(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-15
(45)【発行日】2022-06-23
(54)【発明の名称】空間的原子層堆積法による、自己整合ダブルパターニング
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20220616BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L21/31 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020073322
(22)【出願日】2020-04-16
(62)【分割の表示】P 2016563902の分割
【原出願日】2015-01-13
【審査請求日】2020-05-15
(32)【優先日】2014-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リー, ニン
(72)【発明者】
【氏名】グエン, ヴィクター
(72)【発明者】
【氏名】バルシーヌ, ミハエラ
(72)【発明者】
【氏名】シア, リーチュン
(72)【発明者】
【氏名】田中 啓一
(72)【発明者】
【氏名】マーカス, スティーヴン ディー.
【審査官】田中 崇大
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-054343(JP,A)
【文献】国際公開第2009/150870(WO,A1)
【文献】特表2013-514633(JP,A)
【文献】特表2011-514662(JP,A)
【文献】特開2008-306161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己整合ダブルパターニング処理方法であって、
パターン層の幅を縮小するために、前記パターン層を通して露出された基板の第1の層の部分を水素プラズマに曝すことによって、前記第1の層に形成された前記パターン層をトリミングすることであって、前記パターン層が、垂直高さ:幅が3:1より大きなアスペクト比で当初の幅を規定する2つの垂直面および頂面を有する少なくとも1つの特徴を備え、前記垂直面が前記第1の層に対してほぼ垂直であり、前記水素プラズマが前記特徴の前記当初の幅の30%以上の量だけ前記パターン層の前記幅を縮小し、トリミングの後に前記パターン層の前記2つの垂直面が前記第1の層に対してほぼ垂直のままである、前記パターン層をトリミングすることと、
スペーサ層が、前記パターン層を通して露出された前記第1の層の前記部分、前記少なくとも1つの特徴の前記頂面および両方の垂直面の上に、膜を形成するように、100°Cより低い温度でラジカルアシストされたALDにより前記第1の層および前記パターン層の上にほぼ共形の前記スペーサ層を堆積することと、
前記パターン層を通して露出した前記第1の層の前記部分および前記少なくとも1つの特徴の前記頂面から前記スペーサ層をエッチングすることと、
を含み、
前記パターン層をトリミングすること、前記ほぼ共形のスペーサ層を堆積すること、及び前記スペーサ層をエッチングすることが、パージガスポートから噴射されるパージガスで全方向を囲まれた処理チャンバの異なる領域でそれぞれ行われる、
方法。
【請求項2】
前記異なる領域の間には、真空ポートによって真空流が生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
自己整合ダブルパターニング処理方法であって、
第1の層上に形成されたパターン層をトリミングするために処理チャンバの第1の領域において第1の処理条件に基板を曝すことであって、前記第1の層が前記パターン層を通して露出され、前記パターン層が幅を規定する2つの垂直面および頂面を有する少なくとも1つの特徴を備え、前記垂直面が前記第1の層に対してほぼ垂直であり、前記第1の処理条件が前記パターン層の前記幅を縮小するように設定されている、前記基板を曝すことと、
前記処理チャンバの前記第1の領域から前記処理チャンバの第2の領域へ前記基板を移動することであって、前記第1の領域からのガスと前記第2の領域からのガスとの混合を防止するために、前記第2の領域が前記第1の領域から仕切られている、前記基板を移動することと、
前記処理チャンバの前記第2の領域において第2の処理条件に前記基板を曝すことであって、スペーサ層が、前記パターン層を通して露出された前記第1の層の部分、前記少なくとも1つの特徴の前記頂面および両方の垂直面の上に膜を形成するように、前記第2の処理条件が、前記第1の層および前記パターン層の上に前記スペーサ層を堆積するように設定されている、前記基板を曝すことと、
前記処理チャンバの前記第2の領域から前記処理チャンバの第3の領域へ前記基板を移動することであって、前記第2の領域からのガスと前記第3の領域からのガスとの混合を防止するために、前記第3の領域が前記第2の領域から仕切られている、前記基板を移動することと、
前記処理チャンバの前記第3の領域において第3の処理条件に前記基板を曝すことであって、前記第3の処理条件が、前記パターン層を通して露出された前記第1の層の前記部分および前記少なくとも1つの特徴の前記頂面から前記スペーサ層をエッチングするように設定されている、前記基板を曝すことと、
を含み、
前記第1の領域が、第1のパージガスポートから噴射されるパージガスで全方向を囲まれ、
前記第2の領域が、第2のパージガスポートから噴射されるパージガスで全方向を囲まれ、
前記第3の領域が、第3のパージガスポートから噴射されるパージガスで全方向を囲まれる、方法。
【請求項4】
前記パターン層はフォトレジストまたはスピンオンカーボンのうちの1または複数を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記パターン層は、200Åから800Åの範囲の当初の幅を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記パターン層は誘電体を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記パターン層は、垂直高さ:幅が3:1から10:1の範囲のアスペクト比を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記パターン層はスピンオンカーボンを含み、前記パターン層は前記水素プラズマに加えてアルゴン及び二酸化炭素に曝される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
前記スペーサ層は、酸化物、窒化物または炭窒化物のうちの1または複数を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記パターン層を除去することに続いて、前記スペーサ及び露出している第1の層をエッチングすることをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
自己整合ダブルパターニング処理方法であって、
パターン層の幅を縮小するように前記パターン層をトリミングするために処理チャンバの第1の領域において第1の処理条件に基板を曝すことであって、前記パターン層が、第1の層の上に形成され、且つ、垂直高さ:幅が3:1以上のアスペクト比で当初の幅を規定する2つの垂直面および頂面を有する少なくとも1つの特徴を有し、前記垂直面が前記第1の層に対してほぼ垂直であり、前記第1の層が前記パターン層を通して露出されており、前記第1の処理条件が水素プラズマを含み、前記パターン層が、前記第1の処理条件に曝された後に前記第1の層に対してほぼ垂直な垂直面を維持し、前記第1の処理条件が、前記当初の幅の40%以上、前記幅を縮小する、前記基板を曝すことと、
前記処理チャンバの前記第1の領域から前記処理チャンバの第2の領域へ前記基板を移動することであって、前記第2の領域からのガスと前記第1の領域からのガスとの混合を防止するために、前記第1の領域が前記第2の領域から仕切られている、前記基板を移動することと、
前記処理チャンバの前記第2の領域における第2の処理条件により前記第1の層および前記パターン層の上にほぼ共形のスペーサ層を堆積することであって、前記スペーサ層が、前記パターン層を通して露出された前記第1の層の部分、前記少なくとも1つの特徴の前記頂面および両方の垂直面の上に膜を形成するように、前記第2の処理条件が、100℃より低い温度の下でのラジカルアシストされたALDを含む、前記スペーサ層を堆積することと、
前記処理チャンバの前記第2の領域から前記処理チャンバの第3の領域へ前記基板を移動することであって、前記第3の領域からのガスと前記第2の領域からのガスとの混合を防止するために、前記第2の領域が前記第3の領域から仕切られている、前記基板を移動することと、
前記処理チャンバの前記第3の領域において第3の処理条件を用いて、前記パターン層を通して露出された前記第1の層の前記部分および前記少なくとも1つの特徴の前記頂面から、前記ほぼ共形のスペーサ層をエッチングすることと、
を含み、
前記第1の領域が、第1のパージガスポートから噴射されるパージガスで全方向を囲まれ、
前記第2の領域が、第2のパージガスポートから噴射されるパージガスで全方向を囲まれ、
前記第3の領域が、第3のパージガスポートから噴射されるパージガスで全方向を囲まれる、方法。
【請求項12】
前記パターン層は、200Åから800Åの範囲の当初の幅を有する、請求項11に記載の処理方法。
【請求項13】
前記スペーサ層は、酸化物、窒化物または炭窒化物のうちの1または複数を含む、請求項11に記載の処理方法。
【請求項14】
前記パターン層を除去することに続いて、前記スペーサ及び露出している第1の層をエッチングすることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の領域と前記第2の領域の間には、第1の真空ポートによって真空流が生成され、
前記第2の領域と前記第3の領域の間には、第2の真空ポートによって真空流が生成される、請求項3
、11から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、基板を処理する装置に関する。より具体的には、本開示は、自己整合ダブルパターニング処理、及び当該処理を実施するためのバッチ処理プラットフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体デバイスを形成するプロセスは、複数のチャンバを内包する基板処理プラットフォーム内で行われる。ある例では、マルチチャンバの処理プラットフォームまたはクラスタツールの目的は、制御された環境内で順次、2つ以上のプロセスを1枚の基板に対して実行することである。しかし他の例では、複数チャンバ処理プラットフォームは、単一の処理ステップを複数の基板に対して実行することだけができ、追加のチャンバは、当該プラットフォームによって基板が処理される速度を最大にすることを目的としている。後者の場合、基板に対して実行されるプロセスは通常、バッチプロセスであり、比較的多数の基板、例えば25または50枚の基板が、所与のチャンバ内で同時に処理される。バッチ処理は、ALDプロセスおよび一部の化学気相堆積(CVD)プロセスといった、経済的に成り立つやり方で個別の基板に対して実行するには時間がかかりすぎるプロセスにとって、特に有益である。
【0003】
基板処理プラットフォームまたはシステムの有効性は、しばしば所有コスト(COO)によって定量化される。COOは、多くの要因によって影響を受けるが、主に、システムの設置面積、即ち製造工場でシステムを動作させるのに必要な延べ床面積、及びシステムのスループット、即ち1時間当たりに処理される基板の数によって影響を受ける。設置面積は通常、保守に必要な、システムに隣接するアクセスエリアを含む。したがって、基板処理プラットフォームは比較的小さくてよいが、操作および保守のためにすべての側面からのアクセスが必要とされる場合、システムの有効設置面積はやはり法外に大きくなり得る。
【0004】
半導体デバイスの寸法が縮小するにつれて、プロセスの変動性に対する半導体業界の許容範囲も減少し続けている。これらのより厳しいプロセス要件に合致するために、当業界は、より厳しいプロセスウィンドウの要件に合致する多数の新しいプロセスを開発してきたが、これらのプロセスは、完了までにより長い時間を要することが多い。例えば、高アスペクト比で65nm以下の相互接続特徴の表面上へ銅拡散バリア層を共形に形成するには、ALDプロセスの使用が有益であり得る。ALDはCVDの変形であり、CVDに比べてステップカバレッジに優れていることが実証されている。ALDは、当初はエレクトロルミネッセンスディスプレイを製造するために用いられた原子層エピタキシ(ALE)に基づいている。ALDでは、反応性前駆体分子の飽和した単層を基板表面上に堆積させるために、化学吸着が用いられる。これは、適当な反応性前駆体を堆積チャンバ内へ周期的に交互にパルシングすることによって実現される。通常、反応性前駆体の各噴射は、不活性ガスのパージによって区切られ、これによって前に堆積させた層に新しい原子層が供給され、基板の表面上に均一の材料層が形成される。既定の厚さの材料層を形成するため、反応性前駆体と不活性パージガスによる周期が反復される。ALD技法に伴う最大の欠点は、堆積速度が大幅に、少なくとも1桁、典型的なCVD技法よりも遅いことである。例えば、一部のALDプロセスは、高品質の層を基板の表面上に堆積させるために、約10~約200分のチャンバ処理時間を必要とする可能性がある。より良好なデバイス性能のためにこうしたALD及びエピタキシプロセスを選択した場合、基板処理スループットが非常に低くなるため、従来の単一の基板処理チャンバ内でデバイスを製造するコストは増大するであろう。したがって、こうしたプロセスを実施する際に、経済的に実現可能であるためには、連続基板処理手法が必要である。
【0005】
当技術分野において、効率的且つ対費用効果の高いやり方でコスト基板上に均一に膜を堆積させるための装置及び方法が、目下必要である。
【発明の概要】
【0006】
本開示の実施形態は、基板に第1の層、及び第1の層上にパターン層を設けることを含む処理方法を対象としている。第1の層の一部は、パターン層を通して露出している。パターン層は、1つの頂面と、幅を規定する2つの垂直面を有する、少なくとも1つの特徴を備える。当該垂直面は、第1の層に対してほぼ垂直である。パターン層の幅を縮小するため、パターン層はトリミングされる。スペーサ層が、パターン層を通して露出している第1の層の部分、並びに少なくとも1つの特徴の頂面及び両方の垂直面の上に膜を形成するように、第1の層及びパターン層の上にスペーサ層が堆積する。スペーサ層は、少なくとも1つの特徴の頂面、及びパターン層を通して露出している第1の層の部分からエッチングされる。
【0007】
本開示のさらなる実施形態は、第1の層及びその上のパターン層を有する基板を、複数のセクションを備える処理チャンバ内に配置することを含む、処理方法を対象としている。各セクションは、ガスカーテンによって隣接するセクションから仕切られている。第1の層の一部は、パターン層を通して露出している。パターン層は、1つの頂面と、幅を規定する2つの垂直面を有する、少なくとも1つの特徴を備える。当該垂直面は、第1の層に対してほぼ垂直である。基板の少なくとも一部は、パターン層の幅を縮小するためにパターン層をトリミングする、第1の処理条件に曝される。基板はガスカーテンを通って、処理チャンバの第2のセクションへ横方向に移動される。基板は、スペーサ層が、パターン層を通して露出している第1の層の部分並びに、少なくとも1つの特徴の頂面及び両方の垂直面の上に膜を形成するように、第1の層及びパターン層の上にスペーサ層を堆積させる、第2の処理条件に曝される。基板はガスカーテンを通って、処理チャンバの第3のセクションへ横方向に移動される。基板は、スペーサ層が、少なくとも1つの特徴の頂面、及びパターン層を通して露出している第1の層の部分からエッチングされる、第3の処理条件に曝される。基板の横方向の移動の間、基板の第1の部分は第1の処理条件に曝され、同時に、表面の第2の部分は第2の処理条件に曝され、基板の中間部分はガスカーテンに曝される。
【0008】
本開示のさらなる実施形態は、基板に、誘電体を含み、パターン層を上に備える第1の層を設けることを含む、処理方法を対象としている。第1の層の一部は、パターン層を通して露出している。パターン層は、1つの頂面と、約200Åから約800Åの範囲である幅を規定する2つの垂直面を有する、少なくとも1つの特徴を備える。当該垂直面は、第1の層に対してほぼ垂直である。トリミングされた垂直面が第1の層とほぼ垂直になるように、約10Åよりも大きい量でパターン層の幅を縮小するため、パターン層はプラズマに曝される。スペーサ層がパターン層を通して露出している第1の層の部分並びに、少なくとも1つの特徴の頂面及び両方の垂直面の上に膜を形成するように、第1の層及びパターン層の上に、酸素、窒素、酸素窒化物または炭窒化物のうちの1または複数を含むスペーサ層が堆積する。スペーサ層は、少なくとも1つの特徴の頂面、及びパターン層を通して露出している第1の層の部分からエッチングされる。
【0009】
本開示の上述の特徴を詳細に理解し得るように、上記で簡単に要約されている本開示のより詳細な説明が、実施形態を参照することによってなされ得、実施形態の一部は付随する図面に示されている。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容し得ることから、添付の図面は本開示の典型的な実施形態のみを例示しており、従って限定的であると見なすべきではないことに、留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の1または複数の実施形態による、空間的原子層堆積法チャンバの側面断面図である。
【
図2】本開示の1または複数の実施形態による、サセプタの透視図である。
【
図3】本開示の1または複数の実施形態による、パイ形状のガス分配アセンブリの概略図である。
【
図4】本開示の1または複数の実施形態による、4つのガス分配アセンブリユニット及び1つのローディングステーションで構成された基板処理システムの概略平面図である。
【
図5】3つのガス分配アセンブリユニットで構成された基板処理システムの概略平面図である。
【
図6】本開示の1または複数の実施形態による、処理チャンバの断面図である。
【
図7】本開示の1または複数の実施形態による、サセプタアセンブリ及びガス分配アセンブリユニットの透視図である。
【
図8】本開示の1または複数の実施形態による、処理チャンバの断面図である。
【
図9】本開示の1または複数の実施形態による、パイ形状のガス分配アセンブリの概略図である。
【
図10】
図10A~10Fは、本開示の1または複数の実施形態による、自己整合ダブルパターニング処理の図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態は、スループットを最大化して処理の効率性と均一性を向上させる、連続基板堆積のための基板処理システムを提供する。当該基板処理システムはまた、堆積前および堆積後の基板処理にも使用することができる。本開示の実施形態は、バッチ処理装置における、堆積の均一性を増大するための装置及び方法に関する。
【0012】
本開示の実施形態は、半導体産業においてIC装置の製造に用いられる、ダブルパターニング処理に関する。具体的には、本開示の実施形態は、自己整合ダブルパターニング(SADP)技術、フォトレジストパターンのスリム化、スペーサ堆積、及びスペーサエッチングに関する。本開示の実施形態によって、単一の処理システム内でSADPの各ステップが順次実施され得る、バッチ処理システムを用いる処理が提供される。
【0013】
記載のバッチ処理システムは、種々の化学物質またはプラズマガスの導入に使用され得る、複数のガス吸入チャネルを有する。これらのチャネルは、ガスカーテンを形成するパージ用不活性ガス及び/または真空ポンプ孔によって、処理チャンバ内で空間的に仕切られている。ガスカーテンによって、望ましくない気相反応を避けるように、種々のチャネルからのガスの混合が最小化されるかまたは全く生じないということが確保される。これらの種々の空間的に仕切られたチャネルを通って移動するウエハは、複数回にわたって順次、表面を種々の化学及びプラズマ環境に曝される。これによって、空間的ALDモードまたは表面エッチング処理における、一層ごとの成長が可能になる。本発明者らは、フォトレジスト(PR)パターンのスリム化、ALDスペーサ堆積及びスペーサエッチングの3つのSADP処理ステップが、種々の処理技法によって、単一の処理チャンバ内で実行可能であることを発見した。
【0014】
PRパターンのスリム化処理の際、ドライエッチングを実施するために、1または複数のプラズマチャネルが用いられ得る。これらのプラズマチャネルを通って移動するウエハは、アクティブなエッチングプラズマ構成要素、即ちラジカルまたはイオンに曝される。等方性/異方性のPRパターンエッチング/スリム化を達成するために、処理パラメータが調整され得る。具体的には、プラズマチャネルは、リモートまたはダイレクトのどちらのモードにも切り替えられ得る。RFプラズマが使用される場合には、RF周波数は調整され得る。ウエハ表面とプラズマ接地板との間の間隙は変更され得る。酸素プラズマは、種々のガス組成で、Ar、He、N2その他といった1または複数の不活性ガスと混合され得る。チャンバ圧力及びウエハ温度(<100°C)もまた、調整され得る。目標とするエッチング/スリム化の結果を達成するため、イオンエネルギー、イオンとラジカルの組成/濃度や、イオン/ラジカルの寿命は、これらのパラメータを調整することによって、調整され得る。これらのプラズマチャネルの間にあるパージングチャネル及びポンピングチャネルは、エッチング処理から生じる副産物を効率良く除去し清新なエッチング表面を生成することができる。PRエッチングの量は、ある一定のウエハの移動速度において、プラズマ曝露時間の数値によって正確に制御することができる。
【0015】
酸化ケイ素、窒化ケイ素または炭窒化ケイ素などといった、低温(<100°C)のALDスペーサ成長には、種々のスペーサ素材のプラズマ補助原子層堆積法(PEALD)のために、1または複数の化学チャネルに加えて1または複数のプラズマチャネルが用いられ得る。例えば、酸化物スペーサの成長は、アルキルアミノシリコン前駆体及び酸素プラズマに順次曝すことによって達成され得る。言い換えれば、堆積中のウエハは、シリコン前駆体による処理領域と、O2プラズマによる処理領域を通って移動している。これら2領域の間で不活性ガスによるパージングをすることで、いかなる気相混合/CVD反応もALD膜の成長に影響を与えることができない。
【0016】
ALDの特性によって、3:1構造のウエハにおいて、堆積されたままの(as deposited)膜は、優良なウエハ面内均一性(<0.5% 1 sigma)及び堆積共形性(100%)を示す。さらに、ウエハの移動速度に応じて、膜の成長速度は従来の時間ベースのALDシステムに比べてずっと速くなることができる。スペーサ膜の厚さは、ALD曝露のサイクルの数によって、正確に制御することができる。
【0017】
特にダイレクト酸素プラズマによる酸化物成長のための、最初のスペーサ層成長の間のPRエッチング。驚くべきことに本発明者らは、ダイレクトプラズマを用いる場合、プラズマチャネルから指向性イオン構成要素をフィルタ除去するのにイオン遮断材が用いられ得ることを発見した。したがって、酸化物の堆積プロセスは、完全にラジカルアシストされたものになり、酸化膜成長の間のPRエッチングは効果的に削減され得る。
【0018】
特定のスペーサ材料の堆積に関しては、種々の化学/プラズマチャネルのために、2以上の化学物質が用いられ得る。例えば、SiCNの堆積の間、種々の化学チャネルを通じて、シリコン、炭素及び窒素の堆積源が供給され得る。同様に、ラジカルアシストされた膜成長またはイオンアシストされた膜処理といった種々の機能を実現するため、ここで種々のプラズマチャネルに使用されるプラズマガスは、種々であり得る。(PRスリム化プロセスと同様である)スペーサエッチングに関しては、1または複数のプラズマチャネルが用いられ得る。用いられるプラズマ条件及びガス組成は、前回のPEALDプロセスによって堆積したスペーサ材料に基づいて、種々であろう。例えば、酸化物スペーサに関しては、スペーサのエッチングにNF3ベースのプラズマが用いられ得る。
【0019】
本明細書および添付の特許請求の範囲では、「基板」および「ウエハ」という用語は共に、処理が行われる表面または表面の部分を指すために、交換可能に使用される。文脈から明らかに別様に示されていない限り、基板について言及する場合に、また基板の一部だけについて言及していることもあり得ることを、当業者は理解するであろう。例えば、
図1に関連して記載される、空間的に仕切られたALDでは、各前駆体が基板に送達されるが、任意の所与の時点では、任意の個別の前駆体流だけが基板の一部に送達される。さらに、基板上の堆積について言及することによって、裸基板と、上に1または複数の膜または特徴が堆積または形成された基板との両方を意味することもあり得る。
【0020】
本明細書および添付の特許請求の範囲では、「反応性ガス」、「前駆体」、「反応物質」などの用語は、原子層堆積法プロセスにおいて反応性を持つ核種を含むガスを指すために、交換可能に使用される。例えば、第1の「反応性ガス」は、単に基板の表面に吸着され得、且つ第2の反応性ガスによるさらなる化学反応に利用され得る。
【0021】
図1は、本開示の1または複数の実施形態による、処理チャンバ20の一部の概略断面図である。処理チャンバ20は、通常、真空下、または少なくとも低圧条件下で操作される、密封エンクロージャである。チャンバ100は、基板60の頂面61全域に1または複数のガスを分配することが可能な、ガス分配アセンブリ30を含む。ガス分配アセンブリ30は、当業者に知られている任意の適切なアセンブリであり得、記載の具体的なガス分配アセンブリは、本開示の範囲を限定するものと理解されるべきではない。ガス分配アセンブリ30の出力面は、基板60の第1の表面61に面している。
【0022】
本開示の実施形態で使用される基板は、任意の適切な基板であってよい。ある実施形態では、基板は剛性で、個々に分離した、概して平面の基板である。本明細書および添付の特許請求の範囲では、基板について使われる場合の「個々に分離した」という用語は、当該基板が固定の寸法を有することを意味する。1または複数の実施形態における基板は、200mmまたは300mmの直径のシリコン基板といった、半導体基板である。ある実施形態では、基板は、シリコン、シリコンゲルマニウム、砒化ガリウム、窒化ガリウム、ゲルマニウム、リン化ガリウム、リン化インジウム、サファイア、または炭化ケイ素のうちの1または複数である。
【0023】
ガス分配アセンブリ30は、1または複数のガス流を基板60に伝送する複数のガスポート、並びにガス流を処理チャンバ20から外に伝送するため、各ガスポート間に配置された複数の真空ポートを備える。
図1の実施形態では、ガス分配アセンブリ30は、第1の前駆体注入器120、第2の前駆体注入器130、及びパージガス注入器140を備える。注入器120、130、140は、例えばメインフレームといったシステムコンピュータ(図示せず)、または、例えばプログラマブル論理コントローラといったチャンバ固有のコントローラによって、制御され得る。前駆体注入器120は、化合物Aの反応性前駆体の連続列またはパルス列を、複数のガスポート125を通じて処理チャンバ20に注入する。前駆体注入器130は、化合物Bの反応性前駆体の連続列またはパルス列を、複数のガスポート135を通じて処理チャンバ20に注入する。パージガス注入器140は、非反応性ガスまたはパージガスの連続列またはパルス列を、複数のガスポート145を通して、処理チャンバ20に注入する。パージガスは、反応性物質及び反応性副生成物を処理チャンバ20から除去する。パージガスは、典型的には、窒素、アルゴン及びヘリウムといった、不活性ガスである。ガスポート145は、化合物Aの前駆体を化合物Bの前駆体から仕切り、前駆体間のクロス汚染を回避するように、ガスポート125とガスポート135の間に配置される。
【0024】
別の態様では、前駆体の処理チャンバ20への注入に先立って、リモートプラズマ源(図示せず)が前駆体注入器120及び前駆体注入器130に接続されていてよい。リモートプラズマ源の中で化合物に電場をかけることによって、反応性核種のプラズマが生成され得る。意図した化合物を活性化することが可能な、任意の電源が用いられ得る。例えば、DC、高周波(RF)、及びマイクロ波(MW)をベースにした放電技法を用いた電源が用いられ得る。RF電源が用いられる場合、RF電源は、容量結合、または誘導結合のどちらかをされることができる。活性化は、熱ベースの技法、ガス絶縁破壊技法、高エネルギー光源(例えばUVエネルギー)、またはX線源への曝露によっても、引き起こされ得る。例示的なリモートプラズマ源は、MKS Instruments, Inc.及びAdvanced Energy Industries, Inc.といったベンダーから入手可能である。
【0025】
チャンバ100は、処理チャンバ20に接続されたポンピングシステム150をさらに含む。ポンピングシステム150は、概して、処理チャンバ20から1または複数の真空ポート155を通ってガス流を排気するように構成される。真空ポート155は、ガス流が基板表面と反応した後に、処理チャンバ20からガス流を排気し、さらに、前駆体間のクロス汚染を制限するために、各ガスポート間に配置される。
【0026】
チャンバ100は、処理チャンバ20の各ポート間に配置された複数のパーティション160を含む。各パーティションの下部は基板60の第1の表面61に近接するように、例えば第1の表面61から約0.5mm以上の距離に、延伸する。パーティション160の下部はこのように、ガス流が基板表面と反応した後、ガス流が真空ポート155に向かって当該下部の周辺を流れることができるのに十分な距離だけ、基板表面から離されている。矢印198は、ガス流の方向を示す。パーティション160は、ガス流に対する物理的バリアとして動作するので、前駆体間のクロス汚染もまた制限する。示されている配置は単なる例示であって、本開示の範囲を限定すると見なされるべきではない。示されているガス分配システムは、単に1つの可能な分配システムに過ぎず、他のタイプのシャワーヘッド及びガス分配アセンブリが使用され得ることを、当業者は理解するであろう。
【0027】
この種の(即ち複数のガスが、同時に基板に向かって個別に流動している)原子層堆積システムは、空間的ALDと称される。操作の際、基板60は(例えばロボットによって)処理チャンバに送達され、処理チャンバに入る前または後に、シャトル65の上に置かれ得る。シャトル65は、トラック70に沿って、または他のある適切な移動メカニズムに沿って、処理チャンバ20を通り、ガス分配アセンブリ30の下(または上)を通過して移動する。
図1に示される実施形態では、シャトル65は、チャンバを通る直線的経路を移動する。以下でさらに記載されるように、
図3は、ウエハがカルーセル処理システムを通って円形経路を移動する実施形態を示す。
【0028】
図1に戻ると、基板60が処理チャンバ20を通って移動する際、基板60の第1の表面61は、ガスポート125から来る反応性ガスA及びガスポート135から来る反応性ガスB、並びに中間のガスポート145から来るパージガスに、反復して曝される。パージガスの注入は、基板の表面110を次の前駆体に曝すのに先立って、前の前駆体から未反応物を除去するように設計されている。様々なガス流(例えば、反応性ガスまたはパージガス)へのそれぞれの曝露の後、当該ガス流は、ポンピングシステム150によって真空ポート155を通って排出される。真空ポートは各ガスポートの両側に配置され得るので、ガス流は両側の真空ポート155を通って排出される。こうして、各ガスポートからのガス流は、基板60の第1の表面61に向かって下向きに垂直に、次いで基板表面110を渡ってパーティション160の下部の周辺を、最後に真空ポート155に向かって上方に、流れる。このようにして、各ガスは基板表面110の全体に均一に分配され得る。矢印198は、ガス流の方向を示す。基板60はまた、様々なガス流に曝されている間、回転され得る。基板を回転させることは、形成される層の中にストリップが形成されることを妨げる上で有用であり得る。基板の回転は連続的であるか、または不連続のステップであり得、基板がガス分配アセンブリ30の下を通過している間、または基板がガス分配アセンブリ30の前及び/もしくは後の領域にあるときに、起こり得る。
【0029】
最後のガスポートへの完全な曝露を確保するため、通常、ガス分配アセンブリ30の後に十分なスペースが提供される。基板60が完全にガス分配アセンブリ30の下を通過し終わると、第1の表面61は、処理チャンバ20内の全てのガスポートへの曝露が完了する。次いで、基板は反対方向に返送され得るか、または前方へ移送され得る。基板60が反対方向に移動する場合、当該基板の表面は、再び反応性ガスA、パージガス、及び反応性ガスBに、第1の曝露とは逆の順序で曝され得る。
【0030】
基板表面110がそれぞれのガスに曝される程度は、例えば、ガスポートから出る各ガスの流量及び基板60の移動の速度によって決定され得る。一実施形態では、各ガスの流量は、吸着された前駆体を基板表面61から除去しないように、制御される。各パーティションの間の幅、処理チャンバ20内に配置されたガスポートの数、及び基板がガス分配アセンブリ内を通過した回数もまた、基板表面61が様々なガスに曝露される程度を決定し得る。結果として、堆積した膜の量及び質は、上記の要素(複数)を変化させることによって最適化され得る。
【0031】
ガス分配アセンブリ30が、ガス分配アセンブリの下に配置された基板に向けて下向きに、ガスの流れを導くものとして処理の説明がなされてきたが、この配向は限定的ではなく、異なることができる。ある実施形態では、ガス分配アセンブリ30は、ガスの流れを基板表面に向けて上向きに導く。本明細書および添付の特許請求の範囲では、「通過した」という用語は、基板の表面全体がガス分配プレートからの各ガス流に曝されるように、基板がガス分配アセンブリの片側からもう片方の側に移動し終わることを意味する。追加の記載がない場合、「通過した」という用語は、ガス分配アセンブリ、ガス流または基板の位置の、いかなる具体的な配向も意味しない。
【0032】
ある実施形態では、シャトル65は、基板60を搬送するサセプタ66である。概して、サセプタ66は、基板全体に均一の温度を形成するのを助けるキャリアである。サセプタ66は、両方向(
図1の配置に関連すると、左から右、及び右から左)に、または円形の方向(
図3に関連)に移動可能である。サセプタ66は、基板60を搬送するための頂面67を有する。サセプタ66は、基板60が処理のために加熱され得るように、加熱されたサセプタであり得る。例としてサセプタ66は、サセプタ66の下に配置された、輻射熱ランプ90、加熱プレート、抵抗コイル、または他の加熱装置によって加熱され得る。
【0033】
さらなる別の実施形態では、
図2に示すとおり、サセプタ66の頂面67は基板60を受容する凹部68を含む。サセプタ66は、基板の下にサセプタ材料が存在するように、概して基板の厚さよりも厚い。ある実施形態では、基板60が凹部68の内部に配置されたとき、基板60の第1の表面61が、サセプタ66の頂面67と同じ高さであるか、またはほぼ同一平面上にあるように、凹部68がサイズ決めされる。言い換えると、ある実施形態において凹部68は、中に基板60が配置されたとき、基板60の第1の表面61が、サセプタ66の頂面67より上に突き出さないようにサイズ決めされる。本明細書および添付の特許請求の範囲では、「ほぼ同一平面上」という用語は、ウエハの頂面とサセプタアセンブリの頂面とが、±0.2mm以内で同一平面上にあることを意味する。ある実施形態では、当該頂面は、±0.15mm、±0.10mmまたは±0.05mm以内で同一平面上にある。
【0034】
図1は、内部に個別のガスポートが示されている、処理チャンバの断面図である。本実施形態は、個別のガスポートの幅が、ガス分配プレートの幅全体にわたってほぼ同じである線形処理システムであるか、個別のガスポートが、パイの形に合わせて幅を変化させるパイ形状のセグメントであるか、のどちらかであり得る。
図3は、パイ形状のガス分配アセンブリ30の部分を示す。基板は、弧形経路32で当該ガス分配アセンブリ30を通過する。個別のガスポートのそれぞれ125、135、145、155は、ガス分配アセンブリ30の内周エッジ33付近ではより狭い幅を有し、ガス分配アセンブリ30の外周エッジ34付近ではより広い幅を有する。個別のポートの形状またはアスペクト比は、ガス分配アセンブリ30セグメントの形状またはアスペクト比に比例していることもでき、異なっていることもできる。ある実施形態では、個別のポートは、経路32に従ってガス分配アセンブリ30を通過するウエハの各点が、各ガスポートの下でだいたい同じ滞留時間を有するように、形作られている。基板の経路は、ガスポートに対して垂直であり得る。ある実施形態では、ガス分配アセンブリのそれぞれは、基板が通過する経路に対してほぼ垂直な方向に延伸する、複数の細長いガスポートを備える。本明細書および添付の特許請求の範囲では、「ほぼ垂直」という用語は、動きの概略的な方向が、ガスポートの軸に対してだいたい垂直であることを意味する。パイ形状のガスポートに関して、ガスポートの軸は、ポートの長さに沿って延伸する、ポートの幅の中点によって規定される線であると考えることができる。以下でさらに記載されるように、個別のパイ形状のセグメントのそれぞれは、単一の反応性ガスまたは、空間的に分離されたもしくは(例えば典型的なCVDプロセスのように)組み合わされた複数の反応性ガスを送達するように構成されることができる。
【0035】
複数のウエハが同じプロセスの流れを経験するよう、これらのウエハを同時に処理するために複数のガス注入器を有する処理チャンバを使用することができる。例えば、
図4に示すように、処理チャンバ100は、4つのガス分配アセンブリ30及び4つの基板60を有する。処理の開始の際、基板60はガス分配アセンブリ30の間に配置されることができる。カルーセルのサセプタ66を45°回転させる結果、各基板60は、膜堆積のためにガス分配アセンブリ30(注入器アセンブリとも呼ばれる)に移動される。これが、
図4に示す位置である。さらに45°回転すると、基板60はガス分配アセンブリ30から離れるように移動する。空間的ALD注入器によって、ウエハが注入器アセンブリに対して移動する間に、ウエハ上に膜が堆積される。ある実施形態では、サセプタ66は、基板60がガス分配アセンブリ30の下で停止しないように回転される。基板60とガス分配アセンブリ30の数は、同一であってもよく、異なっていてもよい。ある実施形態では、ガス分配アセンブリと同一の数のウエハが処理される。1または複数の実施形態では、処理されているウエハの数は、ガス分配アセンブリの数の、整数の倍数である。例えば、ガス分配アセンブリが4個の場合、4x個のウエハが処理されており、xは1以上の整数値である。
【0036】
図4に示す処理チャンバ100は、単に1つの可能な構成を表すものであり、本開示の範囲を限定すると見なされるべきではない。ここでは、処理チャンバ100は、複数のガス分配アセンブリ30を含む。図示の実施形態では、処理チャンバ100を回って4つのガス分配アセンブリ30が均等に間隔をあけて配置されている。図示の処理チャンバ100は八角形であるが、これは1つの可能な形状であり、本開示の範囲を限定すると見なされるべきではないことが、当業者には理解されよう。示されるガス分配アセンブリ30は長方形であるが、ガス分配アセンブリは
図3に示すようにパイ形状のセグメントであることができることを、当業者は理解するであろう。さらに、各セグメントは、複数の異なる反応性ガスが同一のセグメントから流れている空間タイプの配置の中にガスを送達するように構成されるか、または単一の反応性ガスもしくは反応性ガスの混合ガスを送達するように構成されることができる。
【0037】
処理チャンバ100には、円形のサセプタ66またはサセプタアセンブリとして示される、基板支持体装置が含まれる。基板支持装置即ちサセプタ66は、ガス分配アセンブリ30のそれぞれの下で複数の基板60を移動させることが可能である。チャンバ100に対して基板60をローディング/アンローディングすることを可能にするために、処理チャンバ100の側面にロードロック82が接続されていてよい。
【0038】
処理チャンバ100は、複数のガス分配アセンブリ30のうちの任意のまたはそれぞれものの間に配置された、複数または1セットの第1の処理ステーション80を含み得る。ある実施形態では、第1の処理ステーション80のそれぞれは、同一の処理を基板60に提供する。
【0039】
処理ステーションの数、及び処理ステーションの異なる型の数は、処理に応じて変化することができる。例えば、1、2、3、4、5、6、7またはそれよりも多い処理ステーションが、ガス分配アセンブリ30(複数)の間に配置されることができる。各処理ステーションが他の全てのセットの処理ステーションとは異なる処理を独立して提供することができるか、または同じ型及び異なる型の処理が混在することができる。ある実施形態では、1または複数の個別の処理ステーションは、他の個別の処理ステーションのうちの1または複数とは、異なる処理を提供する。
図4に示す実施形態には、ある型の処理ステーションを間に含み得る空間(複数)を伴う、4個のガス分配アセンブリが示される。しかし、当該処理チャンバには、間にガスカーテンを伴う8個のガス分配アセンブリが容易に組み入れられ得る。
【0040】
図5に示す一実施形態では、処理チャンバ100を通って回転する基板60が、基板60がどこから動き出すかに応じて、ガス分配アセンブリ30、第1の処理ステーション80、および第2の処理ステーション85に遭遇し、その後これらのいずれかの2つ目に遭遇するように、第1の処理ステーション80とガス分配アセンブリ30との間に、1セットの第2の処理ステーション85が配置されている。例えば、
図5に示すように、基板が第1の処理ステーション80から動き始めた場合、基板は第1の処理ステーション80、ガス分配アセンブリ30、および第2の処理ステーション85に順番に曝され、その後別の第1の処理ステーション85に遭遇するであろう。
【0041】
処理ステーションは、基板、基板上の膜、またはサセプタアセンブリに対して、任意の適切な型の処理を提供することができる。例えば、UVランプ、フラッシュランプ、プラズマ源、およびヒータなどである。次いでウエハは、ガス分配アセンブリ30の位置間で、例えばウエハにプラズマを供給するシャワーヘッドの位置まで移動する。プラズマステーションは、処理ステーション80と称される。1または複数の例では、各堆積層の後、プラズマ処理によって窒化ケイ素膜が形成され得る。理論的には、表面が飽和している限り、ALD反応は自己制限するため、堆積ガスに対する追加の曝露は膜の損傷を引き起こさない。
【0042】
カルーセルの回転は、連続または非連続であることができる。連続処理の場合、ウエハが注入器のそれぞれに順に曝されるように、ウエハは常に回転している。非連続処理の場合、ウエハを注入器領域へ移動させて停止させることができ、次いで注入器間の領域84へ移動させて停止させることができる。例えば、カルーセルは、ウエハが注入器間領域から注入器を横切って移動し(または注入器に隣接して停止し)、続いて再び回転を休止することができる次の注入器間領域へと移動するように、回転することができる。注入器間で休止することによって、各層堆積の間に、追加の処理(例えば、プラズマへの曝露)のための時間が提供されてよい。
【0043】
ある実施形態では、処理チャンバは複数のガスカーテン40を備える。各ガスカーテン40は、ガス分配アセンブリ30からの処理ガスの動きがガス分配アセンブリ領域から離れて移動することと、処理ステーション80からのガスが処理ステーション領域から離れて移動することを妨げるかまたは最小化するため、バリアを生成する。ガスカーテン40は、個別の処理区間を隣接する区間から分離できる、任意の適切なガス流及び真空流の組み合わせを含むことができる。ある実施形態では、ガスカーテン40は、パージ(または不活性)ガス流である。1または複数の実施形態では、ガスカーテン40は、処理チャンバからガスを除去する真空流である。ある実施形態では、ガスカーテン40は、順にパージガス流、真空流、パージガス流が存在している、パージガス流と真空流の組合せである。1または複数の実施形態では、ガスカーテン40は、順に真空流、パージガス流、および真空流が存在している、真空流とパージガス流の組合せである。
図4に示すガスカーテン40は、ガス分配アセンブリ30および処理ステーション80のそれぞれの間に配置されているが、当該カーテンは、処理経路に沿った任意の1または複数の箇所に配置されてよい。
【0044】
図6は、注入器とも称されるガス分配アセンブリ220及びサセプタアセンブリ230を含む、処理チャンバ200の実施形態を示す。本実施形態では、サセプタアセンブリ230は剛体である。ある実施形態では、当該剛体が有するドループ許容値(droop tolerance)は、0.05mm以下である。例えば、アクチュエータ232は、サセプタアセンブリ230の外径領域3か所に配置される。本明細書および添付の特許請求の範囲では、「外径」及び「内径」という用語は、それぞれ外周エッジ及び内周エッジ付近の領域を意味する。外径は、サセプタアセンブリ230の最外周エッジ(例えばシャフト240付近)の特定の位置を指すのではなく、サセプタアセンブリ230の外周エッジ231付近の領域である。このことは、
図6のアクチュエータ232の配置から分かる。アクチュエータ232の数は、1から、物理的に利用可能なスペース内に収まる任意の数まで変化することができる。ある実施形態は、外径領域231内に配置された、2、3、4、または5セットのアクチュエータ232を有する。本明細書および添付の特許請求の範囲では、「アクチュエータ」という用語は、サセプタアセンブリの少なくとも一部を、ガス分配アセンブリ220の方に向かって、またはガス分配アセンブリ220から離して移動させることが可能な、任意の単一または複数の構成要素の機構を意味する。例えば、アクチュエータ232は、サセプタアセンブリ230が注入器アセンブリ220とほぼ平行であることを確保するために、用いられ得る。本明細書および添付の特許請求の範囲では、この関連で使用される「ほぼ平行」という用語は、構成要素の平行度が、構成要素間の距離に対して5%を超えて変化しないということを意味する。
【0045】
いったんアクチュエータ232からサセプタアセンブリ230に圧力が加えられると、サセプタアセンブリ230は水平になり得る。アクチュエータ232によって圧力が加えられる際、間隙210の距離は、約0.1mmから約2.0mmの範囲、または約0.2mmから約1.8mmの範囲、または約0.3mmから約1.7mmの範囲、または約0.4mmから約1.6mmの範囲、または約0.5mmから約1.5mmの範囲、または約0.6mmから約1.4mmの範囲、または約0.7mmから約1.3mmの範囲、または約0.8mmから約1.2mmの範囲、または約0.9mmから約1.1mmの範囲、または約1mmであり得る。
【0046】
サセプタアセンブリ230は、ガス分配アセンブリ220の下に配置されている。サセプタアセンブリ230は、頂面241、及びオプションで、頂面241内の少なくとも1つの凹部243を有する。凹部243は、処理されているウエハ260の形状及びサイズに応じて、任意の適切な形状及びサイズであり得る。示される実施形態では、凹部243は、凹部243の外周エッジの周囲にステップ領域を有する。ステップは、ウエハ260の外周エッジを支持するようにサイズ決めされ得る。当該ステップによって支持されるウエハ260の外周エッジの量は、例えばウエハの厚さ、及びウエハの裏面に既に存在する特徴の存在に応じて、変化し得る。
【0047】
ある実施形態では、
図6に示すように、サセプタアセンブリ230の頂面241内の凹部243は、凹部243内で支持されているウエハ260が、サセプタアセンブリ230の頂面241とほぼ同一平面上にある頂面261を有するように、サイズ決めされる。本明細書および添付の特許請求の範囲では、「ほぼ同一平面上」という用語は、ウエハの頂面とサセプタアセンブリの頂面とが、±0.2mm以内で同一平面上にあることを意味する。ある実施形態では、当該頂面は、±0.15mm、±0.10mmまたは±0.05mm以内で同一平面上にある。
【0048】
図6のサセプタアセンブリ230は、サセプタアセンブリ230を上昇、下降及び回転させることが可能な支持体ポスト240を含む。サセプタアセンブリ230は、支持体ポスト240の中心内に、ヒータ、またはガスライン、または電気構成要素を含み得る。支持体ポスト240は、サセプタアセンブリ230をおよその位置に移動させ、サセプタアセンブリ230とガス分配アセンブリ220との間の間隙を増大または減少するための、主要な手段であり得る。次いで、アクチュエータ232は、既定の間隙を作り出すため、サセプタアセンブリの位置に関して微調整を行うことができる。
【0049】
図6に示す処理チャンバ100は、内部でサセプタアセンブリ230が複数のウエハ260を保持できる、カルーセル型のチャンバである。ガス分配アセンブリ220は、複数の別個の注入器ユニット221を含み得る。注入器ユニット221のそれぞれは、ウエハが注入器ユニット221の下を移動する際に、膜または膜の一部をウエハ260上に堆積させることが可能である。
図7は、カルーセルタイプの処理チャンバ200の斜視図である。2つのパイ形状の注入器ユニット221が、サセプタアセンブリ230の上方に、ほぼ向き合って配置されて示される。示されている注入器ユニット221がこの数であるのは、例示の目的にすぎない。しかし、より多数のまたはより少数の注入器ユニット221が含まれ得る。ある実施形態では、サセプタアセンブリ230の形状に一致する形状を形成するのに十分な数の、パイ形状の注入器ユニット221が存在する。ある実施形態では、個別のパイ形状の注入器ユニット221のそれぞれは、他の注入器ユニット221のいずれにも影響することなく、独立して移動、除去、及び/または置換され得る。例えば、ウエハ260のローディング/アンローディングのため、サセプタアセンブリ230とガス分配アセンブリ220の間の領域にロボットがアクセスできるように、1つのセグメントが上昇され得る。
【0050】
図8は、サセプタアセンブリ230が剛体ではない、本開示の別の実施形態を示す。ある実施形態では、サセプタアセンブリ230のドループ許容値は、約0.1mmより大きくなく、または約0.05mmより大きくなく、または約0.025mmより大きくなく、または約0.01mmよりも大きくない。ここでは、アクチュエータ232は、サセプタアセンブリ230の外径領域231及び内径領域239に配置されている。アクチュエータ232は、サセプタアセンブリ230の内周及び外周の周辺の、任意の適切な数の場所に配置され得る。ある実施形態では、アクチュエータ232は、外径領域231及び内径領域239の両方、3か所に配置される。アクチュエータ232は、外径領域231及び内径領域239の両方において、サセプタアセンブリ230に対して圧力を印加する。
【0051】
図9は、ダイバータ及びサセプタアセンブリを伴う円形のガス分配アセンブリを備える、処理チャンバの実施形態を示す。一部を
図9で見ることができる円形のガス分配アセンブリ220は、処理チャンバ内に配置され、ガス分配アセンブリ220の前面225に、複数の細長いガスポート125、135、145を備える。複数の細長いガスポート125、135、145は、ガス分配アセンブリ220の内周エッジ227に近接するエリアから、外周エッジ228に近接するエリアに向けて、延伸する。
図9に示す複数のガスポートには、第1の反応性ガスポート125、第2の反応性ガスポート135、第1の反応性ガスポート及び第2の反応性ガスポートのそれぞれを取り囲むパージガスポート145、並びに真空ポート155が含まれる。
【0052】
サセプタアセンブリ230は、少なくとも1つの基板を回転軸の周りでほぼ円形の経路で回転させるため、処理チャンバ内に配置される。本明細書および添付の特許請求の範囲では、「ほぼ円形」という用語は、基板が完全な回転を完了した場合、経路が円形になることが意図されるということを意味する。サセプタアセンブリは、内周エッジ229及び外周エッジ231によって規定される、頂面241(
図8に示す)を有する。サセプタアセンブリ230は、サセプタアセンブリ230の頂面241がガス分配アセンブリ220の前面225に面するように、ガス分配アセンブリ220の下に配置される。
【0053】
本発明のうちのある実施形態は、基板を処理する方法を対象とする。基板は、複数のセクションを有し、各セクションがガスカーテンによって隣接するセクションから仕切られている、処理チャンバ内に配置される。本明細書および添付の特許請求の範囲では、「セクション」「領域」「セクター」という用語は、バッチ処理チャンバ内のエリアを指すために、交換可能に使用される。例えば、
図9に示す構成要素は2つのセクションを有する。基板(ウエハとも呼ばれる)は処理チャンバに入ると、個別のセクションのうちの任意の物の中に入ることができる。各セクションは、隣接するセクションと同一または異なる処理条件を有することができる。本明細書および添付の特許請求の範囲では、「処理条件」という用語は、個別のセクション内の条件全体を意味する。例えば、処理条件には、限定されないが、ガス組成、圧力、流量、温度及びプラズマが含まれる。処理条件は、例えば、堆積、エッチング及び処理(例えば高密度化、アニーリング)に合わせて構成され得る。
【0054】
第1のセクションでは、基板または基板の一部は、基板の表面に第1の膜を堆積させるため、第1の処理条件に曝される。基板表面は、裸基板の表面または、以前表面上に堆積した任意の層であり得る。例えば、表面は一部が金属で他の部分が誘電体という混合した組成を有し得る。個別の表面の組成は変更され得、本開示の範囲を限定すると見なされるべきではない。第1のセクション内の第1の処理条件は、温度変化または第1の反応性ガスのうちの1または複数を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲では、第1の処理条件においても処理チャンバの他のセクションにおいても、第1の反応性ガスの使用は、反応性ガスの組成、圧力、流量、ダイレクトプラズマ、リモートプラズマ、及びこれらの組み合わせを意味する。
【0055】
堆積したまたは形成された膜はいずれも、金属もしくは誘電体の膜といった完全な膜であり得るか、または、二段階反応の前半に見られる部分的な膜であり得る。部分的な膜の例は、後で還元または酸化されて最終的な膜を生成する、化合物の基板表面への化学吸着である。第1の膜は、第1の膜が部分的もしくは完全な膜である原子層堆積プロセスの一部分であるか、または化学気相堆積プロセスの一部であることができる。CVDプロセスでは、第1の処理条件は、活性種を作るために気相で反応し、次いで基板表面に堆積する、反応性ガスの混合体を含み得る。あるプロセスでは、セクション内で形成された膜は、当該セクションに入ってくる膜よりも向上された品質を有する。例えば、第3のセクションで形成される膜は、第4のセクションで高密度化プロセスに曝され得る。形成される膜は、化学プロセス、物理プロセスまたはプロセスの組み合わせに由来し得る。
【0056】
第1の膜の形成後、基板はガスカーテンを通って、処理チャンバの第2のセクションへ横方向に移動される。第2のセクションでは、第2の膜を形成するため、第1の膜は第2の処理条件に曝される。第2の処理条件は、温度変化または第2の膜を形成するための第2の反応性ガスのうちの、1または複数を含む。第2の膜は、二段階反応の後半のように第1の膜とは異なる組成物であり得るか、または混合膜のように全く異なる組成を有する膜であり得る。
【0057】
第1のセクションから第2のセクションへの移動の間、基板は第1の処理条件、第2の処理条件及びこの両者を仕切るガスカーテンに曝される。ガスカーテンは、例えば、第1の処理条件と第2の処理条件との間の気相反応が、たとえあったとしても最小であることを確実にするため、不活性ガスと真空との組み合わせであり得る。移動の間のある時点では、表面の一部は第1の処理条件に曝され、表面の別の一部は第2の処理条件に曝され、両者の間の基板の中間の部分は、ガスカーテンに曝される。
【0058】
第1の処理条件、第2の処理条件及び他の全ての処理条件のそれぞれは、第1の反応性ガスを含む単一の反応性ガス、第1の反応性ガスを含む反応性混合ガス、第1の反応性ガスを含むリモートプラズマ、第1の反応性ガスを含むダイレクトプラズマ、温度変化、及び上記の組み合わせからなるグループから選択される。本明細書および添付の特許請求の範囲では、「ダイレクトプラズマ」という用語は、処理チャンバ内で着火されるプラズマを意味する。「リモートプラズマ」という用語は、処理チャンバの外部で着火され、処理チャンバ内に流入するプラズマを意味する。
【0059】
既定の厚さの膜を成長させるため、第1の処理条件と第2の処理条件への曝露が順次反復され得る。例えば、基板が処理チャンバの中心軸の周りを回転することによって、表面が順次且つ反復的に第1の処理条件と第2の処理条件に曝され、それぞれの曝露によって(堆積の)膜の厚さが成長するように、バッチ処理チャンバは、第1の処理条件を持つ2つのセクションと、第2の処理条件を持つ2つのセクションとを交互のパターンで含み得る。
【0060】
図10A~10Fは、本開示の1または複数の実施形態による、典型的な自己整合ダブルパターニング(SADP)処理の図である。図示され記載されるプロセスは、任意の適切な酸化物、誘電体、フォトレジスト、及び/または金属の層で実施され得る。
図10Aでは、基板900は誘電体910と層をなし、フォトレジスト920でパターニングされている。誘電体910が基板900の上に堆積して、さらにその上のフォトレジスト920と共に示されているが、基板900と誘電体910の間に中間層(複数)が、または誘電体910とフォトレジスト920の間に層(複数)が存在し得ることを、当業者は理解するであろう。さらに、誘電体910層は別の材料(例えば金属層)であり得る。
【0061】
図10Bに示すように、フォトレジストの側面921をエッチングするため、フォトレジスト920はプラズマに曝され得る。フォトレジスト920の側面をエッチングすることによってフォトレジストの幅は減少し、その結果、フォトレジストはよりスリムになり、露出する誘電体910のエリアはより広くなる。このプロセスは、フォトレジストのスリム化またはPRスリミングと呼ばれる。
【0062】
図10Cに示すように、フォトレジスト920の頂面922及び側面921がスペーサ膜930によって共形に覆われるように、誘電体910及びフォトレジスト920の露出した表面上に、スペーサ膜930が堆積している。スペーサ膜は、限定するものではないが、酸化膜を含む任意の適切な材料で作られてよい。
【0063】
図10Dでは、スペーサ膜930は、水平面からエッチングされている。これは、フォトレジスト920の頂面922が露出し、誘電体910表面の一部が露出していることを示す。
図10Eでは、当初のパターニングされたフォトレジスト920がエッチング除去されて、スペーサフィルム930の残された部分だけが残っている。基板900は、スペーサをガイドとしてエッチングされ得、誘電体910を残し、スペーサ膜930は取り除かれて、
図10Fのエッチングされた基板900が提供される。例えば誘電体といったように、本明細書に記載される膜(複数)の間で選択性があることによって、当該処理の実行が可能になる。選択性が不十分な場合、例えばSiONといったキャップが、スペーサ膜の堆積に先立ってフォトレジスト上に配置され得る。これらのキャップは、パターニングされたフォトレジストが偶発的にエッチング除去されてしまうことを防止する。
【0064】
したがって、
図10A~10Fを参照すると、本開示の1または複数の実施形態は、処理方法を対象としている。誘電体910であり得る第1の層、及びフォトレジスト920であり得るパターン層を有する基板900が、提供されている。第1の層は誘電体でなくともよく、パターン層はフォトレジスト層でなくてもよいが、記載の利便のためにこれらの用語が使用される。基板を見下ろしたときに、第1の層とパターン層が同時に視認可能なように、第1の層の一部は、パターン層を通して露出している。
【0065】
パターン層は、1つの頂面922と、幅W1を規定する2つの側面921(即ち垂直面)を有する、少なくとも1つの特徴を備える。幅W1は、パターン層にとって適切な任意の幅であり得る。ある実施形態では、少なくとも1つの特徴の幅は、約200Å~約800Åの範囲であるか、または約300Å~約700Åの範囲であるか、または約400Å~約600Åの範囲である。
【0066】
基板上に存在する特徴(単数または複数)は、任意の適切な技法によって作られ得、基板を処理チャンバ内に配置するのに先立って形成され得る。ある実施形態では、当該特徴は同一の処理チャンバ内、且つSADP処理で形成される。当該特徴は、任意の適切なサイズ、及び任意の適切なアスペクト比であり得る。ある実施形態では、特徴のアスペクト比は、約1:1、2:1、3:1、4:1または5:1よりも大きい。ある実施形態では、当該特徴は、約1:1~約20:1の範囲、または約2:1~約15:1の範囲、または約3:1~約10:1の範囲、または約4:1~約8:1の範囲のアスペクト比を有する。
【0067】
当該特徴の垂直面921は、第1の層に対してほぼ垂直である。本明細書および添付の特許請求の範囲では、「ほぼ垂直」という用語は、第1の層に対して垂直面が形成する角度が、約80°~約100°の範囲であるか、または約85°~約95°の範囲であるか、または約88°~約92°の範囲であるかを意味する。
【0068】
パターン層の用途に応じて、当該パターン層は任意の適切な材料であり得る。10A~10Fに示す例では、パターン層がフォトレジストまたはスピンオンカーボンのうちの1または複数である、自己整合ダブルパターニングの手順が記載されている。
【0069】
パターン層の幅をW1からW2に縮小するため、パターン層(例えばフォトレジスト920)は処理条件に曝される。したがって、幅W2は幅W1よりも小さい。ある実施形態では、パターン層の幅を縮小するため、パターン層をプラズマに曝すことによってトリミングが行われる。プラズマは、限定しないが、水素、窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素、及びヘリウムを含む、任意の適切なプラズマであり得る。ある実施形態では、パターン層はスピンオンカーボンを含み、プラズマはアルゴン及び二酸化炭素を含む。
【0070】
特徴の側面から除去される材料の量は、プラズマへの曝露の量によって制御され得る。ある実施形態では、パターン層の幅は、約10Å~約200Åの範囲で、または約20Å~約150Åの範囲で、または約30Å~約100Åの範囲で縮小される。1または複数の実施形態では、パターン層の幅は当初の幅の約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%よりも大きい量で縮小される。特徴の幅はスリム化されたが、一方でゼロにまで減らされてはいない。これは、利用可能な特徴が幾つか残っていることを意味している。特徴のトリミング後、当該垂直面は、第1の層に対してほぼ垂直なままである。
【0071】
図10Cを参照すると、スペーサ層(例えば、酸化膜930)が、パターン層を通して露出している第1の層の部分並びに、少なくとも1つの特徴の頂面及び両方の垂直面の上に膜を形成するように、第1の層及びパターン層の上にスペーサ層が堆積する。堆積したスペーサ層はほぼ共形であり得る。これは、スペーサ層の厚さが、水平面、垂直面を通じて均一であることを意味する。本明細書および添付の特許請求の範囲では、「ほぼ共形」という用語は、平均的な膜の厚さに対して、膜の厚さが約20%、15%、10%、または5%を超えて変化しないことを意味する。スペーサ層は、限定しないが、酸化物、窒化物、ケイ素化合物、酸素窒化物、炭窒化物、及びこれらの組み合わせを含む、任意の適切な材料から作られ得る。
【0072】
図10Dを参照すると、垂直面上のスペーサ層を残して、スペーサ層は水平面からエッチングされる。ここでは、特徴の頂面及び特徴間の水平部分がエッチングされ、特徴の頂面及び第1の層が露出している。
【0073】
本明細書に記載のとおり、個別の処理は、別個の処理チャンバで実施され得るか、または単一の処理チャンバで実施され得る。ある実施形態では、各プロセスは、基板が複数のセクション間を横方向に移動され、各セクションが隣接するセクションとガスカーテンで仕切られている、単一の処理チャンバで行われる。この種の実施形態では、パターン層のトリミングは処理チャンバの第1のセクションで行われ、スペーサ層の堆積は処理チャンバの第2のセクションで行われ、スペーサ層のエッチングは処理チャンバの第3のセクションで行われる。例えば、この種の処理方法は、各セクションが隣接するセクションとガスカーテンで仕切られている、複数のセクションを備える処理チャンバに、基板を置くことを含み得る。基板の少なくとも一部は、パターン層の幅を縮小するためにパターン層をトリミングする、第1の処理条件に曝される。基板はガスカーテンを通って、処理チャンバの第2のセクションへ横方向に移動される。処理チャンバの第2のセクションでは、第1の層及びパターン層の上にスペーサ層を堆積するため、基板の少なくとも一部が第2の処理条件に曝される。次いで、基板はガスカーテンを通って、処理チャンバの第3のセクションへ横方向に移動される。次いで、スペーサ層を少なくとも1つの特徴の頂面、及びパターン層を通して露出している第1の層の部分からエッチングするため、基板の少なくとも一部が、第3の処理条件に曝される。第1のセクションから第2のセクションへの基板の横方向の移動の間、基板の第1の部分は第1の処理条件に曝され、同時に、表面の第2の部分は第2の処理条件に曝され、基板の中間部分はガスカーテンに曝される。中間部分は、第1の部分と第2の部分の間の、基板のある部分である。第2のセクションから第3のセクションへの基板の横方向の移動の間、基板の第1の部分は第2の処理条件に曝され、同時に、基板の第2の部分は第3の処理条件に曝され、基板の中間部分はガスカーテンに曝される。
【0074】
図10E及び10Fは、同一の処理チャンバ内または異なる環境下で実施され得る、さらなる処理段階を示す。
図10Eでは、パターン層は除去されている。当該プロセスは「コア除去」と称され得、必須ではないが、しばしば、湿式化学法によって実施される。
図10Fでは、残存するスペーサ層及び第1の層の露出している部分が、基板からエッチング除去されている。
【0075】
ある実施形態において、1または複数の層は、プラズマ増強原子層堆積(PEALD)プロセスの間に形成され得る。あるプロセスにおいて、プラズマの使用によって、表面反応が好適で且つ起こり得るようになる励起状態へと核種を昇位させるために十分なエネルギーが供給される。プラズマの当該プロセスへの導入は、連続的またはパルス的であり得る。ある実施形態において、前駆体(または反応ガス)及びプラズマの連続パルスが、層を処理するために用いられる。ある実施形態において、試薬が、局所的(即ち、処理領域内)または遠隔的(即ち、処理領域外)のいずれかでイオン化され得る。ある実施形態において、イオンまたは他のエネルギーを有する若しくは発光する核種が、堆積膜と直接接触しないように、遠隔イオン化が、堆積チャンバの上流で起こることができる。あるPEALDプロセスにおいて、プラズマは、リモートプラズマ発生装置システムによるなど、処理チャンバの外側で発生させられる。プラズマは、当業者に既知の任意の適切なプラズマ発生プロセスまたは技法によって、発生させ得る。例えば、プラズマは、マイクロ波(MW)周波発生装置または高周波(RF)発生装置のうちの1または複数により、発生させられ得る。プラズマの周波数は、使用されている特定の反応性核種に応じて、調整され得る。適切な周波数は、限定されないが、2MHz、13.56MHz、40MHz、60MHz及び100MHzを含む。本明細書で開示される堆積プロセスの間にプラズマが使用され得るが、プラズマは必要とされなくてもよい。実際、他の実施形態は、プラズマなしの非常にマイルドな条件下での堆積プロセスに関する。
【0076】
1または複数の実施形態によれば、基板は、層を形成する前、及び/または後に、処理を受ける。この処理は、同一のチャンバの中で、または、1もしくは複数の別個の処理チャンバの中で、行なわれ得る。ある実施形態では、基板は、第1のチャンバから、さらなる処理のための別個の第2のチャンバへ移動される。基板は、第1のチャンバから別個の処理チャンバへ直接移動させることができるし、または、基板は、第1のチャンバから1もしくは複数の移送チャンバへ移動され、次いで、別個の処理チャンバへ移動させることができる。従って、処理装置は、移送ステーションと連通する複数のチャンバを備え得る。この種の装置は、「クラスタツール」または「クラスタシステム」などと呼ばれ得る。
【0077】
概して、クラスタツールは、基板の中心測定及び配向、ガス抜き、アニール、堆積、及び/または、エッチングを含む、様々な機能を実行する複数のチャンバを備えるモジュールシステムである。1または複数の実施形態によれば、クラスタツールは、少なくとも第1のチャンバ及び中央移送チャンバを含む。中央移送チャンバは、複数の処理チャンバ及び複数のロードロックチャンバの間で基板を往復搬送することができるロボットを収納し得る。移送チャンバは通常、真空条件に維持され、一つのチャンバから他のチャンバへ、及び/またはクラスタツールの前端に置かれたロードロックチャンバへ、基板を往復搬送するための中間段階を提供する。本開示のために適合され得る2つのよく知られたクラスタツールは、Centura(登録商標)及びEndura(登録商標)であり、共に、Santa Clara、Calif.のApplied Materials,Inc.から入手可能である。一つのそのような段階的真空基板処理装置の詳細が、1993年2月16日発行の、Tepmanらの「Staged-Vacuum Wafer Processing Apparatus and Method」という名称の、米国特許第5、186、718号において開示されている。しかし、チャンバの厳密な配列及び組合せは、本明細書に記載のプロセスの特定の部分を実行する目的のために、変更され得る。使用され得る他の処理チャンバは、限定されないが、周期的層堆積(CLD)、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)、物理的気相堆積(PVD)、エッチング、前洗浄、化学洗浄、RTPといった熱処理、プラズマ窒化、ガス抜き、配向、ヒドロキシル化、及びその他の基板処理を含む。クラスタツール上のチャンバ内で処理を実行することにより、その次の膜を堆積させる前に酸化することなく、空気中の不純物による基板の表面汚染を回避することができる。
【0078】
1または複数の実施形態によれば、基板は、連続的に真空または「ロードロック」条件下にあり、一つのチャンバから次のチャンバへ移動されるときに、周囲空気に曝されない。移送チャンバは、このように真空下にあり、真空圧力下で「ポンプダウン」される。不活性ガスが、処理チャンバまたは移送チャンバの中に存在し得る。ある実施形態では、基板の表面上に層が形成された後に、反応物の一部または全部を除去するために、不活性ガスがパージガスとして使用される。1または複数の実施形態によれば、反応物が堆積チャンバから移送チャンバ及び/または追加の処理チャンバへ移動するのを防止するために、堆積チャンバの出口でパージガスが注入される。こうして、不活性ガスの流れが、チャンバの出口でカーテンを形成する。
【0079】
処理の間、基板は加熱または冷却され得る。こうした加熱または冷却は、限定するものではないが、基板支持体(例えばサセプタ)の温度を変化させること、及び基板表面へ加熱されたまたは冷却されたガスを流すことを含む、任意の適切な手段により、達成することができる。ある実施形態では、基板支持体は、伝導的に基板温度を変化させるように制御することができるヒータ/クーラを含む。1または複数の実施形態では、基板温度を局所的に変化させるため、使用されるガス(反応性ガスまたは不活性ガスのいずれか)は加熱または冷却される。ある実施形態では、基板温度を対流によって変化させるために、ヒータ/クーラはチャンバ内部で基板表面に隣接して配置される。
【0080】
基板はまた、処理の間、静止または回転させることができる。回転する基板は、連続的にまたは不連続なステップで、回転させることができる。例えば、処理全体を通して基板を回転させてもよいし、または、種々の反応性ガスもしくはパージガスへの曝露の合間に、基板を少量ずつ回転させることもできる。処理の間に基板を(連続的または段階的のいずれかで)回転させることは、例えば、ガス流の幾何学的配置における局所的な変動性の影響を最小化することにより、より均一な堆積またはエッチングを生成することに役立ち得る。
【0081】
以上の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本発明の基本的な範囲を逸脱することなく本発明の他の追加の実施形態を考案することができ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定められる。