(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】運転支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220621BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
G06Q50/10
G01C21/26 C
(21)【出願番号】P 2018004794
(22)【出願日】2018-01-16
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000116655
【氏名又は名称】愛知製鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129654
【氏名又は名称】大池 達也
(72)【発明者】
【氏名】山本 道治
(72)【発明者】
【氏名】長尾 知彦
(72)【発明者】
【氏名】青山 均
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-102310(JP,A)
【文献】国際公開第2017/187881(WO,A1)
【文献】特開2002-333322(JP,A)
【文献】国際公開第2008/139889(WO,A1)
【文献】特開2015-201107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G16H 10/00 - 80/00
G01C 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に敷設された磁気マーカを検出すると共に検出した磁気マーカを特定するためのマーカ特定情報を取得可能な車両側から、該マーカ特定情報を含むアップロード情報を取得する情報取得部と、
前記マーカ特定情報をひも付けて、磁気マーカの敷設位置を表すマーカ位置情報が記録されたマーカデータベースと、
前記アップロード情報に含まれるマーカ特定情報がひも付けられたマーカ位置情報を含む支援情報を該アップロード情報の送信元の車両側に提供する情報提供部と、
車両に対して前記支援情報を受ける権利である情報取得権を付与する構成と、
車両の識別情報を記録することで前記支援情報の提供先に登録するための送信元管理エリアと、
前記支援情報を提供した履歴に応じて車両側に課す利用料を集計する利用料集計部と、
公衆通信回線からアクセス可能な金融機関の口座の情報として、利用料を引き落とす口座、及び引き落とした利用料を収めるシステム側の管理口座、の口座情報が登録された口座データベースと、
前記利用料集計部が集計した利用料に相当する金額をシステム側の管理口座に移動させるために、利用料を引き落とす口座を管理する金融機関の外部サーバ装置に対して出金要求を送信する支払要求部と、を備え
、
前記情報取得部により前記アップロード情報が取得されると前記送信元管理エリアに前記車両の識別情報が記録されて前記情報取得権が当該車両に対して付与され、
前記支援情報の送信に応じて前記送信元管理エリアに記録された前記車両の識別情報が消去される運転支援システム。
【請求項2】
請求項1において、前記支援情報の提供を受けるか否かを選択的に設定するための選択操作を受け付ける構成、あるいは前記支援情報の提供を受けるか否かを選択的に設定するための選択処理を実行する構成を含み、
前記選択操作あるいは前記選択処理により前記支援情報の提供を受けることが設定された場合に前記支援情報が車両に提供される運転支援システム。
【請求項3】
請求項1または2において、前記アップロード情報としては、前記磁気マーカに対する車両の横ずれ量を含む情報があり、
前記情報提供部は、前記横ずれ量を含むアップロード情報を送信してきた車両に対し、前記磁気マーカが配列された道路に沿って車両が走行するための情報を、前記支援情報として提供する運転支援システム。
【請求項4】
請求項3において、前記磁気マーカが配列された道路に沿って車両が走行するための制御による自動走行を利用するか否かを選択するための構成を備え、
前記情報提供部は、自動走行の利用が選択された車両に対して、前記磁気マーカが配列された道路に沿って車両が走行するための制御情報を含む支援情報を提供し、
前記利用料集計部は、前記制御情報を含む支援情報の利用料を課す運転支援システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項において、車両または運転者の属性情報を記憶する属性データベースと、
該データベースが記憶する属性情報のうち、アップロード情報に含める属性情報を設定する構成と、を含み、
前記情報提供部は、前記アップロード情報に含まれる属性情報に応じて、前記支援情報に組み入れる情報を選択する運転支援システム。
【請求項6】
請求項1
~5のいずれか1項において、前記情報提供部は、事業者の営業情報を含む支援情報を提供し、
前記利用料集計部は、前記営業情報を含む支援情報を提供した履歴に応じて、該営業情報に係る事業者に課す利用料を集計する運転支援システム。
【請求項7】
請求項6において、前記営業情報を表示させるために操作可能な操作部と、
当該操作部が操作を受け付けたとき、前記営業情報を表示する表示部と、を含み
前記利用料集計部は、前記操作部に対する操作に応じて前記営業情報を表示した際、該営業情報に係る事業者に利用料を課す運転支援システム。
【請求項8】
請求項
6または7において、前記利用料集計部は、前記営業情報を含む支援情報の提供を受けた車両が該営業情報に係る場所に移動したとき、あるいは該営業情報に係る商品を購入するか役務を利用したとき、該営業情報に係る事業者に利用料を課す運転支援システム。
【請求項9】
請求項
6~8のいずれか1項において、前記営業情報を含む支援情報の提供を受けた車両が該営業情報に係る場所に移動したとき、あるいは該営業情報に係る商品を購入するか役務を利用したとき、当該車両側に対して、利用料の支払に使用可能なポイントを付与するポイント付与部を備えている運転支援システム。
【請求項10】
請求項6~9のいずれか1項において、前記車両の識別情報を記録することで前記営業情報の提供先リストを事業者毎に管理するための提供先管理エリアと、
車両側から駐車した旨を表すアップロード情報を受信したときに、当該車両の駐車位置を推定する構成と、
当該車両の駐車位置を基準として所定範囲に所在する事業者を検索する構成と、
当該構成により検索された事業者の提供先リストに、前記アップロード情報の送信元の車両の識別情報が有るか無いかを判断する構成と、を含み
前記提供先管理エリアに記録された前記車両の識別情報は、所定時間の経過に応じて消去され、
前記利用料集計部は、前記提供先リストに前記送信元の車両の識別情報が有ったとき、当該提供先リストに係る事業者に利用料を課す運転支援システム。
【請求項11】
請求項1~
10のいずれか1項において、前記磁気マーカには、固有の識別情報を無線通信により出力する無線タグが敷設され、
前記マーカ特定情報は、前記磁気マーカに付設された無線タグの識別情報である運転支援システム。
【請求項12】
請求項9において、前記車両の識別情報を記録することで前記営業情報の提供先リストを事業者毎に管理するための提供先管理エリアと、
車両側から駐車した旨を表すアップロード情報を受信したときに、当該車両の駐車位置を推定する構成と、
当該車両の駐車位置を基準として所定範囲に所在する事業者を検索する構成と、
当該構成により検索された事業者の提供先リストに、前記アップロード情報の送信元の車両の識別情報が有るか無いかを判断する構成と、を含み、
前記提供先管理エリアに記録された前記車両の識別情報は、所定時間の経過に応じて消去され、
前記ポイント付与部は、前記提供先リストに前記送信元の車両の識別情報が有ったとき、当該車両側に対して前記ポイントを付与する運転支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路に敷設された磁気マーカを利用する運転支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、道路に敷設された磁気マーカを利用する運転支援システムが知られている。例えば、下記の特許文献1では、磁気マーカの敷設態様の組合せを利用して車両側に情報を提供するための磁気マーカのシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の磁気マーカのシステムでは、次のような問題がある。すなわち、磁気マーカを道路に敷設するためのコストやメンテナンス等の運用コスト等の負担が、磁気マーカを利用するシステムを普及させる上での阻害要因となっている。
【0005】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、システムを利用する側から利用料を徴収可能な運転支援システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、道路に敷設された磁気マーカを検出すると共に検出した磁気マーカを特定するためのマーカ特定情報を取得可能な車両側から、該マーカ特定情報を含むアップロード情報を取得する情報取得部と、
前記マーカ特定情報をひも付けて、磁気マーカの敷設位置を表すマーカ位置情報が記録されたマーカデータベースと、
前記アップロード情報に含まれるマーカ特定情報がひも付けられたマーカ位置情報を含む支援情報を該アップロード情報の送信元の車両側に提供する情報提供部と、
車両に対して前記支援情報を受ける権利である情報取得権を付与する構成と、
車両の識別情報を記録することで前記支援情報の提供先に登録するための送信元管理エリアと、
前記支援情報を提供した履歴に応じて車両側に課す利用料を集計する利用料集計部と、
公衆通信回線からアクセス可能な金融機関の口座の情報として、利用料を引き落とす口座、及び引き落とした利用料を収めるシステム側の管理口座、の口座情報が登録された口座データベースと、
前記利用料集計部が集計した利用料に相当する金額をシステム側の管理口座に移動させるために、利用料を引き落とす口座を管理する金融機関の外部サーバ装置に対して出金要求を送信する支払要求部と、を備え、
前記情報取得部により前記アップロード情報が取得されると前記送信元管理エリアに前記車両の識別情報が記録されて前記情報取得権が当該車両に対して付与され、
前記支援情報の送信に応じて前記送信元管理エリアに記録された前記車両の識別情報が消去される運転支援システムにある。
【発明の効果】
【0007】
本発明の運転支援システムは、支援情報の提供を受ける側に課す利用料を集計し、利用料を引き落とす口座を管理する金融機関に対して出金要求を送信する。この運転支援システムによれば、支援情報を提供した履歴に応じた利用料を徴収できるため、システム側のコストの少なくとも一部を車両側に負担させることが可能になっている。
このように本発明の運転支援システムによれば、支援情報を利用する側から利用料を徴収可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1における、運転支援システムの構成図。
【
図2】実施例1における、磁気マーカを示す斜視図。
【
図4】実施例1における、車両が磁気マーカを検出する様子を示す説明図。
【
図5】実施例1における、車両側の構成を示すブロック図。
【
図6】実施例1における、サーバ装置の構成を示すブロック図。
【
図7】実施例1における、磁気マーカを通過する際の進行方向の磁気計測値の変化を例示する説明図。
【
図8】実施例1における、車幅方向に配列された磁気センサCnによる車幅方向の磁気計測値の分布を例示する説明図。
【
図9】実施例1における、運転支援システムの動作の流れを示すフロー図。
【
図10】実施例1における、利用料DBに記録される各車両の利用料を例示する説明図。
【
図12】実施例2における、運転支援システムの動作の流れを示すフロー図。
【
図13】実施例2における、渋滞情報の提示画面を例示する説明図。
【
図14】実施例2における、渋滞情報の利用問合せ画面を例示する説明図。
【
図15】実施例3における、ドライバー選択画面を例示する説明図。
【
図16】実施例3における、送信情報選択画面を例示する説明図。
【
図17】実施例3における、サーバ装置の構成を示すブロック図。
【
図18】実施例3における、タウン情報DBに格納される営業情報を例示する説明図。
【
図19】実施例3における、サーバ装置の動作の流れを示すフロー図。
【
図20】実施例3における、営業情報の提供先リストを例示する説明図。
【
図21】実施例3における、利用料DBに格納される事業者毎の利用料を例示する説明図。
【
図22】実施例3における、車載ディスプレイによる営業情報の表示画面を例示する説明図。
【
図23】実施例3における、サーバ装置の動作の流れを示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、道路に敷設された磁気マーカ10を利用する運転支援システム1に関する例である。この運転支援システム1は、システムを利用する各車両5から徴収する利用料を対価として支援情報を提供することで、各車両5の運転を支援するシステムである。この内容について、
図1~
図11を参照して説明する。
【0010】
運転支援システム1は、
図1のごとく、インターネット19などの公衆通信回線に接続可能な車両5と、車両5に支援情報を提供するサーバ装置11と、の組み合わせにより構成されている。この運転支援システム1は、RFID(Radio Frequency IDentification)タグ15(
図2)を一体的に保持する磁気マーカ10が敷設された道路を対象として運用される。運転支援システム1は、利用者やシステム側の口座が開設された銀行やカード会社などの金融機関の外部サーバ(サーバ装置)8と、例えばインターネット19を介して接続可能である。運転支援システム1は、利用者の口座から利用料を引き落としてシステム側の口座に収めることにより利用料を徴収する。
【0011】
以下、(1)磁気マーカ10を概説した後、運転支援システム1を構成する(2)車両5、及び(3)サーバ装置11について説明し、続いて(4)運転支援システム1の動作を説明する。
【0012】
(1)磁気マーカ
磁気マーカ10は、
図2のごとく、直径20mm、高さ28mmの柱状の磁石により構成され、その端面にRFIDタグ15が貼り付けられた道路マーカである。磁気マーカ10は、例えば、左右のレーンマークで区分された車線の中央に沿って10m間隔で穿設された孔に収容される。
【0013】
磁気マーカ10をなす磁石は、磁性材料である酸化鉄の磁粉を基材である高分子材料中に分散させたフェライトプラスチックマグネットであり、最大エネルギー積(BHmax)=6.4kJ/m
3という特性を備えている。この磁気マーカ10は、車両5側の計測ユニット2(
図4参照。)の取付け高さとして想定される範囲100~250mmの最大高さ(250mm)において、8μT(マイクロテスラ)の磁束密度の磁気を作用する。
【0014】
磁気マーカ10では、
図2のごとく、敷設時に上方を向く端面にRFIDタグ15が積層配置されている。無線タグの一例であるRFIDタグ15は、無線による外部給電により動作し、固有の識別情報であるタグID(マーカ特定情報の一例)を無線通信により外部出力する。
【0015】
RFIDタグ15は、
図3のごとく、例えばPET(Polyethylene terephthalate)フィルムから切り出したタグシート150の表面にICチップ157を実装した電子部品である。タグシート150の表面には、ループコイル151及びアンテナ153の印刷パターンが設けられている。ループコイル151は、外部からの電磁誘導によって励磁電流が発生する受電コイルである。アンテナ153は、位置データ等を無線送信するための送信アンテナである。
【0016】
(2)車両
車両5は、
図4のごとく、計測ユニット2、タグリーダ34、制御ユニット32、及び無線通信機能を備える通信ユニット(図示略)を備えている。さらに、目的地までの経路案内を実行するナビゲーション装置6を備えている。車両5は、通信ユニットを介して公衆通信回線への無線による接続が可能である。車両5は、通信ユニットを介してサーバ装置11に対してアップロード情報を送信し、サーバ装置11から支援情報の提供を受ける。
【0017】
計測ユニット2は、
図4及び
図5のごとく、磁気マーカ10を検出するセンサアレイ21と、慣性航法を実現するためのIMU(Inertial Measurement Unit)22と、が一体化されたユニットである。この計測ユニット2は、車幅方向に長い棒状をなし、例えば車両5のフロントバンパーの内側などに路面100Sと対面する状態で取り付けられる。本例の車両5の場合、路面100Sを基準とした計測ユニット2の取付け高さが200mmとなっている。
【0018】
計測ユニット2が備えるセンサアレイ21は、車幅方向に沿って一直線上に配列された15個の磁気センサCn(nは1~15の整数)と、図示しないCPU等を内蔵した検出処理回路212と、を備えている。このセンサアレイ21では、15個の磁気センサCnが10cmの等間隔で配置されている。
【0019】
磁気センサCnは、アモルファスワイヤなどの感磁体のインピーダンスが外部磁界に応じて敏感に変化するという公知のMI効果(Magneto Impedance Effect)を利用して磁気を検出するセンサである。磁気センサCnでは、アモルファスワイヤなどの図示しない感磁体が直交する2軸方向に沿って配置され、これにより直交する2軸方向に作用する磁気の検出が可能となっている。なお、本例では、進行方向及び車幅方向の磁気成分を検出できるように磁気センサCnがセンサアレイ21に組み込まれている。
【0020】
磁気センサCnは、磁束密度の測定レンジが±0.6mTであって、測定レンジ内の磁束分解能が0.02μTという高感度のセンサである。車両5の高速走行に対応するため、各磁気センサCnは、3kHzの周期で磁気計測を実行する。
【0021】
ここで、上記のように磁気マーカ10は、磁気センサCnの取付け高さとして想定する範囲100~250mmにおいて8μT以上の磁束密度の磁気を作用できる。磁束密度8μT以上の磁気を作用する磁気マーカ10であれば、磁束分解能が0.02μTの磁気センサCnを用いて確実性高く検出可能である。
【0022】
センサアレイ21の検出処理回路212(
図5)は、磁気マーカ10を検出するためのマーカ検出処理などを実行する演算回路である。この検出処理回路212は、各種の演算を実行するCPU(central processing unit)のほか、ROM(read only memory)やRAM(random access memory)などのメモリ素子等を利用して構成されている。
【0023】
検出処理回路212は、各磁気センサCnが出力するセンサ信号を3kHz周期で取得してマーカ検出処理を実行し、その検出結果を制御ユニット32に入力する。詳しくは後述するが、このマーカ検出処理では、磁気マーカ10の検出結果に加えて、検出した磁気マーカ10に対する車両5の横ずれ量の計測が行われる。
【0024】
計測ユニット2に組み込まれたIMU22は、慣性航法により車両5の相対位置を推定する慣性航法ユニットである。IMU22は、方位を計測する電子コンパスである2軸磁気センサ221と、加速度を計測する2軸加速度センサ222と、角速度を計測する2軸ジャイロセンサ223と、を備えている。IMU22は、計測した加速度や角速度などを利用し、基準位置に対する相対位置を演算する。
【0025】
車両5が備えるタグリーダ34は、磁気マーカ10の表面に積層配置されたRFIDタグ15(
図2)と無線で通信する通信ユニットである。マーカ特定情報であるタグIDの取得ユニットであるタグリーダ34は、RFIDタグ15の動作に必要な電力を無線で送電し、RFIDタグ15が送信する情報を受信する。RFIDタグ15の送信情報には、RFIDタグ15の識別情報(マーカ特定情報)であるタグIDが含まれている。なお、タグリーダ34を計測ユニット2に組み込んで一体化することも良い。
【0026】
車両5が備える制御ユニット32は、計測ユニット2やタグリーダ34を制御すると共に、車両5の位置である自車位置をリアルタイムで特定するためのユニットである。この制御ユニット32は、各種の演算を実行するCPUのほか、ROMやRAMなどのメモリ素子等が実装された電子基板(図示略)を備えている。
【0027】
制御ユニット32が自車位置を特定する方法は、磁気マーカ10の敷設箇所に車両5が到達した場合と、隣り合う磁気マーカ10の中間に車両5が位置する場合と、で相違している。詳しくは後述するが、制御ユニット32は、前者の場合、磁気マーカ10の検出時にサーバ装置11から提供される支援情報を利用して自車位置を特定する。一方、後者の場合には、慣性航法により推定した車両5の相対位置に基づいて自車位置を特定する。制御ユニット32は、例えば目的地までの経路案内等を実行するナビゲーション装置6に自車位置を入力する。
【0028】
(3)サーバ装置
サーバ装置11は、
図6のごとく、CPUが実装された図示しない電子基板等により構成された主回路110を含み、この主回路110にハードディスクなどの図示しない記憶装置が接続された演算処理装置である。主回路110には、図示しないLAN(Local Area Network)に対応する通信機能が設けられている。サーバ装置11は、LANポートに接続された通信ケーブルを介してインターネット19等の公衆通信回線に接続可能である(
図1参照。)。
【0029】
サーバ装置11は、インターネット19等の公衆通信回線を経由して各車両5からアップロード情報を取得するアップロード情報取得部(情報取得部)123、及び同様に各車両5に対して支援情報を配信する支援情報提供部(情報提供部)124を備えている。さらに、サーバ装置11は、各車両5の利用料を集計する利用料集計部122、金融機関の外部サーバ8に対して出金要求を送信する支払要求部121を備えている。
【0030】
サーバ装置11では、主回路110に接続された記憶装置の記憶領域を利用し、磁気マーカ10の敷設位置を表すマーカ位置データ(マーカ位置情報)が格納されたマーカデータベース(マーカDB)111、各車両5の利用料が記録された利用料データベース(利用料DB)113、各車両について予め登録された口座情報を格納する口座データベース(口座DB)114、が構成されている。さらに、例えばRAMなどで構成される主回路110の記憶領域には、アップロード情報の送信元の車両5の識別情報である車両IDを登録するための送信元管理エリア118が設けられている。
【0031】
(4)運転支援システムの動作
上記のような構成の運転支援システム1の動作の内容について、まず、
図7及び
図8を参照して車両5による(a)マーカ検出処理を説明する。続いて、
図9のフロー図を参照し、車両5による(b)アップロード情報の送信処理、及びサーバ装置11による(c)支援情報の送信処理について説明する。さらに(d)利用料DB113のデータ構成、及び(e)課金処理について、それぞれ、
図10、
図11を参照して説明する。
【0032】
(a)マーカ検出処理
車両5が道路を走行している間、計測ユニット2のセンサアレイ21(
図5)が、磁気マーカ10を検出するためのマーカ検出処理を繰り返し実行する。
【0033】
上記のごとく、磁気センサCn(
図5)は、車両5の進行方向及び車幅方向の磁気成分を計測可能である。例えばこの磁気センサCnが、進行方向に移動して磁気マーカ10の真上を通過するとき、進行方向の磁気計測値は、
図7のごとく磁気マーカ10の前後で正負が反転すると共に、磁気マーカ10の真上の位置でゼロを交差するように変化する。したがって、車両5の走行中では、いずれかの磁気センサCnが検出する進行方向の磁気について、その正負が反転するゼロクロスZcが生じたとき、計測ユニット2が磁気マーカ10の真上に位置すると判断できる。検出処理回路212(
図5)は、このように計測ユニット2が磁気マーカ10の真上に位置し進行方向の磁気計測値のゼロクロスZcが生じたときに磁気マーカ10を検出したと判断する。
【0034】
また例えば、磁気センサCnと同じ仕様の磁気センサについて、磁気マーカ10の真上を通過する車幅方向の仮想線に沿う移動を想定すると、車幅方向の磁気計測値は、磁気マーカ10を挟んだ両側で正負が反転すると共に、磁気マーカ10の真上の位置でゼロを交差するように変化する。15個の磁気センサCnを車幅方向に配列した計測ユニット2の場合には、
図8の例の通り、磁気マーカ10を介してどちらの側にあるかによって磁気センサCnが検出する車幅方向の磁気の正負が異なってくる。
【0035】
計測ユニット2の各磁気センサCnの車幅方向の磁気計測値を例示する
図8の分布に基づけば、車幅方向の磁気の正負が反転するゼロクロスZcを挟んで隣り合う2つの磁気センサCnの中間の位置、あるいは検出する車幅方向の磁気がゼロであって両外側の磁気センサCnの正負が反転している磁気センサCnの直下の位置が、磁気マーカ10の車幅方向の位置となる。検出処理回路212は、計測ユニット2の中央の位置(磁気センサC8の位置)に対する磁気マーカ10の車幅方向の位置の偏差を、磁気マーカ10に対する車両5の横ずれ量として計測する。例えば、
図8の場合であれば、ゼロクロスZcの位置がC9とC10との中間辺りのC9.5に相当する位置となっている。上記のように磁気センサC9とC10の間隔は10cmであるから、磁気マーカ10に対する車両5の横ずれ量は、車幅方向において計測ユニット2の中央に位置するC8を基準として(9.5-8)×10cmとなる。
【0036】
(b)アップロード情報の送信処理
図9のごとく、車両5のセンサアレイ21が上記のマーカ検出処理P1を実行して磁気マーカ10を検出したとき(S101:YES)、RFIDタグ15のタグIDを読み取るためのタグID読取処理をタグリーダ34が実行する(S102)。タグリーダ34は、RFIDタグ15の動作に必要な電力を無線で送電してRFIDタグ15の動作を開始させ、RFIDタグ15の送信データ(タグIDなど)を受信する。そして、タグリーダ34は、受信したタグIDを制御ユニット32に入力する。制御ユニット32は、タグIDを含むアップロード情報を生成し(S103)、車両5の識別情報である車両IDをひも付けてサーバ装置11に送信する。
【0037】
(c)支援情報の送信処理
サーバ装置11は、
図9のごとく、車両5側からアップロード情報を取得すると(S201)、まず、アップロード情報にひも付けられた車両IDを送信元管理エリア118に記録することで、アップロード情報の送信元の車両5を支援情報の提供先として登録する(S202)。サーバ装置11は、このような支援情報の提供先の登録により、車両5に対して支援情報を受ける権利である情報取得権を付与する。なお、送信元管理エリア118に記録される車両IDに対しては、アップロード情報の識別コードである情報IDがひも付けされる。
【0038】
また、サーバ装置11は、各磁気マーカ10の敷設位置を表すマーカ位置データ(マーカ位置情報)を格納するマーカDB111を参照し(S203)、格納されたマーカ位置データの中から、アップロード情報に含まれるタグIDに係る磁気マーカ10のマーカ位置データを選択的に取得する(S204)。
【0039】
サーバ装置11は、マーカDB111から取得したマーカ位置データを含む支援情報を生成し、上記のステップS201で取得したアップロード情報の送信元であり情報取得権を得ている車両5に対して、この支援情報を送信する(S205)。具体的には、上記のように送信元管理エリア118に記録された車両IDの中から、上記のステップS201で取得したアップロード情報の情報IDがひも付けられた車両IDを選択し、この車両IDに係る車両5に対して支援情報を提供する。なお、送信元管理エリア118に記録された車両IDは、支援情報の送信に応じて随時消去される。
【0040】
サーバ装置11は、支援情報を車両5側に送信すると、その送信先の車両5について後述する利用料DB113で管理される利用料に支援情報の料金を加算する(S206)。これにより、支援情報を提供した対価を、利用料として車両5側から得られるようにする。
【0041】
車両5の制御ユニット32は、マーカ位置データを含む支援情報をサーバ装置11から提供されたとき(S104)、このマーカ位置データが表す磁気マーカ10の敷設位置を基準として車両位置を特定する(S105)。具体的には、磁気マーカ10の敷設位置を基準として、上記のように計測ユニット2が計測した横ずれ量の分だけオフセットさせる演算を実行して車両位置を求める。例えば制御ユニット32から車両位置を入力されたナビゲーション装置6は、この車両位置を自車位置として取り扱って経路案内等を実施できる。
【0042】
なお、磁気マーカ10を検出した後、新たな磁気マーカ10を検出するまでの走行区間では(S101:NO)、制御ユニット32は、磁気マーカ10の検出時の車両位置を基準位置として、慣性航法により車両5の相対位置を推定する(S112)。具体的には、計測ユニット2に組み込まれたIMU22(
図5)が、2軸加速度センサ222(
図5)による計測加速度を二階積分して変位量を演算し、さらに、2軸ジャイロセンサ223(
図5)が計測する車両5の進行方位に沿って変位量を積算する演算を実施する。これにより、上記の基準位置に対する車両5の相対位置を推定する。そして、この相対位置の分だけ基準位置から移動させた位置を自車位置として特定する(S105)。
【0043】
(d)利用料DBのデータ構成
利用料DB113は、
図10のごとく、各利用者に課金する利用料を管理するためのデータベースである。なお、本例では、利用者として車両を想定している。利用料DB113では、各車両5の車両IDについて、支援情報の提供等の対価となる利用料が記録されている。また、利用料DB113の各車両IDには、各車両5の利用料の徴収先として口座DB114に予め登録された銀行の口座情報がひも付けられている。
【0044】
(e)課金処理
サーバ装置11は、
図11のごとく、各車両5の利用料を例えば月毎に確定させ、金融機関の外部サーバ8に対して出金要求を実行する。この出金要求には、課金対象の車両5について登録された口座81を特定する口座情報、システム側が管理する入金先の管理口座88を特定する口座情報、徴収する利用料等の情報が含まれている。
【0045】
例えば、
図11のごとく、利用料を引き落とす車両側の口座81と、引き落とした利用料を収めるシステム側の管理口座88が、同じ金融機関の口座であれば、その金融機関の外部サーバ8に対する出金要求に応じて、利用料に相当する金額のお金が口座間を移動できる。一方、車両側の口座81と、システム側の管理口座88が、異なる金融機関の口座であれば、双方の金融機関の外部サーバ8にそれぞれ出金要求が送信され、各外部サーバ8間の情報のやり取りに応じて口座間のお金の移動が実現される。
【0046】
以上のように、本例の運転支援システム1は、磁気マーカ10を検出した車両5に対して、その磁気マーカ10の敷設位置を表すマーカ位置データを含む支援情報を提供するシステムである。車両5側では、磁気マーカ10の敷設位置に基づいて自車両の位置を精度高く特定できる。この運転支援システム1を利用すれば、例えばGPS(Global Positioning System)衛星の電波を受信できない環境、装備あるいは状況であっても、車両位置を精度高く把握できる。
【0047】
この運転支援システム1では、支援情報の利用者である車両5毎に利用料が集計され、利用者の口座を管理する金融機関に対して出金要求が送信される。この運転支援システム1によれば、支援情報を提供した履歴に応じた利用料を徴収できるため、システム側のコストの少なくとも一部を利用者側に負担させることが可能になっている。
【0048】
運転支援システム1では、支援情報の提供の履歴に応じた利用料を車両5側から徴収するので、磁気マーカ10の敷設に要するコストや、メンテナンスなどシステム運用に要するコストの少なくとも一部を利用者である車両5側から回収できる。利用者である車両5側への課金に応じてシステム側の経費を賄うことができるため、磁気マーカ10の敷設コスト等の工面が容易であり、磁気マーカ10の敷設路線の拡充を図ることが容易である。そして、磁気マーカ10の敷設路線が増えれば、磁気マーカ10を利用できない状況を少なくできるので、運転支援システム1の利便性を一層向上でき、車両5側からの利用料の徴収が一層容易となる。
【0049】
なお、マーカ位置データを含む支援情報の提供を受けるか否か、車両側の選択操作あるいは選択処理により選択的に設定可能としても良い。例えばビルが林立する都心や山間部の道路などでは、GPS電波の受信状態が十分ではないため、ナビゲーション装置による経路案内中に、右折や左折等の指示を的確に実行できなくなるおそれがある。一方、マーカ位置データを含む支援情報の提供があれば、GPS電波の受信状態に依らずに的確な経路案内が可能になる。例えばビルが林立する都心や山間部の道路などを走行中では、ドライバーの選択操作、あるいはナビゲーション装置による選択処理により、支援情報の提供を受ける状態を設定することも良い。
【0050】
本例では、支援情報を車両5側に提供する支援情報提供部124や、磁気マーカ10の敷設位置を表すマーカ位置データを記憶するマーカDB111など、を一体的に備えるサーバ装置11を例示している。複数の装置によって、本例のサーバ装置11の機能を実現することも良い。複数の装置は、インターネット19等の公衆通信回線や専用通信回線等により通信可能に接続されていれば、遠隔して設置されていても良い。
【0051】
なお、支援情報として、車両5の自動運転に供する制御情報を各車両5に提供することも良い。例えば磁気マーカ10に対する横ずれ量をアップロード情報に含めて送信して来た車両5に対して、磁気マーカ10が配列された道路に沿って車両が走行するためのステアリング操作角やアクセル開度などの制御情報を提供すると良い。この場合には、支援情報の中にサービス情報として含まれる制御情報によって、磁気マーカ10に沿う車両5の自動走行を実現できる。サーバ装置11側では、横ずれ量を取得することでより精度高く車両位置を特定できるというメリットがある。制御情報を含む支援情報の利用料を車両5側から徴収すると良い。なお、自動運転を利用するか否かの選択画面を車載ディスプレイに表示することで、制御情報の提供を受けるか否かを車両5側で選択できるように構成することも良い。行楽の帰り道など楽に運転したい時など、自動運転を利用すると良い。
【0052】
なお、磁気マーカ10のタグIDに加えて、検出時に計測された横ずれ量をアップロード情報に含めることも良い。この場合には、サーバ装置11側で、蛇行運転や車線逸脱などの不安定走行の検知が可能となる。不安定走行に関する警報情報を支援情報に含め、警報情報の利用料を車両側から徴収することも良い。なお、警報機能を利用するか否かの選択画面を車載ディスプレイに表示することで、警報情報の提供を受けるか否かを車両5側で選択できるように構成することも良い。疲れているときや眠たいときなど、警報機能を利用すると良い。
【0053】
(実施例2)
本例は、実施例1の運転支援システムに基づき、有料の渋滞情報を提供できるように構成を変更した例である。この内容について
図12~
図14を参照して説明する。
【0054】
本例の運転支援システムが渋滞情報を含む支援情報を提供する際の動作について、
図12のフロー図に沿って説明する。ここでは、例えばサーバ装置が外部から取得した渋滞情報を支援情報に含めて車両側に提供する手順(S301)を起点として動作の流れを説明する。
【0055】
車両側の制御ユニット(実施例1で参照した
図5の符号32)は、支援情報に含まれる渋滞情報を取得したとき(S401)、ナビゲーション装置6による経路案内中であって、かつ、案内中の経路の周辺に渋滞区間等が存在していれば、
図13のように、車載ディスプレイ66の表示画面に渋滞情報を提示する(S402)。さらに、渋滞情報を利用して経路の再計算を実行するか否かの問い合わせ画面(
図14)を車載ディスプレイ66に表示させる(S403)。
【0056】
制御ユニットは、
図14の問い合わせ画面の「はい」が選択されると(S404:YES)、経路の再計算に必要な渋滞情報データ(ナビ用データ)の要求信号をサーバ装置に対して送信する(S405)。その後、制御ユニットは、この要求信号に応じてサーバ装置が送信するナビ用データ(S302:YES→S303)を利用して経路の再計算を実行する(S406)。車両側では、ナビゲーション装置6によって再計算された経路に誘導するための経路案内が実行される(S407)。一方、サーバ装置は、ナビ用データを送信すると(S303)、利用料DB113に記録された送信先の車両の利用料を参照し、渋滞情報の料金を加算する(S304)。
【0057】
なお、渋滞情報のほかに、工事区間や規制区間などの交通情報を支援情報に含めて提供することも良い。交通情報の提供に伴う利用料としては、道路を管理する行政側から徴収しても良く、交通情報の提供を受ける車両側から徴収することも良く、双方から徴収しても良い。上記の渋滞情報の場合と同様、経路計算に利用された場合に利用料を徴収することも良い。
なお、その他の構成及び作用効果については実施例1と同様である。
【0058】
(実施例3)
本例は、実施例1の運転支援システムに基づいて、商店やサービスなどに関する営業情報を含む支援情報を提供できるように構成を変更した例である。この運転支援システムでは、マーカ位置データを提供する対価として車両側から利用料を徴収するのに加え、営業情報を車両に提供する対価として事業者側から利用料を徴収する。この内容について、
図15~
図23を参照して説明する。
【0059】
本例の運転支援システムに対応する各車両では、車両やドライバーの属性情報を予め記憶可能な属性データベース(属性DB、図示略)が制御ユニット(
図5中の符号32に相当。)に設けられている。また、制御ユニットは、属性情報の属性入力画面(図示略)や、ドライバーを選択するドライバー選択画面(
図15)に加えて、属性情報のうちアップロード情報に含める送信情報を設定する送信情報選択画面(
図16)などを車載ディスプレイ66に表示可能である。
【0060】
属性入力画面(図示略)では、性別、年齢、趣味、職業などのドライバーのパーソナル情報を入力可能である。これらの属性入力画面を介して入力された属性情報は、制御ユニットの属性DBに格納される。なお、属性DBについては、サーバ装置に設けることも良い。
【0061】
図15に例示する選択操作部としてのドライバー選択画面は、例えば車両を所有する家庭を構成する家族のうち、運転免許証を所持する父親、母親、息子、娘、を表示する画面の例である。例えば母親が運転するときには、対応する表示枠43内をタッチ操作することで、ドライバーとして自分(母親)を設定可能である。このようにドライバーが選択されると、制御ユニットの制御により、車載ディスプレイ66の表示画面が
図16の送信情報選択画面に切り換わる。
【0062】
図16に例示する選択操作部としての送信情報選択画面は、例えばドライバー選択画面(
図15)で選択されたドライバーである母親に対応する選択画面である。この送信情報選択画面では、ドライバーのパーソナル情報が選択可能に表示される。いずれかの表示枠44がタッチ操作されると、制御ユニットの制御によりその表示枠44がハッチ表示に切り替わり、対応する情報が送信情報として設定される。なお、ハッチ表示された表示枠44に再度タッチ操作すれば設定解除でき、対応する情報の外部送信を停止できる。
【0063】
次に、サーバ装置11(
図17)は、商店やサービス等に関する営業情報を格納するタウン情報データベース(タウン情報DB)116を備えている。サーバ装置11は、タウン情報DB116に格納された営業情報を支援情報に含めて提供可能である。また、サーバ装置11の利用料DB113では、各車両に課金する利用料に加えて、営業情報の提供元の各事業者に課金する利用料が記録されて管理されている。さらに、サーバ装置11の主回路110には、アップロード情報の送信元の車両IDを管理する送信元管理エリア118に加えて、営業情報の提供先の車両IDを事業者毎に管理する提供先管理エリア119が設けられている。
【0064】
タウン情報DBでは、例えば
図18のように、商品やサービスを提供する事業者等が識別情報である事業者IDによって管理され、例えばA5などのエリア毎に区別して事業者等に関する情報が記憶されている。事業者等に関する情報としては、名称、位置(緯度経度)、業種、顧客として想定するターゲット層、コメント、所在地(住所)等の情報あるいはデータ等がある。
【0065】
各事業者は、営業情報の提供種別を事前に選択的に設定可能である。営業情報の提供種別としては、例えば、事業者の所在地を基準として例えば周囲500mの範囲に位置する車両に対して無作為に営業情報を提供する種別1や、営業情報を提供するターゲット層を限定する種別2などがある。ターゲット層としては、20-34歳の女性のF1層や、20-34歳の男性のM1層などの性別、年齢層別の層を設定可能である。
【0066】
次に、運転支援システムの動作の内容を説明する。
図19を参照して営業情報を含む(a)支援情報を送信する処理の流れについて説明し、続いて、
図23を参照して(b)営業情報が利用された場合の課金処理の流れについて説明する。
【0067】
(a)支援情報の送信処理
車両側の制御ユニットは、磁気マーカの検出に応じてアップロード情報を送信する際、検出された磁気マーカのタグIDに加えて、例えば
図16の送信情報選択画面により選択された送信情報(パーソナル情報)をアップロード情報に含めて送信する。
【0068】
サーバ装置11は、
図19のごとく、車両側からアップロード情報を受信すると(S501)、まず、アップロード情報にひも付けられた車両IDを送信元管理エリア118に記録することで、アップロード情報の送信元の車両を支援情報の提供先として登録する(S502)。サーバ装置11は、このような支援情報の提供先の登録により、車両に対して支援情報を受ける権利である情報取得権を付与する。なお、送信元管理エリア118に記録される車両IDに対しては、アップロード情報の識別コードである情報IDがひも付けされる。
【0069】
続いてサーバ装置11は、各磁気マーカの敷設位置を表すマーカ位置データ(マーカ位置情報)を格納するマーカDB111を参照し(S503)、格納されたマーカ位置データの中から、アップロード情報に含まれるタグIDに係る磁気マーカのマーカ位置データを取得する(S504)。そして、サーバ装置11は、マーカDB111から取得したマーカ位置データを含む支援情報を生成する(S505)。アップロード情報の中にパーソナル情報が含まれていなければ(S506:NO)、この支援情報がそのまま送信され(S512)、実施例1と同様に車両の利用料に料金が加算される(S513)。
【0070】
サーバ装置11は、アップロード情報の中にパーソナル情報が含まれていれば(S506:YES)、タウン情報DB116を参照し、ステップS504で取得したマーカ位置データを基準として例えば周囲500m範囲に所在する営業情報を検索する(S507)。
【0071】
サーバ装置11は、検索された営業情報について、設定された提供種別を順番にチェックする(S508)。営業情報の提供先を限定しないという提供種別1の場合には(S508:値1)、その営業情報を支援情報に組み入れる(S509)。そして、営業情報を支援情報に組み入れる際には、提供先の車両の車両IDを提供先管理エリア119に順次、記録する。具体的には、提供先管理エリア119に記録される事業者毎の提供先リスト(
図20)に、提供先の車両IDを登録する。なお、同図の提供先リストでは、車両IDが時限付きで登録され、例えば10分間等の所定時間の経過に応じて順次、消去される。
【0072】
また、サーバ装置11は、営業情報の提供料としての料金を、ステップS509で組み入れた営業情報の提供元の事業者(営業情報に係る事業者)に課す利用料に加算する(S510)。なお、利用料DB113では、各事業者について利用料が記録・管理されると共に、各事業者の利用料を引き落とすために予め登録された口座DB114に格納された口座情報が事業者IDにひも付けられて管理されている(
図21参照。)。
【0073】
一方、営業情報に設定された提供種別が2であって、情報提供先をターゲット層に限定する情報であれば(S508:値2)、サーバ装置11は、アップロード情報に含まれるパーソナル情報が営業情報に設定されたターゲット層(
図18参照。)に該当するか否かを判断する(S529)。パーソナル情報がターゲット層に該当していれば(S529:YES)、提供種別1の場合で説明した処理の流れと同様、サーバ装置11は、その営業情報を支援情報に組み入れ(S509)、事業者の利用料に情報提供料としての料金を加算する(S510)。パーソナル情報がターゲット層に該当していなければ(S529:NO)、その営業情報を支援情報に組み入れるステップS509や、事業者の利用料に料金を加算するステップS510の処理を迂回する。
【0074】
サーバ装置11は、上記のステップS507で検索された各営業情報についてステップS508からステップS510までの処理を繰り返し実行する(S511:有り)。そして、全ての営業情報に関する処理を終了した後(S511:無)、マーカ位置データのほか、営業情報を組み入れた支援情報を車両側に送信し(S512)、マーカ位置データを含む支援情報の料金を、実施例1と同様、利用料DB113で管理される車両の利用料に加算する(S513)。なお、営業情報の提供時には、車両側の利用料を無料とすることも良い。
【0075】
営業情報を含む支援情報を取得する車両側では、例えば、
図22に例示する情報表示画面を車載ディスプレイ66に表示可能である。この情報表示画面では、アイコン45で示す自車両の近隣の商店などの営業情報が表示される。例えばいずれかの表示枠46がタッチ操作されたとき、対応する事業者の住所、電話番号、コメントなどの情報の表示画面に切り替えたり、ポップアップ表示することも良い。なお、車両側でいずれかの表示枠46にタッチ操作がなされたとき、その情報をサーバ装置11に送信することも良い。このような構成であれば、詳細な情報の提供料としての利用料を事業者に課すことが可能になる。
【0076】
(b)営業情報が利用された場合の課金処理
本例の運転支援システムでは、営業情報の提供先の車両が、その営業情報に係る事業者が業を営む場所(営業情報に係る場所)に移動して駐車したとき、その車両(駐車車両)がその営業情報を利用したと判断する。そして、この場合には、システム側の成功報酬としての料金を事業者側の利用料に加算して成功報酬の徴収を可能にする一方、利用料の支払いに使える特典ポイントを利用特典として車両側に付与する。
【0077】
図23のフロー図にあるように、車両側の制御ユニットは、営業情報を含む支援情報を受信した後(S601)、エンジンが停止されてパーキングブレーキが操作されたとき(S602:YES)、駐車した旨を含むアップロード情報を外部出力する(S603)。
【0078】
サーバ装置11は、駐車した旨を含むアップロード情報を車両側から受信すると(S701)、駐車位置を推定する処理を実行する(S702)。例えば、直前に受信したアップロード情報に含まれるタグIDに対応する磁気マーカの敷設位置を駐車位置として推定しても良い。
【0079】
サーバ装置11は、タウン情報DB116を参照して、ステップS702で推定した駐車位置を基準とする例えば200mの範囲に所在する事業者を検索する(S703)。そして、例えば
図20で例示した提供先リストを参照し、検索で見つかった事業者毎に、営業情報を提供した車両IDのリストを取得する(S704)。そして、この車両IDの中に、ステップS701のアップロード情報の送信元の駐車車両に係る車両IDが有るか無いか、すなわち検索された事業者が駐車車両に対して営業情報を提供したか否かを判断する(S705)。ここで、上記のように提供先リストには、10分間という時限付きで情報の提供先の車両が登録されるため、ステップS705の判断は、駐車車両が、過去10分間の間に情報を提供した車両であるか否かの判断ということになる。
【0080】
駐車車両に対して営業情報を提供した事業者であった場合(S705:YES)、サーバ装置11は、利用料DB113で管理されるその事業者の利用料に、システム側の成功報酬としての料金を加算し(S706)、これにより成功報酬の徴収を可能にする。さらに、営業情報を利用した車両側に対して、利用料の支払いに使える特典ポイントを付与する(S707、ポイント付与部)。そして、サーバ装置11は、ステップS703で検索された全ての事業者について以上の処理を実行し(S708:YES)、全ての事業者について処理を終えると(S708:NO)、車両の駐車に伴う一連の処理を終了させる。
【0081】
本例の運転支援システムによれば、宣伝のために営業情報を提供する事業者から情報提供料としての利用料を徴収できる。さらに、車両側が営業情報を利用し、営業情報の提供元の商店(営業情報に係る場所)等を訪れた場合には、成功報酬を事業者側から徴収できる。一方、営業情報を利用した車両側には、利用料の支払に使えるポイントが特典として付与される。このような特典によれば、営業情報を活用するように車両側を動機付けできるため、車両側の営業情報の利用を促進できると共に、事業者側からの営業情報の提供を促進できる。そして、営業情報の提供や利用が活発になれば、利用料収入を拡大できる。
【0082】
本例の運転支援システムでは、営業情報を含む支援情報の提供を受けた車両が、その後、商店など営業情報に係る業務の提供場所に移動して駐車したとき、その営業情報が車両側で利用されたと判断して成功報酬の支払を事業者側に課している。これに代えて、営業情報に係る商品を購入したり、金銭を対価として役務であるサービスを利用したとき、成功報酬の支払を事業者に課すことも良い。役務であるサービスとしては、例えば、床屋の散髪、レストランなどでの飲食物の提供等がある。
なお、その他の構成及び作用効果については実施例1と同様である。
【0083】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して上記具体例を多様に変形、変更あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。
【符号の説明】
【0084】
1 運転支援システム
10 磁気マーカ
11 サーバ装置
111 マーカデータベース(マーカDB)
113 利用料データベース(利用料DB)
114 口座データベース(口座DB)
121 支払要求部
122 利用料集計部
123 アップロード情報取得部(情報取得部)
124 支援情報提供部(情報提供部)
118 送信元管理エリア
15 RFIDタグ(無線タグ)
2 計測ユニット
21 センサアレイ
212 検出処理回路
32 制御ユニット
34 タグリーダ
5 車両
6 ナビゲーション装置
8 外部サーバ
81 (車両の)口座
88 (システム側の)管理口座