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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】バリアフィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20220620BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20220620BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20220620BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220620BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20220620BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
B32B27/00 101
B32B27/18 Z
B32B27/30 A
H05B33/14 A
H05B33/04
G02F1/13357
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020548811
(86)(22)【出願日】2019-04-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-24
(86)【国際出願番号】 KR2019005003
(87)【国際公開番号】W WO2019209042
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-09-11
(31)【優先権主張番号】10-2018-0047791
(32)【優先日】2018-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ボ・ラ・パク
(72)【発明者】
【氏名】ボム・クォン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ヒ・ジュン・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・ヨン・ファン
【審査官】石塚 寛和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/170252(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/077255(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/020011(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
H01L 27/32
H05B 33/00-33/28
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バリア層、アンチブロッキング層、及び前記バリア層と前記アンチブロッキング層との間の機能性層を含み、
前記バリア層は、ポリシラザンバリア層であり、
前記アンチブロッキング層は、アクリレート単位を含み、
前記アンチブロッキング層は、平均粒径が0.3μm~50μmの範囲内である粒子を含み、
前記アンチブロッキング層は、4官能以下の多官能性アクリレート単位100重量部に対して1~50重量部の4官能超過の多官能性アクリレート単位を含み、
前記粒子の平均粒径(A)と前記アンチブロッキング層の厚さ(B)の割合(A/B)が4.5~25の範囲内であることを特徴とする、バリアフィルム。
【請求項2】
前記機能性層は、基材層及びバッファ層のうち一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載のバリアフィルム。
【請求項3】
前記バリア層は、下記化学式1で表示される単位を含み、
【化1】
化学式1で、R、R及びRは、それぞれ独立的に水素、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はアルコキシ基であり、nは、任意の数であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のバリアフィルム。
【請求項4】
前記バリア層の厚さが10nm~500nmの範囲内であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のバリアフィルム。
【請求項5】
前記粒子を除いた前記アンチブロッキング層の総重量に対して前記4官能以下の多官能性アクリレート単位の重量割合が60重量%以上であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のバリアフィルム。
【請求項6】
前記アンチブロッキング層の表面の算術平均粗さ(Ra)が50nm~500nmの範囲内であり、粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)が1μm~10μmの範囲内であることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のバリアフィルム。
【請求項7】
前記アンチブロッキング層の表面の静止摩擦係数が0.15~0.5の範囲内であることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のバリアフィルム。
【請求項8】
前記アンチブロッキング層の表面の動摩擦係数が0.15~0.5の範囲内であることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のバリアフィルム。
【請求項9】
前記アンチブロッキング層の厚さが0.1μm~100μmであることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のバリアフィルム。
【請求項10】
光源及び請求項1からのいずれか一項に記載のバリアフィルムを含む照明装置。
【請求項11】
請求項10に記載の照明装置を含むディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は、2018年4月25日に提出された韓国特許出願第10-2018-0047791号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本出願は、バリアフィルム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
バリアフィルムは、食品又は医薬品などの包装材料はもちろん、LCD(液晶ディスプレイ,Liquid Crystal Display)やOLED(有機発光ディスプレイ,Organic Light Emitting Display)などのディスプレイ用部材、太陽電池用部材又は電子ペーパーなどを含んだ多様な用途に用いられている。
【0004】
バリアフィルムは、例えば、高分子フィルム上に気体及び/又は水分遮断性に優れた材料の層を形成して製造することができる。前記層の形成には、例えば、乾式コーティング(dry coating)方式や湿式コーティング(wet coating)方式が適用され得る。
【0005】
乾式コーティング方式としては、いわゆる物理気相堆積方法(physical vapor deposition、PVD)と化学気相堆積方法(chemical vapor deposition、CVD)などがある。乾式コーティング方式の場合には、工程中に真空条件が要求され、工程難易度も高く、コストもたくさん所要される。
【0006】
湿式コーティング方式は、乾式コーティング方式に比べて工程難易度が低い。また、湿式コーティング方式は、いわゆるロールツーロール(roll‐to‐roll)方式に適用が可能であるため、バリアフィルムを連続的に大量生産することにも有利である。
【0007】
しかし、ロールツーロール過程では、バリアフィルムの製作過程でフィルムが巻取及び/又は巻き出される場合が多く、この過程でバリア層あるいはバリア層の前駆層が他の層と接触しながら物性低下が発生する場合が多い。また、ロールツーロール工程が効率的に進行されるためには、フィルムの走行性も改善される必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願は、バリアフィルム及びその製造方法を提供する。本出願では、バリア層又は前記バリア層の前駆体層と接触する場合にも形成されるバリア層の物性を維持又は改善することができ、いわゆるロールツーロール工程などで走行性も改善できるアンチブロッキング層を含むバリアフィルム及びその製造方法を提供することを一つの目的とする。特に、本出願では、バリア層が、いわゆるポリシラザンバリア層である場合に、上述した効果を効果的に確保することができるバリアフィルム及びその製造方法の提供を一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書で言及する物性のうち測定温度及び/又は圧力がその物性値に影響を及ぼす場合には、特に異に言及しない限り、該当物性は、常温及び/又は常圧で測定した物性を意味する。
【0010】
本出願で用語「常温」は、加温及び減温しない自然そのままの温度であり、例えば、約10℃~30℃の範囲内のいずれか一つの温度、25℃又は23℃程度の温度を意味することができる。
【0011】
本出願で用語「常圧」は、特に減圧したり加圧しないときの圧力であって、普通の大気圧のような1気圧程度であってもよい。
【0012】
本出願のバリアフィルムは、バリア層を含む。バリア層は、水分及び/又はガスに対する遮断性を有する層を意味する。本出願のバリアフィルムは、バリア層を含むことで、バリアフィルムが所定の水分及び/又はガスに対する透過度を有するようにすることができる。例えば、本明細書でバリア層は、バリアフィルムの水分透過度(いわゆるWVTR(Water Vapor Transmission Rate))を0.5×10-3g/m・day以下に維持できるようにする全ての種類の層を意味することができる。前記水分透過度は、他の例示で、0.45×10-3g/m・day以下、0.4×10-3g/m・day以下、0.35×10-3g/m・day以下、0.3×10-3g/m・day以下、0.25×10-3g/m・day以下、0.2×10-3g/m・day以下、0.15×10-3g/m・day以下、0.1×10-3g/m・day以下、0.09×10-3g/m・day以下、0.08×10-3g/m・day以下、0.07×10-3g/m・day以下、0.06×10-3g/m・day以下又は0.05×10-3g/m・day以下程度であってもよい。前記水分透過度は、その数値が低いほど水分や湿気に対する遮断性能に優れることを意味するので、その下限は特に制限されない。例えば、前記水分透過度は、0g/m・day以上又は0g/m・day超過であってもよい。
【0013】
前記バリア層は、いわゆるポリシラザンバリア層であってもよい。ポリシラザンバリア層は、ポリシラザン化合物を主成分で含むバリア層あるいはポリシラザン化合物を主成分で含む材料で形成されたバリア層を意味することができる。本明細書で「ある対象にある成分が主成分で含まれる」ということは、該当対象内の前記成分の重量割合が55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上又は95重量%以上である場合を意味することができ、この場合、主成分の割合の上限は、100重量%以下又は100重量%未満である。前記バリア層は、ポリシラザン化合物を含んで上述した水分遮断性を具現することができる。本出願で用語「ポリシラザン化合物」は、ポリシラザン又はその誘導体を含む意味である。ポリシラザン又はその誘導体は、例えば、SiO組成(xが1.2~2.0の範囲内)を有する薄膜を形成して水分及び湿気に対する遮断性を具現することができる。ポリシラザン化合物は、ナノサイズのシリカドメインを有する薄膜を形成しつつ、水分及び湿気に対する遮断性を具現することができるようにする。
【0014】
前記ポリシラザン化合物あるいはそれを含むバリア層又は前記バリア層の前駆体層は、例えば、下記化学式1で表示される単位を含むことができる。
【0015】
【化1】
【0016】
化学式1で、R、R及びRは、それぞれ独立的に水素、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はアルコキシ基である。
【0017】
用語「アルキル基」は、特に異に規定しない限り、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8又は炭素数1~4のアルキル基を意味することができる。前記アルキル基は、直鎖型、分枝鎖型又は環型であってもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n‐プロピル基、イソプロピル基、n‐ブチル基、イソブチル基、sec‐ブチル基、t‐ブチル基、n‐ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n‐ヘキシル基、n‐ヘプチル基又はn‐オクチル基などの直鎖型又は分枝鎖型アルキル基であるか、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基又はシクロヘプチル基などのシクロアルキル基などが例示され得る。また、前記アルキル基は、任意的に一つ以上の置換基に置換されていてもよい。
【0018】
用語「アルケニル基」は、特に異に規定しない限り、炭素数2~20、炭素数2~16、炭素数2~12、炭素数2~8又は炭素数2~4のアルケニル基を意味することができる。前記アルケニル基は、直鎖型、分枝鎖型又は環型であってもよい。アルケニル基は、ビニル基、1‐プロフェニル基、2‐プロフェニル基、1‐ブテニル基、2‐ブテニル基又は3‐ブテニル基などが例示され得る。また、アルケニル基は、任意的に一つ以上の置換基に置換されていてもよい。
【0019】
用語「アリール基」は、特に異に規定しない限り、ベンゼン環又は2個以上のベンゼン環が縮合又は結合された構造を含む化合物又はその誘導体に由来する1価残基を意味することができる。アリール基の範囲には、通常的にアリール基と呼称される官能基はもちろん、いわゆるアラルキル基(aralkyl group)又はアリールアルキル基なども含まれ得る。アリール基は、例えば、炭素数6~25、炭素数6~21、炭素数6~18又は炭素数6~12のアリール基であってもよい。アリール基としては、フェニル基、フェノキシ基、フェノキシフェニル基、フェノキシベンジル基、ジクロロフェニル、クロロフェニル、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基(xylyl group)又はナフチル基などが例示され得る。また、前記アリール基は、任意的に一つ以上の置換基に置換されていてもよい。
【0020】
用語「アルコキシ基」は、特に異に規定しない限り、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8又は炭素数1~4のアルコキシ基を意味することができる。前記アルコキシ基は、直鎖型、分枝鎖型又は環型であってもよい。また、前記アルコキシ基は、任意的に一つ以上の置換基に置換されていてもよい。
【0021】
前記アルキル基、アルキレン基、アリール基又はアルコキシ基に任意的に置換されている置換基としては、塩素又はフッ素などのハロゲン、グリシジル基、エポキシアルキル基、グリシドキシアルキル基又は脂環式エポキシ基などのエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、チオール基又は1価炭化水素基などが例示され得るが、これに制限されるものではない。前記用語「1価炭化水素基」は、特に他に規定しない限り、炭素と水素からなる化合物又はそのような化合物の誘導体から誘導される1価残基を意味することができる。例えば、1価炭化水素基は、1個~25個の炭素原子を含むことができる。1価炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基などが例示され得る。
【0022】
化学式1で、nは、任意の数であり、例えば、nは、2~50の数である。
【0023】
化学式1の単位のポリシラザンのSi‐N結合単位は、硬化過程、例えば、光又はプラズマなどを用いた硬化過程でSi‐Oの結合単位に転換され得る。
【0024】
また、本出願の前記バリア層は、下記数式1を満たすことができる。
【0025】
[数式1]
0.75 = d/(c+d)= 0.97
【0026】
数式1で、cは、バリア層に存在するSi‐N結合単位の数を意味し、dは、バリア層に存在するSi‐O結合単位の数を意味する。前記結合単位の数は、例えば、モル数であってもよい。
【0027】
数式1は、バリア層の全体領域でポリシラザンの転換割合を意味するものであって、前記数式1を満たすバリア層をバリアフィルムに含むことで、バリア層に適切な剛性を付与すると同時に目的とするバリア性を付与することができる。
【0028】
バリア層の厚さは、バリアフィルムに要求される薄型化程度及び光学特性などを考慮して適切な範囲を選定することができ、例えば、10nm~500nmの厚さ範囲を有することができるが、これに制限されるものではない。前記厚さは、他の例示で、20nm以上、30nm以上、40nm以上、50nm以上、60nm以上、70nm以上、80nm以上、90nm以上、100nm以上、110nm以上、120nm以上、130nm以上、140nm以上、150nm以上、160nm以上、170nm以上、180nm以上、190nm以上、200nm以上、210nm以上、220nm以上、230nm以上、240nm以上、250nm以上、260nm以上、270nm以上、280nm以上、290nm以上又は300nm以上であるか、490nm以下、480nm以下、470nm以下、460nm以下、450nm以下、440nm以下、430nm以下、420nm以下、410nm以下、400nm以下、390nm以下、380nm以下、370nm以下、360nm以下、350nm以下、340nm以下、330nm以下、320nm以下、310nm以下又は300nm以下程度であってもよい。本出願の構造は、特に上記のような厚さ範囲のポリシラザンバリア層を有する場合に適合である。
【0029】
本明細書である層の厚さは、該当層の最も薄い部分の厚さ、最も厚い部分の厚さ又は該当層の平均厚さであってもよい。
【0030】
前記バリア層は、酸化剤をさらに含むことができる。前記酸化剤は、後述する硬化工程、例えば、光又はプラズマを用いた酸化工程の速度を向上させるために含ませる構成であり、前記目的を達成することができるものであれば、公知の酸化剤が制限なしに全て用いられ得、その含量も適正割合が選択され得る。
【0031】
例えば、酸化剤としては、過酸化物(H、Na、BaO、(CCO)など);次亜塩素酸(HClO);オゾン水;メチルエチルケトンペルオキシド、メチルイソブチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、メチルシクロヘキサノンペルオキシド又は3,3,5‐トリメチルシクロヘキサノンペルオキシドなどのケトンペルオキシド類;アセチルペルオキシド、プロピオニルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、3,5,5‐トリメチルヘキサノイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、P‐クロロベンゾイルペルオキシド、2,4‐ジクロロベンゾイルペルオキシド又はアセチルシクロヘキサンスルホニルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;t‐ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、P‐メンタンヒドロペルオキシド、2,5‐ジメチルヘキサン2,5‐ジヒドロペルオキシド又は1,1,3,3‐テトラメチルブチルヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類;t‐ブチルペルオキシド、t‐ブチル‐α‐クミルペルオキシド、ジ‐α‐クミルペルオキシド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ビス(t‐ブチルペルオキシ)ヘキサン又は2,5‐ジメチル‐2,5‐ビス(t‐ブチルペルオキシ)‐3‐ヘキシンなどのアルキルペルオキシド類;1,1‐ビス(t‐ブチルペルオキシ)‐3,3,5‐トリメチルシクロヘキサン又は2,2‐ビス(t‐ブチルペルオキシ)ブタンなどのペルオキシケタール類;t‐ブチルペルオキシアセテート、t‐ブチルペルオキシイソブチレート、t‐ブチルペルオキシオクトエート、t‐ブチルペルオキシピバレート、t‐ブチルペルオキシネオデカノエート、t‐ブチルペルオキシ‐3,5,5‐トリメチルヘキサノエート、t‐ブチルペルオキシベンゾエート、ジ‐t‐ブチルペルオキシフタレート又は2,5‐ジメチル‐2,5‐ビス(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサンなどのペルオキシエステル類;などが例示され得る。
【0032】
酸化剤は、例えば、バリア層のポリシラザン化合物100重量部に対して0.5重量部~5重量部の割合でバリア層に含まれ得るが、これに制限されるものではない。
【0033】
バリアフィルムは、アンチブロッキング層を含む。アンチブロッキング層は、バリアフィルムが巻取及び/又は巻き出される場合にもポリシラザンバリア層あるいはその前駆体層の遮断特性を維持又は改善することができ、バリアフィルムの走行性も改善できる。
【0034】
アンチブロッキング層は、平均粒径が0.3μm~50μmの範囲内である粒子を含むことができる。本出願で用語「平均粒径」は、一つの例示で、いわゆるD50粒径と公知されたメジアン粒径を意味することができる。平均粒径が前記範囲内である粒子を含むことで、アンチブロッキング層が上述した機能及び役目を行うことができる。前記粒子の平均粒径は、例えば、0.5μm以上、0.7μm以上、0.9μm以上、1μm以上、1.5μm以上、2μm以上、2.5μm以上、3μm以上、3.5μm以上、4μm以上、4.5μm以上、5μm以上、5.5μm以上、6μm以上、6.5μm以上、7μm以上、7.5μm以上、8μm以上、8.5μm以上、9μm以上、9.5μm以上、10μm 以上、11μm以上、12μm以上、13μm以上、14μm以上、15μm以上、16μm以上、17μm以上、18μm以上、19μm以上又は20μm以上であってもよい。前記粒子の平均粒径は、例えば、49μm以下、48μm以下、47μm以下、46μm以下、45μm以下、44μm以下、43μm以下、42μm以下、41μm以下、40μm以下、39μm以下、38μm以下、37μm以下、36μm以下、35μm以下、34μm以下、33μm以下、32μm以下、31μm以下、30μm以下、29μm以下、28μm以下、27μm以下、26μm以下、25μm以下、24μm以下、23μm以下、22μm以下、21μm以下、20μm以下、19μm以下、18μm以下、17μm以下、16μm以下、15μm以下、14μm以下、13μm以下、12μm以下、11μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下、7μm以下、6μm以下又は5μm以下であってもよい。前記範囲を満たす平均粒径を有する粒子を用いることで、バリアフィルムが巻き取られても優れた水分遮断性が維持され、優れた走行性を確保することができる。
【0035】
前記アンチブロッキング層は、上述した粒子を含むことで、優れた走行性を有するように表面が改質され得る。前記アンチブロッキング層の表面は、例えば、静止摩擦係数が0.15~0.5の範囲内であってもよい。前記静止摩擦係数は、他の例示で、0.16以上、0.17以上、0.18以上、0.19以上、0.2以上、0.21以上、0.22以上又は0.23以上であるか、0.49以下、0.48以下、0.47以下、0.46以下、0.45以下、0.44以下、0.43以下、0.42以下、0.41以下、0.40以下、0.39以下、0.38以下、0.37以下、0.36以下、0.35以下、0.34以下、0.33以下、0.32以下、0.31以下、0.30以下、0.29以下、0.28以下、0.27以下、0.26以下又は0.25以下程度であってもよい。また、前記アンチブロッキング層の表面は、例えば、動摩擦係数が0.15~0.5、0.15~0.4又は0.2~0.3の範囲内であってもよい。前記動摩擦係数は、他の例示で、0.16以上、0.17以上、0.18以上、0.19以上、0.2以上、0.21以上、0.22以上又は0.23以上であるか、0.49以下、0.48以下、0.47以下、0.46以下、0.45以下、0.44以下、0.43以下、0.42以下、0.41以下、0.40以下、0.39以下、0.38以下、0.37以下、0.36以下、0.35以下、0.34以下、0.33以下、0.32以下、0.31以下、0.30以下、0.29以下、0.28以下、0.27以下、0.26以下又は0.25以下程度であってもよい。摩擦係数が前記範囲を満たすことで、バリアフィルムを大量生産が容易であるロールツーロール工程により製作するときにバリアフィルムの走行性が優れて生産性を向上させることができる。
【0036】
前記アンチブロッキング層は、所定の粗さ(roughness)特性を示すことができる。例えば、前記アンチブロッキング層の表面は、算術平均粗さ(Ra)が50nm~500nm、50nm~400nm又は100nm~350nmの範囲内であってもよい。前記算術平均粗さ(Ra)は、他の例示で、55nm以上、60nm以上、65nm以上、70nm以上、75nm以上、80nm以上、85nm以上、90nm以上、95nm以上、100nm以上、105nm以上、110nm以上、115nm以上、120nm以上、125nm以上、130nm以上又は135nm以上であるか、490nm以下、480nm以下、470nm以下、460nm以下、450nm以下、440nm以下、430nm以下、420nm以下、410nm以下、400nm以下、390nm以下、380nm以下、370nm以下、360nm以下又は350nm以下程度であってもよい。
【0037】
また、前記アンチブロッキング層の表面は、粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)が1μm~10μm、1μm~9μm又は2μm~7μmの範囲内であってもよい。前記最大断面高さ(Rt)は、他の例示で、約1.5μm以上、約2μm以上、約2.5μm以上、約3μm以上、約3.5μm以上、約4μm以上又は約4.5μm以上であるか、約9μm以下、約8μm以下、約7μm以下又は約6μm以下程度であってもよい。
【0038】
アンチブロッキング層の表面が前記条件を満たす粗さを有することで、ポリシラザンバリア層を含むバリアフィルムに対して上述した効果を効果的に確保することができる。
【0039】
粒子の種類は、アンチブロッキング層が上述した条件を満たすようにするものであれば、特に制限されない。例えば、前記粒子は、無機粒子又は有機粒子のうちいずれか一つ又は両方全てであってもよい。具体的な一例として、前記無機粒子は、例えば、中空シリカ粒子(silica hollow particles)又はコロイダルシリカ粒子(silica colloidal particles)などのようなシリカ粒子であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0040】
前記用語「中空シリカ粒子」は、特に異に規定しない限り、ケイ素化合物又は有機ケイ素化合物から導出されるシリカ粒子であって、前記シリカ粒子の表面及び/又は内部に空の空間が存在する形態の粒子を意味する。
【0041】
前記用語「コロイダルシリカ粒子」は、特に異に規定しない限り、水や有機溶剤のような液体に固形のシリカ粒子が沈澱されるか凝集されない状態で安定に分散されている形態の粒子を意味する。
【0042】
前記有機粒子は、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂又はアクリレート系樹脂などからなる微粒子であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0043】
一つの例示で、前記アンチブロッキング層は、後述するアクリレート単位とともに前記粒子を含むことができる。このような場合に、前記アンチブロッキング層は、前記アクリレート単位100重量部に対して0.05重量部~20重量部の前記粒子を含むことができる。本明細書で「重量部」は、構成要素の質量の相対的な割合を指称することができる。前記粒子の含量は、例えば、0.1重量部以上、0.15重量部以上、0.2重量部以上、0.25重量部以上、0.3重量部以上、0.35重量部以上又は0.4重量部以上であってもよい。前記粒子の含量は、例えば、10重量部以下、9重量部以下、8重量部以下、7重量部以下、6重量部以下、5重量部以下、4重量部以下、3重量部以下、2重量部以下、1重量部以下、0.9重量部以下、0.8重量部以下、0.7重量部以下、0.6重量部以下又は0.5重量部以下程度であってもよい。粒子の含量が前記範囲を満たすことで、アンチブロッキング層の表面が改質されて優れた耐久性及び透明性などを有することができる。
【0044】
前記アンチブロッキング層は、アクリレート単位を含むことができる。用語「アクリレート単位」は、アクリレート化合物の重合により形成される単位を意味することができる。したがって、前記アクリレート単位をアンチブロッキング層が含むということは、前記アンチブロッキング層が重合体、すなわち、アクリレート重合体又は前記アクリレート単位を含む重合体を含むことを意味することができる。前記アクリレート単位、前記アクリレート重合体又は前記アクリレート単位を含む重合体は、前記アンチブロッキング層にバインダーとして含まれ得、前記アンチブロッキング層に主成分で含まれ得る。したがって、前記アクリレート単位、前記アクリレート重合体又は前記アクリレート単位を含む重合体のアンチブロッキング層内での含量は、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上又は95重量%以上であってもよい。前記アンチブロッキング層は、粒子を含むため、前記アクリレート単位、前記アクリレート重合体又は前記アクリレート単位を含む重合体のアンチブロッキング層内での含量は、100重量%未満である。本出願で(メタ)アクリレートは、アクリレート及び/又はメタアクリレートを指称することができる。本出願で用語「アクリレート単位」は、前記アクリレート化合物が重合されて形成した構造を指称することができる。アクリレート単位を適用することで、前記アクリレート化合物の特有の硬化収縮挙動が前記粒子の平均粒径及び割合、そして後述する厚さと粒子の粒径の割合などとともに調節されて目的とする表面特性のアンチブロッキング層を形成することができ、光学特性に優れたバリアフィルムを提供することもできる。
【0045】
前記アクリレート単位は、例えば、多官能性アクリレート単位であってもよい。用語「多官能アクリレート」は、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基からなる群より選択されたいずれか一つの種類の官能基を2個以上有するアクリレート化合物を意味することができる。このような多官能性アクリレートとしては、例えば、1,4‐ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペート(neopentylglycol adipate)ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバル酸(hydroxyl puivalic acid)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(dicyclopentanyl)ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート、アリル(allyl)化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチルプロパンジ(メタ)アクリレート、アダマンタン(adamantane)ジ(メタ)アクリレート又は 9,9‐ビス[4‐(2‐アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(fluorine)などのような2官能性アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、3官能型ウレタン(メタ)アクリレート又はトリス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレートなどの3官能型アクリレート;ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート又はペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能型アクリレート;プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの5官能型アクリレート;及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート又はウレタン(メタ)アクリレート(例えば、イソシアネート単量体及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの反応物)などの6官能型アクリレートのうち1種以上を用いることができる。好ましくは、前記アクリレートは、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのうち1種以上であってもよい。
【0046】
一つの例示で、前記アンチブロッキング層は、前記アクリレートのうち4官能以下の多官能性アクリレート単位(以下、第1アクリレート単位と呼称できる)及び4官能超過の多官能性アクリレート単位(以下、第2アクリレート単位と呼称できる)を含むことができる。上記で4官能以下は、上述したアクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基からなる群より選択されたいずれか一つの種類の官能基を4個以下で含むことを意味し、このようなアクリレートは、例えば、2官能~4官能アクリレートであってもよい。
【0047】
また、上記で4官能超過は、上述したアクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基からなる群より選択されたいずれか一つの種類の官能基を5個以上に含むことを意味し、このようなアクリレートは、例えば、5官能~10官能、5官能~9官能、5官能~8官能又は5官能~7官能アクリレート又は5官能~6官能アクリレートであってもよい。
【0048】
前記第1アクリレート単位としては、分子量が約100~500g/molの範囲内である単位が適用され得る。前記分子量は、前記第1アクリレート単位を形成するアクリレート化合物の分子量であってもよい。前記分子量は、他の例示で、約110g/mol以上、120g/mol以上、130g/mol以上、140g/mol以上、150g/mol以上、160g/mol以上、170g/mol以上、180g/mol以上、190g/mol以上、200g/mol以上、210g/mol以上、220g/mol以上、230g/mol以上、240g/mol以上、250g/mol以上、260g/mol以上、270g/mol以上、280g/mol以上又は290g/mol以上であるか、490g/mol以下、480g/mol以下、470g/mol以下、460g/mol以下、450g/mol以下、440g/mol以下、430g/mol以下、420g/mol以下、410g/mol以下、400g/mol以下、390g/mol以下、380g/mol以下、370g/mol以下、360g/mol以下、350g/mol以下、340g/mol以下、330g/mol以下、320g/mol以下、310g/mol以下又は300g/mol以下程度であってもよい。
【0049】
前記第2アクリレート単位としては、分子量が約300~800g/molの範囲内である単位が適用され得る。前記分子量は、前記第2アクリレート単位を形成するアクリレート化合物の分子量であってもよい。前記分子量は、他の例示で、約310g/mol以上、320g/mol以上、330g/mol以上、340g/mol以上、350g/mol以上、360g/mol以上、370g/mol以上、380g/mol以上、390g/mol以上、400g/mol以上、410g/mol以上、420g/mol以上、430g/mol以上、440g/mol以上、450g/mol以上、460g/mol以上、470g/mol以上、480g/mol以上、490g/mol以上、500g/mol以上又は510g/mol以上であるか、790g/mol以下、780g/mol以下、770g/mol以下、760g/mol以下、750g/mol以下、740g/mol以下、730g/mol以下、720g/mol以下、710g/mol以下、700g/mol以下、690g/mol以下、680g/mol以下、670g/mol以下、660g/mol以下、650g/mol以下、640g/mol以下、630g/mol以下、620g/mol以下、610g/mol以下、600g/mol以下、590g/mol以下、580g/mol以下、570g/mol以下、560g/mol以下、550g/mol以下、540g/mol以下又は530g/mol以下程度であってもよい。
【0050】
一つの例示で、前記アンチブロッキング層は、前記アクリレート単位を含む重合体を前記粒子とともに含むことができる。
【0051】
一つの例示で、前記粒子を除いたアンチブロッキング層の総重量に対して前記4官能以下の多官能性アクリレート単位の重量割合が60重量%以上であってもよい。前記重量割合は、他の例示で、約60重量%~95重量%、60重量%~90重量%、60重量%~85重量%、65重量%~85重量%、70重量%~85重量%又は75重量%~85重量%であってもよい。前記重量割合は、他の例示で、65重量%以上、70重量%以上又は75重量%以上であるか、95重量%以下、90重量%以下又は85重量%以下程度であってもよい。
【0052】
前記アンチブロッキング層は、4官能以下の多官能性アクリレート単位100重量部に対して1~50重量部の4官能超過の多官能性アクリレート単位を含むことができる。前記4官能超過の多官能性アクリレートの割合は、他の例示で、約5重量部以上、10重量部以上、15重量部以上又は20重量部以上であってもよく、また、約45重量部以下、40重量部以下、35重量部以下又は30重量部以下程度であってもよい。
【0053】
上のような割合でアクリレート単位を含ませる場合に、該当アクリレート単位を形成するアクリレート化合物の特有の硬化収縮挙動が上述した粒子の平均粒径とその割合と組み合わせて目的とする表面特性のアンチブロッキング層を効果的に形成することができる。
【0054】
一方、前記アンチブロッキング層で前記粒子の平均粒径(A)と前記アンチブロッキング層の厚さ(B)の割合(A/B)が1.5~50の範囲内であってもよい。
【0055】
上記割合(A/B)は、他の例示で、約45以下、約40以下、約35以下、約30以下又は約25以下程度であってもよい。また、上記割合は、他の例示で、約2以上、約2.5以上、約3以上、約3.5以上、約4以上、約4.5以上又は約4以上であってもよい。
【0056】
上記で厚さは、粒子がないアンチブロッキング層の最も薄い部分の厚さ、粒子がないアンチブロッキング層の最も厚い部分の厚さ又は粒子がないアンチブロッキング層の平均厚さであってもよい。
【0057】
上記のような材料と厚さ割合によって本出願で意図する効果が一層向上され得る。
【0058】
前記アクリレート単位は、バリアフィルムの耐久性などを考慮して多官能性アクリレート単量体を用いて形成されたアクリレート単量体単位であってもよい。前記多官能性アクリレート単量体の種類は、上述した多官能性アクリレートの種類で説明した内容と同一である。
【0059】
前記アンチブロッキング層の厚さは、特に制限されるものではないが、例えば、厚さが0.1μm~100μmであってもよい。前記厚さは、アンチブロッキング層に含まれる粒子の平均粒径及び具現しようとするアンチブロッキング層の粗さを考慮して選択され得る。例えば、アンチブロッキング層の厚さは、他の例示で、0.2μm以上、0.3μm以上、0.4μm以上、0.5μm以上、0.6μm以上、0.7μm以上、0.8μm以上、0.9μm以上又は1μm以上であるか、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下、7μm以下、6μm以下、5μm以下、4μm以下、3μm以下、2μm以下又は1.5μm以下程度であってもよい。
【0060】
本出願のバリアフィルムは、機能性層を含む。前記機能性層は、バリア層及びアンチブロッキング層の間に位置することができる。機能性層は、例えば、基材層及びバッファ層のうち一つ以上であってもよい。
【0061】
具体的な例示で、本出願のバリア層、アンチブロッキング層及び機能性層を含むバリアフィルムは、図1に示したように、アンチブロッキング層100、基材層200及びバリア層300を含むことができる。
【0062】
本出願のバリアフィルムに含まれる基材層は、バリア層の支持体役目を行うものであって、透明性や光の屈折率などの光学特性、耐衝撃性、耐熱性又は耐久性などを考慮して選択され得、フィルム又はシートタイプでディスプレイ装置などの光学用部材で用いられる高分子層であれば、制限なしに利用が可能である。
【0063】
具体的な一例として、前記基材層は、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチルセルロース又はアセチルセルロースなどのセルロース;6‐ナイロン又は6,6‐ナイロンなどのポリアミド;ポリメチルメタクリレートなどのアクリルポリマー;又はポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート又はエチレンビニルアルコールなどの有機高分子で形成されたものを用いることができるが、これに制限されるものではない。基材層は、前記1種又は2種以上の混合物又は重合体で形成されたものであってもよく、複数の層を積層させた構造であってもよい。
【0064】
また、基材層には、公知の添加剤、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、酸化防止剤又は難燃剤などが含まれていてもよい。
【0065】
基材層は、例えば、表面が改質されたものであってもよい。前記表面改質は、後述するバリア性コーティング層形成用組成物又はバッファ層形成用組成物のコーティング時のフィルムの接着力不足によりコーティング膜が脱離するなどの現象を防止するために実施することで、化学的処理、コロナ放電処理、機械的処理、紫外線(UV)処理、活性プラズマ処理又はグロー放電処理などの処理方式を採択することができるが、これに制限されるものではない。
【0066】
基材層は、バリアフィルムの透明性、薄膜化及び加工時に張力によるしわなどの発生を最小化するための目的などを考慮した適切な厚さ範囲を設定することができ、例えば、10μm~80μm又は20μm~60μmであることがよいが、これに制限されるものではない。
【0067】
本出願のバリアフィルムは、上述した基材層表面の凹凸を最小化し、基材層及びバリア層の熱膨脹係数差によるクラック(Crack)などの現象を防止するために基材層とバリア層の間にバッファ層を含むことができる。
【0068】
すなわち、図2に示したように、本出願のバリアフィルムは、アンチブロッキング層100、基材層200、バッファ層400及びバリア層300を含むことができる。
【0069】
バッファ層は、基材層の表面粗さを所定範囲に調節し、基材層及びバリア層の熱膨脹係数差によるクラック(Crack)を防止するために採択した構成であって、前記目的を達成するように公知の形成方法及び材料が本出願で制限なしに採択され得る。
【0070】
例えば、バッファ層は、Alなどの金属、SiO、SiO、SiN、AlO、ZnSnO、ITO、ZnO、IZO、ZnS、MgO又はSnOなどの無機素材、ポリイミド、フルオレン環を有するカルド系樹脂(caldo resin)、ウレタン、エポキシド、ポリエステル、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリチオール、ポリ((メタ)アクリレート)又は有機シリコンなどのような有機素材などを用いて形成することができる。また、バッファ層は、ジルコニウム、チタン又はセリウムなどの金属のアルコキシド又はアシレート(acylate)などの化合物をカルボキシル基又はヒドロキシ基などの極性基を有するバインダーと配合した素材を用いて形成してもよい。
【0071】
一つの例示で、バッファ層は、熱又は紫外線硬化が可能なラジカル重合性化合物から形成された重合体、例えば、アクリル重合体を含むことができる。
【0072】
前記アクリル重合体は、例えば、アクリレート単位を含むことができる。前記アクリレートは、例えば、アルキル(メタ)アクリレートであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0073】
一つの例示で、アルキル(メタ)アクリレートは、炭素数が1~20であるアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートであってもよく、その例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n‐プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n‐ブチル(メタ)アクリレート、t‐ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2‐エチルへキシル(メタ)アクリレート、2‐エチルブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n‐オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート又はイソボニル(メタ)アクリレートなどが例示され得るが、これに制限されるものではない。
【0074】
また、アクリル重合体は、架橋性官能基を有する単量体の重合単位を含むことができる。
【0075】
前記架橋性官能基は、架橋剤によりアクリル重合体に架橋反応を誘導することができるものであれば、制限なしに利用が可能であり、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基、グリシジル基、エポキシ基又はアミン基などであってもよい。
【0076】
前記アクリル重合体は、ガラス転移温度の調節や架橋効率などの調節のために、必要であれば、任意のその他単量体の重合単位を追加で含むことができる。このような単量体の種類やその割合は特に制限されず、公知の成分のうち適切に選択され得る。他の任意の単量体は、例えば、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N‐メチル(メタ)アクリルアミド、N,N‐ジメチル(メタ)アクリルアミド、N‐ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N‐ビニルピロリドン又はN‐ビニルカプロラクトンなどのような窒素含有単量体;アルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、アルコキシジアルキレングリコール(メタ)アクリレート又はアルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのようなアルキレンオキシド基含有単量体;又はスチレン又はメチルスチレンのようなスチレン系単量体などがあるが、これに制限されるものではない。
【0077】
バッファ層に含まれているアクリル重合体は、架橋剤により架橋されているものであってもよい。架橋剤としては、例えば、多官能性架橋剤を用いることができる。
【0078】
本出願で用語「多官能性架橋剤」は、前記アクリル重合体の架橋性官能基と反応できる官能基を一つの分子内に2個以上含む2官能以上の多官能化合物、例えば、官能基を一つの分子内に2~6個含む多官能化合物を意味することができる。上記一つの分子内に含まれている2個以上の官能基は、同一であるか、互いに異なる種の官能基であってもよい。
【0079】
本出願で多官能性架橋剤としては、上述したアクリル重合体に含まれている架橋性官能基と反応できる官能基であって、カルボキシル基、酸無水物基、ビニルエーテル基、アミン基、カルボニル基、イソシアネート基、エポキシ基、アジリジニル基、カルボジイミド基又はオキサゾリン基などの官能基を1種以上、例えば、1~2種を含む化合物を用いることができる。
【0080】
バッファ層は、熱膨脹係数(CTE)が50ppm/℃~200ppm/℃の範囲を有するものであってもよい。前記範囲内で、基材層及びバリア層の熱膨脹係数差によるクラック(Crack)などを防止することができる。
【0081】
バッファ層の厚さは、バリアフィルムの薄型化などを考慮して適切な範囲が採択され得、例えば、バッファ層の厚さは、0.1μm~100μmの範囲内にあってもよいが、これに制限されるものではない。他の例示で、前記バッファ層の厚さは、例えば、0.1μm~100μm又は1μm~90μm、10μm~80μm又は20μm~70μmの範囲内にあってもよいが、これに制限されるものではない。
【0082】
また、本出願は、前記バリアフィルムの製造方法に関する。本出願のバリアフィルムの製造方法は、基材層上にポリシラザン化合物を含む組成物を塗布した後、硬化してバリア層を形成するステップを含むことができる。
【0083】
本出願のバリア層の製造方法に用いられるポリシラザン化合物に関する内容は、上述したバリアフィルムに関する部分で説明した内容と同一なので、その説明は省略する。
【0084】
本出願の基材層上にバリア性層を形成するステップは、例えば、基材層上にポリシラザン化合物を含む組成物を湿式塗布(wet coating)した後、硬化することを含むことができる。
【0085】
前記バリア層を形成する組成物は、酸化剤を追加で含むことができる。前記酸化剤に関する内容は、上述したバリアフィルムに関する部分で説明した内容と同一なので、その説明は省略する。
【0086】
前記バリア層を形成する組成物は、溶媒を追加で含むことができる。前記溶媒としては、水分を含みにくい有機溶媒を用いることが好ましく、その具体的な種類は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコール、ジエチレングリコール又はカルビノールなどのアルコール性溶媒が用いられ得るが、これに制限されるものではない。
【0087】
基材層上にバリア層形成用組成物を塗布する方法は、公知の全ての湿式塗布(Wetcoating)方法が用いられ得、例えば、インクジェット法、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤバーコート法、ディップコート法、スプレイコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法又はダイコート法のような各種塗布方法が挙げられ、本出願は、これらのうち1種又は複数の方法を組み合わせることもできる。
【0088】
本出願によるバリアフィルムの製造方法は、上述したバリア層形成用組成物を基材層上に塗布した以後に硬化する工程を含むことができる。
【0089】
一つの例示で、前記硬化する工程は、塗布されたバリア層形成用組成物に含まれているポリシラザン化合物を酸化させることを含むことができ、より具体的に、ポリシラザン化合物に含まれているSi‐NをSi‐Oに転換させてセラミックス化することを含むことができる。前記硬化は、例えば、光又はプラズマを用いて行うことができる。
【0090】
一つの例示で、硬化は、光の照射、例えば、紫外線を照射することで行われ得る。前記紫外線は、例えば、2000Å未満の真空紫外線を用いて行うことができる。
【0091】
一つの例示で、硬化は、プラズマ処理、例えば、常圧又は真空プラズマ処理を行うことであってもよい。
【0092】
真空プラズマを用いる処理の場合、窒素ガス、酸素ガス又はこれらの混合ガスを20Pa~50Pa程度の真空度に維持された密閉系内に公知の電極あるいは導波管を配置し、直流、交流、ラジオ波あるいはマイクロ波などの電力を電極あるいは導波管を通じて印加することで、任意のプラズマを発生させる工程を含むことができる。プラズマ処理を行うにおいて、処理出力、処理時間又は処理温度などは公知にされている。
【0093】
本出願のバリアフィルムの製造方法は、バリア層が形成された面の反対面にアクリレート及び平均粒径が0.3μm~50μmの範囲内である粒子を含む組成物を塗布した後硬化してアンチブロッキング層を形成するステップを含むことができる。
【0094】
前記組成物に含まれるアクリレートに関する内容は、本出願のバリアフィルムに関する部分で説明した内容と同一なので、その説明は省略する。
【0095】
前記組成物を塗布する方法は、公知の全ての湿式塗布(Wet coating)方法が用いられ得、例えば、インクジェット法、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤバーコート法、ディップコート法、スプレイコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法又はダイコート法のような各種塗布方法が挙げられ、本出願は、これらのうち1種又は複数の方法を組み合わせることもできる。
【0096】
本出願によるバリアフィルムの製造方法は、上述したアンチブロッキング層形成用組成物を基材層上に塗布した以後に硬化する工程を含むことができる。
【0097】
一つの例示で、前記硬化する工程は、塗布されたアンチブロッキング層形成用組成物に含まれているアクリレートのラジカル重合を開始して重合反応を進行する工程を含むことができる。前記硬化は、例えば、光又は熱を用いて行うことができる。
【0098】
一つの例示で、硬化は、光の照射、例えば、紫外線を照射することで行われ得る。前記紫外線は、例えば、2000Å未満の真空紫外線を用いて行うことができる。
【0099】
また、本出願によるバリアフィルムの製造方法は、バリア層を形成するための組成物の塗布工程の前に、基材層上に熱膨脹係数が50ppm/℃~200ppm/℃の範囲内にあるバッファ層を形成するステップをさらに含むことができる。
【0100】
前記バッファ層を形成する材料は、上述したバリアフィルムで言及した材料を制限なしに用いることができる。また、バッファ層を形成する方法は、例えば、基材層上にバッファ層形成材料を公知の湿式又は乾式塗布方法を用いて塗布することで形成することができる。
【0101】
また、本出願は、照明装置に関する。例示的な照明装置は、光源と前記バリアフィルムを含むことができる。一つの例示で、前記照明装置での光源とバリアフィルムは、前記光源から照射された光が前記バリアフィルムに入射できるように配置され得る。本出願のバリアフィルムは、水分遮断性だけでなく光透過度及びヘイズなどの光学的特性に優れるので、光源に流入される水分を効果的に遮断する一方、光源から出射された光を外部に伝達する役目を行うことができる。
【0102】
本出願の照明装置に含まれる光源の種類は特に制限されず、目的とする光の種類を考慮して適切な種類が選択され得る。一つの例示で、前記光源は、青色光源であり、例えば、420nm~490nmの範囲内の波長の光を放出することができる光源であってもよい。
【0103】
また、本出願は、上記のようなバリアフィルムを含む照明装置及びその用途に関する。
【0104】
バリアフィルムを含む照明装置の構成及び構造は、例えば、光源及び前記バリアフィルムを含み、前記光源とバリアフィルムは、前記光源から照射された光が前記バリアフィルムに入射できるように配置されるなど公知の全ての構成及び構造が制限なしに用いられ得る。
【0105】
具体的に、図3及び図4に示した構造などがバリアフィルムを含む照明装置の構造であってもよい。
【0106】
図3では、光源500がバリアフィルム1の下部に配置されており、これによって、上部方向に光源500から照射された光は、前記バリアフィルム1に入射され得る。
【0107】
図4は、光源500がバリアフィルム1の側面に配置された場合である。必須的なものではないが、上記のように光源500がバリアフィルム1の側面に配置される場合には、導光板(Light Guiding Plate)700や反射板600のように光源500からの光がより効率的にバリアフィルム1に入射されるようにする他の手段が含まれてもよい。
【0108】
図3及び図4に示した例示は、本出願の照明装置の一つの例示であり、この外にも照明装置は公知された多様な形態を有することができ、それのために公知の多様な構成を追加で含むことができる。
【0109】
上記のような本出願の照明装置は、多様な用途に用いられ得る。
【0110】
前記照明装置の用途は、例えば、コンピュータ、モバイルフォン、スマートフォン、個人携帯情報端末(PDA)、ゲーミング装置、電子リーディング(reading)装置又はデジタルカメラなどのようなディスプレイ装置のBLU(バックライトユニット,Backlight Unit)、室内又は室外照明、舞台照明、飾り照明、アクセント照明又は博物館照明などなどに用いられ得、この外にも園芸学や生物学で必要な特別な波長照明などにも用いられ得るが、前記照明装置が適用できる用途が上記に制限されるものではない。
【0111】
本出願の照明装置が適用できる代表的な用途には、ディスプレイ装置がある。例えば、前記照明装置は、LCD(液晶ディスプレイ,Liquid Crystal Display)などのようなディスプレイ装置のBLU(バックライトユニット,Backlight Unit)として用いられ得る。
【発明の効果】
【0112】
本出願は、バリアフィルム及びその製造方法を提供する。前記バリアフィルムは、ポリシラザンバリア層を含む構造であって、いわゆるロールツーロール工程などで卓越な走行性を示すことができ、巻き出し及び/又は巻取過程などでもバリア層の性能が維持又は改善され得る。
【図面の簡単な説明】
【0113】
図1】例示的なバリアフィルムの構造を示す。
図2】例示的なバリアフィルムの構造を示す。
図3】例示的な照明装置の構造を示す。
図4】例示的な照明装置の構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0114】
以下、本出願のバリアフィルムなどを実施例を通じて説明するが、本出願のバリアフィルムなどの範囲が下記実施例によって限定されるものではない。
【0115】
試験例1.水分透過度の測定
下記実施例又は比較例のバリアフィルムの水分透過度は、30℃の温度及び100%の相対湿度下でAQUATRAN2機器(MOCON社)を用いて測定した。測定結果は、下記表1に示した。
【0116】
試験例2.表面粗さの測定
下記実施例又は比較例のバリアフィルムのアンチブロッキング層の表面粗さは、Nano view E1000機器(Nanosystem社)を用いて測定した。アンチブロッキング層表面の任意の0.310mm×0.232mm面積の領域に対して表面粗さを測定した。結果は、下記表1に示した。
【0117】
試験例3.摩擦係数の測定
下記実施例又は比較例のバリアフィルムのアンチブロッキング層の摩擦係数は、FP‐2260機器(Thwing‐Albert Instrument社)を用いて測定した。200g重さのスレッド(sled)を用いてSUS(ステンレス鋼,stainless steel)表面とアンチブロッキング層の摩擦係数を測定した。静止摩擦係数は、長さ8cm領域に対して18cm/minの測定速度で測定し、動摩擦係数は、5cmの領域で18cm/minの測定速度で測定した。
【0118】
<実施例1>
バリア層の製造
ポリシラザンをジブチルエーテル(dibutyl ether)に溶解したコーティング液をバーコート法により厚さが50μmであるPET(ポリエチレンテレフタレート,Poly(ethylene terephthalate))フィルム(T600E50、Mitsubishi社)に塗布し、得られた塗膜を70℃で1分間及び130℃で2分間維持して、厚さ約300nmであるポリシラザン層を形成した。
【0119】
アンチブロッキング層の製造
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA、pentaerythritol triacrylate、3官能、分子量:約298.291g/mol)及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、dipentaerythritol hexaacrylate、6官能、分子量:約524g/mol)を約8:2の重量割合(PETA:DPHA)で溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテル(propylene glycol monomethyl ether))に溶解した。上記にPETA及びDPHAの合計重量100重量部に対して4重量部の重合開始剤(Irgacure 127、Ciba社)及び0.4重量部の粒子(平均粒径(D50粒径):5μm、GB05S、Aica Kogyo社)を添加してコーティング液を調剤した。前記一面にポリシラザン層が形成されたPETフィルムのポリシラザン層が形成されない面に前記コーティング液をバーコート法により塗布し、得られた塗膜を100℃で2分間維持した後に紫外線の照射を通じて硬化させて、厚さが1μm程度であるアンチブロッキング層を形成した。
【0120】
ブロッキングテスト
上記製造された積層体(ポリシラザン層/PETフィルム/アンチブロッキング層)2個をそれぞれ20cm及び30cmのサイズで裁断した。引き続き、一つの積層体のアンチブロッキング層と他の積層体のポリシラザン層を互いに接触させて、20kgの荷重を24時間の間印加した。
【0121】
バリアフィルムの製作
前記ブロッキングテスト後にポリシラザンの硬化に通常的に適用される真空プラズマ硬化方式でポリシラザン層を硬化させてバリアフィルムを製造した。
【0122】
<実施例2.バリアフィルムの製造>
アンチブロッキング層を形成するコーティング液の調剤時に平均粒径(D50粒径)が5μmである粒子の代わりに平均粒径(D50粒径)が20μmである粒子(MX‐2000、Soken社)を適用したこと以外は、実施例1と同一にバリアフィルムを製造した。
【0123】
<比較例1.バリアフィルムの製造>
アンチブロッキング層を形成するコーティング液の調剤時に平均粒径(D50粒径)が5μmである粒子の代わりに平均粒径(D50粒径)が0.05μmである粒子及び0.1μmである粒子を適用したこと以外は、実施例1と同一にバリアフィルムを製造した。
【0124】
<比較例2.バリアフィルムの製造>
アンチブロッキング層を形成するコーティング液の調剤時に平均粒径(D50粒径)が5μmである粒子の代わりに平均粒径(D50粒径)が0.1μmである粒子を適用したこと以外は、実施例1と同一にバリアフィルムを製造した。
【0125】
【表1】
【符号の説明】
【0126】
1 バリアフィルム
100 アンチブロッキング層
200 基材層
300 バリア層
400 バッファ層
500 光源
600 反射板
700 導光板
図1
図2
図3
図4