(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】液晶変色素子の配線部の形成方法および液晶変色素子
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20220617BHJP
G02F 1/1345 20060101ALI20220617BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20220617BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20220617BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20220617BHJP
B23K 26/364 20140101ALI20220617BHJP
【FI】
G02F1/13 101
G02F1/1345
H01L21/90 B
H01L21/88 B
B23K26/364
(21)【出願番号】P 2019524925
(86)(22)【出願日】2017-12-27
(86)【国際出願番号】 KR2017015542
(87)【国際公開番号】W WO2018124728
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2019-05-13
(31)【優先権主張番号】10-2016-0180381
(32)【優先日】2016-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ホ・パク
(72)【発明者】
【氏名】ポ・ゴン・シン
(72)【発明者】
【氏名】ウン・ギュ・ホ
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0014896(US,A1)
【文献】特開2004-039870(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0103367(US,A1)
【文献】国際公開第2011/125273(WO,A1)
【文献】特開2005-353784(JP,A)
【文献】米国特許第05702565(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/1345
H01L 21/768
H01L 21/3205
B23K 26/364
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)基材、前記基材上に形成された透明電極、および前記透明電極上に形成された配向膜を含む液晶変色素子を準備するステップ、
b)前記配向膜上にレーザを照射して一定間隔で離れた2以上のエッチングラインを形成するステップ、および
c)前記エッチングラインの谷領域に導電性ペーストを塗布するステップを含み、
前記導電性ペーストが、前記エッチングライン上及び前記配向膜上にバッファ層を形成
し、前記エッチングラインは前記配向膜を貫通し、前記透明電極の少なくとも一部がエッチングされ、前記導電性ペーストが前記エッチングラインの領域において損傷した透明電極の電気伝導性を回復する、液晶変色素子の配線部の形成方法。
【請求項2】
前記基材は透明高分子基材である、請求項1に記載の液晶変色素子の配線部の形成方法。
【請求項3】
前記透明電極は導電性酸化物を含む、請求項1に記載の液晶変色素子の配線部の形成方法。
【請求項4】
前記配向膜は、単分子化合物、単量体化合物、オリゴマー化合物および高分子化合物のうち少なくとも一つの光配向性化合物を含む、請求項1に記載の液晶変色素子の配線部の形成方法。
【請求項5】
前記液晶変色素子は、前記配向膜上に形成された反応性メソゲン膜をさらに含む、請求項1に記載の液晶変色素子の配線部の形成方法。
【請求項6】
前記導電性ペーストは、銀ペースト、銅ペースト、ニッケルペースト、カーボンペーストおよびアルミニウムペーストのうち少なくとも一つを含む、請求項1に記載の液晶変色素子の配線部の形成方法。
【請求項7】
前記レーザはIRレーザまたはファイバーレーザである、請求項1に記載の液晶変色素子の配線部の形成方法。
【請求項8】
前記レーザは、隣接した前記エッチングライン間の離隔距離が30μm以上450μm以下になるように照射される、請求項1に記載の液晶変色素子の配線部の形成方法。
【請求項9】
前記液晶変色素子の配線部の形成方法はロールツーロール連続工程で行われる、請求項1に記載の液晶変色素子の配線部の形成方法。
【請求項10】
基材、前記基材上に備えられた透明電極、および前記透明電極上に備えられた配向膜を含む液晶変色素子であって、
前記液晶変色素子は、前記配向膜上に一定間隔で離れた2以上のエッチングライン、および前記エッチングラインの谷領域に導電性ペーストを含み、
前記導電性ペーストが、前記エッチングライン上及び前記配向膜上でバッファ層となってい
て、前記エッチングラインは前記配向膜を貫通し、前記透明電極の少なくとも一部がエッチングされ、前記導電性ペーストが前記エッチングラインの領域において損傷した透明電極の電気伝導性を回復している、液晶変色素子。
【請求項11】
隣接した前記エッチングライン間の離隔距離は30μm以上450μm以下である、請求項
10に記載の液晶変色素子。
【請求項12】
前記基材は透明高分子基材である、請求項
10に記載の液晶変色素子。
【請求項13】
前記透明電極は導電性酸化物を含む、請求項
10に記載の液晶変色素子。
【請求項14】
前記配向膜は、単分子化合物、単量体化合物、オリゴマー化合物および高分子化合物のうち少なくとも一つの光配向性化合物を含む、請求項
10に記載の液晶変色素子。
【請求項15】
前記液晶変色素子は、前記配向膜上に備えられた反応性メソゲン膜をさらに含む、請求項
10に記載の液晶変色素子。
【請求項16】
前記導電性ペーストは、銀ペースト、銅ペースト、ニッケルペースト、カーボンペーストおよびアルミニウムペーストのうち少なくとも一つを含む、請求項
10に記載の液晶変色素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2016年12月27日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2016-0180381号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本発明に含まれる。
【0002】
本明細書は、液晶変色素子の配線部の形成方法および液晶変色素子に関する。
【背景技術】
【0003】
フレキシブル電子素子の急速な開発と共に、生産性に優れた大面積パターニング工程の重要性が提起されている。また、フレキシブル電子素子の実現において、電極形成または配線のための導電層の短絡だけでなく、導電膜の実現および構造化工程が求められる。
【0004】
フレキシブル電子素子の適用および生産、具体的にはディスプレイ、スマートウィンドウまたはサンルーフのような製品に液晶駆動をベースにした透過可変型液晶セルフィルムの開発において、透過型液晶ベースのフレキシブル素子は、基材の上部に導電層が導入され、導電層の上下部に電気的または電気光学的機能を付与する誘電膜が備えられた多層構造を含む。
【0005】
この場合、液晶を中心に上下部に備えられる電極に含まれ、光配向膜、ギャップスペーサなどの機能膜層が備えられたフィルムは、既存のロールツーロール(Roll‐to‐Roll,R2R)ベースの連続工程により製作される。このように製作され、光学的機能性が備えられたコーティング層を含む透明導電層フィルム基材を製品の用途に合わせて加工するステップにおいて、電気的短絡および裁断などの工程ほど重要なのが上下部電極の配線工程である。
【0006】
この場合、基材の上部に形成された導電層(透明電極、Indium Tin Oxide(インジウム錫酸化物)など)の物理的損傷に応じた電気伝導性の低下なしに上部に配向膜のような光機能層を選択的に除去する技術が求められる。例えば、反応性メソゲンのような液晶配向層はUV硬化方式で導電性フィルム基材の全体にコーティングされ、この場合、配線部分は溶媒を用いるかまたは他の湿式方法では除去が不可能である。したがって、メソゲンコーティングステップではフォトリソグラフィ、インクジェット、スロットダイ、スクリーン印刷などのパターニング工程が求められ、その後の後工程ではオーバーレイ配向(over‐lay align)工程が必要である。
【0007】
一方、前述したようなパターン化工程は、基材上部の導電層および液晶配向層などの上部層のオーバーレイ精度が確保されなければならない工程上の煩わしさがあり、大面積化において設備の費用が高くなるという短所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、液晶変色素子の配線部の形成方法および液晶変色素子を提供する。
【0010】
また、本発明が解決しようとする課題は以上に言及した課題に制限されず、言及していないまた他の課題は下記の記載によって当業者に明らかに理解できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施態様は、a)基材、前記基材上に形成された透明電極、および前記透明電極上に形成された配向膜を含む液晶変色素子を準備するステップ、b)前記配向膜上にレーザを照射して一定間隔で離れた2以上のエッチングラインを形成するステップ、およびc)前記エッチングラインの谷領域に導電性ペーストを塗布するステップを含む液晶変色素子の配線部の形成方法を提供する。
【0012】
本発明の一実施態様は、前記方法により配線部が形成された液晶変色素子を提供する。
【0013】
本発明の一実施態様は、基材、前記基材上に備えられた透明電極、および前記透明電極上に備えられた配向膜を含む液晶変色素子であって、前記液晶変色素子は、前記配向膜上に一定間隔で離れた2以上のエッチングライン、および前記エッチングラインの谷領域に導電性ペーストを含む液晶変色素子を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一実施態様による液晶変色素子の配線部の形成方法は、比較的に簡単な方法で損傷した透明電極の導電性を回復できるという長所がある。
【0015】
本発明の一実施態様による液晶変色素子の配線部の形成方法は、ロールツーロール(Roll‐to‐Roll)連続工程により行われることができるため、生産性を向上できるという長所がある。
【0016】
本発明の一実施態様による液晶変色素子の配線部の形成方法は、前もってマスキングステップまたはパターニングステップを省略し、後工程において製品の大きさに応じて適切な配線部を形成することができるため、液晶変色素子の製造工程を単純化できるという長所がある。
【0017】
本発明の一実施態様による液晶変色素子の配線部の形成方法は、低価のレーザ設備を利用しつつ、信頼性の高い配線部の形成が可能であるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】液晶変色素子の製造工程を示す模式図である。
【
図2】液晶変色素子の製造工程で用いられる下部フィルムの模式図である。
【
図3】従来技術に係る液晶変色素子の配線部の形成方法を示す模式図である。
【
図4】本発明の一実施態様による液晶変色素子の配線部の形成方法の模式図である。
【
図5】実施例1~実施例10によるエッチング結果を撮影した写真である。
【
図6】実施例1~実施例10による導電性ペーストコーティング結果を撮影した写真である。
【
図7a】実施例1および実施例2によるエッチング結果を拡大撮影した写真である。
【
図7b】実施例3および実施例4によるエッチング結果を拡大撮影した写真である。
【
図7c】実施例5および実施例6によるエッチング結果を拡大撮影した写真である。
【
図7d】実施例7および実施例8によるエッチング結果を拡大撮影した写真である。
【
図7e】実施例9および実施例10によるエッチング結果を拡大撮影した写真である。
【
図8】実施例3によるエッチング直後の様子を撮影した写真である。
【
図9】実施例3による導電性ペーストを塗布および乾燥した様子を撮影した写真である。
【
図10】比較例1によるエッチング結果を示すものである。
【
図11a】実施例11~実施例19によるレーザ照射間隔別のレーザエッチングに用いられた図を示すものである。
【
図11b】実施例11~実施例19によるエッチング後の試片を直交の偏光板の間に挿入して撮影した写真である。
【
図12a】実施例11~実施例19において銀ペースト塗布時に用いられたスクリーン印刷マスクの図を示すものである。
【
図12b】実施例11~実施例19によるエッチング後の試片に、スクリーン印刷マスクを用いて銀ペーストを塗布し乾燥した後の様子を撮影した写真である。
【
図13】気候変化テスト時の温度および湿度条件のグラフである。
【
図14】実施例11~実施例19による試片の気候変化テスト評価後の様子を示す写真である。
【
図15】実施例1~実施例10における2点接触抵抗の測定方法の模式図を示すものである。
【
図16a】レーザ出力が平均出力の25%である場合において、実施例11~実施例19の気候変化テスト評価の前と後に応じた2点接触抵抗の棒グラフである。
【
図16b】レーザ出力が平均出力の30%である場合において、実施例11~実施例19の気候変化テスト評価の前と後に応じた2点接触抵抗の棒グラフである。
【
図16c】レーザ出力が平均出力の35%である場合において、実施例11~実施例19の気候変化テスト評価の前と後に応じた2点接触抵抗の棒グラフである。
【
図16d】レーザ出力が平均出力の40%である場合において、実施例11~実施例19の気候変化テスト評価の前と後に応じた2点接触抵抗の棒グラフである。
【
図17】実施例11~実施例19で用いられた導電性ペーストの気候変化テスト後の接着力の評価結果を示す写真である。
【
図18】実施例11~実施例19による液晶変色素子の2点接触抵抗の測定方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書において、ある部材が他の部材「上に」位置しているとする時、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、二つの部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0020】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0021】
本明細書において、用いられる程度の用語「~(する)ステップ」または「~のステップ」は、「~のためのステップ」を意味するものではない。
本明細書において、「Aおよび/またはB」は、「AおよびB、またはAまたはB」を意味する。
【0022】
ロールツーロール(R2R、Roll‐to‐Roll)連続工程ベースの大面積液晶セルタイプのフィルム素子(光可変型フィルム-自動車サンルーフ、ヘッドマウントディスプレイ)の電気的配線を形成するための薄膜の透明電極の実現において、液晶配向機能膜(例えば、反応性メソゲン(reactive mesogen)などの光配向膜またはポリイミドベースのラビング配向膜など)をコーティングする時、別途のプリンティング工程とオーバーレイ配向(over‐lay align)無しでは、後工程により下部電極の損傷なしに液晶の配向のための光機能性薄膜を選択的に除去しなければならない。
【0023】
一方、液晶配向機能膜は素子信頼性の確保のためにUVまたは熱硬化からなっており、有機溶媒を用いた湿式除去が不可能であるため、液晶配向機能膜は乾式で除去されることが好ましい。
そこで、液晶配向機能膜の乾式除去において、レーザを用いたエッチング(laser ablation)が考慮されたことがある。但し、この場合、40nm以下の厚さの透明電極の上部に備えられた数マイクロメータ厚さの液晶配向用高分子膜を透明電極の損傷なしに(導電性の低下または短絡なしに)除去して配線部領域を確保するのが困難であるという問題があった。
【0024】
また、真空ベースのプラズマ乾式エッチング工程は、酸素などのエッチング用の気体を用いて下部導電性酸化膜の損傷なしに液晶配向高分子膜を容易に選択的に除去することができるが、半導体ベースの真空装備が高価であり、4~12インチ大きさのウェハー上の基板に限定され、大面積の液晶変色素子の製造工程に適用するには困難な問題があった。さらに、真空ベースのプラズマ乾式エッチング工程は、工程速度を改善するためにプラズマ密度を高める場合、熱によるプラスチック基材フィルムの変形が誘発されるし、このような工程のために製造される装備が高価な問題があった。
【0025】
このような問題を解決するために、従来、熱的損傷を最小化できる高価の極超短のピコ秒(pico second)パルスレーザを照射することによって、透明電極上部の反応性メソゲンベースの配向膜を選択的に除去する方法が導入されたことがある。
【0026】
しかし、このような方法は、透明電極の均一度および/または基材フィルムの平坦度(flatness)に非常に敏感な問題があった。具体的には、フレキシブル電子素子に適用できる透明電極の厚さは、フレキシブル電子素子の可撓性を確保するために、30nm~70nmに非常に薄く形成される。さらに、除去しなければならない液晶配向膜の厚さが透明電極に比べて厚い場合、液晶配向膜を選択的に除去し難く、工程繰り返し性および工程信頼性が非常に落ちるため、工程性を確保し難いという問題があった。
【0027】
そこで、本発明者らは、前記のような問題を解決するために、既存の低価の加工用IRレーザを利用しつつ、透明電極の損傷を最小化した液晶変色素子の配線部の形成工程を開発するに至った。具体的には、本発明の一実施態様による液晶変色素子の配線部の形成方法によれば、配向膜上に一定の間隔でエッチングラインを形成し、前記エッチングライン領域に導電性ペーストを塗布することによって、損傷した透明電極の電気伝導性を完全に回復することができ、液晶変色素子の配線部領域を信頼性あるように確保することができる。
【0028】
本発明は下記に説明する液晶変色素子の配線部の形成方法に関するものであり、本発明から提供される液晶変色素子の配線部の形成方法によれば、従来のレーザを用いて簡単な工程により、配線部を形成できるだけでなく、基材の損傷を最小化し、その結果、工程速度の改善と製品の品質確保を全て満たすことができる。
【0029】
以下では本明細書についてより詳細に説明する。
【0030】
本発明の一実施態様は、a)基材、前記基材上に形成された透明電極、および前記透明電極上に形成された配向膜を含む液晶変色素子を準備するステップ、b)前記配向膜上にレーザを照射して一定間隔で離れた2以上のエッチングラインを形成するステップ、およびc)前記エッチングラインの谷領域に導電性ペーストを塗布するステップを含む液晶変色素子の配線部の形成方法を提供する。
【0031】
先ず、液晶変色素子の製造工程を見てみれば
図1に示すとおりである。
図1によれば、前記液晶変色素子を上部および下部フィルムで貼り合わせる場合、上部および下部フィルムのエッチングラインが形成された配向膜および透明電極のエッチングライン領域(短絡領域)にシーラント(Sealant)がノズルディスペンシング(Nozzle dispensing)により塗布され、シーラントが塗布されていない領域には液晶(Liquid Crystal,LC)が塗布される。その次に、前記上部および下部フィルムを真空貼り合わせした後、紫外線照射によりシーラントを硬化することによって前記液晶変色素子を製造する。
【0032】
この時、電線配線部を形成するために、電線配線部領域に透明電極を除いた残りの非導電性領域(例えば、配向膜)を除去しなければならない。この場合、
図1の上部フィルムのように単一の配向膜が形成された場合には、トルエン、イソプロピルアルコール(IPA)などの溶媒を用いて除去する湿式エッチング工程が適用できる。但し、下部フィルムのように配向膜および配向膜上に備えられた液晶配向機能膜をさらに含み、前記液晶配向機能膜の厚さが約1μmであり、前記液晶配向機能膜が紫外線(UV)により架橋されている場合には、前記液晶配向機能膜および配向膜の選択的な除去が困難な問題がある。
【0033】
液晶変色素子の製造工程で用いられる下部フィルムの模式図を
図2に示す。
図2に示すように、液晶変色素子の合板工程において、下部フィルムは、透明電極上に備えられた配向膜、および前記配向膜上に備えられ、反応性メソゲンを含む液晶配向機能膜を含むことができる。一方、前記下部フィルムのような液晶変色素子側にレーザを照射して前記透明電極、配向膜、および液晶配向機能膜を選択的に除去する工程は、各層を構成する材料の光劣化による材料のアブレーションメカニズム(ablation mechanism)だけでなく、レーザ照射に応じた透明電極と基材の光吸収による熱膨脹率の差に起因する剥離(delamination)メカニズムも伴われる。したがって、赤外線(Infra‐red(IR)、1064nmの波長)レーザまたはファイバーレーザなどの長波長のレーザ光源(source)を用いる場合、透明電極上に配向膜が形成され、前記配向膜上に液晶配向機能膜がさらに備えられ、前記液晶配向機能膜の厚さが透明電極の厚さより遥かに厚く形成された下部フィルムでは前記配向膜の選択的除去が困難な問題があった。
【0034】
また、透明電極の上部に形成された配向膜と、前記配向膜の上部に形成された液晶配向機能膜を選択的に除去する場合、基材、透明電極、配向膜、および液晶配向機能膜各々のレーザ波長に対する相対的な光吸収の程度に応じて工程の難易度が決定される。そこで、基材、および透明電極に比して配向膜および/または液晶配向機能膜において高い光吸収率を有するレーザ波長に対する照射を行ったことがあった。但し、前記基材、透明電極、配向膜、および液晶配向機能膜は、商用化された大部分の加工用レーザ波長において類似した光吸収率を有するため、配向膜および/または液晶配向機能膜を選択的に除去するための効率的なレーザ光源の選択が困難な問題があった。一方、反応性メソゲンを含む液晶配向機能膜の厚さが透明電極の厚さに比して13~25倍以上であるため、レーザを用いたTop-down方式の工程により複数の配向膜を選択的にエッチングする方法は不可能なものではなかった。
【0035】
仮に、レーザの吸収による光熱反応の影響を最小化するために、10ピコ秒(10 picosecond、10×10-12秒)以下のパルス幅を有する超短波紫外線レーザを用いて液晶配向機能膜を選択的に除去する方法の場合、レーザ焦点距離に非常に敏感な工程であって収率に問題が発生しうる。
【0036】
図3は、このように超短波紫外線レーザを用いる従来技術に係る液晶変色素子の配線部の形成方法を示す模式図である。
図3によれば、従来技術のように基材10、透明電極20、配向膜30、および液晶配向機能膜40が順次備えられた液晶変色素子側に超短波紫外線レーザ100を照射する場合、透明電極、配向膜、および液晶配向機能膜の一領域が選択的に除去されることが分かる。
【0037】
但し、このような方法は、超短波レーザを照射する方法は、基材の寸法、平坦度が微細に変化したり、連続工程において小さい震え現象が発生したりする場合、下部フィルムの透明電極の損傷が発生しうるため、工程条件が非常に敏感であり、工程大面積量産工程に好適ではないという問題があった。また、このような超短波レーザは、光源の価格および運用費用が高価であるという問題があった。
【0038】
そこで、本発明者らは、従来に用いられたようなIRレーザまたはファイバーレーザ光源を利用しつつ、透明電極の損傷を最小化すると共に、透明電極の損傷に応じた導電性の低下が補償できる液晶変色素子の配線部の形成方法を開発するに至った。具体的には、本発明の一実施態様によれば、一般的な加工用レーザ光源である赤外線レーザまたはファイバーレーザ光源を利用しつつ、透明電極の損傷を最小化できるレーザ出力に対するプロセス因子を確保することができ、反応性メソゲンを含む複数の配向膜を選択的に除去することができる。この場合、フィルムの寸法変化および平坦度の差により、透明電極の損傷が不可避に発生した。但し、本発明の一実施態様によれば、前記配向膜が選択的に除去されたエッチングライン領域に導電性ペーストを塗布する場合、前述した透明電極の不可避な損傷に応じた導電性の低下が補償できるのを確認し、前述した本発明を完成するに至った。
【0039】
図4は、本発明の一実施態様による液晶変色素子の配線部の形成方法を示す模式図である。
【0040】
図4によれば、本発明の一実施態様による液晶変色素子の配線部の形成方法は、基材10、前記基材上に形成された透明電極20、前記透明電極上に形成された配向膜30、および前記配向膜上に形成された液晶配向機能膜40を含む液晶変色素子側にレーザを照射することによって、一定間隔で離れた2以上のエッチングラインを形成し、前記エッチングラインの谷領域に導電性ペースト50を塗布した後、前記導電性ペーストを乾燥するものである。また、この場合、透明電極の損傷した部分で短絡された透明電極領域が電気的に連結されて透明電極の損傷に応じた導電性の低下を補償することができる。
【0041】
本発明の一実施態様によれば、前記液晶変色素子の配線部の形成方法は、基材、前記基材上に形成された透明電極、および前記透明電極上に形成された配向膜を含む液晶変色素子を準備するステップ((a)ステップ)を含む。
【0042】
本発明の一実施態様によれば、前記液晶変色素子は、最下部に前記基材を含むことができる。また、前記基材は透明高分子基材であってもよく、具体的には、前記基材は光を透過する光透過性基板であってもよい。
【0043】
本明細書において、「透明」とは、550nm波長における光透過率が70%以上、または80%以上であることを意味する。
【0044】
さらに、前記透明高分子基材はポリカーボネート(Polycarbonate、PC)フィルム、透明ポリイミドフィルム(Colorless Polyimide Film)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate、PET)フィルムまたは環状オレフィン重合体(Cyclo Olefin Polymer、COP)フィルムのような透明高分子フィルムであってもよいが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0045】
本発明の一実施態様によれば、前記基材の厚さは、40μm以上200μm以下であってもよく、具体的には、70μm以上200μm以下、40μm以上150μm以下、または70μm以上150μm以下であってもよく、より具体的には、90μm以上150μm以下、70μm以上110μm以下、または90μm以上110μm以下であってもよい。但し、これらに限定されるものではなく、前記基材の厚さに応じて照射されるレーザの条件が適切に調節できる。
【0046】
本発明の一実施態様によれば、前記液晶変色素子は、前記基材上に形成された透明電極を含むことができる。
【0047】
本発明の一実施態様によれば、前記透明電極は、導電性酸化物を含むことができる。また、前記導電性酸化物はZnO、AlドープZnO、GaドープZnO、SnO2、In2O3およびITO(Indium Tin Oxide)のうち少なくとも一つを含むことができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0048】
また、前記透明電極は導電性酸化物層であってもよく、具体的には、前記透明電極はITO(indium tin oxide)層であってもよい。
【0049】
本発明の一実施態様によれば、前記透明電極の厚さは、20nm以上100nm以下であってもよく、具体的には、30nm以上100nm以下、20nm以上80nm以下、または30nm以上80nm以下であってもよく、より具体的には、40nm以上80nm以下、30nm以上70nm以下、または40nm以上70nm以下であってもよい。
【0050】
すなわち、前記透明電極の厚さは前記範囲のように相対的に薄いため、配向膜の一部を選択的に除去する過程で容易に損傷しうるし、このように損傷した透明電極はその後の液晶変色素子の電気伝導性の低下の原因となりうる。
【0051】
一方、本発明の一実施態様による液晶変色素子の配線部の形成方法は前記範囲のような薄い厚さの透明電極の損傷を最小化することができ、前記液晶変色素子の配線部の形成方法によれば、透明電極の不可避な損傷による導電性の低下が補償できる。
【0052】
本発明の一実施態様によれば、前記液晶変色素子は、前記透明電極上に形成された配向膜を含むことができる。
【0053】
本発明の一実施態様によれば、前記配向膜は、光配向性化合物を含むことができる。また、前記光配向性化合物とは、ラビング工程または光照射などにより所定方向に整列(Orientationally ordered)され、前記整列された状態で隣接した液晶化合物との分子間相互作用によって液晶分子の配向を所定方向に誘導して光学的異方性(anisotropic interaction)を付与できる化合物を意味する。また、前記光配向性化合物は、前記配向膜において方向性を有するように整列された状態で存在することができる。
【0054】
本発明の一実施態様によれば、前記配向膜は、単分子化合物、単量体化合物、オリゴマー化合物および高分子化合物のうち少なくとも一つの光配向性化合物を含むことができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0055】
本発明の一実施態様によれば、前記液晶変色素子は、前記配向膜上に形成された液晶配向機能膜をさらに含むことができる。また、前記液晶配向機能膜は、反応性メソゲンを含むことができる。
【0056】
本発明の一実施態様によれば、前記反応性メソゲンは、当業界でよく用いられる物質であって、光または熱によって重合を誘導できる反応基を含むメソゲンを意味する。また、「メソゲン」とは、液晶化合物が重合されて層を形成する時、前記層が液晶相の挙動を示すことができるようにするメソフェーズ(Meso Phase)の化合物を意味する。
【0057】
本発明の一実施態様によれば、前記液晶変色素子の配線部の形成方法は、前記配向膜上にレーザを照射して一定間隔で離れた2以上のエッチングラインを形成するステップ((b)ステップ)を含む。すなわち、前記配向膜に形成された一定間隔のエッチングラインは、前記レーザ照射に応じて形成されることができる。
【0058】
本発明の一実施態様によれば、前記レーザは、前記配向膜から前記透明電極方向に照射されることができる。また、前記レーザが照射される焦点は、特に制限されるものではなく、前記液晶変色素子に含まれる各層の厚さおよびエッチングしようとする部材の位置に応じて適切に調節できる。
【0059】
本発明の一実施態様によれば、前記レーザのレーザ光源(Source)は、有機高分子層を光熱反応によりエッチングできるものであれば、公知のものから自由に選択できる。
【0060】
照射されるレーザの出力が低くパルス幅が長い場合には、前記配向膜の上部面で吸収されるレーザによる配向膜のアブレーション(ablation)が誘導され、照射されるレーザの出力が高くパルス幅が短い場合には、前記透明電極のレーザ光吸収による瞬間的な体積膨張により前記透明電極が前記基材から剥離される。
【0061】
本発明の一実施態様によれば、前記レーザは、加工用レーザであってもよく、1064nm波長のレーザであってもよく、赤外線(infra‐red,IR)レーザまたはファイバーレーザであってもよい。配向膜、または配向膜と配向膜上に備えられた透明電極の選択的除去において、出力が高くパルス幅が短いレーザを照射するよりは、本発明の一実施態様のようにレーザの出力が低くパルス幅が長いレーザが照射されるのがさらに有利である。
【0062】
本発明の一実施態様によれば、前記レーザの繰り返し率(repetition rate)は、20kHz以上200kHz以下であってもよい。一方、前記レーザの繰り返し率は、前記範囲に制限されるものではなく、前記レーザが照射される液晶変色素子を構成する部材の種類、厚さなどに応じて適切に調節できる。
【0063】
本発明の一実施態様によれば、前記レーザの平均出力は、10W以上100W以下、具体的には30W以上80W以下、より具体的には40W以上60W以下であってもよい。
【0064】
また、本発明の一実施態様によれば、前記レーザの出力比は、前記レーザの平均出力の出力に対して20%以上70%以下、具体的には25%以上45%以下であってもよい。前記レーザの平均出力およびその出力比の範囲内で、前記透明電極と基材間の熱膨脹率の差により、前記透明電極および配向膜が前記基材から剥離されるようにすることができる。
【0065】
一方、前記レーザの平均出力および出力比は、前記範囲に制限されるものではなく、前記レーザが照射される液晶変色素子を構成する部材の種類、厚さなどに応じて適切に調節できる。
【0066】
本発明の一実施態様によれば、レーザは、前記エッチングライン間の離隔距離が30μm以上450μm以下、具体的には40μm以上450μm以下になるように照射されることができる。また、前記レーザ照射と同時に前記エッチングラインが形成されることができる。したがって、前記レーザの照射間隔と、前記隣接したエッチングライン間の離隔距離は同一であってもよい。すなわち、本発明の一実施態様によれば、前記レーザの照射間隔は、30μm以上450μm以下、具体的には40μm以上450μm以下であってもよい。
【0067】
前記液晶変色素子に照射される前記レーザのビーム大きさ(beam size)は、20μm以上40μm以下、具体的には約35μmであってもよい。
【0068】
前記レーザは、前記エッチングライン間の離隔距離が前述した範囲になるように照射されてこそ、適切な範囲のレーザビームの重畳度を確保し、レーザの過照射を防止し、それにより、前記透明電極の損傷を最小化することができる。
【0069】
また、前記エッチングラインの離隔距離が前述した範囲になるように前記レーザを照射してこそ、工程時間を節減し、配線部が形成された液晶変色素子が高温高湿の条件下でも一定レベルの電気伝導性を維持できるという長所がある。
【0070】
本発明の一実施態様による液晶変色素子の配線部の形成方法は、前記IRレーザまたはパルスレーザのような低価の加工用レーザを照射して、前記配向膜だけでなく、前記透明電極をエッチングして短絡させた後、短絡された領域のエッチングラインの谷領域に導電性ペーストを塗布して、透明電極の短絡による問題を解決した。このように導電性ペーストを塗布して短絡された電気伝導性を回復することによって、その後の異方性導電フィルム(Anistropic Conductive Film,ACF)を用いた配線工程が円滑に行われるようにすることができる。
【0071】
一方、前記エッチングラインが前記電極フィルムまで貫通して前記基材が露出される場合、短絡された領域であるエッチングラインの谷領域に導電性ペーストを塗布しても、短絡された透明電極の電気伝導性の回復が充分でない。
【0072】
そこで、本発明の一実施態様による液晶変色素子の配線部の形成方法は、前述したように、照射されるレーザの出力および照射間隔を前述した範囲に調節することによって、前記透明電極の損傷を最小化することができる。
【0073】
本明細書において、「エッチングライン」とは、ある部材上にレーザを照射することによってエッチングされて形成された溝(groove)が連続的に連結されたものを意味する。
【0074】
本明細書において、「エッチングライン間の離隔距離」とは、隣接したエッチングライン間の距離を意味する。
【0075】
本発明の一実施態様によれば、前記エッチングラインは、前記配向膜を貫通して形成されたものであってもよい。この場合、前記レーザ照射に応じて前記透明電極の一領域が露出されることができる。また、前記エッチングラインが前記配向膜を貫通する場合、前記エッチングラインは、前記透明電極の少なくとも一部がエッチングされたものであってもよい。
【0076】
本発明の一実施態様によれば、前記レーザ照射条件に応じて、前記エッチングラインは前記配向膜および前記透明電極を全て貫通してもよく、この場合、前記基材の一領域は損傷して局所的な電気的短絡が発生して露出されるか、または前記基材の一領域は損傷しない状態で露出される。
【0077】
また、前記液晶変色素子が前記配向膜上に形成された液晶配向機能膜をさらに含む場合、前記レーザは、前記液晶配向機能膜上に照射されることができる。
【0078】
この場合、前記エッチングラインは、前記液晶配向機能膜に形成されることができる。また、前記エッチングラインは前記液晶配向機能膜および前記配向性膜を貫通することができ、前記透明電極の少なくとも一部がエッチングされたものであってもよい。
【0079】
本発明の一実施態様によれば、本発明のb)ステップにおいて、液晶変色素子に、レーザを照射してエッチングラインを形成する場合、配向膜と共に透明電極の一部が共にエッチングされることができる。このようなエッチングによって損傷した透明電極は後述の導電性ペーストの塗布により電気的に連結されることができ、それにより、短絡された透明電極領域は電気的に連結されることができる。
【0080】
本発明の一実施態様によれば、前記液晶変色素子の配線部の形成方法は、前記エッチングラインの谷領域に導電性ペーストを塗布するステップ((c)ステップ)を含む。前記エッチングラインの谷領域に導電性ペーストを塗布することによって、前述したようにエッチングラインの形成により損傷した透明電極を含む前記液晶変色素子の電気伝導性の減少が補償できる。
【0081】
具体的には、前記導電性ペーストは、前記透明電極のエッチングされた領域に塗布され、透明電極領域の短絡を防止することができる。
【0082】
本発明の一実施態様によれば、前記エッチングラインの谷領域は、前記エッチングラインによってエッチングされた領域を意味する。このようなエッチングラインの谷領域に導電性ペーストを塗布することによって、レーザ照射により短絡された透明電極を電気的に連結することができる。
【0083】
また、前記導電性ペーストは前記エッチングラインの凹部を充填し、エッチングラインが形成されていない領域(凸部)の高さより厚く形成(Over coat)されることにより、本発明の一実施態様による液晶変色素子が外部と電気的に連結される時、配線連結に容易な物理的バッファ層(buffer layer)として用いられることもできる。具体的には、前記物理的バッファ層は、外部と電気的に連結する時、透明電極より配線連結に容易である。
【0084】
本発明の一実施態様によれば、本発明において、前記導電性ペーストは、銀ペースト(Ag paste)、Cuペースト(Cu paste)、ニッケルペースト(Ni paste)、カーボンペースト(Carbon paste)およびアルミニウムペースト(Al paste)のうち少なくとも一つを含むことができ、具体的には銀ペーストを含むことができる。
【0085】
本発明の一実施態様によれば、前記導電性ペーストは、その固相率(solid fraction)および粘度(viscosity)などに応じて、ブラシ、ローラなどを用いて塗布されてもよく、またはノズルディスフェンシング方法により塗布されてもよい。
【0086】
本発明の一実施態様によれば、前記液晶変色素子の配線部の形成方法は、前記導電性ペーストが塗布された前記液晶変色素子を熱処理するステップを含むことができる。前記熱処理により、塗布された導電性ペーストが乾燥されることによって、前記液晶変色素子の配線部の役割をすることができる。
【0087】
また、前記熱処理方法は、特に制限されるものではなく、公知の熱処理方法を用いることができる。さらに、前記熱処理の条件は、前記液晶変色素子を構成する各層が損傷せず、且つ、前記導電性ペーストが乾燥される程度に調節できる程度であれば特に制限されない。
【0088】
本発明の一実施態様によれば、前記液晶変色素子の配線部の形成方法は、ロールツーロール(Roll‐to‐Roll)連続工程で行われることができる。すなわち、前記液晶変色素子の配線部の形成方法は、比較的に簡単な方法によっても、液晶変色素子の大面積化が可能であり、前記液晶変色素子を連続的に製造できるという長所がある。
【0089】
本発明の一実施態様によれば、前記液晶変色素子の配線部の形成方法は、大面積の液晶変色素子を連続工程に適用できるため、前記液晶変色素子の配線部の形成方法は、自動車のサンルーフ用、スマートウィンドウ(Smart Window)用、プライバシーウィンドウ(Privacy Window)用、または透過度可変用のフィルムの製造時に適用できる。
【0090】
本発明の一実施態様は、前記方法により配線部が形成された液晶変色素子を提供する。
【0091】
本発明の一実施態様は、基材、前記基材上に備えられた透明電極、および前記透明電極上に備えられた配向膜を含む液晶変色素子であって、前記液晶変色素子は、前記配向膜上に一定間隔で離れた2以上のエッチングライン、および前記エッチングラインの谷領域に導電性ペーストを含む液晶変色素子を提供する。
【0092】
本発明の一実施態様によれば、前記基材、透明電極、配向膜、導電性ペーストに関する説明は、前述した内容と同様である。
【0093】
また、本発明の一実施態様によれば、前記エッチングラインは、前述したように、前記配向膜を貫通した形態で備えられることができる。さらに、この場合、前記エッチングラインは、前記透明電極の少なくとも一部がエッチングされたものであってもよい。
【0094】
本発明の一実施態様によれば、前記導電性ペーストは、前記エッチングラインの谷領域に充填されたものであってもよい。また、本発明の一実施態様によれば、前記液晶変色素子は、前記エッチングラインの谷領域に導電性ペーストの乾燥物を含むことができる。すなわち、前記液晶変色素子は前記導電性ペーストの乾燥物を含むことができ、前記導電性ペーストの乾燥物はエッチングラインの谷領域に満たされたものであってもよい。
【0095】
本発明の一実施態様によれば、前記液晶変色素子は、前記配向膜上に備えられた液晶配向機能膜をさらに含むことができる。また、前記液晶配向機能膜に関する説明は、前述した内容と同様である。
【0096】
本発明の一実施態様によれば、互いに隣接した前記エッチングライン間の離隔距離は、30μm以上450μm以下、具体的には40μm以上450μm以下であってもよい。
【0097】
前記透明電極は前述したように薄い厚さを有するため、レーザ照射条件を適切に調節しない場合には激しく損傷し、それに応じた電気的短絡が激しくなるという問題が発生しうる。また、この場合、導電性ペーストが前記エッチングラインの谷領域に備えられても、前記透明電極の厚さ方向への電気伝導経路(pathway)が十分に形成されないという問題が発生しうる。
【0098】
したがって、前記エッチングライン間の離隔距離を前記範囲内に調節する場合、透明電極の過度な損傷を防止し、さらには、導電性ペーストを用いて透明電極の電気伝導性を容易に回復させることができる。
【0099】
また、前記導電性ペーストは、前記液晶変色素子のエッチングライン上にオーバーコートされて物理的バッファ層を形成することができ、これは、その後のACFフィルムを用いたFPCB(flexible printed circuit board)ボンディング時に容易に電気伝導性を確保できる。
【0100】
以下では本発明を実施例に基づいてより詳しく説明するが、下記にて開示される本発明の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の範囲はこれらの実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲に示され、さらに特許請求範囲の記録と均等な意味および範囲内での全ての変更を有することができる。
【0101】
[実施例1~実施例10]
厚さが約40μmのCOP基材、厚さが約40nmのITOを含む透明電極、シンナメート(Cinnamate)官能基を含むノルボルネン樹脂ベースの光配向性化合物(LG CHEM)を含む厚さが約80nmの配向膜、および反応性メソゲン(RMM141C、MERCK)を含む厚さが約1μmの液晶配向機能膜が順次備えられた液晶変色素子(1,000mm×500mm)を準備した。
【0102】
前記液晶変色素子上に、平均出力が約50Wであり、波長が1064nmのファイバーレーザ(G4、SPI、F‐theta lens scanner)を100kHzの繰り返し率、45%の出力比および2m/sの照射速度で、照射間隔を下記の表1のように調節し、前記液晶配向機能膜上に10mm×10mm(横×縦)大きさの領域に各々照射して、実施例1~実施例10による前記液晶変色素子にエッチングラインを形成した。
【0103】
【0104】
図5は、実施例1~実施例10によるエッチング結果を撮影した写真である。具体的には、
図5は、実施例1~実施例10によるエッチングラインの形成後、前記液晶変色素子を直交の偏光板の間に挿入して撮影した写真である。
【0105】
図5によれば、レーザの照射間隔が狭いほど、配向膜部分に照射されるレーザの比重が高くなるため、直交の偏光板の間に挿入して透過された光を確認する場合、液晶配向機能膜の除去に応じた位相差の変化により低い透過率を有するため、相対的に暗く示されるのを確認することができる。
【0106】
その後、レーザが照射された前記液晶変色素子に銀ペースト(MicroPE(登録商標)PG007‐AP、Paru社)をローラを用いて塗布した後、オーブンで約120℃で約10分間乾燥した。
【0107】
図6は、実施例1~実施例10により銀ペーストがコーティングされた液晶変色素子を直交の偏光板の間に挿入して撮影した写真である。
【0108】
[実施例11~実施例19]
サンルーフ用の液晶変色素子に対する実施例として、厚さが約40μmのCOP基材、厚さが約40nmのITOを含む透明電極、シンナメート(Cinnamate)官能基を含むノルボルネン樹脂ベースの光配向性化合物(LG CHEM)を含む厚さが約100nmの配向膜、および反応性メソゲン(RMM141C、MERCK)を含む厚さが約1.2μmの液晶配向機能膜が順次備えられた液晶変色素子を準備した。
【0109】
前記液晶変色素子に、平均出力が約50Wであり、波長が1064nmであり、ガルバノスキャナ(Galvano Scanner)ベースの赤外線レーザを繰り返し率100kHz、照射速度2.5m/sにして、80mm×5mm(横×縦)のレーザ照射領域に対し、下記の表2のように照射間隔を調節し、前記液晶配向機能膜上に照射して、前記液晶変色素子にエッチングラインを形成した。
【0110】
【0111】
実施例11~実施例19による照射間隔別のレーザエッチングに用いられた図を
図11aに示す。
図11aによれば、実施例11~実施例19の試片の大きさは80mm×5mm(横×縦)であり、前記試片は上方から下方に順次配列される。
【0112】
出力比を平均出力の40%に調節し、実施例11~実施例19によりエッチングラインが形成された液晶変色素子の試片を直交の偏光板の間に挿入して撮影した写真を
図11bに示す。
【0113】
図11bによれば、
図11aで予想されたように、照射間隔の最も狭い実施例11による試片が、配向膜部分に照射されるレーザの比重が高いことが分かった。したがって、実施例11による試片を直交の偏光板の間に挿入して透過された光を確認する場合、配向膜の除去に応じた位相差の変化により低い透過率を有するため、相対的に暗く示されるのを確認することができた。
【0114】
実施例11~実施例19によりレーザが照射された液晶変色素子の試片が配列された板に導電性ペーストを塗布するために、前記液晶変色素子の試片が配列された板にスクリーン印刷マスクを備えた。
【0115】
銀ペーストの塗布時に用いられたスクリーン印刷マスクの図を
図12aに示す。
図12aによれば、前記スクリーン印刷マスクは、85.0mm×7.0mm(横×縦)の大きさに穿孔(open)されたものである。
【0116】
その次に、前記スクリーンマスクが備えられた板上に銀ペースト(MicroPE(登録商標)PG007-AP、Paru社)をローラを用いて塗布した後、オーブンで約120℃で約10分間乾燥して配線部が形成された液晶変色素子を製造した。
【0117】
このように導電性ペーストを塗布し、オーブンで乾燥された液晶変色素子の様子を撮影した写真を
図12bに示す。具体的には、
図12bは、レーザ照射時の出力比を平均出力に対して各々25%、30%、35%および40%に一定に維持した時、実施例11~実施例19による試片の様子を撮影した写真を示すものである。
【0118】
[比較例1]
厚さが約40μmのCOP基材、厚さが約40nmのITOを含む透明電極、シンナメート(Cinnamate)官能基を含むノルボルネン樹脂ベースの光配向性化合物(LG CHEM)を含む厚さが約100nmの配向膜、および反応性メソゲン(RMM141C、MERCK)を含む厚さが約1.2μmの液晶配向機能膜が順次備えられた液晶変色素子を準備した。
【0119】
前記液晶変色素子に、出力が約15Wであり、波長が343nmであり、最大パルスエネルギーが37.5μJであり、パルス幅が10psのピコ秒の超短波レーザ(TruMicro 5050)を繰り返し率200kHz、照射速度700mm/s、照射間隔を約60μmに、出力比を13%、14%、15%および16%に調節し、前記液晶配向機能膜上に20mm×20mm大きさの領域に照射して、前記液晶変色素子にエッチングラインを形成した。
【0120】
比較例1によるエッチング結果を
図10に示す。
図10によれば、パルス幅の狭い超短波レーザを用いた比較例1の場合、配向膜が選択的に除去できることを確認することができる。
【0121】
一方、
図10によれば、透明電極の損傷に応じた抵抗値の急激な上昇を確認することができ、レーザ非照射領域の配向膜および/または透明電極の基材からの剥離が観察された。一方、このような抵抗値の測定方法は、下記の実験例2においてより具体的に説明する。したがって、このように超短波レーザを用いる場合、一定間隔のエッチングラインの形成が難しいことが分かる。
【0122】
[実験例1]エッチングラインが形成された液晶変色素子の外形の確認
実施例1および実施例2によるエッチング結果を拡大撮影した写真を
図7aに、実施例3および実施例4によるエッチング結果を拡大撮影した写真を
図7bに、実施例5および実施例6によるエッチング結果を拡大撮影した写真を
図7cに、実施例7および実施例8によるエッチング結果を拡大撮影した写真を
図7dに、そして実施例9および実施例10によるエッチング結果を拡大撮影した写真を
図7eに示す。
【0123】
具体的には、
図7a~
図7eの各々は、実施例1~実施例10の各々によるエッチングラインの形成後、前記液晶変色素子を直交の偏光板に挿入して光学顕微鏡(Eclipse L300ND、Nikon)を用いて拡大撮影した写真である。
【0124】
図7a~
図7eによれば、相対的に明るい領域を通じて、前記レーザ照射に応じて配向膜が除去されるにつれて透明電極が損傷したことが分かり、相対的に暗い領域を通じて、前記レーザが照射されていない領域は配向膜が残存し透明電極が損傷しないことが分かる。
【0125】
実施例3によるエッチング直後の様子を撮影した写真を
図8に示す。具体的には、
図8は、実施例3によりエッチングされた液晶変色素子を直交の偏光板に挿入して光学顕微鏡(Eclipse L300ND、Nikon)を用いて拡大撮影した写真である。より具体的には、
図8の左側写真はreflection modeで撮影した写真である。
【0126】
また、実施例3によるエッチング後に銀(Ag)ペーストを塗布した後の写真(左)および乾燥後の写真(右)を
図9に示す。
【0127】
図8および
図9によれば、レーザ照射によってITO透明電極が損傷した領域(Damaged ITO)と、レーザが照射されず配向膜(R/M)が残存し、透明電極が損傷していない領域(Undamaged ITO)が区分されることが分かった。また、
図8および
図9によれば、前記エッチングラインが形成された領域に銀ペーストが塗布(Ag coated)されることが分かった。
【0128】
[実験例2]導電性ペーストの塗布前後の抵抗値の変化の測定
実施例1~実施例10によりエッチングラインが形成された液晶変色素子のITO透明電極の損傷程度、および配線部が形成された液晶変色素子の損傷した抵抗値の補償有無を確認するために、2 point probingにより液晶変色素子の抵抗値を測定し、その結果を下記の表3に示す。
【0129】
一方、レーザを用いて様々なエッチングライン間隔を有するパターン領域の面抵抗を4点接触(four probe)により測定するのは容易でないため、絶対的な値でない、相対的な抵抗値の比較のために前記2点接触抵抗(2 point probing)を測定した。
【0130】
図15は、実施例1~実施例10の2点接触抵抗の測定方法を示す模式図である。
図15の左側はエッチングラインが形成された液晶変色素子の2点接触抵抗を測定するための方法を、
図15の右側は配線部が形成された液晶変色素子の2点接触抵抗を測定するための方法を示すものである。
【0131】
図15のように2点接触抵抗を測定するために、レーザ照射領域の中心部から約50mm離れた領域にITO透明電極が露呈されるように基材、透明電極および配向膜が順次形成された液晶変色素子を準備した。さらに、前記配向膜に対するレーザ工程条件の独立的な相関関係の確保のために、高い強さのレーザを照射して、実施例1~実施例10領域の透明電極を各々短絡させ、一定大きさの独立的であり、電気的に隔離された領域に分離した。
【0132】
その次に、前記液晶変色素子の試片側に実施例1~実施例10のような条件のレーザを照射して10×10mm
2の領域にエッチングラインを形成し、
図15の左側のように一般抵抗テスト装備(HiTester、Hioki社)を用いて前記エッチングラインが形成された液晶変色素子の抵抗(エッチング直後の抵抗)を10回測定し、測定された抵抗の平均値を下記の表3に示す。
【0133】
さらに、前記エッチングラインが形成された液晶変色素子の試片側に銀ペーストを塗布し乾燥した後、
図15の右側のように一般抵抗テスト装備を用いて前記導電性ペーストが塗布された領域の抵抗(Agコーティング後の抵抗)を10回測定し、測定された抵抗の平均値を下記の表3に示す。
【0134】
参考に、前記抵抗の測定時に参考になった標準抵抗(リファレンス抵抗、Ωref=200~300Ω/sq)は、ITO透明電極が露呈されるように準備された液晶変色素子の、露出されたITO透明電極の抵抗を意味する。
【0135】
【0136】
表3に示したエッチング直後の抵抗値によれば、レーザ照射により透明電極が損傷することによって、各試片の抵抗値が顕著に高くなったことが分かった。
【0137】
また、表3に示したAgコーティング後の抵抗値によれば、レーザ照射による透明電極の損傷により現れる各試片の電気伝導性の低下は、銀ペースト(Ag paste)の塗布により補償されるのを確認することができた。
【0138】
しかし、前述した方法と同様の方法により測定された比較例1による液晶変色素子の抵抗値は、
図10に示すように、照射されたレーザ出力に対して出力比が13%である場合は配向膜の除去がITO透明電極までなされておらず抵抗測定が不可能であり、14%である場合は2000Ω/sq~5000Ω/sqの抵抗値を有するのを確認し、15%である場合は200Ω/sq~400Ω/sqの抵抗値を有するのを確認し、16%である場合は500Ω/sq~700Ω/sqの抵抗値を有するのを確認することができた。
【0139】
すなわち、比較例1のように超短波レーザを用い、その出力比を調節してレーザを照射する場合、微小な出力変化にも抵抗値の大きな変化が生じるため、安定的に配向膜を除去するのが非常に難しいことが分かった。
【0140】
[実験例3]気候変化テスト
実施例11~実施例19により配線部が形成された液晶変色素子を、-40℃から約1℃/minの速度で約90℃まで昇温した後、4時間維持し、再び90℃から約1℃/minの速度で約-40℃まで減温した後、4時間維持する工程を10回繰り返して気候評価を行った。このような気候変化テスト時の温度および湿度条件のグラフを
図13に示す。
【0141】
実施例11~実施例19により配線部が形成された液晶変色素子の気候変化テスト評価後の様子の写真、具体的には、レーザ照射時のレーザの出力比が平均出力に対して各々25%、30%、35%および40%に調節され、配線部が形成された液晶変色素子の気候変化テスト評価後の様子の写真を
図14に示す。
図14によれば、急激な熱変化にも、配線部が形成された液晶変色素子の耐候性が充分であるのを確認することができた。
【0142】
[実験例4]気候変化テスト前/後の2点接触抵抗の評価
実施例11~実施例19により配線部が形成された液晶変色素子の損傷した抵抗値の補償有無が気候変化テストの前/後に安定的に維持されるか否かを確認するために、2 point probingにより液晶変色素子の抵抗値を測定し、その結果を下記の表4(テスト前)および表5(テスト後)に示す。
【0143】
一方、レーザ照射により様々なエッチングライン間隔を有するパターン領域の面抵抗を4点接触(four probe)により測定するのは容易でないため、絶対的な値でない、相対的な抵抗値の比較のために、前記2点接触抵抗(2 point probing)を測定した。
【0144】
実施例11~実施例19により配線部が形成された液晶変色素子の2点接触抵抗の測定方法を示す模式図を
図18に示す。
図18の左側はエッチングラインが形成された液晶変色素子を、
図18の右側は配線部が形成された液晶変色素子とその2点接触抵抗を測定するための方法を示すものである。
【0145】
図18のように2点接触抵抗を測定するために、レーザ照射領域の一側末端から約50mm離れた領域にITO透明電極が露呈されるように基材、透明電極および配向膜が順次形成された液晶変色素子を準備した。さらに、前記配向膜に対するレーザ工程条件の独立的な相関関係の確保のために、高い強さのレーザを照射して、実施例11~実施例19領域の透明電極を各々短絡させ、一定大きさの独立的であり、電気的に隔離された領域に分離した。
【0146】
さらに、前記液晶変色素子の試片側に実施例11~実施例19のような条件のレーザを照射して5×80mm2(横×縦)の領域にエッチングラインを形成し(左側)、前記エッチングラインが形成された液晶変色素子の試片側に銀ペーストを塗布し乾燥した後(右側)、一般の抵抗テスト装備(HiTester、Hioki社)を用いて前記導電性ペーストが塗布された領域の抵抗を10回測定し、測定された抵抗の平均値を下記の表3に示す。
【0147】
参考に、前記抵抗の測定時に参考になった標準抵抗(リファレンス抵抗、Ωref=200~300Ω)は、ITO透明電極が露呈されるように準備された液晶変色素子の、露出されたITO透明電極の抵抗を意味する。
【0148】
このように測定された実施例11~実施例19の気候テストの前と後の2点接触抵抗の測定結果を下記の表4および表5に示す。具体的には、レーザ照射時のレーザの出力比が平均出力に対して各々25%、30%、35%、および40%に調節され、配線部が形成された液晶変色素子の気候変化テスト評価の前(表4)および後(表5)の2点接触抵抗の測定結果を下記の表4および表5に示す。
【0149】
【0150】
【0151】
また、照射されたレーザの平均出力に対する出力比が一定する場合、レーザ照射間隔が調節された実施例11~実施例19により配線部が形成された液晶変色素子の気候変化テストの前と後に測定された2点接触抵抗の棒グラフを
図16に示す。
【0152】
具体的には、
図16aは、レーザ出力が平均出力の25%である場合において、実施例11~実施例19の気候変化テスト評価の前と後に応じた2点接触抵抗の棒グラフであり、
図16bは、レーザ出力が平均出力の30%である場合において、実施例11~実施例19の気候変化テスト評価の前と後に応じた2点接触抵抗の棒グラフであり、
図16cは、レーザ出力が平均出力の35%である場合において、実施例11~実施例19の気候変化テスト評価の前と後に応じた2点接触抵抗の棒グラフであり、
図16dは、レーザ出力が平均出力の40%である場合において、実施例11~実施例19の気候変化テスト評価の前と後に応じた2点接触抵抗の棒グラフである。
【0153】
図16a~
図16dによれば、出力比が平均出力に対して25%である実施例18および出力比が平均出力に対して30%である実施例19の場合を除いては、気候変化テスト後に2点接触抵抗値が大きく変化せず、小幅増加するのを確認することができた。
【0154】
また、表4によれば、照射されたレーザの平均出力に対する出力比と、レーザ照射間隔が調節された全ての場合に対して、気候テスト前の抵抗の平均は約181Ωであるのを確認することができた。
【0155】
なお、表5によれば、照射されたレーザの平均出力に対する出力比と、レーザ照射間隔が調節された全ての場合に対して、気候テスト後の抵抗の平均は約309Ωであり、出力比が平均出力に対して25%である実施例18および出力比が平均出力に対して30%である実施例19の場合を除いた、抵抗の平均は約224Ωであるのを確認することができた。
【0156】
記
図16a~
図16d、表4および表5の内容を総合してみれば、レーザを照射することによって配向膜上にエッチングラインを形成する場合、透明電極が損傷して導電性が損失されても、透明電極が損傷した領域に導電性(銀、Ag)ペーストを塗布することによって、損失された導電性が補償されるのを確認することができた。
【0157】
また、気候変化テスト後に応じて2点接触抵抗が小幅増加するが、これらの平均抵抗値が気候変化テスト前と後に応じて大差がないことを通じて、本発明のような方法により配線部が形成された液晶変色素子は、外部温度の急激な変化が発生してもその優れた耐久性を維持できるのを確認することができた。
【0158】
[実験例5]導電性ペーストの接着力テスト
実施例11~実施例19において塗布され、乾燥された銀ペーストの接着力テストのために、接着力テストを行った。
【0159】
具体的には、気候変化テスト後の試片に剃刀で2.5×2.5mm2大きさの正方形の溝を形成した後、溝が形成された領域上にテストテープ(Nichiban)を付着し、それを剥ぎ取って接着力テストを行った。
【0160】
前記気候変化テスト後の接着力テストの結果を
図17に示す。
【0161】
図17によれば、総100個の正方形の欠片で形成された溝に対し、接着力テストを行った結果、液晶変色素子から銀ペーストの乾燥物が剥離されるのは観察されなかった。それにより、気候変化テスト後にも、本発明の導電性ペーストの接着力が減少しないことが分かった。
【0162】
それにより、レーザ照射に応じて形成されたエッチングライン領域に銀ペーストが十分に満たされ、それにより、エッチングライン領域と銀ペーストの接触面積が増加したことが把握され、このような優れた接着力は気候テスト後にも維持されることが分かった。
【符号の説明】
【0163】
10 基材
20 透明電極
30 配向膜
40 液晶配向機能膜
50 導電性ペースト
100 超短波紫外線レーザ