(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】研磨パッド用組成物、研磨パッドおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 18/10 20060101AFI20220617BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20220617BHJP
B24B 37/24 20120101ALI20220617BHJP
C08G 18/76 20060101ALI20220617BHJP
C08G 18/32 20060101ALI20220617BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20220617BHJP
【FI】
C08G18/10
H01L21/304 622F
B24B37/24 C
C08G18/76 014
C08G18/32 006
C08G101:00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019226191
(22)【出願日】2019-12-16
【審査請求日】2020-01-17
(31)【優先権主張番号】10-2018-0169552
(32)【優先日】2018-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505232852
【氏名又は名称】エスケーシー ソルミックス カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SKC solmics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1043,Gyeonggi-daero,Pyeongtaek-si,Gyeonggi-do 17784, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ウンソン
(72)【発明者】
【氏名】ホ、ヘヨン
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ジャンウォン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ジョンウク
【審査官】中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-061928(JP,A)
【文献】特開2006-320980(JP,A)
【文献】特開2007-061929(JP,A)
【文献】特開2012-000745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G18/00-18/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーを含むウレタン系プレポリマー、硬化剤、および発泡剤を含み、
前記ウレタン系プレポリマーは、
[化1]
前記化学式1においてnが0または1である第1オリゴマーと、
前記化学式1においてnが2または3である第2オリゴマーとを含み、
前記ウレタン系プレポリマーが、前記ウレタン系プレポリマーの重量を基準に、未反応のNCO基を5重量%~13重量%で含み、未反応の芳香族ジイソシアネートモノマーを0.1重量%~5重量%で含み、
前記ウレタン系プレポリマーは、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、1つのNCO基がウレタン反応された
2,4-TDIを40重量%~80重量%で含み、
前記ウレタン系プレポリマーは、前記第1オリゴマーおよび前記第2オリゴマーを1:0.2~1:5の重量比で含み、
前記発泡剤は、不活性ガス、液相発泡剤、固相発泡剤を含む、組成物。
【請求項2】
前記ウレタン系プレポリマーが、前記化学式1においてnが4~6の整数である第3オリゴマーをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ウレタン系プレポリマーが前記第1オリゴマー、前記第2オリゴマー、および前記第3オリゴマーを1:0.2:0.1~1:5:10の重量比で含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ウレタン系プレポリマーは、
[化2]
前記式においてpは5~30の整数である、
前記化学式2で表される化合物をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、80秒~130秒のゲル化時間を有し、
硬化後に10N/mm
2~23N/mm
2の引張強度、80%~250%の伸び率、および40ショアD~65ショアDの硬度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
[化1]
前記化学式1においてnが0または1である第1オリゴマーを調製する段階と、
前記化学式1においてnが2または3である第2オリゴマーを調製する段階と、
前記第1オリゴマーおよび前記第2オリゴマー、1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーを含むウレタン系プレポリマーを調製する段階と、
前記ウレタン系プレポリマー、硬化剤、および発泡剤を混合する段階とを含み、
前記ウレタン系プレポリマーが、前記ウレタン系プレポリマーの重量を基準に、未反応のNCO基を5重量%~13重量%で含み、未反応の芳香族ジイソシアネートモノマーを0.1重量%~5重量%で含み、
前記ウレタン系プレポリマーは、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、1つのNCO基がウレタン反応された
2,4-TDIを40重量%~80重量%で含み、
前記ウレタン系プレポリマーは、前記第1オリゴマーおよび前記第2オリゴマーを1:0.2~1:5の重量比で含み、
前記発泡剤は、不活性ガス、液相発泡剤、固相発泡剤を含む、組成物の調製方法。
【請求項7】
ウレタン系プレポリマーを含む第1原料組成物を準備する段階と、
硬化剤を含む第2原料組成物を準備する段階と、
発泡剤を含む第3原料組成物を準備する段階と、
前記第1原料組成物を前記第2原料組成物および前記第3原料組成物と順次または同時混合して原料混合物を調製する段階と、
前記原料混合物を金型内に注入して硬化する段階と、を含み、
前記ウレタン系プレポリマーは、
[化1]
前記化学式1においてnが0または1である第1オリゴマーと、
前記化学式1においてnが2または3である第2オリゴマーと、
1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーを含み、、
前記ウレタン系プレポリマーが、前記ウレタン系プレポリマーの重量を基準に、未反応のNCO基を5重量%~13重量%で含み、未反応の芳香族ジイソシアネートモノマーを0.1重量%~5重量%で含み、
前記ウレタン系プレポリマーは、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、1つのNCO基がウレタン反応された
2,4-TDIを40重量%~80重量%で含み、
前記ウレタン系プレポリマーは、前記第1オリゴマーおよび前記第2オリゴマーを1:0.2~1:5の重量比で含み、
前記発泡剤は、不活性ガス、液相発泡剤、固相発泡剤を含む、研磨パッドの製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載されている組成物の硬化物であるポリウレタン樹脂および前記ポリウレタン樹脂内に分散されている多数の微細気孔を含み、前記ポリウレタン樹脂はウレタン系プレポリマー由来のものであり、
前記ウレタン系プレポリマーは、
[化1]
前記化学式1においてnが0または1である第1オリゴマーと、
前記化学式1においてnが2または3である第2オリゴマーと、
1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーを含み、
前記ウレタン系プレポリマーが、前記ウレタン系プレポリマーの重量を基準に、未反応のNCO基を5重量%~13重量%で含み、未反応の芳香族ジイソシアネートモノマーを0.1重量%~5重量%で含み、
前記ウレタン系プレポリマーは、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、1つのNCO基がウレタン反応された
2,4-TDIを40重量%~80重量%で含み、
前記ウレタン系プレポリマーは、前記第1オリゴマーおよび前記第2オリゴマーを1:0.2~1:5の重量比で含む、研磨パッド。
【請求項9】
前記微細気孔が21μm~25μmの平均サイズを有し、
前記研磨パッドが3500Å/50秒~3900Å/50秒の研磨率(removal rate)を有する、請求項8に記載の研磨パッド。
【請求項10】
研磨パッドを用いて半導体基板の表面を研磨する段階を含み、
前記研磨パッドは、請求項1に記載されている組成物の硬化物であるポリウレタン樹脂および前記ポリウレタン樹脂内に分散されている多数の微細気孔を含み、前記ポリウレタン樹脂はウレタン系プレポリマー由来のものであり、
前記ウレタン系プレポリマーは、
[化1]
前記化学式1においてnが0または1である第1オリゴマーと、
前記化学式1においてnが2または3である第2オリゴマーと、
1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーを含み、
前記ウレタン系プレポリマーが、前記ウレタン系プレポリマーの重量を基準に、未反応のNCO基を5重量%~13重量%で含み、未反応の芳香族ジイソシアネートモノマーを0.1重量%~5重量%で含み、
前記ウレタン系プレポリマーは、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、1つのNCO基がウレタン反応された
2,4-TDIを40重量%~80重量%で含み、
前記ウレタン系プレポリマーは、前記第1オリゴマーおよび前記第2オリゴマーを1:0.2~1:5の重量比で含む、半導体素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の化学機械的平坦化(CMP)工程に使用され得る多孔質ポリウレタン研磨パッド用組成物、多孔質ポリウレタン研磨パッドおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程の中で、化学機械的平坦化(CMP)工程は、ウェーハ(wafer)のような半導体基板をヘッドに付着しプラテン(platen)上に形成された研磨パッドの表面に接触するようにした状態で、スラリーを供給して半導体基板の表面を化学的に反応させながらプラテンとヘッドとを相対運動させて、機械的に半導体基板表面の凹凸部分を平坦化する工程である。
【0003】
研磨パッドは、このようなCMP工程において重要な役割を担う必需な材料として、一般的にポリウレタン樹脂からなり、前記ポリウレタン樹脂はジイソシアネートモノマーとポリオールとを反応させて得られたプレポリマー、硬化剤、発泡剤などを含む。
【0004】
また、研磨パッドは、表面にスラリーの大きな流動を担う溝(groove)と、微細な流動をサポートする気孔(pore)とを備え、前記気孔は空隙を有する固相発泡剤、不活性ガス、液相材料、繊維質などを利用して形成したり、または化学的反応によりガスを発生させたりして形成される(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国公開特許第2016-0027075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
研磨パッドを製造するために用いられるウレタン系プレポリマー(prepolymer)はモノマーによって物性が変化し、これは化学機械的平坦化(CMP)工程の性能に大きく影響を与える。従って、ウレタン系プレポリマーの組成と物性を調節することは、研磨パッドの性能を制御する上で非常に重要である。
【0007】
そこで、本発明者らが研究した結果、ウレタン系プレポリマー内の鎖を構成するオリゴマーの組成によりゲル化時間が変化し、それによって研磨パッドの伸び率と気孔粒径が異なることにより、研磨率などのCMP性能に影響を及ぼすことを発見するに至った。特に、本発明者らは、ウレタン系プレポリマーの調製に用いられる芳香族ジイソシアネートモノマーとポリオールとの反応によって生成されたオリゴマーの組成に注目した。
【0008】
従って、本発明は、ウレタン系プレポリマー内の鎖を構成するオリゴマーの組成を調節して物性を制御した組成物、前記組成物の調製方法、これを利用して研磨パッドを製造する方法、前記組成物から得られた研磨パッド、および前記研磨パッドを利用して半導体を製造する方法を提供することとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によると、ウレタン系プレポリマー、硬化剤、および発泡剤を含み、前記ウレタン系プレポリマーは、下記化学式1においてnが0または1である第1オリゴマーと、下記化学式1においてnが2または3である第2オリゴマーとを含む、組成物が提供される。
【0010】
【0011】
他の実施形態によると、前記化学式1においてnが0または1である第1オリゴマーを調製する段階と、前記化学式1においてnが2または3である第2オリゴマーを調製する段階と、前記第1オリゴマーおよび前記第2オリゴマーを含むウレタン系プレポリマーを調製する段階と、前記ウレタン系プレポリマー、硬化剤、および発泡剤を混合する段階とを含む、組成物の調製方法が提供される。
【0012】
また他の実施形態によると、ウレタン系プレポリマーを含む第1原料組成物を準備する段階と、硬化剤を含む第2原料組成物を準備する段階と、発泡剤を含む第3原料組成物を準備する段階と、前記第1原料組成物を前記第2原料組成物および前記第3原料組成物と順次または同時混合して原料混合物を調製する段階と、前記原料混合物を金型内に注入して硬化する段階とを含み、前記ウレタン系プレポリマーは、先般一実施形態による組成物に含まれているウレタン系プレポリマーと同様の構成を有する、研磨パッドの製造方法が提供される。
【0013】
また他の実施形態によると、ポリウレタン樹脂および前記ポリウレタン樹脂内に分散されている多数の微細気孔を含み、前記ポリウレタン樹脂はウレタン系プレポリマー由来のものであり、前記ウレタン系プレポリマーは先般一実施形態による組成物に含まれているウレタン系プレポリマーと同様の構成を有する、研磨パッドが提供される。
【0014】
また他の実施形態によると、研磨パッドを用いて半導体基板の表面を研磨する段階を含み、前記研磨パッドはポリウレタン樹脂および前記ポリウレタン樹脂内に分散されている多数の微細気孔を含み、前記ポリウレタン樹脂はウレタン系プレポリマー由来のものであり、前記ウレタン系プレポリマーは、先般一実施形態による組成物に含まれているウレタン系プレポリマーと同様の構成を有する、半導体素子の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0015】
前記実施形態による組成物は、ウレタン系プレポリマー内の鎖を構成するオリゴマーの組成が調節されゲル化時間などの物性が制御され得る。従って、前記実施形態による組成物を硬化させて得られた研磨パッドは、微細気孔特性、研磨率およびパッド切削率が制御され得るので、前記研磨パッドを利用して高品質の半導体素子を効率的に製造し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施例1で調製されたウレタン系プレポリマーのMALDI(matrix-assisted laser desorption/ionization)分析による結果を示したものである。
【
図2】
図2は、実施例2で調製されたウレタン系プレポリマーのMALDI分析による結果を示したものである。
【
図3】
図3は、比較例1で調製されたウレタン系プレポリマーのMALDI分析による結果を示したものである。
【
図4】
図4のa、bおよびcは、それぞれ実施例1、実施例2および比較例1の組成物を硬化させて得られた研磨パッドの気孔の走査電子顕微鏡(SEM)画像である。
【
図5】
図5は、実施例1、実施例2および比較例1における研磨パッドの研磨率(removal rate)を示したものである。
【
図6】
図6は、実施例1、実施例2および比較例1における研磨パッドのパッド切削率(pad cut rate)を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の実施形態の説明において、1つの構成要素が他の構成要素の上または下に形成されるものと記載されることは、1つの構成要素が他の構成要素の上または下に直接、またはさらに別の構成要素を介して間接的に形成されるものをすべて含む。
【0018】
本明細書において、ある構成要素を「含む」と言うことは、特に反する記載がない限り、その他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0019】
また、本明細書に記載する構成要素の物性値、値数等を示すすべての数値範囲は、特に記載がない限りすべての場合において用語「約」で修飾されるものと理解するべきである。
【0020】
本明細書において、単数表現は特に説明がなければ、文脈上解釈される単数または複数を含む意味として解釈される。
【0021】
[研磨パッド用組成物]
本発明の一実施形態による組成物は、ウレタン系プレポリマー、硬化剤、および発泡剤を含む。以下、各構成成分別に具体的に説明する。
【0022】
<ウレタン系プレポリマー>
プレポリマー(prepolymer)とは、一般的に最終成形品を製造するに当たり、成形しやすいように重合度を中間段階で中止させた比較的低い分子量を有する高分子のことを指す。例えば、前記ウレタン系プレポリマーの重量平均分子量(Mw)は、500g/mol~3000g/mol、600g/mol~2000g/mol、または700g/mol~1500g/molであり得る。プレポリマーは、それ自体で、または他の重合性化合物や硬化剤とさらに反応させた後、最終製品として形成され得る。
【0023】
前記ウレタン系プレポリマーは、1種以上のジイソシアネートモノマーと1種以上のポリオールとの予備重合反応生成物であり得る。
【0024】
前記1種以上のジイソシアネートモノマーは、1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーおよび/または1種以上の脂肪族ジイソシアネートモノマーであり得る。例えば、トルエンジイソシアネート(toluene diisocyanate、TDI)、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(naphthalene-1,5-diisocyanate)、パラフェニレンジイソシアネート(p-phenylene diisocyanate)、トリジンジイソシアネート(tolidine diisocyanate)、ジフェニルメタンジイソシアネート(diphenylmethane diisocyanate、MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylene diisocyanate、HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(dicyclohexylmethane diisocyanate、H12MDI)、イソホロンジイソシアネート(isophorone diisocyanate)等からなる群より選択される1つ以上のイソシアネートであり得る。
【0025】
具体的な例として、前記1種以上のジイソシアネートモノマーは1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーを含み、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーはトルエン2,4-ジイソシアネートおよびトルエン2,6-ジイソシアネートを含み得る。
【0026】
具体的な他の例として、前記1種以上のジイソシアネートモノマーは1種以上の脂肪族ジイソシアネートモノマーをさらに含み、前記1種以上の脂肪族ジイソシアネートモノマーはジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)等であり得る。
【0027】
前記実施形態で用いられるポリオールは、ポリウレタンの製造分野で広く認識される通常のポリオールとして、1つまたは2つ以上のヒドロキシル基を有し得、その種類および分子量には特に限定されない。一般的に、ポリオールは単分子アルコールと区別される概念として、少なくとも1つのヒドロキシル基を含み、かつ、所定の重量平均分子量以上、例えば、重量平均分子量200以上、具体的に300~3000である化合物のことを指し得る。
【0028】
前記ポリオールの具体的な例としては、ポリエーテルポリオール(polyether polyol)、ポリエステルポリオール(polyester polyol)、ポリカーボネートポリオール(polycarbonate polyol)、ポリカプロラクトンポリオール(polycarprolactone polyol)等が挙げられる。前記高分子型ポリオールは、300g/mol~3000g/molの重量平均分子量を有し得る。具体的に、ポリエーテルポリオールは、2つ以上のアルキレンエーテル(またはアルキレングリコール)繰り返し単位を含有する化合物として、アルキレンエーテル単位の繰り返し数に応じて低分子だけでなく、オリゴマー乃至高分子に達する分子量を有し得る。
【0029】
また、ポリオールは、このような様々な分子量の化合物が混合された組成物のことを指すことも有り、その外にエチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、プロピレングリコール(PG)、プロパンジオール(PDO)、メチルプロパンジオール(MP-diol)等のアルコールを含み得る。
【0030】
<プレポリマー内の鎖の構成>
前記ウレタン系プレポリマーは、ジイソシアネートモノマーとポリオールとの間の様々な分子量の重合反応物を含む。
【0031】
具体的に、前記ウレタン系プレポリマーは、芳香族ジイソシアネートモノマーとポリオールとの間の様々な分子量のオリゴマーを含む。
【0032】
より具体的に、前記ウレタン系プレポリマーは、トルエンジイソシアネート(TDI)とジエチレングリコール(DEG)との間の様々な分子量のオリゴマーを含む。
【0033】
前記実施形態による組成物に含まれるウレタン系プレポリマーは、下記化学式1においてnが0または1である第1オリゴマーと、下記化学式1においてnが2または3である第2オリゴマーとを含む。
【0034】
【0035】
例えば、前記ウレタン系プレポリマーは、前記第1オリゴマーおよび前記第2オリゴマーを1:0.1~1:10の重量比、1:0.2~1:5の重量比、1:0.5~1:2の重量比、または1:0.6~1:1.5の重量比で含み得る。
【0036】
具体的な一例として、前記ウレタン系プレポリマーは、前記第1オリゴマーおよび前記第2オリゴマーを1:0.2~1:5の重量比で含み得る。
【0037】
また、前記ウレタン系プレポリマーは、前記化学式1においてnが4~6の整数である第3オリゴマーをさらに含み得る。
【0038】
例えば、前記ウレタン系プレポリマーは、前記第1オリゴマー、前記第2オリゴマー、および前記第3オリゴマーを1:0.1:0.1~1:10:10の重量比、1:0.2:0.2~1:5:5の重量比、1:0.5:0.5~1:2:2の重量比、または1:0.6:0.6~1:1.5:1.5の重量比で含み得る。
【0039】
具体的な一例として、前記ウレタン系プレポリマーは、前記第1オリゴマー、前記第2オリゴマー、および前記第3オリゴマーを1:0.2:0.1~1:5:10の重量比で含み得る。
【0040】
前記第1オリゴマーは、前記化学式1においてnが0であるオリゴマーかまたはnが1であるオリゴマーかあるいは、これらの混合物であり得る。
【0041】
前記第2オリゴマーは、前記化学式1においてnが2であるオリゴマーか、またはnが3であるオリゴマーか、あるいはこれらの混合物であり得る。
【0042】
前記第3オリゴマーは、前記化学式1においてnが4であるオリゴマーか、またはnが5であるオリゴマーか、あるいはnが6であるオリゴマーであるか、もしくはこれらの中少なくとも2つの混合物であり得る。
【0043】
従って、前記第1オリゴマー、前記第2オリゴマー、前記第3オリゴマーを含む組成物は様々な組成を有し得る。
【0044】
一例として、前記組成物は、前記化学式1においてnが0であるオリゴマーとnが1であるオリゴマーとの少なくともいずれか1つ、および前記化学式1においてnが2であるオリゴマーとnが3であるオリゴマーとの少なくとも1つを含み得る。
【0045】
他の例として、前記組成物は、前記化学式1においてnが0であるオリゴマーとnが1であるオリゴマーとのいずれか1つ、前記化学式1においてnが2であるオリゴマーとnが3であるオリゴマーとの少なくとも1つ、および前記化学式1においてnが4であるオリゴマーとnが5であるオリゴマーとnが6であるオリゴマーとの少なくとも1つを含み得る。
【0046】
また他の例として、前記組成物は、前記化学式1においてnが0であるオリゴマー、nが1であるオリゴマー、およびnが2であるオリゴマーを含み得る。
【0047】
また他の例として、前記組成物は、前記化学式1においてnが0であるオリゴマー、nが1であるオリゴマー、nが2であるオリゴマー、およびnが3であるオリゴマーを含み得る。
【0048】
また他の例として、前記組成物は、前記化学式1においてnが0であるオリゴマー、nが1であるオリゴマー、nが2であるオリゴマー、nが3であるオリゴマー、およびnが4であるオリゴマーを含み得る。
【0049】
また他の例として、前記組成物は、前記化学式1においてnが0であるオリゴマー、nが1であるオリゴマー、nが2であるオリゴマー、nが3であるオリゴマー、nが4であるオリゴマー、およびnが5であるオリゴマーを含み得る。
【0050】
また他の例として、前記組成物は、前記化学式1においてnが0であるオリゴマー、nが1であるオリゴマー、nが2であるオリゴマー、nが3であるオリゴマー、nが4であるオリゴマー、nが5であるオリゴマー、およびnが6であるオリゴマーを含み得る。
【0051】
前記実施形態による組成物に含まれるウレタン系プレポリマーは、下記化学式2で示される化合物をさらに含み得る。
【0052】
【0053】
前記式においてpは5~30の整数である。
または、前記pは1~100、3~50、または10~20の整数であり得る。
【0054】
<反応されたジイソシアネートモノマー>
前記ウレタン系プレポリマー内において、前記ジイソシアネートモノマーは、少なくとも1つのNCO基が反応され(つまり、2つのNCO基が反応されるか、または1つのNCO基が反応され)プレポリマー内の鎖を構成し得る。
【0055】
前記ジイソシアネートモノマーのNCO基の反応は、ポリオールとの反応、またはその他の化合物との副反応を含み、特に限定されない。例えば、前記NCO基の反応は、鎖延長反応または架橋反応を含み得る。
【0056】
一例として、前記NCO基の反応は、前記ウレタン系プレポリマーの調製のためにジイソシアネートモノマーとポリオールとを反応させる過程において、NCO基とOH基とが反応してウレタン基(-NH-C(=O)-O-)を形成するウレタン反応を含む。代表的な例として、トルエンジイソシアネート(TDI)のNCO基がジエチレングリコール(DEG)のOH基とウレタン反応して重合鎖を形成し得る。他の例として、前記NCO基の反応はアミン系化合物とのウレア(urea)反応を含み得、その結果、ウレア基(-NH-C(=O)-NH-)を形成し得る。また他の例として、前記NCO基の反応は架橋反応をさらに含み得、例えば、アロファネート(allophanate)基またはビウレット(biuret)基を形成する架橋反応をさらに含み得る。
【0057】
特に、前記ウレタン系プレポリマーの調製に用いられる1種以上のジイソシアネートモノマーは1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーを含み、このような1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーは高い比率で予備重合反応に関与し得る。
【0058】
例えば、前記ウレタン系プレポリマーは、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、少なくとも1つのNCO基が反応された芳香族ジイソシアネートモノマーを50重量%~99重量%、60重量%~99重量%、70重量%~99重量%、80重量%~99重量%、または90重量%~99重量%で含み得る。
【0059】
特に、前記ウレタン系プレポリマーは、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、2つのNCO基が反応された芳香族ジイソシアネートモノマーを10重量%~40重量%、10重量%~35重量%、15重量%~35重量%、20重量%~35重量%、10重量%~30重量%、20重量%~30重量%、15重量%~25重量%、または10重量%~25重量%で含み得る。
【0060】
また、前記ウレタン系プレポリマーは、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、1つのNCO基が反応された芳香族ジイソシアネートモノマーを50重量%~90重量%、60重量%~90重量%、70重量%~90重量%、80重量%~90重量%、50重量%~80重量%、または60重量%~80重量%で含み得る。
【0061】
この際、前記ウレタン系プレポリマーは、前記2つのNCO基が反応された芳香族ジイソシアネートモノマー、および前記2つのNCO基が反応された芳香族ジイソシアネートモノマーを0.1:1~1:1の重量比、0.2:1~1:1の重量比、0.2:1~0.5:1の重量比、0.3:1~1:1の重量比、または0.3:1~0.5:1の重量比で含み得る。
【0062】
より具体的に、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーは、トルエン2,4-ジイソシアネートおよびトルエン2,6-ジイソシアネートを含み得、この際、前記ウレタン系プレポリマーは前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、少なくとも1つのNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび少なくとも1つのNCO基が反応されたトルエン2,6-ジイソシアネートを総90重量%~98重量%、93重量%~98重量%、または95重量%~98重量%で含み得る。
【0063】
また、前記ウレタン系プレポリマーは、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、2つのNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートを10重量%~40重量%、10重量%~35重量%、15重量%~35重量%、20重量%~35重量%、10重量%~30重量%、20重量%~30重量%、または10重量%~25重量%で含み得る。
【0064】
また、前記ウレタン系プレポリマーは、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、1つのNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートを40重量%~80重量%、45重量%~75重量%、45重量%~70重量%、50重量%~65重量%、45重量%~65重量%、45重量%~60重量%、60重量%~75重量%、または60重量%~70重量%で含み得る。
【0065】
また、前記ウレタン系プレポリマーは、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、1つのNCO基が反応されたトルエン2,6-ジイソシアネートを1重量%~30重量%、5重量%~25重量%、10重量%~25重量%、10重量%~20重量%、5重量%~20重量%、5重量%~15重量%、または10重量%~15重量%で含み得る。
【0066】
<未反応のジイソシアネートモノマー>
また、前記ウレタン系プレポリマーの調製のための反応に使用された化合物のうちの一部は反応に関与しないことがあり得る。
【0067】
従って、前記ウレタン系プレポリマー内には、反応に関与しないまま残っている化合物も存在し得る。
【0068】
具体的に、前記ウレタン系プレポリマーは、未反応のジイソシアネートモノマーを含み得る。本明細書において、「未反応のジイソシアネートモノマー」とは、2つのNCO基がいずれも反応していない状態で残っているジイソシアネートモノマーのことを意味する。
【0069】
前記ウレタン系プレポリマーは、前記ウレタン系プレポリマーの重量を基準に、未反応のジイソシアネートモノマーを7重量%~10重量%、7重量%~9重量%、7重量%~8重量%、8重量%~10重量%、9重量%~10重量%、8重量%~9重量%で含み得る。
【0070】
前記ウレタン系プレポリマー内に存在する未反応のジイソシアネートモノマーは、未反応の芳香族ジイソシアネートモノマーを含み得る。
【0071】
例えば、前記ウレタン系プレポリマーは、前記ウレタン系プレポリマーの重量を基準に、未反応の芳香族ジイソシアネートモノマーを0.1重量%~5重量%、0.1重量%~3重量%、0.1重量%~2.3重量%、0.1重量%~1.5重量%、0.1重量%~1重量%、0.5重量%~2重量%、1重量%~2重量%で含み得る。
【0072】
具体的な一例として、前記ウレタン系プレポリマーは、前記ウレタン系プレポリマーの重量を基準に、未反応の芳香族ジイソシアネートモノマーを0.1重量%~3重量%で含み得る。
【0073】
前記ウレタン系プレポリマーの反応に用いられる1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーがトルエン2,4-ジイソシアネートおよびトルエン2,6-ジイソシアネートを含むとき、そのうちのトルエン2,6-ジイソシアネートは相対的に反応性が低いので、ポリオールと反応されないままでウレタン系プレポリマー内に存在し得る。
【0074】
例えば、前記ウレタン系プレポリマーは、前記ウレタン系プレポリマーの重量を基準に、未反応のトルエン2,6-ジイソシアネートを0.1重量%~10重量%、0.1重量%~8重量%、0.1重量%~6重量%、0.1重量%~4重量%、0.1重量%~3重量%、0.5重量%~4重量%、または1重量%~4重量%で含み得る。
【0075】
また、前記ウレタン系プレポリマー内に存在する未反応のジイソシアネートモノマーは、未反応の脂肪族ジイソシアネートモノマーを含み得る。
【0076】
例えば、前記ウレタン系プレポリマーは、前記ウレタン系プレポリマーの重量を基準に、未反応の脂肪族ジイソシアネートモノマーを1重量%~20重量%、1重量%~15重量%、1重量%~10重量%、5重量%~20重量%、10重量%~20重量%、または5重量%~15重量%で含み得る。
【0077】
また、前記ウレタン系プレポリマーは、未反応の芳香族ジイソシアネートモノマーおよび未反応の脂肪族ジイソシアネートモノマーを0.01:1~1:1の重量比、0.05:1~0.8:1の重量比、0.05:1~0.7:1の重量比、0.05:1~0.5:1の重量比、または0.05:1~0.3:1の重量比で含み得る。
【0078】
<未反応のNCO基含有量>
前記ウレタン系プレポリマーは、これに含まれているポリマー、オリゴマーまたはモノマーの末端に未反応のNCO基を有し得る。
【0079】
例えば、前記ウレタン系プレポリマーは、前記ウレタン系プレポリマーの重量を基準に、未反応のNCO基を5重量%~15重量%、5重量%~13重量%、8重量%~10重量%、9重量%~10重量%、7重量%~9重量%、または7重量%~8重量%で含み得る。
【0080】
具体的な一例として、前記ウレタン系プレポリマーが、前記ウレタン系プレポリマーの重量を基準に、未反応のNCO基を7重量%~10重量%で含み得る。この際、前記ウレタン系プレポリマーが、前記ウレタン系プレポリマーの重量を基準に、前記未反応の芳香族ジイソシアネートモノマーを1重量%~3重量%で含み得る。また、この際、前記組成物が100秒~115秒のゲル化時間を有し得る。
【0081】
<硬化剤>
前記硬化剤は、アミン化合物およびアルコール化合物中の1種以上であり得る。具体的に、前記硬化剤は、芳香族アミン、脂肪族アミン、芳香族アルコール、および脂肪族アルコールからなる群より選択される1つ以上の化合物を含み得る。
【0082】
例えば、前記硬化剤は、4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン)(MOCA)、ジエチルトルエンジアミン(diethyltoluenediamine、DETDA)、ジアミノジフェニルメタン(diaminodiphenyl methane)、ジアミノジフェニルスルホン(diaminodiphenyl sulphone)、m-キシリレンジアミン(m-xylylene diamine)、イソホロンジアミン(isophoronediamine)、エチレンジアミン(ethylenediamine)、ジエチレントリアミン(diethylenetriamine)、トリエチレンテトラアミン(triethylenetetramine)、ポリプロピレンジアミン(polypropylenediamine)、ポリプロピレントリアミン(polypropylenetriamine)、エチレングリコール(ethyleneglycol)、ジエチレングリコール(diethyleneglycol)、ジプロピレングリコール(dipropyleneglycol)、ブタンジオール(butanediol)、ヘキサンジオール(hexanediol)、グリセリン(glycerine)、トリメチロールプロパン(trimethylolpropane)、およびビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)メタン(bis(4-amino-3-chlorophenyl)methane)からなる群より選択される1種以上であり得る。
【0083】
前記ウレタン系プレポリマーおよび硬化剤は、それぞれの分子内の反応性基(reactive group)のモル数を基準に、1:0.8~1:1.2のモル当量比、または1:0.9~1:1.1のモル当量比で混合され得る。なお、「各々の反応性基のモル数基準」とは、例えば、ウレタン系プレポリマーのイソシアネート基のモル数と硬化剤の反応性基(アミン基、アルコール基など)のモル数を基準とすることを意味する。従って、前記ウレタン系プレポリマーおよび硬化剤は、先般例示されたモル当量比を満足する量で単位時間当たり投入されるように投入速度が調節され、混合過程に一定の速度で投入され得る。
【0084】
<発泡剤>
前記発泡剤は、研磨パッドの空隙形成に通常用いられるものであれば特に制限しない。
【0085】
例えば、前記発泡剤は、中空構造を有する固相発泡剤、揮発性液体を用いた液相発泡剤、および不活性ガスの中から選ばれた1種以上であり得る。
【0086】
前記固相発泡剤は、熱膨張されサイズが調節されたマイクロカプセル(以下、「熱膨張されたマイクロカプセル」と言う)であり得る。前記熱膨張されたマイクロカプセルは、熱膨張性マイクロカプセルを加熱膨張させて得られたものであり得る。前記熱膨張されたマイクロカプセルは、予め膨張されたマイクロバルーンの構造体として均一な大きさの粒径を有することにより、気孔の粒径サイズを均一に調節可能なメリットを有する。具体的に、前記固相発泡剤は、5μm~200μmの平均粒径を有するマイクロバルーン構造体であり得る。
【0087】
前記熱膨張性マイクロカプセルは、熱可塑性樹脂を含む外皮と、前記外皮の内部に封入された発泡剤とを含み得る。前記熱可塑性樹脂は、塩化ビニリデン系共重合体、アクリロニトリル系共重合体、メタクリロニトリル系共重合体、およびアクリル系共重合体からなる群より選択された1種以上であり得る。さらには、前記発泡剤は、炭素数1個~7個の炭化水素からなる群より選択された1種以上であり得る。
【0088】
前記固相発泡剤は、ウレタン系プレポリマー100重量部を基準に、0.1重量部~2.0重量部の量で使用され得る。具体的に、前記固相発泡剤は、ウレタン系プレポリマー100重量部を基準に0.3重量部~1.5重量部、または0.5重量部~1.0重量部の量で使用され得る。
【0089】
前記不活性ガスは、ウレタン系プレポリマーと硬化剤との間の反応に関与しないガスであれば種類は特に限定されない。例えば、前記不活性ガスは、窒素ガス(N2)、二酸化炭素ガス(CO2)、アルゴンガス(Ar)、およびヘリウム(He)からなる群より選択される1種以上であり得る。具体的に、前記不活性ガスは、窒素ガス(N2)または二酸化炭素ガス(CO2)であり得る。
【0090】
前記不活性ガスは、ポリウレタン組成物総体積の10%~30%に該当する体積で投入され得る。具体的に、前記不活性ガスは、ポリウレタン組成物総体積の15%~30%に該当する体積で投入され得る。
【0091】
<ゲル化時間>
前記組成物は、硬化によってゲル化されるまで一定の時間がかかるが、これをゲル化時間(gel time)と言う。
【0092】
前記組成物のゲル化時間は、50秒以上、70秒以上、80秒以上、100秒以上であり得る。例えば、前記組成物のゲル化時間は、50秒~200秒、50秒~150秒、50秒~100秒、100秒~200秒、150秒~200秒であり得る。具体的な一例として、前記組成物は80秒~130秒のゲル化時間を有し得る。
前記ゲル化時間は、例えば70℃にて測定された値であり得る。
【0093】
<硬化後の特性>
前記組成物は、硬化後の引張強度、伸び率、硬度などのような機械的物性が特定の範囲に調節され得る。
【0094】
例えば、前記組成物の硬化後の引張強度は、5N/mm2~30N/mm2、10N/mm2~25N/mm2、10N/mm2~20N/mm2、または15N/mm2~30N/mm2であり得る。
【0095】
また、前記組成物の硬化後の伸び率は50%~300%、100%~300%、150%~250%、または100%~200%であり得る。
【0096】
また、前記組成物の硬化後の硬度は、30ショアD~80ショアD、40ショアD~70ショアD、50ショアD~70ショアD、40ショアD~60ショアD、または50ショアD~60ショアDであり得る。
【0097】
具体的な一例として、前記組成物は、硬化後に10N/mm2~23N/mm2の引張強度、80%~250%の伸び率、および40ショアD~65ショアDの硬度を有し得る。
【0098】
前記組成物は、硬化後に多数の微細気孔を有し得る。
前記微細気孔の平均サイズは10μm~50μm、20μm~50μm、20μm~40μm、20μm~30μm、または30μm~50μmであり得る。
【0099】
また、前記組成物は、硬化後の研磨率(removal rate)が3000Å/50秒~5000Å/50秒、3000Å/50秒~4000Å/50秒、4000Å/50秒~5000Å/50秒、または3500Å/50秒~4500Å/50秒であり得る。
【0100】
また、前記組成物は、硬化後のパッド切削率(pad cut rate)が30μm/hr~60μm/hr、30μm/hr~50μm/hr、40μm/hr~60μm/hr、40μm/hr~50μm/hrであり得る。
【0101】
[組成物の調製方法]
本発明の一実施形態による組成物の調製方法は、前記化学式1においてnが0または1である第1オリゴマーを調製する段階と、前記化学式1においてnが2または3である第2オリゴマーを調製する段階と、前記第1オリゴマーおよび前記第2オリゴマーを含むウレタン系プレポリマーを調製する段階と、前記ウレタン系プレポリマー、硬化剤、および発泡剤を混合する段階とを含む。
【0102】
前記第1オリゴマーおよび前記第2オリゴマーを調製する段階は、1種以上のジイソシアネートモノマーと1種以上のポリオールとを反応させて行われ、反応当量比、反応時間などの反応条件を調節して前記第1オリゴマーおよび前記第2オリゴマーを得られる。または、様々な分子量のオリゴマーを有するプレポリマーを調製したあと、これを精製して前記第1オリゴマーおよび前記第2オリゴマーをも得られる。
【0103】
前記第1オリゴマーおよび前記第2オリゴマーを含むウレタン系プレポリマーを調製する段階は、前記第1オリゴマーおよび前記第2オリゴマーを調製する段階と同時に、または互に連結されて行われ得る。または前記第1オリゴマーおよび前記第2オリゴマーをそれぞれ先に調製した後、これらを混合して前記ウレタン系プレポリマーを得られる。
【0104】
以後、前記ウレタン系プレポリマーを硬化剤および発泡剤と混合して組成物を得られる。
【0105】
例えば、前記ウレタン系プレポリマー、硬化剤、発泡剤、および添加剤をまず撹拌機で混合し、その後光開始剤をさらに投入して調製され得る。この際、撹拌は1000rpm~10000rpm、または4000rpm~7000rpmで行われ得る。
【0106】
[研磨パッドの製造方法]
本発明の一実施形態による研磨パッドの製造方法は、前記一実施形態による組成物を硬化させながら成形する段階を含む。
【0107】
つまり、本発明の一実施形態による研磨パッドの製造方法は、ウレタン系プレポリマーを含む第1原料組成物を準備する段階と、硬化剤を含む第2原料組成物を準備する段階と、発泡剤を含む第3原料組成物を準備する段階と、前記第1原料組成物を前記第2原料組成物および前記第3原料組成物と順次または同時混合して原料混合物を調製する段階と、前記原料混合物を金型内に注入して硬化する段階とを含み、前記ウレタン系プレポリマーは、下記化学式1においてnが0または1である第1オリゴマーと、化学式1においてnが2または3である第2オリゴマーとを含む。
【0108】
【0109】
具体的に、前記原料混合物を調製する段階は、前記第1原料組成物を前記第2原料組成物と混合した後、前記第3原料組成物とさらに混合するか、または前記第1原料組成物を前記第3原料組成物と混合した後、前記第2原料組成物とさらに混合して行われ得る。
【0110】
また、前記原料混合物を調製する段階は、50℃~150℃の条件で行われ、必要に応じて、真空脱泡条件下で行われ得る。
【0111】
前記原料混合物を金型内に注入して硬化する段階は、60℃~120℃の温度条件および50kg/m2~200kg/m2の圧力条件下で行われ得る。
【0112】
また、前記製造方法は、得られた研磨パッドの表面を切削する工程、表面に溝(groove)を加工する工程、下層部との接着工程、検査工程、包装工程等をさらに含み得る。これらの工程は、通常の研磨パッド製造方法の通りに行える。
【0113】
[研磨パッド]
本発明の一実施形態による研磨パッドは、前記一実施形態による組成物の硬化物および前記硬化物内に分散されている多数の微細気孔を含む。
【0114】
つまり、本発明の一実施形態による研磨パッドは、ポリウレタン樹脂および前記ポリウレタン樹脂内に分散されている多数の微細気孔を含み、前記ポリウレタン樹脂はウレタン系プレポリマー由来のものであり、前記ウレタン系プレポリマーは、下記化学式1においてnが0または1である第1オリゴマーと、下記化学式1においてnが2または3である第2オリゴマーとを含む。
【0115】
【0116】
前記研磨パッドはポリウレタン樹脂からなり、前記ポリウレタン樹脂はイソシアネート末端基を有するウレタン系プレポリマーの硬化物(重合物)を含み得る。前記ポリウレタン樹脂の重量平均分子量(Mw)は、500g/mol~1000000g/mol、5000g/mol~1000000g/mol、50000g/mol~1000000g/mol、100000g/mol~700000g/mol、または500g/mol~3000g/molであり得る。
【0117】
前記研磨パッドの厚さは、0.8mm~5.0mm、1.0mm~4.0mm、1.0mm~3.0mm、1.5mm~2.5mm、1.7mm~2.3mm、または2.0mm~2.1mmであり得る。前記範囲内であると、気孔の上下部位別粒径のばらつきを最小化しながらも、研磨パッドとしての基本物性を十分に奏し得る。
【0118】
前記研磨パッドの比重は、0.6g/cm3~0.9g/cm3、または0.7g/cm3~0.85g/cm3であり得る。
【0119】
また、前記研磨パッドは、前記例示された物性の外にも、先般一実施形態による組成物が硬化後に有する物性および気孔特性を同様に有し得る。
【0120】
前記研磨パッドの硬度は、30ショアD~80ショアD、40ショアD~70ショアD、50ショアD~70ショアD、40ショアD~60ショアD、または50ショアD~60ショアDであり得る。
【0121】
前記研磨パッドの引張強度は、5N/mm2~30N/mm2、10N/mm2~25N/mm2、10N/mm2~20N/mm2、または15N/mm2~30N/mm2であり得る。
【0122】
前記研磨パッドの伸び率は、50%~300%、100%~300%、150%~250%、または100%~200%であり得る。
【0123】
前記微細気孔は、前記ポリウレタン樹脂内に分散されて存在する。
前記微細気孔の平均サイズは、10μm~50μm、20μm~50μm、20μm~40μm、20μm~30μm、または30μm~50μmであり得る。具体的な一例として、前記微細気孔は21μm~25μmの平均サイズを有し得る。
【0124】
また、前記微細気孔は、前記研磨パッドの0.3cm2面積当たり100個~300個、150個~300個、または100個~250個で含まれ得る。
【0125】
また、前記微細気孔の総面積は、前記研磨パッドの総面積を基準に30%~60%、35%~50%、または35%~43%であり得る。
【0126】
また、前記微細気孔は、前記研磨パッドの総体積を基準に30体積%~70体積%、または40体積%~60体積%で含まれ得る。
【0127】
前記研磨パッドの研磨率(removal rate)は、3000Å/50秒~5000Å/50秒、3000Å/50秒~4000Å/50秒、4000Å/50秒~5000Å/50秒、または3500Å/50秒~4500Å/50秒であり得る。具体的な一例として、前記研磨パッドは3500Å/50秒~3900Å/50秒の研磨率を有し得る。前記研磨率は研磨パッドの硬化直後(つまり、製造直後)の初期研磨率であり得る。初期研磨率が前記好ましい範囲内であると、パッドグレージング(pad glazing)現象を抑制して、以後の繰り返される研磨工程において適正レベルの優れた研磨率を維持するのに有利である。
【0128】
また、前記研磨パッドのパッド切削率(pad cut rate)は、30μm/hr~60μm/hr、30μm/hr~50μm/hr、40μm/hr~60μm/hr、40μm/hr~50μm/hrであり得る。
【0129】
前記研磨パッドは、表面に機械的研磨のための溝(groove)を有し得る。前記溝は、機械的研磨のための適切な深さ、幅および間隔を有することができ、特に限定されない。
【0130】
他の実施形態による研磨パッドは、上部パッドおよび下部パッドを含み、この際、前記上部パッドが前記一実施形態による研磨パッドと同じ組成および物性を有し得る。
【0131】
前記下部パッドは前記上部パッドを支持しながら、前記上部パッドに加わる衝撃を吸収し、分散させる役割をする。前記下部パッドは不織布またはスエードを含み得る。
また、前記上部パッドおよび下部パッドの間には接着層が挿入され得る。
【0132】
前記接着層は、ホットメルト接着剤を含み得る。前記ホットメルト接着剤は、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン-酢酸ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂およびポリオレフィン系樹脂からなる群より選択された1種以上であり得る。具体的に、前記ホットメルト接着剤は、ポリウレタン系樹脂およびポリエステル系樹脂からなる群より選択される1種以上であり得る。
【0133】
[半導体素子の製造方法]
本発明の一実施形態による半導体素子の製造方法は、前記一実施形態による研磨パッドを用いて半導体基板の表面を研磨する段階を含む。
【0134】
つまり、本発明の一実施形態による半導体素子の製造方法は、研磨パッドを用いて半導体基板の表面を研磨する段階を含み、前記研磨パッドはポリウレタン樹脂および前記ポリウレタン樹脂内に分散されている多数の微細気孔を含み、前記ポリウレタン樹脂はウレタン系プレポリマー由来のものであり、前記ウレタン系プレポリマーは、下記化学式1においてnが0または1である第1オリゴマーと、下記化学式1においてnが2または3である第2オリゴマーとを含む。
【0135】
【0136】
具体的に、前記一実施形態による研磨パッドを定盤上に接着した後、半導体基板を前記研磨パッド上に配置する。この際、前記半導体基板の表面は、前記研磨パッドの研磨面に直接接触される。研磨のために、前記研磨パッド上に研磨スラリーが噴射され得る。以後、前記半導体基板と前記研磨パッドとは互いに相対回転して、前記半導体基板の表面が研磨され得る。
【0137】
前記一実施形態による研磨パッドは、組成が調節されたウレタン系プレポリマーを硬化させて得たので、伸び率、硬さ、微細気孔特性、研磨率などが優れているため、前記研磨パッドを利用して優れた品質の半導体素子を効率的に製造し得る。
【0138】
(実施例)
以下、実施例によりさらに具体的に説明するが、これらの実施例の範囲に限定されるものではない。
【0139】
(実施例および比較例)
トルエン2,4-ジイソシアネート(2,4-TDI)、トルエン2,6-ジイソシアネート(2,6-TDI)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、およびジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)を4口フラスコに投入して80℃にて反応させ、ジエチレングリコール(DEG)をさらに投入して80℃で追加反応させた後精製して、様々な分子量の反応物およびこれを含むウレタン系プレポリマーを調製した。
【0140】
プレポリマー、硬化剤、不活性ガス、発泡剤などの原料をそれぞれ供給するためのタンクおよび投入ラインが備えられたキャスティング装置を準備した。先般調製されたウレタン系プレポリマー、硬化剤(ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)メタン、Ishihara社)、不活性ガス(N2)、液相発泡剤(FC3283、3M社)、固相発泡剤(Akzonobel社)、およびシリコン系界面活性剤(Evonik社)をそれぞれのタンクに充填した。それぞれの投入ラインを介して原料をミキシングヘッドに一定の速度で投入しながら撹拌した。この際、プレポリマーと硬化剤は1:1の当量比および10kg/分の合計量で投入された。
【0141】
撹拌した原料をモールド(1000mm×1000mm×3mm)に吐出し、反応を完結して、固相ケーキ状の成形体を得た。その後、前記成形体の上段および下段をそれぞれ0.5mmずつの厚さで切削して、厚さ2mmの上部パッドを得た。
【0142】
その後、上部パッドに対して表面ミリングおよび溝形成工程を経て、ホットメルト接着剤により下部パッドと積層した。
上部パッドの具体的な工程条件を下記表にまとめた。
【0143】
【0144】
[試験例]
前記実施例および比較例から得たウレタン系プレポリマーまたは研磨パッドを下記の項目について試験し、その結果を表2に示した。
【0145】
(1)プレポリマーのMALDI分析
プレポリマーのサンプルをテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、マトリックス(matrix)および塩(salt)と混合した後、MALDI(matrix-assisted laser desorption / ionization)測定機器(UltrafleXtreme(登録商標)、Bruker社)を使用して分析した。
図1および
図2に実施例1および2の結果を示し、
図3に比較例1の結果を示した。
【0146】
MALDI分析の結果、化学式1のオリゴマーを始め、TDIとPTMEGの反応物またはMALDI分析のために添加された成分などの様々な分子量のピークが観察されており、ピークの強度は当該分子量成分の含有量とは無関係だった。MALDIで測定されたピークの分子量数値は、概ねMALDI分析で塩として使用されたNa+イオンが結合された分子量である。
【0147】
下記表2から分かるように、前記実施例1のMALDIデータでは、前記化学式1においてnが0~3であるオリゴマーにNa+イオンが結合された種の分子量ピークが観察された。
【0148】
【0149】
また、下記表3から分かるように、前記実施例2のMALDIデータでは、前記化学式1においてnが0~6であるオリゴマーにNa+イオンが結合された種の分子量ピークが観察された。
【0150】
【0151】
また、下記表4から分かるように、前記比較例1のMALDIデータでは、前記化学式1においてnが0~1であるオリゴマーにNa+イオンが結合された種の分子量ピークが観察された。
【0152】
【0153】
(2)プレポリマーのNMR分析
5mgのプレポリマーサンプルをCDCl3に溶解し、室温にて核磁気共鳴(NMR)装置(JEOL 500MHz、90°pulse)を使用して1H-NMRおよび13C-NMR分析を行った。収得したNMRデータからTDIの反応されたメチル基と反応していないメチル基のピークとを積分することにより、プレポリマー内の反応または未反応の芳香族ジイソシアネートモノマーの含有量を算出した。
【0154】
具体的に、2つのNCO基のうち4-位置に置換されたNCOのみポリオールと反応された2,4-TDI(以下「4‐反応された2,4-TDI」という)の重量を100重量部としたとき、2つのNCO基のいずれもポリオールと反応され鎖を形成した2,4-TDI(以下「2,4-反応された2,4-TDI」という)、2つのNCO基のいずれもポリオールと反応していない2,6-TDI(以下「未反応の2,6-TDI」という)、および2つのNCO基のうち2-位置または6-位置に置換されたNCOのみポリオールと反応された2,4-TDI(以下「2-反応された2,6-TDI」という)の重量部を算出した(その外、2-位置のNCOのみ反応された2,4-TDIおよび2つのNCO基のいずれも反応された2,6-TDIはほとんど検出されなかった)。
その結果を下記の表にまとめた。
【0155】
【0156】
【0157】
【0158】
(3)硬度
サンプルを5cm×5cm(厚さ:2mm)に裁断し、温度25℃にて12時間保管した後、硬度計を用いてショアD硬度およびアスカーC硬度を測定した。
【0159】
(4)比重
サンプルを2cm×5cm(厚さ:2mm)に裁断し、温度25℃にて12時間保管した後、比重計を用いて多層比重を測定した。
【0160】
(5)引張強度
サンプルを4cm×1cm(厚さ:2mm)に裁断し、万能試験機(UTM)を用いて、50mm/分の速度において研磨パッドの破断直前の最高強度値を測定した。
【0161】
(6)伸び率
サンプルを4cm×1cm(厚さ:2mm)に裁断し、万能試験機(UTM)を用いて、50mm/分の速度において研磨パッドの破断直前の最大変形量を測定した後、最初の長さに対する最大変形量の比率を百分率(%)で示した。
【0162】
(7)ゲル化時間(gel time)
プレポリマーと硬化剤とを1:1当量で配合し、5000rpmで撹拌され出てくる混合液が70℃にてゲル化されるまでにかかる時間を測定した。
その結果を下記の表にまとめた。
【0163】
【0164】
(8)気孔特性
研磨パッドの気孔を走査電子顕微鏡(SEM)で観察して
図4のa~cに示す。
図4のa~cから分かるように、実施例1および2の研磨パッドの気孔は広い面積にわたって微細かつ均一に分布している。
【0165】
また、SEM画像をもとに、気孔の特性を算出して下記の表にまとめた。
- 数平均直径:SEM画像上の気孔直径の合を気孔数で除した平均
- 気孔数:SEM画像上の0.3cm2当りに存在する気孔の数
- 気孔面積率:SEM画像の全面積に対する気孔のみの面積の百分率
【0166】
【0167】
(9)研磨率(removal rate)
研磨パッドの製造直後の初期研磨率を以下のように測定した。
直径300mmのシリコン素材の半導体基板に酸化ケイ素を化学気相蒸着(CVD)工程により蒸着した。CMP装置に研磨パッドを付着し、半導体基板の酸化ケイ素層が研磨パッドの研磨面を向くように設置した。研磨パッド上にか焼セリアスラリーを250mL/分の速度で供給しながら、4.0psiの荷重および150rpmの速度で60秒間酸化ケイ素膜を研磨した。研磨後、半導体基板をキャリアから外して、回転式脱水機(spin dryer)に装着して蒸留水で洗浄した後、窒素で15秒間乾燥した。乾燥された半導体基板に対して、分光干渉式ウェーハ厚み計(SI-F80R、Keyence社)を用いて研磨前後の膜厚変化を測定した。その後、下記式を用いて研磨率を計算した。その結果を
図5に示した。
研磨率(Å/50秒)=研磨前後の膜厚変化(Å)/研磨時間(50秒)
【0168】
図5から分かるように、実施例1および2の研磨パッドは、初期研磨率が適正レベルで優れている反面、比較例1の研磨パッドは、ハードセグメントの凝集が増加して初期研磨率が過度に高かった。これにより、比較例1の研磨パッドは、パッドグレージング(pad glazing)現象による研磨率の急激な低下が予想される。
【0169】
(10)パッド切削率(pad cut-rate)
研磨パッドを10分間脱イオン水でフリーコンディショニングを行った後、脱イオン水を1時間噴射しながらコンディショニングを行った。コンディショニングの過程で変化した厚さを測定して研磨パッドの切削率を算出した。コンディショニングに使用した装置は、CTS社のAP-300HMであり、コンディショニング圧力は6lbfで、回転速度は100rpm~110rpmであり、コンディショニングに使用されたディスクはセソルLPX-DS2だった。その結果を
図6に示した。
【0170】
図6から分かるように、実施例1および2の研磨パッドはダイヤモンドディスクを用いたコンディショニングの際にパッド切削率が優れているが、比較例1の研磨パッドはハードセグメントの凝集が増加してパッド切削率が低調であった。