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特許7092649多段高圧ガス圧縮装置の運転方法、多段高圧ガス圧縮装置
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  • 特許-多段高圧ガス圧縮装置の運転方法、多段高圧ガス圧縮装置 図1
  • 特許-多段高圧ガス圧縮装置の運転方法、多段高圧ガス圧縮装置 図2
  • 特許-多段高圧ガス圧縮装置の運転方法、多段高圧ガス圧縮装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】多段高圧ガス圧縮装置の運転方法、多段高圧ガス圧縮装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/10 20060101AFI20220621BHJP
   F04B 49/02 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
F04B49/10 331P
F04B49/02 331F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018222989
(22)【出願日】2018-11-29
(65)【公開番号】P2020084919
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】320011650
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127845
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 壽彦
(72)【発明者】
【氏名】久野 広喜
(72)【発明者】
【氏名】高橋 優介
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-047188(JP,A)
【文献】特開2018-115643(JP,A)
【文献】特開2011-007098(JP,A)
【文献】特開2017-178220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/02
F04B 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台のガス圧縮機を、逆止弁を介して直列に接続し、段階的にガスを圧縮してタンクに貯留する多段高圧ガス圧縮装置の運転方法であって、
前記複数台のガス圧縮機を、低圧段の圧縮機から順に第1、第2、・・第N圧縮機とし、
圧縮工程の停止時において、
前記第1圧縮機の吸い込み側の遮断弁を閉止し、その後、第1圧縮機について予め定めた停止条件が満たされたときに第1圧縮機を停止し、該第1圧縮機の停止後、第2圧縮機について予め定めた停止条件が満たされた時に第2圧縮機を停止し、以後同様にして、各圧縮機を低圧段側から順次停止し、第N圧縮機を停止後に第N圧縮機の吐出側の遮断弁を閉止するようにしたことを特徴とする多段高圧ガス圧縮装置の運転方法。
【請求項2】
各圧縮機について定めた停止条件が、各圧縮機の吸い込み側の圧力が予め設定した下限値になることであることを特徴とする請求項1記載の多段高圧ガス圧縮装置の運転方法。
【請求項3】
各圧縮機について定めた停止条件が、前記第1圧縮機については吸い込み側の遮断弁を閉止してから予め設定した経過時間であり、前記第2、・・第N圧縮機については前段の圧縮機を停止してから予め設定した経過時間であることを特徴とする請求項1記載の多段高圧ガス圧縮装置の運転方法。
【請求項4】
複数台のガス圧縮機を、逆止弁を介して直列に接続し、段階的にガスを圧縮してタンクに貯留する多段高圧ガス圧縮装置であって、
前記複数台のガス圧縮機を、低圧段の圧縮機から順に第1、第2、・・第N圧縮機とし、
各圧縮機について予め定めた停止条件に基づいて第1、第2、・・第N圧縮機を停止する制御装置を有し、
該制御装置は、圧縮工程の停止時において、
第1圧縮機の吸い込み側の遮断弁を閉止し、その後、第1圧縮機について予め定めた停止条件が満たされたときに第1圧縮機を停止し、該第1圧縮機の停止後、第2圧縮機について予め定めた停止条件が満たされた時に第2圧縮機を停止し、以後同様にして、各圧縮機を低圧段側から順次停止し、第N圧縮機を停止後に第N圧縮機の吐出側の遮断弁を閉止することを特徴とする多段高圧ガス圧縮装置。
【請求項5】
第1、第2、・・第N圧縮機の吸い込み側の圧力を計測する第1、第2、・・第N圧力計を有し、
前記制御装置は、各圧力計の計測値を入力し、該入力された計測値に基づいて各圧縮機の停止条件が満たされたかどうかを判断するものとし、
各圧縮機について定めた停止条件が、各圧縮機の吸い込み側の圧力が予め設定した下限値になることであることを特徴とする請求項4記載の多段高圧ガス圧縮装置。
【請求項6】
各圧縮機について定めた停止条件が、前記第1圧縮機については吸い込み側の遮断弁を閉止してからの経過時間であり、前記第2、・・第N圧縮機については前段の圧縮機を停止してからの経過時間であることを特徴とする請求項4記載の多段高圧ガス圧縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば水素ステーション等において水素ガスを高圧に圧縮する際に用いられる高圧ガス圧縮装置の運転方法に関し、特に圧縮機を直列に複数台接続して構成される多段高圧ガス圧縮装置の運転方法、多段高圧ガス圧縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機を直列に複数台接続して構成される多段高圧ガス圧縮装置としては、例えば特許文献1に開示されている。
このような、多段高圧ガス圧縮装置においては、各圧縮機の吸入吐出弁は確実に逆止できる構造ではないため、圧縮工程を停止すると、圧縮機の吸入吐出弁から高圧ガスが逆流し、吸入側配管の常用圧力を超えてしまう可能性がある。
このため、圧縮工程の停止の際は、配管内に残った高圧ガスを回収または放出する機構が必要となる。
【0003】
このような、高圧ガスの回収、放出する従来の方法として、大きく2つの方法がある。
この2つの方法を説明する前提として、多段高圧ガス圧縮機の基本構成を図2に基づいて説明する。
多段高圧ガス圧縮機は、図2に示すように、最も低圧段にある圧縮機41の上流側に吸込側遮断弁43、逆止弁45を設け、各圧縮機41を、逆止弁45を介して直列に接続し、最も高圧段にある圧縮機41の吐出側に吐出側遮断弁47、高圧ガスを貯留するタンク49を有している。
【0004】
このような多段高圧ガス圧縮における高圧ガスの回収、放出方法の一つは、図2に示すように、最も高圧段にある圧縮機41の吐出配管51からチーズ53で分岐配管55を接続し、分岐配管55に自動弁57、バッファタンク59等を設け、圧縮工程停止時に、分岐配管55を介して、高圧ガスを最も低圧段にある圧縮機41の吸入配管61に戻すことで同圧にする制御する方法である(従来方法1)。
【0005】
他の方法は、図3に示すように、最も高圧段にある圧縮機41の吐出配管51からチーズ53で放出管63を接続し、放出管63に放出弁65を設け、放出弁65を介して高圧ガスを大気に放出するというものである(従来方法2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-174244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来方法1の場合、チーズ53、分岐配管55、自動弁57、自動弁57を制御する装置、バッファタンク59等が必要となり、製作費用とメンテナンス費用の増加、システム全体の寸法・重量の増加、さらには、外部漏えいの可能性がある箇所の増加等があり、得策とは言えない。
また、従来方法2の場合も同様の問題があり、それに加えてガスを外部に放出することを好まない、例えば水素ステーション等では取得ない方法となる。
【0008】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、配管等の新たな機器等を必要とせず、排気量を可及的に少なくして簡易に圧縮工程停止後の高圧ガスの処理ができる多段高圧ガス圧縮装置の運転方法、多段高圧ガス圧縮装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係る多段高圧ガス圧縮装置の運転方法は、複数台のガス圧縮機を、逆止弁を介して直列に接続し、段階的にガスを圧縮してタンクに貯留する多段高圧ガス圧縮装置の運転方法であって、
前記複数台のガス圧縮機を、低圧段の圧縮機から順に第1、第2、・・第N圧縮機とし、
圧縮工程の停止時において、
前記第1圧縮機の吸い込み側の遮断弁を閉止し、その後、第1圧縮機について予め定めた停止条件が満たされたときに第1圧縮機を停止し、該第1圧縮機の停止後、第2圧縮機について予め定めた停止条件が満たされた時に第2圧縮機を停止し、以後同様にして、各圧縮機を低圧段側から順次停止し、第N圧縮機を停止後に第N圧縮機の吐出側の遮断弁を閉止するようにしたことを特徴とするものである。
【0010】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、各圧縮機について定めた停止条件が、各圧縮機の吸い込み側の圧力が予め設定した下限値になることであることを特徴とするものである。
【0011】
(3)また、上記(1)に記載のものにおいて、各圧縮機について定めた停止条件が、前記第1圧縮機については吸い込み側の遮断弁を閉止してから予め設定した経過時間であり、前記第2、・・第N圧縮機については前段の圧縮機を停止してから予め設定した経過時間であることを特徴とするものである。
【0012】
(4)本発明に係る多段高圧ガス圧縮装置は、複数台のガス圧縮機を、逆止弁を介して直列に接続し、段階的にガスを圧縮してタンクに貯留するものであって、
前記複数台のガス圧縮機を、低圧段の圧縮機から順に第1、第2、・・第N圧縮機とし、
各圧縮機について予め定めた停止条件に基づいて第1、第2、・・第N圧縮機を停止する制御装置を有し、
該制御装置は、圧縮工程の停止時において、
第1圧縮機の吸い込み側の遮断弁を閉止し、その後、第1圧縮機について予め定めた停止条件が満たされたときに第1圧縮機を停止し、該第1圧縮機の停止後、第2圧縮機について予め定めた停止条件が満たされた時に第2圧縮機を停止し、以後同様にして、各圧縮機を低圧段側から順次停止し、第N圧縮機を停止後に第N圧縮機の吐出側の遮断弁を閉止することを特徴とするものである。
【0013】
(5)また、上記(4)に記載のものにおいて、第1、第2、・・第N圧縮機の吸い込み側の圧力を計測する第1、第2、・・第N圧力計を有し、
前記制御装置は、各圧力計の計測値を入力し、該入力された計測値に基づいて各圧縮機の停止条件が満たされたかどうかを判断するものとし、
各圧縮機について定めた停止条件が、各圧縮機の吸い込み側の圧力が予め設定した下限値になることであることを特徴とするものである。
【0014】
(6)また、上記(4)に記載のものにおいて、各圧縮機について定めた停止条件が、前記第1圧縮機については吸い込み側の遮断弁を閉止してからの経過時間であり、前記第2、・・第N圧縮機については前段の圧縮機を停止してからの経過時間であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明においては、圧縮工程の停止時において、前記第1圧縮機の吸い込み側の遮断弁を閉止し、その後、第1圧縮機について予め定めた停止条件が満たされたときに第1圧縮機を停止し、該第1圧縮機の停止後、第2圧縮機について予め定めた停止条件が満たされた時に第2圧縮機を停止し、以後同様にして、各圧縮機を低圧段側から順次停止し、第N圧縮機を停止後に第N圧縮機の吐出側の遮断弁を閉止するようにしたことにより、各圧縮機の吸い込み側の配管内のガスを回収することができ、第N圧縮機を停止時においては、高圧側のガスが低圧側に逆流したとしても、低圧側の圧力上昇を最小限にとどめることができる。
つまり、本発明によれば、従来方法1、2のようは配管等の新たな機器を設けることなく、高圧ガスが実質的に回収され、かつ放出の必要もない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施の形態に係る多段高圧ガス圧縮装置の主な構成機器の説明図である。
図2】従来方法1の説明図である。
図3】従来方法2の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施の形態の多段高圧ガス圧縮装置の運転方法を説明するに先だって、図1に基づいて、対象とする多段高圧ガス圧縮装置について説明する。
図1に示す多段高圧ガス圧縮装置1は、ガス圧縮機が4段のものを示しており、図中左側から第1圧縮機3、第2圧縮機5、第3圧縮機7、第4圧縮機9である。第1圧縮機3の吸い込み側の上流には吸い込み側の遮断弁として吸込側遮断弁11が設けられ、吸込側遮断弁11と第1圧縮機3との間には、上流側から順に第1逆止弁13、第1圧力計(PT1)、第1安全弁15が設けられている。
【0018】
また、第1圧縮機3の吐出側と第2圧縮機5の吸い込み側との間には、上流側から順に第2逆止弁17、第2圧力計(PT2)、第2安全弁19が設けられている。
同様に、第2圧縮機5の吐出側と第3圧縮機7の吸い込み側との間には、上流側から順に第3逆止弁21、第3圧力計(PT3)、第3安全弁23が設けられ、第3圧縮機7の吐出側と第4圧縮機9の吸い込み側との間には、上流側から順に第4逆止弁25、第4圧力計(PT4)、第4安全弁27が設けられている。
そして、第4圧縮機9の吐出側には吐出側の遮断弁として吐出側遮断弁29が設けられ、吐出側遮断弁29のさらに下流側には高圧ガスを貯留するためのタンク31が設けられている。
【0019】
また、第1圧力計(PT1)、第2圧力計(PT2)、第3圧力計(PT3)、第4圧力計(PT4)の計測値が入力される制御装置33が設けられ、制御装置33は、各圧力計の計測値に基づいて、各圧縮機の停止の制御を行う。
【0020】
次に、上記のように構成された多段高圧ガス圧縮装置1の運転方法を説明する。
本発明は、圧縮工程の停止時における高圧ガスの回収・処理が問題となるので、運転方法における運転停止時の動作に特定して以下、説明する。
まず、運転停止時の動作チャートを以下の表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
表1において、L検知とは、圧力下限設定値を検知したことを表している。この圧力下限設定値は、各圧縮機の最低吸入圧力以上であって、予め設定した所定の値である。
【0023】
表1に示すように、圧縮工程の停止時において、まず吸込側遮断弁11を閉止する。吸込側遮断弁11を閉止することで、第1圧縮機3の吸い込み側の圧力が低下し、第1圧力計(PT1)がL検知すると、制御装置33は第1圧縮機3を停止する。第1圧縮機3の停止後、第2圧力計(PT2)がL検知したときに、制御装置33は第2圧縮機5を停止する。第2圧縮機5の停止後、第3圧力計(PT3)がL検知したときに、制御装置33は第3圧縮機7を停止する。第3圧縮機7の停止後、第4圧力計(PT4)がL検知したときに、制御装置33は第4圧縮機9を停止し、さらに吐出側遮断弁29を閉止する。
【0024】
このように、第1圧縮機3から順に第4圧縮機9まで停止することで、各圧縮機の吸い込み側の配管内のガスを回収することができ、その結果、圧縮機の停止時においては、その入口側と出口側の残留ガスの圧力差をより低く抑えることができる。
つまり、本発明によれば、従来方法1、2のように配管等を新たに設置することなく、高圧ガスが実質的に回収することができ、かつ圧縮機の停止時には高圧側のガスが低圧側に逆流することによる低圧側の圧力上昇を最小限にとどめることができる。
【0025】
なお、上記の実施の形態の制御装置33は、各圧縮機の停止をL検知という圧力検知によって制御しているが、各圧縮機の停止条件は、吸い込み側の圧力に基づくものに限定されず、吸い込み側の圧力に関連する条件として各圧縮機について予め定めた条件であればよい。
【0026】
圧力検知に基づくもの以外としては、吸い込み側の圧力の低下と経過時間との間の関係を予め取得しておくことを前提とすれば、例えば、吸込側遮断弁11を閉止した後、予め設定した所定の時間の経過によって第1圧縮機3から順に第4圧縮機9まで停止するようにしてもよい。すなわち、第1圧縮機3の吸い込み側にある吸込側遮断弁11を閉止し、その後、予め設定した第1所定時間が経過したときに第1圧縮機3を停止し、第1圧縮機3の停止後、予め設定した第2所定時間が経過したときに第2圧縮機5を停止し、以後同様にして、第3圧縮機7、第4圧縮機9を順次停止し、第4圧縮機9を停止後に吐出側遮断弁29を閉止するようにする。予め設定する第1、2、3、4所定時間は、それぞれ異なる時間であっても、同じ時間であってもよい。
【実施例
【0027】
本発明の効果を確認するために、本発明に基づく運転方法を適用した場合(発明例)と、本発明を適用せずに各圧縮機を同時に停止した場合(比較例)とを比較したので、これについて説明する。
本実施例では、各圧縮機の停止条件は、時間制御とし、停止条件としての経過時間をどのようにするかについては、時間経過と圧力降下具合を調査して設定値を決定した。
停止条件としての経過時間の設定値は、吸込側遮断弁11を閉じてから、第1圧縮機3を停止するまでの第1所定時間を1秒、第1圧縮機3を停止してから第2圧縮機5を停止するまでの第2所定時間を9秒、第2圧縮機5を停止してから第3圧縮機7を停止するまでの第3所定時間を1秒、第3圧縮機7を停止してから第4圧縮機9を停止するまでの第4所定時間を5秒とした。なお、入口圧力は0.7MPa、出口圧力(タンク31内)は38.5である。
本発明例と比較例での停止直後の各圧力計の計測値は以下の通りであった。
【0028】
比較例 :(PT1):0.7MPa、(PT2):3.3MPa、(PT3):8.0MPa、(PT4):17.8MPa
発明例 :(PT1):0.5MPa、(PT2):1.0MPa、(PT3):5.0MPa、(PT4):5.5MPa
停止直後の各圧力を比較すると明らかなように、発明例は比較例よりも圧力が低くなっている。これは、停止時においてガス回収ができたことを示している。
【0029】
停止直後から、ある時間が経過することで、各圧縮機の吐出側のガスが吸い込み側に移動することで、各圧縮機の吐出側と吸い込み側の圧力が平均化し、この平均化した後の圧力は以下の通りである。
比較例 :(PT1):2.0MPa、(PT2):5.6MPa、(PT3):12.9MPa、(PT4):24.0MPa
発明例 :(PT1):0.7MPa、(PT2):3.0MPa、(PT3):5.3MPa、(PT4):18.0MPa
【0030】
比較例では、停止直後から時間経過して平均化することで、各圧縮機の吸い込み側の圧力が停止直後よりも大きく上昇している。このため、比較例の場合には、各圧縮機の吸い込み側に設置されている圧力計、逆止弁、安全弁の全てが平均化したときの圧力を前提とした高圧仕様のものを用いる必要があり、各部品が高額化することになる。
【0031】
これに対して、発明例では、平均化後の各圧力が低いので、高圧仕様のものを使用する必要がなく、各部品のコスト低減が可能になっている。
この点、例えば従来方法1、2の場合には、高圧ガスを低圧側に戻したり、外部に放出したりするので、圧縮工程の停止時において各圧縮機の吸い込み側の圧力が高くなることはないが、本発明によれば、従来方法1、2のような分岐配管、放出管等を設けることなく多段高圧ガス圧縮装置1に使用する各部品の高額化を防止できる。
【0032】
なお、発明例において、平均化後のPT4が停止直後よりも大きく上昇しているのは以下の理由による。
発明例のPT4の場合、停止直後の圧力は逆止弁25とポンプ9の(内部にある簡易逆止弁の)上流側までの空間Aの圧力が5.5MPaとなり、ポンプ9の(内部にある簡易逆止弁の)下流側から開閉弁29までの空間Bの圧力が38.5MPaとなっている。本例の場合、この空間A、Bの体積はほぼ同じである。またポンプ9の内部にある簡易逆止弁は”簡易“であるため、ゆっくりとリークするので、十分な時間の経過によって、簡易逆止弁の上流、下流は徐々に均圧される。本例では、空間Aの圧力5.5MPaと、空間Bの圧力38.5MPaが均圧されることで18.0MPaになったものである。
【符号の説明】
【0033】
1 多段高圧ガス圧縮装置
3 第1圧縮機
5 第2圧縮機
7 第3圧縮機
9 第4圧縮機
11 吸込側遮断弁
13 第1逆止弁
15 第1安全弁
17 第2逆止弁
19 第2安全弁
21 第3逆止弁
23 第3安全弁
25 第4逆止弁
27 第4安全弁
29 吐出側遮断弁
31 タンク
33 制御装置
<従来例>
41 圧縮機
43 吸込側遮断弁
45 逆止弁
47 吐出側遮断弁
49 タンク
51 吐出配管
53 チーズ
55 分岐配管
57 自動弁
59 バッファタンク
61 吸入配管
63 放出管
65 放出弁
図1
図2
図3