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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】搬送装置、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/36 20060101AFI20220620BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
B65H5/36
G03G15/00 446
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018037956
(22)【出願日】2018-03-02
(65)【公開番号】P2019151462
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】大野 達裕
【審査官】金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-114401(JP,A)
【文献】特開2010-143708(JP,A)
【文献】特開2010-85491(JP,A)
【文献】特開2011-81164(JP,A)
【文献】実開昭64-56435(JP,U)
【文献】実開平1-70746(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/36
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部に向けてシートを所定の搬送方向に搬送する搬送装置であって、
前記画像形成部に対して搬送方向上流側に配置されて、その位置を通過するシートの表面に対して上方で対向する第1ガイド部材と、
前記第1ガイド部材に対して、その位置を通過するシートを介して下方で対向するように配置された第2ガイド部材と、
前記第2ガイド部材のガイド面から前記第1ガイド部材に向けて下方から上方へ突出するように付勢された突出部材と、
を備え、
前記第1ガイド部材と前記突出部材とのギャップに、そのギャップよりも大きな厚みのシートが通過するときに、前記第1ガイド部材に向けた付勢に抗するように前記突出部材が前記第1ガイド部材から離れる方向に移動することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記画像形成部は、画像が担持されるベルト部材と、前記ベルト部材に担持された画像をシートの画像形成面に転写する転写部材と、が対向又は接触するように設けられ、
前記ベルト部材は、前記第1ガイド部材との間隔が前記搬送方向の上流側から下流側に向かって狭くなる傾斜面を有することを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記突出部材を保持する保持部材と、
前記保持部材を前記第1ガイド部材の側に向けて付勢する付勢部材と、
を備え、
前記保持部材と前記付勢部材とは、前記傾斜面の下方であって、前記第1ガイド部材の下方に配置されたことを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記突出部材を保持する保持部材と、
前記保持部材を前記第1ガイド部材の側に向けて付勢する付勢部材と、
を備え、
前記第2ガイド部材は、前記ガイド面から前記突出部材を突出させる穴部と、前記付勢部材によって付勢される前記保持部材又は前記突出部材の前記第1ガイド部材の側への移動を規制する規制部と、を具備したことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれかに記載の搬送装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シートを搬送する搬送装置と、それを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置において、画像形成部に向けてシートを搬送する搬送装置が設置されたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
詳しくは、特許文献1における画像形成装置は、転写ニップ部(画像形成部)に向けてシートを案内するために、転写ニップ部の上流側に一対のガイド部材を設けている。一対のガイド部材は、その位置を通過するシートの画像形成面(画像が転写される面である。)に対向する第1ガイド部材と、シートの非画像形成面に対向する第2ガイド部材と、で構成されている。そして、特許文献1において、第1ガイド部材には、そのガイド面に、幅方向に間隔をあけて複数のリブ状突起部が形成されている。
そして、シートは、一対のガイド部材に案内されながら転写ニップ部に搬送されて、転写ニップ部の位置で画像形成面に画像が転写されることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の画像形成装置は、画像形成部に向けて搬送されるシートの先端の姿勢が不安定になってしまい、シートの表面(画像形成面)に形成する画像の搬送方向の位置が、狙いの位置からズレてしまうことがあった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、画像形成部に向けて搬送されるシートの姿勢が安定化する、搬送装置、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明における搬送装置は、画像形成部に向けてシートを所定の搬送方向に搬送する搬送装置であって、前記画像形成部に対して搬送方向上流側に配置されて、その位置を通過するシートの表面に対して上方で対向する第1ガイド部材と、前記第1ガイド部材に対して、その位置を通過するシートを介して下方で対向するように配置された第2ガイド部材と、前記第2ガイド部材のガイド面から前記第1ガイド部材に向けて下方から上方へ突出するように付勢された突出部材と、を備え、前記第1ガイド部材と前記突出部材とのギャップに、そのギャップよりも大きな厚みのシートが通過するときに、前記第1ガイド部材に向けた付勢に抗するように前記突出部材が前記第1ガイド部材から離れる方向に移動するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像形成部に向けて搬送されるシートの姿勢が安定化する、搬送装置、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】作像部の一部を拡大して示す構成図である。
図3】中間転写ベルト装置や搬送装置を示す概略図である。
図4】搬送装置の要部を示す拡大図である。
図5】第2ガイド部材を示す上面図である。
図6】厚みの異なるシートが搬送されるときの球状部材(突出部材)の動作を示す図である。
図7】変形例としての、搬送装置の要部を示す拡大図である。
図8図7の搬送装置における第2ガイド部材を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、図1及び図2にて、画像形成装置100における全体の構成・動作について説明する。
図1は画像形成装置としてのプリンタを示す構成図であり、図2はその作像部の一部を示す拡大図である。
図1に示すように、画像形成装置本体100の中央には、像担持体としての中間転写ベルト8(中間転写体)が設置されている。また、中間転写ベルト8の上方には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kが並設されている。また、中間転写ベルト8の下方には、2次転写ニップ部(画像形成部)に向けてシートPを搬送する搬送装置60が設置されている。
【0011】
図2を参照して、イエローに対応した作像部6Yは、感光体としての感光体ドラム1Yと、感光体ドラム1Yの周囲に配設された帯電装置4Y、現像装置5Y、クリーニング装置2Y、潤滑剤供給装置3、除電装置、等で構成されている。そして、感光体ドラム1Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程、除電工程)がおこなわれて、感光体ドラム1Y上にイエロー画像が形成されることになる。
【0012】
なお、他の3つの作像部6M、6C、6Kも、使用されるトナーの色が異なる以外は、イエローに対応した作像部6Yとほぼ同様の構成となっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の3つの作像部6M、6C、6Kの説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部6Yのみの説明をおこなうことにする。
【0013】
図2を参照して、感光体ドラム1Yは、メインモータによって反時計方向に回転駆動される。そして、帯電装置4Yの位置で、感光体ドラム1Yの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光部7から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での幅方向(図1図2の紙面垂直方向であって、主走査方向である。)の露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0014】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、現像装置5Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、中間転写ベルト8及び1次転写ローラ9Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1の表面に形成されたトナー像が中間転写ベルト8の表面に1次転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0015】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング装置2Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによってクリーニング装置2Y内に回収される(クリーニング工程である。)。
ここで、クリーニング装置2Yの内部には、潤滑剤供給ローラ3a、固形潤滑剤3b、圧縮スプリング3cなどからなる潤滑剤供給装置3(感光体用潤滑剤供給装置)が内設されている。そして、図2の時計方向に回転する潤滑剤供給ローラ3aによって、固形潤滑剤3bから潤滑剤が少量ずつ削られて、潤滑剤供給ローラ3aによって感光体ドラム1Yの表面に潤滑剤が供給されることになる。
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、除電装置との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1Y上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0016】
なお、上述した作像プロセスは、他の作像部6M、6C、6Kでも、イエロー作像部6Yと同様におこなわれる。すなわち、作像部の上方に配設された露光部7から、画像情報に基いたレーザ光Lが、各作像部6M、6C、6Kの感光体ドラム1M、1C、1K上に向けて照射される。詳しくは、露光部7は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム上に照射する。なお、露光部7として複数のLEDを幅方向に並べて配置したものを用いてもよい。
その後、各現像装置5M、5C、5Kによる現像工程を経て各感光体ドラム1M、1C、1K上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0017】
ここで、像担持体としての中間転写ベルト8は、複数のローラ部材16~22によって張架・支持されるとともに、駆動モータによる1つのローラ部材(駆動ローラ16)の回転駆動によって図3中の矢印方向に無端移動される。
4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間に挟み込んで1次転写ニップ部を形成している。そして、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆の極性の転写電圧(1次転写バイアス)が印加される。
そして、中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップ部を順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8の表面に重ねて1次転写される(1次転写工程である。)。
【0018】
その後、各色のトナー像が重ねて1次転写された中間転写ベルト8(像担持体)は、転写部材としての2次転写ローラ70との対向位置に達する。この位置では、2次転写対向ローラ17が、2次転写ローラ70との間に中間転写ベルト8を挟み込んで画像形成部としての2次転写ニップ部N(図4参照)を形成している。そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、搬送装置60によって2次転写ニップ部Nの位置に搬送されたシートP上に2次転写される(2次転写工程である。)。このとき、中間転写ベルト8には、シートPに転写されなかった未転写トナーが残存する。
【0019】
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング装置10の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8の表面に付着した未転写トナーなどの付着物が除去される。
さらに、中間転写ベルト8は、中間転写潤滑剤供給装置30の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8の表面に潤滑剤が供給される。
こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
【0020】
ここで、図1を参照して、2次転写ニップの位置に搬送されるシートPは、装置本体100の下方に配設された給紙装置26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されるものである。
詳しくは、給紙装置26には、用紙などのシートPが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上のシートPが第1搬送経路K1を経由してレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
【0021】
レジストローラ対28(タイミングローラ対)に搬送されたシートPは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップに突き当たり、その位置で一旦停止する。このとき、シートPのスキュー補正(斜行補正)がおこなわれる。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、シートPが2次転写ニップ部N(画像形成部)に向けて搬送される。こうして、シートP上に、所望のカラー画像が転写される。
【0022】
その後、2次転写ニップ部Nの位置でカラー画像が転写されたシートPは、2次転写ニップ部Nから送出された後に、搬送ベルト85によって定着装置50の位置に搬送される。そして、定着ニップの位置で、定着ベルトと加圧ローラとによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像がシートP上に定着される(定着工程である。)。
その後、シートPは、第2搬送経路K2を経由して、排紙ローラ対によって装置外へと排出される。排紙ローラ対によって装置外に排出されたシートPは、出力画像として、スタック部上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0023】
次に、図2にて、作像部における現像装置5Y(現像装置)の構成・動作について、さらに詳しく説明する。
現像装置5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ51Yと、現像ローラ51Yに対向するドクターブレード52Yと、現像剤収容部内に配設された2つの搬送スクリュ55Yと、現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56Yと、等で構成される。現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤Gが収容されている。
【0024】
このように構成された現像装置5Yは、次のように動作する。
現像ローラ51Yのスリーブは、図2の矢印方向に回転している。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。ここで、現像装置5Y内の現像剤Gは、現像剤G中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。具体的に、現像装置5Yに設置されたトナー濃度センサによってトナー濃度が低い状態が検知されたときには、トナー濃度が所定の範囲内になるように、トナー容器58から現像装置5Y内に新品トナーが補給される。
その後、トナー容器58から現像剤収容部内に補給されたトナーは、2つの搬送スクリュ55Yによって、現像剤Gとともに混合・撹拌されながら、隔絶された2つの現像剤収容部を循環する(図2の紙面垂直方向の移動である。)。そして、現像剤G中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51Y上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
【0025】
現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード52Yの位置に達する。そして、現像ローラ51Y上の現像剤Gは、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム1Y上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ51Y上に残った現像剤Gはスリーブの回転にともない現像剤収容部の上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱される。
なお、トナー容器58は、現像装置5Y(画像形成装置100)に対して着脱可能(交換可能)に設置されている。そして、トナー容器58は、その内部に収容された新品のトナーが空になると、現像装置5Y(画像形成装置100)から取り外されて新品のものに交換されることになる。
【0026】
次に、図3等を用いて、本実施の形態における中間転写ベルト装置について詳述する。
図3を参照して、中間転写ベルト装置は、像担持体としての中間転写ベルト8、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K 、駆動ローラ16、従動ローラ22、テンションローラ20、クリーニング対向ローラ18、潤滑剤対向ローラ19、バックアップローラ21、中間転写クリーニング装置10、中間転写潤滑剤供給装置30、2次転写対向ローラ17、転写部材としての2次転写ローラ70、等で構成される。
【0027】
中間転写ベルト8(像担持体)は、各色のトナー像をそれぞれ担持する4つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに当接して1次転写ニップ部を形成している。中間転写ベルト8は、主として7つのローラ部材16~22によって張架され支持されている。
【0028】
1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を介して対応する感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに当接している。詳しくは、イエロー用の1次転写ローラ9Yは中間転写ベルト8を介してイエロー用の感光体ドラム1Yに当接して、マゼンタ用の1次転写ローラ9Mは中間転写ベルト8を介してマゼンタ用の感光体ドラム1Mに当接して、シアン用の1次転写ローラ9Cは中間転写ベルト8を介してシアン用の感光体ドラム1Cに当接して、ブラック用(黒色用)の1次転写ローラ9Kは中間転写ベルト8を介してブラック用(黒色用)の感光体ドラム1Kに当接している。
【0029】
駆動ローラ16は、4つの感光体ドラムに対して中間転写ベルトの走行方向下流側の位置で、中間転写ベルト8が120度程度の巻付角度で巻き付けられた状態で中間転写ベルト8の内周面に当接するように配置されている。駆動ローラ16は、制御部によって制御される駆動モータによって図3の時計方向に回転駆動される。これにより、中間転写ベルト8は所定の走行方向(図3の時計方向である。)に走行することになる。
【0030】
従動ローラ22は、4つの感光体ドラムに対して中間転写ベルト8の走行方向上流側の位置で、中間転写ベルト8が180度程度の巻付角度で巻き付けられた状態で中間転写ベルト8の内周面に当接するように配置されている。中間転写ベルト8において、従動ローラ22から駆動ローラ16に至る部分は、ほぼ水平面になるように設定されている。従動ローラ22は、中間転写ベルト8の走行にともない図3の時計方向に従動回転する。
【0031】
図3を参照して、2次転写対向ローラ17は、中間転写ベルト8を介して2次転写ローラ70に当接している。
また、本実施の形態において、2次転写対向ローラ17は、電源部に電気的に接続されていて、その電源部から高圧電圧となる2次転写バイアスが印加される。この2次転写対向ローラ17に印加される2次転写バイアスは、2次転写ニップ部Nに搬送されるシートPに、中間転写ベルト8の表面に1次転写されたトナー像を2次転写するためのものであって、トナーの極性と同じ極性(本実施の形態ではマイナス極性である。)の2次転写バイアス(直流電圧)である。これにより、中間転写ベルト8のトナー担持面(外周面)に担持されたトナーが、2次転写電界によって2次転写対向ローラ17側から2次転写ローラ70側に向かって静電移動することになる。
【0032】
転写部材としての2次転写ローラ70は、中間転写ベルト8のトナー担持面(外周面)に当接して、シートPが搬送される2次転写ニップ部N(画像形成部)を形成している。2次転写ローラ70は、図3の反時計方向に回転駆動される。これにより、図3の時計方向に回転駆動される中間転写ベルト8とともに、2次転写ニップ部Nに挟持されたシートPを搬送ベルト85に向けて搬送することになる。
【0033】
以下、図4図6等を用いて、本実施の形態において特徴的な、搬送装置60の構成・動作について詳述する。
図4を参照して、搬送装置60は、画像形成部としての2次転写ニップ部Nに向けてシートPを所定の搬送方向(図4の一点鎖線矢印方向である。)に搬送するものである。2次転写ニップ部N(画像形成部)は、画像が担持される像担持体としての中間転写ベルト8と、中間転写ベルト8に担持された画像をシートPの画像形成面(図4における上面である。)に転写する転写部材としての2次転写ローラ70と、が接触する位置である。
本実施の形態における搬送装置60は、レジストローラ対28、上ガイド板91、下ガイド板92、シート検知センサ93、第1ガイド部材61、第2ガイド部材62、突出部材としての球状部材63、保持部材64、付勢部材としての圧縮スプリング65、ベース部材66、などで構成されている。
【0034】
レジストローラ対28の下流側には、一対のガイド板(上ガイド板91と下ガイド板92とである。)が設置されている。
上ガイド板91は、その位置を通過するシートPの画像形成面(図4の上面である。)に対向するように配置されている。下ガイド板92は、その位置を通過するシートPの非画像形成面(図4の下面である。)に対向するように配置されている。上ガイド板91の一部には開口が形成されていて、その開口の位置にシート検知センサ93が設置されている。シート検知センサ93は、その位置を通過するシートPの有無を光学的に検知するフォトセンサである。
【0035】
また、2次転写ニップ部N(画像形成部)の上流側であって、上ガイド板91及び下ガイド板92の下流側には、一対のガイド部材(第1ガイド部材61と第2ガイド部材62とである。)が設置されている。
詳しくは、第1ガイド部材61は、2次転写ニップ部N(画像形成部)に対して搬送方向上流側に配置されていて、その位置を通過するシートPの表面に対向するものである。特に、本実施の形態において、第1ガイド部材61は、その位置を通過するシートPの画像形成面(図4の上面である。)に対向するように配置された板状部材である。
第2ガイド部材62は、第1ガイド部材61に対して、その位置を通過するシートPを介して対向するように配置されている。特に、本実施の形態において、第2ガイド部材62は、その位置を通過するシートPの非画像形成面(図4の下面である。)に対向するように配置された板状部材である。
【0036】
このように構成された搬送装置60において、レジストローラ対28の位置に達したシートPは、一対のガイド板91、92や第1、第2ガイド部材61、62に案内されながら、中間転写ベルト8の表面に担持された画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28によって2次転写ニップ部Nに向けて搬送されることになる。
特に、本実施の形態では、レジストローラ対28の回転速度を可変することで、レジストローラ対28によるシートPの搬送速度を可変できるように構成されている。そして、レジストローラ対28によって搬送されたシートPがシート検知センサ93の位置に達したときに、シートPの先端位置がシート検知センサ93によって検知されて、その検知結果(検知タイミング)に基いてレジストローラ対28による搬送速度が可変される。具体的に、レジストローラ対28によって2次転写ニップ部NにシートPが搬送されるタイミングと、中間転写ベルト8上に形成された画像が2次転写ニップ部Nに達するタイミングと、を合わせるように、レジストローラ対28による搬送速度が可変される(画像形成部に向けて搬送されるシートPの搬送タイミングが調整される。)。これにより、シートPの所望の位置(搬送方向の位置である。)に高精度に画像を転写することができる。
なお、レジストローラ対28は、2次転写ニップ部N(画像形成部)にシートPの先端が達した直後に、中間転写ベルト8との間に線速差が生じてシートP上に転写される画像に歪みが生じないように搬送速度が可変されることになる(中間転写ベルト8との線速比が1になるように搬送速度が可変される)。
【0037】
ここで、図4図5に示すように、本実施の形態における搬送装置60には、第2ガイド部材62のガイド面62c(第1ガイド部材61に対向する対向面であって、図6参照)から第1ガイド部材61に向けて突出するように付勢された突出部材としての球状部材63が設けられている。すなわち、第1ガイド部材61と第2ガイド部材62とのギャップは、球状部材63(突出部材)が設置された位置で、部分的に狭められている。
具体的に、突出部材としての球状部材63は、鋼、ステンレスなどの金属材料からなり球状に形成されたものであって、その上部が第2ガイド部材62の穴部62aから上方に突出するように構成されている。また、球状部材63(突出部材)は、幅方向(搬送方向に直交する方向である。)に間隔をあけて複数設置されている。さらに、本実施の形態では、幅方向に並設された複数の球状部材63が、搬送方向にも間隔をあけて2列形成されている。
【0038】
さらに、搬送装置60には、保持部材64、付勢部材としての圧縮スプリング65、ベース部材66などが設置されている。
保持部材64は、球状部材63(突出部材)を保持するものである。特に、本実施の形態における保持部材64は、球状部材63を回転可能に保持している。
圧縮スプリング65(付勢部材)は、保持部材64(及び、球状部材63)を第1ガイド部材61の側(上方)に向けて付勢するものである。圧縮スプリング65は、その一端側が保持部材64の底部に接続されていて、その他端側がベース部材66に接続されている。
ベース部材66は、圧縮スプリング65を介して保持部材64(及び、球状部材63)を保持するものであって、搬送装置60の筐体の一部として機能している。
【0039】
また、第2ガイド部材62には、穴部62aや規制部62bが設けられている。
第2ガイド部材62の穴部62aは、ガイド面62cから球状部材63(突出部材)を突出させるためのものである。本実施の形態において、穴部62aは、その穴径が、球状部材63の外径よりも僅かに大きくなるように形成されている。
第2ガイド部材62の規制部62bは、圧縮スプリング65(付勢部材)によって付勢される保持部材64の第1ガイド部材61の側(上方)への移動を規制するものである。本実施の形態では、圧縮スプリング65によって付勢された保持部材64の天井部が、第2ガイド部材62の底面に当接するように構成されていて、その底面が規制部62bとして機能している。
なお、穴部62aの穴径を球状部材63の外径よりも小さくすることで、その穴部62aを、圧縮スプリング65によって付勢される球状部材63の上方への移動を規制する規制部として機能させることもできる。
【0040】
このように、本実施の形態では、2次転写ニップ部N(画像形成部)の上流側に位置する一対のガイド部材61、62において、第2ガイド部材62のガイド面62cから第1ガイド部材61のガイド面に向けて突出する球状部材63(突出部材)を設けているため、2次転写ニップ部Nに向けて搬送されるシートPの姿勢が安定化することになる。
すなわち、球状部材63(突出部材)が設けられていない場合には、2次転写ニップ部Nに向けて搬送されるシートPは、一対のガイド部材61、62によって姿勢がある程度規制された状態で搬送されるものの、その先端が波打つように不安定な状態で2次転写ニップ部Nに送入されてしまう。そのため、シートPの表面(画像形成面)に転写される画像(中間転写ベルト8上の画像である。)の搬送方向の位置が、狙いの位置からズレてしまうことがあった。
これに対して、本実施の形態では、第1ガイド部材61と第2ガイド部材62とのギャップが、球状部材63によって部分的に狭められているため、一対のガイド部材61、62によって案内されるシートPの姿勢がさらに安定しやくなり、特に先端が波打つような状態が軽減される。したがって、2次転写ニップ部NでシートPの画像形成面に転写される画像の搬送方向の位置が、狙いの位置に高精度に一致しやすくなる。
【0041】
特に、本実施の形態では、突出部材としての球状部材63を幅方向にも搬送方向にも複数並設しているため、一対のガイド部材61、62によって案内されるシートPの姿勢がさらに安定しやくなる。
また、突出部材として球状部材63を用いているため、シートPは球状部材63の位置で点接触しながら摺接することになる。そのため、シートPが大きな摺動抵抗を受けることなく、良好に搬送されることになる。特に、球状部材63は、保持部材64に回転可能に保持されているため、シートPとの摺動抵抗をさらに減ずることができる。
なお、本実施の形態では、突出部材として球状に形成された球状部材63を用いたが、突出部材として半球状に形成されたものを用いることもできる。その場合、半球状に形成された突出部材の頂部が上方(第1ガイド部材61の側)を向くように突出部材を配置することになる。
【0042】
ここで、本実施の形態では、第1ガイド部材61と球状部材63(突出部材)とのギャップに、そのギャップよりも大きな厚みのシートPが通過するときに、第1ガイド部材61に向けた付勢に抗するように球状部材63が第1ガイド部材61から離れる方向に移動することになる。
詳しくは、図6(A)、(B)を参照して、搬送されるシートPの厚みに応じて、球状部材63の突出量が変化する。図6(B)に示すようにシートPの厚みが厚い場合には、図6(A)に示すようにシートPの厚みが薄い場合に比べて、球状部材63が圧縮スプリング65のスプリング力(付勢力)に抗するように、シートPによって押し下げられることになる。圧縮スプリング65のスプリング力は、このような動作が可能になるように、大き過ぎず、適度な大きさに設定されている。
このように構成することにより、厚みの異なるシートPが搬送されても、比較的簡易な構成で、シートPの姿勢を安定化することができる。
【0043】
なお、本実施の形態では、球状部材63(突出部材)と第2ガイド部材62とをシートPの非画像形成面に対向する位置に配置したが、球状部材63と第2ガイド部材62とをシートPの画像形成面に対向する位置に配置した場合(図4の第1ガイド部材61と、第2ガイド部材62及び球状部材63の配置を上下逆転した場合である。)であっても、2次転写ニップ部Nに搬送されるシートPの姿勢を安定化することができる。しかし、その場合、厚みの異なるシートPが搬送されると、シートPの画像形成面の位置(高さ)が変位することになり、2次転写ニップ部Nにおける中間転写ベルト8の位置(高さ)に対してズレて、良好な転写工程に支障が生じる可能性がある。したがって、球状部材63(突出部材)と第2ガイド部材62とは、本実施の形態のもののように、シートPの非画像形成面に対向する位置に配置することが好ましい。
【0044】
<変形例>
図7は、変形例としての搬送装置60の要部を示す拡大図であって、本実施の形態における図4に対応する図である。また、図8は、その搬送装置60における第2ガイド部材62を示す上面図であって、本実施の形態における図5に対応する図である。
図7図8に示すように、変形例における搬送装置60は、突出部材として、搬送方向に延在するようにリブ状に形成されたリブ状部材68が用いられている点が、突出部材として球状部材63が用いられている本実施の形態のものと相違する。
図7図8に示すように、変形例における搬送装置60にも、リブ状部材68(突出部材)を保持する保持部材64や、保持部材64を上方に向けて付勢する圧縮スプリング65(付勢部材)や、ベース部材66が設けられている。また、第2ガイド部材62には、ガイド面62cからリブ状部材68を突出させる長穴状の穴部62aが設けられている。さらに、第2ガイド部材62には、圧縮スプリング65(付勢部材)によって付勢されるリブ状部材68(突出部材)の上方への移動を規制する規制部62b(第2ガイド部材62の底面である。)が設けられている。
このように突出部材としてリブ状部材68を用いた場合であっても、本実施の形態のものと同様に、2次転写ニップ部Nに向けて搬送されるシートPの姿勢が安定化することになる。
特に、変形例では、リブ状部材68の頂部が、搬送方向に延びる略直線状の稜線を描くように形成されているため、シートPがリブ状部材68の位置で線接触しながら摺接することになる。そのため、シートPが大きな摺動抵抗を受けることなく、良好に搬送されることになる。
また、変形例においても、図8に示すように、リブ状部材68を幅方向に複数並設しているため、一対のガイド部材61、62によって案内されるシートPの姿勢がさらに安定しやくなる。
【0045】
以上説明したように、本実施の形態における搬送装置60は、2次転写ニップ部N(画像形成部)に対して搬送方向上流側に、その位置を通過するシートPの表面に対向する第1ガイド部材61が配置されている。また、第1ガイド部材61に対して、その位置を通過するシートPを介して対向するように、第2ガイド部材62が配置されている。そして、第2ガイド部材62のガイド面62cから第1ガイド部材61に向けて突出するように付勢された球状部材63(突出部材)が設置されている。
これにより、2次転写ニップ部N(画像形成部)に向けて搬送されるシートPの姿勢を安定化することができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、像担持体としての中間転写ベルト8と、転写部材としての2次転写ローラ70と、が当接して2次転写ニップ部N(画像形成部)を形成する画像形成装置100に設置される搬送装置60に対して、本発明を適用した。これに対して、中間転写ベルトや中間転写ドラムなどの中間転写体を備えず、現像装置によって現像されたトナー像が形成される像担持体としての感光体ドラム(感光体)と、転写ローラや転写チャージャなどの転写部材と、が当接又は対向して画像形成部を形成する画像形成装置に設置される搬送装置に対しても、本発明を適用することができる。また、像担持体としての中間転写ベルト8と、転写部材としての2次転写チャージャと、が対向して画像形成部を形成する画像形成装置に設置される搬送装置に対しても、本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、電子写真方式の画像形成装置100に設置される搬送装置60に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、その他の方式の画像形成装置(例えば、インクジェット方式の画像形成装置や、オフセット印刷機などである。)に設置される搬送装置に対しても、本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、第1、第2ガイド部材61、62の上流に一対のガイド板91、92が設置された搬送装置60に対して本発明を適用したが、本発明が適応される搬送装置はこれに限定されることなく、例えば、一対のガイド板91、92が設置されていない搬送装置に対しても本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0047】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0048】
なお、本願明細書等において、「シート」とは、通常の用紙の他に、コート紙、ラベル紙、OHPシート、金属シート、フィルム、プラスチックフィルム、布、プリプレグ、等のシート状の記録媒体(画像形成する対象となる媒体)のすべてを含むものと定義する。
【符号の説明】
【0049】
8 中間転写ベルト(像担持体)、
60 搬送装置、
61 第1ガイド部材(転写前上ガイド板)、
62 第2ガイド部材(転写前下ガイド板)、
61a 穴部、
62b 規制部、
62c ガイド面、
63 球状部材(突出部材)、
64 保持部材、
65 圧縮スプリング(付勢部材)、
66 ベース部材、
68 リブ状部材(突出部材)、
70 2次転写ローラ(転写部材)、
N 2次転写ニップ部(画像形成部)、 P シート(用紙)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【文献】特開2017-198818号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8