(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-21
(45)【発行日】2022-06-29
(54)【発明の名称】液晶配向剤、液晶配向膜、及び液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1337 20060101AFI20220622BHJP
C08G 73/10 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
G02F1/1337 525
C08G73/10
(21)【出願番号】P 2019514531
(86)(22)【出願日】2018-04-24
(86)【国際出願番号】 JP2018016601
(87)【国際公開番号】W WO2018199087
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-01-05
(31)【優先権主張番号】P 2017086551
(32)【優先日】2017-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】金 アルム
(72)【発明者】
【氏名】李 柱永
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/124483(WO,A1)
【文献】特開平08-262450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1337
C08G 73/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式(1)で表わされる構造を有するポリイミド前駆体及びそのイミド化物であるポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体と、下記溶媒A、溶媒B及び溶媒Cを含有する溶媒と、を含有
し、
前記溶媒Bが、液晶配向剤の全質量に対して、1~30質量%含有される、液晶配向剤。
溶媒A:N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N-ブチル-2-ピロリドン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン及び1,3-ジメチルイミダゾリジノンからなる群から選ばれる少なくとも1種。
溶媒B:プロピレングリコールモノブチルエーテル、2-プロポキシエタノール、2-(2-プロポキシエトキシ)エタノール及び1-プロポキシ-2-プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種。
溶媒C:エチル-3-エトキシプロピオネート。
【化1】
X
1
は、テトラカルボン酸誘導体由来の4価の有機基である。Y
1
は、ジアミン由来の2価の有機基である。二つのR
1
は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~5のアルキレンである。A
1
及びA
2
は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数2~5のアルケニル基、又は炭素数2~5のアルキニル基である。
【請求項2】
前記溶媒Aが、N-メチル-2-ピロリドン又はγ-ブチロラクトンの少なくとも1種を含む請求項1に記載の液晶配向剤。
【請求項3】
前記式(1)におけるX
1が、下式(X1-28)~(X1-40)から選ばれる4価の有機基である、請求項
1又は2に記載の液晶配向剤。
【化2】
【化3】
【請求項4】
前記式(1)におけるY
1
が、下式から選ばれる2価の有機基である、請求項1~3のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
(上記式中、Meは、メチル基を表し、(Y-158)、又は(Y-163)~(Y-166)におけるnは、1~6の整数を表す。)
【請求項5】
前記溶媒Aが、液晶配向剤の全質量に対して、20~80質量%含有される請求項1~4のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【請求項6】
前記溶媒Cが、液晶配向剤の全質量に対して、5~30質量%含有される請求項1~
5のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【請求項7】
液晶配向剤の全質量に対して、前記溶媒Aが、50質量%以上であり、前記溶媒Bが10~30質量%であり、前記溶媒Cが10~20質量%含有される請求項1~
6のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【請求項8】
前記溶媒B及び前記溶媒Cの合計が、液晶配向剤の全質量に対して、10~60質量%含有され、かつ前記溶媒Bが、前記溶媒Cよりも多く含有される請求項1~
6のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【請求項9】
前記溶媒Bが、前記溶媒Cよりも1~20質量%多く含有される請求項1~
6のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【請求項10】
インクジェット法により成膜可能な請求項1~
9のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【請求項11】
請求項1~
10のいずれか1項に記載の液晶配向剤から得られる液晶配向膜。
【請求項12】
請求項
11に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶配向剤、液晶配向膜、及び液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶配向膜としては、ポリアミック酸(ポリアミド酸とも言われる。)等のポリイミド前駆体や可溶性ポリイミドの溶液を主成分とする液晶配向剤を塗布し焼成した、いわゆるポリイミド系の液晶配向膜が広く使用されている。かかる液晶配向膜の成膜法としては、一般に、スピンコート、ディップコート、フレキソ印刷等が知られている。しかし、例えばフレキソ印刷では液晶パネルの品種違いにより様々な樹脂版が必要となる、製造工程ではその版交換が煩雑である、成膜工程を安定させるためにダミー基板への成膜をしなければならない、版の製作が液晶表示パネルの製造コスト上昇の一因になる等、種々の問題がある。
【0003】
そのため、印刷版を用いない液晶配向膜の成膜法として、インクジェット法が注目されている。インクジェット法は、基板に微細な液滴を滴下し、液の濡れ広がりにより成膜する方法である。印刷版を用いないだけでなく、自由に印刷のパターンを設定できるため、液晶表示素子の製造工程が簡素化できる。また、フレキソ印刷で必要であったダミー基板への成膜が不要となることで塗布液の無駄が少ないという利点がある。インクジェット法により、液晶パネルのコストダウン、生産効率の向上が期待される。
【0004】
インクジェット法により形成される液晶配向膜は、塗布面内部の膜厚ムラが小さく、かつ塗布周辺部の成膜精度が高いことが要求される。一般にインクジェット法により成膜した液晶配向膜は、塗布面内での膜厚の均一性と、塗布周辺部の成膜精度がトレードオフの関係にある。すなわち、通常、面内均一性の高い材料は、塗布周辺部の寸法安定性が低く、設定した寸法から、膜がはみ出してしまう。一方、塗布周辺部が直線となる材料は、塗布面内均一性が低くなってしまう。上記塗布周辺部の成膜精度を高めるため、特殊の構造物によって配向膜を所定の範囲に閉じ込める方法が提案されている(特許文献1~3参照)。しかし、これらの方法は特殊な構造物の使用が必要になるという問題を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-361623号公報
【文献】特開2008-145461号公報
【文献】特開2010-281925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、液晶表示素子の高精細化に伴い、多層配線のTFT設計が主流になりつつある。TFT設計では、下層の配線と上層の配線とを接続するため、基板上にコンタクトホール(C/Hと称することがある)が形成される。これに伴い、配線構造やC/Hの影響で、液晶配向剤の塗布時において、液の広がりが阻害されやすくなる。その結果、C/H周辺やその他の部分において、配向膜の厚みの不均一が生じ、液晶表示素子の表示が不均一となることがある。
【0007】
また、インクジェット法で用いられる液晶配向剤は、インクジェットノズルから液晶配向剤を安定的に吐出する為に、低粘度であることが求められる。一方、樹脂成分比率を下げる方法で低粘度化すると、塗膜周辺部の形状安定性及び膜厚均一性の低下が懸念される。このため、低粘度化しながら塗膜周辺部の形状安定性及び膜厚均一性を維持することが望まれている。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、配線構造やC/Hの影響で生じる液晶配向膜の成膜不良や、液晶表示素子の表示が不均一となる不良を抑制することができ、かつ、塗膜周辺部の形状安定性及び膜厚均一性を維持できる液晶配向剤、それを用いた液晶配向膜、及び液晶表示素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は上記課題の解決の為鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。本発明の要旨を、以下に記載する。
【0010】
1. ポリイミド前駆体及びそのイミド化物であるポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体と、下記溶媒A、溶媒B及び溶媒Cを含有する溶媒と、を含有する液晶配向剤。
溶媒A:N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N-ブチル-2-ピロリドン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン及び1,3-ジメチルイミダゾリジノンからなる群から選ばれる少なくとも1種
溶媒B:プロピレングリコールモノブチルエーテル、2-プロポキシエタノール、2-(2-プロポキシエトキシ)エタノール及び1-プロポキシ-2-プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種。
溶媒C:エチル-3-エトキシプロピオネート。
【0011】
2. 前記溶媒Aが、N-メチル-2-ピロリドン又はγ-ブチロラクトンの少なくとも1種を含む1.に記載の液晶配向剤。
【0012】
3. ポリイミド前駆体が、下式(1)で表わされる構造を有する1.又は2.に記載の液晶配向剤。
【0013】
【0014】
X1は、テトラカルボン酸誘導体由来の4価の有機基である。Y1は、ジアミン由来の2価の有機基である。二つのR1は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~5のアルキレンである。A1及びA2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数2~5のアルケニル基、又は炭素数2~5のアルキニル基である。
【0015】
4. 前記溶媒Aが、液晶配向剤の全質量に対して、20~80質量%含有される1.~3.のいずれか1つに記載の液晶配向剤。
【0016】
5. 前記溶媒Bが、液晶配向剤の全質量に対して、1~30質量%含有される1.~3.のいずれか1つに記載の液晶配向剤。
【0017】
6. 前記溶媒Cが、液晶配向剤の全質量に対して、5~30質量%含有される1.~3.のいずれか1つに記載の液晶配向剤。
【0018】
7. 液晶配向剤の全質量に対して、前記溶媒Aが、50質量%以上であり、前記溶媒Bが10~30質量%であり、前記溶媒Cが10~20質量%含有される1.~6.のいずれか1つに記載の液晶配向剤。
【0019】
8. 前記溶媒B及び前記溶媒Cの合計が、液晶配向剤の全質量に対して、10~60質量%含有され、かつ前記溶媒Bが、前記溶媒Cよりも多く含有される1.~3.のいずれか1つに記載の液晶配向剤。
【0020】
9. 前記溶媒Bが、前記溶媒Cよりも1~20質量%多く含有される1.~3.のいずれか1つに記載の液晶配向剤。
【0021】
10. インクジェット法により成膜可能な1.~9.のいずれか1つに記載の液晶配向剤。
【0022】
11. 1.~10.のいずれか1つに記載の液晶配向剤から得られる液晶配向膜。
【0023】
12. 11.に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、配線構造やC/Hの影響で生じる液晶配向膜の成膜不良や、液晶表示素子の表示が不均一となる不良を抑制することができ、かつ、塗膜周辺部の形状安定性及び膜厚均一性を維持できる液晶配向剤、それを用いた液晶配向膜、及び液晶表示素子を提供することにある。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一態様である液晶配向剤は、ポリイミド前駆体及びそのイミド化物であるポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体(特定重合体と称することがある)と、溶媒A、溶媒B、及び溶媒Cを含有する溶媒(特定溶媒と称することがある)と、を含有する。
【0026】
<特定溶媒>
上記液晶配向剤に含有される特定溶媒は、溶媒A、溶媒B、及び溶媒Cを含有する。このような特定溶媒を特定重合体とともに含有する液晶配向剤は、配線構造やC/Hの影響で生じる配向膜の成膜不良を抑制でき、かつ液晶表示素子の表示が不均一となる不良を抑制でき、更には塗膜周辺部の形状安定性及び膜厚均一性を維持できる。
【0027】
<溶媒A>
溶媒Aは、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N-ブチル-2-ピロリドン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン及び1,3-ジメチルイミダゾリジノンからなる群から選ばれる少なくとも1種である。溶媒Aは、液晶配向剤中の重合体を溶解させるものである。なかでも、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、又はγ-ブチロラクトンが好ましく、より好ましくはN-メチル-2-ピロリドン又はγ-ブチロラクトンである。すなわち、溶媒Aは、N-メチル-2-ピロリドン又はγ-ブチロラクトンの少なくとも1種を含むことが好ましい。液晶配向剤中の重合体の溶解性等の観点から、溶媒Aの含有量は、液晶配向剤の全質量に対し、20~80質量%が好ましく、30~80質量%がより好ましく、50~80質量%が特に好ましい。
【0028】
<溶媒B>
溶媒Bは、プロピレングリコールモノブチルエーテル、2-プロポキシエタノール、2-(2-プロポキシエトキシ)エタノール及び1-プロポキシ-2-プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒である。溶媒Bは、液晶配向剤の塗布均一性の向上に寄与する溶媒である。溶媒Bは、液晶配向剤の全質量に対し、1~30質量%が好ましく5~30質量%がより好ましく、10~30質量%が特に好ましい。
【0029】
<溶媒C>
溶媒Cは、エチル-3-エトキシプロピオネートである。溶媒Cは、液晶配向剤の成膜性及び形状安定性に寄与する溶媒である。溶媒Cは、液晶配向剤の全質量に対し、5~30質量%が好ましく、10~30質量%がより好ましく、10~20質量%が特に好ましい。
【0030】
なお、本発明の観点からは、液晶配向剤の全質量に対して、溶媒Aが、50質量%以上であり、溶媒Bが10~30質量%であり、溶媒Cを10~20質量%含有させてもよい。また、本発明の観点からは、溶媒B及び溶媒Cの合計が、液晶配向剤の全質量に対して、10~60質量%含有され、かつ溶媒Bを、溶媒Cよりも多く含有させてもよい。更に、本発明の観点からは、溶媒Bを、溶媒Cよりも1~20質量%多く含有させてもよい。
【0031】
<特定重合体>
液晶配向剤に含有される特定重合体であるポリイミド前駆体は、下式(1)で表される構造を有することが好ましい。
【0032】
【0033】
式中、X1は、テトラカルボン酸誘導体由来の4価の有機基である。Y1はジアミン由来の2価の有機基である。R1は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~5のアルキレンである。加熱時のイミド化反応の進行のしやすさの点から、R1は水素原子、メチル基、又はエチル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。A1及びA2は、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1~5のアルキル基、炭素数2~5のアルケニル基、又は炭素数2~5のアルキニル基である。液晶配向性の点から、A1及びA2は水素原子、又はメチル基が好ましい。
【0034】
特定重合体であるポリイミド前駆体を製造する原料である各成分について説明する。
【0035】
<ジアミン>
ポリイミド前駆体の製造に用いられるジアミン成分は特に限定されないが、上記式(1)で表されるポリイミド前駆体の原料であるジアミンは、下式(2)で表わされる。
【0036】
【0037】
上記式(2)中、A1及びA2は、それぞれ、好ましい例も含めて、上記式(1)におけるA1及びA2と同じ定義である。Y1の構造を例示すると、以下の(Y-1)~(Y-49)及び(Y-57)~(Y-170)が挙げられる。
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
上記式中、Meは、メチル基を表し、nは、1~6の整数を表す。
【0057】
なかでも、Y1の構造としては、(Y-7)、(Y-8)、(Y-16)、(Y-17)、(Y-18)、(Y-20),(Y-21)、(Y-22)、(Y-28)、(Y-35)、(Y-38)、(Y-43)、(Y-48)、(Y-64),(Y-66)、(Y-71)、(Y-72)、(Y-76),(Y-77)、(Y-80)、(Y-81)、(Y-82)、(Y-83)、(Y-156)、(Y-159)、(Y-160)、(Y-161)、(Y-162)、(Y-168)、(Y-169)、(Y-170)が好ましく、特に、(Y-7)、(Y-8)、(Y-16)、(Y-17)、(Y-18)、(Y-21)、(Y-22)、(Y-28)、(Y-38)、(Y-64)、(Y-66)、(Y-72)、(Y-76)、(Y-81)、(Y-156)、(Y-159)、(Y-160)、(Y-161)、(Y-162)、(Y-168)、(Y-169)、(Y-170)が好ましい。
【0058】
<テトラカルボン酸誘導体>
ポリイミド前駆体の製造に用いられるテトラカルボン酸誘導体は特に限定されないが、上記式(1)で表されるポリイミド前駆体の原料であるテトラカルボン酸誘導体成分としては、テトラカルボン酸二無水物だけでなく、その誘導体である、テトラカルボン酸、テトラカルボン酸ジハライド化合物、テトラカルボン酸ジアルキルエステル、テトラカルボン酸ジアルキルエステルジハライドが挙げられる。テトラカルボン酸二無水物又はその誘導体としては、なかでも、下式(3)で表されるものが好ましい。
【0059】
【0060】
式(3)中、X1は、脂環式構造を有する4価の有機基であり、その構造は特に限定されない。その具体例としては、下式(X1-1)~(X1-44)が挙げられる。
【0061】
【0062】
式(X1-1)~(X1-4)において、R3~R23は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、炭素数2~6のアルキニル基、フッ素原子を含有する炭素数1~6の1価の有機基、又はフェニル基である。液晶配向性の点から、R3~R23は、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、又はエチル基が好ましく、水素原子、又はメチル基が好ましい。
【0063】
なお、式(X1-1)の具体例としては、下式(X1-1-1)~(X1-1-6)が挙げられる。液晶配向性及び光反応の感度の点から、式(X1-1-1)が特に好ましい。
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
本発明の一態様であるポリイミド前駆体及びポリイミドについて、その原料であるテトラカルボン酸二無水物及びその誘導体としては、全テトラカルボン酸二無水物及びその誘導体1モルに対して、上記式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物及びその誘導体を60~100モル%含むことが好ましい。良好な液晶配向性を有する液晶配向膜が得られるため、80~100モル%がより好ましく、90~100モル%が更に好ましい。
【0071】
<ポリイミド前駆体>
<ポリアミック酸エステルの製造方法>
ポリイミド前駆体の一つであるポリアミック酸エステルは、以下に示す(1)、(2)又は(3)の方法で製造できる。
【0072】
(1)ポリアミック酸から製造する場合
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンから得られるポリアミック酸をエステル化することによって合成できる。具体的には、ポリアミック酸とエステル化剤を有機溶剤の存在下で-20~150℃、好ましくは0~50℃において、30分~24時間、好ましくは1~4時間反応させることによって合成できる。
【0073】
エステル化剤としては、精製によって容易に除去できるものが好ましく、N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、N,N-ジメチルホルムアミドジエチルアセタール、N,N-ジメチルホルムアミドジプロピルアセタール、N,N-ジメチルホルムアミドジネオペンチルブチルアセタール、N,N-ジメチルホルムアミドジ-t-ブチルアセタール、1-メチル-3-p-トリルトリアゼン、1-エチル-3-p-トリルトリアゼン、1-プロピル-3-p-トリルトリアゼン、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド等が挙げられる。エステル化剤の使用量は、ポリアミック酸の繰り返し単位1モルに対し2~6モル当量が好ましい。
【0074】
上記の反応に用いる溶媒は、ポリマーの溶解性からN,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、又はγ-ブチロラクトンが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。反応液中のポリマーの濃度は、ポリマーの析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという観点から、1~30質量%が好ましく、5~20質量%がより好ましい。
【0075】
(2)テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンとの反応により製造する場合
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンから製造できる。具体的には、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンとを塩基と有機溶剤の存在下で-20~150℃、好ましくは0~50℃において、30分~24時間、好ましくは1~4時間反応させることによって合成することができる。
【0076】
前記塩基には、ピリジン、トリエチルアミン、4-ジメチルアミノピリジン等が使用できるが、反応が穏和に進行するためにピリジンが好ましい。塩基の使用量は、除去が容易な量で、かつ高分子量体が得やすいという観点から、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドに対し、2~4倍モルが好ましい。
【0077】
上記の反応に用いる溶媒は、モノマー及びポリマーの溶解性からN-メチル-2-ピロリドン、又はγ-ブチロラクトンが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。反応液中のポリマー濃度は、ポリマーの析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという観点から、1~30質量%が好ましく、5~20質量%がより好ましい。また、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドの加水分解を防ぐため、ポリアミック酸エステルの合成に用いる溶媒はできるだけ脱水されていることが好ましく、窒素雰囲気中で、外気の混入を防ぐのが好ましい。
【0078】
(3)テトラカルボン酸ジエステルとジアミンとの反応により製造する場合
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸ジエステルとジアミンを重縮合することにより製造できる。具体的には、テトラカルボン酸ジエステルとジアミンを縮合剤、塩基、及び有機溶剤の存在下で0~150℃、好ましくは0~100℃において、30分~24時間、好ましくは3~15時間反応させることによって製造できる。
【0079】
前記縮合剤には、トリフェニルホスファイト、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N’-カルボニルジイミダゾール、ジメトキシ-1,3,5-トリアジニルメチルモルホリニウム、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム テトラフルオロボラート、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、(2,3-ジヒドロ-2-チオキソ-3-ベンゾオキサゾリル)ホスホン酸ジフェニル等が使用できる。縮合剤の添加量は、テトラカルボン酸ジエステルに対して2~3倍モルが好ましい。
【0080】
前記塩基には、ピリジン、トリエチルアミン等の3級アミンが使用できる。塩基の使用量は、除去が容易な量で、かつ高分子量体が得やすいという観点から、ジアミン成分に対して2~4倍モルが好ましい。
【0081】
また、上記反応において、ルイス酸を添加剤として加えることで反応が効率的に進行する。ルイス酸としては、塩化リチウム、臭化リチウム等のハロゲン化リチウムが好ましい。ルイス酸の添加量はジアミン成分に対して0~1.0倍モルが好ましい。
【0082】
上記3つのポリアミック酸エステルの製造方法の中でも、高分子量のポリアミック酸エステルが得られるため、上記(1)又は上記(2)の製造方法が特に好ましい。上記のようにして得られるポリアミック酸エステルの溶液は、よく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、ポリマーを析出させることができる。析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥して精製されたポリアミック酸エステルの粉末を得ることができる。貧溶媒は、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、ヘキサン、ブチルセロソルブ、アセトン、トルエン等が挙げられる。
【0083】
<ポリアミック酸の製造方法>
ポリイミド前駆体であるポリアミック酸は、以下に示す方法で製造できる。具体的には、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを有機溶媒の存在下、-20~150℃、好ましくは0~50℃で、30分~24時間、好ましくは1~12時間反応させることによって合成できる。
【0084】
上記の反応に用いる有機溶媒は、モノマー及びポリマーの溶解性からN,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、又はγ-ブチロラクトンが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。ポリマーの濃度は、ポリマーの析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという観点から、1~30質量%が好ましく、5~20質量%がより好ましい。
【0085】
上記のようにして得られたポリアミック酸は、反応溶液をよく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、ポリマーを析出させて回収することができる。また、析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥することで精製されたポリアミック酸の粉末を得ることができる。貧溶媒は、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、ヘキサン、ブチルセロソルブ、アセトン、トルエン等が挙げられる。
【0086】
<ポリイミドの製造方法>
ポリイミドは、前記ポリアミック酸エステル又はポリアミック酸をイミド化することにより製造できる。ポリアミック酸エステルからポリイミドを製造する場合、前記ポリアミック酸エステル溶液、又はポリアミック酸エステル樹脂粉末を有機溶媒に溶解させて得られるポリアミック酸溶液に塩基性触媒を添加する化学的イミド化が簡便である。化学的イミド化は、比較的低温でイミド化反応が進行し、イミド化の過程で重合体の分子量低下が起こりにくいので好ましい。
【0087】
化学的イミド化は、イミド化させたいポリアミック酸エステルを、有機溶媒中において塩基性触媒存在下で撹拌することにより行うことができる。有機溶媒としては前述した重合反応時に用いる溶媒を使用できる。塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン等を挙げることができる。中でもトリエチルアミンは反応を進行させるのに充分な塩基性を有するので好ましい。
【0088】
イミド化反応を行うときの温度は、-20~140℃、好ましくは0~100℃であり、反応時間は1~100時間で行うことができる。塩基性触媒の量はアミック酸エステル基の0.5~30モル倍、好ましくは2~20モル倍である。得られる重合体のイミド化率は、触媒量、温度、反応時間を調節することで制御できる。イミド化反応後の溶液には、添加した触媒等が残存しているので、得られたイミド化重合体を回収し、有機溶媒で再溶解して、液晶配向剤とすることが好ましい。
【0089】
ポリアミック酸からポリイミドを製造する場合、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応で得られた前記ポリアミック酸の溶液に触媒を添加する化学的イミド化が簡便である。化学的イミド化は、比較的低温でイミド化反応が進行し、イミド化の過程で重合体の分子量低下が起こりにくいので好ましい。
【0090】
化学的イミド化は、イミド化させたい重合体を、有機溶媒中において塩基性触媒と酸無水物の存在下で撹拌することにより行うことができる。有機溶媒としては前述した重合反応時に用いる溶媒を使用することができる。塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン等を挙げることができる。中でもピリジンは反応を進行させるのに適度な塩基性を持つので好ましい。また、酸無水物としては無水酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等を挙げることができ、中でも無水酢酸を用いると反応終了後の精製が容易となるので好ましい。
【0091】
イミド化反応を行うときの温度は、-20~140℃、好ましくは0~100℃であり、反応時間は1~100時間で行うことができる。塩基性触媒の量はアミック酸基の0.5~30モル倍、好ましくは2~20モル倍であり、酸無水物の量はアミック酸基の1~50モル倍、好ましくは3~30モル倍である。得られる重合体のイミド化率は、触媒量、温度、反応時間を調節することで制御することができる。
【0092】
ポリアミック酸エステル又はポリアミック酸のイミド化反応後の溶液には、添加した触媒等が残存しているので、以下に述べる手段により、得られたイミド化重合体を回収し、有機溶媒で再溶解して、液晶配向剤とすることが好ましい。
【0093】
上記のようにして得られるポリイミドの溶液は、よく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、重合体を析出させることができる。析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥して精製されたポリアミック酸エステルの粉末を得ることができる。
【0094】
前記貧溶媒は、特に限定されないが、メタノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセロソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン等が挙げられる。
【0095】
<液晶配向剤>
本発明の一態様である液晶配向剤は、特定重合体を含む重合体が特定溶媒を含む有機溶媒中に溶解された溶液の形態を有する。ポリイミド前駆体及びポリイミドの分子量は、重量平均分子量で2,000~500,000が好ましく、より好ましくは5,000~300,000であり、更に好ましくは、10,000~100,000である。また、数平均分子量は、好ましくは、1,000~250,000であり、より好ましくは、2,500~150,000であり、更に好ましくは、5,000~50,000である。
【0096】
液晶配向剤の重合体の濃度は、形成させようとする塗膜の厚みの設定によって適宜変更することができるが、均一で欠陥のない塗膜を形成させるという点から1質量%以上が好ましく、溶液の保存安定性の点からは10質量%以下が好ましい。
【0097】
<その他の溶媒>
液晶配向剤における溶媒は、上記特定溶媒以外の溶媒(以下、その他の溶媒ともいう。)を含有できる。その他の溶媒としては、ポリイミド前駆体及びポリイミドを溶解する溶媒(良溶媒ともいう)や、液晶配向剤を塗布した際の液晶配向膜の塗膜性や表面平滑性を向上させる溶媒(貧溶媒ともいう)を含有させても良い。下記に、その他の溶媒の具体例を挙げるが、これらの例に限定されるものではない。
【0098】
良溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、3-メトキシーN,N-ジメチルプロパンアミド又は4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン等を挙げることができる。
【0099】
貧溶媒の具体例としては、エタノール、イソプロピルアルコール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-メチル-1-ブタノール、イソペンチルアルコール、tert-ペンチルアルコール、3-メチル-2-ブタノール、ネオペンチルアルコール、1-ヘキサノール、2-メチル-1-ペンタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、シクロヘキサノール、1-メチルシクロヘキサノール、2-メチルシクロヘキサノール、3-メチルシクロヘキサノール、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、1,2-ブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、2-ペンタノン、3-ペンタノン、2-ヘキサノン、2-ヘプタノン、4-ヘプタノン、3-エトキシブチルアセタート、1-メチルペンチルアセタート、2-エチルブチルアセタート、2-エチルヘキシルアセタート、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、2-(メトキシメトキシ)エタノール、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノイソアミルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、フルフリルアルコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1-(ブトキシエトキシ)プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、プロピレングリコールジアセタート、ジイソペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアセタート、ジエチレングリコールアセタート、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸メチルエチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸、3-メトキシプロピオン酸、3-メトキシプロピオン酸プロピル、3-メトキシプロピオン酸ブチル、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n-プロピルエステル、乳酸n-ブチルエステル、乳酸イソアミルエステル、ジイソブチルケトン、エチルカルビトール等が挙げられる。
【0100】
また、貧溶媒としては、液晶配向剤に含まれるポリイミド前駆体及びポリイミドの溶媒への溶解性が高い場合は、下式[D-1]~[D-3]で示される溶媒が好ましい。
【0101】
【0102】
式[D-1]中、D1は炭素数1~3のアルキル基を示し、式[D-2]中、D2は炭素数1~3のアルキル基を示し、式[D-3]中、D3は炭素数1~4のアルキル基を示す。
【0103】
液晶配向剤は、エポキシ基、イソシアネート基、オキセタン基又はシクロカーボネート基を有する架橋性化合物、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基及び低級アルコキシアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有する架橋性化合物、又は重合性不飽和結合を有する架橋性化合物を含んでいてもよい。これら置換基や重合性不飽和結合は、架橋性化合物中に2個以上有する必要がある。
【0104】
エポキシ基又はイソシアネート基を有する架橋性化合物としては、例えば、ビスフェノールアセトングリシジルエーテル、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルアミノジフェニレン、テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、テトラグリシジル-1,3-ビス(アミノエチル)シクロヘキサン、テトラフェニルグリシジルエーテルエタン、トリフェニルグリシジルエーテルエタン、ビスフェノールヘキサフルオロアセトジグリシジルエーテル、1,3-ビス(1-(2,3-エポキシプロポキシ)-1-トリフルオロメチル-2,2,2-トリフルオロメチル)ベンゼン、4,4-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)オクタフルオロビフェニル、トリグリシジル-p-アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、2-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル)-2-(4-(1,1-ビス(4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル)エチル)フェニル)プロパン又は1,3-ビス(4-(1-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル)-1-(4-(1-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル)-1-メチルエチル)フェニル)エチル)フェノキシ)-2-プロパノール等が挙げられる。
【0105】
オキセタン基を有する架橋性化合物は、下式[4A]で示されるオキセタン基を少なくとも2個有する化合物である。
【0106】
【0107】
具体的には、国際公開公報WO2011/132751号(2011.10.27公開)の58~59頁に掲載される式[4a]~[4k]で示される架橋性化合物が挙げられる。
【0108】
シクロカーボネート基を有する架橋性化合物としては、下式[5A]で示されるシクロカーボネート基を少なくとも2個有する架橋性化合物である。
【0109】
【0110】
具体的には、国際公開公報WO2012/014898号(2012.2.2公開)の76~82頁に掲載される式[5-1]~[5-42]で示される架橋性化合物が挙げられる。
【0111】
ヒドロキシル基及びアルコキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有する架橋性化合物としては、例えば、ヒドロキシル基又はアルコキシル基を有するアミノ樹脂、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、グリコールウリル-ホルムアルデヒド樹脂、スクシニルアミド-ホルムアルデヒド樹脂又はエチレン尿素-ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。具体的には、アミノ基の水素原子がメチロール基又はアルコキシメチル基又はその両方で置換されたメラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体、又はグリコールウリルを用いることができる。このメラミン誘導体又はベンゾグアナミン誘導体は、2量体又は3量体であってもよい。これらはトリアジン環1個当たり、メチロール基又はアルコキシメチル基を平均3~6個有するものが好ましい。
【0112】
上記のメラミン誘導体又はベンゾグアナミン誘導体の例としては、市販品のトリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均3.7個置換されているMX-750、トリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均5.8個置換されているMW-30(以上、三和ケミカル社製)やサイメル300、301、303、350、370、771、325、327、703、712等のメトキシメチル化メラミン、サイメル235、236、238、212、253、254等のメトキシメチル化ブトキシメチル化メラミン、サイメル506、508等のブトキシメチル化メラミン、サイメル1141のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化イソブトキシメチル化メラミン、サイメル1123等のメトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1123-10等のメトキシメチル化ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1128等のブトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1125-80のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン(以上、三井サイアナミド社製)が挙げられる。
【0113】
また、グリコールウリルの例として、サイメル1170等のブトキシメチル化グリコールウリル、サイメル1172等のメチロール化グリコールウリル、パウダーリンク1174等のメトキシメチロール化グリコールウリル等が挙げられる。
【0114】
ヒドロキシル基又はアルコキシル基を有するベンゼン又はフェノール性化合物としては、例えば、1,3,5-トリス(メトキシメチル)ベンゼン、1,2,4-トリス(イソプロポキシメチル)ベンゼン、1,4-ビス(sec-ブトキシメチル)ベンゼン又は2,6-ジヒドロキシメチル-p-tert-ブチルフェノールが挙げられる。
【0115】
より具体的には、国際公開公報WO2011/132751号(2011.10.27公開)の62~66頁に掲載される、式[6-1]~[6-48]の架橋性化合物が挙げられる。
【0116】
重合性不飽和結合を有する架橋性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン又はグリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート等の重合性不飽和基を分子内に3個有する架橋性化合物、更に、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイドビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイドビスフェノール型ジ(メタ)アクリレート、1,6-へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート又はヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の重合性不飽和基を分子内に2個有する架橋性化合物、加えて、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルフタレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルリン酸エステル又はN-メチロール(メタ)アクリルアミド等の重合性不飽和基を分子内に1個有する架橋性化合物等が挙げられる。
【0117】
更に、下式[7A]で示される化合物を用いることもできる。
【0118】
【0119】
式[7A]中、E1はシクロヘキサン環、ビシクロヘキサン環、ベンゼン環、ビフェニル環、ターフェニル環、ナフタレン環、フルオレン環、アントラセン環及びフェナントレン環からなる群から選ばれる基を示す。E2は下式[7a]又は[7b]から選ばれる基を示し、nは1~4の整数を示す。
【0120】
【0121】
液晶配向剤に用いる架橋性化合物は、1種でも、2種以上を混合して用いてもよい。液晶配向剤における架橋性化合物の含有量は、全ての重合体成分100質量部に対して、0.1~150質量部が好ましい。なかでも、架橋反応が進行し目的の効果を発現させるためには、0.1~100質量部が好ましく、より好ましいのは、1~50質量部である。
【0122】
液晶配向剤は、液晶配向剤を塗布した際の液晶配向膜の膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物を含有することができる。液晶配向膜の膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノ二オン系界面活性剤等が挙げられる。具体的には、例えば、エフトップEF301、EF303、EF352(以上、トーケムプロダクツ社製)、メガファックF171、F173、R-30(以上、大日本インキ社製)、フロラードFC430、FC431(以上、住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS-382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(以上、旭硝子社製)等が挙げられる。界面活性剤の使用量は、液晶配向剤に含有される全ての重合体成分100質量部に対して、好ましくは0.01~2質量部、より好ましくは0.01~1質量部である。
【0123】
更に、液晶配向剤には、液晶配向膜中の電荷移動を促進して素子の電荷抜けを促進させる化合物として、国際公開公報WO2011/132751号(2011.10.27公開)の69~73頁に掲載される、式[M1]~[M156]で示される窒素含有複素環アミンを添加することもできる。このアミンは、液晶配向剤に直接添加しても構わないが、濃度0.1~10質量%、好ましくは1~7質量%の溶液にしてから添加することが好ましい。この溶媒は、特定重合体を溶解させるならば特に限定されない。
【0124】
液晶配向剤には、上記の貧溶媒、架橋性化合物、樹脂被膜又は液晶配向膜の膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物及び電荷抜けを促進させる化合物の他に、配向膜と基板との密着性を向上させる目的のシランカップリング剤、塗膜を焼成する際にポリイミド前駆体の加熱によるイミド化を効率よく進行させる目的のイミド化促進剤等を含有せしめてもよい。
【0125】
<液晶配向膜・液晶表示素子>
本発明の一態様である液晶配向膜は、上記の液晶配向剤を基板に塗布し、乾燥、焼成して得られる膜である。液晶配向剤を塗布する基板としては透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、窒化珪素基板、アクリル基板やポリカーボネート基板等のプラスチック基板等を用いることもできる。その際、液晶を駆動させるためのITO電極等が形成された基板を用いると、プロセスの簡素化の点から好ましい。また、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならばシリコンウエハー等の不透明な物でも使用でき、この場合の電極にはアルミニウム等の光を反射する材料も使用できる。
【0126】
液晶配向剤の塗布方法は、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷又はインクジェット法等で行う方法が一般的であり、その他の塗布方法としては、ディップ法、ロールコータ法、スリットコータ法、スピンナー法又はスプレー法等が知られている。
【0127】
液晶配向剤を基板上に塗布した後は、ホットプレート、熱循環型オーブン又はIR(赤外線)型オーブン等の加熱手段により、溶媒を蒸発させて液晶配向膜とすることができる。液晶配向剤を塗布した後の乾燥、焼成工程は、任意の温度と時間を選択することができる。通常は、含有される溶媒を十分に除去するために50~120℃で1~10分焼成し、その後、150~300℃で5~120分焼成する条件が挙げられる。焼成後の液晶配向膜の厚みは、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、5~300nmが好ましく、10~200nmがより好ましい。液晶配向剤は、基板上に塗布、焼成した後、ラビング処理や、光配向処理等で配向処理し、また、垂直配向用途等では配向処理無しで、液晶配向膜として使用できる。ラビング処理や光配向処理等の配向処理では、既知の方法や装置が使用できる。
【0128】
液晶セルの作製方法の一例として、パッシブマトリクス構造の液晶表示素子を例にとり説明する。なお、画像表示を構成する各画素部分にTFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング素子が設けられたアクティブマトリクス構造の液晶表示素子であってもよい。
【0129】
具体的には、透明なガラス製の基板を準備し、一方の基板の上にコモン電極を、他方の基板の上にセグメント電極を設ける。これらの電極は、例えばITO電極とすることができ、所望の画像表示ができるようパターニングされている。次いで、各基板の上に、コモン電極とセグメント電極を被覆するようにして絶縁膜を設ける。絶縁膜は、例えば、ゾル-ゲル法によって形成されたSiO2-TiO2の膜とすることができる。
【0130】
次に、各基板の上に液晶配向膜を形成し、一方の基板に他方の基板を互いの液晶配向膜面が対向するようにして重ね合わせ、周辺をシール材で接着する。シール材には、基板間隙を制御するために、通常、スペーサーを混入しておき、また、シール材を設けない面内部分にも、基板間隙制御用のスペーサーを散布しておくことが好ましい。シール材の一部には、外部から液晶を充填可能な開口部を設けておく。次いで、シール材に設けた開口部を通じて、2枚の基板とシール材で包囲された空間内に液晶材料を注入し、その後、この開口部を接着剤で封止する。注入には、真空注入法を用いてもよいし、大気中で毛細管現象を利用した方法を用いてもよい。液晶材料は、ポジ型液晶材料やネガ型液晶材料のいずれでもよいが、好ましいのは、ネガ型液晶材料である。次に、偏光板の設置を行う。具体的には、2枚の基板の液晶層とは反対側の面に一対の偏光板を貼り付ける。
【実施例】
【0131】
以下、本発明について、実施例を挙げて説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0132】
<略号の説明>
(有機溶媒)
NMP:N-メチル-2-ピロリドン
GBL:γ-ブチロラクトン
PB:プロピレングリコールモノブチルエーテル
S-1:2-プロポキシエタノール
S-2:2-(2-プロポキシエトキシ)エタノール
S-3:1-プロポキシ-2-プロパノール
EEP:エチル-3-エトキシプロピオネート
DPM:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
BCS:ブチルセロソルブ
酸二無水物(A):下式(A)
酸二無水物(B):下式(B)
酸二無水物(C):下式(C)
DA-1:下式(DA-1)
DA-2:下式(DA-2)
DA-3:下式(DA-3)
【0133】
【0134】
<印刷性の評価>
調製した液晶配向剤の、基板への印刷性を評価した。評価は以下のように行った。まず、調製した液晶配向剤について、インクジェット印刷機(株式会社石井表記、IP-1212NC1180L)を用い、以下の条件で試験を行った。
【0135】
<条件>
スキャンスピード:250mm/秒
レベリング:35秒、23℃
塗布面積:65×75 mm
【0136】
<評価基準>
液の濡れ広がり性は、TFT基板を用い、同じレベリング時間内に液がC/Hに流れ込むスピードを比較した。レベリング時間内にC/Hが塗布された場合を○、塗布されなかった場合を×とした。
【0137】
Halo評価(塗膜の端部において膜厚が中心部よりも薄く色調が変化している部分の幅の評価)は、液晶配向剤を塗布した後のそれぞれの基板を110℃で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、210℃で10分間加熱(ポストベーク)して、膜厚約90nmの塗膜を形成し、この塗膜を倍率20倍の顕微鏡で観察することにより行った。上記幅が2.0mm以下であった場合を○、それよりも長い場合を×とした。これらの結果を表1に示す。
【0138】
<粘度>
下記の合成例において、ポリアミック酸エステル及びポリアミック酸溶液の粘度は、E型粘度計TV-25H(東機産業社製)を用い、サンプル量1.1mL、CORD-1(1°34’、R24)、温度25℃で測定した。
【0139】
(合成例1)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの2000mlフラスコに(DA-1)を71.6g入れ、NMPを619.4g加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を水冷下で撹拌しながら(A)を49.1g加え、更に固形分濃度が12質量%になるようにNMPを265.5g加え、窒素雰囲気下、50℃で加熱しながら20時間撹拌し、ポリアミック酸(PAA-1)の溶液を得た。ポリアミック酸(PAA-1)溶液の25℃における粘度をE型粘度計で確認したところ、84.5mPa・sであった。
【0140】
(合成例2)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの2000mlフラスコに(DA-2)を47.8g入れ、NMPを174.4g加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を水冷下で撹拌しながら(C)を18.0g加え、NMP261.6gを加え、窒素雰囲気下、室温にて2時間撹拌した。更に、(DA-3)を11.9g加えた後、NMPを174.4g加え、 窒素雰囲気下、室温にて30分撹拌した。その後、(B)を41.2gと、NMPを261.6gと、を加え、50℃で加熱しながら20時間撹拌し、ポリアミック酸(PAA-2)の溶液を得た。ポリアミック酸(PAA-2)溶液の25℃における粘度をE型粘度計で確認したところ、72.7mPa・sであった。
【0141】
(比較例1)
1000mLの三角フラスコに、ポリアミック酸(PAA-1)溶液30.0gとポリアミック酸(PAA-2)溶液144g、NMP10.8g、GBL77.2g、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランが1.0質量%入ったNMP溶液18g、BCS120gを加え、室温で1時間撹拌した。固形分:NMP:GBL:BCS=4.5:30:35.5:30(質量%)の溶液(AL-1)を400.0g得た。
【0142】
(比較例2)
1000mLの三角フラスコにポリアミック酸(PAA-1)溶液30.0gとポリアミック酸(PAA-2)溶液144g、NMP10.8g、GBL77.2g、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランが1.0質量%入ったNMP溶液18g、BCS60g、DPM60gを加え、室温で1時間撹拌した。固形分:NMP:GBL:BCS:DPM=4.5:30:35.5:15:15(質量%)の溶液(AL-2)を400.0g得た。
【0143】
(実施例1)
1000mLの三角フラスコにポリアミック酸(PAA-1)溶液30.0gとポリアミック酸(PAA-2)溶液144g、NMP10.8g、GBL77.2g、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランが1.0質量%入ったNMP溶液18g、PB60g、EEP60gを加え、室温で1時間撹拌した。固形分:NMP:GBL:PB:EEP=4.5:30:35.5:15:15(質量%)の溶液(AL-3)を400.0g得た。
【0144】
(実施例2)
1000mLの三角フラスコにポリアミック酸(PAA-1)溶液30.0gとポリアミック酸(PAA-2)溶液144g、NMP10.8g、GBL77.2g、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランが1.0質量%入ったNMP溶液18g、(S-1)60g、EEP60gを加え、室温で1時間撹拌した。固形分:NMP:GBL:(S-1):EEP=4.5:30:35.5:15:15(質量%)の溶液(AL-4)を400.0g得た。
【0145】
(実施例3)
1000mLの三角フラスコにポリアミック酸(PAA-1)溶液30.0gとポリアミック酸(PAA-2)溶液144g、NMP10.8g、GBL77.2g、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランが1.0質量%入ったNMP溶液18g、(S-2)60g、EEP60gを加え、室温で1時間撹拌した。固形分:NMP:GBL:(S-2):EEP=4.5:30:35.5:15:15(質量%)の溶液(AL-5)を400.0g得た。
【0146】
(実施例4)
1000mLの三角フラスコにポリアミック酸(PAA-1)溶液30.0gとポリアミック酸(PAA-2)溶液144g、NMP10.8g、GBL77.2g、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランが1.0質量%入ったNMP溶液18g、(S-3)60g、EEP60gを加え、室温で1時間撹拌した。固形分:NMP:GBL:(S-3):EEP=4.5:30:35.5:15:15(質量%)の溶液(AL-6)を400.0g得た。
【0147】
【0148】
なお、実施例1~4の液晶配向剤を用いたところ、公知の方法により、液晶配向膜を作製することができた。また、実施例1~3の液晶配向剤を用いて作製した液晶配向膜を具備させ、公知の方法により、液晶表示素子を作製することができた。
【0149】
以上の実施例によれば、配線構造やC/Hの影響で生じる液晶配向膜の成膜不良や、液晶表示素子の表示が不均一となる不良を抑制することができ、かつ、塗膜周辺部の形状安定性及び膜厚均一性を維持できる液晶配向剤、それを用いた液晶配向膜、及び液晶表示素子を提供することができることが分かった。