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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】光学積層体およびディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/14 20150101AFI20220621BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20220621BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20220621BHJP
   B32B 7/022 20190101ALI20220621BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20220621BHJP
   C09D 4/02 20060101ALI20220621BHJP
   C09D 133/00 20060101ALI20220621BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
G02B1/14
B32B27/18 Z
B32B27/30 A
B32B7/022
C09D7/61
C09D4/02
C09D133/00
G09F9/00 313
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020539241
(86)(22)【出願日】2019-06-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 KR2019007811
(87)【国際公開番号】W WO2020004973
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2020-07-20
(31)【優先権主張番号】10-2018-0075902
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0088199
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0076434
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジンクック
(72)【発明者】
【氏名】キム、チャンジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、スンファ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ヨンレイ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジン ヨウン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒエ ミン
【審査官】吉川 陽吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-000739(JP,A)
【文献】国際公開第2017/023118(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/070707(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/020613(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/133542(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/108394(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 1/14
B32B 27/18
B32B 27/30
B32B 7/022
C09D 7/61
C09D 4/02
C09D 133/00
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材
前記基材一面に形成され、バインダ樹脂と平均半径が相異する2種類以上の無機粒子を含むハードコート層;および
前記基材の他の一面に、(メタ)アクリレート系単量体の重合体または共重合体を含むバインダ樹脂を含有し、無機粒子を含まない第2ハードコート層:
を含み、
前記ハードコート層には10~15nmの平均半径を有する2以上の第1無機粒子を20~35nmの平均半径を有する2以上の第2無機粒子が囲んで形成されるドメインが形成され、
前記ドメインで中心に位置する第1無機粒子を挟んで対向して位置する2個の第2無機粒子の中心間の距離(Rd)が60nm~100nmであり、
前記ハードコート層は、30μm~100μmの厚さを有し、
前記第2ハードコート層は、30μm~100μmの厚さを有する、
光学積層体。
【請求項2】
前記ハードコート層は、750gの荷重で5H以上の鉛筆硬度を示す、請求項1に記載の光学積層体。
【請求項3】
前記ハードコート層は、25μm以上の厚さを有する、請求項1または2に記載の光学積層体。
【請求項4】
前記ハードコート層は、前記バインダ樹脂100重量に対して前記第1無機粒子および第2無機粒子の総和20~80重量部を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の光学積層体。
【請求項5】
前記バインダ樹脂は、3~6官能性(メタ)アクリレート系単量体の重合体または共重合体を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の光学積層体。
【請求項6】
前記基材は、20μm~300μmの厚さを有する、請求項1からのいずれか一項に記載の光学積層体。
【請求項7】
前記基材が有するASTM D882に従う弾性モジュラスは、3~20GPaである、請求項1からのいずれか一項に記載の光学積層体。
【請求項8】
前記光学積層体は、フレキシブルディスプレイ装置のカバーウインドウまたは素子基板に用いられる、請求項1からのいずれか一項に記載の光学積層体。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一項に記載の光学積層体を含む、ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学積層体およびディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、スマートフォン、タブレットPCのようなモバイル機器の発展につれ、ディスプレイ用基材の薄膜化およびスリム化が求められている。このようなモバイル機器のディスプレイ用ウインドウまたは前面板には機械的特性に優れた素材としてガラスまたは強化ガラスが一般的に使われている。しかし、ガラスは自体重量によるモバイル装置が高重量になる原因になり、外部衝撃による破損の問題がある。
【0003】
そのために、ガラスを代替できる素材としてプラスチック樹脂が研究されている。プラスチック樹脂フィルムは軽量でかつ割れる恐れが少ないためより軽いモバイル機器を追求する傾向に適する。特に、高硬度および耐摩耗性の特性を有するフィルムを達成するために支持基材にプラスチック樹脂からなるハードコート層をコートするフィルムが提案されている。
【0004】
ハードコート層の表面硬度を向上させる方法としてハードコート層の厚さを増加させる方法が考えられる。ガラスを代替できるほどの表面硬度を確保するためには一定のハードコート層の厚さを具現する必要がある。しかし、ハードコート層の厚さを増加させるほど表面硬度は高くなり得るが、ハードコート層の硬化収縮によってシワやカール(curl)が大きくなると同時にハードコート層の亀裂や剥離が生じやすくなるので、実用的に適用することは容易でない。
【0005】
一方、審美的、機能的理由からディスプレイ機器の一部が屈曲していたり、柔軟に曲がるディスプレイが最近注目されており、このような傾向は特にスマートフォン、タブレットPCのようなモバイル機器で目立っている。ところが、このような柔軟性のあるディスプレイを保護するためのカバープレートに用いるにはガラスは適しないので、プラスチック樹脂などへの代替が必要である。しかし、このためにガラス水準の高硬度を示し、かつ十分な柔軟性を有するフィルムの製造は容易ではないという困難性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、柔軟性および高硬度の物性バランスを同時に満足するように具現し、かつ高硬度を示し、特に繰り返される曲げや折り畳み動作によってもフィルムの損傷が殆どなく、ベンダブル、フレキシブル、ローラブル、またはフォールダブルモバイル機器、またはディスプレイ機器などに容易に適用できる光学積層体を提供する。
【0007】
また、本発明は、前記光学積層体を含むディスプレイ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書では、基材;および前記基材の少なくとも一面に形成され、バインダ樹脂と平均半径が相異する2種類以上の無機粒子を含むハードコート層;を含み、前記ハードコート層には10~15nmの平均半径を有する2以上の第1無機粒子を20~35nmの平均半径を有する2以上の第2無機粒子が囲んで形成されるドメインが形成される、光学積層体を提供する。
【0009】
また、本明細書では光学積層体を含むディスプレイ装置を提供する。
【0010】
以下、発明の具体的な実施形態による光学積層体およびディスプレイ装置についてより詳細に説明する。
【0011】
本明細書において、「フレキシブル(flexible)」とは、直径が4mmの円筒形マンドレル(mandrel)に巻いたとき長さ3mm以上のクラック(crack)が発生しない程度の柔軟性を有する状態を意味し、したがって、本発明のフレキシブルプラスチックフィルムはベンダブル(bendable)、フレキシブル(flexible)、ローラブル(rollable)、またはフォールダブル(foldable)ディスプレイのカバーフィルムなどに適用可能である。
【0012】
発明の一実施形態によれば、基材;および前記基材の少なくとも一面に形成され、バインダ樹脂と平均半径が相異する2種類以上の無機粒子を含むハードコート層;を含み、前記ハードコート層には10~15nmの平均半径を有する2以上の第1無機粒子を20~35nmの平均半径を有する2以上の第2無機粒子が囲んで形成されるドメインが形成される、光学積層体を提供することができる。
【0013】
本発明者らは、より薄い厚さを有するディスプレイ装置に適用可能な光学積層体、カバーウインドウまたは素子基板に関する研究を行って、所定の基材上に形成されたハードコート層に10~15nmの平均半径を有する2以上の第1無機粒子を20~35nmの平均半径を有する2以上の第2無機粒子が囲んで形成されるドメインが形成されると、柔軟性および高硬度の物性バランスを同時に満足するように具現し、かつ高硬度を示し、特に繰り返される曲げや折り畳み動作によってもフィルムの損傷が殆どなく、ベンダブル、フレキシブル、ローラブル、またはフォールダブルモバイル機器、またはディスプレイ機器などに容易に適用できることを実験により確認して発明を完成した。
【0014】
前記光学積層体は、強化ガラスなどを代替できる物性を有することができるために、外部で加えられる圧力や力によって割れないだけでなく、十分に曲がって折り畳まれる程度の特性を有することができる。
【0015】
前記光学積層体の曲げ耐久性および表面硬度などの物性は、前記基材上に形成されるハードコート層の最適化によって具現することができる。より具体的には前記光学積層体の特性は上述したドメインの形成によるものであり得る。
【0016】
前記ハードコート層に形成される上述したドメインは、相対的に小さい平均半径を有する第1無機粒子が相対的に大きい平均半径を有する第2無機粒子で囲まれて内部に位置する高密度のパッキング構造を有するが、そのため単一粒子だけが分布する場合に比べて外力による変形および損傷が相対的に少ない特徴を有することができる。このような理由から、前記ハードコート層がより高い表面硬度を有することができ、これと共に前記ハードコート層を含む前記一実施形態の光学積層体が柔軟性および高硬度の物性バランスを同時に満足するようにし、繰り返される曲げや折り畳み動作によっても内部構造に発生する損傷を防止することができる。
【0017】
前記「10~15nmの平均半径を有する2以上の第1無機粒子を20~35nmの平均半径を有する2以上の第2無機粒子が囲んで形成されるドメイン」は、前記ハードコート層の形成過程で前記バインダ樹脂と前記平均半径が相異する2種類以上の無機粒子の混合過程を調整したり、前記成分の含有量を調整したり、特に前記ハードコート層の形成過程の乾燥速度などを調整することにより形成される。
【0018】
そのため、前記ハードコート層の厚さは大きく限定されるものではないが、前記「10~15nmの平均半径を有する2以上の第1無機粒子を20~35nmの平均半径を有する2以上の第2無機粒子が囲んで形成されるドメイン」が、より円滑に形成されるようにするためには、前記ハードコート層は一定水準以上の厚さを有するように塗布して乾燥することが好ましい。
【0019】
例えば、前記ハードコート層は、25μm以上の厚さ、または30μm~100μmの厚さを有することができ、前記ハードコート層がこのような厚さを有することにより前記ハードコート層には10~15nmの平均半径を有する2以上の第1無機粒子を20~35nmの平均半径を有する2以上の第2無機粒子が囲んで形成されるドメインが形成される。
【0020】
前記「10~15nmの平均半径を有する2以上の第1無機粒子を20~35nmの平均半径を有する2以上の第2無機粒子が囲んで形成されるドメイン」の形成の有無は、SEM(走査電子顕微鏡)などの装置を活用して確認することができ、小角X線散乱分析などにより前記20~35nmの平均半径を有する2以上の第2無機粒子の間の距離を測定することで前記ドメインの形成の有無を間接的に確認することができる。
【0021】
例えば、前記ハードコート層に含まれる無機粒子が10~15nmの平均半径を有する第1無機粒子と20~35nmの平均半径を有する第2無機粒子を含み、前記ハードコート層には10~15nmの平均半径を有する2以上の第1無機粒子を20~35nmの平均半径を有する2以上の第2無機粒子が囲んで形成されるドメインが形成されることにより、前記ドメインで中心に位置する第1無機粒子を挟んで対向して位置する2個の第2無機粒子の中心間の距離(Rd)が60nm~100nmであり得る。
【0022】
前記無機粒子のドメインのうち2個の第2無機粒子の中心間の距離(Rd)は、放射光加速器の小角X線散乱分析により測定および計算することができ、例えば(浦項)放射光加速器研究所(Pohang Light Source)のu-SAXS beam-line 9Aを用いて測定したデータsetをNIST SANS data reduction packageによってmergingし、NIST SANS packageに含まれているmodel functionを用いてデータ分析(結果最適化(fitting))をすることができる。
【0023】
前述したように、前記ハードコートなどはバインダ樹脂と平均半径が相異する2種類以上の無機粒子を含み、前記2種類以上の無機粒子は10~15nmの平均半径を有する第1無機粒子と20~35nmの平均半径を有する第2無機粒子を含み得る。
【0024】
前記ハードコート層に含まれる無機粒子が10~15nmの平均半径を有する第1無機粒子と20~35nmの平均半径を有する第2無機粒子を含むことにより、前記ハードコート層には上述したドメインがより容易に生成され得る。
【0025】
より具体的には、前記10~15nmの平均半径を有する第1無機粒子:20~35nmの平均半径を有する第2無機粒子の平均半径比率は、1:1.2以上、または1:1.5以上、または1:2以上であり得、また、1:20以下であり得る。前記第1無機粒子に対して第2無機粒子の平均半径比率が過度に小さい場合、前記2種類の粒子の大きさが類似になり、高密度の粒子パッキング(Packing)を有するドメイン(Domain)が形成されない。前記第1無機粒子に対して第2無機粒子の平均半径比率が過度に大きくなる場合、上述したドメインの大きさが増加して前記ハードコート層のヘイズが非常に高くなる。
【0026】
前記第1無機粒子と第2無機粒子それぞれの平均半径は、通常知られている方法により確認することができ、例えば、前記ハードコート層の電子顕微鏡写真(SEM,TEMなど)で確認される個別粒子の半径を測定して計算および導き出したり、X-ray散乱実験により計算された無機粒子の平均半径であり得る。
【0027】
一方、前記第1無機粒子は、10~15nmの平均半径を有することができ、この時、前記第1無機粒子に含まれる個別無機粒子のうちドメインを形成できる個別無機粒子の半径は前記平均半径の±5nmの範囲である。例えば、第1無機粒子に含まれてドメインを形成する個別無機粒子の半径は5~20nmの範囲内に含まれ得る。
【0028】
また、前記第2無機粒子は20~35nmの平均半径を有することができ、この時、前記第2無機粒子に含まれる個別無機粒子のうちドメインを形成できる個別無機粒子の半径は前記平均半径の±5nmの範囲である。例えば、第2無機粒子に含まれてドメインを形成する個別無機粒子の半径は15~40nmの範囲内に含まれ得る。
【0029】
前記平均半径が相異する2種類以上の無機粒子は、例えば、シリカ、アルミニウム、チタニウム、ジンクなどの金属原子、またはその酸化物、窒化物などであり得、それぞれ独立してシリカ微粒子、アルミニウムオキシド粒子、チタニウムオキシド粒子、またはジンクオキシド粒子などを使用することができる。
【0030】
一方、前述したように、前記ハードコート層は、750gの荷重で5H以上、または6H以上、または7H以上の鉛筆硬度を示すことができる。
【0031】
前述したように、通常薄い厚さを有するフィルムまたは光学積層体では柔軟性の確保は可能であるが、高い表面強度化を確保し、かつ繰り返される曲げや折り畳み動作に対する耐久性の確保は容易ではない。
【0032】
これに対し、前記実施形態の光学積層体に含まれるハードコート層は、上述した表面硬度を有することができ、これと共に前記光学積層体の中間に5mmの間隔を挟んで前記光学積層体の両側を床面に対して90度に折り畳んだり広げたりすることを常温で10万回繰り返した時クラックが発生しない特性を有することができる。
【0033】
図5は本発明の一実施例によるフレキシブルプラスチックフィルムに対して、曲げ耐久性物性を測定する方法を概略的に示す図である。
【0034】
図5を参照すると、フィルムを床面と水平になるように置いた後、フィルムの中間部分に折り畳まれる部位の間隔が5mmになるようにし、フィルムの両側を床面に対して90度に折り畳んだり広げたりすることを約1~約3回/秒(sec)の速度で常温で10万回繰り返す方式で曲げに対する耐久性を測定することができる。
【0035】
この際、折り畳まれる部位の間隔を一定に維持するために、例えば、前記フィルムを直径(R)5mmの棒に接するようにしてフィルムの残り部分を固定し、棒を中心にフィルムの両側を折り畳んだり広げたりすることを繰り返す方法を取ることができる。また、前記折り畳まれる部分は、フィルムの内部であれば、特に制限されず、測定便宜上折り畳まれる部分を除いたフィルムの残りの両側が対称になるようにフィルムの中央部分が折り畳まれるようにすることができる。
【0036】
このような耐久性測定において、前記実施形態の光学積層体は、10万回の曲げを実施した後にも1cm以上、または3mm以上のクラックが発生せず、実質的にクラックが発生しない。
【0037】
一方、前記ハードコート層にドメインが形成される範囲内で相異する2種類以上の無機粒子の含有量は、大きく限定されるものではないが、好ましくは前記ハードコート層は、前記バインダ樹脂100重量に対して前記第1無機粒子および第2無機粒子の総和20~80重量部を含み得る。
【0038】
前記ハードコート層に含まれる相異する2種類以上の無機粒子の含有量が過度に小さい場合、前記ドメイン形成が難しいかまたは前記ハードコート層の硬度が低くなる。また、前記ハードコート層に含まれる相異する2種類以上の無機粒子の含有量が過度に高い場合、硬度は高くなるが、前記光学積層体の柔軟性が大きく低下したり繰り返される曲げや折り畳み動作に対する耐久性も低下し得る。
【0039】
前記ハードコート層は、バインダ樹脂を含み得る。
【0040】
前記バインダ樹脂の具体的な例は限定されるものではなく、例えば、光硬化性反応基を有する単量体(ら)の重合体または共重合体であり得、具体的には、(メタ)アクリレート系単量体またはオリゴマー、ビニル系単量体またはオリゴマーなどから形成された重合体または共重合体であり得る。
【0041】
一例として、前記バインダ樹脂は、3~6官能性(メタ)アクリレート系単量体の重合体または共重合体を含み得る。
【0042】
前記3~6官能性アクリレート系単量体またはオリゴマーは、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(TMPEOTA)、グリセリンプロポキシル化トリアクリレート(GPTA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETA)、またはジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)などが挙げられる。前記3~6官能性アクリレート系単量体またはオリゴマーは、単独または互いに異なる種類を組み合わせて使用することができる。
【0043】
前記(メタ)アクリレート系単量体またはオリゴマーやビニル系単量体またはオリゴマーは、重量平均分子量(Mw)が、約200~約2,000g/mol、または約200~約1,000g/mol、または約200~約500g/molの範囲であり得る。
【0044】
前記3~6官能性アクリレート系バインダは、アクリレート当量(equivalent weight)が、約50~約300g/mol、または約50~約200g/mol、または約50~約150g/molの範囲であり得る。
【0045】
前記3~6官能性アクリレート系バインダの重量平均分子量およびアクリレート当量が、それぞれ上述した範囲内にある時より最適化した物性のコート層を形成することができる。
【0046】
一方、前記基材は、光学フィルムや光学素子に適用可能であると知られている多様な基材を大きな制限なく使用することができる。
【0047】
例えば、前記基材は、前記光学積層体が柔軟性(flexibility)および硬度(hardness)を確保できるようにASTM D882に従い測定した時約4GPa以上の弾性モジュラスを有し、厚さが20~300μmの範囲である光学用透明プラスチック樹脂であって、延伸フィルムまたは非延伸フィルムなどの支持基材の製造方法や材料に特に制限なく使用することができる。
【0048】
前記基材の条件のうち弾性モジュラスは、約4GPa以上、または約5GPa以上、または約5.5GPa、または約6GPa以上であり得、上限値としては、約9GPa以下、または約8GPa以下、または約7GPa以下であり得る。前記弾性モジュラスが4GPa未満であれば、十分な硬度を達成できず、9GPaを超えて過度に高いと、柔軟性のあるフィルムを形成することが難しい。
【0049】
また、前記支持基材の厚さは、約20μm以上、または約25μm以上、または約30μm以上であり得、その上限値としては、約300μm以下、または約200μm以下、または約150μm以下、または約100μm以下であり得る。前記基材の厚さが20μm未満であれば、コート層形成工程時に破断したり、カール(curl)が発生する恐れがあり、高硬度を達成することが難しい。これに対し、厚さが300μmを超えると、柔軟性が劣り、フレキシブルフィルムの形成が難しい。
【0050】
前記基材としては、上述した弾性モジュラスと厚みの範囲を満足するものとして、例えば、ポリイミド(polyimide,PI)、ポリイミドアミド(polyimideamide)、ポリエーテルイミド(polyetherimide,PEI)、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephtalate,PET)、ポリエチレンナフタレート(polyethylenenaphthalate,PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketon,PEEK)、環状オレフィン重合体(cyclic olefin polymer,COP)、ポリアクリレート(polyacrylate,PAC)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate,PMMA)、またはトリアセチルセルロース(triacetylcellulose,TAC)などを含むフィルムであり得る。前記支持基材は単層または必要に応じて互いに同一または異なる物質からなる2個以上の基材を含む多層構造であり得、特に制限されない。
【0051】
一方、前記実施形態の光学積層体において、上述した10~15nmの平均半径を有する2以上の第1無機粒子を20~35nmの平均半径を有する2以上の第2無機粒子が囲んで形成されるドメインが形成されたハードコート層が前記基材の一面に形成され、前記基材の他の一面には(メタ)アクリレート系単量体の重合体または共重合体を含むバインダ樹脂を含有した第2ハードコート層が形成される。
【0052】
上述したハードコート層とともに前記第2ハードコート層を形成することにより、前記光学積層体の柔軟性および高硬度の物性バランスがより向上することができ、繰り返される曲げや折り畳み動作に対する耐久性および耐デント性(Dent Resistance)も向上することができる。
【0053】
前記10~15nmの平均半径を有する2以上の第1無機粒子を20~35nmの平均半径を有する2以上の第2無機粒子が囲んで形成されるドメインが形成されたハードコート層と前記第2ハードコート層それぞれの厚さは大きく限定されるものではないが、前記ハードコート層と前記第2ハードコート層を合わせた厚さが過度に大きくなる場合、前記光学積層体の柔軟性や繰り返される曲げや折り畳み動作に対する耐久性などが低下し得る。そのため、前記ハードコート層と前記第2ハードコート層それぞれは30μm~100μmを有することが好ましい。
【0054】
一方、前記光学積層体は前記基材の少なくとも一面に上述した成分を含むコーティング組成物を塗布して光硬化することにより提供することができる。前記コーティング組成物を塗布する方法は、本技術が属する技術分野において使われるものであれば、特に制限されず、例えば、バーコーティング方式、ナイフコーティング方式、ロールコーティング方式、ブレードコーティング方式、ダイコーティング方式、マイクログラビアコーティング方式、コンマコーティング方式、スロットダイコーティング方式、リップコーティング方式、ソリューションキャスティング(solution casting)方式などを用いることができる。
【0055】
前記光学積層体において、前記ハードコート層上面または基材フィルムとハードコート層との間にプラスチック樹脂フィルム、粘着フィルム、離型フィルム、導電性フィルム、導電層、液晶層、コート層、硬化樹脂層、非導電性フィルム、金属メッシュ層またはパターン化した金属層のような層、膜、またはフィルムなどを1個以上でさらに含み得る。
【0056】
例えば、基材に導電性を有する帯電防止層を先に形成した後、その上にコート層を形成して帯電防止(anti-static)機能を付与したり、コート層の上に低屈折率層を導入して低反射(low reflection)機能を具現することもできる。
【0057】
また、前記層、膜、またはフィルムなどは、単一層、二重層または積層型のいかなる形態であり得る。前記層、膜、またはフィルムなどは独立した(freestanding)フィルムを接着剤または粘着性フィルムなどを使用してラミネーション(lamination)したり、コーティング、蒸着、スパッタリングなどの方法で前記コート層上に積層させ得るが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0058】
一方、前記ハードコート層は、前記バインダ樹脂、無機微粒子など他にも、光開始剤、有機溶媒、界面活性剤、UV吸収剤、UV安定剤、黄変防止剤、レベリング剤、防汚剤、色相値改善のための染料など本発明が属する技術分野における通常使われる成分をさらに含み得る。また、その含有量は、前記ハードコート層の物性を低下させない範囲内で多様に調整できるので、特に制限しないが、例えば、前記ハードコート層100重量部に対して、約0.01~約30重量部で含まれ得る。
【0059】
前記界面活性剤は、1~2官能性のフッ素系アクリレート、フッ素系界面活性剤またはシリコン系界面活性剤であり得る。この時、前記界面活性剤は前記ハードコート層内に分散または架橋されている形態で含まれ得る。
【0060】
また、前記添加剤として、UV吸収剤、またはUV安定剤を含み得、前記UV吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、またはトリアジン系化合物などが挙げられ、前記UV安定剤としてはテトラメチルピペリジン(tetramethyl piperidine)などが挙げられる。
【0061】
前記光開始剤としては、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、2-ヒドロキシ-1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-1-プロパノン、メチルベンゾイルホルマート、α、α-ジメトキシ-α-フェニルアセトフェノン、2-ベンゾイル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルホリニル)-1-プロパノンジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド、またはビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシドなどが挙げられるが、これに制限されない。また、現在市販されている商品としては、Irgacure 184、Irgacure 500、Irgacure 651、Irgacure 369、Irgacure 907、Darocur 1173、Darocur MBF、Irgacure 819、Darocur TPO、Irgacure 907、Esacure KIP 100Fなどが挙げられる。これら光開始剤は、単独または互いに異なる2種以上を混合して使用することができる。
【0062】
前記有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールのようなアルコール系溶媒、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノールのようなアルコキシアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、シクロヘキサノンのようなケトン系溶媒、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチルグリコールモノエチルエーテル、ジエチルグリコールモノプロピルエーテル、ジエチルグリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール-2-エチルヘキシルエーテルのようなエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族溶媒などを単独または混合して使用することができる。
【0063】
一方、前記実施形態の光学積層体は、光透過率が88.0%以上、または90.0%以上で、ヘイズが1.5%以下、または1.0%以下、または0.5%以下であり得る。
【0064】
一方、発明の他の実施形態によれば、前記一実施形態の光学積層体を含むディスプレイ装置を提供することができる。
【0065】
前記ディスプレイ装置は、扁平な形態だけでなく、カーブ(curved)、ベンダブル(bendable)、フレキシブル(flexible)、ローラブル(rollable)、またはフォールダブル(foldable)形態の移動通信端末、スマートフォンまたはタブレットPCのタッチパネル、および各種ディスプレイをすべて含む。
【0066】
前記ディスプレイ装置の一例としてフレキシブル発光素子ディスプレイ装置が挙げられる。前記発光素子ディスプレイ装置は、前記一実施形態の高分子フィルムを基板、外部保護フィルムまたはカバーウインドウとして使用することができる。具体的には、前記発光素子ディスプレイ装置は、前記一実施形態の高分子フィルムをカバーウインドウとして使用する有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイであり得る。前記高分子フィルムをカバーウインドウとして使用することを除いては、通常の有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイの構成成分として知られている装置部を含み得る。
【0067】
例えば、前記有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイは、高分子フィルムを含むカバーウインドウが光や画面が出る方向の外殻部に位置することができ、電子を提供する陰極(cathode)、電子輸送層(Eletron Transport Layer)、発光層(Emission Layer)、正孔輸送層(Hole Transport Layer)、正孔を提供する陽極(anode)が順次形成されている。
【0068】
また、前記有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイは、正孔注入層(HIL,Hole Injection Layer)と電子注入層(EIL,Electron Injection Layer)をさらに含み得る。
【0069】
前記有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイがフレキシブルディスプレイの役割および作動をするためには、前記高分子フィルムをカバーウインドウとして使用することに加え、前記陰極および陽極の電極と、各構成成分として所定の弾性を有する材料を使用することができる。
【0070】
前記ディスプレイ装置の一例として、前記一実施形態の光学積層体を含む巻込可能なディスプレイ装置(rollable display or foldable display)が挙げられる。
【0071】
前記光学積層体は、巻込可能なディスプレイ装置(Rollable Display device)において基板、外部保護フィルムまたはカバーウインドウに用いられる。前記高分子フィルムは外部で加えられる圧力や力によって割れないだけでなく十分に曲がって折り畳まれる程度の弾性または柔軟性を有することができる。
【0072】
前記巻込可能なディスプレイ装置は、発光素子および前記発光素子が位置するモジュールと共に前記一実施形態の高分子フィルムを含み得、前記発光素子およびモジュールも十分に曲がって折り畳まれる程度の弾性または柔軟性を有することができる。
【0073】
前記巻込可能なディスプレイ装置は、適用分野および具体的な形態などによって多様な構造を有することができ、例えば、カバープラスチックウインドウ、タッチパネル、偏光板、バリアフィルム、発光素子(OLED素子など)、透明基板などを含む構造であり得る。
【発明の効果】
【0074】
本発明によれば、柔軟性および高硬度の物性バランスを同時に満足するように具現し、かつ高硬度を示し、特に繰り返される曲げや折り畳み動作によってもフィルムの損傷が殆どなく、ベンダブル、フレキシブル、ローラブル、またはフォールダブルモバイル機器、またはディスプレイ機器などに容易に適用できる光学積層体と前記光学積層体を含むディスプレイ装置を提供することができる。
【0075】
前記光学積層体は、強化ガラスなどを代替できる物性を有し得るために、外部で加えられる圧力や力によって割れないだけでなく十分に曲がって折り畳まれる程度の特性を有することができ、柔軟性、屈曲性、高硬度、耐擦傷性、高透明度を示し、繰り返し的、持続的な曲げや長時間の折り畳まれる状態でもフィルムの損傷が少なく、ベンダブル(bendable)、フレキシブル(flexible)、ローラブル(rollable)、またはフォールダブル(foldable)モバイル機器、ディスプレイ機器、各種計器板の前面板、表示部などに有用に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
図1】一実施形態の光学積層体に含まれるハードコート層に形成されたドメインの断面を図式的に示す図である。
図2】2種類の無機粒子を使用した実施例1のハードコート層に対する小角X線散乱測定結果(黒い線)と前記結果を最適化(fitting)した結果(黒い線)を示す図である。
図3】1種類の無機粒子(直径13nm)を使用したハードコート層に対する小角X線散乱測定結果(黒い線)と前記結果を最適化(fitting)した結果(黒い線)を示す図である。
図4】1種類の無機粒子(直径25nm)を使用したハードコート層に対する小角X線散乱測定結果(黒い線)と前記結果を最適化(fitting)した結果(黒い線)を示す図である。
図5】本発明の一実施例によるフィルムに対して曲げ耐久性テストを実施する方法を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
以下、発明の具体的な実施例により発明の作用および効果をより詳細に説明する。ただし、このような実施例は、発明の例示として提示したものに過ぎず、発明の権利範囲はこれによって定まるものではない。
【0078】
[製造例:ハードコート層形成用コート液の製造]
下記表1および表2に記載された成分を混合してハードコート層形成用コート液を製造した(下記表1~2でRはX-ray散乱実験により計算された無機粒子の平均半径を意味する)。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
[実施例および比較例:光学積層体の製造]
ASTM D882に従い測定した弾性モジュラス値が6.0GPaであるポリイミド基材(大きさ:20cmx30cm、厚さ:35μm)にそれぞれ下記表に記載されたコーティング組成をバーまたはスロットコーティング方式で塗布し、80℃3分間Air雰囲気下で乾燥した。290~320nmの波長のメタルハライドランプ(光量:200mJ/cm)で光硬化して光学積層体を製造した。前記光硬化は窒素またはアルゴンの雰囲気下で行い、光照射時間は30秒である。
【0083】
<実験例:光学積層体の物性測定>
実験例1:無機粒子のドメイン確認およびドメインのうち2個の第2無機粒子の中心間の距離(Rd)測定
(1)小角X線散乱法で確保したIntensity vs.wavevector(q) curveをNIST SANS packageに含まれているmodel functionを用いて最適化(fitting)する方法により、実施例および比較例それぞれの光学積層体のHard 1(正面)に無機粒子のドメインが形成されたかどうかを確認して前記無機粒子のドメインのうち2個の第2無機粒子の中心間の距離(Rd)を求めた。
【0084】
図2にそれぞれ2種類の無機粒子を使用した実施例1のハードコート層に対する小角X線散乱測定結果(黒い線)と前記結果を最適化(fitting)した結果(黒い線)を示し、図3および図4にそれぞれ1種類の無機粒子(直径13nmおよび直径25nm)を使用したハードコート層に対する小角X線散乱測定結果(黒い線)と前記結果を最適化(fitting)した結果(黒い線)を示した。
【0085】
1)装置
放射光加速器(浦項研究所)(Pohang Light Source)のu-SAXS beam-line 9A
<測定条件>
E = 11.1KeV, 19.9 keV,
ΔE/E = 2*10-4
q range used: 0.0024 ≦ q (Å-1) ≦ 0.5
Sample to detector distance (SDD; 6.5 m (11.1keV), 2.5m (19.9keV))
Pin holes collimated
2D CCD Detector (Rayonix SX165, USA)
【0086】
2)測定方法
-フィルム形態の試料はsample holderに透明テープを用いて付着する。
【0087】
-実験で取得された2Dイメージはビームストップ基準に円形に平均化され、1Dイメージに変換される(実験データのintensity値を絶対値に変えなかったので単位はarbitrary unit,a.u.である)。
【0088】
-11.1 KeVのエネルギで6.5mのSDDで測定したデータと19.9keVのエネルギで2.5mのSDDで測定した試料当たり二つのデータsetをNIST SANS data reduction packageによってmergingし、データ分析はNIST SANS packageに含まれているmodel functionを用いた。
【0089】
実験例2:鉛筆硬度
実施例および比較例それぞれの光学積層体で全面に形成されたハードコート層に対し、鉛筆硬度測定機を用いて測定標準JIS K5400-5-4に従い750gの荷重、45度の角度で3回往復した後きずのない最大硬度を確認した。
【0090】
実験例3:耐デント性(Dent Resistance)の測定
実施例および比較例それぞれの光学積層体で、Hard 2(背面)上に粘着層(材質:OCA、厚さ25μm)およびポリイミドフィルム(厚さ50μm)をそれぞれ積層した。この積層フィルムをHard 1(正面)が上側に向かうように床に置いた。
【0091】
3H硬度鉛筆を用いて100gの荷重から始まって100gずつ荷重を加えながら45度の角度に第1コート層の表面を1回移動後、すべての層に押さえ跡などの損傷がない最大重量を確認した。1500gまで確認して損傷が発生しない場合、これ以上行わなかった。
【0092】
実験例4:曲げ耐久性テスト
図5は本発明の一実施例によるフィルムに対して、曲げ耐久性テストを実施する方法を概略的に示す図である。
【0093】
実施例および比較例それぞれの光学積層体に対して裁断するが、エッジ(edge)部位の微細なクラックを最小化するように80x140mmの大きさにレーザで裁断した。測定装備の上にレーザで裁断したフィルムを載せて折り畳まれる部位の間隔が5mmになるようにし、常温でフィルムの両側を床面に対して90度に折り畳んだり広げたりすることを連続動作(フィルムが折り畳まれる速度は1.5秒当たり1回)で1万回繰り返した。
【0094】
1万回繰り返し後フィルムを剥がした後、長さ3mm以上のクラックが発生したかどうか(OK,NG)を観察した。クラックが発生しなかった場合、再び1万回曲げおよびクラック発生の有無を観察することを繰り返してクラックが発生しない最大繰り返し回数を測定した。10万回繰り返すまでクラックが発生しない場合は曲げ耐久性が良好であると判断した。
【0095】
前記物性測定結果を下記表4および5に示した。
【0096】
【表4】
【0097】
【表5】
【0098】
前記表4~5に示すように、実施例1~6の光学積層体の全面に形成されたハードコート層には「10~15nmの平均半径を有する2以上の第1無機粒子を20~35nmの平均半径を有する2以上の第2無機粒子が囲んで形成されるドメイン」が形成されていることが確認され、このように実施例の光学積層体は5H以上の高い表面硬度を有し、曲げ試験で優れた耐久性と共に高い耐デント性(Dent Resistance)を有することが確認された。
【0099】
これに対して、1種の無機粒子を使用して製造されたハードコート層を含む比較例1~6の光学積層体では無機粒子のドメインが形成されず、相対的に低い表面硬度および耐デント性が示されることが確認された。
【0100】
また、2種の無機粒子を使用したが、無機粒子のドメインが形成されないハードコート層を含む比較例7~18の光学積層体も相対的に低い表面硬度および耐デント性が示されることが確認された。
図1
図2
図3
図4
図5