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  • 特許-アルデヒド捕捉剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】アルデヒド捕捉剤
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/22 20060101AFI20220624BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20220624BHJP
   C07C 239/20 20060101ALN20220624BHJP
   C07D 213/69 20060101ALN20220624BHJP
【FI】
B01J20/22 A
A61L9/01 K
C07C239/20
C07D213/69
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017245500
(22)【出願日】2017-12-21
(65)【公開番号】P2018108578
(43)【公開日】2018-07-12
【審査請求日】2020-11-11
(31)【優先権主張番号】P 2016254724
(32)【優先日】2016-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000173762
【氏名又は名称】公益財団法人相模中央化学研究所
(72)【発明者】
【氏名】須藤 幸徳
(72)【発明者】
【氏名】増田 隆洋
(72)【発明者】
【氏名】小林 修
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 拓里
(72)【発明者】
【氏名】平井 憲次
【審査官】上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-224608(JP,A)
【文献】特開2005-233613(JP,A)
【文献】特開2003-287480(JP,A)
【文献】特表2007-520458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/22
A61L 9/01
C07C 239/20
C07D 213/69
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるO-置換ポリヒドロキシルアミン又はその化学的に許容される塩を1種以上含むことを特徴とするアルデヒド捕捉剤。
【化1】
[上記一般式(1)において、Lは、単結合;カルボキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基若しくはアミノオキシ基で置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基、カルボキシ基、ヒドロキシ基若しくはメルカプト基で置換されていてもよい炭素数6~14のアリール基、及びカルボキシ基、ヒドロキシ基若しくはメルカプト基で置換されていてもよい炭素数4~14のヘテロアリール基からなる群より選ばれる1つ以上の置換基で置換されていてもよい炭素数1~8の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキレン基;カルボキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基若しくはアミノオキシ基で置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基、カルボキシ基、ヒドロキシ基若しくはメルカプト基で置換されていてもよい炭素数6~14のアリール基、及びカルボキシ基、ヒドロキシ基若しくはメルカプト基で置換されていてもよい炭素数4~14のヘテロアリール基からなる群より選ばれる1つ以上の置換基で置換されていてもよい炭素数2~8の直鎖状、分岐状若しくは環状のヘテロアルキレン基;炭素数6~14のアリーレン基;又は炭素数4~14のヘテロアリーレン基を表す。Rは、水素原子;カルボキシ基;アミノオキシ基;炭素数1~6のアルキルオキシ基;炭素数6~14のアリール基;炭素数4~14のヘテロアリール基;又はカルボキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基若しくはアミノオキシ基で置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。二つのRは同一又は相異なっていてもよい。]
【請求項2】
一般式(1)において、Lが、単結合、メチレン基、ジメチレン基、1-メチルジメチレン基、1,1-ジメチルジメチレン基、1,2-ジメチルジメチレン基、1-エチル-2-メチルジメチレン基、トリメチレン基、1-メチルトリメチレン基、2-メチルトリメチレン基、テトラメチレン基、1-メチルテトラメチレン基、2-メチルテトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、1,3-シクロペンチレン基、1,2-シクロヘキシレン基、シクロヘキシレン-1,4-ジメチレン基、オキシジメチレン基、アザジメチレン基、チアジメチレン基、オキシジエチレン基、アザジエチレン基、チアジエチレン基、2,5-ジオキサヘキサメチレン基、2,5-ジアザヘキサメチレン基、3,6-ジオキサオクタメチレン基、3,6-ジアザオクタメチレン基、1,2-フェニレン基、1,4-フェニレン基、1,2-フェニレンジメチレン基、ピリジン-2,3-ジイル基、ピリジン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,3-ジイルジメチレン基、ピリジン-2,6-ジイルジメチレン基のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のアルデヒド捕捉剤。
【請求項3】
一般式(1)において、Rが、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、カルボキシ基、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、メルカプトメチル基、2-メルカプトエチル基、3-メルカプトプロピル基、カルボキシメチル基、2-カルボキシエチル基、3-カルボキシプロピル基、アミノオキシメチル基、2-(アミノオキシ)エチル基のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルデヒド捕捉剤。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれかに記載のアルデヒド捕捉剤をアルデヒド発生源に対して使用することを特徴とするアルデヒドの除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルデヒド類の捕捉剤に関する。
【背景技術】
【0002】
アセトアルデヒドやホルムアルデヒド等のアルデヒド類は、生活環境における代表的な臭気物質であり、臭い閾値が極めて低いために低濃度でも不快臭の原因となる。これらのアルデヒド類は屋内や自動車内において合成樹脂、合板、タバコの煙等から発生し、シックハウス症候群やシックカー症候群の原因となることが知られている。また、これらのアルデヒド類は発癌性も疑われており、人が日常的にこれらに曝されると、健康を害するリスクがある。そのため、厚生労働省により室内濃度指針値として、アセトアルデヒドは0.03ppm、ホルムアルデヒドは0.08ppmと規定されている。したがって、アルデヒド類を速やかに且つ持続的に除去する手段が求められている。
【0003】
アセトアルデヒドやホルムアルデヒド等の低級アルデヒドは沸点が低いため、消臭剤として汎用されるシリカゲルや活性炭等の無機系多孔質材では捕捉効率が低い。そこで、ヒドラジン誘導体、アミン、アミノ酸、又は尿素誘導体等からなるアルデヒド捕捉剤とアルデヒド類を化学反応させることによりアルデヒド類を捕捉する方法が開示されている(例えば、特許文献1~3参照)。
【0004】
しかしながら、これら特許文献に記載の方法は、捕捉効率が不十分である、捕捉剤自体が臭気源となる、又は一旦アルデヒド類を捕捉しても経時的にアルデヒド類を再放出する等の問題があった。また、これら特許文献に記載のアルデヒド捕捉剤をシックハウス症候群やシックカー症候群を予防する目的で住居内や自動車内で使用する場合、これらの場所は夏場等に高温になるため、性能が低下する点が問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平4-358536号公報
【文献】特開平11-4879号公報
【文献】特開2012-120708公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の背景技術に鑑みてなされたものであって、アルデヒド類を速やかに且つ持続的に捕捉するアルデヒド捕捉剤を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、分子内に2つ以上のアミノオキシ基を有する特定のO-置換ポリヒドロキシルアミン又はこれらの化学的に許容される塩を含むアルデヒド捕捉剤がアルデヒド類を速やかに且つ持続的に捕捉することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の要旨を有するものである。
【0009】
[1]
分子内に2つ以上のアミノオキシ基を有するO-置換ポリヒドロキシルアミン又はその化学的に許容される塩を1種以上含むことを特徴とするアルデヒド捕捉剤。
【0010】
[2]
下記一般式(1)で表されるO-置換ポリヒドロキシルアミン又はその化学的に許容される塩を1種以上含むことを特徴とする[1]に記載のアルデヒド捕捉剤。
【0011】
【化1】
【0012】
[上記一般式(1)において、Lは、単結合;カルボキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基若しくはアミノオキシ基で置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基、カルボキシ基、ヒドロキシ基若しくはメルカプト基で置換されていてもよい炭素数6~14のアリール基、及びカルボキシ基、ヒドロキシ基若しくはメルカプト基で置換されていてもよい炭素数4~14のヘテロアリール基からなる群より選ばれる1つ以上の置換基で置換されていてもよい炭素数1~8の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキレン基;カルボキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基若しくはアミノオキシ基で置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基、カルボキシ基、ヒドロキシ基若しくはメルカプト基で置換されていてもよい炭素数6~14のアリール基、及びカルボキシ基、ヒドロキシ基若しくはメルカプト基で置換されていてもよい炭素数4~14のヘテロアリール基からなる群より選ばれる1つ以上の置換基で置換されていてもよい炭素数2~8の直鎖状、分岐状若しくは環状のヘテロアルキレン基;炭素数6~14のアリーレン基;又は炭素数4~14のヘテロアリーレン基を表す。Rは、水素原子;カルボキシ基;アミノオキシ基;炭素数1~6のアルキルオキシ基;炭素数6~14のアリール基;炭素数4~14のヘテロアリール基;又はカルボキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基若しくはアミノオキシ基で置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。二つのRは同一又は相異なっていてもよい。]
[3]
一般式(1)において、Lが、単結合、メチレン基、ジメチレン基、1-メチルジメチレン基、1,1ージメチルジメチレン基、1,2ージメチルジメチレン基、1-エチル-2-メチルジメチレン基、トリメチレン基、1-メチルトリメチレン基、2-メチルトリメチレン基、テトラメチレン基、1-メチルテトラメチレン基、2-メチルテトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、1,3-シクロペンチレン基、1,2-シクロヘキシレン基、シクロヘキシレン-1,4-ジメチレン基、オキシジメチレン基、アザジメチレン基、チアジメチレン基、オキシジエチレン基、アザジエチレン基、チアジエチレン基、2,5-ジオキサヘキサメチレン基、2,5-ジアザヘキサメチレン基、3,6-ジオキサオクタメチレン基、3,6-ジアザオクタメチレン基、1,2-フェニレン基、1,4-フェニレン基、1,2-フェニレンジメチレン基、ピリジン-2,3-ジイル基、ピリジン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,3-ジイルジメチレン基、ピリジン-2,6-ジイルジメチレン基のいずれかであることを特徴とする[1]又は[2]に記載のアルデヒド捕捉剤。
【0013】
[4]
一般式(1)において、Rが、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、カルボキシ基、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、メルカプトメチル基、2-メルカプトエチル基、3-メルカプトプロピル基、カルボキシメチル基、2-カルボキシエチル基、3-カルボキシプロピル基、アミノオキシメチル基、2-(アミノオキシ)エチル基のいずれかであることを特徴とする[1]乃至[3]に記載のアルデヒド捕捉剤。
【0014】
[5]
[1]乃至[4]のいずれかに記載のアルデヒド捕捉剤をアルデヒド発生源に対して使用することを特徴とするアルデヒドの除去方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明のアルデヒド捕捉剤は、アルデヒド類を速やかに且つ持続的に捕捉する。その結果、人体に有害なアルデヒド類を低減し、ヒトの生活環境を改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のアルデヒド捕捉剤は、分子内に2つ以上のアミノオキシ基を有するO-置換ポリヒドロキシルアミン又はその化学的に許容される塩を含むことをその特徴とする。
【0017】
上記一般式(1)において、Lは、単結合;カルボキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基若しくはアミノオキシ基で置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基、カルボキシ基、ヒドロキシ基若しくはメルカプト基で置換されていてもよい炭素数6~14のアリール基、及びカルボキシ基、ヒドロキシ基若しくはメルカプト基で置換されていてもよい炭素数4~14のヘテロアリール基からなる群より選ばれる1つ以上の置換基で置換されていてもよい炭素数1~8の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキレン基;カルボキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基若しくはアミノオキシ基で置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基、カルボキシ基、ヒドロキシ基若しくはメルカプト基で置換されていてもよい炭素数6~14のアリール基、及びカルボキシ基、ヒドロキシ基若しくはメルカプト基で置換されていてもよい炭素数4~14のヘテロアリール基からなる群より選ばれる1つ以上の置換基で置換されていてもよい炭素数2~8の直鎖状、分岐状若しくは環状のヘテロアルキレン基;炭素数6~14のアリーレン基;又は炭素数4~14のヘテロアリーレン基を表す。
【0018】
Rは、水素原子;カルボキシ基;アミノオキシ基;炭素数1~6のアルキルオキシ基;炭素数6~14のアリール基;炭素数4~14のヘテロアリール基;又はカルボキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基若しくはアミノオキシ基で置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。二つのRは同一又は相異なっていてもよい。
【0019】
Lで表される炭素数1~8のアルキレン基及び炭素数2~8のヘテロアルキレン基としては、特に限定されないが、該アルキレン基及びヘテロアルキレン基は直鎖状、分枝状又は環状のいずれであってもよく、例えば、メチレン基、ジメチレン基、1ーメチルジメチレン基、1,1ージメチルジメチレン基、1,2ージメチルジメチレン基、1-エチル-2-メチルジメチレン基、トリメチレン基、1-メチルトリメチレン基、2-メチルトリメチレン基、2-エチルトリメチレン基、2-プロピルトリメチレン基、テトラメチレン基、1-メチルテトラメチレン基、2-メチルテトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、シクロプロピレン基、1,2ーシクロブチレン基、1,3ーシクロブチレン基、1,2ーシクロペンチレン基、1,3ーシクロペンチレン基、1,2ーシクロヘキシレン基、1,3ーシクロヘキシレン基、1,4ーシクロヘキシレン基、シクロヘキシレン-1,3-ジメチレン基、シクロヘキシレン-1,4-ジメチレン基、1,2ーシクロヘプチレン基、1,2ーシクロオクチレン基、オキシジメチレン基、アザジメチレン基、チアジメチレン基、オキシジエチレン基、アザジエチレン基、チアジエチレン基、2,5-ジオキサヘキサメチレン基、2,5-ジアザヘキサメチレン基、3,6-ジオキサオクタメチレン基、3,6-ジアザオクタメチレン基、1,2-、1,3-又は1,4-フェニレンジメチレン基、1,2-又は1,4-フェニレンジエチレン基、ピリジン-2,3-ジイルジメチレン基、ピリジン-2,4-ジイルジメチレン基、ピリジン-2,5-ジイルジメチレン基、ピリジン-2,6-ジイルジメチレン基、ピリジン-3,5-ジイルジメチレン基等が挙げられる。
【0020】
該アルキレン基及びヘテロアルキレン基は、カルボキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基若しくはアミノオキシ基で置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基;カルボキシ基、ヒドロキシ基若しくはメルカプト基で置換されていてもよい炭素数6~14のアリール基;及び/又はカルボキシ基、ヒドロキシ基若しくはメルカプト基で置換されていてもよい炭素数4~14のヘテロアリール基で置換されていてもよい。
【0021】
カルボキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基若しくはアミノオキシ基で置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、ヘキシル基等を例示することができる。
【0022】
カルボキシ基、ヒドロキシ基若しくはメルカプト基で置換されていてもよい炭素数6~14のアリール基におけるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニリル基、フェナントリル基等を例示することができる。
【0023】
カルボキシ基、ヒドロキシ基若しくはメルカプト基で置換されていてもよい炭素数4~14のヘテロアリール基におけるヘテロアリール基を構成する環としては、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、インドール環、キノリン環、イソキノリン環等が挙げられる。
【0024】
Lで表される炭素数6~14のアリーレン基としては、例えば、1,2-、1,3-又は1,4-フェニレン基、1,2-、1,4-、1,5-、1,8-、2,3-又は2,6-ナフチレン基、1,2-、1,4-、1,9-、1,10-、2,3-、2,7-アントリレン基、ビフェニリレン基、フェナントリレン基等が挙げられ、該アリーレン基のアリール基上は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、ヘキシル基等の炭素数1~6のアルキル基、又は、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等の炭素数2~6のアルケニル基で置換されていてもよい。
【0025】
Lで表される炭素数4~14のヘテロアリーレン基を構成する環の具体例としては、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、インドール環、キノリン環、イソキノリン環等が挙げられ、該ヘテロアリーレン基のヘテロアリール基上は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、ヘキシル基等の炭素数1~6のアルキル基、又は、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等の炭素数2~6のアルケニル基で置換されていてもよい。
【0026】
以上例示したこれら置換基Lを含め、一般式(1)において、Lが、単結合、メチレン基、ジメチレン基、1-メチルジメチレン基、1,1-ジメチルジメチレン基、1,2-ジメチルジメチレン基、1-エチル-2-メチルジメチレン基、トリメチレン基、1-メチルトリメチレン基、2-メチルトリメチレン基、テトラメチレン基、1-メチルテトラメチレン基、2-メチルテトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、1,3-シクロペンチレン基、1,2-シクロヘキシレン基、シクロヘキシレン-1,4-ジメチレン基、オキシジメチレン基、アザジメチレン基、チアジメチレン基、オキシジエチレン基、アザジエチレン基、チアジエチレン基、2,5-ジオキサヘキサメチレン基、2,5-ジアザヘキサメチレン基、3,6-ジオキサオクタメチレン基、3,6-ジアザオクタメチレン基、1,2-フェニレン基、1,4-フェニレン基、1,2-フェニレンジメチレン基、ピリジン-2,3-ジイル基、ピリジン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,3-ジイルジメチレン基、ピリジン-2,6-ジイルジメチレン基のいずれかであるO-置換ポリヒドロキシルアミンが特に好ましい。
【0027】
Rで表される炭素数1~6のアルキルオキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、2-メチルブチルオキシ基、ペンタン-2-イルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2-メチルペンチルオキシ基、3-メチルペンチルオキシ基、4-メチルペンチルオキシ基、ヘキサン-2-イルオキシ基、2-メチルペンタン-2-イルオキシ基、2,2-ジメチルブチルオキシ基、2,3-ジメチルブチルオキシ基、3,3-ジメチルブチルオキシ基、3-メチルペンタン-2-イルオキシ基、4-メチルペンタン-2-イルオキシ基、2,3-ジメチルブタン-2-イルオキシ基、3,3-ジメチルブタン-2-イルオキシ基等が挙げられる。
【0028】
Rで表される炭素数6~14のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニリル基、フェナントリル基等が挙げられ、該アリール基上は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、ヘキシル基等の炭素数1~6のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等の炭素数1~6のアルキルオキシ基、又は、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等の炭素数2~6のアルケニル基で置換されていてもよい。
【0029】
Rで表される炭素数4~14のヘテロアリール基を構成する環としては、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、インドール環、キノリン環、イソキノリン環等が挙げられ、該ヘテロアリール基上は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、ヘキシル基等の炭素数1~6のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等の炭素数1~6のアルキルオキシ基、又は、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等の炭素数2~6のアルケニル基で置換されていてもよい。
【0030】
Rで表される、カルボキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基若しくはアミノオキシ基で置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、2-メチルブチル基、ペンタン-2-イル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、ヘキサン-2-イル基、2-メチルペンタン-2-イル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、3-メチルペンタン-2-イル基、4-メチルペンタン-2-イル基、2,3-ジメチルブタン-2-イル基、3,3-ジメチルブタン-2-イル基等のアルキル基;カルボキシメチル基、1-カルボキシエチル基、2-カルボキシエチル基、1-カルボキシプロピル基、2-カルボキシプロピル基、3-カルボキシプロピル基、α-カルボキシイソプロピル基、β-カルボキシイソプロピル基、1-カルボキシブチル基、2-カルボキシブチル基、3-カルボキシブチル基、4-カルボキシブチル基、α-カルボキシイソブチル基、1-カルボキシ-1-メチルプロピル基、β-カルボキシイソブチル基、2-カルボキシ-1,1-ジメチルエチル基、γ-カルボキシイソブチル基、3-カルボキシ-1-メチルプロピル基、1-カルボキシペンチル基、1-カルボキシ-1-メチルブチル基、1-カルボキシ-2-メチルブチル基、1-カルボキシ-3-メチルブチル基、1-カルボキシ-1,2-ジメチルプロピル基、1-カルボキシ-2,2-ジメチルプロピル基、2-カルボキシペンチル基、2-カルボキシ-1-メチルブチル基、2-カルボキシ-2-メチルブチル基、2-カルボキシ-3-メチルブチル基、2-カルボキシ-1,1-ジメチルプロピル基、2-カルボキシ-1,2-ジメチルプロピル基、3-カルボキシペンチル基、3-カルボキシ-1,1-ジメチルプロピル基、3-カルボキシ-1,2-ジメチルプロピル基、3-カルボキシ-1,3-ジメチルプロピル基、3-カルボキシ-2,2-ジメチルプロピル基、3-カルボキシ-2,3-ジメチルプロピル基、3-カルボキシ-3,3-ジメチルプロピル基、4-カルボキシペンチル基、4-カルボキシ-1-メチルブチル基、4-カルボキシ-2-メチルブチル基、4-カルボキシ-3-メチルブチル基、5-カルボキシペンチル基等のカルボキシ基で置換されたアルキル基;ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、3-ヒドロキシプロピル基、α-ヒドロキシイソプロピル基、β-ヒドロキシイソプロピル基、1-ヒドロキシブチル基、2-ヒドロキシブチル基、3-ヒドロキシブチル基、4-ヒドロキシブチル基、α-ヒドロキシイソブチル基、1-ヒドロキシ-1-メチルプロピル基、β-ヒドロキシイソブチル基、2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル基、γ-ヒドロキシイソブチル基、3-ヒドロキシ-1-メチルプロピル基、1-ヒドロキシペンチル基、1-ヒドロキシ-1-メチルブチル基、1-ヒドロキシ-2-メチルブチル基、1-ヒドロキシ-3-メチルブチル基、1-ヒドロキシ-1,2-ジメチルプロピル基、1-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル基、2-ヒドロキシペンチル基、2-ヒドロキシ-1-メチルブチル基、2-ヒドロキシ-2-メチルブチル基、2-ヒドロキシ-3-メチルブチル基、2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルプロピル基、2-ヒドロキシ-1,2-ジメチルプロピル基、3-ヒドロキシペンチル基、3-ヒドロキシ-1,1-ジメチルプロピル基、3-ヒドロキシ-1,2-ジメチルプロピル基、3-ヒドロキシ-1,3-ジメチルプロピル基、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル基、3-ヒドロキシ-2,3-ジメチルプロピル基、3-ヒドロキシ-3,3-ジメチルプロピル基、4-ヒドロキシペンチル基、4-ヒドロキシ-1-メチルブチル基、4-ヒドロキシ-2-メチルブチル基、4-ヒドロキシ-3-メチルブチル基、5-ヒドロキシペンチル基等のヒドロキシ基で置換されたアルキル基;メルカプトメチル基、1-メルカプトエチル基、2-メルカプトエチル基、1-メルカプトプロピル基、2-メルカプトプロピル基、3-メルカプトプロピル基、α-メルカプトイソプロピル基、β-メルカプトイソプロピル基、1-メルカプトブチル基、2-メルカプトブチル基、3-メルカプトブチル基、4-メルカプトブチル基、α-メルカプトイソブチル基、1-メルカプト-1-メチルプロピル基、β-メルカプトイソブチル基、2-メルカプト-1,1-ジメチルエチル基、γ-メルカプトイソブチル基、3-メルカプト-1-メチルプロピル基、1-メルカプトペンチル基、1-メルカプト-1-メチルブチル基、1-メルカプト-2-メチルブチル基、1-メルカプト-3-メチルブチル基、1-メルカプト-1,2-ジメチルプロピル基、1-メルカプト-2,2-ジメチルプロピル基、2-メルカプトペンチル基、2-メルカプト-1-メチルブチル基、2-メルカプト-2-メチルブチル基、2-メルカプト-3-メチルブチル基、2-メルカプト-1,1-ジメチルプロピル基、2-メルカプト-1,2-ジメチルプロピル基、3-メルカプトペンチル基、3-メルカプト-1,1-ジメチルプロピル基、3-メルカプト-1,2-ジメチルプロピル基、3-メルカプト-1,3-ジメチルプロピル基、3-メルカプト-2,2-ジメチルプロピル基、3-メルカプト-2,3-ジメチルプロピル基、3-メルカプト-3,3-ジメチルプロピル基、4-メルカプトペンチル基、4-メルカプト-1-メチルブチル基、4-メルカプト-2-メチルブチル基、4-メルカプト-3-メチルブチル基、5-メルカプトペンチル基等のメルカプト基で置換されたアルキル基;(アミノオキシ)メチル基、1-(アミノオキシ)エチル基、2-(アミノオキシ)エチル基、1-(アミノオキシ)プロピル基、2-(アミノオキシ)プロピル基、3-(アミノオキシ)プロピル基、α-(アミノオキシ)イソプロピル基、β-(アミノオキシ)イソプロピル基、1-(アミノオキシ)ブチル基、2-(アミノオキシ)ブチル基、3-(アミノオキシ)ブチル基、4-(アミノオキシ)ブチル基、α-(アミノオキシ)イソブチル基、1-(アミノオキシ)-1-メチルプロピル基、β-(アミノオキシ)イソブチル基、2-(アミノオキシ)-1,1-ジメチルエチル基、γ-(アミノオキシ)イソブチル基、3-(アミノオキシ)-1-メチルプロピル基、1-(アミノオキシ)ペンチル基、1-(アミノオキシ)-1-メチルブチル基、1-(アミノオキシ)-2-メチルブチル基、1-(アミノオキシ)-3-メチルブチル基、1-(アミノオキシ)-1,2-ジメチルプロピル基、1-(アミノオキシ)-2,2-ジメチルプロピル基、2-(アミノオキシ)ペンチル基、2-(アミノオキシ)-1-メチルブチル基、2-(アミノオキシ)-2-メチルブチル基、2-(アミノオキシ)-3-メチルブチル基、2-(アミノオキシ)-1,1-ジメチルプロピル基、2-(アミノオキシ)-1,2-ジメチルプロピル基、3-(アミノオキシ)ペンチル基、3-(アミノオキシ)-1,1-ジメチルプロピル基、3-(アミノオキシ)-1,2-ジメチルプロピル基、3-(アミノオキシ)-1,3-ジメチルプロピル基、3-(アミノオキシ)-2,2-ジメチルプロピル基、3-(アミノオキシ)-2,3-ジメチルプロピル基、3-(アミノオキシ)-3,3-ジメチルプロピル基、4-(アミノオキシ)ペンチル基、4-(アミノオキシ)-1-メチルブチル基、4-(アミノオキシ)-2-メチルブチル基、4-(アミノオキシ)-3-メチルブチル基、5-(アミノオキシ)ペンチル基等のアミノオキシ基で置換されたアルキル基が挙げられる。
【0031】
以上の例示から、一般式(1)において、Rが、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、カルボキシ基、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、メルカプトメチル基、2-メルカプトエチル基、3-メルカプトプロピル基、カルボキシメチル基、2-カルボキシエチル基、3-カルボキシプロピル基、アミノオキシメチル基、2-(アミノオキシ)エチル基のいずれかであるO-置換ポリヒドロキシルアミンが好ましく、特に、Rが水素原子の場合が好ましい。
【0032】
上記のO-置換ポリヒドロキシルアミンは一部又は全てが無機酸又は有機酸との化学的に許容される塩となっていてもよい。塩の種類としては、特に限定されないが、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、過塩素酸塩、ケイ酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、安息香酸塩、p-トルエンスルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられ、安価である点で無機酸塩が好ましく、塩酸塩がさらに好ましい。
【0033】
一方、O-置換ポリヒドロキシルアミンがカルボキシ基を含む場合は、当該カルボキシ基が分子内のヒドロキシルアミノ基と分子内塩を形成してもよい。また、当該カルボキシ基の一部又は全てがカルボン酸塩となっていてもよい。カルボン酸塩の種類としては、特に限定されないが、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0034】
本発明のアルデヒド捕捉剤は、目的、用途に応じて任意の形態で使用することができる。例えば、本発明のO-置換ポリヒドロキシルアミン又はその化学的に許容される塩(以下、「O-置換ポリヒドロキシルアミン類」という。)を任意の溶媒に溶解させて液状捕捉剤として使用したり、前記の液状捕捉剤を任意の担体に担持し、固体状捕捉剤として使用したり、又はゴム等に練り込んで使用することができる。また、これらの捕捉剤を合板や自動車天井材等のアルデヒド発生源となる材料に適用することで、当該材料から環境中へのアルデヒド類放出を抑制することができる。
【0035】
溶媒へのO-置換ポリヒドロキシルアミン類の溶解量は、目的に応じて任意に調節可能であり、特に限定するものではないが、O-置換ポリヒドロキシルアミン類が1~50重量%の範囲が好ましく、5~30重量%の範囲がさらに好ましい。
【0036】
本発明のO-置換ポリヒドロキシルアミン類を担持する担体としては、水に不溶性のものであれば特に制限なく用いることができる。例えば、高分子担体として、ポリスチレン、架橋ポリスチレン等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等のポリ(ハロゲン化オレフィン)、ポリアクリロニトリル等のニトリル系ポリマー、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等の(メタ)アクリル系ポリマー、セルロース、アガロース、デキストラン等の高分子量多糖類等が挙げられ、無機担体として、活性炭、シリカゲル、珪藻土、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、酸化チタン、マグネシア、ポリシロキサン等が挙げられる。
【0037】
ここで、架橋ポリスチレンとは、スチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン等のモノビニル芳香族化合物とジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ジビニルナフタレン、トリビニルベンゼン、ビスビニルジフェニル、ビスビニルフェニルエタン等のポリビニル芳香族化合物との架橋共重合体を主体とするものであり、これらの共重合体にグリセロールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート等のメタクリル酸エステルが共重合されていてもよい。
【0038】
本発明において用いられる担体の形状としては、特に限定するものではないが、例えば、球状(例えば、球状粒子等)、粒状、繊維状、顆粒状、モノリスカラム、中空糸、膜状(例えば、平膜など)等の一般的に分離基材として使用される形状が利用可能であり、これらのうち、球状、膜状、粒状、顆粒状、又は繊維状のものが好ましい。球状、粒状、又は顆粒状担体は、カラム法やバッチ法で使用する際、その使用体積を自由に設定できることから、特に好ましく用いられる。
【0039】
球状、粒状、又は顆粒状担体の粒子サイズとしては、通常、平均粒径1μm~10mmの範囲のものを用いることができるが、2μm~1mmの範囲が好ましい。
【0040】
本発明において用いられる担体は多孔質でもよいし、無孔質でもよい。多孔質担体の平均細孔径としては、通常、1nm~1μmのものを用いることができるが、アルデヒド捕捉速度の点で1nm~300nmの範囲が好ましい。
【0041】
本発明のO-置換ポリヒドロキシルアミン類を担体へ担持する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、溶媒に溶解したO-置換ポリヒドロキシルアミン類を担体に物理的に吸着させて固定化する方法が挙げられる。
【0042】
O-置換ポリヒドロキシルアミン類を物理的に吸着させて固定化する方法としては、特に限定されないが、例えば、O-置換ポリヒドロキシルアミン類を水等の溶媒に溶解させ、次いで上記した担体を加え、O-置換ポリヒドロキシルアミン類を当該担体に含浸させて、さらに溶媒を留去する方法が挙げられる。
【0043】
担体へのO-置換ポリヒドロキシルアミン類の担持量は、目的に応じて任意に調節可能であり、特に限定するものではないが、O-置換ポリヒドロキシルアミン類が1~50重量%の範囲が好ましく、5~30重量%の範囲がさらに好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】実施例1~8及び比較例1~3における1分後のアセトアルデヒド捕捉率を示す図である。
【実施例
【0045】
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定して解釈されるものではない。
【0046】
実施例1~8
O-置換ポリヒドロキシルアミン類(0.23mmol)を水(5mL)に溶解し、アルデヒド捕捉剤を調製した。ここに、アセトアルデヒド(0.23mmol)及び内部標準物質としてジエチレングリコールジエチルエーテル(0.2重量%)を含有する水溶液5mLを混合した。1分後、5分後、10分後及び30分後に反応液の一部(0.2mL)を抜き出し、これに水素化ホウ素ナトリウム1mgを添加し、残存しているアセトアルデヒドをエタノールに還元した。この溶液をガスクロマトグラフ(GC-2014、島津製作所製)で分析し、エタノールとジエチレングリコールジエチルエーテルの面積比から残存アセトアルデヒド濃度を算出した。さらに、アルデヒド捕捉率を下式から算出した。
【0047】
アルデヒド捕捉率(%)=[(アセトアルデヒド初濃度-残存アセトアルデヒド濃度)÷アセトアルデヒド初濃度]×100。
【0048】
比較例1~3
O-置換ポリヒドロキシルアミン類に代えて、既存品であるケムキャッチH-6000HS(ヒドラジド系、大塚化学製)、ピペラジン(アミン系)、又はグリシン(アミノ酸系)を用いたこと以外は実施例1~8と同様に実施した。
【0049】
実施例1~8及び比較例1~3の結果を表1(1分後から30分後の捕捉率)及び図1(1分後の捕捉率)に示した。
【0050】
【表1】
【0051】
表1及び図1より明らかなように、本発明のアルデヒド捕捉剤は既存の捕捉剤と比較して高いアルデヒド捕捉性能を示した。
【0052】
実施例9
アルデヒド捕捉時間を24時間としたこと以外は実施例1と同様に実施した結果、アセトアルデヒド捕捉率は99.9%であり、本発明のアルデヒド捕捉剤は長時間経過後も高いアルデヒド捕捉性能を維持した。
【0053】
実施例10
実施例3にて調製したアルデヒド捕捉剤にシリカゲル(PSQ60B 富士シリシア化学製)を添加し、水を減圧留去して60℃で1時間乾燥した(アルコキシアミン担持量=3重量%)。この紛体0.1gをテドラーバッグに封入して減圧脱気した後、100ppm(体積濃度)のアルデヒドガスを1L注入した。室温で1時間静置後、テドラーバッグ内のガスを2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)を担持したカートリッジ(製品名:プレセップ-C DNPH、和光純薬工業製)に吸着させた。このカートリッジからDNPH-アルデヒド縮合体を溶出(溶離液=アセトニトリル)し、溶出液中のDNPH-アルデヒド縮合体を液体クロマトグラフ(装置名:Agilent 1220 Infinity LC、アジレント・テクノロジー製)で定量した結果、残存アルデヒド濃度は0.4ppmであった。
【0054】
比較例4
シリカゲルのみを捕捉剤としたこと以外は実施例10と同様に実施した結果、残存アルデヒド濃度は50.2ppmであった。
【0055】
実施例10及び比較例4より明らかなように、本発明のアルデヒド捕捉剤は気相中においても既存の捕捉剤と比較して高いアルデヒド捕捉性能を示した。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明のアルデヒド捕捉剤は、アルデヒド類を速やかに且つ持続的に捕捉する。その結果、人体に有害なアルデヒド類を低減し、ヒトの生活環境を改善することができる。
図1