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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】分析データ表示装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/02 20060101AFI20220624BHJP
   G01N 35/00 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
G01N15/02 F
G01N35/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018237694
(22)【出願日】2018-12-19
(65)【公開番号】P2020101372
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-06-28
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 エネルギー・環境新技術先導プログラム/ビッグデータ適応型の革新的検査評価技術の研究開発に係る委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】赤丸 久光
(72)【発明者】
【氏名】中川 利久
(72)【発明者】
【氏名】加藤 晴久
(72)【発明者】
【氏名】時崎 高志
(72)【発明者】
【氏名】重藤 知夫
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 和三
(72)【発明者】
【氏名】黒河 明
(72)【発明者】
【氏名】高橋 かより
(72)【発明者】
【氏名】藤本 俊幸
【審査官】海野 佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-098111(JP,A)
【文献】特開平05-018883(JP,A)
【文献】特開2001-074637(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0052425(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を複数の区分に分離した分離結果を区分毎に分けて表示する第1表示機能と、
表示した前記分離結果の区分に対応して測定された測定部の測定方法履歴を選択可能に表示する第2表示機能と、
表示された前記測定方法履歴から選択された一の前記測定部による測定結果を表示する第3表示機能と、を含む、表示部を備え、
前記表示部は、前記分離結果と前記測定結果とを同時に表示することを特徴とする、分析データ表示装置。
【請求項2】
前記区分毎に前記区分と対応する前記測定結果とを関連付ける関連付け部をさらに備え、
関連付けられた前記区分と前記測定結果とに基づいて、前記区分に対応した前記測定結果を前記表示部に表示させるように構成されている、請求項1に記載の分析データ表示装置。
【請求項3】
前記関連付け部は、前記区分毎の識別情報と前記測定結果とを関連付けて記憶することにより、前記区分毎に前記区分と対応する前記測定結果とを関連付けるように構成されている、請求項2に記載の分析データ表示装置。
【請求項4】
前記識別情報は、分離された試料が収容された容器に付されており、
前記関連付け部は、前記容器に付された前記識別情報と前記測定結果とを関連付けて記憶することにより、前記区分毎に前記区分と対応する前記測定結果とを関連付けるように構成されている、請求項3に記載の分析データ表示装置。
【請求項5】
前記表示部は、前記分離結果をグラフ形式で複数の前記区分に分けて表示し、表示されたグラフ形式の前記分離結果のうちの選択された前記区分に対応する前記測定結果を表示するように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の分析データ表示装置。
【請求項6】
ユーザの操作を受け付ける操作部をさらに備え、
前記表示部は、前記操作部により、表示された前記区分毎の前記分離結果のうちの1つの前記区分に対応する複数の前記測定部が選択された場合に、選択された前記区分に対応する前記測定結果を切り替えて表示するように構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の分析データ表示装置。
【請求項7】
前記測定結果が前記表示部に表示されている場合において、
前記表示部には、複数の前記測定部が選択可能に表示され、
前記操作部により、前記測定部が選択されたことに基づいて、前記測定結果が切り替わるように構成されている、請求項6に記載の分析データ表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析データ表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粒子径分布を取得する測定装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、測定装置として、粉末の試料の各粒子径の範囲における粒子量を表す測定結果を取得する取得部を備えた測定装置が開示されている。この測定装置の取得部は、レーザ回折により測定結果を取得するように構成されており、試料で回折および散乱した光を受光する複数の受光素子と、受光素子における受光強度を表す光強度分布データを取得する光強度分布測定部とを備えている。そして、取得部は、光強度分布測定部により取得された光強度分布データに基づいて、測定結果を取得している。
【0004】
また、粉末の試料の粒子径分布を測定する方法として、上記特許文献1に記載のレーザ回折法以外に走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)またはDLS(動的光散乱法)、AFM(原子間力顕微鏡)等を用いて測定する方法が知られている。
【0005】
従来、含まれる物質の粒子径の幅が大きい試料の測定結果を取得する場合に、そのまま試料を用いると測定誤差が大きくなることが知られている。これは大きい粒子径を有する粒子と小さい粒子径を有する粒子とが重なることにより、小さい粒子径を有する粒子が隠れてしまい測定結果を正確に得ることができないためである。そのため、従来では、測定誤差を小さくするために、上記した装置または方法を用いる前段階として試料の分離を行い、粒子径の大きさがある範囲内に限定されるいくつかの区分に分離していた。
【0006】
測定結果を元に試料を分析する場合に、測定装置で得られた測定結果と分離した区分毎の吸光度等を測定したデータである分離結果とを各々照合して分析する必要があるが、分離結果における区分と当該区分で取得された分析結果が紐付けられておらず、ユーザが分離結果の各区分と測定結果を閲覧しながら手動で区分と測定結果とを照合しながら分析するしかなかった。特に、測定装置が複数ある場合には、測定結果も多くなるためユーザにとって試料に関するデータの閲覧が煩雑になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-211945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、試料が複数の区分に分離された分離結果と、分離した各区分において測定された結果が紐付けられておらず、データの閲覧・解析が煩雑であるという課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、試料に関するデータの閲覧を円滑に行うことが可能な分析データ表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における分析データ表示装置は、試料を複数の区分に分離した分離結果を区分毎に分けて表示する第1表示機能と、表示した分離結果の区分に対応して測定された測定部の測定方法履歴を選択可能に表示する第2表示機能と、表示された測定方法履歴から選択された一の測定部による測定結果を表示する第3表示機能と、を含み、表示部は、分離結果と測定結果とを同時に表示することを特徴とする。
【0010】
この発明の一の局面による分析データ表示装置では、上記のように、試料を分離した分離結果が複数の区分毎に分けて表示部に表示され、表示されている分離結果から区分を選択することにより測定方法履歴が選択可能に表示部に表示される。さらに、表示部に表示された区分毎の測定方法履歴から測定部を選択することによって測定結果が表示され、表示部は、分離結果と測定結果とを同時に表示する。このように構成することによって、選択された区分および測定部に対応した測定結果と選択された区分の分離結果とが表示部に表示される。その結果、ユーザは、選択された区分および測定部に対応する測定結果と選択された区分の分離結果とを迅速に照合する事ができるため、ユーザにとって試料に関するデータの閲覧を円滑に行うことが可能となる。
【0011】
上記一の局面による分析データ表示装置において、好ましくは、区分毎に区分と対応する測定結果とを関連付ける関連付け部をさらに備え、関連付けられた区分と測定結果とに基づいて、区分に対応した測定結果を表示部に表示させるように構成されている。このように構成すれば、区分と測定結果が関連付けられるため、ユーザは、分離結果から区分を選択するだけで、測定結果と対応する区分とを容易に対応付けて閲覧することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、区分毎の識別情報と測定結果とを関連付けて記憶することにより、区分毎に区分と対応する測定結果とを関連付けるように構成されている。このように構成すれば、区分毎の識別情報を測定結果と関連付けて記憶することにより、識別情報に基づいて測定結果と対応する区分とを容易に関連付けることができる。
【0013】
上記区分毎の識別情報と測定結果とを関連付けて記憶する分析データ表示装置において、好ましくは、識別情報は、分離された試料が収容された容器に付されており、関連付け部は、容器に付された識別情報と測定結果とを関連付けて記憶することにより、区分毎に区分と対応する測定結果とを関連付けるように構成されている。このように構成すれば、予め容器に付された識別情報に基づいて測定結果と対応する区分とを容易に関連付けることができる。そのため、容器に付された識別情報を読み込むことにより、測定結果と対応する区分とを容易に関連付けることができる。
【0014】
上記一の局面による分析データ表示装置において、好ましくは、表示部は、分離結果を複数の区分毎にグラフ形式で表示し、表示されたグラフ形式の分離結果のうちの選択された区分に対応する測定結果を表示するように構成されている。このように構成すれば、ユーザは、グラフ形式で表示された分離結果から所望の区分を容易に選択することができる。
【0015】
上記一の局面による分析データ表示装置において、好ましくは、ユーザの操作を受け付ける操作部をさらに備え、表示部は、操作部により、表示された区分毎の分離結果のうちの1つの区分に対応する複数の測定部が選択された場合に、選択された区分に対応する測定結果を切り替えて表示するように構成されている。このように構成すれば、ユーザは、操作部によって閲覧したい区分に対応する複数の測定部を選択することができるため、一の測定結果を閲覧している場合に、他の測定結果を閲覧するために再度測定方法履歴を表示し、測定部を選択する必要がない。そのため、ユーザは、任意の区分の複数の測定結果を容易に選択し、閲覧することができる。
【0016】
この場合、好ましくは、測定結果が表示部に表示されている場合において、表示部には、複数の測定部が選択可能に表示され、操作部により、測定部が選択されたことに基づいて、測定結果が切り替わるように構成されている。このように構成すれば、一の測定結果の画面から他の測定結果の画面に切り替えることができる。そのため、ユーザは、任意の区分の複数の測定結果を対応付けて閲覧することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上記のように、試料に関するデータの閲覧を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態による分析データ表示装置の全体構成を示す模式図である。
図2】分離部によって分離された区分を表す模式図である。
図3】第1表示機能によって表示部に分離結果が表示されている例を示す図である。
図4】第2表示機能によって表示部に測定方法履歴が表示されている例を示す図である。
図5】第3表示機能によって表示部に測定結果が表示されている例を示す図である。
図6】第3表示機能によって表示部に測定結果が表示されている例を示す図である。
図7】分離結果と測定結果とを同一画面に並べて表示した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1図7を参照して、本実施形態による分析データ表示装置100の構成について説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態による分析データ表示装置100は、表示部1と制御部2と操作部3と関連付け部4と記憶部5とを備えている。
【0022】
分析データ表示装置100を用いる例としては、食品、医薬品、化粧品等の分野で様々な粒子径の物質が混合している試料Pを分析する場合に用いる。食品の場合には粒子径が大きいと舌触りが悪いため、一定の粒子径以下になるように調整される。このときに、試料Pの粒子径毎の割合を調べるために、測定部30により粒子径分布データを取得する。なお、粒子径分布データは、特許請求の範囲の「測定結果」の一例である。
【0023】
ここで、様々な粒子径の物質が混合している試料Pを分析する場合に、分析データ精度を高めるために、予めいくつかの区分8に分ける分離が行われる。その際、分離部20が用いられる。
【0024】
具体的には、分離部20は、遠心力を利用し、試料Pを複数の区分8に分けるCF3(Centrifugal FFF(Field Flow Fractionation))である。分離部20は、制御部21と送液ポンプ22と試料注入部23と分離セル24(ロータ)と検出部25とを含む。
【0025】
試料Pの分離を開始する場合、ユーザは、分離部20の制御部21に分離セル24の回転速度、分離された試料Pを容器26に採取する時間間隔を入力する。送液ポンプ22はキャリア(溶媒)を流路上に流し、分離セル24へ送る。試料注入部23は、流路上を流れているキャリアに粉状の試料Pを注入する。キャリアは、試料注入部23から注入された粉状の試料Pを含んで分離セル24へと移動する。
【0026】
次に、分離部20の制御部21は、分離セル24を回転するように制御する。分離セル24が、回転することにより試料Pに遠心力が生じる。ここで、試料Pのうち粒子径の小さい粒子は、遠心力が小さく、拡散速度が速くなる。そうすると、流速が速い流路の中心の近くに分布することになる。その結果、試料Pのうち小さい粒子から早く流出するため、試料Pは、時間経過に伴い粒子径の小さい粒子から徐々に大きい粒子が分離セル24から分離される。分離された試料Pは、一定の時間間隔で容器26に注入される。この結果、図2に示すように、試料Pは、容器26毎に小さい粒子径の区分1と大きい粒子径の区分4と中間の粒子径の区分2および区分3とに分かれる。
【0027】
分離部20は、さらに分離を行いつつ試料Pの分離結果6を取得する。分離結果6は、試料Pの吸光度である。吸光度を測定するための検出部25は、流路上に設けられる。検出部25は、紫外線を照射する照射部と流路を通過した紫外線を検出する検出器とを含む。検出器は、試料Pの紫外線の吸光度を測定し、試料Pの流出時間毎の吸光度(分離結果6)を取得する。この際、分離部20の制御部21は、区分8と分離結果6のうち区分8が取得された時間帯に対応する部分とを関連付けて記憶部28に記憶するように制御する。
【0028】
図3に示すように、分離結果6は、フラクトグラムで表示される。図3のフラクトグラムは、分離した試料Pの吸光度を表している。本実施形態では、試料Pの区分8を10分おきに取得し、10分から20分までの時間帯を「区分1」、20分から30分までの時間帯を「区分2」、30分から40分までの時間帯を「区分3」、40分から50分までの時間帯を「区分4」とする。
【0029】
測定部30は、SEM30a、AFM30bおよびDLS30cを用いる。SEM30aは、電子顕微鏡の一種であり、観察対象に電子線をあて、対象物から放出される二次電子等を検出することで観察する。SEM30aでは、検出した二次電子等から試料Pの拡大像を作り撮影したSEM写真73から粒子毎の短径や長径を取得することにより粒子径および粒子径分布を測定結果7として取得する。AFM30bは、カンチレバー(片持ち梁)の先端に取り付けた鋭い探針を用いて、試料表面をなぞる。または、試料表面と一定の間隔を保って試料表面を走査する。カンチレバーの上下方向への変位を計測することにより、試料表面の凹凸形状の評価を行う。そして凹凸形状から粒子毎の粒子径を求めることにより、粒子径および粒子径分布を測定結果7として取得する。DLS30cは、溶液中に分散するブラウン運動をしている粒子に、光源部からレーザ光を照射し、粒子からの散乱光を光電子増倍管によって検出する。その結果、大きな粒子ほど遅く、小さい粒子ほど速いブラウン運動をしているため、粒子からの散乱光はブラウン運動の速さに応じたゆらぎ信号として検出される。検出されたゆらぎ信号から粒子径と粒子径分布を測定結果7として取得する。
【0030】
ここで本実施形態では、表示部1は、制御部2からの指示に基づいて、分離部20および測定部30から得られたデータを表示する機能を有する。具体的には表示部1は、試料Pを分離した分離結果6を複数の区分8に分けて表示する第1表示機能1aと、表示した分離結果6の区分8に対応して測定された測定部30の測定方法履歴9を表示する第2表示機能1bと、表示された測定方法履歴9から選択された一の測定部30による測定結果7を表示する第3表示機能1cを有する。
【0031】
表示部1は、分析データ表示装置100と一体に構成されていてもよく、分析データ表示装置100に接続されたモニターで構成されていてもよい。
【0032】
図3に示すように、第1表示機能1aによって表示部1に表示される画面は、試料Pを分離した分離結果6の画面である。このとき表示部1は、分離結果6を複数の区分8に分けてグラフ形式で表示する。分離結果6は、図3で示すように、フラクトグラムで表示される。図3で示されるフラクトグラムは、横軸が波長230nm、スリット幅4nmで紫外線を照射したときの検出器出力、縦軸が分離開始からの時間(分)を表すフラクトグラムである。また、分離セル24の回転数も合わせてグラフ化している。フラクトグラムは、図3に示すように区分8毎に色分け(図面上ハッチングの際により図示)が行われる。これにより区分8毎に分けて表示される。
【0033】
図4に示すように、第2表示機能1bによって表示部1に表示される画面は、分離結果6の区分8に対応して測定された測定部30の履歴である測定方法履歴9の画面である。測定方法履歴9の画面は、測定結果7を取得するために用いた測定部30の一覧として「SEM」、「AFM」および「DLS」が縦に表示される。第2表示機能1bによって表示される画面は、第1表示機能1aによって表示される画面の区分8を、選択することにより表示される。
【0034】
第3表示機能1cによって表示される画面は、第2表示機能1bによって表示される測定方法履歴9内の測定部30を、選択することにより表示される。このとき測定方法履歴9の画面から測定部30をひとつ選択してもよく、複数選択してもよい。
【0035】
図5および図6に示すように、第3表示機能1cによって表示される画面は、測定部30による測定結果7の画面である。測定結果7の画面には、測定方法履歴9の画面から選択された測定部30の名称を記載したタブ72が表示される。図5のように選択した測定部30の名称を記載したタブ72だけが表示されてもよく、図6のように測定部30の名称を記載したタブ72がすべて表示されてもよい。測定部30としてSEMを選択した場合、測定結果7としては、SEMを用いて撮影した選択された区分8の試料PのSEM写真73、粒子径情報74、または頻度分布75などが表示される。粒子径情報74としては、SEM写真73を基に区分8に含まれる粒子毎の短径および長径と、面積と、円形度とが表示される。頻度分布75としては、粒子毎の短径に基づく粒子径頻度分布と粒子径累積分布とがグラフ形式で表示される。
【0036】
測定方法履歴9の画面から測定部30を複数選択した場合は、測定結果7が互いに切り替え可能に表示される。このとき測定方法履歴9の画面の一番上に表示されている測定部30の測定結果7から順番に表示されてもよく、順不同に表示されてもよい。このとき、測定結果7の画面には、測定部30が選択可能に表示される。図6に示すように測定結果7の画面には、測定部30の名称が付されたタブ72が複数表示される。ユーザは、タブ72を選択することにより測定結果7が切り替わる。
【0037】
測定結果7の画面には、対応する区分8の情報が表示される。対応する区分8の情報は、画面の左に区分1を意味する「material01」と表示されてもよい。または、測定結果7の画面に詳細タブ(図示せず)を表示し、詳細タブをユーザが選択することにより区分8の詳細な情報が表示されてもよい。
【0038】
操作部3は、マウスである。操作部3を操作することにより分離結果6の区分8を選択する。
【0039】
表示部1に表示される区分8、測定方法履歴9またはタブ72などを選択手段1dによって選択してもよい。選択手段1dは、図3に示すようにカーソルである。選択手段1dは、制御部2によって操作部3が、ユーザによって操作されることに伴い、操作されるように制御される。
【0040】
関連付け部4は、分離部20で取得した区分8と測定部30で取得した測定結果7とを関連付ける。関連付けられた区分8と測定結果7とに基づいて、区分8に対応した測定結果7を表示部1に表示させる。
【0041】
関連付け部4は、区分8毎の識別情報27と測定結果7とを関連付けて記憶部5に記憶することにより、区分8毎に区分8と対応する測定結果7とを関連付ける。識別情報27は、分離された試料Pが収容された容器26に付されている。容器26は、バイアルなどの小瓶である。識別情報27は、文字や数字の組み合わせであり、バーコードとして容器26に付される。
【0042】
関連付け部4は、容器26に付された識別情報27と測定結果7とを関連付けて記憶部5に記憶することにより、区分8毎に区分8と対応する測定結果7とを関連付ける。
【0043】
図7に示すように、第1表示機能1aと第3表示機能1cが同時に機能することで、分離結果6と測定結果7とが同時に、同一画面に並べて表示される。分離結果6と測定結果7とを並べて表示する表示の態様は、特に限定されない。
【0044】
次に、本実施形態に係る分析データ表示装置100を用いた試料Pの測定結果7に関する表示について説明する。
【0045】
まず、ユーザは、分析データ表示装置100を用いる前段階として、試料Pを分離部20で分離する。試料Pに含まれる物質の粒子径の幅が大きい場合または不明の場合は、区分8の数を多くする。そして試料Pの分離結果6を取得する。分離部20の制御部21は、区分8が取得された時間帯に応じて分離結果6と区分8(および区分8に対応する識別情報27)とを関連付けて記憶部28に記憶するように制御する。取得した分離結果6は、分離部20から分析データ表示装置100に読み込まれる。
【0046】
分離した試料Pを容器26毎に測定部30で測定し、測定結果7として試料Pの粒子径および粒子径分布を取得する。ユーザは、取得した測定結果7を、測定部30から分析データ表示装置100に読み込ませてもよく、操作部3を用いて入力してもよい。なお、測定部30において、容器26に付された識別情報27を読み取ることにより区分8と測定結果7とが関連付けられる。そして、分析データ表示装置100では区分8および測定結果7が測定部30に対応して記憶される。
【0047】
分析データ表示装置100の関連付け部4は、区分8毎および測定部30毎に記憶された測定結果7と分離結果6とを関連付ける。
【0048】
そして、図3に示すように、分析データ表示装置100では、ユーザの操作などに基づいて表示部1に第1表示機能1aによる分離結果6が表示される。この第1表示機能1aでは分離結果6が複数の区分8に色分けされて表示される。そして、ユーザは、分析データ表示装置100の第1表示機能1aによって表示部1に表示された分離結果6から測定結果7を閲覧したい区分8を選択する。そうすると、図4に示すように、第2表示機能1bによって測定方法履歴9が表示部1に表示される。
【0049】
ユーザは、表示部1に表示された測定方法履歴9から閲覧したい測定結果7の測定部30を選択する。そうすると、図5または図6に示すように、第3表示機能1cによって、選択された区分8および測定部30に対応する測定結果7が、表示部1に表示される。
【0050】
ユーザが、表示部1に表示された測定方法履歴9から閲覧したい測定結果7の測定部30を複数選択した場合、図6に示すように、測定部30の名称が付されたタブ72が複数表示される。このタブ72を操作部3で操作することにより、ユーザは複数の測定結果7を切り替えて閲覧できる。
【0051】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0052】
本実施形態の分析データ表示装置100では、試料Pを分離した分離結果6が複数の区分8毎に分けて表示部1に表示され、表示されている分離結果6から区分8を選択することにより測定方法履歴9が選択可能に表示部1に表示される。さらに、表示部1に表示された区分8毎の測定方法履歴9から測定部30を選択することによって測定結果7が表示され、表示部1は、分離結果6と測定結果7とを同時に表示する。このように構成することによって、選択された区分8および測定部30に対応した測定結果7と選択された区分8の分離結果6とが表示部1に表示される。その結果、ユーザは、選択された区分8および測定部30に対応する測定結果7と選択された区分8の分離結果6とを迅速に照合する事ができるため、ユーザにとって試料Pに関するデータの閲覧を円滑に行うことが可能となる。
【0053】
また、本実施形態の分析データ表示装置100では、区分8毎に区分8と対応する測定結果7とを関連付ける関連付け部4をさらに備え、関連付けられた区分8と測定結果7とに基づいて、区分8に対応した測定結果7を表示部1に表示させるように構成されている。これにより、区分8と測定結果7が関連付けられるため、ユーザは、分離結果6から区分8を選択するだけで、測定結果7と対応する区分8とを容易に対応付けて閲覧することができる。
【0054】
また、本実施形態の分析データ表示装置100では、区分8毎の識別情報27と測定結果7とを関連付けて記憶することにより、区分8毎に区分8と対応する測定結果7とを関連付けるように構成されている。これにより、区分8毎の識別情報27を測定結果7と関連付けて記憶することにより、識別情報27に基づいて測定結果7と対応する区分8とを容易に関連付けることができる。
【0055】
また、本実施形態の分析データ表示装置100では、識別情報27は、分離された試料Pが収容された容器26に付されており、関連付け部4は、容器26に付された識別情報27と測定結果7とを関連付けて記憶することにより、区分8毎に区分8と対応する測定結果7とを関連付けるように構成されている。これにより、予め容器26に付された識別情報27に基づいて測定結果7と対応する区分8とを容易に関連付けることができる。そのため、容器26に付された識別情報27を読み込むことにより、測定結果7と対応する区分8とを容易に関連付けることができる。
【0056】
また、本実施形態の分析データ表示装置100では、表示部1は、分離結果6を複数の区分8毎にグラフ形式で表示し、表示されたグラフ形式の分離結果6のうちの選択された区分8に対応する測定結果7を表示するように構成されている。これにより、ユーザは、グラフ形式で表示された分離結果6から所望の区分8を容易に選択することができる。
【0057】
また、本実施形態の分析データ表示装置100では、ユーザの操作を受け付ける操作部3をさらに備え、表示部1は、操作部3により、表示された区分毎の分離結果6のうちの1つの区分8に対応する複数の測定部30が選択された場合に、選択された区分8に対応する測定結果7を切り替えて表示するように構成されている。これにより、ユーザは、操作部3によって閲覧したい区分8に対応する複数の測定部30を選択することができるため、一の測定結果7を閲覧している場合に、他の測定結果7を閲覧するために再度測定方法履歴9を表示し、測定部30を選択する必要がない。そのため、ユーザは、任意の区分8の複数の測定結果7を容易に選択し、閲覧することができる。
【0058】
また、本実施形態の分析データ表示装置100では、測定結果7が表示部1に表示されている場合において、表示部1には、複数の測定部30が選択可能に表示され、操作部3により、測定部30が選択されたことに基づいて、測定結果7が切り替わるように構成されている。これにより、一の測定結果7の画面から他の測定結果7の画面に切り替えることができる。そのため、ユーザは、任意の区分8の複数の測定結果7を対応付けて閲覧することができる。
【0059】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0060】
たとえば、上記実施形態では、分離部がCF3装置である場合の例を示したが、これに限定されない。たとえば、遠心力を利用しないAF4(Asymmetric-Flow FFF(Field Flow Fractionation))装置を用いてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、分離部がCF3装置である場合の例を示したが、これに限定されない。たとえば、他の流動場分画装置、液体クロマトグラフなどのクロマト装置、または電気泳動装置を用いてもよい。また、分離部は、分析データ表示装置と別に設けてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、フラクトグラムを用いて分離結果を示す例について説明したが、本発明はこれに限られない。たとえば、全分画における各区分の割合を示したグラフを用いて分離結果を示してもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、測定部を3つ設ける例を示したが、これに限定されない。たとえば、測定部を1つ、2つ、または4つ以上設けてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、測定部が、SEM、AFM、DLSを用いる例を示したが、これに限定されない。たとえば、レーザ解析法、ICPMS、赤外顕微鏡(FT-IR)、イメージング質量顕微鏡、二次イオン質量分析法(SIMS)、エネルギー分散型X線分析(EDX)またはラマン分光法等を用いてもよい。また、DLSやレーザ解析法を用いる場合、測定部が分析データ表示装置内に組み込まれていてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、第2表示機能によって測定部の一覧として「SEM」、「AFM」および「DLS」が縦に表示される例を示したが、これに限定されない。たとえば、第2表示機能によって測定部の一覧として「SEM」、「AFM」および「DLS」を横に表示してもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、操作部がマウスである例を示したが、これに限定されない。たとえば、操作部をタッチパネルにしてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、第3表示機能によって表示される画面がSEM写真、粒子径情報、または頻度分布である例を示したが、これに限定されない。たとえば、DLSで測定した測定結果の場合は、粒子径分布を示すグラフだけを第3表示機能によって画面に表示してもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、第1表示機能と第3表示機能が同時に機能することで、分離結果と測定結果とが同時に同一画面に並べて表示される例を示したが、これに限定されない。たとえば、表示部が複数ある場合は、それぞれの表示部に同時に分離結果または測定結果のどちらか一つを表示してもよい。その場合、同じ区分に対応する測定結果をそれぞれ別画面に表示してもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 表示部
1a 第1表示機能
1b 第2表示機能
1c 第3表示機能
4 関連付け部
6 分離結果
7 測定結果
8 区分
9 測定方法履歴
26 容器
27 識別情報
30 測定部
100 分析データ表示装置
P 試料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7