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特許7090684着色硬化性組成物、カラーフィルタ、固体撮像素子、画像表示装置および、硬化膜の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-16
(45)【発行日】2022-06-24
(54)【発明の名称】着色硬化性組成物、カラーフィルタ、固体撮像素子、画像表示装置および、硬化膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20220617BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220617BHJP
   G03F 7/40 20060101ALI20220617BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20220617BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20220617BHJP
   C08L 57/00 20060101ALI20220617BHJP
   C08K 5/3417 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
C08L101/00
G03F7/004 505
G03F7/40 501
G02B5/20 101
C08L63/00 C
C08L57/00
C08K5/3417
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020194774
(22)【出願日】2020-11-25
(62)【分割の表示】P 2019222968の分割
【原出願日】2017-02-13
(65)【公開番号】P2021050339
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2020-11-25
(31)【優先権主張番号】P 2016026043
(32)【優先日】2016-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】田口 貴規
(72)【発明者】
【氏名】室 祐継
(72)【発明者】
【氏名】村上 陽祐
(72)【発明者】
【氏名】朴 星戊
(72)【発明者】
【氏名】吉井 朗子
【審査官】岡部 佐知子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-247588(JP,A)
【文献】特開2011-157478(JP,A)
【文献】特開2015-041058(JP,A)
【文献】特開2015-063593(JP,A)
【文献】特開2011-057910(JP,A)
【文献】特開2010-044981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/16
G03F 7/004
G03F 7/40
G02B 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心金属がAlであるフタロシアニン顔料を含む着色剤と、塩基性顔料誘導体と、硬化性化合物とを含み、
前記着色剤は、フタロシアニン顔料を、80質量%以上含み、かつ、前記フタロシアニン顔料中における中心金属がAlであるフタロシアニン顔料の含有量が30質量%以上であり、
前記着色剤は、黄色着色剤の含有量が1質量%以下であり、
前記着色剤は、前記中心金属がAlであるフタロシアニン顔料以外の他のフタロシアニン顔料を更に含み、
前記他のフタロシアニン顔料が、Znを中心金属として有するハロゲン化フタロシアニン顔料、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、又は、C.I.ピグメントグリーン37である、着色硬化性組成物。
【請求項2】
前記他のフタロシアニン顔料が、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントグリーン59、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、又は、C.I.ピグメントグリーン37である、請求項1に記載の着色硬化性組成物。
【請求項3】
前記フタロシアニン顔料中における中心金属がAlであるフタロシアニン顔料の含有量が35質量%以上である、請求項1又は2に記載の着色硬化性組成物。
【請求項4】
前記他のフタロシアニン顔料が、Znを中心金属として有するハロゲン化フタロシアニン顔料を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
【請求項5】
前記他のフタロシアニン顔料が、C.I.ピグメントグリーン58を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
【請求項6】
前記他のフタロシアニン顔料が、C.I.ピグメントグリーン36を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
【請求項7】
前記フタロシアニン顔料中における中心金属がAlであるフタロシアニン顔料の含有量が50質量%以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
【請求項8】
前記中心金属がAlであるフタロシアニン顔料が、リン原子を含む配位子を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
【請求項9】
前記リン原子を含む配位子が、疎水基を有する、請求項8に記載の着色硬化性組成物。
【請求項10】
前記中心金属がAlであるフタロシアニン顔料が、下式(Pc-1)で表される、請求項1~9のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物;
【化1】
式中、LはAl原子に対する配位部位を1個以上有する配位子を表し、nはLが有する配位部位の数を表す。
【請求項11】
前記塩基性顔料誘導体が、アゾ系骨格およびベンゾイミダゾロン系骨格から選ばれる少なくとも1種を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
【請求項12】
前記硬化性化合物がエポキシ化合物を含み、
更に、硬化助剤を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
【請求項13】
前記硬化性化合物がラジカル重合性化合物を含み、
更に、メタノール中での365nmの吸光係数が1.0×10mL/gcm以上である光重合開始剤Aと、メタノール中での365nmの吸光係数が1.0×10mL/gcm以下であり、254nmの吸光係数が1.0×10mL/gcm以上である光重合開始剤Bとを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
【請求項14】
シアン色の画素形成用である、請求項1~13のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物を用いたカラーフィルタ。
【請求項16】
請求項15に記載のカラーフィルタを有する固体撮像素子。
【請求項17】
更に、有機光電変換膜を有する、請求項16に記載の固体撮像素子。
【請求項18】
請求項15に記載のカラーフィルタを有する画像表示装置。
【請求項19】
請求項1~14のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物を用いて基材上に着色硬化性組成物層を形成する工程と、着色硬化性組成物層をパターン状に露光する工程と、未露光部を現像除去してパターンを形成する工程と、を含む硬化膜の製造方法であって、前記硬化膜の製造方法は、全工程を通じて180℃以下の温度で行う、硬化膜の製造方法。
【請求項20】
パターンを形成したのち、更に露光する工程を含む、請求項19に記載の硬化膜の製造方法。
【請求項21】
前記着色硬化性組成物として、ラジカル重合性化合物と、メタノール中での365nmの吸光係数が1.0×10mL/gcm以上である光重合開始剤Aと、メタノール中での365nmの吸光係数が1.0×10mL/gcm以下であり、254nmの吸光係数が1.0×10mL/gcm以上である光重合開始剤Bとを含む着色硬化性組成物を用い、
前記パターンを形成する前の露光を、波長350nmを超え380nm以下の光で露光し、
前記パターンを形成した後の露光を、波長254~350nmの光で露光する、請求項19に記載の硬化膜の製造方法。
【請求項22】
前記基材が、有機光電変換膜を有する基材である、請求項19~21のいずれか1項に記載の硬化膜の製造方法。
【請求項23】
着色硬化性組成物を用いて基材上に着色硬化性組成物層を形成する工程と、着色硬化性組成物層をパターン状に露光する工程と、未露光部を現像除去してパターンを形成する工程と、を含む硬化膜の製造方法であって、前記硬化膜の製造方法は、全工程を通じて180℃以下の温度で行い、
前記着色硬化性組成物は、中心金属がAlであるフタロシアニン顔料を含む着色剤と、塩基性顔料誘導体と、硬化性化合物とを含み、前記着色剤は、フタロシアニン顔料を、80質量%以上含み、かつ、前記フタロシアニン顔料中における中心金属がAlであるフタロシアニン顔料の含有量が30質量%以上であり、前記着色剤は、黄色着色剤の含有量が5質量%以下であり、前記着色剤は、前記中心金属がAlであるフタロシアニン顔料以外の他のフタロシアニン顔料を更に含み、
前記他のフタロシアニン顔料が、Znを中心金属として有するハロゲン化フタロシアニン顔料、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、又は、C.I.ピグメントグリーン37である、
硬化膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色硬化性組成物、カラーフィルタ、固体撮像素子、画像表示装置、および、硬化膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ、カメラ付き携帯電話等の普及から、電荷結合素子(CCD)イメージセンサなどの固体撮像素子の需要が大きく伸びている。ディスプレイや光学素子のキーデバイスとしてカラーフィルタが使用されている。
【0003】
カラーフィルタは、着色剤と硬化性化合物とを含む着色硬化性組成物を用いて製造している。また、最近では、中心金属にAlを用いたフタロシアニン顔料の使用が検討されている(特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-045706号公報
【文献】特開2014-199308号公報
【文献】特開2009-221376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カラーフィルタを用いた固体撮像素子などを含む各種装置は、湿度の高い環境下で使用することもある。このため、近年において、耐湿性に優れたカラーフィルタなどの硬化膜を製造できる着色硬化性組成物の開発が望まれている。
また、近年において、シアン色の画素を有するカラーフィルタの開発が検討されている。
【0006】
よって、本発明の目的は、耐湿性が良好で、シアン色の硬化膜の製造に適した着色硬化性組成物を提供することにある。また、カラーフィルタ、固体撮像素子、画像表示装置、および、硬化膜の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意検討した結果、着色剤中における中心金属がAlであるフタロシアニン顔料の含有量を高めることで、得られる硬化膜の耐湿性が向上し、更には、シアン色に適した分光特性を有する硬化膜とすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の通りである。
<1> 中心金属がAlであるフタロシアニン顔料を含む着色剤と、塩基性顔料誘導体と、硬化性化合物とを含み、
着色剤は、フタロシアニン顔料を、80質量%以上含み、かつ、フタロシアニン顔料中における中心金属がAlであるフタロシアニン顔料の含有量が30質量%以上である、着色硬化性組成物。
<2> フタロシアニン顔料中における中心金属がAlであるフタロシアニン顔料の含有量が50質量%以上である、<1>に記載の着色硬化性組成物。
<3> 中心金属がAlであるフタロシアニン顔料が、リン原子を含む配位子を有する、<1>または<2>に記載の着色硬化性組成物。
<4> リン原子を含む配位子が、疎水基を有する、<3>に記載の着色硬化性組成物。
<5> 中心金属がAlであるフタロシアニン顔料が、下式(Pc-1)で表される、<1>~<4>のいずれか1つに記載の着色硬化性組成物;
【化1】
式中、LはAl原子に対する配位部位を1個以上有する配位子を表し、nはLが有する配位部位の数を表す。
<6> 着色剤は、顔料の含有量が20質量%以上である、<1>~<5>のいずれか1つに記載に着色硬化性組成物。
<7> 着色剤は、黄色着色剤の含有量が5質量%以下である、<1>~<6>のいずれか1つに記載に着色硬化性組成物。
<8> 塩基性顔料誘導体が、アゾ系骨格およびベンゾイミダゾロン系骨格から選ばれる少なくとも1種を有する、<1>~<7>のいずれか1つに記載の着色硬化性組成物。
<9> 硬化性化合物がエポキシ化合物を含み、
更に、硬化助剤を含む、<1>~<8>のいずれか1つに記載の着色硬化性組成物。
<10> 硬化性化合物がラジカル重合性化合物を含み、
更に、メタノール中での365nmの吸光係数が1.0×103mL/gcm以上である光重合開始剤Aと、メタノール中での365nmの吸光係数が1.0×102mL/gcm以下であり、254nmの吸光係数が1.0×103mL/gcm以上である光重合開始剤Bとを含む、<1>~<9>のいずれか1つに記載の着色硬化性組成物。
<11> シアン色の画素形成用である、<1>~<10>のいずれか1つに記載の着色硬化性組成物。
<12> <1>~<11>のいずれか1つに記載の着色硬化性組成物を用いたカラーフィルタ。
<13> <12>に記載のカラーフィルタを有する固体撮像素子。
<14> 更に、有機光電変換膜を有する、<13>に記載の固体撮像素子。
<15> <12>に記載のカラーフィルタを有する画像表示装置。
<16> <1>~<11>のいずれか1つに記載の着色硬化性組成物を用いて基材上に着色硬化性組成物層を形成する工程と、着色硬化性組成物層をパターン状に露光する工程と、未露光部を現像除去してパターンを形成する工程と、を含む硬化膜の製造方法であって、硬化膜の製造方法は、全工程を通じて180℃以下の温度で行う、硬化膜の製造方法。
<17> パターンを形成したのち、更に露光する工程を含む、<16>に記載の硬化膜の製造方法。
<18> 着色硬化性組成物として、ラジカル重合性化合物と、メタノール中での365nmの吸光係数が1.0×103mL/gcm以上である光重合開始剤Aと、メタノール中での365nmの吸光係数が1.0×102mL/gcm以下であり、254nmの吸光係数が1.0×103mL/gcm以上である光重合開始剤Bとを含む着色硬化性組成物を用い、
パターンを形成する前の露光を、波長350nmを超え380nm以下の光で露光し、
パターンを形成した後の露光を、波長254~350nmの光で露光する、<17>に記載の硬化膜の製造方法。
<19> 基材が、有機光電変換膜を有する基材である、<16>~<18>のいずれか1つに記載の硬化膜の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、耐湿性が良好で、シアン色の硬化膜の製造に適した着色硬化性組成物を提供することが可能になった。また、カラーフィルタ、固体撮像素子、画像表示装置、および、硬化膜の製造方法を提供することが可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書において光とは、活性光線または放射線を意味する。また、「活性光線」または「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等を意味する。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、EUV光などを用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた描画も露光に含める。
本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、全固形分とは、着色組成物の全成分から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アリル」は、アリルおよびメタリルの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルの双方、または、いずれかを表す。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定したポリスチレン換算値として定義される。
本発明において、顔料は、特定の溶剤に対し溶解しにくい不溶性の化合物を意味する。典型的には、組成物中において粒子として分散された状態で存在する化合物を意味する。顔料は、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートおよび水のいずれに対しても、25℃における溶解度が0.1g/100gSolvent以下が好ましい。
【0010】
<着色硬化性組成物>
本発明の着色硬化性組成物は、中心金属がAlであるフタロシアニン顔料を含む着色剤と、塩基性顔料誘導体と、硬化性化合物とを含み、
着色剤は、フタロシアニン顔料を、80質量%以上含み、かつ、フタロシアニン顔料中における中心金属がAlであるフタロシアニン顔料の含有量が30質量%以上である。以下、「着色硬化性組成物」を「着色組成物」ともいう。また、「中心金属がAlであるフタロシアニン顔料」を、「アルミニウムフタロシアニン顔料」ともいう。
【0011】
本発明の着色組成物を用いることで、後述の実施例に示すように、耐湿性が良好で、シアン色の画素などに適した分光特性を有する硬化膜を製造することができる。このような効果が得られる詳細な理由は不明であるが、フタロシアニン顔料を80質量%以上含み、かつ、フタロシアニン顔料中におけるアルミニウムフタロシアニン顔料の含有量が30質量%以上である着色剤と、塩基性顔料誘導体とを併用したことによるものと推測する。すなわち、組成物中のアルミニウムフタロシアニン顔料の含有量を高めることで、得られる硬化膜の耐湿性が向上し、更には、シアン色に適した分光特性を有する硬化膜とすることができる。アルミニウムフタロシアニン顔料を上述の割合で含有する着色剤と、塩基性顔料誘導体とを併用することで、得られる硬化膜の耐湿性をさらに向上することができる。このため、本発明によれば、耐湿性が良好で、シアン色の画素などに適した分光特性を有する硬化膜を製造することができる。
また、上述の着色剤と塩基性顔料誘導体とを併用することで、着色組成物の経時安定性を向上することもできる。さらには、得られる硬化膜の基材などに対する密着性や、パターン形成時における残渣抑制、他の層との混色などを抑制することもできる。
以下、本発明の着色組成物の各成分について説明する。
【0012】
<<着色剤>>
本発明の着色組成物は、フタロシアニン顔料を80質量%以上含み、フタロシアニン顔料中におけるアルミニウムフタロシアニン顔料の含有量が30質量%以上である着色剤を含有する。
着色剤は、フタロシアニン顔料を80質量%以上含み、85質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがより好ましい。上限は、100質量%であってもよい。すなわち、着色剤の全量をフタロシアニン顔料とすることもできる。また、フタロシアニン顔料中におけるアルミニウムフタロシアニン顔料の含有量は、30質量%以上であり、35質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましい。上限は100質量%であってもよい。すなわち、所望の分光特性に応じて、フタロシアニン顔料の全量をアルミニウムフタロシアニン顔料とすることもできる。また、他のフタロシアニン顔料を含むことで、着色組成物の経時安定性を向上することもできる。フタロシアニン顔料およびアルミニウムフタロシアニン顔料を上述した割合で含有する着色剤を用いることで、耐湿性が良好で、シアン色に適した分光特性を有する硬化膜を製造できる。
また、着色剤は、顔料の含有量が、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。
アルミニウムフタロシアニン顔料は、1種のみであってもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、合計量が上記範囲であることが好ましい。
【0013】
着色剤の含有量は、着色組成物の全固形分に対して、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。上限は、80質量%以下が好ましく、75質量%以下がよりに好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。
フタロシアニン顔料の含有量は、着色組成物の全固形分に対して、8質量%以上が好ましく、16質量%以上がより好ましく、24質量%以上がさらに好ましい。上限は、80質量%以下が好ましく、75質量%以下がよりに好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。
アルミニウムフタロシアニン顔料の含有量は、着色組成物の全固形分に対して、2.4質量%以上が好ましく、4.8質量%以上がより好ましく、7.2質量%以上がさらに好ましい。上限は、80質量%以下が好ましく、75質量%以下がよりに好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。
【0014】
(アルミニウムフタロシアニン顔料)
アルミニウムフタロシアニン顔料は、中心金属のAlが、イソインドール環の4個の窒素で囲まれた領域内に位置する化合物である。アルミニウムフタロシアニン顔料は、下式(Pc)で表される化合物が好ましい。
【化2】
式(Pc)中、R1~R16は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、Lは、Al原子に対する配位部位を1個以上有する配位子を表し、nはLが有する配位部位の数を表す。
【0015】
1~R16が表す置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アラルキル基、-ORZ 1、-CORZ 1、-COORZ 1、-OCORZ 1、-NRZ 1Z 2、-NHCORZ 1、-CONRZ 1Z 2、-NHCONRZ 1Z 2、-NHCOORZ 1、-SRZ 1、-SO2Z 1、-SO2ORZ 1、-NHSO2Z 1および-SO2NRZ 1Z 2が挙げられる。RZ 1およびRZ 2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環、またはアラルキル基を表し、RZ 1とRZ 2は、互いに結合して環を形成してもよいし、環を形成しない態様とすることもできる。
【0016】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
アルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。
アリール基の炭素数は、6~20が好ましく、6~12がより好ましい。
アラルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。アラルキル基のアリール部分は、上記アリール基と同様である。アラルキル基の炭素数は、7~20が好ましく、7~15がより好ましい。
ヘテロ環基は、単環または縮合環が好ましく、単環または縮合数が2~8の縮合環が好ましく、単環または縮合数が2~4の縮合環がより好ましい。ヘテロ環基の環を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。ヘテロ環基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。ヘテロ環基は、5員環または6員環が好ましい。ヘテロ環基の環を構成する炭素原子の数は3~20が好ましく、3~18がより好ましく、3~12がより好ましい。
アルキル基、アラルキル基、アリール基およびヘテロ環基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、上述した置換基が挙げられる。例えば、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子などが挙げられる。
【0017】
1~R16の少なくとも1つは、水素原子が好ましく、少なくとも8つが水素原子であることがより好ましく、R1~R16の全てが水素原子であることがさらに好ましい。すなわち、アルミニウムフタロシアニン顔料は、後述する式(Pc-1)で表される化合物が好ましい。
【0018】
Lが表す配位子は、Al原子に対しアニオンで配位する配位部位、および、Al原子に対し非共有電子対で配位する配位部位から選ばれる1種以上を有する配位子が挙げられる。アニオンで配位する配位部位は、解離していてもよく、非解離でも良い。配位子は、Al原子に対する配位部位を1個有する配位子(単座配位子)であってもよく、Al原子に対する配位部位を2個以上有する配位子(多座配位子)であってもよい。残渣、残渣混色の観点から、Lは単座配位子が好ましい。Lが多座配位子である場合は、Lが単座配位子である場合に比べて、アルミニウムフタロシアニン顔料自体の分子量が大きくなるため、現像性が低下する場合がある。
【0019】
Lは、残渣抑制の観点からリン原子を有する配位子であることが好ましい。また、Lは、耐湿性の観点から疎水基を有する配位子であることが好ましい。なかでも、Lは、リン原子を含み、かつ、疎水基を有する配位子がより好ましい。なお、本発明において、疎水基とは、水に対する親和性の低い基を表す。水に対する親和性の低い基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基などが挙げられる。アルキル基およびアルコキシ基の炭素数は、1~30が好ましい。下限は、2以上が好ましく、3以上がさらに好ましい。上限は、25以下が好ましく、20以下がより好ましい。アルキル基およびアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、ハロゲン原子、アリール基などが挙げられる。アリール基およびアリールオキシ基の炭素数は、6~30が好ましい。上限は、25以下が好ましく、20以下がより好ましい。アリール基およびアリールオキシ基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基などが挙げられる。
【0020】
Lは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、-OP(=O)R101102、-O-Si(R1033、-O-SO2-R104、-O-C(=O)-R105、-O-SiR106107-O-、-O-SiR108109-O-SiR110111-O-、および、-O-P(=O)R112-O-が好ましく、-OP(=O)R101102、および、-O-P(=O)R112-O-がより好ましく、-OP(=O)R101102がさらに好ましい。
【0021】
アルコキシ基およびアルキルチオ基の炭素数は、1~30が好ましい。下限は、2以上が好ましく、3以上がさらに好ましい。上限は、25以下が好ましく、20以下がより好ましい。アルコキシ基およびアルキルチオ基は、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。アルコキシ基およびアルキルチオ基は無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、上述のR1~R16で説明した置換基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
アリールオキシ基およびアリールチオ基の炭素数は、6~30が好ましい。上限は、25以下が好ましく、20以下がより好ましい。アリールオキシ基およびアリールチオ基は無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、上述のR1~R16で説明した置換基が挙げられる。
ヘテロアリールオキシ基およびヘテロアリールチオ基のヘテロアリール基を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子、酸素原子が好ましい。ヘテロアリール基の炭素数は3~18が好ましく、3~12がより好ましい。ヘテロアリールオキシ基は無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、上述のR1~R16で説明した置換基が挙げられる。
【0022】
101~R112は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を表す。置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基が好ましく、アリール基またはアリールオキシ基がより好ましく、アリールオキシ基が特に好ましい。
アルキル基およびアルコキシ基の炭素数は、1~30が好ましい。下限は、2以上が好ましく、3以上がさらに好ましい。上限は、25以下が好ましく、20以下がより好ましい。アルキル基およびアルコキシ基は、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。
アリール基およびアリールオキシ基の炭素数は、6~30が好ましい。上限は、25以下が好ましく、20以下がより好ましい。
ヘテロアリール基およびヘテロアリールオキシ基のヘテロアリール基を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子、酸素原子が好ましい。ヘテロアリール基の炭素数は3~18が好ましく、3~12がより好ましい。
【0023】
nは、Lが有する配位部位の数を表す。nは、1~5の整数が好ましく、1または2がより好ましく、1がさらに好ましい。
【0024】
アルミニウムフタロシアニン顔料は、式(Pc-1)で表される化合物が好ましい。下記の化合物は、分光特性(特にシアン色の分光特性)の観点から優れている。更には、パターン形成時における他の層との混色などを効果的に抑制することもできる。
【化3】
式中、Lは、Al原子に対する配位部位を1個以上有する配位子を表し、nはLが有する配位部位の数を表す。
【0025】
本発明において、アルミニウムフタロシアニン顔料は、下式(Pc-1-1)、または、(Pc-1-2)で表される化合物が好ましく、下式(Pc-1-1)で表される化合物がより好ましい。
【化4】
式(Pc-1-1)において、L1は、Al原子に対する配位部位を1個有する配位子を表す。
式(Pc-1-2)において、L2は、Al原子に対する配位部位を2個有する配位子を表す。
【0026】
1は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、-OP(=O)R101102、-O-Si(R1033、-O-SO2-R104および-O-C(=O)-R105が挙げられ、-OP(=O)R101102が好ましい。
2は、-O-SiR106107-O-、-O-SiR108109-O-SiR110111-O-、および、-O-P(=O)R112-O-が挙げられ、-O-P(=O)R112-O-が好ましい。
【0027】
アルミニウムフタロシアニン顔料の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。また、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物として、C.I.ピグメントブルー 79などを用いることもできる。また、特開2015-63593号公報の段落0046~0053に記載の化合物、特開2010-79247号公報の段落0025~0034に記載の化合物、特開2012-247591号公報の段落0022~0030に記載の化合物、特開2011-157478号公報の段落0047に記載の化合物なども挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【化5】
【0028】
(他のフタロシアニン顔料)
着色剤は、アルミニウムフタロシアニン顔料以外の他のフタロシアニン顔料を含むことができる。他のフタロシアニン顔料を含有することで、着色組成物の経時安定性が向上する傾向にある。他のフタロシアニン顔料としては、Zn、Cu、Ti、Fe、Sn、Pb、Ga、V、Mo、Ta、および、Nbからなる群から選ばれる1種を中心金属として有するフタロシアニン顔料、ならびに、中心金属を有さないフタロシアニン顔料から選ばれる1種以上が挙げられる。他のフタロシアニン顔料としては、Znを中心金属として有するハロゲン化フタロシアニン顔料(以下、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料ともいう)が好ましい。また、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料は、下記式(A1)で表される化合物が好ましい。
【0029】
【化6】
【0030】
式(A1)において、X1~X16は、それぞれ独立に、水素原子または置換基である。X1~X16のうちの任意の8~16か所はハロゲン原子を表し、残りは水素原子、又は、ハロゲン原子以外の置換基を表すことが好ましい。置換基としては、上述した式(Pc)で説明した基が挙げられる。
【0031】
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の具体例としては、例えば、以下に示す態様が好ましい一例として挙げられる。
<1> フタロシアニン1分子中のハロゲン原子の平均個数が8~12個であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料。この態様において、X1~X16は、塩素原子、臭素原子、水素原子を1個以上含むことが好ましい。また、X1~X16は、塩素原子が0~4個、臭素原子が8~12個、水素原子が0~4個であることが好ましい。具体例としては、特開2007-284592号公報の段落0013~0039、0084~0085の記載を参酌することができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
<2> フタロシアニン1分子中のハロゲン原子の平均個数が10~14個であり、臭素原子の平均個数が8~12個であり、塩素原子の平均個数が2~5個であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料。具体例としては、WO2015/118720公報に記載の化合物が挙げられる。
【0032】
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料は、例えば、C.I.ピグメントグリーン58,59などを用いることもできる。
また、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料以外のフタロシアニン顔料としては、C.I.ピグメントグリーン7,36,37、C.I.ピグメントブルー15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16などが挙げられる。
【0033】
(フタロシアニン顔料以外の着色剤)
着色剤は、フタロシアニン顔料以外の着色剤(他の着色剤)をさらに含んでいてもよい。他の着色剤は、染料および顔料のいずれでもよく、両者を併用してもよい。顔料としては、従来公知の種々の無機顔料又は有機顔料を挙げることができる。
【0034】
無機顔料としては、黒色顔料や、金属酸化物、金属錯塩等の金属化合物を挙げることができ、具体的には、カーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、および上記金属の複合酸化物を挙げることができる。
【0035】
有機顔料として、以下を挙げることができる。これら有機顔料は、単独若しくは種々組合せて用いることができる。
C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214等、
C.I.ピグメントオレンジ 2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73等、
C.I.ピグメントレッド 1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,270,272,279
C.I.ピグメントグリーン 10
C.I.ピグメントバイオレット 1,19,23,27,32,37,42
C.I.ピグメントブルー 1,2,22,60,64,66,80
【0036】
染料としては、例えば特開昭64-90403号公報、特開昭64-91102号公報、特開平1-94301号公報、特開平6-11614号公報、特許2592207号明細書、米国特許4808501号明細書、米国特許505950号明細書、米国特許5667920号明細書、特開平5-333207号公報、特開平6-35183号公報、特開平6-51115号公報、特開平6-194828号公報等に開示されている色素を使用できる。化学構造として区分すると、ピラゾールアゾ化合物、ピロメテン化合物、アニリノアゾ化合物、トリフェニルメタン化合物、アントラキノン化合物、ベンジリデン化合物、オキソノール化合物、ピラゾロトリアゾールアゾ化合物、ピリドンアゾ化合物、シアニン化合物、フェノチアジン化合物、ピロロピラゾールアゾメチン化合物等を使用できる。
【0037】
また、色素多量体を用いてもよい。色素多量体は、溶剤に溶解して用いられる染料であることが好ましいが、粒子を形成していてもよい。色素多量体が粒子である場合は、色素多量体を溶剤などに分散して用いられる。粒子状態の色素多量体は、例えば乳化重合によって得ることができ、例えば、特開2015-214682号公報に記載されている化合物および製造方法が具体例として挙げられる。また、色素多量体は、特開2011-213925号公報、特開2013-041097号公報、特開2015-028144号公報、特開2015-030742号公報等に記載されている化合物を用いることもできる。
【0038】
また、黄色着色剤として、特開2013-54339号公報の段落0011~0034に記載のキノフタロン化合物、特開2014-26228号公報の段落0013~0058に記載のキノフタロン化合物などを用いることもできる。
【0039】
着色剤中における他の着色剤の含有量は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。他の着色剤は、実質的に含有しないことも好ましい。他の着色剤を、実質的に含有しないとは、着色剤中における他の着色剤の含有量が、0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、含有しないことがさらに好ましい。
また、着色剤中における黄色着色剤の含有量は、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、実質的に含有しないことがさらに好ましい。
【0040】
<<硬化性化合物>>
本発明の着色組成物は、硬化性化合物を含有する。硬化性化合物としては、ラジカル、酸、熱により架橋可能な公知の化合物を用いることができる。例えば、エチレン性不飽和結合を有する化合物(以下、重合性化合物ともいう)、エポキシ化合物(エポキシ基を有する化合物)、メチロール基を有する化合物などが挙げられる。重合性化合物は、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などのエチレン性不飽和結合を有する基を有する化合物が挙げられる。重合性化合物は、ラジカル重合性化合物が好ましい。
【0041】
硬化性化合物の含有量は、着色組成物の全固形分に対し、0.1~50質量%が好ましい。下限は、例えば0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。上限は、例えば、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。硬化性化合物は、1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
また、重合性化合物と、エポキシ化合物とを併用する場合、重合性化合物の含有量は、エポキシ化合物100質量部に対して、100~600質量部が好ましい。下限は、150質量部以上がより好ましい。上限は、550質量部以下がより好ましい。
【0042】
(重合性化合物(エチレン性不飽和結合を有する化合物))
本発明において、重合性化合物は、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの多量体などの化学的形態のいずれであってもよい。モノマータイプの重合性化合物(重合性モノマー)の分子量は、100~3000が好ましい。上限は、2000以下が好ましく、1500以下が更に好ましい。下限は、150以上が好ましく、250以上が更に好ましい。
【0043】
重合性化合物は、3~15官能の(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、3~6官能の(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。これらの具体的な化合物としては、特開2009-288705号公報の段落0095~0108、特開2013-29760号公報の段落0227、特開2008-292970号公報の段落0254~0257に記載の化合物を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0044】
重合性化合物は、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-330;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-320;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD D-310;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD DPHA;日本化薬(株)製、A-DPH-12E;新中村化学工業(株)製)、およびこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介して結合している構造(例えば、サートマー社から市販されている、SR454、SR499)が好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。また、KAYARAD RP-1040、DPCA-20(日本化薬(株)製)を使用することもできる。また、アロニックス M-305、アロニックス M-306、アロニックス M-309、アロニックス M-450、アロニックス M-402、アロニックス TO-1382、アロニックス TO-2349(全て商品名;以上、東亞合成(株)製)を使用することもできる。また、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては、NKエステル A-TMMT(新中村化学工業(株)製))を使用することもできる。
【0045】
重合性化合物は、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の酸基を有していてもよい。市販品としては、例えば、東亞合成(株)製の多塩基酸変性アクリルオリゴマーとして、アロニックス M-305、アロニックス M-306、アロニックス M-309、アロニックス M-450、アロニックス M-402、アロニックス TO-1382、アロニックス TO-2349などが挙げられる。
【0046】
酸基を有する重合性化合物の好ましい酸価としては、0.1~40mgKOH/gであり、特に好ましくは5~30mgKOH/gである。重合性化合物の酸価が0.1mgKOH/g以上であれば、現像溶解特性が良好であり、40mgKOH/g以下であれば、製造や取扱い上、有利である。さらには、光重合性が良好で、硬化性に優れる。
【0047】
重合性化合物は、カプロラクトン構造を有する化合物も好ましい態様である。
カプロラクトン構造を有する重合性化合物は、例えば、日本化薬(株)からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されており、DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60、DPCA-120等が挙げられる。
【0048】
重合性化合物は、アルキレンオキシ基を有する重合性化合物を用いることもできる。アルキレンオキシ基を有する重合性化合物は、エチレンオキシ基及び/またはプロピレンオキシ基を有する重合性化合物が好ましく、エチレンオキシ基を有する重合性化合物が更に好ましく、エチレンオキシ基を4~20個有する3~6官能(メタ)アクリレート化合物がより好ましい。
【0049】
アルキレンオキシ基を有する重合性化合物の市販品としては、例えばサートマー(株)製のエチレンオキシ基を4個有する4官能アクリレートであるSR-494、日本化薬(株)製のペンチレンオキシ基を6個有する6官能アクリレートであるDPCA-60、イソブチレンオキシ基を3個有する3官能アクリレートであるTPA-330などが挙げられる。
【0050】
重合性化合物としては、特公昭48-41708号公報、特開昭51-37193号公報、特公平2-32293号公報、特公平2-16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58-49860号公報、特公昭56-17654号公報、特公昭62-39417号公報、特公昭62-39418号公報に記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。また、特開昭63-277653号公報、特開昭63-260909号公報、特開平1-105238号公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることも好ましい。
市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS-10、UAB-140(山陽国策パルプ(株)製)、UA-7200(新中村化学工業(株)製)、DPHA-40H(日本化薬(株)製)、UA-306H、UA-306T、UA-306I、AH-600、T-600、AI-600(共栄社化学(株)製)などが挙げられる。
【0051】
(エポキシ化合物(エポキシ基を有する化合物))
本発明では、硬化性化合物として、エポキシ化合物を用いることもできる。エポキシ化合物としては、1分子内にエポキシ基を1つ以上有する化合物が挙げられ、2つ以上有する化合物が好ましい。エポキシ基は、1分子内に1~100個あることが好ましい。下限は、2個以上が好ましい。上限は、例えば、10個以下とすることもでき、5個以下とすることもできる。
【0052】
本発明においてエポキシ化合物は、芳香族環および/または脂肪族環を有する構造が好ましく、脂肪族環を有する構造が更に好ましい。エポキシ基は、単結合または、連結基を介して、芳香族環および/または脂肪族環に結合していることが好ましい。連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、-O-、-NR’-(R’は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアリール基を表し、水素原子が好ましい)、-SO2-、-CO-、-O-、-S-およびこれらを組み合わせてなる基が挙げられる。脂肪族環を有する化合物の場合、エポキシ基は、脂肪族環に直接結合(単結合)してなる化合物が好ましい。芳香族環を有する化合物の場合、エポキシ基は、芳香族環に、連結基を介して結合してなる化合物が好ましい。連結基は、アルキレン基、または、アルキレン基と-O-との組み合わせからなる基が好ましい。また、エポキシ化合物は、2以上の芳香族環が炭化水素基で連結した構造を有する化合物を用いることもできる。炭化水素基は、炭素数1~6のアルキレン基が好ましい。エポキシ基は、上記連結基を介して連結していることが好ましい。
【0053】
エポキシ化合物は、エポキシ当量(=エポキシ化合物の分子量/エポキシ基の数)が500g/eq以下であることが好ましく、100~400g/eqであることがより好ましく、100~300g/eqであることがさらに好ましい。
【0054】
エポキシ化合物は、低分子化合物(例えば、分子量2000未満、さらには、分子量1000未満)でもよいし、高分子化合物(macromolecule)(例えば、分子量1000以上、ポリマーの場合は、重量平均分子量が1000以上)のいずれでもよい。エポキシ化合物の重量平均分子量は、200~100000が好ましく、500~50000がより好ましい。重量平均分子量の上限は、10000以下が好ましく、5000以下がより好ましく、3000以下が更に好ましい。
【0055】
エポキシ化合物は、特開2013-011869号公報の段落0034~0036、特開2014-043556号公報の段落0147~0156、特開2014-089408号公報の段落0085~0092に記載された化合物を用いることもできる。これらの内容は、本明細書に組み込まれる。市販品としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、jER825、jER827、jER828、jER834、jER1001、jER1002、jER1003、jER1055、jER1007、jER1009、jER1010(以上、三菱化学(株)製)、EPICLON860、EPICLON1050、EPICLON1051、EPICLON1055(以上、DIC(株)製)等であり、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、jER806、jER807、jER4004、jER4005、jER4007、jER4010(以上、三菱化学(株)製)、EPICLON830、EPICLON835(以上、DIC(株)製)、LCE-21、RE-602S(以上、日本化薬(株)製)等であり、フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、jER152、jER154、jER157S70、jER157S65(以上、三菱化学(株)製)、EPICLON N-740、EPICLON N-770、EPICLON N-775(以上、DIC(株)製)等であり、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、EPICLON N-660、EPICLON N-665、EPICLON N-670、EPICLON N-673、EPICLON N-680、EPICLON N-690、EPICLON N-695(以上、DIC(株)製)、EOCN-1020(日本化薬(株)製)等であり、脂肪族エポキシ樹脂としては、ADEKA RESIN EP-4080S、同EP-4085S、同EP-4088S(以上、(株)ADEKA製)、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2083、セロキサイド2085、EHPE3150、EPOLEAD PB 3600、同PB 4700(以上、(株)ダイセル製)、デナコール EX-212L、EX-214L、EX-216L、EX-321L、EX-850L(以上、ナガセケムテックス(株)製)等である。その他にも、ADEKA RESIN EP-4000S、同EP-4003S、同EP-4010S、同EP-4011S(以上、(株)ADEKA製)、NC-2000、NC-3000、NC-7300、XD-1000、EPPN-501、EPPN-502(以上、(株)ADEKA製)、jER1031S(三菱化学(株)製)等が挙げられる。
【0056】
また、エポキシ化合物は、下記式(EP1)で表される化合物を用いることもできる。
【化7】
【0057】
式(EP1)中、REP1~REP3は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基を表し、アルキル基は、環状構造を有するものであってもよく、また、置換基を有していてもよい。またREP1とREP2、REP2とREP3は、互いに結合して環構造を形成していてもよい。QEPは単結合若しくはnEP価の有機基を表す。REP1~REP3は、QEPとも結合して環構造を形成していても良い。nEPは1以上の整数を表し、好ましくは2~10、更に好ましくは2~6である。但しQEPが単結合の場合、nEPは2である。
EP1~REP3、QEPの詳細について、特開2014-089408号公報の段落0087~0088の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。式(EP1)で表される化合物の具体例としては、グリシジルトリチルエーテルが挙げられる。また、特開2014-089408号公報の段落0090に記載の化合物などが挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0058】
硬化性化合物として、エポキシ化合物を用いる場合、エポキシ化合物の含有量は、着色組成物の全固形分に対し、0.1~40質量%が好ましい。下限は、例えば0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。上限は、例えば、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。エポキシ化合物は、1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
また、エポキシ化合物の含有量は、硬化性化合物の全質量に対して、1~80質量%が好ましく、1~50質量%がより好ましい。
【0059】
<<顔料誘導体>>
本発明の着色組成物は、塩基性顔料誘導体を少なくとも含む顔料誘導体を含有する。塩基性顔料誘導体は、発色団の一部分を塩基性基で置換した構造を有する化合物が好ましい。
【0060】
顔料誘導体を構成するための発色団としては、キノリン系骨格、ベンゾイミダゾロン系骨格、ジケトピロロピロール系骨格、アゾ系骨格、フタロシアニン系骨格、アントラキノン系骨格、キナクリドン系骨格、ジオキサジン系骨格、ペリノン系骨格、ペリレン系骨格、チオインジゴ系骨格、イソインドリン系骨格、イソインドリノン系骨格、キノフタロン系骨格、スレン系骨格、金属錯体系骨格等が挙げられ、キノリン系骨格、ベンゾイミダゾロン系骨格、ジケトピロロピロール系骨格、アゾ系骨格、キノフタロン系骨格、イソインドリン系骨格およびフタロシアニン系骨格が好ましく、アゾ系骨格およびベンゾイミダゾロン系骨格がさらに好ましい。
【0061】
塩基性顔料誘導体が有する塩基性基としては、アミノ基が好ましく、三級アミノ基がより好ましい。また、塩基性顔料誘導体は、アゾ系骨格およびベンゾイミダゾロン系骨格から選ばれる少なくとも1種を有することが好ましく、アゾ系骨格およびベンゾイミダゾロン系骨格を有することがさらに好ましい。この態様によれば、フタロシアニン顔料(特にアルミニウムフタロシアニン顔料)の分散性に優れる。
【0062】
顔料誘導体は、下式(P)で表される化合物が好ましい。
【化8】
式(P)中、Aは発色団を表し、Lは(t+1)価の連結基を表し、Eは、塩基性基を表し、tは1以上の整数を表す。
【0063】
式(P)中、Aは、発色団を表し、キノリン系骨格、ベンゾイミダゾロン系骨格、ジケトピロロピロール系骨格、アゾ系骨格、フタロシアニン系骨格、アントラキノン系骨格、キナクリドン系骨格、ジオキサジン系骨格、ペリノン系骨格、ペリレン系骨格、チオインジゴ系骨格、イソインドリン系骨格、イソインドリノン系骨格、キノフタロン系骨格、スレン系骨格および金属錯体系骨格から選ばれる骨格を有する発色団が好ましく、キノリン系骨格、ベンゾイミダゾロン系骨格、ジケトピロロピロール系骨格、アゾ系骨格、キノフタロン系骨格、イソインドリン系骨格およびフタロシアニン系骨格から選ばれる骨格を有する発色団がより好ましく、アゾ系骨格およびベンゾイミダゾロン系骨格から選ばれる骨格を有する発色団がさらに好ましい。
【0064】
式(P)中、Lは(t+1)価の連結基を表す。
連結基としては、1~100個の炭素原子、0~10個の窒素原子、0~50個の酸素原子、1~200個の水素原子、および0~20個の硫黄原子から成り立つ基が好ましく、無置換でも置換基を更に有していてもよい。連結基は、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、-NR-、-CO-、-CO2-、-SO2-、-O-、-S-およびこれらの組み合わせからなる基が挙げられる。
【0065】
Lは、下記式(PA-4)~(PA-9)で表される構造の少なくとも1種を含むことが好ましく、式(PA-6)~(PA-9)で表される構造の少なくとも1種を含むことがより好ましい。
【0066】
【化9】
【0067】
Eは、塩基性基を表す。塩基性基としては、下式(X-3)~(X-9)が挙げられ、(X-3)が好ましい。
【化10】
式中、*は、式(P)のLとの連結手を表し、R100~R106は、各々独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、R100とR101は互いに連結して環を形成していてもよい。
アルキル基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれであってもよい。直鎖状のアルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~12がより好ましく、1~8がさらに好ましい。分岐状のアルキル基の炭素数は、3~20が好ましく、3~12がより好ましく、3~8がさらに好ましい。環状のアルキル基は、単環、多環のいずれであってもよい。環状のアルキル基の炭素数は、3~20が好ましく、4~10がより好ましく、6~10がさらに好ましい。
アリール基の炭素数は、6~18が好ましく、6~14がより好ましく、6~10がさらに好ましい。
100とR101は互いに連結して環を形成していてもよい。環は、脂環であってもよく、芳香族環であってもよい。環は単環であってもよく、多環であってもよい。R100とR101が結合して環を形成する場合の連結基としては、-CO-、-O-、-NH-、2価の脂肪族基、2価の芳香族基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基で連結することができる。具体例としては、例えば、ピペラジン環、ピロリジン環、ピロール環、ピペリジン環、ピリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラジン環、モルホリン環、チアジン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾイミダゾール環、プリン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、シンノリン環、カルバゾール環などが挙げられる。
【0068】
式(P)において、tは1以上の整数を表す。tの上限は、発色団Aが取りうる置換基の数を表す。例えば、tの上限は、10以下が好ましく、5以下がより好ましい。また、tの下限は2以上が好ましい。tが2以上の場合は複数のEは互いに異なっていてもよい。
【0069】
塩基性顔料誘導体は、下式(P1)で表される化合物が好ましい。
【0070】
【化11】
式(P1)中、Rp1は、アルキル基またはアリール基を表し、
Rp2は、単結合、-NR-、-CO-、-CO2-、-SO2-、-O-、-S-またはこれらの組み合わせからなる基を表し、Rは、水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、
1は単結合、または、(t+1)価の連結基を表し、
1は、単結合、-NR-、-CO-、-CO2-、-SO2-、-O-、-S-またはこれらの組み合わせからなる基を表し、Rは、水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、
1は、単結合、アルキレン基、または、アリーレン基を表し、
1は、-NR100101を表し、
100およびR101は、各々独立して、水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、R100とR101は互いに連結して環を形成していてもよく、
tは1~5の整数を表す;
【0071】
Rp1は、メチル基またはフェニル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
Rp2は、単結合、-NR-、-CO-、-CO2-、-SO2-、-O-、-S-またはこれらの組み合わせからなる基を表し、Rは、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。Rが表すアルキル基は、直鎖、分岐、環状が挙げられ、直鎖または分岐が好ましい。アルキル基の炭素数は1~10が好ましく、1~5がより好ましい。Rが表すアリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。Rは水素原子が好ましい。上記基の組み合わせとしては、-NRCO-、-CONR-、-SO2NR-、-NRSO2-などが挙げられる。
【0072】
1は単結合、または、(t+1)価の連結基を表す。(t+1)価の連結基としては、例えば、アルキレン基、アリーレン基およびヘテロアリーレン基が挙げられる。アルキレン基としては、直鎖、分岐、環状が挙げられる。
(t+1)価の連結基は、下記式(PA-4)~(PA-9)で表される連結基が好ましい。*はRp2およびC1との連結部を表す。
【0073】
【化12】
【0074】
1は、単結合、-NR-、-CO-、-CO2-、-SO2-、-O-、-S-またはこれらの組み合わせからなる基を表す。上記基の組み合わせとしては、-NRCO-、-CONR-、-SO2NR-、-NRSO2-などが挙げられる。Cは、-NR-、-NRCO-、-CONR-、-SO2NR-、または、-NRSO2-が好ましく、-NR-、-NRCO-または-CONR-がより好ましい。Rは、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。Rが表すアルキル基およびアリール基の好ましい範囲は、上述した範囲と同義である。Rは水素原子が好ましい。
【0075】
1は、単結合、アルキレン基、または、アリーレン基を表す。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、デシレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロオクチレン基、シクロデシレン基、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。D1は、直鎖アルキレン基が好ましく、炭素数1~5の直鎖アルキレン基がより好ましい。
【0076】
1は、-NR100101を表す。R100およびR101は、各々独立して、水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、R100とR101は互いに連結して環を形成していてもよい。
【0077】
tは、1または2が好ましく、2がより好ましい。
【0078】
以下に、塩基性顔料誘導体の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。その他、顔料誘導体としては、特開2011-252065号公報の段落0162~0183の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0079】
【化13】
【0080】
本発明において、顔料誘導体は、有機顔料の一部分を酸基で置換した構造を有する化合物(酸性顔料誘導体)を用いることもできる。酸性顔料誘導体は、顔料誘導体の全質量中における酸性顔料誘導体の含有量は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、酸性顔料誘導体を実質的に含まないことがさらに好ましい。酸性顔料誘導体を実質的に含まないとは、顔料誘導体の全質量中における酸性顔料誘導体の含有量が1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、含有しないことがさらに好ましい。
【0081】
本発明の着色組成物における顔料誘導体の含有量は、顔料の全質量に対し、1~30質量%が好ましく、3~20質量%がさらに好ましい。また、塩基性顔料誘導体の含有量は、顔料の全質量に対し、1~30質量%が好ましく、3~20質量%がさらに好ましい。顔料誘導体は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0082】
<<樹脂>>
本発明の着色組成物は、樹脂を含むことが好ましい。樹脂は、例えば、顔料など組成物中で分散させる用途、バインダーの用途で配合される。なお、主に顔料を分散させるために用いられる樹脂を分散剤ともいう。ただし、樹脂のこのような用途は一例であって、このような用途以外の目的で使用することもできる。
【0083】
本発明の着色性組成物において、樹脂の含有量は、着色性組成物の全固形分に対し、1~80質量%が好ましい。下限は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。上限は、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。
【0084】
<<<分散剤>>>
本発明の着色組成物は、樹脂として分散剤を含むことが好ましい。
分散剤は、酸性樹脂、塩基性樹脂および両性樹脂から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、酸性樹脂および/または両性樹脂がより好ましく、酸性樹脂がさらに好ましい。この態様によれば、着色剤(特に、アルミニウムフタロシアニン顔料)の分散性が良好であり、着色組成物の経時安定性が向上する傾向にある。さらには、パターン形成後の他の層との残渣混色などを効果的に抑制できる。
【0085】
本発明において、酸性樹脂とは、酸基を有する樹脂であって、酸価が5mgKOH/g以上、アミン価が5mgKOH/g未満の樹脂を意味する。酸性樹脂は、塩基性基を有さないことが好ましい。酸性樹脂が有する酸基としては、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、フェノール性ヒドロキシル基などが挙げられ、カルボキシル基が好ましい。酸性樹脂の酸価は、5~200mgKOH/gが好ましい。下限は、10mgKOH/g以上がより好ましく、20mgKOH/g以上がさらに好ましい。上限は、100mgKOH/g以下がより好ましく、60mgKOH/g以下がさらに好ましい。また、酸性樹脂のアミン価は、2mgKOH/g以下が好ましく、1mgKOH/g以下がより好ましい。
【0086】
本発明において、塩基性樹脂とは、塩基性基を有する樹脂であって、アミン価が5mgKOH/g以上、酸価が5mgKOH/g未満の樹脂を意味する。塩基性樹脂は、酸基を有さないことが好ましい。塩基性樹脂が有する塩基性基としては、アミノ基が好ましい。塩基性樹脂のアミン価は、5~200mgKOH/gが好ましく、5~150mgKOH/gがより好ましく、5~100mgKOH/gがさらに好ましい。
【0087】
本発明において、両性樹脂とは、酸基と塩基性基を有する樹脂であって、酸価が5mgKOH/g以上で、アミン価が5mgKOH/g以上である樹脂を意味する。酸基としては、前述したものが挙げられ、カルボキシル基が好ましい。塩基性基としては、アミノ基が好ましい。
両性樹脂は、酸価が5mgKOH/g以上で、アミン価が5mgKOH/g以上であることが好ましい。酸価は、5~200mgKOH/gが好ましい。下限は、10mgKOH/g以上がより好ましく、20mgKOH/g以上がさらに好ましい。上限は、150mgKOH/g以下がより好ましく、100mgKOH/g以下がさらに好ましい。
アミン価は、5~200mgKOH/gが好ましい。下限は、10mgKOH/g以上がより好ましく、20mgKOH/g以上がさらに好ましい。上限は、150mgKOH/g以下がより好ましく、100mgKOH/g以下がさらに好ましい。両性樹脂の酸価とアミン価の比率は、酸価:アミン価=1:4~4:1が好ましく、1:3~3:1がより好ましい。酸価とアミン価の比率が上記範囲であれば、着色剤(特に、アルミニウムフタロシアニン顔料)の分散性が良好である。
【0088】
分散剤としては、例えば、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン等が挙げられる。
【0089】
高分子分散剤は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。高分子分散剤は、顔料の表面に吸着し、再凝集を防止するように作用する。そのため、顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子が好ましい構造として挙げることができる。また、特開2011-070156号公報の段落0028~0124に記載の分散剤や特開2007-277514号公報に記載の分散剤も好ましく用いられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0090】
分散剤は、下式(D)で表される樹脂を用いることも好ましい。
【化14】
【0091】
式(D)中、L10は(n+k)価の連結基を表し、L11およびL12は、それぞれ独立に、単結合または2価の連結基を表し、A10は色素構造、複素環構造、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基から選択される部位を少なくとも1種含む1価の有機基を表し、n個のA10、L11は、それぞれ独立に、同一であっても、異なっていてもよい。k個のL12は、同一であっても、異なっていてもよい。kは1~8、nは2~9を表し、m+nは3~10を満たす。P10は、繰り返し単位を有する1価のポリマー鎖を表す。
【0092】
10~L12およびP10の詳細については、特開2007-277514号公報の段落0071~0098を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0093】
10は色素構造、複素環構造、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基から選択される部位を少なくとも1種含む1価の有機基を表す。1価の有機基の詳細については、特開2007-277514号公報の段落0041~0070を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0094】
式(D)で表される樹脂の具体例としては、特開2007-277514号公報の段落0327~0347に記載された樹脂が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0095】
樹脂(分散剤)は、下記式(1)~式(4)のいずれかで表される繰り返し単位を含むグラフト共重合体を用いることもできる。
【0096】
【化15】
【0097】
式(1)~式(4)において、W1、W2、W3、及びW4はそれぞれ独立に酸素原子、または、NHを表し、X1、X2、X3、X4、及びX5はそれぞれ独立に水素原子、1価の有機基またはハロゲン原子を表し、Y1、Y2、Y3、及びY4はそれぞれ独立に2価の連結基を表し、Z1、Z2、Z3、及びZ4はそれぞれ独立に1価の有機基を表し、R3はアルキレン基を表し、R4は水素原子又は1価の有機基を表し、n、m、p、及びqはそれぞれ独立に1~500の整数を表し、j及びkはそれぞれ独立に2~8の整数を表し、式(3)において、pが2~500のとき、複数存在するR3は互いに同じであっても異なっていてもよく、式(4)において、qが2~500のとき、複数存在するX5及びR4は互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0098】
1、W2、W3、及びW4は酸素原子であることが好ましい。X1、X2、X3、X4、及びX5は、水素原子又は炭素数1~12のアルキル基であることが好ましく、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、メチル基が特に好ましい。Y1、Y2、Y3、及びY4は、それぞれ独立に、2価の連結基を表し、連結基は特に構造上制約されない。Z1、Z2、Z3、及びZ4が表す1価の有機基の構造は、特に限定されないが、具体的には、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基、及びアミノ基などが挙げられる。これらの中でも、Z1、Z2、Z3、及びZ4で表される有機基としては、特に分散性向上の観点から、立体反発効果を有するものが好ましく、各々独立に炭素数5~24のアルキル基又はアルコキシ基が好ましく、その中でも、特に各々独立に炭素数5~24の分岐アルキル基、炭素数5~24の環状アルキル基、又は、炭素数5~24のアルコキシ基が好ましい。なお、アルコキシ基中に含まれるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
【0099】
式(1)~式(4)において、n、m、p、及びqは、それぞれ独立に、1~500の整数である。また、式(1)及び式(2)において、j及びkは、それぞれ独立に、2~8の整数を表す。式(1)及び式(2)におけるj及びkは、分散安定性、現像性の観点から、4~6の整数が好ましく、5が最も好ましい。
【0100】
式(3)中、R3はアルキレン基を表し、炭素数1~10のアルキレン基が好ましく、炭素数2又は3のアルキレン基がより好ましい。pが2~500のとき、複数存在するR3は互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0101】
式(4)中、R4は水素原子又は1価の有機基を表す。1価の有機基としては特に構造上限定はされない。R4として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基が挙げられ、更に好ましくは、水素原子、又はアルキル基である。R4がアルキル基である場合、炭素数1~20の直鎖状アルキル基、炭素数3~20の分岐状アルキル基、又は炭素数5~20の環状アルキル基が好ましく、炭素数1~20の直鎖状アルキル基がより好ましく、炭素数1~6の直鎖状アルキル基が特に好ましい。式(4)において、qが2~500のとき、グラフト共重合体中に複数存在するX5及びR4は互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0102】
グラフト共重合体の詳細は、特開2012-255128号公報の段落0025~0094の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。グラフト共重合体の具体例としては、例えば、以下に示す樹脂などが挙げられる。また、特開2012-255128号公報の段落0072~0094に記載の樹脂が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【化16】
【0103】
また、樹脂は、主鎖及び側鎖の少なくとも一方に窒素原子を含むオリゴイミン系分散剤を用いることもできる。オリゴイミン系分散剤としては、pKa14以下の官能基を有する部分構造Xを有する繰り返し単位と、原子数40~10,000の側鎖Yを含む側鎖とを有し、かつ主鎖及び側鎖の少なくとも一方に塩基性窒素原子を有する樹脂が好ましい。塩基性窒素原子とは、塩基性を呈する窒素原子であれば特に制限はない。
オリゴイミン系分散剤は、例えば、式(I-1)で表される繰り返し単位と、式(I-2)で表される繰り返し単位、および/または、式(I-2a)で表される繰り返し単位を含む分散剤などが挙げられる。
【0104】
【化17】
1及びR2は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基(炭素数1~6が好ましい)を表す。aは、各々独立に、1~5の整数を表す。*は繰り返し単位間の連結部を表す。
8及びR9はR1と同義の基である。
Lは単結合、アルキレン基(炭素数1~6が好ましい)、アルケニレン基(炭素数2~6が好ましい)、アリーレン基(炭素数6~24が好ましい)、ヘテロアリーレン基(炭素数1~6が好ましい)、イミノ基(炭素数0~6が好ましい)、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、またはこれらの組合せに係る連結基である。なかでも、単結合もしくは-CR56-NR7-(イミノ基がXもしくはYの方になる)であることが好ましい。ここで、R56は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基(炭素数1~6が好ましい)を表す。R7は水素原子または炭素数1~6のアルキル基である。
aはCR8及びCR9とNとともに環構造を形成する構造部位であり、CR8CR9の炭素原子と合わせて炭素数3~7の非芳香族複素環を形成する構造部位であることが好ましい。さらに好ましくは、CR8及びCR9の炭素原子及びN(窒素原子)を合わせて5~7員の非芳香族複素環を形成する構造部位であり、より好ましくは5員の非芳香族複素環を形成する構造部位であり、ピロリジンを形成する構造部位であることが特に好ましい。この構造部位はさらにアルキル基等の置換基を有していてもよい。
XはpKa14以下の官能基を有する基を表す。
Yは原子数40~10,000の側鎖を表す。
上記分散剤(オリゴイミン系分散剤)は、さらに式(I-3)、式(I-4)、および、式(I-5)で表される繰り返し単位から選ばれる1種以上を共重合成分として含有していてもよい。上記分散剤が、このような繰り返し単位を含むことで、分散性を更に向上させることができる。
【0105】
【化18】
【0106】
1、R2、R8、R9、L、La、a及び*は式(I-1)、(I-2)、(I-2a)における規定と同義である。
Yaはアニオン基を有する原子数40~10,000の側鎖を表す。式(I-3)で表される繰り返し単位は、主鎖部に一級又は二級アミノ基を有する樹脂に、アミンと反応して塩を形成する基を有するオリゴマー又はポリマーを添加して反応させることで形成することが可能である。
【0107】
オリゴイミン系分散剤については、特開2012-255128号公報の段落0102~0166の記載を参酌でき、本明細書には上記内容が組み込まれる。オリゴイミン系分散剤の具体例としては、例えば、以下が挙げられる。また、特開2012-255128号公報の段落0168~0174に記載の樹脂を用いることができる。
【化19】
【0108】
分散剤は、市販品としても入手可能であり、そのような具体例としては、楠本化成(株)製「DA-7301」、BYKChemie(株)製「Disperbyk-101(ポリアミドアミン燐酸塩)、107(カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、111(リン酸系分散剤)、130(ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、BYKChemie(株)製「BYK-P104、P105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)」、EFKA(株)製「EFKA4047、4050~4165(ポリウレタン系)、EFKA4330~4340(ブロック共重合体)、4400~4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)、6750(アゾ顔料誘導体)」、味の素ファインテクノ(株)製「アジスパーPB821、PB822、PB880、PB881」、共栄社化学(株)製「フローレンTG-710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成(株)製「ディスパロンKS-860、873SN、874、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA-703-50、DA-705、DA-725」、花王(株)製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、SN-B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、花王(株)製「ホモゲノールL-18(高分子ポリカルボン酸)」、花王(株)製「エマルゲン920、930、935、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、花王(株)製「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、日本ルーブリゾール(株)製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、22000(アゾ顔料誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、12000、17000、20000、27000(末端部に機能部を有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト型高分子)」、日光ケミカルズ(株)製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS-IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」、川研ファインケミカル(株)製「ヒノアクトT-8000E」、信越化学工業(株)製「オルガノシロキサンポリマーKP341」、森下産業(株)製「EFKA-46、EFKA-47、EFKA-47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450」、サンノプコ(株)製「ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100」、(株)ADEKA製「アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P-123」、および三洋化成(株)製「イオネットS-20」等が挙げられる。
なお、上記分散剤として説明した樹脂は、分散剤以外の用途で使用することもできる。例えば、バインダーとして用いることもできる。
【0109】
<<<アルカリ可溶性樹脂>>>
本発明の着色組成物は、樹脂としてアルカリ可溶性樹脂を含有することができる。アルカリ可溶性樹脂を含有することにより、現像性やパターン形成性が向上する。なお、アルカリ可溶性樹脂は、分散剤やバインダーとして用いることもできる。
【0110】
アルカリ可溶性樹脂の分子量としては、特に定めるものではないが、重量平均分子量(Mw)が5000~100,000であることが好ましい。また、数平均分子量(Mn)は、1000~20,000であることが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、線状有機高分子重合体であってもよく、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。
【0111】
アルカリ可溶性樹脂としては、耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
アルカリ可溶性を促進する基(以下、酸基ともいう)としては、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、フェノール性ヒドロキシル基などが挙げられるが、有機溶剤に可溶で弱アルカリ水溶液により現像可能なものが好ましく、(メタ)アクリル酸が特に好ましいものとして挙げられる。これら酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0112】
アルカリ可溶性樹脂は、側鎖にカルボキシル基を有するポリマーが好ましい。例えば、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、ノボラック型樹脂などのアルカリ可溶性フェノール樹脂等、並びに側鎖にカルボキシル基を有する酸性セルロース誘導体、ヒドロキシル基を有するポリマーに酸無水物を付加させたものが挙げられる。特に、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他のモノマーとの共重合体が、アルカリ可溶性樹脂として好適である。(メタ)アクリル酸と共重合可能な他のモノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートおよびアリール(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレーなどが挙げられる。ビニル化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N-ビニルピロリドン、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー等、特開平10-300922号公報に記載のN位置換マレイミドモノマーとして、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等を挙げることができる。なお、これらの(メタ)アクリル酸と共重合可能な他のモノマーは1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0113】
アルカリ可溶性樹脂は、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が好ましく用いることができる。また、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを共重合した共重合体、特開平7-140654号公報に記載の、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2-ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2-ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体なども好ましく用いることができる。また、市販品としては、例えばFF-426(藤倉化成(株)製)などを用いることもできる。
【0114】
また、アルカリ可溶性樹脂は、重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂を使用してもよい。重合性基としては、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂は、重合性基を側鎖に有するアルカリ可溶性樹脂等が有用である。重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂の市販品としては、ダイヤナールNRシリーズ(三菱レイヨン(株)製)、Photomer6173(COOH含有 polyurethane acrylic oligomer、Diamond Shamrock Co.,Ltd.製)、ビスコートR-264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ(例えば、ACA230AA)、プラクセル CF200シリーズ(いずれも(株)ダイセル製)、Ebecryl3800(ダイセルユーシービー(株)製)、アクリキュアーRD-F8((株)日本触媒製)、DP-1305(富士ファインケミカルズ(株)製)などが挙げられる。
【0115】
アルカリ可溶性樹脂は、下記式(ED1)で示される化合物および/または特開2010-168539号公報の式(1)で表される化合物(以下、これらの化合物を「エーテルダイマー」と称することもある。)を含むモノマー成分を重合してなるポリマーを含むことも好ましい。
【0116】
【化20】
【0117】
式(ED1)中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1~25の炭化水素基を表す。
【0118】
エーテルダイマーの具体例としては、例えば、特開2013-29760号公報の段落0317を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。エーテルダイマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0119】
アルカリ可溶性樹脂は、下記式(X)で示される化合物に由来する繰り返し単位を含んでいてもよい。
【化21】
式(X)において、R1は、水素原子またはメチル基を表し、R2は炭素数2~10のアルキレン基を表し、R3は、水素原子またはベンゼン環を含んでもよい炭素数1~20のアルキル基を表す。nは1~15の整数を表す。
【0120】
上記式(X)において、R2のアルキレン基の炭素数は、2~3が好ましい。また、R3のアルキル基の炭素数は1~20であるが、より好ましくは1~10であり、R3のアルキル基はベンゼン環を含んでもよい。R3で表されるベンゼン環を含むアルキル基としては、ベンジル基、2-フェニル(イソ)プロピル基等を挙げることができる。
【0121】
アルカリ可溶性樹脂は、特開2012-208494号公報の段落0558~0571(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0685]~[0700])の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。さらに、特開2012-32767号公報に記載の段落0029~0063に記載の共重合体(B)および実施例で用いられているアルカリ可溶性樹脂、特開2012-208474号公報の段落0088~0098に記載のバインダー樹脂および実施例で用いられているバインダー樹脂、特開2012-137531号公報の段落0022~0032に記載のバインダー樹脂および実施例で用いられているバインダー樹脂、特開2013-024934号公報の段落0132~0143に記載のバインダー樹脂および実施例で用いられているバインダー樹脂、特開2011-242752号公報の段落0092~0098および実施例で用いられているバインダー樹脂、特開2012-032770号公報の段落0030~0072に記載のバインダー樹脂を用いることもできる。これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0122】
アルカリ可溶性樹脂の酸価は、30~500mgKOH/gが好ましい。下限は、50mgKOH/g以上がより好ましく、70mgKOH/g以上が更に好ましい。上限は、400mgKOH/g以下がより好ましく、200mgKOH/g以下がさらに好ましく、150mgKOH/g以下が特に好ましく、120mgKOH/g以下が一層好ましい。
【0123】
アルカリ可溶性樹脂の含有量は、着色組成物の全固形分に対して、1~80質量%が好ましい。下限は、2質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましい。上限は、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。本発明の着色組成物は、アルカリ可溶性樹脂を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0124】
<<溶剤>>
本発明の着色組成物は、溶剤を含有する。溶剤は、有機溶剤が好ましい。有機溶剤は、各成分の溶解性や着色組成物の塗布性を満足すれば特に制限はない。
【0125】
有機溶剤の例としては、例えば、以下のものが挙げられる。エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸シクロヘキシル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、アルキルオキシ酢酸アルキル(例えば、アルキルオキシ酢酸メチル、アルキルオキシ酢酸エチル、アルキルオキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3-アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、3-アルキルオキシプロピオン酸メチル、3-アルキルオキシプロピオン酸エチル等(例えば、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル等))、2-アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2-アルキルオキシプロピオン酸メチル、2-アルキルオキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル))、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸メチル及び2-アルキルオキシ-2-メチルプロピオン酸エチル(例えば、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸メチル、2-オキソブタン酸エチル等、並びに、エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(1-メトキシ-2-プロピルアセテート)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2-メトキシ-1-プロピルアセテート等、並びに、ケトン類として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン等、並びに、芳香族炭化水素類として、例えば、トルエン、キシレン等が好適に挙げられる。
ただし溶剤としての芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)は、環境面等の理由により低減したほうがよい場合がある(例えば、有機溶剤全量に対して、50ppm以下、10ppm以下、あるいは1ppm以下とすることができる)。
【0126】
有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。有機溶剤を2種以上組みあわせて用いる場合、特に好ましくは、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(1-メトキシ-2-プロピルアセテート)および2-メトキシ-1-プロピルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
【0127】
本発明において、有機溶剤は、2-メトキシ-1-プロピルアセテートを含むことが好ましい。2-メトキシ-1-プロピルアセテートの含有量は、着色組成物の質量に対して、0.001~5質量%が好ましい。上限は、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。
また、2-メトキシ-1-プロピルアセテートの含有量は、溶剤の質量に対して、0.01~0.5質量%が好ましい。下限は、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。上限は、0.4質量%以下が好ましく、0.2質量%以下がより好ましい。
【0128】
本発明において、有機溶剤は、過酸化物の含有率が0.8mmol/L以下であることが好ましく、過酸化物を実質的に含まないことがより好ましい。また、金属含有量が少ない有機溶剤を用いることが好ましく、例えば有機溶剤の金属含有量は、10ppb以下であることが好ましい。必要に応じて有機溶剤の金属含有量がpptレベルのものを用いてもよく、そのような高純度溶剤は例えば東洋合成工業(株)が提供している(化学工業日報、2015年11月13日)。
【0129】
溶剤の含有量は、着色組成物の全固形分が5~80質量%となる量が好ましい。下限は10質量%以上が好ましい。上限は、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。
【0130】
<<硬化助剤>>
本発明の着色組成物は、硬化性化合物としてエポキシ化合物を含む場合、更に硬化助剤を含むことが好ましい。この態様によれば、エポキシ化合物の硬化温度を低下させることができる。このため、硬化温度が低くても、硬化性に優れた硬化膜を製造することができる。有機光電変換部を有する固体撮像素子(例えば、有機CMOS(相補性金属酸化膜半導体))等、高温での硬化が困難な用途に適した着色組成物とすることができる。
また、硬化助剤を配合することにより、残渣混色を抑止したり、耐湿性向上などの効果が得られる。この理由は定かではないが、硬化助剤による硬化性向上効果と共に、これらの硬化助剤が、アルミニウムフタロシアニン顔料との相互作用により顔料近傍にて寄与できるために得られた効果と推測する。
なお、エポキシ化合物硬化助剤は、エポキシ化合物以外の硬化性化合物の硬化助剤として用いることもできる。
【0131】
硬化助剤は、下記式(1)で表される化合物、下記式(2)で表される化合物、3級アミン化合物、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、アミジン塩、アミド化合物、チオール化合物、ブロックイソシアネート化合物およびイミダゾール環含有化合物などが挙げられる。硬化性の観点から、下記式(1)で表される化合物、下記式(2)で表される化合物およびイミダゾール環含有化合物が好ましく、イミダゾール環含有化合物がより好ましい。
【0132】
【化22】
【0133】
式(1)において、Ra1~Ra6は、それぞれ独立して水素原子、電子求引性基、-NR100101または、-NR100101を有する基を表し、Ra1~Ra6の少なくとも一つは、電子求引性基、-NR100101または、-NR100101を有する基を表す。R100およびR101は、それぞれ独立して水素原子または置換基を表す。Ra1~Ra6のうち、隣接する二つの基は、結合して環を形成してもよい。
式(2)において、Rb1~Rb10は、それぞれ独立して水素原子、電子求引性基、-NR100101または、-NR100101を有する基を表し、Rb1~Rb10の少なくとも一つは、電子求引性基、-NR100101または、-NR100101を有する基を表す。Rb1~Rb10のうち、隣接する二つの基は、結合して環を形成してもよい。A1は、単結合または2価の連結基を表す。R100およびR101は、それぞれ独立して水素原子または置換基を表す。
【0134】
100およびR101が表す置換基は、例えば、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基などが挙げられ、アルキル基が好ましい。アルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~5がより好ましく、1~3がより好ましい。アルキル基は、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。
a1~Ra6、および、Rb1~Rb10が表す電子求引性基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、アシル基、アルキルスルホニル基、アルキルオキシスルフォニル基、ジシアノビニル基、トリシアノビニル基、スルホニル基等が挙げられる。これらのうち、ニトロ基、トリフルオロメチル基、アルキルオキシスルフォニル基が好ましい。
1が表す2価の連結基としては、アルキレン基、-O-、-CO-、-OCO-、-COO-、-SO2-、-SO-、-S-、およびこれらの組み合わせからなる基が挙げられる。アルキレン基の炭素数は、1~10が好ましく、1~5がより好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐が好ましい。アルキレン基は無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子などが挙げられる。
【0135】
上記式(1)および式(2)で表される化合物の具体例としては、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,3-ビス(4-アミノフェニル)スクシノニトリル、4,4'-ジアミノベンゾフェノン、4,4'-ジアミノフェニルベンゾエート、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、1,4-ジアミノ-2-クロロベンゼン、1,4-ジアミノ-2-ブロモベンゼン、1,4-ジアミノ-2-ヨードベンゼン、1,4-ジアミノ-2-ニトロベンゼン、1,4-ジアミノ-2-トリフルオロメチルベンゼン、2,5-ジアミノベンゾニトリル、2,5-ジアミノアセトフェノン、2,5-ジアミノ安息香酸、2,2'-ジクロロベンジジン、2,2'-ジブロモベンジジン、2,2'-ジヨードベンジジン、2,2'-ジニトロベンジジン、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3-アミノベンゼンスルホン酸エチル、3,5-ビストリフルオロメチル-1,2-ジアミノベンゼン、4-アミノニトロベンゼン、N,N-ジメチル-4-ニトロアニリン、サリチルヒドラジドが挙げられる。
【0136】
3級アミン化合物としては、下記式(5)で表される化合物が挙げられる。
【0137】
【化23】
【0138】
式(5)中、RC1~RC3は、それぞれ独立して炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~18のアリール基または炭素数7~30のアラルキル基を表す。RC1およびRC2は互いに結合して、それらが結合する窒素原子と共に環構造を形成していてもよい。上記アルキル基、アリール基およびアラルキル基は水素原子の一部または全部が置換されていてもよい。
【0139】
3級アミン化合物としては、例えば、N,N-ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリドデシルアミン、ジブチルベンジルアミン、トリナフチルアミン、N-エチル-N-メチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、N-フェニル-N-メチルアニリン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジメチル-4-ブロモアニリン、N,N-ジメチル-4-メトキシアニリン、N-フェニルピペリジン、N-(4-メトキシフェニル)ピペリジン、N-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン、6-ベンジルオキシ-N-フェニル-7-メトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン、N,N’-ジメチルピペラジン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、2-ジメチルアミノメチルフェノール、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等が挙げられる。
【0140】
アンモニウム塩およびホスホニウム塩としては、下記式(6)で表される化合物が挙げられる。
【0141】
【化24】
【0142】
式(6)中、Aは、窒素原子またはリン原子である。Rd1~Rd4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~18のアリール基または炭素数7~30のアラルキル基である。但し、これらの基は水素原子の一部または全部が置換されていてもよい。Q-は、1価の陰イオンである。
【0143】
-が示す1価の陰イオンとしては、例えば塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、シアン化物イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、次亜塩素酸イオン、亜塩素酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、過マンガン酸イオン、炭酸水素イオン、リン酸二水素イオン、硫化水素イオン、チオシアン酸イオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、フェノキシドイオン、テトラフルオロボレートイオン、テトラアリールボレートイオン、ヘキサフルオロアンチモネートイオン等が挙げられる。
【0144】
Aが窒素原子である場合、すなわちアンモニウム塩としては、例えば、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化デシルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、臭化ベンザルコニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムが挙げられる。
【0145】
Aがリン原子である場合、すなわちホスホニウム塩としては、例えば、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ(p-トリル)ボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ(p-エチルフェニル)ボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ(p-メトキシフェニル)ボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ(p-エトキシフェニル)ボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ(p-tert-ブトキシフェニル)ボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ(m-トリル)ボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ(m-メトキシフェニル)ボレート、トリ(p-トリル)フェニルホスホニウム・テトラ(p-トリル)ボレート、テトラ(p-トリル)ホスホニウム・テトラ(p-トリル)ボレート、トリ(p-メトキシフェニル)フェニルホスホニウム・テトラ(p-トリル)ボレート、テトラフェニルホスホニウム・チオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウム・チオシアネート、メチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート、p-トリルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられる。
【0146】
アミジン塩としては、下記式(7)で表される化合物の塩が好ましい。
【0147】
【化25】
【0148】
上記式(7)中、mは2~6の整数である。但し、アルキレン基が有する水素原子の一部または全部が有機基で置換されていてもよい。尚、上記アルキレン基とは、テトラヒドロピリミジン環中のアルキレン基および式(7)において(CH2mで表されるアルキレン基の両方をいう。
【0149】
上記式(7)で表される化合物としては、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-ノネン-5(DBN)、1,5-ジアザビシクロ[4.4.0]-デセン-5、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-ウンデセン-7(DBU)、5-ヒドロキシプロピル-1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-ウンデセン-7、5-ジブチルアミノ-1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-ウンデセン-7等が挙げられる。
【0150】
上記式(7)で表される化合物が塩を形成するための酸としては、有機酸および無機酸が挙げられる。有機酸としては、例えば、カルボン酸、モノアルキル炭酸、芳香族ヒドロキシ化合物、スルホン酸等が挙げられる。これらの酸のうち、カルボン酸、芳香族ヒドロキシ化合物、スルホン酸が好ましく、飽和脂肪酸、芳香族ヒドロキシ化合物、スルホン酸がより好ましく、強酸であるスルホン酸が特に好ましく、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸が最も好ましい。アミジン塩としては、DBUとトルエンスルホン酸との塩、DBUとオクチルベンゼンスルホン酸との塩、DBNとトルエンスルホン酸との塩、DBNとオクチルベンゼンスルホン酸との塩が好ましい。
【0151】
アミド化合物としては、下記式(8)~式(10)で表されるアミド基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0152】
【化26】
【0153】
上記式(8)中、R31およびR32は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~12の直鎖アルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビニル基、または2-ピリジル基である。但し、上記炭素数1~12の直鎖アルキル基、フェニル基およびナフチル基は、炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基またはアセチル基で置換されていてもよい。
上記式(9)中、R33およびR34は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~12の直鎖アルキル基またはシクロヘキシル基である。A2は、メチレン基、炭素数2~12の直鎖アルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基、またはビニレン基である。但し、上記メチレン基、炭素数2~12の直鎖アルキレン基、フェニレン基およびナフチレン基は、炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
上記式(10)中、R35およびR36は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~12の直鎖アルキル基またはシクロヘキシル基である。A3は、メチレン基、炭素数2~12の直鎖アルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基、またはビニレン基である。但し、上記メチレン基、炭素数2~12の直鎖アルキレン基、フェニレン基およびナフチレン基は、炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0154】
上記式(8)で表される化合物の具体例としては、例えば、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N-エチルアセトアミド、フタルアミド酸、アクリルアミド、ベンズアミド、ナフトアミド、ニコチンアミド、イソニコチンアミド等が挙げられる。
上記式(9)および(10)で表される化合物の具体例としては、例えば、フタルアミド、イソフタルアミド、アジピンアミド、テレフタルアミド、マロンアミド、スクシンアミド、N,N'-ジアセチル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ジアセチル-ヘキサメチレンジアミン、N,N'-ジアセチル-ドデシルメチレンジアミン等が挙げられる。
【0155】
チオール化合物としては、分子内に2個以上のメルカプト基を有する多官能チオール化合物などが挙げられる。多官能チオール化合物は安定性、臭気、解像性、現像性、密着性等の改良を目的として添加してもよい。多官能チオール化合物は、2級のアルカンチオール化合物が好ましく、下記式(T1)で表される構造を有する化合物がより好ましい。
式(T1)
【化27】
(式(T1)中、nは2~4の整数を表し、Lは2~4価の連結基を表す。)
【0156】
上記式(T1)において、連結基Lは炭素数2~12の脂肪族基であることが好ましく、nが2であり、Lが炭素数2~12のアルキレン基であることが特に好ましい。多官能チオール化合物の具体例としては、下記の構造式(T2)~(T4)で表される化合物が挙げられ、式(T2)で表される化合物が特に好ましい。チオール化合物は1種または複数組み合わせて使用することが可能である。
【0157】
【化28】
【0158】
ブロックポリイソシアネート化合物は、イソシアネート基を活性水素基含有化合物(ブロック剤)と反応させて常温で不活性としたものであり、これを加熱するとブロック剤が解離してイソシアネート基が再生されるという性質を持つものである。ブロックポリイソシアネート化合物は、脂肪族または脂環族ジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートと活性水素とを有する化合物(ブロック剤)との公知の反応によって得られる。ブロックポリイソシアネート化合物の詳細については、特開2013-41165号公報の段落0239~0242の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0159】
イミダゾール環含有化合物としては、下記式(16)で表される化合物が挙げられる
【0160】
【化29】
【0161】
上記式(16)中、A5、A6、A7およびR48は、それぞれ独立して水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1~20の直鎖状、分岐状または環状の炭化水素基である。A6とA7は互いに連結して環を形成してもよい。
【0162】
5、A6、A7およびR48が示す炭素数1~20の直鎖状、分岐状または環状の炭化水素基としては、例えば、
メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-エイコシル基等の炭素数1~20の直鎖または分岐のアルキル基;
シクロペンチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3~20の環状アルキル基;
フェニル基、トルイル基、ベンジル基、メチルベンジル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、アントリル基等の炭素数6~20のアリール基;
ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基、メチルアダマンチル基、エチルアダマンチル基、ブチルアダマンチル基等の炭素数6~20の有橋脂環式炭化水素基等が挙げられる。
【0163】
上記炭化水素基は置換基を有していてもよい。置換基としては、水酸基、カルボキシル基、ヒドロキシアルキル基、炭素数1~4のアルコキシル基、シアノ基、炭素数2~5のシアノアルキル基、炭素数2~5のアルコキシカルボニル基、炭素数3~6のアルコキシカルボニルアルコキシル基、ハロゲン原子、フルオロアルキル基等が挙げられる。
【0164】
6とA7が互いに連結して形成する環としては、芳香環、炭素数2~20の飽和もしくは不飽和の含窒素複素環が挙げられる。A6とA7が互いに連結して形成する環が、ベンゼン環の場合のイミダゾール環含有化合物としては、下記式(17)で表される化合物が挙げられる。
【0165】
【化30】
【0166】
上記式(17)中、R48およびA5は、上記式(16)と同義である。R49~R52は、それぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数1~20の直鎖状、分岐状または環状の炭化水素基である。尚、R49~R52が示す炭化水素基としては、上記式(16)中の炭化水素基と同様のものを挙げることができる。
【0167】
イミダゾール環含有化合物としては、2-フェニルベンズイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2―メチルベンズイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾールなどが挙げられる。
【0168】
硬化助剤は、市販品を用いることもできる。市販品としては、アミキュアUDH-J(味の素ファインテクノ(株)製)、U-CAT SA102 (サンアプロ(株)製)などが挙げられる。
【0169】
また、硬化助剤は、メチロール系化合物(例えば特開2015-34963号公報の段落0246において、架橋剤として例示されている化合物)、アミン類、ホスホニウム塩、アミジン塩、アミド化合物(以上、例えば特開2013-41165号公報の0186段落に記載の硬化剤)、塩基発生剤(例えば、特開2014-55114号公報に記載のイオン性化合物)、シアネート化合物(例えば、特開2012-150180号公報の段落0071に記載の化合物)、アルコキシシラン化合物(例えば、特開2011-253054号公報に記載のエポキシ基を有するアルコキシシラン化合物)、オニウム塩化合物(例えば、特開2015-34963号公報の段落0216に酸発生剤として例示されている化合物、特開2009-180949号公報に記載の化合物)などを用いることもできる。
【0170】
本発明の着色組成物が硬化助剤を含有する場合、硬化助剤の含有量は、着色組成物の全固形分に対して0.3~8.9質量%が好ましく、0.8~6.4質量%がより好ましい。
また、硬化助剤の含有量は、エポキシ化合物100質量部に対して、1~30質量部が好ましく、1~20質量部がより好ましい。この態様によれば、硬化温度が低温(例えば180℃以下)であっても、良好な硬化性が得られやすい。
【0171】
<<光重合開始剤>>
本発明の着色組成物は、さらに光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤としては、重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視領域の光線に対して感光性を有するものが好ましい。また、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよい。また、光重合開始剤は、約300nm~800nm(330nm~500nmがより好ましい。)の範囲内に少なくとも約50の分子吸光係数を有する化合物を、少なくとも1種含有していることが好ましい。
【0172】
光重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有する化合物、オキサジアゾール骨格を有する化合物など)、アシルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体等のオキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル、アミノアセトフェノン化合物、ヒドロキシアセトフェノンなどが挙げられる。
【0173】
また、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、フォスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン-ベンゼン-鉄錯体及びその塩、ハロメチルオキサジアゾール化合物、3-アリール置換クマリン化合物からなる群より選択される化合物が好ましい。
【0174】
光重合開始剤は、ヒドロキシアセトフェノン化合物、アミノアセトフェノン化合物、及び、アシルホスフィン化合物も好適に用いることができる。より具体的には、例えば、特開平10-291969号公報に記載のアミノアセトフェノン系開始剤、特許第4225898号公報に記載のアシルホスフィンオキサイド系開始剤も用いることができる。
ヒドロキシアセトフェノン系開始剤としては、IRGACURE 184、DAROCUR 1173、IRGACURE 500、IRGACURE 2959,IRGACURE 127(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。アミノアセトフェノン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE 907、IRGACURE 369、及び、IRGACURE 379(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。アミノアセトフェノン系開始剤として、365nm又は405nm等の波長に吸収波長がマッチングされた特開2009-191179号公報に記載の化合物も用いることができる。また、アシルホスフィン系開始剤としては市販品であるIRGACURE 819やIRGACURE TPO(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
【0175】
特に、本発明の着色組成物を固体撮像素子のカラーフィルタの作製に使用する場合には、微細なパターンをシャープな形状で形成する必要があるために、硬化性とともに未露光部に残渣がなく現像されることが重要である。このような観点からは、光重合開始剤としてはオキシム化合物を使用することが特に好ましい。特に、固体撮像素子において微細なパターンを形成する場合、硬化用露光にステッパー露光機を用いるが、この露光機はハロゲンにより損傷される場合があり、光重合開始剤の添加量も低く抑える必要があるため、これらの点を考慮すれば、固体撮像素子の如き微細パターンを形成する場合には光重合開始剤としては、オキシム化合物を用いるのが特に好ましい。
光重合開始剤の具体例としては、例えば、特開2013-29760号公報の段落0265~0268を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0176】
光重合開始剤として、より好ましくはオキシム化合物が挙げられる。オキシム化合物の具体例としては、特開2001-233842号公報に記載の化合物、特開2000-80068号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、特開2016-21012号公報に記載の化合物を用いることができる。オキシム化合物の具体例としては、例えば、3-ベンゾイルオキシイミノブタン-2-オン、3-アセトキシイミノブタン-2-オン、3-プロピオニルオキシイミノブタン-2-オン、2-アセトキシイミノペンタン-3-オン、2-アセトキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ベンゾイルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、3-(4-トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン-2-オン、及び2-エトキシカルボニルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどが挙げられる。
【0177】
オキシム化合物は、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.1653-1660、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.156-162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年)pp.202-232、特開2000-66385号公報に記載の化合物、特開2000-80068号公報、特表2004-534797号公報、特開2006-342166号公報の各公報に記載の化合物等を用いることもできる。
市販品ではIRGACURE OXE01(BASF社製)、IRGACURE OXE02(BASF社製)も好適に用いられる。また、TRONLY TR-PBG-304、TRONLY TR-PBG-309、TRONLY TR-PBG-305(常州強力電子新材料有限公司製(CHANGZHOU TRONLY NEW ELECTRONIC MATERIALS CO.,LTD.)製)、アデカアークルズNCI-930((株)ADEKA製)も用いることができる。
【0178】
また上記記載以外のオキシム化合物として、カルバゾール環のN位にオキシムが連結した特表2009-519904号公報に記載の化合物、ベンゾフェノン部位にヘテロ置換基が導入された米国特許第7626957号公報に記載の化合物、色素部位にニトロ基が導入された特開2010-15025号公報及び米国特許公開2009-292039号に記載の化合物、国際公開2009/131189号公報に記載のケトオキシム化合物、トリアジン骨格とオキシム骨格を同一分子内に含有する米国特許7556910号公報に記載の化合物、405nmに吸収極大を有し、g線光源に対して良好な感度を有する特開2009-221114号公報に記載の化合物などを用いてもよい。好ましくは、例えば、特開2013-29760号公報の段落0274~0275を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。具体的には、オキシム化合物としては、下記式(OX-1)で表される化合物が好ましい。なお、オキシム化合物は、オキシムのN-O結合が(E)体のオキシム化合物であってもよく、オキシムのN-O結合が(Z)体のオキシム化合物であってもよく、(E)体と(Z)体との混合物であってもよい。
【0179】
【化31】
【0180】
式(OX-1)中、RおよびBは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。
式(OX-1)中、Rで表される一価の置換基としては、一価の非金属原子団であることが好ましい。
一価の非金属原子団としては、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環基、アルキルチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基等が挙げられる。また、これらの基は、1以上の置換基を有していてもよい。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
置換基としてはハロゲン原子、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。
式(OX-1)中、Bで表される一価の置換基としては、アリール基、複素環基、アリールカルボニル基、又は、複素環カルボニル基が好ましい。これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。
式(OX-1)中、Aで表される二価の有機基としては、炭素数1~12のアルキレン基、アルキニレン基が好ましい。これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。
【0181】
本発明は、光重合開始剤として、フルオレン環を有するオキシム化合物を用いることもできる。フルオレン環を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2014-137466号公報に記載の化合物が挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれる。
【0182】
本発明は、光重合開始剤として、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることもできる。フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010-262028号公報に記載の化合物、特表2014-500852号公報に記載の化合物24、36~40、特開2013-164471号公報に記載の化合物(C-3)などが挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれる。
【0183】
本発明は、光重合開始剤として、ニトロ基を有するオキシム化合物を用いることができる。ニトロ基を有するオキシム化合物は、二量体とすることも好ましい。ニトロ基を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2013-114249号公報の段落0031~0047、特開2014-137466号公報の段落0008~0012、0070~0079に記載されている化合物、特許4223071号公報の段落0007~0025に記載されている化合物、アデカアークルズNCI-831((株)ADEKA製)が挙げられる。
【0184】
本発明において好ましく使用されるオキシム化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0185】
【化32】
【化33】
【0186】
オキシム化合物は、350nm~500nmの波長領域に吸収極大波長を有する化合物が好ましく、360nm~480nmの波長領域に吸収極大波長を有する化合物がより好ましく、365nm及び405nmの吸光度が高い化合物が特に好ましい。
【0187】
オキシム化合物は、365nm又は405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、1,000~300,000であることが好ましく、2,000~300,000であることがより好ましく、5,000~200,000であることが特に好ましい。化合物のモル吸光係数の測定は、公知の方法を用いることができるが、具体的には、例えば、紫外可視分光光度計(Varian(株)製Cary-5 spectrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
【0188】
本発明において、光重合開始剤は、メタノール中での365nmの吸光係数が1.0×103mL/gcm以上である光重合開始剤(以下、光重合開始剤(a)ともいう)と、メタノール中での365nmの吸光係数が1.0×102mL/gcm以下であり、254nmの吸光係数が1.0×103mL/gcm以上である光重合開始剤(以下、光重合開始剤(b)ともいう)とを併用することも好ましい。この態様によれば、低温の加熱で、耐溶剤性に優れた硬化膜を形成しやすい。
【0189】
光重合開始剤(a)は、メタノール中での365nmの吸光係数が1.0×103~1.0×104mL/gcmであることが好ましく、2.0×103~9.0×103mL/gcmであることがより好ましく、6.0×103~8.0×103mL/gcmであることが更に好ましい。
光重合開始剤(a)としては、オキシム化合物、アミノアセトフェノン化合物およびアシルホスフィン化合物を好適に用いることができ、オキシム化合物が好ましい。オキシム化合物としては、上述した式(OX-1)で表される化合物が好ましい。
【0190】
光重合開始剤(b)は、メタノール中での365nmの吸光係数が、10~1.0×102mL/gcmであることが好ましく、20~9.0×102mL/gcmであることがより好ましい。光重合開始剤(a)の波長365nmの吸光係数と、光重合開始剤(b)の波長365nmの吸光係数との差は、9.0×102mL/gcm以上が好ましく、9.0×102~1.0×105mL/gcmがより好ましく、9.0×102~1.0×104mL/gcmがさらに好ましい。
光重合開始剤(b)は、メタノール中での254nmの吸光係数が1.0×103~1.0×106mL/gcmであることが好ましく、5.0×103~1.0×105mL/gcmがより好ましい。
光重合開始剤(b)としては、ヒドロキシアセトフェノン化合物、アミノアセトフェノン化合物、及び、アシルホスフィン化合物を好適に用いることができる。ヒドロキシアセトフェノン化合物は、下記式(V)で表される化合物であることが好ましい。
【化34】
【0191】
式(V)中、Rv1は水素原子、アルキル基(好ましくは、炭素数1~10のアルキル基)、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1~10のアルコキシ基)、又は、2価の有機基を表す。Rv1が2価の有機基である場合、2個の光活性なヒドロキシアセトフェノン構造(すなわち、一般式(V)で表される化合物から置換基Rv1を除外した構造)がRv1を介して連結してなる2量体を表す。Rv2、Rv3は互いに独立して、水素原子、又は、アルキル基(好ましくは炭素数1~10のアルキル基)を表す。Rv2とRv3は結合して環(好ましくは炭素数4~8の環)を形成していてもよい。Rv1としてのアルキル基及びアルコキシ基、Rv2及びRv3としてのアルキル基、並びに、Rv2とRv3とが結合して形成される環は、更に置換基を有していてもよい。
【0192】
本発明の着色組成物が光重合開始剤を含有する場合、光重合開始剤の含有量は、着色組成物の全固形分に対し0.1~50質量%が好ましく、より好ましくは0.5~30質量%であり、さらに好ましくは1~20質量%である。この範囲で、より良好な感度とパターン形成性が得られる。本発明の着色組成物は、光重合開始剤を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0193】
また、上述した光重合開始剤(a)と光重合開始剤(b)とを併用する場合、光重合開始剤(a)の含有量は、本発明の着色組成物の全固形分中1.5~10質量%が好ましく、3~8質量%がより好ましい。また、光重合開始剤(b)の含有量は、本発明の着色組成物の全固形分中1.5~7.5質量%が好ましく、2~6質量%がより好ましい。光重合開始剤(a)および光重合開始剤(b)の含有量が上記範囲であれば、耐溶剤性に優れた硬化膜を形成しやすい。光重合開始剤(a)および光重合開始剤(b)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0194】
<<界面活性剤>>
本発明の着色組成物は、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
【0195】
本発明の着色組成物にフッ素系界面活性剤を含有させることで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上し、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。即ち、フッ素系界面活性剤を含有する着色組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力が低下して、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行うことができる。
【0196】
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3~40質量%が好適であり、より好ましくは5~30質量%であり、特に好ましくは7~25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、組成物中における溶解性も良好である。
【0197】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、RS-72-K(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS-382、同SC-101、同SC-103、同SC-104、同SC-105、同SC1068、同SC-381、同SC-383、同S393、同KH-40(以上、旭硝子(株)製)、PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(OMNOVA社製)等が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、特開2015-117327号公報の段落0015~0158に記載の化合物、特開2011-132503号公報の段落0117~0132に記載の化合物を用いることもできる。フッ素系界面活性剤としてブロックポリマーを用いることもでき、具体例としては、例えば特開2011-89090号公報に記載された化合物が挙げられる。
フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく用いることができ、下記化合物も本発明で用いられるフッ素系界面活性剤として例示される。
【化35】
上記の化合物の重量平均分子量は、好ましくは3,000~50,000であり、例えば、14,000である。
フッ素系界面活性剤は、エチレン性不飽和基を側鎖に有する含フッ素重合体をフッ素系界面活性剤として用いることもできる。具体例としては、特開2010-164965号公報の段落0050~0090および段落0289~0295に記載された化合物、例えばDIC(株)製のメガファックRS-101、RS-102、RS-718K等が挙げられる。
【0198】
ノニオン系界面活性剤としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセロールエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2(BASF社製)、テトロニック304、701、704、901、904、150R1(BASF社製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)、NCW-101、NCW-1001、NCW-1002(和光純薬工業(株)製)、パイオニンD-6112、D-6112-W、D-6315(竹本油脂(株)製)、オルフィンE1010、サーフィノール104、400、440(日信化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0199】
カチオン系界面活性剤として具体的には、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
【0200】
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)製)、サンデットBL(三洋化成(株)製)等が挙げられる。
【0201】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、トーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA、トーレシリコーンSH8400(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)、TSF-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460、TSF-4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、KP341、KF6001、KF6002(以上、信越シリコーン(株)製)、BYK307、BYK323、BYK330(以上、ビックケミー(株)製)等が挙げられる。
【0202】
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
界面活性剤の含有量は、着色組成物の全固形分に対して、0.001~2.0質量%が好ましく、0.005~1.0質量%がより好ましい。
【0203】
<<シランカップリング剤>>
本発明の着色組成物は、シランカップリング剤を含有することができる。なお、本発明において、シランカップリング剤は、加水分解性基とそれ以外の官能基とを有するシラン化合物を意味する。また、加水分解性基とは、珪素原子に直結し、加水分解反応及び/又は縮合反応によってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基などが挙げられる。
【0204】
シランカップリング剤は、官能基としてアミノ基とアルコキシ基とを有するシラン化合物が好ましい。このようなシランカップリング剤としては、例えば、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBM-602)、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBM-603)、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBE-602)、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBM-903)、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBE-903)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBM-503)等がある。シランカップリング剤の詳細については、特開2013-254047号公報の段落0155~0158の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0205】
本発明の着色組成物がシランカップリング剤を含有する場合、シランカップリング剤の含有量は、着色組成物の全固形分に対して、0.001~20質量%が好ましく、0.01~10質量%がより好ましく、0.1~5質量%が特に好ましい。本発明の着色組成物は、シランカップリング剤を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0206】
<<重合禁止剤>>
本発明の着色組成物は、重合禁止剤を含有することも好ましい。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、tert-ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4'-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミン塩(アンモニウム塩、第一セリウム塩等)等が挙げられる。
本発明の着色組成物が重合禁止剤を含有する場合、重合禁止剤の含有量は、着色組成物の全固形分に対して、0.01~5質量%が好ましい。本発明の着色組成物は、重合禁止剤を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0207】
<<その他添加剤>>
本発明の着色組成物には、必要に応じて、各種添加物、例えば、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することができる。これらの添加物としては、特開2004-295116号公報の段落0155~0156に記載のものを挙げることができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。酸化防止剤としては、例えばフェノール化合物、リン系化合物(例えば特開2011-90147号公報の段落0042に記載の化合物)、チオエーテル化合物などを用いることができる。市販品としては、例えば(株)ADEKA製のアデカスタブシリーズ(AO-20、AO-30、AO-40、AO-50、AO-50F、AO-60、AO-60G、AO-80、AO-330など)が挙げられる。酸化防止剤は2種以上を混合して使用してもよい。紫外線吸収剤としては、アミノジエン系、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、アクリロニトリル系、トリアジン系等の紫外線吸収剤を用いることができ、具体例としては特開2013-68814号公報に記載の化合物が挙げられる。ベンゾトリアゾール系としてはミヨシ油脂製のMYUAシリーズ(化学工業日報、2016年2月1日)を用いてもよい。本発明の着色組成物においては、特開2004-295116号公報の段落0078に記載の増感剤や光安定剤、同公報の段落0081に記載の熱重合防止剤を含有することができる。
【0208】
用いる原料等により着色組成物中に金属元素が含まれることがあるが、欠陥発生抑制等の観点で、着色組成物中の第2族元素(カルシウム、マグネシウム等)の含有量は50ppm以下であることが好ましく、0.01~10ppmに制御することが好ましい。また、着色組成物中の無機金属塩の総量は100ppm以下であることが好ましく、0.5~50ppmに制御することがより好ましい。
【0209】
<着色組成物の調製方法>
本発明の着色組成物は、前述の成分を混合して調製できる。着色組成物の調製に際しては、各成分を一括配合してもよいし、各成分を溶剤に、溶解および/または分散した後に逐次配合してもよい。また、配合する際の投入順序や作業条件は特に制約を受けない。例えば、全成分を同時に溶剤に溶解および/または分散して組成物を調製してもよいし、必要に応じて各成分を適宜2つ以上の溶液または分散液としておいて、使用時(塗布時)にこれらを混合して調製してもよい。
【0210】
着色組成物の調製にあたり、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、フィルタでろ過することが好ましい。フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているものであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ナイロン(例えばナイロン-6、ナイロン-6,6)等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量のポリオレフィン樹脂を含む)等の素材を用いたフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)およびナイロンが好ましい。
フィルタの孔径は、0.01~7.0μm程度が適しており、好ましくは0.01~3.0μm程度、さらに好ましくは0.05~0.5μm程度である。この範囲とすることにより、後工程において均一及び平滑な製膜を阻害する、微細な異物を確実に除去することが可能となる。また、ファイバ状のろ材を用いることも好ましく、ろ材としては例えばポリプロピレンファイバ、ナイロンファイバ、グラスファイバ等が挙げられ、具体的には(株)ロキテクノ製のSBPタイプシリーズ(SBP008など)、TPRタイプシリーズ(TPR002、TPR005など)、SHPXタイプシリーズ(SHPX003など)のフィルタカートリッジを用いることができる。
【0211】
フィルタを使用する際、異なるフィルタを組み合わせてもよい。その際、第1のフィルタでのフィルタリングは、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。
また、上述した範囲内で異なる孔径の第1のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール(株)(DFA4201NXEYなど)、アドバンテック東洋(株)、日本インテグリス(株)(旧日本マイクロリス(株))又は(株)キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択することができる。
第2のフィルタは、上述した第1のフィルタと同様の材料等で形成されたものを使用することができる。
例えば、第1のフィルタでのフィルタリングは、分散液のみで行い、他の成分を混合した後で、第2のフィルタリングを行ってもよい。
【0212】
本発明の着色組成物は、膜面状(平坦性など)の調整、膜厚の調整などを目的として粘度を調整して用いることができる。粘度の値は必要に応じて適宜選択することができるが、例えば、25℃において0.3mPa・s~50mPa・sが好ましく、0.5mPa・s~20mPa・sがより好ましい。粘度の測定方法としては、例えば、東機産業(株)製、粘度計 RE85L(ローター:1°34’×R24、測定範囲0.6~1200mPa・s)を使用し、25℃に温度調整を施した状態で測定することができる。
【0213】
本発明の着色組成物における含水率は、通常3質量%以下であり、0.01~1.5質量%が好ましく、0.1~1.0質量%の範囲であることがより好ましい。含水率は、カールフィッシャー法にて測定することができる。
【0214】
本発明の着色組成物は、シアン色の画素形成用として好適に用いることができる。また、低温であっても、硬化性に優れた硬化膜を製造することができるので、有機光電変換膜を有する固体撮像素子などに好ましく用いることができる。
【0215】
<カラーフィルタ>
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。
本発明のカラーフィルタは、上述した本発明の着色組成物を用いてなるものである。本発明のカラーフィルタの膜厚は、目的に応じて適宜調整できる。膜厚は、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。膜厚の下限は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上が更に好ましい。本発明のカラーフィルタは、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)デバイスなどの固体撮像素子や、画像表示装置などに用いることができる。
【0216】
本発明のカラーフィルタを液晶表示装置用途に用いる場合、カラーフィルタを備えた液晶表示素子の電圧保持率は、70%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。高い電圧保持率を得るための公知の手段を適宜組み込むことができ、典型的な手段としては純度の高い素材の使用(例えばイオン性不純物の低減)や、組成物中の酸性官能基量の制御が挙げられる。電圧保持率は、例えば特開2011-008004号公報の段落0243、特開2012-224847号公報の段落0123~0129に記載の方法等で測定することができる。
【0217】
<硬化膜の製造方法>
次に、本発明の硬化膜の製造方法について説明する。本発明の硬化膜の製造方法は、上述した本発明の着色組成物を用いて基材上に着色組成物層を形成する工程と、着色組成物層をパターン状に露光する工程と、未露光部を現像除去してパターンを形成する工程と、を含み、全工程を通じて180℃以下の温度(好ましくは170℃以下の温度)で行う。なお、本発明において、「全工程を通じて180℃以下の温度で行う」とは、硬化膜の製造工程の各工程を、180℃以下の温度で行うことを意味する。すなわち、硬化膜の製造工程が、上述した工程の他に、さらに他の工程を有する場合(例えば、パターンを形成した後、更に、露光処理や熱処理を行って硬化をさらに行う場合など)は、これらの処理も180℃以下の温度で行う。一方、硬化膜を形成した後、ダイシング(チップに分割)やボンディング等をさらに行う場合があるが、硬化膜形成後の工程については、本発明における「全工程」には含まれない。すなわち、硬化膜を形成した後の工程は、180℃を超える温度で処理を行ってもよい。
以下、各工程について詳細を述べる。
【0218】
<<着色組成物層を形成する工程>>
着色組成物層を形成する工程では、本発明の着色組成物を用いて、基材上に着色組成物層を形成する。
【0219】
基材としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等の材料からなる基材が挙げられる。これらの基材は、有機光電変換膜を有していてもよい。有機光電変換膜としては、電磁波を吸収する部位、光電変換部位、電子輸送部位、正孔輸送部位、電子ブロッキング部位、正孔ブロッキング部位、結晶化防止部位、電極ならびに層間接触改良部位等の積み重ねもしくは混載から形成される有機層が挙げられる。有機層は、有機p型化合物または有機n型化合物を含有することが好ましい。有機層の詳細については、特開2015-38979号公報の段落0018~0030を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、有機光電変換膜を基材として用いることもできる。
【0220】
基材への本発明の着色組成物の適用方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の方法を用いることができる。
【0221】
基材上に形成した着色組成物層は、加熱(プリベーク)することが好ましい。加熱は、120℃以下で行うことが好ましく、50~120℃がより好ましく、80~110℃がさらに好ましく、90~105℃が特に好ましい。加熱を120℃以下で行うことにより、固体撮像素子の光電変換膜を有機素材で構成した場合(すなわち、有機光電変換膜を用いた場合)において、これらの特性をより効果的に維持することができる。
加熱時間は、10秒~300秒が好ましく、40~250秒がより好ましく、80~220秒がさらに好ましい。加熱は、ホットプレート、オーブン等で行うことができる。
【0222】
<<露光工程>>
次に、基材上に形成した着色組成物層を、パターン状に露光する。例えば、着色組成物層に対し、ステッパー等の露光装置を用いて、所定のマスクパターンを有するマスクを介して露光することで、パターン露光することができる。これにより、露光部分を硬化することができる。
露光に際して用いることができる放射線(光)としては、g線、i線等の紫外線が好ましく(特に好ましくはi線)用いられる。照射量(露光量)は、例えば、0.03~2.5J/cm2が好ましく、0.05~1.0J/cm2がより好ましい。
露光時における酸素濃度については適宜選択することができ、大気下で行う他に、例えば酸素濃度が19体積%以下の低酸素雰囲気下(例えば、15体積%、5体積%、実質的に無酸素)で露光してもよく、酸素濃度が21体積%を超える高酸素雰囲気下(例えば、22体積%、30体積%、50体積%)で露光してもよい。また、露光照度は適宜設定することが可能であり、通常1000W/m2~100000W/m2(例えば、5000W/m2、15000W/m2、35000W/m2)の範囲から選択することができる。酸素濃度と露光照度は適宜条件を組み合わせてよく、例えば、酸素濃度10体積%で照度10000W/m2、酸素濃度35体積%で照度20000W/m2などとすることができる。
【0223】
<<現像工程>>
次に、未露光部を現像除去してパターンを形成する。未露光部の現像除去は、現像液を用いて行うことができる。これにより、露光工程における未露光部の着色組成物層が現像液に溶出し、光硬化した部分だけが残る。
現像液としては、下地の固体撮像素子や回路などにダメージを起さない、有機アルカリ現像液が望ましい。
現像液の温度は、例えば、20~30℃が好ましい。現像時間は、20~180秒が好ましい。また、残渣除去性を向上するため、現像液を60秒ごとに振り切り、さらに新たに現像液を供給する工程を数回繰り返してもよい。
【0224】
現像液に用いるアルカリ剤としては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジグリコールアミン、ジエタノールアミン、ヒドロキシアミン、エチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物が挙げられる。現像液は、これらのアルカリ剤を純水で希釈したアルカリ性水溶液が好ましく使用される。アルカリ性水溶液のアルカリ剤の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。
また、現像液には無機アルカリを用いてもよい。無機アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどが好ましい。
また、現像液には、界面活性剤を用いてもよい。界面活性剤の例としては、上述した硬化性組成物で説明した界面活性剤が挙げられ、ノニオン系界面活性剤が好ましい。
なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後純水で洗浄(リンス)することが好ましい。
【0225】
現像後、乾燥を施した後に加熱処理(ポストベーク)を行うこともできる。ポストベークは、膜の硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理である。ポストベークを行う場合、ポストベーク温度は、100~180℃が好ましく、120~170℃がより好ましい。ポストベーク時間は、1~30分が好ましく、3~15分がより好ましい。
ポストベーク後の膜のヤング率は0.5~20GPaが好ましく、2.5~15GPaがより好ましい。
ポストベークは、現像後の膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行うことができる。ポストベークは、大気下で行ってもよく、窒素下で行ってもよい。膜の硬化性の観点から、ポストベークは窒素下で行うことが好ましい。
【0226】
また、着色組成物として、ラジカル重合性化合物と、上述した光重合開始剤(a)と、上述した光重合開始剤(b)とを含む着色組成物を用いた場合においては、上記露光工程は、波長350nmを超え380nm以下の光(好ましくは、波長355~370nmの光、特に好ましくはi線)で露光を行い、上記現像工程後の着色組成物層に対して、更に、波長254~350nmの光(好ましくは波長254nmの光)で露光行うことも好ましい。すなわち、パターンを形成する前の露光を、波長350nmを超え380nm以下の光で露光し、パターンを形成した後の露光を、波長254~350nmの光で露光することが好ましい。
また、パターンを形成する前の露光で用いられる光の波長と、パターンを形成した後の露光で用いられる光の波長の差は、200nm以下であることが好ましく、100~150nm以下であることがより好ましい。
パターン形成前後の2段階で着色組成物層を露光することにより、最初の露光(パターンを形成する前の露光)で着色組成物を適度に硬化させることができ、次の露光(パターンを形成した後の露光)で着色組成物全体をほぼ硬化させることができる。結果として、ポストベーク温度が180℃以下であっても、着色組成物の硬化性を向上させることができ、カラーフィルタの耐溶剤性を良好にすることができる。また、他色との混色を抑制することもできる。
【0227】
現像工程前の露光における、波長350nmを超え380nm以下の光の照射量(露光量)および露光時における酸素濃度は、上述した露光工程で説明した条件で行うことができる。また、現像工程前の露光でのラジカル重合性化合物の反応率は、30~60%であることが好ましい。このような反応率にすることによりラジカル重合性化合物を適度に硬化させた状態にすることができる。ここで、ラジカル重合性化合物の反応率とは、ラジカル重合性化合物が有する全不飽和二重結合中の反応した不飽和二重結合割合をいう。
【0228】
現像工程後の露光における、波長254~300nmの光の照射量(露光量)および露光時における酸素濃度は、上述した露光工程で説明した条件で行うことができる。また、現像工程後の露光でのラジカル重合性化合物の反応率は、60~90%であることが好ましい。このような反応率にすることにより、露光後の膜の硬化状態をより良好にすることができる。
【0229】
露光を2段階で行う場合においても、現像工程後の露光を行った後、更に、ポストベークを行ってもよい。ポストベーク温度は、100~180℃が好ましく、120~170℃がより好ましい。ポストベーク時間は、1~30分が好ましく、3~15分がより好ましい。ポストベークは、大気下で行ってもよく、窒素下で行ってもよい。膜の硬化性の観点から、ポストベークは窒素下で行うことが好ましい。
【0230】
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、上述した本発明のカラーフィルタを有する。本発明の固体撮像素子の構成としては、本発明のカラーフィルタを備え、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
【0231】
基材上に、固体撮像素子(CCD(電荷結合素子)イメージセンサ、CMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオードおよび転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護層を有し、デバイス保護層上に、カラーフィルタを有する構成である。さらに、デバイス保護層上であってカラーフィルタの下(基材に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。また、カラーフィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各色画素を形成する硬化膜が埋め込まれた構造を有していてもよい。この場合の隔壁は各色画素に対して低屈折率であることが好ましい。このような構造を有する撮像装置の例としては、特開2012-227478号公報、特開2014-179577号公報に記載の装置が挙げられる。
【0232】
また、本発明の固体撮像素子は、更に有機光電変換膜を有することも好ましい。有機光電変換膜を有する固体撮像素子としては、例えば以下の構成を有する固体撮像素子が挙げられる。
無機光電変換部上に有機光電変換膜が形成され、さらに保護層を介してカラーフィルタが形成された構成が挙げられる。なお、保護層は省略することもできる。カラーフィルタの画素は、無機光電変換部に対応させて形成され、例えば、青と赤を取り出すために、シアンのカラーフィルタの画素と、イエローのカラーフィルタの画素を配置したものが挙げられる。シアンのカラーフィルタの画素は、本発明の着色組成物で構成されていることが好ましい。また、各カラーフィルタの画素上には、無機光電変換部に入射光を集光させる集光レンズが形成されていてもよい。
有機光電変換膜が例えば緑光を吸収することにより、無機光電変換部は青光と赤光の分離を容易に行なうことができるようになる。有機光電変換膜は、好ましくは最大吸収波長が510~560nmの範囲にある。より好ましくは520~550nmの範囲にある。ここで最大吸収波長とは光の吸収率が最も高い吸収波長を意味する。この最大吸収波長での吸収率、すなわち最大吸収率は好ましくは80%以上100%以下である。より好ましくは90%以上100%以下である。好ましくは吸収率半値幅は50nm以上100nm以下である。より好ましくは60nm以上90nm以下である。ここで吸収率半値幅は最大吸収率の半分の値の吸収率における吸収波長の幅を意味する。
この固体撮像素子は、緑の信号を有機光電変換膜から取り出し、青と赤をシアンとイエローのカラーフィルタの画素との組合せにて取り出すことができる。こうした色の配色と組合せは上記の例に限定されず、B(青)、G(緑)、R(赤)、Cy(シアン)、M(マゼンタ)、Y(黄)を適宜組み合わせて所望の形態の固体撮像素子とすることができる。
上記の構成の固体撮像素子の詳細については、特開2015-38979号公報の段落0009~0143を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0233】
<画像表示装置>
本発明のカラーフィルタは、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置などの、画像表示装置に用いることができる。画像表示装置の定義や各画像表示装置の詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会、1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)、平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会、1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
【実施例
【0234】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は、質量基準である。
【0235】
<重量平均分子量の測定>
樹脂の重量平均分子量は、以下の方法で測定した。
カラムの種類:TOSOH TSKgel Super HZM-Hと、TOSOH TSKgel Super HZ4000と、TOSOH TSKgel Super HZ2000とを連結したカラム
展開溶媒:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
流量(サンプル注入量):1.0μL(サンプル濃度:0.1質量%)
装置名:東ソー製 HLC-8220GPC
検出器:RI(屈折率)検出器
検量線ベース樹脂:ポリスチレン
【0236】
<酸価の測定方法>
酸価は、固形分1gあたりの酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムの質量を表したものである。測定サンプルをテトラヒドロフラン/水=9/1混合溶媒に溶解し、電位差滴定装置(商品名:AT-510、京都電子工業(株)製)を用いて、得られた溶液を、25℃にて、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定した。滴定pH曲線の変曲点 を滴定終点として、次式により酸価を算出した。
A=56.11×Vs×0.5×f/w
A:酸価(mgKOH/g)
Vs:滴定に要した0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液の使用量(mL)
f:0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液の力価
w:測定サンプル質量(g)(固形分換算)
【0237】
<アミン価の測定>
アミン価は、固形分1gあたりの塩基性成分と当量の水酸化カリウム(KOH)の質量で表したものである。測定サンプルを酢酸に溶解し、電位差滴定装置(商品名:AT-510、京都電子工業(株)製)を用いて、得られた溶液を、25℃にて、0.1mol/L過塩素酸/酢酸溶液で中和滴定した。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点として次式によりアミン価を算出した。
B=56.11×Vs×0.1×f/w
B:アミン価(mgKOH/g)
Vs:滴定に要した0.1mol/L過塩素酸/酢酸溶液の使用量(mL)
f:0.1mol/L過塩素酸/酢酸溶液の力価
w:測定サンプルの質量(g)(固形分換算)
【0238】
<顔料分散液の調製>
下記表に記載の材料を配合した混合液を、0.3mm径のジルコニアビーズを使用して、ビーズミル(減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー(株)製))で、3時間、混合および分散して、顔料分散液を調製した。
【0239】
【表1】
【0240】
表に記載の原料は以下である。
(顔料)
A-1~A-7、A-13:下記構造の化合物(アルミニウムフタロシアニン顔料)
【化36】
A-8:C.I.ピグメントグリーン 58(FASTOGEN Green A110、DIC(株)製)
A-9:C.I.ピグメントグリーン 36(FASTOGEN Green 2YK 、DIC(株)製)
A-10:C.I.ピグメントイエロー 138(Paliotol Yellow L 0962 HD、BASF社製)
A-11:C.I.ピグメントイエロー 139(Paliotol Yellow L 2140 HD、BASF社製)
A-12:C.I.ピグメントイエロー 185(Paliotol Yellow L 1155、BASF社製)
【0241】
(顔料誘導体)
B-1~B-6:下記構造の化合物
【化37】
【0242】
(分散剤)
C-1~C-8:下記構造の樹脂。各繰り返し単位に併記した数値は、各繰り返し単位の含有量〔質量比〕を表す。側鎖の繰り返し部位に併記される数値は、繰り返し部位の繰り返し数を示す。
C-1:(アミン価=0mgKOH/g、酸価=64.9mgKOH/g、重量平均分子量=12000)
C-2:(アミン価=0mgKOH/g、酸価=51.7mgKOH/g、重量平均分子量=13000)
C-3:(アミン価=73.5mgKOH/g、酸価=51.6mgKOH/g、重量平均分子量=11000)
C-4:(アミン価=45mgKOH/g、酸価=32mgKOH/g、重量平均分子量=15000)
C-5:(アミン価=0mgKOH/g、酸価=58.2mgKOH/g、重量平均分子量=10000)
C-6:(アミン価=0mgKOH/g、酸価=4.8mgKOH/g、重量平均分子量=15000)
C-7:(アミン価=21.6mgKOH/g、酸価=48.6mgKOH/g、重量平均分子量=13000)
C-8:(アミン価=187.2mgKOH/g、酸価=0mgKOH/g、重量平均分子量=12000)
【化38】
【0243】
(溶剤)
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0244】
<着色組成物の調製>
下記成分を混合して、着色組成物を製造した。
【表2-1】
【表2-2】
【0245】
表中の原料は以下である。
(重合性化合物)
D-1:KAYARAD DPHA (日本化薬(株)製)
D-2:NKエステル A-TMMT (新中村化学工業(株)製)
(光重合開始剤)
E-1:IRGACURE OXE01 (BASF社製)
E-2:IRGACURE OXE02 (BASF社製)
E-3:下記化合物
【化39】
E-4:IRGACURE 379 (BASF社製)
E-5:IRGACURE 2959 (BASF社製)
(エポキシ化合物)
F-1:EHPE 3150 ((株)ダイセル製)
F-2:EPICLON N-695 (DIC(株)製)
(樹脂)
H-1:下記構造の樹脂(酸価113mgKOH/g、Mw=33000)。各繰り返し単位に併記した数値は、各繰り返し単位の含有量〔質量比〕を表す。
H-2:下記構造の樹脂(酸価32mgKOH/g、Mw=14000)。各繰り返し単位に併記した数値は、各繰り返し単位の含有量〔質量比〕を表す。
【化40】
(硬化助剤)
G-1:1-ベンジル-2-メチルイミダゾール
G-2:1,2-ジメチルイミダゾール
G-3:2-フェニルイミダゾール
G-4:1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール
G-5:4,4’-アミノジフェニルスルホン
G-6:アミキュアUDH-J(味の素ファインテクノ(株)製)
G-7:サリチルヒドラジド(大塚化学(株)製)
G-8:U-CAT SA102(サンアプロ(株)製)
(溶剤)
S-1 プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
S-2 プロピレングリコールモノメチルエーテル
S-3 シクロヘキサノン
【0246】
<耐湿性の評価>
着色組成物を、下塗り層付きガラスウェハ上に、乾燥後の膜厚が0.8μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、110℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行った。次いで、得られた組成物層に対し、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon(株)製)を使用して、365nmの波長光を1000mJ/cm2にて、2cm×2cmのパターンを有するマスクを介して露光した。その後、露光された組成物層が形成されているガラスウェハをスピン・シャワー現像機(DW-30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、現像液としてCD-2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の60質量%希釈液を用いて、23℃で60秒間パドル現像を行い、ガラスウェハ上に着色パターンを形成した。
着色パターンが形成されたガラスウェハを真空チャック方式で水平回転テーブルに固定し、回転装置によってガラスウェハを回転数50rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行い、その後スピン乾燥した。
さらに、表3に記載の条件で、ホットプレートを用いた加熱処理(ポストベーク)、及び、ウシオ製UMA-802を用いた追加露光(光源:高圧水銀ランプ(オゾンレス)、波長254~350nmの光を含む)を行い、カラーフィルタを得た。
得られたカラーフィルタについて、ESPEC社製HAST試験機(EHS-221M)を用い、温度130℃、相対湿度85%の雰囲気中、500時間静置して耐湿試験を行った。耐湿試験前後の波長400-700nmの透過率の変化を測定し、最も透過率変化が大きい波長の透過率変化を耐湿性の評価基準とした。
透過率の変化ΔT%max=|耐湿試験前の透過率-耐湿試験後の透過率|
A:ΔT%max<0.5%
B:0.5%<ΔT%max<1.0%
C:1.0%<ΔT%max<3.0%
D:3.0%<ΔT%max<5.0%
E:ΔT%max>5.0%
【0247】
<残渣の評価>
上記で得られた着色組成物を、下塗り層付き8インチ(200mm)シリコンウェハに、乾燥後の膜厚が0.8μmになるように、スピンコーターを用いて塗布し、110℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行った。
次いで、得られた組成物層に対し、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon(株)製)を使用して、1.0μm四方のアイランドパターンを有するマスクを介して365nmの波長光で露光(露光量50~1700mJ/cm2)した。次いで、露光後の組成物層に対し、現像装置(東京エレクトロン(社)製Act-8)を使用し、現像を行った。現像液は水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間シャワー現像を行った。その後、純水を用いたスピンシャワーにてリンスを行い、パターンを得た。得られたパターンを、走査型電子顕微鏡(SEM)(S-4800H、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて観察(倍率:20000倍)し、残渣を評価した。残渣の評価基準は以下の通りである。
A:パターン間の非画像部に残渣なし
B:パターン間の非画像部に最大長が0.01μm未満の残渣が観測される
C:パターン間の非画像部に最大長が0.01μm以上0.05μm未満の残渣が観測される
D:パターン間の非画像部に最大長が0.05μm以上0.10μm未満の残渣が観測される
E:パターン間の非画像部に最大長が0.10μm以上の残渣が観測される
【0248】
<密着性>
残渣評価で作製したパターンの中で1.0μmのパターンサイズのパターン群を光学顕微鏡(オリンパス社製)にて観察(倍率:100倍)した。密着性の評価基準は以下の通りである。
A:パターンの剥がれ、および、欠けなし
B:パターンの剥がれ、および、欠けが合計で5%未満である
C:パターンの剥がれ、および、欠けが合計で5%以上10%未満である
D:パターンの剥がれ、および、欠けが合計で10%以上30%未満である
E:パターンの剥がれ、および、欠けが合計で30%以上である
【0249】
<経時安定性の評価>
上記で得られた製造直後の着色組成物を、乾燥後の膜厚が0.8μmになるように、下塗り層付き8インチ(200mm)シリコンウェハ上にスピンコーターを用いて塗布し、110℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行った。
次いで、得られた組成物層に対し、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon(株)製)を用い、1.0μm四方のアイランドパターンを有するマスクを介して365nmの波長光で露光(露光量50~1700mJ/cm2)した。次いで、露光後の組成物層に対し、現像装置(東京エレクトロン製Act-8)を使用し現像を行った。現像液には水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間シャワー現像を行った。その後、純水を用いたスピンシャワーにてリンスを行い、パターンを得た。得られたパターンサイズを走査型電子顕微鏡(SEM)(S-4800H、(株)日立ハイテクノロジーズ製)観察(倍率:20000倍)により評価し、パターンサイズが1.0μmとなる露光量を各着色組成物の露光量(Eopt)とした。
次いで、各着色組成物を、室温(23℃)にて3ヶ月間静置した液を用意し、上記と同様の手法でパターンを作製し、上記で求めたEoptの露光量で露光を行いパターンサイズを測定した。製造直後の着色組成物を用いたパターンサイズと、3ヶ月間静置した着色組成物を用いたパターンサイズの変化率を求め、以下の基準で経時安定性を評価した。
パターンサイズの変化率=(|製造直後の着色組成物を用いたパターンサイズ-3ヶ月間静置した着色組成物を用いたパターンサイズ|/製造直後の着色組成物を用いたパターンサイズ)×100
A:パターンサイズの変化率が1.0%未満である。
B:パターンサイズの変化率が1.0%を超え3.0%未満である。
C:パターンサイズの変化率が3.0%を超え5.0%未満である。
D:パターンサイズの変化率が5.0%を超え10.0%未満である。
E:パターンサイズの変化率が10.0%以上である。
【0250】
<残渣混色の評価>
(残渣混色1)
表3に記載の着色組成物を、下塗り層付ガラスウェハ上に乾燥後の膜厚が0.8μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、110℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行った。
次いで、得られた組成物層に対し、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon(株)製)を使用して、365nmの波長光を1000mJ/cm2にて、2cm×2cmのパターンを有するマスクを介して露光した。
その後、露光された塗布膜が形成されているガラスウェハを、スピン・シャワー現像機(DW-30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、CD-2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の60質量%希釈液を用いて23℃で60秒間パドル現像を行い、ガラスウェハ上にパターンを形成した。
パターンが形成されたガラスウェハを、真空チャック方式で水平回転テーブルに固定し、回転装置によってガラスウェハを回転数50rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行い、その後スピン乾燥した。
さらに、表3に記載の条件で、ホットプレートを用いた加熱処理(ポストベーク)、及び、ウシオ製UMA-802を用いた追加露光(光源:高圧水銀ランプ(オゾンレス)、波長254~350nmの光を含む)を行い、1層目のパターンが形成された単色カラーフィルタを得た。
次に、1層目のパターンを有するカラーフィルタの上に、表2-2に記載のPY150着色組成物を、乾燥後の膜厚が0.8μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行い、1層目のパターン上に2層目の着色組成物層(2層目)が形成された積層カラーフィルタを得た。
次いで、得られた積層カラーフィルタを、1層目のパターン形成と同様にして、現像、リンス、乾燥処理を施して、未硬化部の着色組成物層を現像除去した。
MCPD-3000(大塚電子(株)製)を使用してパターンの透過率を測定し、1層目のパターン形成直後の1層目のパターンの波長400-700nmにおける透過率と、2層目のパターン現像後の1層目のパターンの透過率変化が最も大きい波長での透過率変化をΔT%maxとし、残渣混色1の評価基準とした。
ΔT%max=|1層目のパターン形成直後の1層目のパターンの波長400-700nmにおける透過率-2層目のパターン現像後の1層目のパターンの透過率変化が最も大きい波長での透過率|
ΔT%maxが小さいほど残渣混色が発生しにくく、より望ましい。
A:ΔT%max<0.5%
B:0.5%≦ΔT%max<1.0%
C:1.0%≦ΔT%max<3.0%
D:3.0%≦ΔT%max<5.0%
E:ΔT%max≧5.0%
【0251】
(残渣混色2)
残渣混色評価1において、2層目の着色組成物を、表2-2に記載のPY139着色組成物を用いた以外は、残渣混色評価1と同様の方法で分光変動を算出し、評価した。
【0252】
(残渣混色3)
表2-2に記載の透明組成物を、下塗り層付ガラスウェハ上に乾燥後の膜厚が0.8μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、110℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行った。
次いで、得られた組成物層に対し、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon(株)製)を使用して、365nmの波長光を1000mJ/cm2にて、2cm×2cmのパターンを有するマスクを介して露光した。
その後、露光された塗布膜が形成されているガラスウェハを、スピン・シャワー現像機(DW-30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、CD-2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の60質量%希釈液を用いて23℃で60秒間パドル現像を行い、ガラスウェハ上にパターンを形成した。
パターンが形成されたガラスウェハを、真空チャック方式で水平回転テーブルに固定し、回転装置によってガラスウェハを回転数50rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行い、その後スピン乾燥した。
さらに、ホットプレートを用い、165℃で、10分ポストベークを行い、1層目のパターンが形成された単色カラーフィルタを得た。
次に、1層目のパターンを有するカラーフィルタの上に、表3に記載の着色組成物を、乾燥後の膜厚が0.8μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行い、1層目のパターン上に2層目の着色組成物層(2層目)が形成された積層カラーフィルタを得た。
次いで、得られた積層カラーフィルタを、1層目のパターン形成と同様にして、現像、リンス、乾燥処理を施して、未硬化部の着色組成物層を現像除去した。
MCPD-3000(大塚電子(株)製)を使用してパターンの透過率を測定し、1層目のパターン形成直後の1層目のパターンの波長400-700nmにおける透過率と、2層目のパターン現像後の1層目のパターンの透過率変化が最も大きい波長での透過率変化をΔT%maxとし、残渣混色3の評価基準とした。
【0253】
【表3】
【0254】
上記結果より、実施例は、耐湿性に優れた硬化膜を製造することができた。また、実施例の硬化膜は、シアン色として最適な分光特性を有していた。さらには、残渣、密着性、経時安定性および残渣混色の評価も良好であった。また、実施例30と、実施例31、32との結果より、追加露光を行うことで、残渣混色をより効果的に抑制することができた。また、アルミニウムフタロシアニン顔料として、A-1~A-7を使用した実施例1~42、44は、A-13を使用した実施例43に比べてシアン色の分光特性が特に優れていた。
一方、比較例の硬化膜は耐湿性が劣っていた。また、残渣、密着性および残渣混色の評価も劣っていた。