(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】用紙サイズ判定装置、および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/00 20060101AFI20220621BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220621BHJP
B65H 7/14 20060101ALI20220621BHJP
B65H 1/04 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
B65H1/00 501A
G03G21/00 370
B65H7/14
B65H1/04 322
(21)【出願番号】P 2018051447
(22)【出願日】2018-03-19
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】池田 佑司
(72)【発明者】
【氏名】藤田 隼人
(72)【発明者】
【氏名】前嶋 慶太
(72)【発明者】
【氏名】津川 正樹
(72)【発明者】
【氏名】宮川 拓己
(72)【発明者】
【氏名】平野 大輔
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-137790(JP,A)
【文献】特開2004-352440(JP,A)
【文献】特開2016-210559(JP,A)
【文献】特開2016-141511(JP,A)
【文献】実開平01-009925(JP,U)
【文献】特開平05-105267(JP,A)
【文献】特開2007-197146(JP,A)
【文献】特開2010-058899(JP,A)
【文献】特開2008-221543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00- 3/68
B65H 7/00
B65H 11/00
B65H 43/00
G03G 15/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各用紙サイズの長さの閾値を記憶しておく用紙サイズ閾値記憶部と、
主走査方向の用紙長さを計測する第1用紙サイズ検知部と、
主走査方向と直交し、前記用紙の側面を規制するサイドフェンスの移動を検知するサイドフェンス移動判定部と
副走査方向の用紙長さを計測する第2用紙サイズ検知部と、
ユーザーによる用紙サイズの入力を受け付けて設定する用紙サイズ入力部と、
前記第1用紙サイズ検知部で計測された用紙の主走査方向長さが、前記用紙サイズ入力部により入力された用紙サイズと一致するか否かを判定する第1用紙サイズ判定部と、
前記第2用紙サイズ検知部で計測された用紙の副走査方向長さが前記用紙サイズ入力部で入力された用紙サイズと一致するか否かを判定する第2用紙サイズ判定部と、
前記第1用紙サイズ判定部の判定結果および前記第2用紙サイズ判定部の判定結果が一致と判断され、かつ前記サイドフェンス移動判定部の出力が
前記サイドフェンスの位置が所定値以上に変化したことを示す場合に、計測した主走査方向長さおよび副走査方向長さと用紙サイズ入力部に入力された用紙サイズに対応する値を記憶する計測結果記憶部と、
前記計測結果記憶部に記憶された主走査方向長さおよび副走査方向長さに応じて前記用紙サイズ閾値記憶部に記憶する値を更新し、前記用紙サイズの長さの閾値の上限と下限の差を小さくしていく用紙サイズ閾値更新部と、
を備えることを特徴とする用紙サイズ判定装置。
【請求項2】
前記サイドフェンスと前記用紙の接触有無を検知する接触有無検知部を有し、
前記第2用紙サイズ判定部は、前記接触
有無検知部の検知結果に基づいて前記サイドフェンスに対する前記用紙のセット状態を判定することを特徴とする請求項1に記載の用紙サイズ判定装置。
【請求項3】
前記第2用紙サイズ判定部は、前記第1用紙サイズ検知部の出力を監視し、前記出力の変化が段階的に変化した後に停止された場合、前記サイドフェンスに対する前記用紙のセット状態を判定することを特徴とする請求項1に記載の用紙サイズ判定装置。
【請求項4】
前記計測結果記憶部は、前記接触
有無検知部の出力と、入力された用紙サイズの対応に加えて、温度および湿度を含む環境情報を記憶することを特徴とする請求項2に記載の用紙サイズ判定装置。
【請求項5】
前記計測結果記憶部は、前記環境情報毎に閾値を記憶しておくことを特徴とする請求項4に記載の用紙サイズ判定装置。
【請求項6】
前記用紙サイズ閾値更新部は、前記記憶した値が所定数に達した場合のタイミングで更新処理を行うことを特徴とする請求項1~5の何れか一つに記載の用紙サイズ判定装置。
【請求項7】
前記用紙サイズ閾値更新部は、前記計測結果記憶部で記憶した複数の主走査方向の長さおよび副走査方向の長さの値
が所定数蓄積されたタイミングで算出した標準偏差の平均値を新たな用紙サイズの閾値として更新することを特徴とする請求項1~6の何れか一つに記載の用紙サイズ判定装置。
【請求項8】
前記サイドフェンスは用紙トレイに設けられ、前記用紙トレイは、用紙有無検知部を有し、
前記用紙サイズ閾値更新部は、前記用紙有無検知部で
前記用紙トレイに積載された用紙において前記サイドフェンスの位置から用紙不揃いが発生していないことを検知して前記用紙トレイ内の用紙が1枚であったと判定した場合、主走査方向の長さおよび副走査方向の長さと用紙サイズの対応を優先し、前記用紙サイズの閾値を更新することを特徴とする請求項1~7の何れか一つに記載の用紙サイズ判定装置。
【請求項9】
前記
用紙サイズ閾値更新部により閾値が更新された後、更新前は閾値内であったが更新後に閾値外となった領域に新たに自動検知することができる用紙サイズを設定することを特徴とする請求項1~8の何れか一つに記載の用紙サイズ判定装置。
【請求項10】
請求項1に記載の積載される用紙のサイズを判定する用紙サイズ判定装置と、前記用紙に画像を形成する画像形成部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙サイズ判定装置、および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複合機等の画像形成装置では、給紙トレイや手差しトレイを使用して用紙の給紙を行っている。機器側で設定されている用紙サイズとトレイにセットされている用紙サイズが異なるとジャムや画像不良の要因となるため、両者が同一かどうかを判断するために、各トレイに配設されたサイドフェンスの位置から用紙サイズを自動検知している。用紙のサイズをリニアに検出するために、サイドフェンスの位置に応じて連続的に出力が変化する可変抵抗器を用いた用紙サイズ検知する技術がある。
【0003】
例えば特許文献1には、サイズ検知結果と、ユーザーが入力した用紙サイズが一致するかを判定し、一致した場合にはそのトレイの用紙として記憶手段に記憶する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記に示されるような従来の技術にあっては、サイズ検知結果が、予め用紙サイズ毎に設定したサイズ閾値以内かどうかで一致しているかを判断しているため、トレイにセットした用紙とユーザーが入力した用紙のサイズが似ている、つまり、幅の近い用紙サイズの場合、一致しているか否かの判別を間違えてしまう可能性があった。すなわち、サイドフェンスがきちんとセットされていない場合であってもその状態を記憶してしまうことで用紙サイズの検知精度が低くなるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、幅の近い用紙サイズであっても用紙サイズの検知精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、各用紙サイズの長さの閾値を記憶しておく用紙サイズ閾値記憶部と、主走査方向の用紙長さを計測する第1用紙サイズ検知部と、主走査方向と直交し、前記用紙の側面を規制するサイドフェンスの移動を検知するサイドフェンス移動判定部と副走査方向の用紙長さを計測する第2用紙サイズ検知部と、ユーザーによる用紙サイズの入力を受け付けて設定する用紙サイズ入力部と、前記第1用紙サイズ検知部で計測された用紙の主走査方向長さが、前記用紙サイズ入力部により入力された用紙サイズと一致するか否かを判定する第1用紙サイズ判定部と、前記第2用紙サイズ検知部で計測された用紙の副走査方向長さが前記用紙サイズ入力部で入力された用紙サイズと一致するか否かを判定する第2用紙サイズ判定部と、前記第1用紙サイズ判定部の判定結果および前記第2用紙サイズ判定部の判定結果が一致と判断され、かつ前記サイドフェンス移動判定部の出力が前記サイドフェンスの位置が所定値以上に変化したことを示す場合に、計測した主走査方向長さおよび副走査方向長さと用紙サイズ入力部に入力された用紙サイズに対応する値を記憶する計測結果記憶部と、前記計測結果記憶部に記憶された主走査方向長さおよび副走査方向長さに応じて前記用紙サイズ閾値記憶部に記憶する値を更新し、前記用紙サイズの長さの閾値の上限と下限の差を小さくしていく用紙サイズ閾値更新部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、幅の近い用紙サイズであっても用紙サイズの検知精度を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態にかかる画像形成装置の概略構成図である。
【
図2】
図2は、手差しトレイの構成例を示す説明図である。
【
図3】
図3は、画像形成装置の主要構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、用紙積載部の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、従来における洋形4号の封筒と長形3号の封筒の2種類の用紙サイズの検知例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、実施の形態にかかる用紙サイズ検知領域を変更する例を示す説明図である。
【
図7】
図7は、実施の形態にかかるサイズ閾値更新の判断処理例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、
図7におけるステップS103、ステップS110における判断方法の一例を示す説明図である。
【
図9】
図9(a)は手差しトレイに複数枚の用紙が積載されている状態、
図9(b)は手差しトレイに用紙が1枚積載されている状態について示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる用紙サイズ判定装置、および画像形成装置の一実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
(実施の形態)
つぎに、画像形成装置の構成例について説明する。
図1は、実施の形態にかかる画像形成装置100の概略構成図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、大きくは、スキャナ110と、プロッタ120を備える。スキャナ110は、ADF(Auto Document Feeder:自動原稿搬送装置)110A、画像読取部110Bを有する。プロッタ120は、給紙部103と、画像形成部105と、を備える。
【0011】
ADF110Aは、原稿トレイ125と、原稿給紙ローラ121と、原稿搬送ベルト122と、原稿排紙ローラ123と、原稿排紙トレイ124とを含んで構成されている。ADF110Aは、画像読取部110Bに対し、ヒンジなどの開閉機構(図示せず)を介して開閉自在に取り付けられている。
【0012】
原稿給紙ローラ121は、原稿トレイ125に載置された原稿(図示せず)束から原稿を1枚ずつ分離して、画像読取部110Bに向かって搬送する。原稿搬送ベルト122は、原稿給紙ローラ121によって分離された原稿を画像読取部110Bに搬送する。原稿排紙ローラ123は、原稿搬送ベルト122によって画像読取部110Bから排紙される原稿を、原稿トレイ125の下方の原稿排紙トレイ124に排紙する。
【0013】
画像読取部110Bは、筐体140と、走査光学ユニット141と、コンタクトガラス142と、駆動手段(図示せず)とを含んで構成されている。走査光学ユニット141は、筐体140の内部に設けられるとともに、LEDユニットを備えている。走査光学ユニット141は、LEDユニットから主走査方向に光を照射するとともに、駆動手段によって全照射領域内において副走査方向に走査される。これにより、走査光学ユニット141は、原稿の2次元カラー画像を読み取るようになっている。
【0014】
コンタクトガラス142は、画像読取部110Bの筐体140の上部に設けられ、筐体140の上面部を構成している。駆動手段は、走査光学ユニット141に固定された不図示のワイヤと、このワイヤに橋架される複数の従動プーリ(図示せず)および駆動プーリ(図示せず)と、駆動プーリを回転させるモータとを備えている。
【0015】
給紙部103は、給紙カセット130と、給紙手段131とを備えている。給紙カセット130は用紙サイズの異なる記録媒体としての用紙(図示せず)を収容する。給紙手段131は、給紙カセット130に収納された用紙を画像形成部105の主搬送路170まで搬送する。
【0016】
また、画像形成部105の側面には、手差しトレイ132が画像形成部105に対して開閉可能に配設されており、画像形成部105に対して開いた状態でトレイ上面に紙束が手差しされる。手差しされた紙束における一番上の用紙は、手差しトレイ132の送出ローラによって主搬送路170に向けて送り出される。
【0017】
主搬送路170には、レジストローラ対170aが配設されている。レジストローラ対170aは、主搬送路170内を搬送されてくる用紙をローラ間に挟み込んだ後、所定のタイミングで2次転写ニップに向けて送り込む。
【0018】
画像形成部105は、露光ユニット151、タンデム作像ユニット150、中間転写ベルト154、中間転写ローラ155、2次転写装置152、定着ユニット153などを有している。また、画像形成部105は、主搬送路170、反転搬送路173、排紙路160などを有している。
【0019】
図1に示すように、露光ユニット151は、タンデム作像ユニット150に隣接して配置されている。露光ユニット151は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色に対応して設けられた感光体ドラム174に露光を行うようになっている。
【0020】
タンデム作像ユニット150は、中間転写ベルト154の上であって、中間転写ベルト154の回転方向に沿って配置されたイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの作像ユニット175から構成されている。個々の作像ユニット175は、詳細な図示を省略するが、上記各色に対応して設けられた感光体ドラム174の周りに帯電装置、現像装置、感光体クリーニング装置、除電装置などを備えている。そして、各感光体ドラム174とその周りに設けられる上記各装置がユニット化されて1つのプロセスカートリッジを構成している。
【0021】
タンデム作像ユニット150は、画像読取部110Bによって読み取られて色別分解された画像情報に基づいて、各感光体ドラム174に色分けしてトナーにより形成された可視画像(トナー画像)を形成するようになっている。また、各感光体ドラム174に形成された可視画像は、各感光体ドラム174と中間転写ローラ155との間で中間転写ベルト154に転写されるようになっている。
【0022】
一方、中間転写ベルト154を挟んでタンデム作像ユニット150の反対側には、2次転写装置152が設けられている。2次転写装置152は、転写部材としての2次転写ローラ521を有している。この2次転写ローラ521を中間転写ベルト154に押し当てることにより、2次転写ニップを形成している。この2次転写ニップには、中間転写ベルト154に形成されたトナー画像が、給紙部103から主搬送路170を介して搬送された用紙に転写されるように構成されている。
【0023】
2次転写ニップでトナー画像が転写された用紙は、2つの支持ローラ157に張架された用紙搬送ベルト156により定着ユニット153へ送り込まれる。
【0024】
定着ユニット153は、無端ベルトである定着ベルト158に加圧ローラ159を押し当てて構成している。そして、定着ユニット153は、加圧ローラ159により用紙に熱と圧力を加えることにより、用紙に転写されたトナー画像のトナーを溶融して、用紙にカラー画像として定着するようになっている。
【0025】
このようにしてカラー画像が定着された用紙は、排紙搬送路としての排紙路160を経由して機外の排紙トレイ161上にスタックされる。
【0026】
また、
図1に示すように、反転搬送路173が、2次転写装置152および定着ユニット153の下側に設けられている。反転搬送路173は、用紙の両面に画像を形成するために、定着ユニット153から排出された用紙の表裏を反転させて再度、主搬送路170を介して2次転写装置152に供給するためのものである。
【0027】
また、主搬送路170や反転搬送路173には、搬送経路に沿って複数の紙詰まり検知手段としての搬送検知センサ(図示せず)が配置されている。なお、搬送検知センサの数や配置箇所は適宜設定される。各搬送検知センサが、それぞれ予め決められた時間内に用紙の通過を検知しないとき、用紙のジャム(不送り、紙詰まり)が発生したことを把握し、画像形成装置100の表示部(図示せず)などにジャムが発生したことを通知する。
【0028】
図2は、手差しトレイ132の構成例を示す説明図である。画像形成装置100には
図1に示すように、本体側面に手差しトレイ132が備えられている。この手差しトレイ132には1対のサイドフェンス200と第2用紙サイズ検知部205と用紙セット検知センサ201が設置されている。
【0029】
サイドフェンス200は、用紙の主走査(幅)方向に移動可能な構成となっており、用紙の幅方向の両端をガイドする。また、このサイドフェンス200に、サイドフェンス200の移動に伴って連続的に出力が変化する公知の可変抵抗器等を用いた主走査長さ検知センサを搭載することで、用紙の主走査方向の長さを検知する機能を兼ねることができる。この場合、サイドフェンス200を用紙の両端に合わせた状態でサイドフェンス200の位置を検出することで、用紙の主走査方向の長さが検知される。
【0030】
第2用紙サイズ検知部205は、用紙の副走査方向の長さを検知する。また、用紙セット検知センサ201では用紙がセットされているか否かを検知する。用紙セット検知センサ201で用紙がセットされたことを検知した際に、ユーザーが設定した用紙のサイズとサイドフェンス200の位置および第2用紙サイズ検知部205によって検出された用紙サイズを比較することで、ユーザーが設定した用紙サイズと同サイズの用紙が手差しトレイ132にセットされているかを判定することができる。また、ユーザーが用紙サイズを設定する前にサイドフェンス200の位置および第2用紙サイズ検知部205によって検出された用紙長さから、セットされた用紙のサイズを予測することもできる。
【0031】
図3は、画像形成装置100の主要構成を示すブロック図である。画像形成装置100は、用紙積載部300、給紙部301、作像部302、操作表示部303、記憶部304、制御部305を有する。
【0032】
用紙積載部300は、給紙カセット130、手差しトレイ132に給紙対象の用紙が積載される。給紙部301は、
図1で示したように給紙部103を含み、給紙カセット130、給紙手段131、手差しトレイ132が含まれ、用紙を主搬送路170に繰り出して搬送する。作像部302は、
図1の画像形成部105に該当し、作像プロセスに基づく画像の形成を行い、給紙搬送された用紙に画像を転写する。
【0033】
操作表示部303は、各種操作キー、例えば液晶ディスプレイ等のディスプレイ、LED等のランプ等を備える。操作キーは、画像形成装置100の複写、プリント、スキャナ等各機能の使用時に必要な操作、用紙の種別指定操作等の入力に用いられる。また、ディスプレイには、操作キーから入力された命令内容や、画像形成装置100からユーザーに通知する各種情報が表示される。
【0034】
記憶部304は、例えばHDD(ハードディスクドライブ),ROM,RAM等で構成される。
【0035】
制御部305は、CPU(Central Processing Unit)306、ROM(Read Only Memory)307、RAM(Random Access Memory)308を備える。
【0036】
CPU306は、画像形成装置全体の制御を司る。ROM307には、CPU306が実行するプログラムが格納され、CPU306がこのプログラムをROM307から読み出して実行する。RAM308は、CPU306の制御時におけるワーキングメモリとして用いられる。
【0037】
図4は、用紙積載部300の構成を示すブロック図である。用紙積載部300は、用紙セット検知センサ201、第1用紙サイズ検知部202、サイドフェンス移動判定部203、第1用紙サイズ判定部204、第2用紙サイズ検知部205、第2用紙サイズ判定部206、用紙サイズ閾値更新部215、接触有無検知部216、用紙有無検知部217を備える。操作表示部303は、用紙サイズ入力部210を備える。記憶部304には、用紙サイズ閾値記憶部211、計測結果記憶部212を設ける。
【0038】
用紙サイズ閾値記憶部211は、各用紙サイズの長さの閾値を記憶しておく。第1用紙サイズ検知部202は、前述のサイドフェンス200に配置された主走査長さ検知センサにより主走査方向の用紙長さを計測する。サイドフェンス移動判定部203は、主走査方向と直交し、前記用紙の側面を規制するサイドフェンスの移動を検知する。第2用紙サイズ検知部205は、副走査方向の用紙長さを計測する。用紙サイズ入力部210は、ユーザーによる用紙サイズの入力を受け付けて設定する。第1用紙サイズ判定部204は、第1用紙サイズ検知部202で計測された用紙の主走査方向長さが、用紙サイズ入力部210により入力された用紙サイズと一致するか否かを判定する。
【0039】
第2用紙サイズ判定部206は、第2用紙サイズ検知部205で計測された用紙の副走査方向長さが用紙サイズ入力部210で入力された用紙サイズと一致するか否かを判定する。計測結果記憶部212は、第1用紙サイズ判定部204の判定結果および第2用紙サイズ判定部206の判定結果が一致と判断され、かつサイドフェンス移動判定部203の出力が所定の条件を満たす場合に、計測した主走査方向長さおよび副走査方向長さと用紙サイズ入力部210に入力された用紙サイズに対応する値を記憶する。
【0040】
用紙サイズ閾値更新部215は、計測結果記憶部212に記憶された主走査方向長さおよび副走査方向長さに応じて用紙サイズ閾値記憶部211に記憶する値を更新し、用紙サイズの長さの閾値の上限と下限の差を小さくしていく。
【0041】
接触有無検知部216は、サイドフェンス200と用紙との接触有無を検知する。用紙有無検知部217は、手差しトレイ132の用紙積載の有無を検知する。
【0042】
つぎに、用紙サイズ検知例としてまず従来の例について説明する。
図5は、従来における洋形4号の封筒と長形3号の封筒の2種類の用紙サイズの検知例を示す説明図である。従来の画像形成装置では、例えば主走査長さ検知センサの検知精度が装置の個体ばらつきを含めて±10mmであった場合、長形3号の封筒(主走査方向の長さ:120mm)をトレイにセットした場合に、主走査長さ検知センサで検知され得る長さは、110mm~130mmの間となる。また、洋形4号の封筒(主走査長さ105mm)をトレイにセットした場合には、主走査長さ検知センサで検知され得る長さは、95mm~115mmの間となる。
【0043】
図5に示すように、異なる長さの封筒(用紙)をセットした場合でも、主走査長さ検知センサで検知し得る長さがオーバーラップしてしまう領域RNがあるため、主走査長さ検知センサの検知結果がその領域RNであった場合に、洋形4号の封筒と長形3号の封筒のどちらの封筒がセットされたのかを判別することができない。
【0044】
つぎに、上述した
図5の不具合を解消するため本実施の形態では以下のような検知処理を行う。
図6は、実施の形態にかかる用紙サイズ検知領域を変更する例を示す説明図である。例えば手差しトレイ132に用紙をセットして用紙の長さを測定した場合、1台の画像形成装置100に限れば元々サイズ検知精度の誤差要因として考慮していた装置毎の誤差は考慮する必要がなくなるため、予め設定していたサイズ検知領域に比べて実際の検知結果の幅(ばらつき)は狭くなる。このことを利用し、印刷する度にユーザーが設定した用紙サイズとサイドフェンス200の位置から検知した主走査方向長さを対応づけて記憶部304の計測結果記憶部212に記憶し、その検知結果に基づいて用紙サイズ閾値記憶部211の用紙サイズ閾値を変更し、装置毎の誤差を除外したサイズ検知領域を新たに作ることで、長さ検知領域がオーバーラップしてしまう領域をなくし、元々判別できなかった検知結果領域での判別を可能にする。
【0045】
サイズ閾値の更新については、例えば、検知結果が所定数蓄積されたタイミングで標準偏差σを算出し、平均値±3σを閾値として更新することが考えられる。また、サイズ検知結果取得時に環境条件(温度、湿度等)も合わせて記憶し、環境条件毎にサイズ閾値を変えることで、環境による検知誤差を除去することも可能である。
【0046】
また、サイズ閾値を更新した際に隣り合うサイズの検知領域の間に隙間が生まれた場合(
図5の110mm~115mm)には、新たに定型サイズを割り当て、次回以降そのサイズとして認識するシステムにするか不定形サイズを割り当て、次回以降は不定形用紙として認識するシステムとしてもよい。
【0047】
なお、ユーザーが設定した用紙サイズが間違っている場合や、サイドフェンス200をきちんとセットしていなかった場合に閾値を更新してしまうと、正しい閾値に更新できない恐れがあるため、閾値を更新する条件を決める必要がある。
【0048】
つぎに、取得したサイズ検知結果によるサイズ閾値更新の判断処理について説明する。
図7は、実施の形態にかかるサイズ閾値更新の判断処理例を示すフローチャートである。動作が開始されると、まず、手差しトレイ132に用紙がセットされた後(ステップS101)。サイドフェンス200の位置の監視を開始する(ステップS102)。続いて、ユーザーが印刷開始ボタンを押下する前までにサイドフェンスが動かされたか否かを判断する(ステップS103)。
【0049】
ステップS103においてサイドフェンス200が動かされていない場合(判断No)、サイドフェンス200が適切な位置にセットされていない可能性が高いため、印刷の成功有無に関わらず、検知した用紙長さは閾値更新には使用しない動作を以下のように行う。
【0050】
サイドフェンス200が動かされていない場合、さらにユーザーが操作表示部303の印刷開始ボタン(不図示)を押下したか否かを判断する(ステップS104)。ステップS104において印刷開始ボタンが押下されていない場合(判断No)、ステップS103に戻る。一方、ステップS104において印刷開始ボタンが押下された場合(判断Yes)、さらにユーザー設定した用紙サイズに対して検知した主走査長さ/副走査長さは所定の範囲内であるかを判断する(ステップS105)。
【0051】
ステップS105において検知した主走査長さ/副走査長さは所定の範囲内ではない場合(判断No)、印刷を開始せず、サイズアンマッチであることを操作表示部303に表示してユーザーに知らせ(ステップS106)、本動作を終了する。
【0052】
一方、ステップS105において検知した主走査長さ/副走査長さは所定の範囲内である場合(判断Yes)、印刷を開始し(ステップS107)、所定の印刷を行い印刷を終了させる(ステップS108)。続いて、今回検知した用紙長さは、閾値更新に使用せず(ステップS109)、本動作を終了する。
【0053】
一方、ステップS103においてサイドフェンス200が動かされたと判断した場合(判断Yes)、さらに、サイドフェンス200が最後に動かされた方向が内側か外側かを判断する(ステップS110)。ステップS110において外側であった場合(判断、外側)、ステップS104に移行し、用紙とサイドフェンス200に隙間がある可能性が高いため、印刷の成功有無に関わらず、検知した用紙長さは閾値更新には使用しない。
【0054】
一方、ステップS110においてサイドフェンス200が内側に動かされたと判断した場合(判断、内側)、さらにユーザーが操作表示部303の印刷開始ボタン(不図示)を押下したか否かを判断する(ステップS111)。ステップS111において印刷開始ボタンが押下されていない場合(判断No)、ステップS111に戻る。一方、ステップS110において印刷開始ボタンが押下された場合(判断Yes)、検知した主走査長さ/副走査長さはユーザーの設定用紙サイズに対して所定の範囲内であるかを判断する(ステップS112)。
【0055】
ステップS112において検知した主走査長さ/副走査長さはユーザーの設定用紙サイズに対して所定の範囲内ではない場合(判断No)、印刷を開始せず、サイズアンマッチであることを操作表示部303に表示してユーザーに知らせ(ステップS113)、本動作を終了する。
【0056】
一方、ステップS112において検知した主走査長さ/副走査長さはユーザーの設定用紙サイズに対して所定の範囲内である場合(判断Yes)、印刷を開始し(ステップS114)、その後、印刷が成功したか否かを判断する(ステップS115)。ステップS115において印刷に成功していなければ(判断No)、今回検知した用紙長さは閾値更新には使用せず(ステップS116)、本動作を終了する。ステップS115で印刷に成功した場合(判断nYes)、今回検知した用紙長さを閾値更新に使用し(ステップS117)、本動作を終了する。
【0057】
上述したようにステップS112により検知した用紙の主走査長さ/副走査長さがユーザーの設定用紙サイズに対して所定の範囲内と判定され、紙詰まり等の発生なく印刷が成功した場合にのみ検知した用紙長さを閾値更新に使用する。
【0058】
なお、サイドフェンス200に、例えば公知の接触センサ等を用いた接触有無検知部216を搭載した場合は、ステップS103、ステップS110の代替としてサイドフェンス200が用紙に対して所定の用紙サイズ位置にセットされたか否かを検出して閾値更新するか否かを判断する動作としてもよい。
【0059】
つぎに、前述した
図7のステップS103、ステップS110における判断方法について説明する。
図8は、
図7におけるステップS103、ステップS110における判断方法の一例を示す説明図である。
図8に示すように、サイドフェンス200の位置検知センサ(第2用紙サイズ検知部205)を構成する例えば可変抵抗器の出力を継続的に監視し、サイドフェンス200の位置が所定値以上に変化した場合にサイドフェンス200が移動したと判断する。さらに、サイドフェンス200の位置の変化方向からサイドフェンス200の移動方向を推定する。サイドフェンス200間の距離が長くなる方向の変化があればサイドフェンス200を開く方向の移動であると判断し、また、サイドフェンス200間の距離が短くなる方向の変化があればサイドフェンス200を閉める方向の移動であると判断する。
【0060】
つぎに、手差しトレイ132に複数枚の用紙が積載された場合と用紙が1枚のみである場合の例について説明する。
図9(a)は手差しトレイ132に複数枚の用紙が積載されている状態、
図9(b)は手差しトレイ132に用紙が1枚積載されている状態について示している。
図9(a)において手差しトレイ132に用紙が複数枚積載されている場合は、用紙端が完全には揃わないため、ユーザーがサイドフェンス200を用紙に対してきちんとセットしようとした場合でも、サイドフェンス200の位置から用紙長さを検出した場合に、用紙端不揃い分の検出誤差が生じる。一方、
図9(b)に示すように手差しトレイ132に用紙が1枚のみ積載された場合には用紙不揃いは発生しない。
【0061】
ユーザーがサイドフェンス200を用紙に対してきちんとセットした場合、サイドフェンス200の位置と用紙長さは完全に一致する。要するに用紙が手差しトレイ132に1枚だけセットされたときのサイドフェンス200の位置から用紙サイズを検出した場合の方が精度よく用紙サイズを測定できる。よって、手差しトレイ132に1枚積載された場合の用紙サイズ検出値を複数枚積載されたときの用紙サイズ検出値に比べて重みづけをおこなって用紙サイズ閾値を決定することで、用紙サイズ閾値の信頼性を向上させることができる。
【0062】
以上説明した実施の形態によれば用紙サイズと用紙長さの対応を誤って学習することなく、各用紙サイズのサイズ検知閾値が適正化していくため、画像形成装置100を使用しているうちに近いサイズの用紙でも判別することができるようになる。
【0063】
また、第2用紙サイズ判定部206は、接触有無検知部216の検知結果に基づいてサイドフェンス200に対する用紙のセット状態を判定する。これにより、サイドフェンス200を用紙サイズに合わせてもらえたことを検知することで、サイドフェンス200と用紙間に隙間ができることを防ぎ、計測した主走査長さの信頼性が向上する。
【0064】
また、第2用紙サイズ判定部206は、第1用紙サイズ検知部202の出力を監視し、出力の変化が段階的に変化した後に停止された場合、サイドフェンス200に対する用紙のセット状態を判定する。これにより、サイドフェンス200を用紙サイズに合わせてもらえたことを予測することで、サイドフェンス200と用紙間に隙間ができることを防ぎ、計測した主走査長さの信頼性が向上する。
【0065】
また、計測結果記憶部212は、接触有無検知部216の出力と、入力された用紙サイズの対応に加えて、温度および湿度を含む環境情報を記憶する。これにより、サイドフェンス200の位置検知に環境条件で出力が変化するセンサを使用する場合も、サイドフェンス200の位置(センサ出力)と用紙サイズの対応を正しく学習できる。
【0066】
また、計測結果記憶部212は、環境情報毎に閾値を記憶しておくことにより、サイドフェンス200の位置検知に環境条件で出力が変化するセンサを使用する場合も、正しく用紙サイズを自動判別できる。
【0067】
また、用紙サイズ閾値更新部215は、用紙有無検知部217で用紙トレイ内の用紙が1枚であったと判定した場合、主走査方向の長さおよび副走査方向の長さと用紙サイズの対応を優先し、前記用紙サイズの閾値を更新する。これにより、1枚のみ用紙がセットされていた「用紙幅とサイドフェンス位置がピッタリ合っている」可能性が高く、学習するサイドフェンス200の位置(センサ出力)と用紙サイズの対応の信頼性が向上する。
【0068】
<プログラム>
本実施の形態で実行されるプログラムは、ROM307等に予め組み込まれて提供される。また、上記プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。
【0069】
さらに、本実施の形態で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施の形態で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0070】
本実施の形態で実行されるプログラムは、上述した各部を含むモジュール構成となっている。実際のハードウェアとしてはCPU306が上記ROM307からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、各部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0071】
なお、上述してきた実施の形態は本発明を実現するための一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しない。これらの新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。また、これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
132 手差しトレイ
201 用紙セット検知センサ
202 第1用紙サイズ検知部
203 サイドフェンス移動判定部
204 第1用紙サイズ判定部
205 第2用紙サイズ検知部
206 第2用紙サイズ判定部
210 用紙サイズ入力部
211 用紙サイズ閾値記憶部
212 計測結果記憶部
215 用紙サイズ閾値更新部
216 接触有無検知部
217 用紙有無検知部
300 用紙積載部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0073】