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  • 特許-位置検出器を用いた線形変位センサー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-21
(45)【発行日】2022-06-29
(54)【発明の名称】位置検出器を用いた線形変位センサー
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20220622BHJP
   G01B 5/00 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
G01B11/00 B
G01B5/00 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018059785
(22)【出願日】2018-03-27
(65)【公開番号】P2018173407
(43)【公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】15/474,818
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(74)【代理人】
【識別番号】100188260
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 愼二
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ダブリュー セスコ
【審査官】續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0262733(US,A1)
【文献】特開平05-325255(JP,A)
【文献】国際公開第2011/058721(WO,A1)
【文献】特開2012-255862(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105828720(CN,A)
【文献】特開2003-227812(JP,A)
【文献】特開2012-038789(JP,A)
【文献】特開2011-099861(JP,A)
【文献】特開昭62-293787(JP,A)
【文献】特開2003-207309(JP,A)
【文献】特開2011-022288(JP,A)
【文献】特開2013-066899(JP,A)
【文献】特開2011-164127(JP,A)
【文献】特開2009-231630(JP,A)
【文献】国際公開第2007/138884(WO,A1)
【文献】特開2008-258171(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0050981(US,A1)
【文献】特開2008-218969(JP,A)
【文献】特開2005-221807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00
G01B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
前記フレームに固定される直動案内軸受と、
測定軸方向に沿った測定範囲を前記直動案内軸受に案内されて移動する運動要素と、
検出軸方向に沿って設けられて前記検出軸方向における光スポットの照射位置に応じた出力を提供する光検出器を有し、前記フレームに固定される位置検出器と、
前記フレームに固定され、所定の経路に沿って第一波長域の光源光を出射する発光部を少なくとも有する光源と、
前記運動要素に固定され、かつ、前記運動要素と一緒に移動する位置表示放射体と、
を備え、前記測定範囲での前記運動要素の位置に基づいて検出対象の位置を検出する位置センサーデバイスであって、
前記位置表示放射体は、前記第一波長域の光を吸収してこれに応じた第二波長域の励起光を出力する放射体部材を有するとともに、
前記位置表示放射体は、前記測定範囲での前記運動要素の位置に関わらず、前記光源光の経路に沿った前記光源光を受けるように配置され、かつ、測定スポット光の経路に沿って前記励起光を出力して前記位置検出器上に測定光スポットを形成するように配置され、
前記測定光スポットは、前記運動要素の前記測定軸方向での位置に応じて、前記位置検出器の前記検出軸方向に沿って移動し、
前記位置検出器は前記測定光スポットに応じて少なくとも1つの信号を出力し、前記少なくとも1つの信号は前記測定軸方向に沿った前記運動要素の位置を表す、
ことを特徴とする位置センサーデバイス。
【請求項2】
請求項1記載の位置センサーデバイスにおいて、前記位置表示放射体は、放射体部材を有し、前記放射体部材は、蛍りん光部材、光輝性半導体ナノ粒子、ナノ結晶体、量子ドットおよびナノロッドからなる群より選ばれる1つを含むことを特徴とする位置センサーデバイス。
【請求項3】
請求項1または2記載の位置センサーデバイスにおいて、前記位置表示放射体は、前記励起光が焦点を結んで前記位置検出器に前記測定光スポットを形成するように配置された屈折率分布型レンズを含むことを特徴とする位置センサーデバイス。
【請求項4】
請求項1または2記載の位置センサーデバイスにおいて、さらに、前記位置検出器と前記位置表示放射体との間において前記フレームに固定されたレンズを備え、
前記レンズは、前記励起光が焦点を結んで前記位置検出器上に前記測定光スポットを形成するように配置されていることを特徴とする位置センサーデバイス。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の位置センサーデバイスにおいて、さらに、前記測定スポット光の経路上に前記光源光を除くフィルターが設けられ、前記フィルターを通った前記励起光によって前記位置検出器上に前記測定光スポットが形成されることを特徴とする位置センサーデバイス。
【請求項6】
請求項5記載の位置センサーデバイスにおいて、前記フィルターは、前記位置表示放射体の一部を構成することを特徴とする位置センサーデバイス。
【請求項7】
請求項5記載の位置センサーデバイスにおいて、前記フィルターは、前記位置検出器の一部を構成することを特徴とする位置センサーデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線形変位センサーに関し、特に、位置検出器を用いて所望の測定信号を生成することが可能な線形変位検出手段の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、線形可変差動変圧器(LVDT)を使って位置を表す信号を提供する様々な変位センサーが知られている。このLVDT形式のシステム構成によれば、限定された測定範囲(例えば、10mm、5mmまたはそれ以下)において、高精度または超高精度の測定(例えば、1マイクロメートルのレベルの精密さ、またはそれ以上の精密さ)が可能と考えられている。LVDTは、2つの二次ソレノイドコイルに誘導電流を生じさせる1つの一次ソレノイドコイルを用いることができる。そして、各々の二次ソレノイドコイルの電流の強さは、これらのコイル内部を軸方向に移動する強磁性コアの位置に依存する。2つの二次ソレノイドコイルが極性を逆にして直列接続されている場合、それにより得られる差動信号に基づいて、強磁性コアの位置を決定することができる。
【0003】
幾つかの用途においては、LVDT形式のセンサーからの信号に類似した正確な方法で線形変位信号を出力できるような光学変位センサーの提供が望まれている。この形式のシステム構成についての先行技術の1つが、特許文献1に開示されている。特許文献1は、光源と、2つの受光素子を有する検出器と、可動棒(可動ステム)と、を備えたセンサーを開示し、その可動棒には光源からの光を検出器に伝達するための孔が形成されている。また、可動棒は2つの案内部間をスライドできる。可動棒の機械的な遊びに対する測定感度を除くための手段として、可動棒には前記孔を覆うカバーが設けられており、このカバーは、2つの案内部間の中心点に関連する可動棒の端部(ステムエンド)の接触端に対して、実質的に対称になるように設計されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第4,338,722号公報
【文献】米国特許第4,812,635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1においては、光源に関連した或る誤差に対する認識がない。このように特許文献1のデバイスを用いると、望ましくない信号非線形性および/または精度誤差を被る可能性がある。
【0006】
また、特許文献2には、より優れた光源の構成として、位置センサーデバイスにおける均一照射の手段が開示されている。特許文献2のデバイスは、光源と、2つのフォトダイオードと、開口部付きの可動ダイヤフラムとを備える。2つのフォトダイオードは、光源からダイヤフラム上の開口部を通ってこれらのフォトダイオードに達する光の位置によって決定される信号を出力する。均一照射の手段は、光路に沿った補正フィルターを有し、より好ましくは、正常な距離からの光源光によって露光されたネガフィルムを有する。そのような用途に特化したフィルターは、名目上、一定の強度を有する照射光を出力する。しかし、特許文献2は測定軸に沿って一定の強度の光源光を提供できるが、光源に関連した或る他の誤差が認識されないままになっている。このように、特許文献1と同様に、特許文献2のデバイスについても、望ましくない信号非線形性および/または精度誤差を被る可能性がある。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、高精度の光学位置センサーデバイス、すなわち、上述したものよりも一層簡単な構成とすることができて、製造コストをより低くすることができ、また、改善された線形性および/または精度を提供できる位置センサーデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係る位置センサーデバイスは、フレームと、直動案内軸受と、運動要素と、位置検出器と、光源と、位置表示放射体とを備え、測定範囲における前記運動要素の位置に基づいて検出対象の位置又は変位量を検出する。前記直動案内軸受は、前記フレームに固定されている。前記運動要素は、前記案内軸受に案内され、測定軸方向に沿った測定範囲を移動する。前記位置検出器は、前記フレームに固定されており、また、当該位置検出器の検出軸方向に沿って設けられた光検出器を有する。この光検出器は、前記検出軸方向における光スポットの照射位置に応じた出力を提供する。前記光源は、前記フレームに固定され、光源光の経路に沿って第一波長域の光源光を出射するように構成され、少なくとも発光部を有する。前記位置表示放射体は、前記運動要素に固定され、かつ、前記運動要素と一緒に移動する。ここで、前記位置表示放射体は、前記第一波長域の光源光を吸収してこれに応じた第二波長域の励起光を出力する放射体部材を有する。また、前記位置表示放射体は、前記測定範囲での前記運動要素の位置に関わらず、前記光源光の経路に沿った前記光源光を受けるように配置され、かつ、測定スポット光の経路に沿って前記励起光を出力して前記位置検出器上に測定光スポットを形成するように配置されている。前記測定光スポットは、前記運動要素の前記測定軸方向での位置に応じて、前記位置検出器の前記検出軸方向に沿って移動する。そして、前記位置検出器は前記測定光スポットに応じて少なくとも1つの信号を出力し、前記少なくとも1つの信号は前記測定軸方向に沿った前記運動要素の位置を表す、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の位置センサーデバイスの構成によれば、従来のデバイスよりも一層簡単な構成となり、低コストで製造でき、改善された線形性および/または精度を発揮することができる。例えば、本発明では、固定側であるフレームに光源を取り付けて、移動側である運動要素に蛍光材料などの放射体を取り付けて、放射体が、光源光によって励起されて、蛍光を発光し、その蛍光(本書では励起光と呼ぶ。)による光スポットを固定側に取り付けられた光検出器(検出器アレイなど)が検出するように構成されている。従って、光源を移動側に設ける必要がなく、運動要素を軽量化・簡略化できるとともに、放射体を少なくとも光源光の経路上に配置するだけでよく、放射体に対する光源光の照射位置を厳格に定める必要がない。また、光検出器は、光源光とは波長域の異なる励起光の検出に適するものを選択でき、検出する必要のない光源光についてはフィルターなどを用いて容易に遮断できるので、光源光による検出誤差の影響がほとんど無くなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(A),(B)は、第一実施形態に係る位置センサーデバイスを測定軸方向に直交する方向から見た断面で示した概略構成図である。
図2】第二実施形態に係る位置センサーデバイスを測定軸方向に直交する方向から見た断面で示した概略構成図である。
図3】第三実施形態に係る位置センサーデバイスを測定軸方向に直交する方向から見た断面で示した概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1(A),(B)は、第一実施形態に係る位置センサーデバイス100を測定軸方向に直交する方向から見た断面で示した概略構成図である。図1(B)は、図1(A)の部分拡大図である。位置センサーデバイス100は、フレーム110と、直動案内軸受120と、運動要素(棒状のステム)130と、位置検出器140と、光源150と、位置表示放射体160と、信号処理・制御部170と、コネクター180とを備える。他の実施形態において、位置検出器140および信号処理・制御部170を回路基板(またはフレキシブル・プリント回路)175に収容してもよいし、および/または、接続してもよい。このような回路基板(またはフレキシブル・プリント回路)175は、位置センサーデバイス100の様々な素子を相互に連結している。
【0012】
フレーム110の断面形状は図1(A)のように測定軸方向MAに細長い。フレーム110は、測定軸方向MAに沿った内部空間を有し、その内部空間の一端は開口している。フレームの他端にはコネクター180が取り付けられている。棒状の運動要素130は、その先端部がフレーム110の開口部から突き出た状態で、その大半がフレーム110の内部空間に収納されている。直動案内軸受120は、フレーム110内部における一端の開口部付近の内壁に固定されており、ちょうど、フレーム110と運動要素130との間に位置している。運動要素130は、直動案内軸受120の案内によって、測定軸方向MAに移動自在であり、フレーム110から突き出た運動要素130の先端部が、測定軸方向MAに沿った測定範囲MRを進退可能になっている。位置検出器140は、例えば、回路基板175を介してフレーム110に固定されている。また、位置検出器140は、当該位置検出器140の検出軸方向SAに沿って設けられた光検出器141を有する。この光検出器141は、検出軸方向SAにおける光スポットの照射位置に応じた出力を提供する。光源150は、例えば、レーザーダイオード、VCSELまたはLEDなどの発光部151を有する。発光部151を、電源接続ライン152を介して回路基板に接続してもよい。光源150は、光源光の経路SLPに沿って第一波長域の光源光153を出射するように構成されている。光源150は、出射した光源光153がフレーム110内の棒状の運動要素130の他端部を照射するように、配置されている。ここで、種々の実施形態においては、例えば、光源をフレーム110又は回路基板175に搭載することによって、光源をフレーム110に固定してもよい。図1(A),(B)に示す実施形態では、光源光の経路SLPは測定軸方向MAに向けられ、その経路上には、運動要素130に搭載された偏光素子155が設けられている。偏光素子155は反射面を有し、この反射面が光源光の経路SLPを位置表示放射体160に向ける。
【0013】
位置表示放射体160は、例えば、偏光素子155の表面に取り付ける方法などによって、運動要素130に固定され、運動要素130と一緒に移動する。本実施形態では、位置表示放射体160は特に簡単な構成であり、例えば、偏光素子155の表面に取り付けられた蛍りん光材充填樹脂などの放射体部材162からなる。なお、本書で蛍りん光とは、蛍光またはりん光を指す。放射体部材162は第一波長域の光を吸収して、これに反応して放射体部材162内で励起光163を生成して出力する。生成された励起光163は、第二波長域の光を含む。位置表示放射体160は、測定範囲MR内での運動要素130の位置に関わらず、光源光の経路SLPに沿った光源光153を受光するように配置され、かつ、測定スポット光の経路MSPに沿って励起光163を出力して位置検出器140上に測定光スポットMSを形成するように配置されている。本実施形態では、放射体部材162の大きさを比較的小さくして、放射体部材162と位置検出器140との間の距離を短くしてもよい。その結果、測定光スポットMSの大きさを小さく維持できるので、測定スポット光の経路MSP上にレンズまたは制限用の開口部を配置しなくても済む。また、位置検出器140は、第二波長域の光を透過させるとともに、少なくとも光源光153の第一波長域を含むその他の不要な光を遮って検出されないようにするフィルター142を備える。
【0014】
測定光スポットMSは、測定軸方向MAにおける運動要素130の位置に応じて、位置検出器140の検出軸方向SAに沿って移動する。位置検出器140は測定光スポットMSに応じて少なくとも一つの信号を出力し、その少なくとも一つの信号が測定軸方向MAに沿った運動要素130の位置を表す。コネクター180は、出力ケーブル181を信号処理・制御部170に接続するように構成されている。信号処理・制御部170は、位置検出器140からの少なくとも一つの信号に基づく1または複数の位置表示信号を、ホストコンピューター又はディスプレイ等に出力するように構成されている。
【0015】
様々な実施形態において、YAG-Ce系の蛍光体、光輝性半導体ナノ粒子もしくはナノ結晶体、Q粒子蛍光体(一般に、量子ドットや半導体量子ドットと呼ばれる。)または亜鉛酸化物ナノロッドなどの1または複数の従来の蛍りん光部材を用いて放射体部材162を構成してもよい。
【0016】
放射体部材162は、測定範囲MRに渡って、比較的同一の強度を維持する測定光スポットMSを提供することが好ましい。これによって、測定光スポットMSの強度変動に起因する望ましくない誤差がかなり縮小される。
【0017】
様々な実施形態において、位置検出器として、2つの差動信号を出力する位置検出器を用いて、2つの信号の関係によって測定軸方向MAにおける運動要素の位置を表してもよい。例えば、具体例の一つとして、差動信号A,Bを使って、位置を(A-B)/(A+B)の関係で表すことができる。このような関係は、測定光スポットMSの平均的なエネルギー強度の変動に比較的影響を受けにくいという傾向があるので好ましい。このような位置検出器の動作については、米国特許第7,894,079号公報を参照することで理解することができる。
【0018】
図2は、第二実施形態に係る位置センサーデバイス200を測定軸方向に直交する方向から見た断面で示した概略構成図であり、前述の実施形態の図1(B)に類似しており、図1(B)に示したものを図2に示した構成要素の配置に置き換えることができる。特に説明がない場合は、図1(A)、(B)において1XXで表した連番の符号と同様に、図2において同じ「XX」の接尾部を持つ2XXで表した連番の符号は、前述の実施形態と類似する又は同一の構成であることを示す。このように、位置センサーデバイス200の動作については、概ね、図1(A)、(B)と同様に理解され、動作に関する特定の事項および/または相違点のみをここで説明する。
【0019】
図2図1(B)との主な相違点は、位置表示放射体260が位置表示放射体160よりも多くの構成要素を含む点にあり、位置表示放射体260は、前述の位置検出器140の一部として説明したフィルター142と類似の機能を発揮するフィルター242を含んでいる。
【0020】
図2に示すように、位置センサーデバイス200は、放射体部材262と、屈折率分布型レンズ264と、フィルター242とを有する位置表示放射体260を備える。図2の実施形態では、光源光の経路SLPが、測定軸方向MAに向けられ、その経路上に、運動要素230に搭載された偏光素子255が配置されている。偏光素子255は、反射面を有し、この反射面が光源光の経路SLPを位置表示放射体260に向ける。
【0021】
本実施形態では、位置表示放射体260が運動要素230に固定され、1つの組立構成になっている。図2に示すように、位置表示放射体260は、屈折率分布型レンズ264の入射表面に固定された放射体部材262を有し、この放射体部材262は、例えば、蛍りん光材充填樹脂などで構成される。また、屈折率分布型レンズ264の出射表面にはフィルター242が固定されている。上述した説明と同様に、放射体部材262は、第一波長域の光源光253を吸収して、これに反応して放射体部材262内で励起光263を生成して出力する。生成された励起光263は、屈折率分布型レンズ264を通過する。屈折率分布型レンズ264は、位置検出器240上に測定光スポットMSを形成するため、測定スポット光の経路MSPに沿って励起光263の焦点を合わせる。放射体部材262で発光した励起光263は、第二波長域の光を含む。フィルター242は、第二波長域の光を透過させるとともに、少なくとも光源光253の第一波長域を含むその他の不要な光を遮って検出されないようにする。位置表示放射体260は、測定範囲MR内での運動要素230の位置に関わらず、光源光の経路SLPに沿った光源光253を受光するように配置され、かつ、測定スポット光の経路MSPに沿って励起光263を出力して位置検出器240上に測定光スポットMSを形成するように配置されている。
【0022】
図3は、第三実施形態に係る位置センサーデバイス300を測定軸方向に直交する方向から見た断面で示した概略構成図である。特に説明がない場合は、図1(A)、(B)において1XXで表した連番の符号と同様に、図3において同じ「XX」の接尾部を持つ3XXで表した連番の符号は、前述の実施形態と類似する又は同一の構成であることを示す。このように、位置センサーデバイス300の動作については、概ね、図1(A)、(B)と同様に理解され、動作に関する特定の事項および/または相違点のみをここで説明する。
【0023】
図3図1(B)との主な相違点は、前述の位置表示放射体160および位置検出器140と比較して、位置表示放射体360が位置検出器340から離れている点にある。そして、測定スポット光の経路MSP上に焦点レンズ構成390が配置され、この焦点レンズ構成390は、位置検出器340上に所望の大きさの測定光スポットMSを形成するため、測定スポット光の経路MSPに沿って励起光263の少なくとも一部について、その焦点を合わせる。いくつかの実施形態において、焦点レンズ構成390に制限用の開口部(不図示)を設けて、励起光363に含まれる不要な光線を既知の原理に従って取り除いてもよい。また、制限用の開口部は、測定光スポットMSの大きさを調整するのに役立つ。いくつかの実施形態において、焦点レンズ構成390をテレセントリック系の結像光学構成としてもよい。テレセントリック系の結像光学構成は、位置表示放射体360(例えば放射体部材362)の像を位置検出器340上に形成し、既知のテレセントリック系の結像原理に従った測定光スポットMSを形成することができる。
【0024】
その他については、位置センサーデバイス300は、前述の位置センサーデバイス100と同様に動作するものと理解される。
【0025】
位置表示放射体360は、測定範囲MR内での運動要素330の位置に関わらず、光源光の経路SLPに沿った光源光353を受光するように配置され、かつ、測定スポット光の経路MSPに沿って励起光363を出力するように配置されている。また、焦点レンズ構成390は、測定範囲MR内での運動要素330の位置に関わらず、位置検出器340上に測定光スポットMSを形成するのに十分な大きさを測定軸方向MAに関して有するように構成されている。
【0026】
以上、本発明についての好ましい実施形態を説明したが、ここに図示および説明された構成の配置や動作手順についての多くの変形例が、本書の内容に基づいて当業者に明らかであろう。ここに開示した構成要素および/または動作についての様々な代替形態や組み合わせを、本書に開示された原理を実施するために使用してもよい。例えば、位置検出器の大きさに応じて、反射素子や偏光素子を追加して、光源光の経路および/または測定スポット光の経路の向きを変えてもよい。また、光源および位置検出器および/または他の構成要素の位置および/または姿勢を適宜変更してもよい。種々の実施形態では、光ファイバーの端部を光源として用いてもよく、その場合は、光ファイバーを、位置検出器の外側の光出力装置に、内部および/または外側に引き回して接続することができる。位置検出器には、複数の検出素子を並べた位置検出器アレイを用いてもよい。または、位置検出器には、形成されたマスクまたは開口部を有する光検出器を用いてもよい。光検出器の形成されたマスクまたは開口部は、これらマスクまたは開口部に対する光検出器の位置に応じて、測定スポット光を部分的に除去することができる。
【0027】
なお、上述の様々な実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を提供することができる。
図1
図2
図3