(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】高吸水性樹脂の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 3/12 20060101AFI20220620BHJP
C08F 220/06 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
C08J3/12 A
C08F220/06
(21)【出願番号】P 2020554496
(86)(22)【出願日】2019-11-08
(86)【国際出願番号】 KR2019015196
(87)【国際公開番号】W WO2020101287
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2020-10-05
(31)【優先権主張番号】10-2018-0139106
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0153909
(32)【優先日】2018-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0164466
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジェユル・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・フン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】キチョル・キム
(72)【発明者】
【氏名】ユン・ジェ・ミン
(72)【発明者】
【氏名】キ・ヒョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】スル・ア・イ
(72)【発明者】
【氏名】イン・ヨン・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ヒチャン・ウ
【審査官】加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-053296(JP,A)
【文献】特開2015-048386(JP,A)
【文献】国際公開第2014/021388(WO,A1)
【文献】特表2012-522880(JP,A)
【文献】特表2007-514833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/12
C08F 220/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部架橋剤および重合開始剤の存在下で少なくとも一部が中和した酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を架橋重合して、第1架橋重合体を含む含水ゲル状重合体を形成する段階(段階1)と;
前記含水ゲル状重合体の含水率が2~10wt%となるように乾燥する段階(段階2)と;
前記乾燥された含水ゲル状重合体を粉砕する段階(段階3)と、を含み、
前記内部架橋剤は、前記少なくとも一部が中和した酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体の重量に対して500~2,500ppmwで使用され
、
前記段階1は発泡剤の存在下で行い、前記発泡剤は、カプセル化された発泡剤であって、炭化水素を含むコアと前記コアを取り囲み熱可塑性樹脂からなるシェルとを含む構造を有し、
前記段階2は100~140℃で行う、高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記内部架橋剤は、エチレングリコールジグリシジルエーテル、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラアクリレート、トリアリールアミン、プロピレングリコール、グリセリン、またはエチレンカーボネートである、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記内部架橋剤は、前記少なくとも一部が中和した酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体の重量に対して800~2,000ppmwで使用される、請求項1または2に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項4】
前記発泡剤は、前記少なくとも一部が中和した酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体の重量に対して100~1,500ppmwで使用される、請求項
1から3のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項5】
前記カプセル化された発泡剤は平均直径が5~50μmである、請求項
1から
4のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項6】
前記段階3で製造される粒子を、粒径が150~850μmの粒子に分級する段階をさらに含む、請求項1から
5のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項7】
前記段階3で製造される粒子の表面を架橋する段階(段階4)をさらに含む、請求項1から
6のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項8】
前記段階4は120~160℃で行う、請求項
7に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項9】
前記段階4は135~145℃で行う、請求項
7または
8に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年11月13日付の韓国特許出願第10-2018-0139106号、2018年12月3日付の韓国特許出願第10-2018-0153909号および2018年12月18日付の韓国特許出願第10-2018-0164466号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、微粉の発生を減少させることができる高吸水性樹脂の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer、SAP)とは、自重の5百~1千倍程度の水分を吸収できる機能を有する合成高分子物質であって、開発会社ごとにSAM(Super Absorbency Material)、AGM(Absorbent Gel Material)などのそれぞれ異なる名前で名付けられている。このような高吸水性樹脂は、生理用品として実用化され始め、現在は子供用紙おむつや衛生用品の他に園芸用土壌保水剤、土木、建築用止水材、育苗用シート、食品流通分野での鮮度保持剤、および湿布用などの材料に幅広く使用されている。
【0004】
最も多くの場合に、このような高吸水性樹脂は、おむつや生理用ナプキンなどの衛生材分野で幅広く使用されている。このような衛生材内で、前記高吸水性樹脂はパルプ内に広がった状態で含まれることが一般的である。しかし、最近は、より薄い厚さのおむつなどの衛生材を提供するための努力が続いており、その一環として、パルプの含有量が減少したり、さらにパルプが全く使用されない、いわゆるパルプレス(pulpless)おむつなどの開発が積極的に進められている。
【0005】
このように、パルプの含有量が減少したり、パルプが使用されない衛生材の場合、相対的に高吸水性樹脂が高い比率で含まれ、このような高吸水性樹脂粒子が衛生材内に不可避に多層含まれる。このように多層含まれる全体的な高吸水性樹脂粒子がより効率的に小便などの液体を吸収するためには、前記高吸水性樹脂が基本的に高い吸水性能および吸水速度を有する必要がある。
【0006】
特に、速い吸収速度を示すために表面積を増加させた高吸水性樹脂が製造されているが、表面積が増加して高吸水性樹脂の構造的強度が弱くて粗粉砕過程で微粉が多く発生する。微粉は作業環境を悪くすることはもちろん、微粉の再循環工程によって工程の負荷が高くなる問題があり、これにより、高吸水性樹脂の物性を維持しながらも微粉の発生を減らすことができる製造方法が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、高吸水性樹脂の優れた物性を維持しながらも微粉の発生を減少させることができる高吸水性樹脂の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は、以下の段階を含む高吸水性樹脂の製造方法を提供する:
内部架橋剤および重合開始剤の存在下で少なくとも一部が中和した酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を架橋重合して、第1架橋重合体を含む含水ゲル状重合体を形成する段階(段階1)と;
前記含水ゲル状重合体の含水率が2~10wt%となるように乾燥する段階(段階2)と;
前記乾燥された含水ゲル状重合体を粉砕する段階(段階3)と、を含み、
前記内部架橋剤は、前記少なくとも一部が中和した酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体の重量に対して500~2,500ppmwで使用する、高吸水性樹脂の製造方法。
【0009】
高吸水性樹脂の製造方法は、大きく水溶性エチレン系不飽和単量体を重合して含水ゲル状重合体を製造する段階と、これを乾燥した後に粉砕する段階を含む。高吸水性樹脂の特性を極大化するためには粒子の形態で製造しなければならないし、特に直径150μm~850μm(または180μm~850μm、または300μm~850μm)の粒子で製造された時に高吸水性樹脂としての特性が十分に発現するので、粉砕段階は必須に要求される。
【0010】
しかし、上記直径の範囲に粉砕するために含水ゲル状重合体を粉砕すると、直径が150μm以下(または180μm以下)である粒子が製造されるが、これを一般に「微粉」という。このような微粉は製造過程で飛散する問題がある。しかも、微粉は単純廃棄する代わりに、微粉に水を添加して再組み立てして再び粉砕する方式で再利用するため、微粉の発生量が高くなるほど工程の負荷が大きくなる問題がある。
【0011】
そこで本発明では、後述するように含水ゲル状重合体の粉砕時に微粉の発生量を減らすことができるように、含水ゲル状重合体の粉砕前に乾燥条件を調節して含水率を相対的に高めることを特徴とする。ただし、このように含水率を高める場合、高吸水性樹脂の物性のうち、特にCRCが低下する問題があるが、これを補完するために含水ゲル状重合体の製造時に使用する内部架橋剤の使用量を調節してCRCが低下することを防止することを特徴とする。
【0012】
以下、本発明を段階別に詳しく説明する。
【0013】
(段階1)
前記段階1は、含水ゲル状重合体を形成する段階であって、内部架橋剤、重合開始剤、および少なくとも一部が中和した酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を含む単量体組成物を架橋重合する段階である。
【0014】
前記第1架橋重合体を構成する水溶性エチレン系不飽和単量体は、高吸水性樹脂の製造に通常使用される任意の単量体であり得る。非制限的な例として、前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、下記化学式1で表される化合物であり得る:
【0015】
[化学式1]
R1-COOM1
【0016】
上記化学式1中、
R1は、不飽和結合を含む炭素数2~5のアルキル基であり、
M1は、水素原子、1価または2価金属、アンモニウム基または有機アミン塩である。
【0017】
好ましくは、前記単量体は、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらの酸の1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩および有機アミン塩からなる群から選択される1種以上であり得る。このように水溶性エチレン系不飽和単量体としてアクリル酸またはその塩を使用する場合、吸水性が向上した高吸水性樹脂を得ることができて有利である。その他にも、前記単量体としては、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、2-アクリロイルエタンスルホン酸、2-メタクリロイルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、または2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミド、N-置換(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(N,N)-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、および(N,N)-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどを使用することができる。
【0018】
ここで、前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、酸性基を有し、前記酸性基の少なくとも一部が中和したものであり得る。好ましくは、前記単量体を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどのアルカリ物質で部分的に中和させたものを使用することができる。
【0019】
この時、前記単量体の中和度は、40~95モル%、または40~80モル%、または45~75モル%であり得る。前記中和度の範囲は、最終物性によって異なるが、中和度が高すぎると、中和した単量体が析出して重合が円滑に進行しにくいことがあり、逆に、中和度が低すぎると、高分子の吸水力が大きく低下するだけでなく、取り扱いが困難な弾性ゴムのような性質を示すことができる。
【0020】
また、前記単量体組成物中の前記水溶性エチレン系不飽和単量体の濃度は、重合時間および反応条件などを考慮して適切に調節可能であり、好ましくは20~90重量%、または40~65重量%であり得る。このような濃度範囲は、高濃度水溶液の重合反応に示されるゲル効果現象を利用して、重合後に未反応単量体を除去する必要がないようにしながらも、後述する重合体の粉砕時に粉砕効率を調節するために有利であり得る。ただし、前記単量体の濃度が過度に低くなると、高吸水性樹脂の収率が低下することがある。逆に、前記単量体の濃度が過度に高くなると、単量体の一部が析出するか、または重合された含水ゲル状重合体の粉砕時に粉砕効率が低下するなど、工程上の問題が生じ、高吸水性樹脂の物性が低下することがある。
【0021】
前記内部架橋剤としては、前記水溶性エチレン系不飽和単量体の重合時に架橋結合を導入することができるものであれば、いかなる化合物も使用可能である。非制限的な例として、前記内部架橋剤としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラアクリレート、トリアリールアミン、プロピレングリコール、グリセリン、またはエチレンカーボネートなどの多官能性架橋剤を単独で使用または2以上併用することができ、これらに限定されるものではない。好ましくは、エチレングリコールジグリシジルエーテルを使用するか、またはポリエチレングリコールジアクリレートと併用する。
【0022】
前記内部架橋剤は、前記少なくとも一部が中和した酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体の重量に対して500~2,500ppmwで使用する。後述するように、本発明では含水ゲル状重合体の乾燥時に含水率を相対的に高めることを特徴とし、含水率が高いため、高吸水性樹脂の物性のうち、CRCが低下する問題がある。しかし、内部架橋剤の使用量を上記のように相対的に少なく使用することによって、これを補完する。前記内部架橋剤の使用量が500ppmw未満の場合には、内部架橋剤の濃度が低すぎて高吸水性樹脂の吸収速度が低くなり、ゲル強度が弱くなることができて好ましくない。逆に、前記内部架橋剤の含有量が2,500ppmwを超える場合には、内部架橋剤の濃度が高すぎて高吸水性樹脂の吸水力が低下するので、吸収剤としては好ましくはない。好ましくは、前記内部架橋剤は、前記少なくとも一部が中和した酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体の重量に対して600ppmw以上、700ppmw以上、または800ppmw以上を使用し;2,400ppmw以下、2,300ppmw以下、2,200ppmw以下、2,100ppmw以下、2,000ppmw以下、1,900ppmw以下、1,800ppmw以下、1,700ppmw以下、1,600ppmw以下、1,500ppmw以下、1,400ppmw以下、または1,300ppmw以下を使用する。
【0023】
また、前記段階1で、高吸水性樹脂の製造に一般に使用される重合開始剤が含まれ得る。非制限的な例として、前記重合開始剤としては、重合方法により熱重合開始剤または光重合開始剤などを使用することができ、特に熱重合開始剤を使用することができる。ただし、光重合方法によっても、紫外線照射などによって一定量の熱が発生し、また、発熱反応である重合反応の進行によってある程度の熱が発生するので、熱重合開始剤がさらに含まれ得る。
【0024】
前記熱重合開始剤としては、過硫酸塩系開始剤、アゾ系開始剤、過酸化水素およびアスコルビン酸からなる開始剤の群から選択される一つ以上を使用することができる。具体的には、過硫酸塩系開始剤の例としては、過硫酸ナトリウム(Sodium persulfate;Na2S2O8)、過硫酸カリウム(Potassium persulfate;K2S2O8)、過硫酸アンモニウム(Ammonium persulfate;(NH4)2S2O8)などが挙げられる。また、アゾ(Azo)系開始剤としては、2,2-アゾビス-(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(2,2-azobis(2-amidinopropane)dihydrochloride)、2,2-アゾビス-(N,N-ジメチレン)イソブチラミジンジヒドロクロライド(2,2-azobis-(N,N-dimethylene)isobutyramidine dihydrochloride)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル(2-(carbamoylazo)isobutylonitril)、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド(2,2-azobis[2-(2-imidazolin-2-yl)propane]dihydrochloride)、4,4-アゾビス-(4-シアノ吉草酸)(4,4-azobis-(4-cyanovaleric acid))などが挙げられる。より多様な熱重合開始剤に対しては、Odianの著書「Principle of Polymerization(Wiley、1981)」の203ページに開示されており、これを参照することができる。好ましくは、前記熱重合開始剤としてはアスコルビン酸および過硫酸カリウムを使用する。
【0025】
前記光重合開始剤としては、例えばベンゾインエーテル(benzoin ether)、ジアルキルアセトフェノン(dialkyl acetophenone)、ヒドロキシルアルキルケトン(hydroxyl alkylketone)、フェニルグリオキシレート(phenyl glyoxylate)、ベンジルジメチルケタール(Benzyl Dimethyl Ketal)、アシルホスフィン(acyl phosphine)およびα-アミノケトン(α-aminoketone)からなる群から選択される一つ以上を使用することができる。一方、アシルホスフィンの具体例としては、商用のlucirin TPO、すなわち、2,4,6-トリメチル-ベンゾイル-トリメチルホスフィンオキシド(2,4,6-trimethyl-benzoyl-trimethyl phosphine oxide)を使用することができる。より多様な光重合開始剤については、Reinhold Schwalmの著書「UV Coatings:Basics、Recent Developments and New Application(Elsevier 2007年)」の115ページに開示されており、これを参照することができる。
【0026】
このような重合開始剤は、前記少なくとも一部が中和した酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体重量に対して約0.001~1重量%の濃度で添加することができる。すなわち、前記重合開始剤の濃度が低すぎる場合、重合速度が遅くなることがあり、最終製品に残存モノマーが多量で抽出できるので好ましくない。逆に、前記重合開始剤の濃度が上記の範囲より高い場合、ネットワークをなす高分子鎖が短くなって水可溶成分の含有量が高くなり、加圧吸水能が低くなるなど樹脂の物性が低下することがあって、好ましくない。
【0027】
また、前記段階1は発泡剤の存在下で行うことができる。前記発泡剤は、重合時に発泡が起きて含水ゲル状重合体内に気孔を形成して表面積を増やす役割を果たす。前記発泡剤は無機発泡剤、有機発泡剤、またはカプセル化された発泡剤を使用することができる。無機発泡剤の例としては、重炭酸ナトリウム(sodium bicarbonate)、炭酸ナトリウム(sodium carbonate)、炭酸水素カリウム(potassium bicarbonate)、炭酸カリウム(potassium carbonate)、重炭酸カルシウム(calcium bicarbonate)、炭酸カルシウム(calcium carbonate)、重炭酸マグネシウム(magnesium bicarbonate)または炭酸マグネシウム(magnesium carbonate)が挙げられる。また、有機発泡剤の例としては、アゾジカルボンアミド(azodicarbonamide、ADCA)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(dinitroso pentamethylene tetramine、DPT)、p,p’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(p,p’-oxybisbenzenesulfonylhydrazide、OBSH)、およびp-トルエンスルホンヒドラジド(p-toluenesulfonyl hydrazide、TSH)が挙げられる。
【0028】
好ましくは、前記発泡剤は、カプセル化された発泡剤を使用することができる。前記カプセル化された発泡剤は、例えば膨張する前に測定した平均直径を5~50μm、5~30μm、5~20μmあるいは7~17μmで調節して、大きな気孔が均一に形成された樹脂粒子を製造することができる。
【0029】
前記カプセル化された発泡剤は、炭化水素を含むコアと、前記コアを取り囲み熱可塑性樹脂で形成されるシェルとを含む構造を有することができる。このようなカプセル化された発泡剤は、所望の大きさに膨張させることができるため、高吸水性樹脂の製造時に使用されて高吸水性樹脂内気孔の分布を調節することができる。
【0030】
高吸水性樹脂内気孔の分布を調節するためにはカプセル化された発泡剤の膨張特性を把握する必要がある。しかし、高吸水性樹脂内でカプセル化された発泡剤が発泡された形態は、高吸水性樹脂の製造条件により異なるので、一つの形態で定義し難い。したがって、カプセル化された発泡剤を空気中で発泡させて膨張比率および大きさを確認する。具体的には、ガラスペトリ皿の上にカプセル化された発泡剤を塗布した後、空気中で熱を10分間加えてカプセル化された発泡剤を膨張させる。この時、カプセル化された発泡剤が3~15倍、5~15倍あるいは8.5~10倍の空気中での最大膨張比を示すと、本発明で使用する発泡剤として適合する。
【0031】
また、カプセル化された発泡剤が600μm以下の空気中での最大膨張サイズを示さなければ、本発明で使用する発泡剤として適合しない。好ましくは、カプセル化された発泡剤が100~590μm、150~580μm、200~570μm、250~570μm、300~560μm、または350~550μmの空気中での最大膨張サイズを有する。
【0032】
カプセル化された発泡剤の空気中での最大膨張比および最大膨張サイズは、後述する製造例に詳細に記載されている。
【0033】
また、カプセル化された発泡剤としては、炭化水素系発泡剤がコアを形成し、熱可塑性樹脂がシェルを形成することを意味する。前記カプセル化された発泡剤のコアを構成する炭化水素はn-プロパン、n-ブタン、iso-ブタン、シクロブタン、n-ペンタン、iso-ペンタン、シクロペンタン、n-ヘキサン、iso-ヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘプタン、iso-ヘプタン、シクロヘプタン、n-オクタン、iso-オクタンおよびシクロオクタンで構成された群から選択される1種以上であり得る。その中でも、炭素数3~5の炭化水素(n-プロパン、n-ブタン、iso-ブタン、シクロブタン、n-ペンタン、iso-ペンタン、シクロペンタン)が好ましく、iso-ブタンがより好ましい。また、前記カプセル化された発泡剤のシェルを構成する熱可塑性樹脂は、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、芳香族ビニル、酢酸ビニル、ハロゲン化ビニルおよびハロゲン化ビニリデンで構成される群から選択される1種以上のモノマーから形成されるポリマーであり得る。その中でも、(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリロニトリルの共重合体が好ましい。
【0034】
前記カプセル化された発泡剤は、全体カプセル化された発泡剤の重量に対して炭化水素を10~30重量%で含み得る。
【0035】
また、前記発泡剤は、前記少なくとも一部が中和した酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体の重量に対して100~1,500ppmwで使用することが好ましい。前記発泡剤の使用量が100ppmw未満の場合には発泡剤の使用効果が微々であり、1,500ppmwを超える場合には、気孔が多すぎて高吸水性樹脂のゲル強度が低下し、密度が小さくなって流通および保管に問題を招くことがある。より好ましくは、前記発泡剤は、前記少なくとも一部が中和した酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体の重量に対して150ppmw以上、または200ppmw以上であり、1,400ppmw以下、1,300ppmw以下、1,200ppmw以下、1,100ppmw以下、または1,000ppmw以下で使用する。
【0036】
その他にも、前記単量体組成物には必要に応じて、界面活性剤、増粘剤、可塑剤、保存安定剤、酸化防止剤などの添加剤をさらに含み得る。
【0037】
そして、このような単量体組成物は、上述した単量体などの原料物質が溶媒に溶解した溶液の形態で準備される。この時、使用可能な溶媒としては、上述した原料物質を溶解させるものであればその構成の限定なく使用することができる。例えば、前記溶媒としては、水、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トルエン、キシレン、ブチロラクトン、カルビトール、メチルセロソルブアセテート、N,N-ジメチルアセトアミド、またはこれらの混合物などを使用することができる。
【0038】
そして、前記単量体組成物の重合による含水ゲル状重合体の形成は、通常の重合方法で行うことができ、その工程は特に限定されない。非制限的な例として、前記重合方法は、重合エネルギー源の種類によって大きく熱重合と光重合に分けられるが、前記熱重合を行う場合にはニーダー(kneader)などの攪拌軸を有する反応器で行われ得、光重合を行う場合、移動可能なコンベヤーベルトを備えた反応器で行われ得る。
【0039】
一例として、攪拌軸を備えたニーダーなどの反応器に、前記単量体組成物を投入し、そこに熱風を供給したり反応器を加熱して熱重合することによって含水ゲル状重合体を得ることができる。この時、反応器に備えられた攪拌軸の形態によって反応器の排出口に排出される含水ゲル状重合体は、数ミリメートル~数センチメートルの粒子で得られる。具体的には、得られる含水ゲル状重合体は、注入される単量体組成物の濃度および注入速度などに応じて多様な形態で得られるが、通常、(重量平均)粒径が2~50mmの含水ゲル状重合体が得られる。
【0040】
そして、他の一例として、移動可能なコンベヤーベルトを備えた反応器で前記単量体組成物に対する光重合を行う場合、シート状の含水ゲル状重合体が得られる。この時、前記シートの厚さは、注入される単量体組成物の濃度および注入速度に応じて異なるが、シート全体が均一に重合し得るようにし、かつ生産速度などを確保するために、通常、0.5~5cmの厚さで調節することが好ましい。
【0041】
この時、このような方法で得られた含水ゲル状重合体の通常の含水率は、40~80重量%であり得る。一方、本明細書全体において「含水率」は、含水ゲル状重合体の全体重量に対して占める水分の含有量であり、含水ゲル状重合体の重量から乾燥状態の重合体の重量を引いた値を意味する。具体的には、赤外線加熱により重合体の温度を上げて乾燥する過程で重合体中の水分蒸発による重量減少分を測定して計算された値で定義する。この時、乾燥条件は、常温から約140℃まで40秒間温度を上昇させた後、140℃に維持する方式で乾燥し、総乾燥時間は、温度上昇段階を含む10分に設定して、含水率を測定する。
【0042】
一方、必要に応じて前記段階1以後に、後述する段階2の乾燥段階の効率を高めるために、製造された含水ゲル状重合体を粗粉砕する段階をさらに含み得る。この時、使用される粉砕機は構成の限定はないが、具体的には、垂直型切断機(Vertical pulverizer)、ターボカッター(Turbo cutter)、ターボグラインダー(Turbo grinder)、回転切断式粉砕機(Rotary cutter mill)、切断式粉砕機(Cutter mill)、円板粉砕機(Disc mill)、断片破砕機(Shred crusher)、破砕機(Crusher)、チョッパー(chopper)および円板式切断機(Disc cutter)からなる粉砕機器の群から選択されるいずれか一つを含み得るが、上述した例に限定されない。
【0043】
この時、粗粉砕段階は、含水ゲル状重合体の粒径が約2mm~約10mmとなるように粉砕することができる。粒径が2mm未満となるように粉砕するのは、含水ゲル状重合体の高い含水率によって技術的に容易でなく、また粉砕された粒子間に互いに凝集する現象が生じることもある。一方、粒径が10mmを超過して粉砕される場合、後に行われる乾燥段階の効率増大の効果が微々である。
【0044】
(段階2)
前記段階2は、前記段階1で製造した含水ゲル状重合体を乾燥する段階であって、後述する段階3の粉砕を準備する段階である。特に、本発明では前記乾燥によって含水ゲル状重合体の含水率が2~10wt%となるようにすることを特徴とする。
【0045】
従来は後述する段階3のような粉砕のために含水率が少ないように乾燥し、一般に含水率が1wt%以下となるように乾燥したが、このように含水率が低いと微粉の発生が高くなる問題がある。そこで本発明では、微粉の発生が抑制されるように含水ゲル状重合体の含水率が2~10wt%となるように乾燥する。前記含水率が2wt%未満の場合には、後述する段階3による粉砕時に微粉の発生が高くなる問題があり、前記含水率が10wt%超過の場合には、水分含有量が高すぎて高吸水性樹脂としての物性発現が低下する問題がある。
【0046】
好ましくは、含水ゲル状重合体の含水率が2.5wt%以上、3.0wt%以上、3.5wt%以上、4.0wt%以上、または4.5wt%以上であり;9.5wt%以下、9.0wt%以下、8.5wt%以下、または8.0wt%以下となるように乾燥する。
【0047】
前記乾燥は90~195℃の温度で行うことができる。前記乾燥温度が90℃未満の場合、乾燥時間が過度に長くなり、最終形成される高吸水性樹脂の物性が低下する恐れがあり、乾燥温度が195℃を超える場合、含水ゲル状重合体の表面だけが過度に乾燥されて、後に行われる粉砕工程で微粉が発生することもあり、最終形成される高吸水性樹脂の物性が低下する恐れがある。より好ましくは、前記乾燥は100℃以上であり、190℃以下、180℃以下、170℃以下、160℃以下、150℃以下、または140℃以下で行われる。一方、前記乾燥時間は、上述の含水率となるように乾燥できると特に限定されないが、工程効率などを考慮して、20分~5時間行われるが、これに限定されない。
【0048】
前記乾燥工程で通常使用されるものであれば、その構成の限定なく選択されて使用可能である。具体的には、熱風供給、赤外線照射、極超短波照射、または紫外線照射などの方法で乾燥段階を進行させることができる。
【0049】
(段階3)
前記段階3は、前記段階2で乾燥された重合体を粉砕して粒子を製造する段階である。
【0050】
粉砕段階以降に得られる重合体粉末は、150~850μmの粒径の含有量が90%以上となることが好ましい。このような粒径に粉砕するために使用される粉砕機は、具体的には、ボールミル(ball mill)、ピンミル(pin mill)、ハンマーミル(hammer mill)、スクリューミル(screw mill)、ロールミル(roll mill)、ディスクミル(disc mill)またはジョグミル(jog mill)などを使用することができるが、上述した例に限定されるものではない。
【0051】
前記段階2で説明した通り、前記段階2で製造される重合体の含水率が高いため、前記段階3による粉砕時に微粉含有量が低くなる効果がある。後述する実施例および比較例でのように、含水率によって微粉含有量に差があることを確認することができ、特に本発明のような含水率を有する場合微粉の発生が減少することを確認することができる。
【0052】
一方、前記粉砕段階以降に最終製品化される高吸水性樹脂粉末の物性を管理するために、粉砕後に得られる重合体粉末を粒径に応じて分級する別途の過程を経ることができる。好ましくは、粒径が150~850μm、または180~850μmの粒子に分級して、高吸水性樹脂として使用することができる。
【0053】
(その他段階)
また、本発明は、必要に応じて、前記製造した粒子の表面を架橋する段階を含み得る。具体的には、表面架橋液の存在下で前記製造した粒子を熱処理して表面架橋する段階をさらに含み得る。
【0054】
前記表面架橋液は、2個以上のエポキシ環を有する化合物、および2個以上のヒドロキシを有する化合物で構成される群から選択されるいずれか一つ以上の表面架橋剤を含み得る。
【0055】
好ましくは、前記表面架橋液は、2個以上のエポキシ環を有する化合物および2個以上のヒドロキシを有する化合物を全て含む。この場合、前記表面架橋液は、2個以上のエポキシ環を有する化合物および2個以上のヒドロキシを有する化合物を1:1.1~1:5重量比で含む。
【0056】
前記2個以上のエポキシ環を有する化合物の例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタリックアンハイドライドジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、およびN,N-ジグリシジルアニリンで構成される群から選択される1種以上の化合物が挙げられる。好ましくは、エチレングリコールジグリシジルエーテルを使用する。
【0057】
前記2個以上のヒドロキシを有する化合物の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロパンジオール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、トリメチルロールプロパン、ペンタエリスリトール、およびソルビトールで構成される群から選択される1種以上の化合物が挙げられる。好ましくは、プロピレングリコールを使用する。
【0058】
この時、前記表面架橋剤は、前記ベース樹脂100重量部に対して1重量部以下で使用することが好ましい。ここで、前記表面架橋剤の使用量は、前記表面架橋剤を2種以上使用する場合にはその総量を意味する。前記表面架橋剤の使用量が1重量部を超過する場合には、過度な表面架橋が進行して高吸水性樹脂の各種物性、特に乾燥度が悪くなることがある。また、前記表面架橋剤は、前記ベース樹脂100重量部に対して0.01重量部以上、0.02重量部以上、0.03重量部以上、0.04重量部以上、または0.05重量部以上使用することが好ましい。
【0059】
また、前記表面架橋液は、水、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トルエン、キシレン、ブチロラクトン、カルビトール、メチルセロソルブアセテートおよびN,N-ジメチルアセトアミドからなる群から選択される1種以上の溶媒をさらに含み得る。好ましくは、水を含む。前記溶媒は、前記ベース樹脂粉末100重量部に対して0.5~10重量部で使用することができる。
【0060】
また、前記表面架橋液は、アルミニウム硫酸塩をさらに含み得る。前記アルミニウム硫酸塩は、前記ベース樹脂粉末の100重量部に対して0.02~0.3重量部で含まれる。
【0061】
また、前記表面架橋液は無機充填剤を含み得る。前記無機充填剤としては、シリカ、酸化アルミニウム、またはシリケートを含み得る。前記無機充填剤は、前記ベース樹脂粉末の100重量部に対して0.01~0.5重量部で含まれる。
【0062】
また、前記表面架橋液は増粘剤をさらに含み得る。このように増粘剤の存在下でベース樹脂粉末の表面を追加的に架橋すると、粉砕後にも物性の低下を最小化することができる。具体的には、前記増粘剤としては、多糖類およびヒドロキシ含有高分子の中から選択される1種以上を使用することができる。前記多糖類としては、ガム系増粘剤とセルロース系増粘剤などを使用することができる。前記ガム系増粘剤の具体的な例としては、キサンタンガム(xanthan gum)、アラビアガム(arabic gum)、カラヤガム(karaya gum)、トラガカントガム(tragacanth gum)、ガティガム(ghatti gum)、グアーガム(guar gum)、ローカストビーンガム(locustbean gum)、およびサイリウムシードガム(psylliumseed gum)などが挙げられ、前記セルロース系増粘剤の具体的な例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、およびメチルヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。一方、前記ヒドロキシ含有高分子の具体的な例としては、ポリエチレングリコールおよびポリビニルアルコールなどが挙げられる。
【0063】
一方、前記表面架橋を行うためには、前記表面架橋液と前記ベース樹脂を反応槽に入れて混合する方法、前記ベース樹脂に表面架橋溶液を噴射する方法、連続的に運転されるミキサーに前記ベース樹脂と表面架橋液を連続的に供給して混合する方法などを使用することができる。
【0064】
そして、前記表面架橋は120~160℃の温度下で行われる。前記表面架橋温度は、最終的に製造される高吸水性樹脂の各種物性に影響を与え、具体的には、前記表面架橋温度が120℃未満の場合には、表面架橋が十分に行われず、高吸水性樹脂の物性改善の程度が微々であり、前記表面架橋温度が160℃を超える場合には、過度な表面架橋が行われて、重合体粒子が損傷して物性が低下することがある。
【0065】
後述する実施例および比較例によれば、表面架橋温度が上記の範囲を満足する場合に限って高吸水性樹脂の物性改善が進行して、上記の範囲を満足しない場合、高吸水性樹脂の物性が低下する現象が発生した。より好ましくは、前記表面架橋温度は125℃以上、130℃以上、または135℃以上であり、155℃以下、150℃以下、または145℃以下である。
【0066】
また、前記表面架橋は1分~120分、好ましくは1分~100分、より好ましくは10分~60分間行うことができる。すなわち、最小限度の表面架橋反応を誘導し、かつ過度な反応時に重合体粒子が損傷して物性が低下することを防止するために、前記表面改質段階は上述した条件で行われる。
【発明の効果】
【0067】
上述のように、本発明による高吸水性樹脂の製造方法は、高吸水性樹脂の優れた物性を維持しながらも微粉の発生を減少させることができるという特徴がある。
【発明を実施するための形態】
【0068】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。ただし、下記の実施例は、本発明を例示するものに過ぎず、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0069】
評価方法
以下の実施例および比較例で製造した粒子について、以下のように分析した。
【0070】
(1)粒径分布
粒径により分級された粒子を、#20~#30(粒径850~600μm)、#30~#50(粒径600~300μm)、#50~80(粒径300~180μm)、および#80未満(粒径180μm未満)に再分級し、各分級された粒子の重量を測定した。次いで、#30~#50(粒径600~300μm)の粒子について、以下(2)~(6)を評価した。
【0071】
(2)含水率
粒子の重量を測定した後、常温から140℃まで40秒間温度を上昇させた後、140℃に温度を維持し、総乾燥時間は、温度上昇段階を含む総10分と設定して乾燥させた。次いで、再び粒子の重量を測定して、先に測定した粒子の重量に対して減少量を含水率で測定した。
【0072】
(3)CRC
ヨーロッパ不織布工業会(European Disposables and Nonwovens Association、EDANA)の規格EDANA WSP 241.3により実施例および比較例の高吸水性樹脂に対して、無荷重下吸収倍率による遠心分離保水能(CRC)を測定した。
【0073】
具体的には、粒子W0(g、約0.2g)を不織布製の封筒に均一に入れて密封(seal)した後、常温で0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液の生理食塩水に浸水させた。30分後に封筒を遠心分離機を用いて250Gで3分間水気を抜いた後、封筒の質量W2(g)を測定した。また、粒子を使用せず、同じ操作をした後、その時の質量W1(g)を測定した。
【0074】
このようにして得られた各質量を用いて、下記数式1によりCRC(g/g)を算出した。
【0075】
[数式1]
CRC(g/g)={[W2(g)-W1(g)-W0(g)]/W0(g)}
【0076】
上記数式1中、
W0(g)は粒子の初期重量(g)であり、W1(g)は粒子を使用せず、生理食塩水に30分間浸水して吸収させた後、遠心分離機を用いて250Gで3分間脱水した後に測定した装置重量であり、W2(g)は常温で生理食塩水に粒子を30分間浸水して吸収させた後、遠心分離機を用いて250Gで3分間脱水した後、粒子を含んで測定した装置重量である。
【0077】
(4)BPI(Base Polymer Index)
EDANA WSP 270.2により粒子の水可溶成分の含有量(E/C;単位:重量%)を測定し、先に測定したCRC値と以下の数式2によりBPIを算出した。
【0078】
[数式2]
BPI=(CRC+8.7585)/ln(E/C)
【0079】
(5)ボルテックス(Vortex)
100mLビーカーに、0.9重量%のNaCl溶液50mLを入れた後、撹拌機を用いて600rpmで攪拌しながら、粒子2gを添加した。そして、攪拌によって生じる液体の渦流(vortex)が消えて、滑らかな表面を有するまでの時間を測定し、その結果をボルテックス除去時間で示した。
【0080】
(6)かさ密度(bulk density、B/D)
標準流動度測定装置のオリフィスを通して粒子100gを流して体積100mL容器に受け、前記粒子が水平になるように削り出し、前記粒子の体積を100mLに調節した後、容器を除いた粒子だけの重量を測定した。そして、前記粒子だけの重量を粒子体積である100mLで割って単位体積当たりの粒子の重量に相当するかさ密度を求めた。
【0081】
(7)残留モノマー(RM、Residual Monomers)
EDANA法WSP 210.3によって残留モノマーを測定した。具体的には、粒子1.000gと0.9%塩水200gを250ml三角フラスコに入れて、1時間攪拌した。その後、混合液をろ紙でろ過し、溶液をサンプリングしてHPLCで測定した。
【0082】
(8)加圧吸水能(Absorbing under Pressure、0.3AUP)
ヨーロッパ不織布工業会(European Disposables and Nonwovens Association)の規格EDANA WSP 242.3の方法により、実施例および比較例の高吸水性樹脂の加圧吸水能(AUP:Absorbency under Pressure)を測定した。
【0083】
具体的には、内径60mmのプラスチックの円筒底にステンレス製400メッシュ金網を取り付けた。23±2℃の温度および45%の相対湿度条件下で金網上に実施例および比較例で得られた樹脂W0(g、0.9g)を均一に散布し、その上に0.3psiの荷重を均一にさらに付与できるピストンは外径が60mmより若干小さく円筒の内壁との隙間がなく、上下動きに妨害されないようにした。この時、前記装置の重量W4(g)を測定した。
【0084】
直径150mmのペトリ皿の内側に直径125mmおよび厚さ5mmのガラスフィルターを置いて、0.90重量%塩化ナトリウムで構成された生理食塩水をガラスフィルターの上面と同一レベルになるようにした。その上に直径120mmのろ紙1枚を載せた。ろ紙の上に前記測定装置を載せて、液を荷重下で1時間吸収させた。1時間後に測定装置を持ち上げて、その重量W3(g)を測定した。
【0085】
このようにして得られた各質量を用いて下記数式3によりAUP(g/g)を算出した。
【0086】
[数式3]
AUP(g/g)=[W4(g)-W3(g)]/W0(g)
【0087】
上記数式3中、
W0(g)は高吸水性樹脂の初期重量(g)であり、W4(g)は高吸水性樹脂の重量および前記高吸水性樹脂に荷重を付与できる装置重量の総和であり、W3(g)は荷重(0.3psi)下で1時間、前記高吸水性樹脂に生理食塩水を吸収させた後、高吸水性樹脂の重量および前記高吸水性樹脂に荷重を付与できる装置重量の総和である。
【0088】
(9)EFFC
前記測定したCRC値とAUP値の平均値で計算した。
【0089】
製造例:カプセル化された発泡剤の製造
コア-シェル構造を有し、コアはiso-ペンタンであり、シェルはアクリレートおよびアクリロニトリルの共重合体からなるカプセル化された発泡剤を準備した。全体カプセル化された発泡剤の重量に対してiso-ペンタンは20重量%で含まれた。それぞれのカプセル化された発泡剤の直径は、光学顕微鏡により平均フェレ(Feret)径で測定された。そして、カプセル化された発泡剤の直径の平均値を求め、カプセル化された発泡剤の平均直径と規定した。ガラスペトリ皿の上にカプセル化された発泡剤0.2gを塗布した後、150℃で予熱されたホットプレート(Hot Plate)の上に10分間放置した。カプセル化された発泡剤は熱によって徐々に膨張するが、これを光学顕微鏡で観察してカプセル化された発泡剤の空気中での最大膨張比および最大膨張サイズを測定した。カプセル化された発泡剤に熱を加えた後、多く膨張した粒子順に上位10重量%の直径を測定して最大膨張サイズと規定し、カプセル化された発泡剤に熱を加える前に測定された平均直径(D0)に対する熱を加えた後に多く膨張した粒子の上位10重量%の平均直径(DM)の比率(DM/D0)を求めて、最大膨張比と規定した。前記カプセル化された発泡剤の平均直径は40μmであり、空気中の最大膨張率は約12倍であり、最大膨張サイズは約400~540μmであった。
【0090】
実施例1-1
(段階1)
NaOH(31.5wt%)609.8g、水229.1gを二重ジャケットガラス反応器に入れて、磁気撹拌器で攪拌しながら20℃で冷却して溶液Aを製造した。PEGDA溶液(ポリエチレングリコールジアクリレート(polyethyleneglycol diacrylate)、重量平均分子量=400、2wt% in AA(acrylic acid))0.3g、光開始剤のフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(Phenylbis(2,4,6-trimethylbenzoyl)phosphine oxide)溶液(0.21wt% in AA)18.8g、AA(アクリル酸)474.9gを強制攪拌インペラ付き二重ジャケット中和槽に入れて、300rpmで攪拌してB溶液を製造した。前記A溶液をB溶液が含まれている中和槽にポンプを用いて投入しながら混合した。AAとNaOHが中和しながら発生する熱によって約65℃まで上昇した中和液を、冷却サーキュレーター(Circulator)によって20℃で冷却された冷媒を二重ジャケット反応器の外部ジャケットに循環させながら中和液の温度を50℃まで冷却した。この時、予め準備した内部架橋剤のEGDE(エチレングリコールジグリシジルエーテル、Ethylene glycol diglycidyl ether)溶液(10wt% in H2O)6.4gを中和液に投入した。SPS(過硫酸ナトリウム)溶液(4wt% in H2O)24.7gとSDS(ドデシル硫酸ナトリウム、sodium dodecylsulfate)溶液(2wt% in H2O)1.4g、まず製造したカプセル化された発泡剤(2wt% in H2O)34.6gが入っている移動容器に、前記48℃で冷却された中和液をドレイン(Drain)して混合した。この時、単量体溶液のTSC(Total solid content)は43wt%であり、中和度は70mol%であった。この単量体溶液を80℃に温めたオーブン(Oven)内シリコーンシートが載せられているステンレス製容器(底面25cm×25cm、上面35cm×35cm、高さ10cm)に注いだ。容器上に注がれた単量体溶液の厚さは約2.5cmであった。そして、UVランプを用いて紫外線を照射して重合を行った。紫外線を照射した後、27秒後に発泡が開始され、最大発泡厚さは約6cmであった。60秒間紫外線を照射し、次いで120秒間、80℃のオーブン(oven)でエージング(Aging)させた後、得られた重合シートを取り出した。得られた重合シートは、厚さが約2~3cmであった。
【0091】
(段階2)
前記製造された重合シートをハサミを用いて4等分に切断し、そこに200gの水を加えて均等に混合した。これをホール(Hole)の大きさが16mmのホールプレート(Hole Plate)付きチョッパー(Chopper)に投入し、35Hzの速度で押着しながら排出してクラム(Crumb)を得た。得られたクラム(Crumb)を135℃で39分間熱風乾燥した。
【0092】
(段階3)
前記乾燥された重合体を、カッティングミル(cutting mill、pulverisette19、Fritsch社製、下段メッシュサイズ:10mm)とロールミル(roll mill、Modern process equipment社製、0.3/0.15mm)を用いて粉砕した。次いで、製造された粒子を分級(#4/6/10/25/30/40/50/80/100メッシュ)し、#25以上だけを2段ロールミル(roll mill、Modern process equipment社製、0.3/0.15mm)に再投入して再粉砕し、最初に製造された粒子と合わせた後、分級(#20/30/40/50/80/100メッシュ)した。それぞれ製造された粒子の大きさ分布、特性などは以下表1に示す。
【0093】
実施例1-2
実施例1-1と同様の方法で製造するが、実施例1-1の段階1で、EGDE溶液(10wt% in H2O)を4.9g使用し、SPS(過硫酸ナトリウム)溶液(4wt% in H2O)を24.7g使用し、また実施例1-1の段階2で、得られたクラム(Crumb)を115℃で39分間熱風乾燥して、粒子を製造した。
【0094】
実施例1-3
実施例1-1と同様の方法で製造するが、実施例1-1の段階1で、EGDE溶液(10wt% in H2O)を4.0g使用し、SPS(過硫酸ナトリウム)溶液(4wt% in H2O)を30.9g使用し、また実施例1-1の段階2で、得られたクラム(Crumb)を100℃で39分間熱風乾燥して、粒子を製造した。
【0095】
比較例1-1
実施例1-1と同様の方法で製造するが、実施例1-1の段階1で、EGDE溶液(10wt% in H2O)を12.4g使用し、SPS(過硫酸ナトリウム)溶液(4wt% in H2O)を11.1g使用し、また実施例1-1の段階2で、得られたクラム(Crumb)を195℃で39分間熱風乾燥して、粒子を製造した。
【0096】
比較例1-2
実施例1-1と同様の方法で製造するが、実施例1-1の段階1で、EGDE溶液(10wt% in H2O)を12.4g使用し、SPS(過硫酸ナトリウム)溶液(4wt% in H2O)を11.1g使用し、また実施例1-1の段階2で、得られたクラム(Crumb)を135℃で39分間熱風乾燥して、粒子を製造した。
【0097】
前記実施例1-1~1-3および比較例1-1および1-2で製造した粒子の物性を評価して下記表1に示す。
【0098】
【0099】
前記実施例1-1~1-3と比較例1-1を比べると、粒子の物性面では大きな差はないが、本発明による実施例では微粉の発生量が顕著に減少することを確認することができた。したがって、既存の物性を実現しながらも微粉の発生を減らすことができることを確認することができた。また、前記実施例1-1~1-3と比較例1-2を比べると、内部架橋剤を調節せず、含水率だけを実施例の程度に高める場合にはCRCが顕著に低下することを確認することができ、したがって、含水率を高める場合には、内部架橋剤を調節しなければならないことを確認することができた。
【0100】
実施例2-1
前記実施例1-1と同様の方法で、粒子を製造した。
【0101】
実施例2-2~2-4
前記実施例1-1と同様の方法で製造するが、まず製造したカプセル化された発泡剤の使用量を下記表2に記載のとおりに変更して粒子を製造した。
【0102】
比較例2-1
実施例1-1と同様の方法で製造するが、実施例1-1の段階1で、内部架橋剤であるEGDEの使用量とまず製造したカプセル化された発泡剤の使用量を下記表2に記載のとおりに変更し、また、実施例1-1の段階2で、得られたクラム(Crumb)を195℃で39分間熱風乾燥して、粒子を製造した。
【0103】
前記実施例2-1~2-4および比較例2-1で製造した粒子の物性を評価して下記表2に示す。
【0104】
【0105】
前記実施例2-1~2-4と比較例2-1を比べると、本発明による実施例では微粉の発生量が顕著に減少することを確認することができた。また、実施例2-1は、比較例2-1と物性が類似した水準であり、実施例2-2~2-4は、比較例2-1に比べて物性が改善される部分が多いことを確認することができた。
【0106】
実施例3-1
(段階1)
NaOH(31.5wt%)610.1g、水246.9gを二重ジャケットガラス反応器に入れて、磁気撹拌器で攪拌しながら20℃で冷却して溶液Aを製造した。PEGDA溶液(ポリエチレングリコールジアクリレート(polyethyleneglycol diacrylate)、重量平均分子量=400、2wt% in AA(アクリル酸、acrylic acid))0.3g、光開始剤のフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(Phenylbis(2,4,6-trimethylbenzoyl)phosphine oxide)溶液(0.21wt% in AA)18.8g、AA(アクリル酸)475.1gを強制攪拌インペラ付き二重ジャケット中和槽に入れて、300rpmで攪拌してB溶液を製造した。前記A溶液をB溶液が含まれている中和槽にポンプを用いて投入しながら混合した。AAとNaOHが中和しながら発生する熱によって約65℃まで上昇した中和液を、冷却サーキュレーター(Circulator)によって20℃で冷却された冷媒を二重ジャケット反応器の外部ジャケットに循環させながら中和液の温度を50℃まで冷却した。この時、予め準備した内部架橋剤であるEGDE(エチレングリコールジグリシジルエーテル、Ethylene glycol diglycidyl ether)溶液(10wt% in water)7.9gを中和液に投入した。SPS(過硫酸ナトリウム)溶液(4wt% in H2O)24.7gとSDS(ドデシル硫酸ナトリウム、sodium dodecylsulfate)溶液(2wt% in H2O)1.4g、最初に製造したカプセル化された発泡剤(2wt% in H2O)14.8gが入っている移動容器に、前記48℃で冷却された中和液をドレイン(Drain)して混合した。この時、単量体溶液のTSC(Total solid content)は43wt%であり、中和度は70mol%であった。この単量体溶液を80℃に温めたオーブン(Oven)内シリコーンシートが載せられているステンレス製容器(底面25cm×25cm、上面35cm×35cm、高さ10cm)に注いだ。容器上に注がれた単量体溶液の厚さは約2.5cmであった。そして、UVランプを用いて紫外線を照射して重合を行った。紫外線を照射した後、27秒後に発泡が開始され、最大発泡厚さは約6cmであった。60秒間紫外線を照射し、次いで120秒間、80℃のオーブン(oven)でエージング(Aging)させた後、得られた重合シートを取り出した。得られた重合シートは、厚さが約2~3cmであった。
【0107】
(段階2)
前記製造された重合シートをハサミを用いて4等分に切断し、そこに200gの水を加えて均等に混合した。これをホール(Hole)の直径が11mmのホールプレート(Hole Plate)付きチョッパー(Chopper)に投入し、35Hzの速度で押着しながら排出してクラム(Crumb)を得た。得られたクラム(Crumb)を135℃で39分間熱風乾燥した。
【0108】
(段階3)
前記乾燥された重合体を、カッティングミル(cutting mill、pulverisette19、Fritsch社製、下段メッシュサイズ:10mm)とロールミル(roll mill、Modern process equipment社製、0.3/0.14mm)を用いて粉砕した。次いで、製造された粒子を分級(#4/6/10/25/30/40/50/80/100メッシュ)し、#25以上だけを2段ロールミル(roll mill、Modern process equipment社製、0.3/0.14mm)に再投入して再粉砕し、まず製造された粒子と合わせた後、分級(#20/30/40/50/80/100メッシュ)した。この時、製造された粒子を「B/R粒子」と命名し、それぞれ製造された粒子の大きさ分布、特性などは以下表3に示す。
【0109】
(段階4)
水、Na2S2O5、PEG-6K(ポリ(エチレングリコール)(poly(ethylene glycol))、Mn=6,000)、EGDE(エチレングリコールジグリシジルエーテル(Ethylene glycol diglycidyl ether))、メタノール、グリセロールモノステアレート(Glycerol monostearate)、AEROXIDE(登録商標)Alu 130(Evonik社製)、23%Al2SO4水溶液をそれぞれ6.2:0.05:0.025:0.03:6.2:0.03:0.1:0.87の重量比で混合して、表面架橋液13.5gを製造した。
【0110】
高速ミキサーに前記段階3で製造したB/R粒子150gを入れた後、200rpmで混合しながら前記表面架橋液13.5gを噴射し、140℃で35分間反応を進行させ、常温まで冷却させて高吸水性樹脂を得た。
【0111】
(段階5)
前記段階4で得られた高吸水性樹脂100重量部に対し、Aerosil 200 0.1重量部と、2-ヒドロキシ-2-スルホネート酢酸の二ナトリウム塩0.05重量部を混合した。最終製造された粒子の大きさ分布、特性などは以下表4に示す。
【0112】
実施例3-2
前記実施例3-1と同様の方法で製造するが、実施例3-1の段階1で、内部架橋剤であるEGDEの使用量、カプセル化された発泡剤の使用量を下記表3に記載のとおりに変更し、また、実施例3-1の段階2で、ホールプレート(Hole Plate)付きチョッパー(Chopper)内ホールの直径を変更し、また、前記実施例3-1の段階5を省略して高吸水性樹脂を製造した。製造された粒子の大きさ分布、特性などは以下表4に示す。
【0113】
比較例3-1
(段階1~3)
実施例3-1と段階1~3と同様の方法で製造するが、実施例3-1の段階1で、内部架橋剤であるEGDEの使用量、カプセル化された発泡剤の使用量を下記表4に記載のとおりに変更し、また、実施例3-1の段階2で、ホールプレート(Hole Plate)付きチョッパー(Chopper)内ホールの直径および得られたクラム(Crumb)の乾燥温度を下記表3に記載のとおりに変更してB/R粒子を製造した。
【0114】
(段階4および5)
前記製造されたB/R粒子を使用したことを除いては、実施例3-1の段階4および段階5と同様の方法で、高吸水性樹脂を製造した。製造された粒子の大きさ分布、特性などは以下表4に示す。
【0115】
比較例3-2
実施例3-1と同様の方法で製造するが、実施例3-1の段階4で表面架橋温度を120℃に変更して、高吸水性樹脂を製造した。製造された粒子の大きさ分布、特性などは以下表4に示す。
【0116】
比較例3-3
比較例3-1の段階1~3と同様の方法で「B/R粒子」を製造し、これを使用して実施例3-1の段階4と同様の方法で、高吸水性樹脂を製造した。この時、実施例3-1の段階5は適用しない。製造された粒子の大きさ分布、特性などは以下表4に示す。
【0117】
前記実施例3-1および3-2および比較例3-1の結果を下記表3(B/R粒子)に示す。
【0118】
【0119】
前記実施例3-1および3-2と比較例3-1を比較すると、本発明による実施例では微粉の発生量が顕著に減少することを確認することができ、物性が改善される部分が多いことを確認することができた。
【0120】
前記実施例3-1および3-2および比較例3-1の結果を下記表4(高吸水性樹脂粒子)に示す。
【0121】
【0122】
前記実施例3-1および3-2と比較例3-1~3-3を比べると、前記B/R粒子に対する結果と同様に、本発明による実施例では物性が改善される部分が多いことを確認することができた。特に、表面架橋温度が低い比較例3-2に比べて、物性が改善される部分が顕著に多いことを確認することができた。