(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】めっき装置
(51)【国際特許分類】
C25D 17/10 20060101AFI20220620BHJP
【FI】
C25D17/10 C
C25D17/10 A
(21)【出願番号】P 2022515042
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(86)【国際出願番号】 JP2021035586
【審査請求日】2022-03-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】中濱 重之
(72)【発明者】
【氏名】長井 瑞樹
【審査官】國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0010147(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0041227(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 13/00-21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
めっき液が貯留されるとともに、アノードが配置されためっき槽と、
カソードとしての基板であって複数の辺を有する角形の基板を当該基板が前記アノードに対向するように保持する基板ホルダと、
前記めっき槽の内部における前記アノードと前記基板との間に配置されて、前記アノードと前記基板との間を流れる電流が通過可能な孔を有する中間マスクと、
補助アノードと、を備え、
前記中間マスクの前記孔は、前記基板の前記複数の辺にそれぞれ対応する複数の辺を有する角形の孔であり、
前記補助アノードは、前記基板と前記中間マスクとの間に、前記中間マスクの前記孔の少なくとも1つの辺に対応するように配置され、且つ、前記中間マスクの当該孔の当該辺の延在方向に延在し、
前記補助アノードにおける、当該補助アノードの延在方向の両方の端部から中央に向かう端部近傍領域は、ゼロよりも大きい電気伝導率を有するとともに前記めっき液の電気伝導率よりも低い電気伝導率を有する抵抗体によって被覆され、当該補助アノードの前記端部近傍領域よりも前記中央の側の領域は、前記抵抗体によって被覆されておらず、当該補助アノードの表面が露出している、めっき装置。
【請求項2】
前記抵抗体の電気伝導率は、前記抵抗体が被覆されている前記補助アノードの延在方向で中央側から端部側に向かうに従って低くなっている、請求項1に記載のめっき装置。
【請求項3】
前記抵抗体は、複数の孔を有し、
前記抵抗体における前記孔の密度が前記中央側から前記端部側に向かうに従って低くなることで、前記抵抗体の電気伝導率が前記中央側から前記端部側に向かうに従って低くなっている、請求項1又は2に記載のめっき装置。
【請求項4】
前記補助アノードの前記端部近傍領域の当該補助アノードの延在方向の長さは、当該補助アノードの全長の10%以下の長さである、請求項1~3のいずれか1項に記載のめっき装置。
【請求項5】
前記補助アノードを内部に収容する収容部を備え、
前記収容部には、前記基板の方を向くように開口した開口が設けられ、
前記開口は、前記めっき液に含まれる金属イオンが通過することは許容する一方で前記補助アノードの表面から発生した酸素が通過することは抑制する隔膜によって閉塞されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のめっき装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっき装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板にめっき処理を施すめっき装置として、めっき液が貯留されるとともに、アノードが配置されためっき槽と、カソードとしての基板をこの基板がアノードに対向するように保持する基板ホルダと、めっき槽の内部におけるアノードと基板との間の部分に配置された補助アノード(補助電極)と、を備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、この特許文献1に例示されためっき装置で用いられている基板は、複数の辺を有する角形の基板であり、且つ、基板の各々の辺から電気が給電される。そして、補助アノードは、基板の辺の延在方向に延在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような従来のめっき装置の場合、補助アノードの端部近傍領域から基板の辺の端部近傍領域(すなわち、角形の基板の「コーナー部」)に供給される電流の量が多くなり過ぎるおそれがある。この場合、基板のコーナー部の膜厚が基板の他の部位の膜厚に比較して増加して、基板の膜厚の面内均一性が悪化するおそれがある。
【0005】
そこで、上記の問題に対処するために、補助アノードの端部近傍領域を、電流遮蔽マスクで被覆することが考えられる。具体的には、この電流遮蔽マスクは絶縁体によって構成されており、電流を遮蔽する性質を有している。しかしながら、このような電流遮蔽マスクを用いた場合、今度は、基板のコーナー部に供給される電流の量が少なくなり過ぎてしまうおそれがある。この場合、基板のコーナー部の膜厚が基板の他の部位の膜厚に比較して減少してしまい、基板の膜厚の面内均一性を十分に図ることは困難になってしまう。
【0006】
以上のように、従来のめっき装置は、基板の膜厚の面内均一性を図るという観点において、改善の余地があった。
【0007】
本発明は、上記のことを鑑みてなされたものであり、基板の膜厚の面内均一性を図ることができる技術を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(態様1)
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係るめっき装置は、めっき液が貯留されるとともに、アノードが配置されためっき槽と、カソードとしての基板であって複数の辺を有する角形の基板を当該基板が前記アノードに対向するように保持する基板ホルダと、前記めっき槽の内部における前記アノードと前記基板との間に配置されて、前記アノードと前記基板との間を流れる電流が通過可能な孔を有する中間マスクと、補助アノードと、を備え、前記中間マスクの前記孔は、前記基板の前記複数の辺にそれぞれ対応する複数の辺を有する角形の孔であり、前記補助アノードは、前記基板と前記中間マスクとの間に、前記中間マスクの前記孔の少なくとも1つの辺に対応するように配置され、且つ、前記中間マスクの当該孔の当該辺の延在方向に延在し、前記補助アノードにおける、当該補助アノードの延在方向の両方の端部から中央に向かう端部近傍領域は、ゼロよりも大きい電気伝導率を有するとともに前記めっき液の電気伝導率よりも低い電気伝導率を有する抵抗体によって被覆され、当該補助アノードの前記端部近傍領域よりも前記中央の側の領域は、前記抵抗体によって被覆されておらず、当該補助アノードの表面が露出している。
【0009】
この態様によれば、補助アノードの端部近傍領域が上記のような抵抗体で被覆されているので、補助アノードの端部近傍領域から基板の辺の端部近傍領域(すなわち、角形の基板の「コーナー部」)に向かって流れる電流の量を減少させることができる。これにより、基板のコーナー部の膜厚が基板の他の部位の膜厚に比較して増加することを抑制することができる。また、抵抗体は、絶縁体によって構成された電流遮蔽マスクに比較して電気伝導率が高いので、例えば補助アノードの端部近傍領域が電流遮蔽マスクによって被覆される場合のように、基板のコーナー部の膜厚が基板の他の部位の膜厚に比較して減少することも抑制することができる。したがって、この態様によれば、基板の膜厚の面内均一性を図ることができる。
【0010】
(態様2)
上記の態様1において、前記抵抗体の電気伝導率は、前記抵抗体が被覆されている前記補助アノードの延在方向で中央側から端部側に向かうに従って低くなっていてもよい。
【0011】
この態様によれば、基板の膜厚の面内均一性を効果的に図ることができる。
【0012】
(態様3)
上記の態様1又は2において、前記抵抗体は、複数の孔を有し、前記抵抗体における前記孔の密度が前記中央側から前記端部側に向かうに従って低くなることで、前記抵抗体の電気伝導率が前記中央側から前記端部側に向かうに従って低くなっていてもよい。
【0013】
抵抗体の孔の密度を調整することは容易であるので、この態様によれば、抵抗体の電気伝導率を中央側から端部側に向かうに従って低くすることが容易にできる。
【0014】
(態様4)
上記の態様1~3のいずれか1態様によれば、前記補助アノードの前記端部近傍領域の当該補助アノードの延在方向の長さは、当該補助アノードの全長の10%以下の長さであってもよい。
【0015】
(態様5)
上記の態様1~4のいずれか1態様において、前記補助アノードを内部に収容する収容部を備え、前記収容部には、前記基板の方を向くように開口した開口が設けられ、前記開口は、前記めっき液に含まれる金属イオンが通過することは許容する一方で前記補助アノードの表面から発生した酸素が通過することは抑制する隔膜によって閉塞されていてもよい。
【0016】
この態様によれば、仮に補助アノードの表面から酸素が発生した場合であっても、この発生した酸素が収容部の外側のめっき液に侵入することを抑制することができる。これにより、この収容部の外側のめっき液に侵入した酸素に起因して、基板のめっき品質が悪化することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係るめっき装置の全体配置図である。
【
図2】実施形態に係るめっき装置における1つのめっき槽の周辺構成を示す模式的な断面図である。
【
図3】実施形態に係る基板の模式的な正面図である。
【
図4】実施形態に係るコンタクト部材の構成を説明するための模式図である。
【
図5】実施形態に係る複数の補助アノードの模式的な正面図である。
【
図6】実施形態に係る1つの補助アノードを拡大して示す模式図である。
【
図7】実施形態に係る中間マスクの周辺構成の模式的な斜視図である。
【
図8】実施例に係るめっき装置の実験結果を示す図である。
【
図9】比較例1に係るめっき装置の実験結果を示す図である。
【
図10】比較例2に係るめっき装置の実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面は、実施形態の特徴の理解を容易にするために模式的に図示されており、各構成要素の寸法比率等は実際のものと同じであるとは限らない。また、いくつかの図面には、参考用として、X-Y-Zの直交座標が図示されている。この直交座標のうち、Z方向は上方に相当し、-Z方向は下方(重力が作用する方向)に相当する。
【0019】
図1は、本実施形態に係るめっき装置1の全体配置図である。
図1に例示するように、本実施形態に係るめっき装置1は、2台のカセットテーブル102と、基板Wfのオリエンテーションフラットやノッチなどの位置を所定の方向に合わせるアライナ104と、めっき処理後の基板Wfを高速回転させて乾燥させるスピンリンスドライヤ106とを備える。カセットテーブル102は、半導体ウェハ等の基板Wfを収納したカセット100を搭載する。スピンリンスドライヤ106の近くには、基板ホルダ20を載置して基板Wfの着脱を行うロード/アンロードステーション120が設けられている。搬送ロボット122は、カセット100、アライナ104、スピンリンスドライヤ106、及び、ロード/アンロードステーション120の間で基板Wfを搬送するためのロボットである。
【0020】
ロード/アンロードステーション120は、レール150に沿って横方向にスライド自在な平板状の載置プレート152を備えている。2個の基板ホルダ20は、この載置プレート152に水平状態で並列に載置されている。一方の基板ホルダ20と搬送ロボット122との間で基板Wfの受渡しが行われた後、載置プレート152が横方向にスライドされ、他方の基板ホルダ20と搬送ロボット122との間で基板Wfの受渡しが行われる。
【0021】
また、めっき装置1は、ストッカ124と、プリウェットモジュール126と、プリソークモジュール128と、第1リンスモジュール130aと、ブローモジュール132と、第2リンスモジュール130bと、めっきモジュール110と、搬送装置140と、制御モジュール170と、を備えている。ストッカ124では、基板ホルダ20の保管及び一時仮置きが行われる。プリウェットモジュール126では、基板Wfが純水に浸漬される。プリソークモジュール128では、基板Wfの表面に形成したシード層等の導電層の表面の酸化膜がエッチング除去される。第1リンスモジュール130aでは、プリソーク後の基板Wfが基板ホルダ20と共に洗浄液(純水等)で洗浄される。ブローモジュール132では、洗浄後の基板Wfの液切りが行われる。第2リンスモジュール130bでは、めっき処理後の基板Wfが基板ホルダ20と共に洗浄液で洗浄される。
【0022】
めっきモジュール110は、例えば、オーバーフロー槽136の内部に複数のめっき槽10を収納するように構成されている。各々のめっき槽10は、内部に1つの基板Wfを収納し、内部に保持しためっき液中に基板Wfを浸漬させて基板Wfの表面に銅めっき等を施すように構成されている。
【0023】
搬送装置140は、めっき装置1を構成する各機器の間で基板ホルダ20を基板Wfとともに搬送する、例えばリニアモータ方式を採用した搬送装置である。本実施形態に係る搬送装置140は、一例として、第1搬送装置142及び第2搬送装置144を有している。第1搬送装置142は、ロード/アンロードステーション120、ストッカ124、プリウェットモジュール126、プリソークモジュール128、第1リンスモジュール130a、及び、ブローモジュール132との間で基板Wfを搬送する。第2搬送装置144は、第1リンスモジュール130a、第2リンスモジュール130b、ブローモジュール132、及び、めっきモジュール110との間で基板Wfを搬送する。なお、めっき装置1は、第2搬送装置144を備えずに、第1搬送装置142のみを備えるようにしてもよい。
【0024】
オーバーフロー槽136の両側には、各々のめっき槽10の内部に位置してめっき槽10内のめっき液を攪拌するパドルを駆動する、パドル駆動部160及びパドル従動部162が配置されている。
【0025】
制御モジュール170は、めっき装置1の動作を制御するように構成されている。具体的には、本実施形態に係る制御モジュール170は、マイクロコンピュータを備えており、このマイクロコンピュータは、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)171や、非一時的な記憶媒体としての記憶装置172、等を備えている。制御モジュール170は、記憶装置172に記憶されたプログラムの指令に従ってCPU171が作動することで、めっき装置1の被制御部を制御する。
【0026】
めっき装置1による一連のめっき処理の一例を説明する。まず、カセットテーブル102に搭載したカセット100から、搬送ロボット122で基板Wfを1つ取出し、アライナ104に基板Wfを搬送する。アライナ104は、オリエンテーションフラットやノッチなどの位置を所定の方向に合わせる。この所定の方向に位置が合わせられた基板Wfを搬送ロボット122でロード/アンロードステーション120にまで搬送する。
【0027】
ロード/アンロードステーション120においては、ストッカ124内に収容されていた基板ホルダ20を搬送装置140の第1搬送装置142で2基同時に把持して、ロード/アンロードステーション120にまで搬送する。そして、2基の基板ホルダ20を、ロード/アンロードステーション120の載置プレート152の上に同時に水平に載置する。この状態で、それぞれの基板ホルダ20に搬送ロボット122が基板Wfを搬送し、搬送した基板Wfを基板ホルダ20で保持する。
【0028】
次に、基板Wfを保持した基板ホルダ20を搬送装置140の第1搬送装置142で2基同時に把持し、プリウェットモジュール126に収納する。次に、プリウェットモジュール126で処理された基板Wfを保持した基板ホルダ20を、第1搬送装置142でプリソークモジュール128に搬送し、プリソークモジュール128で基板Wf上の酸化膜をエッチングする。続いて、この基板Wfを保持した基板ホルダ20を、第1リンスモジュール130aに搬送し、第1リンスモジュール130aに収納された純水で基板Wfの表面を水洗する。
【0029】
水洗が終了した基板Wfを保持した基板ホルダ20は、第2搬送装置144により、第1リンスモジュール130aからめっきモジュール110に搬送され、めっき槽10に収納される。第2搬送装置144は、上記の手順を順次繰り返し行って、基板Wfを保持した基板ホルダ20を順次めっきモジュール110の各々のめっき槽10に収納する。
【0030】
各々のめっき槽10では、めっき槽10内のアノードと基板Wfとの間にめっき電圧が印加されて、基板Wfの表面にめっき処理が施される。このめっき処理時において、パドル駆動部160及びパドル従動部162によりパドルが駆動されることで、めっき槽10のめっき液は撹拌されてもよい。但し、めっき装置1の構成はこれに限定されるものではなく、例えば、めっき装置1は、パドル、パドル駆動部160及びパドル従動部162を備えていない構成とすることもできる。
【0031】
めっき処理が施された後、めっき処理後の基板Wfを保持した基板ホルダ20を第2搬送装置144で2基同時に把持し、第2リンスモジュール130bまで搬送し、第2リンスモジュール130bに収容された純水に浸漬させて基板Wfの表面を純水で洗浄する。次に、基板ホルダ20を、第2搬送装置144によってブローモジュール132に搬送し、エアーの吹き付け等によって基板ホルダ20に付着した水滴を除去する。その後、基板ホルダ20を、第1搬送装置142によってロード/アンロードステーション120に搬送する。
【0032】
ロード/アンロードステーション120では、搬送ロボット122によって基板ホルダ20から処理後の基板Wfが取り出され、スピンリンスドライヤ106に搬送される。スピンリンスドライヤ106は、高速回転によってめっき処理後の基板Wfを高速回転させて乾燥させる。乾燥した基板Wfは、搬送ロボット122によりカセット100に戻される。
【0033】
なお、上述した
図1で説明しためっき装置1の構成は、一例に過ぎず、めっき装置1の構成は、
図1の構成に限定されるものではない。
【0034】
続いて、めっき装置1におけるめっき槽10の周辺構成の詳細について説明する。なお、本実施形態に係る複数のめっき槽10の構成は同様であるので、1つのめっき槽10の周辺構成について説明する。
【0035】
図2は、本実施形態に係るめっき装置1における1つのめっき槽10の周辺構成を示す模式的な断面図である。なお、
図2は、基板Wfにめっき処理が施されている最中のめっき槽10の周辺構成を模式的に図示している。
図2に例示されているめっき装置1は、一例として、基板Wfの面方向(面に沿った方向)を上下方向にして基板Wfをめっき液Psに浸漬させるタイプのめっき装置(すなわち、ディップ式のめっき装置)である。
【0036】
但し、めっき装置1の具体例は、これに限定されるものではない。他の一例を挙げると、めっき装置1は、基板Wfの面方向を水平方向にして基板Wfをめっき液Psに浸漬させるタイプのめっき装置(すなわち、カップ式のめっき装置)であってもよい。
【0037】
図2に例示するように、本実施形態に係るめっき槽10は、上部が開口した有底の容器によって構成されている。めっき槽10の内部には、めっき液Psが貯留されている。めっき液Psとしては、めっき皮膜を構成する金属元素のイオンを含む溶液であればよく、その具体例は特に限定されるものではない。本実施形態においては、めっき処理の一例として、銅めっき処理を用いており、めっき液Psの一例として、硫酸銅溶液を用いている。
【0038】
めっき装置1は、アノード30と、アノードボックス40と、隔膜50と、アノードマスク45と、を備えている。アノードボックス40は、めっき槽10の内部に配置されている。アノードボックス40は、アノード30を内部に収容するための部材(収容部材)である。本実施形態に係るアノード30は、このアノードボックス40の内部に配置されている。アノードボックス40における基板Wfに対向した部分には、開口40aが設けられている。隔膜50は、この開口40aを閉塞するように設けられている。アノードボックス40の内部には、めっき液Psが貯留されている。
【0039】
アノード30は、電源(図示せず)の陽極(+極)に、電気的に接続されている。アノード30の具体的な種類は特に限定されるものではなく、不溶解アノードであってもよく、溶解アノードであってもよい。本実施形態では、アノード30の一例として、不溶解アノードを用いている。この不溶解アノードの具体的な種類は特に限定されるものではなく、白金や酸化イリジウム等を用いることができる。
【0040】
隔膜50は、めっき液Psに含まれる金属イオン(例えば硫酸銅中の銅イオン)が通過することは許容する一方でアノード30の表面から発生した酸素が通過することは抑制する膜によって構成されている。このような隔膜50としては、例えば中性隔膜を用いることができる。
【0041】
本実施形態によれば、上記のようにアノード30がアノードボックス40の内部に収容され、このアノードボックス40の開口40aが隔膜50によって閉塞されているので、めっき処理時において仮にアノード30の表面から酸素が発生した場合であっても、この発生した酸素がアノードボックス40の外側のめっき液Psに侵入することを抑制することができる。これにより、このアノードボックス40の外側のめっき液Psに侵入した酸素に起因して、基板Wfのめっき品質が悪化することを抑制することができる。
【0042】
アノードマスク45は、アノード30と基板Wfとの間に配置されている。また、本実施形態に係るアノードマスク45は、アノードボックス40の内部に配置されている。アノードマスク45は、アノード30と基板Wfとの間を流れる電気が通過することが可能な孔45aを、アノードマスク45の中央に有している。
【0043】
なお、アノードボックス40、隔膜50、及び、アノードマスク45は、本実施形態に必須の構成というわけではない。めっき装置1は、これらの構成を備えていなくてもよい。
【0044】
基板ホルダ20は、カソードとしての基板Wfを保持するための部材である。具体的には、基板ホルダ20は、基板Wfのめっき処理時において、基板Wfの表面がアノード30に対向するように、基板Wfを保持する。より具体的には、本実施形態に係る基板ホルダ20は、基板Wfの面方向が上下方向になるように基板Wfを保持している。めっき処理によって、基板Wfの被めっき面(アノード30に対向する面)に、めっき皮膜が形成される。
【0045】
図3は、基板Wfの模式的な正面図である。具体的には、
図3は、基板Wfの被めっき面の法線方向から基板Wfを視認した様子を図示している。本実施形態に係る基板Wfは、複数の辺を有する角形の基板である。基板Wfの辺の個数は特に限定されるものではなく、3つでもよく、4つでもよく、5つ以上でもよい。本実施形態に係る基板Wfの辺の個数は、一例として4つである。すなわち、本実施形態に係る基板Wfは、辺90a、辺90b、辺90c、及び、辺90dを有する、四角形の角形基板である。辺90a及び辺90bは互いに対向し、辺90c及び辺90dは互いに対向している。
【0046】
また、一例として、本実施形態に係る基板Wfの各々の辺の長さは、互いに等しい。すなわち、本実施形態に係る基板Wfは、正面視で正方形の形状を有している。但し、基板Wfの構成はこれに限定されるものではなく、例えば、基板Wfの各々の辺の長さは互いに異なっていてもよい。
【0047】
また、本実施形態において、基板Wfに給電される電気は、基板Wfの各々の辺から供給される。具体的には、本実施形態に係る基板Wfは、基板Wfの各々の辺から、後述するコンタクト部材80を介して、電気が給電される。但し、この構成に限定されるものではなく、例えば、基板Wfに給電される電気は、基板Wfの互いに向かい合う2辺から給電することも可能である。
【0048】
図4は、コンタクト部材80の構成を説明するための模式図である。コンタクト部材80は、基板ホルダ20に配置されている。コンタクト部材80は、電気配線としてのバスバー82を介して、電源の陰極(-極)に、電気的に接続されている。
図4のA1部分の拡大図を参照して、コンタクト部材80は、複数のコンタクトピン81を有している。このコンタクトピン81が、基板Wfの各々の辺(辺90a~辺90d)に接触することで、基板Wfの各々の辺に電気が給電される。
【0049】
図2を再び参照して、本実施形態に係るめっき装置1は、少なくとも1つの補助アノードを備えている。すなわち、めっき装置1は、1つの補助アノードを備えていてもよく、複数の補助アノードを備えていてもよい。本実施形態に係るめっき装置1は、一例として、複数の補助アノード(補助アノード60a~60d)を備えている。複数の補助アノードは、めっき槽10の内部におけるアノード30と基板Wfとの間の部分に配置されており、具体的には、基板Wfと後述する中間マスク70との間の部分に配置されている。また、本実施形態に係る補助アノードは、後述する収容部71の内部に収容されている。複数の補助アノードは、アノード30と同様に、電源の陽極に、電気的に接続されている。
【0050】
補助アノードの具体的な種類は特に限定されるものではなく、不溶解アノードであってもよく、溶解アノードであってもよい。本実施形態では、補助アノードの一例として、不溶解アノードを用いている。この不溶解アノードの具体的な種類は特に限定されるものではなく、白金や酸化イリジウム等を用いることができる。
【0051】
図5は、複数の補助アノードの模式的な正面図である。具体的には、
図5は、基板Wfの被めっき面の法線方向から複数の補助アノードを視認した様子を模式的に図示している。なお、
図5には、参考用として、基板Wfも二点鎖線で図示されている。補助アノードの個数は、基板Wfの辺の個数と一致するとともに、後述する中間マスク70の孔70aの辺の個数と一致している。
【0052】
具体的には、本実施形態に係る補助アノードの個数は、一例として4つである。すなわち、本実施形態に係る複数の補助アノードは、補助アノード60a、補助アノード60b、補助アノード60c、及び、補助アノード60dによって構成されている。各々の補助アノードは、
図5に示すように、基板Wfの被めっき面の法線方向から視認した場合に、基板Wfの各辺の近傍に位置するように配置されている。
【0053】
また、各々の補助アノードは、中間マスク70の後述する孔70aの各々の辺に対応するように配置されるとともに、この孔70aの辺の延在方向に延在している(孔70aの辺については、後述する
図7を参照)。具体的には、補助アノード60aは、孔70aの辺72aに対応し、且つ、辺72aの延在方向(Y方向)に延在している。補助アノード60bは、孔70aの辺72bに対応し、且つ、辺72bの延在方向(Y方向)に延在している。補助アノード60cは、孔70aの辺72cに対応し、且つ、辺72cの延在方向(Z方向)に延在している。補助アノード60dは、孔70aの辺72dに対応し、且つ、辺72dの延在方向(Z方向)に延在している。
【0054】
また、本実施形態に係る各々の補助アノードは、基板Wfの各々の辺に対応するように配置されるとともに、基板Wfの各々の辺の延在方向にも延在している。具体的には、補助アノード60aは基板Wfの辺90aに対応し、且つ、辺90aの延在方向(Y方向)に延在している。補助アノード60bは辺90bに対応し、且つ、辺90bの延在方向(Y方向)に延在している。補助アノード60cは辺90cに対応し、且つ、辺90cの延在方向(Z方向)に延在している。補助アノード60dは辺90dに対応し、且つ、辺90dの延在方向(Z方向)に延在している。
【0055】
複数の補助アノードへの給電は、同時に行ってもよく、個別に行ってもよい。また、複数の補助アノードのうち、互いに向かい合い且つ互いに平行に延在した一対の補助アノード毎に、給電してもよい。また、上述したように、本実施形態に係る補助アノードは、基板Wfの各々の辺に対応するように配置されているが、この構成に限定されるものではない。補助アノードは、基板Wfの1辺のみや向かい合う2辺のみに対応するように、配置されていてもよい。
【0056】
図2を再び参照して、めっき装置1は、中間マスク70と、隔膜51とを備えている。
図7は、中間マスク70の周辺構成の模式的な斜視図である。
図2及び
図7を参照して、中間マスク70は、アノード30と基板Wfとの間に配置されている。具体的には、本実施形態に係る中間マスク70は、アノードボックス40と基板Wfとの間に配置されている。中間マスク70は、アノード30と基板Wfとの間を流れる電気が通過可能な孔70aを、中間マスク70の中央に有している。
【0057】
中間マスク70の孔70aは、角形の孔であり、基板Wfの複数の辺にそれぞれ対応する複数の辺(辺72a,72b,72c,72d)を有している。具体的には、辺72aは、基板Wfの辺90aに対応し、辺72bは基板Wfの辺90bに対応し、辺72cは基板Wfの辺90cに対応し、辺72dは基板Wfの辺90dに対応している。また、辺72aは辺90aの延在方向に延在し、辺72bは辺90bの延在方向に延在し、辺72cは辺90cの延在方向に延在し、辺72dは辺90dの延在方向に延在している。
【0058】
本実施形態に係る中間マスク70の基板Wfに対向する面には、補助アノード60a,60b,60c,60dを収容するための収容部71が設けられている。収容部71は、基板Wfの方を向くように開口した開口71aを有している。
【0059】
隔膜51は、収容部71の開口71aを閉塞している。収容部71の内部には、めっき液Psが貯留されている。隔膜51としては、前述した隔膜50と同様のものを用いることができる。すなわち、本実施形態に係る隔膜51は、めっき液Psに含まれる金属イオン(例えば硫酸銅中の銅イオン)が通過することは許容する一方で補助アノードの表面から発生した酸素が通過することは抑制する膜によって構成されている。このような隔膜51としては、例えば中性隔膜を用いることができる。
【0060】
本実施形態によれば、上記のように補助アノードが収容部71に収容され、この収容部71の開口71aが隔膜51によって閉塞されているので、めっき処理時において仮に補助アノードの表面から酸素が発生した場合であっても、この発生した酸素が収容部71の外側のめっき液Psに侵入することを抑制することができる。これにより、この収容部71の外側のめっき液Psに侵入した酸素に起因して、基板Wfのめっき品質が悪化することを抑制することができる。
【0061】
図6は、複数の補助アノードのうち1つの補助アノード(具体的には補助アノード60a)を拡大して示す模式図である。
図5及び
図6に示すように、各々の補助アノードにおける、補助アノードの延在方向の両方の端部から中央に向かう領域(「端部近傍領域R1」と称する)は、抵抗体65によって被覆されている。一方、各々の補助アノードにおける端部近傍領域R1よりも中央の側の領域(「非端部領域R2」と称する)は、抵抗体65によって被覆されておらず、補助アノードの表面が露出している。すなわち、各々の補助アノードは、抵抗体65によって被覆された領域(端部近傍領域R1)と、抵抗体65によって被覆されていない領域(非端部領域R2)とを有している。
【0062】
なお、本実施形態において、補助アノードにおける端部近傍領域R1の長さ(補助アノードの延在方向で測定した場合の長さ)は、一例として、補助アノードの全長D1の10%以下の長さになっている。また、本実施形態において、補助アノードの中央よりも一方の側の端部近傍領域R1の長さと、他方の側の端部近傍領域R1の長さは、同じ値であるが、これに限定されるものではない。補助アノードの中央よりも一方の側の端部近傍領域R1の長さと、他方の側の端部近傍領域R1の長さは、互いに異なっていてもよい。
【0063】
また、抵抗体65は、補助アノードの端部近傍領域R1のうち、補助アノードの延在方向に延在する外周側面(例えば、
図6では、Y方向に延在する外周側面)のみならず、補助アノードの延在方向の端面(例えば、
図6では補助アノード60aのY方向及び-Y方向を向いた端面)も被覆している。
【0064】
抵抗体65は、ゼロよりも大きい電気伝導率を有するとともに、めっき液Psの電気伝導率よりも低い電気伝導率を有している。
【0065】
また、
図6のB1部分の拡大図やB2部分の拡大図を参照して、本実施形態に係る抵抗体65は、この抵抗体65が被覆されている補助アノードの延在方向で中央側から端部側に向かうに従って、抵抗体65の電気伝導率が低くなるように構成されている。
【0066】
上述した構成の具体例として、本実施形態に係る抵抗体65は、複数の孔66を有する部材(すなわち、「多孔質部材」)によって構成されている。具体的には、本実施形態に係る抵抗体65は、複数の孔66を有する絶縁体からなる多孔質部材によって構成されている。なお、複数の孔66は、絶縁体を貫通するように設けられている。この絶縁体としては、例えば、ポリエーテルエーテルケトンやポリ塩化ビニル等の樹脂を用いることができる。電気は、この抵抗体65の孔66を通過して流れることができる。これにより、抵抗体65はゼロよりも大きい電気伝導率を有している。
【0067】
そして、抵抗体65は、抵抗体65における孔66の密度(抵抗体65の単位体積当たりにおける、孔66の体積)が、補助アノードの延在方向で中央側から端部側に向かうに従って、低くなるように構成されている。抵抗体65の孔66の密度を調整することは容易であるので、この構成によれば、抵抗体65の電気伝導率を中央側から端部側に向かうに従って低くすることが容易にできる。
【0068】
以上説明したような本実施形態によれば、補助アノードの延在方向の端部近傍領域R1が上述した抵抗体65によって被覆されているので、補助アノードの端部近傍領域R1から基板Wfの辺の端部近傍領域(すなわち、角形の基板Wfの「コーナー部91」)に向かって流れる電流の量を減少させることができる。これにより、基板Wfのコーナー部91の膜厚が基板Wfの他の部位の膜厚に比較して増加することを抑制することができる。また、抵抗体65は、電流遮蔽マスクに比較して電気伝導率が高いので、補助アノードの端部近傍領域R1が電流遮蔽マスクによって被覆される場合のように、基板Wfのコーナー部91の膜厚が基板Wfの他の部位の膜厚に比較して減少することも抑制することができる。したがって、この態様によれば、基板Wfの膜厚の面内均一性を図ることができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、抵抗体65の電気伝導率が、この抵抗体65が被覆されている補助アノードの延在方向で中央側から端部側に向かうに従って低くなっているので、基板Wfの膜厚の面内均一性を効果的に図ることができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態や変形例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態や変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、さらなる種々の変形・変更が可能である。
【実施例】
【0071】
以下、本発明の実施例について、比較例とともに説明する。但し、本発明は以下に説明する実施例に限定されるものではない。
【0072】
図8は、実施例に係るめっき装置1の実験結果を示す図である。
図9は、比較例1に係るめっき装置の実験結果を示す図である。
図10は、比較例2に係るめっき装置の実験結果を示す図である。
図8、
図9、及び、
図10の横軸は、基板Wfの辺の中央からの距離(mm)を示し、縦軸は、基板Wfのめっき皮膜の膜厚(μm)を示している。なお、膜厚の測定箇所は、前述した
図3で「E1」で示した箇所(辺90aの近傍箇所)である。
【0073】
図8の測定に用いためっき装置1の基板Wfは、
図3等で説明した角形の基板Wf(具体的には、正面視で正方形の基板)である。この基板Wfの各辺の長さは600mmである。また、測定で用いた補助アノードの延在方向の全長D1は510mmであり、補助アノードの端部近傍領域R1の長さは30mmであり、補助アノードの非端部領域R2の長さは450mmである。
【0074】
但し、
図8の測定に用いた抵抗体65は、
図6で説明したような、電気伝導率が補助アノードの延在方向に変化したものではなく、電気伝導率が補助アノードの延在方向で中央側から端部側に向かって一様なものを用いた。このようなめっき装置1を用いて、基板Wfにめっき処理を施して、基板Wfの膜厚を測定した。
【0075】
一方、
図9に示す比較例1に係るめっき装置は、補助アノードに抵抗体65や電流遮蔽マスクが配置されていない点において、実施例に係るめっき装置1と異なっている。
図10に示す比較例2に係るめっき装置は、抵抗体65の代わりに、電流遮蔽マスクが補助アノードに配置されている点において、実施例に係るめっき装置1と異なっている。この電流遮蔽マスクは、絶縁体によって構成されている。この絶縁体としては、ポリエーテルエーテルケトンを用いた。
【0076】
図9のC1部分やC2部分から分かるように、比較例1に係るめっき装置の場合、基板の辺の端部近傍領域(すなわち、「コーナー部」)の膜厚が基板の辺の中央部の膜厚に比較して、増加している。これは、各々の補助アノードの端部近傍領域から基板のコーナー部に供給される電流の量が多くなり過ぎてしまい、この結果、基板のコーナー部の膜厚が基板の他の部位の膜厚に比較して増加したものと考えられる。
【0077】
一方、
図10の比較例2に係るめっき装置の場合、
図10のC1部分やC2部分から分かるように、基板のコーナー部の膜厚が基板の辺の中央部の膜厚に比較して減少している。これは、電流遮蔽マスクによって、補助アノードの端部近傍領域から基板のコーナー部に向かって流れる電流が遮蔽されたことに起因するものと考えられる。
【0078】
また、
図10のC3部分やC4部分から分かるように、比較例2に係るめっき装置の場合、基板におけるコーナー部よりも中央側部分の端部近傍領域(中央からの距離が-200mm又は200mmの近傍領域)において、膜厚が増加していることが分かる。これは、電流遮蔽マスクによって遮蔽された電流がこの部分に集中したことに起因するものと考えられる。なお、この比較例2に係るめっき装置を用いた基板Wfの膜厚の面内均一度は、「Range/2Ave(すなわち、(膜厚の最大値-最小値)/(膜厚の平均値×2))」で測定した場合で7%である。
【0079】
これに対して、
図8に示す本実施例によれば、比較例1のようなC1部分及びC2部分における膜厚増加が認められず、また、比較例2のようなC1部分及びC2部分における膜厚低下も認められない。さらに、比較例2のような、C3部分及びC4部分における膜厚増加も認められない。この結果、本実施例によれば、基板Wfの辺の中央からコーナー部91にかけて、一様な膜厚が得られていることが分かる。なお、本実施例に係るめっき装置1を用いた基板Wfの膜厚の面内均一度は、「Range/2Ave」で測定した場合で2%である。このように、本実施例によれば、基板Wfの膜厚の面内均一性を図ることができる。
【符号の説明】
【0080】
1 めっき装置
10 めっき槽
20 基板ホルダ
30 アノード
51 隔膜
60a,60b,60c,60d 補助アノード
65 抵抗体
66 孔
70 中間マスク
70a 孔
71 収容部
71a 開口
72a,72b,72c,72d 辺
Ps めっき液
Wf 基板
90a,90b,90c,90d 基板の辺
【要約】
基板の膜厚の面内均一性を図ることができる技術を提供する。
めっき装置1は、補助アノード60a,60b,60c,60dを備え、補助アノードの延在方向の端部近傍領域は、ゼロよりも大きい電気伝導率を有するとともにめっき液の電気伝導率よりも低い電気伝導率を有する抵抗体65によって被覆され、補助アノードの端部近傍領域よりも中央の側の領域は、抵抗体によって被覆されておらず、補助アノードの表面が露出している。