(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】生体情報処理装置及び生体情報処理システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20220621BHJP
【FI】
A61B5/00 G
A61B5/00 D
(21)【出願番号】P 2018051525
(22)【出願日】2018-03-19
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】後藤 一磨
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-080409(JP,A)
【文献】国際公開第2017/120388(WO,A1)
【文献】特開2017-093760(JP,A)
【文献】国際公開第2017/085062(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0238805(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0150912(US,A1)
【文献】国際公開第2013/114596(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/018575(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/133801(WO,A1)
【文献】特開2017-205145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/398
A61B 5/06-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる時間区間の時系列データである複数の生体情報を取得し、それぞれの生体情報について算出した特徴量に基づいて、
基準を設定する設定部と、
前記設定された基準に基づいて、互いに異なる時間区間の時系列データである前記複数の生体情報を弁別し、弁別した生体情報の数が規定数以上になった場合に、前記基準に基づいて弁別された生体情報を加算平均する算出部と
、
前記基準に基づいて弁別された生体情報を加算平均することで得られる生体情報処理結果を表示する表示画面と、前記それぞれの生体情報について算出した特徴量のヒストグラムに対して、前記設定された基準の位置を補正可能に示した補正画面と、を表示する表示部と
を有することを特徴とする生体情報処理装置。
【請求項2】
前記設定部は、特徴量の種類ごとに、前記複数の生体情報を弁別する基準を設定することを特徴とする請求項1に記載の生体情報処理装置。
【請求項3】
前記設定部は、
前記補正画面を表示したことに応じて受け付けた補正指示に基づいて、設定した前記基準を補正することを特徴とする請求項
1に記載の生体情報処理装置。
【請求項4】
前記算出部は、
補正された前記基準に基づいて弁別された生体情報を加算平均することを特徴とする請求項
3に記載の生体情報処理装置。
【請求項5】
生体情報検出装置と、生体情報処理装置とを有する生体情報処理システムであって、
互いに異なる時間区間の時系列データである複数の生体情報を取得し、それぞれの生体情報について算出した特徴量に基づいて、
基準を設定する設定部と、
前記設定された基準に基づいて、互いに異なる時間区間の時系列データである前記複数の生体情報を弁別し、弁別した生体情報の数が規定数以上になった場合に、前記基準に基づいて弁別された生体情報を加算平均する算出部と
、
前記基準に基づいて弁別された生体情報を加算平均することで得られる生体情報処理結果を表示する表示画面と、前記それぞれの生体情報について算出した特徴量のヒストグラムに対して、前記設定された基準の位置を補正可能に示した補正画面と、を表示する表示部と
を有することを特徴とする生体情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報処理装置及び生体情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、生体から発せられる信号(生体情報)は微弱であり、検出時に電気的または磁気的なノイズの影響を受けやすい。このため、例えば、下記特許文献1及び2等では、加算平均法を用いて生体情報を強調する処理方法が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、加算平均法を用いて生体情報を強調する処理方法を用いる場合であっても、例えば、特異なノイズが含まれる生体情報が混在していた場合には、良好な処理結果を得ることは難しい。
【0004】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、ノイズの影響を抑えた生体情報を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、生体情報処理装置は、以下のような構成を有する。すなわち、
互いに異なる時間区間の時系列データである複数の生体情報を取得し、それぞれの生体情報について算出した特徴量に基づいて、基準を設定する設定部と、
前記設定された基準に基づいて、互いに異なる時間区間の時系列データである前記複数の生体情報を弁別し、弁別した生体情報の数が規定数以上になった場合に、前記基準に基づいて弁別された生体情報を加算平均する算出部と、
前記基準に基づいて弁別された生体情報を加算平均することで得られる生体情報処理結果を表示する表示画面と、前記それぞれの生体情報について算出した特徴量のヒストグラムに対して、前記設定された基準の位置を補正可能に示した補正画面と、を表示する表示部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の各実施形態によれば、ノイズの影響を抑えた生体情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】生体情報処理システムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】生体情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】複数の生体情報を弁別する弁別基準情報を算出する処理の流れを説明するための図である。
【
図5】弁別基準情報に基づいて弁別された生体情報を加算平均する処理の流れを説明するための図である。
【
図6】生体情報処理装置により実行される生体情報処理の流れを示す第1のフローチャートである。
【
図8】複数の生体情報を弁別する弁別基準情報を補正する処理の流れを説明するための図である。
【
図9】生体情報処理装置により実行される生体情報処理の流れを示す第2のフローチャートである。
【
図10】生体情報処理装置により実行される生体情報処理の流れを示す第3のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、各実施形態の詳細について説明する。なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に際して、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0009】
[第1の実施形態]
<生体情報処理システムのシステム構成>
はじめに、第1の実施形態に係る生体情報処理システムのシステム構成について説明する。
図1は、生体情報処理システムのシステム構成の一例を示す図である。
図1に示すように、生体情報処理システム100は、生体情報検出装置110と生体情報処理装置120とを有する。生体情報検出装置110と生体情報処理装置120とは通信可能に接続される。
【0010】
生体情報検出装置110は、被検者の生体情報を時系列の信号データとして検出し、検出した生体情報を生体情報処理装置120に送信する。生体情報検出装置110には、例えば、誘発電位計測装置、脳波計、生体磁気計測装置等、被検者の生体情報を検出する任意の装置が含まれる。
【0011】
生体情報処理装置120には、生体情報処理プログラムがインストールされており、当該プログラムが実行されることで、生体情報処理装置120は、生体情報処理部130として機能する。
【0012】
生体情報処理部130は設定部の一例である。生体情報処理部130は、生体情報検出装置110により送信された複数の生体情報を取得し、取得した複数の生体情報を生体情報格納部140に格納する。また、生体情報処理装置120は、取得した複数の生体情報を弁別する「弁別基準情報」を算出し、算出した弁別基準情報を設定する。
【0013】
また、生体情報処理部130は算出部の一例でもある。生体情報処理部130は、設定した弁別基準情報に基づいて、取得した複数の生体情報を弁別する。また、生体情報処理部130は、弁別した生体情報を用いて「加算平均処理」を行い、加算平均処理した結果を、生体情報処理結果として生体情報格納部140に格納する。
【0014】
<生体情報処理装置のハードウェア構成>
次に、生体情報処理装置120のハードウェア構成について説明する。
図2は、生体情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0015】
図2に示すように、生体情報処理装置120は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203を有する。CPU201、ROM202、RAM203は、いわゆるコンピュータを形成する。
【0016】
また、生体情報処理装置120は、補助記憶部204、表示部205、操作部206、接続部207、ドライブ部208を有する。なお、生体情報処理装置120の各ハードウェアは、バス209を介して相互に接続されている。
【0017】
CPU201は、補助記憶部204にインストールされている各種プログラム(例えば、生体情報処理プログラム等)を実行する演算デバイスである。
【0018】
ROM202は、不揮発性メモリである。ROM202は、補助記憶部204にインストールされている各種プログラムをCPU201が実行するために必要な各種プログラム、データ等を格納する、主記憶デバイスとして機能する。具体的には、ROM202はBIOS(Basic Input/Output System)やEFI(Extensible Firmware Interface)等のブートプログラム等を格納する、主記憶デバイスとして機能する。
【0019】
RAM203は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性メモリである。RAM203は、補助記憶部204にインストールされている各種プログラムがCPU201によって実行される際に展開される作業領域を提供する、主記憶デバイスとして機能する。
【0020】
補助記憶部204は、各種プログラムや、各種プログラムが実行される際に用いられる情報を格納する補助記憶デバイスである。例えば、生体情報格納部140は、補助記憶部204において実現される。
【0021】
表示部205は、生体情報処理装置120の内部状態等を表示する表示デバイスである。操作部206は、生体情報処理装置120に対して各種指示を入力する際に用いられる入力デバイスである。接続部207は、生体情報検出装置110と生体情報処理装置120とを通信可能に接続するための接続デバイスである。
【0022】
ドライブ部208は記録媒体210をセットするためのデバイスである。ここでいう記録媒体210には、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する媒体が含まれる。また、記録媒体210には、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等が含まれていてもよい。
【0023】
なお、補助記憶部204にインストールされる各種プログラムは、例えば、配布された記録媒体210がドライブ部208にセットされ、該記録媒体210に記録された各種プログラムがドライブ部208により読み出されることでインストールされる。あるいは、補助記憶部204にインストールされる各種プログラムは、接続部207を介して、ネットワークよりダウンロードされることでインストールされてもよい。
【0024】
<生体情報の一例>
次に、生体情報検出装置110により送信される生体情報について説明する。
図3は、生体情報の一例を示す図である。
図3において、横軸は時間を表し、縦軸は信号強度を表している。
図3に示すように、生体情報検出装置110より送信される生体情報は、時系列の信号データである。生体情報検出装置110では当該生体情報を検出する際に、電気的または磁気的なノイズの影響を受けるため、生体情報検出装置110により送信される生体情報には、
図3に示すようにノイズが含まれる。
【0025】
<弁別基準情報の算出処理の流れ>
次に、生体情報処理部130が、複数の生体情報を弁別する弁別基準情報を算出する際の処理の流れについて説明する。
図4は、複数の生体情報を弁別する弁別基準情報を算出する処理の流れを説明するための図である。
【0026】
図4に示すように、生体情報処理部130は、生体情報検出装置110により送信された複数の生体情報410_1~410_nを取得する。
【0027】
また、生体情報処理部130は、取得した複数の生体情報410_1~410_nそれぞれについて、特徴量A、特徴量B、特徴量C、・・・を算出する。生体情報処理部130により算出される特徴量には、信号強度の平均値や分散値等が含まれる。
【0028】
図4の例は、生体情報410_1について、特徴量A=A1、特徴量B=B1、特徴量C=C1、・・・が算出されたことを示している。また、生体情報410_2について、特徴量A=A2、特徴量B=B2、特徴量C=C2、・・・が算出されたことを示している。また、生体情報410_3について、特徴量A=A3、特徴量B=B3、特徴量C=C3、・・・が算出されたことを示している。更に、生体情報410_nについて、特徴量A=An、特徴量B=Bn、特徴量C=Cn、・・・が算出されたことを示している。
【0029】
生体情報処理部130は、複数の生体情報それぞれについて算出した特徴量を、特徴量の種類ごとに統計的に処理することで、弁別基準情報420を算出する。生体情報処理部130による特徴量の種類ごとの統計的な処理には、例えば、特徴量のヒストグラムに基づいて、特徴量の平均値を算出する処理、特徴量の分散値の和を算出する処理、特徴量の最大値の1/2を算出する処理、等が含まれる。
【0030】
図4の例は、生体情報処理部130が特徴量Aについて、A1~Anを用いて弁別基準情報として、"Tha"を算出したことを示している。また、
図4の例は、生体情報処理部130が特徴量Bについて、B1~Bnを用いて弁別基準情報として、"Thb"を算出したことを示している。更に、
図4の例は、生体情報処理部130が特徴量Cについて、C1~Cnを用いて弁別基準情報として、"Thc"を算出したことを示している。
【0031】
なお、
図4に示すように、生体情報処理部130は、特徴量AについてA1~Anを用いて弁別基準情報"Tha"を算出するにあたり、横軸に特徴量Aの値を、縦軸に頻度をとったヒストグラム430を生成する。そして、生体情報処理部130は、所定の分散値となる特徴量Aの値を、"Tha"として算出する。これにより、生体情報処理部130では、生体情報410_1~410_nのうち、特異なノイズが含まれる生体情報を除外することができる。
【0032】
<加算平均処理の流れ>
次に、生体情報処理部130が、算出した弁別基準情報420に基づいて生体情報を弁別し、弁別した生体情報を加算平均する際の処理の流れについて説明する。
図5は、弁別基準情報に基づいて弁別された生体情報を加算平均する処理の流れを説明するための図である。
【0033】
図5に示すように、生体情報処理部130は、取得した複数の生体情報410_1~410_nそれぞれについて、算出した特徴量を、弁別基準情報420と対比する。生体情報処理部130では、弁別基準情報420との対比の結果、弁別基準情報420を満たすと判定した生体情報について、分類Aに弁別する。一方、生体情報処理部130では、弁別基準情報420との対比の結果、弁別基準情報420を満たさないと判定した生体情報について、分類Bに弁別する。
【0034】
更に、生体情報処理部130は、分類Aに弁別した生体情報を用いて、加算平均処理を行い、生体情報処理結果510を得る。
【0035】
このように、生体情報処理部130は、弁別基準情報420を用いて、加算平均法に適した生体情報を弁別し、特異なノイズが含まれる生体情報を除外したうえで、加算平均処理を行う。これにより、生体情報処理部130によれば、ノイズの影響を抑え、良好な生体情報処理結果510を得ることができる。
【0036】
<生体情報処理の流れ>
次に、生体情報処理装置120により実行される生体情報処理の流れについて説明する。
図6は、生体情報処理装置により実行される生体情報処理の流れを示す第1のフローチャートである。
【0037】
ステップS601において、生体情報処理部130は、生体情報検出装置110により送信された複数の生体情報を取得する。ステップS602において、生体情報処理部130は、取得した複数の生体情報それぞれについて、特徴量を算出し、取得した複数の生体情報それぞれと対応付けて、生体情報格納部140に格納する。
【0038】
ステップS603において、生体情報処理部130は、規定数(n)の生体情報410_1~410_nを、生体情報検出装置110より取得したか否かを判定する。ステップS603において、規定数(n)の生体情報を取得していないと判定した場合には(ステップS603においてNoの場合には)、ステップS601に戻る。
【0039】
一方、ステップS603において、規定数(n)の生体情報410_1~410_nを取得したと判定した場合には(ステップS603においてYesの場合には)、ステップS604に進む。ステップS604において、生体情報処理部130は、規定数(n)の生体情報410_1~410_nそれぞれについて算出した特徴量を、特徴量の種類ごとに統計的に処理することで、弁別基準情報420を算出し、設定する。
【0040】
ステップS605において、生体情報処理部130は、生体情報格納部140より読み出した生体情報の数をカウントする情報カウンタiに"1"を代入する。また、生体情報処理部130は、加算平均処理に用いる生体情報の数をカウントする有効カウンタjに"0"を代入する。
【0041】
ステップS606において、生体情報処理部130は、i番目の生体情報及びi番目の生体情報に対応付けられた特徴量を、生体情報格納部140より読み出す。
【0042】
ステップS607において、生体情報処理部130は、読み出したi番目の生体情報に対応付けられた特徴量が、弁別基準情報420を満たすか否かを判定する。ステップS607において、弁別基準情報420を満たすと判定した場合には、ステップS608に進む。
【0043】
ステップS608において、生体情報処理部130は、i番目の生体情報を分類Aに弁別する。また、ステップS609において、生体情報処理部130は、有効カウンタjをインクリメントする。
【0044】
一方、ステップS607において、弁別基準情報420を満たさないと判定した場合には、ステップS610に進む。ステップS610において、生体情報処理部130は、i番目の生体情報を分類Bに弁別する。
【0045】
ステップS611において、生体情報処理部130は、分類Aに弁別した生体情報の数(j)が規定数(m)以上か否かを判定する。ステップS611において、規定数(m)未満であると判定した場合には(ステップS611においてNoの場合には)、ステップS612に進む。ステップS612において、生体情報処理部130は、情報カウンタiをインクリメントした後、ステップS606に戻る。
【0046】
一方、ステップS611において、規定数(m)以上であると判定した場合には(ステップS611においてYesの場合には)、ステップS613に進む。ステップS613にいて、生体情報処理部130は、分類Aに弁別した生体情報を用いて、加算平均処理を行う。
【0047】
ステップS614において、生体情報処理部130は、加算平均処理した結果を、生体情報処理結果510として生体情報格納部140に格納する。
【0048】
<生体情報処理結果の具体例>
次に、生体情報処理部130により加算平均処理が行われることで得られた、生体情報処理結果510について説明する。
図7は、生体情報処理結果の具体例を示す図である。
図3(生体情報検出装置110により送信された生体情報)との対比から明らかなように、弁別基準情報420により生体情報が弁別されることで、特異なノイズが除去される。また、加算平均処理が行われることで生体情報が強調され、かつ、無相関なノイズが除去される。この結果、ノイズの影響を抑えた良好な生体情報処理結果510を得ることができる。
【0049】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第1の実施形態に係る生体情報処理システムは、
・複数の生体情報を取得し、それぞれの生体情報について算出した特徴量を統計的に処理することで、弁別基準情報を算出する。
・取得した複数の生体情報のうち、特徴量が弁別基準情報を満たす生体情報を弁別し、弁別した生体情報を用いて加算平均処理を行う。
【0050】
これにより、第1の実施形態に係るし生体情報処理システムによれば、加算平均法に適した生体情報を弁別し、特異なノイズが含まれる生体情報を除外したうえで、加算平均処理を行うことができる。この結果、ノイズの影響を抑え、良好な生体情報処理結果を得ることができる。
【0051】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、特徴量を統計的に処理することで算出する弁別基準情報に基づいて、生体情報を弁別するものとして説明した。これに対して、第2の実施形態では、算出された弁別基準情報に基づいて弁別した生体情報についての生体情報処理結果を表示し、ユーザが、算出した弁別基準情報を補正できるように構成する。以下、第2の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0052】
<弁別基準情報の補正処理の流れ>
はじめに、生体情報処理部130が、算出した弁別基準情報420を補正する際の処理の流れについて説明する。
図8は、複数の生体情報を弁別する弁別基準情報を補正する処理の流れを説明するための図である。
【0053】
図8に示すように、生体情報処理部130は、取得した複数の生体情報410_1~410_nそれぞれについて、算出した特徴量を、弁別基準情報420と対比する。生体情報処理部130では、弁別基準情報420との対比の結果、弁別基準情報420を満たすと判定した生体情報について、分類Aに弁別する。一方、生体情報処理部130では、弁別基準情報420との対比の結果、弁別基準情報420を満たさないと判定した生体情報について、分類Bに弁別する。
【0054】
更に、生体情報処理部130は、分類Aに弁別した生体情報を用いて、加算平均処理を行い、生体情報処理結果510を得る。
【0055】
ここで、第2の実施形態において、生体情報処理部130では、生体情報処理結果510を生体情報格納部140に格納する前に、生体情報処理結果表示画面810として表示部205に表示する。これにより、ユーザは、生体情報処理結果510が良好な生体情報処理結果であるか否かを判断することができる。
【0056】
ユーザが良好な生体情報処理結果であると判断した場合、生体情報処理部130は、生体情報処理結果510を、生体情報格納部140に格納する。
【0057】
一方、ユーザが良好な生体情報処理結果でないと判断した場合、生体情報処理部130は、弁別基準情報補正画面820を表示部205に表示する。
図8の例は、特徴量Aについて弁別基準情報を算出した際に生成したヒストグラムと、特徴量Aについての現在の弁別基準情報("Tha")とが表示された様子を示している。
【0058】
生体情報処理部130では、弁別基準情報補正画面820を表示部205に表示することで、ユーザによる弁別基準情報の補正指示を受け付ける。
図8の例は、生体情報処理部130が、特徴量Aについての弁別基準情報を、"Tha"から"Tha'"に補正した様子を示している。
【0059】
弁別基準情報補正画面820において、ユーザにより弁別基準情報の補正指示が入力されると、生体情報処理部130では、補正後の弁別基準情報を設定し、再度、生体情報の弁別を行い、加算平均処理を行う。これにより、生体情報処理部130では、良好な生体情報処理結果を得ることができる。
【0060】
<生体情報処理の流れ>
次に、生体情報処理装置120により実行される生体情報処理の流れについて説明する。
図9は、生体情報処理装置により実行される生体情報処理の流れを示す第2のフローチャートである。上記第1の実施形態において
図6を用いて説明した生体情報処理との相違点は、ステップS901からステップS903である。
【0061】
ステップS901において、生体情報処理部130は、加算平均処理した結果を生体情報処理結果表示画面810として表示部205に表示する。ステップS902において、生体情報処理部130は、ユーザが良好な生体情報処理結果であると判断したか否かを判定する。
【0062】
ステップS902において、ユーザが良好な生体情報処理結果であると判断したと判定した場合には(ステップS902においてYesの場合には)、ステップS614に進む。
【0063】
一方、ステップS902において、ユーザが良好な生体情報処理結果でないと判断したと判定した場合には(ステップS902においてNoの場合には)、ステップS903に進む。
【0064】
ステップS903において、生体情報処理部130は、弁別基準情報補正画面820を表示部205に表示することで、弁別基準情報420についての補正指示を受け付ける。また、生体情報処理部130は、補正指示に基づいて弁別基準情報420を補正し、補正後の弁別基準情報420を設定した後、ステップS605に戻る。これにより、生体情報処理部130では、ステップS605からステップS902までの処理を再度実行することができる。
【0065】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第2の実施形態に係る生体情報処理システムは、
・複数の生体情報を取得し、それぞれの生体情報について算出した特徴量を統計的に処理することで、弁別基準情報を算出する。
・取得した複数の生体情報のうち、特徴量が弁別基準情報を満たす生体情報を弁別し、弁別した生体情報を用いて加算平均処理を行う。
・加算平均処理した結果を表示し、ユーザが良好な生体情報処理結果でないと判断した場合、弁別基準情報補正画面を表示し、弁別基準情報の補正指示を受け付ける。
【0066】
これにより、第2の実施形態に係る生体情報処理システムによれば、はじめに良好な生体情報処理結果が得られなかった場合でも、簡易な操作で弁別基準情報を補正し、再度、加算平均処理を行うことで、良好な生体情報処理結果を得ることができるようになる。
【0067】
[第3の実施形態]
上記第1及び第2の実施形態では、弁別基準情報を算出し、取得した複数の生体情報を弁別することで、加算平均処理を実行する前に、特異なノイズが含まれる生体情報を除外する構成とした。これに対して、第3の実施形態では、更に、生体情報を取得する際に、生体情報に含まれるノイズを低減させる機能を付加する。
【0068】
図10は、生体情報処理装置により実行される生体情報処理の流れを示す第3のフローチャートである。上記第1の実施形態において
図6を用いて説明した生体情報処理との相違点は、ステップS1001である。
【0069】
ステップS1001において、生体情報処理部130は、生体情報検出装置110により送信される生体情報に対して、所定の信号を加算することで、ノイズを低減させる。例えば、生体情報検出装置110が、生体磁気計測装置であって、生体から発せられる磁気を計測したとすると、生体情報検出装置110により送信される生体情報には、磁気信号のノイズが含まれる。
【0070】
そこで、生体情報処理部130では、ノイズとして計測される磁気信号を打ち消すような磁気信号を加算することで、ノイズを低減させる。
【0071】
なお、
図10では、ステップS1001の処理を、
図6のステップS601の処理の前に組み込む場合について示したが、
図9のステップS601の処理の前に組み込むように構成してもよい。
【0072】
このように、生体情報を取得する際に、生体情報に含まれるノイズを低減させる機能を付加することで、より良好な生体情報処理結果を得ることができる。
【0073】
[その他の実施形態]
上記各実施形態では、生体情報処理装置120が、生体情報処理部130を実現するものとして説明したが、生体情報処理部130の機能の一部は、生体情報検出装置110が実現してもよい。
【0074】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0075】
110 :生体情報検出装置
120 :生体情報処理装置
130 :生体情報処理部
420 :弁別基準情報
430 :ヒストグラム
510 :生体情報処理結果
810 :生体情報処理結果表示画面
820 :弁別基準情報補正画面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【文献】特開平10-80409号公報
【文献】特開2017-148404号公報