ50と半導体素子30とを介して下基板10に接続される。従って、下基板10と上基板20との間は、半導体素子30を収容するのに十分な間隔であればよく、電子部品内蔵基板1を薄型化することができる。
【0044】
電子部品内蔵基板1は、金属ポスト33を用いて下基板10と半導体素子30と上基板20とを接続するため、金属ポスト33と接続する半導体素子の第1接続パッドP31と下基板10の実装用パッドP11との配列間隔(ピッチ)をはんだボールを用いる物と比べて小さくできる。このため、半導体素子30の配線の微細化、及び下基板10の配線の微細化をはかることができ、高集積化や高機能化された半導体素子30を内蔵できる。
【0045】
半導体素子30の第2接続パッドP32は、ボンディングワイヤ50を介して上基板20の接続用パッドP22に接続されている。ボンディングワイヤ50を用いた場合、ボンディングワイヤ50同士の間隔は、ボンディングワイヤ50を第2接続パッドP32、接続用パッドP22に接続するボンディングツールのヘッドの幅以上であればよく、この幅は、はんだボールの配列間隔よりも狭い。従って、複数の第2接続パッドP32と接続用パッドP22を1列にて半導体素子30を囲むように配列することができる。このため、半導体素子30から上基板20の端部までの距離を短くすることができ、電子部品内蔵基板1を小型化できる。
【0046】
アンダーフィル樹脂60の材料としては、流動性の高い樹脂材料を用いることが好ましい。高い流動性により、アンダーフィル樹脂60を金属ポスト33の間やボンディングワイヤ50の間、収容部18内に好適に充填できる。また、高い流動性により、ボンディングワイヤ50の変形を抑制できる。
【0047】
封止樹脂70は、下基板10と上基板20との間に充填されている。アンダーフィル樹脂60は、半導体素子30と下基板10との間に充填され、素子本体31の下面31b、第1接続パッドP31及び第2接続パッドP32、金属ポスト33、及びボンディングワイヤ50の第1端部51を被覆する。従って、封止樹脂70を封止金型内に注入する際のボンディングワイヤ50の変形を抑制できる。
【0048】
[製造方法]
次に、上記の電子部品内蔵基板1の製造する工程を説明する。
図4(a)に示す工程では、上基板20を作製する。なお、図4(a)では、図1に示す上基板20の上下を反転して示している。
【0049】
具体的には、絶縁層21を準備し、絶縁層21の上面に配線層22を形成する。配線層22は、例えばサブトラクティブ法等の各種の配線形成方法を用いて形成できる。
次に、絶縁層21の上面に、配線層22を覆うように絶縁層23を形成する。絶縁層23は、例えば熱硬化性のエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂フィルムをラミネートして形成することができる。なお、液状又はペースト状のエポキシ系樹脂等を用いて絶縁層23を形成してもよい。
【0050】
次に、絶縁層21,23に配線層22の一部を露出するビアホールを形成する。ビアホール形成後、必要に応じてデスミア処理を行い、ビアホールの底部に露出する配線層に付着した樹脂残渣を除去してもよい。ビアホールは、例えばレーザ加工法等により形成できる。
【0051】
次に、絶縁層23の上面の配線層24と、絶縁層21の下面の配線層26を形成する。配線層24,26は、例えばセミアディティブ法等の各種の配線形成方法を用いて形成できる。
【0052】
なお、絶縁層21,23と配線層22,24,26の形成順序は上記に限定されず、例えば最下層から順に積層形成してもよい。
次に、絶縁層23の上面に、配線層24の一部を露出する開口部25Xを有するソルダーレジスト層25を形成する。また、絶縁層21の下面に、配線層26の一部を露出する開口部27Xを有するソルダーレジスト層27を形成する。ソルダーレジスト層25は、例えば、液状又はペースト状の感光性のエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を、配線層24を被覆するように絶縁層23の上面にスクリーン印刷法、ロールコート法、又は、スピンコート法等で塗布することにより形成できる。同様に、ソルダーレジスト層27は、例えば、液状又はペースト状の感光性のエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を、配線層26を被覆するように絶縁層21の下面にスクリーン印刷法、ロールコート法、又は、スピンコート法等で塗布することにより形成できる。
【0053】
図4(b)に示す工程では、上基板20に半導体素子30を搭載する。半導体素子30は、素子本体31の回路形成面31bに、第1接続パッドP31、第2接続パッドP32、金属ポスト33を有している。半導体素子30の回路形成面とは反対側の背面(図4(b)では下面)31aが、上基板20のソルダーレジスト層25の上面25b(図1では下面25b)と対向するように、つまりフェイスアップの状態で、背面31aを接着剤40によりソルダーレジスト層25の上面25bに接着する。
【0054】
図5(a)に示す工程では、ボンディングワイヤ50により、半導体素子30の第2接続パッドP32と、上基板20の接続用パッドP22とを接続する。このとき、ボンディングワイヤ50の形成によって、ボンディングワイヤ50のループ頂点部は金属ポスト33の上端よりも高く位置している。
【0055】
図5(b)に示す工程では、下基板10を作製する。
具体的には、絶縁層11を準備し、絶縁層11の上面に配線層12を形成する。配線層12は、例えばサブトラクティブ法等の各種の配線形成方法を用いて形成できる。
【0056】
次に、絶縁層11の上面に、配線層12を覆うように絶縁層13を形成する。絶縁層13は、例えば熱硬化性のエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂フィルムをラミネートして形成することができる。なお、液状又はペースト状のエポキシ系樹脂等を用いて絶縁層13を形成してもよい。
【0057】
次に、絶縁層11,13に配線層12の一部を露出するビアホールを形成する。ビアホール形成後、必要に応じてデスミア処理を行い、ビアホールの底部に露出する配線層に付着した樹脂残渣を除去してもよい。ビアホールは、例えばレーザ加工法等により形成できる。
【0058】
次に、絶縁層13の上面の配線層14と、絶縁層11の下面の配線層16を形成する。配線層14,16は、例えばセミアディティブ法等の各種の配線形成方法を用いて形成できる。
【0059】
なお、絶縁層11,13と配線層12,14,16の形成順序は上記に限定されず、例えば最下層から順に積層形成してもよい。
次に、絶縁層13の上面に、配線層14の一部を露出する開口部15Xを有するソルダーレジスト層15を形成する。また、絶縁層11の下面に、配線層16の一部を露出する開口部17Xを有するソルダーレジスト層17を形成する。ソルダーレジスト層15は、例えば、液状又はペースト状の感光性のエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を、配線層14を被覆するように絶縁層13の上面にスクリーン印刷法、ロールコート法、又は、スピンコート法等で塗布することにより形成できる。同様に、ソルダーレジスト層17は、例えば、液状又はペースト状の感光性のエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を、配線層16を被覆するように絶縁層11の下面にスクリーン印刷法、ロールコート法、又は、スピンコート法等で塗布することにより形成できる。
【0060】
次に、収容部18を形成する。収容部18は、例えば、ルータ加工機等によって、ソルダーレジスト層15の上面15aの側から切削加工して形成することができる。
図6に示す工程では、下基板10に半導体素子30を実装する。具体的には、下基板10の実装用パッドP11を、半導体素子30の金属ポスト33に対向させる。そして、下基板10の実装用パッドP11に、はんだにより半導体素子30の金属ポスト33を接続する。このとき、半導体素子30に接続されたボンディングワイヤ50は、そのループ部53が下基板10の収容部18に収容される。
【0061】
図7に示す工程では、下基板10と半導体素子30の間のアンダーフィル樹脂60を形成する。具体的には、下基板10と半導体素子30との間にアンダーフィル樹脂60を充填する。このとき、アンダーフィル樹脂60の流動性により、収容部18に充填されるとともに、収容部18内のボンディングワイヤ50のループ部53の間に充填される。そして、低い流動性のアンダーフィル樹脂60により、ボンディングワイヤ50の変形を抑制し、ボンディングワイヤ50同士の短絡を防止する。
【0062】
なお、予め下基板10にアンダーフィル樹脂60を形成し、アンダーフィル樹脂60に半導体素子30を押し付けることで、半導体素子30の金属ポスト33を下基板10の実装用パッドP11に接続してもよい。なお、アンダーフィル樹脂60の流動性を調整することで、ボンディングワイヤ50の変形を抑制できる。
【0063】
図8に示す工程では、封止樹脂70を形成する。具体的には、半導体素子30を挟む上基板20及び下基板を、例えば封止金型内に配設し、封止金型内に樹脂を注入して封止樹脂70を形成する。このとき、ボンディングワイヤ50のループ部53及び第2接続パッドP32とボンディングワイヤ50の第1端部51との接続部が、アンダーフィル樹脂60により覆われている。従って、封止樹脂70を封止金型内に注入する際のボンディングワイヤ50の変形を抑制できる。
【0064】
図9に示す工程では、外部接続端子80を形成する。具体的には、下基板10の外部接続用パッドP12にはんだボールを搭載し、リフロー処理して外部接続端子80を形成する。
【0065】
以上の工程により、図1に示す電子部品内蔵基板1が得られる。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)電子部品内蔵基板1は、下基板10、上基板20、半導体素子(半導体チップ)30、ボンディングワイヤ50、アンダーフィル樹脂60を有している。下基板10は、上面側に半導体素子30を実装するための実装用パッドP11を有し、上基板20は、下面側に半導体素子30に接続される接続用パッドP22を有している。半導体素子30は、素子本体31、第1接続パッドP31、第2接続パッドP32、金属ポスト33とを有している。半導体素子30は第2接続パッドP32と一部の第1接続パッドP31とを接続する配線パターンを有している。金属ポスト33は下基板10の実装用パッドP11に接続され、第2接続パッドP32はボンディングワイヤ50を介して上基板20の接続用パッドP22に接続されている。アンダーフィル樹脂60は、半導体素子30と下基板10との間に充填され、素子本体31の下面31b、第1接続パッドP31及び第2接続パッドP32、金属ポスト33、及びボンディングワイヤ50の第1端部51を被覆する。下基板10は、収容部18を有している。収容部18は、後述するボンディングワイヤの一部を収容する。
【0066】
電子部品内蔵基板1において、上基板20は、ボンディングワイヤ50と半導体素子30とを介して下基板10に接続される。従って、下基板10と上基板20との間は、半導体素子30を収容するのに十分な間隔であればよく、電子部品内蔵基板1を薄型化することができる。
【0067】
(2)電子部品内蔵基板1は、金属ポスト33を用いて下基板10と半導体素子30と上基板20とを接続するため、金属ポスト33と接続する半導体素子の第1接続パッドP31と下基板10の実装用パッドP11との配列間隔(ピッチ)をはんだボールを用いる物と比べて小さくできる。このため、半導体素子30の配線の微細化、及び下基板10の配線の微細化をはかることができ、高集積化や高機能化された半導体素子30を内蔵できる。
【0068】
(3)半導体素子30の第2接続パッドP32は、ボンディングワイヤ50を介して上基板20の接続用パッドP22に接続されている。ボンディングワイヤ50を用いた場合、ボンディングワイヤ50同士の間隔は、ボンディングワイヤ50を第2接続パッドP32、接続用パッドP22に接続するボンディングツールのヘッドの幅以上であればよく、この幅は、はんだボールの配列間隔よりも狭い。従って、複数の第2接続パッドP32と接続用パッドP22を1列にて半導体素子30を囲むように配列することができる。このため、半導体素子30から上基板20の端部までの距離を短くすることができ、電子部品内蔵基板1を小型化できる。
【0069】
(4)アンダーフィル樹脂60は、半導体素子30と下基板10との間に充填され、素子本体31の下面31b、第1接続パッドP31及び第2接続パッドP32、金属ポスト33、ボンディングワイヤ50の第1端部51及びループ部53を被覆する。アンダーフィル樹脂60の材料としては、流動性の高い樹脂材料を用いることが好ましい。高い流動性により、アンダーフィル樹脂60を金属ポスト33の間やボンディングワイヤ50の間、収容部18内に好適に充填できる。また、高い流動性により、ボンディングワイヤ50の変形を抑制できる。
【0070】
(4)封止樹脂70は、下基板10と上基板20との間に充填され、接続用パッドP22及びその接続用パッドP22に接続されたボンディングワイヤ50の第2端部52を被覆する。ボンディングワイヤ50の第1端部51及びループ部53は、アンダーフィル樹脂60により被覆されている。従って、封止樹脂70を封止金型内に注入する際のボンディングワイヤ50の変形を抑制できる。
【0071】
[変更例]
次に、上記実施形態に対する変更例を説明する。なお、以下に説明する変更例において、上記実施形態と同じ構成部材については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
【0072】
・上記実施形態に対し、収容部18の構成を適宜変更してもよい。
図10(a)に示す電子部品内蔵基板100は、下基板110、上基板20、半導体素子(半導体チップ)30、ボンディングワイヤ50、アンダーフィル樹脂60、封止樹脂70を有している。
【0073】
図10(a)及び図10(b)に示すように、下基板110は、収容部120を有している。収容部120は、半導体素子30の周縁部に沿った枠状の第1収容部121と、第1収容部121から下基板110の側面まで延びる第2収容部122とを有している。第1収容部121は、第2収容部122と連続している。収容部120の底面120cは、第1収容部121と第2収容部122とで連続している。従って、収容部120は、下基板110の端部まで延びている。このような収容部120は、アンダーフィル樹脂60の形成時において、収容部120の第1収容部121に充填されるアンダーフィル樹脂60において、収容部120内に生じるボイドは、第2収容部122を介して、下基板110の外部であって下基板110を個片化する際に切断される領域へと移動し、収容部120内に残存しない。これにより、収容部120内のボイドの残留を抑制できる。ボイドは、そのボイドの近傍の樹脂の剥離を生じさせ、信頼性を低下させることがある。従って、ボイドの残留を抑制することにより、電子分内蔵基板の信頼性をより向上できる。
【0074】
図11(a)に示す電子部品内蔵基板200は、下基板210、上基板20、半導体素子(半導体チップ)30、ボンディングワイヤ50、アンダーフィル樹脂60、封止樹脂70を有している。
【0075】
図11(a)及び図11(b)に示すように、下基板210は収容部220を有している。収容部220は、下基板210の周縁部全域において、下基板210の側面まで延びている。つまり、収容部220の底面220cは、下基板210の側面まで延びている。このような収容部220は、アンダーフィル樹脂60の形成時において、収容部220内のボイドの残留を抑制できる。
【0076】
図12に示す電子部品内蔵基板300は、下基板310、上基板20、半導体素子(半導体チップ)30、ボンディングワイヤ50、アンダーフィル樹脂60、封止樹脂70を有している。
【0077】
下基板310は、絶縁層311、配線層312、絶縁層313、配線層314、絶縁層315、配線層316、ソルダーレジスト層317、配線層318、ソルダーレジスト層319を有している。
【0078】
下基板310において、絶縁層311としては、例えば、ガラスクロスにエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を含浸させた所謂ガラスエポキシ基板等を用いることができる。絶縁層11として、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の織布や不織布にエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を含浸させた基板等を用いてもよい。なお、各図において、ガラスクロス等の図示は省略されている。
【0079】
配線層312は、絶縁層311の上面側に形成されている。配線層312の材料としては、例えば、銅や銅合金等を用いることができる。
絶縁層313は、絶縁層311の上面側に、配線層312を覆うように形成されている。絶縁層313の材料としては、例えば、熱硬化性のエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁層313は、シリカ(二酸化ケイ素)等のフィラーを含有してもよい。
【0080】
配線層314は、絶縁層313の上面側に形成されている。配線層314は、絶縁層313を厚さ方向に貫通するビア配線と、絶縁層313の上面側に形成された配線パターンとを有している。配線層314の材料としては、例えば、銅や銅合金等を用いることができる。
【0081】
絶縁層315は、絶縁層313の上面側に、配線層314を覆うように形成されている。絶縁層315の材料としては、例えば、熱硬化性のエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁層315は、シリカ(二酸化ケイ素)等のフィラーを含有してもよい。
【0082】
配線層316は、絶縁層315の上面側に形成されている。配線層316は、絶縁層315を厚さ方向に貫通するビア配線と、絶縁層315の上面側に形成された配線パターンとを有している。配線層316の材料としては、例えば、銅や銅合金等を用いることができる。
【0083】
ソルダーレジスト層317は、絶縁層315の上面側に、配線層316の一部と絶縁層315を被覆するように形成されている。ソルダーレジスト層317は、配線層316の上面の一部を実装用パッドP11として露出する開口部317Xを有している。ソルダーレジスト層317の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やアクリル系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。なお、必要に応じて、ソルダーレジスト層317の開口部317Xから露出する配線層316の表面に表面処理層を形成してもよい。
【0084】
配線層318は、絶縁層311の下面側に形成されている。配線層318は、絶縁層311を厚さ方向に貫通するビア配線と、絶縁層311の下面側に形成された配線パターンとを有している。配線層318の材料としては、例えば、銅や銅合金等を用いることができる。
【0085】
ソルダーレジスト層319は、絶縁層311の下面側に、配線層318の一部と絶縁層311を被覆するように形成されている。ソルダーレジスト層319は、配線層318の表面の一部を外部接続用パッドP12として露出する開口部319Xを有している。ソルダーレジスト層319の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やアクリル系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。なお、必要に応じて、ソルダーレジスト層319の開口部319Xから露出する配線層318の表面に表面処理層を形成してもよい。
【0086】
下基板310は、収容部320を有している。収容部320は、半導体素子30の第2接続パッドP32と上基板20の接続用パッドP22とを接続するボンディングワイヤ50の一部であるループ部53を収容する。収容部320は、底面320cを有し、その底面320cは、下基板310の上面となるソルダーレジスト層317の上面317aより低く位置している。この変更例において、収容部320の底面320cは、下基板310の絶縁層313内に位置している。つまり、下基板310において、ソルダーレジスト層317と絶縁層315とはそれぞれ厚さ方向に貫通する開口部を有し、絶縁層313は凹部を有し、絶縁層313の凹部とソルダーレジスト層317及び絶縁層315の開口部とにより収容部320が構成されている。図3に示すように、収容部320は、半導体素子30の周縁部に沿って枠状に形成されている。
【0087】
このような電子部品内蔵基板300についても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
なお、図12では、下基板310に3層の絶縁層311,313,315が含まれるが、下基板を4層以上の絶縁層を含む構成としてもよい。この場合、収容部320は、2層以上の絶縁層に跨がって形成されていてもよい。
【0088】
図13に示す電子部品内蔵基板400は、下基板10、上基板20、半導体素子(半導体チップ)30、ボンディングワイヤ50、アンダーフィル樹脂60、封止樹脂70、調整板410を有している。
【0089】
調整板410は、半導体素子30と上基板20との間に配設されている。図13において、調整板410は、上基板20のソルダーレジスト層25の下面に取着されている。調整板410は、熱膨張係数(CTE:Coefficient of Thermal Expansion)によって、電子部品内蔵基板400の反りを調整する。調整板410としては、Si基板(ダミーチップやガラス)などの低CTE材を用いることができる。また、調整板410として、上基板20及び下基板10のCTEよりも少し大きいCTE材を用いてマッチングを取ることもできる。
【0090】
図14に示す電子部品内蔵基板1aは、下基板10、上基板20、半導体素子(半導体チップ)30、ボンディングワイヤ50、アンダーフィル樹脂60、封止樹脂70を有している。上基板20の配線層24は、半導体素子30が接着されたソルダーレジスト層25に覆われた配線パターン24cと、絶縁層23を貫通して配線パターン24cを配線層22に接続するビア配線とを有している。このような配線層24に対して、配線パターン24cの一部を露出する開口部をソルダーレジスト層25に形成することで、上基板20と半導体素子30との間にコンデンサやコイルを搭載することもできる。
【0091】
・上基板20において、半導体素子30が接続されるソルダーレジスト層を省略してもよく、更に薄型化を図ることができる。
・上基板を1層又は3層の絶縁層を含む構成としてもよい。
【0092】
・上基板及び下基板の少なくとも一方として、コア基板を有するコア付きビルドアップ基板、シリコン基板、セラミック基板等を用いてもよい。
・上述の実施形態及び各変更例の一部又は全てを適宜組み合わせて実施することもできる。
【符号の説明】
【0093】
1 電子部品内蔵基板
10 下基板
15a 上面
18 収容部
P11 実装用パッド
18c 底面
20 上基板
27b 下面
P22 接続用パッド
30 電子部品
P31 第1接続パッド
P32 第2接続パッド
33 金属ポスト
50 ボンディングワイヤ
51 第1端部
52 第2端部
53 ループ部
60 アンダーフィル樹脂
70 封止樹脂
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14