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特許7091418化合物、これを含む感光性樹脂組成物、感光性樹脂膜、カラーフィルタおよびディスプレイ装置
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  • 特許-化合物、これを含む感光性樹脂組成物、感光性樹脂膜、カラーフィルタおよびディスプレイ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】化合物、これを含む感光性樹脂組成物、感光性樹脂膜、カラーフィルタおよびディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   C09B 47/04 20060101AFI20220620BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220620BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20220620BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20220620BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20220620BHJP
   C07D 487/22 20060101ALI20220620BHJP
   C07F 3/06 20060101ALN20220620BHJP
【FI】
C09B47/04 CSP
G03F7/004 505
G03F7/004 502
G03F7/027
G02B5/20 101
C09B67/20 G
C09B67/20 Z
C07D487/22
C07F3/06
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020180419
(22)【出願日】2020-10-28
(65)【公開番号】P2021070826
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2020-10-28
(31)【優先権主張番号】10-2019-0135770
(32)【優先日】2019-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0104060
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】辛 明曄
(72)【発明者】
【氏名】權 章玄
(72)【発明者】
【氏名】鄭 義樹
(72)【発明者】
【氏名】柳 智鉉
【審査官】井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0024840(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0048931(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0013136(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第108107650(CN,A)
【文献】特開2000-302933(JP,A)
【文献】特開2013-182214(JP,A)
【文献】特開2015-040214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 1/00 ー 201/10
G03F 7/004
G03F 7/027
G02B 5/20
C07D 487/22
C07F 3/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
最大吸収波長に対する半値幅の最短波長が600nm~620nmの範囲内に位置するフタロシアニン系化合物であって、
前記フタロシアニン系化合物は、下記の化学式1で表される、化合物:
【化1】
前記化学式1において、
~R は、それぞれ独立して、水素原子であり、
~R は、それぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子であり、
~R 16 は、それぞれ独立して、ハロゲン原子または下記の化学式2で表され、
【化2】
前記化学式2において、
17 は、置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基、または置換もしくは非置換のC6~C20アリール基である。
【請求項2】
前記化学式2は、下記の化学式2-1~化学式2-4のいずれか1つで表される、請求項に記載の化合物:
【化3】
前記化学式2-1~化学式2-4において、
18およびR19は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であり、
20~R22は、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であり、
は、置換もしくは非置換のC1~C20アルキレン基である。
【請求項3】
前記R~R16のいずれか1つは、前記化学式2で表される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
前記「R~R12のいずれか1つ」または前記「R13~R16のいずれか1つ」は、前記化学式2で表される、請求項に記載の化合物。
【請求項5】
前記「R10、R11、R14およびR15のいずれか1つ」は、前記化学式2で表される、請求項に記載の化合物。
【請求項6】
前記「R~R16のいずれか2つ」は、前記化学式2で表される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項7】
前記「R~R12のいずれか1つ」および前記「R13~R16のいずれか1つ」は、前記化学式2で表される、請求項に記載の化合物。
【請求項8】
前記「R10およびR11のいずれか1つ」および前記「R14およびR15のいずれか1つ」は、前記化学式2で表される、請求項に記載の化合物。
【請求項9】
前記化学式1で表される化合物は、下記の化学式1-1~化学式1-20のいずれか1つで表される、請求項1または2に記載の化合物。
【化4A】
【化4B】
【化4C】
【化4D】
【化4E】
【化4F】
【化4G】
【請求項10】
前記化合物は、緑色染料である、請求項1~のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の化合物を含む感光性樹脂組成物。
【請求項12】
前記化合物は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して1重量%~40重量%含まれる、請求項11に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項13】
前記感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤および溶媒をさらに含む、請求項11または12に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項14】
前記感光性樹脂組成物は、顔料をさらに含む、請求項11~13のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項15】
前記感光性樹脂組成物は、下記の化学式3で表される化合物をさらに含む、請求項11~14のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物:
【化5】
前記化学式3において、
23およびR24は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、0~5の整数でかつ、3≦n1+n2≦5である。
【請求項16】
請求項11~14のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を用いて製造される感光性樹脂膜。
【請求項17】
請求項16に記載の感光性樹脂膜を含むカラーフィルタ。
【請求項18】
請求項17に記載のカラーフィルタを含むディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、化合物、これを含む感光性樹脂組成物、感光性樹脂膜、カラーフィルタおよびディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置の一つである液晶ディスプレイ装置は、軽量化および薄型化、低価格、低消費電力の駆動化および優れた集積回路との接合性などの利点があり、ノートパソコン、モニタおよびテレビ画像用へその使用範囲が拡大している。このような液晶ディスプレイ装置は、ブラックマトリックス、カラーフィルタおよびITO画素電極が形成された下部基板と、液晶層、薄膜トランジスタ、ストレージキャパシタ層からなる能動回路部と、ITO画素電極が形成された上部基板とを含んで構成される。カラーフィルタは、画素間の境界部を遮光するために透明基板上に定められたパターンで形成されたブラックマトリックス層と、それぞれの画素を形成するために複数の色(通常、赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色を定められた順に配列した画素部とが順次に積層された構造を採用している。
【0003】
カラーフィルタを実現する方法の一つである顔料分散法は、黒色マトリックスが提供された透明な基質上に着色剤を含有する光重合性組成物をコーティングし、形成しようとする形態のパターンを露光した後、非露光部位を溶剤で除去して熱硬化させる一連の過程を繰り返すことによって、着色薄膜が形成される方法である。顔料分散法によるカラーフィルタの製造に使用される感光性樹脂組成物は、一般に、アルカリ可溶性樹脂、光重合単量体、光重合開始剤、エポキシ樹脂、溶剤とその他の添加剤などからなる。前記の特徴を有する顔料分散法は、携帯電話、ノートパソコン、モニタ、テレビなどのLCDを製造するのに活発に応用されている。しかし、最近は、様々な利点を有する顔料分散法を利用したカラーフィルタ用感光性樹脂組成物においても、優れたパターン特性のみならず、さらに向上した性能が要求されている。特に、高い色再現率と共に、高輝度および高明暗比の特性が要求されるイメージセンサへの適用が可能な着色剤に対する要求がますます高まっているのが現状である。
【0004】
イメージセンサは、携帯電話カメラやDSC(Digital Still Camera)などのディスプレイ装置において映像を生成する映像撮像素子部品を称するもので、その製作工程と応用方式によって、大きく、固体撮像素子(charge coupled device;CCD)イメージセンサと、相補性金属酸化物半導体(complementary metal oxide semiconductor;CMOS)イメージセンサとに分類できる。
【0005】
固体撮像素子に使用されるカラーフィルタ用感光性樹脂膜は1.5μm以下の膜厚が要求されるため、感光性樹脂組成物中に多量の色素を添加しなければならず、このため、感度が低下して基板との密着が不十分になったり、十分な硬化が得られなかったり、露光部でも染料が溶出して色抜けするなどパターン形成性が顕著に低下するなどの問題があった。
【0006】
そこで、輝度と耐薬品性などの信頼性を満足させると同時に高色実現が可能な、イメージセンサに適用可能なカラーフィルタ用感光性樹脂組成物を開発しようとする努力が続いている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一実施形態は、高鮮明カラーフィルタを実現できる化合物を提供するものである。
【0008】
他の実施形態は、前記化合物を含む感光性樹脂組成物を提供するものである。
【0009】
さらに他の実施形態は、前記感光性樹脂組成物を用いて製造された感光性樹脂膜を提供するものである。
【0010】
さらに他の実施形態は、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルタを提供するものである。
【0011】
さらに他の実施形態は、前記カラーフィルタを含むディスプレイ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態は、最大吸収波長に対する半値幅の最短波長が600nm~620nmの範囲内に位置するフタロシアニン系化合物を提供する。
【0013】
前記フタロシアニン系化合物は、下記の化学式1で表される。
【化1】
【0014】
前記化学式1において、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子であり、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子であり、
~R16は、それぞれ独立して、ハロゲン原子または下記の化学式2で表され、
【化2】
前記化学式2において、
17は、置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基、または置換もしくは非置換のC6~C20アリール基である。
【0015】
前記化学式2は、下記の化学式2-1~化学式2-4のいずれか1つで表される。
【化3】
【0016】
前記化学式2-1~化学式2-4において、
18およびR19は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であり、
20~R22は、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であり、
は、置換もしくは非置換のC1~C20アルキレン基である。
【0017】
前記R~R16のいずれか1つは、前記化学式2で表される。
【0018】
前記「R~R12のいずれか1つ」または前記「R13~R16のいずれか1つ」は、前記化学式2で表される。
【0019】
前記「R10、R11、R14およびR15のいずれか1つ」は、前記化学式2で表される。
【0020】
前記「R~R16のいずれか2つ」は、前記化学式2で表される。
【0021】
前記「R~R12のいずれか1つ」および前記「R13~R16のいずれか1つ」は、前記化学式2で表される。
【0022】
前記「R10およびR11のいずれか1つ」および前記「R14およびR15のいずれか1つ」は、前記化学式2で表される。
【0023】
前記化学式1で表される化合物は、下記の化学式1-1~化学式1-20のいずれか1つで表される。
【化4A】
【化4B】
【化4C】
【化4D】
【化4E】
【化4F】
【化4G】
【0024】
前記化合物は、緑色染料であってもよい。
【0025】
他の実施形態は、前記化合物を含む感光性樹脂組成物を提供する。
【0026】
前記化合物は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して1重量%~40重量%含まれる。
【0027】
前記感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤および溶媒をさらに含むことができる。
【0028】
前記感光性樹脂組成物は、顔料をさらに含むことができる。
【0029】
前記感光性樹脂組成物は、下記の化学式3で表される化合物をさらに含むことができる。
【化5】
【0030】
前記化学式3において、
23およびR24は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、0~5の整数でかつ、3≦n1+n2≦5である。
【0031】
他の実施形態は、前記感光性樹脂組成物を用いて製造される感光性樹脂膜を提供する。
【0032】
さらに他の実施形態は、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルタを提供する。
【0033】
さらに他の実施形態は、前記カラーフィルタを含むディスプレイ装置を提供する。
【0034】
その他、本発明の側面の具体的な事項は以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0035】
一実施形態による化合物は、優れた緑色分光特性と高いモル吸光係数を有し、有機溶媒に対する溶解度に優れていて、緑色カラーフィルタ用感光性樹脂組成物の製造時に染料として使用可能であり、前記染料を含む感光性樹脂組成物を用いて製造された感光性樹脂膜およびこれを含むカラーフィルタは優れた輝度および明暗比を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】化合物の最大吸収波長に対する半値幅および前記半値幅の最短波長を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。ただし、これは例として提示されるもので、これによって本発明が制限されず、本発明は後述する請求範囲の範疇によってのみ定義される。
【0038】
本明細書において、特別な言及がない限り、「置換」あるいは「置換された」とは、本発明の官能基の1つ以上の水素原子がハロゲン原子(F、Br、ClまたはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基(NH、NH(R200)またはN(R201)(R202)であり、ここで、R200、R201およびR202は、同一または互いに異なり、それぞれ独立して、C1~C10アルキル基である)、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換の脂環族有機基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロ環基からなる群より選択される1種以上の置換基で置換されていることを意味する。
【0039】
本明細書において、特別な言及がない限り、「アルキル基」とは、C1~C20アルキル基を意味し、具体的には、C1~C15アルキル基を意味し、「シクロアルキル基」とは、C3~C20シクロアルキル基を意味し、具体的には、C3~C18シクロアルキル基を意味し、「アルコキシ基」とは、C1~C20アルコキシ基を意味し、具体的には、C1~C18アルコキシ基を意味し、「アリール基」とは、C6~C20アリール基を意味し、具体的には、C6~C18アリール基を意味し、「アルケニル基」とは、C2~C20アルケニル基を意味し、具体的には、C2~C18アルケニル基を意味し、「アルキレン基」とは、C1~C20アルキレン基を意味し、具体的には、C1~C18アルキレン基を意味し、「アリーレン基」とは、C6~C20アリーレン基を意味し、具体的には、C6~C16アリーレン基を意味する。
【0040】
本明細書において、特別な言及がない限り、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」と「メタクリレート」の両方とも可能であることを意味し、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の両方とも可能であることを意味する。
【0041】
本明細書において、別途の定義がない限り、「組み合わせ」とは、混合または共重合を意味する。また、「共重合」とは、ブロック共重合あるいはランダム共重合を意味し、「共重合体」とは、ブロック共重合体あるいはランダム共重合体を意味する。
【0042】
本明細書における化学式で別途の定義がない限り、化学結合が描かれるべき位置に化学結合が描かれていない場合は、前記位置に水素原子が結合していることを意味する。
【0043】
また、本明細書において、別途の定義がない限り、「*」は、同一または異なる原子または化学式に連結される部分を意味する。
【0044】
一実施形態は、最大吸収波長に対する半値幅の最短波長が600nm~620nmの範囲内に位置するフタロシアニン系化合物を提供する。
【0045】
着色剤として顔料を用いた感光性樹脂組成物で製造されたカラーフィルタでは、顔料粒子の大きさに起因する輝度と明暗比の限界が存在するので、輝度と明暗比の改善に対する必要性が提起され続けており、これを達成すべく、顔料の代わりに粒子をなさない染料を導入して、染料に適した感光性樹脂組成物を製造して輝度と明暗比が改善されたカラーフィルタを実現しようとする努力が続いており、このような努力により、顔料の代わりに染料を主要着色剤として用いた感光性樹脂組成物の場合、輝度や明暗比の改善にはある程度効果を示してきた。
【0046】
一方、最近は、従来のLCDのようなディスプレイ装置のほか、固体撮像素子のイメージセンサや相補性金属酸化物半導体のイメージセンサなどにも適用可能な感光性樹脂組成物に対する要求が急増しているが、従来染料を主要着色剤として用いた感光性樹脂組成物の場合、前記イメージセンサへの適用時に高色実現が不可能で、高鮮明カラーフィルタの製造が非常に難しいという問題が新たに浮上している。このように高色実現が不可能なのは、固体撮像素子のイメージセンサなどに装着されるカラーフィルタのパターンの大きさが、従来のLCD用カラーフィルタのパターンの大きさの1/100倍~1/200倍程度と非常に小さいためと考えられる。
【0047】
そこで、本発明の発明者らは、長い研究の末に、フタロシアニン系化合物が有するそれぞれの最大吸収波長に対する半値幅の最短波長を特定の波長範囲に限定させることによって、従来のLCD用カラーフィルタのパターンの大きさより100倍~200倍小さい大きさを有するパターンにも容易に適用可能で、解像度を増加させ、残渣を減少させて、窮極的に高色実現が可能なカラーフィルタ用感光性樹脂組成物に使用される染料化合物を開発するに至った。
【0048】
最大吸収波長に対する半値幅の最短波長とは、特定のフタロシアニン系化合物の吸収スペクトルで最大吸収値を有する波長(最大吸収波長、b)のエネルギー幅(Δλ)のうち最も小さい値を有する波長(a)を意味する。(図1参照)
【0049】
最大吸収波長に対する半値幅の最短波長が600nm~620nm、例えば610nm~620nm、例えば611nm~616nmの範囲内に位置するフタロシアニン系化合物は、最大吸収波長に対する半値幅の最短波長が前記範囲を外れるフタロシアニン系化合物対比、有機溶媒に対する溶解度に優れているだけでなく、これを着色剤として含む感光性樹脂組成物の輝度および耐薬品性を向上させ、何よりも高色実現(CIE色座標(Gx、Gy)上のGx値の低下)が可能であるという点で、大きな違いがある。
【0050】
例えば、最大吸収波長に対する半値幅の最短波長が600nm~620nmの範囲内に位置するフタロシアニン系化合物は、下記の化学式1で表される。
【化6】
【0051】
前記化学式1において、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子であり、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子であり、
~R16は、それぞれ独立して、ハロゲン原子または下記の化学式2で表され、
【化7】
前記化学式2において、
17は、置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基、または置換もしくは非置換のC6~C20アリール基である。
【0052】
前記化学式1で表される化合物は、優れた緑色分光特性と高いモル吸光係数を有する。さらに、前記化学式1で表される化合物は、前記化学式2で表される置換基を少なくとも1つ以上必ず含むことによって、有機溶媒に対する優れた溶解度、およびカラーフィルタへの適用時の優れた輝度および耐薬品性を示すことができる。
【0053】
例えば、前記化学式1で表される化合物が前記化学式2で表される置換基を全く含まない場合、有機溶媒に対する溶解度、輝度および耐薬品性の低下が大きくて、カラーフィルタ用感光性樹脂組成物内の着色剤としての使用に無理があるだけでなく、高色再現イメージセンサへの実現が非常に困難になる。
【0054】
前記化学式2で表される置換基は、「1個または2個のアルキル基を置換基として有するアリールオキシ基」または「1個または2個のアルキル基を置換基として有するアルコキシ基」であり、前記アリールオキシ基において、前記アルキル基は、オルト(ortho)および/またはパラ(para)位置に置換されていて、輝度および耐薬品性をさらに向上させることができる。例えば、前記アルキル基がメタ(meta)位置に置換される場合、カラーフィルタ用緑色画素の実現が困難になる。
【0055】
例えば、前記化学式2は、下記の化学式2-1~化学式2-4のいずれか1つで表されるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【化8】
【0056】
前記化学式2-1~化学式2-4において、
18およびR19は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であり、
20~R22は、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であり、
は、置換もしくは非置換のC1~C20アルキレン基である。
【0057】
前記化学式2-2および化学式2-3において、R18およびR19の少なくとも1つは、メチル基、エチル基、n-ブチル基などの線状(linear)アルキル基である場合よりも、tert-ブチル基などの非線形(branch)アルキル基である場合の方が、輝度および耐薬品性の面でより有利になり、前記化学式2-4において、R20~R22の少なくとも1つ以上は、置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基である場合の方が、輝度および耐薬品性の面でより有利になる。
【0058】
例えば、前記化学式2で表される置換基が前記化学式2-4で表される場合、現像性をさらに改善させることができる。
【0059】
また、前記化学式1で表されるフタロシアニン系化合物は、4個の水素原子および少なくとも4個以上のハロゲン原子を含み、このような構造的特徴により、有機溶媒に対する溶解度をさらに向上させることができる。より具体的には、前記化学式1で表されるフタロシアニン系化合物は、i)R~Rで表される基を有するベンゼン環、ii)R~Rで表される基を有するベンゼン環、iii)R~R12で表される基を有するベンゼン環、およびiv)R13~R16で表される基を有するベンゼン環、の4個のベンゼン環をコア構造に含むが、前記4個のベンゼン環のうち、前記化学式2で表される置換基を含むベンゼン環は、前記化学式2で表される置換基以外の残りの3個の基が全てハロゲン原子であり、前記化学式2で表される置換基を含まないベンゼン環の4個の基は、全て水素原子またはハロゲン原子であってもよく、このような構造的特徴により、最大吸収波長に対する半値幅の最短波長が600nm~620nmの範囲内に容易に位置することができ、有機溶媒に対する溶解度をさらに向上させることができ、輝度の向上および工程特性の確保の面でも有利であり得る。
【0060】
何よりも、最大吸収波長に対する半値幅の最短波長が600nm~620nmの範囲内に位置するフタロシアニン系化合物であっても、前記化合物が前記化学式1で表される構造を有しない場合、これを着色剤として含む感光性樹脂組成物の輝度および耐薬品性が大きく低下したり高色実現が不可能で、一実施形態によるフタロシアニン系化合物は、最大吸収波長に対する半値幅の最短波長が600nm~620nmの範囲内に位置し、かつ、前記化学式1で表される構造を有することが好ましい。
【0061】
例えば、前記R~R16のうちの1つまたは2つは、前記化学式2で表される。前記R~R16のうちの1つまたは2つが前記化学式2で表されない場合、輝度が低下する問題が発生しうる。
【0062】
例えば、前記「R~R12のうちの1つ」および/または前記「R13~R16のうちの1つ」は、前記化学式2で表される。
【0063】
例えば、前記「R10、R11、R14およびR15のうちの1つ」は、前記化学式2で表される。
【0064】
例えば、前記「R10およびR11のうちの1つ」および前記「R14およびR15のうちの1つ」は、前記化学式2で表される。
【0065】
例えば、前記化学式1で表される化合物は、下記の化学式1-1~化学式1-20のいずれか1つで表されるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【化9A】
【化9B】
【化9C】
【化9D】
【化9E】
【化9F】
【化9G】
【0066】
例えば、前記化学式1で表されるフタロシアニン系化合物は、1個以上の前記化学式2で表される置換基を含むため、少量でもより鮮明な色の発現が可能で、着色剤への使用時、輝度や明暗比などの色特性に優れたディスプレイ素子の製造が可能である。例えば、前記化合物は、着色剤、例えば染料、例えば緑色染料、例えば445nm~560nmの波長範囲で最大透過度を有する染料である。
【0067】
一般に、染料は、カラーフィルタ内に使用される構成成分のうち最も高価な構成成分である。そのため、所望の効果、例えば、高輝度や高明暗比などを達成するためには、高価な染料をより多く使用しければならないため、生産単価が上昇するしかなかった。しかし、一実施形態による化合物をカラーフィルタ内の染料として用いる場合、少量でも高輝度、高明暗比などの優れた色特性を達成可能で、生産単価の節減が可能である。
【0068】
他の実施形態によれば、前記一実施形態によるフタロシアニン系化合物を含む感光性樹脂組成物を提供する。
【0069】
例えば、前記感光性樹脂組成物は、前記一実施形態によるフタロシアニン系化合物、バインダー樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤および溶媒を含むことができる。
【0070】
一実施形態による化合物は、感光性樹脂組成物内で着色剤、例えば染料、例えば緑色染料としての役割を果たし、優れた色特性を発現できる。
【0071】
一実施形態による化合物は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して1重量%~40重量%、例えば10重量%~40重量%、例えば20重量%~40重量%、例えば1重量%~30重量%、例えば1重量%~20重量%、例えば1重量%~10重量%含まれる。前記範囲で一実施形態による化合物が含まれる場合、色再現率および明暗比に優れている。
【0072】
前記感光性樹脂組成物は、顔料、例えば、黄色顔料、緑色顔料またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0073】
前記黄色顔料は、カラーインデックス(Color Index)内において、C.I.顔料黄色138、C.I.顔料黄色139、C.I.顔料黄色150などが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上混合して使用できる。
【0074】
前記緑色顔料は、カラーインデックス(Color Index)内において、C.I.顔料緑色36、C.I.顔料緑色58、C.I.顔料緑色59などが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上混合して使用できる。
【0075】
前記顔料は、顔料分散液の形態で前記感光性樹脂組成物に含まれる。
【0076】
前記顔料分散液は、固形分の顔料、溶剤および前記溶剤内に前記顔料を均一に分散させるための分散剤を含むことができる。
【0077】
前記固形分の顔料は、顔料分散液の総量に対して1重量%~20重量%、例えば8重量%~20重量%、例えば8重量%~15重量%、例えば10重量%~20重量%、例えば10重量%~15重量%含まれる。
【0078】
前記分散剤としては、非イオン性分散剤、陰イオン性分散剤、陽イオン性分散剤などを使用できる。前記分散剤の具体例としては、ポリアルキレングリコールおよびそのエステル、ポリオキシアルキレン、多価アルコールエステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、アルキルアミンなどが挙げられ、これらを単独でまたは2以上混合して使用できる。
【0079】
前記分散剤の市販の製品を例に挙げると、BYK社のDISPERBYK-101、DISPERBYK-130、DISPERBYK-140、DISPERBYK-160、DISPERBYK-161、DISPERBYK-162、DISPERBYK-163、DISPERBYK-164、DISPERBYK-165、DISPERBYK-166、DISPERBYK-170、DISPERBYK-171、DISPERBYK-182、DISPERBYK-2000、DISPERBYK-2001など;EFKAケミカル社のEFKA-47、EFKA-47EA、EFKA-48、EFKA-49、EFKA-100、EFKA-400、EFKA-450など;Zeneka社のSolsperse5000、Solsperse12000、Solsperse13240、Solsperse13940、Solsperse17000、Solsperse20000、Solsperse24000GR、Solsperse27000、Solsperse28000など;またはAjinomoto社のPB711、PB821などがある。
【0080】
前記分散剤は、顔料分散液の総量に対して1重量%~20重量%含まれる。分散剤が前記範囲内に含まれる場合、適切な粘度を維持可能で、感光性樹脂組成物の分散性に優れ、これによって、製品への適用時、光学的、物理的および化学的品質を維持できる。
【0081】
前記顔料分散液を形成する溶剤としては、エチレングリコールアセテート、エチルセロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチルラクテート、ポリエチレングリコール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールメチルエーテルなどを使用できる。
【0082】
前記顔料分散液は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して10重量%~20重量%、例えば12重量%~18重量%含まれる。前記顔料分散液が前記範囲内に含まれる場合、工程マージンの確保に有利で、色再現率および明暗比に優れている。
【0083】
前記バインダー樹脂は、アクリル系樹脂であってもよい。
【0084】
前記アクリル系樹脂は、第1エチレン性不飽和単量体およびこれと共重合可能な第2エチレン性不飽和単量体の共重合体で、1つ以上のアクリル系繰り返し単位を含む樹脂である。
【0085】
前記第1エチレン性不飽和単量体は、1つ以上のカルボキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体であり、その具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0086】
前記第1エチレン性不飽和単量体は、前記アクリル系バインダー樹脂の総量に対して5重量%~50重量%、例えば10重量%~40重量%含まれる。
【0087】
前記第2エチレン性不飽和単量体は、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルメチルエーテルなどの芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル化合物;2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物;酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル化合物;グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド化合物;などが挙げられ、これらを単独でまたは2以上混合して使用できる。
【0088】
前記アクリル系樹脂の具体例としては、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などが挙げられるが、これに限定されるものではなく、これらを単独または2種以上を配合して使用してもよい。
【0089】
例えば、前記バインダー樹脂は、前記アクリル系樹脂と共にエポキシ系樹脂をさらに含むことができる。
【0090】
前記バインダー樹脂の重量平均分子量は3,000g/mol~150,000g/mol、例えば5,000g/mol~50,000g/mol、例えば20,000g/mol~30,000g/molであってもよい。前記バインダー樹脂の重量平均分子量が前記範囲内の場合、前記感光性樹脂組成物の物理的および化学的物性に優れ、粘度が適切であり、カラーフィルタの製造時、基板との密着性に優れている。
【0091】
前記バインダー樹脂の酸価は15mgKOH/g~60mgKOH/g、例えば20mgKOH/g~50mgKOH/gであってもよい。前記バインダー樹脂の酸価が前記範囲内の場合、ピクセルパターンの解像度に優れている。
【0092】
前記バインダー樹脂は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して1重量%~20重量%、例えば1重量%~15重量%、例えば1重量%~10重量%含まれる。前記バインダー樹脂が前記範囲内に含まれる場合、カラーフィルタの製造時、現像性に優れ、架橋性が改善されて優れた表面平滑度を得ることができる。
【0093】
前記光重合性化合物は、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル酸の一官能または多官能エステルが使用できる。
【0094】
前記光重合性化合物は、前記エチレン性不飽和二重結合を有することによって、パターン形成工程において、露光時に十分な重合を起こすことによって、耐熱性、耐光性および耐薬品性に優れたパターンを形成できる。
【0095】
前記光重合性化合物の具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0096】
前記光重合性化合物の市販の製品を例に挙げると、次の通りである。前記(メタ)アクリル酸の一官能エステルの例としては、東亜合成化学工業(株)社のアロニックスM-101(登録商標)、同M-111(登録商標)、同M-114(登録商標)など;日本化薬(株)社のKAYARAD TC-110S(登録商標)、同TC-120S(登録商標)など;大阪有機化学工業(株)社のV-158(登録商標)、V-2311(登録商標)などが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸の二官能エステルの例としては、東亜合成化学工業(株)社のアロニックスM-210(登録商標)、同M-240(登録商標)、同M-6200(登録商標)など;日本化薬(株)社のKAYARAD HDDA(登録商標)、同HX-220(登録商標)、同R-604(登録商標)など;大阪有機化学工業(株)社のV-260(登録商標)、V-312(登録商標)、V-335 HP(登録商標)などが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸の三官能エステルの例としては、東亜合成化学工業(株)社のアロニックスM-309(登録商標)、同M-400(登録商標)、同M-405(登録商標)、同M-450(登録商標)、同M-710(登録商標)、同M-8030(登録商標)、同M-8060(登録商標)など;日本化薬(株)社のKAYARAD TMPTA(登録商標)、同DPCA-20(登録商標)、同-30(登録商標)、同-60(登録商標)、同-120(登録商標)など;大阪有機化学工業(株)社のV-295(登録商標)、同-300(登録商標)、同-360(登録商標)、同-GPT(登録商標)、同-3PA(登録商標)、同-400(登録商標)などが挙げられる。前記製品を単独使用または2種以上共に使用できる。
【0097】
前記光重合性化合物は、より優れた現像性を付与するために、酸無水物で処理して使用してもよい。
【0098】
前記光重合性化合物は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して1重量%~15重量%、例えば1重量%~10重量%含まれる。前記光重合性化合物が前記範囲内に含まれる場合、パターン形成工程で露光時に硬化が十分に起きて信頼性に優れ、アルカリ現像液への現像性に優れている。
【0099】
前記光重合開始剤は、感光性樹脂組成物に一般に使用される開始剤であって、例えば、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンゾイン系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物、またはこれらの組み合わせを使用できる。
【0100】
前記アセトフェノン系化合物の例としては、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2,2’-ジブトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、2,2’-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オンなどが挙げられる。
【0101】
前記ベンゾフェノン系化合物の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-2-メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0102】
前記チオキサントン系化合物の例としては、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2、4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントンなどが挙げられる。
【0103】
前記ベンゾイン系化合物の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。
【0104】
前記トリアジン系化合物の例としては、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3’,4’-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4’-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ビフェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-s-トリアジンなどが挙げられる。
【0105】
前記オキシム系化合物の例としては、O-アシルオキシム系化合物、2-(o-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(o-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン、O-エトキシカルボニル-α-オキシアミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどを使用できる。前記O-アシルオキシム系化合物の具体例としては、1,2-オクタンジオン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1,2-ジオン2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1,2-ジオン2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1-オンオキシム-O-アセテートおよび1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1-オンオキシム-O-アセテートなどが挙げられる。
【0106】
前記光重合開始剤は、前記化合物以外にも、カルバゾール系化合物、ジケトン類化合物、スルホニウムボレート系化合物、ジアゾ系化合物、イミダゾール系化合物、ビイミダゾール系化合物、フルオレン系化合物などを使用できる。
【0107】
前記光重合開始剤は、光を吸収して励起状態になった後、そのエネルギーを伝達することによって、化学反応を起こす光増感剤と共に使用されてもよい。
【0108】
前記光増感剤の例としては、テトラエチレングリコールビス-3-メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネート、ジペンタエリスリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネートなどが挙げられる。
【0109】
前記光重合開始剤は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して0.01重量%~10重量%、例えば0.1重量%~5重量%含まれる。光重合開始剤が前記範囲内に含まれる場合、パターン形成工程で露光時に硬化が十分に起きて優れた信頼性を得ることができ、パターンの耐熱性、耐光性および耐薬品性に優れ、解像度および密着性にも優れており、未反応開始剤による透過率の低下を防止できる。
【0110】
前記溶媒は、一実施形態による化合物、顔料、バインダー樹脂、光重合性化合物および光重合開始剤との相溶性を有しかつ、反応しない物質が使用できる。
【0111】
前記溶媒の例としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類;ジクロロエチルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート類;メチルエチルカルビトール、ジエチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸メチル、乳酸エチルなどの乳酸エステル類;オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチルなどのオキシ酢酸アルキルエステル類;メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチルなどのアルコキシ酢酸アルキルエステル類;3-オキシプロピオン酸メチル、3-オキシプロピオン酸エチルなどの3-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチルなどの3-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシプロピオン酸メチル、2-オキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸プロピルなどの2-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸メチルなどの2-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エステル類、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-アルコキシ-2-メチルプロピオン酸アルキル類のモノオキシモノカルボン酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチルなどのエステル類;ピルビン酸エチルなどのケトン酸エステル類などがあり、また、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセチルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテートなどの高沸点溶媒が挙げられる。
【0112】
これらのうち、好適には、相溶性および反応性を考慮して、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;および/またはシクロヘキサノンなどのケトン類が使用できる。
【0113】
前記溶媒は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して残部量、例えば30重量%~80重量%含まれる。溶媒が前記範囲内に含まれる場合、前記感光性樹脂組成物が適切な粘度を有することによって、カラーフィルタの製造時、工程性に優れている。
【0114】
前記感光性樹脂組成物は、下記の化学式3で表される化合物をさらに含むことができる。
【化10】
【0115】
前記化学式3において、
23およびR24は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、または置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基であり、
~Lは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C20アルキレン基であり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、0~5の整数でかつ、3≦n1+n2≦5である。
【0116】
例えば、前記化学式3で表される化合物は、酸化防止剤として機能できる。
【0117】
例えば、前記化学式3において、R23は、アルキル基で置換されたC1~C20アルキル基であり、R24は、ヒドロキシ基であり、n1は、2の整数であり、n2は、1の整数であってもよい。
【0118】
他の実施形態による感光性樹脂組成物は、基板との密着性などを改善するために、エポキシ化合物をさらに含むことができる。
【0119】
前記エポキシ化合物の例としては、フェノールノボラックエポキシ化合物、テトラメチルビフェニルエポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、脂環族エポキシ化合物またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0120】
前記エポキシ化合物は、感光性樹脂組成物100重量部に対して0.01重量部~20重量部、例えば0.1重量部~10重量部含まれる。エポキシ化合物が前記範囲内に含まれる場合、密着性、保存性などに優れている。
【0121】
また、前記感光性樹脂組成物は、基板との接着性を向上させるために、カルボキシル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性置換基を有するシランカップリング剤をさらに含むことができる。
【0122】
前記シランカップリング剤の例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γイソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、βエポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシランなどが挙げられ、これらを単独または2種以上混合して使用できる。
【0123】
前記シランカップリング剤は、感光性樹脂組成物100重量部に対して0.01重量部~10重量部含まれる。シランカップリング剤が前記範囲内に含まれる場合、密着性、保存性などに優れている。
【0124】
また、前記感光性樹脂組成物は、必要に応じて、コーティング性の向上および欠点生成防止効果のために、界面活性剤をさらに含むことができる。
【0125】
前記界面活性剤の例としては、BM Chemie社のBM-1000(登録商標)、BM-1100(登録商標)など;大日本インキ化学工業(株)社のメガファックF142D(登録商標)、同F172(登録商標)、同F173(登録商標)、同F183(登録商標)など;住友スリーエム(株)社のフロラードFC-135(登録商標)、同FC-170C(登録商標)、同FC-430(登録商標)、同FC-431(登録商標)など;旭硝子(株)社のサーフロンS-112(登録商標)、同S-113(登録商標)、同S-131(登録商標)、同S-141(登録商標)、同S-145(登録商標)など;東レシリコーン(株)社のSH-28PA(登録商標)、同-190(登録商標)、同-193(登録商標)、SZ-6032(登録商標)、SF-8428(登録商標)などの名称で市販されているフッ素系界面活性剤を使用できる。
【0126】
前記界面活性剤は、感光性樹脂組成物100重量部に対して0.001重量部~5重量部使用できる。界面活性剤が前記範囲内に含まれる場合、コーティング均一性が確保され、シミが発生せず、ガラス基板に対する湿潤性(wetting)に優れている。
【0127】
また、前記感光性樹脂組成物は、物性を阻害しない範囲内で、酸化防止剤、安定剤などのその他の添加剤が一定量添加されてもよい。
【0128】
他の実施形態によれば、前記一実施形態による感光性樹脂組成物を用いて製造されたカラーフィルタを提供する。
【0129】
前記カラーフィルタ内のパターン形成工程は、次の通りである。
【0130】
前記感光性樹脂組成物を支持基板上にスピンコーティング、スリットコーティング、インクジェットプリンティングなどで塗布する工程;前記塗布された感光性樹脂組成物を乾燥して感光性樹脂組成物膜を形成する工程;前記感光性樹脂組成物膜を露光する工程;前記露光された感光性樹脂組成物膜をアルカリ水溶液で現像して感光性樹脂膜を製造する工程;および前記感光性樹脂膜を加熱処理する工程を含む。前記工程上の条件などについては当該分野で広く知られた事項であるので、本明細書では詳しい説明は省略する。
【0131】
以下、実施例を挙げて本発明についてより詳しく説明するが、下記の実施例は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明が下記の実施例に限定されるものではない。
【実施例
【0132】
(化合物の合成)
合成例1:化学式1-1で表される化合物の合成
100mlのフラスコに、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(5g)、2-イソプロピル-フェノール(2.56g)、KCO(3.9g)、N,N-ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide)(25ml)を入れて、70℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、EA(酢酸エチル)で抽出する。抽出後に濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に真空乾燥して、4-(2-イソプロピル-フェノキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリルを得る
【0133】
100mlのフラスコに、4-(2-イソプロピル-フェノキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリル(2g)、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(0.73g)、フタロニトリル(0.35g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(2.08g)および1-ペンタノール(15g)を入れて、90℃に加熱して固体が溶けた後、酢酸亜鉛(0.50g)を入れて、140℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、メタノールで沈殿を確認し、ろ過後、真空乾燥する。乾燥された固体をカラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に得られた固体にジクロロメタンを適当に入れて固体を溶かした後、メタノールを添加して結晶化する。前記結晶化された固体をろ過し、真空乾燥して、下記の化学式1-1で表される化合物を得る。
【化11】
Maldi-tof MS:1190.69m/z
【0134】
合成例2:化学式1-2で表される化合物の合成
100mlのフラスコに、4-(2-イソプロピル-フェノキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリル(2g)、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(2.91g)、フタロニトリル(0.70g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(4.16g)および1-ペンタノール(30g)を入れて、90℃に加熱して固体が溶けた後、酢酸亜鉛(1.00g)を入れて、140℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、メタノールで沈殿を確認し、ろ過後、真空乾燥する。乾燥された固体をカラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に得られた固体にジクロロメタンを適当に入れて固体を溶かした後、メタノールを添加して結晶化する。前記結晶化された固体をろ過し、真空乾燥して、下記の化学式1-2で表される化合物を得る。
【化12】
Maldi-tof MS:1090.96m/z
【0135】
合成例3:化学式1-3で表される化合物の合成
100mlのフラスコに、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(5g)、2-tert-ブチル-フェノール(2.83g)、KCO(3.9g)、N,N-ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide)(25ml)を入れて、70℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、EA(酢酸エチル)で抽出する。抽出後に濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に真空乾燥して、4-(2-tert-ブチル-フェノキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリルを得る。
【0136】
100mlのフラスコに、4-(2-tert-ブチル-フェノキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリル(2g)、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(0.70g)、フタロニトリル(0.34g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(2.01g)および1-ペンタノール(15g)を入れて、90℃に加熱して固体が溶けた後、酢酸亜鉛(0.48g)を入れて、140℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、メタノールで沈殿を確認し、ろ過後、真空乾燥する。乾燥された固体をカラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に得られた固体にジクロロメタンを適当に入れて固体を溶かした後、メタノールを添加して結晶化する。前記結晶化された固体をろ過し、真空乾燥して、下記の化学式1-3で表される化合物を得る。
【化13】
Maldi-tofMS:1218.75m/z
【0137】
合成例4:化学式1-4で表される化合物の合成
100mlのフラスコに、4-(2-tert-Butyl-phenoxy)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリル(2g)、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(2.80g)、フタロニトリル(0.67g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(4.01g)および1-ペンタノール(30g)を入れて、90℃に加熱して固体が溶けた後、酢酸亜鉛(0.97g)を入れて、140℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、メタノールで沈殿を確認し、ろ過後、真空乾燥する。乾燥された固体をカラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に得られた固体にジクロロメタンを適当に入れて固体を溶かした後、メタノールを添加して結晶化する。前記結晶化された固体をろ過し、真空乾燥して、下記の化学式1-4で表される化合物を得る。
【化14】
Maldi-tof MS:1104.98m/z
【0138】
合成例5:化学式1-5で表される化合物の合成
100mlのフラスコに、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(5g)、p-クレゾール(2.83g)、KCO(3.9g)、N,N-ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide)(25ml)を入れて、70℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、EA(酢酸エチル)で抽出する。抽出後に濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に真空乾燥して、4-(2-メチル-フェノキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリルを得る。
【0139】
100mlのフラスコに、4-(2-メチル-フェノキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリル(2g)、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(0.79g)、フタロニトリル(0.38g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(2.26g)および1-ペンタノール(15g)を入れて、90℃に加熱して固体が溶けた後、酢酸亜鉛(0.54g)を入れて、140℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、メタノールで沈殿を確認し、ろ過後、真空乾燥する。乾燥された固体をカラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に得られた固体にジクロロメタンを適当に入れて固体を溶かした後、メタノールを添加して結晶化する。前記結晶化された固体をろ過し、真空乾燥して、下記の化学式1-5で表される化合物を得る。
【化15】
Maldi-tof MS:1134.58m/z
【0140】
合成例6:化学式1-6で表される化合物の合成
100mlのフラスコに、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(5g)、2,6-ジメチルフェノール(2.30g)、KCO(3.9g)、N,N-ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide)(25ml)を入れて、70℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、EA(酢酸エチル)で抽出する。抽出後に濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に真空乾燥して、4-(2,6-ジメチル-フェノキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリルを得る。
【0141】
100mlのフラスコに、4-(2,6-ジメチル-フェノキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリル(2g)、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(0.76g)、フタロニトリル(0.36g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(2.17g)および1-ペンタノール(15g)を入れて、90℃に加熱して固体が溶けた後、酢酸亜鉛(0.52g)を入れて、140℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、メタノールで沈殿を確認し、ろ過後、真空乾燥する。乾燥された固体をカラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に得られた固体にジクロロメタンを適当に入れて固体を溶かした後、メタノールを添加して結晶化する。前記結晶化された固体をろ過し、真空乾燥して、下記の化学式1-6で表される化合物を得る。
【化16】
Maldi-tof MS:1162.64m/z
【0142】
合成例7:化学式1-7で表される化合物の合成
100mlのフラスコに、4-(2,6-ジメチル-フェノキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリル(2g)、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(3.03g)、フタロニトリル(0.73g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(4.33g)および1-ペンタノール(30g)を入れて、90℃に加熱して固体が溶けた後、酢酸亜鉛(1.04g)を入れて、140℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、メタノールで沈殿を確認し、ろ過後、真空乾燥する。乾燥された固体をカラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に得られた固体にジクロロメタンを適当に入れて固体を溶かした後、メタノールを添加して結晶化する。前記結晶化された固体をろ過し、真空乾燥して、下記の化学式1-7で表される化合物を得る。
【化17】
Maldi-tof MS:1076.93m/z
【0143】
合成例8:化学式1-8で表される化合物の合成
100mlのフラスコに、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(5g)、2,4-ジ-t-ブチルフェノール(3.9g)、KCO(3.9g)、N,N-ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide)(25ml)を入れて、70℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、EA(酢酸エチル)で抽出する。抽出後に濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に真空乾燥して、4-(2,4-ジ-t-ブチル-フェノキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリルを得る。
【0144】
100mlのフラスコに、4-(2,4-ジ-t-ブチル-フェノキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリル(2g)、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(0.70g)、フタロニトリル(0.34g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(2.01g)および1-ペンタノール(15g)を入れて、90℃に加熱して固体が溶けた後、酢酸亜鉛(0.48g)を入れて、140℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、メタノールで沈殿を確認し、ろ過後、真空乾燥する。乾燥された固体をカラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に得られた固体にジクロロメタンを適当に入れて固体を溶かした後、メタノールを添加して結晶化する。前記結晶化された固体をろ過し、真空乾燥して、下記の化学式1-8で表される化合物を得る。
【化18】
Maldi-tof MS:1330.96m/z
【0145】
合成例9:化学式1-9で表される化合物の合成
100mlのフラスコに、4-(2,4-ジ-t-ブチル-フェノキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリル(2g)、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(2.80g)、フタロニトリル(0.68g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(4.01g)および1-ペンタノール(15g)を入れて、90℃に加熱して固体が溶けた後、酢酸亜鉛(0.97g)を入れて、140℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、メタノールで沈殿を確認し、ろ過後、真空乾燥する。乾燥された固体をカラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に得られた固体にジクロロメタンを適当に入れて固体を溶かした後、メタノールを添加して結晶化する。前記結晶化された固体をろ過し、真空乾燥して、下記の化学式1-9で表される化合物を得る。
【化19】
Maldi-tof MS:1161.09m/z
【0146】
合成例10:化学式1-10で表される化合物の合成
100mlのフラスコに、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(5g)、2-tert-ブチル-4-メチルフェノール(3.09g)、KCO(3.9g)、N,N-ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide)(25ml)を入れて、70℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、EA(酢酸エチル)で抽出する。抽出後に濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に真空乾燥して、4-(2-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリルを得る。
【0147】
100mlのフラスコに、4-(2-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリル(2g)、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(0.68g)、フタロニトリル(0.33g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エンe(1.9g)および1-ペンタノール(15g)を入れて、90℃に加熱して固体が溶けた後、酢酸亜鉛(0.47g)を入れて、140℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、メタノールで沈殿を確認し、ろ過後、真空乾燥する。乾燥された固体をカラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に得られた固体にジクロロメタンを適当に入れて固体を溶かした後、メタノールを添加して結晶化する。前記結晶化された固体をろ過し、真空乾燥して、下記の化学式1-10で表される化合物を得る。
【化20】
Maldi-tof MS:1246.80m/z
【0148】
合成例11:化学式1-11で表される化合物の合成
100mlのフラスコに、4-(2-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリル(2g)、フタロニトリル(0.65g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(1.9g)および1-ペンタノール(15g)を入れて、90℃に加熱して固体が溶けた後、酢酸亜鉛(0.47g)を入れて、140℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、メタノールで沈殿を確認し、ろ過後、真空乾燥する。乾燥された固体をカラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に得られた固体にジクロロメタンを適当に入れて固体を溶かした後、メタノールを添加して結晶化する。前記結晶化された固体をろ過し、真空乾燥して、下記の化学式1-11で表される化合物を得る。
【化21】
Maldi-tof MS:1109.03m/z
【0149】
合成例12:化学式1-12で表される化合物の合成
100mlのフラスコに、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(5g)、2,2-ジメチル-1-プロパノール(1.66g)、ジアザビシクロウンデカ-7-エン(4.29g)、N,N-ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide)(25ml)を入れて、70℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、EA(酢酸エチル)で抽出する。抽出後に濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に真空乾燥して、4-(2,2-ジメチル-1-プロポキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリルを得る。
【0150】
100mlのフラスコに、4-(2,2-ジメチル-1-プロポキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリル(2g)、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(0.84g)、フタロニトリル(0.40g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(2.40g)および1-ペンタノール(15g)を入れて、90℃に加熱して固体が溶けた後、酢酸亜鉛(0.58g)を入れて、140℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、メタノールで沈殿を確認し、ろ過後、真空乾燥する。乾燥された固体をカラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に得られた固体にジクロロメタンを適当に入れて固体を溶かした後、メタノールを添加して結晶化する。前記結晶化された固体をろ過し、真空乾燥して、下記の化学式1-12で表される化合物を得る。
【化22】
Maldi-tof MS:1094.60m/z
【0151】
合成例13:化学式1-13で表される化合物の合成
100mlのフラスコに、4-(2,2-ジメチル-1-プロポキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリル(1g)、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(1.67g)、フタロニトリル(0.40g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(2.40g)および1-ペンタノール(15g)を入れて、90℃に加熱して固体が溶けた後、酢酸亜鉛(0.58g)を入れて、140℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、メタノールで沈殿を確認し、ろ過後、真空乾燥する。乾燥された固体をカラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に得られた固体にジクロロメタンを適当に入れて固体を溶かした後、メタノールを添加して結晶化する。前記結晶化された固体をろ過し、真空乾燥して、下記の化学式1-13で表される化合物を得る。
【化23】
Maldi-tof MS:1042.91m/z
【0152】
合成例14:化学式1-14で表される化合物の合成
100mlのフラスコに、4-(2,2-ジメチル-1-プロポキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリル(2g)、フタロニトリル(0.81g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(2.40g)および1-ペンタノール(15g)を入れて、90℃に加熱して固体が溶けた後、酢酸亜鉛(0.58g)を入れて、140℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、メタノールで沈殿を確認し、ろ過後、真空乾燥する。乾燥された固体をカラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に得られた固体にジクロロメタンを適当に入れて固体を溶かした後、メタノールを添加して結晶化する。前記結晶化された固体をろ過し、真空乾燥して、下記の化学式1-14で表される化合物を得る。
【化24】
Maldi-tof MS:956.84m/z
【0153】
合成例15:化学式1-15で表される化合物の合成
100mlのフラスコに、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(5g)、3-メチル-1-ブタノール(1.66g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(4.29g)、N,N-ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide)(25ml)を入れて、70℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、EA(酢酸エチル)で抽出する。抽出後に濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に真空乾燥して、4-(3-メチル-1-ブトキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリルを得る。
【0154】
100mlのフラスコに、4-(3-メチル-1-ブトキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリル(2g)、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(0.84g)、フタロニトリル(0.40g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(2.40g)および1-ペンタノール(15g)を入れて、90℃に加熱して固体が溶けた後、酢酸亜鉛(0.58g)を入れて、140℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、メタノールで沈殿を確認し、ろ過後、真空乾燥する。乾燥された固体をカラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に得られた固体にジクロロメタンを適当に入れて固体を溶かした後、メタノールを添加して結晶化する。前記結晶化された固体をろ過し、真空乾燥して、下記の化学式1-15で表される化合物を得る。
【化25】
Maldi-tof MS:1094.60m/z
【0155】
合成例16:化学式1-16で表される化合物の合成
100mlのフラスコに、4-(3-メチル-1-ブトキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリル(1g)、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(1.67g)、フタロニトリル(0.40g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(2.40g)および1-ペンタノール(15g)を入れて、90℃に加熱して固体が溶けた後、酢酸亜鉛(0.58g)を入れて、140℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、メタノールで沈殿を確認し、ろ過後、真空乾燥する。乾燥された固体をカラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に得られた固体にジクロロメタンを適当に入れて固体を溶かした後、メタノールを添加して結晶化する。前記結晶化された固体をろ過し、真空乾燥して、下記の化学式1-16で表される化合物を得る。
【化26】
Maldi-tof MS:1042.91m/z
【0156】
合成例17:化学式1-17で表される化合物の合成
100mlのフラスコに、4-(3-メチル-1-ブトキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリル(2g)、フタロニトリル(0.81g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(2.40g)および1-ペンタノール(15g)を入れて、90℃に加熱して固体が溶けた後、酢酸亜鉛(0.58g)を入れて、140℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、メタノールで沈殿を確認し、ろ過後、真空乾燥する。乾燥された固体をカラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に得られた固体にジクロロメタンを適当に入れて固体を溶かした後、メタノールを添加して結晶化する。前記結晶化された固体をろ過し、真空乾燥して、下記の化学式1-17で表される化合物を得る。
【化27】
Maldi-tof MS:956.84m/z
【0157】
合成例18:化学式1-18で表される化合物の合成
100mlのフラスコに、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(5g)、2-メチル-1-プロパノール(1.39g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(4.29g)、N,N-ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide)(25ml)を入れて、70℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、EA(酢酸エチル)で抽出する。抽出後に濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に真空乾燥して、4-(3-メチル-1-ブトキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリルを得る。
【0158】
100mlのフラスコに、4-(2-メチル-1-プロポキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリル(2g)、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(0.88g)、フタロニトリル(0.42g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(2.52g)および1-ペンタノール(15g)を入れて、90℃に加熱して固体が溶けた後、酢酸亜鉛(0.61g)を入れて、140℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、メタノールで沈殿を確認し、ろ過後、真空乾燥する。乾燥された固体をカラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に得られた固体にジクロロメタンを適当に入れて固体を溶かした後、メタノールを添加して結晶化する。前記結晶化された固体をろ過し、真空乾燥して、下記の化学式1-18で表される化合物を得る。
【化28】
Maldi-tof MS:1066.55m/z
【0159】
合成例19:化学式1-19で表される化合物の合成
100mlのフラスコに、4-(2-メチル-1-プロポキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリル(1g)、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(1.76g)、フタロニトリル(0.42g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(2.52g)および1-ペンタノール(15g)を入れて、90℃に加熱して固体が溶けた後、酢酸亜鉛(0.61g)を入れて、140℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、メタノールで沈殿を確認し、ろ過後、真空乾燥する。乾燥された固体をカラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に得られた固体にジクロロメタンを適当に入れて固体を溶かした後、メタノールを添加して結晶化する。前記結晶化された固体をろ過し、真空乾燥して、下記の化学式1-19で表される化合物を得る。
【化29】
Maldi-tof MS:1028.89m/z
【0160】
合成例20:化学式1-20で表される化合物の合成
100mlのフラスコに、4-(2-メチル-1-プロポキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリル(2g)、フタロニトリル(0.85g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(2.52g)および1-ペンタノール(15g)を入れて、90℃に加熱して固体が溶けた後、酢酸亜鉛(0.61g)を入れて、140℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、メタノールで沈殿を確認し、ろ過後、真空乾燥する。乾燥された固体をカラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に得られた固体にジクロロメタンを適当に入れて固体を溶かした後、メタノールを添加して結晶化する。前記結晶化された固体をろ過し、真空乾燥して、下記の化学式1-20で表される化合物を得る。
【化30】
Maldi-tof MS:928.78m/z
【0161】
合成例21:化学式1-21で表される化合物の合成
100mlのフラスコに、4-(2,4-ジ-t-ブチル-フェノキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリル(2g)、フタロニトリル(2.03g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(4.01g)および1-ペンタノール(15g)を入れて、90℃に加熱して固体が溶けた後、酢酸亜鉛(0.97g)を入れて、140℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、メタノールで沈殿を確認し、ろ過後、真空乾燥する。乾燥された固体をカラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に得られた固体にジクロロメタンを適当に入れて固体を溶かした後、メタノールを添加して結晶化する。前記結晶化された固体をろ過し、真空乾燥して、下記の化学式1-21で表される化合物を得る。
【化31】
Maldi-tof MS:885.56m/z
【0162】
比較合成例1:化学式C-1で表される化合物の合成
100mlのフラスコに、4-(2-sec-ブチル-フェノキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリル(1g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(0.30g)、1-ペンタノール(7g)、酢酸亜鉛(0.12g)を入れて、140℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、濃縮して、カラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に得られた液体を濃縮して固体を得る。前記結晶化された固体を真空乾燥して、下記の化学式C-1で表される化合物を得る。
【化32】
Maldi-tof MS:1584.04m/z
【0163】
比較合成例2:化学式C-2で表される化合物の合成
100mlのフラスコに、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(5g)、2,4-ジ-tert-ブチルフェノール(2.75g)、KCO(3.9g)、N,N-ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide)(25ml)を入れて、70℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、EA(酢酸エチル)で抽出する。抽出後に濃縮すれば固体を得ることができる。この時得られた固体を少量のジクロロメタンに溶かした後、ヘキサンで数回洗い、ろ過後、真空乾燥して、3,4,6-トリクロロ-5-(2,4-ジメチル-フェノキシ)-フタロニトリルを得る。
【0164】
100mlのフラスコに、3,4,6-トリクロロ-5-(2,4-ジ-tert-ブチル-フェノキシ)-フタロニトリル(1g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(1.08g)および1-ペンタノール(14g)を入れて、90℃に加熱して固体が溶けた後、酢酸亜鉛(0.26g)を入れて、140℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、メタノールで沈殿を確認し、ろ過後、真空乾燥する。乾燥された固体をカラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に得られた固体にジクロロメタンを適当に入れて固体を溶かした後、メタノールを添加して結晶化する。前記結晶化された固体をろ過し、真空乾燥して、下記の化学式C-2で表される化合物を得る。
【化33】
Maldi-tof MS:1808.47m/z
【0165】
比較合成例3:化学式C-3で表される化合物の合成
100mlのフラスコに、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(5g)、2,4-ジメトキシフェノール(3.47g)、KCO(3.9g)、N,N-ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide)(25ml)を入れて、70℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、EA(酢酸エチル)で抽出する。抽出後に濃縮すれば固体を得ることができる。この時得られた固体を少量のジクロロメタンに溶かした後、ヘキサンで数回洗い、ろ過後、真空乾燥して、3,4,6-トリクロロ-5-(2,4-ジメトキシ-フェノキシ)-フタロニトリルを得る。
【0166】
100mlのフラスコに、3,4,6-トリクロロ-5-(2,4-ジメトキシ-フェノキシ)-フタロニトリル(2g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(0.99g)および1-ペンタノール(14g)を入れて、90℃に加熱して固体が溶けた後、酢酸亜鉛(0.24g)を入れて、140℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、メタノールで沈殿を確認し、ろ過後、真空乾燥する。乾燥された固体をカラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に得られた固体にジクロロメタンを適当に入れて固体を溶かした後、メタノールを添加して結晶化する。前記結晶化された固体をろ過し、真空乾燥して、下記の化学式C-3で表される化合物を得る。
【化34】
Maldi-tof MS:1591.80m/z
【0167】
比較合成例4:化学式C-4で表される化合物の合成
100mlのフラスコに、合成例1-2の4-(2,4-ジメトキシ-フェノキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリル(0.7g)、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(1.45g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(1.38g)および1-ペンタノール(14g)を入れて、90℃に加熱して固体が溶けた後、酢酸亜鉛(0.33g)を入れて、140℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、メタノールで沈殿を確認し、ろ過後、真空乾燥する。乾燥された固体をカラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に得られた固体にジクロロメタンを適当に入れて固体を溶かした後、メタノールを添加して結晶化する。前記結晶化された固体をろ過し、真空乾燥して、下記の化学式C-4で表される化合物を得る。
【化35】
Maldi-tof MS:1237.54m/z
【0168】
比較合成例5:化学式C-5で表される化合物の合成
100mlのフラスコに、4-(2-tert-ブチル-フェノキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリル(2g)、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(0.70g)、4,5-ジクロロフタロニトリル(0.52g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(2.01g)および1-ペンタノール(15g)を入れて、90℃に加熱して固体が溶けた後、酢酸亜鉛(0.48g)を入れて、140℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、メタノールで沈殿を確認し、ろ過後、真空乾燥する。乾燥された固体をカラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に得られた固体にジクロロメタンを適当に入れて固体を溶かした後、メタノールを添加して結晶化する。前記結晶化された固体をろ過し、真空乾燥して、下記の化学式C-5で表される化合物を得る。
【化36】
Maldi-tof MS:1287.63m/z
【0169】
比較合成例6:化学式C-6で表される化合物の合成
100mlのフラスコに、4-(2-tert-ブチル-フェノキシ)-3,5,6-トリクロロ-フタロニトリル(2g)、3,4,5,6-テトラクロロフタロニトリル(0.70g)、4-ジクロロフタロニトリル(0.43g)、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(2.01g)および1-ペンタノール(15g)を入れて、90℃に加熱して固体が溶けた後、酢酸亜鉛(0.48g)を入れて、140℃に加熱しながら撹拌する。反応終了後、メタノールで沈殿を確認し、ろ過後、真空乾燥する。乾燥された固体をカラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製する。精製後に得られた固体にジクロロメタンを適当に入れて固体を溶かした後、メタノールを添加して結晶化する。前記結晶化された固体をろ過し、真空乾燥して、下記の化学式C-6で表される化合物を得る。
【化37】
Maldi-tof MS:1253.19m/z
【0170】
評価1:最大吸収波長に対する半値幅の最短波長の測定
前記合成例1~合成例21および比較合成例1~比較合成例6による化合物を、希釈溶剤(PGMEA)を用いて0.005wt%の濃度に製造して、前記合成例1~合成例21および比較合成例1~比較合成例6によるフタロシアニン系化合物のそれぞれに対する吸収スペクトルを得て、その結果を下記表1に示した。(UV-1800、SHIMADZU)
【0171】
【表1】
【0172】
評価2:溶解度の測定
前記合成例1~合成例21および比較合成例1~比較合成例6による化合物0.5gに、希釈溶剤(PGMEA)をそれぞれ添加し、当該溶液をミックスローター(iuchi株式会社、MIXROTAR VMR-5)にて25℃、100rpmで1時間撹拌した後、それぞれの化合物の溶解度の確認結果を下記表2に示した。
【0173】
溶解度評価基準
希釈溶剤の総量に対して化合物(溶質)が10重量%以上溶解:○
希釈溶剤の総量に対して化合物(溶質)が10重量%未満溶解:X
【0174】
【表2】
【0175】
前記表2から、一実施形態による化合物である合成例1~合成例20の化合物は、合成例21および比較合成例1~比較合成例6の化合物よりも、有機溶媒に対する溶解度に優れていて、感光性樹脂組成物などへの使用時、優れた色特性を示し得ることを確認できる。
【0176】
(感光性樹脂組成物の合成)
実施例1
下記に言及された構成成分を下記表3~表5に示す組成で混合して、実施例1~実施例21および比較例1~比較例6による感光性樹脂組成物を製造した。
【0177】
具体的には、溶媒に光重合開始剤を溶かした後、2時間常温で撹拌した後、これにバインダー樹脂および光重合性単量体を添加して、2時間常温で撹拌した。次に、得られた前記反応物に、着色剤として前記合成例で製造された化合物(染料)および顔料(顔料分散液形態)を入れて、1時間常温で撹拌した。次に、酸化防止剤およびレベリング剤を入れて、前記生成物を3回ろ過して不純物を除去することによって、感光性樹脂組成物を製造した。
【0178】
【表3】
【0179】
【表4】
【0180】
【表5】
【0181】
評価3:色座標、輝度、耐薬品性、現像性および表面シワ
脱脂洗浄した厚さ1mmのガラス基板上に、1μm~3μmの厚さに前記実施例1~実施例21および比較例1~比較例6で製造した感光性樹脂組成物を塗布し、90℃のホットプレート上で2分間乾燥させて塗膜を得た。続いて、塗膜に365nmの主波長を有する高圧水銀ランプを用いて露光した。この後、230℃の熱風循環式乾燥炉内で20分間乾燥させてサンプルを得た。画素層は分光光度計(MCPD3000、Otsuka electronic社)を用いてC光源ベースの色純度を評価し、CIE色座標ベースで輝度(Y)を計算して、下記表6に記した。
【0182】
また、前記露光および乾燥させて得られたサンプル(フォトレジスト膜)の初期厚さを測定した後、NMP溶媒に25℃、10分間静置させた後、超純水で30秒間洗浄した後、圧縮空気で吹いて乾燥した。その後、前記分光光度計を用いてdel(E*)値を測定して耐薬品性を確認し、その結果を下記表6に示した。
【0183】
前記コーティングおよび露光過程を経て、現像機(SVS社、KOH希釈液)を用いて現像性を確認し、その結果を下記表6に示した。
【0184】
前記現像した基板を230℃の熱風循環式乾燥炉内で20分間乾燥させてサンプルを得て、走査電子顕微鏡で表面シワを確認し、その結果を下記表6に示した。
【0185】
耐薬品性評価基準
del(E*)が3未満:○
del(E*)が3以上:X
【0186】
現像性評価基準
BPが60秒未満:○
BPが60秒以上:X
【0187】
表面シワ評価基準
走査電子顕微鏡で観察時、パターン表面でシワが観察されず:○
走査電子顕微鏡で観察時、パターン表面でシワが観察された:X
【0188】
【表6】
【0189】
前記表6から、一実施形態による化合物を染料として含む実施例1~実施例20の感光性樹脂組成物が、前記化合物を含まない比較例1~比較例6の感光性樹脂組成物と比較して、高色再現が可能であると同時に輝度および耐薬品性にも優れていて、イメージセンサなどに容易に適用されて色特性に優れた高鮮明ディスプレイ装置の製造が可能であることを確認できる。実施例21の感光性樹脂組成物は、高色実現は可能であるが、輝度、耐薬品性、現像性、表面シワ特性などが実施例1~実施例20の感光性樹脂組成物よりも大きく低下することも確認できる。
【0190】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
図1